5月04日の経済情報

>>第1四半期のリオドーセの純益は51億レアル

 第1四半期のヴァーレ・ド・リオドーセ社(CVRD)の純益は、前年にカナダ資本のインコ社の買収で大幅に上昇、前年同期比133%増加の50億9,500万レアルで記録を更新、また売上げも100.8%増加の166億2,900万レアルを記録した。

 世界第2位のニッケル鉱生産のCVRDインコ社の売上げは67億4,300万レアルで、非鉄金属部門の売上げが43%と大幅に上昇して、鉄鉱石部門の売上げ40.7%を初めて上回った。

 コモデティ商品であるニッケル鉱の国際価格は高騰しており、また鉄鉱石価格の調整も売り上げ増加に寄与、ボーキサイト鉱及びアルミナ鉱の売上げは8.6%を占め、ロジスティックサービス部門は4.9%であった。輸出ではアジア向けが43.7%、米州が34.25であった。

 CVRDインコの純益は15億8,400万レアルで大きく寄与したが、インコ社買収でCVRDの負債総額は、60億6,300万ドルから234億8,000万ドルに膨れ上がっているが、ドル安の為替で第1四半期は、9億500万ドルもファイナンスに寄与した。(4日付けエスタード紙)

>>ゲルダウは年末の粗鋼生産を1,700万トン

 海外戦略を果敢に進めている世界粗鋼生産13位のゲルダウ社の第1四半期の純益は、前年同期比4.45増加の8億6,930万レアル、売上げは15.55増加の64億レアルであった。

 第1四半期の普通鋼の生産は7.7%増加の400万トン、圧延鋼は11.7%増加の340万トンであったが、年末には前年比15%増加の1,700万トンを見込んでいる。

 また先週はメキシコのツルチツラン製鉄、フェーロツルチツラン及びアレンダドーラ・ヴァーレ・ド・メキシコを2億5,900万ドルで買収して、国際戦略を推進している。

 今年のブラジル国内では、PACプログラムによる建設部門の活況で、6.0%から8.0%の売り上げ増加を見込んでおり、第1四半期は建設部門に99万5,000トンの鉄鋼製品を販売している。(4日付けエスタード紙)

>>ボリビアからの天然ガス輸入中止に備える

 ブラジルの天然ガス消費量4,500万立方メートルのうち2,700万立方メートルをボリビアから輸入しているが、ボリビア政府はペトロブラスの2ヵ所の天然ガス製油所を、資産総額1/3以下の6,000万ドルで接収される可能性が大きく、接収後は価格や技術面で、安定的に天然ガスの供給が保証されない可能性があるために、液化天然ガス(LNG)供給国と輸入で折衝している。

 来週にはペトロブラスの交渉団がカタール、トリニダード・トバコ及びアルジェリアに液化天然ガス供給交渉に向かうが、最近になってナイジェリアンLNG社と2009年からのLNG供給交渉が成立している。

 海外からタンカーで輸入後は建設予定のリオ及びセアラーの気化設備基地を利用するが、今後はマラニャン州サンルイス港、バイア州アラツ、ペルナンブーコ州スアペやサンタ・カタリーナ州サンフランシスコ港でも基地の建設を検討している。(4日付けエスタード紙)
 
>>PAC投資促進に金利低減

 経済成長加速プログラム(PAC)への投資促進のために、勤続期間保障基金(FGTS)の財管審議会は、上下水道整備及び中産階級家の住宅ローンファイナンス金利低減を決定した。

 月収が3,900レアルから4,900レアルの中産階級向け住宅ローン金利を、年利8.0%プラス参考金利(TR)から年利6.5%プラスTRに低減、今年は4億5,000万レアルのファイナンス枠を設けているが、FGTSの住宅ファイナンスの86%は5最低サラリーまでの人が利用している。

