今年初め10日間の市町村向け交付金は10.7%減少

連邦政府は地方自治体の歳入格差を少なくするために、連邦税の一部を財政基盤の弱い自治体に配分して、自治体間での財政格差を補うことが目的の都市向け交付金ファンド(FPM)の分配比率は軍事政権時代から変更なく継続しており、早急な分配率の是正が必要となっている。

2020年1月1日から10日までの連邦政府から市町村向け交付金総額は、前年同期比10.74%減少の35億1,000万レアルに留まっており、各市町村の市長は今後の交付金分配を憂慮している。

連邦政府による市町村向けの交付金は、連邦税の所得税(IR)並びに工業製品税(IPI)の24.5%が分配率となっており、今年初め10日間の交付金減少は昨年12月21日から31日の所得税(IR)並びに工業製品税(IPI)による歳入減少の結果であった。

2018年の連邦政府による市町村向けのインフレ指数を差引かない名目交付金総額は1,017億レアル、2019年は前年比8.94%増加の1,108億レアル、今年は6.03%増加の1,174億8,000万レアルが見込まれている。

都市向け交付金ファンド(FPM)は、地方自治体の収入の格差を少なくする目的で、軍事政権の1965年に創設されたにも拘らず、50年以上に亘って放置されていた経緯があった。

ブラジル全国の5337都市は国庫庁にバランスシートを提示しているが、46%に相当する都市は平均以下の交付金の至急に甘んじており、特に歳入の大きな裕福な州の人口の少ない都市への分配率が高い。

都市向け交付金ファンド(FPM)からの平均以上の交付金を支給されている都市は854都市で特に南部地域並びに南東部地域、中西部地域に集中、北部地域並びに北東部地域の都市は平均以下が大半を占めている。(2020年1月14日付けヴァロール紙)

建材メーカーでは今年の建材販売は前年比4.0%増加予想

ブラジル建設材料工業協会(Abramat)並びにジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)の共同調査によると、2020年の建材販売はサンパウロ市の住宅並びに商業部門向けが牽引予想、また下半期からインフレ整備プロジェクト入札開始などの要因で前年比4.0%増加を予想、昨年の建材部門販売は前年比2.0%増加を記録していた。

Abramat協会のロドリゴ・ナヴァーロ会長は、昨年12月の今年の建材販売予想は2.5%増加予想であったものの、今年の建設不動産部門のGDP伸び率が3.0%増加の上方修正に伴って、4.5%増加の可能性も否定していない。

ジャイール・ボルソナロ新政権による新社会保障改革の国会通過やコントロールされているインフレ指数、更なる引下げ予想の政策誘導金利(Selic)、金利低下の住宅ローン拡大、上下水道の規制緩和政策、現役サラリーマンの勤続期間保障基金(FGTS)預金や凍結預金の先払い政策導入、積極的な連邦公社の民営化、国内経済活性化のためのインフラ整備部門の入札案件増加などの要因で、今後の建築資材関連販売は大幅な増加が期待されている。

2020年の建材販売は個人住宅向け基礎建材販売が牽引するとナヴァーロ会長はは予想、ラヴァ・ジャット汚職事件によるゼネコン企業の壊滅的なダメージ並びにブラジルが経済リセッションに突入した2015年の建材販売は前年比マイナス7.2%、経済リセッション真っただ中の2016年はマイナス13.5%、2017年はマイナス3.1%を記録していた。

しかしブラジル国内経済が回復しだした2018年の建材販売は、前年比1.0%増加の1,840億6,000万レアル、2019年の伸び率は2倍の2.0%増加、今年は更に倍増の4.0%増加が見込まれているにも拘らず、2010年~2011年の建材販売の水準には程遠い。

2019年のブラジルのセメント業界の販売は前年比3.5%増加の5,450万トンを記録したが、今年は住宅建設向け建材販売以外に、中央政府や地方政府によるインフラ整備プロジェクト再開が期待されている。(2020年1月14日付けヴァロール紙)

ペトロブラスはパラナ州の化学肥料工場(Fafen)を閉鎖か

ペトロブラス石油公社は、負債軽減と収益増加を目的に石油・天然ガス開発のコア事業に資本集中するために、広げすぎたポートフォーリオ事業の清算を積極的に行っており、国内外のコア事業以外の資産売却を進めている。

ペトロブラスは、1,000人の従業員を擁するパラナ州アラウカリア市の化学肥料工場(Fafen)を事業編成のために売却を進めていたにも関わらず、買収を希望する投資家がいないために、化学肥料の生産工場閉鎖を余儀なくされると見込まれている。

今後12年間に亘って赤字計上が予想されているバイア州並びにセルジッペ州の2カ所の化学肥料工場(Fafen)の操業停止で、冬眠入りでコスト削減を図るが、希望者には他州への配置換えを提供していた。

