通貨政策委員会はSelic金利を据置く

通貨政策委員会(Copom)は、前月まで18回連続で切下げられていた政策誘導金利(Selic)を、国内消費需要が旺盛で今年10ヶ月間の鉱工業伸び率が5.9%増加、設備稼働率も82.8%まで押上げており、またインフレが目標値に近づいてきているために、前月に続いて満場一致で11.25%の据置きに決定した。

来年も国内消費の過熱及びインフレ懸念に対応するために、通貨政策委員会は引続き金利の据置きを継続すると見込まれているが、国際経済シナリオでは、米国経済の住宅価格低下に端を発するリセッションを45%近くのエコノミストが予想、また石油価格や食料品価格高騰などの要因で、世界経済が不安定になる可能性も否定できない。

世界のインフレ分を差引いた実質金利では、トルコが8.2%でトップ、ブラジル7.0%、オーストラリア4.6%、メキシコ4.0%、フィリピンが3.9%、個人向け銀行金利は月利5.24%、年利84.57%、口座借越残金利は7.64%、141.93%、クレジットカードは10.34%、225.68%、法人向け金利では運転資金が3.90%、58.27%、小切手割引3.66%、53.93%となっている。(6日付けエスタード紙)

10月の鉱工業生産は4年ぶりの成長率を記録

好調な国内消費需要のシナリオで、10月の鉱工業部門の伸び率は、前月比2.8%増加と2003年以来4年ぶりの伸び率を記録、前年同月比では10.3%、今年10ヶ月間の伸び率は5.9%を記録、また国内需要増加に対応するための設備投資、耐久消費財及び年末商戦向けストックがそれぞれ増加している。

10月の鉱工業部門の伸びは、前月比7.0%、前年同月比29.5%、今年10ヶ月間では14.3%とそれぞれ大幅に増加した自動車工業、低額長期ローン及び雇用増加で耐久消費財が前月比1.4%、前年同月比18.2%それぞれ増加している。

10月の資本財の前年同月比の伸び率は26.8%、今年10ヶ月間では18.8%とそれぞれ増加、中間財は8.8%、4.7%、非耐久消費財は5.9%、3.4%とそれぞれ増加している。

また最終12ヶ月間の資本財の伸び率は16.9%、耐久消費財7.4%、鉱工業生産5.3%、中間財4.3%、非耐久消費財は3.0%といずれも増加している。(6日付けエスタード紙)

岡本行夫元首相補佐官の国際問題の講演会に100人以上が参加

コンサルタント部会(渡邉裕司部会長)並びに異業種交流委員会(安部勇委員長)共催で、小泉内閣でイラク担当の首相補佐官を務めた国際問題専門家で政府関係機関や企業へのアドバイス、執筆や後援などに幅広く活動する岡本行夫氏の講演会「福田政権の課題、日本の技術の将来」と題して、12月3日午後4時からサンパウロ総領事館多目的ホールに100人以上が参加して開催された。

司会は平田藤義事務局長が務め、初めに西林万寿夫総領事が岡本氏の略歴を紹介、11月28日の産経新聞に、新テロ対策特別措置法案の成立が困難を極めている折、海上自衛隊によるインド洋での補給活動の必要性を強く訴える寄稿文が掲載されたと紹介して、講演会は始った。

岡本国際問題アドバイザーは「福田政権の課題、日本の技術の将来」と題して、政権と技術の行く末を結びつけて、福田政権を取巻く環境は、小泉首相と中曽根首相がそれぞれ5年間政権を担当したが、それ以外の最近の首相では1年から3年ぐらいと短命であったが、日本国民は小泉首相や安部首相の積極型政治に疲れており、歴代4位の支持率で出発した、癒し型の福田首相になってほっとしている。

福田首相はバランス感覚が優れており、コンセンサスができるまでは慎重を期するが、一旦決定するとその考え方を押通すしっかりした人物であり、海外要人との会談でも上手く乗切っているが、小泉首相は好き嫌いがはっきりしていた。

