経済省マルコス次官と会合

 政策対話委員会は9月11日(水)、在ブラジル日本国大使公邸で経済省のマルコス シントラ次官から税制改革の取り組み状況について説明を受けた後、当所がビジネス環境整備を目的に去る6月から7月にかけて行った税制全般(連邦・州・市税)や通関制度改善に係るアンケート調査結果について報告、ブラジル特有の複雑な税制の簡素化を強く訴えた。

ブラジル側参加者:マルコス シントラ次官、マルセロ デ ソウザ シルバ次官補、フラビオ マルチンス アラウジョ国際関係顧問

在ブラジル日本国大使館:山田 彰在ブラジル日本国特命全権大使、真鍋尚志公使、彦田尚毅公使、中島良太一等書記官

ブラジル日本商工会議所:佐藤真吾日伯経済交流促進委員長兼政策対話委員長(副会頭)、吉田幸司政策対話委員会税制・通関WG長(KPMGブラジル/南米 ジャパンデスクヘッド)、平田藤義事務局長

吉田税制・通関WG長の発表PDF資料:Pdf日本語資料Pdfポルトガル語資料

(写真:在伯大使館提供)

POLI PMI INDUSTRIA E COMERCIO LTDA一行が訪問

POLI PMI INDUSTRIA E COMERCIO LTDAのBernardo Hermano Apsan取締役とMarcelo Apsan取締役は2019年9月10日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長は会議所活動について説明、同社は商工会議所への加入希望を示唆した。

Marcelo Apsan, Bernardo Hermano Apsan e Fujiyoshi Hirata

Foto: Rubens Ito / CCIJB

第2回環境委員会開催

今年2回目の環境委員会(秋山雄一委員長)は、2019年9月10日午後4時30分から5時30分まで6人が参加して開催、今年の活動報告として2月1日の第1回環境委員会では今年の活動方針決定、3月16日に実施したサンパウロ市内カルモ公園の200本の補植(植樹)について説明、今年下半期の委員会活動として、11月7日開催予定のブラジル味の素社リメイラ工場見学会のスケジュール、見学内容、参加申し込みなどについて意見交換、また来年上半期の見学会やセミナーについても意見交換を行った。

参加者は秋山委員長(南米日本製鉄)、市川副委員長(ブラジル住友商事)、近藤副委員長(ブラジル味の素)、加藤副委員長(南米日本製鉄)、商工会議所から日下野総務担当、大角編集担当。

秋山雄一委員長

 

事務局便り JD-074/19   サンパウロ州防寒着および防寒具寄付キャンペーン

                          JD-074/19
                          2019年9月10日
会員各位
                          ブラジル日本商工会議所 事務局

平素より会議所活動に多大なるご協力を賜り御礼申し上げます。

ご周知の通り今年は近年稀に見る寒波が続き、毎冬実施されるサンパウロ州防寒着および防寒具寄付キャンペーンにおいても、今年はドリア州知事が2万枚の毛布の寄付を目標とするなど、寒波への対応が急がれております。

このような状況下、サンパウロ総領事館よりこの寄付キャンペーンに広くご協力頂けるよう、当会議所及び各日系団体へご依頼を頂いております。
詳細は添付ご依頼状を参照の上、寄付にご賛同頂ける企業また個人の方は、キャンペーンが9月22日(日)までとなっておりますので、
急ぎサンパウロ総領事館までご連絡下さい。

(連絡先)在サンパウロ日本国総領事館: 電話番号(11)3254-0100 内線.522

スタートアップ企業QuintoAndarは2億5,000万ドルの資金調達

2013年にアンドレ・ぺーニャ氏が創業したQuintoAndar 社は、ブラジルの借主と大家を結び、アパート賃貸契約の締結を円滑化するモバイルアプリケーションで急成長している。

QuintoAndar 社は既に企業としての評価額が10億ドル以上で、非上場のベンチャー企業を指すユニコーン企業と金融市場関係者は強化しているテクノロジー企業に成長している。

QuintoAndar 社は、Uber社やNubank社に投資している米国投資ファンドDragoneer社並びにコロンビアのボゴタに本社を置くスタートアップ企業のラピ社(Rappi)に10億ドル投資、また配送アプリLoggi社に1億5,000万ドル出資。またGympass 、Creditas社などに積極的に投資を行っているソフトバンク社などから2億5,000万ドルの投資を受ける。

