サボイア次期駐日ブラジル大使を囲み意見交換会

野口 泰 在サンパウロ日本国総領事は、サボイア(Eduardo Paes Saboia)次期駐日ブラジル大使の来聖を機会に2018年9月28日正午、市内のホテルに主な会議所役員を招待し懇談会を開いた。

ブラジルに於ける各社の事業活動やビジネス障害要因等を説明、世界の情勢変化に伴う次期政権の課題、日メルコスールEPA協定の実現に向けた施策等々について忌憚なく意見交換を行った。最後にサボイア大使は、出席者に着任にあたる決意と感謝の意を日本語で表明した。

出席者は同大使に同行したデボラ(Débora Vainer Barenboim-Salej)ブラジル外務省サンパウロ分室担当大使、野口総領事、上田経済担当領事、松永会頭(伯国三菱商事社長)、土屋副会頭(ブラジル三井物産社長)、植田副会頭(ブラジル三菱重工社長)、大久保副会頭(JETROサンパウロ事務所長)、安田副会頭(SOMPO SEGUROS取締役)平田事務局長。

第2四半期のGDP伸び率は南東部地域が辛うじて増加

コンサルタント会社4E社の2018年第2四半期の地域別GDP伸び率調査によると、サンパウロ州並びにリオ州、ミナス州、エスピリット・サント州で構成される南東部地域のGDP伸び率は、前四半期比0.3%増加、調査対象の5地域では唯一増加を記録している。

今年第2四半期の北部地域のGDP伸び率は、5月末から11日間継続したトラック運転手の国道封鎖抗議デモによる物流問題などの影響が牽引して前四半期比マイナス2.0%、北東部地域はマイナス1.2%、中西部地域はマイナス0.1%、南部地域はマイナス1.2%を記録している。

四半期ごとの正式な国内総生産(GDP)はブラジル地理統計院(IBGE)から発表されるが、中銀はIGBEのGDP伸び率の発表前に、先行指標として経済活動指数(IBC-Br)を発表、今年第2四半期の南東部地域のGDP伸び率は0.03%増加、北部地域はマイナス1.6%、北東部地域はマイナス1.2%を記録している。

4E社エコノミストのAlejamdro Padron氏は、今年第2四半期のサービス部門のGDP伸び率は前四半期比0.3%増加、そのうち南東部地域は0.8%増加、中西部地域は0.6%増加した一方で、北部地域はマイナス0.4%、北東部地域はマイナス1.5%、南部地域はマイナス1.2%を記録している。

また今年第2四半期の製造業部門のGDP伸び率は前四半期比マイナス0.4%、マナウスフリーゾーンを抱える北部地域は、マイナス4.6%と最も落ち込んだ一方で、第1四半期のGDP伸び率は、サッカーのワールドカップ効果で9.7%と大幅に増加していた。

前記同様に北東部地域はマイナス1.4%、中西部地域マイナス2.2%、南部地域マイナス2.9%、南東部地域もマイナス0.8%と全ての地域でトラック運転手の国道封鎖抗議デモによる影響を受けていた。

また今年第2四半期の農畜産部門のGDP伸び率は前四半期比0.0%、南東部地域は2.6%増加、北東部地域も2.0%増加、南部地域は0.4%増加した一方で、中西部地域マイナス1.3%、北部地域はマイナス0.7%を記録している。

今年6月末の過去12カ月間のGDP伸び率は1.4%、地域別比較では、中西部地域は3.8%増加、北部地域は2.8%増加、南部地域は1.6%増加、南東部地域は1.2%増加、唯一北部地域はマイナス0.1%を記録している。(2018年9月28日付けヴァロール紙)

住宅賃貸インフレ指数は10%増加にも関わらず、借り手市場で値上げ不可

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)のインフレ調査によると、2018年9月の過去12カ月間の住宅賃貸料調整基準となるインフレ指数の総合市場物価指数(IGP-M)は、10.04%と二桁台に達している。

総合市場物価指数(IGP-M)は、住宅賃貸料並びに公共料金、健康保険プランなどの料金調整の基準となるインフレ指数であるにも関わらず、今年9月の調整される平均住宅賃貸料の値上げは0.49%に留まっている。

住宅賃貸料のインフレ調整の90%は、総合市場物価指数(IGP-M)が適用されているにも関わらず、3年近く継続した経済リセッションからの景気回復の遅れや賃貸住宅の供給バランスの崩れなどの要因で、大半の賃貸住宅オーナーは、値上げ据置を余儀なくされている。

