インダストリー4.0促進プログラム採用が大幅遅延

サンパウロ州工業連盟(FIESP)の調査によると、生産工程や流通工程のロボット採用による自動化やデジタル化促進で、生産や流通の自動化、バーチャル化を大幅に高めることで、生産コストと流通コストを極小化し、生産性を向上させることを狙いとしている製造業の高度化を目指すコンセプトのインダストリー4.0促進プログラム(Programa Rumo à Indústria 4.0)の採用企業が足踏みしている。

サンパウロ州工業連盟(FIESP)による加盟企業417社を対象に2017年からの追跡調査によると、2017年のインダストリー4.0促進プログラムの導入企業は30%であったにも拘らず、現在は23%に減少している。

また2017年の調査対象企業のインダストリー4.0促進プログラム導入に対する投資を売り上げの1.3%を占めていたものの、2020年のインダストリー4.0促進プログラム導入の投資は売上総額の1.7%に留まると予想されている。

ブラジルはヨーロッパ連合との自由貿易プロセスを進めており、また中国との製造業部門の生産拡大を希望しているにも拘らず、ヨーロッパ連合並びに中国はインダストリー4.0政策を採用して生産性向上を図っている。

FIESP加盟企業417社の調査では、中小企業を中心に49%の企業がインダストリー4.0促進プログラムは低いプライオリティに対して、90%の大企業はプライオリティが高い結果となっている。

インダストリー4.0促進プログラム導入投資では自社資金の不足、不透明なベネフィットコスト、従業員の力量不足、高い導入コストや導入による不透明な将来性、連邦政府のインセンチブ不足が挙げられている。

また先進諸国のヨーロッパ連合や米国を言うに及ばず中国や韓国でも政府が率先してインダストリー4.0導入のための税制インセンチブなどブラジル政府との違いを指摘している。(2019年11月27日付けヴァロール紙)

今年10月の世界の粗鋼生産は1.8%減少の1億5,150万トン

65カ国の約170鉄鋼メーカーが加盟している世界鉄鋼協会(Worldsteel)の発表によると、2019年10月の世界の粗鋼生産は、前年同月比2.8%減少の1億5,150万トンに留まっている。

今年初め10カ月間の世界の粗鋼生産は、前年同期比3.2%増加の15億4,000万トン、中国の10月の粗鋼生産は、0.6%減少の8,150万トンと世界の50%以上の生産を占めている。

また今年初め10カ月間の中国の粗鋼生産は、前年同期比7.1%増加の8億2,921万トンを記録、ブラジルの10月の生産は19.4%減少の260万トンに留まっている。今年初め10カ月間のブラジルの粗鋼生産は、8.6%減少の2,721万トンに留まっている。

今年10月の米国の粗鋼生産は2.0%減少の740万トン、今年初め10カ月間では2.5%増加の7,353万トン、インドは3.4%減少の910万トン、日本は4.9%減少の820万トンに留まっている。(2019年11月27日付けヴァロール紙)

Cabify Brasil社のPedro Meduna社長が訪問

ライドシェア・タクシーアプリサービスのCabify Brasil社のPedro Meduna社長が2019年11月25日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長は12月第1週に東京や京都を訪問するPedro Meduna社長に日本に関するアドバイスを行った。

Pedro Meduna e Fujiyoshi Hirata

Foto: Rubens Ito / CCIJB

マジシャンのMario Kamia氏が訪問

有名なマジシャンのMario Kamia氏並びに元青年会議所会頭のLeandro Hattori氏が2019年11月25日に商工会議所を訪問、平田藤義事務局長と日下野成次総務担当が応対した。

Fujiyoshi Hirata, Seidi Kusakano, Leandro Hattori e Mario Kamia

Foto: Rubens Ito / CCIJB

今年10月の経常収支赤字は2014年以降で最悪

昨日中銀の発表によると、2019年10月の経常収支は78億7,000万ドルの赤字を計上、10月の経常収支としては、2014年10月の93億ドルの赤字に次ぐ経常収支赤字を計上している。

