納税期日の延期などCOVID-19危機への経済・雇用対策を連邦政府が発表(2020年4月2日付けバロール紙)

 対策が後手に回っているという批判を受けている連邦政府の経済スタッフが、4月1日、新型コロナウイルス(COVID-19)によって社会・経済が危機的状況に直面する間、企業の現金預金に余裕を与え労働者の継続的雇用を保障するための新たな対策を発表した。

 連邦収税局は、4月と5月の社会統合計画負担金(PIS)及び公務員財形計画(Pasep)、雇用者社会保険融資納付金の支払いを8月と10月に先送りし、クレジット業務に対する金融操作税(IOF)の利率をゼロとする。加えて、雇用の維持に関する新たなプログラムを発表、就労時間を25%から70%削減するか、雇用契約の一時停止(レイオフ)を認める。これに伴う賃金の減少は、連邦政府が失業保険の一部を支払う形で補填する。

 同様に、個人所得税(IRPF)の申告期日を4月30日から6月30日に延期した。連邦収税局のジョゼー・トステス局長によると、この対策は、納税者が深刻に必要とする書類の入手、あるいは専門家の支援が必要とされる場合に困難を伴うという理由から延期された。また5月を予定していた還付の開始日は、現在検討中である。

 税金に関連した対策は870億レアル規模。この内70億レアルが90日間のIOFの免税措置である。残りの800億レアルは、各種課徴金と雇用者社会保険融資納付金の納付期日の先送り。

 ただし各種課徴金と雇用者社会保険融資納付金の納付期日の先送りは免税措置ではなく8月と10月に納付期日を迎えるため、運転資本の提供という位置づけになる。トステス局長は、「企業のキャッシュ・フローに800億レアルが注入されることになる」とコメント。雇用者社会保険融資納付金の納付期日の先送りは公共団体にも適用される。

 労務対策では、労使が合意に至れるよう、連邦政府は4種類の対応を提示した。すなわち、勤務時間の25%あるいは50%、70%の縮小、またはレイオフである。時間単価を縮小することなく、勤務時間の縮小に応じて賃金が引き下げられる。

 この労務対策で連邦政府は、512億レアルのコストを想定している。最長90日を想定する勤務時間の縮小あるいはレイオフ期間を通じて、企業が雇用を維持するのを保証するのが目的である。

 勤務時間の25%の縮小は、企業が正規労働者全員と個別に合意した場合に可能になる。この場合、労働者が解雇されれば25%の補償金を連邦政府から受け取る。

 勤務時間を50%または70%削減する場合、最低賃金の3倍(3,100レアル)未満を受け取っている場合、あるいは1万2,000レアル(INSSの上限の2倍)を上回る賃金を受け取っている場合に限り個別に合意を取り付ける必要がある。この両者の間の賃金を受け取っている労働者とは、団体協約による合意に限り認められる。

 このケースでは、権利を保有する失業保険の給付金額の50%あるいは70%を受け取る。なお、失業保険の給付額は最低賃金から上限は1,800レアルと定められていることに注意が必要である。

 レイオフは、勤務時間を50%または70%削減する場合の条件に従い、個別の合意あるいは団体協約を通じてすべての企業に採用が認められる。レイオフ期間中、政府は労働者に対して失業保険の全額を給付する。

 また売上が480万レアル以下の企業は、一切の労務支援の支払いが免除される。この金額を上回る売上を計上している企業は、給与額の30%を負担し政府の給付金にプールする。

 この緊急雇用保護対策は、正規労働者の73%、2,450万人に恩恵が及ぶと政府は試算している。(2020年4月2日付けバロール紙)

ICMSの支払い期日の延長要請で企業側が新たな根拠を提示(2020年4月2日付けバロール紙)

 サンパウロの裁判所で、収税である商品サービス流通税(ICMS)の納付期日の延長と、未払税金を分割払いできるよう求める訴えが増加している。現在、新しく提出された訴状では、既に複数の裁判官が連邦税の納付期日を延期する判決を下す根拠となっている2012年に当時の財務省が制定した省令第12号(Portaria nº 12)と同様の、国家財政政策審議会(Confaz)が2017年に定めた合意第169号(Convênio nº 169)を根拠にしている。

