検疫隔離措置で営業休止中の店舗にショッピングセンターが立ち退きを要求(2020年4月14日付けバロール・オンライン

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより社会的・経済的な危機が発生して以降、大手ショッピングセンターが契約の不履行を理由にテナントを相手取り立ち退きを求め提訴する動きを見せている。バロール紙が、サンパウロ州司法裁判所とリオデジャネイロ州司法裁判所の民事法廷でこうしたケースの訴訟を確認した。

アリアンセ・ソナエは既に、衣料小売チェーンのTNGを相手取り店舗のテナント料の支払いの遅れで提訴した外、旅行代理店CVCのフランチャイズも提訴している。

2月と3月の訴訟を調べたところ、サンパウロ州とリオデジャネイロ州の2州で検疫隔離措置が講じられた3月以降、この種の訴訟が急増している。アリアンセ・ソナエは2月末から、テナントを相手取り9件の訴訟を起こしており、ムルチプランも8件のテナント契約で同様の訴訟を起こしている。両社はともに業界の上場企業で、新規の訴訟件数が最も多かった。

これらの訴訟の半数以上が、ショッピングセンターの営業中止が命じられた3月第3週の検疫隔離措置導入後に集中する。ただし、テナント数を考慮すれば、訴訟に至ったケースはわずかである。

TNGの創業者であるチト・ベッサ・ジュニオル氏は、「この訴訟は業界全体にとってマイナスだ。既にアリアンセ・ソナエとは(サンパウロ市西部の)ウエスト・プラザからの立ち退きをめぐるこの訴訟について協議し、彼らは訴訟を一時凍結し、個別に交渉に応じると話していた。だが、業績が期待を下回ったことからこの店舗はいずれにしても閉鎖しなければならない」という。さらに、「実際のところ、今後数か月で店舗スペースの多くが歯抜けになり、新規開店計画を立てている小売会社も少ないことを考えれば、今の段階で訴訟に入ることはナンセンスだ」と付け加えた。

パンデミックが業界に与える深刻なリスクとしてテナント料問題を業界団体内部で協議し始めた2月末から、BRモールズは手形の決済や支払いの遅滞、契約の更新に関連して、サンパウロ州とリオデジャネイロ州で5件の訴訟を抱える。その大部分は、3月に入って法廷に持ち込まれた。

一方でテナント側も、件数としてはわずかであるが、テナント料の見直しを求めてショッピングセンターの運営会社を提訴する動きを見せている。そのひとつが、コンパニア・ド・テルノで、この数週間、テナント料など現在有効な契約で定められた義務をめぐり、BRモールズとムルチプランを提訴している。

また大手のチェーンでは、3月末にリオデジャネイロ州で、支払いの遅滞を理由に10%の罰金を求めCVCのフランチャイズが提訴されている。

3月にはブラジル・ショッピングセンター協会(Abrasce)とブラジル・ショッピング・テナント協会(Alshop)の代表者らが協議し、危機的状況下でより良い合意を求め双方が取るべき対応についての勧告を、テナント料や共益費の見直しに関するガイドラインとともに公表している。ただしこれは強制するものではなく、ショッピングセンターにはテナントとの交渉に独自の裁量が認められている。(2020年4月14日付けバロール・オンライン)

COVID-19の封じ込めで中国が外国人船員の検疫隔離措置を導入(2020年4月14日付けバロール紙)

中国政府が13か国の国籍の船員を対象に14日間の検疫隔離措置を導入した。対象となる国には、アメリカとフランス、日本、ドイツなどが含まれる。感染した船員を通じて新型コロナウイルス(COVID-19)が中国国外から持ち込まれるのを回避するのが目的。

中国運輸局海上安全環境部によると、同国内の港湾には1日平均約500隻の貨物船で7,000人の船員が国外から到着しており、その一部が今回の検疫隔離措置の対象となる。このため現地のコンサルティング会社などは、世界貿易に打撃を与える可能性があると受け止めている。