衆院通過した海上自衛隊によるインド洋での給油活動の再開に向けた、新テロ対策特別措置法案は参議院に送付されたが、参議院で大多数の議席を握っている最大野党民主党は反対姿勢であり、法案の否決は必至、一方、参院外交防衛委員会では航空自衛隊をイラクから撤収させるために、民主党提出のイラク復興支援特別措置廃止法案は、野党の賛成多数で可決されたが、衆院では否決か廃案になると予想され、国会がねじれており、世界が激動している時に、イニシアチブをとった政治ができていないのが現状である。

今年の7月の参議員選挙では小泉首相が進めた規制緩和で、診療報酬の低下したために、日本医師会推薦の武見敬三議員、薬価基準低下で藤井基之議員などが落選、自民党は早急にテーゼを打ち出さなければならないが、野党の民主党は無責任に批判していればよい。

岡本アドバイザーは、アフガニスタンでは世界のアヘンの93%を生産、国は軍閥が割拠しており、破綻国家となったアフガニスタンでは、テロリストが本拠地にして、タリバンやアルカーイダなどのテロが麻薬をイエメンなどに運び、武器を持ち帰っているために、テロリストのインド洋横行を阻止する必要があり、10カ国を超える海軍の艦船がインド洋をパトロール、日本は最も安全な活動であるこれらの艦船に6年間、洋上給油活動を続けてきたが、テロ特措法は失効して、給油活動を停止して自衛隊が帰国、国際世論から叩かれている。

アルカーイダの基本的考えは「世界を預言者ムハンマドのいた7世紀の時代に戻すべきだ」であり、ムハンマド以降の1300年間に人類が築いてきた文明は不純物であり、アルカーイダが破壊しようとしているのは先進国の全ての文明であり、アフガニスタンは文明がテロから自衛する闘争であると強調した。

アフガニスタンでは先進国20カ国が、アルカーイダ・タリバン掃討作戦にあたる超危険な「不朽の銃作戦(OEF)」に軍隊を派遣、37カ国は危険性の高い国内治安維持の国際治安支援部隊(ISAF)本隊業務、また27カ国は危険性のある地方復興チーム(PRT)、7カ国は安全なインド洋海上阻止活動(MIO)にそれぞれ派遣しているが、日本は40カ国の誰もが羨むいい役回りであった、超安全な洋上給油活動を野党が「武力行使と一体」と主張して、日本を国際チームから引離した。

また陸上自衛隊はイラクのサマワで学校、病院や道路補修で住民に感謝され、全員が無事帰国したが、自衛隊が行なったような綺麗な仕事はどの国も担当したがっているが、人道支援の前にイラク市民の安全確保のためには、各国の部隊は鉄砲を持って街角に立っている。

小沢一郎氏は洋上給油を止めて、もっと危険な国際治安支援部隊(ISAF)への参加を支持、日本は治安維持の一翼を担うべきであるが、本隊業務が危険すぎるのであれば、例えば輸送支援であり、航空自衛隊がバグダッドからエルビスに物資と人員を搬送しているが、加えてクエートからカブールまで飛べば、立派なISAF参加になると提案した。

国会は守屋前防衛事務次官をめぐる重大疑惑で揉めており、新テロ特別措置法案成立は益々難しくなってきたが、インド洋に補給艦を戻して、国連からも要請されている補給活動の再開、海上自衛隊の存在はパキスタンを経て、アジアに向かってきているテロリストの移動を海上阻止する効果があり、アジアの平和に貢献でき、海上自衛隊のように豊富な艦船群と能力を国際協力に回せる国は殆どない。

中国共産党は最高指導部の政治局常務委員に「第5世代」の習近平(54)、李克強(52)両氏を抜擢、事実上「ポスト胡錦濤」の候補者に指名されたが、次の2012年の党大会では、全員第5世代か6世代になっており、欧米に留学した年代で流暢に英語を操り、態度が洗練させているが、一昔前の中国要人は世界の田舎者であったが、最近10年間では、中国要人などのプレゼンテーションが目に見えて上手くなっており、2017年には中国は世界のリーダー国になっており、日本は国際舞台での存在が薄くなる。

