WTOの判断がボルソナロ政権の産業政策の方向性を決定へ

様々な業界に対して最大250億レアルの女性を想定していたブラジルの産業政策に対して、世界貿易機関(WTO)が協定違反を認定する見通しだ。WTOは12月13日、スイスのジュネーブで発表を予定しており、場合によっては欧州と日本がブラジル製品に報復する可能性がある。

違反が認定されれば産業政策ごとにブラジル政府は廃止あるいは継続を判断しなければならない。このため、今回の裁定がボルソナロ政府の産業政策の枠組みを示すことにもなる。これに関して次期政権の経済スタッフの1人は、「違反認定はブラジルにとっては良くないことだが、産業振興計画に変更を盛り込むべく新政権が取り組む改正作業を円滑にしてくれるだろう」とコメントした。

EUと日本の要請を受けてパネルを設置したWTOは2017年の半ば、ジウマ政権の産業政策の協定違反を認定した。輸入品に損害を与え国内メーカーを有利にする慣行について、WTOは協定に違反していると認めて7件の計画の終了を求めた。これに対してブラジルが控訴し上級審に持ち込んだため、その判断が13日に下される予定だ。

この裁定が大きな影響を与える産業計画は、2029年まで有効なIT法(Lei de Informática)と、2022年に終了する半導体及びディスプレー産業技術開発支援計画(Padis)、輸出企業向け資本財調達特別制度(Recap)である。これらの計画に関連して、資源会社のサマルコや航空機メーカーのエンブラエルを含む数100社が恩恵を受けている。

仮に違反が認定されればボルソナロ政権は、2019年1月から違反が認定された計画に関して改正あるいは終了するための期間について、欧州と日本と協議することになる。WTOの規定に従えば、認定された違反のいくつかは日本とEUによる報復の可能性を残しつつ90日以内に是正が求められる。希望のひとつは、計画のいくつかで、協定に則った新たな産業計画への置き換えが可能な点である。

ロッタ2030

協定違反が認定された計画の内3件の計画が、既に廃止されている。すなわち、デジタル包含法(Lei de Inclusão Digital)とデジタル・テレビ受像機産業技術開発支援計画(PATVD)、自動車業界向け技術開発投資振興計画イノヴァル・アウトだ。

ブラジル側は現在、WTOが次期自動車産業振興策としてミシェル・テーメル大統領が12日に裁可したロッタ2030の規定に関してWTOが何らかの意見を示すかどうかに注目している。新たな問題として、この計画に対する懸念が浮上しているのだ。

イノヴァル・アウトの場合、輸入車に対する工業製品税(IPI)の負担が30パーセントポイント引き上げられていた問題があった。2019年から施行されるロッタ2030では、研究開発(R&D)に対する投資という、通常なら輸入業者が行わない性格の投資に対するインセンティブである。全国自動車工業会(Anfavea)のアントニオ・メガーレ会長は、国産車と輸入車に対する差別化が国会審議を通じた修正で盛り込まれたと指摘する。ただ、「我々の観点から言えば、ロッタ2030はWTOの協定に抵触しない」と受け止めている。(2018年12月13日付けエスタード紙)

 

国際協力機構(JICA)一行が訪問

2018年12月12日、独立行政法人 国際協力機構(JICA)の加用利彦理事長特別補佐(大学連携担当)、吉田憲中南米部次長、斉藤顕生ブラジル所長、佐藤洋史ブラジル事務所兼サンパウロ出張所次長が会議所を訪問した。

主に高度人材育成プログラムを通じた、親日派、知日派人材育成の取り組みについて、応対した安田篤副会頭(日伯交流委員長)平田藤義事務局長と日下野成次総務補佐に説明を行った。具体的には、「日本理解プログラム」と称して、サンパウロ大学(USP)での講座開設、日本理解の為の特別講義、特別研修の実施、奨学生の日本の大学院への受け入れや日伯共同研究、その他民間企業などからの支援に基づく事業などを企画している。なお、本件について来る1月18日に開催される会議所新年会にてJICA代表者より3分間スピーチを行う予定。

