COVID-19の感染でSTFが労災に認定可能な場合もあると判断(2020年4月30日付けバロール紙)

連邦最高裁判所(STF)は4月29日、就業中に感染したことが証明されなかった場合でも企業が従業員の新型コロナウイルス(COVID-19)の感染を職業病(労災)と認定する可能性を排除してはならないとする判断を、賛成7票、反対32票で審決した。

この行政審判ではさらに、パンデミック状況下で労働監査の実施を制限した連邦政府の規定を無効とすることについても、賛成6票、反対4票で決定とした。

STFが今回破棄した2つの規定は、国内でCOVID-19の感染拡大中に労働規定を緩和すべくジャイール・ボルソナロ大統領が公布した暫定令(MP)の一部として定められた。STFはこの規定の緩和を問題視していた。

行政審判でこの問題を担当したマルコ・アウレリオ・メーロ判事は、この2項目の効力を停止する差し止め命令をSTFが下すことに反対する立場を表明。審決に際して同判事は暫定令の全文の維持に賛成を表明し、その理由として、異常事態が労働法の規制緩和を正当化し得るもので違憲にもあたらないいう考えを示した。同判事の見解は、外に、ジアス・トフォリ判事とジルマール・メンデス判事が支持を表明した。

だが残りの判事は、2つの条項が違憲だと表明。COVID-19の感染を労災と認定する可能性を否定する最初の条項は、感染と労働者の業務との間に「因果関係の証明」がある場合に限り職業病と見做せる場合があるという認識を示した。

大多数の判事は、労働者がどこで感染したかを証明することが不可能なため、就労中に感染したことを労働者に証明するよう求めることができないと認めた。この点を考慮し、アレシャンドレ・デ・モラエス判事とエジソン・ファキン判事、ルイス・ロベルト・バローゾ判事、ローザ・ウェーバー判事、カルメン・ルシア判事、リカルド・レバンドウスキ判事が暫定令の当該条項の無効に票を投じた。

今回の行政審判のもうひとつの議案は、ごく一部のケースを除き罰則のない「指導」で済ます労働監査の制限問題である。

この問題についてファキン判事は、「監査の不在は、従業員の健康を保護する義務の履行を雇用主が怠ることを認めたという解釈と混同される可能性があり、むしろ非常時に求められる慣行に逆行する」とする見解を表明。同判事の意見をバローゾ判事も受け入れた。(2020年4月30日付けバロール紙)
 

パンデミックで化学品メーカーの一部は設備稼働率が50%まで下落(2020年4月30日付けバロール紙)

化学業界では、感染を拡大している新型コロナウイルス(COVID-19)への対策や感染者の治療といった分野に関連した一部のメーカーがフル稼働体制で生産に当たっているが、残りのメーカーはむしろ全く異なる現実に直面している。国内化学品メーカーをまとめるブラジル化学工業協会(Abiquim)が実施した調査によると、業界の半数の企業で2020年4月の設備稼働率が50%から60%となっており、調査に回答した企業の30%が、従来のペース、およそ70%の設備稼働率を維持していると回答した。

Abiquimのファッチマ・ジオバンナ・コビエロ・フェレイラ経済・戦略問題担当理事によると、業界の企業で例えば衛生品や消毒剤、保健関連品に関係しているところは業績が上向いているが、一方で自動車業界あるいは土木建築業界に関連した製品を製造するメーカーは顧客がパンデミックにより操業に影響を受けていることから業績を悪化させている。「企業に比重を置いて状況を逐次確認した4月のレポートがまとまれば、COVID-19の影響がより明確になるだろう」という。

Abiquimは定量調査を月2回実施しており、次回の調査では業界に対する信用供与と投資、業界が準備を進めている再開プロトコルに関してモニタリングを実施する予定だ。同協会によると最初の調査で「相当数の」業界企業から回答が寄せられた。