それに反して1,000人ぐらいいるシリコンバレーの日本人は、日本語のコミュニティネットを整備しているために英語が自由に使えなく、米国人コミュニティとは付き合わないが、中国人留学生の知識欲はものすごい。

日本では正規雇用とパートとの賃金格差が広がっており、また大企業はコスト削減で力を付けてきているが、中小企業は元気がなく、日本では東京、愛知及び近畿の一部の商業地区でしか、地価上昇しているに過ぎず、地方都市の商店街の衰退は目を覆うほどである。

また日本企業の特許申請は年間3万6,000件で、米国の8万件には及ばないが、中国企業の申請件数は僅か、世界中で高齢化社会がやってくるが、女性でも一人で介護できるシステムやロボットの開発、また高齢化社会を先取りしたトヨタの一人乗りカー開発、無人運行電車のゆりかもめ、新幹線技術、特に地下の利用で洪水対策、ナノテク、ハイブリッド、水素の研究など素晴しい技術を擁しており、中小企業では手作り、匠の技などで世界シェアを握っている企業も顕在であり、水族館のアクリルパネル生産では、NIPPURA社が世界シェアの過半数を握っており、日本の技術力の高さを強調して講演を終え、質疑応答では靖国神社参拝、戦争責任、衆議院選の行方、オリンピック後の中国経済の行方、ブラジル在住日本人への老齢福祉年金などについて質問が交わされ、田中信会頭より記念のプレート贈呈が盛大な拍手でもって行なわれた。

 

講演中の岡本行夫アドバイザー

田中会頭/記念プレートを持つ岡本アドバイザイー/西林総領事

ダイフクの竹内章詞国際業務部長が訪問

マテリアルハンドリングによる物流ソリューション(物流システムや搬送システムなど)のトップメーカーで大阪に本社を置くダイフク社の竹内章詞国際業務部長が12月5日に商工会議所を表敬訪問、自動車業界などが好調なブラジル経済の実態調査に来伯、平田藤義事務局長とブラジルの政治や経済の動向について意見の交換を行なった。

平田事務局長/ダイフクの竹内国際業務部長

マリンガの日本公園関係者が冊子の贈呈で訪問

12月5日に日本移民100周年祭記念のパラナ州マリンガ市の日本公園プロジェクトのチーフマネージャーの吉井クリスチーナ氏、ボランティアのグスタヴォ・ゴイス氏及びマルコス・ゴイス氏が日本公園の造成状況を説明、またシルビオ市長、兵庫県加古川市の樽本庄一市長及び地元パラナ州のルイス・ニシモリ州議のメッセ−ジの付いた立派に制作された日伯両語の冊子を平田藤義事務局長に贈呈、商工会議所の同プロジェクトに対する支援に対して丁寧にお礼を述べた。

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左からボランティ活動を続けるグスタヴォ・ゴドイ氏/吉井クリスチーナ主任マネージャー/マルコス・ゴイス氏

電話サービスが2年連続で消費者苦情トップ

昨年に続いて電話関連部門の消費者苦情がトップとなり、セルラーメーカー6社、セルラー通信事業会社2社、アフターサビス2社などが苦情トップ20社にランク入りしていると、消費者保護センター(Procon)の調査で判明している。

セルラーメーカーではBenq社が6.09%でトップ、ノキア4.49%、GE4.03%、LGが2.86%で多く消費者の苦情を抱えているが、メーカー側では販売増加による苦情の増加、アウトソーシング移行期の苦情増加を挙げているが、最も多い苦情はワランティ以内の無償パーツ不足であった。

最も多い苦情は固定電話やインターフォンで38.28%、セルラーが9.11%、DVD6.02%、テレビやビデオカセットは3.30%、地域別では北東地域が43%、中西部25%、北部17%、南東部13%、南部地域が2.0%であった。

