内債は増加したが、外債は減少

 5月の国債発行による対内公的債務残高は、1.95%増加の1兆1,730億レアルとなったが、償還期間の増加、確定金利連動国債の増加や12ヶ月間以内での償還負債の減少で、負債内容が改善されてきている。

 5月のレアル高進行は5.16%に達したために、対外公的負債残高は6.75%減少の1,254億レアルに改善、5月のブラジルの総公的負債残高は、1.04%増加の1兆2,850億レアルになった。

 国債発行残高の比率では、国債で最も管理コントロールが容易な確定金利連動国債は4月の36.17%から5月は37.02%、Selic金利連動国債は37.02%から36.68%、消費者物価指数連動国債は23.32%から22.94%、為替連動国債は1.16%から1.08%、参考金利(TR)連動国債は2.32%から2.28%とそれぞれ比率を下げている。

国債の平均償還期間は32.69ヶ月から33.28ヶ月に増加、対内公的債務コストは12.86%から11.99%に減少、また5月が償還の国債は2.37%減少の181億レアルであった。(21日付けエスタード紙)

今年の鉄道関係の投資は35億レアル

 全国鉄道協会(ANTF)では、今年の5鉄道グループの投資を好調な経済成長の見通しで、25億レアルから35億レアルに上方修正した。

 35億レアルの投資のうち、35%は現在の貨車9万台及び2,650台の機関車を更に増加して輸送能力をアップさせ、15%はテクノロジー部門、10%は人的トレーニングに投資される。

 今年の輸送量は中国向けの鉄鉱石及び石炭が大幅に伸びているために、前年比26%増加の2億5,900万TEUsが見込まれている。また連邦政府もPACプロジェクトで、今年は16億レアルを投資して111キロメートルの鉄道を建設、2010年までには更に2,500キロメートルの鉄道建設を予定している。(21日付けガゼッタ・メルカンチル紙)
 

金利計算変更でポウパンサ預金が影響を受けている

 5月のポウパンサ預金には、3月にポウパンサ預金の金利基準となる参考金利(TR)が下げられたために、13億6,500万レアルが投資されたが、4月の20億4,600万レアルよりも33.28%減少した。

 TR金利引下げはSelic金利の低下で、手数料のかかる銀行間預金(CDI)ファンドの収益が、ポウパンサ預金を下回り始めたために、ファンドからの投資金がポウパンサ預金に流れ始めたために、金融業界からの要請で国家通貨審議会(CMN)がTR金利を下げた。

 TR金利低下でポウパンサ預金の収益率は、年利11.82%のCDIの66.2%となっているが、TR金利修正が実施されなければ70%以上の収益性となる。(21日付けエスタード紙)
 

5月の税収は450億レアル

 ドル安の為替による輸入の増加及び国税庁の税徴収強化で、5月の税収は前年同月比12.95%増加の454億3,000万レアルに達して、5月の月間記録を塗り替えた。

 今年5ヶ月間の国税庁及び社会保険院の税収は2,333億5,000万レアル、個人の財産譲渡に対する所得税が、昨年同期の5億5,100万レアルから16億9,000万レアルと大幅に増加した。

 また5月の個人のキャピタルゲイン課税は、前年同月比57.2%増加、輸入税(II)は17%、輸入連動の工業製品税(IPI)は21%、自動車工業界のIPIは16%増加して牽引役となった。(20日付けガゼッタ・メルカンチル紙)
 

リサイクルは企業に利益を生む

 リサイクル製品活用で持続的可能な社会の構築の啓蒙運動を行なっているエンブラエル社は、環境に優しいだけではなく、リサイクル製品活用で利益を生み出している。

 同社では鉄やチタンの削りくず、使用済みの食用油や工業用油、プラスティック、紙くず、使用していないコンプレッサーやモーターなどを種類別に分けて、リサイクル業者に納入して昨年は前年比57.1%増加の660万ドルを回収した。

