新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に伴って、大半の州政府は外出自粛措置を採用を余儀なくされている影響で、企業経営者は小売店舗閉鎖や製造工場の操業停止などを余儀なくされ、また連邦政府からは時短や雇用維持などを要請されて、運転資金調達に苦慮している。
ブラジル銀行協会連盟(Febraban )の調査によると、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの影響で、200万人に及ぶブラジル国内の大銀行のブラジル銀行、ブラデスコ銀行、連邦貯蓄金庫並びにサンタンデール銀行に対して、総額2,000億レアルに達する負債返済のための再交渉を要請している。
イタウー銀行では、30万2,000人の顧客が負債返済の先送りを要請されており、負債総額121億レアルのうち6億7,900万レアルの負債返済の先送りで再交渉に応じている。
商業銀行との負債再交渉では、色々な部門の法人企業や個人が負債返済の2か月~3か月の返済繰り延べで批判を受けているが、ブラジル銀行協会連盟(Febraban )では、多くの負債返済交渉は規制変更などを考慮する必要があり、返済繰り延べのためのプロセス変更に時間を要するために理解を求めている。
商業銀行の顧客の負債返済延長などの要請に応じるためには、中銀向け強制預託金比率の引き下げなどが必要とブラジル銀行協会連盟(Febraban )では説明している。
中銀が3月下旬に発表した総額1兆2,160億レアルの新銀行システム防御パッケージの内訳は、強制預託金プラス(LCR)証券部門は1,350億レアル、追加強制預託金部門は2008年の820億レアルを下回る680億レアル。農業信用証券(LCA)部門は22億レアル、ファイナンス証券(LF)付クレジットは6,700億レアル、新規特別保証付き期間限定預金(DPGE)部門は2,000億レアル、社債保証付きクレジット部門は910億レアルなどとなっている。
先週土曜日に小売業界代表とパウロ・ゲーデス経済相とのテレビ会議では、新型コロナウイルスのパンデミック危機時に商業銀行の緊急対応が遅れていると批判されているが、戦時中の臨時予算“orçamento de guerra”の憲法改正案(PEC)は既に下院議会で承認済みで、上院議会での承認が必要となっている。
エコノミストは、金融機関並びに企業経営者ともども新型コロナウイルスのパンデミック危機が産業界に与えるダメージが想像できないために、負債返済の繰り延べ条件を極めかねている。
全国商業財・サービス・観光・商業連合(CNC)の一般消費者の負債・延滞調査(Peic)によると、今年3月の一般家庭の金融機関や小売関連の負債比率は66.2%に達し、過去最高を記録している。
一般家庭が抱えている負債ではクレジットカード、一般消費者は突発的な支出を余儀なくされる場合に使用される金利が天文学的な特別小切手税と呼ばれる口座借越残クレジット、個人向けクレジット、自動車購入向けローン、住宅ローン、一般消費者や公務員向け給与口座連動型クレジットが大半を占めている。
今年2月の一般家庭の負債遅延率は24.5%と前月の24.7%から若干減少、また負債返済が不可能に陥っている一般家庭は、前月の10.2%から10.0%と若干減少傾向を示していた。
しかし新型コロナウイルスのパンデミック危機で、4月以降の法人並びに個人向けクレジットの負債返済の滞りが予想されるために、負債遅延率の急増は避けられなと予想されている。(2020年4月7日付けエスタード紙サイトから抜粋)