製品に対する苦情は67.01%であったが、水道、電力や電話料金徴収に対するサービス関連の苦情、金融関係ではクレジットカードや銀行サービス手数料などに対する苦情が多い。(5日付けエスタード紙)

製造業の設備稼働率と労働時間が増加

好調な内需で10月の製造業の設備稼働率は、2003年以来の82.8%とフル操業に達しており、また製造ライン労働者の労働時間も増加しており、第4四半期は更に増加すると見込まれている。

10月の製造ラインの労働時間は前月比0.8%、前年同月比6.3%とそれぞれ増加、生産額は0.3%及び8.2%とそれぞれ増加して、全国工業連合(CNI)の予想を上回っている。

今後も好調な内需の継続と設備稼働率がピークに達してきており、新たな需要に対応するために、設備投資用機械・装置の導入が自動車業界、食品・飲料業界で行なわれると予想されている。

また鉱工業の製造部門の増加に伴って、今年10ヶ月間の雇用は前年同期比3.7%増加、来年の鉱工業部門は今年に続いて好調を維持すると見込まれている。(5日付けエスタード紙)

11月の自動車販売は31%増加

11月の新車や数年使用の中古車を含む自動車販売は実質営業日が減少したために、前月比では5.77%減少したにもかかわらず、40万1,444台を売上げて11月の月間記録を塗り替えたと、全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)では発表している。

また今年11ヶ月間の自動車販売は、384万9,881台で前年同期比30.37%、11月は前年同月比30.99%それぞれ増加、来年は20.85%増加の510万台の販売を予想している。

来年の新車販売は19.05%増加の281万1,159台が見込まれており、トラックは19.54%、バス14.83%、農業用機械は18.78%とそれぞれ大幅な販売が見込まれているが、自動車生産能力はすでに350万台に達している。(5日付けエスタード紙)

ダウケミカルはブラジルの2工場を閉鎖

米国資本のダウケミカル社はコスト削減のために、世界中で工場閉鎖やリストラを断行するが、ブラジルではバイア州カマサリの塗料原料工場を年末に閉鎖する。

更にバイア州の化粧品原料工場のアラツ工場を閉鎖、総数1,000人の従業員をリストラして、5億ドルから6億ドルのコスト削減を図る。

しかしブラジルでの事業は継続するが、今後はジョイントベンチャーで収益率の高いニッチ市場への進出を図る予定で、今年上半期にユニオン石油化学(PQU)から資金を引揚げ、そのすぐ後に、アルコールコンビナートをCrystal-sev社と共同で建設すると発表している。(5日付けエスタード紙)

世界の大手鉄鋼会社がJ.Mendes鉄鉱山入札に参加

独立鉄鉱山としては世界最大級のミナス州のJ.Mendes鉄鉱山の入札が発表され、 世界最大の鉱業会社BHPビリトン、2位のヴァーレ・ド・リオドーセ、世界最大の鉄鋼会社アルセロール・ミッタル、CSN製鉄、ゲルダウやウジミナスは、 月末に行なわれる入札に参加するが、落札企業発表は来年1月が予定されている。

J.Mendes鉄鉱山の入札では、鉄鉱価格が高止まりしているが、中国の巨大な需要で、今後も鉄鉱石価格が高騰すると見込まれており、また大手鉄鋼会社も資源確保に躍起になっており、落札価格は25億レアルを上回ると見込まれている。

CSN製鉄はミナス州に大鉄鉱山カーザ・デ・ぺドラ鉱山を擁しているにも関わらず入札に参加、ミッタル、ゲルダウ、ウジミナスは鉄鉱石確保を目的に参加する。

J.Mendes鉄鉱山の鉄鉱石は、市場価値が高いsinter-feedと呼ばれる火山弾のような形状をした鉄鉱石で、現在、年間600万トンの生産さ れており、同鉄鉱山は鉄鉱石埋蔵が計り知れないセーラ・アズール地域にあるが、殆ど開発の手が入っていない。(4日付けエスタード紙)