トランプ大統領はブラジルとのFTA協定締結を熱望

昨日ドナルド・トランプ大統領は、米国はブラジルとの二国間貿易協定締結を目指して交渉を開始するとマルコス・トロイジョ経済省通商国際問題特別局長もブラジル側も熱意をもって交渉に応じると説明している。

6月末にメルコスールとヨーロッパ連合(EU)のFTA交渉が政治合意に達したが、ブラジルと米国との二国間貿易協定締結には障害の可能性に繋がるメルコスールを通したFTA協定締結は避けられないとトロイジョ経済省通商国際問題特別局長は説明している。

トランプ大統領は「米国に高関税を課しているものの、ブラジルは偉大な貿易パートナーであり、両国の関係は非常に良好」と強調している一方で、31日にボルソナロ大統領並びにゲーデス経済相と会談するウイルベール・ロス商務長官は、二国間FTA交渉は簡単ではないとコメントしている。

20年近くにわたる交渉を経て、メルコスールとEUが6月末に自由貿易協定(FTA)締結の政治合意に達したが、米国とヨーロッパ連合(EU)との間では、植物検疫制度以外にも医薬品分野並びに化学品分野、自動車分野、食品分野での制度の不一致が存在するとロス商務長官は説明している。

マウリシオ・マクリ大統領率いるアルゼンチン現政権にとって、今回のEUとの自由貿易協定(FTA)の政治合意は、10月27日に行われる大統領選挙に追い風となり、今月初めには米国との自由貿易協定(FTA)締結歓迎を表明していた。

トランプ大統領は昨年3月に、通商拡大法第232条に基づいて鉄鋼製品とアルミニウム製品の輸入に高関税をかけることを決定、米国に輸入される鉄鋼製品に25%、アルミニウム製品に10%の関税措置を発動してブラジルも8.0%の輸入関税をかけられていた。

2018年ブラジルの米国への資本財輸出は287億ドル、2017年のサービス財輸出は160億ドル、昨年の米国からブラジルへの輸出は290億ドルで世界10指に入っているとアメリカ商工会議所は説明している。

今年上半期のブラジルと米国の貿易収支は、ブラジルの9億1,920万ドルの黒字を計上、昨年の米国向け輸出の64%は完成品であり、特に航空機、鉄鋼製品、エンジン、エタノールなどが占めていた。

全国工業連合会(CNI)では、ブラジルの工業製品を輸入する米国との自由貿易交渉はブラジルの製造業企業にとって飛躍のチャンスと歓迎、また全国農業連合会(CNA)国際関係担当のリジア・ヅットラ氏は、米国はブラジルの農畜産部門にとって3位のマーケットであり、自由貿易協定締結で更に重要なパートナーになると歓迎している。

ゲーデス経済相と会談するウイルベール・ロス商務長官とは長年の親友であり、ヨーロッパ連合とのFTA協定に関係なく、デジタル課税、知的財産権、セーフガード、貿易手続きの簡素化などで二国間FTA交渉を進めることが可能と予想されている。(2019年7月31日付けエスタード紙)

ソフトバンクはBanco Inter社の8%の株を7億6,000万レアルで購入

中南米のスタートアップ企業に果敢に投資を行っているソフトバンクグループは、建設会社MRV社を所有するメニン(Menin)一族のBanco Inter社の8%の株式取得に7億6,000万レアルを投資、ブラジルでのフィンテック企業への投資を加速させる。

先週米国の投資ファンドTCV社は、ブラジルフィンテック企業「Nubank(ヌーバンク)」に4億ドル(15億レアル相当)に投資したが、ソフトバンクも中南米域内のフィンテック企業に積極的に投資を行っている。

Banco Inter社は普通株と優先株を組み合わせた3,100万ユニットを1ユニット当たり39.99レアルで売却して総額12億4,000万レアルを調達、昨日のソフトバンクグループによる投資発表で同社の株価は16.0%高騰している。

Banco Inter社は昨年4月に新規株式公開(IPO)、過去212カ月間の同社の株価は447%上昇、今年7か月間でも144%上昇、新規株式公開(IPO)の主幹事銀行は、Bradesco BBI並びに Goldman Sachs、 Banco BTG Pactual、 JPMorgan Chase 、Banco Santander 、連邦貯蓄金庫となっている。

