パンデミック危機にも拘らず、サンタンデール銀行の第1四半期の純益は10.5%増加(2020年4月28日付けエスタード紙サイト)

28日のブラジルサンタンデール銀行の決算発表によると、2020年第1四半期の純益は、前年同期比10.5%増加の38億5,300万レアルを記録、また前四半期比では3.4%増加している。

同銀行は新型コロナウイル感染拡大防止のために、困窮しているセクター向けに6億レアル以上を支援している。「不確かなマクロ経済にも拘らず、過去数年間の資本強化と流動性確保を積極的に行っている」と銀行側は説明している。

新型コロナウイル危機の間の個人並びに法人向けクレジット総額は前四半期比7.1%増加の4,633億9,300万レアル、前年同期比では19.8%と二桁台の伸び率を記録している。

今年3月末のブラジルサンタンデール銀行の資産総額は、前四半期比16.7%増加の1兆レアルに達して過去最高を記録、前年同期比では24.5%増加している。また今年第1四半期の純資産総額は、前四半期比2.7%増加の699億9,200万レアル、前年同期比では24.5%増加。

今年3月からの新型コロナウイル感染拡大にもかかわらず、同銀行の今年第1四半期の純資産に対する前四半期比の利益率は、22.3%と前四半期の21.3%から1.0%上昇、前年同期の利益率は21.1%であった。

今年第1四半期のブラジルサンタンデール銀行の世界のサンタンデール銀行グループに占める純益比率は29.0%、昨年の26.0%がら3.0%増加しているが、2018年は28.0%を占めていた。

「ブラジル支店は4~5年前に比べて非常に強固となっている。ブラジルの経済指標が悪化ひているにもかかわらず、今後も継続して良い結果が得られる」とスペインに本拠を置くサンタンデールグループのJosé António Álvarez会長は強調している。

(You Tube)パンデミック対応緊急措置について Medidas emergenciais adotadas no combate à pandemia e seus reflexos jurídicos

ブラジルと世界は前例のない健康危機に直面しており、この危機の経済的、社会的影響に対抗するための措置の多くも前例のないものです。このビデオでは、アベ・ジョバニニ弁護士事務所チームの各分野の専門家が、これらの措置の一部と企業の範囲内の企業や個人への影響(経済自由法とM&Aにおけるリスクの割り当てに関連した契約上の見直しの可能性)、民事契約関係(PL- 1,179号,緊急および移行的な法的体制、および倒産防止システムに関するPL‐1,397号、労働省関係(暫定令MP 927号および936号、個人の休暇、雇用契約の停止および労働時間と給与の削減)および不動産計画関係(閉鎖/排他的マンションおよびマンション保護措置の課税の可能性)について説明している。

Assista ao vídeo da palestra clicando AQUI ビデオ視聴回数 128回  (7月16日現在) 

Renato Giovanini Filho, sócio da área de planejamento patrimonial e contencioso relacionado; William Joji Nakasone, advogado-associado da área societária; Paulo Trani de Oliveira Mello, advogado-associado da área de contencioso estratégico e arbitragem; e Ícaro Gabriel Brito Alves, advogado-associado da área trabalhista, todos de Abe Giovanini Advogados.
Telefone: (55 11) 3512-1300 
E-mail: renato.giovanini@abegiovanini.com.br / william.nakasone@abegiovanini.com.br / paulo.trani@abegiovanini.com.br / icaro.alves@abegiovanini.com.br

Renato Giovanini Filho (Foto: Rubens Ito / CCIJB)

2020年4月27日発表の最新のFocusが11週連続でGDPの見通しを下方修正(2020年4月28日付けバロール紙)

金融機関を対象に中銀が実施している経済動向調査「Focus」で4月27日に発表された最新の調査結果によると、金融アナリストは、2020年のブラジルのGDP成長率を前回(前週)の-2.96%から-3.34%へさらに下方修正した。Focusで2020年のGDP成長率に関する見通しが引き下げられるのは、これで11週連続。

銀行と証券会社、アセットマネージャー、コンサルティング会社などの予想をまとめたものだが、一連の引き下げは、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが経済に与える影響への懸念がここ数週間で高まっていることを反映している。一部では、2020年にブラジルのGDP成長率が5%以上のマイナスを記録するという予想も出始めている。

