建設業界は51か月間連続で低調に推移

2014年3月に発覚したペトロブラス石油公社関連のラヴァ・ジャット作戦関連汚職問題発覚並びに3年以上に及ぶ深刻な経済リセッションの影響で、2016年のブラジル建設業界では、3,972社が倒産に追い込まれ、業界の43万人の労働者が解雇されて、建設業界は壊滅的なダメージを受けていた。

経済リセッションから徐々に回復傾向を示しているブラジル経済にも関わらず、建設業界は、連邦政府並びに州政府の財政悪化でインフラ整備部門向け投資が凍結された影響で、今年7月まで51か月間連続で前年同月比割れを起こしている。

今年4月の建設業部門の投資は、前年同月比2.7%増加して4年4か月ぶりに増加に転じたが、建機を含む機械・装置部門は、2017年初めからから回復傾向を示しており、今年7月の機械・装置部門は、前年同月比14.1%と二桁増加して13か月連続で増加している。

今年7月の住宅投資、設備投資や公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)部門伸び率は、前年同月比4.5%増加したにも関わらず、停滞したままの公共投資、異常に高い建設業界の失業率、不透明な大統領選挙などの要因で、建設業界の先行きが全く不透明となっている。

今年上半期の建設業界のGDP伸び率は、前年同期比マイナス2.2%を記録して16四半期連続でマイナスを記録しており、大統領選挙が終了するまで投資ができないとサンパウロ州住宅建設業者組合(Sinduscon-SP)ではコメントしている。

また今年の建設業界のGDP伸び率を0.5%と予想していたが、ブラジルのGDP伸び率の下方修正に伴って、マイナス0.6%をサンパウロ州住宅建設業者組合(Sinduscon-SP)は予想している。(2018年9月26日付けエスタード紙)

社会経済開発銀行(BNDES)は持ち株放出を加速

社会経済開発銀行(BNDES)のDyogo de Oliveira総裁は、VALOR 誌のインタビューで、今年の持ち株放出を100億レアルから120億レアルに引上げると発表したにも関わらず、今後の持ち株放出は、大統領選挙結果を見極めてから決定する。

今年の社会経済開発銀行(BNDES)による持ち株放出総額は60億レアル、そのうちペトロブラス石油公社の持ち株放出は37億レアル、国営電力会社ブラジル中央電力(エレトロブラス)は14億レアルとなっている。

今年初め8か月間のクレジット申請総額は、前年同期比僅か2.0%増加の698億レアル、クレジット承認総額は14.0%減少の388億レアル、そのうち中小企業向けクレジットは、全体の49%と過去平均の20%を遥かに上回っているとDyogo de Oliveira総裁は指摘している。

今年初め8か月間のクレジット承認額は、14.0%減少の388億レアルに留まっているが、年末までには700億レアル~800億レアルに達するとDyogo de Oliveira総裁は説明している。

今年上半期の社会経済開発銀行(BNDES)のクレジットが過去20年間で最低を記録した要因として、BNDES銀行の長期貸出金利(TJLP)がSelic金利を上回る新たな長期金利(TLP)になっている。

今年上半期の社会経済開発銀行(BNDES)の純益は47億6,000万レアル、今年は80億レアルに達して2014年以降では最高の純益をDyogo de Oliveira総裁は予想している。(2018年9月26日付けヴァロール紙)

 

セミナー「ブラジル競争法上の調査案件に関する重要論点と近時のトレンド」開催

日伯法律委員会(藏掛忠明委員長)主催のセミナー「ブラジル競争法上の調査案件に関する重要論点と近時のトレンド」は、2018年9月25日午後4時から6時までMattos Filho, Veiga Filho, Marrey Jr e Quiroga Advogados会議室に20人以上が参加して開催、進行役は清水 マサオ ワルテル副委員長が担当した。

セミナーは、Mattos Filho弁護士事務所のマルシオ・ジアス・ソアレス弁護士並びにミッシェーリ・マシャード弁護士が英語、  アンダーソン・毛利・友常法律事務所東京オフィスの角田太郎弁護士が日本語で解説した。

ブラジル競争法上の調査案件に関する重要論点と近時のトレンドのアジェンダの近時の著名案件からの教訓では、日本の公正取引委員会に相当する経済擁護行政委員会(CADE)の組織や役割、他の当局との連携、カルテルに対する取締、課徴金事例、ブラジル国内外でのCADEの権限、カルテル行為とみなされるセンシティブ情報交換、リニエンシー及び和解契約を説明した。

競争法コンプライアンスの重要側面では、競争法違反行為のもたらす結果として企業や個人に対する責任、処分、懲役や課徴金、リスク防止、効果的な実践方法、テーラーメイドプログラムを説明。ディストリビューション契約と競争法上の懸念を最小化するための最善方法では、リスク行動並びにベストテンプラクティス、通常の懸念、リスク領域、推奨される対象を説明した。

