EUとメルコスールFTA協定締結後の輸入急増時に臨時関税措置適用

ヨーロッパ連合(EU)とメルコスールは自由貿易協定締結で合意したが、双方の農畜産分野や製造業部門の輸入急増に対して、セーフガード措置や関税割当てに相当する臨時関税措置が適用できる条項を設けている。

この臨時関税措置はFTA協定発効後18年間有効であり、臨時関税措置の有効期間は2年間、しかしこの期間中に問題解決できない場合更に2年間の延長が可能となっている。

ヨーロッパ連合がメルコスールからの特定製品の輸入急増による臨時関税措置は域内加盟28カ国すべてに適用されるが、メルコスールではブラジル並びにアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイがそれぞれ独自で臨時関税措置を導入できる。

メルコスールはヨーロッパ連合からの輸入品の91%はFTA協定発効後15年間で撤廃、製品別に5段階に分けて撤廃、FTA協定発効と同時に撤廃、4年後、7年後、10年後、自動車並びに自動車部品、医薬品などは15年後となっている。

一方ヨーロッパ連合はメルコスールからの輸入品の92%はFTA協定発効後10年間で撤廃、製品別に4段階に分けて撤廃、FTA協定発効と同時に撤廃、4年後、7年後、10年後に撤廃される。

ヨーロッパ連合のフランスの農村連合並びにドイツの金属労連はメルコスールとのFTA交渉締結の足枷となっていた。またブラジルにとってヨーロッパ連合への輸出の2/3を占める❝Draw-back❞制度が継続されるために、マナウスフリーゾーンの維持が可能となる。

またブラジルにとってジェネリック医薬品に関するパテント期間及び試験データー独占権の条項維持は有利に作用する。ヨーロッパ連合は2017年の公共投資規模が780億ドル相当であったブラジル国内の公共入札に参加できる一方で、ブラジル企業もヨーロッパ連合域内での公共入札に参加が可能となる。

ヨーロッパ連合からの自動車輸入は15年かけて輸入関税が撤廃されるにも関わらず、特例としてメルコスール向けには、年間5万台の自動車が現在の輸入関税35%から半額の17.5%の輸入関税で輸入が可能、ブラジル向けの割当は3万2000台となっている。

FTA協定発効後の7年間の輸入関税は35%、10年後には17.5%、15年後の輸入関税は完全に撤廃される一方で、自動車部品はFTA協定発効後10年で撤廃される。(2019年7月2日付けエスタード紙)

今年上半期の貿易収支は前年同期比9.0%減少

経済省では、今年上半期は国内経済停滞で輸入が予想下回っていたが、下半期は鉄鉱石価格の上昇や中国向け牛肉輸出増加などの要因で、2019年の貿易収支黒字は前回予想の500億ドルから567億ドルに上方修正、輸入総額は2.0%増加、輸入総額は1.9%増加をそれぞれ予想している。

経済省貿易担当のルッカス・フェラス長官は、今年第2四半期の国内経済はグローバル経済の停滞を反映して国内経済の回復が遅れていると指摘、6月の貿易収支黒字は、前年同月比4.2%減少の50億1,900万ドルに留まっている。

今年6月の輸出総額は前年同月比0.83%減少の180億5,000万ドル、輸入総額は0.51%増加の130億3,000万ドル、今年上半期の輸出総額は1.8%減少の1,109億ドル、輸入総額は0.8%増加の837億8,000万ドル、貿易収支は前年同期比8.9%減少の271億3,000万ドルとなっている。

今年上半期の輸出総額は、鉄鉱石の国際コモディティ価格の上昇並びに中国向け食肉需要増加で、予想を下回る落込みとブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は説明している。

ブラジル貿易会(AEB)のカストロ会長は、今年の輸出総額はアルゼンチンの為替危機による自動車輸出減少に伴って前年比8.6%減少、輸入総額は予想を上回る国内経済の停滞で2.8%増加をそれぞれ予想している。

今年上半期の第一次産品輸出は前年同期比4.8%増加の570億9,000万ドル、半完成品は0.4%増加の150億6,000万ドル、完成品は4.7%減少の387億5,000万ドルに留まっている。

一方今年上半期の資本財輸入は5.4%増加の116億8,000万ドル、中間財は1.9%増加の501億3,000万ドル、消費財は6.4%減少の118億6,000万ドル、燃料・潤滑油は0.9%減少の100億8,000万ドルとなっている。