フェレイラ理事によると、2020年3月までに集められたデータから、第1四半期(1―3月期)は需要が拡大して業界のパフォーマンスを改善、過去12か月間に累積していた損失の一部を縮小する効果も発揮した。「だがこうした流れは、4月には中断したと受け止めている」と同理事は言う。1月から3月にかけて化学業界は、化学製品の需要が+4.4%と回復を続けた。だが4月に入ってから、販売は大きく減少したものと同協会は受け止めている。(2020年4月30日付けバロール紙)
 

今年第1四半期の平均失業率は12.2%に上昇(2020年4月30日付けエスタード紙)

4月30日発表のブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、2020年第1四半期の平均失業率は前四半期から1.3%上昇の12.2%。また1か月前の昨年12月~今年2月の平均失業率の11.6%から0.6%とそれぞれ大幅な上昇を記録している。
 
民間の市場調査会社の今年第1四半期の失業率調査では、最低失業率予想の11.9%~最高失業率予想12.9%、平均失業率予想の12.4%は下回った。昨年同期の平均失業率は12.7%であった。
今年第1四半期の労働者のインフレ指数を差し引いた実質平均月収は前年同期比0.8%増加の2,398レアル、労働者の月収総額は1.5%増加の2,162億9,000万レアルであった。
 
今年第1四半期の失業率総数は、前四半期よりも120万人増加の1,290万人に増加した一方で、昨年同期よりも4.0%に相当する53万7,000人減少している。また今年第1四半期の雇用人口は前四半期2.5%減少の9,220万人、前年同期と同じ水準で推移している。
 
今年第1四半期の労働手帳に記載されない非正規労働者総数は、労働人口の39.9%に相当する3,680万人、前四半期は41.0%、前年同期比の40.8%からそれぞれ減少している。
 
今年第1四半期の15歳~64歳までの労働力人口以外の人口は、6,730万人と2012年統計を取り始めて以来最高を記録、前四半期比では2.8%に相当する180万人増加、前年同期比では3.1%に相当する200万人増加している。
 
また今年第1四半期の就職活動放棄した人口は、480万人で前四半期と同水準で推移。労働力人口に占める非就職活動人口は、前年同期比0.2%増加の4.3%、前年同期の4.2%から若干増加している。
 
今年第1四半期の労働手帳に記載される正規雇用総数は、前年同期比1.7%に相当する57万2,000人減少の3,310万人と大幅に減少、前年同期と同水準を記録している。また同期の自営業人口は、前四半期比1.6%に相当する39万8,000人減少の1,100万人、前年同期比では1.7%に相当する40万9,000人増加している。

2020年の輸出が最悪の場合は前年比-20%とIpeaが予想(2020年4月29日付けバロール紙)

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに伴って世界貿易が減速する中、原油需要の縮小が中心となりブラジルの輸出は、2020年に前年比-11%から最悪-20%を記録する見込み。経済省応用経済調査院(Ipea)が4月28日に新たな分析として発表した。パンデミック危機で、2020年のブラジルの輸出額は2,000億ドルを下回る見込み。経済省のデータによるとブラジルは、2019年に2,254億ドルを輸出した。

Ipeaによると2020年は輸入も20%減少しておよそ1,400億ドルにとどまる見込み。Ipeaの研究者らは、国際通貨基金(IMF)と世界貿易機関(WTO)が発表している世界のGDPと各国の輸入に関する予測を考慮して今回の数字を算出した。結論としてIpeaは、WTOとIMFの最も楽観的な見通しの中間をとったシナリオ、すなわち世界のGDPが2020年に-2.5%から-3.0%を記録するという想定を採用した。

また2021年に関してIpeaは、2つのチャネルからブラジルの貿易が回復すると予想している。すなわち、2,300億ドルを上限に輸出が前年比+10%から+15%を記録し、輸入は社会的・経済的な危機に直面して落ち込んだ2020年の水準を20%上回る可能性がある。この場合、2021年の輸入は1,640億ドルに達する。ただし、想定し得るあらゆるシナリオを採用したとしても2021年の輸入額は、1,773億ドルを輸入した2019年の水準を下回る。

