今後4年間で税制優遇政策を大幅にカット

年末まで1カ月半を切っているにも関わらず、パウロ・ゲーデス経済相は公共会計の構造問題解決並びに持続的経済成長への道標となる減税優遇策の厳しい見直し政策を発表する。

現在の減税優遇政策導入による国庫庁の歳入総額はGDP比4.12%相当に達しており、今後1年ごとにGDP比0.5%削減、4年間でGDP比2.0%まで下げる目標を掲げている。減税優遇政策は経常的歳入の21.05%相当の3064億レアルに達している。

連邦政府は公共会計の構造問題解決プラン「Plano Mais Brasil(ブラジルの更なる飛躍プラン)」と命名、このプランには連邦政府から地方政府(州・市)に対する財政独立強化、柔軟な公共支出、公務員関連規則変更が盛り込まれていたが、短期間でのインセンチブ税制や補助金削減に迫られている。4年間でのインセンチブ税制や補助金削減には毎年10%の削減が必要となっている。

連邦政府は発表していたPlano Mais Brasil(ブラジルの更なる飛躍プラン)」のPacto Federativo(連邦協定)憲法補足法案(PEC)では、今後15年間に石油・天然ガス開発部門から地方政府に4,000億レアルの分担金(交付金)が宛がわれる。

またPEC Emergencialパーケージ(緊急憲法補足法案)では、今後2年間で連邦公務員の人件費などの義務的歳出削減による年間経費の280億レアルの削減の一方で、公共投資拡大の必要性が挙げられている。

PEC dos Fundos Publicos(政府系ファンド憲法補足法案)では、転用が禁じられているブラジル刑務所ファンド(Funpen)などの総額2,200億レアルに達する凍結資金の活用が見込まれている。

2019年度のインセンチブ税制や補助金の中では、零細・小企業向け簡易税務申告制度(Simples Nacional)による減税が全体の28.48%に相当する872億5,300万レアル、個人所得税(IRPF)関連は10.49%の321億3,400万レアル、農畜産・農工業関連は9.87%の302億3,300万レアル、マナウスフリーゾーン並びに自由貿易地域は8.07%の247億2,700万レアル。

また非営利団体関係(Imunes/Isentas)は7.92%相当の242億5,800万レアル、個人所得税(IRPF)向け減税は6.56%の200億9,800万レアル、労働者向けベネフィットは4.09%の125億3,800万レアルとなっている。

企業の従業員に対する社会保障費向け減税は3.12%の95億6,200万レアル、医薬品関連並びに医療機器向けは3.06%の93億7,800万レアル、ポウパンサ預金・不動産保障債(LIG)は2.70%の82億6,400万レアル、自動車業界向け減税は2.37%相当の72億4,600万レアルとなっている。(2019年11月18日付けヴァロール紙)

今年の連邦政府の財政プライマリー収支赤字は800億レアル以下予想

昨日18日パウロ・ゲーデス経済相は、2019年の中央政府の財政プライマリー収支は、連邦政府の財政引き締め政策並びに石油・天然ガスのメガ入札による臨時歳入が貢献して、許容目標赤字の1,390億レアルを大幅に下回る800億レアル以下に留まると発表している。

オニックス・ロレンゾーニ 大統領府官房長官は、来週中に国会に新たな2020年度予算リストを送付するが、2020年度の中央政府の財政プライマリー収支の許容目標赤字は1,240億レアルに据置く一方で、GDP伸び率は2.32%に上方修正する。

11月6日に実施されたプレソルト鉱区の石油・天然ガスメガ入札での予想臨時歳入1,065億レアルに対して699億6,000万レアル、このうちペトロブラス石油公社には346億レアルを支払う。

またメガ入札による臨時歳入699億6,000万レアルの33%に相当する117億レアルは地方政府の州政府並びに市町村に交付されるが、見直し前の計画では地方政府への交付金総額は60億レアルであった。

国内経済の景気回復遅れによる国庫庁の歳入減少、米中貿易摩擦やアルゼンチンの為替危機などの外的要因も重なって、今年第3四半期の各省庁は340億レアルを支払い停止に達していたが、現在は140億レアルまで減少している。(2019年11月19日付けヴァロール紙)