 下水道工事に関する金利は6.5%プラスTRから6.0%プラスTRに低減、その他の上水道工事などは、8.0%プラスTRから6.0%プラスTRに低減した。(4日付けエスタード紙) 

ニッシン・ブレーキ・ド・ブラジル(有)は5月3日にブレーキ新工場の定礎式を行なった

ニッシン・ブレーキ・ド・ブラジル(有)はイツー市に四輪向けブレーキ工場を建設、5月3日午前に建設地で定礎式が行なわれた。

ニッシン・ブレーキは1997年から二輪向けブレーキを生産しており、四輪用ブレーキの新工場建設は戸田建設(阿部勇社長-商工会議所の専任理事、異業種 交流委員長)が担当,品質、安全並びに工期厳守を誓って、新工場の順調な門出を祝い、年内に工場を完成して操業を開始、当面はホンダ向けに製品を納入す る。

定礎式には日信工業本社の阿部保社長、ニッシン・ブラジルの社長、イツー市長、ホンダ・サウスアメリカの峯川尚社長、総領事館から土肥克己領事、商工会議所からは田中信会頭、平田藤義事務局長など多数が参加した。

 

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 070503 ニッシン・ブレーキ・ド・ブラジル社3

5月03日の経済情報

>>4月の貿易収支黒字は42億ドル

 4月の貿易収支黒字は輸入の減少で、前年同月比35.66%増加の42億ドルとなり4月の月間記録を更新、また今年4ヶ月間の累計では129億8,000万ドルで、前年を5億4,000万ドル上回っている。

 最終12ヶ月間の累計貿易収支黒字は469億9,000万ドルで、輸入は979億7,000万ドル、輸出は1,449億7,000万ドルで共に記録を更新、しかし4月の1日平均当りの輸入は前年同月比10.2%増加に留まり、3月までの27%増加を大幅に下回ったが、一時的な現象と予想されている。

 特に自動車の輸入が前年同月比27.9%に留まったが、今年4ヶ月間では51.2%増加している。輸出は金額及び量とも強い伸びを示しており、今年は1,520億ドルの目標に達すると見込まれている。((3日付けエスタード紙)

>>工業界は内需旺盛で楽観視

 全国工業連合(CNI)は4月に企業家を対象にした、今後6ヶ月間の生産及び雇用調査では、輸出は減少傾向になるが国内需要旺盛で、今後の生産活動に関しては楽観視している。

 内需拡大で今後6ヶ月間内に増産予定のための原材料購入が、1月の53.7ポイントから58.7ポイントに上昇したが、輸出向け生産は51ポイントから48.9ポイントに減少した。

 前回の調査では項目になかった国内マーケット拡大傾向では、60.6ポイントと楽観視しており、部門別では自動車業界の企業家は67.9%、金属は64.5%、医薬品業界では64.3%と内需拡大を見込んでおり、雇用拡大では50から52.4ポイントと2005年1月以来、初めて前回の調査を上回った。しかしドル安の為替で輸出不振な履物業界、皮革、木材及び繊維業界は雇用削減を予定している。(3日付けガゼッタ・メルカンチル紙)

>>自動車生産キャパ不足で需要に追いつかない

 24時間生産体制を敷いている自動車メーカーも在るが、自動車生産キャパシティー不足で需要に追いつかず、4月のバスやトラックを含む自動車販売台数は、前年同月比36.6%増加の17万9,334台で、4月としては2番目の販売台数を記録、前月比ではマイナス7.3%となったが、4月の1日当りの販売台数は8,966台で前月の8,793台を上回っている。

 今年4ヶ月間のトラックなど含む自動車販売は、前年同期比22.55増加の67万2,480台、ワーゲン社が23.98%のマーケットシェアでトップ、バスを生産していないファイアット社は23.85%であった。

4ヶ月間の自動車のみの販売では63万9,691台で、ファイアット社が25.1%でトップ、ワーゲン社23.5%、GM社21.4%、フォード社は大きく離されて11.6%であった。

