昨年のブラジルの農畜産物輸出は米中貿易摩擦開始で拡大

世界貿易機関(WTO)の発表によると、米中貿易摩擦が開始された2017年のブラジルの農畜産物輸出は、米国の中国向け輸出減少に反比例して、ブラジルの中国向け農産物輸出が拡大している。

2017年のブラジルの大豆並びに鶏肉、砂糖、たばこ輸出は世界トップを継続、また世界貿易機関(WTO)の輸出リスト枠にないオレンジジュース並びにコーヒー輸出も世界トップを維持している。

ブラジルの農産物輸出を牽引している2017年の大豆などの穀物輸出比率は、米中貿易摩擦で漁夫の利を得て2016年の32.7%から40.0%に拡大した一方で、米国は前年の37.2%から29.8%と7.0%以上減少、旱魃被害が拡大したアルゼンチンは6.1%から4.5%に後退していた。

昨年のブラジルの大豆かす輸出は、トップのアルゼンチンの35.5%を大幅に下回る17.3%で2位であったが、砂糖輸出は前年の48.9%から53.8%と大幅に増加していた。

また昨年のタバコ輸出は前年の14.4%から14.1%と僅かに減少、鶏肉輸出は前年の35.3%から34.0%と若干減少したものの世界トップを維持、牛肉輸出は16.2%から17.4%に増加でバッファローの牛肉輸出が牽引して18.9%のインドに次いで世界2位の輸出国となっている。

昨年の豚肉輸出は前年の10.9%から9.7%に減少して世界4位、米国は34%から40%に増加、ハラル認証問題で中近東向け中心の生きた牛輸出は全体の3.0%、果実・蔬菜は1.9%で世界16位、米輸出は1.6%を占めている。(2018年11月29日付けヴァロール紙)

2000年以降のブラジルの公共投資は調査対象42カ国の41位

経済協力開発機構(OECD)の統計を基にジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)がまとめた42カ国の公共投資調査によると、2000年~2017年のブラジルの年間平均公共投資は、GDP比僅か1.92%に留まって平均のGDP比3.51%を大幅に下回っている。

過去18年間のブラジルの年間平均公共投資GDP比1.92%は、辛うじてコスタ・リカのGDP比1.87%を上回っている。僅かな公共投資のためにインフラ整備不足によるブラジルコスト改善が等閑にされている。

過去18年間のブラジルの調査対象の42カ国の年間平均公共投資GDP比3.51%に対して、ロシアはGDP比3.9%と平均を上回っている。トルコはGDP比3.38%、南アフリカはGDP比2.95%と平均を下回ったもののブラジルのGDP比1.92%を大幅に上回っている。

過去18年間のブラジルの年間平均公共投資がGDP比1.92%に留まっている影響で、大都市で頻繁に発生する大洪水、交通停滞、舗装道路や陸橋のメンテナンス不足による予期しない事故発生に繋がっている。

2009年の当時のジウマ・ローセフ官房長官による経済成長加速プログラム(PAC)採用で、インフラ整備向け公共投資が活性化していた2010年の公共投資は、GDP比2.69%に達していた。

しかし大半の連邦政府並びに地方政府(州・市)は、公務員の大幅な増員や年金受給者拡大に伴う社会保障院(INSS)の支出拡大、貧困層向け社会補助プログラムによる支出拡大で、公共投資縮小を余儀なくされていた。

2000年~2017年の調査対象42カ国の年間平均公共投資が最も高いのはエストニアのGDP比5.28%、次いで韓国5.12%、チェコ共和国4.75%、ペルー4.73%、ギリシア4.53%、スエーデン4.29%、ハンガリー並びにスロヴェニア4.15%、ルクセンブルグ4.14%、ノルウエー4.09%とGDP比4.00%を上回っている。

一方公共投資が等閑にされているのは、コスタ・リカのGDP比1.87%、ブラジル1.92%、ドイツは既に公共投資が全土にいきわたっている要因で僅か2.14%、ベルギー2.23%、イスラエル2.27%、メキシコ2.29%、英国2.59%、イタリア2.70%、オーストリア2.90%、南アフリカ2.95%、コロンビア2.96%、スイスは2.99%とそれぞれGDP比3.00%を割っている。(2018年11月28日付けヴァロール紙)

 

今年10月の対内直哲投資は過去7年間で最高

中銀の調査によると、2018年10月の海外投資家によるブラジルへの対内直接投資は104億ドルに達し、10月の対内直接投資としては、2001年以降で最大の対内投資金額を計上している。

また今年11月の過去12カ月間の対内直接投資残高は794億ドルを記録、これには11月の23日間の94億ドルが計上されている。また今年の対内直接投資残高は720億ドルが予想されている。