今年上半期の完成品輸出は、アルゼンチン向け自動車輸出が大幅に減少したために落込みを記録しているが、下半期もこの傾向は続くと予想、昨年上半期のアルゼンチン向け自動車輸出は、30億4000万ドルから今年同期は19億5,000万ドルに減少していると産業開発研究所(Iedi)エコノミストのラファエル・カグニン氏は指摘している。

今年上半期の大豆輸出は、今年の輸出予想7,200万トンの63%をすでに輸出済みとなっているが、昨年の大豆輸出は8,300万トンを記録していた。今年の鉄鉱石並びに石油の国際コモディティ価格が予想を上回っているために、農産品輸出減少を補うと予想されている。(2019年7月2日付けヴァロール紙)

Selic金利は年内に4回切下げ予想

昨日発表の中銀の最終フォーカスレポートによると、中銀の通貨政策委員会(Copom)では政策誘導金利(Selic)を9回連続で6.5%を維持しているが、今月末の通貨政策委員会での0.25%の引下げを予想している。

先週の中銀の最終フォーカスレポートによると、今年の政策誘導金利(Selic)は9月の通貨政策委員会から3回の切下げを予想していたにも関わらず、昨日のフォーカスレポートでは年内4回の切下げを予想している。

中銀はインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)を3.80%に据置いたが、今年のGDP伸び率は2.0%から0.8%と大幅な下方修正、コントロールされているインフレ指数並びに弱いGDP伸び率で、年金改革実施に関わらず、今月末からSelic金利引下げが予想されている。

中銀の最終フォーカスレポートでは、今年の広範囲消費者物価指数(IPCA)を前回予想の3.82%から3.80%に下方修正、2020年のIPCA指数は3.95%から3.91%に下方修正、今年のIPCA指数の中央目標値は4.25%、2020年は4.0%に下方修正されている。(2019年7月2日付けエスタード紙)

 

事務局便り JD-052/19   第23回文協桜まつりオープニングセレモニー案内

                        JD-052/19
                        2019年6月28日
会員各位
                        ブラジル日本商工会議所 事務局

ブラジル日本文化福祉協会(文協)より第23回文協桜まつりオープニングセレモニーへのご招待を頂きましたので転送申し上げます。

お問い合わせ: 文協事務局 (11) 3208-1755 e-mail: matsuri@bunkyo.org.br, Auroraまで。

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事務局便り JD-053/19   事務局休暇のお知らせ

                          事務局便り JD-053/19
                          2019年7月1日
会員各位
              事務局休暇のお知らせ
会員の皆様には、常日頃多大なるご支援・ご協力を賜り、心より御礼申上げます。

7月9日(火曜日)は祝日(Revolução Constitucionalista 護憲革命記念日)のため事務局が休暇となります。

また、事務局のより効率的な運営を図るため、前日の7月8日(月曜日)を休暇とさせて頂きます。

7月10日(水曜日)より通常業務に戻ります。

予めご了承の程お願い申上げますとともに、ご理解ご協力の程お願い申上げます。
                                    以上

 

 

20年間を要して漸くEUとメルコスールはFTA締結

1999年7月1日にメルコスール・EU協力枠組み協定の発効から漸く20年間を要して、ヨーロッパ連合国(EU)とメルコスールは自由貿易協定(FTA)の政治合意に達し、今後15年間で両者間の90%相当の貿易関税は撤廃され、ブラジルの輸出額は1000億ドルまで拡大する可能性がでてきている。

現在のメルコスールからEUへの輸出の僅か24%が免税の対象となっているが、今後15年間で90%が関税撤廃でブラジル並びにアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイで構成されるメルコスールの輸出増加に繋がる。

昨年のブラジルの28カ国から構成されるEU連合国への輸出総額は421億ドルであったが、関税撤廃率が90%に達する15年後には1000億ドルに達すると予想されている。

ヨーロッパ連合国(EU)とメルコスールの自由貿易協定(FTA)では、今後15年間のブラジルのGDPは1,250億ドル増加、投資総額は1130億ドルの増加に繋がると経済省では経済効果を弾いている。

EUとメルコスールのFTA締結で、ブラジルの農畜産品のオレンジジュース並びに果物、コーヒー加工品、魚類、甲殻類、植物油などの輸入関税撤廃が予定されている。

一方メルコスールのFTA締結で、ヨーロッパ連合国は自動車並びに機械・装置、化学品、医薬品などの付加価値の高い完成品の輸入関税が徐々に引き下げられる。

EUとメルコスールを合わせた人口は7億8,000万人で世界のGDPの25%を占める巨大な自由貿易市場が誕生するが、米国のドナルド・トランプ大統領による米中貿易摩擦に対して、EUではカナダ、日本、メキシコとの貿易協定を迫られていたが、メルコスールとのFTA協定にようやくこぎつけた。

