金融部会に11人が参加して開催

金融部会(種村 正樹部会長)は、2020年2月4日午前11時から11人が参加して開催、初めに2020年度の金融部会執行部として、東 邦彦部会長(Tokio Marine Seguradora S.A.)、北村裕行副部会長(ブラジルみずほ銀行)、小見山真弥副部会長((Tokio Marine Seguradora S.A.)を選出。今年上半期の業種別部会長シンポジウムにおけるマクロ経済概要、銀行業界動向、保険業界動向の発表に対するアンケート調査の発送、結果の取り纏めなどについて説明。また昨年の金融部会の活動報告では10月25日のフィンテックセミナー「Future of Finance」講演会開催、10月18日の懇親昼食会での三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチエコノミストのCliff Tan氏は、テーマ:「米中貿易戦争の中南米市場(特にブラジル)への影響」講演会開催を報告した。

参加者は東新部会長(ブラジル東京海上日動火災保険)、北村裕行新副部会長(ブラジルみずほ銀行)、小見山真弥新副部会長(ブラジル東京海上日動火災保険)、種村前部会長(Banco Bradesco)、津田氏(Banco Bradesco)、安田氏(Sompo Seguro S.A.)、長野氏(三井住友保険)、栗原氏(三井住友銀行)、白石調査員(サンパウロ総領事館)、平田事務局長、大角編集担当。

東 邦彦部会長(Tokio Marine Seguradora S.A.)、

 

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

昨年の名目公的債務残高はGDP比75.8%と過去6年間で最低

中銀の発表によると、2019年度の名目公的債務残高はGDP比75.8%相当の5兆5,000億レアルまで減少して、過去6年間で最低の名目公的債務残高を記録している。

2018年の名目公的債務残高はGDP比76.5%から0.7%減少、2013年はGDP比51.5%であったが、ジウマ・ロウセフ政権から財政赤字が継続して上昇していた経緯があった。

社会経済開発銀行(BNDES)が国庫庁に1,217億レアルの返済をしなかったならば昨年の名目公的債務残高は5兆7,320億レアルに達し、GDP比79.0%に達していた可能性が指摘されている。

2019年連邦政府の財政プライマリーは、619億レアルの赤字計上して過去6年間連続で赤字を記録したが、2014年以降では最低の赤字幅に減少して改善してきている。

また昨年の名目公的債務残高の減少要因として、社会経済開発銀行(BNDES)による国庫庁への1,217億レアルの返済以外にも外貨準備金放出、為替介入、プレソルト鉱区入札による臨時歳入も寄与している。

ボルソナロ政権初年度の昨年は年金・恩給改革法案が国会を通過したため今後の社会保障院(INSS)の赤字は緩やかなカーブで減少をするが、昨年の社会保障院(INSS)は前年比290億レアル増加の3,184億レアルの赤字を計上している。(2020年2月1日付けエスタード紙)

 

昨年の株投資は2014年以降初めてブラジル人投資家が過半数を占めた

2019年のサンパウロ証券取引所(B3)のブラジル人投資家の占有率は、51.9%と海外投資家の48.1%を2014年以降で初めて上回ったが、今年もブラジル人投資家が株取引を牽引すると予想されている。

昨年の海外投資家は年金・恩給改革が国会を通過したにも関わらず、米中貿易摩擦の継続でラテンアメリカ地域から投資金を引上げており、サンパウロ証券取引所の株式総額400億レアルを売却している。

また今年1月の29日までの海外投資家によるサンパウロ証券取引所の株式放出総額は161億5,500万レアルに達しており、今年もブラジル人投資家の株式市場の投資比率は上昇傾向になると予想されている。

今日と明日開催される中銀の通貨政策委員会(Copom)では、現在4.50%の政策誘導金利(Selic)を0.25%引下げて4.25%になると予想されているために、海外投資家の株式投資引上げは加速する一方で、ブラジル国内の個人投資家及び投資ファンドが株価を支えると予想されている。

しかし連邦公社の民営化プログラム並びに新規株式公開(IPO)、Follow-upなどが実施されれば、海外投資家はブラジル国内での株式投資を再開すると予想されている。

ブラジル・金融マーケット業者協会(Anbima)の統計によると、2019年の株式ファンドは前年比200%増加の860億レアルの資金を調達した一方で、確定金利付きファンドは700億レアルの資金流出をきたしていた。

