世界銀行は今年のブラジルのGDP伸び率をマイナス5.0%と予想

世界銀行は2020年度のブラジルの国内総生産(GDP)伸び率を新型コロナウイルスのパンデミックの影響でマイナス5.0%と予想している。

世界銀行の今年のブラジルのGDP伸び率マイナス5.0%は、ブラジルにとって過去120年間で最大の経済リセッションに陥るとブラジル地理統計院(IBGE)では指摘している。

過去最大のブラジルの経済リセッションは、1990年のCollor I プラン時のマイナス4.35%が過去最悪の経済リセッションであった。Collor I プランに次ぐ経済リセッションは、1981年の外債危機時の1981年のマイナス4.25%であった。

パンデミックの影響でラテンアメリカ地域は「3重苦のショック」を受けると説明。第1のショックは中国の国際コモディ需要減少など同様の一般家庭の消費減少。第2は208年~2009年にかけて発生した同様の外資逃避。第3は失業率増加を世界銀行チーフエコノミストのMartin Rama氏は指摘している。

世界銀行のラテンアメリカの今年のGDP伸び率予想調査ではヴェネズエラは含まれていないが、最もパンデミックの影響を受けるのはメキシコで、今年のGDP伸び率はマイナス6.0%、エクアドルマイナス6.0%、アルゼンチンマイナス5.2%、カリブ諸国も観光産業を中心に大きな影響を受ける。

ブラジルの新型コロナウイルスによるパンデミックの悪影響からの回復はラテンアメリカ諸国の平均よりも遅く、2021年のGDP伸び率は1.5%、2022年は2.3%増加を予想。ラテンアメリカおよびカリブ諸国の2021年の平均GDP伸び率は2.6%、2022年は2.3%が予想されている。(2020年4月12日のエスタード紙サイトから抜粋)

新型コロナウイルス感染拡大は半数のブラジル人を直撃

新型コロナウイルス感染拡大で「外出自粛処置(クアレンテーナ)」が30日経過していないにも拘らず、ブラジル人の半数以上に相当する51%は、パンデミック危機の影響で所得減少の影響を実感しているとLocomotiva協会の調査で判明している。

新型コロナウイルス感染多発地域のサンパウロ州並びにリオ州を対象とした保健省の調査結果では、男女を問わず50歳以上の労働者層の52%、大卒層の48%をも直撃している。

Locomotiva協会のMadeleine Lisboa会長は、すでに新型コロナウイルス感染拡大の影響は既に非常に高いが、今後さらに影響は拡大。調査では調査対象の73%はクアレンテーナを実施しているにもかかわらず、3分の2の労働者は雇用に影響すると回答している。

Locomotiva協会の調査は4月3日~5日迄ブラジル全国72都市の1,000人を対象に実施、誤差は+-3.2%が見込まれている。調査対象の51%は調査期間中に既に所得減少を実感、32%は以前と変わらず、14%は個人的所得なし、3%は所得増加と回答。雇用調査では、調査対象の88%は解雇を心配しているが、そのうちの58%は非常に解雇の可能性を憂慮している一方で、12%は解雇の可能性を全く憂慮していない。

また調査対象の88%はパンデミック危機は家族の収入減少に影響すると回答。そのうちの53%は非常に大きなインパクトを与えると回答。また調査対象の60%は自己の事業または雇用されている企業に大きな影響を与えるていると回答している。

全面的もしくは部分的に影響を与えると回答したのは女性の64%、16歳~24歳の若年層の75%、50歳以上は65%。影響していないと回答したのは男性の51%、25歳~34歳の57%、大卒の52%であった。

労働環境への影響調査では、ホームワークへの移行は47%、通常の勤務体系維持は37%、一時的解雇は16%。ホームワークへの移行では、16歳~24歳は43%、50歳以上は50%、高卒までは84%。通常の勤務体系維持の回答では24歳~34歳は55%、大卒は60%、一時的解雇のうち男性は51%であった。。(2020年4月12日のエスタード紙サイトから抜粋)

ヴァーレ社は4月末まで10億レアルをサプライヤーに前払い

資源大手ヴァーレ社は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で資金調達に困難をきたしている中小規模のサプライヤー3000社に対して、4月末までに総額9億3,200万レアルに達する支払期限前の前払いを行う。