 この合意第169号は、異常事態が宣言された状況下でICMSの納付義務履行猶予の導入及び分割納付の設定、納付期日の延長を認めている。マズッコ・エ・メーロ弁護士事務所のマリアーナ・マルチンス弁護士は、「合意第169号は連邦管轄であり、我々が経験している災害状況を理由に、州政府が規定を批准していない状況下であってもICMSの支払いの延期に対する権利の根拠として主張できる」と話す。同弁護士によると、規定に基づいて顧客の権利を守る職務執行命令訴訟を準備しているという。

 異常事態宣言下での納付義務履行猶予に関して、ボロネーゼ弁護士事務所のマルセーロ・ボロネーゼ弁護士は、Confazの合意第169号は省令第12号と非常に類似しており、しかも具体的かつ侵害できない権威を備えたものだと指摘する。「州政府に納付期日を延長する権限が付与されていて州政府がそれを無視するのであれば、企業は、連邦税と比較した場合の不作為を司法に訴えることができる」とコメントした。

 ボロネーゼ弁護士事務所の顧客には、サンパウロ州工業連盟(Fiesp)及びサンパウロ州工業センター(Ciesp)の加盟企業で、個別に訴訟を起こすか検討している複数の顧客を抱える。両団体はすでに3月から6月の営業に関連したICMSの支払期日に関して罰金を適用することなく180日延長することと分割納付を求めて裁判所に職務執行命令を求めて共同で提訴した(訴訟番号1017 036-78.2020.8.26.0053)。

 これに対してサンパウロ州検事総局(PGE-SP)は、パンデミックであったとしてもICMSの納付期日の延長に反対する意見を表明している。PGE-SPは訴訟で、「現時点では、命を救うための緊急政策にあらゆる努力を集中する必要がある」と強調。「訴訟期間に司法により強制的に凍結が求められることは、適正さという点で微妙な状況を生み出している。同様に、未納税存在証明書発行に対する抗議を通じた超法規的措置の適用申請においても、2020年制定の州政令第64,879号(Decreto estadual nº 64.879)に基づき、90日間の停止措置が取られる」と主張した。

 FiespとCiespは、一部の弁護士同様、訴えの根拠として行政行為を掲げている。すなわち、検疫隔離措置の負担を行政行為と位置づけることで、これが税金の納付期日の延長の権利を付与する根拠になるという理論である。だがPGE-SPは、パンデミックは世界保健機関(WHO)により宣言されたのでありそのため行政行為には当たらないと主張している。

 司法では、3月末からICMSに関連した訴訟が増加している。原告の主張を認める判決が下されたケースは、ベダテム・ベダソンエスに対する判決である。サンパウロ財政裁判所第6法廷のアレシャンドラ・フュックス裁判官は、ICMSの支払期日の先送りだけでなく、分割納付の最初の支払期日を、5月1日まで延期した(訴訟番号1016209-67.2020.8.26.0053 )。

 しかし一方で、差し止め命令の要請が退けられたケースも存在する。アラゴアス州では、マセイオー民事裁判所第17法廷のアルベルト・ジョルジェ・コレイア・デ・バーロス・リマ裁判官が、インテルセメントの訴えを退けた(訴訟番号0708441-94.2020. 8.02.0001)。同社は、未払税金の納付期日を、罰則が適用されることなく起訴日から数えて最低180日延長するよう求めた。

 インテルセメントは訴訟で、政府が導入したコロナウイルス感染防止策により自社の事業の停止あるいは縮小を余儀なくされたと主張した。だが裁判官は、「各州が、それぞれの経済スタッフを通じて、税金の償却あるは一時停止、税額控除の即時清算といった問題を解決すべきである」という見解を示した。(2020年4月2日付けバロール紙)

COVID-19の影響でZFMのメーカーでも2020年4月から集団休暇を続々実施(2020年4月2日付けバロール紙)

アマゾナス州金属労組(Sindmetal-AM)によると、マナウス・フリーゾーン(ZFM)で働く3万5,000人の労働者を対象に、3月27日から4月1日にかけて集団休暇が始まった。同労組のバルデミール・デ・ソウザ・サンターナ委員長によると、「金属労働者の4万人から4万5,000人に拡大する可能性がある。一部の企業は約1,500人を対象にレイオフも実施している」という。