ソフトバンクがブラジルのフィンテック分野に投資するのはこれが初めてではなく、今月ブラジルのクレジタス・ソルーソンエス・フィナンセイラスへ2億3,100万ドルを投資している。

ソフトバンクは、コロンビアのボゴタに本社を置くスタートアップ企業のラピ社(Rappi)に10億ドルの投資、またソフトバンクは既に配送アプリLoggi社に1億5,000万ドルの出資。ラピ社は2015年の創業以来世界各国の投資ファンドから総額14億ドルの投資を受けて急成長している。

ソフトバンク社は、今年3月上旬に総額50億ドルに達するラテンアメリカ地域攻略する最先端テクノロジー向け投資ファンドを設立、ラピ社は2015年にスマートフォンのGPS機能を活用した買物代行サービスを開始、購入できるモノやサービスとしては、レストランの料理、スーパーマーケットや薬局などの商品配送事業や公共料金の支払い、ラテンアメリカ地域の大都市での電動スクーターのシェアリングサービスなど幅広い事業を展開して急成長している。

Nubankは、2018年10月に中国資本テンセント社から1億8,000万ドルを調達、同社の時価総額は評価額は40億ドルに達し、ブラジルで最も有名なユニコーン企業の同社の出資元には、セコイア・キャピタルやKaszek Ventures、Tiger Global Managementが名を連ねている。

またソフトバンク社は、ブラジルのフィットネス新興企業Gympass社に3億ドルを投資したが、法人向け企業に対してフィットネスNetflixとして勧誘している。ソフトバンク社は今年6月にNubankへの出資を試みていたにも拘らず、合意に至らなかった。(2019年7月31日付けエスタード紙)

部会長シンポ発表資料作成で機械金属部会開催

機械金属部会(山田 佳宏部会長)は、2019年下期の部会長シンポジウムの発表資料作成のため2019年7月31日午後3時から5時まで19人が参加して開催、今年下半期の業種別部会長シンポジウムは、主題:「2019年上期の回顧と下期の展望」、副題: 「成長への期待、変化への対応」、参加者が自社の回顧と展望、副題について発表した。

2019年上期の回顧では、1月のヴァーレ社のダム決壊事故による鉄鉱石価格の上昇並びに鉄鋼製品価格の下落、アルゼンチン為替危機による自動車輸出減少の影響による在庫調整並びに集団休暇、人件費などのブラジルコスト、米中貿易摩擦、低調なインフラ投資、オーストラリアのサイクロン発生、低い設備稼働率などが話題となった。

今年下期の展望では、進展期待の一連の構造改革、製鉄所設備のメンテナンス、低調なバイオマス電力、労働コストの上昇、客先支払い遅延、アルゼンチンのシェールガス投資、ペルー・チリのマイニング投資継続、原価低減項目の洗出し、エンジニア育成、年金改革による景気浮上期待などが挙げられた。

副題の「成長への期待、変化への対応」では、脆弱なインフラ、環境認可、人材育成、ROTA2030、コンプライアンス課題、EU・メルコスールFTA協定締結による欧州メーカーの市場参入拡大、バルガス政権以来の構造改革への期待、高い失業率と低い生産性、身の丈経営、リードタイム短縮、差別化ソルーションでの新規顧客開拓、代替燃料市場への参入などが話題となった。

参加者は山田 部会長(三菱重工)、加藤 副部会長(メタルワン)、力石氏(AZBIL)、吉川氏(Yokogawa)、三好氏(南米日立)、小野澤氏(エバラ)、牧野氏(CBC)、木内氏(出光)、北原氏(ヤンマー)、中野氏(NTN)、永田氏(MMC)、加治氏(出光)、櫛渕氏(Mineral Brasil)、秋山氏(Nippon Steel)、平野氏(TADANO BRASIL)、岡田氏(コマツ)、中野副領事(サンパウロ総領事館)、平田事務局長、大角編集担当

左から加藤 副部会長(メタルワン)/山田 部会長(三菱重工)