一連の研究では、製品グループごとの輸出の変化についても予測している。IMFが予測するシナリオに基づきIpeaは、ブラジルの原油輸出が2020年に前年比-39.8%と予測、さらに2021年には+11.7%と回復すると判断している。この原油の輸出動向は、「予想される急激な需要の低下と国際相場の下落」が原因だという。

鉄鉱石輸出も同様の状況に打撃を受けるものの、2020年の落ち込みは-15%にとどまり2021年には+7.5%と、変動曲線はより滑らかに推移する見込み。それ以外の半製品と工業製品は、2020年にそれぞれ前年比-18.4%と-17.2%、2021年にはいずれも+9.8%の回復を見込む。

農畜産品の輸出は大きな影響を受けないとIpeaは予想している。大豆の場合、2020年の落ち込みはわずか-0.5%、しかも2021年には+13%を記録する見込み。食肉輸出は2020年に-5.5%となるが2021年は+11.5%を記録する。またその他の一次産品は、平均で、2020年が-4.7%、2021年は+10.9%を見込む。

Ipeaによると、農畜産品の輸出への打撃が軽微にとどまる理由は、世界経済の低迷期において農業コモディティーの大規模な輸入国である中国を中心にアジア諸国のパフォーマンスがより堅調なことと、所得の変動が食品の需要に与える打撃はその他の品目と比較すると軽微なことによる。

またパンデミック危機を通じてブラジルの輸出会社は、特定の品目への集中を強めるとIpeaは受け止めている。すなわち、大豆及び大豆派生品と、食肉、鉄鉱石及び原油で、これらは2019年まで全体の42.4%を占めた。だがIMFの分析に基づいた予測では、パンデミック危機のトンネルを抜ければその比重は46.2%に高まっているとIpeaは指摘した。(2020年4月29日付けバロール紙)
 

資源大手ヴァーレ社の第1四半期の純益は9億8,400万レアルの黒字計上(2020年4月29日付けエスタード紙)

昨日28日の資源大手ヴァーレ社の2020年第1四半期の決算発表では、純益総額は9億8,400万レアルの黒字を計上、昨年1月25日に発生したヴァーレ社のミナス州ブルマジーニョ鉱山のフェイジョン1鉱滓用ダムの決壊事故で、鉄鉱石生産が大幅に減産した影響を受けた昨年同期の64億レアルの赤字から一転して黒字となっている。

「ヴァーレ社は、新型コロナウイルのパンデミック対応で従業員やその家族の健康と安全を最優先する計画を作成しているが、決壊事故を起こしたブルマジーニョ鉱山ダムの保守や環境改善、事故再発防止などに継続して投資する」とEduardo Bartolomeo社長は説明。また「ヴァーレ社の目的は、世界て最も安全で信頼を得る鉱山会社になる継続した努力の維持」と付け加えた。

今年第1四半期の鉄鉱石並びにパレット販売は、レアル通貨に対するドル高の為替で前四半期比98億レアル減少の313億レアルと前年同期並みに留まった。

また2016年末から操業開始したパラー州カラジャス鉱山S11Dシステムの含有量の高い鉄鉱石生産は、長雨の影響で大幅な生産減少を余儀なくされていたものの、新型コロナウイルのパンデミックの影響は未だ及んでいない。

今年第1四半期のヴァーレ社の利払い前・税引き前・減価償却前利益(EBITDA)は、2月初めのミナス州最大の鉄鉱石生産を誇るブルクツ鉱山のラランジェイラス鉱滓用ダムの操業許可停止による生産減少並びにドル高の為替の影響で129億レアルに留まった。また前四半期比では16億レアル減少している。

「ドル高の為替は売り上げに寄与する。しかし今後の新型コロナウイルス感染拡大で幾つかの鉱山の操業停止の可能性は避けられない。含有量の高い鉄鉱石の需要と供給バランスでは、鉄鉱石の国際コモディティ価格の強気の上昇圧力につながる」とMirae Asset社アナリストのPedro Galdi氏は説明している。