QuintoAndar 社は10カ月前に米国の投資ファンドGeneral Atlantic社から大型投資を受けていたが、今回新たに米国投資ファンドDragoneer社並びにソフトバンクから大型投資を受ける。

今回の2億5,000万ドルの投資金は、テクノロジー部門強化並びに国内市場の強化、海外進出計画に投資をするが、先ずは残っている宿題を片付け、2020年から海外進出を計画していると同社のアンドレ・ぺーニャ社長は抱負を述べている。

QuintoAndar 社は、ブラジル国内では主に南部地域並びに南東部地域、中西部地域の25都市でアパートの賃貸事業を展開、特にサンパウロ州内の事業が牽引していたが、最近の4,500件の賃貸契約の内30%はサンパウロ州外を記録している。

ラテンアメリカ地域はアパート賃貸で問題を抱えているケースが多いために、QuintoAndar 社のモバイルアプリケーションは、勝機があるとして来年から積極的に海外戦略を展開する。

今年初め8か月間の賃貸契約軒数は前年同期の5倍と急成長、2018年当初の従業員300人から今では1,000人以上に急増、同社はアパート契約の1か月分を取得、毎月家賃の6.9%~8.0%をコミッションとして受け取る。

今後のQuintoAndar 社の事業展開として、今までの伝統的な不動産会社は賃貸アパートの確保と大家対応に対して、QuintoAndar 社は借家人の選定を行う分業戦略を検討している。(2019年9月10日付けエスタード紙)

連邦政府はFGTSの住宅建設資金の独占廃止を検討

1990年から連邦貯蓄金庫(Caixa)は、勤続期間保障基金(FGTS)の住宅購入向けクレジット独占、大衆住宅建設プログラム“私の家、私の暮らし”(MCMV)向けクレジットに使われていたが、月収が1,800レアルまでの低所得層向けラベル1(Faixa1)向け支払い遅延は拡大して管理が等閑にされている。

ジャイール・ボルソナロ政権発足と当時に設けられた経済省の勤続期間保障基金(FGTS)担当のイゴール・ヴィラス・ボアス・デ・フレイタス理事は、FGTS資金は労働者にとってリターンの高い投資をする必要があると強調している。

2017年の連邦貯蓄金庫の住宅購入向けクレジット総額のマーケットシェアは、ブラジル貯蓄貸付システム(SBPE)並びに金利が最も低い勤続期間保障基金(FGTS)の住宅購入向けクレジット独占で、69.0%と圧倒的な首位を維持していた。

連邦貯蓄金庫は勤続期間保障基金(FGTS)の積立金の1.0%を住宅向けクレジットとして独占、2018年の住宅向けクレジット総額は51億レアルに達していた。勤続期間保障基金(FGTS)は住宅向け並びに上下水道、インフラ整備部門向けだけに使用が許可されている。

労働者党(PT)政権の補助金のシンボルであった大衆住宅建設向け資金として、2009年~2018年には総額1,130億レアルに達していたが、連邦政府の財政悪化に伴って2020年の予算は、今年の半分に相当する僅か27億レアルまで削減されている。(2019年9月10日付けエスタード紙)

論評【10年にわたって持続する工業の低迷】

アントニオ・コレア・デ・ラセルダ*

 

ブラジル地理統計院(IBGE)が前週に発表した国内総生産(GDP)に関するデータが全体として予想をやや上回る水準だったことから景気回復への期待が高まっていたが、その後に2019年7月の国内工業生産が前月比-0.3%と落ち込んだとするデータが発表されたことでその期待が裏切られた形となった。

それ以上に注意を引くのは、工業生産の現在の水準が、アメリカのサブプライムローン危機に端を発した金融危機の影響を強く受けた数年前(2009年1月)と等しいということだ。言い換えると、工業部門は長期の低迷状態にある。我が国は、脱工業化の初期段階にあり、GDPに占める工業の比重は現在およそ10%と限定的で、国際平均の16%や同様に工業の比重が低いと位置付けられるメキシコ(17.5%)と韓国(27.6%)のような国と比較しても低水準なのだ。

相対的な比重の低下以外にも、工業生産の質という観点から問題を抱えていることが確認できる。すなわち、中程度から高度な技術を備えた工業がGDPに占める比重は、2009年には11.4%だったものが、利用可能な最新データの2017年には8.1%に低下したのだ。