また一向に低下しない失業率や上昇しない実質賃金、低迷する景気回復などの要因で、賃貸住宅用受給バランスは借り手市場に傾いているために、賃貸住宅オーナーは、コンドミニアムや都市不動産所有税(IPTU )の支払いを避けるために、総合市場物価指数(IGP-M)が二桁に達するにも関わらず、住宅賃貸料の据え置きを余儀なくされている。

インフレ指数の一つである総合市場物価指数(IGP-M)は、農畜産部門や鉱工業部門の国際コモディティ価格並びにサービス財、レアル通貨の為替変動に大きく左右される。(2018年9月28日付けエスタード紙)

Eletrobrasは電力エネルギー入札実施で13億レアルの負債軽減

昨日27日ブラジル中央電力公社(Eletrobras)は、傘下の配電公社並びに風力発電所の民営化コンセッション入札を実施、入札にかけられた18ロットのうち11ロットのみが落札された。

Eletrobras公社による入札では、風力発電の3ロット、電力エネルギー配電公社の8ロットが落札されて目標の僅か41%に相当する13億レアルの資金調達に結び付いたにも関わらず、Eletrobras公社では、総額31億レアルの資金調達の胸算用をしていた。

今回の入札による13億レアルの資金調達で、同社のEBITDA有利子負債倍率は、今年6月末の3.4倍から3.1倍に低下、目標の3.0%に接近しているとウイルソン・フェレイラ・ジュニオル社長は説明している。

風力発電入札の3ロットはすべて入札最低価格で落札、落札した企業名はEolica Serra das Vacas 社並びにJmalucelli社、 Brennand Energia社となっている。

電力エネルギー配電ロットJno入札では、パラナ州の電力公社が最低価格に20.35%上乗せした8,724万レアルで落札、2.0%のプレミアム提示のOlympus VI社及び8.43%のプレミアム提示のCteep社を退けた。またTaesa社並びにAlupar社はそれぞれ3ロットの電力エネルギー配電を落札している。(2018年9月28日付けヴァロール紙)

日メルコEPA準備タスクフォースWG会合を実施

2018年9月27日正午より、日メルコスールEPA準備タスクフォースWG会合を実施し、次回10月25日に開催予定の第8回タスクフォース会合の講演内容などにつき協議を行った。

参加者は、芦刈浩司 日伯経済交流促進副委員長、二宮康史 企画戦略副委員長、佐久間太郎 政策対話副委員長、大塚未涼 政策対話委員、事務局から平田藤義 事務局長、日下野成次 総務補佐、近藤千里 アシスタント。 

事務局便り JD-064/18   「質高インフラ環境成長ファシリティ」説明会のお知らせ  

                                            JD-064/18
                                            2018年9月27日
 ブラジル日本商工会議所 会員各位
                                            株式会社国際協力銀行(JBIC)
                                            リオデジャネイロ駐在員事務所

          「質高インフラ環境成長ファシリティ」説明会のお知らせ
       (株式会社国際協力銀行(JBIC) リオデジャネイロ駐在員事務所)

拝啓 日々ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 
日頃、弊行業務に対する皆様のご理解とご協力に感謝致します。

さて、今般、ブラジル日本商工会議所事務局のご協力を得て、「質高インフラ環境成長ファシリティ」説明会を開催する運びとなりましたので、ご案内申し上げます。

質高インフラ環境成長ファシリティ(略称「QI-ESG」(注))は、ESG投資という世界的潮流を踏まえ、わが国企業のノウハウやその技術を広く活用しつつ、地球環境保全に資するインフラ海外展開等を幅広く支援することを目的としたものです。当日は、本ファシリティの概要及び具体的施策についてご説明致します。

つきましては、ご参加ご希望の方は大変お手数ですが10月11日(木)までにリンクhttp://camaradojapao.org.br/evento/ja/eventos/seminariojbic18102018 より必要事項をローマ字で記入しご連絡願います。                                 
お申込は自動申込システムを採用することとなりましたのでご協力の程お願い申上げます。申込者には後ほど自動確認メールが届きます。             
定員になり次第、締め切らせて頂きますので、お早めにお申込み下さい。

                               - 記 –

日時:2018年10月18日(木) 16:00~

場所:ブラジル日本商工会議所(大会議室)   住所 Av. Paulista, 475 – 13º. Andar – São Paulo/SP                

定員:30名

プログラム:
16:00~16:30 「質高インフラ環境成長ファシリティについて」
株式会社国際協力銀行(JBIC)
リオデジャネイロ駐在員事務所       首席駐在員 櫛引智雄
16:30~16:45 質疑応答・意見交換

