5月22日の経済情報

>>今年の機械・装置部門が好調

 今年初め4ヶ月間の設備投資用などの機械・装置部門は、前年同期比8.6%増加の181億レアルを売上げ、企業家の経済成長の確信に伴って設備投資が回復してきた。

 また4ヶ月間の輸出は道路建設用機械、重機、農業機械などを中心に25.5%増加の32億ドルで、主に米国やアルゼンチン向け輸出となっている。

 輸入もドル安の為替で米国、ドイツ、日本やイタリアから重機、トランスミッション、工作機械など、前年同期比の34億ドルから26.8%増加の43億ドルと大幅に増加している。(22日付けガゼッタ・メルカンチル紙)

>>ドル安にもかかわらず、貿易収支黒字が好調

 今月第3週の貿易収支黒字はR$2.00を割込むドル安にもかかわらず、輸出が33億3,000万ドル、輸入が20億2,900万ドルで13億100万ドルを計上して、今年の週間記録を塗り替えた。

 今年の5月第3週までの累積輸出額は、前年同期比19.7%増加の550億1,900万ドル、輸入は26.4%増加の393億2,900万ドルで、貿易収支累計黒字額は156億9,000万ドルに達している。

 第一次産品輸出はトウモロコシ、大豆、食肉を中心に前年同期比66.5%、半製品は大豆油、銑鉄、パルプなど52.2%、完成品はガソリン、アルコール、航空機やオレンジジュースを中心に27.8%それぞれ大幅に伸びた。(22日付けエスタード紙)

>>ペトロブラスはアマゾンで天然ガスパイプライン敷設

 ペトロブラス社はPACプログラムの一環であるウルク油田からマナウス市までの670キロメートルに24億レアルを投資してネグロ河を跨いで、天然ガスパイプラインを敷設する。

 このパイプライン敷設で日産470万立方メートルの天然ガスを輸送、主にマナウス市の火力発電所向けに利用するが、ジーゼル燃料使用と比較して年間12億レアルの経済効果がある。

 ペトロブラスは2008年4月を工事完成と予定しているが、雨季に入ると工事に支障をきたすために、天然ガスパイプライン工事遅延の可能性も充分ありうる。(22日付けヴァロール紙)
 
>>エンブラエルはエグゼクチブジェット機部門でランクを上げる

 昨年のエンブラエル社のエグゼクチブ用デラックスジェット機売上げが6億3,700万ドルで、ボーイング社の5億9,200万ドル、エアーバス社の5億ドルを追越して世界ランク6位に上昇した。

 昨年のエンブラエル社のエグゼクチブ用ジェット機部門の純利益は全体の15%を占めたが、2016年までには20%の純益を同部門から計上する予定である。

 今後10年間のエグゼクチブ用ジェット機の売上げは、1,070億ドルと見込まれており、中国、ロシア、インドやサウジアラビアなどの発展途上国での需要が見込まれている。

 エンブラエルは2002年に初めのエグゼクチブジェット機として、レガシージェット機を市場に投入したが、Phenom100型 Phenom300型及び Lineage型ジェット機を2008年から2009年にかけて市場に投入、マーケットシェア拡大を目指す。(22日付けエスタード紙)
 
【時事評論】
                                           金 利 に 一 刀 両 断

 米ドルの下落阻止の対策を要求している大半の企業家と経済学者達は、金利について一刀両断的な緊急引き下げ措置(デルフィン・ネット元大臣によると、メスを入れること)を支持している様だ。

 どれだけのカットを要するかは今のところ明らかでないが、金利を他国と同レベルに調整することを提案して憚らない。アメリカの基本金利(現在年間5,25%)から米インフレ率を差し引き(年間2,5%)、ブラジルのカントリーリスク率(1,5%)とブラジルのインフレ率(3%)を加算、単純合計により、海外金利に均等化すれば、SELIC金利はいきなり12,5%から7,5%に削られる事になる。