 同委員長によると、ZEFにはおよそ8万2,000人の金属労働者がいる。また関連した梱包材及びプラスチック、時計、外部委託を合わせると9万2,000人の労働者がいる。

 Sindmetal-AMは3月、「通常のローテーション」として500人の人員削減に応じたとサンターナ委員長は説明。また、集団休暇は驚くに値しないという。というのも、「中国における新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行を受けて既に視野に入っていた。中国から調達する中間投入財の多くに関して企業は、3月までストックを確保していたからだ」という。同委員長によると集団休暇は、15日から20日が通例という。

 マナウス自由貿易地区監督庁(Suframa)によると、ZFMでは約500社が税制優遇措置の適用を受けて操業している。労務問題について同監督庁は、業界団体と協議したと説明する。170社が加盟するアマゾナス州工業センター(Cieam)のウィルソン・ペリコ所長によると、15社がZFM内の生産拠点を対象に集団休暇あるいは部分的な製造ラインの停止に踏み切っている。ペリコ所長によると、これまでに1社の管轄内で1人のCOVID-19感染が確認されているだけで、集団休暇などの措置が製造ラインの操業体制に影響するのを回避する一助にもなっているとコメントした。

 パナソニックのセルゲイ・エポフ社長は、世界保健機関(WHO)及び保健省のガイドラインに沿い、マナウスでの生産を停止し従業員に15日の有給休暇を与えたことを明らかにした。またLGは3月30日からマナウス市内での営業を7日間停止し、この期間を従業員の集団休暇とした。サムスンは、マナウス市の工場とサンパウロ州カンピーナス市の工場で4月12日まで操業を見合わせる。

 すでに集団休暇を実施し4月13日に再開を予定していたホンダは、再開日を20日に延期した。労働者は3月30日から集団休暇に入っていた。ホンダのZFM事業所には、管理職を含めて約7,000人がいる。さらにBMWも、オートバイ工場の従業員175人を対象に3月30日から集団休暇を実施したことを明らかにした。同社の製造ラインの再開は4月23日を予定する。(2020年4月2日付けバロール紙)

今年3月の貿易収支は47億1,300万ドルの黒字も第1四半期は32%減少

2020年3月の貿易収支は47億1,300万ドルの黒字計上した一方で、今年初め3か月間の貿易収支は61億3,500万ドルの黒字計上も前年同期比では32%と大幅に減少していると経済省では発表している。

今年3月の貿易収支は前年同月比9.7%増加の47億1,300万ドルを記録、ブロードキャストプロジェクションの予想では最低33億ドルから最高47億ドルであった。

今年初め3か月間の貿易収支は、61億3,500万ドルを記録したにも拘らず、昨年第1四半期の貿易収支よりも32%に相当する90億2,500万ドル減少している。今年第1四半期の貿易収支黒字は2015年の55億7,700万ドル以降では最低の黒字幅を記録している。

今年第1四半期のブラジルの貿易収支悪化は、昨年12月の中国湖北省武漢市が発生源の新型コロナウイルスのパンデミック拡大に伴う世界貿易縮小の影響で、3月下期から急速に貿易相手国2位の米国向け輸出減少が要因となっている。中銀の最終フォーカスレポートでは、今年の貿易収支は350億ドルの黒字を予想している。

新型コロナウイルスのパンデミックによる国内経済の停滞並びレアル通貨に対するドル高の為替の影響で、今年のブラジルの輸入は減少予想に対して、輸出は輸入ほど影響を受けないと経済省貿易局のHélio Brandão長官は説明している。(2020年4月1日のエスタード紙サイトより抜粋)

今年2月の鉱工業部門生産は前月比0.5%増加

ブラジル地理統計院(IBGE)の鉱工業部門生産調査(PIM-PF)によると、2020年2月の鉱工業生産は前月比0.5%増加、前年同月比ではマイナス0.4%、今年初め2か月間ではマイナス0.6%、2月の過去12か月間ではマイナス1.2%を記録している。
 
