Azul航空はAvianca航空買収で国内市場は三つ巴戦に突入

Azul航空は、親会社がコロンビア資本のAvianca Brasil航空を4億400万レアル(1億500万ドル相当)の買収で合意、Avianca Brasil航空のブラジル国内市場の11.08%の確保で、国内市場はGOL航空並びにLatam航空と三つ巴戦に突入してマーケットシェア争いが熾烈になると予想されている。

Azul航空によるAvianca Brasil航空の買収で、Azul航空のブラジル国内マーケットシェアは、Latam航空の29.84%を抜く31.8%に上昇、トップのGOL航空の38.81%に肉薄する。

またAzul航空によるAvianca Brasil航空の買収で、Avianca Brasil航空が所有する30機の航空機並びに航空機が、空港への離陸又は着陸の度毎に滑走路を使用することができる70スロット(発着枠)を確保する。

Azul航空は、ブラジル国内で最も発着枠確保が熾烈なサンパウロ市内のコンゴニアス空港の13スロット枠は、Avianca Brasil航空の買収で、21スロット増加して34スロットを確保する。

Azul航空によるAvianca Brasil航空の買収には10億レアルに達する負債を除外されるが、昨年12月にAvianca Brasil航空は、負債未払いに伴う機体差し止めを防ぐため、会社更生法(Recuperação Judicial)の適用をサンパウロ地方裁判所に申請していた。(2019年3月12日付けエスタード紙)

 

パウロ・ゲーデス財務相は新社会保障案承認には48票不足と胸算用

パウロ・ゲーデス財務相は、エスタード紙とのインタビューで新社会保障案が下院議会での承認を得るには、僅か48票が不足しているに過ぎないと楽観的な胸算用をしている。

新社会保障案に賛成票を投じる160人の下院議員は既にメディアで公表しており、またその他の100人の下院議員は、新社会保障案に賛成票と投じるとゲーデス財務相はプラナルト宮に報告、新社会保障案の可決に必要な308票には僅か48票が不足しているとパウロ・ゲーデス財務相は楽観的なコメントをしている。

エスタード紙とのゲーデス財務相のインタビュー記事は、昨日8日ブロードキャストで報道された影響で、サンパウロ平均株価(Ibovespa)は1.09%上昇の9万5,364ポイントを付けた。

しかし下院議会リーダーのジョイセ・ハッセルマン議員(Joice Hasselmann 社会自由党 PSL-SP)は、下院での票読み中であり、48票不足との集計はでていないと社会自由党内でも足並みが揃っていない。

またパウロ・ゲーデス財務相は、新社会保障案による10年間での1兆レアルの歳出削減は不可避であり、新社会保障原案を緩めれば次世代に負担が拡大すると指摘している。(2019年3月9日付けエスタード紙)

サンパウロ州政府は自動車メーカー撤退抑制でICMS減税か

昨日、サンパウロ州政府のジョアン・ドリア州知事は、サンパウロ州内の自動車メーカーの投資活性化のIncentivAuto(自動車工業優遇税制)プログラムとして、商品流通サービス税(ICMS)を最大25%カットする減税政策導入を発表した。

ジョアン・ドリア州知事のIncentivAuto(自動車工業優遇税制)プログラム発表の数週間前に、ブラジルGM社はブラジル国内でトップシェアを占めているにも関わらず、ブラジル並びに南米支店では赤字を計上、1月下旬にGM本社のMary Barra社長は、赤字体質の支店に投資継続は意味がないために、短期間のうちでの黒字計上のためのコストカットができないならブラジルからの撤退も仄めかしていた。

またフォード社の南米地域の事業では2013年~2018年にかけて45億ドルの赤字を計上、フォード社は、トラック並びにコンパクトカーFIESTA車を生産しているサンパウロ州サン・ベルナルド・ド・カンポ工場閉鎖を発表していた。

IncentivAuto(自動車工業優遇税制)プログラムは、自動車メーカーが最低でも10億レアルの新規投資や自動車工場拡張、400人以上の新規雇用に結び付く投資をすれば商品流通サービス税(ICMS)を最大で25%減税する優遇税制となっている。

自動車工業優遇税制プログラムによる商品流通サービス税(ICMS)の減税は、あくまでサンパウロ州内の自動車工業の活性化導入プログラムであり、自動車メーカー誘致のための州政府間の税金戦争に繋がるものではないとドリア州知事は強調している。