しかしペトロブラスは明日15日にパラナ州アラウカリア市の化学肥料工場(Fafen)の閉鎖計画を発表するが、従業員の他州への配置換えは行われないと予想されている。(2020年1月14日付けエスタード紙)

2019年11月のサービス部門生産は前月比マイナス0.1%

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間サービス部門調査(PMS)によると、2019年11月のサービス部門のGDP伸び率は、前月比マイナス0.1%と9月並びに10月の2.2%の累計増加から一転してマイナスを記録している。

また昨年11月のサービス部門のGDP伸び率は前年同月比1.8%増加、今年初め11カ月間では0.9%増加、11月の過去12カ月間では0.9%増加している。

昨年11月のサービス部門のGDP伸び率は、前月比マイナス0.1%を記録した要因として、輸送・輸送補助サービス・郵便サービス部門はマイナス0.7%、陸上輸送サービス部門はマイナス1.6%、倉庫・輸送補助サービス部門はマイナス1.1%を記録していた。

また前記同様に航空輸送サービス部門はマイナス3.3%、宿泊・食事など一般家庭向けサービスは、前月の1.5%増加から一転してマイナス1.5%、情報・通信サービス部門は前月の1.7%増加からマイナス0.4%を記録している。

今年初め11か月間の宿泊・食事など一般家庭向けサービスは3.3%増加、情報・通信サービス部門は3.3%増加、輸送・輸送補助サービス・郵便サービス部門はマイナス2.6%となっている。(2020年1月14日にブラジル地理統計院(IBGE)サイトから抜粋)

回章 CIR-003/2020   第五回イノベーション研究会開催

                          CIR-003/2020
                          2020年1月13日
イノベーション研究会の皆様
                          ブラジル日本商工会議所
                          イノベーション・中小企業委員会
                          委員長 大久保 敦
 
平素より大変お世話になっております。
 
以下の通り、第五回イノベーション研究会を開催することになりましたので、お知らせいたします。
 
               第五回イノベーション研究会
 

日時:1/29(水) 9時半-12時
場所:Inovabra (住所 Av. Angélica, 2.529 – Bela Vista – São Paulo/SP)
集合:当日9時20分に受付へ集合(RG、RNEなど、身分証明書をご持参願います)
お申し込み先: 企業(団体)名と氏名を英語か葡語でブラジル日本商工会議所事務局  secretaria@camaradojapao.org.br (cc: keiskumagai@deloitte.com (デロイト熊谷))へ送信ください。(1社あたり複数名の参加でも構いません)
言語:英語
 
要旨:これまでの研究会イベントを踏まえ、実際にスタートアップと協業する上での実務的な道筋を議論します。
前半は「データ経済」をキーワードに、スタートアップとの協業の成功のポイントを探ります。後半はセクター別(フィンテック、ヘルスケア、モビリティの3つを予定)に掘り下げ、セクターごとに小部屋に分かれ、より具体的なセッションを行います。
CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)設立やスタートアップとの協業をサポートしているデロイトのメンバー及び各セクターの専門家が議論をリードし、参加者との双方向のディスカッションを行います。
(当日の内容が多少変わる場合もありますこと予めご了承ください)
 
参加のご検討を頂き、お申込み頂けますと幸いです。
 
内容に関するご質問・ご意見等がございましたら、下記メールアドレスにご連絡頂ければ幸いです。
デロイト池谷、熊谷
yuikegaya@deloitte.com, keisukumagai@deloitte.com
(CC:ジェトロ・サンパウロ Yuki_Furuki@jetro.go.jp 担当:古木)
                                      以上
 

 

中国企業は公社民営化やコンセッションでブラジルに再上陸か

2018年の大統領選挙キャンペーン中のボルソナロ候補は、「中国はブラジル国内の企業買収ではなく、中国はブラジルを買っている」と中国企業による基幹産業部門買収を警戒していた経緯があった。

しかしボルソナロ大統領は、大統領就任後に一転して中国企業に対して投資歓迎を謳っており、今年は連邦政府主導による公社民営化や大型インフレ整備向けコンセッションが目白押しとなっている。

特に中国企業は、2005年から電力エネルギー部門を中心にブラジル国内の基幹産業部門に対して、ハイリスク・ハイリターンにも関わらず、積極的に企業買収などで総額570億ドルに達する投資を継続しているが、2017年の電力部門を中心に90億ドルを投資していた。

しかし2018年は大統領選挙を控えて、ボルソナロ候補の中国政府に対する否定的な発言、昨年はボルソナロ新政権による公社民営化やコンセッション向け投資が停滞、中国企業の投資は70%減少の30億ドルまで落ち込んでいた。

