ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の調査によると、2020年のブラジルの国内総生産GDP伸び率は、前回予想のマイナス3.4%から2.0%引き下げて、マイナス5.4%と大幅な下方修正を行った。また財政プライマリー収支はGDP比マイナス8.2%の赤字計上を予想している。
ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の5月のマクロ経済報告書では、「計り知れない経済危機と社会的影響は潜在的でネガティブな影響を持つ政治的問題に起因」と同研究所調査員のArmando Castelar氏並びにSilvia Matos氏が指摘している。
パンデミックの影響を軽減するための連邦政府の地方政府や中小企業の倒産、雇用や生活保護などの膨大な臨時支出増加を考慮すると、今年末の対内債務残高はGDP比9.2%に達するとブラジル経済研究所は予想している。
勤務時間短縮並びに労働契約の一時停止対応の暫定令MP936号で5月12日迄の雇用維持効果は720万人の労働者が恩恵を受けていると調査員のVilma Pinto氏は指摘している。
当初の連邦政府による雇用維持のための救済政策向け支出総額は、512億レアルであったにも関わらず、救済政策の支出総額は566億4,000万レアルに膨らんでいる。
また非正規雇用者、シングルマザーなどの女性の世帯主、個人・零細企業主、社会保障院(INSS)の審査待ちの勤労不可能な高齢者や障害者に対する最低賃金額を支給する継続扶助(BPC)などの救済目的の緊急補助金(auxílio emergencial)である月額600レアル支給の緊急補助金支給総額は982億レアルから1,239億2,000万レアルに拡大している。
月額600レアル支給の緊急補助金支給は3回支給が予定されているが、パンデミック終息が長引き、年末までの補助金支給を余儀なくされると、緊急補助金支給総額は3,717億6,000万レアルに達する可能性がある。
2020年第1四半期のGDP伸び率は前四半期比マイナス1.0%、2020年はマイナス5.4%、内訳は農畜産部門のGDP伸び率は0.6%増加、2.3%増加、鉱工業部門はマイナス0.9%、マイナス8.2%、サービス業部門マイナス1.0%、マイナス4.3%、一般家庭消費マイナス1.2%、マイナス8.0%、公共支出0.5%増加、3.0%増加、投資0.7%増加、マイナスq5.7%、輸出マイナス1.1%、マイナス2.3%、輸入は5.0%増加、マイナス17.8%の予想となっている。今年第2四半期のGDP伸び率は前四半期比マイナス9.6%が予想されている。