今年2月の鉱工業部門の26セクターのうち15セクターで増加を記録。しかし今年2月の鉱工業部門生産はピークであった2011年5月よりもマイナス16.6%と依然として回復には程遠い。
 
今年2月の鉱工業部門生産の資本財セクターは前月比プラス1.2%、前年同月比マイナス4.6%、今年初め2か月間ではマイナス0.6%、過去12か月間ではマイナス0.5%を記録している。
 
前期同様に中間財セクターはプラス0.5%、プラス2.5%、プラス0.4%、マイナス2.1%、消費財セクターはマイナス0.6%、マイナス4.0%、マイナス2.1%、プラス0.7%。
 
耐久消費財セクターはマイナス0.7%、マイナス11.6%、マイナス5.4%、プラス0.5%、非耐久消費財セクターはプラス0.5%、マイナス0.4%、マイナス0.6%、マイナス1.2%を記録している。
 
今年2月の鉱工業部門の26セクターのうち15セクターで増加。そのうち自動車・トラック・輸送車両セクターはプラス2.7%、今年初め2か月間ではプラス7.8%、その他の化学製品セクターはプラス2.6%、今年初め2か月間ではプラス4.2%を記録。
 
また食品セクタープラス0.6%、紙・パルプセクター2,4%、医薬品・医療化学製品セクターはプラス3.2%、ゴム・プラスティックセクターはプラス2.1%を記録。
前期同様に石油派生品・バイオ燃料セクターは、2月まで3か月連続で累計プラス8.6%を記録していたが、一転してマイナス1.8%を記録している。
 
また今年2月の情報機器・光学機器・電気機器セクターは1月のプラス3.5%から一転してマイナス5.8%、その他の輸送装置セクターは昨年11月~今年2月までマイナス17.0%、今年2月はマイナス8.7%であった。(2020年4月1日付けブラジル地理統計院IBGEサイトより抜粋) 

今年の輸出は新型コロナウイルスのパンデミックの影響で186億ドル減少

新型コロナウイルスの更なるパンデミックの影響で、2020年のブラジルの輸出額は、最低に見積もっても前年比8.3%に相当する186億ドルの減少を全国工業連合(CNI)では予想している。

ブロードキャスト・プロジェクション(Broadcast)の調査によると、2020年の世界の平均GDP比伸び率は、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で前年比マイナス1.1%を予想。ブラジルの輸出量は、マイナス11.0%に相当する5,600万トンの減少を予想している。

ブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は、サウジアラビアとロシアの石油減産合意交渉決裂による石油の国際コモディティ価格の20ドルを割る価格崩壊に伴って、ブラジルの石油輸出も減少予想の影響で、今年のブラジルの輸出減少は5,600万トンを大幅に上回ると予想している。

“今後数週間にわたって新型コロナウイルスのパンデミック拡大の影響で、ブラジルの完成品の主な輸出先であるラテンアメリカ向け輸出は更に減少する”と全国工業連合(CNI)工業開発担当のCarlos Abijaodi理事は説明している。

また今年のブラジルの輸出では、世界的な需要減少に伴って鉄鉱石輸出の大幅な減少を予想、今年初め2か月間の鉄鉱石輸出は、国際コモディティ価格は安定期に推移したものの前年同期比では半減すると予想している。
また主なブラジルの輸出製品の大豆は収穫が始まったばかりであり、今年初め2か月間の大豆派生品輸出は前年同期並みで推移していた。

また新型コロナウイルスのパンデミックのインパクトで、今年のブラジルの輸入も国内経済の縮小による需要減少に伴って、大幅な減少は避けられない。

新型コロナウイルスのパンデミック拡大に伴って世界的な需要減少に輪をかけて、海上貨物輸送、地上輸送、人員不足などによる輸送ロディステックに大きな問題が発生しているとCarlos Abijaodi理事は指摘している。

多くのブラジル船籍の貨物船は中国の港湾で足止めされており、製品供給問題に加えて、輸出先に製品を供給できない問題が発生しているとカストロ会長は指摘している。

レアル通貨に対するドル為替の高騰は輸出企業にとって価格競争力が上昇、特に食品・飲料セクター、履物、アクセサリー、家具並びに衣類セクターの中小企業にとってはチャンスとなるものの、ドル高の為替は短期間の価格競争力強化の要因でしかないとCarlos Abijaodi理事は説明している。

