資本財部品輸入が急増

 今年の製造業への投資は、生産能力増強のための機械・装置投資ではなくて、生産能力維持やメインテナンスの投資であり、ドル安の為替で価格競争力を失っている輸出メーカーは投資を控えている。

 通商局(Secex)の統計では、今年初めの4ヶ月間の資本材用部品の輸入は前年同期比97%増加の12億ドルであったが、生産設備投資用機械・装置の輸入は26%増加の20億ドルに留まった。

 社会経済開発銀行(BNDES)のエコノミストも為替の影響で、製造業の投資が落込んでいると見ているが、今年第1四半期の投資は前年同期比7.2%増加している。(19日付けエスタード紙)

今年4ヶ月間の小売は9.2%増加

 継続する金利低下並びに利用しやすいクレジット販売で、4月の小売業界は前月比0.4%増加、前年同月比7.5%、今年4ヶ月間では9.2%と大幅増加している。

 4月の前年同月比の部門別小売では、自動車部門が33.9%、情報機器25.6%、家電・家具13.1%、建材11.0%、書籍・印刷物8.6%、医薬品8.1%、石油・潤滑油6.6%、繊維・履物・衣類が4.3%とそれぞれ大幅に増加した。

 6月初め2週間のサンパウロ州の小売は6.2%増加、ローン販売が5.4%、キャッシュ販売が7.0%とそれぞれ増加している。(19日付けエスタード紙)

加熱するエタノール投資戦略

エタノール投資戦略に拍車

  多国籍企業、投資ファンドや企業コンソーシアムは、すでにブラジルのアルコール業界に20億ドルを投資している。

  1990年代の民営化から今まで、ブラジルはこれほど大きい海外からの直接投資を記録したことがなかった。中銀の発表によると2007年最初の3ヶ月間で、前年同期比66%増加の65億ドルの海外から直接投資が行なわれ、この凄まじい投資流入は海外でのエタノールに対する非常に強い関心で、現在殆ど毎週ぐらい、投資パートナーとの契約や投資ファンドによる買収が発表されている。

  ダータグロ(Datagro)コンサルタント会社によると、海外投資家は2000年からこの業界にすでに22億ドルを投資していて、現在最も優先順位の高い投資先となっている。砂糖とアルコール産業のブラジルトップテンの企業の中で、すでに外国資本が参加しているのはCosan、Bonfim、LDC BioenergiaとGuarani社の4社で、5社目のSanta Elisa 社が米国企業Good FoodsとCNAA(国内砂糖アルコール会社)を建設する契約を交わした。この会社はゴイアス州とミナス・ジェライス州に4ヵ所の工場を建設するために20億レアルの投資を予定している。

  海外グループの興味深さを理解するのは容易いことであり、世界最大の砂糖キビ生産国であるブラジルは、トウモロコシから燃料アルコールを生産する米国とアルコール生産の世界トップの座を競っている。アメリカの目的は、George W. Bush大統領がブラジル訪問でも再確認したとおり、化石燃料を2017年までに20%減少することで、それは今後10年間でアメリカだけでも、エタノールの需要が年間1,320 億リットルにまで達すると見込んでいるためである。

  現在の世界エタノール生産量400億リットルの3倍を上回る需要となるが、現在、ブラジルは160億リットルを生産しているが、ブラジルはアメリカのエタノール生産コスト0,30ドル/リットルとヨーロッパ連合の0,58ドル/リットルに比べて、低コストの0,20ドル/リットルであり、国土も今後の需要上昇に対応できる十分の耕作面積を有している。

  Datagro によるとブラジルのサトウキビ生産は次の収穫の4億730万トンから2014年には7億トンに増加が予想されているが、114の新たな工アルコール工場建設への投資が必要となるが、現在、ブラジルは357ヵ所の製造工場と43ヵ所の工場が建設中である。

  このブラジルのポテンシャルの上昇に目をつけている海外投資家は2種類のグループに分けられ、コンソーシアム、海外投資ファンドで資金参加型であり、もう一つはアルコールの分野に既に進出している会社やアルコール国際市場に深く関係している、または関係したいトレーディング会社。最初のグループの典型的な例は85億ドルの資産を有するハンガリー生まれのジョージ・ソロス氏で、現在Adecoagro社のパートナーに加わった一人でもある。同社は2006年にミナス州モンテ・アレグレ工場を買収、南マット・グロッソ州に新たな工場を建設する。「現在売りに出されている工場物件は数多くあるが、中々良い物件が見つからないので、工場建設を選ぶ。」とAdecoagroのレアンドロ・ベリージ取締役はコメント、同社は2015年までに1,100万トンの砂糖キビを処理できる製造工場を建設する。

 

