ウォーレン・バフェット氏はNubankの株式5億ドルを取得(2021年6月8日付けエスタード紙)

ウォーレン・バフェット氏所有の投資会社バークシャー・ハサウェイ社は、ラテンアメリカ地域で最も急拡大しているブラジルのフィンテックNubank社の5億ドルの株式を取得した。

バークシャー・ハサウェイ社以外にも他の海外投資家グループがNubank社の2億5000万ドルの株式取得で今月4日に交渉が成立、Nubank社の時価総額は300億ドルに達している。

顧客数とアプリダウンロード数では、世界で最も大きなデジタルバンクに成長してきているNubank社の顧客総数は、既に4000万人に達している。また今年初め5か月間の1日平均の新規顧客は4万5000人のペースで増加している。

Nubank社は2013年にサンパウロ市で設立、ラテンアメリカ地域で最大のフィンテック企業に成長、事業展開しているブラジル、メキシコ並びにコロンビアで4000万人の顧客を獲得している。また同社は既に20億ドルの資金調達に成功している。

バークシャー・ハサウェイ社は、Nubank社に対して過去最大の投資を行っているにも関わらず、バークシャー・ハサウェイ社は、投資の詳細はコメントしていないが、Nubank社のDavid Vélez社長は、これ以上の資金調達の必要性はないとコメントしている。

今のところ新規株式公開による上場は考えていないが、将来的には上場の可能性を否定していないにも拘らず、同社の現状計画には含まれていない。特に既に事業を展開している3カ国の投資および保険支店の拡大を継続するが、企業買収による事業拡大も否定していないとNubank社のDavid Vélez社長は説明している。

人口が2億1300万人を擁するブラジルの銀行システムは、数行の大銀行のマーケットシェア寡占状態が続いており、人口の多くが銀行口座を持っていないために、ブラジルのデジタル銀行の急速な拡大に繋がっており、デジタル銀行にとって顧客獲得のチャンスとなっている。

直接的クレジット組織(SCD)に認定されたフィンテック企業は、スマートフォンなどの電子プラットフォームで、従来型の金融機関と同等のサービスを単独で提供することが可能となるブラジル中央銀行の規制緩和により、大手金融機関による独占市場にフィンテクのスタートアップ企業の参入余地が生まれ、スタートアップ企業の手が届くサービスを提供することで金融市場が競争し、活性化させることができるようになった。

企業経営者の景況感は、一般消費者の景況感を大幅に上回っている(2021年6月8日付けエスタード紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の調査によると、2021年5月の企業経営者の景況感指数(ICE)は、4月の89.8ポイントから大幅に上昇して、景況感の分岐点となる100ポイントに接近する97.7ポイントを記録している。

一方今年5月の一般消費者の景況感指数(ICC)は、4月の72.5ポイントから76.2ポイントと4.0ポイント近く上昇したにも拘らず、その差は、21.5ポイントと2008年8月から統計を取り始めて最大の開きを記録している。

今年3月の企業経営者の景況感指数(ICE)は85.5ポイントに対して、一般消費者の景況感指数(ICC)は、68.2ポイントと誤差は17.3ポイントであった。

また今年4月の企業経営者の景況感指数(ICE)は、89.8ポイントに対して、一般消費者の景況感指数(ICC)は、72.5ポイントとそれぞれ前月よりも改善したが、誤差は前月同様に17.3ポイントであった。

今年2月の一般消費者の景況感指数(ICC)は、4か月連続での減少から上昇に転じ、前月比2.2ポイント増加の78ポイントを記録した一方で、企業経営者の景況感指数(ICE)は、前月の92.9ポイントから91.1ポイントに悪化していた。

5月の企業経営者の景況感指数(ICE)と一般消費者の景況感指数(ICC)の21.5ポイントの開きが生じた要因として、今年第1四半期のGDP伸び率は、前四半期比1.2%増加した一方で、需要がマイナス0.6%、高止まりする失業率、食料品が牽引するインフレ圧力、一般家庭の負債増加などの要因で、一般消費者の景況感が低迷している。

今年1月は、COVID-19パンデミック対応の緊急給付金の停止並びにCOVID-19の第2次感染拡大の可能性の影響で、企業経営者の景況感指数(ICE)は、前月の95.1ポイントから92.9ポイント、一般消費者の景況感指数(ICC)は、78.5ポイントから75.8ポイントとそれぞれ悪化していた。

5月の企業経営者の景況感指数(ICE)は、97.7ポイントと2015年の経済リセッション突入前の2014年以降では最高の景況感指数を記録、今後は一般消費者の景況感指数(ICC)の改善に伴って、景況感の誤差は縮小すると予想されている。