日伯オープンイノベーション交流会(兼 第四回イノベーション研究会)を開催

 2019年11月18日(月)14時から18時までジャパンハウス・サンパウロにて日伯オープンイノベーション交流会(兼 第四回イノベーション研究会)が開催された。

 ジェトロ、ブラジル日本商工会議所、在サンパウロ日本国総領事館、ジャパンハウスサンパウロが共催し当日は100人以上が参加した。当商工会議所では企画戦略委員会(大久保敦委員長)のイノベーション研究会が当交流会を担当。

 本交流会の目的は日本企業とブラジルのスタートアップ・エコシステム関係者がイノベーション分野について対話する機会を創出することである。

 大久保 敦 ジェトロ サンパウロ事務所長(商工会議所副会頭、上記企画戦略委員会委員長)、野口泰 在サンパウロ日本国総領事、マルセロ・アラウジョ ジャパンハウスサンパウロ館長らの挨拶に始まり、まずはブラジルでのイノベーションについてソフトバンクラテンアメリカ シルビア Director、ブラジル・ベンチャー・キャピタル 中山充 代表、SP ventures、フランシスコ・ジャルジン CEOらがプレゼンテーションを行った。

 続いてブラジルでの先行事例紹介においては、ブルーノ・ステファニAmbev社 Innovation Senior Manager が「大企業におけるイノベーション促進」と題して飲料業界大手の同社の取り組みについて説明、ブルーノ・ホンダ二 100 Open社 CEOは「スタートアップとのコネクションハブ 」として大企業とつなげる同社のプラットフォームについて解説、製造業、小売業等幅広い分野で活用できるチェックリストアプリを提供しているマウリシオ・フラゴッソ Checklist Fácil社 CEOは「日本企業と接点を持つスタートアップからの視点」と題して大手日系自動車企業をクライアントとして迎えた時の経験を述べ、また、カルロス・ミラ Truckpad社 CEO は「トラック業界のロジスティクス革命について」プレゼン、同社が開発した運送会社とトラック運転手をマッチングするアプリによってブラジルのボトルネックであるロジスティックの効率化を図り、国外でも注目を浴びている。

 その後、ブラジル企業のパネルデヴィスカッションとして、ブラジル輸出投資振興庁(Apex-Brasil)、飲料大手Ambev社、KPMGと提携しているイノベーションプラットフォームDistrito社並びにVale社のイノベーション担当者らがトレンドに先立つことの重要性、法務や財務面をしっかりした上でオープンイノべーションに準備しなければならない事などをディスカッションした。

 続くセクションでは主にスタートアップ支援策などの紹介にフォーカスをおき、ホベルト・セレスティン・ぺレイラ Everis/NTT Data  Head of Digital Innovation による「オープンイノベーションコンテスト開催の経験」、タチアナ・ナガミネ、ジェトロサンパウロ アナリストによる「イノベーションにフォーカスするジェトロの対日投資支援」、CAIXA(連邦貯蓄銀行)イノベーション部長 ルイス・フェリペ・ビスマルチによる「大学とのイノベーション連携」、フェルナンド・ゴメス ピニェイロ・ネット法律事務所パートナーによる「オープンイ ノベーションの法的注意点」、貝沼憲司 ジェトロサンパウロ知財部長による「日本のイノベーションと 知財」がプレゼンされた。

 日本企業によるパネルディスカッションでは、ルイス・デアロ プラグアンドプレイ・ブラジルCountry Headがモデレーターを務め行われ、パネルには芦刈宏司 ブラジル三井物産業務・人事部部長、ファビオ・サルデリ Sompo Seguros Head of Innovation、マウロ・イワムラYamaha Motor Brasil 企画戦略担当が参加、モデレーターを含め各社のイノベーションへの取り組みを簡単に紹介した後、ブラジルでのビジネスポテンシャル、日本とブラジルの企業文化の相違性、各国市場のニーズの特異性などについてディスカッション、質疑応答が行われ、最後には大久保ジェトロサンパウロ所長より閉会の挨拶が行われた。 

 日本企業によるブラジルでのこれからのオープンイノベーション活動を促す歴史的なイベントであった。

( fotos: Câmara Japonesa)