昨年末の株式の個人投資家総数は165万人に達していたが、過去最低のSelic金利の影響で確定金利付き投資から株式市場への流入が続いており、今年は前年比21.0%増加に相当する200万人を突破すると予想されている。

Itau BBA社のルッカス・タンベリーニ氏は、今年のサンパウロの平均株価指数(Ibovespa)は個人投資家が牽引して13万2,000ポイントまで上昇すると予想、昨年のIbovespaは前年比32%上昇していた。(2020年2月4日付けエスタード紙)

今年1月の貿易収支は17億5,000万ドルの赤字計上

2020年1月の貿易収支は、昨年1月の17億ドルの黒字収支から一転して17億5,000万ドルの赤字を計上、2015年1月に計上した31億8,500万ドルの赤字に次ぐ5年ぶりの赤字を計上している。

今年1月の輸出総額は米中貿易摩擦の継続で世界貿易が収縮している要因で、前年同月比マイナス20.2%の144億3,000万ドルに留まったが、輸入総額はマイナス1.3%の161億8,000万ドルを記録している。

今年1月の輸出総額が前年同月比マイナス20.2%の144億3,000万ドルに留まった要因として、第一次産品輸出は前年同月比マイナス11.9%、半完成品はマイナス25.2%、完成品はマイナス27.7%とそれぞれ二桁台の大幅減少を記録している。

第一次産品輸出では鉄鉱石並びに原油、大豆の国際コモディティ価格の減少が大きく影響している。ブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は、今年1月の原油価格は前年同月比マイナス17.8%、輸出量もマイナス13.8%を指摘している。

また今年1月の大豆輸出量は前年同月比マイナス26.9%、コモディティ価格はマイナス8.7%、今後中国は米国との貿易折衝で米国からの大豆輸入を優先するとカストロ会長は指摘している。

今年1月の輸出の大幅な減少として、昨年1月はプレソルト原油生産向けFPSO(洋上浮体式生産・貯蔵・積出施設)の石油採掘向けプラットフォーム輸出で13億ドル、パルプ輸出で10億ドルを計上していた経緯があった。

今年1月の中国並びに香港、マカオ向け輸出総額はマイナス9.3%の36億7,000万ドルした一方で、アジア地域向け輸出はマイナス5.0%に留まっていた。

今年1月の輸入総額はマイナス1.3%の161億8000万ドル、そのうち資本財は前年同月比6.6%増加の38億8,000万ドル、中間財はマイナス3.4%の85億1,000万ドル、消費財は6.9%増加の22億1,000万ドル、燃料・潤滑油輸入はマイナス15.3%の15億7,000万ドルに留まっていた。(2020年2月4日付けヴァロール紙)

JICAがFIESPでセミナー・商談会を開催

 JICA-国際協力機構(佐藤洋史ブラジル所長)はFIESP(サンパウロ工業連盟)の貴賓室でセミナーおよび商談会を開催した。会場は満席の200名が参加、最初にFIESPの若手起業家委員会( Comitê de Jovens Empreendedores)理事長のRoger Augusto(ローゼル・アウグスト)氏とJICAを代表、佐藤所長が挨拶。INVESTE SP(サンパウロ投資局)副総裁のTorquato Jardim 氏(トルクヮト・ジャルジン:テーメル政権下の元法務大臣)が同局の事業および投資家支援活動についてプレゼンした後、調査団員13社が自社の事業概要を写真・図解入りのPPTを用い説明PRした。その後に開かれたネットワーキングや商談会も成功裏に終了した。

 平田事務局長はネットワーキングの合間を利用、ポル語バージョンの新刊書「世界が感謝する日本のもの」97選テクノロジーの文庫本をローゼル氏に贈呈、今日プレゼンされた13社の固有技術もやがてポル語に翻訳、この文庫本に追加出来るようになればと希望を伝えた。またローゼル氏は文庫本の目録を概観、熟読後に当会議所とコンタクトを深めながら、若手起業家の支援強化に取り組みたいと表明した。

Pdf 第9回JICA連携調査団参加企業概要(ポルトガル語)

左からVictor Kobayashi氏、Torquato Jardim INVESTE SP(サンパウロ投資局)副総裁、佐藤洋史 JICA-国際協力機構ブラジル所長

プレゼンを行う日本から参加した調査団企業

左から平田事務局長、Roger Augusto FIESPの若手起業家委員会( Comitê de Jovens Empreendedores)理事長、佐藤 JICAブラジル所長

