第4回国際通商年次コンファレンス開催

IRICE(国際外交・通商政策研究所:非営利団体)とFGV-EESP(ゼツリオバルガス財団大学サンパウロ経済学部-グロ-バル通商・投資研究所)共催の第4回国際通商年次コンファレンスは、2019年3月25日午前9時から午後6時までゼツリオバルガス財団大学サンパウロ経済学部行動に20人が参加して開催された。

進行役はVera Thorstensen教授が務め、初めに22日の商工会議所懇親昼食会で、「ボルソナーロ政権における国内及び外交のチャレンジ」と題して講演したIRICE(国際外交・通商政策研究所:非営利団体)代表のルーベンス・バルボーザ元駐米大使が開催挨拶を行った。

同カンファレンスの総論として、連邦政府当局はメルコスールの対外共通関税(TEC)を産業競争力強化の観点から引き下げるべきだが、実際には加盟各国の調整や国内産業界への配慮が必要で時間と政治的コストが必要。TEC以外にもビジネス上の規則や制度の統合、域外交渉の今後の形態、メルコスールの機構改革の必要性も論じられた。グローバライゼーション進展や中国の台頭などの国際情勢の変化は、メルコスール改革を促す構図となっている。メルコスールの枠組みを資産若しくは負債と捉えるかの議論は意味をなさず、枠組みは加盟各国の目的達成するための手段として捉えるべきであるとIPEA研究所のフェルナンド・リベイロ氏は指摘した。またメルコスール強化を掲げるジャイール・ボルソナロ政権がメルコスールを生産性や産業競争力向上目的でどのように活用するかが今後のポイントと指摘している。

ルーベンス・バルボーザ元駐米大使は、メルコスールをめぐる議論として、対外共通関税(TEC)、域外交渉では一体かバイか、ビジネス関連規制・制度、メルコスールの機構改革の4点に集約され、ブラジルのリーダーシップが重要で、ブラジルの取組如何にかかっていると説明。過去10年間の域外交渉はイスラエル並びにパレスティナ、エジプトに留まっており、他の国の締結スピードに後れを取っているが、挽回するための手段としてTPP加盟の一つの方法と述べている。

外務省メルコスール・地域統合部長のミッシェル・アルスラニアン氏は、ボルソナロ新政権はメルコスール強化を掲げており、経済アジェンダで重要な位置を占めている。過去2年間の流れでは政府調達協定を図り、投資ルールの整備も進めており、協定内容の充実の方向性になる。域外交渉としてEU、EFTA、カナダとは2019年中に交渉完了、2020年内には韓国との交渉終了が予定されている。今後のメルコスールの課題はTECのみならず制度面での統合の進展で国際スタンダードとの整合性、原産地証明などの民間セクターのニーズの反映・改善の重要性を指摘している。

経済省のルカス・フェラス貿易局長は、ボルソナロ政権はメルコスール重視のスタンスを維持しており、高いTEC税率に象徴されるような閉鎖的なメルコスールの改革の必要性を示唆している一方で産業界や政治家の個別の利害調整が不可欠。市場開放はあくまで生産性並びに産業競争力を高める手段。EU側の問題点は農業分野での困難な譲渡の一方で、メルコスール域内、特にブラジルの産業構造自体が最先端のFTAモデルに適合していないと指摘している。

Rubens Barbosa, Celso Lafer, Michel Arslanian Neto, Vera Thorstensen, Lucas Ferraz e Felix Peña 
(Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

Vera Thorstensen, Sandra Rios, Valentina Delich, Fernando Ribeiro, Lia Valls Pereira e Welber Barral

Vera Thorstensen, Rogério Correa, Renato Baumann, Oscar Afonso da Silva Júnior, João Ortega Terra e Luís Fernando Tironi

Vera Thorstensen, Beatriz Milliet, Fabián Yaksic, Thomaz Zanotto, Patrícia Gomes, Denise Naranjo e Luiz Cornacchioni

RI / CCIJB – 25/03/2019

日伯自動車裾野産業協力イベント開催

ジェトロサンパウロ事務所は、ブラジル輸出投資振興局(APEX)、ブラジル自動車部品工業会(Sindipecas)、サンパウロ州政府投資局(Investe SP)の協力を得て、2019年3月22日にSindipeças本部にて日伯自動車裾野産業協力イベントを開催、日系企業約30人と地場企業約60人、商工会議所からは平田事務局長と吉田調査員が、セミナーと商談・交流会に参加した。

