ドル高の為替はコスト上昇も価格転嫁できず

今年のレアル通貨に対するドルの為替は7.0%以上上昇してR$4.00を突破しており、原材料を輸入している企業にとっては、コスト上昇に結び付いているにも関わらず、低調な国内経済で需要が低迷しているため価格転嫁ができず、収益が圧迫されている。

上下水道関連の水処理装置製造メーカーのEcosan社では、輸入機械・装置が販売コストの30%を占めており、6カ月前の輸入機械・装置の為替はR$3.70 であったが、今ではR$4.00を大幅に上回っているが、価格転嫁できないため大幅に利益を削がれている。

ブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は、ドル高の為替は輸入業者のコスト高と利益を圧迫、輸出業者にとっても現在のドル高の為替は投機的要素が強いために、競争力増加よりもリスクが大きいと説明している。

多くのエコノミストは、適正な為替はR$3.60 ~R$3.80と見込んでいるが、この適正水準に戻るのは、年金・恩給改革の国会承認並びに財政プライマリー収支の赤字減少を待たなければならないと予想している。

また米中貿易摩擦継続や中銀による過去最低となる政策誘導金利(Selic)の引下で、実質金利がブラジルよりも高いメキシコなどに投資金が逃避していることもドル高の為替の一因となっている。

一方ドル高の為替で石油派生品のナフサや天然ガスなどの価格が上昇に転じており、石油化学業界にとっては、石油派生品の増産を後押ししている。(2019年9月21日付けエスタード紙)

味の素株式会社の西井孝明代表取締役社長一行が訪問

味の素株式会社の西井孝明代表取締役社長並びに味の素株式会社常務執行役員でブラジル味の素有限会社の佐々木達哉取締役社長、同山崎一郎取締役が2019年9月20日午後に商工会議所を訪問、村田俊典会頭並びに平田藤義事務局長が応対した。

西井社長は2016年9月20日からまさに3年ぶりの商工会議所訪問で、非常に有能なブラジル国内の人材を活用して、グローバル視点に立ったブラジルでの事業展開について意見交換した。

西井孝明 社長は2015年5月までブラジル味の素に2年間勤務して同社の業績を伸ばし、ブラジルから初めて本社の社長就任、商工会議所では食品部会長として会議所活動に尽力した。

左からブラジル味の素有限会社の佐々木達哉取締役社長/平田藤義事務局長/味の素株式会社の西井孝明代表取締役社長/村田俊典会頭/ブラジル味の素有限会社の山崎一郎取締役

 

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

130人が参加して9月の懇親昼食会開催

9月の懇親昼食会は、2019年9月20日正午から午後2時過ぎまでマクソウドホテルに130人が参加して開催、司会は平田藤義事務局長が務め、初めに特別ゲストとして講師のProspectiva Consultoria社パートナーで政治学者のリカルド・セネス氏が紹介された。

村田俊典会頭は9月の常任理事会報告として、8月25日、吉川農業大臣と翌日26日の第4回日伯農業対話を前に日・メルコスールEPAについて会議所幹部や食品部会メンバーと意見交換会開催。吉川農業大臣は農林水産省が前向きに取り組んでいるスタンスとして、日本の農業は海外に積極的に出ていく姿勢で閉ざされた環境でないことを説明、皆さんとの情報共有を強調していたと説明。9月11日にブラジリア市で山田大使のアレンジで経済省のマルコス・シントラ次官と会談。残念ながら次官を退かれたが、ビジネス環境整備を目的に去る6月から7月にかけて行った税制全般(連邦・州・市税)や通関制度改善に係るアンケート調査結果について報告、ブラジル特有の複雑な税制の簡素化を強く訴えた。今後も会議所としては政策対話委員会の意見を継続して主張していきたいと説明。

9月27日、10月17日にジャパンハウスで開催の第13回日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会のブラジル側議長である経済省生産力・雇用・競争力担当のカルロス・コスタ次官と日本企業の競争力貢献について意見交換を予定。合同委員会ではG20の結果概要や中小企業の生産性向上方策が予定されている。また商工会議所サイトにもアップしているのでアクセルしてほしいと述べた。

野口泰総領事はサンパウロ総領事館からの報告として、8月、9月は日本の地方自治体関係者が多数来伯、8月20日,サンパウロ市役所で大阪市・サンパウロ市姉妹都市提携50周年記念式典、コバス市長出席、今後の継続を約束。8月24日,北海道協会で北海道人移住100周年式典、中野副知事など50人のデレゲーション参加。8月25日,河野 俊嗣知事が参加してサンパウロ電力事業者シンジケートで宮崎県人会創立70周年式典開催。

