金融株が下半期の牽引車

 今年上半期のサンパウロ証券取引所の製鉄・金属部門の株価は、ドル安にも関わらずコモデティー価格高騰で平均株価が55.7%と大幅上昇して牽引車となったが、今後の大幅な株価の上昇は期待できない。

 しかし政策金利低下のサイクル調整で、国内マーケットと関係の深い上半期余り値上がりしなかった金融関係、特に銀行株や保険会社関連株の上昇が予想されている。

 上半期の業種別の平均株価の値上がり率のトップは家電の145%、製鉄・金属部門に次いで繊維45.2%、建設部門が35.9%とそれぞれ大幅に上昇したが、テレコン27.6%、金融部門は27.2%とサンパウロ平均株価指数(Ibovespa)29.9%を下回った。(17日付けガゼッタ・メルカンチル紙)

7月16日の化学品部会に10人が参加

化学品部会(松尾新一郎部会長)が7月16日午後4時から6時まで商工会議所会議室に10人が参加 して開催され、松尾部会長が会員企業の今年の上半期の回顧および下期の回顧を部門別に参加者と意見を交換しながら和やかに、8月3日に開催される業種別部 会長シンポの資料作成をテキパキと行い、、レアル高、国際商品価格の高騰、移転価格税制、ジェネリックなど共通問題も抱えているが、上半期は概ね好調に推 移、下半期も好調に推移すると業界では見ている。また9月末に予定の会員企業の工場見学会等についても意見の交換を行なった。部会終了後には参加者達と懇 親夕食会に出かけた。

参加者は松尾部会長(住友化学)、辻井副部会長(パイロットペン)、工藤副部会長(イハラブラス)、藤崎氏(ダイカラー)、諸泉氏(ハリマ)、河田氏(久光製薬)、新井氏(アリスタ・ライフサイエンス)、山川氏(三菱商事)、田畑副領事、平田事務局長

シンポジウム資料作成に、和やかな雰囲気の中で意見交換する参加者

左から松尾部会長/辻井副部会長/工藤副部会長

港湾施設や輸送インフラ改善で輸出は20%増加可能

世界銀行はブラジルのブロクラシーの削減、港湾施設や輸送インフラの改善をするだけで、年間5億3,000万ドルの輸出増加が可能となり、ラテンアメリカは20%の輸出増加が可能と予想している。

世銀は港湾施設の改善で世界貿易は1,070億ドル増加、また港湾サービスの改善がけでも330億ドル、輸出入の通関手続き改善で830億ドル、インフラ改善で1,540億ドルそれぞれ増加すると予想している。

アジアの港湾設備の改善及び通関手続き簡素化で輸出は40%増加、中国では1,200億ドルの輸出増加が見込まれ、米国やカナダへの輸出品の通関は平均2日間であるが、ケニアでは平均61日かかっている。(16日付けエスタード紙)

大手企業の寡占化が進んできた

 ブラジルの製鉄業界、電気・電子、機械並びに石油化学業界の寡占化が最近10年で大幅に進んできており、1994年のペトロブラスの石油化学部門は43%であったが、2005年は59%、今年初めのイピランガ社のブラスケン及びウルトラグループとの共同買収で、寡占化が63%まで進むと予想されている。

 1995年から2007年上期のブラジルの化学・石油化学部門の買収案件は180社の上っており、機械部門の寡占化は最近10年で43%まで達しており、特にWeg社は6.1%から23.3%とマーケットシェアを拡大している。

 製鉄・金属部門はナショナル製鉄(CSN)、ゲルダウ、ウジミナス並びにアルセロールの4社で2/3を寡占しているが、自動車業界は逆に新規参入メーカーが相次いだために、大手各社のシェアは減少している。(16日付けエスタード紙)
 

石油採掘プラットフォームから排出されるCO2が問題視

 世界の石油採掘に伴って燃焼される天然ガス排出量は3億5,000万トン、ブラジルでは石油プラットフォームで燃焼される天然ガスで、年間400万トンから700万トンのCO2排出が行なわれており、サンパウロ市内の車から排出される年間のCO2排出量760万トンに匹敵する。

 ペトロブラス石油公社は石油採掘時に、日産550万立方メートルの天然ガスを燃焼させているが、毎年増産を続けているにもかかわらず、CO2排出量は2001年の710万立方メートルを下回っている。

 世界銀行は産油国に対してグローバル・ガス・フレアリング削減パートナーシップ(GGFR)への参加を呼びかけているが、ブラジルはCO2排出では世界17位で、ペトロブラスはカンポス沖の石油採掘プラットフォームでの天然ガスの年商削減のために、2億9,800万レアルを投資している。(16日付けエスタード紙)
 

ブラジルの生産投資コストは最悪

 産業開発研究院(Iedi)の調査によると、47カ国対象の生産投資コスト比較で、ブラジルはタイ、アイルランドに次いで投資コストが高く、中国よりも30%、韓国よりも118%のコスト高となっている。