今年から中銀は対内直接投資金額に再投資による利益を計上しているために、今年初め9カ月間では49億ドル計上、9月の過去12カ月間では19億ドルが上乗せされている。

今年初め10カ月間の対内直接投資残高は、前年同期比10.7%増加の675億ドルを計上して、同期のブラジルの経常収支赤字113億ドルを大幅にカバーしている。

今年10月の経常収支は3億2,900万ドルの黒字を計上して、昨年10月の経常収支赤字6億8,600万ドルから一転して大幅な黒字計上を達成している。今年11月の経常収支は17億ドルの赤字を中銀は予想している。

今年10月の海外投資家によるブラジル国内の株式やファンドなどの金融投資は5億3,200万ドルの黒字を計上、ブラジル国債などの確定金利付き投資は、15億5,000万ドルの黒字を計上していた。

しかし今月23日までの海外投資家によるブラジル国内の株式やファンドなどの金融投資は12億1,000万ドルの赤字、ブラジル国債などの確定金利付き投資は、15億5,000万ドルの赤字を計上している。

2018年対内直接投資レポートによると、米国は対内直接投資の22%を占めて1位、スペインは12.0%、ベルギー10.4%、第3国経由の投資が大きい中国は3.9%で9位に留まっている。(2018年11月28日付けヴァロール紙)

今年10月の国庫庁の歳入は石油ロイヤリティが牽引

2018年10月の国庫庁のインフレ指数を差引いた経常的歳入は、前年同月比僅か0.14%増加の1,203億1,000万レアルに留まった一方で、石油ロイヤリティ収入やドル安の為替などの恩恵で、臨時歳入は前年同月比77.5%増加の115億7,100万レアルに達している。

今年8月から経常的歳入は安定的に推移している一方で、11月の経常的歳入は、企業側が税金を払えば利息と刑罰が軽減される制度である滞納税回収計画(Refis)による大幅な臨時歳入減少、2017年8月から燃料に対する社会統合基金/社会保険融資納付金(PIS/COFINS)の税率変更による歳入減少が予想されている。

今年10月の国庫庁の実質歳入総額は、緩やかな景気回復による経常的歳入増加も後押しして前年同月比4.12%増加の1,319億レアル、しかしアルゼンチンの為替危機の影響を受けて隣国向け輸出減少で、製造業部門の歳入減少に結び付いて寄与していない。

今年初め10カ月間の臨時歳入は54.1%増加の525億レアルを記録、経常的歳入総額は4.5%増加の1兆1,000億レアル、国庫庁の歳入総額は、2014年以降では最高となる前年同期比5.98%増加の1兆2,000億レアルを記録している。

今年初め10カ月間の法人所得税(IRPJ)並びに純益に対する社会納付金(CSLL)の歳入総額は21.4%増加の1,015億レアル、滞納税回収計画(Refis)による臨時歳入総額は851億レアルに達している。

今年10月の主な歳入として所得税は前年同月比7.9%増加の348億レアル、社会保障院(INSS)の歳入総額は337億レアル、社会保険融資納付金(COFINS)は210億レアル、純益に対する社会納付金(CSLL)は14.2%増加の84億レアルを記録している。(2018年11月28日付けヴァロール紙)

回章 CIR-140/18      2018年12月定例常任理事会開催のご案内

                                               CIR-140/18
                                               2018年11月27日

常任理事各位
CC:監事会議長 / 部会長各位

                                               ブラジル日本商工会議所
                                               会頭     松永 愛一郎

               2018年12月定例常任理事会開催のご案内
               (委員会/部会 年度実績報告提出のお願い)

拝啓

時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。

さて、定款第51条並びに53条(「・・・委任状による常任理事の出席は認められない。」)に基づき、定例常任理事会を下記開催致します。万障お繰り合わせの上、ご出席頂きます様宜しくお願い申し上げます。

                                                               敬具

                                ― 記 ―

日時: 2018年12月11日(火) 16:00~18:00

会場:ブラジル日本商工会議所 大会議室 (Av. Paulista, 475 – 13º. and., São Paulo-SP)

議題/報告事項

会議プログラムを作成するにあたり特別な審議・報告事項等がありましたら、12月7日(金)までに事務局長宛メールでご連絡をお願いします。期日までにご連絡がなく必要と判断される議題については、予め決めさせて頂きます事をご了承下さい。

<年度実績報告提出のお願い>

ご多忙中ながら恐縮ですが各委員長/部会長には各々の年度方針に対する活動報告書の提出をお願いいたします。3分内でご発表戴く為に箇条書き形式で作成され、12月7日(金)までに

