今年第1四半期のGDP伸び率は2016年以降で初めてマイナスか

四半期ごとの正式な国内総生産(GDP)は、ブラジル地理統計院(IBGE)から発表されるが、中銀はIGBEのGDP伸び率の発表前に、先行指標として経済活動指数(IBC-Br)を昨日15日に発表、2019年2月の経済活動指数(IBC-Br)は、前月比マイナス0.73%と大幅に落ち込んでいる。

今年2月の経済活動指数(IBC-Br)が前月比でマイナス0.73を記録したのは、2018年5月下旬から11日間継続したトラック運転手の国道封鎖抗議デモで、物流ロディステック部門が壊滅的な影響を受けて、昨年5月のIBC-Br指数は前月比マイナス3.28%以降では最大の落込みを記録している。

今年第1四半期の経済活動指数(IBC-Br)は、1月のマイナス0.31%、2月のマイナス0.73%と2カ月連続で落ち込んでおり、2016年第4四半期のマイナス0.6%を記録後、初めてマイナスを記録する可能性があると金融市場関係者は指摘している。

今年第1四半期のIBC-Br指数は、消費電力の減少並びに設備稼働率の低下、企業経営者の景況感悪化などの要因で、前四半期比マイナス0.2%をFactor銀行チーフエコノミストのジョゼ・フランシスコ氏は予想している。

イタウー銀行では、先週金曜日に今年第1四半期のIBC-Br指数を前回予想の0.3%増加からマイナス0.1%に下方修正、また今年のGDP伸び率は投資回復の傾向が不透明で、製造業部門の不振継続などの要因で2.0%から1.3%と大幅な下方修正をしている。

ブラデスコ銀行では、2月のサービス部門の不振や小売部門の足踏み、一般消費の大幅な落ち込みで、今年第1四半期のIBC-Br指数はマイナス0.1%と予想している。

MB Associados社チーフエコノミストのセルジオ・ヴァーレ氏は、新社会保障改革の国会承認の大幅遅れ予想、尚且つ大幅な修正予想などの要因で、今年第1四半期のIBC-Br指数は0.2%増加に留まると予想している。

今年1月25日のヴァーレ社ミナス州ブルマジーニョ鉱山のフェイジョン1鉱滓用ダムの決壊事故発生による影響で、ヴァーレ社の鉄鉱石生産が大幅減少で、鉱業部門の落込みが牽引して、今年第1四半期のIBC-Br指数は0.2%増加に留まるとMongeral Aegon Investimentos社エコノミストのジューリオ・セザール・バーロス氏は予想している。(2019年4月16日付けエスタード紙)

2020年の財政プライマリー収支の上限赤字目標は1,241億レアル

経済省では、2020年の中央政府の財政プライマリー収支の上限赤字目標は昨年末の予算作成時の1,100億レアルを年々継続する歳入減少拡大で、100億レアル以上上回る1,241億レアルの上方修正を検討している。

来年の中央政府の財政プライマリー収支赤字目標1,241億レアルには、連邦公務員の給与調整の禁止並びに連邦公務員の採用試験中止、インフレ指数を含まない最低サラリー調整が含まれている。

パウロ・ゲーデス次期財務相は、年金・恩給の最優先構造改革の推進に次いで、税体系を簡素化する税制改革の実施を予定しているが、並行して財政削減の一環として、年金・恩給や最低サラリーなどの年間調整に対する非インデックス化などの導入の検討をしている。

財政プライマリー収支赤字目標の悪化要因として、経済回復の遅れによる国庫庁の歳入減少が継続しており、2020年の歳入はGDP比20.86%に相当する1兆6,430億レアルの減少が見込まれている。連邦政府は今年の歳出をGDP比19.32%、2020年は18.74%と見込んでいる。

連邦政府では、今年のGDP伸び率はGDP比2.2%増加を見込んでいるにも関わらず、大半の金融市場関係者は大幅な下方修正をしている。また2020年は2.7%増加、2021年は2.6%増加、2022年はGDP比2.5%増加を見込んでいる。

2019年の中央政府の財政プライマリー収支の上限赤字目標は、GDP比1.90%に相当する1,390億レアル、2020年はGDP比1.58%の1,241億レアル、2021年はGDP比0.81%の685億レアル、2022年はGDP比0.35%に相当する314億レアルとなっている。(2019年4月16日付けヴァロール紙)

