ヨーロッパ連合は7種類のブラジル鉄鋼製品に対して輸入制限発令か

欧州連合(EU)の欧州委員会は、米国が鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置発動で米国市場から締め出された鉄鋼製品がEU市場に大量流入する懸念に対して、世界貿易機関(WTO)によって認められた貿易の防衛手段として鉄鋼製品に対する緊急輸入制限(セーフガード)の発動は1月16日に採択、2月2日からの実施が予想されている。

欧州委はシームレスステンレス鋼管など28種類の鉄鋼製品カテゴリーを対象に3年間のセーフガード措置を採用、2017年のブラジルの鉄鋼製品輸出の18.1%はヨーロッパ連合、7種類のブラジル鉄鋼製品が対象となっている。

ヨーロッパ連合による鉄鋼製品に対するセーフガード発令で、主に中国並びにインド、ロシア、韓国、トルコ、ウクライナからの鉄鋼製品輸出が大きな影響を受ける。

ブラジルの鉄鋼製品で輸出制限の対象となるのは、熱間圧延鋼、冷間圧延鋼、シームレスパイプ、亜鉛メッキ鋼板、厚板が対象となる。ヨーロッパ連合では、初年度の今年鉄鋼製品輸入量は2015年~2017年の年間平均輸入量の5.0%上乗せに制限する。

ブラジルの圧延鋼輸入量は、今年7月から1年間で最高16万8,200トンに制限されるが、2020年7月からの1年間は5.0%増加の17万6,600トンまで輸入拡大が可能となる。

世界の鉄鋼生産供給量は需要量を5億3,000万トン上回って供給過剰な状態が継続しており、供給過剰量5億3,000万トンの半分以上は、中国の生産過剰が原因となっている。

米国のトランプ大統領は、昨年3月に安全保障を理由にした米国に輸入される鉄鋼に対して25%の税政策を発表、米国向け鉄鋼製品がヨーロッパ連合への雪崩込み防御を余儀なくされている。

2000年のブラジルへの中国の鉄鋼製品輸出比率は全体の僅か1.3%に過ぎなかったが、2018年には38.0%と飛躍的に拡大している。昨年のブラジルの鉄鋼製品輸出策では北米が全体の47.5%、ヨーロッパ連合16.4%、南米16.1%、アジア9.3%、その他が10.7%を占めていた。(2019年1月14日付けヴァロール紙)

 

ペトロブラスの5か年計画の投資総額は841億ドル

ペトロブラス石油公社の2019年~2023年の新5か年投資計画による投資総額は841億ドル、そのうち石油・天然ガス開発並びに生産向け投資は大半の688億ドルを占める。

また同社では、コア事業の石油・天然ガス開発並びに生産に資本を集中するために、ポートフォーリオ事業である燃料配給事業やロジステック、石油製油所、陸上・岩塩層上海上油田の権益を積極的に売却するとロベルト・カステロ・ブランコ新総裁は2週間前の就任式で発表している。

ペトロブラスでは、北東部地域の2カ所の石油製油所並びに南部地域の2カ所の石油製油所の60%の株式の売却を計画していたが、経済防衛行政審議会(Cade)は、更に南東部地域の石油製油所売却も推奨している。

石油・天然ガス開発並びに生産向け投資総額688億ドルのうち481億6,000万ドルは生産開発向け投資、16%に相当する110億ドルは石油・天然ガス開発向け投資、96億ドルはP&D事業部並びにインフラ部門に割り当てられる。

プレソルト原油生産向けFPSO(洋上浮体式生産・貯蔵・積出施設)の石油採掘向けプラットフォームとして、新たにBuzios5が2021年から操業開始予定、Parque das Baleias並びにMero2も2022年から操業開始、Marlim1は2022年から再操業開始が予定されている。

また石油採掘向けプラットフォームSergipe並びにItapuは2023年から操業開始、Marlim2は2023年から再操業開始が予定されている。

昨年の計画ではペトロブラスの2020年にEBITDA有利子負債倍率2.5倍までの引き下げを目標にしていたが、新しい計画では2020年のEBITDA有利子負債倍率は1.5倍以下に変更している。

またペトロブラスは2023年までに風力発電事業並びに太陽光発電事業、バイオ燃料事業部門に総額4億ドルを投資する(2019年1月14日付けヴァロール紙)

 

建設不動産部会と繊維部会代表が意見交換

建設不動産部会の今川 尚彦部会長並びに繊維部会の大島 一仁部会長が2019年1月11日に商工会議所を訪問、事務局から平田藤義事務局長並びに日下野成次総務担当が参加して、今後の部会活動など多岐に亘って意見交換を行った。