新型コロナウイルのパンデミック危機でもブラジルで最も流動性の高い企業であるヴァーレ社の3月末の負債総額は前四半期比1.4%減少の48億800万ドル、前年同期比では60%と大幅な減少を記録して過去12年間で最低の負債総額迄減少している。

ヴァーレ社は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、資金調達に困難をきたしている中小規模のサプライヤー3,000社に対して、3月に1億7,100万レアルの前払いを行った。また4月末までに総額9億3,200万レアルに達する支払期限前の前払い用の運転資金クレジット枠を設定している。。

新型コロナウイルのパンデミックの影響を受けていない今年第1四半期の鉄鉱石生産は、目標の6,300万トン~6,800万トンを下回る5,960万トン、前四半期比23.9%減少、前年同期比18.2%減少している。

今後新型コロナウイルのパンデミックの影響を考慮して、今年の鉄鉱石生産は前回予想の3億4,000万トン~3億5,500万トンから3億1,000万トンから3億3,000万トンに下方修正されている。

ヴァーレ社は競合他社のリオ・ティント社に続いて、世界の鉄鉱石供給の減少予想で、今年の鉄鉱石の国際コモディティ価格は1トン当たり80ドル~90ドルを維持すると予想している。

同社は今年第1四半期の投資総額は11億2,400万ドル、そのうち1億4,500万ドルは開発プロジェクト、9億7,900万ドルはオペレーションメンテナンスに充てられた。今年の投資総額は46億ドルが見込まれている。昨年の投資第1四半期の投資総額は6億1,100万ドルであった。

パンデミック危機による電力消費量の減少で大口需要家が契約条件の柔軟化を要求(2020年4月28日付けバロール紙)

国家電力庁(Aneel)の理事会が4月28日、国内工業の重要な業界が占めるの大口需要家による要請に関する協議を開始した。これらの大口需要家は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック下における経済的損失を回避するため、配電会社と署名した電力調達契約で事前に定めた定格を下回る電力消費量を認める柔軟な対応を求めている。

Aneelの理事会は今回、ビデオ会議で協議した。ただし最終的な判断は、アンドレー・ペピトーネ総裁がプロセスの検討要請を提出したことで先送りされた。

電力契約に関連した損失は、大口需要家に限り影響する。大口需要家と同様のメカニズムは一般住宅も対象となる低電圧契約には盛り込まれていない。工業部門など大口需要家に対する電気料金の請求方法に由来する損失で、この場合、想定外の需要の落ち込みが発生するほど損失が拡大する。

工業向けに販売される電力には、2種類の料金体系が存在する。ひとつは実際に消費される電力消費量に基づき算出される料金で、低電圧契約と呼ばれる。もうひとつは、「キャパシティー需要」に基づくもので、必要が生じた場合に大口需要家に大規模な電力の使用を可能にする、追加の電力消費量に関連した料金が上乗せされた高電圧契約である。

使用する可能性がある電力消費量を事前に配電会社に通知するキャパシティー需要という料金体系は、配電業界と送電業界が電力網を強化するために求められる追加の整備コストや投資を担保するのに役立つ。一方で低電圧契約の対象となる消費者の場合、電気料金の構成はよりシンプルだ。すなわち、当該月に消費された電力に比例した一意の金額が料金として請求される。

Aneelの理事会は4月28日の協議で、大口需要家の要望に応じられない可能性があることを示唆した。大口需要家らは最低限、パンデミック危機で事業活動の停止を余儀なくされ電力消費が止まっている期間の請求だけでも先送りすることを保証するよう求めている。

だがAneelの理事会の多くが、この問題を担当するサンドヴァル・フェイトーザ・ネット理事が示した電力調達契約の条件緩和への反対意見に賛同した。この要請を受け入れれば、配電業界のキャッシュ・フローを圧迫するという新たなリスクが発生する。この場合、低電圧契約を交わす他の消費者が、将来的な料金の値上げという形で対策のコストを負担することになる。