他方、2021年のGDP成長率に対する見通しも、前回の+3.10%から今回は+3.00%へ若干ながら引き下げられた。部分的なものであっても回復に向かうという当初の楽観的な見方が影を潜め始めた形だ。およそ1か月前には、2021年のGDP成長率の見通しは+2.50%で、そこから上昇を続けて楽観的なムードが拡大していた。2021年のGDP成長率に対する予測の集計を中銀は2017年3月に始めており、+2.5%というのは、ほぼその当時からの傾向である。

今回のFocusでは、2020年のインフレ率の見通しにも下方修正が加えられた。政府の公式インフレ指数である広範囲消費者物価指数(IPCA)に関して市場は、前回+2.23%としていた予想を+2.20%に引き下げた。また2021年のIPCAは、前回と同じ+3.40%と予想している。

過去に的中率の高かった金融機関5社の平均であるTop 5は、2020年のIPCAを+1.56%、2021年のIPCAを+3.10%と予想している。

なお、中銀が定めたインフレ目標の中間値は、2020年が+4.00%、2021年が+3.75%、2022年が+3.50%で、いずれもプラスマイナス1.5%を許容誤差としている。

年末時点のブラジル経済基本金利(Selic)の利率は、2020年が年利3.00%、2021年は年利3.88%と予想している。2021年の予想は、金融機関により3.75%とする予想と4.00%とする予想に分かれたことが原因。なおTop 5は2020年末時点におけるSelicの利率を年利2.50%と予想している。

また年末時点の為替相場について今回のFocusは、平均で2020年を1ドル=4.80レアルと予想しており、Top 5に限定すると5.08レアルと予想していた。2021年末時点の為替相場に関してFocusは、平均では前回4.50レアルだったものを今回は4.55レアルに引き上げた。Top 5は、2021年末の為替相場を5.20レアルと予想している。(2020年4月28日付けバロール紙)
 

メルコスール加盟国としての貿易交渉を放棄したアルゼンチン政府による一方的な二国間自動車貿易協定の破棄を自動車業界が懸念(2020年4月28日付けバロール紙)

メルコスールとして共同で自由貿易協定の締結に向け交渉することを放棄してブラジルとウルグアイ、パラグアイが個別に貿易交渉を推進するのを認めるというアルゼンチン政府の判断により、貿易面でメルコスールが断片化するのではないかという懸念が浮上している。

原則として自動車工業は、メルコスールとしての交渉を放棄するというアルゼンチン政府の判断で損害を被ることはない。ブラジル政府とアルゼンチン政府が20年前に署名して以来更新しながら継続している業界向けの特定の合意が存在するためだ。だが舞台裏で業界は、アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領が二国間の自動車協定に対しても同様の一方的な判断を下す可能性があると懸念を強めている。

この二国間自動車協定は、2019年9月の合意が現行のもので、ジャイール・ボルソナロ大統領と当時のマウリシオ・マクリ大統領が署名した。当時はいずれも自由主義を標榜する政権であり、メルコスールが欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)を締結することを視野に両国の利害を一致させることを狙った条件が盛り込まれた。だがアルゼンチンでは政権が交代し、フェルナンデス政権はFTAの締結や自由主義には無関心である。

現行の協定は、それまでの貿易量の規制をほぼ変更せず維持して2022年6月まで延長することで両国政府が合意したものである。しかも並行して、車両及び自動車部品の二国間貿易で、2029年から輸入税率撤廃を可能にするという長期目標に対する行動計画も定めた。

両国政府と関係する企業は、欧州とのFTAに前もって自動車業界を組み入れるべく整理・組織化することを想定して対処してきた。自動車メーカーと一部の大手自動車部品サプライヤーは、EUとのFTA協定に関心を持っているものの、彼らは常に、南米にある工場をグローバルな市場競争の中で太刀打ちしていけるだけの競争力を確保するためにブラジルとアルゼンチンが様々な改革を推進していく必要があると訴えてきた。