新型コロナウイルスのパンデミック終焉後のハイテクノロジーの航空機部門、自動車部門、電気電子部門並びに機械・装置部門の更なる競争力強化の必要性をCarlos Abijaodi理事は指摘している。

輸出投資振興局(Apex) は、パンデミック対応による輸出振興を図っており、輸出企業勤務の従業員に対する顧客クレーム対応プログラムやホームオフィスなどのオリエンテーションの小冊子を準備している。

企業経営者対して今後の国内や海外市場の動向、消費動向の変化、クレジット市場の動向、規制改正に対応できる態勢の準備を輸出投資振興局(Apex) では啓蒙している。

2019年のブラジルの輸出総額は、アルゼンチン経済の停滞による資本財輸出の大幅な減少で2,240億ドルに留まり、輸入総額は予想を下回る国内経済の回復並びにドル高の為替で1,773億ドル、貿易収支は467億ドルの黒字を計上していた。

今年の3月22日までの輸出総額は441億ドル、輸入総額は400億ドル、貿易収支は41億ドルの黒字を計上。2020年の輸出総額は前年比マイナス6.2%、輸入総額は4.8%増加が予想されている。(2020年4月1日付けエスタード紙より抜粋)

新型コロナウイルス対応財政支出はGDP比2.6%

新型コロナウイルス対応の非常事態宣言(カラミダーデ・プブリカ)による財政支出は既にGDP比2.6%に達しているが、新型コロナウイルスのパンデミック収束が長引くにしたがって、緊急財政支出は拡大するとパウロ・ゲーデス経済相は説明している。

またゲーデス経済相は、労働手帳に記載される正規雇用者の雇用を守るための緊急補助金(auxílio emergencial)政策は、今日明日中に発表されると強調している。

またボルソナロ大統領の各州政府が採用している外出自粛令に対する批判的な言動に対して、毅然とした態度で科学的根拠のないボルソナロ大統領発言の批判したLuiz Henrique Mandetta保健相の発言に対してパウロ・ゲーデス経済相はエールを送っている。

連邦政府の一連の新型コロナウイルス対応の非常事態宣言(カラミダーデ・プブリカ)として、公立銀行や民間銀行のクレジット拡大、民間企業や投資ファンドへの資金サポートを積極的に行うために銀行預託金緩和政策導入をゲーデス経済相は説明。

また年金・恩給受給者向けの13か月目のサラリーの先払い、非正規雇用者、シングルマザーなどの女性の世帯主、個人・零細企業主、貧困層向け生活扶助の家族手当(ボルサ・ファミリア)並びに社会保障院(INSS)の審査待ちの勤労不可能な高齢者や障害者に対する最低賃金額を支給する継続扶助(Benefício de Prestação Continuada–BPC)申請者の救済目的の緊急補助金(auxílio emergencial)である月額600レアル支給の承認並びに今日明日に発表される労働手帳に記載される正規雇用者の雇用を守るための緊急補助金政策導入など連邦政府の一連の新型コロナウイルス対応に対する速やかな緊急対応策を強調している。

連邦政府は相次いで新型コロナウイルス影響による果敢な財政支出を行って、すでに非常事態宣言(カラミダーデ・プブリカ)による財政支出は既にGDP比2.6%に達しているが、2020年の中銀並びに国庫庁、社会保障院(INSS)で構成される中央政府の財政プライマリー収支の許容目標赤字は1,241億レアル相当のGDP比2.6%を合わせると、今年の財政プライマリー収支赤字はGDP比5.2%に達する。

ボルソナロ大統領からブラジル国民を新型コロナウイルス感染からの防御並びに雇用を維持するためには必要なだけの財政支出に対してお墨付きを得ているとゲーデス経済相は説明している。