2018年のブラジルからヨーロッパ連合国への輸出総額は421億ドルそのうち大豆油派生品が81億ドル、石油・天然ガス開発向けプラットフォームは76億ドル、鉄鉱石派生品68億ドル、パルプ62億ドル、原油57億ドル、コーヒー豆55億ドル、大豆47億ドル、銅鉱石派生品36億ドル、シームレスパイプなどの鉄鋼製品25億ドル、オレンジジュース22億ドルであった。

一方ヨーロッパ連合国からブラジルの輸出総額は348億ドル、そのうち家畜向けを含む医薬品は110億ドル、完成品75億ドル、自動車・トラクター部品50億ドル、工業用原材料36億ドル、ナフサ29億ドル、精密機械23億ドル、乗用車19億ドル、殺虫剤・殺蟻剤・除草剤19億ドル、ガソリン17億ドル、ベアリング・歯車17億ドルとなっている。

自由貿易協定(FTA)の主な項目として、メルコスールからヨーロッパ連合国への輸出の僅か24%が免税となっているが、今後10年間で免税比率は90%に上昇、残りの10%は徐々に関税率が引下げられる。

ブラジル企業はFTA締結で、年間1兆6,000億ドルに相当する28カ国から構成されるEU連合国の公共入札のマーケットへの参入が可能となる。連邦政府は今後15年間でブラジルの輸出は1,000億ドル、ブラジルへの投資は1,130億ドルに増加すると算盤をはじいている。

しかしEU連合国への牛肉輸出の無関税枠は9万9,000トンに制限される。またメルコスールへの自動車輸出では15年かけて輸入関税の撤廃が見込まれているために、ブラジル国内の自動車メーカーは、ブラジルコスト削減で早急な競争力強化を図る必要がある。

メルコスールとヨーロッパ連合国のGDP総額は19兆ドルで7億5,000万人の大消費市場を形成、ブラジルの輸出拡大には一大チャンスとなる一方で、EU連合国の付加価値の高い輸入品に対抗するためには、早急な年金改革や税制改革など一連の構造改革の実施をして競争力強化をしないと対抗できない。

全国工業連合会(CNI)では、FTA締結でEU連合国へのブラジルの農畜産品の輸出は100億ドル増加すると予想、また農畜産輸出額の30%に相当する鉄鋼製品並びに化学品、機械・装置輸出も予想されている。

またブラジルのEU連合国へ輸出品目の56%は工業関連製品、衣料品や化学品、航空機に対して2.5%~17.0%の輸入関税が課されているが、FTA締結で免税になる。

ルーベンス・バルボーザ元駐米大使は、今回のメルコスールとヨーロッパ連合とのFTA締結は、南米経済ブロックの自由経済締結を促進する起爆剤になると説明、過去20年間でブラジルは僅かエジプト並びにパレスティナ、イスラエルとの自由貿易協定に留まっていた。(2019年6月29日付けエスタード紙)

ペトロブラスは生産能力の50%に達する8カ所の石油製油所売却に着手

ペトロブラス石油公社は、ラヴァ・ジャット汚職問題の舞台となった石油製油所を含めた生産能力が50%に達する8カ所の石油製油所売却計画を開始、2021年までにペルナンブーコ州Rnest製油所並びにパラナ州Repar製油所、南大河州Refap製油所、バイア州Landulpho Alves製油所の売却を進める。

またアマゾナス州Reman製油所並びにセアラー州のLubnor製油所、ミナス州Regap製油所、パラナ州のSIX製油所の4カ所の石油製油所も売却計画に含まれているが、売却時期は未定となっている。

ペトロブラスのブラジル国内の石油精製所のマーケットシェアは98%と同社で独占しており、ペトロブラス傘下の製油所売却で、国内外企業の参入は石油派生品の価格低下に繋がる。

ペトロブラスはコア事業のプレソルト鉱区の石油・天然ガス事業に集中するために、国内外でのポートフォーリオ事業売却を積極的に行っており、8カ所の石油製油所の売却を進めるが、大消費地に近くて大きな収益が見込めるサンパウロ州並びにリオ州の製油所は維持する。