また8月25日,ジャパン・ハウス サンパウロで北海道安平町巨大雪ダルマ展示。8月26日,ジャパン・ハウス サンパウロで吉川大臣も出席して宮崎の夕べ in サンパウロ開催。和牛のプロモーションで商談成立。8月29日,ジャパン・ハウス サンパウロでFAST SHOP TOTO紹介イベント。日系社会関係では、8月24日,日系人の花卉栽培が盛んなアルジャーで第28回アルジャー花祭り。8月30日,副市長が日系人のアチバイア市で花とイチゴ祭り、菊人形展示。8月31日,モジ・ダス・クルーゼス市で清掃活動のレビタリバ・モジ開始。9月15日,コクエラでコクエラ移住100周年記念式典。8月26日,FIESPで吉川大臣参加して第4回日伯農業・食料対話開催。9月4日,総領事公邸で外務大臣表彰伝達式。サンパウロ州政府による防寒具支給キャンペーンでは総領事館や日系企業も毛布提供などを報告した。

連絡事項で讃井 慎一総務委員長は、9月24日開催の安全対策セミナーについて、午前10時30分から1時間半のセミナーは家族向けに治安情勢や安全対策について、午後4時から一般人向けセミナー開催を案内した。

異業種交流委員会の長野昌幸委員長は、10月2日(水) の18:00~19:00まで商工会議所会議室で女子ラグビー元日本代表・井上真理恵さんトークショー開催でワールドカップの見どころ等を解説する。環境委員会の秋山雄一委員長は、11月7日に開催されるサンパウロ市から130キロメートルのバイオマス発電を行っているブラジル味の素社 リメイラ工場見学会について定員25名で後日事務局から案内すると説明した。

代表者交代挨拶では、STARTS BRASIL IMOBILIÁRIA LTDAの森口信義社長は、4つ星ホテルのカンボジアのホテルマンに転身する。2011年1月から8年半勤務。40歳のほとんどをサンパウロで過ごし人脈ができて成長させていただいた。人のいうことを聞かない人間であったが、人のいうことを聞くことが大切であると気づかせてもらった。プライベートでは友人や家族の大切さを気づかせてくれた。後任の大庭一希社長は、サンパウロ生まれで日本育ち。2005年にブラジルに帰国。サンパウロ新聞社に10年間勤務。今後は有料相談に応じるとウイットに富んだ挨拶を行った。

新入会員紹介では、MARINANGELO E AOKI ADVOGADOS社のTânia Aoki氏は、パワーポイントで自社事業を紹介。OLYMPUS OPTICAL DO BRASIL LTDA.の長井秀樹氏は、同社設立は1919年、1950年に胃カメラを販売開始、現在は主に医療機器販売、2019年4月から2名で再スタート、単身赴任で奮闘していると説明。村田会頭からそれぞれ会員証を受け取った。

3分間スピーチでは全日空の米州室 営業・マーケティング統括部長でロサンゼルス支店の大前圭司副支店長は、ブラジル進出は1999年でブラジル20周年記念。8月からロンドンと羽田間を運航などパワーポイントで事業を紹介した。LÍDER CORP社のJaqueline Yoshimine氏は、個人・団体旅行を担当しているスタッフを紹介。HIROTA FOOD SUPERMERCADOSのFrancisco Hirota社長は、サンパウロ州に15店舗を展開「家族から家族のために」をモットーにサービスの質向上に心がけており、ダイソーとのタイアップ、2016年にHirota Food社設立などを説明した。

ブラジル日本都道府県人会連合会の山田 康夫会長は、約20万人が参加した第22回日本祭りへの協力に御礼を述べた。ツニブラ・トラベルの小宮 陽取締役は、TUNIBRA70周年記念をビデオの紹介、独自のノウハウを生かして書類作成、企業向けサービス、イベント、レジャー、両替、送迎業務、「最良のサービスを提供する旅行代理店になる」ミッションを続けてきたと紹介した。

Prospectiva Consultoria社パートナーで政治学者のリカルド・セネス氏は、テーマ「政治シナリオ及び経済インパクト」と題して、ボルソナロ大統領は26年間の下院議員の経験はあるものの、政治の中心グループに所属していなかった。1年前に下院議員が2人の弱小党に入党、治安・警察関係の改正案を出しただけに留まっていた。

政治グループとして、自由経済派グループ並びに銃規制緩和派グループ、聖書派グループ、規律と秩序を掲げる保守党派グループ、セントロンと呼ばれる政党連合派の5グループに分けられる。