同社ではすでに新型コロナウイルス感染危機と時期を同じくしてサービス業者や原材料サプライヤーに対して総額5億2,100万レアルに達する前伊払いを実施していた経緯があった。

「ヴァーレ社が通常支払期間が60日の契約をサプライヤーと交わしているが、有事に等しい新型コロナウイルス感染拡大時の今、サプライヤー救済目的で現金払いを行っている」とBroadcast社ファイナンス担当のLuciano Siani取締役は説明している。

鉱業会社ヴァーレ社は、今月鉱物生産部門の中小サプライヤーの運転資金用として総額4億1,100万レアルを平均支払期間を85%短縮して提供して救いの手を差し伸べる。ヴァーレ社の前払い対象のサプライヤーやサービス提供企業として、清掃会社 ボイラー取扱い業務並びに足場組立業務などのサービス提供企業なども運転資金の前払いを受けている。

「ヴァーレ社ほどの資金に余裕のある大企業が大海を悠々と泳いでいるそばで、周囲の中小企業が溺れているのを見過ごすことはできない」とLuciano Siani取締役は指摘。ヴァーレ社は、新型コロナウイルス感染拡大が終焉すればサプライヤーへの支払は通常に戻ることを知っていると付け加えた。(2020年4月9日のエスタード紙サイトから抜粋)

covid-19パンデミック危機で小規模事業主の90%は売上減少

新型コロナウイルスのパンデミック拡大に伴って、外出自粛措置や必需品以外の小売営業停止などの影響で国内経済が未曾有の打撃を被っており、小規模事業主の90%以上で売上減少の壊滅的な打撃を受けており、大半の事業存続が不透明となっている。

零細・小企業支援サービス機関(Sebrae)並びにジェツリオ・ヴァルガス財団 (FGV)の3月末の共同調査によると、調査対象の全国1720万の小規模事業主の89.2%は売上減少に見舞われていることが判明している。

また調査対象の69.3%の小規模事業主の1週間の平均売り上げは減少しており、また3分の2の小規模事業主の売上は通常の半額以上に落ち込んでいる。

また調査対象の小規模事業主の僅か3.2%は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けていないと回答、調査対象の2.5%の小規模事業主は売り上げ増加と回答、平均2.11%の売り上げ増加している。

零細・小規模企業(MPE)のブラジルの国内総生産GDPに占める割合は2017年以降30%以上に達して大きな比重を占めていると零細・小企業支援サービス機関(Sebrae)のCarlos Melles総裁は、新型コロナウイルス感染による零細・小企業への悪影響を憂慮している。

商業部門の66%は零細・小企業が占めており、サービス部門は48%、製造業部門は43%を占めている。昨年までの雇用創出の80%~85%は小規模企業とSebraeのCarlos Melles総裁は説明している。

零細・小企業は2か月間の従業員の給与支払いのクレジットは400億レアルに達するが、連邦政府による零細・小企業に対する緊急救済クレジットは139億レアルに留まっている。小規模事業主の40.1%は連邦政府に対して減税政策の導入、37.8%は従業員サラリーに対する補助政策、電力料金・水道料金の割引政策導入を要求している。

今週7日の上院議会はクレジット総額が139億レアルに達する国家零細・小規模企業支援プログラム(Pronampe)を承認したが、下院議会での承認が必要。総額139おくれあるのうち109億レアルは国庫庁。27億レアルはブラジル銀行、連邦貯蓄金庫、アマゾニア銀行、ノルデステ銀行などが提供する。(2020年4月9日付けエスタード紙サイトから抜粋)

クアレンテーナがマナウスフリーゾーンを直撃

各州政府が発表している新型コロナウイルス感染防止のための「外出自粛処置(クアレンテーナ)」の影響を受けて、マナウスフリーゾーンの各製造工場は、労働人口の50%に相当する5万人に集団休暇(レイオフ)、16社に及ぶメーカーが製造中止に追い込まれている。

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に対処するために取られた外出自粛処置(クアレンテーナ)並びに必需品以外の営業自粛を要請されている小売店及びショッピングセンターなどの閉鎖の影響で、ブラジル国内の家電や二輪生産の中核を担っているアマゾナス州のマナウスフリーゾーンでは、主なメーカーの生産中止による従業員の集団休暇や自宅待機を余儀なくされている。

