メキシコとの自動車自由貿易協定発効

昨日の夜7時にブラジル政府並びにメキシコ政府は自動車自由貿易協定にサイン、今日19日から発効されるが、両国で現地生産している自動車メーカーは、輸入枠や輸入税などの貿易障害が一切ない自動車貿易が可能となる。

全国自動車工業会(Anfavea)のアントニオ・メガーレ会長は、ブラジルの自動車業界の競争力はメキシコに劣っているために、輸入枠制度の3年間延長を希望していた。

また両国政府は自動車部品の現地調達率を35%、特定の部品に関しては40%で合意したが、ブラジルの自動車メーカーはメキシコ製自動車の現調率の低さを指摘している。

ブラジルとメキシコは2002年に自動車貿易協定を締結、2015年に最後の見直しが行われたが、輸入枠制度の5年間の延長、昨年3月からの1年間の輸入枠は両国とも17億ドルであった。

メキシコからの輸入自動車は、ブラジルの輸出向け自動車よりも付加価値の高い自動車が大半で、ワーゲン社のJetta車並びに Tiguan車、シボレー社のTracker車並びに Equinox車、フォード社のFusion車、Audi社のQ5車、日産社のSentra車などが輸入されている。

一方ブラジルからメキシコ向け輸出として、Gol車並びにUP車、Onix車、Civic車、Ecosport車と低価格の大衆向け自動車輸出が大半を占めている。またトラックやバス輸出は2020年から開始される。

今回のメキシコとの自動車自由貿易協定の発効は、アルゼンチンとの自動車自由貿易協定の締結に弾みがつくと予想されているが、現在の自動車協定は2020年6月まで有効で、アルゼンチンから1ドルの輸入に対して、ブラジルは1.5ドルの輸出が免税となる。

2018年のブラジルのメキシコも受け自動車輸出は前年比42%減少の5万2,300台で輸出総数の9.0%に留まった。昨年のブラジルの自動車輸出は前年比18.3%減少の59万5,432台、アルゼンチン向け輸出はアルゼンチンの為替危機の影響で、前年の54万6,000台から42万2,000台と大幅に減少していた。(2019年3月19日付けエスタード紙)

今年1月のIBC-Brは前月比マイナス0.41%

四半期ごとの正式な国内総生産(GDP)は、ブラジル地理統計院(IBGE)から発表されるが、中銀はIGBEのGDP伸び率の発表前に、先行指標として経済活動指数(IBC-Br)を発表、2019年1月の経済活動指数(IBC-Br)は、前月比マイナス0.41%と金融市場関係者の予想を下回った。

Valor Data社の22金融機関対象の調査によると、今年1月の経済活動指数(IBC-Br)の平均伸び率予想はマイナス0.23%、実際の経済活動指数は予想を大幅に下回って景気回復の兆しが見られない。

昨日発表の中銀の最終フォーカスレポートによると、今年のGDP伸び率は、前回予想の2.28%から2.01%と大幅に下方修正されたが、2月末の予想は2.48%であった。ブラデスコ銀行では、今年のGDP伸び率予想を2.80%から2.40%と大幅に下方修正している。

今年1月の経済活動指数(IBC-Br)のうちサービス部門の経済活動指数はマイナス0.8%、鉱工業部門はマイナス0.3%、唯一自動車や建材を含む広範囲小売部門は1.0%増加している。

また今年1月の経済活動指数(IBC-Br)は前年同月比0.79%増加、1月の過去12か月間のIBC-Br指数は1.03%増加、昨年9月の過去12か月間のIBC-Br指数は1.52%から大幅に減少してきている。

今年1月のIBC-Br指数は、2013年12月に記録したピーク時のIBC-Br指数よりも7.1%減少、一方2016年12月の底を打ったIBC-Br指数よりも4.4%増加している。

アルゼンチン経済のリセッションによる自動車輸出の減少、米中貿易摩擦に起因した世界経済の縮小傾向、国内では一般消費者や企業経営者の改善しない景況感、低迷する失業率、新社会保障案の修正案の内容や国会承認待ちにも拘らず、サンパウロ平均株価(Ibovespa)が10万ポイントを突破したが、実体経済は低調に推移している。

 ヴォトランチン銀行では、今年1月のサービス部門伸び率は経済リセッション前のマイナス6.0%、鉱工業部門はマイナス12.0%、サービス部門はマイナス10.0%、建設部門はマイナス24.0%、今年のGDP伸び率を1.7%増加に留まると悲観的な予想している。

しかしイタウー銀行並びにサフラ銀行では、今年2月の鉱工業部門生産は今年のカーニバルが3月に行われた影響で、2月の実質営業日増加が寄与して1.3%増加を予想している。