左から安田副会頭、平田事務局長、日下野総務補佐、佐藤次長、斉藤所長、加用理事長特別補佐、吉田中南米部次長

Fotos: Rubens Ito/CCIJB

松永会頭がバロン・デ・マウア勲章を綬章

2018年12月12日、ブラジリアの大統領府において、当商工会議所の松永愛一郎会頭がバロン・デ・マウア勲章を綬章した。

叙勲伝達式には対象となったブラジル政界、産業界の綬章者が集い、松永会頭はミシェル・テメル大統領立ち合いのもと、マルコス・ジョージ産業貿易サービス大臣、ジルベルト・カサビ科学技術大臣より勲章を授与された。

去る2018年10月31日付けの法令第9549号によって制定された国家バロン・デ・マウア勲章は、ブラジルの工業、貿易、サービス産業の発展に寄与した功績を称えるものであり、その分野では最も重きのある勲章である。

会議所の活動が大きく評価された結果であるとし、翌日行われた当所忘年会で松永会頭より参加者へ喜ばしい綬章の報告がなされた。

Fotos: Divulgação

テーメル大統領がロッタ2030を裁可

 WTOで不適切とされたイノヴァル・アウトを代替する自動車業界振興計画ロッタ2030を裁可。租税支出は2019年に21億レアル規模。

 ミシェル・テーメル大統領が12月11日、国内の自動車メーカーに対する新たな振興計画、ロッタ2030を裁可した。国会審議で盛り込まれた業界に対する恩典を見直すため、テーメル大統領は、国会で可決した法律の内8項目に関しては、「違憲あるいは(公的負担が拡大するために)公益に反する」という理由から、拒否権を発動した。他方、ブラジル北東部の自動車産業を対象にした優遇措置を2025年まで延長するといった公的負担の増加につながるような国会審議で盛り込まれた別の政策については、含めたまま裁可した。

 税制優遇措置の適用を自動車メーカーが受けるには、安全性能の向上や燃費の向上といった様々な規定に従う必要がある。また2022年までにエネルギー効率(燃料消費量の削減と排出される汚染ガスの削減)を11%改善するといった目標を達成するためのと研究開発(R&D)に関する国内投資も求められる。

 自動車メーカーが恩恵を受けるのは2019年から5年間だが、この新計画は15年間にわたって施行される見通し。政府の試算に基づくと、減税規模は2019年に21億1,300万レアル、2020年には16億4,600万レアルである。

 大統領は自動車輸入会社がこの計画に伴って税制優遇措置の恩恵を受けるという部分が下院で削除された修正についても維持した。可決した法律の文面に基づくと、ブラジル国内で自動車を製造する企業に限り本計画の税制優遇措置の恩恵を受ける。国内で自動車を販売するだけの企業はロッタ2030に参加できないため、輸入会社が不利益を被る可能性がある。この修正は、世界貿易機関(WTO)の国際規定違反と解釈される可能性がある。国会での審議を通じて、法案には、当初2020年に終了する予定だったブラジル北東部および北部、中西部の自動車業界優遇制度を5年間延長することが盛り込まれた。ペルナンブコ州とバイーア州、セアラー州に生産拠点を置くフォードとフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が今後も税制優遇措置の恩恵を受けるが、その規模はおよそ40%縮小された。テーメル大統領はまた、計画が延長された場合に、期間をまたいでタックス・スペアリング・クレジットを利用することとk、すべての租税に対してスペアリングすることに関して拒否権を発動した。

 本法法律の裁可は、13日にWTOが発表を予定するブラジルの産業政策に対する違反認定の前日というタイミングだった。交渉担当者は、大統領府の取り組みは単なる偶然ではないと受け止めている。つまり、ブラジル政府の目的は、ブラジルの輸出に深刻な影響を与えかねない巨額の報復措置を回避するということである。