 ブラジルの2005年の投資コストは1970年よりも31%増加しているが、チリは7%、アルゼンチンは5%とそれぞれ低下しており、アジアの虎と呼ばれるマレーシアは20%、シンガポール15%、韓国は40%それぞれ低下、調査対象の中でもハンガリーが47%と最もコストダウンを達成している。

 ブラジルのGDPに対する投資比率が他国よりも大幅に低いのは、投資コストが高いためであり、現在のドル安の為替は生産拡大のための設備投資に追い風となっているが、まだまだ高い金利や税率は企業家の投資意欲を削いでいる。(16日付けエスタード紙)

建設不動産部会が7月13日に開催

建設不動産部会(阿部勇部会長)が7月13日午前8時から10時まで、商工会議所小会議室に6人が参加して開催され、8月3日の業種別部会長シンポジウムの発表資料作成、今後の部会長活動などについて意見の交換を行なった。

参加者は阿部勇部会長(戸田建設)、南アゴスチーニョ副部会長(デニブラ)、大滝守氏(ホス建設)、西村良二氏(YKK)、井上健治氏(ユマ家具)、金沢登紀子サンパウロ総領事館調査員

 

建設不動産部会の様子

7月の懇親昼食会に104人が参加、バイオエネルギーの講演に熱心に耳を傾けた

商工会議所の懇親昼食会が7月13日正午からシーザービジネスホテルに104人が参加して、バイオエネルギー生産者連合(UDOP)のジョゼ・カルロス・トレード会長の「サンパウロ州西部に於けるバイオエネルギー部門の成長の見通し」と題する、ブラジルが世界の牽引車となるバイオエネルギーの興味ある話に熱心に聞入っていた。

トレード会長の講演の冒頭でUDOP加盟のエタノール・砂糖精製工場は62ヵ所で、そのうち1ヵ所は動物の脂肪から採集したバイオエネルギー工場を擁していると連合の規模を説明、今後のバイオ燃料生産の見通しとして、2003年のバレル当りの石油価格は25ドルであったが、今では70ドル以上まで高騰して再生可能なバイオ燃料の必要性が高まっており、カトリーナ台風などの多発、アマゾン流域の旱魃や海水面上昇などの温暖化が進んでおり、それを阻止するためにも再生可能なバイオ燃料の増産加速化は避けられないと強調した。

また世界的に石油からバイオ燃料使用を実施している国にはブラジル、米国、スエーデン、タイ、オーストラリア、カナダ、検討しているのはアルゼンチン、キューバ、日本、ドイツ、ニュージーランド、ロシアなど多くの国がバイオ燃料使用を研究して再生可能燃料生産に注目している。

コモデティー商品になりつつあるエタノールの生産は、2000年の105億リットルから今年は177億リットル、2012年には380億リットルでそのうち100億リットルが輸出向けとなり、50億リットルから60億リットルが日本向け輸出、今年の砂糖の生産は2,980万トン、2012年には3,850万トンの生産が見込まれている。

ブラジル全国のエタノール精製工場は340ヵ所で、そのうち5州から構成される中南部地域には228ヵ所あるが、生産量では全国の89%を占めており、サンパウロ州単独では生産量の74.76%を占めており、今後5年以内に建設される精製工場107ヵ所は全て中南部地域に集中、ゴイアス州、南マット・グロッソやミナス州での建設が進み、サンパウロ州の寡占率は52.88%まで低下すると予想されている。

一般的に砂糖キビ栽培のモノカルチャーになってしまうのではないかと危惧されているが、昨年の砂糖キビ栽培の耕作面積はブラジル国土の僅かに0.73%であり、2012年は放牧地の転用で1.21%を占めるに過ぎない。

現在のブラジル全国の砂糖キビ栽培はUDOP本部のあるアラサツーバ市を中心とした半径400キロメートル内で、ブラジルの生産の88%が集中、今後は更に伝統的に牧畜業が盛んなサンパウロ州西部の放牧地が砂糖キビ栽培への転用で、大幅な増産が予想されている。

2012年のブラジルの砂糖キビ栽培耕作面積は、現在の600万ヘクタールから1,033万ヘクタールに増加してバイオジーゼルを7億2,800万トン生産、バイオ燃料による電力エネルギーは2万4,000メガワットで、電力輸出はイタイプー発電所の2倍に相当する1万8,000メガワットと計り知れない潜在的ポテンシャルがあり、総額420億レアルの投資及び年間90億レアルの税収となる。

 UDOPではサンパウロ西部地域のすでにある小規模の砂糖精製工場へのサポートで、エタノール工業の創出を積極的に進めるが、チエテ河−パラナ河水路での運搬ロジスティック、港湾とのエタノールパイプラインが敷設されているパウリーニャとアラサツーバ間及びパウリーニャ−セナドール・カニェード間のパイプラインの建設や鉄道網の改善が必要である。

