検疫隔離措置実施に伴い業務に支障が発生した企業に裁判所がICMSの納付期日延期の判決(2020年4月1日付けバロール紙)

 全国の州政府の財務局長は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが続く状況下で各州政府が個別に収税の商品サービス流通税(ICMS)に関する政策を導入すべきではないという判断を下した。サンパウロ州でもこの問題については判断を下していないが、政令第64,881号(Decreto nº 64.881)に基づく検疫隔離措置により営業を停止あるいは縮小している企業が、続々と司法に訴える判断を下している。

 この問題で最初に下された差し止め命令は、ベダテム・ベダソンエスの主張を認めるものとなった。サンパウロ財政裁判所第6法廷のアレシャンドラ・フュックス裁判官が下したもので、ICMSの支払期日の先送りだけでなく、分割納付の最初の支払期日を、5月1日まで延期した(訴訟番号1016209-67.2020.8.26.0053 )。

 判決文で同裁判官は、「現時点で最も重要な争点は、企業が事業活動に対する意思を持っていたとしても、政府が決定した検疫隔離措置の絶対的効力によりその意思を行使できないことである。事実は、この世のすべてが停止している状況であり、個々の努力では課せられた障害を克服し得ないだろうということである」と意見を述べた。

 州政府に対する禁止命令を求めた今回の訴訟でベダテムを弁護したラトク&ゲオジアン弁護士事務所の経営パートナーであるアルツール・リカルド・ラトク氏は、同社自身が、この問題で小・零細企業向け税及び賦課金統合納付制度(Simples)の対象となっている企業に限り検疫隔離措置に伴って優遇されることになるのかと訴えたと話す。経済省の決議第152号(Resolução nº 152)は、Simplesが適用される企業に対する連邦税の支払いを凍結した。「州内で異常事態宣言が出されたことに加えて、公平性の原則に対する違反を訴える。 当社の顧客は推定利益課税である」と話す。

 この訴訟においてラクト弁護士は、外にも、連邦の管轄では2012年に当時の財務省が制定した省令第12号(Portaria nº 12)が異常事態宣言下での納税期日の凍結を保証していることに言及。「同様の意味を持つ州政府の規定は存在しないが、連邦憲法は事業及び就労の自由に対する権利をすべての国民に保証している」と指摘した。

 先週(3月第4週)、様々な企業が、省令第12号に基づき連邦法の支払期日を3か月先送りする差し止め命令を受けとった。

 ブエノ・エ・カストロ・タックス・ローワーズ弁護士事務所の経営パートナー、マテウス・ブエノ弁護士は、ベダテムのケースで裁判官は、社員わずか7人の企業が事業を継続するために直面している課題を重視したと受け止める。その上で、「だが、不可抗力という状況を特徴づけるようなあらゆる物事が停止した現状に誰もが置かれているという同社の主張は、あらゆる規模の企業に当てはまるものだ」と指摘した。

 あらゆる規模の企業が多数加盟するサンパウロ州工業連盟(Fiesp)/サンパウロ州工業センター(Ciesp)は、2020年3月から7月の営業に関連したICMSを中心とする州税について、科料を発生させることなくそれぞれの納付期日を180日先送りする職務執行命令を要請した。

 Fiespのエルシオ・ホンダ法務担当理事によると、その主張の骨子は、州政府による検疫隔離措置と、サンパウロ州政府に対して連邦政府に対する債務の償還を免除した連邦最高裁判所(STF)のアレシャンドレ・デ・モラエス判事の差し止め命令である。

 「州政府と異なり企業には、そのコストを負担する資金を調達する術がない。民間の銀行は与信供与に不安を抱えており、官営銀行に頼ったとしても、その融資が民間よりも好条件だったとしても、この資金調達の必要性は、税金の納付期日の延長措置を受ける以上に企業にとっては負担が大きい」とホンダ理事は言う。

 他方、サンパウロ州財務局は書面で、各州政府が講じた政策は連邦政府が設立した非常下経済委員会による審査を受けるとコメントした。ただし他州では、ICMSあるいは分割納付の納付期日の効力を停止する政令を既に施行しているケースもある。

