昨年のブラジルスタートアップ企業への投資は27億ドル

スタートアップ企業と大企業が接点を持てるようにコワーキングスペースを提供するDistrito社の調査によると、2019年のブラジル資本のスタートアアップ企業への投資総額は前年比80%増加の27億ドルに達している。

昨年のブラジル資本のスタートアップ企業への投資案件数は前年比8.3%増加の260件に留まり、2017年の263件を下回ったにも関わらず、2017年の投資総額9億500万ドルの約3倍に達している。

昨年のブラジル資本のスタートアップ企業への投資総額27億ドルの約半分の13億ドルの投資はソフトバンク社、昨年のソフトバンク社は、市場価格が10億ドル以上のユニコーン企業になっているスタートアップ企業Gympass社並びにLoggi社、ブラジルの借主と大家を結び、アパート賃貸契約の締結を円滑化するモバイルアプリケーションで急成長しているQuintoAndar 社など9社に大型投資を行った。

ソフトバンクグループは、昨年11月上旬の2019年度決算発表で、投資先でシェアオフィス事業を手がけるWeWork(ウィーワーク)の経営不振を受け、470億ドルの評価で資金を調達したが、直近では80億ドル未満と評価されており、運営ファンドが巨額損失を計上したことを発表していた。

ソフトバンクグループの2019年7‐9月期決算は膨大な営業損失、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが保有する銘柄の未実現評価損失が同四半期末で大幅に拡大、中でもソフトバンク・ビジョン・ファンドの評価損計上に大きな影響を与えたのが、ライドシェア事業のウーバーの価値下落が大きかった。今年のソフトバンク社のブラジル国内投資は減少が予想されている。

昨年のブラジル国内のスタートアップ企業投資のうちフィンテック部門への投資案件は62件で投資総額は9億3,500万ドル、時価総額が100億ドルと見込まれているNubankへの投資は4億ドルに達していた。

昨年のフィンテック部門への投資総額は、デジタルバンク向け規制緩和やCadastro Positivoなどの要因で、前年の3億3,800万ドルを276%上回る9億3,500万ドルと飛躍的に増加した。

フィンテック部門への投資案件62件に続いて、小売部門への投資案件は31件、医薬品部門24件、リクルート部門18件、広報・宣伝部門18件、移動手段関連部門12件、農畜産部門10件、不動産関連部門への投資案件は8件となっている。(2020年1月25日付けエスタード紙)

行政改革は連邦公務員以外に地方政府公務員も対象

年金・恩給改革法案の上院議会での採決後すぐに行政組織の効率化と経費削減を目的とし、公務員の配置転換や免職を伴う行政改革の最終テキスト草案を国会に送る予定であったが、最終テキスト案の調整が遅れている。

連邦政府の財政責任法(LRF)で定められている支出総額の60%までに制限されている州政府公務員の給与総額限度を超えて、財政責任法(LRF)を果たしていない州政府は、リオ州を筆頭にミナス州、南大河州、アクレ州、北大河州、ピアウイ州、トカンチンス州、マット・グロッソ州、ゴイアス州、南マット・グロッソ州、ペルナンブーコ州の11州に達している。

ブラジルの公務員に対する支出総額はGDP比13.6%に達しており、カナダのGDP比12.4%、ポルトガル10.9%、米国9.5%、英国8.9%、メキシコ8.4%、コロンビアのGDP比7.3%の2倍近い支出となっている。

2008年の連邦政府の職員は53万2,000人であったが、2018年には34.0%増加の71万2,000人に増加、また2008年の連邦職員向け給与支出総額は448億レアルであったが、10年後の2018年には142.0%増加の1,087億レアルに達している。

パウロ・ゲーデス経済相は、連邦公務員のキャリアの見直し並びに公務員採用基準の見直し、新たに採用される連邦公務員に対する昇給や特典、解雇規則などの新規定を決める。

またゲーデス経済相は、特に連邦公務員が受けている特典として、有給休暇システムや各種特典、賞与など民間企業との格差が大きい特典の見直しを行う。また新規採用の連邦公務員の民間企業との給与格差、細分化されたキャリアに伴う昇給などの見直しを行う。

行政改革の最終テキスト草案には、有給休暇や賞与の見直し、憲法に照らし合わせたストライキ規則、連邦公務員の品行規則や評価規則、新規採用規則、上級公務員採用システム、連邦公務員の人事異動の柔軟性などの見直しが行われる。