下院議会には30政党の議員が所属、最大政党は労働者党(PT)並びにジャイール・ボルソナロ大統領所属の社会自由党(PSL)でそれぞれ54議席を占めている。次いで進歩党(PP)は38議席、社会民主党(PSD)は36議席、ブラジル民主運動(MDB)は34議席、議席が一桁台の政党は15政党と半分に達している。

また上院議会ではブラジル民主運動(MDB)が13議席を占めて最大政党を形成しているが、社会民主党(PSD)並びにポデモス(Podemos)党はそれぞれ9議席、ブラジル社会民主党(PSDB)は8議席、労働者党(PT)は6議席、3議席以下の政党は9政党が存在する。

7月10日下院議会本会議で第一回新社会保障年金改革案の採決が行われ、最低可決に必要な下院議員513人のうち308票を71票上回る379票の賛成票を獲得して可決されたが、ロドリゴ・マイア下院議長の影響が強く反映された。

テーメル政権時の2017年11月には労働改正案が承認されており、また年金・恩給改革は10月以内の国会承認が見込まれており、続いて税制改革が来年中に承認されれば2023年にはブラジルのプライマリー収支は黒字化になる可能性が出てきている。

上院議会での年金改革スケジュールとして第1回投票は9月25日、第2回投票は10月8日、年金改革公布は10月15日が予定されている。税制改革は既に改革案ができており、深堀の労働改革案並びに非インデックス指数化などの規制変更は既に着手されている。マクロ経済改革案は進展しているが、省庁編成などのミニ改革は今後の着手が予定されている。またアルゼンチンの大統領選挙の行方次第ではEUメルコスールEPA締結で問題が出る可能性を示唆して講演を終え、村田会頭から記念プレートが贈呈された。
 

 

Ricardo Sennes, economista e cientista político (Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

Toshifumi Murata, presidente da Câmara

Fujiyoshi Hirata (secretário-geral da Câmara), Ricardo Sennes (sócio-diretor da Prospectiva), Toshifumi Murata (presidente da Câmara) e Lucas Correa (diretor da Prospectiva)

Yasushi Noguchi, cônsul-geral do Japão em São Paulo e Shinichi Sanui, diretor-executivo da Câmara

Ricardo Sennes (d) recebe de Toshifumi Murata (e), placa de homenagem da Câmara

Ricardo Sennes com membros da Diretoria da Câmara

 

 

58人が参加して9月の労働問題研究会開催

企業経営・地場企業推進委員会(ワグネル 鈴木委員長)の労働問題研究会は、2019年9月18日午後4時から6時まで58人が参加して開催、進行役はリカルド・ササキ副委員長、ワグネル 鈴木委員長が務め、初めにORGATEC Organização Técnica ContábilのKarina Mascaros Knirschマネージャーは、『休暇分割実務について』、続いてFelsberg Advogados.のMaurício Pepe de Lion労働問題担当パートナー及びThaís Bratifich Ribeiro法人担当弁護士 は、『労働法コンプライアンス-最善の内部監査について』それぞれ講演した。

PDF anexos:
1. “Fracionamento das férias na prática”
2. "Compliance trabalhista – Melhores práticas em investigações internas"

Thaís Bratifich Ribeiro (Felsberg Advogados), Karina Mascaros Knirsch (Orgatec), Wagner Suzuki (Construtora Hoss) e Maurício Pepe de Lion (Felsberg Advogados) 
(Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

Rubens Ito / CCIJB – 18/09/2019

2018年のフィンテック会社のクレジット総額は約12億レアルに急伸

コンサルタント会社PwC社並びにブラジルデジタルクレジット協会(ABCD)の調査によると、2018年のフィンテック会社のクレジット総額は、前年の8億400万レアルから48.6%増加の約12億レアルに急伸しているにも関わらず、ブラジル国内の商業銀行のクレジット総額の3兆7,000億レアルとは比較にならないくらい小さい。

しかし昨年の90%以上のフィンテック会社の個人向け平均クレジット月利は4.8%、法人向け平均クレジット月利は4.5%に対して、今年6月の商業銀行の平均クレジット月利6.8%とは比較にならないぐらい低金利で、今後の利用者はうなぎのぼりになる可能性を秘めている。

フィンテック会社の個人向けクレジットの内訳では、無担保クレジットは42%でトップを占めており、また一般消費者向け直接クレジットは19%で併せて61%を占めている。

また担保付きクレジットは16%、低い延滞率やリスクの低い公務員並びに年金・恩給受給者向けの給与・年金口座連動型クレジットは14%、住宅購入向けファイナンスは12%、自動車購入向けファイナンスは7.0%、クレジットカードは5.0%、負債返済2.0%、学生向けクレジット2.0%、その他は5.0%となっている。