 財務省国家財政政策審議会(Confaz)が2017年に公布した合意第181号(Convênio nº 181)に基づき、少なくともパラナ州(第4,386号)が3月末にICMSの納付期日を3か月先送りする規定を定めている。この合意は、サンパウロ州を含む13州に対して、違憲となるリスクを伴わずに期日を先送りすることを認めている。

 アトロス・アウジトリア・エ・コンスルトリアのドグラス・カンパニーニ氏によると、Confazの規定は税制戦争による損失を回避する目的で定められたという。同氏によると、「省令第12号と異なり、合意は州政府に対して期日の延長だけを認めている。各州が個別に州内の規定を定めなければならない」という。

 サルッセ・マランゴーニ弁護士事務所のエドゥアルド・サルッセ弁護士は、合意第181号は省令第12号と方向性を一にするものであるが、サンパウロ州政府は政令を定めなければならないと指摘する。「政令が規定されるまでの間、自動車部品業界は、振興策からの除外も付与された恩典も求めず、分割納付の支払期日を3か月先送りする」とコメントした。(2020年4月1日付けバロール紙)

 

フィアット社は今年の新車販売を40%減少と予想

フィアット社は新型コロナウイルス(covid-19 )がパンデミックの影響で、ブラジル国内の2020年度の新車販売は前年比40%減少と壊滅的なダメージを受けるために、生産台数の見直し並びに設備投資などの変更を余儀なくされると南米FCA Fiat Chrysler社のAntonio Filosa社長は説明している。

また新型コロナウイルスのパンデミックがコントロールされるのは今年下半期と仮定しても、富裕層以外は新車購入よりも他の資本財購入を優先するとAntonio Filosa社長は予想している。

同社の2024年までの投資総額は160億レアルを見込んでいたにもかかわらず、新型コロナウイルス感染拡大による新車販売の大幅な下落予想で、投資期限を1年間延長すると南米FCA Fiat Chrysler社のAntonio Filosa社長は説明している。

またGeneral Motors社では、2020年~2024年の投資5か年計画の投資総額は100億レアルを見込んでいたにもかかわらず、新型コロナウイルス感染拡大で、投資の先送りを余儀なくされている。

全国自動車工業会(Anfavea)の今年のバスやトラックを除く新車販売予想は、前年比9.0%増加の266万5,000台を予想していたにもかかわらず、今後数日以内に大幅な下方修正の発表を予定している。

今年3月のバスやトラックを除く新車販売台数は15万4,000台でその大半は3月20日までの販売であり、3月15日以降は90%の壊滅的な減少を記録していた。

3月の新車販売台数15万4,000台は、前月比20%減少、前年同月比23%減少、今年第1四半期は前年同期比8.6%減少の53万1,700台に留まった。

ブラジル国内の自動車メーカーは、3月後半から一斉に生産中止のために集団休暇やレイオフを採用。“今年4月の新車販売は前年同月比90%減少、5月は60%減少、6月は恐らく50%減少”をAntonio Filosa社長は予想している。

GM社では新型コロナウイルスのパンデミック終焉が当初予想よりも長引くために、5か所の生産工場で採用しているレイオフ期間を集団休暇終了後も最長4か月間の延長交渉を検討している。

集団休暇後の従業員の待遇に対して会社側並びにサンパウロ州政府と調整を予定しているが、サラリーカットしない条件での交渉をABC金属労連のWagner Santana組合長は模索している。(2020年4月1日のエスタード紙サイトから抜粋)

暫定令で株主総会の最大7か月延期を容認(2020年3月31日付けバロール・オンライン)

 3月31日に公布された暫定令第931号(MP 931)によると、企業は、定例株主総会(AGM)を最大で会計の期末から7か月先送りすることが認められた。この結果、大部分の企業がAGMを実施可能な最終日は7月31日となる。

 暫定令第931号ではさらに、上場か非上場かを問わず、株主は、監督当局の規定に従い、AGMに電話会議方式など実際に足を運ぶことなく参加し投票することが認められる。有価証券取引委員会(CVM)も、オンライン株主総会の実施を承認する予定。

 また同暫定令に基づけば、マネージャー及び経営陣、監査役会メンバー、法務委員会メンバーの在任期間は、AGMの開催日まで、あるいは場合によって取締役会の会議が終了するまで延長される。