 WTOは上級審で、イノヴァル・アウトを通じて国内企業に対して過去数年にわたって250億レアル以上を補助してきた7件の産業計画について違反を認定、国内の産業政策としては前例のない敗北をブラジルは喫する見込みだ。

 2017年の一審で、WTOは、欧州と日本の主張を支持して様々な優遇計画が国際規定に違反していると指摘、ブラジル側に是正を求めた。(2018年12月12日付けエスタード紙)

好適な気候で2019年の穀物生産量が記録を更新へ

アグリビジネス

 好適な気候と相場の値上がりに後押しされる形で国内の穀物生産者が作付面積を拡大しており、国内穀物生産量も、過去最高を記録してGDPの成長を後押しした2016/17農年を上回る2億3,841万トンに達する見込みだ。

 国内穀物生産量が、2018/19農年に2億3,841万トンを記録して過去最高記録を更新する見込み。国家配給公社(Conab)が12月11日に発表したこの生産予想を実際に達成すれば、2016/17農年に記録した2億3,767万トンという過去最高記録の更新となる。

 前農年の収穫を受けてアグリビジネス部門は2017年に12.5%の成長を達成、同年に記録した1%という国内総生産(GDP)の成長に対して70%を担った。このため、2019年の記録的な穀物生産も、同年のGDPを後押しするものと期待されている。

 Conabの予測は、好適な天候と高値にある相場というシナリオに基づく。例えば綿花と大豆の相場は生産者を投資に駆り立て、作付面積の拡大につながっている。

 10月から11月にかけて春季の降雨がしっかり続いたことで大豆の作付けが前倒しされ、トウモロコシのセカンド・クロップに明るい見通しを示す波及効果をもたらした。「ブラジルのすべての地域で、大豆の作付けが前倒しされており収穫時期も早まるだろう」と全国農業連合会(CNA)のアラン・マリンスキ農業生産コーディネーターは話す。

 作柄は、2017年春の降雨が遅れた2017/18農年以上に良好だ。大豆の作付けが遅れた結果として同農年は、一部では、生産者が作付けしなおすのを余儀なくされたケースもあった。

 2018/19農年の収穫に対する新たな予測を受け、ブラジル・アグリビジネス協会(Abag)は、輸出も1,000億ドルという記録的水準に達すると予想している。Abagのルイス・コルナッチオーニ理事はその予想の理由について、輸出が過去最高記録を達成した2013年以上に為替が生産者にとって好ましい状況だと説明する。

 同理事は、アメリカと中国の貿易戦争が短期的には、相場の上昇と輸出の拡大というブラジルの生産者に好ましい状況を生み出すと予想している。ただ、米中の対立は早急に収まるというものでもない。「この2か国の貿易戦争は、誰にとっても好ましくない。仮に貿易戦争が長引き世界経済の成長に打撃を与えれば、すべての人が損失を被るのだ」と同理事は指摘した。

 CNAのマリンスキ農業生産コーディネーターは、米中の貿易戦争が大豆生産には追い風にはなるとしつつも、トウモロコシにはそれほどの恩恵はないと話す。アメリカとの貿易戦争が原因で、中国はブラジルから大豆をより多く調達し、相場もこれに伴い上昇している。その結果としてアメリカの生産者は大豆に代わってトウモロコシをより多く生産してブラジルが輸出するトウモロコシと競合しているのだと同コーディネーターは説明した。

統計

 12月11日にブラジル地理統計院(IBGE)は、2019年の農業生産量の見通しを上方修正した。集計基準の違いと情報収集方法が異なることから、IBGEのデータはConabのデータと異なる数字になっている。IBGEは、2019年の農業生産高を2億3,110万トンと予想しており、2018年比+1.7%としたものの過去最高記録となった2017年の2億4,060万トンは下回る水準。IBGEのカルロス・アルフレード・ゲデス調査主任は、「天候が良好なら、国内農業生産高は2017年の生産高に迫るだろう。ただ、その動向は天候に強く左右される」とコメントした。