こうした事情から2019年9月6日には、マクリ政権のダンテ・シカ工業生産大臣が、パウロ・ゲデス経済大臣の待つリオデジャネイロを急遽訪問し既に期限切れとなっていた二国間自動車貿易協定の更新につながった。ただし両国には、この協定の更新を急ぐ別の理由があった。同年8月に行われたアルゼンチン大統領選の予備選挙で、キルチネル主義者(ネストル・キルチネル大統領と続くクリスチーナ・キルチネル大統領が主導した大衆迎合主義を支持する政治勢力)の野党が当選確実だということが示されたためである。これを受けて自動車メーカーは、二国間貿易のおよそ50%を占める業界に関連した貿易協定を締結するよう強い圧力をかけた。

当時、ゲデス経済大臣は「経済を開放するという点でブラジルと同じ意欲」をアルゼンチン政府が抱いていることをブラジル政府は確認したと発言した。だがこのシナリオは、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを受けて大きく変化し、アルゼンチンのフェルナンデス大統領が4月24日、同国の国内経済を優先するためにメルコスール加盟国としての交渉を放棄する判断を下したと発表するに至った。

原則論としては、1999年からこの方、アルゼンチンはブラジルとの自動車貿易協定に背くことを希望していない。両国に工場を保有する多国籍企業が自動車業界の中心的なプレーヤーであり、これらの自動車メーカーは長年、両国の国境をまたぐ形でニーズに応じたオペレーションを構築したり解体したりしてきた。

ざっくり言えば、自動車業界の多国籍企業が常に念頭に置いていた計画は、単一のオペレーションで現地生産に照準を合わせてブラジルとアルゼンチンで事業を展開することだった。ただ、景気の変動によって計画した戦略にずれが生じれば、その場合に調整を必要としたのである。従って、業界のこうした理解が守られない場合、アルゼンチン政府は、同国から製造ラインがブラジル側に移動するのを目の当たりにするリスクを負う。

二国間自動車貿易協定でブラジルは、アルゼンチンに1.5ドル相当の製品を輸出するごとにアルゼンチンから1ドルに相当する車両または自動車部品を輸入する必要がある。2019年9月にリオデジャネイロで締結された合意に基づき、ブラジルがアルゼンチンに輸出できる金額の上限を漸増させ、最終的に2029年に3ドルに達した後、自動車業界は自由貿易体制へと移行する。

全国自動車工業会(Anfavea)は取材に対し、「2022年6月30日までに合意が延長されるものと確信している」とのみコメントした。全国自動車部品工業組合(Sindipeças)は、アルゼンチン政府が有効な合意に違反する意思があるという情報は持ち合わせていないと話す。その上で、「アルゼンチン政府の立場は、現時点ではメルコスール域外の国々との新たな貿易協定を締結しないというものだ」という認識を示した。(2020年4月28日付けバロール紙)
 

パンデミック危機1ヶ月後の銀行のクレジットは22%増加(2020年4月27日付けエスタード紙サイトより抜粋)

ブラジル銀行協会連盟(Febraban )の調査によると、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック危機直後の3月16日~4月17日までの1か月間のブラジルの5大銀行の個人向け並びに法人向け新規クレジット総額は、前年同期比22.0%増加に相当する2,660億レアルを記録している。   

ブラジル銀行協会連盟(Febraban )のIsaac Sidney会長は、ブロードキャストのインタビューで、「クレジットの与信強化や貸し渋りははない。逆に一般消費者や企業経営者のクレジット需要に応じている」また「信用リスクと借入コスト増加にも拘らず、昨年同期よりも22%もクレジット拡大」と回答している。

中銀は銀行システムを支えるために金融市場に1兆2,000億レアルを注入、パンデミック危機直後から各銀行は、すでに借り入れている負債の60日間の返済猶予を与えている。

パンデミック危機直後1か月間の5大銀行は総額2,306億レアルに相当する380万件のクレジット契約の見直しを余儀なくされ、クレジット返済再交渉の総額は222億レアルに達しているとブラジル銀行協会連盟は説明している。

各銀行ではパンデミック危機シナリオのモニタリングを行っており、60日間のクレジット返済猶予期間を延長し始めている。先週イタウー銀行は個人向けクレジットの返済開始を120日まで延長、法人向けクレジットは180日に延長している。

