対策が後手に回っているという批判を受けている連邦政府の経済スタッフが、4月1日、新型コロナウイルス(COVID-19)によって社会・経済が危機的状況に直面する間、企業の現金預金に余裕を与え労働者の継続的雇用を保障するための新たな対策を発表した。
連邦収税局は、4月と5月の社会統合計画負担金(PIS)及び公務員財形計画(Pasep)、雇用者社会保険融資納付金の支払いを8月と10月に先送りし、クレジット業務に対する金融操作税(IOF)の利率をゼロとする。加えて、雇用の維持に関する新たなプログラムを発表、就労時間を25%から70%削減するか、雇用契約の一時停止(レイオフ)を認める。これに伴う賃金の減少は、連邦政府が失業保険の一部を支払う形で補填する。
同様に、個人所得税(IRPF)の申告期日を4月30日から6月30日に延期した。連邦収税局のジョゼー・トステス局長によると、この対策は、納税者が深刻に必要とする書類の入手、あるいは専門家の支援が必要とされる場合に困難を伴うという理由から延期された。また5月を予定していた還付の開始日は、現在検討中である。
税金に関連した対策は870億レアル規模。この内70億レアルが90日間のIOFの免税措置である。残りの800億レアルは、各種課徴金と雇用者社会保険融資納付金の納付期日の先送り。
ただし各種課徴金と雇用者社会保険融資納付金の納付期日の先送りは免税措置ではなく8月と10月に納付期日を迎えるため、運転資本の提供という位置づけになる。トステス局長は、「企業のキャッシュ・フローに800億レアルが注入されることになる」とコメント。雇用者社会保険融資納付金の納付期日の先送りは公共団体にも適用される。
労務対策では、労使が合意に至れるよう、連邦政府は4種類の対応を提示した。すなわち、勤務時間の25%あるいは50%、70%の縮小、またはレイオフである。時間単価を縮小することなく、勤務時間の縮小に応じて賃金が引き下げられる。
この労務対策で連邦政府は、512億レアルのコストを想定している。最長90日を想定する勤務時間の縮小あるいはレイオフ期間を通じて、企業が雇用を維持するのを保証するのが目的である。
勤務時間の25%の縮小は、企業が正規労働者全員と個別に合意した場合に可能になる。この場合、労働者が解雇されれば25%の補償金を連邦政府から受け取る。
勤務時間を50%または70%削減する場合、最低賃金の3倍(3,100レアル)未満を受け取っている場合、あるいは1万2,000レアル(INSSの上限の2倍)を上回る賃金を受け取っている場合に限り個別に合意を取り付ける必要がある。この両者の間の賃金を受け取っている労働者とは、団体協約による合意に限り認められる。
このケースでは、権利を保有する失業保険の給付金額の50%あるいは70%を受け取る。なお、失業保険の給付額は最低賃金から上限は1,800レアルと定められていることに注意が必要である。
レイオフは、勤務時間を50%または70%削減する場合の条件に従い、個別の合意あるいは団体協約を通じてすべての企業に採用が認められる。レイオフ期間中、政府は労働者に対して失業保険の全額を給付する。
また売上が480万レアル以下の企業は、一切の労務支援の支払いが免除される。この金額を上回る売上を計上している企業は、給与額の30%を負担し政府の給付金にプールする。
この緊急雇用保護対策は、正規労働者の73%、2,450万人に恩恵が及ぶと政府は試算している。(2020年4月2日付けバロール紙)