週明けの株式市場が13.92%値下がりし為替相場は史上初の1ドル=5レアル台を記録。
週明け3月16日に世界の金融市場は、ブラジルだけでなくアメリカも含めた世界の中銀が新型コロナウイルスによって引き起こされる経済的な悪影響を解決するための様々な対策を発表したにもかかわらず、再びパニックに見舞われる1日となった。国境を閉鎖する国は日を追う毎に増加しており、各国の中銀はおろか政府によってもこれまでに発表された対策について、経済活動が被った大きな打撃を埋め合わせるには不十分だという評価が投資家の間で拡大している。
こうした状況の中、サンパウロとニューヨークの証券取引市場では、より大きな下落を回避するための取引停止措置(サーキットブレーカー)が発動、さらに外国為替市場では、レアル計画の導入後初となる1ドル=5レアル台で取引を終えた。
各国の中銀の緊急対策は15日午後、ニュージーランドの通貨当局が政策金利を年利1%から0.25%に引き下げたことでスタートした。それからほどなく、米連邦準備制度理事会(FRB)がFF金利をゼロ近辺まで引き下げ、法定準備預金制度を中止、他国の中銀と通貨の流動性を拡大するための協調政策、7,000億ドルの債権の買い戻しといった対応を打ち出した。
FRBに続き日本の中銀が、市場に対して資金を注入する対策の柱ともいえる債券の買い戻しを拡大、中国は140億ドル以上に相当する刺激策を展開した。またチリ中銀とエジプト中銀も同様に利下げを断行した。
ブラジル国内に目を転じると、市場の一部からはブラジル経済基本金利(Selic)を年利4.25%に緊急利下げが実施されるという観測もあった。しかし仮に利下げがあるとしても、これは、18日の中銀通貨政策委員会(Copom)会議の終了後になる見込みだ。従来の予想の中心は0.5パーセントポイントの利下げだったが、ここへきて多くのアナリストがより大きな、1パーセントポイントの利下げの可能性について言及するようになっている。
ブラジル中銀は、家庭と企業を対象に最大3兆4,000億レアル規模の負債の再交渉を容易にする政策の外、金融システムの与信供与の能力を最大5億3,700万レアル強化する対策を発表した。
だが、これらの対応はいずれも、混乱する国際市場を沈静化できなかった。アジアとヨーロッパの証券取引市場は大幅な値下がりを記録。ニューヨークでは、主要指標が取引開始後まもなくサーキットブレーカーを発動した。ブラジルでも同様に、午前の段階でサーキットブレーカーが発動した。ブラジルの証券取引市場の規定では、10%値下がりした時点で30分間取引を停止する。
この取引停止後、ブラジルとアメリカの証券取引市場は、値下がりの歩調を緩めて取引を再開した。しかしこの日の取引の終了間際、アメリカのドナルド・トランプ大統領の宣言が、決定的にビジネス環境を悪化させた。ホワイトハウスの長たる同大統領は、アメリカが「リセッションに陥る可能性もある」とコメントし、さらに、新型コロナウイルスの影響が「7月と8月」まで続くと話した。
このような事情から、ニューヨーク市場ではでダウ・ジョーンズが12.93%下落した外、ナスダックも12.32%落ち込み、S&P 500は11.98%も低下した。ブラジル市場ではサンパウロ株価指数(Ibovespa)が13.92%下落し、71,168.05ポイントで取引を終えた。
外国為替市場
証券取引市場が抱えることになったすべてのストレスが、ブラジル国内市場にも反映され、外国為替市場ではドル高レアル安が昂進した。新型コロナウイルスに端を発した経済と社会に及ぶ危機的状況だけでなく、ボルソナロ政権と国会のぎくしゃくした政治状況もビジネス環境を悪化させた。
現物市場では、前日比4.90%レアル安の1ドル=5.0523レアルで取引を終了した。これは、2017年5月18日にジョエスリー・バチスタ容疑者の汚職に言及した証言が明らかにされて8.07%のレアル安を記録して以来の大暴落である。
中銀は、外国為替市場に強力に介入するという見方も市場にはあったが、16日は介入せず静観した。この結果、レアルは年明け以降で26%、3月の月初からだけでも13%の安値となった。