しかしフォード社は、サン・ベルナルド・ド・カンポ工場閉鎖後にバイア州カマサリ工場での自動車増産を発表、またGM社は、サンパウロ州政府と商品流通サービス税(ICMS)クレジット相殺で交渉、サン・カエターノ・ド・スール市役所とは、最低課税率2.0%の市税であるサービス税(ISS)並びに都市不動産所有税(IPTU)の免税で交渉していた。

自動車工業優遇税制プログラムは、サンパウロ州内13メーカーの29自動車工場が対象であり、またフォード社のサン・ベルナルド・ド・カンポ工場を買収する企業も対象となっている。(2019年3月9日付けエスタード紙)

道路民営化コンソーシアムは僅か22%の複線化実行

ジウマ・ロウセフ政権下の2013年~2014年の国道民営化入札で落札した5コンソーシアムは、契約書に記載されている5年間での複線化完成には程遠い僅か22%の複線化に留まっている。

連邦会計検査院(TCU)では、国道民営化コンセッションを落札したコンソーシアムは、過去5年間で通行料金を51.3%~93.5%値上げしており、この間のインフレ指数である広範囲消費者物価指数(IPCA)の40%を大幅に上回る値上げをしている。

国道民営化による5国道の複線は60カ月以内に完成しなければならないが、CCR社が落札した南マット・グロッソ州の国道163号線の806.3キロメートルの複線工事のうち完成しているのは僅か150キロメートルに留まっているが、CCRでは環境ライセンス認可の遅れで、州都カンポ・グランデ市環状線工事に問題をきたしていると指摘している。

ブラジリア市とミナス州をつなぐ国道40号線の民営化コンセッションを落札したInvepar社は、ラヴァ・ジャット汚職疑惑による社会経済開発銀行(BNDES)のクレジット停止で、557キロメートルの複線化工事は117.6キロメートルで停止を余儀なくされている。

またオデブレヒト社が落札したマット・グロッソ州の国道163号線の複線化工事453.6キロメートルのうち僅か117.6キロメートル、Triunfo社が落札した国道60号線/153号線/262号線の複線化工事647.8キロメートルのうち僅か80キロメートル、ゴイアス州とミナス州をつなぐ国道50号線を落札したコンソーシアムは、複線化工事218.5キロメートルのうち176キロメートルを完成されている。(2019年3月11日付けヴァロール紙)

若手日系チェリストムラモトさん演奏会開催

在外公館文化事業の若手日系チェリストのルカス・ムラモト(Lucas Garcia Muramoto)さん並びにピアノ伴奏の田代みちこさん(Michiko Tashiro Licciardi)の演奏会は2019年3月8日昼に総領事公邸で開催、商工会議所から安田篤副会頭、平田藤義事務局長夫妻が参加。ヴィラ・ロボス、ハイドン、尾高尚忠、バッハなどの曲目が演奏された。

ルカス・ムラモトさんは、2000年にサンパウロ州イタポランガ市生まれ。8歳からチェロを習いだし、2015年に著名なチェリストのアントニオ・メネーゼス氏にその才能を認められ、2015年から2017年まで日本でケイ・ヤマザワ氏並びにケンジ・ナカギ氏の門下生として腕を磨く。2018年からOSESP音楽アカデミーに所属。

日本生まれの田代みちこさんは、10歳まで米国やドイツに滞在、幼少期よりピアノを練習。ドイツ在住時にケルン上級音楽学校卒業。2014年から2018年半ばまでMusikscule Bochumでピアノ教授として教鞭をとった。2018年下半期に来伯、色々なところでピアノを教授、また色々なコンサートに参加して活躍している。

 

事務局便り JD-020/19     講演会「日本から見た安全保障観」のご案内

                                            事務局便り JD-020/19
                                            2019年3月8日
会員各位
                                            ブラジル日本商工会議所 事務局
 
サンパウロ大学法学部より磯部晃一元陸将補(現ハーバード大学アジアセンター上級研究員)の講演会「日本から見た安全保障観」のご案内を頂きましたので以下転送申し上げます。
参加費無料、事前のお申し込みは必要ございませんので皆様奮ってご参加ください。

【添付】磯部晃一略歴(日英)

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~ ご招待 ~

サンパウロ大学法学部国際法・比較法学科は磯部晃一元陸将補(現ハーバード大学アジアセンター上級研究員)をお招きして講演会を開催します。

日時              2019年3月12日(火)18時以降
場所              サンパウロ大学法学部教授会会議室
               Largo do São Francisco, 95 – 1º andar
Sala da Congregação
題目                「日本から見た安全保障観」
参加費            無料
事前お申込みは必要ございません。