 加えて、公社あるいは第3セクターとそれらの企業の子会社の経営審議会メンバーは、後日に株主総会で承認を受ける形で、法的に株主総会が扱うべき権限を持つ問題に関して緊急判断を下すことができる(事後表決条項)。

 さらに、AGOが実施されるまで、経営審議会あるいは取締役会は、者の定款の改正とは関係なく、配当を告知できる。

 さらに例外的に、2020年度のいずれかの時点で、CVMが法律第6,404号(Lei 6.404)で定められた期日を延長する可能性がある。CVMはさらに、上場企業の財務諸表の開示期日について特段の定めを示す場合もあり得る。(2020年3月31日付けバロール・オンライン)

 

2020年に新型コロナウイルス対策により政府総債務残高がGDP比90%超に拡大へ(2020年3月31日付けバロール紙)

 新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックがブラジル経済に与える影響を緩和しようという試みに伴って、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字は数1,000億レアル規模で拡大、結果として政府総債務残高も急激に膨張する可能性がある。こうした状況を踏まえて複数のアナリストが、ブラジルが返済不能な負債の沼へ足を踏み入れるのを回避するための中長期的な取り組みについて透明性をより高めて政府が説明する必要が強まっていると指摘する。

 複数の予測で、政府総債務残高が2020年にGDP比80%を突破するのみならず90%を記録すると予想している。2019年の水準は、76.8%だった。

 テンデンシアス・コンスルトリアの暫定予測は、2020年に基礎的財政収支がGDP比4.6%に相当する3,258億レアルの赤字というもの。同社のエコノミスト、ファビオ・クライン氏は、「過去最大の赤字だ」という。なお、1,240億レアルの赤字という中央政府(国庫管理局と中央銀行、社会保障院)の基礎的財政収支の目標額は、COVID-19への対策を優先するため破棄された。

 テンデンシアスの試算によると、政府総債務残高は、2020年にGDP比83%になる。パンデミックが発生する以前、同社は、政府総債務残高が減少し始める前の2、3年にわたってGDP比77%前後で推移する予想していた。

 またパンデミックによる社会・経済的な危機が終息した後、経済活動の低迷により税収は緩やかに回復すると予想。この場合、2021年にGDPは+3.6%の成長とテンデンシアスは予測する。「大きな成長のように思えるが、それは、前年が大きなマイナス成長だったことによる」とクライン氏は言う。

 このため政府には、国家財政の運用が厳しくなるカントリー・リスクの悪化を回避するため、短期と中期、そして長期の計画について明確に市場に伝える必要があるという。同氏は、「各種の改革に対してコミットメントがあるのかどうか、それを知ることが重要になる」と指摘する。クライン氏によると政府は、国庫管理局のマンスエット・アルメイダ局長には「才覚」があるにしても、コミュニケーション分野で重大な失敗を犯しているという。

 テンデンシアスが想定する3,458億レアルの基礎的財政収支の赤字の内、1,937億レアルがCOVID-19対策に関連した支出によるものである。残りは、歳入の減少に伴うものという。テンデンシアスは、2020年のGDP成長率を-1.4%と予想している。(2020年3月31日付けバロール紙)

新型コロナウイルス対策が十分に講じられていない段階での検疫隔離措置の早期終了は無意味だとワールプール社長がコメント(2020年3月31日付けバロール紙)

 ブラステンピとコンスルを展開するワールプールのジョアン・カルロス・ブレガ・ラテンアメリカ担当社長は、小売業界が現時点で営業を再開したとしても消費者の安全は担保されておらず、財界や政府が期待するような販売の伸びにはつながらないという考えを示した。

 「復帰を口にしたところで無駄だ。需要なき供給だけが発生する。なぜなら、経済を動かす重要な要素は信頼感であるが、それが揺らいでいる。人々が病を患った場合に治療を受けるための病院がないため、病気になることが許されないというのが、消費者が発しているメッセージだ。考慮すべきは消費者の信頼だ」という。

 ラテンアメリカで2万4,000人の従業員を束ねる同社長によると、信頼を取り戻すために必要なことは3方面での活動だという。すなわち、病気になった場合に治療が受けられると示すこと、経済対策と各種改革の可決、経済の改善である。