ペトロブラスは、日本の公正取引委員会に相当する経済防衛行政審議会(Cade)と独禁法協定にサイン後、8カ所の石油製油所を2年以内に売却するが、買収に参加できるのは昨年の売上が30億ドル以上、10億ドル以上の投資ファンド企業となっている。

アブレウ・エ・リマ製油所と呼ばれるペルナンブーコ州Rnest製油所は、ペトロブラス石油公社の汚職事件の舞台となった製油所であり、建設当初の予算は23億ドルであったが、9年後には185億ドルに達していた経緯がある曰く付きの物件。

アブレウ・エ・リマ製油所はペルナンブーコ州都のレシーフェから45キロメートルに位置するスアペ港に建設されており、日産の石油精製能力はブラジル国内の5.0%に相当する13万バレルとなっている。

バイア州Landulpho Alves製油所は1950年に建設されたが、この製油所売却で北東部地域の大手の製油所はペトロブラスから売却されるが、小規模の北大河州のクラーラ・カマロン製油所は売却されない。

ペトロブラスは南部地域では、パラナ州Repar製油所並びに南大河州Refap製油所を売却する。同社のロベルト・カステロ・ブランコ総裁は、石油製油所の純益は石油・天然ガス開発事業と比較してもマージンが少ないために、売却を進める。

ペトロブラスは, 買収先会社の中で最も魅力のある事業部門や子会社に相当する「王冠(crown)につけられた宝石(jewel)」 のクラウンジュエルに相当する南東部地域の日産43万4,000バレルのサンパウロ州パウリ―ニア製油所以外にもサンパウロ州内のマウア市のカプア―ヴァ製油所(Recap)、クバトン市のプレジデンテ・ベルナルデス製油所、サン・ジョゼ・ドス・カンポス市のエンリケ・ラージェ製油所(Revap)、リオ州内のヅッケ・デ・カシアス製油所(Redic)は売却しない。(2019年6月29日付けエスタード紙)

【メルコスールとEUの貿易協定は工業部門にとって勝利】

メルコスールと欧州連合(EU)が最終的に、長期に及んだ折衝を終結させ、自由貿易協定(FTA)の合意に至った。両経済圏を合わせると、GDPは19兆ドル、人口7億5,000万人の市場が誕生する。

今回のFTAは、欧州市場に対してブラジルの輸出品のアクセスを拡大し経済を活性化させるという理由から、ブラジルの歴史上で最も重要な通商協定である。同時に、ブラジルの工業製品に対する最大のサプライヤーに市場を開放することになり、競争力を確保するための構造改革の加速も求められることになる。

ブラジル企業にとって特恵待遇でアクセス可能な国際市場が現在の世界の輸入の8%から25%に引き上げられるため、EUとの市場の統合はブラジルにとり、国際貿易における重要国との同盟関係に向かって一歩、前に踏み出したということである。

EUが農産物市場をどこまで開放するかにもよるが、全国工業連合会(CNI)は、今回の合意でブラジルの対EU輸出がほぼ100億ドル増加すると試算している。

ブラジルの製造業にも、ダイナミックなプラス面がある。例えば、EUへの農産物輸出の拡大はブラジルの工業部門にもプラスの波及効果をもたらす。というのも10億レアルを輸出するごとに、国内では鉄鋼業界や化学業界、機械・設備業界などでおよそ3億レアルの工業製品が消費されるという相関関係があるためだ。

今回の協定ではさらに、衣料から化学品、さらには航空機に至るブラジルがEUに輸出する工業製品に対して現在2.5%から17%で設定されている輸入税率をゼロに引き下げる。その上で、現在のEUに対する輸出額の56%が、工業製品だという点は強調しておくべきだろう。

市場へのアクセス以外にも、今回の合意には、2経済圏の間で通商を促進することとブラジル国内のビジネス環境の近代化を促す規定が存在する。財の輸出入に対する煩雑な行政手続きの簡略化するため、さらに、技術規定に対応するため、政府調達市場を開放するため、そして、貿易に対してこれまで以上に中小企業が参画するのを促進するために、対応を進めることが重要となる。

国内の競争激化は、否応なく国内改革を深化させる。だが貿易協定を通じたブラジルの経済開放は緩やかなものでブラジルの財界にとっても予測可能となり、最長で10年間にわたり段階的に、生産チェーンの論理に従って進められる。