ブラジル中国企業評議会(CEBC)のエドアルド・セントラ取締役は、今年の中国企業のブラジル国内の対内直接投資は70億ドルに上昇すると予想、今年の中国企業のブラジルへの投資は、アンゴラ並びに南アフリカ、モザンビークで行った道路や鉄道、水力発電所建設と同様の投資を見込んでいる。

サンパウロ州内の2,800万人向けに上下水道設備を提供する売り上げが160億レアルのサンパウロ州水道公社(Sabesp)の持株の50.3%はサンパウロ州政府であり、時価総額が400億レアルと見込まれている株式の半分を中国鉄建(CRCC)が交渉中と予想されている。

連邦政府は今年中に道路建設コンセッション入札で420億レアル、鉄道建設コンセッション入札で520億レアルの資金調達を予定しているが、中国企業は電力エネルギー部門以外にも天然ガス部門への参入を目論んでいる。

2017年~2019年11月までのペトロブラス石油公社は、天然ガス輸送向けパイプライン事業分野でNova Transportadora do Sudeste(NTS)社並びにTransportadora Associada de Gas(TAG)の株式放出、また一般家庭用プロパンガス配給会社Liquigas社を37億レアルで、イタウー銀行の投資部門のItausa社並びにUltraグループに売却して約300億ドルの資金調達をしている。

2020年のペトロブラスは都市ガス配給会社並びに所有する岩塩層下(プレソルト)原油・天然ガス開発鉱区の売却、BR Distribuidora社の持株売却などで200億ドル~300億ドルの資金調達を予定している。

3年前には中国資本State Grid Corp of China社はCPFL Energia社、中国の民間最大の電力エネルギー企業China Three Gorges(CTG)社は、世界投資の18%に相当する投資をブラジル国内の電力エネルギー部門に投資していた。

このState Grid Corp of China社並びにChina Three Gorges(CTG)社は、エレトロブラス電力公社(Eletrobras)及びミナス・ジェライス電力公社(CEMIG)の民営化部門の売却に注目している。

また中国企業は、風力発電所の買収以外にも風力発電向け機械・装置供給分野への進出を目論んでおり、交交通建設(CCCC)は、2016年11月にブラジルのゼネコン企業Concremat Engenharia社の80%の株式を3億5,000万レアルで取得、またWTorre社傘下のマラニョン州サン・ルイス港湾の51%の株式を取得している。

昨年12月に中国資本の交交通建設(CCCC)とCR20社は、バイア州サルバドール市と対岸のヴェラ・クルース市を結ぶサルバドール‐イタパリカ大橋案件を落札。投資総額は53億レアルが見込まれており、このプロジェクトには総延長距離が12.3キロメートル、契約期間は35年となっている。

中国資本の交交通建設(CCCC)は、今年中に入札が予定されている投資総額が数十億レアルに達するトカンチンス州とバイア州沿岸部を結ぶ1,500キロメートルの東西統合鉄道(Fiol)、Ferrogrão(フェログラン)と命名されているマット・グロッソ州シノップ市とパラー州ミリチツーバ市を結ぶ1,142キロメートルの鉄道建設の大型プロジェクト入札に参加する。

2018年の中国資本のブラジルへの投資内訳では、グリーンフィールド投資は全体の47%、企業買収・合併は43%、ジョイントベンチャーは10%であった。

中国の重機械メーカーXCMG社は、先週サンパウロでミナス州ポウゾ・アレグレ市での工業団地設立計画を発表、現在は中国から輸入する CKD 部品による組立製造を行っているが、グループ傘下のサプライヤーを呼び寄せて、コストダウン並びに生産効率を向上させる。

75年の歴史を誇る中国の重機械メーカーXCMG社は、2020年からのブラジル経済回復に伴って、グループ傘下の部品サプライヤー進出を促すために、ミナス州内の製造基地は同社最大の海外製造基地であるだけでなく、建機工業団地を建設する。(2020年1月12日付けエスタード紙)

今年のトラック販売は前年比18.0%増加予想

全国自動車工業会(Anfavea)のルイス・カルロス・モラレス会長は、今年はブラジル国内の景気回復に伴って、トラック販売は前年比18.0%増加の12万台に達すると予想している。

2016年のトラック販売はブラジル国内の経済リセッションの影響で、僅か5万600台に留まって過去17年間で最低の販売台数まで落ち込んでいたが、2017年から徐々に回復傾向を示している。

2019年のブラジル国内のトラック販売は、前年比33.0%増加の10万1,300台まで回復、今年は更に2,000台増加を予想しているが、2011年の17万2,800台の過去最高記録には程遠い。