Fujiyoshi Hirata, Seidi Kusakano, Kazuhito Oshima e Naohiko Imagawa

Foto: Rubens Ito / CCIJB

回章 CIR-003/19    2019年度第1回金融部会懇談会開催のお知らせ

                                      CIR-003/19
                                      2019年1月11日
金融部会 部会員 各位
                                      ブラジル日本商工会議所
                                      金融部会長 安田 篤

            2019年度第1回金融部会懇談会開催のお知らせ

拝啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申上げます。

2019年度上期業種別部会長シンポジウム開催を控えまして、2019年度第1回金融部会懇談会を1月24日(木曜日)に、下記の通り
開催させて頂きたいと存じます。

ご出欠の可否につきまして1月22日(火曜日)までに事務局までご回答頂きたくお願い申し上げます。

                             < 記 >
2019年度金融部会 第1回懇談会

日時:2019年1月24日(木曜日)15時半 ~16時半

場所:ブラジル日本商工会議所 大会議室(Av. Paulista 475, 13階 São Paulo/SP)

<議題>
1.2018年度下期金融部会活動報告
2.2019年度 金融部会部会長並びに副部会長の選出
    (以下議事進行を新部会長並びに新副部会長に交代)
3.業種別部会長シンポジウム内容について
テーマ:「2018年の回顧と2019年の展望」
副題:『追ってご連絡致します』
4.その他の事項  

 

今年のラテンアメリカ経済はブラジルとコロンビアが牽引か

2018年のラテンアメリカ諸国の平均GDP伸び率は、米中貿易摩擦激化並びに国際コモディティ商品価格の低迷で、ブラジルのGDP伸び率1.30%を下回る1.20%増加が予想されている。

しかし2019年のラテンアメリカ諸国の平均GDP伸び率は、構造改革や公共投資活性化が期待されているジャイール・ボルソナロ新政権のブラジル並びにインフラ部門への投資拡大と法人税引き下げが予想されているコロンビアが牽引して、昨年の約2倍に相当する2.20増加が予想されている。

国際通貨基金(IMF)では、2019年のブラジルのGDP伸び率は昨年の1.30%から約倍増の2.50%増加を予想、今年のコロンビアのGDP伸び率は、2014年以降では初めて3.0%を上回ると予想、アルゼンチンは、昨年のGDP伸び率が2001年以降で最悪となるマイナス2.65%からマイナス1.60%に回復すると予想している。

アルゼンチンでは今年10月に大統領選挙があり、為替危機やコントロールの利かないインフレ、国際通貨基金(IMF)の500億ドル規模の救済が不発に終われば、クリスティーナ・キルチネル元大統領の復帰もの可能性も否定できなくなる。

今年のブラジルの経済成長が低迷するシナリオとして、ボルソナロ新政権の構造改革第一弾として予定されている年金改革向け政治工作の失敗による、年金改革の先送りが最大の焦点となっている。

Oxford Economics社のカルロソ・デ・ソウザ氏は、ボルソナロ新政権の経済政策リスクとして、市場競争を重視しながら,マクロ経済の安定化や人的投資などの政府の役割を再確認する市場志向的側面(マーケット・フレンドリーアプローチ)を指摘している。

またメキシコの昨年のGDP伸び率は2.19%、今年は2.52%増加が予想されているにも拘らず、昨年12月1日に就任したアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)次期大統領は、早々にメキシコシティ空港の代替施設の建設中止を発表して、投資家や企業経営者は先行き不安を抱いている。

また大統領選挙中のブラドール大統領候補は、財政プライマリー収支のGDP1.0% 以上の黒字並びに公共投資の活性化、公務員と給与カット、政府のブロクラシー軽減や汚職撲滅を公約して当選した。

ラテンアメリカ諸国では、ブラジル並びにメキシコに次いで経済規模の大きなアルゼンチンでは、今年のインフレ指数は50%に達した昨年の半分に相当する25.0%まで削減、天候異変による壊滅的な打撃を受けた農畜産物の輸出回復を謳っているが、経済回復は今年の最終四半期までずれ込むと予想されている。

またボリビアでは今年10月に大統領選挙が予定されており、エヴォ・モラーレス大統領の4期目当選若しくは2003年~2005年に大統領を務めたカルロス・メッサ氏の復帰の可能性が話題となっているが、GDP比7.5%に相当する財政プライマリー収支赤字並びにGDP比5.3%に相当する経常収支赤字、異常に高いドル通貨に対するボリビア通貨の是正をエコノミストは指摘している。

