中国が牽引する大豆や鉄鉱石の世界的需要増加並びに米国経済の予想を上回る回復で、今年のブラジルの貿易収支黒字は、730億ドルに達する可能性が指摘されている。
今年のブラジルの貿易収支黒字予想730億ドルは、2017年に記録した過去最高の貿易黒字560億ドルを30%も上回る記録更新が予想されており、また前年比46.0%増加に相当する貿易黒字が予想されている。
昨日の中銀の最終フォーカスレポートによると、今年の貿易黒字は、大豆や鉄鉱石などの国際コモディティ価格の上昇に伴って輸出の大幅増加で640億ドルまで達し、記録更新する貿易黒字額を予想している。
ブラジルの主要貿易相手国である中国並びに米国は、COVID-19パンデミックのいち早い対応やワクチン接種の成功に伴って、輸出が急回復してきている。世界貿易機関(WTO)では、2020年の世界の貿易量はマイナス5.3%であったが、今年は一転して8.0%増加を予想している。
コンサルタント会社LCA社エコノミストのAna Luisa Mello氏は、4月上旬に今年のブラジルの貿易収支を730億ドルと楽観的な見方をしていたが、国際コモディティ価格の上昇継続及び米国のワクチン接種の予想上回る進展で、上方修正を余儀なくされている。
コンサルタント会社Tendências社エコノミストのSilvio Campos Neto氏は、今年のブラジルの貿易収支黒字を538億ドルと予想していたが、現在では600億ドル~700億ドルに達すると修正している。
2020年4月の1トン当たりの鉄鉱石の国際コモディティ価格は67.6ドルであったが、1年後の今年4月は、129.8ドルと約2倍に高騰している。
国際コモディティ商品である大豆並びにパルプ価格も上昇傾向となっている。レアルに対するドル為替の高騰で、未だにCOVID-19パンデミックの影響を受けている国内市場に対して、ドル高の為替は繊維製品や履物類などの資本財輸出には追い風となっている。
今年4月のブラジルの輸出総額は、前年同月比50.5%増加の265億ドルで1997年から統計を取り始めて最高の輸出総額を記録している。また輸入総額も46.8%増加の161億ドル、貿易収支黒字は103億ドルに達していたとInfinity Asset社チーフエコノミストのJason Vieira氏は指摘している。
今年4月の大豆の輸出は、1,700万トンに達して月間記録を更新、大豆の輸出金額は輸出全体の27.1%を占めていた。昨年のブラジルの貿易収支黒字は、GDP比12.0%を占めていたが、今年は輸出増加で、15.0%に上昇するとLia Valls氏は予想している。