11月の平板鋼販売は15.8%急増で在庫は過去10年間で最低(2020年12月15日付けヴァロール紙)

ブラジル鉄鋼卸売業者協会(Inda)のCarlos Loureiro会長は、2020年11月のブラジル国内の平板鋼販売は前年同月比15.8%急増の37万1,700トンと二桁台の増加を記録している。

現在の好調な平板鋼販売が継続すれば20201年第1四半期の平板鋼の供給は需要に追い付かない在庫不足に陥る可能性をCarlos Loureiro会長は指摘している。また今年初め11か月間の平板鋼販売は延年同期比60%増加の332万トンを記録している。

今年1年間の平板鋼販売は、適正在庫への引上並びに建設不動産業界の需要拡大で前年比8.0%増加を予想、2021年の平板鋼販売は、前年比8.0%~10%増加をCarlos Loureiro会長は予想している。

11月の鉄鋼製品ディストリビューターの平板鋼の購入は前年同月比4.1%増加の29万1,500トン、今年初め11か月間では前年同期比8.5%増加の313万トンを記録している。

COVID-19パンデミックの影響で、大半の鉄鋼メーカーは外出自粛や必需品以外の営業や生産停止要請に従って、高炉の稼働停止で鉄鋼メーカーは大幅な平板鋼の在庫削減を余儀なくされたために、現在のディストリビューター在庫は、営業日数換算で僅か1.9ヶ月相当の63万400トンと過去10年間では最低水準に落ち込んでいる。

通常の平板鋼の最低在庫は、営業日数換算で2.5ヶ月相当であるにもかかわらず、僅か2か月弱の在庫しかないために、20万トンの平板鋼の納入が遅れているとCarlos Loureiro会長は指摘している。

ブラジル鉄鋼卸売業者協会(Inda)の統計によると、11月の平板鋼の輸入は4万8,700トンから103.9%増加の9万9,300トンに増加、今年初め11か月間の輸入は前年同期比19.0%減少の83万9,610トンに留まっている。

 

2019年度のブラジルの人間開発指数(HDI)は84位に後退(2020年12月15日付けヴァロール紙)

平均余命・教育・所得の側面から人間開発の達成度を示す指数の2019年度のブラジルの人間開発指数( Human Development Index, HDI)は、前年の79位から84位に後退、隣国のコロンビアやアルゼンチンの後塵を拝している。

1990年からブラジルの人間開発指数は、年間平均0.77%増加してきているにも関わらず、他の発展途上国の人間開発指数の上昇速度がブラジルを上回っているために、ランクを落とす原因となっている。

人間開発指数(HDI)は平均余命や教育、中間収入の合成統計値であり、出生時の平均余命が長く教育期間が長く中間収入が高いと、その国は高いHDIを記録する。その国が開発国か開発途上国、後発開発途上国のいずれかを識別するのに用いられる。

人間開発指数(HDI)の調査開始から30年が経過しているが、ブラジルの人間開発指数(HDI)は0.965ポイントで、1.000に接近するほど出生時の平均余命及び教育期間が長くなり、また中間収入が高くなる傾向を示している。

人間開発指数(HDI)のトップは、ノルウエーの0.957ポイント、次いでアイルランド並びにスイスの0.955ポイント、中国の人間開発指数(HDI)は、0.761ポイントとブラジルよりも大幅な遅れを取っている。

 国連開発計画(UNDP)は世界の教育・健康・生活水準を総合した尺度である人間開発指数が、新型コロナウイルスの影響で1990年の統計開始以来では、初めて後退すると予想している。

人間開発指数の後退は先進諸国よりも、今回のコロナパンデミックによる社会的、経済的影響に対処する能力が低い開発途上国で、大幅な後退が予想されている。

経済省は2023年の連邦政府の債務残高はGDP比75%に達すると予想(2020年12月15日付けヴァロール紙)

経済省では、連邦政府の次期政権初年度に相当する2023年の財政プライマリー収支は、1,501億3,000万レアルの赤字計上を予想、今年4月の2021年の財政プライマリー赤字予想の2倍に達する大幅な赤字計上に変更している。

最新の予算基本法(LDO )では、ジャイール・ボルソナロ政権の最終年の2022年の財政プライマリー収支は、1,789億レアルの赤字に達すると見込まれている。

2021年の連邦政府の債務残高はGDP比94.5%、2023年末の債務残高はGDP比95.5%に達すると見込まれている。連邦政府の資産を差引いた2021年の純債務残高はGDP比69.7%、次期政権初年度の純債務残高はGDP比75.9%に達する可能性がある。

しかしCOVID-19パンデミックの影響で、今年のGDP伸び率は大幅な経済リセッションの影響による大幅なマイナス成長に留まるが、2021年のブラジルのGDP伸び率は3.2%増加予想、その後の2年間の平均GDP伸び率は2.5%前後の増加に留まると予想されている。

(Zoom) 村田会頭とのポルトガル語によるweb懇親会開催

2020年12月16日午後7時から9時まで企業経営・地場企業推進委員会(委員長: 鈴木ワグネル)主催による商工会議所の村田俊典会頭とのポルトガル語によるweb懇親会が開催された。

企業経営・地場企業推進委員会の鈴木ワグネル委員長、佐々木リカルド副委員長、ミハラ ・セイジ ・フェルナンド副委員長は、村田会頭及び29名の参加者と景気づけに一緒に最初に万歳三唱を行なった。

地場企業や日系人の商工会議所への積極的な参加を図っている2021年/22年度の会頭に再選された村田会頭は挨拶で、商工会所でのブラジル企業に向けた今後の積極的に進めたい活動内容を語り、また今後一層の日本企業とのふれあいを高めたいと強調した。