20011年から米ドルに対するボリビア通貨は6.9ボリビアーノ (boliviano)で推移しているにも関わらず、現実的な1ドルが10ボリビア―ノの貨幣価値を大幅に上回っていると社会経済研究センターのロベルト・ラセルナ氏は指摘している。

今年のペルー経済成長率は、GDP比4.12%増加と昨年の4.10%並みの伸び率が予想されており、昨年3月に就任したマルティン・ビスカラ大統領(Martín Vizcarra Cornejo)は、企業経営者並びに海外投資家の信頼を得ている。

パラグアイは、ラテンアメリカ地域では過去10年間で最も安定した経済成長率を達成しているものの、同国経済は隣国のアルゼンチン並びにブラジルとの貿易に依存、今年のGDP伸び率は昨年の4.44%並みの4.16%増加が予想されている。

昨年のチリのGDP伸び率はGDP比3.9%、今年のGDP伸び率は法人税引き下げによる投資部門活性化などの要因で、引き続きGDP比3.41%増加をFocousEconomics社のAlmanas Stanapedis氏は予想している。

2017年の財政収支赤字がGDP比4.5%、2018年の財政収支赤字がGDP比3.0%であったエクアドルは、国際コモディティ価格が低迷している石油の輸出に依存して経済が悪化しているために国際通貨基金(IMF)に対して、80億ドル相当の財政援助に駆け込む可能性がある一方で、レニン・モレノ・ガルセス大統領は、石油の国際コモディティ価格が1バレル当たり70ドルに回復するまで、中国政府に対して16億ドルのクレジットを検討している。

過去6年間連続で経済リセッションに落込んでいる今年のヴェネズエラのGDP伸び率は、昨年のマイナス18.0%を大幅に下回るマイナス5.0%が予想されているが、輸出の98%を石油に依存しているために、昨年の1日当たりの石油生産は140万バレル、今年は油田の生産性低下やメンテナンス不足で80万バレル程度に低下が予想されている。(2019年1月11日付けヴァロール紙)

昨年のブラジルの履物輸出は二桁減少

ブラジル履物工業会(ABICALÇADOS)の発表によると、2018年のブラジルの履物輸出は前年比10.8%減少の1億1,347万促、輸出金額は10.5%減少の9億7,600万ドルを記録している。

昨年12月の履物輸出は、不透明な大統領選挙による為替変動、米国金利の引上げ、5月末から11日間継続したトラック運転手の国道封鎖抗議デモによる物流問題発生の後遺症、製造コスト上昇などの要因で前年同月比24.3%減少の1,300万促、輸出金額は16.5%減少の9,760万ドルに留まったとABICALÇADOSのエイトール・クレイン会長は指摘している。

今年のブラジルの履物輸出は、米中貿易摩擦の激化による中国の履物製品に替わるアジアの他地域からの輸出拡大予想にも拘らず、ブラジルの履物輸出は拡大すると予想されている。

昨年のブラジル製履物の米国輸出は前年比5.0%減少の1,076万促にも拘らず、輸出相手国ではトップを維持、輸出金額は12.2%減少の1億6,678万ドル、2位はアルゼンチン向けで2.0%増加の1,180万促、輸出金額は5.2%減少の1億3,938万ドルであった。

一方ブラジルの履物輸入は前年比11.8%増加の2,660万促、輸入金額は2.2%増加の3億4,755万ドル、特に中国並びにパラグアイ、ヴェトナムからの輸入履物が大半を占めている。(2019年1月11日付けヴァロール紙)

日メルコEPA準備タスクフォースWG会合を実施

2019年1月10日(木)正午より、日メルコスールEPA準備タスクフォースWG会合を実施し、今年のタスクフォースの活動や日メルコスールの経済交流促進に関する意見交換を行った。

参加者は、芦刈浩司 日伯経済交流促進副委員長(ブラジル三井物産)、二宮康史 政策対話副委員長(ジェトロ・サンパウロ)、佐久間太郎 政策対話副委員長(双日ブラジル)、大塚未涼 政策対話委員(ブラジル三井物産)、事務局から平田不藤義 事務局長、日下野成次 総務補佐、近藤千里 アシスタント。 

Foto: Rubens Ito / CCIJB

事務局便り JD-003/19    JBBC(JICA Brazil Business Communication)発行

                                               JD-003/19
                                               2019年1月10日

ブラジル日本商工会議所会員の皆様へ

明けましておめでとうございます。
JICAブラジル事務所サンパウロ出張所の間瀬と申します。

当事務所では昨年、ブラジルの第一線でご活躍されているビジネスパーソンの皆様に、よりJICAの取り組みを知って頂けるよう、
               JBBC(JICA Brazil Business Communication)を発行致しました。