 「病気になっても治療が受けられるように保健が市民に行き届けば、商業活動を維持できる。そして回復のペースは、国会が経済のボトルネックを解消すれば加速する。反対なら、消費者はブレーキをより強くかける。今は超党派で取り組むべきであって、些細なことで気論を戦わせていてはいけない」という。

 保健分野の取り組みについてブレガ社長は、サンパウロ州とサンタ・カタリーナ州のように一時的に病床を増やすといった方向で対策が既に始まっていると受け止める。「この取り組みは、市民の目に良く見えるようにすべきだが、様々な問題が同時に発生している」という。

 一方、経済省についてブレガ社長は、必要とされる対策を講じていくものと確信しているとしつつも、与信供与の拡大と税負担の軽減が必要という考えを示した。

 「すべての業種にストレスがかかっている。政府は、そこに寄り添い、資金の供給と期日の先送りで市場に潤いを与えると発言すべきだ。35%という税負担には、誰もが、緩和が必要だと認識している」と同社長は指摘した。またジャイール・ボルソナロ大統領が保健省のガイドラインに反して検疫隔離措置の終了を主張していることについては、実際問題として検疫隔離措置は正しく、採用されるべきだったという見方を示した。

 また同社長は、商業部門の営業を継続しつつも学校の休校措置が採用された最初の段階で、製品の販売はむしろ伸びたという。ところがショッピングセンターと路面店が営業を停止して以降、需要は落ち込んだ。同社長は、白物家電に対する需要は現時点までに60%落ち込んだと推算、今後さらに落ち込んでいくと受け止めている。

 「オンライン販売は、この落ち込みを補填するものではない。というのも、消費者の懸念が食品や消毒用アルコールジェル、マスクといったものにあるからだ。消費者の信頼を取り戻す必要がある」という。

 需要の落ち込みに加えて製造ラインにおける従業員の健康に対する安全確保のための間隔保持措置の施行を受け、同社は、サンパウロ州リオ・クラーロ市(※原文はサン・カルロス市)とサンタ・カタリーナ州ジョインヴィレ市の工場で集団休暇を実施している。30%から減産を実施したが、その規模は、州政府が施行し措置を受け50%に拡大している。こうした状況の中、ワールプールは、4月の課税の取り消しを求めている。

 さらに同社長は、州と市に人の移動を制限する対策を講じる裁量を与えた連邦最高裁判所(STF)のマルコ・アウレリオ・メーロ判事の判断を批判した。「この問題に5,500人の船頭がいて、事業を継続しようという人の足を引っ張っている。最小限の人の流れは必要だ」と主張した。

 またワールプールは、リオ・クラーロ市とジョインヴィレ市で臨時救護施設で使用する設備向けに製品を寄付した外、病院の支援も行っているという。また同社の2か所の工場では今後、保健分野の専門家が使用するアクリル製の顔面防護マスクを週1,000枚製造する。「社会は団結しつつあり、状況の把握も進んでいる。だが、重要なことはショックを吸収する機構の導入だ」という。(2020年3月31日付けバロール紙)

今年の財政プライマリー収支は、3,500億レアルを上回る赤字か

世界中で新型コロナウイルスのパンデミック対応に窮しているが、今年の連邦政府の財政プライマリー収支は、壊滅的な緊急財政支出を強いられるために3,500億レアルの赤字に達する可能性を国庫庁のMansueto Almeida長官は示唆している。

連邦政府や議会では、緊急時予算を取り扱う憲法改正案(PEC)並びに中銀はクレジットの直接購入などの対応で連日協議を続けている。

“再度言うが、今年の財政プライマリー収支は3,500億レアルの赤字を突破する。毎週赤字幅を見直している。4月から6月にかけて緊急財政支出政策導入で、歳入並びに歳出とも新型コロナウイルス感染措置対応策導入で大きなインパクトを受けるとMansueto Almeida長官は強調している。

2020年の中銀並びに国庫庁、社会保障院(INSS)で構成される中央政府の財政プライマリー収支の許容目標赤字は1,241億レアルであったが、新型コロナウイルスのパンデミックの異常事態に対処するための非常事態宣言(カラミダーデ・プブリカ)では、財政プライマリー収支赤字1,241億レアルに抑える必要がなくなる。

