新社会保障改革案の下院議会での採決は国会が休会に入る前の7月18日が見込まれているが、2回連続で四半期のGDP伸び率がマイナスを記録するテクニカルリセッション入りの可能性が濃厚となって、国内経済停滞が顕著になってきている。
パウロ・ゲーデス経済相は、早急な国内経済活性化をするための経済政策を新社会保障改革案の国会での承認直後に導入するために、経済省経済政策班にプロジェクト作成を急がせている。
経済省では、中銀の次回の通貨政策委員会(Copom)での政策誘導金利(Selic)の引下げを予想、昨年3月からSelic金利は9回連続で6.5%に据置かれている。
また今週水曜日に中銀は景気刺激策の一環として、銀行クレジット促進並びにスプレッド金利低下、コスト削減などを目的に、中銀向け強制預託金の緩和を発表していた。
昨日ゲーデス経済相は1,000億レアルに達する強制預託金の金融市場への投入を発表したにも拘らず、水曜日に発表された中銀向け強制預託金の緩和は161億レアル相当であり、1,000億レアルに達する強制預託金の金融市場への投入は長期間を意味する。中銀の強制預託金残高は4,520億レアルとなっている。
新社会保障改革案の国会承認後に、国内経済成長を加速するために税制改革法案の下院議会並びに上院議会での今年下半期の承認の必要性をBaleia Rossi下院議員(MDB:ブラジル民主運動党=サンパウロ州選出)は強調している。
今年5月に税制改革の下院憲法・法務委員会(CCJ)で野党の支持を得て電撃承認された税制改革法案は各州知事や企業経営者を驚かしたが、与野党の調整に困難をきたしている新社会保障改革案よりもすんなりと国会で承認されると予想されている。
また大衆住宅建設プログラム“私の家、私の暮らし”(MCMV)の賃貸案件プログラム、今週月曜日にブラジルエネルギー政策評議会(CNPE)で承認されているが、国会での承認が必要な天然ガス市場の民営化を促す「ガス新市場プログラム(Programa Novos Mercado de Gas」を発表している。
その他の経済刺激政策として、社会統合基金(PIS)/公務員厚生年金(PASEP)の引出並びに現役サラリーマンの勤続期間保障基金(FGTS)預金引出で国内経済を刺激する。
更に為替法の近代化や今年11月に予定されている岩塩層下(プレソルト)鉱区の入札や財政危機に陥っている州政府の救済政策も含まれている。
ゲーデス財務相は、税制改革による減税並びに単一化、メルコスールとヨーロッパ連合とのFTA協定締結、ブラジルの経済協力開発機構(OECD)への加盟を繰り返し強調した。(2019年6月28日付けエスタード紙)