 IBGEはさらに、11日に発表した11月のデータで、2018年にブラジルのコーヒー生産量が過去最高記録を更新して360万トン、5,960万俵(1俵=60㎏)に達することが確実になったと明らかにした。

 コーヒーの生産は2年毎に豊作と不作のサイクルがあり、このために2019年の収穫は大きな期待は禁物という。

 ゲデス調査主任によると天候が2018年にコーヒーの豊作を後押しした。アラビカ種の生産量は前年比+28.2%の270万トンを記録する見込み。他方、カネフォラ種は+30.4%の88万8,600トンを見込む。

貿易紛争

 Abagのルイス・コルナッチオーニ理事 「米中の貿易戦争は誰にとっても歓迎されないもの。長引けば、世界経済の成長にも打撃を与え、あらゆる人が損失を被る」(2018年12月12日付けエスタード紙)

2018年に市場の開放を最も促進したのがブラジルだとWTOがレポート

 2017年10月から2018年10月にかけて、外国製品に対して市場を開放するための対策を最も導入したのがブラジルだった。世界貿易機関(WTO)が12月11日、世界的に保護貿易主義が広がっていることを警告するとともに、緊張を「緩和」する対策を講じる用呼びかけるデータを発表した。

 全体として見ると、テーメル政権は、国際貿易の障壁を引き下げる16件の措置を講じた。これらには、輸入税率の引き下げや特定の障壁の中止、輸出に対するインセンティブなども含まれる。ワクチンや医薬品などを対象に、一部の輸入税を撤廃。また化学品と資本財、その他の業界でも同様に政府の対策による恩恵を受けた。

  2018年に各国の政府が採用した世界貿易の障壁を引き下げる対策の10件に1件が、ブラジル政府により採用されたものだった。

  今回の検証でWTOは、2014年まで保護貿易主義的対策をより多く講じる国と付けてきたブラジルが方向性を抜本的に転換したと位置づけた。

 今回の検証期間を通じて、例えばカナダは、貿易を促進させる措置を導入したのがわずか1件だった。欧州連合(EU)も同様に取り組んだのは1件、中国は6件だった。アメリカは、対象となった1年を通じて2件の措置を講じた。

 さらにブラジルの場合、同期間に政府がアンチダンピング調査を実施した件数が9件と、2017年の12件、2016年の15件を下回った。それだけでなく、アメリカが2018年に着手した40件以上というアンチダンピング調査件数と、ブラジルは大きな隔たりがある。

 ブラジル国内では、同じ期間に政府は依然としてアンチダンピング課税を10件導入。14件だった去年の導入件数を下回った。アンチダンピング課税の導入という点で最多だったのは、43件のインドだった。他には、トランプ政権が率いるアメリカが34件を記録した。

 むしろブラジル政府は、世界的な保護貿易主義の台頭と米中貿易戦争という状況の中、世界の潮流に逆らっている形だ。ジュネーブで今回の結果を発表したWTOのロベルト・アゼヴェード事務局長は、世界貿易が障壁の影響に見舞われる状況が「著しく拡大している」と指摘した。

 今回発表された文書は、覇権国の間で緊張が高まる現在の国際情勢下で過去1年間に導入された対策を包括的に調査した初のケースとなる。「世界貿易を抑制する対策が広がることと、これによって生じた不安定な状況が、経済回復の脅威になりえる」とアゼベード事務局長はコメント。その上で、「すべての加盟国に対して現状を逆転させるような対策を可能な限り利用するようお願いする」と同事務局長は呼びかけた。(2018年12月12日付けエスタード紙)

 

