ラポーザ・セーラ・ド・ソル先住民保護区には90件の鉱物資源調査申請済み

ジャイール・ボウソナロ新大統領は、ローライマ州北部のラポーザ・セーラ・ド・ソルと呼ばれる先住民保護区の豊富な鉱物資源開発に、ゴーサインを出す可能性がでてきている。

国家鉱物エージェンシー(ANM)の統計によると、ラポーザ・セーラ・ド・ソル地区の鉱物資源調査に対して90件以上の申請書が提出されているが、その大半は1988年の新憲法による先住民保護区制定前の申請書が占めている。

国家鉱物エージェンシー(ANM)傘下の鉱物資源分布情報システム(Sigmine)の統計によると、ラポーザ・セーラ・ド・ソル地区には金、銅、タンタル、鉄鉱石、ニッケル、マンガン、ニオブ、プラチナ、ダイヤモンドなどの豊富な鉱床の存在が確認されている。

ラポーザ・セーラ・ド・ソル地区の鉱物資源調査に対する主な申請書は、MINERAÇÃO FLORALIA社並びにSERRA MOREIRA社、 CABIXIS社、 SAGA社、 ADH社が1988年の新憲法制定前に提出していた。

しかしボウソナロ新大統領が同地区での鉱物資源開発調査にゴーサインを出せば、資源大手が挙って鉱物開発申請書を提出する可能性があり、混乱が発生すると予想されている。

アマゾンの先住民族保護や熱帯雨林伐採反対の活動家らは、過去に発生した大企業による搾取、土地の不法な略奪、鉱山労働者や道路建設業者が及ぼした悪影響を例に挙げ、ラポーザ・セーラ・ド・ソル地区の鉱物資源の開発への反発が予想されている。

また同地区の鉱物資源開発解放には森林破壊、土地の強制収奪、先住民権利の侵害、生物多様性破壊、水資源喪失などを伴うと世界自然保護基金(WWF)の反発が予想されている。

国家鉱物エージェンシー(ANM)では、ボウソナロ新大統領による同地区での鉱物資源開発調査許可以外にもロンドニア州のRoosevelt先住民保護区での開発許可を予想している。

ダイヤモンド鉱石が発見されたRoosevelt先住民保護区には、全国各地から金鉱採掘人と呼ばれるガリンペイロが集団で殺到して、先住民との争いで29人が殺傷した経緯があった。

2009年から鉱山エネルギー省鉱産部(DNPM)では先住民保護区での鉱物資源調査は国会内での審議されてきたにも関わらず、未だにどの鉱物資源調査の申請も承認されていない。(2018年12月19日付けヴァロール紙)

当選した州知事は年金改革実現で連結強化

サンパウロ州のジョアン・ドリア新知事並びにゴイアス州のロナルド・カイアド新知事、南大河州のエドアルド・レイテ新知事、ミナス州のロメウ・ゼマ新知事、パラー州のエルデール・バルバーリョ新知事は、ジャイール・ボルソナロ新政権による年金・恩給改革の国会承認に向けて連携強化を図っている。

ジャイール・ボルソナロ新政権による年金・恩給改革は、各州知事にとっても州政府公務員の年金改革は、州政府の財政改善に向けて不可欠で非常に重要な課題となっている。

ボルソナロ新政権による早期年金改革に向けて連携している主要な州知事達は、来年1月末にパウロ・ゲーデス次期財務相と全ての州知事との会合開催に向けて調整を行っている。

州政府の公務員への給与や年金・恩給支払いで財政破綻状態はリオ州、ミナス州、南大河州、ゴイアス州、また2017年のブラジル連邦直轄地を含めた全州政府の年金・恩給支払いの赤字総額は、前年比14.0%増加の940億レアルに達しており、早急な州政府の年金・恩給改革を余儀なくされている。

ボルソナロ新政権による年金・恩給改革の実現に向けて積極的に行動しているサンパウロ州のジョアン・ドリア新知事は、連邦政府並びに地方政府(州・市)一体の年金改革が理想であるものの、できなければ各州政府一体の年金改革を目指すと説明している。

特に今後更なる州政府公務員の年金入りが深刻な問題を引き起こすと指摘されており、年金受給年齢が最も若い教職員並びに警官、消防士が州政府公務員の半数を占めており、また多くの教職員や大学教授も52歳~55歳で年金入りしている。(2018年12月19日付けエスタード紙)