パウロ・ゲーデス経済相は、中国湖北省武漢市が発生源の新型コロナウイルスがパンデミックになる前は、連邦政府は行政改革や税制改革など一連の構造改革が優先されていたが、計り知れない新型コロナウイルスの脅威で、構造改革や経済活性化政策などは置き去りの状況を余儀なくされている。(2020年3月31日付けエスタード紙)

今年2月の四半期の平均失業率は11.6%に上昇

ブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、2019年12月~2020年2月の四半期の月間平均失業率は11.6%と前四半期(2019年9月~11月)よりも0.5%と大幅に上昇、前年同期の月間平均失業率12.4%と比較すると0.8%も減少して改善している。
 
ブラジル国内の2019年12月~2020年2月の四半期の月間平均失業者総数は1,230万人と前四半期との比較では4.0%増加に相当する47万9,000人増加した一方で、前年同期比ではマイナス5.4%に相当する71万1,000人減少している。
 
2019年12月~2020年2月の四半期の月間平均労働人口は9,370万人と前四半期比では0.7%に相当する70万6,000人減少、前年同期比では2.0%に相当する180万人増加している。
 
また同期の労働手帳に記載されない非正規労働者の比率は労働人口の40.6%に相当する3,800万人と前四半期比の41.1%よりも0.5%減少、前年同期の40.7%から若干減少している。
 
同期の民間部門のハウスキーパーを含む労働手帳に記載される正規雇用者は3,360万人と前四半期では同率、前年同期比では2.0%に相当する64万6,000人増加している。
また同期の民間部門の非正規雇用者は、1,160万人と前四半期では同率、前年同期比では5.1%に相当する56万9,000人増加している。
 
2019年12月~2020年2月の四半期の自営業者総数は2,450万人、同期の平均サラリーは2,375レアル、前年同期比では3.2%に相当する76万6,000人増加している。
 
同期の労働者の実質賃金総額は前四半期比6.2%に相当する127億レアル増加の2,176億レアル、前年同期比では1.9%に相当する19億レアルの増加を記録している。
 
2019年12月~2020年2月の四半期の前四半期比の部門別雇用比較では、建設部門はマイナス4.4%相当の30万1,000人減少、教育・保健衛生・社会保険サービス・公務員部門はマイナス2.3%に相当する37万5,000人減少、ハウスキーパー部門はマイナス2.4%に相当する15万6,000人減少している。
 
また同期の前年同期の部門別比較では、鉱工業部門は5.0%に相当する57万8,000人増加、その他のサービス部門は4.8%に相当する23万5,000人増加している。(2020年3月31日付けブラジル地理統計院IBGEサイトから抜粋)

トヨタが当初2020年4月6日までとした集団休暇を延長(2020年4月1日付けバロール紙)

 トヨタが4月1日、ブラジル国内の工場を対象に実施している集団休暇を延長すると発表した。当初の計画では、3月23日から4月6日までの予定だったが、今回の決定に伴い4月22日に操業を再開する。

 先週(3月第4週)から始まった自動車業界の集団休暇で、延長を決定したのは同社で2社目。トヨタに先立ちフォルクスワーゲン(VW)が、集団休暇を2週間から4週間延長すると発表していた。

 トヨタは、ブラジル国内に4か所の工場を持ち、従業員数は6,000人。インダイアツーバ市とソロカバ市に自動車工場、ポルト・フェリス市にエンジン工場、サン・ベルナルド・ド・カンポ市にリペア用部品工場を保有する。この4市はいずれもサンパウロ州。

 同社は書面で、「新型コロナウイルスの感染が拡大する中、従業員とその家族の健康に対するリスクを緩和することを目的とし、需要に加えてサプライ・チェーンとロジスティクス・チェーンの対応可能な能力を考慮した上での判断である」とコメントした。

 同社によると、修理用の部品の供給のようなサービスについては平常通り営業している。(2020年4月1日付けバロール紙)

 

検疫隔離措置による需要減で建築資材業界が減産(2020年4月1日付けバロール紙)

 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大する中、建築資材業界にも減産の波が押し寄せている。ロレンゼッチとチグレのような業界の一部の企業が集団休暇を前倒しして実施する一方、エテルニットなどは従業員の一部を対象に休暇の前倒しを行っている。またポルトベロは、生産能力を縮小した。2020年の業界は、ブラジル建設資材工業協会(Abramat)が当初予想していた水準を下回ると見られるが、同協会のロドリゴ・ナバーロ社長によると、新たな見通しを立てられる状況にはないという。