出所-ANUARIO EXAME Junho/2007

WTO交渉大枠で合意か

 明日19日に、米国、欧州連合(EU)、ブラジル並びにインドのG4は、世界貿易機構(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の年内の交渉妥結に向けて閣僚会議を開催するするが、ブラジルの農産物輸出業界にとっては、余り進展しない合意内容と予想されている。

 ブラジル、EU並びにインドは、米国の農業補助金を年間130億ドルまで下げるように要求しているが、米国は現在の補助金総額400億ドルから225億ドルの枠での合意を準備している。

 米国及びEUなどの先進国は、発展途上国の工業製品の70%までの輸入関税低下を要求しているが、ブラジル及びインドは50%以上の切下げを拒否している。

 また米国はEUの農業製品に対する輸入関税の65%切下げを要求しているが、EUは39%のみの切下げに合意、ブラジルやインドは53%までの農業関税切下げを要求している。(18日付けエスタード紙)

代替エネルギー入札

 再生可能の代替エネルギーで総発電量が496メガワットのバイオマス燃料使用の19ヵ所の火力発電所並びに17ヵ所の小型水力発電所(PCHs)の入札が、国家電力庁(Aneel)で行なわれる。

 PCHsによる発電ではメガワット/時間当たり最大135レアル、バイオマスによる発電は最大140レアル支払われるが、風力発電所は入札に参加していない。

 ブラジルの電力エネルギーの73%は水力発電、9%が天然ガスによる火力発電、石炭、ジーゼル燃料並びに原子力発電がそれぞれ2%、代替燃料による発電が3%となっている。(18日付けエスタード紙)

製造業の伸び率がGDPを大幅に下回っている

 3月までの最終12ヶ月間の経済成長率(GDP)は3.8%を記録したが、製造業の伸び率はドル安の為替で輸入製品が急増しており、半分以下の1.5%増加に留まっている。

 2004年の第2四半期から今年の第1四半期のGDPは11.7%、サービス業は13.35それぞれ増加したが、製造業の伸び率はわずかに7.5%にとどまっている。

 2002年以降の鉱業部門は178%、自動車57%、機械・装置部門は42%それぞれ大幅に増加しているが、為替やアジアからの輸入急増で影響を受けている衣類は−20%、履物−14%、木材は−6%とそれぞれマイナスを記録している。(17日付けエスタード紙)

アルゼンチンの天然ガス不足は輸入ポリエチレンに影響

 寒波に見舞われているアルゼンチンでは天然ガス供給を家庭用に優先しているために、工業用天然ガス不足でダウケミカル社のポリエチレン生産に支障をきたしている。

 アルゼンチンのダウケミカル社のポリエチレン生産は年間65万トンで、そのうちの1/3近くが、食品包装用プラスチックとしてブラジルに輸出されており、今のところ6%の減産となっているが、寒波が継続すれば今後さらに影響を受ける。

 今年4ヶ月間のブラジルのポリエチレン生産は、前年同期比6.5%増加の79万6、300トン、輸出は53.6%増加の28万トンであったが、輸入はマイナス6.2%の9万5、300トンとなっている。(18日付けヴァロール紙)

東山農場コーヒー収穫見学会はバス2台、98人が参加して開催された

食品部会(酒井芳彦部会長)並びにコンサルタント部会(渡邉裕司部会長)共催の東山農場コーヒー収穫見学会が6月17日午前8時に、素晴しい秋晴れの中をバス2台に98人が参加、サンパウロ市から120キロメートルのカンピーナス市近郊の同農場に向けて出発した。

農場到着後は2班に分かれて、2004年NHK放映ドラマ「ハルとナツ〜届かなかった手紙」のロケ現場を視察、240ヘクタールに140万本に亘って栽培されているコーヒー栽培地をバスで巡回するも、その広大な農場の広さに皆は圧倒され、たわわに実った赤、黄色のコーヒー豆を口に含んでその甘味さに驚いていた。

農場を案内した岩崎透社長のコーヒーに関する知識、有機肥料の活用やウンチクなどに関心しきっていた。また日本の種子メーカーとタイアップして2種類のプチトマトの新種を栽培、昼食時に提供された完熟トマトと素晴しいほど美味しかった。

天日干しの乾燥場、コーヒー収穫機、コーヒー豆の洗浄機、乾燥機、選定機、コーヒー博物館、サントス港埠頭や移民船内のロケセット、奴隷小屋などを見学後、樹齢200年といわれているジャトバの大木の下の中庭で、食品部会各社から提供された日本酒や酒ピリーニャ、梅酒、和風シュラスコ、更に生演奏のブラジルのカントリーミユージックを聞きながら食べたシュラスコの味は格別で、参加者全員が大満足した上に、食品部会提供のお土産も提供されてすばらしい見学会となり、サンパウロ市には予定時間の午後6時に到着、素晴しい企画の見学会となり、また一行を暖かく迎えてくれました岩崎透社長、塚本恭子様並びにスタッフの皆様にお礼申し上げます。