今年の新車生産は前月比1.0%微増(2021年6月8日付けエスタード紙)

全国自動車工業会(Anfavea)の発表によると、2021年5月のバスやトラックを含む新車販売は、世界的な自動車向け半導体の供給不足問題の影響で、前月比僅か1.0%微増の19万2,800万台に留まっている。

ブラジルの各自動車メーカーは、半導体を中心として電子部品の供給問題並びに中国を中心とした鉄鉱石需要に伴う国際コモディティ価格の上昇で、自動車生産向けの鋼板コストが上昇して新車生産の阻害要因となっている。

しかし今年5月のブラジル国内の新車生産は、COVID-19パンデミックの影響で、各自動車メーカーは地方自治体の要請による生産中止を余儀なくされていた前年同月比では347.6%増加を記録している。

今年3月下旬から4月上旬にかけてCOVID-19パンデミックの第2波拡大及び半導体不足の影響で、各自動車メーカーは、新車の生産調整を余儀なくされていた。また多くの自動車メーカーは、今後も継続が予想される部品供給不足で、生産調整を強いられると予想されている。

今年初め5か月間の新車生産は、前年同期比55.6%増加の98万1,500台を記録、5月の新車販売は前月比7.7%増加の18万8,700台、前年同期比203.4%増加、新車輸出は9.1%増加の3万7,000台、アルゼンチン向けを中心とした新車輸出は、855.4%増加を記録している。

今年初め5か月間の新車販売は、31.9%増加の89万1,700台、輸出台数は、66.5%増加の16万6,600台、5月の自動車業界の従業員は、605人増加の10万4,100人となっている。

 

(ZOOM)日伯法律委員会主催の月例会開催

日伯法律委員会(岩尾 玄委員長)主催のオンライン月例会は、2021年6月9日午後4時から5時30分まで75人が参加して開催、司会はクラウジオ・ヴァス副委員長が務めた。  

初めに日伯法律委員長の岩尾理事(損保ジャパン日本興亜)は、4月の委員長就任及び副委員長の西口 阿弥氏(EY)、Antenor Minto氏 (Deloitte)、Rafael Mantovani氏      (丸紅)、清水 マサオ ワルテル市 (KPMG)、クラウジオ・ヴァス氏(損保ジャパン日本興亜)並びに田村氏(損保ジャパン日本興亜)を紹介した。

初めに講師のDeloitte Touche Tohmatsu のFELIPE BASTOS FORTES 弁護士は、テーマ『費用分担契約(コスト・シェアリング契約)の税務問題』について、契約の参加者が、特定の無形資産 を開発するために必要な費用を分担し、その成果に対する持分をその費用分担額に応じて取得する契約するコストシェアリング契約(「費用分担契約」)の定義、ブラジルにおける規則の推移、 コストシェアリング契約の留意すべき事項、税制の注意点などについて説明した。

EYのFABIO LUÍS FLORENTINO弁護士は、テーマ『PIS/ COFINS算出ベースからのICMS除外に関するSTF(連邦最高裁判所)判決における税務および会計上の影響』について、  1988年~2021年のTAX TIME、最近のトピックス、最高裁判所の判例などについて説明。質疑応答ではコストシェアリングにおける利益送金時の課税、商品サービス流通税(ICMS)に係わる社会統合基金/社会保険融資納付金(PIS/COFINS)、売買契約キャンセル時のICMS税の取扱いなどが挙げられた。

PDF anexos: 
1. “Compartilhamento de custos – Questões tributárias" 
2. “Exclusão do ICMS da base do PIS e da COFINS"    

Para assistir ao vídeo da reunião, acesse aqui . 

 

(ZOOM)第13回ジェトロ報告会(意見交換会)

ジェトロサンパウロ並びにブラジル日本商工会議所共催、在サンパウロ総領事館協力による第13回ジェトロ報告会(意見交換会)は、2021年6月9日午前9時30分から10時30分過ぎまで58人が参加して開催。進行役はジェトロサンパウロ事務所の古木勇生ディレクターが務めた。 

初めにサンパウロ総領事館の渡邊聡太副領事は、コロナ禍における海外在留邦人の一時帰国時のワクチン接種に関する情報並びに商工会議所総務委員会主催の6月24日午後6時からサンパウロ総領事館の仲谷嘉行領事並びに原田信治医務官による「安全対策セミナー」の案内を行った。