イベント開催にあたり、APEXのカリナ氏、Sindipecasのエリアス氏、ジェトロサンパウロの大久保所長がそれぞれ挨拶を行なった。その開会挨拶の中でAPEXのカリナ氏は、昨年9月にジェトロ本部で行なわれたブラジルビジネスセミナーについて触れ、海外で初めてROTA2030について発表したイベントで、日伯自動車産業協力の大切さを強調、未来のクルマ開発に向けたイノベーションや投資の促進には、部品メーカーとも協力していくことが重要だと説明した。

日系自動車産業界からのプレゼンでは、ブラジルトヨタのセルソ下村氏が、事業の歴史、中南米でのビジネス概要、近年の投資動向について説明、トヨタの持続可能な社会づくりとその為の技術開発に向けた挑戦に関して講演を行なった。トヨタは、2050年までに二酸化炭素を90%減少するべく、世界初のフレックスハイブリッド車の開発事業を2018年3月に発表するなど、ハイブリッド車や電気自動車等、新技術の開発に力を注いでいると述べた。

一方、2018年のハイブリッド・電気自動車販売台数が約4000台足らずとまだ少ないこと、技術力不足のためハイブリッドエンジンのブラジル現地調達率が低くなること、また生産コストが他国と比較して高いことなど、ブラジルでのビジネス課題や新技術開発の難しさについて触れ、部品メーカーと一緒なって企業の競争力強化と技術開発に取り組んでいくことの必要性を説いた。

ホンダサウスアメリカのロベルト・モレノ氏とパウロ・ミヌンシオ氏は、中南米でのビジネス、発電機やモーター事業、マナウスフリーゾーンでの二輪の生産とR&Dの事業、四輪の生産とR&D事業の概要などについて説明、フレックス二輪車の開発やホンダジェット新技術についても述べた。四輪生産工場の電力分を賄なえる風力発電所を2014年に操業、2000年と比較して2015年には二酸化炭素を半分に減少させたと説明した。

金利、物流、税金や負担金など所謂ブラジルコストが、他国よりコストを上げていると指摘し、企業の競争力強化のためのROTA2030ファンドの活用についても言及した。ROTA2030については、環境や安全基準の向上のための開発や投資、また税務恩典やペナルティを課す施策だとして、Inovar Autoと違い技術革新や開発に部品メーカーと一緒に取り組んでいく要素が盛り込まれており、業界で一緒になって競争力を強化していこうと述べた。

サンパウロ州投資局Investe SPのチアゴ・メセナス氏は、投資局の事業概要、また産業別のサンパウロ州の生産規模を説明、オレンジジュースや砂糖は世界一、航空機産業においてはブラジルの94.6%の生産を占めるとした。自動車については、2017年にブラジルの46.5%である126万台を生産、69%の部品メーカーがサンパウロ州に集中しているなど、サンパウロ州の重要性について述べた。

ICMS税務クレジット残の活用、IPTU税やISS税の免税や減税などの税務恩典について、そして近日発表されたばかりの規範命令64130号(Decreto No. 64.130/2019、IncentivAuto)について説明した。IncentivAutoは、自動車産業生産工場や新製品開発事業に10億レアルの投資と400人の雇用を超える事業に対する恩典を与える施策で、プロジェクトを州投資局に提出、FUNAC(Fundo de Apoio aos Contribuintes)が分析を行い、FUNAC融資の援助を得られることになる。

セミナーの最後に、大久保所長は、交流・商談会に参加した日系企業11社の企業や事業概要、取り扱い製品や顧客、また今後のビジネス展望などについて説明した。交流・商談会は、セミナー会場付近に設置された日本企業11社の商談デスクで行なわれ、延べ60件程度の商談・交流が行なわれたイベントとなった。

 

定例理事会・第69回定期総会開催

定例理事会・第69回定期総会は、2019年3月22日正午から3月の懇親昼食会を前に開催、初めに土屋信司会頭が開催挨拶、続いて2018年度事業報告並びに2019年度事業方針では、昨年10月28日に決選投票でジャイール・ボルソナロ氏(PSL 社会自由党)が対立候補のフェルナンド・ハダジ氏(PT 労働者党)を破り、史上初の極右大統領当選が特筆される。2003年から2016年8月のジウマ大統領弾劾まで13年間に及ぶ労働者党政権に終止符を打ち、変革を望む声が大きかった。2019年1月からボルソナロ大統領による新政権に移行。今後の汚職撲滅と公共治安の改善が期待され、また経済政策では市場を重視しブラジル国家にとって重要な課題である年金改革や税制改革などを推進する方針が明らかとなっている。