4段階での税制改革案を国会に提出か

廃止されていた金融取引暫定賦課金(CPMF)と同様の金融取引に対する課税を基本モデルにした新税導入を支持していたことからジャイール・ボルソナロ大統領から批判を浴び、連邦収税局のマルコス・シントラ特命局長が罷免された経緯のある金融取引暫定賦課金(CPMF)を放棄した税制改革案に対して、パウロ・ゲーデス経済相は国会提出にゴーサインを出した。

この税制改革案は今月11月以内に国会に提出され、2020年中頃まで4段階に分けた税制改革案であり、第1段階として社会統合基金(PIS)並びに社会保障賦課金(Cofins)の税率を11%~12%の間で統一され、全てのサービス財に適用される。

第2段階の税制改革案は2020年初めから工業製品税(IPI)の見直しであり、工業製品税は付加価値に対して課せられ、仕入税額控除との差額を納付。税率は製品により異なり、たばこやアルコール飲料など嗜好品など高い税率が適用される製品もあり、税率の大半は0~20%であるが、税率の見直しが予定されている。

第3段階の税制改革案は、2020年第1四半期から個人所得税(IRPF)並びに法人所得税(IRPJ)の見直しが予定されており、法人所得税(IRPJ)並びに純益に対する社会納付金(CSLL)は、34%から20%に5年から8年間かけて減税される。

現在の個人所得税申請の医療保健に関する税控除では、税控除金額や比率などの規定がないために、富裕層は無料の統一医療保険システム(SUS)の代わりに治療代や診察料金が高額な個人医師や私立病院を利用しており、連邦政府は特に富裕層が恩恵を受けている医療保健に関する税控除に対して、上限を設けることを検討している。

また教育分野では扶養家族の一人当たり3,561.50レアルの控除枠を設けているが、所得の高い富裕層ほど恩恵を受けており、連邦政府は上限を設けるなど見直しを検討している。

また個人所得税(IRPF)に対する免税金額の引上げ並びに富裕層に対する個人所得税(IRPF)の最高税率の35%への引上げ、最後に法人所得税(IRPJ)では税制改革による国庫庁の大幅な歳入減少を補填するために、上場企業の純利益に対する株式配当金の支払い義務などが生じる可能性がある。

第4段階の税制改革案は、2020年中頃から経済省の「基準を簡素化するとともに、コストを削減し、家計と企業の税負担を軽減するため」の税制改革に取り組んでいる企業の従業員に対する社会保障費負担の終了などを検討している。

国庫庁のジョゼ・バローゾ・トステス・ネット特別長官は、第1段階から第4段階の税制改革案の国会での承認を足踏みすることなく、スムーズに運ぶことが肝要と強調している。

財政再建途中の現在、国庫庁の歳入はGDP比35%維持を余儀なくされるが、経済回復後は経済成長に伴って個人向け並びに法人向け税率を自動的に調整するとパウロ・ゲーデス経済相は説明している。

社会統合基金(PIS)並びに社会保障賦課金(Cofins)の税率を11%~12%との間で統一される税は、財・サービス納付金(CBS)と呼ばれ、世界180カ国で適用されている商品サービス税(IBS)に相当する付加価値税(IVA)モデルを適用する。(2019年11月18日付けエスタード紙)

2020年の貿易収支は米中貿易摩擦継続で更に減少予想

米中貿易摩擦の継続による世界貿易の縮小並びに継続するアルゼンチンの経済リセッション、国際コモディティ価格減少などの要因で、ブラジルの2020年の貿易収支は今年よりも悪化すると予想されている。

米国と中国が貿易関税摩擦問題で歩み寄らなければ、2020年のブラジルの貿易収支は350億ドル~400億ドルに留まると予想、今年初め10カ月間のブラジルの貿易収支は、前年同期比26.7%減少の348億ドルの黒字に留まっている。

中銀の最終フォーカスレポートによると,2019年のブラジルの貿易収支は前年比19.4%減少の470億ドルの黒字に留まると予想、民間銀行では470億ドルの黒字を下回ると予想している。

2018年の世界の平均経済成長率は3.2%であったが、今年は2.7%に減少すると予想、国際通貨基金(IMF)の調査では、今年初め9カ月間の世界の輸出総額は前年同期比0.7%減少したが、2018年同期は14.0%増加していた。世界貿易機関(WTO)では、今年の貿易額を前回予想の2.6%増加から1.2%増加に下方修正している。