農務省のオルランド・リベイロ(Orlando Ribeiro)貿易外交局長は今回の措置に関して、ブラジル産農産物の対中輸出には影響しないという見方を示した。「コンテナ不足も発生しておらず、ブラジルは14日間の検疫隔離措置の対象国のリストにも入っていない」という。

同局長によると、これまでのところブラジル政府は、ブラジルの対中輸出あるいはその他の国々への輸出が被害を受けるような相手国の規制を把握していないという。

リベイロ局長はさらに、農務省は他省と協力して中国の状況を見守っており、ブラジルが打撃を受けかねない問題の確認に努めているが、今のところ明確なものはないという。「明確にブラジルにマイナスの影響を与える状況があるかという点で、明確に言い切れるない状態。中国国内にコンテナが滞留してはいるが、ブラジルは被害を受けておらず、ブラジルの競合国の物流コストが上昇している」という。

また同局長は、主な競合国の経済活動が限定的な状況下で、ブラジルの輸出業者の物流コストは今後低下する可能性もあるという認識を示した。

ただし中国国内のブラジル人農事関係者は14日朝、船員を対象にした中国政府の検疫隔離措置が世界の海運ロジスティクスに新たな悪影響を及ぼす可能性があると警鐘を鳴らしている。

この関係者が発表した文書では、予定されていた船便のキャンセルが波状的に発生する可能性があり、これにより「中国とその他の諸外国がパンデミックによる経済的な打撃から立ち直り始めようする状況下で貨物輸送能力が一時的に減少するかも知れない」としている。

複数のブラジル人農事関係者が言及した中国のコンサルティング会社は、「経済活動が再開すれば自社の船舶に必要なスペースが不足する可能性があるため」、事前に運航計画を策定するよう勧めている。

検疫隔離措置の対象となる船員の国籍はアメリカとオーストラリア、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、日本、韓国、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス。上海港と寧波舟山港を含む主要な港湾で実施される。(2020年4月14日付けバロール紙)

パンデミックの雇用維持対策の労使合意が100万件超(2020年4月14日付けバロール紙)

経済省のシステムに登録されたデータに基づくと、労働時間と給与を3か月にわたって削減するか雇用契約を2か月にわたって停止する労使の合意が、既に100万件以上に達した。

この措置は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが経済に及ぼす影響を緩和して解雇の大量発生を回避する目的で暫定令第936号(MP 936)により認められたもので、この期間に連邦政府が給与の一部を補償することも条件に含まれる。社会保障及び労働局のブルーノ・ビアンコ特別局長は、「同暫定令は実を結び、100万人以上の雇用を維持していると言える」とコメントした。

連邦政府の経済スタッフは、連邦最高裁判所(STF)のリカルド・レバンドウスキ判事が賃下げと雇用契約の停止に関して労使が最終的に合意を形成するには労働組合の承認が必要だという仮判決を下しており、労使が合意し経済省のシステムに登録するペースが鈍化しかねないことを懸念している。

STFのバンドウスキ判事は4月13日、この判決に対する連邦総弁護庁(AGU)の控訴を棄却する一方、労使が合意した場合は即時、効力を発生させるという見解を明らかにした。同MPによる措置を違憲とする訴えがSTFに提出されたもので、STFは4月16日に本審理を予定する。ビアンコ特別局長は、「暫定令の合憲性を我々は確信している。(レバンドウスキ)判事の横やりは、暫定令の信念を確実なものとするだけのものだ。本審理で意見が出されるのは明らかだが、我々の信念も揺るがない。今回の対策に合憲判断が下されることに絶対の自信をもっている」とコメントした。

同局長は外にも、STFの判事がふるい分けをすると考えれば「労働者と企業」は「冷静さを保って合意を締結」できるという考えも示した。

社会保障及び労働局は、近日中に公布される見通しの省令も準備している。この省令は、労働時間と給与を一時的に削減する労使の合意が形成された場合に労働者が受け取る補償の支払い方法を定める。シルビオ・エウジェーニオ(Sylvio Eugênio)公共政策及び労働政策担当局長補によると、この支払は連邦貯蓄銀行(CEF)とブラジル銀行を通じて行われる見込みだ。ブラジル銀行の場合、その資金を他の銀行に振り替えることも可能にする予定。