ブラジルは経済リセッションと云う長いトンネルから漸く脱出、今年は新政権と共に経済活動も活発化する見通し。ボルソナロ新大統領は、昨年の選挙期間の公約の中で2国間でのFTAの可能性を示唆するなど日メルコスールEPAの行方は未だ定まらないものの、会議所も引続き会員企業の裨益を目指し活動を継続、日系企業またブラジルの産業活性化に向け求められることを民間の声として挙げていく。2018年会議所行事はホームページ参照。

木下誠財務委員長は、2018年度収支決算報告並びに2019年度収支予算計画(案)として、昨年は赤字予算を組んだが最終的には黒字を計上。2019年度は活動方針充実に向けて積極的な財務で黒字を目指しているが、日本各地を回って日本企業の会員メンバー増加を目指す。3000レアルの黒字予定と説明した。

二宮正人監事会議長は、監事会意見として天野ウーゴ監事並びに三原フェルナンド監事と行った監査では、商工会議所の2018年1月1日より同12月31日までの事業報告書並びに貸借対照表、収支決算書、財産目録(什器及び造作)を監査、適切であると認め、ここに報告すると説明した。賛成多数の挙手で承認された。

最後に土屋信司会頭は、3月末で会頭を辞任するが、3月末で退任するので、4月1日から村田俊典副会頭に2回目の会頭就任をお願いした。私自身は4月からブラジルに継続して滞在すると説明した。

Pdf2018年度事業・収支決算報告書並びに2019年度事業・収支予算計画書(案)

左から木下誠財務委員長/土屋信司会頭/二宮正人監事会議長

 

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

ルーベンス・バルボーザ元駐米大使を招いて懇親昼食会開催

3月の定例懇親昼食会は、2019年3月22日正午から午後2時過ぎまでブッフェ・コロニアに140人が参加して開催、司会は平田藤義事務局長が務め、初めに特別ゲストのルーベンス・バルボーザ元駐米大使、株式会社国際協力銀行(JBIC)リオデジャネイロ駐在員事務所の櫛引智雄首席駐在員が紹介された。

連絡事項として、大久保敦企画戦略委員長でジェトロサンパウロ事務所所長は、自動車部会の協力を得て今日午後3時から全国自動車工業会(Anfavea)の事業戦略プレゼンとして、日伯自動車裾野産業協力イベントを開催、日系有力自動車メーカーの競争力強化並びにコスト削減に繋がるIndustria4.0とイノベーション向けテクノロジーソルーションを紹介。また運輸サービス部会とのバックアップで開催する4月23日(火)~26日(金)にかけて実施される「南米南部(アルゼンチン・ウルグアイ)ビジネス環境視察ミッション」を案内では、29日締め切り、既に10社が申込み、30名にはまだ余裕がある。現地の自動車、ネットワーキング、監視システム見学会や政府高官との意見交換会ができるまたとない機会、また運輸サービス部会の吉田さんと宮川さんに協力を頂き感謝していると説明した。

写真は(アルゼンチン・ウルグアイ)ビジネス環境視察ミッションを案内する大久保敦企画戦略委員長でジェトロサンパウロ事務所所長/平田藤義事務局長/運輸サービス部会の吉田部会長/宮川氏

長野昌幸異業種交流委員長は、4月3日午後6時から商工会議所で開催される異業種交流委員会主催の日本テレビの「こんな所に日本人」でも紹介されたリンゴ農園やブドウ、ワイン生産を手広く行う成功する秘訣を話していただく平上博泰氏の講演会開催を案内した。

帰国する伯国三菱商事の松永愛一郎前会頭は、1月初旬に日本に戻ったが、帰国挨拶を行っていなかったので昨日戻った。ブラジル着任と共にラヴァ・ジャット汚職問題発覚、株価暴落。会議所活動では企業経営委員長、政策対話委員長、会頭を務めた。残念なのはブラジルに5年間駐在したが、ポルトガル語のマスターができず、メインテーブルの隣にはいつも特別ゲストが座ったが、Bom Dia、 Opaしか言えなかったと流暢なポルトガル語を話すにも拘らず、爪を隠して笑いを誘った。平田事務局長は、松永前会頭には本当にお世話になった。彼の馬力、元気があれば三菱商事は安泰です。昔の侍ですと商社マンの鏡と太鼓判を押していた。