 当初、Abramatとゼツリオ・バルガス財団(FGV)は共同で、2020年の建築資材業界の売上規模がインフレ率を考慮した実質成長率で、2019年の前年比+2%の2倍に達する前年比+4%と予想していた。「2020年の見通しは下方修正することになるが、政府が発表を予定する公式な経済指標がいくつか出そろってからになる」とナヴァーロ会長は話す。同会長によると、4月から5月にCOVID-19の感染拡大がピークを記録してから、業界の「回復の足取りが回復する」という。

 シャワーやトイレ周りの金具、浄水器を製造するロレンゼッチは、3月23日から15日間の集団休暇を実施してきたが、15日間の延長も検討し始めている。広報資料で同社は、「新型コロナウイルスの拡散状況から、社員と家族の健康を懸念している」とコメント。2019年に15億レアル規模の売上を計上したロレンゼッチは、2019年12月の時点で、2020年は2桁成長が見込まれる1年だと表明していた。

 エテルニットのルイス・アウグスト・バルボーザ社長によると、同社製品に対する需要はパンデミックを受けて半減したという。同社の顧客が履行不能になっているケースはないが、一部は支払期日の先延ばしを要求しているという。また同社はこれまでのところ、従業員の解雇は実施していない。製造現場の従業員の休暇を前倒しで実施した。「リスク・グループに分類される人達は、ホームオフィス・システムを通じて働いている」という。

 チグレ・グループは3月28日、それぞれの製造ラインの特性を考慮した上で個別に条件を設定して製造ラインを最大30日停止した。同社によると、製造ラインが停止している機関の需要に応じるだけの潤沢な在庫を確保しており、小売業界も事業を再開可能だとしている。チグレによると、直接的な影響を受けているのは、15日間の計画的な事業停止措置が取られた公共工事の水の輸送供給に関する製品の製造ラインだという。

 また「専門技術職の社員の雇用を維持する」方針。ただし、新しい見通しを立てるのは時期尚早だという見方を示した。その上でチグレは、「あらゆる状況の変化に十分な注意を払い、連日、取るべき対策、次の一手の評価を進める」とコメントした。

 タイル・メーカーのポルトベロは、サンタ・カタリーナ州チジューカス市の工場の稼働能力を70%削減した。同社によると、「機械・設備を万全な状態で維持して技術的な安全性」を確保するために最低限必要な対応だとしている。アラゴアス州マレシャル・デオドロ市のPointerブランドの工場の生産能力は数日かけて漸減し、設備の稼働および製造に求められる最低限の水準を維持する。Pointerは、ポルトベロがブラジル北東部で展開するブランドである。

 またフロリアノーポリス市の事務所では、全社員をホームオフィス・システムの勤務とした。チジューカス工場では75%の社員がホームオフィス・システムの利用対象。また同社が展開する販売店ポルトベロ・ショップの営業は、それぞれの店舗の州および市役所の判断に従っている。

 3月30日にAbramatは、最初の業界調査をまとめた「Termômetro Abramat(Abramatサーモメーターの意味)」を発表した。国内でCOVID-19の感染が拡大し始めたのちに実施されたもので、これによると業界では、投資意欲の減退や3月と4月の売上に関連した悲観的観測の拡大、政府に対する楽観的見方の縮小といった反応が確認された。

 この調査で、中期的に投資を進めると回答した企業は、2月に調査対象の71%だったものが3月には38%に落ち込んだ。同様に、保有設備の稼働率は70%から65%に低下。48%の企業が3月の業績について、悪いあるいは非常に悪いと回答。普通と回答したのは33%、良好と回答したのは19%だった。さらに4月の見通しについて、67%が悪いあるいは非常に悪いと回答、33%が不通と回答した。

 また政府の取り組みについて、67%が無関心と回答し、24%が悲観視、9%が楽観視していると回答した。政府の取り組みを楽観視していると回答した企業は、2月の時点で25%だった。(2020年4月1日付けバロール紙)