2014年末から3年以上継続したブラジル国内の経済リセッションの影響で、通常の平均トラック買替期間は3年~5年であるにも拘らず、過去3年間のトラック買替期間は7年~8年に伸びていた。

2019年のトラック生産はアルゼンチンの為替危機の影響で前年比45%と大幅に減少、また50年間に亘ってトラックを生産してきた米国資本フォード社は赤字が続いているトラック並びにコンパクトカーFIESTA車を生産しているサンパウロ州サン・ベルナルド・ド・カンポ工場(SBC)閉鎖で前年比7.5%増加の11万3,500台に留まっていた。

過去3年間のトラック販売の傾向として、鉱山向け並びに穀物輸送向けの大型トラック販売が牽引していたが、今年は国内経済の回復に伴って小型並びに中型のトラック販売増加が予想されている。また今年はワーゲン社並びにメルセデス・ベンツ社は電動トラック販売開始を予定している。(2020年1月11日付けエスタード紙)

JAPANSP MOVING SERVICE 社の橋本春樹代表が訪問

JAPANSP MOVING SERVICE 社の橋本春樹代表は2020年1月10日に商工会議所を訪問、正式に商工会議所への入会申込書を提出した。応対した平田事務局長と2020年の厳しい世界情勢を取り巻く政治経済の展望について意見交換した。

左から平田藤義事務局長/入会申込書を手渡すJAPANSP MOVING SERVICE 社の橋本春樹代表

 

 

OISCA Brasilの高木ジェネラルコーディネーター一行が訪問

OISCA Brasilの高木ジェネラルコーディネーターと鈴木コーディネーターは、2020年1月10日に商工会議所を訪問、応対した平田事務局長並びに上田みどりアシスタントに“Proalga”並びに“Parque Ecológico do Tietêの森林再生”の二つのプロジェクトについて説明し意見交換を行った。

“Proalga”とは“Kappaphycus alvarezii”の名称の海草で幅広い利用が可能で、化粧品業界、薬品業界、食品業界、バイオ燃料やバイオ肥料への用途が可能で、非常に便利な持続可能性な環境維持の海草と高木ジェネラルコーディネーターは説明。日本政府から支援を得ているプロジェクトであり、現在はブラジル政府の支援を求めてるとoiscaの高木ジェネラルコーディネーターは付け加えた。またこのプロジェクトは海岸地域に住居を構える住民の雇用創出に繋がる。尚、“Parque Ecológico do Tietêの森林再生”プロジェクトは2010年に13万本の植林を実施したことなどを説明。

左からOISCA Brasilの鈴木コーディネーター/高木ジェネラルコーディネーター/平田事務局長/上田みどりアシスタント

 

 

昨年12月の一般家庭の負債比率は65.5%で過去最高

全国商業財・サービス・観光・商業連合(CNC)の一般消費者の負債・延滞調査(Peic)によると、2019年12月の一般家庭の金融機関や小売関連の負債比率は前月の65.1%から65.6%に達し、2010年1月以降では最高の負債比率を記録。また1年前の2018年12月の負債比率59.8%比では5.3%も上昇している。

一般家庭の負債比率が最も高いのはクレジットカードに関する負債比率で79.8%に達し、圧倒的に高い負債比率を記録している。クレジットカードに続いて、賦払手帳(Carnês)の15.6%、自動車購入向けローン負債比率は9.9%、住宅ローン8.9%、個人向けクレジット7.8%となっている。

続いて銀行が与信審査なしで自動的に貸してくれる一方で、一般消費者は突発的な支出を余儀なくされる場合に使用される金利が天文学的な特別小切手税と呼ばれる口座借越残クレジットの負債比率6.7%、一般消費者や公務員向け給与口座連動型クレジットは5.5%、その他のクレジットの負債比率は2.3%となっている。

昨年12月の一般家庭の月収合計が最低サラリーの10倍までの一般家庭の負債比率は、66.6%と前月の65.9%から0.7%上昇した一方で、一般家庭の月収合計が最低サラリーの10倍以上の一般家庭の負債比率は、61.4%と前月の61.6%から0.2%減少している。

昨年12月の一般家庭の負債遅延率は24.5%と前月の24.7%から若干減少、また負債返済が不可能に陥っている一般家庭は、前月の10.2%から10.0%と若干減少傾向を示している。

また一般家庭の平均負債期間は6.9カ月、3カ月以内の負債期間の一般家庭は25.7%、1年以上の負債期間の一般家庭は31.8%となっている。全国商業財・サービス・観光・商業連合(CNC)のジョゼ・ロベルト・タドロス会長は、昨年12月の一般家庭の負債比率は若干上昇したものの、危惧するレベルではないと否定している。(2020年1月10日付けヴァロール紙)