久光製薬一行が訪問

帰国する久光製薬の中村博社長並びに後任の平松太郎社長は2019年4月15日に商工会議所を訪問、2015年4月から4年間勤務した中村博社長は化学品部会長で会議所活動に貢献。帰国後は本社の働き方改革を含めた仕事を推進、後任の平松太郎社長を紹介。平松太郎社長は6月の懇親昼食会で着任挨拶を予定している。

Fujiyoshi Hirata, Hiroshi Nakamura e Taro Hiramatsu

Foto: Rubens Ito / CCIJB

松田雅信元副会頭が訪問

パーマネントビザ更新のために訪伯している松田雅信元副会頭は2019年4月15日に商工会議所を訪問、平田藤義事務局長が応対。。ブラジルパナソニック社の松田雅信元社長はブラジル勤務期間の2006年以降、会議所三役を担い、会議所運営70年来の大改革に最も寄与、副会頭や電気電子部会長、移転価格税制など会議所活動に大いに貢献。また事務局に大型冷蔵庫や電子レンジを寄贈して頂いた。

Fujiyoshi Hirata e Masanobu Matsuda 

Elena Ueda, Chisato Kondo, Alexandre Kuba, Karina Aparecida Maeda, Teico Iryo, Masanobu Matsuda, Fujiyoshi Hirata, Seidi Kusakano e Rubens Ito

Fotos: Rubens Ito e Paulo César Camilo da Silva

ヴァーレ社の鉱滓用ダム決壊事故で鉄鉱石ペレット不足懸念

今年1月25日のヴァーレ社ミナス州ブルマジーニョ鉱山のフェイジョン1鉱滓用ダムの決壊事故発生、更に2月初めのミナス州最大の鉄鉱石生産を誇るブルクツ鉱山のラランジェイラス鉱滓用ダムの操業許可停止などが相次いで、保全対策が等閑にされている鉱滓用ダムの不良が相次いで発覚して、ヴァーレ社ではミナス州内の10カ所以上での鉄鉱石減産を余儀なくされている。

ヴァーレ社のミナス州内の鉄鉱石減産に伴って、ブラジルの鉄鋼メーカーに供給していた微粉鉱石に水と粘結剤を加えて直径10~30mmの球状にして、焼き固めたペレットの供給が懸念されている。

南東部地域のペレット生産は唯一Vargem・Grande工場で生産を続けているも、年間1100万トンのペレット供給に赤信号が灯っており、ヴァーレ社ではマラニョン州サンルイス港からのペレット供給を検討している。

しかし南東部地域の鉄鋼メーカーへのマラニョン州サンルイス港からペレット供給は、リオ州Itaguai港若しくはエスピリット・サント州Vitoria港まで、1トン当たり20ドル~30ドルの輸送コスト高になる。

今後30日間以内にペレットの供給が停止されれば南東部地域の鉄鋼メーカーの中には高炉の停止を余儀なくされる可能性があるとブラジル鉄鋼院(IABr)のマルコ・ポーロ・ロペス会長は指摘している。

南東部地域の鉄鋼メーカーは、ヴァーレ社から需要の50%に相当する年間1500万トンの鉄鉱石と需要の92%に相当する1100万トンのペレットを供給されている。

CBF Industria de Gusa社では月間4万5000トンの銑鉄をエスピリット・サント州ジョアン・ネイヴァ工場で生産、しかしパレット供給不足で2高炉のうち1高炉での生産中止を余儀なくされている。(2019年4月15日付けヴァロール紙)

大統領介入懸念でペトロブラスの時価総額は320億レアル下落

先週木曜日のペトロブラス石油公社のディーゼル燃料価格の5.7%の値上げ発表に対し、ジャイール・ボルソナロ大統領が同社のロベルト・カステロ・ブランコ総裁に電話で介入した噂が流れた。

ペトロブラス石油公社では、ディーゼル燃料価格の5.7%の値上げの一時中止を発表して、ペトロブラス石油公社の独立性の懸念問題で、ペトロブラスの普通株は8.5%下落したために、僅か1日で320億レアルに相当する時価総額は消えてなくなった。

ディーゼル燃料価格の5.7%の値上げ発表に意表を突かれたボルソナロ大統領は、ブランコ総裁に電話を掛けたことは認めたが、電話は数字の確認だけであり、ペトロブラスの独立性は尊重していると介入を否定している。