今年初め9カ月間のブラジルの輸出量は前年同期比2.6%減少、また輸出価格も3.2%減少、特に大豆価格は10%減少、今年の大豆輸出量も1,100万トン減少するとブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は指摘している。

ブラデスコ銀行では今年初め9カ月間の輸出額は前年同期比100億ドル減少、そのうち56億ドルは、農畜産や石油などの国際コモディティ価格の減少に起因していると指摘している。

今年初め10カ月間のラテンアメリカ諸国との貿易比較では、アルゼンチンとの貿易収支は、自動車輸出の壊滅的な影響で6億2,000万ドルの赤字を計上している一方で、昨年同期は41億2,000万ドルの黒字を計上していた。

前記同様に中国との貿易収支は15億7,000万ドル、24億ドルのそれぞれ黒字、コロンビアは12億4,000万ドル、7億4,000万ドルの黒字、ウルグアイは8億ドル、11億6,000万ドルの黒字、パラグアイは8億9,000万ドル、14億9,000万ドル、ペルーは1億9,000万ドル、4億4,000万ドルそれぞれ黒字を計上している。

またボリヴィアは6億1,000万ドル、2億3,000万ドル、エクアドルは2億ドル、5億8,000万ドル、ヴェネズエラは4億3,000万ドル、4億ドルの黒字を計上、メキシコは4億3,000万ドルの黒字を計上しているが、昨年同期は4億5,000万ドルの赤字を計上していた。

今年初め10カ月間のアルゼンチンを世買いしたブラジルのラテンアメリカ地域の貿易額は前年同期比2.8%減少の68億ドル、特にチリ向け輸出は19.5%減少、ウルグアイ21.3%減少、パラグアイ19.4%減少している。

UBS銀行では、アルゼンチン並びにブラジル、チリ、コロンビア、ペルー、メキシコ、ヴェネズエラの今年の平均GDP伸び率はマイナス0.6%が予想、ヴェネズエラを除外した今年の平均GDP伸び率はマイナス0.5%を予想している。

ブラデスコ銀行では、今年の貿易収支は417億ドルの黒字を予想、2020年は380億ドルの黒字に減少すると予想、また今年の経常収支赤字は470億ドル、2020年は500億ドルの赤字に拡大すると予想している。

2016年のブラジルの貿易収支黒字は476億9,000万ドル、2017年は669億8,000万ドル、2018年は582億9,000万ドルを計上、今年は470億ドル、来年は429億5,000万ドルの黒字に減少すると予想されている。(2019年11月18日付けヴァロール紙)

ZERO GYM一行が訪問

ZERO GYM社のプログラムディレクター松尾 伊津香さん並びにインストラクターの鈴木友紀菜さん 異業種交流委員会の長野 昌幸委員長が2019年11月27日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長と同日午後6時から予定の「エグゼクティブのための心と体のコンディショニング」セミナーについて意見交換した。

Fujiyoshi Hirata, Masayuki Nagano, Yukina Matsushita Suzuki e Itsuka Matsuo

Foto: Rubens Ito / CCIJB

市場参入コンサルタントMAX Lantz社が表敬訪問

Max Lantz氏の表敬訪問を受け、平田事務局長は過去、半世紀以上に及ぶブラジルの閉鎖的経済が一変、現政権になって、ようやく本格的な自由開放経済路線を指向している事(一例:将来的にメルコ
スール共通関税、TECの是正検討)や将来動向について説明。

また当会議所の沿革や歴史にも触れ、ブラジル国家プロジェクトに対する日本の貢献、当所が果たして来た役割や様々な活動状況についてビデオを用いて説明、会員になるメリットとして情報交換及びビジネス・ネットワーキングがより一層容易になる事を説明した。

Max Lantz e Fujiyoshi Hirata

Foto: Rubens Ito / CCIJB

 

牧野氏が来所、政治経済情勢について意見交換

元EY勤務の牧野卓司氏が平田事務局長を表敬訪問、経済情勢や展望および日伯EPAの見通し等々について意見交換した。また同氏は開口一番「ブラジル訪問のビザが不要となり、丁度時間ができたので急遽サンパウロに訪問することなった」と大喜び、平田事務局長はここに至るまでの長い道程を語った。同氏は暫くブラジルに滞在予定。

左から久々に再会した平田藤義事務局長/牧野卓司氏

Foto: Rubens Ito / CCIJB

 