アルゼンチン経済はリセッション入りが確定

2018年7月~9月のアルゼンチンのGDP伸び率は前四半期比マイナス0.7%、前年同四半期比ではマイナス3.5%と大幅な落ち込みを記録、再度リセッションに突入したとブラジル地理統計院(IBGE)のアルゼンチン版に当たる国家資料調査院(Indec)は発表している。

2018年第2四半期のアルゼンチンのGDP伸び率は、為替危機によるアルゼンチンペソ下落の影響を上回る旱魃による農産物の31.6%の減産が牽引して、前年同期比マイナス4.1%、前年同期比ではマイナス4.0%を記録している。

アルゼンチンペソの大幅な為替下落並びに実質賃金下落、失業率増加、投資減少などの影響で、今後1年間は経済リセッションの負のスパイラルに陥るために、今年第3四半期のアルゼンチンのGDP伸び率はマイナス3.5%をバークレイ銀行のアナリストは見込んでいる。

国際通貨基金(IMF)では、今年のアルゼンチンのGDP伸び率はマクリ政権誕生以降では最大の落込みであるマイナス2.6%を予想、2019年のGDP伸び率はマイナス1.6%を予想している。

国際通貨基金(IMF)が今年6月に設定した期間3年の同国向け信用枠500億ドルを更に70億ドル上澄して570億ドルに拡大することで合意した一方で、支援と引き換えにインフレ抑制のため緊縮予算の加速と経済へのマネーサプライの伸び凍結の約束を余儀なくされている。(2018年12月19日付けエスタード紙)

Oliver Stuenkel教授と100年の計を語る

FGV(ゼツリオ・バルガス財団、国際関係スクール)のオリヴァー・ストゥエンケル(Oliver Stuenkel)教授が会議所を訪問した。

訪問の目的は今後ますます世界経済の中心となるアジアの時代に相応しいエリート人材を、本気で作って行きたいと言う相談だ。

その為の施策として、同教授は先ずFGV内に日本語学科を設置、日本の諸大学(立命館、早稲田、東京大学)と提携・交流関係を深め、日本の政府機関や民間団体にも協力を仰ぎながら学生達を日本の大学で学ばせ、国際人エリートを育てたいと、相談を兼ねた意気込みをを語った。

平田事務局長は、同教授に手元にある「現代ブラジル事典」の2005年度版、2016年度版を差出、その事典の姉妹編(ポルトガル語で日本の全てが分る現代日本事典)の出版が、喫緊の課題となっている。企業人以外に学生の教材としても有効活用できる。是非とも中長期の計画下で協働・協力してほしいと同教授に求めた。
 
丁度、去る12月12日、JICA(独立行政法人 国際協力機構)の加用利彦理事長特別補佐(大学連携担当)が斉藤JICA所長と伴に会議所訪問の際にも「姉妹編」出版の必要性を説いたばかりだと伝え、同教授はその編纂出版に喜んで協力したいと賛同表明した。
 
本当に残念ながら、ブラジル日本移民が110年も経過している中、移民の子弟であれ、ここブラジルには本格的な日本研究者が皆無と言っても過言ではない!かつて当地の日系社会出身の大学教授や青年会議所(JCI)メンバーにも「姉妹編」の編纂を訴えて来たが、言語の障害等からか反応が乏しく、現時点ではその実現の可能性は低いと言わざるを得ない!

「今からでも遅くない、100年の計で人造りが先決だ。そのためには、アカデミックな大学機関の協力が欠かせない!」と現状を伝え、同教授も「是非とも一緒に取り組んで行きたい!」と、お互い抱負を語り合った。

左から平田事務局長/FGV(ゼツリオ・バルガス財団、国際関係スクール)のオリヴァー教授

エンブラエル社と米国ボーイング社のJV企業設立はボルソナロ次期大統領次第

2017年末から交渉が続いていた米国の航空機製造会社ボーイング社とブラジルのエンブラエル社が両社共同出資で、今年7月初めにブラジルに商用機製造会社を設立すると発表していた。

ジョイントベンチャーの資本金は47億5,000万ドル、出資比率はボーイング社80%で38億ドル、エンブラエル社20%の9億5,000万ドルで交渉が続いていたが、今回の最終交渉で資本金総額は52億6,300万ドル、ボーイング社の出資金は42億ドルに引上げられている。ボルソナロ次期大統領が30日以内に最終決定する。

今回のエンブラエル社とボーイング社の共同開発企業設立は、座席数が50席~150席までの商用機分野のマーケットシェア争いで、昨年10月のフランス資本エアバス社によるカナダ資本ボンバルデア社への50%以上の出資に対抗する。