 昨年のリサイクル用廃棄物は9,900トンで、リサイクル率は79.6%に達しているが、ブラジルの都市部の固形廃棄物の平均リサイクル率は11%に留まっている。(20日付けエスタード紙)
 

今年5ヶ月間のBNDES銀行のクレジットは40%増加

 今年5ヶ月間の社会経済開発銀行(BNDES)のクレジットは金利低下に伴って、鉱工業及びインフラ部門への投資が増加してきており、前年同期比40%増加の191億レアルに達している。

 同銀行のコウチ―ニョ頭取は「今後4年間の投資見通し」セミナーで、製造業及び鉱業への投資は旺盛な内需に牽引されて急速に増加してきていると説明した。

 今年5ヶ月間の部門別クレジットでは、農畜産部門が前年同期比31%、鉱工業45%、インフラ整備29%、サービス部門が78%とそれぞれ大幅に増加しており、今年のクレジット総額は580億レアルが見込まれており、5月までのクレジット承認は93%増加の150億レアルとなっている。

 今後4年間に16セクターで1兆500億レアルの投資が見込まれているが、第一次ルーラ政権の4年間の投資総額は6,500億レアルであったが、大幅な投資増加が期待されている。(20日付けエスタード紙)

4月の公的負債がGDP比44.4%に低下

 4月のプライマリー収支黒字は政策金利の低下で235億レアルを記録したために、公的負債は1兆790億レアルとなり、1999年4月のGDP比43.7%に次ぐ44.4%の低率を記録した。

 また4月のプライマリー収支黒字は112億レアルとなり月間記録を更新、今年初めの4ヶ月間のプライマリー収支黒字はGDP比6.51%、また4月の最終12ヶ月間ではGDP比4.22%であった。

 4月の大幅なプライマリー収支黒字の要因として、個人所得税の納税開始、3ヵ月ごとの法人税の納税、またテレコンファンド(Fistel)からの18億レアルの納税も大きく黒字幅を上げた。

 今年初め4ヶ月間のブラジルのプライマリー収支黒字は507億3,200万レアル、そのうち中央政府は332億9,700万レアルで、内訳は国税庁475億4,000万レアルの黒字を計上したが、中銀は−1億9,500万レアル、社会保障院(INSS)は−140億4,800万レアルとそれぞれ赤字を計上している。(20日付けエスタード紙)

ブラジルの工業は途上国での地位が低下してきている

 1980年のブラジルの工業生産は、中国及びインドの総計に匹敵していたが、2005年は両国の1/8まで低下、また70年代のブラジルの工業生産高は韓国、マレーシアやタイなどアジアのトラと呼ばれた諸国の3倍であったが、2005年には1/3まで低下しており、急速に発展途上国での影が薄くなってきている。

 インフラへの公共投資や工業政策の不足、高金利政策、技術革新への投資不足による競争力の低下、不均衡な為替などの要因が重なっており、非工業化が進行している。

 1980年から2005年のブラジルの製造業の伸び率は、年平均で僅かに0.7%増加したが、中国は10.9%、インド6.7%、韓国9.3%、マレーシア8.8%、タイが8.2%とそれぞれ大幅に増加している。

 中国は世界の製造工場、インドはソフト生産で世界のオフィスを目指しているが、ブラジルは付加価値のある第一次産品加工生産のニッチ市場に、投資しなければならないとケンブリッジ大学のパウマ教授は指摘している。(19日付けヴァロール紙)

電力料金が11%値下げされるか

 サンパウロ市を含むサンパウロ州内24都市に電力を供給しているエレトロパウロ電力会社は、一般家庭の電力料金を来月から最大11%まで値下げする可能性がある。

 また一般家庭や工業向け電力料金の値下げは9.01%が予想されているが、昨年は1.91%の値下げに留まった。

 電力料金価格はインフレや為替の変動などのファクターがからんでおり、またコスト削減、生産性の向上、インフレ低下、ドル安の為替などが大幅値下げの要因となっている。(19日付けエスタード紙)