 また民間企業並びに大学とタイアップしたバイオジーゼル研究センターの設立による技術者のレベルアップ、インフラ面ではエタノール栽培従事の社宅、健康プランの充実、基礎教育の強化、保健衛生など色々な課題があるが、敷地面積が100万平方メートルの砂糖キビ技術センターを建設して敷地内にバイオ研究センター、400人収容の研修生のためのホテル、大学、ブラジル農牧調査研究公社(Embrapa)用敷地、農産品展示場などUDOPでは地元のアラサツーバに建設、更なるバイオ燃料技術、雇用創生、技術者のレベルアップを計る壮大な構想を持っており、ブラジルがバイオ燃料で世界のリーダーになり続けることができる確信が持てる講演であった。

  懇親昼食会の司会は平田藤義事務局長が務め、初めに講演者であるバイオエネルギー生産者連合のジョゼ・カルロス・トレード会長、帰国するブラジル日本大使館の大竹茂公使、トレード会長紹介の金沢登紀子サンパウロ総領事館調査員を紹介した。

連絡事項では土肥克己領事が文協で投票が行われる7月13日から21日までの第21回参議院議員通常選挙及び7月18日から21日までの衆議院議員補欠選挙の案内、宮田次郎企画戦略委員長が8月3日の業種別部会長シンポジウムの案内、渡邉裕司ジェトロ所長が10月に機械・金属部会共催のミナス産業視察ツアー、8月末に開催されるジェトロのエタノール視察ミッションへの参加、またチリ、ボリヴィア並びにペルーの地政学的軋轢について説明した。

会社代表交代挨では味の素の酒井芳彦社長が帰国挨拶、新谷道治新社長が就任挨拶、三菱重工の大隈広視社長が就任挨拶を行い、新入会員紹会ではモラーレス・ピトンボ法律事務所のジョー・タツミ氏が入会挨拶を行い、田中信会頭から会員証が授与、最後に田中会頭が大竹公使に対して歓送の辞を述べ、大竹公使は帰国挨拶を行なった。

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左から平田事務局長/大竹公使/金沢調査員/講演者のトレード会長/田中会頭

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サンパウロ新聞社の新プロジェクト

Gilberto Kosakaサンパウロ新聞社社長高坂・ジベルです。ブラジルの日本語新聞として終戦直後の1946年創立され、今日まで62年間日系コロニアの耳となり、目となり活動してまいりました。外国出身の私たちの誇りである皆様が持っている日本の文化の意味と重要性を今回、もっと深く考えて欲しいと思っています。

ご存じの通り本紙は文化の中心となる日本語で日本の文化を守ってまいりました。これまでの62年間の経験を重ね、私たち、日系人はブラジルに住んでいる他の民族に尊敬されるのにはどれだけ文化はたいせつだとよく理解しています。

何度も繰り返し述べておりますが、ここにお集まりのエリート、日本企業の方々にこれから出版企画していします移民100周年記念事業の2冊の本:100人の女性の歴史と杉尾建一郎博士の世界環境問題でございます。

その他、今年から来年にかけて
腹話術のIKKOKUDO 
三味線の吉田兄弟
講談
マンジュシャカ ― モダン・カブキ
日本文化の展示会
美空ひばりビデオコンサート
書道展
紙芝居いろいろな記念事業を企画しております。

本紙は日本文化を大切にしたいので、皆様の協力、協賛をお願いにまいりました。皆様が以上のイベントの重要性をご理解していただくまで、ここに何回でも足を運んでまいりたいと思います。この100周年を機会に、私達の先祖の文化をブラジルへ確実に定着し、誇りになるよう努力していきます。どうぞよろしくお願いします。

(写真:スピーチするサンパウロ新聞社の高坂ジルベルト社長

JCIのレアンドル・ハットリ会頭25周年について

Leandro Hattoriレアンドロ・ハットリ会頭はブラジル日本青年会議所は 25年前に、ブラジル日本商工会議所の後押しで設立、25周年の6月には商工会議所の協力で色々なエヴェントを検討しており、3月にはレナート・西村氏を招いてキャリアに関する講演会、4月にはヤスシ・アリタ氏を招いて人生設計に関する講演、5月にはサトシ・ヨコタEmbraer副社長を招いて講演会を実施して活発に会議所活動を推進していると説明した。。

ブラジル日本青年商工会議所は、1982年6月24日に世界青年商工会議所のグレイ・ナガオ会頭の訪問を機会に、ブラジル日本商工会議所の肝いりで設立、企業活動の一環として、リーダーシップの能力開発を目的に設立された。

ハットリ会頭は青年商工会議所では、個人会員には商工会議所の講演、トレーニング、研修コース参加によるリーダーシップの開発、コミュニケーション改善、リーダーにとって必要不可欠な組織力や企画力の開発アップにつながる機会を提供する。

豊富な実務経験による社会的問題やコミュ二ティー問題のダイナミックの解決方法の鍛錬、国際会議や国際コンベンション参加や交流プログラムへの参加や他の商工会議所のエヴェントや交流、世界の社会問題改善のためのインフラ整備への貢献するための機会を提供して世界平和に貢献すると説明した。

 

(写真:スピーチするブラジル日本青年商工会議所のハットリ会頭