「普通預金口座を指定しない労働者は、労働者の名義でブラジル銀行内に開設するオンライン口座を通じて給付金を受け取ることになる」とエウジェーニオ局長補は説明した。また支払いは常に、合意が発効した日から30日を数えて毎月行われ、そのプロセスは、電子式労働手帳のリソースを使用して監視される。(2020年4月14日付けバロール紙)

日系企業が中国から撤退するのを日本政府が希望しているとフォーブス誌が報道(2020年4月10日付けフォーリャ紙)

中国からの撤退にはアメリカのような勢力が加わる可能性があるとフォーブス誌。

フォーブス誌の報道によると、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって引きこされた危機的状況を受け、大国が、自国資本の企業が中国に進出するのを再考する状況を生み出している。

この記事ではその例として、日本政府は自国資本の多国籍企業が中国から撤退する場合に20億ドル(現在の為替相場で102億レアル)以上を支援することも厭わないと報じた。

この資金は、生産拠点を日本に戻したい企業に対する助成と直接融資の形で支出するものであるが、第三国への製造拠点の移転を希望する企業に対する支援も含まれる。

数10年前から製造拠点として中国に進出している多国籍企業の移転を財務的に支援するという判断は、「移転に対して一切の公的支援を行わないとされてはいるがアメリカ企業が同様に中国から撤退する状況で下された」とフォーブス誌は指摘した。

フォーブスが記事で言及したコンサルティング会社カーニーの研究によると、サプライチェーンの配置には「劇的な還流」が発生している。この研究によると、2019年にアメリカ国内の製造業界は、同コンサルティング会社がモニタリングした中国の大手輸出会社14社以上のシェアを持ち、中国製工業製品の輸入は減少した。

カーニーの経営パートナーで同記事にコメントしたパトリック・ヴァン・デ・ボッシュ氏は、パンデミックにより中国国内でサービスが中断するという事態が発生したことで、生産拠点の多様化を求める企業の動きに影響する可能性があると指摘した。

この記事は外にも、検疫隔離措置が講じられることでサービス業界に強く依存する経済がどのように被害をこうむったかを理解しようとする時、ポルトガルとスペインのような国で医療機器を国内製造しようと模索するに至る可能性があることも示した。

パンデミック下で公衆衛生に対する危機的状況に対処するため、ヨーロッパとアメリカはこれまで、中国製品を輸入せざるを得ない状況に置かれている。これと並行して、アジアの巨人と西ヨーロッパ、そしてアメリカとの関係は、互いに体力を消費する緊張状況だとフォーブス誌は報じる。

フランスに拠点を置くビジネス・スクールのインシアード(INSEAD)で財務学の教鞭をとるリリー・ファン教授はフォーブス誌に対して、新型コロナウイルス突発的大流行によって引き起こされた緊急事態に必要とされる品目の生産拠点を本国に引き戻そうと各国が精力的に模索している理由はそれが国家の安全保障だからだと中国は確信しているとコメントした。

同誌によると中国人実業家でさえ生産の多極化を模索しているとし、さらに、過去数か月に中国国内で失われた何100万人という雇用が次に立ち上がるべく向かう先として、ベトナムに言及した。(2020年4月10日付けフォーリャ紙)

パンデミックが陸上道路輸送業界に与える影響は4か月継続

国内で陸上道路輸送業務を担う企業の6割以上が、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる業界への影響が、少なくとも4か月は継続すると予想している。

さらに輸送会社の大部分が、財務支援がなければ30日以上の営業を継続できないと訴えており、食料品や医薬品といった必需品の流通にリスクが発生するのを回避すべく、政府が何らかの形で運賃を支援するよう求めている。