今年10月の経常収支が78億7,000万ドルの赤字を計上した要因として、貿易収支が4億9,000万ドルの黒字に留まり、前年同月の53億4,800万ドルの黒字の10分の1以下まで縮小している。

今年初め10カ月間の経常収支は、貿易収支の黒字幅の減少に伴って前年同期比41.0%増加の456億6,000万ドルの赤字を計上、2018年の415億4,000万ドルの赤字を大幅に上回っている。

今年初め10カ月間の経常収支赤字456億6,000万ドルの拡大に伴って、今後もレアル通貨に対するドルの為替は高止まりを維持すると予想、昨日25日のドルは前日比0.52%上昇のR$ 4.2145を記録して、レアルプラン以降では最高値を記録している。

コンサルタント会社Tendencias Consultoria社エコノミストのシルヴィオ・カンポス・ネット氏は、今年末のドルの為替をR$4.00、2020年はR$3.90を予想、サンタンデール銀行では、今年並びに来年末のドルの為替をR$4.00と予想している。

今年初め10カ月間の輸出が大幅に減少した一方で、国内の製造業部門の回復に伴って輸入が大幅に増加、今後も輸出減少に対して輸入増加で経常収支赤字は、拡大すると中銀ストラテジー部門のフェルナンド・ロッシャ部長は指摘している。

今年10月の海外投資家の対内直接投資額は、68億1000万ドルで経常収支赤字78億7,000万ドルをカバーできていないが、今年初め10カ月間の対内直接投資額は621億1,200万ドルを計上、今年初め10カ月間の経常収支赤字456億6,000万ドルを充分カバーしている。

ブラジル国内経済回復に伴って輸入増加で貿易収支悪化が予想されているために、2020年の対内直接投資額は、経常収支赤字をカバーしきれない可能性をGO AssociadosエコノミストのAlexandre Lohmann氏は指摘している。

今年10月のサービス収支部門のブラジル人の海外旅行による支出は、前年同月比6.0%減少の15億600万ドル、今年初め10カ月間の海外旅行による支出は、前年同期比4.0%減少の148億4900万ドルであった。(2019年11月26日付けエスタード紙)

今年末までにインフラ整備部門入札で260億レアル投資か

2019年12月末までに5件の民営化によるインフラ整備部門入札が予定されており、契約期間は30年~35年間で順調に応札されれば投資総額は260億レアルに達すると見込まれている。

11月28日に予定されているサンパウロ州内のピラシカーバ市とパノラマ市を結ぶ州道路の契約期間は30年、投資総額は140億レアルが見込まれているにも関わらず、10月末にサンパウロ州会計検査院(TCE)が入札に待ったをかけているために、入札は2020年にずれ込む可能性がある。

また12月5日に入札が予定されている南マット・グロッソ州とゴイアス州を結ぶ南マット・グロッソ州道路MS-306号線の契約期間は35年、予想投資総額は5億2,310万レアル、穀倉地帯の中西部地域からの穀物輸送がメインであり、中小規模のゼネコンが応札すると予想されている。

12月13日に入札が予定されているバイア州サルバドール市と対岸のヴェラ・クルース市を結ぶサルバドール‐イタパリカ大橋の投資総額は53億レアルが見込まれており、このプロジェクトには総延長距離が4.6キロメートルのサルバドール市環状道路並びに21.41キロメートルの都市間高速道路の建設、州道BA‐001号線の修復工事が含まれている。

4年前にブラジル事務所を開設して、インフラ関連投資を模索している中国鉄道グループ株式会社(CREC)並びに中国資本の交交通建設(CCCC)とCR20社のコンソーシアムがサルバドール‐イタパリカ大橋入札に参加を表明しているが、ブラジルの大手ゼネコン企業も応札する可能性がある。

また11月29日に南大河州都のポルト・アレグレ市都市圏の契約期間が35年、投資総額18億6,000万レアルが見込まれている上下水道整備プロジェクト入札が予定されている。

12月19日には12州にまたがる総延長距離が2,360キロメートルで12ロットに分割された送電線入札が予定されており、契約期間が30年間、投資総額は41億8,000万レアルが見込まれている。