5大銀行のこの期間の個人向けクレジットの契約見直しや分割支払い停止など700億レアル以上に達している。パンデミック期間中の失業や給与カットの可能性が高まっている中で、分割支払い停止総額は140億レアルに達しており、負債を抱えている人には一息つける救済となっている。

また新規契約、契約見直しや分割支払い停止などの法人向けクレジット総額は1,893億レアル、そのうち大企業のクレジット総額は1,160億レアル、零細・中小企業は426億レアルとなっている。

クレジットの再交渉では負債を抱えている人の金利据置きを行っており、零細・小規模の新規クレジットの金利は据え置きにしているが、中・大企業向けクレジットは経済悪化の状況下では不渡りリスクと銀行の資金調達コストアップで金利変動は避けられないとIsaac Sidney会長は説明している。

2021年末までの公務員の給与凍結は1,790億レアルの歳出削減効果と経済班は胸算用(2020年4月27日付けエスタード紙サイトより抜粋)

2021年12月までの公務員の給与凍結並びにキャリアプロモーション凍結と引換えの地方政府(州政府・市役所)に対する救済プログラムの500億レアル上乗せで、パウロ・ゲーデス経済相とダヴィ・アルコルンブレ上院議長(DEM-AC)が合意した。大統領選挙の行われる2022年には連邦公務員並びに地方公務員の給与調整は可能となる。

連邦公務員並びに地方公務員の給与凍結は連邦政府にとって1,790億レアルの歳出削減に結びつくと経済班では計算している。そのうち州政府の給与凍結による歳出削減効果は700億レアル、市役所職員は620億レアル、連邦公務員の給与凍結による歳出削減効果は470億レアルが見込まれている。 

 パウロ・ゲーデス経済相は、2年間の地方公務員並びに連邦公務員の給与凍結と引き換えに、地方政府救済プログラム期間を3か月から4か月への延長の可能性を示唆している。

労働手帳に記載される正規雇用者3,360万人の73%に相当する2,450万人は、新型コロナウイルのパンデミックの影響で、給与削減や一時的雇用契約解除のレイオフを余儀なくされると連邦政府は予想している。「公務員に1年半の期間の給与凍結の痛み分け」をゲーデス経済相は地方公務員だけでなく連邦公務員にも要請している。

「何百万人のブラジル人が職を失くしているときに、冷蔵庫には食料が充分過ぎるほどある家に閉じこもらずに、公務員もブラジル国民であり、ブラジルのために犠牲を厭わない精神を見せてほしい」とプラナルト宮での会議後、ゲーデス経済相はジャイール・ボルソナロ大統領の横で協力を訴えた。

「公務員は必ず協力してくれる。一定の期間給与調整なしで協力してくれる。誰も権利を奪わない」「大統領は誰も権利を奪わない、誰も給与を奪わない、すでにある既得権は誰にも奪うことはできない.しかしこの危機的状況から抜け出すために、1年半の給与調整を要求しないでほしい。ブラジルに貢献してほしい」とゲーデス経済相は続けて要請した。

Guedes経済相とDavi Alcolumbre上院議長 (DEM-AP)は、2年間の公務員給与凍結と引換えに地方政府救済プロジェクト期間延長で交渉中であるが、連邦公務員の給与凍結は年間20億レアルの歳出減少効果が見込まれている。

連邦政府は公務員給与の2年間の凍結と引き換えに、地方政府救済プロジェクト期間を3か月から4か月の延長案を提示しているが、合意には達していない。上院議会の投票は今月30日に予定されている。

新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、今年5月~10月の6か月間の各州政府の主な歳入源である州税の商品流通サービス税(ICMS)、また市役所の主な歳入源である市税のサービス税(ISS)の歳入減少を補うために、連邦政府は約930億レアルの臨時歳出を余儀なくされると予想されている。

アルゼンチンのメルコスール離脱は、加盟国の個々の貿易協定締結に追い風

アルゼンチンのメルコスール加盟国として自由貿易協定交渉からの離脱決定は、ブラジルにとって将来の自由貿易協定締結で“災い転じて福となる”可能性があるとブロードキャストの匿名希望の専門家が分析している。