全国輸送業連合会(CNT)が4月1日から3日にかけてすべてのモーダルの貨物輸送会社と旅客輸送会社の776社を対象に調査を実施、データを収集した。

調査で示された状況は衝撃的なもので、とりわけ目を引くのが、ロジスティクス・システムの運営にとって重要な陸上道路輸送業界の状況である。

このセグメントでは、社会的隔離が始まった3月に自社サービスへの需要が20%以上も落ち込んだと4社に1社が回答した。しかもこの需要の落ち込みは過ぎ去ったという状況からも程遠い。物流会社の58%が、今後30日の売上が40%以上減少する見込みだと回答した。その理由として、需要の落ち込みと市中で行動が規制されていることによる業務への影響、荷主による支払い遅滞、さらには契約のキャンセルなどが指摘された。

業界の経営者らには、自社が事業を展開する分野の経済危機を緩和するために政府が取り得る対策に関しても質問した。回答として多かったのは、社会統合計画負担金(PIS)及び社会保障負担金(Cofins)の課徴停止と、より長期の免責期間を設けた低利の緊急融資、燃料に対する一時的な免税といった内容が多かった。また、運転資本を確保するための信用供与へのアクセスについて、3分の1の企業がパンデミック以前よりも現在のほうが困難だと回答した。

CNTのバンデル・コスタ会長は、今回の調査結果をセグメント毎に仔細に分析すれば、業界が現在抱えている問題の解決策を模索する一助になるとコメントした。
 

トヨタが工場再開を2020年6月22日に延期(2020年4月13日付けバロール・オンライン)

トヨタが、ブラジル国内で展開する4工場(いずれもサンパウロ州内)の製造現場の労働者と、雇用契約を一時的に停止することで合意した。これによりトヨタは、サン・ベルナルド・ド・カンポ市とインダイアトゥーバ市、ポルト・フェリス市、ソロカバ市の工場の生産再開期日を6月22日に先送りする。

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の防止と、パンデミックで生じた経済危機に対処するための措置。

ブラジル国内で6,000人の従業員を抱えるトヨタは、3月24日から集団休暇を実施。これまで、4月22日には集団休暇を終了して生産を再開する予定だった。製造現場を担当する労働者との雇用契約の一時停止は、暫定令第936号(MP 936)の規定に基づき、再開予定日だった4月22日から実施する。

この期間、同様に暫定令第936号に基づき、労働者の大部分は給与に対して5%から10%、20%、最大で25%減額された金額の支援を受け取る。

4工場はいずれもサンパウロ州内で、ソロカバ工場のみ、他の工場が稼働を再開した2日後の6月24日に稼働を再開する。(2020年4月13日付けバロール・オンライン)

内部留保の確保に向け企業が2019年度決算の配当支払いを先送り(2020年4月13日付けバロール紙)

配電会社ライトの株主らは、法律及び同社の定款で想定・義務付けられた配当として、2020年に3億1,500万レアルを受け取る。だが、この配当は今のところ、同社の現金預金から支払われていない。3月第5週に同社の同社経営陣と財務担当取締役が、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを受けて財務体質を健全に維持するために配当を保持し続ける判断を下したためである。

各社が広く採用している判断ではないが、パンデミック状況下で生き残りをかけた問題として浮上し始めている。4月12日までに少なくとも14社が、株主への配当の減額あるいは支払いの延期を発表した。

ヨーロッパとアメリカでは多くの企業が配当の延期を発表して、政治問題化している。ブラジル国内では、衣料小売チェーンのロージャス・レンネルとペトロブラスのような企業が、配当を減額あるいは2020年末に延期することを発表している。

伝統的に高配当で知られる銀行各社は、先週、国家通貨審議会(CMN)により最低額以上の配当を支払うことが禁止された。この介入は、経済活動の維持を支援するため銀行に信用供与を拡充させるのというのが理由である。