今年の財政プライマリー収支が3,500億レアルの赤字はGDP比4.5%の赤字を記録、統計を取り始めた1997年以降では最高の財政赤字を記録、過去最悪の財政プライマリー収支赤字は、2016年の1,815億7,100万レアル相当の赤字でGDP比2.6%を記録していた。

今年の財政プライマリー収支赤字3,500億レアル予想には、零細・小企業向け簡易税務申告制度(Simples Nacional)による納税先延ばし並びに年金・恩給受給者向けの13か月目のサラリーの先払いが含まれている。

今年2月の連邦政府のインフレ指数を差し引いた実質財政プライマリー収支は258億レアルの赤字を記録、2月としては過去3年間で最高の赤字幅を記録している。

今年1月の中銀並びに国庫庁、社会保障院(INSS)で構成される中央政府の財政プライマリー収支は441億2,400万レアルの黒字を計上、統計を取り始めた1997年以降では最高の財政プライマリー収支黒字を記録していた。

2002年の金融危機時のレアル通貨の暴落でブラジル国債は為替インデックスが40%を占めて連邦政府の財政プライマリー収支は大きな影響を受けたが、今年のブラジル国債に占める為替インデックスはわずか10%にとどまっており、また3,500億ドルを超える外貨保有高でドル高の為替は公共負債緩和の役割をする。(2020年3月30日付けエスタード紙サイトより抜粋)

 

 

 

上院議会は600レアルの緊急補助金支出承認

新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、全国的な外出自粛処置の採用であらゆる産業部門を直撃しており、卸売業、製造業、運輸業、小売業、サービス業などにあらゆる分野の労働者が影響を被っている。

今月26日下院議会では、非正規雇用者、シングルマザーなどの女性の世帯主、個人・零細企業主、社会保障院(INSS)の審査待ちの勤労不可能な高齢者や障害者に対する最低賃金額を支給する継続扶助(Benefício de Prestação Continuada–BPC)申請者の救済目的の緊急補助金(auxílio emergencial)である月額600レアル支給を承認、上院議会での承認まちとなっていた。

昨日30日に上院議会では、先週下院議会で承認されていた緊急補助金政策を79人の上院議員の賛成票を獲得して承認。ジャイール・ボルソナロ大統領のサイン待ちとなっている。

この緊急援助政策の受給条件は、“非正規雇用者”、“18歳以上”、“年金・恩給や失業手当の非受給者”、“ボルサ・ファミリア以外の所得援助の非受給者”、“一人当たりの世帯収入が最低サラリーの半分に相当する522.5レアル以下”、“世帯収入が最低サラリーの3倍以下”並びに“2018年度の所得が2万8559.7レアル以下”などの条件が課されている。

貧困層向け生活扶助の家族手当(ボルサ・ファミリア)の場合は、家族当たり最大2人分の緊急補助金(auxílio emergencial)を受給できる。また“個人および零細企業主MEIとして営業活動”している人も含まれる。

休職中のDavi Alcolumbre上院議長の代理として、Antônio Anastasia (PSD-MG)副議長は、一刻も早くボルソナロ大統領の承認を得るために、上院議会での採決を急いでいた経緯があった。

“600レアルへの緊急補助金引上げは連邦政府の下院議会との対話姿勢のデモンストレーションであり、新型コロナウイルス感染からブラジル国民を守るための対話の活性化を望む”とRodrigo Maia 下院議長(DEM-RJ)は説明している。

新型コロナウイルス感染がまだ小規模にとどまっていた救済プロジェクト初期の支給額は月額200レアルで検討されていた。またパウロ・ゲーデス経済相傘下の経済班は下院議員との交渉で300レアルに引き上げていた経緯があった。

その後プロジェクト担当のMarcelo Aro下院議員(PP-MG)が500レアルへの上乗せ案を提示、昨日26日にジャイール・ボルソナロ大統領は、600レアルの引き上げにゴーサインを出していた。 

この緊急補助金支給で恩恵を受けるのは3050万人の労働者であり、支給期間の3か月間での連邦政府の財政支出は598億レアルに達すると上院独立税制監査院(IFI)では試算している。

この緊急補助金テキスト作成担当のAlessandro Vieira (Cidadania-SE)上院議員は、2017年11月11日から施行された新労働法で労働形態が承認されている断続的(intermittent)労働者も受給対象にすることで最終テキストを作成した。