4月1日から本社エネルギー本部長補佐に栄転する双日の粟屋聡社長は、2015年4月から4年、トータル15年ブラジルに駐在、商工会議所の専任理事、政策対話委員長としてブラジル政府への提言書作成の取り纏め、ADIR活動の一環としてブラジリアに出張して陳情。また相互啓発委員長としてカマラゴルフ大会や忘年会主催、また年2回ライブハウスのトントンに出演、忘年会ではドラマーとしてフォークソングバンドを率先、充実した4年間だったと説明した。

代表者交代では、MITSUBISHI INDÚSTRIAS PESADAS DO BRASIL LTDA.の植田 真五社長は、着任して2年、2017年4月から経済リセッションから脱出、11月には労働法改正,ボルソナロ新政権誕生、カニバルが終わってブラジルを去るのはさみしいが、業績か回復してきて後輩にバトンタッチして帰国すると説明、後任の山田佳宏社長は、1年前に赴任、4月1日から着任、既に会議所活動には参加、2012年にインド、ブラジルは2か国目の海外勤務で日系社会に興味があると説明。平田事務局長は、山田社長は既にポルト・アスー港湾やパラグアイも視察していると説明した。

AZBIL DO BRASIL AUTOMAÇÃO LTDAの根岸誠社長は、ジウマ政権誕生時の2010年10月に着任、2014年以降ブラジル経済はリセッションに突入、8年半のサバイバル期間を乗り越えてきた。平田事務局長はいつも「敗戦の将は兵を語らず」と云うが、松永元会頭には「経験を語ってください」と笑いを誘い、またブラジル滞在中は勉強することが数多くあり、家族愛、助け合いの精神など今後の人生に於いて、道標となることを学んだと語った。後任の力石哲也社長は、私はカリオカの女房を持った日本人、根岸とブラジルに来て9年、自動制御アプリを担当すると説明した。

MMC METAL DO BRASIL LTDAの永田慎太郎社長は、1年前に着任、永田町の石原慎太郎と覚えてくださいと説明。坊ちゃんで有名な愛媛県の松山中学出身で50歳、米国、ドイツに次いで3回目の海外駐在、業務は切削工具の輸入販売と語った。

SHIMADZU DO BRASIL COMÉRCIO LTDAの的場俊英社長は、ブラジルには4年勤務、2015年に来たら経済リセッション、2016年に代理店買収、2017年に従業員を47人解雇、景気がようやく上向いてきたら帰国辞令。会議所活動として、貿易部会副部会長、メディカル副分科会長、日・メルコスールEPAメンバー。帰国後は東京の営業室長。バンド歌手として7回ステージに立った。山口百恵の引退時の「サヨナラの向こう側」の一節をアカペラで熱唱した。後任の有村俊一社長は、2000年から2005年にブラジル駐在、入社25年で的場の後任はやりずらいが、サポートを依頼した。

NYK DO BRASIL (TRANSPORTE MARÍTIMO) LTDAの吉田信吾社長は、2015年3月に赴任、運輸サービス部会長を1年半務め、色々なセミナーを通して勉強できた。後任の湯原社長のサポートを依頼した。後任の湯原慶社長は本日ブラジルに着任、労働ビザ取得に2回渡航を余儀なくされて、ブラジルのビジネスの煩雑さをすでに感じている。着任早々の湯原慶社長は既に南米ビジネスミッションに参加する。

国際協力銀行リオデジャネイロ在員事務所の櫛引智雄首席駐在員は、「日本の製造業企業の海外事業展開に関する調査報告(2018年度)」として、初めにJBICの事業内容を紹介、ブラジルでは60年間に亘って資源やインフラ分野に融資。日本企業はアジアに注目しているが、中南米にも目を向けさせたい。 調査報告では海外現地法人数の推移、海外生産比率、海外売上高比率、海外収益比率の推移、業種別、トレンド、パーフォーマンス評価、国内外の事業強化姿勢、投資有望国・地域の推移などについて説明した。