事務局宛メール(secretaria@camaradojapao.org.br) をお願い致します。

去る7月の定例常任理事会にて提出されました中間報告を別添にてお送りいたしますので、こちらに追記する形で、簡潔にご報告願います。

各委員会、部会活動の詳細は会議所サイトwww.camaradojapao.org.br に掲載されております。

また、副委員長、副部会長他メンバーの変更がありましたら報告書に記載しアップデートしていただければ幸いです。

出欠確認:12月7日(金)までにセイジ宛お願い申上げます。 E-mail:secretaria@camaradojapao.org.br 電話: 3178-6233

                                                          以上

 

 

メディカル分科会開催

メディカル分科会(高柳分科会会長)は、2018年11月27日10時から12時まで、商工会議所大会議室に16名が参加して開催した。はじめに、12月3日に東京で厚生労働省、PMDA、JETROとANVISA共催で実施される日伯医療分野規制に関するセミナーについて説明が行なわれた。

次に、ジェトロの辻本氏は、ジェトロとメディカル分科会の法務コンサルティング業務契約について、概要並びに委託業務内容、契約期間等を説明、フェルスバーグ弁護士事務所のマリアネ弁護士を紹介した。マリアネ弁護士は、弁護士事務所の紹介や実績、また各企業が抱えている課題に対する質問の取組み方について説明を行なった。メディカル分科会メンバーにとって、ANVISA、INMETROの法規や規制改正時の変更内容の解説情報が得られ、また個別的な質問に関するコンサルティングを受けることができる取組みとなっている。

次に、10月24日のABMEDとの会合、10月29日のINMETROとの政策対話会合、11月23日のANVISA、INMETROとの技術合同会議の報告と共に、AGIR提言の進捗状況説明が行なわれた。メディカル分科会は、ANVISAのみならず、ABMEDとの連携、またANVISAとINMETROの技術合同会議などに参加し、提言を行なってきており、今までなかった政策対話のチャネルを増やし、制度改善に向けて、活発に活動を行なってきている。

前進はしているもののまだ課題は残されており、INMETROが要求している数値的なインパクトのまとめや法的な側面からの提言を行っていくなど、継続して政策提言活動に取り組んでいくことへの意見交換を行い、次の政策対話会合の戦略を話し合った。そして最後に、日伯友好病院主催で11月10日に開催された第2回日系病院連絡協議会についての説明が行なわれた。

参加者は高柳分科会長(島津製作所)、マルシオ副分科会長代理(富士フイルム)、朝倉氏(カネカ)、松吉氏(オムロン)、山田氏(オムロン)、近藤氏(タカラベルモント)、アデマール氏(島津製作所)、ヴァレリア氏(パナメジカル)、岩瀬氏(ジェトロサンパウロ)、辻本氏(ジェトロサンパウロ)、斉藤氏(JICAサンパウロ)、上田領事(サンパウロ総領事館)、マリアネ氏(フェルスバーグ弁護士事務所)、タイス氏(フェルスバーグ弁護士事務所)、平田事務局長、吉田調査員。

Pdfフェルスバーグ弁護士事務所紹介

 

年金・恩給受給の州政府公務員支出増加率は現役公務員の10倍以上

ブラジル応用経済研究所(Instituto de Pesquisa Econômica Aplicada : IPEA)の2017年9月~2018年8月の過去1年間の州政府支出調査によると、年金・恩給向け元州政府公務員支出増加率は前年比7.5%増加した一方で、現役公務員は僅か0.8%増加に留まって、10倍近い増加率を記録して州政府の財政悪化の大きな要因となっている。

各州政府は2015年から州政府公務員の人件費削減に努めているにも関わらず、30年前に大量に採用した州政府公務員が年金受給入り、またブラジル人の高齢化に伴って、年金・恩給支出が拡大の一途を辿っている。

2014年~2017年にかけて20州政府は、財政健全化の一環として公務員の削減に努めたにも関わらず、この間に24州政府では、主政府公務員の年金・恩給受給が拡大している。

この間のブラジル全州政府の公務員数は1.6%減少した一方で、年金・恩給受給開始した元公務員は5.6%と大幅に増加、州政府の支出拡大を余儀なくされて財政悪化の一因となっている。

1988年~1995年にかけて各州政府は、特別職で年金支給開始年齢が低い警察、消防署職員、教員を大量に採用、これらの公務員が年金受給開始年齢に達しており,各州政府は早急な年金・恩給改革に着手しなければ今後益々、財政悪化が避けられない。