フェイトーザ理事は協議で、「ショッピングセンターと宿泊施設、工業部門の一部がパンデミックで大きな打撃を受けているのは明白である。ただ、これらの業界が受ける打撃は電力業界に由来しないパンデミックで引き起こされた経済と金融の複合的な状況に起因している」とコメントした。

また同理事は、支援要請は、様々な業界を支援する経済対策を承認済みの連邦政府に提出すべきだと指摘した。その上で、Aneelが受け取った提案による解決策は配電業界にとって、10億レアル規模で内部留保が消滅する事態を引き起こす可能性があるとコメントした。(2020年4月28日付けバロール紙)
 

2020年4月のICSでサービス業にもパンデミック禍が直撃していることが判明し第2四半期のGDPにも赤信号(2020年4月29日付けバロール紙)

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを受けて国内の経済活動の70%を占めるサービス業界の経営者信頼感指数が2020年4月に記録的な落ち込みを観測したことにより、第2四半期(4―6月期)のGDP成長率にも赤信号が点灯している。

ゼツリオ・バルガス財団(FGV)が4月28日にサービス信頼感指数(ICS)として発表したもので、同財団のエコノミスト、ロドルフォ・トブレル氏は同指数の変動から国内経済が危険な状況にあると警告した。

3月から4月にかけてICSは、51.7ポイントから31.7ポイントに急落した。2008年6月に計測を開始したICS史上最大の下落幅となっただけでなく、ICSとしても過去最低を記録した形。

トブレル氏は、ICSが5月にも再び下落する可能性があると受け止めている。その理由として同氏は、COVID-19の国内感染が拡大中でサービス業が事業を正常化するのを予測できないためだと指摘した。「短期的には、サービス業が継続的な回復に向かうことはないと認識している」という。

4月のデータが発表される前の時点で、2番目に激しい落ち込みを記録するのは3月の-11.6ポイントになるとトブレル氏はコメントしていたが、4月に観測されたICSの急落の内訳にも注目している。というのも景況感の悪化は、ICSを構成するいずれの副指標においても確認されたためだ。現況指数(ISA)の場合、3月から4月にかけて29.7ポイント下落し55.5ポイントにとどまった。期待感指数(IE)はさらに大きく33.5ポイント減となり、47.3ポイントまで落ち込んだ。いずれの下落幅も、副指標として過去最大だった。

COVID-19のパンデミックという状況下で、食品の配達や食糧の輸送といった特定のサービスで需要が増加しているものの、現在の悲観的なシナリオの揺り戻しには貢献していないとトブレル氏は分析。「主要な業種のすべてがパンデミックによる打撃を受けている」とコメントした。

こうした状況は、サービス業の導入済設備率指数(NUCI)によっても確認できる。4月のNUCIは、2013年4月に計測を開始して以降で最低となる79.5%で、3月比で2.5ポイント下落した。

サービス業界のこうした状況は第2四半期のGDP、それどころか上半期のGDPにも打撃を与えるものだと同氏は受け止めている。というのも、現在のパンデミック危機が3月中旬に激しさを増したためだ。このことはすなわち、実際には、現在のパンデミック危機がサービス業界の経済活動に打撃を与えるのは5月と6月、7月になるという事情による。

「実際のところ、2020年はサービス業界にとり極めて大きな困難を伴う1年になるだろう」とトブレル氏は総括した。大部分の需要が消滅せずに累積的に先送りされるという状況で対応している工業と商業とは異なり、サービス業界では失われた需要にそうした側面はないと同氏は指摘した。

「例えば耐久消費財を購入しようとしていた場合、現在のパンデミック危機を目の当たりにして年末まで見合わせる。だが、年末に旅行したからといって現在の宿泊料と合わせて2部屋分の料金を支払う消費者はどこにもいない」とトブレル氏は指摘。その上で、「現在のパンデミック危機では、サービス部門への影響が最も大きい。4月のICSに明るい要素を見いだすのは困難だ」とコメントした。(2020年4月29日付けバロール紙)