ダイソーブラジル大野恵介社長講演会開催

異業種交流委員会(長野昌幸委員長)主催のダイソーブラジルの大野恵介社長の講演会は、2018年12月10日午後6時から7時半過ぎまで65人が参加して開催、進行役は長野昌幸委員長が務め、大野恵介社長は、「モチベーション経営について」と題して、ブラジルでのビジネスは課題が山積みの中、価格を抑えたまま、事業を拡大し、どのように自分のモーチべーションを維持していくのか常に悩んでいると講演を始めた。

ビジネスには、従業員の生産性、治安対策、税制の複雑さ、輸入やオペレーションコストなど、様々な課題がつきものである。その解決に、経営者一人だけでなく、従業員を味方につけ、彼らのモーチべーションを上げ、一緒に問題を解決していく経営をしていると説明した。ダイソーブラジルのフィロソフィーは、大家族主義で経営するで、このフィロソフィーを従業員と共有し、ベクトルをあわせているとした。実際にどのように従業員とそのフィロソフィーを共有しているかについては、朝礼での挨拶、新店舗オープン前の準備、またエレベーター故障の際の階段運送の一致団結したチームワークの映像を用いて、日々の仕事の解説を行なった。

ダイソーブラジルの従業員の離職率は低く、労働裁判はほぼゼロであると述べ、高い給料を求め一時は出稼ぎで日本に行った日系人が、またダイソーブラジルに戻って働いたケースもあると説明。人は変わっていくので、ブラジルの眼強い農場主と奴隷の関係とその壁をとり除く努力をし続けることが必要とした。万引き問題も、店舗の従業員が自分の城を守る意識で、窃盗集団を警戒することでカモにならない店舗作りをしており、ダイソーのキャッシャーは、他の小売店ではまねできないほど速く、そこは従業員への教育が徹底されていると述べた。マーケティングには、インスタやフェイスブックを活用、超濃厚コミュニケーションにはワッツアップを活用するなど、従業員に受け入れやすいツールも積極的に活用し、大家族主義で経営を行なっている。会場からは人事評価、インフレ率に連動した給料アップの中での長い人の給料のバランスに対する質問などがあり、他の部署への移動を検討したりするが、仕方なく解雇することもあると回答した。また、遠隔地へ展開する際のキーパーソンを見つけるにはどうしたらよいかなどの質問には、簡単ではないが素直な人で成長する人材かを見極めているとした。

大家族主義で経営するというフィロソフィーの下、税務問題については、税務担当の無駄な出費を下げる意識を上げさせることを徹底し、輸入のANVISAやINMETROの規制の壁には、単純にNão daとは言わせず、お客を喜ばせる意識、乙中との関係強化、通関したときの喜びを皆で分かち合う家族意識を植え付け、常に改善をしようと努力をしていくことが重要だと説明した。

また、日本企業とのタイアップの事例として、日清食品、東麒麟、パナソニックとの取組みを紹介した。

最後に、本部にいると雑務が多くて、週末に店舗を回ることにしているが、従業員が自らモチベーションを上げて働いている姿を見ることで、自分の精神状態が保て、自分のモチベーションも上がっていくと話した。講演のあとは恒例の懇親会も開催され、そこでもダイソーの大家族主義経営についての議論は絶えなかった。

Keisuke Ono

Masayuki Nagano

 

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

今年の自動車生産はアルゼンチン為替危機で下方修正

全国自動車工業会(Anfavea)の発表によると、2018年11月のトラックやバスを含む新車販売は、アルゼンチンの為替危機の影響で自動車輸出減速に伴って、前年同月比1.6%減少の24万5,100台に留まっている。

2018年のトラックやバスを含む自動車生産は、アルゼンチン向け輸出減少で300万台に達しないと予想されているものの、過去3年間の290万台前後は上回ると全国自動車工業会(Anfavea)では予想している。

今年初め11カ月間のトラックやバスを含む自動車生産は、前年同期比8.8%減少の270万台、今年の国内販売は、前年比13.7%から15.0%増加に上方修正して250万台を突破するとAnfaveaのアントニオ・メガーレ会長は予想している。