4月の自動車のみの販売ではワーゲンが23.6%、ファイアット23%、GM20.7%で、車種ではゴール車が1万8,857台でトップ、パリオ車1万5,195台,セルタ車9,422台、ウノ車9,195台、フォックス車が8,157台であった。(3日付けエスタード紙)
 
 >>ドル流入が止まらない

 4月のドル流入は国内金利の高止まり、好調な貿易収支黒字、天井知らずのサンパウロ平均株価、下げ続けるカントリーリスクや平穏な国際情勢などで、前月比61%増加の107億2,800万ドルで、中銀が統計を取り始めた1982年以来の記録となっている。

 今年4ヶ月間で129億8,600万ドルに達して増え続ける貿易収支黒字やリスクの少ないブラジル国内情勢で、海外投資家によるサンパウロ証券取引所への投資増加で、今年はすでに11.0%も値上げしている。

 またドル介入で増え続ける外貨準備高は、今年だけで29%増加の1,210億ドルに達しており、国内外のシナリオではドル高になるファクターが全くないために、更にドルの流入が継続すれば更にドル安傾向になる。(3日付けガゼッタ・メルカンチル紙)

サンパウロ商業会の昼食会が5月2日に開催、田中信会頭が参加した

サンパウロ商業会(ACSP)の昼食会が5月2日正午過ぎから開催、ブラジル日本ブラジル商工会議所からは田中信会頭が出席、空港インフラ業務公社(Infraero)のエドガルデ・ブランダウン総裁が継続する航空危機について講演した。

5月02日の経済情報

>>自動車部品メーカーはフル操業

格安で長期自動車ローン販売の好調で、自動車メーカーからの発注に供給が追いつかない自動車部品工業界は、工場拡張や三交代制などで受注に対処している。

 Peguform社では、今年の投資総額300万ユーロのうち150万ユーロを投資して、新しいインジェクター生産をパラナ州サン・ジョゼ・ピニャイス工場で生産開始するが、今年の売上げは昨年比14%増加を見込んでいる。

 デルフィ社は3,000万ドルを投資して、サンパウロ州内の製造工場で、デストリビューター増産に対して600人を新規雇用してフル操業、南米向けに自動車部品輸出を行なう。

 ベアリングメーカーのSKF社は、サンパウロ州カジャマール工場に1,500万ドルを投資して生産ラインを増設、韓国のGM向けに輸出しているが、来年からはブラジル向けにも生産する。(2日付けガゼッタ・メルカンチル紙)

>>コモデティ製品が海外直接投資を誘発

 国際コモデティ製品価格の高止まりはレアル高の為替にも関わらず、海外からの直接投資を誘発、第1四半期の海外からの直接投資額66億ドルの4.9%に相当する3億2,200万ドルが鉱業向けコモデティ製品向け投資で、コモデティ向け投資はGDP比8.9%であった。

 このコモデティ製品向け3億2,200万ドルの直接投資額は、前年同期の3,100万ドルの約10倍であり、昨年1年間の投資総額よりも僅かに7,100万ドル少ない結果となっており、今後益々増加すると見込まれている。

 製造業向け直接投資のGDP比は40.4%で、化学工業部門向けはGDP比19.4%、自動車工業は4.9%、石油化学部門への投資は2.0%、サービス部門は50.7%で、そのうち金融部門は14.4%、商業部門は8.1%を占めた。(2日付けエスタード紙)

>>住宅ローン貸出は3倍増に

 低額長期ローンや固定金利の住宅ローン販売で、銀行からの住宅向けクレジットは大幅に増加してきているが、現在の住宅クレジットはGDP比2.0%であるが、今後3年以内に3倍増のGDP比7.0%への増加が予想されている。

