昨年の所得上位のA層とB層は14.4%に上昇

ブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、2018年の家庭月収が8,159.37レアル以上の富裕所得層のA層と中上位層のB層は、前年の13.6%から14.4%に上昇して再び増加傾向を示している。

一方2018年の月収が1,892.65レアル~8159.36レアルまでのC層は、55.3%と前年の57.7%から減少、月収が1,892.64レアルまでの貧困層に位置付けられるD層とE層は、30.3%と同率で推移している。

家庭月収にはサラリー並びに年金・恩給、住宅賃貸料、連邦政府や地方政府からの社会補助金などが含まれているとジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)エコノミストのマルセロ・ネリ氏は説明している。

家庭月収が8159.37レアル以上の富裕所得層のA層と中上位層のB層の平均教育期間は13.2年に対して、ブラジル国民の平均教育期間は、8.7年に留まっているとネリ氏は指摘している。

またサラリーマンとして高給を取っている富裕所得層のA層と中上位層のB層の自営業比率は、サービス業部門や商業部門などを中心に12.9%とブラジルの平均の4.8%を大幅に上回っている。

ブラジルが経済リセッションに陥る直前の2014年のA層とB層は15.5%だった。経済リセッション真っただ中の2016年は13.6%まで落ち込んでいたが、景気の回復に伴って2018年は14.4%まで回復している。

2018年のA層とB層は前年の2,810万人から3,000万人と約200万人増加した一方で、C層は1億1,650万人から1億1,530万人と120万人減少、D層並びにE層は、6,220万人から6,320万人と100万人増加している。(2019年10月29日付けヴァロール紙)

ブラジルの製造業界はアルゼンチンの大統領交代を静観

アルゼンチンでは今月27日に大統領選挙が行われ、中道左派の野党候補であるアルベルト・フェルナンデス氏が勝利宣言、大衆救済路線のペロン主義を掲げる正義党(ペロン党)のフェルナンデス氏の得票率は50%近くに達し、マクリ氏の40%を大きく上回る圧勝となった。

現職のマクリ大統領が打ち出していた経済緊縮策に対して、アルゼンチン国民の多くの有権者が反対票を投じた。マクリ大統領はフェルナンデス氏に対する敗北を認め、秩序だった政権交代の実現に向けた協議を呼びかけている。

アルゼンチンのマクリ政権は為替危機の影響でアルゼンチンペソが下落、インフレ高騰、8月11日に行われた大統領選挙の予備選挙で、マクリ大統領は予想外の大敗を喫していた。

ブラジル化学工業会(Abiquim)では、フェルナンデス大統領誕生でイデオロギー優先外交の復活、自国産業保護やEUメルコスールFTA協定見直し、金融自由化に歯止め、経済弱者への再配分導入政策の採用などが挙げられているが、新経済政策発表を静観している。

昨日ボルソナロ大統領は朋友のマクリ大統領候補の落選を嘆いた一方で、フェルナンデス大統領誕生に対して、「私は彼を祝福しようと思わない」と述べて両国関係にひびが入る発言をしている。

アルゼンチンのフェルナンデス次期大統領は、貿易収支改善のための保護貿易主義的政策の導入は考えられるが、ドラスティックな政策変更は発表していないとブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は指摘している。

今年初め9カ月間のアルゼンチン向け輸出総額は75億ドル、自動車輸出は前年同期比51.8%減少の15億6,930万ドル、自動車パーツは29.0%減少の5億9,450万ドル、鉄鉱石は21.9%減少の2億3,640万ドル、タイヤは15.1%減少の1億7,780万ドルとなっている。(2019年10月29日付けヴァロール紙)

 

NTTドコモ・ブラジルが法人トップセミナーを開催

NTTドコモ・ブラジル(吉澤俊明社長)は29日、市内のホテルに日系企業代表者(当会議所会員企業)約40人を招待、IoT(Internet of Things)をテーマとしたエンタープライズICTフォーラムを開催した。

ブラジルでも、あらゆるモノや人がネットで繋がるIotが様々な分野で導入フェーズに入る企業が増えてきているからだ。

フォーラムでは日本およびブラジルでの「IoTビジネスの導入事例や考え方」について分かり易く説明、谷 直樹執行役員法人ビジネス本部 IoTビジネス部長が「IoT x AIがデジタル変革を加速する」、吉澤NTTドコモ・ブラジル社長が「ブラジルのIoT導入動向および導入の考え方」、シディキ財富(Zif Siddiqi)法人ビジネス本部 第二法人営業部 グローバル・ビジネス推進担当部長NTTドコモ海外拠点取締役が「ドコモの中期戦略と法人ビジネスの取り組み」と題して各々が講演を行った。

日本からは吉澤啓介国際事業部長をはじめ奥平 禎国際事業部 戦略・統括担当担当部長、渡邉昌宏IoTビジネス部グローバル推進担当課長等も駆付けた。また在サンパウロ日本国総領事館から野口泰総領事、上田基仙経済班領事、また会議所からは平田藤義事務局長が参加した。