また家電メーカーの従業員以外にも部品メーカーの従業員を含めた5万人近くが部品不足の影響を受けて集団休暇による自宅待機を余儀なくされていると170社が加盟するアマゾナス州工業センター(Cieam)のウィルソン・ペリコ所長は説明している。

中国湖北省武漢市が発生源の新型コロナウイルスで、中国での都市封鎖措置(ロックダウン)の影響を受けて、今年3月にはすでに中国製の部品不足でマナウスフリーゾーンの一部のメーカーは、生産中止に追い込まれていた経緯があった。

3月下旬からブラジル国内の外出自粛処置(クアレンテーナ)並びに必需品以外の営業自粛処置の影響で、マナウスフリーゾーンのメーカーの過剰在庫で、生産調整を強いられている。

マナウスフリーゾーンのメーカーのSamsung社, LG社, Moto Honda社, Yamarra社並びにWhirlpool社は、従業員に対して生産調整のための集団休暇を採用している。

Cieamのウィルソン・ペリコ所長は、「マナウスフリーゾーンの従業員解雇は我々の照準外」と強調している。マナウスフリーゾーンの企業側代表は、「連邦政府は我々が直面している問題に真摯に向き合って、採るべき早急な対応策の採用」を要請している。(2020年4月10日付けエスタード紙サイトから抜粋)

今年3月の観光業界の売上は、前年同月比140億レアル減少予想

全国商業財・サービス・観光・商業連合(CNC)は新型コロナウイルス感染拡大による各州政府の外出自粛措置導入や必需品小売販売以外の商業施設の営業停止措置で3月下半期は壊滅的な打撃を受けている。

3月上半期の観光業界の売上は既に前年同期比で22億レアルの減少していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が直撃した3月下半期は壊滅的なダメージを受けている。3月の観光サービス業界の正式な決算は今月8日に予定。

今年3月の観光業界の売上は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて前年同月比140億レアル減少予想、今後3か月後に観光業界に従事する従業員の29万5,000人は解雇されると予想されている。今年3月下半期の観光業界売上は、前年同期比84%下落に相当する119億6,000万レアルの壊滅的なダメージを被ったとCNCでは見込んでいる。

「3月下半期の観光サービス業界は、新型コロナウイルス感染拡大のパンデミック危機で、外出自粛措置、国境封鎖、海外渡航禁止、ホテル、イベント、大会議制限などの影響で奈落の底に落ちた。ブラジルも海外の観光業界と同様の壊滅的なダメージを受けた」と観光・商業連合(CNC)経済課エコノミストのFábio Bentes氏は説明している。

観光業界では伝統的に業界の売上が10%減少すれば、3か月のタイムラグを経て観光業界の従業員の2.0%が解雇されてきたとBentes氏は説明している。今年3月の観光業界の壊滅的な売上減少で、今後3か月後に観光業界の従業員の29万5000人は解雇されると予想、しかし3月上半期までの売上からの解雇予想は11万5000人と3月下半期の売上は蒸発している。

コンサルタント会社Flightradar24社の調査によると、今年1月の1日当たりの世界中のフライト回数は17万5,000フライトであったが、新型コロナウイルスcovid-19の影響で8万900フライトと半分以下に減便。3月最終週のブラジル国内の80%のシェアを占める主要16空港のは約90%の減便を余儀なくされている。

2週間前に観光関連業界団体のResorts Brasil, ABIH, FOHB, FBHA, BLTA, Sindepat, Adibra e並びにUnedestinosは、連邦政府に今年末には観光業界関連の従業員の解雇総数は100万人に達するために、救済政策導入を陳情していた。 
 

大手パッケージツアーのCVC社は、新型コロナウイルスの影響で同社バランスシート公開を先送りすると発表。また4月1日から同社の執行役や経営審議会メンバーの給与の50%カット、従業員の50%の時短を発表していた。(2020年4月8日付けエスタード紙サイトから抜粋)

今年2月のサービス部門はマイナス1.0%

今月8日のブラジル地理統計院(IBGE)の月間サービス部門調査(PMS)によると、ブラジル国内での新型コロナウイルス感染拡大以前にもかかわらず、2020年2月のサービス部門GDP伸び率は前月比マイナス1.0%を記録している。