(写真提供:JICAブラジル)

9人が参加して運輸サービス部会開催

運輸サービス部会(宮川俊介部会長)は、2020 年2月3日午前9時から10時30分過ぎまで9人が参加して開催、進行役は宮川部会長が担当、2020年上期の業種別部会長シンポジウム発表資料作成のため、物流業界並びに貨物業界、海運業界、旅行・ホテル業界、航空旅行業界の参加企業代表は2019年の回顧並びに2020年の展望について、各自が作成したドラフト資料を基に発表した。

2019年の回顧では、ホテル業界は好調に推移、米朝貿易摩擦による世界貿易の縮小、ヴァーレ社のミナス州ブルマジーニョ鉱山のフェイジョン1鉱滓用ダム決壊事故による鉄鉱石の大幅減産の影響、MARPOL2020、中国の豚ペストによる穀物輸出への影響、アルゼンチンの為替危機の影響による自動車輸出の落込み、カジャマール地区の倉庫料の高騰、アジア発着路線の貨物減少などが挙げられた。

2020年の展望では、今年のホテル業界は5.0%増加予想、ドル高の為替による海外旅行の減少、外資系航空会社の国内路線運航開始、、低硫黄燃料への切替、港湾インフラ入札、砂糖の国際コモディティ価格低迷によるエタノール増産予想、新型コロナウイルス肺炎による東京オリンピック・パラリンピックや訪日への影響、トラックストライキ再発の可能性、航空業界のビジネス生態系の変化などが挙げられた。また次回の部会での物流業界並びに貨物業界、海運業界、旅行・ホテル業界、航空旅行業界の資料発表者を決定した。

参加者は宮川部会長(ONE)、湯原副部会長(NYKブラジル)、今安副部会長(ブラジル日本航空)、濱口氏(ONE)、内村氏(ブルーツリーホテル)、金子氏(K-Line)、中野副領事(サンパウロ総領事館)、平田事務局長、大角編集担当

左から湯原副部会長(NYKブラジル)/宮川部会長(ONE)

 

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

JETROの中里監事が来伯、会議所幹部と意見交換

 今、日本貿易振興機構(JETRO)では日メルコスールEPA研究会開催の可能性に備えて、調査情報収集体制を強化している。メルコスール(南米南部共同市場)は昨年6月、約20年ぶりにEUとFTA合意に漕ぎつけた直後、8月にはEFTAとも合意、カナダおよびメキシコとは各々18年3月、19年9月から交渉が開始されている。また韓国も一昨年9月から既に交渉を開始、2020年内の合意を目指している事等が背景にあるからだ。

 去る1月20日、JETROの吉澤 隆企画部長と海外調査部の木村洋一部長が来所、最も影響を受ける自動車、機械金属、電機・情報通信部会の代表者等とEPAに対する期待や課題、影響などの詳細な調査に続き、未だ1か月も経たぬ間に今回の中里浩之監事の来伯となった。JETROの迅速な対応に深く感謝を申し上げる。

 中里監事と以下について率直に意見交換した。

 ブラジル現政権の政治経済情勢変化、インフラ整備と民営化、会議所活動全般、EPA劣後による進出日系企業の競争力憂慮、イノベーション・中小企業委員会活動、JETRO海外76事務所と47都道府県事務所を繋ぐネットワークのフル活用、日本の少子高齢化、世界史に類例がない日本のデフレ経済(20年間GDP不変)、政府の緊縮財政政策(プライマリーバランス黒字化)の功罪、リーマンショック(2008年9月)を大型財政出動で克服したブラジル経済(2010年7.5%成長および2011年日本からの直接投資史上最高額75億ドル)、今後の世界経済動向、JETROと当会議所の連携促進強化等々。

参加者:野口 泰サンパウロ総領事、白石専門調査員、中里浩之 JETRO監事、大久保敦 JETROサンパウロ事務所長

会議所から村田俊典 会頭(双日ブラジル会長)、佐藤真吾 副会頭(ブラジル三井物産社長)、安田 篤副会頭(SOMPO SEGUROS取締役)、秋山雄一 副会頭(南米日本製鉄社長)、平田藤義 事務局長