ブラジルはメルコスール加盟国の中でも他のブロックや国との自由貿易交渉で最も柔軟性に富んだ関税や割当をメスコスール加盟国に求めている。

アルゼンチンのメルコスールの離脱は、もっと柔軟な自由貿易協定締結に結びつく。メルコスール加盟国はそれぞれ交渉相手国と別々の連立を形成することができる。言い換えれば“メルコスールのアラカルト”

アルゼンチンのメルコスール離脱は、メルコスールとの「技術的停止」期間から将来の再加入条件などを正式に決めておく必要がある。アルゼンチンは既に交渉済みの条件を受け入れるか、それとも参加を見合わせるかを選択する必要がある。

アルゼンチンは、昨年ヨーロッパ連合並びにスイス、ノルウエー、アイスランド並びにリヒテンシュタインで構成される欧州自由貿易連合(EFTA)との自由貿易協定で合意に達したことへのコミットメントを維持した点がポジティブに挙げられる。合意承認はそれぞれの加盟国の国会での承認が必要。

EUとの合意の経済的部分が発効すると、関税同盟として機能するメルコスールが実施する共通対外関税(TEC)に影響、他のブロックとの交渉におけるブラジルの利点になるとオブザーバーは評価している。もしアルゼンチン政府がTEC引き下げ自体に反対する場合、ブラジル政府は当初、メルコスールからの脱退を選択肢の1つとして検討していた経緯があった。

アルゼンチンは、カナダ、シンガポール、韓国、レバノン、メキシコ、日本、ベトナム、米国との継続的な協議から離脱する。アルゼンチンの離脱は、これらの国との自由貿易交渉はブラジルにとって加速する要因となる。。(2020年4月26日付けエスタード紙サイトから抜粋)

サンゴバンが2020年の業績を下方修正し前年比-15%も想定(2020年4月27日付けバロール紙)

当初は売上で前年比約+11%、数量ベースで+8%と2020年の業績を予想していたサンゴバン・グループが、下方修正した。3月中旬まで、同グループの業績はこの当初の見通しを上回る状況だったが、3月20日以降に景気の後退と新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに伴う様々な制限により販売が急落した。同社でブラジルとアルゼンチン、チリをまとめるティエリー・フルニエ社長によると、「需要は急激に落ち込んだ」という。

パンデミックによって生じた影響をすべて把握するのは現時点では不可能だとした上で同社長は、サンゴバン・グループがすでに2019年と比較して少なくとも10%から15%の業績悪化を予想していることを明らかにした。「状況は非常に不透明だ。経済の歯車がいつ動き出すのかも分からない」とフルニエ社長は言う。2019年にはグループの国内売上は+6.5%、販売量は3%から4%程度の成長を記録。全体では、2019年に81億ドルの売上を計上した。

2020年に予定した4億レアルの投資は、資金流動性を維持するために半額に削減した。サンゴバンは今後3か月から4か月で2020年の投資を従来規模に復活させるかどうかの判断を下す。

同グループがブラジル国内に保有する57か所の工場の内、7か所の工場で生産を一時的に停止している。操業停止の理由は、5か所が需要の不足、残り2か所は地方自治体が定めた法律に従うために操業を停止した。パンデミック危機の影響は、サンゴバンが展開する様々な事業に異なる影響を生じさせている。

例えば自動車用ガラスは、自動車メーカーが製造ラインを一時的に停止したことを受け、生産を停止した。反対に医療業界向けのPVCとシリコーン、ポリウレタンチューブの製造は、すでに想定を100%上回って推移している。

建築資材分野では、サンゴバンは4月に想定の70%に相当する水準で製造を維持している。同社長によると、建築業界の企業は調達ルートに支障が生じた場合に建築作業を中断せざるを得ないことを懸念して、むしろ発注を継続している。

サンゴバンが建築資材店のテーリャノルテ(Telhanorte)を通じて展開している建築資材の小売チェーンは、サンパウロ州のジョアン・ドリア知事がCOVID-19の感染拡大阻止を目的とした規制に従い、およそ10日間、営業を停止した。テーリャノルテの営業を再開後、自宅で待機する人が急増したことで日曜大工用の建設資材に対する需要が高まったとフルニエ社長は受け止めている。