回章 CIR-086/19   2019年度金融部会懇談会開催のお知らせ

                           CIR-086/19
                           2019年7月29日
金融部会 部会員 各位
                           ブラジル日本商工会議所
                           金融部会長 津田 双羅

        2019年度金融部会懇談会開催のお知らせ
拝啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申上げます。

2019年度上期業種別部会長シンポジウム開催を控えまして、2019年度第金融部会懇談会を、下記の通り開催させて頂きたいと存じます。

ご出欠の可否につきまして8月9日(金曜日)までに事務局まで(secretaria@camaradojapao.org.br カリーナ宛)ご回答頂きたくお願い申し上げます。

                     < 記 >
2019年度金融部会 懇談会

日時:2019年8月14日(水曜日)10時~11時

場所:ブラジル日本商工会議所 大会議室(Av. Paulista 475, 13階 São Paulo/SP)

<議題>
1.業種別部会長シンポジウムの発表内容
テーマ:「2019年上期の回顧と下期の展望」
副題:『内外の環境変化にどう対応するか』
2.その他の事項  

 

回章 CIR-085/19   運輸サービス部会開催のご案内

                           CIR-085/19
                           2019年7月29日
 
運輸サービス部会会員各位
                           ブラジル日本商工会議所
                           運輸サービス部会長 宮川 俊介
           運輸サービス部会開催のご案内

いつも運輸サービス部会活動にご協力を賜り誠に有難う御座います。
 本年度上期業種別部会長シンポジュームが2019年8月22日(木)に開催されます。
 
議題: シンポテーマ「2018 年の回顧と2019年の展望」
副題: 『内外の環境変化にどう対応するか』
歴史的な右派政権の誕生から7カ月。ボウソナロ政権は財政再建の前提となる社会保障制度改革法案の国会審議が遅れ、主要輸出市場であるアルゼンチンも10月の大統領選を控え経済が低迷している。
しかし6月には20年越しのEUメルコスールFTA交渉が合意。7月には下院での社会保障改革法案通過にメドが立ち、株価や現地通貨レアルは上昇に転じている。
ボウソナロ政権をめぐる政権内外の動揺は継続しつつも、南米メルコスール市場を牽引するブラジルでの経済改革に向けた動きは着実に進んでいると言えそうだ。一方でブラジル経済浮揚には社会保障制度改革法案の成立だけでな
く、さらなる改革、民営化具体化、成長戦略が求められている。

1.発表資料作成の為、下記の日程にて運輸サービス部会を開催致しますので ご参加の程宜しく御願い申し上げます。
 
開催日時: 8月12日(月) 9:00-11:00
シンポジューム資料作成
場所 : ブラジル商工会議所大会議室
(Av.Paulista,475 13o.and.- Sao Paulo/SP)
 
8月9日(金)までに当日プレゼン資料の原稿を事務局カリーナまで( secretaria@camaradojapao.org.br )送付願います。
多くの皆様のご意見と参加をお待ちしております。
 
参加人数把握の為、8月12日の会議参加の可否を8月9日までに事務局カリーナあて( secretaria@camaradojapao.org.br )連絡願います。

 

第22 回日伯経済合同委員会開催

 第22回日伯経済合同委員会は、2019年7月29日から30日の2日間にわたってサンパウロ州工業連盟(FIESP)大講堂に419人が参加して開催された。

 初日29日は午前9時半から開催され、開会セッションではホブソン・ブラガ・デ・アンドラーデ(Robson Braga de Andrade) ブラジル全国工業連盟(CNI)会長、エドアルド・デ・サーレス・バルトロメオ(Eduardo de Salles Bartolomeo) Vale会長、飯島 彰己 経団連日本ブラジル経済委員長、在ブラジル日本国大使館の山田彰大使、パウロ・スカフェ(Paulo Skaf)サンパウロ州工業連盟(FIESP)の順で挨拶がなされた。

第22回日伯経済合同委員会プログラム

(Foto:Rubens Ito/CCIJB)