2017年9月~2018年8月の過去1年間の各州政府の現役公務員に対する支出比較では、マット・グロッソ州はマイナス8.96%、次いでアラゴアス州マイナス4.97%、ブラジリア連邦直轄地マイナス3.89%、アクレ州マイナス2.78%、ペルナンブーコ州マイナス2.45%、エスピリット・サント州マイナス2.04%、パライバ州マイナス1.59%、セルジッペ州マイナス1.58%、パラー州マイナス1.29%、ピアウイ州はマイナス1.23%を記録している。

一方過去1年間の各州政府の元公務員に対する年金・恩給支給は、トカンチンス州が22.6%増加、アマパ州17.1%、ローライマ州16.8%、ブラジリア連邦直轄地16.8%、アクレ州15.2%、リオ州15.0%、マット・グロッソ州12.9%、ペルナンブーコ州10.9%、ゴイアス州10.1%、バイア州は8.0%それぞれ増加している。(2018年11月27日付けエスタード紙)

米中貿易摩擦の影響で10月の輸出拡大

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の貿易指数(Icomex)調査によると、2018年10月の輸出は米朝貿易摩擦激化並びに石油などの国際コモディティ価格上昇に伴って前年同月比16.6%増加、また輸入も17.7%増加している。

今年10月の貿易収支は59億ドルの黒字を計上したものの昨年同月を下回っている。対中国の貿易黒字は190億ドルから230億ドルに増加した一方で、対米国の貿易収支は15億ドルから1億1,300万ドルの黒字に減少している。

米中貿易摩擦は中国の需要並びに国際コモディティ価格に悪影響を及ぼし、ひいては世界貿易全体が縮小する可能性があるとブラジル経済研究所(Ibre/FGV)コーディネーターのリア・ヴァルス女史は指摘している。

今年初め10カ月間のブラジルの輸入金額は前年同期比21.1%増加した一方で、輸出金額は8.5%増加に留まっている。今年10月の輸出は農産物並びに鉱業関連が牽引している。

今年10月のブラジルの国際コモディティ商品輸出量は前年同月比20.1%増加した一方で、国際コモディティ商品価格の減少に伴って、輸出金額は8.5%増加に留まっている。また非国際コモディティ商品輸出量は0.8%増加、非国際コモディティ商品価格は0.6%減少している。

今年10月の中国向け輸出は前年同月比84.0%増加、特に大豆輸出は124%、原油は134%それぞれ大幅に増加、中国向け輸出比率は全体の27%、米国は14%を占めている。

2010年~2012年のブラジルの中国向け大豆輸出は38%と米国の42%を下回っていたが、2015年~2017年は米国の35.8%を上回る49%に達している。今年10月のブラジルの農産物輸出は全体の35.8%、鉱業関連輸出の32.9%を上回っている。また製造業部門の完成品輸出は前年同月比僅か0.6%増加に留まっている。

アルゼンチンの為替危機の影響で、自動車輸出の70%を占めていたアルゼンチン向け自動車輸出が大幅に減少した影響で、今年10月の耐久消費財輸出は前年同月比17.9%減少、今年初め10カ月間では11.6%減少している。

今年初め10カ月間の資本財輸出は前年同期比15.3%減少しているが、プレソルト原油生産向けFPSO(洋上浮体式生産・貯蔵・積出施設)の石油採掘向けプラットフォーム輸出を除外すればマイナス5.1%を記録。唯一中間財輸出は1.0%増加している。(2018年11月27日付けヴァロール紙)

 

ボウソナロ大統領誕生後の一般消費者の景況感は大幅に改善

ジャイール・ボウソナロ大統領誕生でブラジル国民に安堵感並びに次期政権への期待感増加に伴って、一般消費者の景況感が大幅に改善して来ているとジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)の一般消費者の景況感指数(ICC)が上昇している。

ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)による11月1日~21日迄一般消費や1776人を対象の調査では、一般消費者の景況感指数(ICC)は、10月を7.1ポイント上回る93.2ポイントに達して、2004年7月の93.8ポイントに次ぐ過去13年間で最高のICC指数を記録している。

11月の一般消費者の景況感指数(ICC)が93.2ポイントに達した要因として、コントロールされたインフレ指数や6.5%に留まっている政策誘導金利(Selic)、クレジット拡大の上にボウソナロ新政権への過大な期待の蜜月ムードで上昇している。

しかし2019年1月のボウソナロ新政権の初めの政権舵取次第で、一般消費者の景況感指数(ICC)は大きく左右されるとジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)のヴィヴィアニ・セーダ・ビッテンコルト コーディネーターは指摘している。

また11月の一般消費者の現状景況感指数(ISA)は、前月から2.7ポイント上昇の74.6ポイント、今後の景況感見通し指数(IE)も9.8ポイント上昇の16.4ポイントを記録している。(2018年11月27日付けヴァロール紙)