4月の連結の業績について同社は、当初の予想の半分程度にとどまると予想している。フルニエ社長によると、「当社は、検疫隔離措置が経営に与える打撃という観点からは、4月が最悪だと確信している」話す。サンパウロ市内の検疫隔離措置が5月11日から緩和されれば、5月は当初の見通しの65%程度に収まる可能性がある。フルニエ社長はさらに、6月に当初の予想の80%、7月には85%に達し、8月は80%から85%の間に収まると予想している。

また同グループが優先的な取り組みとして、次の4点を定めたことを明らかにした。すなわち、「従業員とサプライヤー、パートナー、顧客の健康」と、「資産の保全」、「ビジネスに対する配慮」、「流動性の確保」である。またサンゴバンのビジネスパートナー(顧客及びサプライヤー)らがパンデミック危機をどう乗り越えるかについても懸念していると同社長は付け加えた。

同グループは今のところ、ワークシェアリングに加えて集団休暇と有給休暇を実施することで、レイオフを回避している。今後は必要が生じれば、暫定令第936号(MP 936)で承認された賃金と労働時間を削減する制度の活用を労働組合と協議する。国内で同グループの直接雇用者数は1万3,000人で、この内8,144人を対象に集団休暇中を実施している。またフルニエ社長は、「3週間前に私を含めた当社役員は、パンデミック危機という戦いに挑むため、自発的な給与の削減に取り組み始めた」ことを明らかにした。

サンゴバン・グループは、2020年にブラジルのGDP成長率が-5.3%を記録すると想定して事業に取り組んでいる。パンデミックによって生じた危機への政府の対応について個人的な意見を求めたところ同社長は、「サンゴバンは政治に関してコメントすることは一切ない」と応じた。「政府の対策チームは非常に優秀だ。我々は、我々の業界において存分に働くこととし、彼らの面倒は他人に任せることにする」と結んだ。

フルニエ社長によるとサンゴバンは、サンパウロ州とブラジリア、リオデジャネイロ州などで、建設資材の寄付を通じて野外病院の建設に参加した。このグループは外にも、マスクやその他の個人防護具(PPE)を病院と診療所、非政府組織(NGO)に提供、従業員に対しても寄付に参加するよう奨励している。「困難な時期に、ブラジル人は結束する方法を知っている」同社長はコメントした。(2020年4月27日付けバロール紙)

パンデミック危機によるレアル安がFCAの製造再開後のコストに影響へ(2020年4月27日付けバロール紙)

最近の外国為替市場におけるドル高レアル安に関してフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のアントニオ・フィロサラテンアメリカ担当社長は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックで停止した国内自動車業界が製造を再開する際のコストの上昇につながるという見方を示した。同社長によると今後数週間で操業を再開する自動車メーカーの需要に対応するため、国外で製造された様々な製品に依存する多くのサプライヤーが、今の時点で輸入を開始する必要に迫られるという。

セルジオ・モーロ法務治安大臣が辞任したこと受けて為替相場は4月24日、1ドル=5.66レアルで取引を終えた。FCAは国有化比率が高いとフィロサ社長は話すものの、同社のサプライヤーの多くが輸入品に依存している。「この問題に関して当社は、将来的なコスト構造を形成しかねないと強く懸念している」同社長はコメント。その上で同社長は、レアル安の改善が「一朝一夕では起こらない」と指摘した。「当社が操業を再開した時点で、1ドル=5.60レアルに基づいたコスト構造を抱えている多くのサプライヤーがいることだろう」と話す。

FCAは集団休暇を実施しており、5月には工場の製造ラインを再稼働する予定である。だがこの場合でも従業員は、週に数日の勤務にとどまる。同社は現在、労働時間を短縮する労使協定を締結しており、必要な就労時間を割り出す作業を進めている。「契約をより柔軟に対応できる対策で連邦政府が効果的に対応した。その結果当社は、雇用を継続できている」と同社長は強調した。