断続的労働とは、業種に関係なく勤務時間と休息時間が非連続的に時間、日、月単位で入り交じる雇用契約をさしているが、なお独自の法律を持つ航空業界は例外とされている。

断続的労働者としてウエイターや接客サービス担当などが含まれるが、新型コロナウイルスのパンデミックの現状では職を得るのは不可能に近い状況となっている。(2020年3月30日付けエスタード紙サイトより抜粋)

GMは4か月のレイオフと賃金カットを提示

新型コロナウイルスのパンデミックで世界的に失業率が鰻上りになる可能性が濃厚、GM社は国内の5か所の自動車生産工場の雇用維持のため、従業員に対して4月14日から4か月間のレイオフやサラリーの10%~25%カットを検討している。      

GM社では、新型コロナウイルスのパンデミックにもかかわらず、雇用維持のための一時的な緊急対応策と説明。GM社のブラジル国内の従業員総数は1万8,000人を擁している。

GM社のサンパウロ州São Caetano do Sul工場、São José dos Campos 工場並びにMogi das Cruzes工場、南大河州Gravataí工場、サンタ・カタリーナ州Joinville工場の労働組合は、会社側の提案に対して総会を開催して採決を取る。

但し最近リリースしたスポーツタイプのTracker車を生産している7,800人の従業員を擁するSão Caetano do Sul工場は、先週の金曜日からオンライン投票を行っている。

São Caetano do Sul金属労連のAparecido Inácio da Silva組合長は、大半の組合員は会社側の提案に同意しているが、賃金カット率が最高の25%の対象従業員は2万レアル以上の高給取りに限定、大半の従業員の賃金カット率は10%~15%にとどめるように提案している。

ピックアップS10車並びにSUV Trailblazer車を生産しているSão José dos Campos工場の組合は、会社側の提案を拒否、今秋水曜日に総会を開催して新たな合意案を探る。
“ブラジル国内でトップシェアを維持しているGM社は、従業員のサラリーをカットする必要はない。従業員は雇用継続と100%のサラリーを受け取る権利がある”と金属労連のRenato Almeida副組合長は強気な発言をしている。

GM社は国内の5か所の自動車生産工場の雇用維持のためのレイオフは、従業員を新型コロナウイルスのパンデミックから保護すると同時に雇用維持であり、時間貯蓄銀行(Banco de Horas)、集団休暇、コスト削減プランおよび設備投資先の倍計画が含まれている。

またGM社協会では、新型コロナウイルス対策として食料品バスケット5,500パッケージ、衛生・清掃部門では医療関係者向けの感染予防眼鏡3,000ケース、105台の乗用車を提供している。(2020年3月30日付けエスタード紙サイトより抜粋)

COVID-19で旅客数激減のSuperViaが財務の余裕確保を模索(2020年3月30日付けバロール紙)

 リオデジャネイロ州のコンセッショネアで検疫隔離措置の導入後に1日に輸送する旅客が15万人へ75%減少したスーペルヴィアが、現状では長く見積もって45日間の営業継続が可能だと受け止めている。そこで、サービスが停止するのを回避するため、間接的な親会社である三井物産が包括的な対策に取り組んでいる。

 同社のアントニオ・カルロス・サンチェス社長によると、「一連の危機は極めて深刻。これが1か月続くのか、あるいは2か月、5か月になるのか、我々にはわからない。明らかな事実は、その期間を支えるための財務的な余裕を当社は持ち合わせていないとうことだ」とコメント。その上で、「当社の余力は最大で45日、5月中旬までだ」と付け加えた。

 スーペルヴィアが取り組む対策のひとつは、国立経済社会開発銀行(BNDES)が先週発表した「スタンドスティル(債務返済の一時停止)」による企業支援策に関して、最大6か月の適用を要請することである。サンチェス社長によると、このスタンドスティルにより同社は支出の5分の1を削減できるという。このため、「BNDESによるこの対策が解決しなければ、財務の余裕確保に向けた取り組みは俄然、大規模にならざるを得ない。当社は、事業の継続に様々な投入財を調達しているだけでなく、連日実施している車両の消毒問題で附帯的なコストも発生している」という。