「第9回中南米日系社会との連携調査団」との意見交換会開催

JICAブラジル事務所(佐藤 洋史所長)並びにJETROサンパウロ事務所(大久保敦所長)共催による「第9回中南米日系社会との連携調査団」一行の代表者13人が2020年2月3日午後2時から5時過ぎまで商工会議所を訪問、初めにJICAブラジル事務所の佐藤洋史所長が開催挨拶を行い、続いて連携調査団一行が自己紹介並びに参加目的などを説明した。

商工会議所の平田藤義事務局長は、商工会議所の活動や機能紹介で初めに商工会議所活動のビデオに続いて、会員企業の推移、事業別ベースの企業数割合、業種別企業数、トロピカルトランプ大統領のイメージとは異なるボルソナロ政権の自由貿易主義、昨年の年金改革実施、今年上半期の税制改革など一連の構造改革実施によるブラジルの堅実な経済成長やビジネス改善などについて説明した。

JETROサンパウロの大久保敦所長は、「南米巨大市場 ブラジルの最新経済動向とビジネス機会」と題して、ブラジルの基礎データー、ボルソナロ新政権の政策及び政治基盤、今後のブラジル経済の見通し、メルコスールとの地域統合動向、外資点中国のビジネス展開、ブラジルに於けるスタートアップ企業の動向やブラジルでのビジネス展開などについて講演した。

BBBRグループの倉智隆昌CEOは、自社のコンサルタント事業やアプローチの紹介、ブラジル進出の体験談や今後の事業構想、ブラジルのマクロ経済、ブラジルの人口ピラミッド、地域別による所得格差によるビジネス展開、中南米に於けるブラジルのポジション、ブラジル市場の特色、アピールポイントやビジネスリスクなどについて説明した。

JETROアドバイザーの佐藤ジルセル弁護士は、「当地のビジネス形態の基本」について、ブラジルの一般的な企業形態、法人契約タイプとして、ロイヤリティ契約、販売代理店契約、販売店契約、国際売買契約に於ける日本とブラジルの商習慣の違いや注意項目、ビジネス環境改善では労働法や税制法の改正や今後の動向などについて説明した。

またJETROアドバイザーの上野マミ会計士は、「当地のビジネスに於ける税制の基本」について、ブラジルの政治制度と税制関係では、ブラジルは27州、5570市町村が存在、ブラジルには連邦税、州税、市町村税があり、非常に複雑で煩雑で早急な税制改革が急務であり、ボルソナロ政権は年内の税制改革進展に期待している。またビジネスオペレーションのタイプに応じた税率などについて説明した。

最後に三井住友海上ブラジルの長谷川晃シニアマネージャーは、「ブラジル進出に必要となる保健手配と注意点」について、進出時に必要となる主な保険として、自動車保険並びに火災保険、損害賠償保健、外航貨物保険・運送保健、健康保険・生命保険、ブラジルの保健の特徴としてブローカー制度、約款は全てポルトガル語、建値は原則レアル建て、再保険規制などについて説明。最後に野口泰総領事が閉会の挨拶を行った。

Pdf 第9回JICA連携調査団参加企業概要

左からJICAブラジル事務所の佐藤 洋史所長/JETROサンパウロ事務所の大久保敦所長/野口泰総領事/平田藤義事務局長

左から講演者の三井住友海上ブラジルの長谷川晃シニアマネージャー/BBBRグループの倉智隆昌CEO/JETROアドバイザーの上野マミ会計士/JETROアドバイザーの佐藤ジルセル弁護士

会議所活動を説明する平田藤義事務局長

 

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

中山マネジメント・パートナーズ株式会社の中山立夫代表取締役が毎年欠かさず訪問

ブラジル駐在中の2010年から2011年にかけ第16代会頭として当所の会頭を務め、栄転帰国後の2011年から毎年会議所を訪問している中山マネジメント・パートナーズ株式会社(NMPC)の中山立夫代表取締役は2020年1月31日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長と人工知能、ビッグデーター、スタートアップ、イノベーションテクノロジーなど多岐に亘って濃密な意見交換を行った。

2013年4月創業のNMPC社は、日本国内では自動車業界を中心に6社と顧問契約を結んでおり、また日本の高度成長期を支えた商社マンとして、海外勤務の長い経験を生かして海外6カ国(米国並びにブラジル、チリ、タイ、ベトナム、ミヤンマー)でコンサルタント事業を展開している。

Fujiyoshi Hirata e Tatsuo Nakayama

Fotos: Rubens Ito / CCIJB