フィンテック会社の法人向けクレジットの内訳では、無担保クレジットは35%を占めてトップ、運転資金用クレジット並びに担保並びに保証人付き一般クレジットはそれぞれ30%を占めている。また前借クレジットは21%、手形割引は12%、その他は7.0%となっている。

フィンテック会社を利用する最も多い顧客層は、商業銀行に口座を擁しているにも拘らず、銀行サービスの利用頻度が少なく、またクレジットへのアクセスが少ない顧客となっている。

フィンテック会社を利用する個人の顧客層の79%は、低所得層に相当するC及びD,Eクラス、法人顧客の72%は、従業員数が49人以下の零細企業経営者が大半を占めている。

フィンテック会社の僅か9.0%が2018年に中銀で承認された直接的クレジット組織(SCD:sociedade de crédito direto)のライセンスを所有、僅か2.0%が個人間融資組織(SEP:sociedade de empréstimo entre pessoas)のライセンスを所有している。

しかしフィンテック会社の42%は1年以内の直接的クレジット組織(SCD)、9.0%は個人間融資組織(SEP)のライセンス所有を取得する計画を立てている。(2019年9月19日付けヴァロール紙)

中銀の通貨政策委員会は、全会一致でSelic金利を5.5%に決定

昨日中銀の通貨政策委員会(Copom)では、低調な国内経済及びにコントロールされているインフレが要因となって、全会一致で政策誘導金利(Selic)を6.0%から0.5%引下げて5.5%に決定、1996年6月以降では過去最低のSelic金利となった。

2017年3月から2019年7月まで約2年半に亘ってSelic金利は6.5%を維持していたが、前回の通貨政策委員会(Copom)では全会一致で政策誘導金利(Selic)を6.5%から0.5%引下げて6.0%に決定、2回連続でそれぞれ0.5%引き下げられている。

ブロードキャスト・プロジェクションの55金融機関対象の調査では、全ての金融機関は今回のSelic金利の0.5%引下げを予想、ジャイール・ボルソナロ大統領は、ツイッターで2回連続でのSelic金利引下げで過去最低金利を達成、経済政策は功を奏していると強調している。

米連邦準備理事会(FRB)はFF金利の誘導目標を1.75%-2.00%と0.25%引き下げるなど国際情勢は新興国の金利引き下げに追い風となっていると中銀のロベルト・カンポス・ネット総裁は指摘している。

しかし先週14日にサウジアラビアのEastern州で国営石油会社サウジ・アラムコ(Saudi Aramco)の施設2か所がドローンによる攻撃を受けて火災発生。隣国のイエメンの反政府武装組織フーシ派(Huthi)が犯行声明を発表、石油の国際コモディティが急上昇して、世界経済に与える悪影響の規模は不透明となっている。

中銀は今年のインフレ指数を前回予想の3.6%から3.3%、2020年のインフレ指数を前回予想の3.9%から3.6%とそれぞれ大幅な下方修正を行っており、今年のインフレ中央目標値の4.25%、2020年の4.00%をそれぞれ下回る予想を行っている。

中銀では、インフレの良性シナリオが継続すると予想しており、次回の通貨政策委員会(Copom)では、Selic金利の0.25%若しくは0.5%切下げの可能性を示唆している。

Fibra銀行チーフエコノミストのクリスティアーノ・オリヴェイラ氏は、10月末のCopomでのSelic金利の0.5%引下げを予想、インフレのコントロールが継続すれば12月までSelic金利の引き下げサイクルは継続すると予想している。

今回のSelic金利の5.5%への引下で、ブラジルのインフレ指数を差引いた実質金利は1.65%で世界8位、アルゼンチンの実質金利は10.0%と世界最高金利、前回のCopom会議でのSelic金利の6.0%の引下で、ブラジルの実質金利は1.63%で世界8位であった。

Ourinvest Investimentos社チーフエコノミストのフェルナンダ・コンソルテ氏は、今年末のSelic金利を5.0%若しくは4.5%に引き下げられると予想、サンタンデール銀行では、2020年の大半の期間のSelic金利は4.5%で安定すると予想している。(2019年9月19日付けエスタード紙)