東山農場は1927年に三菱財閥創設の岩崎家が3,700ヘクタールの農場を購入、日本移民のコーヒー受託販売、1933年に東山銀行設立、34年に日本酒製造開始、40年には東山肥料工場設立、その後、対伯年は農業商業、製造業へと拡大して対ブラジル投資の草分け的存在であった。

 

コーヒー豆選定実演

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参加者全員で記念撮影

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シュラスコを堪能

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農場が一望できる高台

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樹齢200年のジャトバの大木の中庭でのシュラスコ

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懇親昼食会に118人が参加して開催された

6月定例懇親昼食会でGIE委員会の総コーディネーターのジョエル・コールン氏がGIE活動や移転価格税制(TP)について講演した

商工会議所の定例懇親昼食会が6月15日正午からクラウン・プラザホテルに118人が参加して開催、各国の商工会議所メンバーが参加する海外投資家グループ(GIE)の総コーディネーターであるジョエル・コールン氏を迎えて、「GIE活動と第二次ルーラ政権に期待する事、カラマ移転価格税制委員会からの陳情進捗状況」と題して講演した。

GIE委員会はコロール政権が進める外資規制緩和と歩調を合せるように1990年に発足、主要外国会議所と連携して投資阻害要因解決に向け、海外投資家の不利になるような問題を取上げて、GIEを通してブラジル政府に提起することを目的としている。今では米国やドイツ商工会議所など14カ国の商工会議所がメンバーになっており、また大企業などの代表者も参加して意見交換を行なっているが、政治的ロビー活動は一切行なっていないし、いかにブラジルの国際競争力を高めていくかなど無料コンサルタント団体と考えて気軽に参加してほしいと強調した。

ブラジルへの投資阻害要因として有名なブラジルコスト、税制・労働改革など投資環境に不利となる要因などを、他団体とも連携してブラジル連邦政府に提起して投資環境整備に力を注いでおり、昨年もブラジル日本商工会議所から提起された移転価格税制問題陳情書もギド・マンテガ蔵相に送付したと説明した。

また経済開発協力機構(OECD)への加盟を盛んに勧められており、国際的にも先進国並みの待遇を受けてきており、加盟による移転価格税制や二重課税問題などの解決にも拍車かかかると思われ、またいつも平田事務局長からもGIE委員会に対して惜しみない支援をしてもらっていると感謝の意を表わした。

また第二次ルーラ政権に関するコメントでは、世界的に経済シナリオは良好であり、好調な日本や米国経済、東アジアや東ヨーロッパの好調な経済成長、コモデティ価格の高値維持、政策金利の低下、旺盛な内需、実質賃金の上昇や経済成長加速プログラム(PAC)による公共投資の増加、レアル高でも増え続ける輸出や増加の一途を辿る外貨準備高など、ブラジル経済は晴天の条件化で前途洋々としており、現在は2002年比では輸出総額は2.5倍になっており、為替がR$1.95でもびくともしないブラジル経済になっており、益々その存在が世界の中でも堅調になっていくと結んだ。

ジョエル・コールン氏はサンパウロ市出身でハーバード大学出身の経済学者、ブラジルのバンク・オフ・アメリカ銀行頭取を経て、現在は投資コンサルタントのWKIブラジル社社長、リオ・デ・ジャネイロ商業協会副会長の公職を務めるほかに、GIEの総コーディネーターを務めている。またリオ現在美術館役員、トルコ名誉総領事など幅広い分野でも活動を行なっている。在リオでアメリカ商工会議所会頭も二期勤め、2005年にはリオ企業家リーダーにも選出されている。

定例昼食前の午前11時30分から臨時理事会が開催され、田中信会頭の臨時理事会召集挨拶に続いて、山田唯資監事会議長の司会で岩村哲夫副会頭の後任に、長谷部省三トヨタ社長が満場一致で承認された。

昼食会は平田事務局長の司会で、初めに講師のジョエル・コールンGIE総コーディネーター並びに特別参加者の西林万寿人総領事を紹介、続いて山田唯資監事会議長が常任理事補充選挙結果を報告、ブラジル丸紅の前田一郎社長が着任挨拶、三菱重工の佐渡守社長が帰国挨拶した。

南米兼松社の南野社長、Kライン社の前川本社社長並びに音田ブラジル社長がそれぞれ新入会員挨拶を行い、三分間スピーチではサンパウロ日本人学校の志左光正校長が創立40周年記念事業への協力、渡邉裕司ジェトロ所長がビジネス日本語テスト案内についてスピーチ、田中信会頭がジョエル・コールン氏の講演前に、同氏の略歴及び講師に対して歓迎の辞を述べた。

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