お問い合わせ先
二宮正人サンパウロ大学法学部教授
11-3866-2400    

Palestra do General (Reformado) Koishi Isobe (Atual Pesquisador Senior do Centro Asiático da Universidade Harvard), sob tema “Visão da Segurança sob uma perspectiva japonesa”
Local: Faculdade de Direito da Universidade de São Paulo, Largo do São Francisco, 95 – 1º andar
            Sala da Congregação
Data:  12 de março de 2019 – 18 h
Palestra em língua japonesa, com tradução consecutiva para o vernáculo
Participação: gratuita
Não há necessidade de inscrição prévia

Para maiores informações contatar:
Prof. Dr. Masato Ninomiya (FDUSP)
11-3866-2400    

 

【ソフトバンクがラテンアメリカ向けに50億ドルの投資ファンドを設立】

日本資本のテクノロジー会社ソフトバンクのCOOでボリビア人のマルセーロ・クラウレ氏が、同社のポジショニングの強化に取り組みつつ、ラテンアメリカにおけるテクノロジー業界向けの50億ドルの投資ファンドの指揮を執る。

ソフトバンクが3月7日に発表したもので、同社は、米通信会社スプリントの元CEOでもあるクラウレ氏が責任者となる新しいファンドに対して20億ドルを拠出する。ほかに30億ドルを、社外から集める予定。

クラウレ氏が管理するファンドは、同じくソフトバンクが設立し、約1,000億ドルの資産を保有するソフトバンク・ビジョン・ファンドとは別に管理される。こちらの資金はドイツ銀行の元行員、ラジーブ・ミスラ氏が責任者である。

ミスラ氏は2014年にソフトバンク・グループに入社し、すぐに、影響力を持つ役員の1人になった。

ソフトバンクは、創業者で代表取締役会長の孫正義氏が社主であり経営者として投資の判断に大きな影響力を持つ。

だがクラウレ氏は、ミスラ氏の他に、元銀行家でゴールドマン・サックス出身で孫氏の後継者とみなされている佐護勝紀氏と共に3人いる副社長の1人である。

富豪で実業家のクラウレ氏は、ソフトバンクが2013年に買収したスプリントの事業刷新を推進するため、同氏が2013年に設立した米ブライトスターをソフトバンクが後に買収して呼び込んだことで同社入りした。

クラウレ氏はさらに、ソフトバンクがT-モバイルと進めているスプリントの売却交渉という、規制当局による複雑な分析を必要とする問題についても統括する立場にある。

ソフトバンク社内でクラウレ氏は、同社が抱える大規模な投資ポートフォリオの財務目標を確実に達成させるという責務を負っている。

その外にも同氏は、情報漏洩に孫氏が落胆する事態が発生したことを受け、同社のコミュニケーション戦略を強化するという役割も担った。

なお「ファイナンシャル・タイムズ」が行った以前のインタビューでクラウレ氏は、自身を孫氏の後継者とする見方を否定している。

ラテンアメリカにおけるスタートアップへの投資を目的に設定される今回のファンドは、サウジアラビア政府とアブダビ政府が投資を確約し600億ドルの支援を受けるソフトバンク・ビジョン・ファンドを同社が設立してわずか3年足らずというタイミング。このファンド設立以降、孫氏は、ファンドと投資の運用を同グループの戦略の柱のひとつとして強化するという野心を表明し続けてきた。

ラテンアメリカにおける同社の投資には、2017年の配車アプリのスタートアップである99に対する1億ドルの投資がある(同社は99の経営パートナーからは撤退済み)。ソフトバンク・ビジョン・ファンドも同様に、ブラジル国内で別のスタートアップ、ロギ(Loggi)に投資している。クラウス氏は声明の中で、「この地域には様々なイノベーションや変化が生まれており、ビジネス・チャンスは今後さらに大きくなると確信している」とコメントした。

ソフトバンクはさらに、第2のソフトバンク・ビジョン・ファンドを設立するための資金の確保を試みている。ただしこの努力は、2018年10月に在イスタンブール・サウジアラビア大使館内でジャーナリストのジャマル・カショギ氏が殺害される事件を受けて世界的に同国への批判が拡大したことから足踏みしている。(2019年3月8日付けバロール紙)
 

 

