4月13日から、リオ・グランデ・ド・スル州のカシアス・ド・スル市とファロウピーリャ市のようなセーラ・ガウーシャ地域に位置する都市が検疫隔離措置を終了し、経済活動が再開し始めた。ランドンとマルコポーロ、グレンデーネなどいくつかの企業が市当局との交渉を経て、従業員の25%を職場に復帰させて部分的に事業を再開することを明らかにしている。そこからおよそ350km離れたリオ・グランデ・ド・スル州パナンビー市でも、サイロと食料保管庫を展開するケプラー・ウェーバーが、同市の事業所の事業再開を発表している。
リオ・グランデ・ド・スル州内の経済活動の再開の動きは、その他の州、とりわけサンタ・カタリーナ州にも検疫隔離措置の終了に向けたムードを醸成しつつ波及している。サンタ・カタリーナ州がすでに州内工業に50%の設備稼働率で操業を再開するのを承認したのをはじめ、同じく南部のパラナ州も雇用主組合が州内各市及び州政府と交渉を進めている。
商業では路面店の営業再開に向けサンタ・カタリーナ州政府が今週、社会的距離の確保と集会を禁止する規定を定め対応を打ち出した。サンタ・カタリーナ州工業連盟(Fiesc)のマリオ・セーザル・デ・アギアール会長はこの措置について、3月17日から4月16日にかけて生産を28%削減、34億レアルの損失を被った州内工業の見通しを改善するものだと受け止めていいる。Fiescは、検疫隔離措置による州工業の損失について、740社を対象に調査を実施した。
この調査では、サンタ・カタリーナ州内の工業部門は16万5,000人、21%に相当する雇用を削減したことが示された。調査対象となった企業の少なくとも4分の1が、ただ、全面的な検疫隔離措置に賛成しており、漸進的に経済活動を再開させることには11%が賛成していた。「全面的な検疫隔離措置は、最も適切な措置ではない」とアギアール会長は受け止めており、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染確認件数がわずかな一部の都市では外出規制を導入して経済活動を完全に再開することは可能だという見解を示した。
パラナ州工業連盟(Fiep)のカルロス・マルチンス・ペドロ会長によるとパラナ州では、工業部門で50%弱の企業が操業を再開している。「州政府は、30%から50%規模の従業員の復帰というかなり緩やかなペースで工業部門が経済活動を再開すべく取り組みを始めている。だが多くの企業が受注を失っており、現地の商業部門の営業再開が鍵を握る」と状況を説明した。
マルチンス・ペドロ会長によるとパラナ州の州都クリチーバ市では、パッケージ業界のような基幹産業にサービスを提供しているいくつかの企業が営業を再開している。またマリンガー市では、市条例により企業が段階的に従業員を職場に復帰させて緩やかに営業を再開するのを認めた。100人以上の従業員を抱える企業の場合は70%を上限とし、残りの企業は30%を上限とする。さらに先週(4月第2週)には、Fiepと他の経営者組合がラチーニョ・ジュニオルことカルロス・ロベルト・マッサ・ジュニオル知事(PSD:社会民主党)に対して、経済活動の再開を支援する対策を要請する書簡を送った。
パラナ州に本社を置くパソコンと携帯電話のメーカー、ポジチーボは、パラナ州クリチーバ市とアマゾナス州のマナウス・フリーゾーン(ZFM)の工場でおよそ700人の従業員が、稼働を停止することなく生産を継続している。ただし同社は、国内で感染が広がる中で操業を継続するため、体温の測定や防護具の利用といった安全対策を導入した。同社のマウリシオ・ロールダ・オペレーション担当副社長は、「需要が後退したことで生産量もそれに対応する必要が生じているが、4月は平均で設備稼働率のおよそ70%という水準で生産している」という。
セーラ・ガウーシャ地域における工業生産活動の再開は、地域の17市で3,300人以上の労働者を抱える金属工業労組とカシアス・ド・スル電子部品労組(Simees)、服飾工業組合(Sindivest)や樹脂工業組合(Simplás)などの雇用主組合が共同で対策をまとめた成果である。
カシアス・ド・スル市は市内の工業部門に対して市条例により、防護対策と衛生対策を導入することを条件に4月6日から25%という規模での事業再開を認可した。車体とバスを製造するマルコポーロは、再開が承認された日から、日勤と夜勤でそれぞれ25%のスタッフにより製造を再開した。同社は、「製造プロセスに最低限の効率を確保するには、この25%という水準を引き上げる必要がある」と話す。それでも同社は、4月末までに350台の製造を見込んでいる。
職場復帰の対象から外れた従業員は、特別労働協約(Convenção Coletiva de Trabalho Extraordinária)で規定するフレックス制を適用した。「5日間のフレックス制が適用された従業員に対して会社は、給与の50%を支払う」とマルコポーロは説明するとともに、新たな対策を来週にも発表することを明らかにした。
トレーラーを生産するランドンも同様に今週、カシアス・ド・スル市の工場で、25%の人員で稼働を再開した。だが同社がその他の都市で展開する工場の操業再開は、集団休暇の終了あるいは地元の市役所、あるいは州政府の検疫隔離措置の終了に依存する。マルコポーロと同様に同社は、集団休暇を実施した外に月間10日を限度にフレックス制を導入している。フレックス制の対象となった労働者は自宅待機となり、待機中は給与の50%を会社が支払う。
ファロウピーリャ市では、シューズメーカーのグレンデーネが、25%の従業員対象に労働時間と賃金を50%削減する条件で職場に復帰させ、操業を再開した。同社は5月13日、残りの10工場(内9工場がセアラー州、1工場がバイーア州)でも、集団休暇を終えて5月13日から操業を再開する予定である。セーラ・ガウーシャ地域から外れるが近隣のパナンビー市では、ケプラー・ウェーバーが製造部門とロジスティクス部門で30%の従業員を復帰させて操業を再開した。残りの従業員は集団休暇を続け、管理部門はホームオフィスによる勤務を継続している。同社のピエロ・アボンディ社長によると、「この数字は安全性を確保し当社の危機管理委員会が定めたプロトコルを履行するのに適切なものだ。当社は、公共衛生の状況に応じて対処する当局の対応に従い操業を再開する生産曲線を計画済み。新たな事態が生じなければ、5月15日までに当社は通常の操業体制に復帰する」という。(2020年4月17日付けバロール紙)