ジョイントベンチャー企業設立によるエンブラエル社のシナジー効果は年間1億5,000万ドルのコスト削減に繋がる。連邦政府が所有する経営議決権のゴールデンシェアも継続する。

設立されるジョイントベンチャー企業のボーイング社の持ち株比率は80%、残りの20%がエンブラエルとなり、ボーイングと合弁会社は、70席から450席以上までの民間旅客機と貨物機を世界の商用機市場に供給可能となる。

またエンブラエル社51%とボーイング社49%の比率で投資パートナーを組んで生産される軍用機KC-390の貨物輸送能力は23トンで戦車の移動に使用できる。(2018年12月18日付けヴァロール紙)

民間製造業部門は新政権への容易な対話に期待

民間製造業部門の各団体代表は、ジャイール・ボウソナロ新政権の厚い信頼を得て次期財務相が濃厚なパウロ・ゲーデス氏が率いる経済班との容易な対話アクセスに期待している。

パウロ・ゲーデス次期財務相は、年金・恩給改革や税制改革実施による歳出削減以外にも連邦政府の民営化による資産売却による財政削減や省庁削減に伴う公務員削減などを検討していると予想されている。

民間企業団体は生産性向上や雇用創生、競争力強化、ブラジルコスト削減に繋がる新政権の各担当者の対応が前政権との違いを感じており、また財務省の各担当者を週2回サンパウロ市に派遣して、民間企業団体の代表の話に耳を傾けている。

先週、財務省で生産・雇用、競争力関連の特別長官が予想されているカルロス・アレシャンドレ・ダ・コスタ氏と対話した製造業部門代表者は、コスタ氏は、利権が絡む派閥政治家を除外した直接対話を望んでいるとコメントしている。

全国電気電子製品メーカー協会(Eletros)の代表団は、アミウトン・モウロン次期副大統領並びにアウグスト・エレーノ大統領府安全保障室(GSI)次期長官とマナウスフリーゾーンについて対話したが、急激な存続に関わる政策転換はしないと説明している。

しかしパウロ・ゲーデス次期財務相は、色々な産業の保護政策向け減税政策撤回を発表しており、マナウスフリーゾーンの税制恩典政策に影響を及ぼすと憂慮されていた。

Eletrosでは、ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)にマナウスフリーゾーンのブラジル経済に及ぼす影響の調査を依頼して、来週パウロ・ゲーデス次期財務相の経済班に提示する予定となっている。(2018年12月18日付けヴァロール紙)

 

10月の経済活動指数(IBC-Br)は、前月比0.02%微増

四半期ごとの正式な国内総生産(GDP)は、ブラジル地理統計院(IBGE)から発表されるが、昨日中銀はIBGEのGDP伸び率の発表前に、先行指標として経済活動指数(IBC-Br)を発表した。

2018年10月の経済活動指数(IBC-Br)は、前月比0.02%の微増に留まったにも関わらず、Valor Data社のエコノミスト対象の調査では、10月の経済活動指数(IBC-Br)予想はマイナス0.5%~0.12%増加、経済活動指数(IBC-Br)の平均予想値はマイナス0.12%であった。

今年初め10カ月間の経済活動指数(IBC-Br)は前年同期比1.4%増加、10月の過去12カ月間のIBC-Br指数は1.54%増加、今年8月~10月のIBC-Br指数は前四半期比0.18%増加、前年同四半期比では2.99%増加している。

Rabobank社チーフエコノミストのマウリシオ・オレンジ氏は、今年第4四半期のIBC-Br指数は前四半期比0.1%増加を予想、Rabobank社では今年第4四半期のGDP伸び率を0.3%増加、今年のGDP伸び率1.3%増加を予想している。

今年10月の企業経営者並びに一般消費者の景況感改善、購買担当者指数(PMI)改善にも関わらず、10月の経済活動指数(IBC-Br)が前月比0.02%の微増に留まったのは、指数改善の意味をなしていないとGoldman Sachs銀行経済調査部のアルベルト・ラモス調査員はコメントしている。

ブラジル道路コンセッション管理者協会(ABCR)では、10月のトラックの高速道路の通行量は0.6%増加した一方で、トラックやバスを含む自動車生産は、アルゼンチンの為替危機の影響で自動車輸出減速に伴って6.7%と大幅に減少している。(2018年12月18日付けヴァロール紙)