 もしそれが即実行に移されれば、現在採用しているインフレ目標達成システムの継続が不可能な事を認めない訳には行かないに違いない。

 理想的な為替率とインフレ率を両立させるにはインフレ目標を年間7%あたりまで上げるか、或いは、緊急措置のため現行の経済政策を支える三本柱の1つ(インフレ率目標達成システム)を諦めなければならないが、屋台骨を揺るがしかねないリスクを伴う危険性がある。

 しかし、金利をいきなり7,5%まで引き下げても、その主要因が見つからない限り米ドル回復の達成は所詮無理である。これらの企業家・経済学者達は、米ドル下落の主要因は金利だと思い込んでいる。確かに投資家たちは外国通貨で資金調達を行ない、レアルで国内金融市場に投資を行い、さらに金利の利鞘に食指を動かし外国への(利益、投資、決済などの)資金トランスファーを回避(または延期)する傾向すら見られる。

 これら金利の利鞘を求めた投機的なオペレーション案は非常にパワフルであるが、しかし、これはレアル高の要素であっても主要因ではない。莫大な貿易黒字(今年、5百億米ドルに近づくと見られている)と外国からの直接投資の上昇(今年2百億米ドルを上回る予想)などの事実の方がこの問題に繋がっているからだ。

 普通、為替を守るために強制的な金利低減を試みた場合、追加工作が必要となる。例えば輸入ショック政策を挙げているデルフィン・ネット元大臣案がそれである。即ち輸入税を強制的にゼロにし、米ドルの需要率を供給率に近づけ、為替レートを正常にする事である。

 これは対策の一助にはなっても、しかし、病に一番適した薬を処方するということには勝らない。軌道外の為替が根本的な問題であるとは言い難い。主な原因は製造業の競争力の無さが、安すぎる米ドルによって曝け出されているに過ぎないのである。競争力がないという事は重い税負担、高価で不適切且つ時代遅れのインフラ、サラリーマンの高額な社会負担などに他ならない。つい最近まではこのような問題は、適正とされる好都合な為替レートによって覆い隠されてきたが、それが今不可能になっているのだ。

 解決にたどり着くには真因を奥深く追究し、アタックすることであり、今こそ構造改革を果敢に実行する時と言えそうだ。最早政治家達は果たすべき役割から逃げられるまい。

                                       <07年5月19付けオ・エスタード・デ・サンパウロ紙>

 

5月21日の経済情報

>>銀行の収益率が低下

 Selic金利の低下に伴い銀行のクレジット金利が低下してきており、第1四半期のブラジル10大銀行の純益総額は,前年同期比11.0%増加したにも関わらず、収益率は30.6%から27.8%に低下している。

 ブラジル銀行も規模を拡大するために、サンタ・カタリーナ州立銀行に食指を延ばしているが、今年の第1四半期の純益は40%減、収益率では63%から29.4%と大幅に低下している。

 イタウー銀行は規模を拡大するために昨年にボストン銀行を買収したが、収益率は35%から30.5%に低下、ブラデスコ銀行も30%から26.2%に低下したが、ウニバンコ銀行は21.9%から22.6%に増加した。(21日付けガゼッタ・メルカンチル紙)

>>自動車部品製造用ダイカストが需要に追いつかない

 絶好調の自動車産業界からの需要に、自動車部品製造用ダイカスト業界が3交代勤務で対応しているところもあり、昨年は農業危機で不振をかこっていた農業機械やトラック需要も増加してきた。

 今年の自動車関係ダイカストの需要は前年比3%と見込まれていたが、14%増加に上方修正されたが、しかし業界の97%が中小鋳物企業であり、需要に対する投資にはすぐには対応できない。

 ダイカスト工業の製造品納入先の63%は自動車業界向けであり、4%はトラクターや農業機械、16%は建設機械向けで、2004年から2005年の投資は5億6,900万レアルであったが、2009年までには12億レアルの投資が見込まれている。(21日付けガゼッタ・メルカンチル紙)

>>サンパウロ州内の農地価格は5年間で倍増

 農業経済院(IEA)の調査によると、2001年のサンパウロ州内の農地価格は1ヘクタール当たり4,740レアルであったが、2006年には1万128レアルと113.6%上昇、特に穀物、アルコール、オレンジジュースや牛肉などのコモデティ商品生産地帯で高騰している。