一方、非金融企業の場合は、類似の規制は適用されていない。4月第2週に施行された暫定令第931号(MP 931)は定例株主総会(AGM)と財務諸表発表の期日を先送りすることを認めるもので、株主への配当の判断は、ブラジル上場企業協会(Abrasca)が支持していた提案通り、株主総会での協議を必要とせず、会社の経営陣の判断に一任された。

暫定令とその後の証券委員会(CVM)の判断について複数の弁護士が、企業が株主に支払う配当を先送りするか内部留保として保持し続けるかを検討できることで問題への対処のための財務的余裕を生み出したと評価している。

AGMと財務諸表発表の期日が先送りされたことで、義務付けられた最小の配当、あるいは2019年の利益の留保に基づく配当、あるいは、配当を追加で支払うといった判断を今の段階で検討しなければならないという義務から企業が解放されたとマットス・フィーリョ法律事務所の法人権利能力分野の経営パートナー、ジョアン・リカルド・デ・アゼヴェード・リベイロ弁護士は話す。

塩素系化学品や水酸化ナトリウムなどを扱うウニパル・カルボクロロは、同暫定令に基づき、4,120万レアルの配当を4月22日に支払うと発表した。同MPの条文は株主を保護はするが、現金預金を切り崩す際には経営者の慎重な対応を求めていると複数の弁護士が指摘する。

BMA法律事務所の経営パートナー、ルイス・アントニオ・カンポス氏は、「パンデミックの影響をより強く受ける企業は、利益を配当すべきではなく、経営陣は現時点での判断に責任を持つべきだと話す。「株主総会での表決は親会社あるいは経営陣の判断よりも、よりわずかな精査しか受けない。経営陣は、忠実義務と注意義務のように法律が義務付ける一連の義務を履行する必要がある」と同弁護士は指摘した。

ライトが判断したのと同様の義務付けられている最低配当額の支払いの保留は、会社法(Lei das Sociedades por Ação)第202条に基づく。株主総会への提案文書で同社経営陣は、「義務付けられている最低配当を会社の特別引当金に移すことは、現在の状況を俯瞰した場合に生じている不確実性に対して、健全な財務体質を維持することを見越した予防措置である」とコメントした。

会社法第2020条は、分配される配当金を留保するための代替手段として、特別引当金を計上できると規定する。ライト以外では、BRディストリブイドーラが2020年6月までに支払いが予定される追加配当金5億3,390万レアルの支払いを一時的に停止する特別引当金の計上を提案している。

ライトは2019年期末時点で16億8,000万レアルの連結現金預金を保有するが、13億9,000万レアルの債務が大気で償還期限を迎える。加えて、同社によるとサービスの品質の向上と従業員とサービス会社、電力の調達など、事業の継続のための支払いでも現金預金を必要としている。(2020年4月13日付けバロール紙)

COVID-19の影響でトレーラー業界が製造ラインの80%を停止(2020年4月13日付けバロール紙)

 トレーラーメーカーは2020年3月末から、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより製造ラインのおよそ80%を停止した。その結果、業界は4月から製品の納入が大幅に落ち込むと想定している。業界最大手のランドンは、リオ・グランデ・ド・スル州カシアス・ド・スル市に保有する工場の製造ラインを完全に停止。これに伴い従業員には、集団休暇を実施している。業界では他にもブレラットとファッキーニ、ノマといった企業も同様に、生産規模を縮小して最小限の従業員で製造ラインを維持している。4月に予定していた納品の大部分は、通常在庫品あるいはセミオーダー品である 月間の営業日1日当たりの平均的な納品量は、150台から160台。パンデミック発生前は、平均で250台から260台だった。

 大手から小規模のメーカーまで17州の138社が加盟する全国道路器具生産会社協会(ANFIR)によると、2019年に業界の売上は50億レアルを超えた。だが、加盟企業が地理的にも事業規模の面からも広がりがあるため、同協会は、パンデミックへの対処で統一的な対応を推進できずにいる。Anfirのノルベルト・ファブリス会長によるとメーカー各社は、州政府と市役所が個別に打ち出し統一性を欠くパンデミック対策にも各社がそれぞれ対応することが求められている。「業界の統一した見解は、事務職はホームオフィスで対応するということだけだ。生産活動は、工場のある個別の地域の事情に左右される」と同会長は話す。但しアフターセールスはと部品供給は、通常通りという。