ビザフリー関連記事一部抜粋:
6月30日、松本外相と会議所メンバーが意見交換 2011/06/30 http://jp.camaradojapao.org.br/news/atividades-da-camara/?materia=8905
JD 070/11: 2011年度の総括と活動の纏め 2011/12/27 http://jp.camaradojapao.org.br/camara-em-acao/kaisho/?materia=9584

古川国家戦略担当大臣と会議所役員が意見交換 http://jp.camaradojapao.org.br/news/atividades-da-camara/?materia=20254
三重県の鈴木 英敬知事一行との意見交換会でビザフリーサポートを約束 2013/08/19 http://jp.camaradojapao.org.br/news/atividades-da-camara/?materia=12082
日AU(アフリカ連合)議員連盟所属3議員との意見交換会 2013/08/25 http://jp.camaradojapao.org.br/news/atividades-da-camara/?materia=12107
日伯ビザ要件緩和、鈴木英敬三重県知事のおかげ 2014/09/18 http://jp.camaradojapao.org.br/news/atividades-da-camara/?materia=13698
関連記事:先般8月2日ジルマ・ルセーフ大統領と安倍晋三総理のブラジル訪問に係る日伯戦略的グローバルパートナーシップ構築に関する共同声明(外務省サイト:http://www.mofa.go.jp/mofaj/la_c/sa/br/page3_000875.html)第26項:ジルマ・ルセーフ大統領は,日本がブラジルの一般旅券所持者に対する数次査証の導入を決定したことに対して感謝を表明し,安倍晋三総理は,ブラジルが日本の一般旅券所持者に対する査証要件緩和の決定を行ったことを歓迎した。また両首脳は,昨年導入された外交・公用査証相互免除措置を歓迎した。

佐藤正久外務副大臣が来聖、会議所幹部等と意見交換 2019/01/09

http://jp.camaradojapao.org.br/news/atividades-da-camara/?materia=19151

ゲーデス財務相は中国との貿易フリーゾーン構想を語る

パウロ・ゲーデス財務相は、昨日13日にブラジリア市で開催されているロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)首脳会議で、中国との貿易拡大を加速する目的で二国間の貿易フリーゾーン構想を語った。

しかしブラジルはメルコスール加盟国(アルゼンチンとパラグアイ、ウルグアイ)の承認を得なければならず、中国との二国間協定締結による関税撤廃などはメルコスールの規則を無視した言動と捉えられている。

現在メルコスールは韓国並びにカナダ、レバノン、シンガポールとの自由貿易交渉を行っているが、ブラジルが中国との自由貿易協定締結を進めるのであれば、メルコスールと中国とのFTA交渉手続き開始となる。

今年6月末に20年間に亘って交渉を続けてきたメルコスールとヨーロッパ連合(EU)のFTA交渉が政治合意に達したが、7月末にトランプ大統領は「米国に高関税を課しているものの、ブラジルは偉大な貿易パートナーであり、両国の関係は非常に良好」と強調して、米国はブラジルとの二国間貿易協定締結を目指して交渉開始を発表していた。

ブラジルにとって中国は貿易相手国トップであるにも拘らず、ブラジルから中国向け輸出の第一次産品が大半であり、大豆派生品は中国向け輸出の34%を占め、原油は24%、鉄鉱石は21%を占めている。

中国の習近平国家主席は、我々はブラジルとの両国間関係強化を欲しており、輸送部門並びに保健部門、安全、通信、農業部門協力で調印、ブラジルから中国にはスイカ、中国からブラジルには西洋梨の輸出が可能となる。

今年初め10カ月間のブラジルから中国への輸出は215億ドルを記録、輸出総額の27.8%を占めており、また中国からの輸入は20%を占める重要な貿易相手国となっている。

ブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は、ゲーデス経済相の貿易フリーゾーン設立に理解を示しているが、中国からの輸入の大半は完成品であり、ブラジルの製造業部門は貿易フリーゾーン設立では益々苦しい立場に追い込まれると警告、ブラジル国内での中国企業との付加価値製品のジョイントベンチャーを推奨している。

ブラジルは中国企業に対して国内市場を開放して、付加価値の高い大豆加工品生産で輸出拡大を図る計画が過去に存在していた。(2019年11月14日付けエスタード紙)