欧州連合はエタノール向け奨励金撤廃か

欧州連合(EU)の行政府にあたる欧州委員会は20日、食糧・農産品価格の高騰を受け、バイオ燃料のエタノール向け奨励金撤廃などを盛り込んだ共通農業政策(CAP)の改革案を承認したが、加盟国27カ国の同意が必要となる。

 ブラジル並びに米国に対しては、欧州連合向けエタノールは食料不足に影響を与えないものであり、環境破壊をきたさないエタノールに限ると厳しいメッセージを伝えている。

  欧州連合の穀物生産のわずかに1.0%がエタノール向けであり、食料価格高騰には影響を与えていないが、米国のトウモロコシから作られるエタノールは食料 価格高騰をきたしていると指摘しており、2020年までにバイオ燃料混合率を10%まで引上げる欧州連合の穀物価格は3.0%から6.0%、他の農産品は 15%まで価格上昇の可能性がある。

 またEUはヨーロッパや世界的にエタノール生産拡大を要求しているが、2016年には米国のトウモロコシの43%がエタノール生産に向けられるために、食料品生産に支障をきたすと指摘している。

 EUのエタノール生産戦略は石油の98%を輸入に頼っており、石油依存からの軽減であり、9,000万ユーロを投資して第2世代のバイオ燃料開発に投資する。(2008年5月21日付けエスタード紙)

石油価格高騰はプラスチックや化学肥料価格を押上げている

130ドルに達しようとする国際石油価格はプラスチックや化学肥料価格の高騰を招きインフレ圧力となって、メーカーの収益性を圧迫する悪循環に陥っている。

プラスチック工業部門は今年すでに包装、玩具や自動車内装用の原材料となるポリエチレンやポリプロプレンの価格が5.6%から8.5%値上げされており、石油化学業界では更に8%から10%の再度の値上げを予定している。

国内のプラスチック樹脂価格は1トン当たり200ドル以上も国際市場価格より高くなっており、プラスチック樹脂用原料のナフサ価格は4月付け最終12ヶ月間で38%の大幅値上げがされているが、今年は更に25%の値上げが予想されている。

今年3月までの化学肥料価格は12%値上げされており、食料品価格の上昇の要因となっており、また今年5ヶ月間のジェット燃料価格は19.97%値上げさ れたために、TAM航空ではすでに国内線のYieldを7.0%、国際線5.0%の値上げを発表している。(2008年5月21日付けエスタード紙)

ヴォトランチン金属は果敢に海外で資源確保戦略を展開

ヴォトランチン金属(VM)は資源確保戦略として米州などで果敢に亜鉛、銅やニッケル鉱山開発を展開、今年の鉱山開発や買収資金として1億5,000万レアルを投資して、グローバル戦略を展開する。

またブラジル国内でも海外同様に非鉄金属を中心に新鉱山開発に力を入れており、来年はラテンアメリカ並びにカナダに投資の軸足を置く。

VMはカナダのトロント市に事務所を開設、亜鉛鉱山開発でローカル企業と共同開発を行なう予定であり、最近進出したカナダ、メキシコ、アルゼンチンでは68プロジェクトを抱えている。

VMは亜鉛やニッケル以外に銅、鉛、石炭や鉄鉱石部門の開発にも手を広げており、2003年から中国需要が牽引する鉱物コモデティ価格の高騰は2012年 まで継続すると見込まれており、ニッケルの国際コモデティ価格はトン当たり5万5,000ドル、鉄鉱石は200ドル、石炭は今年だけで200%以上の値上 がりをしている。

世界の鉱業会社が先を争って資源確保に躍起となっており、2002年の鉱山開発投資は19億ドルであったが、昨年は 109億ドルと5倍以上の投資が行われているが、新しい鉱山は益々インフラの届かない地域に移っており、またコストアップになる深度での開発や含有量の低 い低質の鉱物開発が余儀なくされてきており、今後の開発コスト上昇で鉱物コモデティ価格の低下は予想されていない。

VMの鉱物開発投資先はメキシコがトップ、ペルー、チリ、ブラジルが4位、アルゼンチン、エクアドル、ヴェネズエラ、コロンビアやドミニカとラテンアメリカ全域で資源確保戦略を展開している。(2008年5月21日付けヴァロール紙)

Selic金利上昇でも連邦国債発行残高減少

中銀が政策誘導金利(Selic)金利を11.75%に上方修正したにも関わらず、国庫庁は確定金利連動国債を中心に発行額を抑えたために、4月の連邦国債発行残高は前月から313億レアル減少の1兆2180億レアルになった。

連邦国債の償還額が発行額を上回り、今年の累計では540億ドルに達しているが、しかし4月の金利支払いが116億4,000万レアル、今年の累計では481億レアルに達している。