12月19日実施予定の送電線入札には、中国資本State Grid Corp of China社は、CPFL Energia社並びにState Grid Brazil Holdeing(SGBH)を通して入札に参加、フランス資本Engie社、ポルトガル資本EDP社並びにTaesa社も入札に参加すると予想されている。(2019年11月26日付けヴァロール紙)

中銀は今年のGDP伸び率を0.99%に上方修正

昨日発表の中銀の最終フォーカスレポートによると、2019年のGDP伸び率は前回予想の0.92%から0.99%に上方修正、2020年のGDP伸び率も前回予想の2.17%から2.20%に上方修正している。

四半期ごとの正式な国内総生産(GDP)は、ブラジル地理統計院(IBGE)から発表されるが、中銀はIGBEのGDP伸び率の発表前に、先行指標として経済活動指数(IBC-Br)を発表、2019年9月の経済活動指数(IBC-Br)は前月比0.44%増加、今年初め9カ月間では0.8%増加を記録している。中銀は9月の今年のGDP伸び率を前回予想の0.8%から0.9%増加に上方修正していた。

中銀の最終フォーカスレポートでは、今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)を前回予想の3.33%から3.46%に上方修正したが、2020年のIPCA指数は前回同様に3.60%に据置いている。

今年のIPCA指数の3.46%は中央目標値の4.25%を大幅に下回っており、中銀の許容目標値の2.75%~5.75%以内に収まると予想、2020年のインフレ目標値は4.0%、2021年は3.75%に設定されている。

また今年10月の中銀の通貨政策委員会(Copom)では、今年のIPCA指数を3.4%、2020年は3.60%、2021年は3.5%を設定していた。(2019年11月26日付けエスタード紙)

今年10月の国庫庁の歳入はロイヤリティ収入減少で1,352億レアルに留まる

2019年10月の国庫庁のインフレ指数を差引いた歳入総額は、石油・天然ガス関連のロイヤリティ収入の減少に伴って、前年同月比0.02%減少の1,352億200万レアルに留まった。

今年8月の国庫庁の歳入総額は前年同月比0.06%増加、9月は5.67%増加していたが、今年3月の0.58%減少に次ぐ前年同月比マイナスを記録、10月の歳入総額のマイナス要因として、ロイヤリティ収入が15.44%と二桁台の減少を記録していた。

また今年初め10カ月間の国庫庁の実質歳入総額は前年同期比1.92%増加の1兆2,640億レアルを記録、2014年以降では最高の歳入総額を記録している。(2019年11月26日付けエスタード紙)

事務局便り JD-095/19   11月の伯経済概観及び経済情勢報告

JD-095/19
2019年11月25日
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商工会議所会員の皆様,関係ご各位

お世話になっております。
11月の伯経済概観及び経済情勢報告について、別添に送付させて頂きます。

なお、過去のファイルにつきましては下記のリンクをご覧ください。
https://www.br.emb-japan.go.jp/itpr_ja/macro.html
配信の追加・変更、その他ご要望がございましたらいつでもご連絡ください。よろしくお願い致します。

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在ブラジル日本国大使館 経済班 津守直
Tadashi TSUMORI(Sr.)
Segundo Secretário/Adido Financeiro
Embaixada do Japão no Brasil
Tel   : +55-61-3442-4200 (Ramal 230)
Fax   : +55-61-3242-2539
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藤代ブラジル日本通運社長と懇談

2019年11月25日、藤代泰輔社長が同グループの2020年カレンダーを持参、来所。平田事務局長と11月昼食会でのアルゼンチン情勢、駐在員の引っ越し荷物案件、サンパウロ日本人学校の生徒数、同グループの南米展開、ブラジルにおける通関業務の見える化、ウナスール(※1)の「南米インフラ統合8軸計画(※2)」等々について意見交換を行った。

(※1)南米諸国連合:ブラジルアルゼンチンパラグアイウルグアイベネズエラペルーボリビアコロンビアエクアドルチリガイアナスリナムの12カ国)

(※2)https://www.fiesp.com.br/indices-pesquisas-e-publicacoes/8-eixos-de-integracao-da-infraestrutura-da-america-do-sul/

左から平田藤義事務局長/藤代ブラジル日本通運社長