また公務員の勤務期間に伴う昇給システムの見直しや定年退職時の最終サラリーの引上げ等の見直し、新規採用公務員の安定雇用の終焉並びに過渡期の現職公務員の安定雇用規則の見直し、117段階に達する職務階級の見直し、自動昇給の見直し、短期動労契約の規則制定、連邦公務員と民間企業の給与格差の短縮などが検討されている。(2020年1月27日付けエスタード紙)

ボルソナロ政権の初年度の正規雇用は過去6年間で最高

就労・失業者管理センター(Caged)の発表によると、2019年の労働手帳に記載される正規雇用総数は64万4,079人を記録、雇用総数は1,619万7,094人、解雇総数は1,555万3,015人であった。

昨年の正規雇用総数64万4,079人の部門別雇用では、サービス部門の正規雇用総数は38万2,525人、続いて商業部門が14万5,475人、建設業部門は7万1,115人、製造業部門1万8,341人、農畜産部門1万4,366人、鉱業部門5,005人、公務員部門は822人となっている。

2019年12月の商業部門の正規雇用は30万7,311人のマイナスを記録、米国の習慣を採用した毎年11月第4木曜日に催される感謝祭(Thanksgiving Day)翌日のブラジルでのブラックフライデー商戦やクリスマス商戦向けの短期臨時雇用の解雇が牽引して大幅なマイナスを記録している。

ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ政権初年度の2003年の正規雇用は、82万5,133人とフェルナンド・エンリケ・カルドーゾ政権終わりの2002年の97万5,000人から減少していた。

またジウマ政権初年度の2011年の正規雇用は、194万4,000人とルーラ第2次政権終わりの2010年の254万3,000人から60万人の正規雇用の減少を記録していた。

ジウマ第2次政権初年度の2015年の正規雇用は、ブラジル国内の経済リセッション突入でマイナス154万2,000人と過去最悪を記録、2016年もマイナス132万1,000人、テーメル政権の2017年はマイナス2万人、漸く経済リセッションから脱け出した最終年の2018年は52万9,000人を記録していた。(2020年1月25日付けエスタード紙)

SEBRAE(零細・小企業支援サービス機関)と意見交換

 2020年1月27日、サンパウロ州SEBRAE(零細・小企業支援サービス機関)本部を平田藤義事務局長が訪問した。チルソ・デ・サレス・メイレレス(Tirso de Salles Meirelles)評議員会議長、オジエル・エステヴォン(Oziel Estevão)評議員会事務局長ならびにレナト・フォンセカ・アンドラーデ(Renato Fonseca Andrade)議長補佐官らに迎えられ意見交換を行った。会議所からは日下野成次総務補佐が同行した。

 メイレレス議長は現在世界各国に同機関の専門家を研修の為に送りむなど直近の取り組みなどについて語り、また、同機関が主催する起業家見本市(Feira do Empreendedor)、以前実施していた在日ブラジル人就労者の帰国・起業支援プログラムの再復活の重要性等について説明した。

 平田事務局長は2014年浜松市にて開催されたブラジル経済セミナーで行った講演の準備の為、SEBRAEで同じように意見交換を行った事を回想、同市に存在する多数の中小企業にとってもブラジルは大きなポテンシャルを秘めており、また日本は4百万の中小企業があるのに対し、ブラジルには8百万余の中小・零細企業がありブラジル企業にとっても日本企業との連携や今後の具体的なビジネスマッチングに繫げて行くかが今後の課題となる事で認識を共有した。

 また、会議所紹介ビデオを披露した後、メイレレス議長に平田事務局長が「あとがき」を寄せた文庫本『世界が感謝!日本のもの』のポルトガル語版を贈呈。中小企業が保有する高度な技術をブラジルに導入(日本からの中小企業進出促進:目標150社)、競争力・生産性を高め、併せて雇用の拡大を以てブラジルの発展に貢献することを目指してこの書籍はブラジルでも刊行された。

 平田事務局長は世の中を一変するイノベーションやスタートアップ起業の成功確率は極めて低いのが現状で、その起業家の育成および支援協力は国家的な課題だと前置き、この書籍が選ぶ97種の確立された既存技術やその他のハイテク分野の企業とパートナー関係を早期に構築して行く事が、競争力を高めさらなる国際市場参入への鍵となる事を強調した。

 最後にメイレレス議長を4月の会議所定例懇親昼食会へ招待し、同時に快諾を得た。今後、SEBRAE側は日本との連携について企画を考案することになり適時会合を再び行う事で合意した。

