輸出減少に伴って自動車生産も下方修正

全国自動車工業会(Anfavea)の発表によると、2019年初め7か月間の新車生産はアルゼンチンの為替危機で輸出が大幅に落ち込んでいる影響で、前年同期比僅か3.6%増加野174万台に留まっている。

今年7月の新車生産は前年同期比8.4%増加の26万6,400台を記録、今年の新車生産は年末までの5か月間のブラジル国内の新車販売の回復に伴って、前年比9.0%増加の310万台を全国自動車工業会(Anfavea)のルイス・カルロス・デ・モラエス会長は予想している。

ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)自動車関連担当コーディネーターのアントニオ・ジョージ・マルチンス氏は、今年の新車生産が310万台に達するには今後5か月間の月間平均生産は30万台が必要と否定的な見方をしており、今年の月間平均24万台では300万台前後と予想している。

今年初め7か月間の新車登録台数は前年同期比12.1%増加の155万台、7月の新車販売は、前年同月比12.0%増加の24万3,600台と7月としては2014年以降で最高を記録している。

一方今年初め7か月間の新車輸出台数はアルゼンチン向け輸出が壊滅的な影響を受けて、前年同期比38.4%減少の26万4,100台と昨年同期の42万8,700台よりも15万台以上落ち込んでいる。今年7月の新車輸出台数は前年同月比15.3%減少の4万2,100台に留まっている。

今年初め7か月間の新車輸出台数26万4,100台のうちアルゼンチン向け輸出は55%に留まったが、前年同期は75%を占めていた。今年初め7か月間のアルゼンチン向け新車輸出は14万9,000台に留まっている。

一方今年初め7か月間のメキシコ向け新車輸出台数は、全体の14.0%に相当する3万8,700台を記録している。今年7月の新車輸出金額は前年同期比26.8%減少の9億955万ドル、今年初め7か月間では38.1%減少の59億2,000万ドルとなっている。

今年7月のブラジル国内の自動車業界従業員総数はサンパウロ州近郊のフォード社の自動車工場閉鎖に伴って、2.5%減少の12万8,665人となっている。(2019年8月7日付けヴァロール紙)

 

シーメンスは輸送やエネルギー部門に焦点を当てた大型投資を予定

ドイツ資本の多国籍企業のシーメンスは、ブラジル国内の2022年までの電力エネルギーや石油・天然ガス開発部門向けインフラ投資に25億レアル以上の資金を調達している。

シーメンス社のJoe Kaeser社長はブラジルの経済回復が遅れているにも関わらず、年金改革法案の国会通過を楽観視しており、今週ブラジルを訪問して連邦政府によるインフラプロジェクトの分析を行うが、最後にブラジルを訪問したのは大統領選挙が始まった昨年3月であった。

今週月曜日にシーメンス社はバッテリー蓄電会社Micropower-Comerc社の20%の株式を取得、リオ州アスー港に1,300メガワットの火力発電所を建設、石油・天然ガス事業のPrumo Logistica 社及びBP社にも資本参加している。

2020年初めに投資パートナーシップ(PPI)による入札が予定されているバイア州イリェウス市とカエチテ市間の537キロメートルを擁する東西統合鉄道(Fiol)プロジェクト入札では装置やソルーション事業での参加を予定している。

またシーメンス社は、ブラジル国内の石油・天然ガス分野では石油・天然ガス開発部門から石油製油所、天然ガス精製分野のデジタルソルーションやオートメーション事業への進出を模索している。

シーメンスは2013年にブラジル国内での地下鉄工事や鉄道システムの入札をめぐり価格カルテルを行ったとの嫌疑をかけられていた経緯があったが、同社では既に不正疑惑を払拭する体制になっていると説明している。(2019年8月7日付けヴァロール紙)

 

経済産業省通商政策局中南米室の中山保宏室長補佐一行が訪問

経済産業省通商政策局中南米室の中山保宏室長補佐並びに同宮地慧係長、サンパウロ総領事館の上田基仙領事が2019年8月6日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長と1950年代中期から本格的に始まった輸入代替工業化政策、90年に誕生したコロル大統領による貿易自由化(経済開放)政策、その後現在に至るまでの産業政策(組み立て中心の政策)について説明。また商工会議所会員350社を2024年に500社まで拡大するための中小企業のブラジル進出展開行動計画ロードマップ案として、貿易・投資情報の提供と中小企業のマーケットポテンシャル、中小企業向け融資とブラジル政府の為替リスク低減策、産学協同および科学技術省所管の企画・研究融資機関(FINEP) 、現状のビジネス環境下で儲かっている分野の代表的な中小企業事例、中小企業が将来儲かる・期待される分野、F/S支援および中小企業海外展開支援プラットフォーム(茂木経産大臣2013/5/01SP)の活用 、JICAプロジェクト(中南米民間連携事業調査団)の活用、サンパウロ投資局(INVEST SP)および零細・小企業支援サービス機関(SEBRAE)との連携、サンパウロ州の治安改善、ブラジル進出時のHOW-TOと日系人出稼ぎ者の有効活用など多岐に亘って意見交換した。

