ブラジルの鶏肉輸出では最大の貿易相手国であるサウジアラビアは、ブラジルの鶏肉輸出企業30社のうち5カ所の食肉加工場に対して、イスラム教国の基準を満たすような食品を保証するハラル認証の不備を指摘して、鶏肉輸出の承認を取消したとブラジル動物蛋白質協会(ABPA)では発表している。
しかし2011年までアラブ諸国連合の事務局長を務めたAmr Moussa氏は、サウジアラビア市場からのブラジルの鶏肉輸出企業への難題突き付けは、ジャイール・ボルソナロ大統領が、駐イスラエル大使館を現在のテルアビブからエルサレムへ移す意向を持っていることに起因する経済的障壁開始になる可能性があると指摘している。
1月22日から開催されている世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)に参加しているMoussa氏は、アラブ世界全体がブラジル政府のエルサレムへの移転に憂慮しており、ボルソナロ大統領は事の重大性を再認識しなければ大問題に発展すると指摘している。
2018年のブラジルのサウジアラビア向け鶏肉輸出は、輸出全体の12%に相当する48万6,400トン、25カ所の鶏肉加工場の輸出全体の63%を占めており、サウジアラビア向けには43万7,000トンを輸出している。
2016年2月~2017年1月の2年間のブラジル鶏肉輸出トップは、サウジアラビア向け鶏肉輸出の74万4,000トン、2位は中国の50万2,000トン、ヨーロッパ連合40万3,000トン、日本39万9,000トン、韓国9万8,000トン、香港25万6,000トン、シンガポール29万6,000トン、アラブ首長国連邦29万6,000トン、クエート10万7,000トン、南アフリカは22万5,000トンであった。
アウグスト・レラーの防衛相は、5カ所のサウジアラビア向け鶏肉加工場の禁輸措置は、イデオロギーの政治問題なのか判明しないが、農務省では問題解決のためのミッション派遣を検討している。(2019年1月23日付けエスタード紙)