 ブラデスコ銀行はSelic金利低下に伴って、20年物の固定住宅ローン金利を14.0%から12.5%に下げるに伴って、固定金利ローンによる住宅購入者比率が10%から25%まで上昇、今年の住宅ローン貸出は昨年の21億レアルから今年は、30億レアルに増加すると見込んでいる。(2日付けエスタード紙)

 ブラジルの住宅クレジットはGDP比2.0%の395億レアルであるが、メキシコは9.0%、チリは13%でブラジルよりも大幅に多いが、欧米各国では軒並みGDP比50%以上であり、オランダは111%、英国73%、米国65%、アイルランドは53%となっているが、唯一インドが2.0%とブラジルと肩を並べているに過ぎない。

>>4月の投資は株が6.88%の収益でダントツ

 4月の投資は世界的株価の上昇に伴って、サンパウロ平均株価も6.88%上昇して、3月に続いて投資収益率トップとなり、今年の累計は10.07%と大幅な収益を上げている。

 外的要因では英国軍人解放によるイラン危機の回避や石油価格の低下、国内要因としては新算出方法によるGDPのアップ、公的負債のGDP比低下及び経済成長率のアップも株価上昇に寄与しているが、シティグループでは、年末の株価を5万ポイントから5万4,000ポイントに修正している。

 株に次いで金の収益率は3.91%で、今年の累計では7.01%、CDIは0.94%で年累計4.00%、ポウパンサ預金は0.63%及び2.63%、商業ドルはマイナス0.80%で年累計ではマイナス4.87%となっている。(2日付けガゼッタ・メルカンチル紙)

経済産業省の細野製造産業局長が来聖、4月30日に公邸夕食会に会頭や副会頭などが出席した

経済産業省の細野製造産業局長が来聖、4月30日午後7時30分から総領事公邸で夕食会が開催された。商工会議所からは田中信会頭、大前孝雄副会頭、石川清治副会頭、松田雅信副会頭並びに渡邉裕司専任理事が参加した。

アマゾナス日系商工会議所の鶴西会頭と山岸相談役が4月27日に表敬訪問

モト・ホンダ・ダ・アマゾニアの副社長でアマゾナス日系商工会議所の鶴西幸博新会頭及び現在は同会議所相談役の山岸照明前会頭が4月27日午前に、ブラジル日本商工会議所を表敬訪問、田中信会頭並びに平田藤義事務局長と色々と話合った。

写真:左から2人目が山岸相談役/3人目が鶴西会頭

食品部会が4月27日に開催、今後の部会活動について意見を交換した

今年2回目の食品部会(酒井芳彦部会長)が4月27日正午から午後1時30分まで商工会議所の会議室に6人が参加、今後の部会活動について意見の交換を行なった。

進行役は酒井部会長が務め、部会活動活性化のためには年2回の部会長シンポジウムの他に、工場の見学会、セミナーの開催、食品部会の展示会や即売会の実施など色々な意見が交わされて、工場の見学会については早々と日程を決め、どのようなセミナー開催や展示会を開催するか、大いに意見の交換が行なわれた。

出席者は酒井芳彦部会長(味の素)、尾崎英之副部会長(東山農産加工)、疋田和三氏(三井アリメントス)、中村善昭氏(高砂香料)、松田典仁氏(MNプロポリス)、平田藤義事務局長

 

4月27日の経済情報

>>CSN製鉄は30億ドルを投資してリオに製鉄所を建設

 現在、年産450万トンのCSN製鉄は中国の上海宝鋼集団と共同で、リオ州イタグアイ市に450万トンの製鉄所建設で合意していたが、腰を上げない上海宝鋼集団を待たずに、31億ドルを投資して建設を開始、2009年の操業を予定している。

 またミナス州でも29億ドルを投資して、年産450万トンの製鉄所建設を予定しているが、そのうち100万トンは鋼板、150万トンは棒鋼、200万トンは熱間圧延鋼板で2010年の操業を予定している。