IRICE(国際外交・通商政策研究所:非営利団体)代表のルーベンス・バルボーザ元駐米大使は、「ボルソナーロ政権における国内及び外交のチャレンジ」と題して、ブラジルの現状の国内外の課題として、昨年10月の大統領選挙でのボルソナロ大統領の当選はびっくるするほど画期的な選挙であった。ブラジルの選挙制度は健全であり、行政、立法、司法が三権分立、報道の自由、右翼の台頭、右翼を強調した候補が当選したのは初めて、治安改善や汚職撲滅、経済の開放と新しいアジェンダを打ち出した。

憲法改正を擁する画期的な構造改革に着手。ジウマ政権では2年連続でマイナス成長を記録したが、国内問題の優先課題として、1400万人に達する失業者を削減するための経済成長、財政赤字解消、低インフレ、安定した為替、外貨準備高の維持、シカゴ学派のエコノミストのパウロ・ゲーデス経済相は、新政権の経済政策は、支出を抑え、財政健全化を目指す『社会保障制度改革』、公社の民営化を行い『利子を生み出す国家債務の解消』、『無駄の多い国家機構の改革』で海外投資家の信頼回復、競争力強化、堅調なマクロ経済成長、小さな政府、自由貿易を推進する。

ブラジル経済は世界8位にも拘らず、過去20年間で自由貿易協定を結んだのはエジプト、イスラエル、パレスティナの僅か3カ国。保護貿易主義から自由貿易主義に舵を切ってインフラ整備への投資、脱官僚化、規制緩和、義務教育の強化、イノベーション技術導入による製造業の競争力強化、経済の安定化、ブラジルの経済協力開発機構(OECD)への加盟並びに世界貿易機関(WTO)の協定違反に相当するブラジル製の自動車や電子機器を優遇するブラジルの優遇税制撤廃。労働党政権による外交交渉の低下による国際信用力の低下。競争力を失ったブラジルの製造業はグローバル化の進展による世界のヴァリューチェーンの不参加。

ボルソナロ新政権は相次いで米国、チリ、イスラエルを訪問して積極的な外交を展開して国際貿易協定を模索、米国並びにカナダ、シンガポール、韓国、日本とのFTAも黎明期ながら動いているが、テーメル政権までは社会主義国だけであった。今年上半期中に年金改革が国会を通過すれば今年のGDP伸び率は2.0%以上、来年は3.0%を突破、数年後には大きな設備投資が期待できる。年金改革や税制改革など一連の構造改革が進展すれば安定した経済成長が望める。また11カ国が加盟している環太平洋経済連携協定(TPP)に参加すれば太平洋同盟国やメキシコとも自由貿易協定が一挙に結べてブラジルにとっては大きなチャンスになると述べた。日本企業はブラジルの大いに貢献しているにも拘らず、社会的なアピールが弱い。またイノヴェーションテクノロジーを擁している日本のスタートアップ企業のブラジル進出に期待していると結んだ。

最後にIRICE(国際外交・通商政策研究所:非営利団体)代表として、バルボーザ元大使は年内に当会議所とIRICE共催のコンファレンスを開催したいと述べ、日本の代表的な企業によるスポンサーシップ協力を求めた。日伯両国間、特に在ブラジル日本企業の最も関心の高いテーマを選定、ネットワーキングも兼ねての会議が予定されている。

特別ゲストのルーベンス・バルボーザ元駐米大使

株式会社国際協力銀行(JBIC)リオデジャネイロ駐在員事務所の櫛引智雄首席駐在員

土屋会頭/ルーベンス・バルボーザ元駐米大使/村田元会頭/平田事務局長

左から記念プレートを受け取るルーベンス・バルボーザ元駐米大使/土屋会頭

帰国挨拶を行う伯国三菱商事の松永愛一郎前会頭

帰国挨拶を行う双日の粟屋副会頭

帰国挨拶を行うMITSUBISHI INDÚSTRIAS PESADAS DO BRASIL LTDA.の植田 真五社長

MITSUBISHI INDÚSTRIAS PESADAS DO BRASIL LTDA.後任の山田佳宏社長

左からAZBIL DO BRASIL AUTOMAÇÃO LTDA後任の力石哲也社長/帰国する根岸誠社長

MMC METAL DO BRASIL LTDAの永田慎太郎社長

SHIMADZU DO BRASIL COMÉRCIO LTDA後任の有村俊一社長/帰国する的場俊英社長

左からNYK DO BRASIL (TRANSPORTE MARÍTIMO) LTDAの湯原慶社長/帰国する吉田信吾社長

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

第8回中南米知財セミナー開催

日本貿易振興機構(JETRO)サンパウロ事務所(大久保敦所長)主催の第8回中南米知財セミナーは、2019年3 月21日午前10時30分から正午まで20人が参加して開催、初めにJETROサンパウロ事務所の岡本正紀 知的財産権部長は、「ブラジル知的財産制度の最新動向」について、4月から開始される日ブラジル特許審査ハイウェイ(PPH)第2フェーズ、審査前見解書パイロットプロジェクトについて簡単に説明した。