この度は新年に伴いまして、昨年末の主要イベントをピックアップして、 「JBBC第2号」をお届け致します。

ご意見、ご要望等ございましたら、下記連絡先までご連絡いただければ幸いです。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。

【問い合わせ・連絡先】
国際協力機構(JICA)ブラジル事務所サンパウロ出張所
担当:間瀬 将成
電話:(11)-3251-2655(ex.117)
Email:Mase.Masanari@jica.go.jp
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Ferrogrão鉄道建設でマット・グロッソ州の穀物生産が70%増産可能

Ferrogrão(フェログラン)と命名されているマット・グロッソ州シノップ市とパラー州ミリチツーバ市を結ぶ1,142キロメートルの鉄道建設構想は、最優先プロジェクトにも拘らず、既に5年間を経過しているが、未だに着手されていない。

ボルソナロ新政権インフラ省のタルシジオ・フレイタス大臣は、Ferrogrão鉄道が完成すれば現在のマット・グロッソ州の大豆やトウモロコシなどの穀物生産は、70%以上の増産が可能となると強調している。

昨年のマット・グロッソ州の穀物生産は6,318万トン、Ferrogrão鉄道の開通で、新しい土地を開拓しないで現在の牧草地での穀物栽培拡大で、2028年には1億800万トンまで増産できるとフレイタス大臣は太鼓判を押している。

現在のマット・グロッソ州の穀物栽培面積は1,486万ヘクタールに留まっているが、牧草地を穀物栽培向けに転換すれば一本も熱帯雨林を伐採することなく2025年には、2,226万ヘクタールの穀物栽培面積が確保できる。

マット・グロッソ州シノップ市とパラー州ミリチツーバ市を結ぶ1,142キロメートルのFerrogrão鉄道の投資総額は127億レアルを見込まれているが、フレイタス大臣は、新政権発足の100日以内にプロジェクト関係者を連邦会計検査院(TCU)に送り込んで検討させる。

北部回廊経由のFerrogrão鉄道が完成すれば1トン当たりの穀物の輸送費は300レアルから110レアルに減少、また輸送日数も4日間の短縮が可能となり、穀物生産者にとっては大きなコスト削減で価格競争力が飛躍的に増加する。

またインフラ省のタルシジオ・フレイタス大臣は、中国資本の交交通建設(CCCC)が参入を虎視眈々と狙っている投資総額が11億4,000万レアルのバイア州の東西統合鉄道(Fiol)の早期入札を検討している。

Rumo鉄道やVale鉄道、MRS鉄道、Ferrovia Centro Atlanticaとの鉄道コンセッション契約の延長をインフラ省では検討していると予想されている。(2019年1月10日付けエスタード紙)

ブラジル鉄道施術建設公社(VALEC)並びに半導体製造CEITEC社を清算

ジャイール・ボルソナロ新政権は、国庫庁の助成金の依存率が異常に高く、尚且つ従事する公務員給与を支給する収入のないブラジル鉄道施術建設公社(VALEC)並びにポルト・アレグレ市に半導体製造目的で設立されたCEITEC社の清算を発表している。

VALEC公社並びにCEITEC社に従事する公務員総数1,177人は公社の清算に伴って解雇を余儀なくされ、また両公社の資産は負債支払いのために、すべて処分される計画となっている。

CEITEC社はブラジル初となる国内設計による半導体デバイス製造を目的として2011年に南大河州ポルト・アレグレ市に設立、現在194人の従業員を擁しており、従業員の平均サラリーは8,600レアル、2017年に国庫庁から7,500万レアルの助成金を支給されている。

ボルソナロ新政権では、鉄道網の民営化加速するためにブラジル鉄道施術建設公社(VALEC)を廃止、運輸省輸送インフラ局(Dnit)が民営化を一括して推進する。

ブラジル鉄道施術建設公社(VALEC)は、2008年にルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ元大統領によって再設立され、南北鉄道やFiol鉄道のインフラ整備や建設に携わっているが、同公社幹部は連邦警察や検察庁から汚職関連不正を指摘されている。

ブラジル鉄道施術建設公社(VALEC)の純資産は119億レアル、2017年の国庫庁から2億5,900万レアルの助成金を受け取っており、2017年は9億4,740万レアルの赤字を計上、従業員総数は983人、平均サラリーは9,500レアルとなっている。(2019年1月10日付けエスタード紙)