ドーン・レイズ(Dawn Raids)‐何をすべきか、すべきでないかでは、証拠書類の発見目的のCade及び警察が行う予告なし立入検査、Cade捜査官による会社の敷地内捜査、関連文書の押収、記録媒体及び機器の押収、ドーン・レイズ中の立入禁止。ドーン・レイズ中の捜査協力として、捜査官に随伴する職員の指定、コピーや欧州書類・ファイル記録の写し及び質問及び回答の記録、会社のITシステムアクセス支援及び監視のためのIT担当者の関与。すべきでないことでは、捜査妨害、書類の破棄や隠匿、虚偽や誤解を与える情報提供、職務の範囲を超えた回答、弁護士の許可なしの書類へのサイン、当局が封鎖した場所への立入などについて説明した。

私的執行では、競争法によって損害を受けた企業あるいは個人の救済目的の損害賠償請求提起。競争法違反による損害に対する集団訴訟による救済、損害賠償請求は、Cadeによるそれ以前の捜査とは無関係に実施可能、ブラジルの民事請求は未だ黎明期で不確実な時効、損害額算出に対する証拠及び参考書類へのアクセス、リニエンシー及び和解関連資料へのアクセス規定などについて説明。質疑応答では、20%以上のマーケットパワー、ディストリビューション契約、Cadeによる本社と子会社の異なる価格捜査、抱き合わせ商法、一括販売、違法ジョイントベンチャー契約などが挙げられた。

左からMattos Filho弁護士事務所のマルシオ・ジアス・ソアレス弁護士/ミッシェーリ・マシャード弁護士

左から清水 マサオ ワルテル副委員長/アンダーソン・毛利・友常法律事務所東京オフィスの角田太郎弁護士

TozziniFreire Advogados一行が訪問

TozziniFreire AdvogadosのFernando Eduardo Serec CEO並びに幕田潤パートナーが2018年9月25日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長と日下野成次総務に10月4日に東京で開催予定の講演テーマ「ブラジル人の権利」セミナーを案内した。

Fujiyoshi Hirata, Seidi Kusakano, Fernando Eduardo Serec e Jun Makuta

Foto: Rubens Ito / CCIJB

Instituto Federal São Paulo – Câmpus Suzanoのロベルト・ヒガシ氏が訪問

サンパウロ州スザノ市のInstituto Federal São Paulo のロベルト・ヒガシ氏が2018年9月25日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長と日下野成次総務担当に10月25日開催の第4回サンパウロ州科学技術・教育・ロジスティックオペレーション会議を案内した。

Prof. Roberto Higashi, Fujiyoshi Hirata e Seidi Kusakano

Foto: Rubens Ito / CCIJB

一般社団法人日本ブラジル中央協会の駒村聖理事が訪問

一般社団法人日本ブラジル中央協会(Associação Central Nipo-Brasileira)の駒村聖理事が2018年9月25日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長とブラジルの政治経済について意見交換を行った。駒村聖理事は、2008年から2013年までJFEスティールブラジル社の元社長、ブラステル株式会社顧問並びにN3 Plus Co.Ltd.共営者。

Kiyoshi Komamura e Fujiyoshi Hirata

Foto: Rubens Ito / CCIJB

回章 CIR-111/18     2018年度第4四半期会費ご依頼の件

                                             CIR-111/18
                                             2018年9月24日

会員各位
                                             ブラジル日本商工会議所
                                             会頭 松永愛一郎
                                             財務委員長 讃井慎一

                2018年度第4四半期会費ご依頼の件

拝啓

時下益々ご繁栄のこととお慶び申し上げます。

各位におかれましては、常日頃より当会議所事業にご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

2018年度第4四半期の会費に就きましては、2018年第3四半期と同額でお願い致します。

                                記

なお、お支払に就きましては別途ブラデスコ銀行の方から請求がまいりますので、2018年10月10日までに請求書が届かなかった場合にはTEL.3178-6243又はcobranca@camaradojapao.org.br、アレシャンドレまでご連絡下さい。

時下益々ご繁栄の事とおよろこび申し上げます。

                                                       敬具

 

今年8月の過去12カ月間の経常収支赤字はGDP比0.8%

国内要因として不透明な大統領選挙、海外要因として新興国の為替下落を誘発している連邦準備制度理事会による金利引き上げ予想、米中貿易戦争などの影響で、2018年8月の過去12カ月間の経常収支赤字はGDP比0.8%と今年1月のGDP比0.44%を大幅に上回っている。

しかしブラジルの8月の過去12カ月間の経常収支赤字は、海外投資家による大幅な対内直接投資の影響を受けてGDP比0.8%とGDP比1.0%を下回っており、為替危機に直面しているアルゼンチンのGDP比5.1%、トルコの5.4%を大幅に下回っている。

またブラジルの外貨準備高が長年に亘って3,800億ドル前後で安定しており、今月4月末以降の米ドル高局面では、経済のファンダメンタルズが脆弱なアルゼンチン通貨ペソが急落し、大幅利上げなど通貨防衛にも関わらず、IMFに支援を要請する事態に追い込まれたアルゼンチンの約500億ドルと比較にならない程金融ボラティリティに対応できるとRosenberg Associadosチーフエコノミストのタイス・マルゾラ・ザラ氏は指摘している。