 スーペルヴィアは外にも、運転資本としてBNDESから引き受ける融資の拡大にも取り組んでいる。この取り組みの成否はBNDESのクレジットラインの設定に左右されるもので、同銀行が検討中である。

 またリオデジャネイロ州政府とは、1億2,500万レアルの余裕を生み出す過去の負債及び運賃無料化に対する助成に関して協議を進めている。過去の債務は全体として、公社時代の労務費である。通常、司法判断が出るとスーペルヴィアが支払い、後日、リオデジャネイロ州政府が補填する。

 加えて、電力消費に課徴される商品サービス流通税(ICMS)の支払期日の先送りについてもリオデジャネイロ州政府と協議している。これは将来的に、営業が正常化した時にこの税金を納付するというものである。同社の光熱費の3分の1が、電力消費である。この問題で州政府と合意できれば、1億9,500万レアルの余裕を生み出せると期待している。

 この外、電力自由市場を通じて電力調達契約を交わしているミナス・ジェライス州エネルギー公社(Cemig)とは、支払い期日の先送りに向けて協議している。「最初の段階で州政府が講じた検疫隔離措置は人々の生命を守るために必要だったと当社は理解しており、このため、見つけられる限りのあらゆる代替策を模索している。それは例えれば、この危機を生き抜くために企業も一定の期間は人工呼吸器の使用が必要だというようなことだ」とサンチェス社長はコメントした。(2020年3月30日付けバロール紙)

MRSが支払期日の先送りを顧客に認めることも検討(2020年3月30日付けバロール紙)

 バーレとゲルダウ、ナシオナル製鉄会社(CSN)、ウジミナスを株主に持つ鉄道輸送会社のMRSロジスチカが、現時点では新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を直接的には受けていないものの、サプライヤーと顧客が置かれた状況を懸念しているという。同社のギリェルメ・メーロ社長が明らかにした。

 顧客の中でCOVID-19の影響を強く受けた業界の少なくとも2社が、輸送料金の支払期日を先送りする可能性について協議を求めはじめている。同社長は、「ケース・バイ・ケースで検討し、支援ができるか検討する」としている。ただし、同社の取り扱い状況は安定しており、未払いになったケースもないという。

 さらに同社は、鉄道網の維持管理で使用する特定の製品の供給を担当する戦略的サプライヤー及び責任会社についても、動向を注意深く見守っている。これらのメーカーが安心して経営を継続することを同社は希望しており、運転資金を必要とする場合には支援も辞さないという。

 車両とレールの整備に使用する部品の在庫を強化するため、3月初旬から、一部の発注を前倒ししている。こうした対策により同社は、ミナス・ジェライス州とサンパウロ州、リオデジャネイロ州を結ぶ鉄道線の継続的運用を保証する。

 他の業界の顧客が鉄道業界以上に厳しい状況に立たされているという理解から、同社とその他の鉄道会社は今のところ、政府に支援を要請する段階には至っていない。

 だが経済危機が深刻化すれば、権利金の支払期限の先送りなどを要請する可能性はある。「政府にその余地があれば、さらに顧客による要請への対応を考慮して、権利金の支払金減の先送りを要請する可能性はある」という。

 また、コンセッション契約の前倒し更改に関連した今後数年を対象にMRSは75億レアルの投資計画を進めているが、この金額は、「医師にしがみついても」変更しないとしている。「これらの投資の大部分は、マクロ経済の状況とは無関係のもので、線路が通過する地元の市のの介入を縮小し、効率を高め、港湾へのアクセスを改善するといった公共の利益につながる投資だ」という。

 コンセッション契約の前倒しに関する公聴会は実施済み。現段階で同社は建築設計図を準備中で、2か月以内にこれを国家陸上交通監督庁(ANTT)に提出する予定。これらのプロジェクトは2020年下半期には、連邦会計検査院(TCU)が検討する見通し。

 

またMRSは、鉄道貨物輸送の位置込みについて、建築資材などで発生すると予想している。ただしその他の、例えば農産物などの輸送は逆に勢いを増すと期待している。同社が取り扱う貨物は当初、鉄鉱石と石炭に集中していたが、多様化を推進してきた。2017年には30%を占めていた一般貨物が、現在では40.4%まで拡大している。(2020年3月30日付けバロール紙)