                                                     以 上

(注) 英文名称(JBIC Global Facility to Promote Quality Infrastructure Investment for Environmental Preservation and Sustainable Growth)の略。

 

 

極左派や極右派の新大統領誕生憂慮で、年内の12空港民営化入札で圧力

大統領選挙の第一次投票を10月7日に迫ってきているが、Ibope/Estado/TV Globoの9月24日の支持率最終調査では、ジャイル・ボルソナロ候補(PSL=社会自由党)が28%で前回調査と同率、フェルナンド・ハダッド氏(PT=労働者党)は、前回18日の19%から22%に上昇、国内外の投資家は民営化に積極的でない大統領誕生を危惧しており、支持率の成り行きに注目している。

連邦政府では10月の大統領選を前に、2016年9月に発表していたインフラ事業の更なる民営化を目的とした投資パートナーシッププログラム(PPI-Programa de Parcerias de Investimentos)の入札を矢継ぎ早に発表する準備を行っていたにも関わらず、運輸省と民営化を担当している投資パートナーシッププログラム(PPI)管轄との間で意見の相違が発生して計画が遅れている。

投資パートナーシッププログラム(PPI)管轄責任者は今年12月20日前後のブラジル国内12空港の民営化入札を目論んでいる一方で、運輸省のヴァルテル・ンカゼイミロ大臣は、新大統領による2019年の入札を望んでいる。

12空港の民営化入札には、Vinci社並びにZurich Airport社、フランス資本ADP社、Fraport社、CCR社、フランス資本Egis Airport社、Corporación Américae Patria社、Changi社、 Socicam社などが参加すると予想されている。

南東部地域ではエスピリット・サントス州ヴィトリア空港並びにリオ州マカエ空港の2空港抱合せの民営化入札が予定されており、投資総額は6億3,000万レアルが見込まれている。

また北東部地域の中規模空港の民営化では、ペルナンブーコ州レシーフェ空港並びにアラゴアス州マセイオ空港、パライバ州ジョアン・ペソア空港並びにカンピーナ・グランデ空港、セルジッペ州アラカジュ空港、セアラー州ジュアゼイロ・ド・ノルテ空港が予定、投資総額は7億6,300万レアルが見込まれている。

マット・グロッソ州内の空港民営化では、クイアバ空港並びにSinop空港、Alta Floresta空港、Rondonopolis空港、投資総額は21億4,000万レアルが見込まれている。

しかしペルナンブーコ州選出のブラジル進歩党(PSB)のフェリッペ・カレラス下院議員は、北東部地域の中規模空港の一括民営化は、レシーフェ空港向け投資金が投資不足の他の空港建設に使用される可能性があると指摘している。

またエスピリット・サント州のPaulo Hustung州知事は、エスピリット・サントス州とリオ州の空港を一括民営化入札にかけるのは、不合理であると指摘している。(2018年9月27日付けエスタード紙) 

Selic金利6.5%で推移にも関わらず、クレジットカード金利が再び上昇

ブラジル銀行協会連盟(Febraban )の調査によると、特別小切手税と呼ばれるクレジットカード口座借越残金利は、政策誘導金利(Selic)が今年3月から6.5%で推移して、4カ月連続で安定的に推移していた。

中銀の発表によると、過去12カ月間の特別小切手税と呼ばれる口座借越残金利は14.1%減少して、7月~8月は303.2%で推移していた。また8月の月額最低返済のクレジットカード借越残金利は、過去12カ月間で29.2%減少の250.3%、しかし7月から1.8%増加している。

しかし8月の月額最低返済を行わないクレジットカード借越残金利は、前月の285.2%から291.3%に増加して、303.2%の特別小切手税と呼ばれる口座借越残金利に接近してきている。

今年8月の商業銀行の平均スプレッド金利は前月から0.2%増加の6.9%を記録、今年4月のスプレッド金利は、6.2%まで減少して今年のスプレッド金利の最低を記録していた。

突発的な支出を余儀なくされる場合に使用される金利が天文学的な特別小切手税と呼ばれる口座借越残金利の使用を余儀なくされている人でも、予算外の医薬品購入や医療機関の利用、車の修理、小売店での日用品購入をしている。

中銀の通貨政策委員会(Copom)では、2016年10月の政策誘導金利(Selic)14.25%から連続12回に亘って切り下げ、今年3月の中銀のCopom委員会では、全会一致でSelic金利を6.75%から0.25%切下げて6.50%に決定して、過去最低の金利を記録している。(2018年9月27日付けエスタード紙)