今年2月のサービス部門GDP伸び率のマイナス1.0%は過去4か月間で3回目のマイナスを記録。サービス部門GDPがピークであった2019年10月比ではマイナス1.4%を記録している。

新型コロナウイルス感染拡大を受けていないにもかかわらず、今年2月のマイナス1.0%は予想を大幅に下回った。またブロードキャストプロジェクションの最悪の予想であるマイナス0.7%を上回った。今年1月の輸送サービス部門は2.7%増加から一転して2月は0.4%増加とPezco社エコノミストのYan Cattani氏は指摘している。

今年2月のサービス部門伸び率がマイナスに牽引したのは、教育・研究機関などの公共サービス部門でマイナス0.9%、昨年12月~今年2月の四半期ではマイナス3.0%を記録している。

今年2月のサービス部門伸び率は前月比マイナス0.7%を記録したにも関わらず、前年同月比では0.7%増加、今年初め2か月間では1.2%増加、2月の過去12か月間では0.7%増加とそれぞれ増加していた。

しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響が顕著に表れると予想される今年3月のサービス部門伸び率はマイナス10%から5%と二桁台の下落が予想されている。

今年2月の輸送・輸送補助サービス・郵便サービス部門は0.4%増加、前年同月比1.8%増加、今年初め2か月間では1.4%増加、過去12か月間ではマイナス2.5%を記録している。
前期同様に陸上輸送サービス部門は1.0増加、マイナス0.7%、マイナス1.9%、マイナス3.4%。倉庫・輸送補助サービス部門はマイナス1.0%、2.2%増加、2.8%増加、マイナス1.7%。倉庫・輸送補助サービス部門はマイナス1.0%、2.2%増加、2.8%増加、マイナス1.7%。

航空輸送サービス部門は1.9%、6.8%、7.8%、マイナス5.2%。宿泊・食事など一般家庭向けサービス部門はマイナス0.1%、4.1%増加、2.0%増加、2.4%増加。情報・通信サービス部門はマイナス0.5%、マイナス0.4%、0.8%増加、2.6%増加を記録していた。(2020年4月8日にエスタード紙・IBGEサイトより抜粋)

COVID-19の検疫隔離措置にMPEが耐えられるのは12日間(2020年4月9日付けバロール紙)

検疫隔離措置が講じられる中、サンパウロ州内では小・零細企業(MPE)の54%以上が営業を停止している。零細・小企業支援サービス機関サンパウロ州本部(Sebrae-SP)が実施した研究によると、経済活動が停止する状況を耐えてこれらの企業が生き残ることのできる期間は、平均で12日だという。さらに、企業の売上が小さければ小さいほど、耐性は小さくなる。

Sebrae-SPは3月27日と28日、29日に電子メールを通じて州内の2,696社にアプリケーションの質問状を送付して意見を集めた。年商8万1,000レアル以下の個人零細事業主(MEI)では、現金預金の余裕はわずか8日だった。更に8万1,000レアルを上回り36万レアルまでの企業では14日、36万レアルを上回り480万レアルまでの企業では21日だった。Sebrae-SPのブルーノ・シバタ戦略運営理事は、「これらの企業が見通せる経営日数は極めて短く、状況は非常に深刻かつ厳しい対応を迫られる状態だ」と指摘した。

この日数は、企業の事業規模以外にも業種によって変動した。建築分野の企業では平均はわずか5日、農畜分野の企業では平均16日だった。

また今回の研究によると、小企業では取引先への支払いがコスト構造の中で26.2%と最も大きな比重を占めた。給与と労務費は17.4%。シバタ理事はさらに、小企業の過半数(50.6%)で支払期日が30日以下という事実に注意する必要があると指摘する。「キャッシュ・フローが中断した今回のような状況に対応できるのはわずかな企業にかぎられる。小企業の財務構造は、今回の規模を持った突発的な危機を想定していない」という。

またシバタ理事によると、14.9%の企業が人員の削減を検討している。「水準としてはまだ低いが、これは企業が別の道を模索しているか、何らかの支援を期待しているためだろう」と受け止めている。事実、39.8%の企業が債務の償還に対して政府による何らかの支援を期待している。また37%の企業が取引先への買掛金の支払いで再交渉する予定だと回答した。「問題は、これらの企業は大企業のような交渉力を持たないことだ」とシバタ理事は指摘した。(2020年4月9日付けバロール紙)