ジェトロ・メキシコ事務所調査担当の松本杏奈氏は、『メキシコの最新経済動向』と題して、初めの政治概況では、2018年12月に就任したオブラドール大統領の目指すメキシコの伝統的な社会主義的政策への方向転換として、第4の変革を説明。昨年9月の年次教書演説の内容、電力産業改正法、炭化水素法改正、人材派遣禁止法、自由貿易協定推進国メキシコの多角的な通商政策、NAFTAに替わるUSMCAの日系進出企業への影響、メキシコ・メルコスール自動車協定のACE55号の概要、6月6日に実施された中間選挙結果と今後の政治勢力の見通しについて説明した。

また経済状況では、2015年以降の各四半期のGDP伸び率の推移、産業別GDP伸び率推移、COVID-19パンデミックで大きな影響を受けた自動車産業の状況、インフレ率の推移、消費動向、雇用状況、2021年及び2022年のマクロ経済見通しとして、GDP伸び率、インフレ、正規雇用創出予想について説明。質疑応答では、COVID-19パンデミック以降のメキシコの外食産業の動向、税制改正の見通しが挙げられた。

『メキシコの最新経済動向』ジェトロ・メキシコ事務所調査担当の松本杏奈氏

ワクチン接種に関するアンケート結果(回答者数30名)

 

ブラジルは5大銀行が80%以上のマーケットシェア寡占(2021年6月7日付けUOLサイトより抜粋)

中銀の発表によると、ブラジルのイタウー銀行、ブラデスコ銀行、ブラジル銀行、サンタンデール銀行並びに連邦貯蓄金庫で構成される5大銀行のクレジット部門のマーケットシェアは、81.8%の寡占状況となっている。

2019年の5大銀行のクレジット部門のマーケットシェアは83.7%を占めていたが、フィンテック(Fintech)によるデジタル銀行の台頭で、約2年間で2.0%のマーケットシェアを失っているにも関わらず、相変わらず80%以上の寡占状況が継続している。

フィンテック(Fintech)によるデジタル銀行の台頭で、2020年の5大銀行のクレジット部門のマーケットシェアは、前年比4.3%減少に相当する79.1%までマーケットシェアが減少していた。

2020年の5大銀行の総資産のマーケットシェアは、ブラジル銀行並びに連邦貯蓄金庫のマーケットシェアの減少が牽引して、前年比3.4%減少に相当する77.6%まで減少していた。
 
2019年のブラジル銀行並びに連邦貯蓄金庫の個人向けクレジットのマーケットシェアは45.5%、2020年は44.4%に微減したが、2018年のマーケットシェア48.2%から4.0%以上減少している。

ブラジル銀行並びに連邦貯蓄金庫の個人向けクレジットのマーケットシェアは、減少傾向になっているにも関わらず、連邦貯蓄金庫の個人向けクレジットのマーケットシェアは27.0%で断トツ、2位はブラジル銀行の17.4%、イタウー銀行は11.9%、ブラデスコ銀行は11.2%、サンタンデール銀行は10.0%となっている。

 

今年5月のポウパンサ預金は、預金総額が引出総額を7,260万レアル上回った(2021年6月7日付けエスタード紙)

7日の中銀の発表によると、2021年5月のポウパンサ預金は、4月6日からのCovid-19パンデミック対応のための緊急給付金の支給再開が追い風となって預金総額が引出総額を7,260万レアルを上回った。

今年5月のポウパンサ預金は、4月の預金総額が引出総額を38億4,100万レアル上回る2ヶ月連続での黒字を記録している。しかし今年1月から3月のポウパンサ預金は、昨年末で終了した緊急給付金の支給停止の影響で、引出が預金を上回る赤字を記録していた。

今年5月のポウパンサの預金残高に対する利払い総額は20億レアル、ポウパンサ預金残高は1兆210億レアルを記録している。

今年初め5か月間の引出総額は預金総額を236億レアル上回る赤字を記録したが、COVID-19パンデミックが始まった昨年3月~昨年12月迄の10ヶ月間は、緊急給付金支給、外出自粛要請並びに将来の失業不安などの要因で、極力支出を抑えて、ポウパンサ預金を行っていた。

伝統的に年初3カ月間のポウパンサ預金は、都市不動産所有税(IPTU )並びに自動車所有税(IPVA)の支払い開始、子供の学用品購入出費などで、ポウパンサ預金の引出総額が預金総額を上回る傾向となっている上に、緊急給付金の支給が中断されていたために、今年初め3か月間のポウパンサ預金は、引出総額が預金総額を上回る赤字を記録していた。

ポウパンサ預金の収益は、現在は0%の参考金利(TR)プラス現在年利3.50%の政策誘導金利(Selic)の70%で年利は2.45%とインフレ指数以下となっている。この計算方法はSelic金利が年利8.50%以下の場合に適用されるが、Selic金利が8.50%以上の場合は、参考金利(TR)プラス月利0.5%で年利6.17%の金利となる。