今年8月の財政プライマリー収支赤字は197億レアル

中銀の発表によると、2018年8月の中銀並びに国庫庁、社会保障院(INSS)で構成される中央政府の財政プライマリー収支赤字は、197億レアルに達して昨年同月の101億1,100万レアルの約2倍に増加している。

国庫庁の発表によると、今年8月の歳出総額は前年同月比5.9%増加の1121億9000万レアル、歳入総額は0.5%増加の1,148億9,000万レアル、特に地方統一選挙向けファンドは17億レアルを記録。地方政府(州・市)への交付金を差引いた純歳入総額は、3.1%減少の1,121億9,000万レアルであった。

国内経済の緩やかな回復に伴って法人所得税(IRPJ)並びに純益に対する社会納付金(CSLL)が増加した影響で、8月の地方政府(州・市)への交付金総額は、前年同月比18.9%と二桁増加を記録している。

今年初め8か月間の中央政府の財政プライマリー収支赤字は、586億レアルに留まって2015年以降では最低の赤字幅を記録、昨年同期の財政プライマリー収支赤字は867億レアル、8月の過去12カ月間の財政プライマリー収支赤字は976億レアルを記録している。

今年の中央政府の財政プライマリー収支赤字の許容範囲は1,590億レアルと定められているが、9月~12月までの4か月間の赤字は922億レアルまで許容範囲となっている。

国庫庁では今年のインフレ指数を差引いた実質歳入総額は前年比6.6%増加、連邦政府は年末までに各省庁間の臨時歳出として41億レアルを許可しているために、今年の最終ライマリー収支赤字は、許容範囲1,508億レアルを上回る1,549億レアルを見込んでいる。(2018年9月26日付けヴァロール紙)

米国は履物輸入税緩和でブラジル製履物輸出に追い風

10月13日から「Miscellaneous Tariff Bill (MTB) Act of 2018」による米国向けの貿易関税法案施行を前に、2週間前にホワイトハウスでは、米国向けブラジル製履物を含む1,600品目の免税・関税引き下げを発表していた。

一方トランプ米政権は、今月17日に米通商法301条に沿って、中国による知的財産権侵害に対抗した制裁関税の第3弾を今月24日に発動すると発表。中国からの輸入品5745品目、2,000億ドル相当に10%の追加関税を課すが、中国政府の強い反発は避けられず、米中貿易戦争の激化が予想されている。

10月13日から施行予定の「Miscellaneous Tariff Bill (MTB) Act of 2018」法令の有効期限は、2020年12月31日迄。輸入関税の引き下げ対象は40品目の履物で人工革、皮革、布製、安全靴も対象。現在の輸入履物の関税率は6.0%~37.5%となっている。

米国向け履物の60%が免税対象、残りの40%は減税対象になり、現在のドル高の為替も追い風となって価格競争力が上昇するとブラジル履物工業会(ABICALÇADOS)市場調査担当のPriscila Linckコーディネーターは歓迎している。

2008年から米国市場に参入しているRadames Soulmade Shoes社では、ブラジル製履物の輸入関税引下で、今年の米国向け履物輸出は前年比15.0%増加の2万5,000足に達すると同社輸出担当のマウリシオ・アヴィラ部長は楽観的な予想している。

KIDY CALÇADOS INFANTIS社では1日当たり2万足の履物を生産、サウジアラビアや米国向けに15%を輸出しているが、米国向け輸入関税引下で価格競争力の上昇に伴って米国向け輸出拡大を見込んでいる。

過去2年間にブラジルの履物製品は、米国市場で中国の台頭とともにマーケットシェアを落としている。2017年の米国の履物輸入は23億8,000万足、中国のマーケットシェアは71%、輸入金額は251億4,000万ドル、そのうち中国は59%を占めている。

昨年ブラジルの米国向け履物輸出は1,200万足、輸出金額は2億400万ドルであったが、米中貿易戦争の激化に伴って、ブラジルは米国向け履物輸出で漁夫の利を得ると予想されている。

今年初め8か月間の米国向けブラジル製履物輸出は、前年同期比11.6%減少の600万足、輸出金額は19.5%減少の1億30万ドルに留まっており、特に皮革製履物輸出の減少が顕著となっている。

また今年初め8か月間のブラジル製履物輸出は、レアル通貨に対するドル高にも関わらず、前年同期比10.2%減少の6,900万足、輸出金額は10.3%減少の6億2,830万ドルに留まっている。(2018年9月26日付けヴァロール紙)