市場が突然解放されるようなことはなく、ブラジルには、前例のない貿易協定で得るものがあるよう確かな政策を計画して導入するために活用できる時間が与えられるだろう。こうした状況ではあるが、企業は、今後数年間に自社の事業モデルに貿易協定が与える影響への予防的な準備に注意深く対応すべきである。

戦略的交渉によってまとめられた貿易協定は、ブラジル経済の3つの産業に対する投資回復に欠くことができない。だが潜在的な可能性をフルに実現できるかどうかは、これらの協定の内容とブラジルの競争力を高める国内の各種改革の行動計画の練度に左右されるだろう。(2019年6月29日付けエスタード紙)
 

 

 

【ブラジルのワイン生産者への減税も検討】

EU側が助成を受けていると主張して合意に抵抗する国内ワイン業界を支援するため、連邦政府が対策を交渉している。

合意の例外に含まれたワイン生産者に対して、連邦政府が支援をする可能性が浮上してきた。この対策には、業界の近代化と輸入と減税に向けた基金の設立が含まれる見込みだ。

欧州連合(EU)と締結した自由貿易協定(FTA)の例外に含まれたことで、ブラジルのワイン生産者らは今後数年、連邦政府の支援を受ける。交渉中の対策は、業界の近代化を目的とした基金の設立から減税まで含む包括的なものになると、エスタード紙に対して3人の関係者がコメントした。

EU側は、今回の合意にメルコスールがワイン市場を開放することを含めるよう強く主張した。ブラジルの生産者は、欧州の生産者が助成を受けており、市場競争に際して有利になるような融資にアクセスできると主張してこれに抵抗した。

この業界を含めることが協定の合意に不可欠と想定していた連邦政府は、数週間前から、生産者側の抵抗を緩和するために業界の代表者らと協議を進めてきた。一連の 交渉はオニックス・ロレンツォーニ官房長官が中心となり進めたが、パウロ・ゲデス経済大臣が率いる連邦政府経済スタッフから了承を受けたものだった。大統領府関係者によると連邦政府は、業界に対して「不可逆的な生産性に関する包括政策」を提示した。この狙いは当たり、ワイン工業の近代化に資金を調達するための基金の設立を想定した、業界との技術提携協約合意に署名する運びとなった。その財源は、原則として、業界の企業が拠出する。

ただし経済省の関係者の1人によるとこの計画は、農業保険、さらに国家家族営農強化計画(Pronaf)の資金を業界に振り向けるといった、既存の枠組みの活用も視野に入れている。

さらに連邦政府は、業界向けに現在提供されている融資条件の改善方法を検討するのに加えて、コルク栓とビン、ブドウ果汁のような投入財と機械・設備に対して発生する税金をどのように削減できるか分析すると確約した。

ブラジルワイン協会(Ibravin)のオスカル・ロー会長は、「業界は、ブラジル政府に対して減税を要求してきた歴史的な経緯がある。EUとのFTA合意で、業界が置かれる状況は悪化するだろう。業界は、競争状態を恐れはしない。ただ我々が競争するのは、ヨーロッパの助成金と国内の高い税負担なのだ。1本のワインに対して、55%が税金である。我々はそこに不当な競争があると受け止めている」と話す。

ブリュッセルで締結された合意に基づくとメルコスールは、最大12年でヨーロッパ産のワインに対する輸入税率をゼロに下げる。

ブドウ栽培業界との会話が進む一方、乳業部門も同様に補償金を確保する可能性がある。連邦政府関係者によると、今回の合意では、チーズなどでEUの生産者に対して輸入税率を8年でゼロに引き下げる。

これらの問題に関して、経済省も連邦政府官房室もコメントを避けた。(2019年6月29日付けエスタード紙)

日伯農業・食料対話議題などについて意見交換会開催

次回の日伯農業・食料対話議題などについての意見交換会は、2019年6月28日午後2時から10人が参加して開催した。参加者は日本企業支援担当官食産業担当の大田啓二等書記官(在ブラジル大使館)、田中祐太郎所員(JICAブラジル事務所)、食品部会から降旗 英樹副部会長(三井アリメントス)、秋元 壮介副部会長(キッコーマン・ブラジル)、関 宏道 副部会長(ブラジル味の素)、古木勇生ディレクター(ジェトロサンパウロ事務所)、上田基仙領事(サンパウロ総領事館)、中山充代表( Latin America Consulting社)、会議所からは平田藤義事務局長並びに日下野成次総務担当。

在ブラジル大使館日本企業支援担当官食産業担当の大田啓二等書記官