平田事務局長は昼食を挟みながら吉澤国際事業部長とボルソナーロ政権下の経済政策について懇談、また吉澤NTTドコモブラジル社長との間で「日本のIoTを志向するハイテク中小企業とブラジルで同じIoT志向の中小企業同士がビジネスマッチング」するためにIoTのネットワーク上で繋がらないか素朴な相談をした。

過去の関連記事
NTT DOCOMO社主催の法人IoTトップセミナー 2016/10/19 http://jp.camaradojapao.org.br/news/atividades-da-camara/?materia=16431
NTTドコモブラジル 第2回トップセミナー開催 2014/02/17 http://jp.camaradojapao.org.br/news/atividades-da-camara/?materia=12803
NTTドコモセミナーに参加 2012/11/27 http://jp.camaradojapao.org.br/news/atividades-da-camara/?materia=10977

 

 

辻本JETRO中南米課長代理が会議所訪問

2019年10月28日、ジェトロの辻本希世課長代理(海外調査部 米州課・中南米)が8ヶ月ぶりに来所、平田事務局長とブラジルの政治経済およびイノベーション分野の最新動向の他、昨日の亜国大統領選(アルベルト・フェルナンデスが当選)後のメルコスール情勢変化等々について意見交換を行った。

左から同行のジェトロ・サンパウロ事務所の古木勇生ディレクター/辻本希世課長代理/平田藤義事務局長

Foto: Rubens Ito / CCIJB

 

ペトロブラスは臨時歳入の346億レアルをメガ入札に投資か

11月6日並びに7日に2回連続で予定されている岩塩層下(プレソルト)石油・天然ガス入札では、世界の石油メジャーが競って入札参加を表明して熾烈な落札競争になると予想されているが、国庫庁に臨時歳入として1,065億レアルが見込まれている。

連邦政府は2010年にペトロブラス石油公社に50億バレルの原油開発を許可の代わりに、ペトロブラスは連邦政府に約750億レアルを支払っていたために、ペトロブラス石油公社には346億レアルが宛がわれる。

長年にわたってプレソルト原油・天然ガス開発に携わってきているペトロブラスは、今回入札にかけられるプレソルト鉱区の原油埋蔵量などに熟知しているために、有望な原油鉱区の落札に積極的に投資すると予想されている。

国庫庁からペトロブラスに支払われる346億レアルの大半を今回のプレソルト原油鉱区の入札で投資すると見込まれているために、ペトロブラスの900億ドルに達する負債は減少しないと予想されている。

今年11月上旬までに予定されている3回の石油・天然ガス開発向け入札のトップを切って、昨日10日に第16回岩塩層上(ポスサル)石油・天然ガス開発入札が実施されたが、連邦政府の臨時歳入総額は、最低入札設定価格を322%上回る89億1,500万レアルを記録している。

2回目の石油・天然ガス入札は11月6日の岩塩層下(プレサル)石油・天然ガス入札、商業的な原油埋蔵量が確認されていない11月7日の第6回プレサル石油・天然ガス入札と今後1カ月間以内に3回の石油・天然ガス入札が実施が予定されている。

ブラジル石油監督庁(ANP)では、11月に控えている2回連続のプレサル石油・天然ガス入札には、世界の石油メジャーを含む14社が名乗りを挙げており、大半は欧米の石油メジャーやアジアの石油開発企業、ラテンアメリカからはコロンビア資本のEcopetrol社とペトロブラスが応札している。

ペトロブラスは膨大な埋蔵量の原油鉱区以外にも膨大な埋蔵量を誇る天然ガス鉱区の落札に期待しているが、沿岸都市まで天然ガスパイプラインを設置する投資が必要となる。(2019年10月26日付けエスタード紙)

クレジット並びに雇用改善で今年のGDP伸び率を上方修正

今年1月のジャイール・ボルソナロ新政権誕生時には楽観ムードが支配して、大半のエコノミストは、今年のGDP伸び率を2.5%前後と予想していたにも関わらず、米朝貿易摩擦の継続や年金・恩給改革の遅れ、与党の稚拙な国会調整などの要因で、楽観論から悲観論が増加した。

今年9月前後には、大半のエコノミストは今年のGDP伸び率を0.8%前後まで下方修正を余儀なくされていたにも関わらず、雇用創出並びにクレジット部門の拡大に伴って、再び楽観論が増加傾向を示している。

イタウー銀行は、2週間前に今年のブラジルのGDP伸び率を前回予想の0.8%から1.0%に上方修正しており、過去3年間では初めての上方修正を記録している。

サフラ銀行では今年7月末のGDP伸び率は0.8%増加を予想していたが、今では0.9%増加に上方修正、もしくはそれ以上の伸び率を同銀行チーフエコノミストのCarlos Kawaii氏は予想している。