 同協会は当初、2020年に数量ベースで10%の成長を見込んでいた。不況下で業界は3年にわたって前年を下回る状況が続き、大型トレーラーでは製造台数が66%も減少した。2013年にはトレーラーとセミトレーラーの製造台数が7万6,000台を記録したが、2014年から2017年にかけて2万2,000台に減少。2017年の半ばに回復に向かい、2018年と2019年も、回復軌道を維持した。2020年は、不況前の水準に復帰し、6万3,000台だった2019年から10%成長、不況前と比較しても成長すると期待された1年だった。

 「不況下で、民事再生に入る企業が出るなど企業数も減少した。雇用も5万人から3万2,000人に減った。業界を挙げて技術への投資を進め、現在の製造現場は新次元だ。過去の製造台数を、より少ない人員で達成できる」とファブリス会長は言う。業界の大型トレーラーの生産能力は、年間8万台に達しつつあるという。(2020年4月13日付けバロール紙)

COVID-19 Abiquimが生産戦略を見直しへ

2020年4月13日 Valor Econômico

 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が世界的に拡大する中、この10年にわたって輸入品の増加問題に直面して厳しい状況に立たされてきた化学品工業が、国内で一度は製造を停止した基幹化学品の製造再開を検討し始めている。政府と民間イニシアティブの間で既に協議も始まっており、供給がほぼ完全に国際的なサプライヤーに依存しているアグリケミカルと医薬品の原料は、官民の協議で策定された国内生産予定品のリストに編入済みだ。ブラジル化学工業協会(Abiquim)のシーロ・マリーノ(Ciro Marino)理事長によると、「ブラジル国内の化学業界は、今回の危機を脱した際には以前よりも規模が拡大しているだろう」と話す。

 同理事長によると、一連の協議は国防省を通じて連邦政府の側から提案があったという。バイオセーフティに関する協議の中で、製造ラインが他国に移転された原材料と戦略製品を特定する提案の中でこの話題が活発化している。

 例えば数年前からブラジルでは既に、国内で製造される医薬品に使用する医薬品有効成分(API)の大部分が、この業界を強力に発展させた中国とインドからの調達に移行したため国内製造を停止した。肥料分野でも同様に、原料のほぼ全量を、とりわけ中国から輸入している。石油公社のペトロブラス自身、国内製造では競争力を確保できないとして肥料工場を閉鎖した。

 戦略的化学品には、国内で競争力を備えた生産を確立できるような政策で対処すべき品目があるとAbiquimは指摘する。またこの議論と並行して、連邦政府は、構造改革と天然ガス市場の開放をより迅速に推進して業界の再工業化と大規模投資への復帰に道を開く必要があると同協会は主張している

 Abiquimのマリーノ会長によると、現在、国防省と経済省がAbiquimを含めた業界団体と、現時点で不足している原材料の代替原料の開発を協議しているという。こうした品目には、消毒用アルコールジェルに増粘剤として使用されるがCOVID-19のパンデミックにより需要が爆発的に増加たために市場で品不足になっているカルボマーも含まれる。この問題では、ダウとBASFという多国籍企業2社が既に代替ソリューションを開発している。アルコールジェルに代わる消毒剤も、議論の対象だ。

 一連の議論は、衛生分野の危機的状況だけに限ったものではない。連邦政府は外にも、基幹産業と位置付ける業種の国外依存を懸念している。マリーノ会長は「現在の状況だけに目を向けているわけではない。同様に、回復後のことにも目を向けている」と言い、業界では既に、国内で感染がピークを過ぎて経済活動の回復期に入った際のプロトコルについても構想を始めているという。また官側では、国防省と経済省がこの問題を協議している。