 ここ数年の傾向として、エタノール生産用のサトウキビ栽培地帯での土地が高騰してきており、年産150万トンの砂糖キビ生産には2万5,000ヘクタールの農地が必要である。

 またサンパウロ州内では2012年までに、31ヵ所のアルコール・砂糖工場建設が予定されて総計では179ヵ所となるが、まだまだ農地の価格上昇が見込まれている。サンパウロ北東部で大幅な農地の値上がりが発生しており、リベイロン・プレット、フランカやバウルー地方では軒並み160%から170%の値上がりを記録している。(20日付けエスタード紙)
 

5月17日の労働問題研究会に31人が参加

企業経営委員会(石川清治委員長)の労働問題研究会が、5月17日午後4時から6時まで商工会議所会議室に31人か参加、進行役は破入マルコス副委員長が担当、初めに石川清治委員長が最近のドル安に拍車がかかっているブラジル経済について意見を述べ、また参加者達とも議論を交わした。

味の素のミルトン・リマ・アラウジョ・ジュ二オール人事部長は「勤務評価、人材育成、能力開発の鍵」と題して、人材育成の観点から、勤務評価結果のフィードバックによる気付きを与え、キャリア開発意欲の継続に勤めて、職員一人ひとりの能力開発に役立ち、それには正当な勤務評価の査定、ルール、昇給、昇進、ボーナスの処遇に対して慎重を期さなければ、時として逆効果を生じると説明した。

自己申告制度、製造部門ではジョブプロテーションによる幅広い業務経験、次世代のリーダーの育成、職員のキャリアデザインの重視、持続的なモチベーションの維持などについても説明し、質疑応答では盛んに実例を挙げて意見の交換を行なっていた。

kennkyuu1.jpg - 20.55 Kb

kennkyuu2.jpg - 20.06 Kb

kennkyuu.jpg - 18.04 Kb

積水化学の平松誠課長が5月18日に表敬訪問

 積水化学本社国際部の平松誠課長が5月18日に、丸紅の化学製品部門のユタカ・アルガ取締役と商工会議所を表敬訪問、ブラジル経済、化学製品市場などについて平田事務局長と話合った。

070518 Sekisui Chemical

 左から積水化学の平松誠課長/丸紅化学製品部門のユタカ・アルガ取締役

5月18日の経済情報

>>今年初めの4ヶ月間の税収は11.51%増加

 今年初めの4ヶ月間の国税庁の税収は、前年同期比11.51%増加の1,888億2,600万レアルで、そのうちの459億3,100万レアルは社会保障院(INSS)の徴収分であり、連邦政府が見込んでいた5.0%の2倍以上の税収となっている。4月は510億5,100万レアルであった。

 ドル安の為替で輸入が急増しており、今年初めの4ヶ月間の輸入製品の輸入税(II)は18.95%、工業製品税(IPI)は23.63%とそれぞれ大幅に増加している。

 また金融部門、自動車、鉄鋼・金属や通信部門が好調で、法人税(IRPJ)は16.51%、純益に対する社会納付金(CSLL)は15.22%それぞれ増加したが、特に販売記録を塗り替えている自動車業界からのIPIは、9.75%も増加している。

 第1四半期の83社が競合する民間年金基金マーケットは前年同期比20.2%増加して税収総額は59億7,700万レアルで、引き出し時に利益に対して所得税がかかるVGBLは30.24%増加の40億レアル、運用金の12%までの所得税減税が可能なPGBLは、1.93%増加の11億1,400万レアルであった。(18日付けエスタード紙)

>>4月の正規雇用増加は記録更新

 4月の正規雇用増加は30万1,991人に達して1992年以来に統計を取り始めての記録となり、127万2,951人が新規雇用されたが、97万960人が解雇された。

今年初めの4ヶ月間の雇用増は70万1,619人、最終12ヶ月間では136万人の雇用増、1月に連邦政府が発表した経済成長促進プログラム(PAC)で、インフラ整備部門、造船、建設部門を中心に雇用が見込まれており、今年の年末までには165万人の雇用増が見込まれている。