中銀の8月のフォーカスレポートでは、今年のGDP伸び率は0.8%予想であったが、最終フォーカスレポートでは0.88%に上方修正している。就労・失業者管理センター(Caged)の発表によると、今年初め9カ月間の労働手帳に記載される正規雇用は76万1,700人増加、また過去12カ月間のクレジット部門は前年同期比14.0%増加している。

XP Investimentos社チーフエコノミストのZeina Latif氏は、クレジット部門が関連する建設業部門の正規雇用の増加、500レアルまでの現役サラリーマンの勤続期間保障基金(FGTS)預金や凍結預金の先払い政策導入の後押しして、今年のGDP伸び率を1.1%増加と上方修正している。

勤続期間保障基金(FGTS)預金や凍結預金で消費拡大は1.8%が予想されていたが、先払い政策の導入で消費拡大は2.0%に上昇するとジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)エコノミストのシルヴィア・マットス氏は予想している。(2019年10月27日付けエスタード紙)

 

2006年~2017年の家族経営農業は9.5%縮小

ブラジル地理統計院(IBGE)の2017年度農畜産調査によると、2006年~2017年の12年間の家族経営農業は9.5%縮小しており、2017年の家族経営農家は389万7,000家族となっている。

2017年のブラジルの農畜産に従事している家族数は500万家族、家族経営農家は、農畜産全体の76.8%に相当する389万7,000家族、ブラジル農業の3/4に相当している。

しかし2006年の家族経営農家は430万5,000家族でブラジル農業の83.2%を占めていた。また2006年の家族経営農家の所有面積は812万6,900ヘクタールであったが、2017年には808万9,100ヘクタールと僅かに縮小、ブラジルの耕地面積の23%に相当している。

2017年の家族経営農家の平均所要面積は22.6ヘクタール、家族経営農家の所有面積の48%は家畜飼育のための放牧地となっている。2006年の家族経営農家の人口は1,228万2,000人であったが、12年後の2017年には17.6%減少の1,011万6,000人まで減少している。

サンタ・カタリーナ州の家族経営農家は農畜産従事者の50.68%を占めている。2017年のブラジル国内の耕地面積は、国土全体の41%に相当する3億3,368万ヘクタール、農畜産の生産総額は4,650億レアルを記録している。(2019年10月26日付けエスタード紙)

事務局便り JD-087/19  JBBC(JICA Brazil Business Communication)の 第5号

JD-087/19
2019年10月28日

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ブラジル日本商工会議所会員の皆様へ

平素より大変お世話になっております。JICAブラジル事務所の間瀬と申します。
ブラジルの第一線でご活躍されているビジネスパーソンの皆様へ、よりJICAの取り組みを知って頂けるよう発行しているJBBC(JICA Brazil Business Communication)の 第5号をお届け致します。

目次
1.民間企業との連携
(1) 持続可能な農業を目指し・・日伯農業対話で求められた日本技術
(2) 温暖化抑制を!省エネ基準見直しを目指すダイキン工業の取組

2.トピックス
(1) アマゾン森林火災に対する緊急援助物資・テントの供与
(2) パートナー歴30年間・UNICANPでの真菌ラボ拡張開所式
(3) ブラジルでは一般的でない末期患者への緩和ケア
(4) 邦字紙面に多数掲載!自然との共生を目指すアマゾン日本人移民

≪今後の主なイベント≫
11月4日(月)14:00~16:00: ブラジルODA60周年式典 @ジャパン・ハウス
11月4日(月)19:00~21:00: JICA北岡理事長フジタ・ニノミヤチェア特別講義 @USP法学部

今後も皆様にご関心を持って頂けるよう、内容の充実を図る所存でございます。つきましては、ご意見、ご要望等ございましたら、下記連絡先までご連絡いただければ幸いです。
今後とも引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。

【問い合わせ・連絡先】
国際協力機構(JICA)ブラジル事務所
(※7月1日よりサンパウロが事務所になりました)
担当:間瀬 将成
電話:(11)-3251-2655
Email:Mase.Masanari@jica.go.jp
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官民連携の在り方について意見交換

先週10月17日に行われた第13回日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会の成果を踏まえて、2019年10月25日午前中、今後の両国の官民連携の在り方について諸々意見交換を行った。

参加者は村田俊典会頭、大久保敦ジェトロ・サンパウロ事務所長、松平史寿子ジェトロ・サンパウロ事務所次長、平田藤義事務局長

Fujiyoshi Hirata, Toshifumi Murata, Shizuko Matsudaira e Atsushi Okubo

 

Foto: Rubens Ito / CCIJB

彦田尚毅氏が会議所を表敬訪問

彦田氏は外務省中南米局 南米課長時代の017年2月24日、テメル政権下の日伯のインフラ作業部会会合準備のため来所経験がある。(※)その後、ごく最近、在ブラジル日本国大使館の公使として着任したばかり。今回は2回目で諸用件を兼ねて当所を表敬訪問、中南米諸国の政治経済情勢及び伯国のビジネス環境展望等々について意見交換を行い村田会頭と平田事務局長が応対した。

(※)http://jp.camaradojapao.org.br/news/atividades-da-camara/?materia=16852