COVID-19 訴訟を通じて企業が賃貸料を再交渉(2020年4月9日付けバロール紙)

訴訟を通じて企業が、契約の再交渉に成功している。不動産の賃貸料の減額や債務償還義務の一時的な凍結、中には持ち分の買収問題にまで、裁判所が支払い条件の緩和を認める判断を下している。法官らは、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより引き起こされた危機的状況の中、司法の介入が不可欠だと受け止めている。そのひとりが、現在の状況を戦争状態になぞらえたサンパウロ司法裁判所(TJ-SP)のセーザル・シアンポリーニ首席裁判官である。

経済的・社会的な危機的状況で司法に訴えるケースが増加しているのが、パンデミック状況下で支払いを凍結あるいは減額することを求めた賃貸契約に関する訴訟である。ただしこの問題に関して司法は、統一的な見解を示していない。少なくとも5件の判決が下されているが、この内3件で裁判官は賃借人の主張を認める判決を下した一方、2件では訴えを退けており内1件が控訴中。

TJ-SP私権第36裁判官執務室で4月7日に宣言された判決で、首席裁判官は、ある自動車ディーラーが提示した、4か月にわたって事業所の不動産の賃貸料を凍結するという訴えを退けた。この企業は訴訟において、公権力が判断した検疫隔離措置によって事業活動が停止していると訴えた。

判決で、アランテス・テオドロ首席裁判官は判決文で、「不可抗力あるいは偶発的な事態である場合、実定法が双方に契約を解決する、あるいは履行すべき実質価格を再適応させる調整する基礎的権限を認めるが、単純に義務の履行を停止するものではない」と意見した。その上で、「それに加えて、法律は、債務者の請求によってモラトリアム(債務償還義務の一時的な凍結)を確立する権限を裁判官に与えていない」と指摘した。

首席裁判官はさらに、賃貸料のモラトリアムは、パンデミック状況下における緊急司法制度及び私権の一時的関係を規定する法案第1,179/2020号(Projeto de Lei nº 1.179/2020)に盛り込まれることになったが、「まさに不都合であるどころか司法制度とも両立しないという理由から」削除されたと強調した(訴訟番号2063701-03.2020.8.26.0000)。

その他の賃貸契約に関する判断も、いずれも一審の判決である。そのひとつは商業スペースの賃貸額の見直しを求めたもので、サンタ・カタリーナ州裁判所が賃借人の訴えを退けた(訴訟番号5001853-72.2020.8. 24.0079)。外に、サンパウロ市民事裁判所第22法廷でも、レストランに賃貸契約で定めた賃貸料の30%を支払うことを認める判決が下されている(訴訟番号1026645-41.2020.8.26.0100)。

サンパウロ市では外にも、民事裁判所第28法廷が自動車ディーラーの訴えを認めて16店舗の賃貸料の支払いを凍結することを認めた。この判決により、総額で月間100万レアル以上の賃貸料の支払いが停止する(訴訟番号1027402-35. 2020.8.26.0100)。またカンピーナス市では、第8民事法廷で貸借人の訴えを認める判決を下している。これは、ショッピングセンターに店舗を構えるレストランの訴えを認めたケースとなる(訴訟番号10108 93-84.2020.8.26.0114)。

KLA法律事務所のタイーザ・オリヴェイラ弁護士は、賃貸契約がそうであるように、義務が当事者間の一方にのみに適用される場合にはその当事者はその履行を減額するよう主張する余地が認められると民法第480条は定めていると話す。裁判所で判断が分かれているものの、同弁護士は、合意をまとめるよう示唆するものだと確信している。その合意について同弁護士は、「賃貸料を支払い可能な金額に、それが双方にとって過剰なものではない範囲となるように」と付け加えた。

セーザル・シアンポリーニ首席裁判官は、ある企業の持ち分の買収に関連した判決を下した。判決に当たって同首席裁判官は、民法で定める予測不能性理論を考慮し、異常時と想定される状況下で契約の撤回あるいは見直しが起こりえると認めた。「戦時下においては、ムタイス・ムタンディス(変えるべきものを変えるという意味のラテン語)であり、コロナウイルスのパンデミックに直面している状況下では、まさにそうあるべきである」と判決文でコメントした。