 巨大鉄鉱石鉱山カーザ・デ・ペドラを所有しているCSNは、これらの900万トンの鉄鋼増産に使用する鉄鉱石も増産する予定であり、現在同鉄鉱石鉱山の生産量1,600万トンを2010年には5,300万トンに増産する。(27日付けガゼッタ・メルカンチル紙)

>>第1四半期のABNアムロ銀行の純益は82%増加

 第1四半期のABNアムロ銀行の純益はクレジット拡大で、前年同期比82%増加の6億2,200万レアル、税引き前純益は56%の9億5,900万レアルであった。

 第1四半期のエフィシエンシー指数は、前年同期の49.6%から46.5%に改善、収益性も20.1%から26.2%と銀行平均指数以上に上昇しており、バークレー銀行側かサンタンデール銀行コンソーシアムグループ側が買収しても、買い得となる。

3月のクレジット残高は24%増加の513億レアルに増加、個人向けクレジットは24%増加、法人向けクレジットも23%増加、そのうち中規模企業向けは68%と大幅に増加,零細小企業向けも17%伸びたが、大企業向けはマイナス24%と大きく落込んでいる。(27日付けエスタード紙)
 
>>3月の失業率は10.1%に増加

 ブラジル地理統計院(IBGE)は、3月の全国平均失業率は前月の9.9%から0.2%上昇の10.1%に上昇、ブラジル経済の40%を占めるサンパウロ州のなかでも、工業が集中している大サンパウロ圏は10.6%から11.5%と大幅に上昇して、ブラジルの経済成長率の先行きが心配されるほどの高率となっている。

 ブラジル六大都市圏ではサルバドールが14.1%と最も失業率が高く、レシーフェ12.0%、サンパウロ11.5%、ベロ・オリゾンテ8.6%、ポルト・アレグレ8.2%、リオが最も低い7.4%であった。

 3月の六大都市圏の就業者総数は2,320万人であったが、失業者総数は232万人に増加したが、実質平均賃金は前年同月比5.0%アップの1,109.50レアルとなった。(27日付けエスタード紙)
 
>>外国人投資家がブラジルの安い農地を買い占めて、アグロビジネスに投資

 オーストラリアの南東部クイーンズランドで綿花栽培をしているロバート・ニューウエル氏は、ここ数年、旱魃で生産性が急激に減少してきていた時に、ブラジルの農地を見る機会があり、一目見てここは将来の緑の黄金郷になると確信、2005年に450万ドルを投資してバイア州西部のロザリオ市に1万1,350ヘクタールの農地を購入、数ヶ月以内に大豆と綿花栽培を開始する。

 ニューウエル氏はオーストラリアの農場の半分を売りにだして、更にブラジルに投資を予定しているが、初めの海外投資家によるブラジルの農地購入ブームは2000年代初期に、米国人が1/3以下で買える農地および安い労働賃金に目を付けて買い漁ったが、中国の経済発展に伴い穀物の消費及び代替燃料生産が注目されているなか、必ず第2次ブームが到来すると見込んでいる。

 またブラジルは温暖な気候、有り余る水資源や未だ手付かずの農業耕作地9,000万ヘクタールを有しており、今後のアグロビジネスの条件を最も兼ね備えた国であることは誰も疑う余地がない。

 フランスのコンソーシアムLouis Dreyfusは、バイア西部に2万ヘクタールの農地を購入、またカリフォルニア州退職年金基金(Calpers)は、パラナ州及びサンタ・カタリーナ州に2万3,000ヘクタールの土地をすでに購入しており、著名な投資家のジョージ・ソロス氏も投資家の一人であるAdecoagro基金は1億ドルを投資して,トカンチンス州、ミナス、バイアやマット・グロッソ州内に8農場を購入、2011年までに6億ドルを投資する。