今年1月の資本財部門伸び率は、昨年11月のマイナス3.5%、12月のマイナス4.1%から一転して3.0%増加したとテンデンシアス・コンスルトリア社エコノミストのチアゴ・シャヴィエール氏はコメントしている。(2019年3月19日付けエスタード紙)

マイア下院議長は新社会保障案の賛成票は320票に程遠い

ロドリゴ・マイア下院議長は、新社会保障改革案の下院議会での投票を上半期末までに終える予定をしているにも拘らず、国会通過するための308票を確実にするための320票には程遠いと読んでいる。

ゼツリオ・ヴァルガス財団(FGV)のセミナーに参加したロドリゴ・マイア下院議長は、今後10年間で1兆レアル相当する歳出削減に繋がる社会保障の憲法補足法案(PEC)の票読みについては数字を明確にしていない。

パウロ・ゲーデス財務相は、260人の下院議員が既に新社会保障改革案に賛成票を投じる票読みをしているが、この中には100人の条件付き支持の下院議員が含まれている。

現行の勤労不可能な高齢者および障害者に対する最低賃金額を支給する継続扶助(Benefício de Prestação Continuada–BPC)は、65歳で最低サラリー998.00レアルが支給されるが、新社会保障案では、60歳で400.00レアル、70歳に達すれば最低サラリー998.00レアルの支給案に対して、論争が噴出している。(2019年3月19日付けエスタード紙)

 

ブラジル政府は日本など4カ国の観光や短期商用ビザ免除

連邦政府は18日、日本並びに米国、オーストラリア、カナダの4カ国に対して、観光や短期商用査証(ビザ)免除を発表。観光ビザ免除に伴って外国人観光客の増加が予想されている。

ジャイール・ボルソナロ大統領の訪米に合わせてビザ免除の発表を行ったが、6月17日以降4カ国の国民を対象に、観光や短期出張でビザなしで入国できるようになる。

ブラジル観光省の発表によると、2017年の観光ビザ免許国4か国の訪問客は61万8387人、連邦政府は昨年1月から電子査証システム(e-Visa)を開始。現在、オーストラリア、カナダ、米国及び日本国籍所有者へ適用している。

またブラジル観光省は昨年の4カ国向け電子査証システム(e-Visa)開始で、訪問客は前年比35.23%増加、10億ドル相当の経済効果に結び付いていると説明している。

昨年の外国人観光客は670万人に達したものの2022年には2倍の1,200万人の観光客を見込んでいる。昨年の海外旅行収支は132億ドルの赤字を記録している。(2019年3月19日付けエスタード紙)

空港民営化入札で23億8,000万レアルの臨時歳入

ジャイール・ボルソナロ新政権で初めての民営化コンセッション入札は、3月15日に実施され、国内12カ所のリージョナル空港民営化入札で、国庫庁には最低入札価格の986%相当の23億8,000万レアルの臨時歳入を記録した。

北東部地域の6カ所の中規模空港の民営化では、ペルナンブーコ州レシーフェ空港並びにアラゴアス州マセイオ空港、パライバ州ジョアン・ペソア空港並びにカンピーナ・グランジ空港、セルジッペ州アラカジュ空港、セアラー州ジュアゼイロ・ド・ノルテ空港は、スペイン資本アレーナ社が最低価格の1010%に相当する19億レアルで落札した。

また南東部地域ではエスピリット・サントス州ヴィトリア空港並びにリオ州マカエ空港の2空港抱合せの民営化入札では、Zurich Airport社が最低価格の830%に相当する4億3,700万レアルで落札した。

マット・グロッソ州内の空港民営化では、クイアバ空港並びにAlta Floresta空港、Rondonopolis空港、Sinop空港は、高速道路民営化コンソーシアムを形成するSocican Terminais Rodoviarios e Sinart社が最低価格の4739%に相当する4,000万レアルで落札している。

2020年9月までに更に22カ所のリージョナル空港の民営化入札が予定されているが、サンパウロ市のコンゴニアス空港並びにリオ市のサントス・ヅモン空港の民営化入札は2022年が予定されている。

北東部地域の6カ所の中規模空港を落札したスペイン資本アレーナ社は、既にメキシコ並びにコロンビア、ジャマイカで空港を運営しており、今回のブラジル国内の空港民営化落札で、世界46カ所の空港民営化運営となる。

エスピリット・サントス州ヴィトリア空港並びにリオ州マカエ空港を落札したZurich Airport社は、2017年にもミナス州コンフィンス空港並びにサンタ・カタリーナ州フロリアノポリス空港を落札していた。