4月の部門別雇用は製造業が10万3,763人、サービス業8万2,768人、農畜産4万1,227人、商業3万6,899人、建設業部門が3万887人となっている。(18日付けエスタード紙)

>>インスタントスープはブラジルの食習慣を変えるか

 低カロリーと風味で市場が拡大しているインスタントスープは、6月から8月の3ヶ月間で1年間の50%を消費するために、メーカーはこの時期に合わせて、新商品の発売キャンペーンを展開する。

 Maggiの商品名でインスタントスープを販売するネストレー社は、6種類の新しい風味のインスタントスープを販売するが、競合他社にもないパウミット入りインスタントスープの宣伝を映像媒体などで大々的に展開する。

 インスタントスープのマーケットシェアは、Vonoを販売する味の素が60%以上で競合他社を圧倒しており、2位には大きく引離されて商品名QualimaxのLiotecnicaの16%、Maggi販売のネストレー社は8%、Knorrのユニリバーが5%のシェアを確保している。

 昨年のインスタントスープの市場規模は2億5,700万レアルであったが、気候がブラジル同様のラテンアメリカ諸国のインスタントスープの消費量はブラジルよりも多く、今後の消費量の拡大が期待できるが、味の素では健康促進のために、スナック代わりにインスタントスープを飲む食習慣変換をターゲットにしている。(18日付けガゼッタ・メルカンチル紙)
 

コンサルタント部会が5月16日に若手有望クリエイターの緒方信行氏を招いて、デザインーセミナー開催

コンサルタント部会が5月16日に若手有望クリエイターの緒方信行氏を招いて、デザインーセミナー開催、渡邉ジェトロサンパウロ所長の多岐にわたる顔の広さで別世界の舞台裏を垣間見ることができた。

コンサルタント部会(渡邉裕司部会長)は今までにない一風替わったセミナーとして、リオ市で起業家として成功している若手有望クリエイターの緒方信行氏を招いて、「デザインと新たな広告領域」と題して、5月16日午後4時から6時過ぎまで、商工会議所会議室に多くの女性を含む51人が参加、クリエイティブを追及する緒方氏の異次元の物の見方や考え方に圧倒されて、素晴しいセミナーとなった。

緒方氏は冒頭から「デザインとは何ですか」と参加者に問い、パワーポイント、CM,車のデザインなどが頭に浮かんでいると思いますが、私は形を構築することであり、パソコン、ライターや車などの最適な形を考えることがデザインであり、例えば良い形の車のデザインをするには、車を知らなければならないアーキタイプ、また今の主流である企業理念にあったデザインがステレオタイプであるが、やはりデザインする物の本質を知らなければならない。

クライアントからデザインを頼まれるときは、往々にしてクライアントは何をして欲しいのかも解らない場合があり、要求しているものが理解できるまで徹底的にミーティングを重ね、お互いが理解しだしたら波長も合うようになり、人とのつながりを大切にてその人の人柄がでるので、自分自身を知る旅でもあり、どんな自分でありたいか考えている。

クリエイティブハウス「OESTUDIO」をブラジル人と立ち上げて6年目になるが、製品コンセプト、企業ロゴ、ファションショーの企画、テレビなどの映像媒体宣伝などを行なっているが、単なるデザインスタジオと異なる点は洋服のデザインをしており、ブラジル、日本やヨーロッパで「OESTUDIO」のブランド名で販売しているが、本当に自分のクリエイティブを掻き毟るため、アートや発奮の場であって、利益を出して金に縛られる守銭奴には毛頭なりたくないと強調した。

またある企業からロゴ製作の依頼があっても、単にロゴを製作するのではなく、映像、CDのジャケット,ユニホーム、キャンペーン用ウエブなどメディアも活用してビジュアルからコニュ二ケーションのスタジオを目指している。

ショッピングモールで履物、衣料やバッグなどの販売のブランド店「Cantao」はマーケティングを疎かにしていた為に、客離れが激しくて客足が遠のいていた為に広告の依頼が舞い込んだが、初めにロゴの更新から着手して、今後のブランドのポイントとなる赤いポイントマークを包装紙、ショピングバッグ、店内の装飾などあらゆるところに入れて強調、新ブランド化のフィロゾフィーの植えつけて成功し、今ではブラジルに60数店舗を構えている。