8月の過去12カ月間のブラジルの経常収支赤字は、GDP比0.8%に相当する155億ドルに留まっており、経常収支赤字を記録した2015年4月のGDP比4.4%を大幅に下回って改善してきている。

経常収支赤字改善の一因として、レアル通貨に対するドル高の為替で輸入減少の一方で、輸出競争力増加に伴う輸出増加、ブラジル企業の時価総額減少に伴って対内直接投資が増加してきている。

2017年末の経常収支赤字はGDP比0.5%を下回っていたにも関わらず、2018年2月から上昇に転じているが、8月の過去12カ月間の対内直接投資は、GDP比3.61%に相当する700億ドルを記録している。

今年8月の過去12カ月間の南アフリカの経常収支赤字はGDP比2.9%、チリ1.8%、インド2.3%、メキシコ1.9%とそれぞれブラジルを上回ったが、中国の経常収支はGDP比1.2%、ロシアはGDP比4.5%それぞれ黒字を計上している。

3,800億ドルに達するブラジルの外貨準備高は、海外金融ボラティリティを緩和するのに充分である。海外要因が悪化すれば更なる新興国の為替下落に繋がる危険はあるものの、ルーラ大統領誕生の2002年にレアル通貨はR$4.0 を記録したが、現在の換算ではR$7.0 のドル高暴騰に相当していた。(2018年9月25日付けヴァロール紙)

8月の鉄鋼製品生産減少も消費は拡大

ブラジル鉄鋼院(IABr)の発表によると。2018年8月の輸入製品を含む鉄鋼製品の国内消費は、前年同月比11.4%増加の190万トンを記録して増加傾向を示している。

今年初め8か月間の鉄鋼製品消費は、前年同期比10.0%増加の1,380万トンと3カ月連続で増加、しかし5月は5月末から11日間継続したトラック運転手の国道封鎖抗議デモによる物流問題などの影響で減少していた。

また8月の鉄鋼製品の国内販売は前年同月比9.2%増加の170万トン、今年初め8か月間では10.2%増加の1,220万トン、8月の粗鋼生産は3.7%減少の280万トン、今年初め8か月間では2.5%増加の2,310万トンを記録している。

今年8月の圧延鋼生産は4.2%減少の190万トン、今年初め8か月間では4.8%増加の1,540万トン、今年8月のスラブ(鋼片)と呼ばれる半製品生産は1.0%増加の88万1,000トン、今年初め8か月間では4.5%増加の650万トンに達している。

今年8月の鉄鋼製品輸入は28.8%増加の24万6,000トン、輸入金額は20.1%増加の2億5100万ドル、今年初め8か月間では7.1%増加の170万トン、輸入金額は23.2%増加の18億ドルを記録している。(2018年9月25日付けヴァロール紙)

不透明な大統領選挙にも関わらず、海外投資家は将来性に投資

混沌とした大統領選挙を2週間後に控えているにも関わらず、海外投資家はブラジルの将来性に賭けており、8月の海外投資家による対内直接投資金額は106億ドルに達して、2017年1月の115億ドル以降では最高を記録している。

また8月の対内直接投資金額106億ドルは、フランコ大統領のもとでカルドーゾ蔵相が実施した経済改革プランで、財政の健全化、米ドル連動の仮想通貨「URV」の導入による財・サービス表示価格の調整、対米ドル為替レートに連動する新通貨「レアル」を導入したレアルプラン以降では10指に入っている。

中銀では今年9月20日までの対内直接投資金額は60億ドルに達しており、2週間後に控えた大統領選挙にも関わらず、9月末までには、対内直接投資総額は70億ドルに達すると予想している。

8月の過去12カ月間の対内直接投資700億ドルの60%は、石油・天然ガス部門並びに紙・パルプ部門、化学部門、鉱山資源分野に集中しており、製造部門向けの大型対内直接投資案件は10億ドルに達している。

しかし8月の海外投資家による短期金融投資の確定金利付き投資の引き上げ金額は、77億5,000万ドルに達しており、大統領選挙2か月後の2014年12月の85億3,000万ドルに次ぐ引上げ金額に達しており、一部の海外投資家はリスク軽減を図っている。

今年7月の海外投資家による確定金利付き投資総額は61億9,000万ドルが流入していた一方で、9月は20日までに4億7,900万ドルが引上げており、また株式並びに投資ファンドも1億700万ドル引上げており、9月の金融投資引上げは既に18億8,000万ドルを記録している。

今年8月のブラジル人の海外旅行収支は、ドル高の為替の影響で前年同月比21.0%減少の13億8,200万ドル、また8月の海外在住ブラジル人によるブラジル国内への送金は、21%増加の2億4,400万ドルと2007年以降では月間記録を塗り替えている(2018年9月25日付けヴァロール紙)