フォーカスレポートは、今年のGDP伸び率を4.36%に上方修正(2021年6月7日付けエスタード紙)

最終フォーカスレポートによると、2021年のGDP伸び率は前回予想の3.96%から4.36%と0.40%上方修正、また2022年のGDP伸び率は前回予想の2.25%から2.31%に上方修正している。

先週のブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2021年第1四半期のブラジルの国内総生産GDP伸び率は、前四半期比1.2%増加、前年同期比では1.0%増加を記録、今年第1四半期の国内総生産の1.2%増加で、2019年第4四半期の水準に回復している。

また今年のGDP伸び率は、前回予想の5.50%から6.10%に上方修正、2022年のGDP伸び率も前回予想の2.30%から2.40%に上方修正している。

今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、インフレ圧力の増加に伴って、前回予想の5.31%から5.44%と9週連続で上方修正を余儀なくされている。

今年のIPCA指数の中央目標値は3.75%、許容範囲は±1.50%に相当する最低2.25%、最高5.25%に設定されている。また2022年のIPCA指数の中央目標値は3.50%、2022年は最低2.00%、最高5.00%に設定している。2023年の中央目標値は3.25%、最低1.75%、最高4.75%が設定されている。各年のインフレ目標値は国家通貨審議会(CMN)によって設定されている。

2020年のIPCA指数は4.52%を記録して、連邦政府の中央目標値4.00%を突破したものの、許容範囲には収まっていたが、2016年以降では最高のIPCA指数を記録していた。また2022年のIPCA指数は、前回予想の3.68%から3.70%に微増予想。

今年末の政策導入金利(Selic)は、インフレ圧力の上昇に伴って、前回予想の5.75%に据置。3月17日開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策導入金利(Selic)を7ヶ月連続で過去最低の2.00%を維持していたにも関わらず、食料品並びに燃料価格が牽引しているインフレ圧力を抑制するために、一挙に0.75%引上げて2.75%の決定を余儀なくされた。

また5月5日に開催された中銀の通貨政策委員会は、Selic金利を2回連続で0.75%引上げて3.50%に決定、中銀の議事録では、次回のCopom委員会でも再度0.75%引上げて4.25%になる可能性を示唆している。2022年末のSelic金利は前回同様6.50%に据え置かれている。

(Zoom) 大使館の中島書記官と後任の岩崎書記官とのオンライン面談    

2021年6月8日、帰国する在ブラジル日本国大使館の中島良太書記官と後任の岩崎英明書記官が、オンラインで平田藤義事務局長及び日下野成次総務補佐と面談を行った。

経済班の財務・税関アタッシェである中島書記官は、商工会議所の課税・通関ワーキンググループ会議に参加、特に税制に関して会議所代表者とブラジル政府要人との会合を多数実現、両サイドのつなぎ役として活発に貢献したことに対し平田事務局長は感謝の意を表した。

後任の岩崎書記官は、東京税関(情報センター(テロ担当)、米国ロサンゼルス港CSI(Container Security Initiative)派遣職員)や財務省(米国/欧州経済調査、貿易統計公表)を経てブラジリアに赴任した。

回章  CIR-058/21   2021年 6月定例理事会開催のご案内

                           CIR-058/21
                           2021年6月8日
理事各位
CC:監事会議長/部会長各位
                           ブラジル日本商工会議所
                           会頭     村田 俊典

            2021年 6月定例理事会開催のご案内

拝啓
時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。
さて、新定款第35条並びに第37条に基づき、定例理事会を下記開催致します。万障お繰り合わせの上、ご出席頂きます様宜しくお願い申し上げます。

なお、会議プログラムを作成するにあたり、特別な議案や報告事項等が御座いましたら、200字~300字の要約メモを事務局宛メールでご連絡のほど宜しくお願い致します。

                                                   敬具
                  ― 記 ―

日時:  2021年 6月18日(金) 9:30~10:30             
議題/報告事項: 皆様からの特別な議案や報告事項(上記)などを纏め、またステコミ会議における事前協議事項等々を含め追ってお知らせいたします。

開催要領: オンライン
参加方法: Zoom 
当日参加用リンク →  https://zoom.us/j/99326731170?pwd=eWx2WUt1OTlmaEduY0lvR0VBV0lkUT09 
ミーティングID: 993 2673 1170
パスコード: 228066

出欠確認:  6月17日(木)までに下記リンクよりご出欠をご連絡願います。
リンク → https://chouseisan.com/s?h=a0f3d77672e640e88f50a4f6c32bca14

                                         以上