 特別セッション1では「日伯関係における今後の経済展望」について、モデレーターを林 信光 国際協力銀行代表取締役副総裁が務め、初めにトマス・ザノット(Thomaz Zanotto)FIESP国際担当理事、讃井慎一ブラジルみずほ銀行社長、レイナルド・サルガード (Reinaldo Salgado)アジア・太平洋・ロシア二国間交渉担当長官、服部 茂 全日空上席執行役員、レナート・ダ・フォンセッカ(Renato da Fonseca)ブラジル全国工業連盟(CNI)競争力調査担当部長の順で発表した。

 特別セッション2では、「日メルコスールEPA」について、モデレーターの大前孝雄 経団連日本ブラジル経済委員会企画部会長は、日伯経済界が高い関心を持つ日・メルコスールEPAについて議論したい。160か国以上が加盟する世界貿易機関(WTO)は自由貿易体制の下で発展してきたが、米中貿易摩擦の保護主義の台頭で世界経済の不安定要因となっている今は自由貿易の再構築に迫られ、WTOの機能不全が指摘されている中でEPA推進が求めら、日本はリーダーシップを発揮する必要がある。2018年12月のTPP、2019年のヨーロッパ連合とのEPA発効、18か国とのEPA締結で日本の貿易額は全体の36%に達している。また交渉中の東アジア地域包括的経済連携(RCEP) 、コロンビア、トルコ、米国との二国間協定、アジア太平洋経済協力(APEC)での経済統合などメガFTAに重点が移りつつある。日本と中南米のEPA交渉の課題として、メキシコ並びにペルー、チリとしかEPAを結んでいないことがあり、メルコスールは2億5000万人、2兆4000億ドル規模のポテンシャルを擁し、日本企業はメルコスール域内に1000社以上進出しており、最後のメガEPA地域であるものの、メルコスール4カ国の積極的な姿勢に対して日本は未だ明確な姿勢を表明していない。昨年の日亜経済合同委員会ではアルゼンチンと共同声明を発表。2018年10月には経団連、日商連名による「日メルコスールEPA早期交渉開始」を求める要望書を官房長官へ提出、また今年4月の第9回日伯賢人会議での提言内容を安倍晋三内閣総理大臣に報告、7月にはブラジル日系4団体連名の日メルコスールEPAの嘆願書が山田大使に手渡されるなどの動きが続けられている。本日は日メルコスールEPA推進のCNI、経団連共同声明の採択をしたいと説明した。

大前 経団連企画部会長 (Foto: Rubens Ito/CCIJB)

 同セッションでは、初めにカルロス・エドアルド・アビジャオジ(Carlos Eduardo Abijaodi)CNI工業開発担当理事、村田俊典商工会議所会頭、レオナルド・ジニス・ラウジ(Leonardo Diniz Lahud)経済省貿易局長代理、岡田有祐 日本たばこ産業国際担当部長、ペドロ・ギマランエス・フェルナンデス(Pedro Guimaraes Fernandes)ABICS(ブラジルインスタントコーヒー協会)会長、SINCS(ブラジルインスタントコーヒー組合)会長、Cacique取締役、峯村 直志ジェトロ企画部海外地域戦略班南米担当主幹の順で発表が行われた。

 ブラジル日本商工会議所の村田俊典会頭はプレゼンの中で、「日本・メルコスールEPA」の実現に向けて会議所が取り組んでいる活動について説明。ブラジル日本商工会議所は、ブラジルで活動する日本企業、地場企業を会員とし、会員の経済活動に関する①情報提供、②人的交流、③両国政府への提言等を活動目的とする公益社団法人。1940年に設立され、第二次世界大戦の空白期間を経て、1954年に現在のブラジル日本商工会議所に改名、現在の会員企業数は350社、内215社が日本からの進出企業で、業種別では、製造業が7割、非製造業が3割となっている。

 これまでもブラジルコストの改善やブラジル産業の国際競争力強化に向けた提案をしてきたが、現在、当会議所で注力しているのは、本日のテーマである「日本・メルコスールEPA」の実現に向けた取組み。会議所内に3つの委員会の混成チームによる「EPAタスクフォース」を設置、30名のメンバーが域内のアンケート調査を実施、啓蒙活動を目的とした会員企業を対象とした勉強会を重ねるなど精力的な活動を行っている。昨年は会議所関係者の知識と理解の向上のために、計8回のセミナーを開催し、日本の有識者のみならず、ブラジルのFIESPのザノット国際担当理事にもレクチャーをお願いした。また、ブラジルのみならずアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの日系商工会議所会員および進出日系企業を対象とした「EPAに関する意識調査」も実施した。