全国工業連合会(CNI)は韓国との自由貿易協定交渉中止を要請(2020年4月28日付けエスタード紙サイト)

ブラジルが加盟しているメルコスールと韓国との自由貿易協定締結は、ブラジル製品に損害を与え、更に貿易収支赤字が70億ドルに拡大するために、全国工業連合会(CNI)は連邦政府に対して協定交渉の中止を要請している。     

先週金曜日にメルコスール加盟国としての貿易交渉を放棄したアルゼンチン政府の発表前に、昨年ヨーロッパ連合並びにスイス、ノルウエー、アイスランド並びにリヒテンシュタインで構成される欧州自由貿易連合(EFTA)との自由貿易協定合意を除く一切の自由貿易交渉の停止を全国工業連合会(CNI)は連邦政府に対して要請している。

メルコスール加盟国としての貿易交渉を放棄したアルゼンチンの脱退で、更に韓国製の輸入品がブラジルに雪崩れ込んでくることを全国工業連合会(CNI)は警戒している。2019年の韓国との貿易収支はブラジル側の12億5,600万ドルの赤字を計上していた。

韓国とメルコスール加盟国との自由貿易協定は、90%の製品の貿易関税の撤廃が織り込まれているが、韓国は既に中国、インド並びにトルコとのFTAを締結している。メルコスールは20%の輸入関税を課しており、一般特恵関税制度は適用していない。

ブラジルの製造業部門はコロナウイルのパンデミック危機で、ブラジル製品の競争力が失われることを心配しており、先週CNI代表団は、パンデミック後の中国製品の輸入急増の危険性をパウロ・ゲーデス経済相に訴えた。
 

石油価格下落で地方政府はロイヤリティ収入減少が不可欠(2020年4月28日付けエスタード紙)

過去数か月間の石油の国際コモディティ価格は前代未聞の下落を記録している影響で、石油のロイヤリティ収入を充て込んでいる州政府や市町村にとって、大幅な歳入減少の危険信号が灯っている。

新型コロナウイルのパンデミックで世界的な石油需要の減少前の地方政府の今年の石油ロイヤリティ収入総額は334億レアルが見込まれていたが、今では半分の184億レアルに留まるとブラジル石油監督庁(ANP)は大幅な下方修正を余儀なくされている。

新型コロナウイルパンデミックで世界中の石油需要の下落に伴って、週明け20日のニューヨーク商業取引所の原油価格の指標となる米国産WTI原油の先物価格(5月物)が1バレル=マイナス37・63ドルと、史上初めてマイナス価格で取引を終えていた。

ブラジル石油監督庁(ANP)の統計によると、ブラジル国内の岩塩層下プレソルトで最も産油量が多いのルーラ油田の1リットル当たりの価格は、年初の1.57ドルから0.90ドルと42.6%も下落している。プレソルトのサントス海盆のBúzios油田並びにSapinhoá油田の石油価格も同じ比率で下落している。

リオ州政府では、カタストロフィー的な石油価格の下落で、今年の石油ロイヤリティによる臨時歳入は50億レアルを見込んでいたが、石油価格の下落の底が見えないとLuiz Cláudio Rodrigues de Carvalho財務局長は悲鳴を上げるている。今年第1四半期の石油ロイヤリティの減収は14億2,000万レアルを記録している。

リオ州政府は石油価格下落による歳入減少に加えて、2年前の財政危機の最盛期に、リオ州政府は投資家は1バレル当たりの石油価格が40ドルを割れば、ロイヤリティ収入の前払い契約を結んでいた経緯があった。