4月の確定金利連動国債の比率は前年同月の36.26%から34%に減少、金利が上昇したSelic連動国債は33.35%から35.34%、インフレ連動国債は23.32%から27.63%にそれぞれ比率を上げている。(2008年5月21日付けエスタード紙)

レアル銀行の日本移民100周年記念展示会オープニング式に平田事務局長が出席

レアル銀行は5月20日午後7時30分からブラジル日本移民100周年記念の展示会「私たちひとりひとりの日本」のオープニング式を銀行本店で開催、平田藤義事務局長が出席した。開催期間は5月21日から6月18日までパウリスタ大通り1374番のレアル銀行展示会場。

サイト www.bancoreal.com.br/comunidade

ワールドカップ開催までに輸送インフラに385億レアル投資

2014年にブラジルで開催されるサッカーワールドカップに向けて、輸送整備部門に総額385億レアルの投資計画をマルタ・スプリシー観光相がルーラ大統領に提示した。

この投資は連邦政府ではなく、州政府や民間企業からで経済成長加速プログラム(PAC)に組み込まれたプロジェクトであり、サンパウロ市には153億レアルの投資で、地下鉄の65.6キロメートル、279.5キロのバス路線整備を行なう。

マルタ観光相は2014年までに海外からの観光客数を現在の2倍の1000万人に引上げる計画であり、特にワールドカップ開催前のサンパウロ−リオ間の弾丸列車の開通が優先される。(2008年5月20日付けガゼッタ・メルカンチル紙)

投資計画予定
サンパウロ市 153億レアル 地下鉄65.6Km,バス路線279.5Km
リオ市/サンパウロ市 153億レアル 弾丸鉄道550Km
リオ市 50億5,000万レアル 地下鉄26K、バス路線111Km
二テロイ市 400万レアル バス路線28.8Km
ベロ・オリゾンテ市 2億1,170万レアル バス路線5.5Km
ポルト・アレグレ市 12億800万レアル バス路線82.2K,鉄道9.3Km,
フォルタレーザ市 1億8,900万レアル、バス路線45Km
レシーフェ市/オリンダ市 1億9,800万レアル 高速列車15Km
ナタル市 1億6,700万レアル 地下鉄3.5Km,鉄道修復43.2Km
ブラジリア市 7億1,000万レアル 地下鉄5.8Km

ブラジルGMが本社の赤字をカバー

販売好調なブラジルGM社は第1四半期に大幅な純益を計上、32億5,000万ドルの赤字を出したGMグループに利益の送金を行なっ、赤字の減少に一役かっている。

今年の自動車販売予想は300万台で昨年の245万台を大幅に上回ると見込まれており、ブラジルGMも大幅な純益計上を見込んでいるが、ラテンアメリカ、中東並びにアジアのGMがサブプライム問題で危機に陥っている米国本社を支えている。

第1四半期のラテンアメリカ、アフリカ並びに中東地域のGMの純益は前年同期比で倍増の5億1,700万ドルを計上、アジア/太平洋地域は2億8,600 万ドルの黒字を計上したが、北米地域は8億1,200万ドルの赤字となっている。(2008年5月20日付けエスタード紙)

エレトロブラスはペルーで14水力発電所建設

電力エネルギー部門のペトロブラスを目指しているエレトロブラス電力公社はブラジル国境のペルー領内で20億レアルを投資して、1,400メガワットの水力発電所を建設してブラジルに電力を供給、最終的には14水力発電所建設で2万メガワットの電力をブラジルに輸出する。

ペルーでの水力発電所建設後にはボリビアで総電力4万メガワット、アルゼンチンでウルグアイ河での水力発電所建設が計画されており、ラテンアメリカの水力発電能力は62万メガワットであるが、現在は僅かに21%が利用されているに過ぎない。

またブラジルはヴェネズエラから3,000メガワットの電力供給を受けるが、ローライマ州ではすでに200メガワットの電力を供給されている。(2008年5月20日付けガゼッタ・メルカンチル紙)

ヨーロッパからブラジルへの投資は中国を上回る

昨年の27カ国から構成されるヨーロッパ連合諸国からのブラジルへの投資は71億ユーロに達して、中国本土への投資金額18億ユーロを大幅に上回ったが、香港への投資を加えるとブラジルへの投資金額に匹敵する。

2006年の中国本土への投資は60億ユーロ、香港へは30億ユーロであったが、ブラジルへは56億ユーロで下回っていたが、スペインからは25億ユーロが投資され、投資適格国入りで今後は更に注目を集める。

しかしBRICs諸国では昨年のヨーロッパ連合諸国からインドへの投資が109億ユーロ、ロシアへは170億ユーロで後塵を浴びている。

昨年のBRICs諸国からのヨーロッパ連合諸国への投資は前年比90%増加の130億ユーロ、ブラジルからは20億ユーロであったが、インドは95億ユーロと大幅投資を行なっている。(2008年5月20日付けエスタード紙)