 日本の通商協定はEPAと一般的に称されているが、貿易の自由化に加えて、投資、知的財産の保護、ビジネス環境整備、中小企業など様々な分野での協力の要素等を含む,幅広い経済関係の強化を目的とする協定となっている。会議所のEPAタスクフォースの勉強会では日墨EPAの事例を勉強。メキシコの場合、ビジネス環境整備の項目が進出企業の問題解決を促す機能的な役割を担っていることが分かった。

 会議所としては、貿易の自由化に留まらず、日本とブラジルの間でヒト・モノ・カネの往来を増やすビジネスインフラとして機能するEPAを期待しており、昨今、ブラジルの産業競争力、生産性の問題が話題に挙がるが、生産性を向上させるためには人材や設備に投資する必要がある。多くの日本企業がEPAの枠組みを通じて、ブラジルをより身近に、より魅力的な市場として認知し、ブラジルの経済・産業発展により深い貢献ができることを会議所として目指している。

 6月末にボルソナーロ大統領が訪日し、大阪でG20が開催されたタイミングで非常に喜ばしいニュースとして、20年来交渉を続けてきたEUとメルコスールがFTAの最終合意に至った。世界的に保護主義が台頭する中で、グローバライゼーションの重要性に一石を投じた素晴らしい成果で、メルコスールはEUとのヒト・モノ・カネの往来が活発となり保護主義政策から自由主義に移行する大きな第一歩となり、多くの投資を迎え入れる契機になると期待できる。

 一方で、EUに続いて、韓国やカナダとの交渉が先行する中、未だスタートラインにも立てていない日系進出企業にとり、焦りがあるのも事実。昨年実施したEPAの意識調査でも、「欧州や韓国からの劣後を避けたい」「同じ条件での競争ができるようにすべき」といった声が多く寄せられている。今回こうしてEUが先行したことにより、日本企業の劣後は今後本格化して、日本ブランドの喪失やハイエンド市場を席巻される、との危機感は進出企業を中心に、日増しに強くなっている。特に部品メーカーも含め、裾野の広い自動車産業にとり状況は深刻で、長年地道にブラジルで取り組んできたビジネスに甚大な影響が出ることを懸念している。

 日系進出企業もこの数年、EPAの締結に向け熱心に活動を続けてきており、商工会議所としても経団連や日本商工会議所と連携して、EPAの旗振りを果たしてきたとの自負が有る。昨年ブエノスアイレスで開催されたG20では、その機会を十分に活かすことができなかったが、今年11月にはチリで開催されるAPEC首脳会合に安倍総理が参加を予定、安倍総理の中南米再訪を契機に、悲願である日本メルコスールEPAが交渉のスタートラインに立てるよう、我々商工会としては日本政府に対し粘り強く働きかけていく。

 商工会議所の会員規模数は350社程度であるが、いざ日本メルコスールEPAが成立すれば、ヒト・モノ・カネの往来の活性化により、会員数も飛躍的に伸びることが期待できる。メキシコ商工会議所のEPA発効時前の2004年にはブラジルと同程度の会員企業数であったが、現在では4倍近い約1200社が登録されるという目覚ましい前例があり、我々はこのような成功を強く望んでいる。日本・メルコスールEPAの実現に向けて、可能な限り早期に両政府に交渉を開始して頂くことを改めてお願いするとしてプレゼンを締めくくった。

村田俊典 会議所会頭(Foto: Rubens Ito/CCIJB)