3月末にペトロブラス石油公社は、再度の国道封鎖ストライキを示唆しているトラック運転手に対して、石油製油所出荷のディーゼル燃料価格の15日間の凍結並びにトラック運転手カード発行を発表してい他にも関わらず、ディーゼル燃料価格の5.7%の値上げを発表した。

昨年5月下旬から11日間継続したディーゼル燃料価格値下げ要請を発端とした、全国規模のトラック運転手の国道封鎖の抗議デモに続いて、今年初めの国際石油価格上昇に伴って石油精製所の15.6%値上げ、ガソリンポストの3.6%の値上げに対するディーゼル燃料価格値上げ反対デモに繋がった。

国際石油価格に連動する燃料価格の小刻みな調整はインフレ指数以上の調整と取られて、昨年5月下旬に発生したトラック運転手の抗議デモに繋がって、市場ではペトロブラスの独立性が侵されたと見られて、ペトロブラス石油公社のペドロ・パレンテ総裁は辞任に追い込まれていた経緯があった。(2019年3月13日付けエスタード紙)

今年初め2カ月間の一般消費は5.2%下落

コンサルタント会社Kantar社の一般家庭のスーパーマーケットでの日用品や必需品購買調査によると、今年初め2カ月間の一般消費は前年同期比5.2%下落、調査開始の2014年以降では初めて前年同期を下回った。

1万1300家庭対象の日用品や必需品購買調査の品目として、食料品並びに飲料、酪乳製品、清掃用品、衛生用品などの日用品や必需品を対象に調査されたが、高止まりする失業率や実質賃金の減少、食料品の値上げが一般家庭の日用品購買減少に繋がっている。

今年初め2カ月間の必需品の中で、食料品向け購買は前年同期比マイナス6.6%と最も落ち込んでおり、酪乳製品マイナス5.6%、清掃用品マイナス5.1%、衛生用品マイナス5.0%、飲料はマイナス3.1%を記録している。

また今年初め2カ月間の砂糖関連商品の購買はマイナス13.4%、トイレットペーパーマイナス13.4%、乳製品マイナス12.9%、洗剤マイナス6.2%、ビールはマイナス6.0%を記録している。

所得別調査では、月間平均収入が5026レアル以上のA/Bクラスはマイナス2.5%、2801レアルのCクラスはマイナス6.5%と最も影響を受けており、所得が1914レアルまでのD/Eクラスはマイナス6.0%を記録している。

また地域別調査では、サンパウロ州奥地がマイナス10.3%と二桁台の減少を記録、北部地域並びに北東部地域はマイナス5.8%、南部地域マイナス5.6%、中西部地域マイナス5.2%、リオ市大都市圏マイナス4.4%、サンパウロ市大都市圏マイナス3.8%、リオ州奥地はマイナス0.6%に留まっていた。

2017年のインフレ指数は2.95%であったが、食品・飲料のインフレはマイナス1.87%とデフレを記録、2018年は10月まで食品・飲料のインフレはマイナスを記録していたが、昨年11月から食品・飲料のインフレが上昇、今年3月の過去12カ月間のインフレ指数は4.58%を記録した一方で、食品・飲料のインフレ指数は6.73%を記録している。(2019年4月14日付けエスタード紙)

 

今年2月の新築住宅販売は前年同月比50%増加

ブラジル資産調査会社(Embraesp)の調査によると、2019年2月のサンパウロ市内の新築住宅販売は前年同月比50.3%増加の2165軒を記録、今年の住宅ブームに可能性が出てきている。

またサンパウロ市内の今年初め2カ月間の新築住宅販売リリース軒数は、155.1%増加の870軒と不動産業界企業が加盟するサンパウロ不動産関連業者組合(Secovi-SP)の発表している。

2016年3月から今年2月末までのサンパウロ市内の新築住宅販売軒数やリリース軒数は1万9553軒に達し、住宅販売総額(VGV)は9億3250万レアルを記録している。

2寝室の販売は1385軒、リリース軒数は1万2132軒、そのうち45平方メートルのリリース軒数は9408軒、24万レアルまでの住宅販売が最多を記録。2月の過去12カ月間の新築住宅販売は前年同期比20.7%増加の3万587軒であった。(2019年4月15日付けヴァロール紙)