マット・グロッソ州内の3空港を落札したSocican Terminais Rodoviarios e Sinart社は、2016年2月にゴイアニア空港、2015年11月にカルダス・ノーヴァス空港を落札していた。(2019年3月16日付けエスタード紙)

過去3年間で25%の有名ブランド撤退

イタリアの高級ファッションブランドのヴェルサーチ(Versace)やランバン(Lanvin)などが相次いでブラジルからの撤退が相次いでおり、ヴェルサーチはサンパウロ市内のイグアテミーショッピングセンターのみ営業を続けている。

フランスのファッションブランドのランバン(LANVIN)は、婦人・紳士向け既製服、香水、ならびにアクセサリーなどを販売、ウェア以外にもインテリアなどにも進出してライフスタイルそのものをサポートするグローバル・ブランドとなっている。

ブラジルではランバン(LANVIN)並びに財布やカード入れのケイトスペード (kate spade)、スイスの高級ラグジュアリー時計のヴァシュロン・コンスタンタン(Vacheron Constantin)が相次いで撤退している。

2014年から始まったブラジルの経済リセッションの影響を受けて、2016年のブラジル国内の高級ブランド市場は前年比14.6%縮小、2017年も8.5%縮小している。

イタリア製高級腕時計パネライ( PANERAI)やフランスのヴァン クリーフ & アーペル(Van Cleef & Arpels)を取扱っているスイス資本Richemont社は、年内にブラジルから撤退を予定している。(2019年3月18日付けエスタード紙)

 

Kawasaki Motores do Brasil Ltda一行が訪問

Kawasaki Motores do Brasil Ltdaの安武敬二社長並びに後任の河口直樹社長が2019年3月15日に商工会議所を訪問、安武敬二社長は応対した平田藤義事務局長に帰任挨拶を行い、後任の河口直樹社長は着任挨拶を行った。昨年6月に川崎モーターズは設立10周年記念を盛大に開催、安武社長はブラジルに進出した年が米国発リーマン・ショックの年(2008年)、その直後(2010年)にV字型回復を果たしたブラジル経済、それから4年後、史上最悪・未曾有な経済危機に遭遇、景気の浮沈に翻弄された10年間を感慨深く回顧。次の飛躍に向け果敢にチャレンジしていた。

今年はマナウス工場の操業開始10周年の節目で、またパラー州トメアス―入植90周年に当たり、河口直樹社長は、ジャイール・ボルソナロ新政権と共に新たな飛躍にチャレンジしたいと述べた。

Fujiyoshi Hirata, Naoki Kawaguchi e Keiji Yasutake

Foto: Rubens Ito / CCIJB

モジ市の第35回秋祭り案内で訪問

サンパウロ市近郊のモジ・ダス・クレーゼス市文協主催恒例の第35回秋祭り案内のため2019年3月15日に、モジ文協の松本茂評議委員会会長並びにモジ市役所の前市会議員議長のペドロ・コムラ市会議員が商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長に、4月6日、7日、13日並びに14日にモジ市ポルテイラ・プレータ区の文協スポートセンターで開催される秋祭りを案内した。(詳細はtelefone (11) 4791-2022 秋祭りサイト Akimatsuri.)

今年の秋祭りは土曜に午前10時から午後10時、日曜日は午前10時から午後9時。秋祭りには、農畜産物産展、日本食、ミス秋祭り選考、灯篭流し、有名日系歌手によるショーが予定されており、毎年8万人前後の入場者を誇る一大日系イベントとなっている。

Fujiyoshi Hirata, Pedro Komura e Shigeru Matsumoto

Foto: Rubens Ito / CCIJB

回章 CIR-033/19     南米南部(アルゼンチン・ウルグアイ)ビジネス環境視察ミッション案内

                                            CIR-033/19
                                            2019年3月15日
会員各位

                                            ジェトロ・サンパウロ事務所
                                            (企画戦略委員会)

                                            ブラジル日本商工会議所
                                            運輸サービス部会
                                            相互啓発委員会

 

       南米南部(アルゼンチン・ウルグアイ)ビジネス環境視察ミッションのご案内

                    (2019年4月23日(火)~26日(金))

今般、ブラジル日本商工会議所では、ジェトロとの共催で「南米南部(アルゼンチン・ウルグアイ)ビジネス環境視察ミッション」を派遣します。
2018年11月30日から12月1日かけて開催されたG20サミットにあわせて、安倍首相がアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの南米南部共同市場(メルコスール)構成国を訪問しました。