Pdf村田俊典 日本ブラジル商工会議所会頭発表資料

 質疑応答では、内山田竹志トヨタ自動車取締役会長が、日本・メルコスール EPA セッションの  日本・ブラジル両国代表の パネリストの 方々の貴重なプレゼンに感謝の意を述べる一方で、コメント案として、自動車産業 の立場で日本・メルコスール EPA 締結時 の メリット や重要性 について、EPA 締結の 主なメリット は、完成車 に賦課されている 35% の輸入関税 が削減 され、環境車や高級車等、 現地生産車のラインナップを補完 する形で、 お客様の幅広いニーズ に答えることが可能となる。自動車部品に関しては 、 現地調達が困難な電子部品、モーター、ユニット部品等に対して輸入関税が18% 、 製造設備・型 等にも 最大 18 %が賦課されているため、関税削減に伴い、現地生産車の競争力強化 に繋げる ことが期待できる 。またEPA の効果は、輸入関税削減だけではなく 輸入手続きの迅速化 等、貿易・投資のルール作り や ビジネス環境の整備 が推進され、 貿易・投資の更なる拡大 にも期待できる。直近では、グローバルに 保護主義の動きがある中、ボルソナロ 大統領のリーダーシップにより、EU との FTA の政治合意は、自由貿易推進の流れを形成 するも のであり、グローバルに事業展開する企業にとって 喜ばしい。しかし日本の自動車メーカーとしては、交渉中の 韓国 、カナダ 、更に今回の EUとの比較で、メルコスール市場における 競争環境が劣後 し、長年地道に続けてきたビジネスに悪影響 がでることを大変懸念 している、と説明。日本とメルコスールのEPAを推進する必要性・重要性はこれまで以上に高まっている。 私がメンバ ー を務める日伯賢人会議は長年にわたって日本政府には引き続き 粘り強く働きかけていくが 、 ブラジル政府にも是非推進をお願いしたいと強調した。

また村田 会議所会頭からは、日本からの輸入車が関税面で不利な競争条件に晒されることや、自動車部品についてもそれぞれ自国からの輸入部品調達へ依存が高いことから日系メーカーは調達コスト上でも不利な条件を強いられることが強く懸念されており、会議所自動車部会でも活発な議論がなされていることに触れた。また前述の日系4団体連名の嘆願書については、EUとメルコスールが20年以上の交渉を経てEPA締結合意に至ったことを受け、ブラジルをはじめとするメルコスール地域の本格的な経済開放によるヒト・モノ・カネの往来活性化が強く期待されていることの表れとして、会議所も同様な期待感を持っていることを述べた。

 プレゼン後、大前モデレーターは同セッションの総括として、日・メルコスールEPA締結に対する非常に大きな期待を感じ、総括の1点目は両国経済界の大きなポテンシャルを擁する質の高いEPA締結が重要であり、日・メルコスールEPAの早期交渉開始の重要性を再確認。2点目は日・メルコスールEPAを前向きに進める方針が示され、民間サイドの日伯産業界から日本たばこ産業、ABICから締結によるビジネス効果の説明もあった。また包括的で質の高いEPA締結は双方にとって貿易の活性化や経済連携強化に多大な効果をもたらした日本・メキシコFTA協定の効果も紹介された、と締めくくった。

 大前氏は会場の参加者419名にEPA 支持の拍手による賛否を諮り、全会一致で採択の承認を得た。それを受けて経団連 飯島日伯経済委員長、エドアルド・バルトロメオ 日伯経済委員長が日メルコスールEPAに向けた共同報告書に署名、レオナルド経済省貿易局長代理へ手交し、記念写真撮影を行った。

日メルコスールEPAに向けた共同声明:http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/061.html(日本語)

http://www.keidanren.or.jp/en/policy/2019/061.html(English)

 

(Fotos: Rubens Ito/ CCIJB)

 特別セッション3では、「アグロビジネスとロジスティクス・インフラストラクチャー」について、モデレーターは元農務大臣のロベルト・ロドリゲスGVAgro、ジェツリオ・ヴァルガス財団コーディネーター、早田元哉ノバアグリ会長(豊田通商)、エドアルド・サンパイオ(Eduardo Sampaio) ブラジル農務省農業政策局長、佐藤真吾ブラジル三井物産社長、マルコス・ジャンキ(Marcos Jank)INSPER大学教授の順で発表した。