ジェトロサービス産業部商務・情報産業課の栗原環課長代理が訪問

日本貿易振興機構(ジェトロ)サービス産業部商務・情報産業課の栗原環課長代理が2019年3月8日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長並びに日下野成次総務担当とスタートアップ育成における日伯共同政策など多岐にわたって意見交換した。

Kan Kurihara e Fujiyoshi Hirata

今年は7年ぶりに賃貸オフィスや倉庫が上昇サイクル入り

今年はサンパウロ市内の賃貸オフィス物件は上昇サイクルに突入すると予想、オフィス賃貸料金は、前年比5.0%~10.0%値上がりすると不動産コンサルタント会社JLL社のパウロ・カソリ取締役は予想している。

2018年のサンパウロ市内の1平方メートル当たりのオフィス賃貸料は前年比1.0%増加して、2012年以降毎年下がり続けていた傾向が上昇に転じ、昨年第4四半期の1平方メートル当たりのオフィス賃貸料は83レアルに達していた。

昨年の立地条件の優れたオフィスでは、入居が退居を29万1,000平方メートル上回り、テクノロジー関連企業や消費財、ファイナンシャル、共有しながら独立した仕事を行う共働ワークスタイルのコワーキング(Coworking)が牽引している。

JLL社では、今年のサンパウロ市内の賃貸オフィスは20万平方メートルの成約を予想、昨年の賃貸オフィスの空室率は前年の24.9%から22.3%と改善したが、今年は更に前年比3.0%~5.0%改善すると予想している。

2017年のファリア・リマ通り並びにジュセリーノ・クビチェック通り、パウリスタ通り、カルロス・ベリーニ通りの平均賃貸オフィスの平均空室率は16.0%であったが、昨年は10.0%まで改善、今年は広い賃貸オフィスの契約は困難になるとJLL社のパウロ・カソリ取締役は予想している。

昨年の製造業やロジスティク向けブラジル国内の貸倉庫は、前年比2倍に相当する120万平方メートルが成約したが、昨年末の貸倉庫の空室率は22.0%と前年の25.0%から改善している。

昨年の新規貸倉庫は58万9,000平方メートル、そのうちサンパウロ州は36%を占めてトップ、リオ州は21.0%、ミナス州は17.0%、今年の新規貸倉庫は63万4,000平方メートルが見込まれている。

今年の新規貸倉庫の建設は特にサンパウロ州並びにリオ州、サンタ・カタリーナ州、ミナス州、セアラ州、セルジッペ州での建設が見込まれている。昨年の貸倉庫の1平方メートル当たりの賃貸料は18.22レアルであった。

昨年第4四半期の大型貸倉庫物件の成約はサンパウロ州が3件でジュンジアイ市並びにソロカバ市、アラサリグアマ市、その他はミナス州並びにパラナ州、セアラ州であったとJLL社は把握している。(2019年3月8日付けヴァロール紙)

ソフトバンクは50億ドル規模のラテンアメリカファンド設立

昨日ソフトバンク社は、総額50億ドルに達するラテンアメリカ地域攻略する最先端テクノロジー向け投資ファンドを設立後、Eコマース並びにデジタルファイナンスサービス、ヘルスケア、運輸業、保険業といった領域のスタートアップに果敢に投資すると発表した。

特にラテンアメリカ地域ではブラジル並びにチリ、アルゼンチン、コロンビア、メキシコ市場で攻勢をかけるが、イノヴェーションファンドのラテンアメリカ本部の設立国は選定中となっている。

新たなイノヴェーションファンドの投資や運営を担うのは、SoftBank Latin AmericaのCEOに就任したボリビア人のマルセロ・クラウレ氏、現任のSBG取締役副社長 COO、SoftBank Group InternationalのCEO、Sprint CorporationのExecutive Chairmanも兼任する。

総額50億ドルのラテンアメリカ市場に特化したイノヴェーションファンドのうちソフトバンクは20億ドルを出資、残り30億ドルは海外投資家から調達を予定している。

数多くの革新や創造に優れた人材が多いラテンアメリカ地域では、かつてないほどのビジネス機運が高まっており、ソフトバンク・イノベーションファンドは、多くの人々に新たなチャンスを創出しようとしているラテンアメリカ地域のスタートアップ企業に投資するとマルセロ・クラウレ氏は説明している。

ソフトバンク社は、既にブラジルで配車サービス会社99や配送アプリLoggi、フィットネスジムを横断的に使えるサブスクリプションサービスGympassなどに投資している。(2019年3月8日付けエスタード紙)