さらに同社長は、現在の同社の最大の課題は現金預金だと明らかにした。フィロサ社長によると4月と5月の売上はゼロ近辺になる見通し。「当社は、資金の流動性に極度の問題を抱えている」と同社長は付け加えた。なお、FCAはラテンアメリカ全体で2万6,000人の従業員を抱えている。

ブラジルの自動車市場に対してフィロサ社長は、落胆させられるようなシナリオの中で楽観的と呼べるものだとという見通しを維持している。同社長によると2020年の販売台数は、第2四半期(4―6月期)に前年同期比-70%、続く第3四半期は同-40%、第4四半期は同-20%を見込む。

2020年下半期に同社長が期待するような改善の兆候がなければ、別のシナリオに切り替わり、状況は劇的に悪化する。「パンデミックは過去のものとなり、経済活動が復活する。だがそのペースがどれほどの速度になるかは、まだ分からない」とフィロサ社長は強調した。

さらに過去数日の政治面での状況の急変も、ブラジルの政治・経済に対する不透明感を高めている。フィロサ社長がインタビューに応じた24日には、セルジオ・モーロ法務治安大臣が辞任し、その影響でサンパウロ平均株価指数(Ibovespa)は5.45%も値下がりした。

「株式市場に投資していたジープCompassの潜在的な顧客が、資金を失ったと私は想像している。その資金を取り戻すのはいつか、その時にパンデミック危機前に予定していた車を購入するのか、あるいは購入をしばらく見合わせるのか?と考えている」という。

モーロ法務大臣の辞任が金融市場に与えた影響の波及という面で自動車業界は、それが自動車を購入しようという人達の景況感を損ないかねないものだと懸念しているのであるが、それ以上に最悪の事態は、連邦政府の経済スタッフにも人事が及ぶことである。

工業部門の代表者らはパウロ・ゲデス経済大臣と同大臣のスタッフらと緊密な関係を維持している。官民が会合を持つペースは、COVID-19がパンデミック状態となってからむしろ上がっている。

業界の役員らは、融資枠の保証で公的機関が参画することを主な目的として、自動車業界の生産チェーンにパンデミック危機が与えている影響を計測したデータをゲデス経済大臣に対して手渡した。フィロサ社長は、自動車メーカーと自動車部品メーカー、ディーラー網を合わせると7,000社が存在し、雇用者数は120万人、業界の国内総生産(GDP)は2019年GDPで4%を占めたことを指摘。さらに、「我々の業界は巨大なコストを伴う構造を持つが、売上がゼロで推移している」と強調した。(2020年4月27日付けバロール紙)
 

政治経済危機で今年の財政赤字は記録更新か

ブラジルの2020年の財政プライマリー収支赤字は前回予想のGDP比マイナス5.0%からマイナス6.2%に下方修正、ジウマ・ロウセフ政権時の2016年に記録したGDP比マイナス2.48%を大幅に上回る赤字予想、2001年に中銀が統計を取り始めた以降では最悪の赤字が予想されている。

27日中銀発表の最終フォーカスレポートによると、新型コロナウイルのパンデミック並びに政治危機の影響で、2020年のブラジルのGDP伸び率はマイナス3.34%が予想されている。

パンデミック危機による企業の倒産や失業拡大を予防するための膨大な財政支出を余儀なくされているために、今年の財政プライマリー収支赤字は過去最高になると予想されている。

また先週ラヴァ・ジャット汚職事件で辣腕を発揮して注目を集めていた裁判官で、ボルソナロ大統領が三顧の礼を尽くして法務・治安大臣に迎えたセルジオ・モーロ法務・治安相の辞任で、ジャイール・ボルソナロ政権の前途が危ぶまれていることも不透明感に拍車をかけている。

フォーカスレポートでは、今年のブラジルのGDP伸び率をマイナス3.34%と予想している一方で、マイナス6.0%に達すると予想している金融機関の存在する。またフォーカスレポートでは、今年のインフレ指数を差し引かない財政プライマリー収支はGDP比マイナス11.10%に達すると予想、更なる国債発行増加が見込まれている。

今年2月末の対内債務残高はGDP比76.5%であったが、3月からのパンデミック危機の影響で、今後数か月間に対内債務残高は、GDP比80%を突破すると予想されている。(2020年4月27日付けエスタード紙サイトから抜粋)