また緒方氏は招待されてリオファッションウイークにも参加、その斬新なデザインコンセプトとマルチメディアを使ったファッションショーがうけ、あらゆる雑誌などに取り上げられ、新しいデザインの仕事、広告、ロゴ作成、ウェブデザインなどの注文が団体を組んできたために、裁ききれない嬉しい悲鳴をあげている。

パンアメリカン競技大会のブラジル代表チームのユニフォームのデザインも手がけていているが、スポーツユニフォームは規制が多い為、余り斬新なクリエイティヴなデザインを捻り出すのは難しいが、競技用ショーツに人間の血管にも見える木の枝のデザインを工夫、実用性、ブランド価値、モラル価値の三点を考慮してこのプロジェクトを進めた。

新しいクライエントとはどのような方向に、これから社のブランドを運んでいくかを考え、緒方氏率いるスタッフ陣はブレインストーミングを行い、あらゆる可能性を考案した後で、これだといったものに絞り、クライアントにプレゼンテーションするが、現在は商品さえよければいいという時代は終わり、感性などソフトな面も重要化したブランド(業者)のみが生存権を獲得できる厳しい世界に身をおいているが、人の心を暖かくできるような夢のある仕事ができればよいのですがと謙虚に語った。

緒方氏は早稲田大学在学中にコマーシャル製作会社で、アシスタントを務めながら取り溜めた映像作品が、世界でも著名な写真家のオリビエロ・トスカーニ氏に認められ、イタリアのベネトンリサーチセンター「FABRICA」に史上最年少で採用され、トスカーニ氏のアシスタントとして扱かれ、「クリエイティブとは何か」を徹底的に考えさせられる日々を過ごした。その後ニューヨーク滞在した後、リオで「OESTUDIO」を設立、FIAT,SONYやHPなど幅広いクライアントを持って,異色の日本青年実業家として活躍している。

design1.jpg - 25.29 Kb

design2.jpg - 16.22 Kb

design.jpg - 24.29 Kb

5月17日の経済情報

>>S&Pがブラジル国債格上げで更にドル安

 15日にドル値がR$2.00を割って6年ぶりの水準となるR$1.982となり、昨日は多少ドル高に戻すと大半の金融スペシャリストは予想していたが、S&Pがブラジルの長期外貨建て債務を「BB」から「BBプラス」に格上げしたために、更にドル安が進み、中銀が総額20億ドルのドル介入を実施したにもかかわらず、焼け石に水となり、11ヶ月ぶりとなる1.36%の大幅値下げで、R$1.954を記録した。

 ドル安傾向はサラリーマンにとって輸入品の購買力が増加してメリットがあり、政府にとっては輸出企業に対する補償措置を急ぐ必要はないとルーラ大統領は述べて楽観視している。

 ドル安に拍車がかかるとスーパーの輸入製品販売増加が明らかであり、パン・デ・アスーカル社では、海外の業者から直接買い付けている米は今年4ヶ月間の売上げが、前年同期比6.7%も伸びているが、商業用冷凍機製造のメタルフリオ・ソルーション社では、ドル安で収益を圧迫されており、コスト削減、輸入部品の使用やイノヴェーション投資で対処せざるを得ない。(17日付けガゼッタ・メルカンチル紙)

>>国会はPACの一環PPI予算増加112億8,000万レアル承認

 国会はPACプログラムの一環である投資パイロットプロジェクト(PPI)の予算45億レアルから112億8,000万レアルへの増額を承認、PACプログラム実施に拍車がかかると予想される。

 この112億8,000万レアルの増額で、今年のプライマリー収支黒字目標は、GDP比0.45%下げた3.3%に設定されるが、投資増額分はSelic金利引下げで、国債金利支払い減額分が想定されている。