アルゼンチンは、2018年に入り経済が低迷し、2019年10月には大統領選挙を控えるなど流動的な時期にありますが、2020年以降は再びプラス成長を回復することが見込まれています。国内にはシェールガス・オイルやリチウムなどといった開発途上の天然資源があり、ブエノスアイレス首都圏(人口1,300万人)を抱える消費市場があるなど、同国のポテンシャルは有望であることが語られています。新規産業分野でもIT関連「ユニコーン」企業が4社あるなど、政府を挙げて更なる取り組みを行っています。

ウルグアイは中南米で最も一人当たりのGDPが高い国であり、15年連続GDPプラス成長を継続させている安定した市場です。ビジネスを展開する上でも中南米で最も透明性や公平性が高い国であることが知られています。南米の大国であるブラジルとアルゼンチンへのアクセスに優れ、免税措置などの特典を有するフリーゾーンやフリーポートを有することから主に物流拠点としての活用が進んでいます。また、一人あたり固定ブロードバンド契約数などでは南米で特出するなど、IT環境の整備などにも取り組んでいます。

本ミッションでは、最新のビジネス環境に加え、「イノベーション」及び「ロジスティック」をキーワードにしたビジネス環境についての情報提供をします。また、施設・企業訪問などを通じて、現地の先端技術企業、投資誘致機関および業界団体など現地のエコシステムのキープレーヤーとなりうる人脈との関係構築の機会を提供します。

両国のビジネス情報収集の絶好の機会と考えておりますので、ご関心をお持ちの皆様は是非参加をご検討ください。(参加費無料、定員30名)

お申し込みは以下のサイトよりお願いいたします。

【南米南部(アルゼンチン・ウルグアイ)ビジネス環境視察ミッション】
https://www.jetro.go.jp/events/bda/396339f0e706fa0d.html

【案内書】
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Events/bda/1904arbm/r2annai.pdf

ミッションに関するお問い合わせ:
ジェトロ・ブエノスアイレス事務所 (担当:ヤマキ、髙橋)
Tel:+54-11-5235-0977
E-mail:infobuenosaires@jetro.go.jp

 

一般消費者のクレジット延滞率は減少傾向

ブラジル小売販売業者連盟(CNDL)並びにブラジル・クレジット保護サービス(SPC Brasil)の調査によると、2019年2月の一般消費者のクレジット延滞率は、前年同月比1.78%増加したにも関わらず、2017年12月以降では最低の延滞率を記録している。

2018年11月の一般消費者の延滞率は6.0%とピークに達していたにも関わらず、今年2月の延滞率は、前月比0.08%減少して過去3カ月連続で減少傾向を示している。

ブラジル・クレジット保護サービス(SPC Brasil)の調査によると、ブラジル国内の個人消費者6,200万人は、自然人所得税納税者カード(CPF)がネガティヴで、不渡り若しくは負債返済遅延と判定されている。

自然人所得税納税者カード(CPF)がネガティヴ登録されると、金融調査会社のブラックリストに記載され、商品購入や金融ファイナンスで大きな制限を余儀なくされる。

ネガティヴ登録されている6,200万人の一般消費者は、18歳以上の人口の40%に相当、年齢別ネガティヴ登録では、30歳~39歳の人口の51%に相当がCPFネガティヴ登録となっている。

また25歳~29歳の人口の43.4%、65歳~84歳の人口の32.8%がそれぞれCPFネガティヴ登録となっている。地域別では南東部地域の大人の一般消費者の40%がCPFネガティヴ登録リストに掲載されている。

前記同様に北東部地域の39.8%、南部地域の36.9%、中西部地域の41.8%、北部地域の46.9%がそれぞれCPFネガティヴ登録リストに掲載され、商品購入や金融ファイナンスで大きな制限を受けている。

CPFネガティヴ登録リストに掲載された要因では、今年2月の小売販売店への負債支払い遅延が前年同月比6.9%減少、セルラー電話料金支払い遅延は9.6%減少して改善している。

しかし今年2月の銀行へのクレジットなどの支払い遅延は前年同月比2.0%増加、水道料金・電気料金支払い遅延は11.4%と二桁増加を記録している。50歳以上の一般消費者の負債の支払い遅延が上昇してきている。

今年2月の50歳~64歳の一般消費者の支払い遅延は前年同月比2.3%増加、65歳以上は8.0%増加した一方で、50歳以下の一般消費者の負債は減少傾向を示している。

SPC Brasil社エコノミストのマルセラ・カワウチ氏は、個人向けクレジット拡大に反比例して、一般消費者のクレジット延滞率は減少傾向を示すとコメントしている。(2019年3月15日付けヴァロール紙)