Gusmão e Labrunie法律事務所のLaetitia d´Hanes弁護士は、「ブラジルにおける職務発明・職務著作の取扱」について、職務発明制度のコンセプトとして、企業や研究機関等の従業員や役員等が職務上なした発明に関する権利関係や経済上の利益の取扱いについて定める制度。職務発明制度の目的は、使用者の利益と従業者の利益とを調整し、従業者の権利を保護して発明のインセンティブを与えるとともに、使用者に研究開発投資を促す。特許を受ける権利、使用者の法的実施権、対価の請求権の根拠、訴訟リスク、営業秘密として成立する従業者の発明などについて説明。質疑応答では、ブラジルで発明した場合のパテントの所有権、発明に関する労働契約有無、発明に対する追加ボーナス、ボーナス交渉の決裂時の訴訟、労働裁判管轄、労働組合の介入権、サービスインベンションのパテント、発明者氏名の記載などが挙げられた。

Pdf「ブラジルにおける職務発明・職務著作の取扱」Gusmão e Labrunie法律事務所のLaetitia d´Hanes弁護士

Laetitia Maria Alice Pablo d´Hanens

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

Porto do Açu港一行が訪問

Porto do Açu港ストラテジック・パートナーシップ担当のMaartje Driessensジェネラルマネージャー並びに同ビジネス・デベロップメント担当のJoyce Mercês氏が2019年3月21日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長並びに日下野成次総務担当と今年の進出日本企業との関係強化の取組などについて意見交換した。

Fujiyoshi Hirata, Seidi Kusakano, Maartje Driessens e Joyce Mercês

Seidi Kusakano, Maartje Driessens, Joyce Mercês e Fujiyoshi Hirata

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

メディカル分科会開催

メディカル分科会(高柳分科会会長)は、2019年3 月21日15時から、商工会議所大会議室にて分科会会合を開催、20名が参加し活発な議論が交わされた。はじめに、高柳分科会会長から、これまでの活動報告として、昨年後半から行っている、欧米企業も参画する医療機器輸入組合(ABIMED)との連携による、ANVISA、INMETROへの規制改善提言、日本での経産省とのヒアリング、大使館との連携などについて、説明が行なわれた。

次に、ABIMED等との連携によるINMETRO向けの政策提言活動について、塩田氏より説明が行なわれた。2月19日、28日とメディカル分科会幹部メンバーは、ABIMED、欧米企業と会合を持ち、要請項目についてのすり合わせを行なってきている。合同でまとめている提言の中には、INMETROの役割の重要性について伝えつつ、技術促進を阻むような規制の緩和、ブロクラシーや重複作業を避ける施策等について提案する準備を行っている。新政権の下誕生したばかりのANVISA、INMETROとの会合を3月中に持ち、その場で改善提案を行なう予定となっている。

メディカル分科会は、高柳分科会長に継いで、日本光電の市川分科会会長が就任、また新しくオムロンの山田氏が、副部会長に就任し新体制が誕生する。また、今後の活動予定について、ABIMED他との連携を強化、INMETROへの政策提言、対ANVISA向けの政策提言書のフォロー、またJETROが契約している法律事務所の進め方ついて、議論を行った。

参加者は、高柳分科会長(島津製作所)、安楽氏(島津製作所)、塩田副分科会長(フジフイルム)、水谷副分科会長(パラマウントベッド)、三好副分科会長(テルモ)、朝倉氏(カネカ)、西脇氏(コニカミノルタ)、板垣氏(パナメジカル)、山田氏(オムロン)、近藤氏(タカラベルモント)、中山氏(3Dマトリックス)、岩瀬氏(ジェトロサンパウロ)、古木氏(ジェトロサンパウロ)、斉藤氏(JICAサンパウロ)、藤原書記官(大使館)、上田領事(サンパウロ総領事館)、鹿児島領事(リオ総領事館)、柳沢氏(サンタクルズ病院)、平田事務局長、吉田調査員。