 セレレス・コンサルタント社は1年ほど前から、海外投資基金が穀物及び紙・パルプ生産用植林ビジネスに4億ドルの投資を検討しており、大きな投資のうねりが見え出したが、投資の障害として土地の所有権不備や不法侵入者の存在などのリスクを挙げており、投資決定までに1年ぐらいかかっている。またインフラの不整備も投資の障害になっているが、道路や港湾が近くにあれば、海外投資家は目を見張る。

 また米国やオーストラリアでは農場管理を専門企業に任せるために、ブラジルでは新たな分野で雇用創出の機会も生まれており、AgraFNP社では米国及びオーストラリアの投資家が購入した農地を管理している。

 ニューメキシコ州の米国人デーン・アレクサンダー氏は、1999年に友人のポルトガル人に誘われてブラジルを訪れたが、世界でも最も農業に適した国であることを確信、1年後には250万ドルを投資してバイア州西部に1万1,500ヘクタールの農地を購入して綿花栽培を始めたが、2004年に耕作していない土地が面積の半分を占めていたために、それを250万ドルで売ることに成功、初期投資を早々と回収しており、ブラジルは発展途上国といわれるが、農業生産では先進国であると判を押している。(25日付けエザーメ誌891号)

>>企業投資家には移住の門戸開放

 レストランチェーン網タイ・ガーデンの共営者の一人であるスペイン人ベルナルド・ロッカ氏は、毎日マドリード、バルセロナ、カザブランカ、メキシコシティーのそれぞれの責任者とテレビ会議を行なっており、サンパウロ市には昨年1月に,タイ女性で厨房の責任者で共営者タサナイ・ピアン、通称マダム・タスと200万ユーロを投資してタイ料理レストタンを開店、50人の従業員を雇っている。

 ロッカ氏とマダム・タス氏は10ヶ月間をそれぞれの国で過ごすが、ロッカ氏は賃貸アパートから自分が購入したアパートに住居を移して、サンパウロに拠点を構える。

 ブラジルは10年前から投資企業家へパーマネントビザを発給しているが、2004年に最低投資額を20万ドルから5万ドルに引下げ、10人以上のブラジル人を雇用するビジネスであれば5万ドル以下でも、パーマネントビザを発給するようになり、昨年は2004年の5倍に相当する1,033人の起業家に対して、パーマネントビザを発給したが今年は倍増が予想されている。

 起業家や特殊技術者の受入は米国が最先端を行っており、1950年頃から動乱のヨーロッパから科学者や学者などの頭脳流出を受入れており、共産主義の終焉時にはソビエト連邦からの優秀な多くの学者を受入れた。現在はインドや中国の最も優れた教育を受けた移住希望者を受入れている。

リオ市のジェツリオ・ヴァルガス財団のサムエル教授は、優秀な人材は経済成長の牽引車であり、ブラジルの教育システムでは充分な人材が確保できないために、海外からの優秀な人材を受入れなければならないと強調している。

 しかしブラジルの労働市場は外国人受入には門戸が固く、受入企業は外国人労働者のブラジル勤務の必要性を証明する義務があり、またブラジル人でその仕事ができないことが証明されて、初めて労働ビザが発給されるが、発行されるまでの雑多な書類申請と時間のかかる審査で、呼寄せ企業の人事担当者を悩ませている。

 レシーフェ市のソフト開発会社ではドイツ人のプログラマーを呼寄せようとしたが、申請後3ヶ月でプロジェクトが始まり、臨時労働ビザ発給の簡単な留学プログラマーを呼寄せて間に合わしたが、昨年、ブラジルが受入れた能力の高い専門家へのビザ発給は1,000人を下回ったが、米国は6万人を受入れた。

ブラジルでは人口の0.5%に相当する87万人の外国人しか住んでいないが、米国では人口の12%に相当する外国人が住んでおり、ブラジルはグローバリゼーション化推進を掲げているが、相反する労働ビザ発給政策を採用している。(25日付けエザーメ誌‐891号)