 翌日30日の特別セッション4の「2030年に向けた日伯コーペレーション」では、カルロス・マリアーニ・ビッテンクール FIRJAN副会長(日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議ブラジル側座長)が第9回日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議の報告、モデレーターは元開発商工省大臣のルイス・フェルナンド・フルランBRF経営審議会メンバーが務め、高宮勝也三菱電機シニアアドバイザー、ウイリアム・フランコ(William Franco)ナツーラ社Industria4.0担当部長、プリニオ・ナスタリ(Plinio Nastari)DATAGRO社長、内山田竹志トヨタ自動車取締役会長、久保田伸彦IHI資源・エネルギー・環境事業領域事業開発部理事/部長、パウロ・アルヴィン(Paulo Alvim)科学技術革新通信省(MCTIC)イノベーション企画局長の順で発表した。フルラン氏による総括後、エドアルド・デ・サーレス・バルトロメオ(Eduardo de Salles Bartolomeo) Vale会長、飯島 彰己 経団連日本ブラジル経済委員長による閉会の挨拶を経て閉会となった。

ブラジル側発表者資料など:https://www.portaldaindustria.com.br/cni/eventos/22a-reuniao-plenaria-do-cebraj-conselho-empresarial-brasil-japao/

生活産業部会では部会長シンポ発表資料作成で意見交換

建設不動産部会並びに繊維部会統合の生活産業部会(今川 尚彦部会長)は、2019年7月26日午後4時から5時まで10人が参加して開催、8月22日開催の業種別部会長シンポジウム発表資料作成では、参加者が自社の上期の回顧と下期の展望について発表した。

上期の回顧では、大統領選挙後の期待ほど経済回復の進展なし、小売市場は継続して停滞、高止まりする失業率、アグリビジネスは天候不順で低迷、顧客の在庫過多傾向、レアル安の為替に伴うコストアップ、石油価格の高騰、米中貿易摩擦問題、ブレグジット問題、新規案件受注、高土間英するガス価格、アルゼンチンの景気後退の景況、停滞する不動産業界、設備投資意欲の低下、労務費上昇などが挙げられた。

下期の展望では、採算確保のための施行の効率化、バイオマス案件への期待、小売販売の回復期待、自動車生産台数回復への期待、天候次第のアグリビジネス、年金改革案の国会承認、税制改革の進展、金利の引下などが挙げられた。

副題の「内外の環境変化にどう対応するか」では、依然として繊維業界は底を低迷、顕著な川上の在庫増加、高付加価値商品開発、為替変動で不安定な輸入品コスト、地場の材料調達や内製化の検討、世界規模の気候変動の影響、駐在員の減少傾向、アパートの賃貸料金上昇傾向、付加価値サービスの提供、ガス配給会社の民営化によるガス価格の変動が話題となった。鈴木ワグネル副部会長  (HOSS建設)に替わって大滝守副部会長(HOSS建設)が就任した。

参加者は今川部会長(戸田建設)、大滝副部会長(ホス建設)、中村氏(ECOGEN)、森口氏(スターツ)、南村氏(東洋紡)、力石氏(AZBIL)、上岡氏(戸田建設)、中野領事(サンパウロ総領事館)、商工会議所から平田事務局長、大角編集担当

今川 尚彦部会長

回章 CIR-084/19   ICTセミナー開催のご案内

                          CIR-084/19
                          2019年7月26日
会員各位
                          ブラジル日本商工会議所
                          電機・情報通信部会長 髙田正純
            ICTセミナー開催のご案内
 
拝啓
時下益々ご清栄のこととお慶び申上げます。
 
この度、経営者様及び情報管理者様向けのICTセミナーを下記の通り開催いたします。
 
会社経営において重要性を増すICT、その中でも経営者が押さえるべきセキュリティやクラウドといった切り口で、ビジネス上の課題と対策についてご紹介いたします。
また、今後の生活やビジネスに大きな影響を及ぼすであろう、5G通信や最新技術についてもわかりやすくご説明いたします。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。
 
                    ‐ 記 ‐
開催日時:
2019年8月15日(木曜日) 開始 15時 終了18時予定(途中コーヒーブレーク含む)
 
会場:  
ブラジル日本商工会議所 大会議室 (Av. Paulista 475、13階 São Paulo/SP)
 
講演テーマ及び講師:

①ゼロトラスト時代のアカウンタビリティ
~サイバーリスクへの対策強化に向けて~ (質疑込み50分)
 