 今年初めのプライマリー収支黒字はGDP比4.25%に設定され、再度3.8%に見直されたが、PPIプログラム推進には予算が不足していたために、PACの大衆住宅及び上下水道整備に対する州や市町村の負担を軽減する政治駆引きで、連邦予算基本法(LDO)を修正することに成功した。(17日付けエスタード紙)

>>ヴォトランチンはリオに100万トンの製鉄所建設

 ヴォトランチングループはリオ州レゼンデ市に10億レアルを投資して、年産100万トンの製鉄所を建設、またバーラ・マンサ製鉄所の生産能力を70万トンに引き上げ、年産30万トンでコロンビア第2位のパス・デル・リオ製鉄の株式52%を獲得して増産に拍車をかけている。

 ヴォトランチンの製鉄所新設は、国内資本で最大の生産野力のあるゲルダウ社、世界最大のアルセロール・ミッタル資本のアルセロール・ブラジル傘下のベルゴ社と国内シェアを争うための投資である。

 しかし世界的に鉄鋼業界の再編が進んでいる鉄鋼業界において、ヴォトランチンの戦略は後出に回っており、世界ランクの鉄鋼会社の年産は2,000万トンを上回っている。(17日付けエスタード紙)

>大手スーパーがEコマースでの販売に注目

 大手スーパーのパン・デ・アスーカル社は、1995年にネット販売サイトを立ち上げたが、利益率の大きいEコマース販売に注目しており、現在の売上げは全体の1%の1億6,000万レアルであるが、同スーパーのデリバリーサイトPDA及びExtra.comの売上げを5倍にする計画を進めている。

 またウォール・マート社もインタネット販売に注目しており、米国のウォール・マート社のネット販売オペレーションを研究しており、今年の年末にはサイトを立ち上げる予定である。

 サンパウロ州内にスーパー網を有するソンダ社は、2004年からソンダ・デリバリーを立ち上げて1万点の商品を販売、昨年は前年比48%の売上げ増加を記録、平均購入額は300レアルとなっている。(17日付けガゼッタ・メルカンチル紙)

【 時事評論 】
                                              何の錨、どちらの投錨なのか  

デルフィン・ネット元大臣をはじめ多数の経済学者達がそれぞれ矛盾した2つの理論を支持している。
一つは高金利が国内為替のドル下落の主な要因となり、投機を刺激する結果、高金利の恩恵を求めて資本が流入すると言う理論である。デルフィン・ネット氏によると、もし中銀が他国のレベルにブラジルの金利を調整すれば対米ドルのレアル高に終止符が打たれると確信している。

二つ目の理論は米ドル為替レートの下落が(=レアルの高)中銀が実施している金利低減政策よりもブラジルのインフレ低下に貢献しているのだと言う。
もし、この概念をビリヤードゲームに例えれば、おかしい事に気づくことが出来る。黒のボールはまずプレイヤーが白のボールを突かないと落とすことができないことになっている。もし、高金利が米ドルを下落させ、それがインフレ率を低下させているならば、為替ではなく、高金利がインフレを抑えている事になる。

最も適切な言い方からすれば、高金利は対米ドル、レアル高の主要因ではないということだ。この理由は3つのファクターから明白である。
* 貿易バランスの好実績 – 4年連続4百億米ドルを越す貿易黒字がでている。
* 外国からの直接投資の急上昇(今年2百億米ドルを上回ると予測されている)。
* カントリーリスクの低下(現在152)。

これらは現在の世界市場の目ざましい流動性、経済状況の好転と密接に関連しているからだ。
また、金利は事実、需要をおさえ、インフレを抑える効果と同時に貯蓄を刺激するのは論を待たない。この効果さえ無ければ、中銀はインフレ抑制だけに固執、経済成長の為の金利政策をしていない等というクレームは本来無くなるはずだ。

しかし、為替がインフレを抑える主な役割を果たしている事には間違いはない。これは経済学者らが名付けたパス・スルー(Pass Through)なるものであり、為替が物価の変動(上がるか、または下がるか)に影響しているという事である。ドル安は輸入を促進し、商品は比較的安価で国内市場で販売され、このメカニズムが国内競争を起こし、製造業または販売業者の価格を輸入類似品より高値に設定することを不可能としてしまう。