日メルコEPA準備タスクフォースWG会合を実施

2019年4月15日(月)正午より、図書室にて日メルコスールEPA準備タスクフォースWG会合を実施、去る4月8日(月)東京で開催された第9回日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議の報告と、また翌9日(火)に日伯賢人メンバーより合意提言書が安倍総理大臣へ直接手交されたことが報告された。

賢人会議の議論の結果、最終提言書のグローバリゼーションに向けた方向性の再構築のセッションで、「賢人会議は、日メルコスールEPAを(日伯二国間協定の可能性も含めて)進めるための公式対話を出来るだけ早く開始すべきことを繰り返し表明する」とし、その内容が安倍総理へ手交されている。

(第9回日伯賢人会議最終提言書:https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000469343.pdf

(安倍総理表敬訪問:https://www.mofa.go.jp/mofaj/la_c/sa/br/page1_000775.html

またWG会合の中で、7月末に予定される第22回日伯経済合同委員会に向けての活動計画について意見交換が行われた。

出席者は、村田俊典 会頭(双日ブラジル)、芦刈宏司WGメンバー(ブラジル三井物産)、二宮康史WGメンバー(ジェトロサンパウロ)、佐橋拓哉WGメンバー(伯国三菱商事)、大塚未涼WGメンバー(ブラジル三井物産)、事務局から平田藤義事務局長、日下野成次総務補佐、近藤千里アシスタント。

Foto: Rubens Ito / CCIJB

Liqugas買収でコンソーシアム構成

ペトロブラス石油公社は、コア事業の石油・天然ガス開発事業に資金を集中させるために、ポートフォーリオ事業の資産売却を積極的に進めており、今月初めにペトロブラスは、傘下のTransportadora Associada de Gas(TAG)の株式の90%をフランス資本Engie社並びにカナダの年金ファンドCaisse de Depot e Placement du Quebec(CDPQ)で構成されるコンソーシアムに86億ドル(330億レアル相当)で売却している。

イタウー銀行の投資部門のItausa社並びにUltraグループは、ペトロブラスグループ傘下の一般家庭用プロパンガス配給会社Liquigas社の買収のために、コンソーシアム構成を模索している。

Itausa社は有名なサンダルHavaianasを擁するAlpargatas社や2016年に天然ガスパイプライン事業(NTS)をカナダ資本のBrookfield社とコンソーシアムを組んで42億ドルで買収している。

しかしペトロブラス傘下のガスパイプライン事業のTAG社の買収には、Engie社のコンソーシアム以外にMubadalaファンド並びにイタウーザ社とカナダ年金ファンドCPPIB社がコンソーシアムを組んで買収合戦を展開していたが、Engie社をリーダーとするコンソーシアムが落札していた。

またUltraグループ傘下のUltragaz社は、2016年末に28億レアルでLiquigas社の100%の株式買収を試みたにも関わらず、経済防衛行政審議会(Cade)から独占禁止法に触れると阻止されていた。

Ultragaz社がLiquigas社を買収した場合にバイア州で61%、サンタ・カタリーナ州で51%、サンパウロ州並びにリオ州でそれぞれ57%とプロパンガス事業で過半数を占めるために、買収承認が阻止された経緯があった。

イタウーザ社並びにUltragaz社以外にもLiquigas社買収を検討しているのは、オランダ資本SHV社傘下のSupergasbras社、National Gas社、セアラー州のEdson Queiroz社、プライベート・エクイティのAdvent社となっている。

全国LPG仲介配給業者組合(Sindigas)では、ブラジル全土の一般家庭用プロパンガス配給の90%は6社だけで独占しているために、カルテル形成が容易でブラジルのプロパンガス価格が先進諸国よりも高額になる要因となっている。

ブラジルの天然ガスの熱量単位BTU当たりの価格は12ドルと石油・天然ガスの産油大国の米国の3ドルの4倍に相当、また天然ガス生産が殆どない日本やヨーロッパ諸国の平均価格7ドルを大幅に上回っているために、パウロ・ゲーデス経済相は、ペトロブラス石油公社の独占的な石油製油所事業撤廃並びに石油配給事業分散で、一般消費者向けプロパンガス価格の引き下げを示唆している。(2019年4月12日付けエスタード紙)