平田事務局長とメイレレス評議員会議長

( Fotos: Câmara Japonesa)

奥原常嗣文協副会長が訪問

奥原常嗣文協副会長並びに中島エドアルド事務局長が2020年1月24日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長に2月17日午後6時30分から文協で開催される青年会議所(JCI)後援による「SoftBank e Inteligencia Artificial」セミナーを案内、また2020年度の文協エベントカレンダーパンフレットを贈呈した。講演はソフトバンク・イノヴェーションファンドのフェリッペ・フジワラ副社長及びBoston Consulting Groupのフラヴィア・タケイ共営取締役。

 

Foto: Rubens Ito / CCIJB

回章 CIR-014/20   運輸サービス部会開催のご案内

                            CIR-014/20
                            2020年1月24日
運輸サービス部会会員各位
                            ブラジル日本商工会議所
                            運輸サービス部会長 宮川 俊介
 
            運輸サービス部会開催のご案内
 
いつも運輸サービス部会活動にご協力を賜り誠に有難う御座います。
 
本年度上期業種別部会長シンポジュームが2020年3月5日(木)に開催されます。
 
議題: シンポテーマ「2019年の回顧と2020の展望」
副題:  『ビジネス環境改善に期待、いま為すべきこと』

1.発表資料作成の為、下記の日程にて運輸サービス部会を開催致しますので ご参加の程宜しく御願い申し上げます。
 
開催日時:    2月3日(月)9:00-11:00
         シンポジューム資料作成
場所 :      ブラジル商工会議所大会議室
(Av.Paulista,475 13o.and.- Sao Paulo/SP)
 
ご参考のため、前回の発表資料(PDF)を添付しました。
 
1月31日(金)までに添付資料に御社のご意見、業界動向等を記載して事務局カリーナまで( secretaria@camaradojapao.org.br )送付願います。
エクセル版フォーマットを添付しますが、必ずしもこのフォーマットにこだわる必要はありません。独自のフォーマットで提出いただいても結構です。
 
多くの皆様のご意見と参加をお待ちしております。
 
2.第二回目の会議開催を下記日程にて組んでおりますので、ご計画の程重ねて御願い申し上げます。

第二回目会議 2月7日(金)9時00~11時00。
 
参加人数把握の為、2月3日の会議参加の可否を1月31日までに事務局カリーナあて( secretaria@camaradojapao.org.br )連絡願います。

                                以上

 

ゲーデス経済相は、健康阻害に繋がる「悪習慣」税を検討

パウロ・ゲーデス経済相は、ノルウェーが1922年から採用している清涼飲料税のように、青少年の肥満や糖尿病などの健康阻害、曳いては国家の医療費向け歳出に繋がるタバコ並びに清涼飲料水、甘味加工食品などに対する「悪習慣」税の検討を行っている。

今月21日からスイス東部のダボスで開幕しているダボス会議と呼ばれる世界経済フォーラム(WEF)の年次総会に参加しているパウロ・ゲーデス経済相は、ブラジル帰国後すぐに、砂糖使用の食品や飲料の課税を早急に決めると強調している。

現在上院議会で議論されているLuis Carlos Hauly元下院議員の憲法修正案PEC110/2019年による税制改革案の甘味料使用の加工食品に対する工業製品税(IPI)の変更を考慮している。

ヨーロッパ諸国では世界的に増加傾向にある肥満や糖尿病への対策として、砂糖を多く含む清涼飲料への課税強化を実施、数年前からヨーロッパ諸国では清涼飲料水1缶につき平均0.064ユーロを徴収、課税率が最も高いのはノルウェーで英国、フィンランドが続いている。

現在のタバコ並びに飲料に対して工業製品税(IPI)、社会統合基金(PIS)並びに社会保障賦課金(Cofins)として課税されているが、健康阻害に繋がる「悪習慣」税として、甘味料添加されている食料や飲料水に対する課税を検討している。

上院議会の税制改革委員会では、アルコール飲料並びにタバコ、自動車、通信、電力エネルギー、石油・天然ガスなどに対して、セレクション税としての税率検討が行われている。

しかし家庭の所得が低くなるほど消費量が増える健康阻害に繋がる「悪習慣」のアルコール飲料並びにタバコ、清涼飲料水、甘味加工食品に対する税率の引上げは、低所得層を直撃する課題も残されている。(2020年1月24日付けエスタード紙)