Motonori Ueda, Yasuhiro Nakayama, Kei Miyaji e Fujiyoshi Hirata

Foto: Rubens Ito / CCIJB

米中貿易摩擦悪化でレアルに対するドルの為替はR$3.96に高騰

中国企業による米国産の農産物輸入の一時停止並びに昨日の中国元は2008年の世界金融危機以降初めて1ドル7元を割り、米国のドナルド・トランプ大統領は、中国の「為替操作国」と名指しで非難している。

米中の貿易摩擦激化に伴って世界中の証券取引所の株価は下落、昨日のサンパウロ平均株価(Ibovespa)は2.51%下落した一方で、レアル通貨に対するドルの為替は、1.66%高騰のR$3.96を記録して5月30日以降では最高のレアル安を記録している。

またナスダックは3.47%下落、ダウジョーンズはマイナス2.90%、香港のHang Sengマイナス2.85%、ロンドンのFTSE 100マイナス2.47%、パリのCAC40マイナス2.19%、フランクフルトのDAX 30マイナス1.80%、上海のSSECOはマイナス1.62%と軒並み下落している。

今月1日にトランプ米大統領は、現時点で制裁関税の対象となっていない中国からの輸入品3,000億ドル相当に10%の追加関税を課すと発表して9月1日から賦課を予定している。

米中首脳は6月末のG20大阪サミットでの会談で合意したにも拘らず、競争的な通貨切り下げに関する中国の公約に反するもので、米国の中国からの輸入品3,000億ドル相当に10%の追加関税並びに中国元の下落容認で、米中の貿易摩擦はさらに激化することが避けられなくなっている。

また米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表は、今月1日通商法301条に基づく追加措置として発表されている対中輸入額2,000億ドル相当への関税賦課について、追加関税率を10%から25%への引上げ検討も発表していた。

サンパウロの投資ファンド関係者は、米中貿易摩擦が更に激化すれば短期間にドルに対するレアル通貨は、R$4.10を突破するドル高の為替になる可能性を指摘している。

7月末の国際通貨基金(IMF)では、今年の世界の平均GDP伸び率を前回予想の3.3%から3.2%に下方修正、2018年の世界の平均GDP伸び率は3.6%であった。

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)エコノミストのリヴィオ・リベイロ氏は、「我々は単なる貿易戦争を見ているのではなく、今後50年間の世界の覇権争いで、新たな冷戦に繋がる可能性がある」と指摘している。

また「今までの米中貿易摩擦では、中国政府の対抗措置は米国よりも穏やかな戦略であったが、今回は人民元の為替安で対抗」と強気に出て来ているとリヴィオ・リベイロ氏は指摘している。

米中貿易摩擦の激化は世界貿易にブレーキをかけるだけでなく、ブラジルなどの不安定な新興国から投資引上げで、資金がより安全な先進諸国に流れる可能性が拡大する。

米中貿易摩擦の激化は短期的にはブラジルの中国への農産品輸出は拡大する一方で、世界貿易の縮小に繋がるために中長期的には芳しい結果とならないとRIO BRANCO Investimentos社チーフエコノミストのエヴァンドロ・ブシ―ニ氏は指摘している。(2019年8月6日付けエスタード紙)

連邦貯蓄金庫はFGTS預金引出スケジュール発表

昨日連邦貯蓄金庫は現役サラリーマンの勤続期間保障基金(FGTS)預金や凍結預金引出スケジュール発表、9月13日から500レアルまでの預金引出が開始される一方で、社会統合基金(PIS)の引出は8月から開始される。

現役サラリーマンの勤続期間保障基金(FGTS)預金引出並びに凍結預金引出政策「誕生日引出saqui aniversario」では、1月生まれは10月18日から引出開始、2月生まれは10月25日、3月生まれは11月8日、4月生まれは11月22日、5月は12月6日、6月は12月18日、7月は2020年1月10日、8月は1月17日、9月は1月24日、10月は2月7日、11月は2月14日、12月生まれは3月6日となっている。

社会統合基金(PIS)の引出では、連邦貯蓄金庫に口座を所有している顧客は8月19日から引出が可能、連邦貯蓄金庫に口座を持たない60歳以上は8月26日、連邦貯蓄金庫に口座を持たない60歳以下は9月2日からとなっている。

またロッテリカでは身分証明書(Identidade)と納税者カード(CPF)の提示で100レアルまで引出が可能、連邦貯蓄金庫並びにロッテリカでは、引出対応期間中は開店を早める。(2019年8月6日付けエスタード紙)

プラナルト宮では新社会保障年金改革の国会審議は9月中を予定

下院議会での2回目の新社会保障年金改革法案の採決は今週中、また2回の上院議会での採決を9月20日~30日に終了する計画を大統領府プラナルト宮のオニックス・ロレンゾーニ 大統領府官房長官は示唆している。