 生産チェーン全体に何らかの形で関与している化学品業界は、COVID-19のパンデミックから受ける影響がポジティブなものかネガティブなものか、二極化している。需要が急増しているのは、ケア製品や掃除用品、パッケージ、医薬品、食品、肥料などの原材料や中間投入財である。

 反対に、自動車業界や土木建築業界のようにパンデミック対策の影響を受けている業種に関係する化学品メーカーは、むしろ事業が圧迫されている。「業界企業の事業範囲は非常に多様なため、業界企業が置かれている状況もさまざまだ」とマリーノ理事長は話す。結果として業界何には、設備稼働率を引き上げた化学品メーカーもあれば生産を一時的に見合わせざるを得なくなった工場を抱えるメーカーもある。

 業界の設備稼働率は平均すると、パンデミック前の時点で70%、最新の公式データはまだ出ていないが、今後60日で50%まで低下して2月までの回復の足取りが劇的に中断する可能性もあるとAbiquimは受け止めている。

 Abiquimによると、2020年1―2月の工業用化学品の国内生産は前年同期比+0.7%、国内販売は同+1.47%を記録した。同じ期間に輸入品は、数量ベースで+3.1%だった。他方、輸出は-15.4%で、国内見かけ消費量は-2.1%だった。

豊富な運転資金とオンライン販売企業は新型コロナウイルスに対応可能

Itaú BBA社の調査によると、新型コロナウイルスのパンデミック危機の16社の上場小売業界の長期ファイナンス及びオンライン販売調査で、Mercado Livre社, Raia Drogasil社, Carrefour社, Magazine Luiza社並びにVivara社の調査結果を発表している。

新型コロナウイルス感染拡大で外出自粛措置にも拘らず、小売業界の中で必需品販売の薬局並びにスーパーマーケットは、通常営業を許可されている一方で、家電や高価格商品販売関連の小売販売は壊滅的な影響を受けている。

Magazine Luiza社は、運転資金に余裕があり尚且つオンライン販売比率が売り上げ全体の45%を占めており、今では書籍、消費財並びに美容関連商品までオンライン販売を行っているために、冷蔵庫、オーブンやセルラーなどの耐久消費財販売に特化しているコンペチターと益々差をつけてマーケットシェアを拡大しているとItaú BBA社のEduardo Galanternick取締役は指摘している。

薬局チェーンRaia Drogasil社は、新型コロナウイルス感染拡大で外出自粛措置の危機にも拘らず、すでに危機前に高齢者向けの薬の宅配を始めていたために、この危機で宅配コストは上昇したが、顧客満足度は上昇しているとMarcílio Pousada会長は指摘している。

ニッチ市場開拓中の高級装身具販売のVivara社は、自社製品を擁して業界のリーダーであるが、新型コロナウイルス感染拡大で外出自粛措置の危機を乗切るのは難しいにも拘らず、金関連商品販売に代わる安価な自社製の銀関連商品販売で、マーケットシェア拡大の可能性をItaú BBA社は指摘している。

オンライン販売特化のMercado Livre社は、非専属販売員制度でコスト削減を図っており、また3月17日~4月2日間の食品、衛生用品並びに美容関連商品などの消費財販売は、前年同期比132%増加している。

国内外のパック旅行などを事業の柱としているブラジル最大手の旅行会社CVC社は、新型コロナウイルス感染拡大で外出自粛措置などで壊滅的な影響を被っている。今後数か月間で運転資金に余裕がなくなると予想されているが、同社では規模の小さいユニークなアイデアで危機脱出を模索している。

家電や家具販売のCasas Bahia社を傘下に持つVia Varejo社のオンライン販売比率は僅かでそれ程の結果は出ていないが、今年初めからオンライン販売を強化して販売比率は徐々に上昇してきているとItaú BBA 社は指摘している。尚CVC社, Via Varejo社, Vivara社, Carrefour社並びに eGuararapes社からはコメントなし。(2020年4月13日付けエスタード紙サイトから抜粋)