昨年の国庫庁の歳入総額は過去5年間で最高

昨年は緩やかな経済回復並びに連邦公社の関連子会社の資産売却などが牽引して、2019年の国庫庁のインフレ指数を差引いた実質歳入総額は、前年比1.69%増加の1兆5,370億レアルに達して、過去5年間で最高を記録している。

また2019年12月の国庫庁の歳入総額は、前年同月比0.08 %減少の1,475億100万レアルに留まったが、2020年の国庫庁の歳入は今年のGDP伸び率が2.4%増加予想、また緩やかな景気回復に伴って消費者並びに投資家の景況感回復に伴って、昨年以上の増加が期待されている。

2019年の一般会計歳入総額は前年比1.71%増加の1兆4,760億レアル、連邦公社の資産売却やロイヤリティ収入などの臨時歳入総額は、1.28%増加の610億レアルを記録している。

2019年の法人所得税(IRPJ)並びに純利益に対する社会納付金(CSLL)は、緩やかな国内経済の回復に伴って、一般消費並びに製造業部門生産、輸入製品増加に伴って、前年比11.09%増加の2,599億3,000万レアルと二桁台の伸び率を記録していた。

また昨年のサラリーマンなどの源泉徴収個人所得税総額は、前年比4.29%増加の1,307億9,900万レアル、個人所得税(IRPF)は11.07%増加の400億1,700万レアルを記録。金融取引税(IOF)は、低金利に伴ってリスクの高い株やマルチファンド投資増加によるキャピタルゲイン増加で、前年比8.44%増加の417億200万レアルであった。

法人所得税(IRPJ)並びに純利益に対する社会納付金(CSLL)が前年比11.09%増加の二桁増加の一因として、中銀によるブラジル再保険院(IRB Brasil Re)の持株放出が寄与している。

またペトロブラスによる傘下のTransportadora Associada de Gas(TAG)の株式の90%をフランス資本Engie社並びにカナダの年金ファンドCaisse de Depot e Placement du Quebec(CDPQ)で構成されるコンソーシアムに86億ドルで売却、Transportadora Associada de Gas(TAG)の株式放出も国庫庁の歳入増加に寄与していた。(2020年1月24日付けヴァロール紙)

昨年の二輪車販売は低金利とクレジット拡大で好調に推移

マナウスフリーゾーンの二輪車メーカー10社が加盟するブラジル二輪車メーカー協会(Abraciclo)の発表によると、2019年の二輪車生産は継続した政策誘導金利(Selic)の引下並びに与信緩和に伴うクレジット部門拡大で、前年比6.8%増加の110万8,000台を記録した。

昨年の二輪車販売に対する支払い形態では、クレジットは歴史的な低金利が寄与して43.90%と大幅に増加、現金払いは33.0%、コンソルシオ支払いは23.1%を占めていた。

ブラジル国内の二輪車生産はピーク時の2008年の230万台から減少を記録、経済リセッションの影響を受けた2017年の二輪車生産は、ピーク時の約1/3に相当する88万2,900台まで減少したが、その後の景気回復に伴って2017年9月から生産は上昇を続けている。

昨年の二輪車のブラジル国内販売は前年比14.8%と二桁増加の107万台を記録した一方で、輸出の大半を占めるアルゼンチンの為替危機の影響で、前年比43.3%減少の3万8,600台まで落ち込んでいる。

昨年の二輪車の輸出はアルゼンチン向けが47.2%でトップであったにも拘らず、例年のアルゼンチン向け輸出比率の平均70%から大幅に減少。2位は米国向けで19.3%、3位はコロンビアで14.8%を占めている。

2020年の二輪車生産は前年比6.1%増加の117万5,000台が予想、今年の二輪車販売は5.8%増加の114万台とブラジル二輪車メーカー協会(Abraciclo)では予想している一方で、アルゼンチン経済の回復遅れが牽引して、今年の二輪車輸出は27.5%減少の2万8,000台まで落ち込むと予想している。

2019年12月の二輪車生産は、毎年恒例の年末の製造ライン従業員の集団休暇採用で前月比25.8%減少の6万9,000台に留まったが、前年同月比では1.8%増加している。

2019年の二輪車販売のマーケットシェア比較では、ホンダは80%と圧倒的なマーケットシェアを維持しており、2位にはヤマハが14.0%を確保、3位にはBMWが0.8%を占めていた。マナウスフリーゾーンの二輪車メーカーの直接雇用の従業員数は1万2,300人となっている。(2020年1月24日付けヴァロール紙)