様々な要因が、こうした状況の背景にある。マクロ経済で扱う性質のものもあれば、競争を有利にする政策の欠如に関連したものも、さらには、ミクロ経済で扱う性質のものもある。

基本金利は、名目水準で歴史的な低金利であり、理論的には、生産及び投資に対する関心を高めることに貢献するはずだ。ところが、その他の様相がこれに反対する力を生じさせている。第1に、ブラジルの金融市場の歪み、すなわち基本金利と最終的に融資先に課される金利の差が依然として断崖の上と下と言えるほどの差がある上に生産活動ではどのようなものであれ期待される収益性と折り合わないような状況が挙げられる。第2の様相は、生産性向上に対する設備投資は、予想される収益性と同様に将来的に拡大することが期待される需要によって動機付けられているという点だ。

需要の回復を示すものは、何もない。まず、既に述べたように信用供与が消費者にとってこれまで以上に近付き難い状態だからだ。その上に、就職活動そのものを断念した人と定職に就けていない不安定な雇用状態の労働者は約3,000万人で、これらを失業者に加えて広い意味で計測した失業率は、これまで以上に上昇している。就労者の収入の調整率も同じく、中産階級の人たちの支出項目に位置付けられる代表的な品目、例えば健康保険の保険料や住居の共益費、学費などといったものの価格の値上がりに追い付いていない。こうした要素は、家計を圧迫し、消費能力を抑制する。

それだけでなく、競争力に対する悪材料がある。例えばそれらは、官庁の繁雑な手続き、物流コスト、インフラの不備、税負担による影響その他、我が国と競合する圧倒的大部分の国々よりも劣悪なものだ。諸外国の通貨と比較してブラジル通貨レアルが切り下げられていることは我が国の不利をいくらか埋め合わせはするだろうが、即時性もなければ自働的に行われるものでもない。

輸出のパフォーマンスというものには、現在よりもより大きなシェアを確保できる情勢を形成できるように、より積極的な戦略が求められる。国際的な経済危機と貿易戦争、為替戦争に直面し、市場の競争はこれまで以上に激化し、かつ困難な状況を生み出している。工業生産の現在の水準は、10年前、すなわち利益を得ようとわれ先に参加した人たちが引き起こしたサブプライムローン危機の影響を強く受けた時期に等しい。

貿易競争力と科学力、技術力、イノベーション力に対する様々な政策を含む、より広い範囲を見渡し考慮した工業政策を掲げた行動計画を、工業の強化に向けた選択肢の議論に含める必要がある。その意味で、旧産業貿易サービス省(MDIC)が現在の経済省に統合されたことは、一部の人の期待とは裏腹に、そこにある問題を見えにくくしているように思われる。

付加価値の生成と農畜産業界及びサービス業界との相互関係に対する重要性を考慮するなら、経済の回復に向けた取り組みは必然的に、工業の回復を通じたものになる。(2019年9月10日付けエスタード紙)

 

*博士でサンパウロ州カトリック大学(PUC SP)教育学部理事、現全国経済審議会(Cofecon)メンバーで副議長、著書に「ブラジル経済(Economia Brasileira)第6版」(サライヴァ書店、2018年)などがある。

 

ブラジルのスタートアップ企業は果敢に海外市場進出

WhatsAppと競合するコミュニケーションプラットフォームであるRoket Chatは、南大河州の州都ポルト・アレグレ市で4年前に誕生したが、当初はブラジル国内市場での使用を目的としていた。

営業・管理・顧客対応などの進捗管理のフレームワーク提供のPipefy社は、パラナ州のクリチーバ市で誕生、今では156ヵ国で活用されているが、当初はブラジル国内向けとしたスタートアップ企業であった。

ベンチャーキャピタルであるRedpoint Venturesにも投資を行っている価格比較サイトのBuscape社の共同創業者Romero Rodrigues氏は、数年前まではブラジルのスタートアップ企業に投資する投資ファンドは少なかったが、今では世界有数の投資ファンドがブラジルのスタートアップ企業に注目していると指摘している。

昨年だけでもベンチャーキャピタル企業は、ブラジルのスタートアップ企業に対して前年比51%増加の13億ドルを投資、ブラジルのスタートアップ企業でユニコーン企業に化けたのは、Nubank社並びに Movile社、 Stone社、 99社、 Pag-Seguro社、 Gympass社でそれぞれの市場価格が10億ドルを突破している。