リオ州政府の投資家に対する前払い総額は25億レアルに達しているが、財政危機にある州政府は投資家に1年半の支払い猶予で交渉している。埋蔵量並びに産油量とも豊富なルーラ油田を擁するリオ州の海岸都市マカエ市の今月の石油採掘会社からの石油のロイヤリティ収入は2億9,150万レアルが見込まれている。

パンデミック対策で不足する人工呼吸器の国内製造に輸入コンポーネントの調達で苦慮(2020年4月28日付けバロール紙)

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックで感染者の命を救う人工呼吸器の製造台数を急速に引き上げることに、ブラジルが苦慮している。大きな課題のひとつが、これらの人工呼吸器の製造で使用される基幹コンポーネントの不足だ。こうしたコンポーネントのひとつが、国外のわずかなサプライヤーしか製造していない各種のセンサーとバルブである。これらの部品の調達が、ブラジル国内外で人工呼吸器の製造台数を引き上げる際のボトルネックになっている。

連邦政府は、これらの部品の調達という国家的な緊急事態に特使も派遣してサプライヤーへの対応に当たっている。また連邦政府は国防省の参加も仰ぎ、投入財を国外から輸送するために軍用機を使用する可能性についても協議した。科学技術省は現在の状況について、これらの投入財を製造する国外のメーカーが国際的な需要の高まりで売り手市場となっている状況を利用していると受け止めている。

サンパウロ大学技術調査研究所(IPT/USP)の電子光学機器研究室で主任を務めるアントニオ・フランシスコ・ジェンチル・フェレイラ・ジュニオル氏は、人工呼吸器(あるいは肺換気装置)の国産化比率は、半分以上のコンポーネントを輸入しているために全体として低水準だという。

保健省は過去数週間で1万4,000台の人工呼吸器を国内に製造設備を持つ企業に発注した。全体としては3件、マグナメジとKTK、インテルメジとの総額6億5,800万レアルの契約。90日後から納入が始まるが、問題は、使用するコンポーネントだという。

同省が4月7日に最初に交わした契約はマグナメジと交わしたもので、3社の中では最大規模(3億2,250万レアル)。マグナメジは、出資者にクリアテックとBNDESPar(BNDES持ち株会社)、ヴォックス・キャピタルがおり、経営権は3人の創業者が保有する。

同社によると、パンデミック危機が発生する以前、同社はサンパウロ州コチア市の工場で月間190台から200台の人工呼吸器を製造し、2019年の売上は4,800万レアルだった。また製品の一部は輸出していたという。

今回の緊急契約に伴い、マグナメジは、電子機器の組み立て会社でシンガポール資本のフレックスと組み立ての委託契約を交わした。フレックスは、旧名称をフレックストロニクスと言い、サンパウロ州ソロカバ市とサンパウロ州ジャグァリウーナ市、アマゾナス州マナウス市に工場を保有する携帯電話やパソコン、サーバー、支配端末、オートメーション産業用部品、ソーラーパネルなどの電子機器の組み立てを専門とする企業で、従業員数は1万人超。同社は、KTKとインテルメジとも、組み立ての支援で契約している。

これにより、マグナメジが受注した6,500台の内5,700台をフレックスがブラジル国内で製造する。製造ラインを適応させ、組立工はマグナメジが訓練する。ただし、コンポーネント不足に直面してフレックスは、マグナメジ向けの人工呼吸器の製造に着手していない。そのため、これまでのところ、試験的な製造にとどまっている。ただしフレックスは、コンポーネントの調達問題さえなければ従業員数を500人まで生産体制を増強可能だとしている。

他方、マグナメジのコチア市工場では、すでに月間600台まで製造を拡大中だ。だが同様に、コンポーネントの調達という課題に直面している。

こうした状況を受けてスザノ製紙がマグナメジに対し、回転資本の拡大と輸入の迅速化を支援するため、1,000万レアルを融資した。

しかしながら、半額を前払いするという条件を付けてもスイスのノルグレンは、大量の受注を受けていることでマグナメジへの対応には限界があり、同社が求める納期にすべての製品を納入できないと伝えてきた。結果として部品の納入は散発的に、4月から8月にかけて行われる。