新旧常任理事の歓送迎会を開催

2019年3月21日(木)正午よりサンパウロ市内のレストランで新旧常任理事の歓送迎会を開催し9名が参加、新旧の常任理事の歓送と歓迎を華やかに行った。

参加者は、帰任する植田真五副会頭(三菱重工)、松永愛一郎専任理事(伯国三菱商事)、粟屋 聡 元専任理事(双日ブラジル)と着任した永谷佳久専任理事(ブラジルトヨタ)、その他 安田篤副会頭(損保ジャパン)、大久保 敦副会頭(ジェトロ・サンパウロ)、村田俊典副会頭(双日ブラジル)、鈴木ワグネル専任理事(ホス建設)、また事務局より平田事務局長。

今年は中規模不動産会社が飛躍的成長か

過去最低の6.5%を継続している政策誘導金利(Selic)やコントロールされているインフレ、緩やかな経済回復に伴って、過去3年以上低迷していた不動産業界に活気が戻ってきている。

しかし大半の大手不動産開発会社は、高金利による負債増加やラヴァ・ジャット汚職事件などの影響を受けて、会社更生法適用されている大手不動産会社を多く、中規模不動産開発会社にとっては、販売拡大のチャンスとなっている。

不動産デベロッパーVitacon社のAlexandre Frankel社長は、今年の住宅販売総額(VGV)を23億レアルと前年比87%増加を見込んでおり、高級マンション販売の最大手不動産デベロッパーCyrela社の昨年の住宅販売総額の50%に相当する売り上げを見込んでいる。

また中規模不動産デベロッパーYou社の元Even社パートナーのAbrão Muszkat社長は、今年の住宅販売総額(VGV)を8億レアル~9億レアルと昨年の5億レアルの70%前後増加を見込んでおり、ピニェイロス地区にツインタワーを建設、テナントとしてレストラン、レジデンス、ホテル、診療所の入居が予定されている。

You社では2021年に新規株式公開(IPO)で莫大な資金調達を予定している。また中規模不動産デベロッパーSetin社は、今年の住宅販売総額(VGV)を6億5,000万レアルと昨年の5億レアルを30%上回る販売計画を立てているが、2020年には10億レアルと強気な売上を見込んでいる。

またSetin社はアマゾナス州に本社を置くCapital社と共同でMundo Apto社を設立、過去数年間最も拡大した大衆住宅建設プログラム“私の家、私の暮らし”(MCMV)にターゲットを当てた低所得層の住宅販売を拡大する。

ブラジル建設工業会議所(Cbic)のジョゼ・カルロス・マルティンス会長は、今年の中級並びに高級住宅販売リリース軒数及び販売額は、前年比20%~30%増加を予想している。

Itau BBA社住宅部門アナリストのエンリコ・トロッタ氏は、中級並びに高級住宅購入向け銀行金利は9.0%と一桁台まで減少、また住宅在庫も過去最低水準まで低下していると指摘している。(2019年3月21日付けエスタード紙)

通貨政策委員会は、政策誘導金利(Selic)を8回連続で6.5%据置を決定

昨日中銀のロベルト・カンポス・ネット総裁として初めて開催した通貨政策委員会(Copom)では、全会一致で政策誘導金利(Selic)を8回連続で6.5%の据置を決定した。

ブロードキャスト・プロジェクションによる43金融機関対象の調査によると、全ての金融機関エコノミストは、政策誘導金利(Selic)の6.5%の据置を予想していた。

中銀の通貨政策委員会(Copom)の議事録では、委員会理事の大半はブラジルの経済回復が予想を大幅に遅れて憂慮しており、エコノミストの中には、今後数か月後の政策誘導金利(Selic)の切下げを予想している。

Infinity Asset Management社は、ブラジルのインフレ指数を差引いた実質金利は2.31%まで低下しており、アルゼンチンの実質金利10.19%、トルコの6.91%、メキシコの4.18%を大幅に下回っている。

ブロードキャスト・プロジェクションによる43金融機関対象のSelic金利調査によると、43金融機関のうち8金融機関では、今年末のSelic金利引き下げを予想している。(2019年3月21日付けエスタード紙)