講師:竹内 文孝(たけうち ふみたか)
NTTコミュニケーションズ株式会社 経営企画部
マネージドセキュリティサービス推進室 室長
セキュリティ・エバンジェリスト

②IT資産集約型からクラウド活用への現状とセキュリティ課題(質疑込み50分)

講師:藤生 昌也(ふじう まさや)
パロアルトネットワークス株式会社
シニアビジネスデベロップメントコンサルタント

③ドコモの5GコンセプトとR&Dの取り組み (質疑込み50分)

講師:吉澤 俊明(よしざわ としあき)
NTT DOCOMO  BRASIL 取締役社長

*使用言語は日本語のみとなります。
 
参加費:   無料
 
申込要領: 8月9日(金)迄にリンクhttp://camaradojapao.org.br/evento/eventos/ictセミナー20190815 より
必要事項をローマ字で記入しご連絡願います。

                                    以上

 

 

全日空米州室長の服部茂上級執行役員一行が訪問

全日本空輸株式会社米州室長兼ニューヨーク支店長の服部茂上級執行役員並びに同政府専用機オペレーション室の北原豊米州代表、同米州室マーケット・デベロップメントの加茂拓也ディレクター代理、ブラジル全日空のエドアルド・サカモト代表が2019年7月26日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長と2017年11月施行の労働改正法案の影響、今後の年金改革や税制改革、政治改革の影響、連邦政府による日本を含む4カ国向け観光や短期商用査証(ビザ)免除、今後の日伯経済関係強化など多岐に亘って意見交換した。

左から全日本空輸株式会社政府専用機オペレーション室の北原豊米州代表/全日本空輸株式会社米州室長兼ニューヨーク支店長の服部茂上級執行役員/平田藤義事務局長/ブラジル全日空のエドアルド・サカモト代表/同米州室マーケット・デベロップメントの加茂拓也ディレクター代理

 

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

回章 CIR-083/19   第53回Camaraゴルフ会開催について

                          CIR-083/19
                          2019年7月26日
会議所会員および会員企業社員の皆様へ
                          ブラジル日本商工会議所
                          相互啓発委員長 篠崎 幸男

          第53回Camaraゴルフ会開催について
 
第53回Camaraゴルフ会を下記の通り開催いたします。初参加、女性の方も大歓迎ですので奮ってご参加下さい。
 
                  <記>

1.開催日時 : 2019年8月31日(土) 7時15分スタート(第1組目)
 
2.場所 : PLゴルフクラブ LILY-PANSY(白ティー)
 
3.参加費 : R$170
*会費には表彰式での飲食代・賞品代が含まれます。プレー費・キャディー費は各自負担となります。
 
4.参加対象者 : 会議所会員、会員企業社員およびその家族
 
5.参加申込要領 : お名前、連絡先(個人のメールアドレス)、ハンディキャップを記載してお申し込みください。
E-MAIL:secretaria@camaradojapao.org.br チサト宛て
 
<1>下記内容を必ずご記入の上、会議所メールへ送付願います。
お名前              
組み合わせ表送り先(E-MAILアドレス)          
ハンディキャップ(HC)                
※LILY-PANSY(白ティー)のHCでお申し込みをお願いします。
※オフィシャルHCがない場合は、自己申告でお申し込みをお願いします。
 
<2>参加費を銀行振込でのお支払いの場合、E-MAIL: secretaria@camaradojapao.org.br 又はファックス:(11)3284-0932 にて振り込み証明書をお送り願います。
 
(口座番号)
Banco Bradesco
Agência: 0895
C.c: 7966-9
CNPJ : 61.009.031/0001-06
Câmara de Comércio e Indústria Japonesa do Brasil

 
6.申込締切日:8月19日(月)。但し定員(56名程度)になり次第締め切らせていただきます。尚、8月19日(月)より後に申込みを取消される場合、参加費は返金できませんので予めご了承願います。

注意:参加費の返金について
1. 8月19日までのキャンセル―ご参加のキャンセルの際、お支払されている方には参加費の返金が行われます。
2. 8月19日より後のキャンセル―参加費支払済みの場合は、参加費の返金は行われません。もしキャンセルの際に、参加費のお支払が未納の場合には、参加費をお支払いただきますのでよろしくお願い申し上げます。

                                    以上