異業種交流委員会の長野昌幸委員長と意見交換

異業種交流委員会の長野昌幸委員長は2019年9月18日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長と今後の異業種交流委員会の活動内容について意見交換を行った。同委員会は昨年12月10日に忘年会、12月13日にダイソーブラジルの大野恵介社長を招いて講演会、今年4月に平上博泰氏を招いてテーマ:「日雇い労働者」から「りんご経営者」を経て「ゴルフ場経営者」への道(ブラジルで成功する秘訣を聞き出す会)の講演会、6月にブラジル盛和塾前代表世話人の板垣 勝秀氏の講演会を実施、10月2日に同委員会主催による女子ラグビー元日本代表・井上真理恵さんトークショー、11月にはエグゼクティブのストレス解消にアラメーダ・カンピーナス街で疲労回復専用ジムZEROGYMのインストラクター鈴木友紀菜氏を招いて講演予定、また来年には元ブラジル代表・元FCバルセロナのエジミウソン氏の講演を予定。長野昌幸委員長は会議所委員会でも最も活発な活動を行って会議所活動の活性化に貢献している。

左から異業種交流委員会の長野昌幸委員長/平田藤義事務局長

 

 

ジェトロ・ブエノスアイレス事務所の紀井寿雄所長一行が訪問

ジェトロ・ブエノスアイレス事務所の紀井寿雄所長並びにジェトロ・サンパウロ事務所の松平史寿子次長、古木勇生ディレクターが2019年9月18日に商工会議所を訪問、平田藤義事務局長が応対した。

紀井寿雄所長が講演予定のセミナー「アルゼンチン大統領選挙直前の現地最新情勢について」には参加希望者が殺到したために、2回に分けて講演、第1回セミナーは2019年9月17日午後4時から5時30分まで50人以上、第2回セミナーは9月18日午前10時30分から正午まで40人以上が参加して開催して大好評を博した。

左からジェトロ・ブエノスアイレス事務所の紀井寿雄所長/ジェトロ・サンパウロ事務所の松平史寿子次長/古木勇生ディレクター/平田藤義事務局長

 

経済相は雇用創出のための減税政策を模索

ブラジルの税制改革で中心的な役割を担ってきたマルコス・シントラ連邦歳入担当次官が金融取引暫定負担金(CPMF)をモデルとする低率の金融取引税の導入案を頑なに策定していたが、ボルソナロ大統領は特にCPMFの復活など税制改革法案を巡る「見解の相違」のためにシントラ次官は解任された。

パウロ・ゲーデス経済相は、評判の悪い金融取引暫定負担金(CPMF)の導入に替わって、雇用創出に繋がる企業経営者の負担を軽減する減税政策を模索している。

ボルソナロ大統領は、大統領選挙キャンペーン中の公約として個人所得税の免税上限を1,903.98レアルから最低サラリーの5倍に相当する4,990レアルへの引上げを公約、しかし国庫庁にとっては年間390億レアルの歳入減少に繋がり、非現実的な減税政策を謳っていた。

ゲーデス経済相は、連邦税の工業製品税(IPI)並びに社会統合計画賦課金(PIS)、社会保障賦課金(Cofins)、州税の商品サービス流通税(ICMS)、市税のサービス税(ISS)を包含する商品サービス税(IBS)に相当する付加価値税(IVA)の税率は25%に達する可能性がある。

連邦政府では企業の従業員に対する社会保障費負担の軽減として、現在企業が負担している給与支払額に対する20%の負担率を8.5%への引下を含めるとこの付加価値税(IVA)は32%に達し、世界でも最も高率の付加価値税(IVA)になる可能性があると経済省は指摘している。

付加価値税(IVA)の税率が25%を上回っているのは、ノルウエーやハンガリーなど極わずかな国しかないが、付加価値税(IVA)の税率が25%を超える国の教育や医療保険などの公共サービスはブラジルと比較できない程の高度な公共サービスを提供している。

現在の個人所得税申請の医療保健に関する税控除では、税控除金額や比率などの規定がないために、富裕層は無料の統一医療保険システム(SUS)の代わりに治療代や診察料金が高額な個人医師や私立病院を利用しており、連邦政府は特に富裕層が恩恵を受けている医療保健に関する税控除に対して、上限を設けることを検討している。

また教育分野では扶養家族の一人当たり3,561.50レアルの控除枠を設けているが、所得の高いほど恩恵を受けており、連邦政府は上限を設けることを検討している一方で、免税が適用されていた慈善団体に対する税徴収開始も検討されている。

経済省は「基準を簡素化するとともに、コストを削減し、家計と企業の税負担を軽減するため」税制改革に取り組んでいるが、企業の従業員に対する社会保障費負担の終了に替わって、法人税並びに個人所得税の変更と単一連邦税に付随する新たな税金の仕組みを検討している。2019年9月18日付けエスタード紙)