2012年創業のGympass社は、今年6月に3億ドルの投資を受けて果敢に海外市場開拓を予定、既に14カ国で契約しているが、ブラジル国内での事業成功で海外進出を決定したとJuliano Ballarotti副社長は説明している。

ブラジルのスタートアップ企業にとって、ブラジル国内市場は巨大で未成熟であったために、海外市場に目が向いていなかったが、国内マーケット規模が小さいイスラエルやアルゼンチン、コロンビアのスタートアップ企業の創業者は、初めから海外市場に焦点を当てている。

ブラジルのフィンテック企業Nubank(ヌーバンク)は、今年6月にクレジットカード所有が人口の僅か10%で大きな事業拡大が見込めるメキシコに支店を開設、またアルゼンチンには来年の進出をDavid Velez共同創業者は発表している。

スタートアップ企業と何らかの形で連携を狙っているイタウー銀行やブラデスコ銀行等の大企業がスタートアップとの物理的な距離を縮めるためのスペースを低価格、場合によっては無償で提供している。

イタウー銀行スタートアップ・エコシステム担当のRenata Zanuto主任は、ブラジルのスタートアップ企業の海外進出は新しい流れで自然であるが、事前に相手国の法律や規制などを把握する必要があると指摘している。(2019年9月8日付けエスタード紙)

アルゼンチンと新たな2国間自動車協定の締結

今月6日にパウロ・ゲデス経済相とアルゼンチンのダンテ・シカ工業生産相は、現行の自動車協定が2020年6月末の有効期限終了するために、翌7月から発効する新たな2国間自動車協定の締結を発表した。

新自動車協定は2020年7月1日発効、2029年6月30日をもって終了、両国間の自動車貿易自由化は9年間先送りされるが、自動車および自動車部品の貿易バランスを維持するための均衡係数は、現行の1対1.5から最大1対3.0まで拡大する。

ブラジルからアルゼンチン向け自動車並びに自動車パーツは、現行の1.5ドル対1.0ドルから1.7ドル対1.0ドルに変更、2020年7月~2023年6月までは1.8ドル対1.0ドル、2028年7月~2029年6月は、3.0ドル対1.0ドルが予定されている。

2029年7月から貿易均衡係数や貿易関税は廃止され、両国間の自動車貿易は完全な自由化となるが、メルコスール・EUの自由貿易協定(FTA)は、発効後15年かけて自動車貿易を自由化するために、両国はEU よりも5年間早く自由化する。

2020年7月1日発効する新自動車協定では、両国の域内現地調達率は60%から50%に引き下げられ、電気自動車およびハイブリット車に関しては優遇政策が適用される。

また新自動車協定では、アルゼンチン並びにブラジルの自動車工場誘致のために優遇税制を導入する州政府は新自動車協定の適用を除外されるために、州政府間の税制戦争発生を防ぐ効果がある。(2019年9月7日付けエスタード紙)

労働ワーキンググループ会合開催

2019年9月6日(金)16時より、政策対話委員会(佐藤真吾委員長)労働ワーキンググループ(山崎一郎グループ長)会合が開催された。今回の会合では、労働WGの今後の活動内容について、WG内で議論していく項目やそれに伴う準備担当者が決められた。

現時点での労働WGの活動は、政府関連への政策提言というよりは、身近な課題を解決していく為に、メンバー間で情報交換を行うなど交流を強化していく方針で進められている。議論していくテーマとしてあがったのが、年金改革の内容、労働訴訟の現状、労働法、個人情報保護法(LGPD)、HR TECHなどで、メンバー間での意見交換、そして会員企業向けの有効な情報提供を行なうセミナー開催などについて話し合いが行なわれた。

参加者は、山崎一郎氏(グループ長、ブラジル味の素)、景山和行氏(副グループ長、ブラジルトヨタ自動車)、深江堅允氏(ブラジルトヨタ自動車)、加藤周平氏(南米日本製鉄)、石川耕介氏(コマツブラジル)、三宅康司氏(ホンダサウスアメリカ)、高橋良明氏(ホンダサウスアメリカ)、坂本宇廣氏(損保ジャパン日本興亜)、槙田吉之氏(伊藤忠ブラジル)、古木勇生氏(ジェトロサンパウロ)、森雄太氏(丸紅ブラジル)、吉田幸司氏(KPMG)、そして事務局からは、日下野成次総務補佐、吉田章則調査員が参加した。

山崎一郎 グループ長(ブラジル味の素)