この証拠にトレーダブルな商品が一番インフレを抑えるために、競争原理により寄与しているのだ。サービス業の大半は市場の競争原理が作用せず、学校の月謝は輸入の取引の対象では無いし、まして美容師、医療サービス業なども同様である。
我々が推測できる事では、中銀は為替がインフレ率を低下させているという事実にあまり重要性を感じていないということである。従って、その無関心さが金利の引き下げを遅らせているのではないかという事だ。

この疑問を分野のオーソリティーらに投げかけると、無関心など有り得ないと言う。ただ、世界のどの中銀も物価動向の予測を為替動向に左右され操作する権利は無いとの一点張りだからである。
とにかく、この課題の分析はこのコラムの枠に収める事は無理であろう。

                                                                                          <07年5月13日付けエスタド紙>

 

モジ市役所のルーベンス社会経済開発局長が表敬訪問

 モジ市役所のルーベンス・ソロヴジェヴァス社会経済開発局長が、5月16日に商工会議所を表敬訪問、アメリカ会議所とモジ市役所共催で6月11日に開催予定されていたモジ市及びアルト・チエテ地域への融資エベント「経済開発の両車線」の延期の報告に会議所を訪れ、平田事務局長に支援のお礼を述べた。このエベントはモジ商業組合、レッジグローボ局傘下のTVジアりオ、新聞「A Semana」,メトロポリタンラジオ及びブラジル日本商工会議所が支援。

 また5月の昼食会にはモジ市タボアン地区のゴミ埋立て反対運動支援者傍聴会出席で参加できなかったことを説明したが、平田事務局長は今後の昼食会に参加してエベントの紹介を促した。

 ルーベンス局長は日本移民100周年事業の一環として、モジ市のセザール・デ・ソウザ地区の21万5,000平方メートルの土地に100レアルを投資して 100周年記念公園建設、2008年5月までの完成のためには民間からの投資が必要であり、会員企業からの投資を呼びかけている。今年すでに58社が工業を中心にモジ市に進出、人口37万人で日系人も多く、また学園都市でもあり、優秀な人材の確保が容易であると述べた。

 

070516 Mogi Das Cruzes

モジ市役所のルーベンス社会経済開発局長

5月16日開催の自動車部会が16人が参加

5月16日午後5時から6時まで商工会議所小会議室に16人が参加、岩村哲夫前部会長の北米ホンダへの栄転で空席になっていた部会長にトヨタの長谷部省三社長、また足立雅人副部会長の後任に久米豊ブラジルヤマハ社長がそれぞれ満場一致で選任された。

今後の方針として業種別部会長シンポジウムの発表資料作成の意見交換会の開催、部員の親睦、引き続き知的財産権、エミッション規制、不当競争のモニトリングなどで意見の交換を行なった。部会終了後に近くでレストランにて親睦夕食会の席が設けられた。

参 加者は雨宮氏(雨宮工業)、マサミ・コボウ氏(Autosafe),猪本氏(デンソー)、鍋島氏(ホンダ・サウスアメリカ)、小林修氏(三菱コーポレー ション)、小林且幸氏(三菱コーポレーション)、渡辺氏(NGK),関根氏(個人)、長瀬副部会長(テトラ・ペトリ)、 長谷部部会長(トヨタ)、天野氏 (トヨタ)、久米副部会長(ヤマハ)、大川氏(矢崎)、金沢調査員(サンパウロ総領事館)、平田事務局長

奥のワイシャツ/ネクタイ姿が長谷部省三新部会長

5月16日の経済情報

>>ドルはR$1.98で6年ぶりにR$2.00を割った

 昨日のドル値は午前中から下がり始めていたが、中銀が午後3時になってやっと4億2,500万ドルのドル介入をしたが、終値は2001年1月以来のドル安となるR$1.982となった。

 今後もドル値はR$2.00前後で推移すると予想されているが、バネスパ銀行の金融スペシャリストは、力強い世界経済の成長、ブラジルの好調な輸出、高止まりしているコモデティ価格、改善されてきた国内経済ファンダメンタルズ、多様な通貨に対する世界的なドル安などのシナリオで、年末のドル値をR$1.90を予想している。