同首席裁判官は、COVID-19の拡散を防止するために講じられている対策により生じている財務上の影響に注目し、この状況下では、債権者と債務者のバランスをとるために介入する必要があると強調した。「パンデミック対策は正しいものであるが、既に、大部分の人々に甚大な金銭的打撃を与えており、法人のビジネスの脅威になっており、法人に与える影響は司法により審理を受けることになる」と意見した。

この訴訟は、食品業界の企業の持ち分の買収に関連したものである。経営パートナーの2人が意見を異にして事業から手を引く判断を下した。2月になってこの2人は、持ち分の譲渡契約に署名。一方が会社の経営を引き継ぐ判断を下し、12万5,000レアルを25か月の分割払いで支払う契約を交わした。しかしながらCOVID-19のパンデミックと検疫隔離措置により店舗は営業の停止を余儀なくされ、会社の売上もなくなった。この支払いをめぐって訴訟となったものである(訴訟番号2061905-74.2020.8.26.0000)。

ただし複数の弁護士が、訴訟が最良の解決策とは受け止めていない。ビゼウ法律事務所のパウロ・バルデッラ弁護士は、銀行で40件の契約の見直しを扱っているが、そのすべての契約で既に見直された契約への署名を終えているか署名するところだと話す。その多くは賃貸契約に関するものだが、企業の売買に関するものや融資に関するものもあるという。「当法律事務所の顧客のいずれもが、訴訟を必要としていない」と同弁護士はコメントした。

同弁護士は、現在の状況を根拠に当事者の一方が契約の再交渉を求めるだけでは不十分だと話す。このケースに関して再交渉を求める当事者はその根拠の証明、とりわけ損失を計上していること、それ故に契約で定めた義務を履行できないことを証明しなければならないと同弁護士は指摘する。「そうでなければご都合主義だ」とバルデッラ弁護士はコメントした。(2020年4月9日付けバロール紙)

州政府救済プログラムの緊急支出は650億レアルか

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大幅な歳入減少を余儀なくされている州政府を救済するプログラムは、昨日夜下院議会で議論されていたが、州政府救済プログラムによる支出総額は、昨年末の州政府の債務残高5,650億レアルの10%に相当する550億レアル~650億レアルの拡大が見込まれている。

上院独立税制監査院(IFI)の州政府救済プログラムによる臨時歳出試算では、地方政府は連邦政府や借入金借入の金融機関への負債返済先送りを認める上に、各州知事達は歳入の8.0%に相当する新規クレジットの容認が含まれている。

昨日8日夜の下院議会での州政府救済プログラムの投票は、投票中に2016年末の財政緊急事態宣言の発表を余儀なくされたリオ州政府への救済措置が含まれている噂が出回ったために、ロドリゴ・マイア下院議長は、過剰で不都合な救済目的の要求で審議の中断を余儀なくされた。

エコノミストは新型コロナウイルス感染拡大対応の非常事態宣言(カラミダーデ・プブリカ)などの連邦政府の緊急財政支出など要因で、すでに今年度の財政予算大幅に突破していると指摘している。

初めの地方政府向けの緊急救済プログラムの支出総額1,800億レアルを削減して1,597億レアルとパウロ・ゲーデス経済相率いる経済班は試算しているが、緊急救済プログラム報告者のPedro Paulo (DEM-RJ)下院議員は500億レアル以下に収まると大きな見解の差が生じている。

経済班が試算している1,800億レアルには各州知事から各州内の市長への非常事態宣言(カラミダーデ・プブリカ)期間の負債返済先送りが含まれているとPedro Paulo下院議員は指摘している。

エコノミストのMarcos Lisboa氏並びにMarcos Mendes氏がブラジリアンジャーナルBrazil Journalで発表した1,500億レアルに対して、ロドリゴ・マイア下院議長の試算では最終緊急救済プログラムの国庫庁へのインパクトは350億レアル、最大でも500億レアルと反論している。

地方政府緊急救済プログラムには、国庫庁が保証機関となっている地方政府の償還期間以内に返済できない負債の肩代わりを余儀なくされている2016年末の財政緊急事態宣言(RRF)発表を余儀なくされたリオ州政府は含まれていないとPedro Paulo下院議員は噂を否定している。(2020年4月9日付けエスタード紙サイトから抜粋)