国際的なサプライヤーの1社、ノルグレンは、契約時に契約額の50%を先払いするよう求めている。同社は、人工呼吸器につながれた患者に供給する酸素の量を調節する精密バルブを製造している。

別のサプライヤーは、アメリカのハネウェルで、同様にマグナメジに対して、受注した(酸素の圧力と流量、濃度を計測する)センサーのロットの出荷を5月10日に予定していると通知してきた。楽観的なシナリオを想定した場合、このパーツは、5月20日過ぎにマグナメジに届けられる。

アメリカ企業のパーカーも人工呼吸器のコンポーネントのサプライヤーとして、国内メーカーとブラジル政府の検討候補に浮上してきた。

15か国からなる閣僚級の会議に参加したマルコス・ポンテス科学技術大臣によると、会合では、医薬品と試薬、医療機器の製造が一部の国に集中していることが議題に上がったという。この会合では、現在のような状況下でこうした集中が問題になると確認された。「問題は、これらの製品に対する地球規模の需要に生産が追い付いていないことだ」と同大臣はコメントした。

1万4,000台の人工呼吸器を調達するこの3件の契約以外にも、科学技術省が中心となって数週間前から、人工呼吸器の製造を専門とする企業と他業種の製造業大手とが協力するネットワークを構築した。

同省によると、様々な実験段階にある50件以上のプロジェクトが存在する。60日でさらに3社か4社、純国産技術で問題を解決する新たなサプライヤーが登場すると受け止めているという。

ただし、他の機器を製造していたラインを人工呼吸器用に転換するのは容易ではないと科学技術省関係者も認める。医療機器であるため、その製造には特定の無菌プロセスが必要で、製品にはセンサーと精密バルブの複雑なシステムが組み込まれ、国家衛生監督庁(Anvisa)の承認、国外のサプライチェーンの管理といった様々な要素が絡み合う。科学技術省は、3か月から4か月で、輸入されたコンポーネントに依存しない肺換気装置が開発されると予想している。

電動モーターの製造で知られるWEGも、500台の人工呼吸器の製造に向けて準備を進めている。同社は、こうした機器の製造に関する専門知識を得るため、ライストゥング・エキッパメントスと提携した。ライストゥングは、国内に製造拠点を持つメーカーの1社であるが、WEGアウトマソンのマンスフレッド・ペーター・ヨハン・サプライ担当取締役によると、ここでも問題は輸入コンポーネントの数量だと明らかにした。

「この種のコンポーネントに対して世界的な需要が極めて大きく、メーカーも大量の受注を抱えているだけでなく納期も極めて限定的な状況だ。現在、これらのメーカーは納品までに45日から60日を求めている。そのため、今回のロットである500台の人工呼吸器を製造するのに、必要となるすべてのコンポーネントを発注した。5月下旬から納入を受けると予想している」と同取締役はコメントした。

メルセデス・ベンツも、サンパウロ州サン・ベルナルド・ド・カンポ市の工場で肺換気装置を製造している。リカルド・ボッシアルディ産業エンジニアリング企画担当取締役によると、同社は、よりシンプルで患者の輸送時に使用できるマウアー研究所が設計した肺換気装置のプロジェクトを採用した。この装置は、自動車産業のコンポーネントを使用する。同社は、製造プロセスを評価するため、保健分野のパートナーを探している。

ポンテス科学技術大臣はこうした一連の経験について、ブラジルにおける科学面、生産的能力面での能力を示すものだと話す。その上で、新たな健康への脅威が発生した場合に備え、他の製造ラインを新たな医療機器や医薬品の製造に振り向ける、製造ラインの応急転換に関する非常事態対策計画を策定する必要があると指摘する。 「次にパンデミックが発生するかどうかが問題なのではなく、確実に発生するそれがいつなのかが問題なのだ」と同大臣は付け加えた。(2020年4月28日付けバロール紙)