 ブラジル政府はドル安による輸出不振や不正規輸入製品増加で、繊維・衣料、履物並びに家具業界に対して、緊急工業政策を発表する準備をしていたが、自動車及び造船部門に対しても、生産能力拡大のために同政策を適用する。

 緊急工業政策のベネフィットは減税、社会経済開発銀行(BNDES)の融資枠の拡大及び早急な融資、最大35%までの輸入税(II)の適用などとなっている。

 輸出関連企業を中心に中銀の通貨政策に対して不満の声も大きいが、安い輸入製品、割安な海外旅行やインフレ抑制、輸入企業にとってはコスト減少、輸出業者にとっては良質な輸入材の使用、格安な輸入機械・装置の設備投資で生産性が高くて、価格競争に強い輸出製品製造が可能になる。

 しかし履物や繊維製品のように、労働者の賃金に左右される業界にとっては、ドル安は国内外共に製品の価格競争力で後塵を浴びなければならない。(16日付けエスタード紙)

>>違法コピーソフト使用が減少

 昨年の個人の違法コピーソフト使用率は、前年よりも4%低下の60%となり、調査対象の102カ国中で最も低下率が大きかったが、ブラジルの昨年のソフト業界の違法コピーソフトによる損害は11億4,800万ドルと算出されている。

 ブラジルはラテンアメリカ地域では、コロンビアの59%に次いでコピーソフトの使用率は低いが、昨年のラテンアメリカのコピーソフト平均使用率は、前年の68%から66%に低下したが、世界平均の35%よりも大幅に高くて、損害は31億ドルに達すると見られている。

 米国のコピーソフトの使用率は21%で最も低いが、昨年の損害額は73億ドル、中国では最近の3年間で10%低下したが82%、ロシアは7%低下の80%まで下がったが依然として高率であり、ヨーロッパ連合36%、中東60%、アジア・太平洋55%で、昨年の違法コピーソフトによる世界の損害総額は、400億ドルに達すると見られている。(16日付けガゼッタ・メルカンチル紙)

>>ブラジルの紙・パルプ生産の収益性は世界トップ

 ブラジルの植林栽培技術は年々向上してきており、2005年の紙・パルプ事業に対する収益性はn10%で世界平均の6%を大幅に上回っていたが、昨年は13%と世界平均の2倍以上となり、世界の製紙・パルプ生産のトップになる可能性が増加してきた。

 ロシアではパルプ生産に対する課税リスクの増加、中国はユーカリ植林技術の不足、欧米では同事業への投資の放棄などで、ブラジルにとっては今後の紙・パルプ業界の見通しが明るいうえに、地理的に害虫の影響を受けないのも好条件となっている。

 ブラジルのクーロン苗や植林技術の向上で、ユーカリ伐採まで7年かかっていたが、今では4年後に伐採できるまでになったが、輸送ロジステックが唯一のネックとなっている。(16日付けガゼッタ・メルカンチル紙)
 
>>第1四半期の小売は9.7%増加

 3月の小売業界は上昇している実質賃金、安定した雇用並びに金利の低下で、前月比1.1%、前年同月比11.5%、第1四半期は9.7%とそれぞれ増加、第1四半期としては2002年以来の好調を記録した。

 またドル安の為替でコンピューター及び周辺機器、衣料製品なども価格が低下してきて、益々内需に拍車がかかってきており、今年の小売業界は昨年の6.2%増加を上回ると予想されている。

 今年のイースターが4月初めであったために、3月中にイースター関連製品が購入されたことも小売部門の売上げに寄与したが、3月のスーパーの小売は食料品、飲料や嗜好品関係が4.8%と大幅に増加した。

 3月の小売は前年同月比では、コンピューター及び周辺機器が24.9%、自動車・部品18.5%、家電・家具18.1%、服地・衣類・履物9.9%、書籍・印刷物9.3%、石油・潤滑油7.0%、医薬品・化粧品5.7%、建築材料4.4%それぞれ増加した。(16日付けエスタード紙)