今年初め11カ月間の新車販売は前年同期比15.0%増加の233万台を記録、今年12月の新車販売は25万台を上回ると予想、今年の新車販売台数は260万台を上回る可能性がある。

一般消費者の景況感改善並びに新車販売向けクレジット拡大、過去最低水準の3.4%を記録している自動車販売向けクレジット延滞率などの要因で、2019年のトラックやバスを含む自動車販売は、今年を10%~12%上回ると予想されている。

ジャイール・ボウソナロ新政権が来年上半期から年金・恩給改革など財政再建に不可欠な構造改革に着手すればミニ自動車販売ブームの起爆剤になるとブラジルワーゲン社のPablo Di Si社長は指摘している。

今年のワーゲン社の新車販売は前年比39%増加予想、2019年はスポーツ用多目的車(SUV)タイプのT-Cross車の投入で、今年並みの新車販売増加をPablo Di Si社長は見込んでいる。

全国自動車工業会では、今年初めの今年の自動車輸出を80万台と見込んでいたにも関わらず、アルゼンチンの為替危機の影響で65万台以下まで落ち込むと予想している。

昨年まで自動車輸出全体の70%占めていたアルゼンチン向けの今年初め11カ月間の自動車輸出は、前年同期比16%減少の41万2,000台に留まっている。また前記同様に輸出先2位のメキシコ向け自動車輸出は44%減少の4万7,500台と大幅に減少している。

今年初め11カ月間のウルグアイ向け自動車輸出も17%減少、ペルーは11.7%減少した一方で、チリ向けは28.3%増加、コロンビア向け自動車輸出は25%増加している。

来年はアルゼンチン経済回復に伴って下半期からアルゼンチン向け自動車輸出が増加するとAnfaveaのメガーレ会長は楽観的な予想をしている。(2018年12月7日付けエスタード紙)

メルコスールとEUは今月中に実務者会談で合意を目指す

メルコスールとEUは、年内の自由貿易協定(FTA)締結を目指して、来週ウルグアイの首都モンテヴィデオ市での実務者会談の実現に向けて調整を行っていると予想されている。

昨日セシリア・マルムストローム貿易担当欧州委員は、ブラジルのアロイジオ・ヌネス外務大臣に電話、年内でのFTA協定合意を目指した実務者会談での協議を申し合わせている。

先月19日にフランスのマクロン大統領は、大詰めを迎えている欧州連合(EU)とメルコスル(南米南部共同市場)の自由貿易協定(FTA)交渉について、ブラジルのジャイール・ボルソナロ次期大統領が地球温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」からの離脱を示唆していることを理由に、早期妥結に否定的な考えを示していた経緯があった。

しかしウルグアイのロドルフォ・ニン・ノボア外相は、ブラジルの新政権誕生に関わらず、年内の双方の実務者会談の実現で、2019年第1四半期までの自由貿易協定(FTA)締結を目指している。

自由貿易協定(FTA)締結で合意に至っていない分野として、牛肉並びに砂糖、自動車・同部品が含まれており、EU側は今年1月に、牛肉輸入枠を7万トンから9万9,000トンに引き上げることを提案したものの、メルコスール側は13万トンへの拡大枠を求めていた。

また砂糖については年間15万トンの対EU輸出枠が認められたものの、1トン当たり98ユーロの関税に対して、メルコスール側は関税の完全撤廃を要求して平行線をたどっている。

自由貿易協定(FTA)交渉では、ヨーロッパ産ワインに対する市場開放に対してブラジルが抵抗、またアルゼンチンはヨーロッパ産オリーブ油に対する市場開放に抵抗、ウルグアイもヨーロッパ産酪農製品に対する完全な市場開放に抵抗して平行線をたどっている。(2018年12月7日付けヴァロール紙)