今日6日にロレンゾーニ官房長官は、民主党(DEM)所属のロドリゴ・マイア下院議長と会合を持つが、下院議会での2回目の新社会保障年金改革法案の票読みを行う。

第一回新社会保障年金改革案の採決は7月10日に行われ、最低可決に必要な下院議員513人のうち308票を71票上回る379票の賛成票を獲得して余裕綽々で可決され、第2回投票も1票か2票の賛成票の減少に留まると楽観視している。

バレイア・ロッシ下院議員(MDB:ブラジル民主運動=サンパウロ州選出)は、第2回投票も第1回投票と同数の34票の党内の賛成票は既に確保していると強調、また進歩党リーダーのアルツール・リラ下院議員(PP:進歩党=アラゴアス州選出)は第2回投票ではハプニングは発生しないと強調している。

パウロ・ゲーデス経済相が謳っていた新社会保障案による10年間での1兆レアル以上の歳出削減による経済効果は、野党の賛成票取込みの政治駆引きで9,335億レアル前後に留まると予想されている。

新社会保障年金改革案の見直し案は、再度下院本会議で採決されて308票以上の賛成票を獲得すれば上院議会に送られ、上院議員81人のうち49票の賛成票を得なければならないが、与党では楽観視している。(2019年8月6日付けエスタード紙)

筑波大学院生命環境科学研究科修士課程の花田賢二氏が訪問

昨年筑波大学院生命環境科学研究科の修士課程で研究テーマ「セラードにおける大規模畑作農業の成立条件と改善策」に取り組んでいた花田賢二氏が2019年8月5日に商工会議所を訪問、花田賢二氏は、今年から筑波大学院生命環境科学研究科の修士課程で研究テーマ「セラード農業」に取り組んでいることを報告した。

Fujiyoshi Hirata e Kenji Hanada

Foto: Rubens Ito / CCIJB

化学品部会は部会長シンポジウム発表資料作成で意見交換

化学品部会(村松正美部会長)は、今月22日に開催される業種別部会長シンポジウム発表資料作成のため2019年8月5 日午後3時から午後5時30分まで19人が参加して開催、参加者は自社の今年上期の回顧並びの今年の展望、副題:「成長への期待、変化への対応」について発表した。

今年上期の回顧では、ジェネリック農薬品の攻勢、学用品の老舗小売販売業の相次ぐ閉鎖、インド並びに中国の安価な製品台頭、米中貿易摩擦によるブラジルの大豆需要増加、価格競争激化、棉の作付面積増加傾向、コストダウン圧力、中国の環境規制の影響、消費マインドの落込み、アルゼンチンの景気後退、業界再編などが話題に挙がった。

今年下期の展望では、小売店の支払い遅延要請、新製品拡販、中国からのジェネリック製品攻勢、エタノール市況下落、バイオディーゼル混合率上昇、米中貿易摩擦の不透明な終焉、大手メーカーの合併、長期化するアルゼンチン経済の後退、ニッチ市場の開拓、有望な海水淡水化事業や炭素繊維事業などが挙げられた。

副題の「成長への期待、変化への対応」では、年金・税制改革の動向、アルゼンチンの大統領選の行方、農薬審査の時短、公共事業の発注遅延、広告表現の規制緩和、ANVISAの効率化、CSR活動(企業の社会的責任)の取組などが挙がった。

参加者は村松副部会長(パイロットペン)、羽田副部会長(日本曹達)、田中副部会長(三井ケミカル)、作道氏(INABATA BRASIL)、平松氏(久光製薬)、塚本氏(ナガセ)、板屋氏(ハリマ)、高島氏(三菱コーポレーション)、菊池氏(高砂香料)、佐々木氏(三井化学)、設楽氏(NISSAN CHEMICAL)、尾崎氏(K-I Chemical)、本間氏(丸紅)、大谷氏(東レ)、南村氏(東洋紡)、新井氏(NICHINO DO BRASIL)、上田領事(サンパウロ総領事館)、平田事務局長、大角編集担当

左から田中副部会長(三井ケミカル)/村松副部会長(パイロットペン)/羽田副部会長(日本曹達)

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

回章 CIR-092/19   (「政府提言書1stドラフト」)について意見・コメント

                              CIR-092/19
                              2019年8月5日
課税・通関WG
メンバー各位
                              政策対話委員会
                              課税・通関WG
                              グループ長 吉田幸司

平素より会議所および政策対話委員会およびワーキンググループ活動に多大なるご協力を賜り御礼申し上げます。

さて、先週金曜日、ワーキンググループ会合を開催し、提言内容ドラフト及びアンケート結果を配布し、WG内でコメントを確認させていただきました。

つきましては、現在9月で調整中の連邦歳入庁への訪問などの場で本資料を活用するべく、
まずは来る8月16日に開催される当所常任理事会にて当該アンケート調査の回答結果についてご報告いたしたく存じますことから、
添付資料(「政府提言書1stドラフト」)について意見・コメントがございましたら
8月9日(金)までに商工会議所事務局(secretaria@camaradojapao.org.br)へご連絡いただければ幸いです。

引続き何卒よろしくお願い申し上げます。

ブラジル日本商工会議所 事務局