事務局便り  JD-230/20   文協65周年記念オンラインイベント案内

                        JD-230/20
                        2020年12月16日
会員各位
                        ブラジル日本商工会議所事務局
ブラジル日本文化福祉協会(文協)より下記のとおり同協会の65周年記念オンラインイベントの案内をいただきましたのでお知らせ申し上げます。

日時: 12月17日(木)19時~
リンク:  www.youtube.com/bunkyodigital

(事前登録、お申し込みは必要ありません)

在サンパウロ総領事館や当会議所を含む日系主要5団体も後援しております。
皆様奮ってご参加ください。

 

10月の経済活動指数(IBC-Br)は前月比0.86%増加(2020年12月14日付けエスタード紙)

COVID-19パンデミックの影響で、今年3月並びに4月のブラジル経済は、外出自粛や必需品以外の営業活動や生産活動自粛要請で大幅に落ち込んでいたが、5月から6か月連続で回復してきている。
2020年10月のGDP伸び率の先行指標となる中銀発表の経済活動指数(IBC-Br)は、前月比0.86%増加したが、9月のIBC-Br指数の1.68%の伸び率から大幅に減速している。    

今年初め10か月間の累積IBC-Br指数は4.92%の大幅増加、10月の過去12か月間の累積IBC-Br指数も3.93%と大幅増加で、経済の回復傾向を示している。

中銀の発表によると、今年10月の経済活動指数は、今年9月の135.59ポイントから136.75ポイントに上昇したが、COVID-19パンデミック前の今年2月の140.07ポイントを下回っている。

今年10月の経済活動指数139.37ポイントは前年同月比マイナス2.61%。今年のブラジルのGDP伸び率は、マイナス5.0%が予想されているが、今週16日の四半期インフレレポートでの見直しが予定されている。14日の中銀の最終フォーカスレポートでは、今年のGDP伸び率は、前回予想のマイナス4.40%からマイナス4.41%と僅かに下方修正している。

BNP Paribas Asset Management社のチーフエコノミストのTatiana Pinheiro氏は、今年7月~9月の四半期のIBC-Br指数は8.43%であったが、8月~10月の四半期のIBC-Br指数は、6.50%と約2.0%減少して回復リズムの減速傾向となっている。

9月からの月額600レアルから半額の300レアルへの緊急補助金(auxílio emergencial)支給変更による国内消費の減速に伴って、今年第4四半期のIBC-Br指数は、前四半期比1.0%~2.0%増加に留まると予想されている。

エコノミストは今年第4四半期のGDP伸び率を1.5%増加と第3四半期の7.7%から大幅減少で今年のGDP伸び率はマイナス4.5%、2021年のGDP伸び率は3.0%増加予想となっている。

2021年の農畜産生産総額は1兆レアル突破か(2020年12月14日付けヴァロール紙)

農務省の試算によると、2021年のブラジルの農畜産部門の総生産価格(VBP) は、1兆250億レアルと初めて1兆レアルを超えると予想されている。今年の農畜産部門の総生産価格は、前年比15.1%と二桁増加の8,858億レアルが見込まれている。

今年の農畜産部門を牽引している大豆生産が記録更新予想、大豆の生産総額は前年比40.4%増加の2,377億レアル、2021年の大豆の生産総額は、前年比38.2%増加の3,286億レアルが見込まれている。

また今年のトウモロコシ生産は記録更新予想予想、また大豆同様にレアル通貨に対するドル高の為替の影響で、トウモロコシの生産総額も記録更新予想、今年のトウモロコシの生産総額は、前年比20.9%増加946億レアル、2021年は19.3%増加の1,128億レアルが見込まれている。

2021年の米生産総額は前年比20.9%増加の201億レアル、ジャガイモは26.4%増加の92億レアル、カカオは13.8%増加の39億レアル、トマトは6.8%増加の120億レアル、小麦は11.8%増加の91億レアル、ブドウは7.2%増加の62億レアルが見込まれている。

今年の牛肉生産総額は前年比14.5%増加の1,242億レアル、2021年は12.6%増加の1,399億レアルが見込まれている。前期同様に鶏肉は4.1%増加の772億レアル、11.6%増加の862億レアル。豚肉は23.3%増加の269億レアル、18.8%増加の320億レアルが見込まれている。

来年の動物蛋白質輸出は、中国向けを中心に好調を維持すると予想。また国内向け動物蛋白質消費もCOVID-19パンデミックからの経済回復に伴って、好調に推移すると予想されている。

(Teams) ブラジル令和2年度官民合同会議開催

ブラジル令和2年度官民合同会議は、2020年12月14日午前8時から9時まで開催、初めに本省から挨拶及び報告として、中南米局の林貞二局長は、今年はCOVID-19パンデミックによる影響で、両国にとって経済情勢が厳しい予想、経済協力開発機構(OECD)では、今年の日本のGDP伸び率はマイナス5.3%、ブラジルはマイナス6.0%、2021年の世界のGDP伸び率は4.2%とV字回復を予想、ブラジルのビジネスの一線で活動している商工会議所会員は苦労されているが、会議での意見や要望を政府の政策に生かしたいと説明。

また日伯関係も色々な分野で中止を余儀なくされており、オリンピック・パラリンピック開催も来年に先送り。日メルコスールEPAも中断しているが、10月のオンライン活用で外務大臣会談、11月日米ブラジルの枠組み立ち上げはブラジルが先進国の日米連携の重要な意義となった。来年以降は米国の新政権誕生で米中関係の変化、EUとの関係などが流動的。菅政権はデジタル分野でのブラジルとの関係強化、気候変動への対応、農産物輸出強化、ブラジルのOECD加盟支援などについて説明した。

安東義男参事官は、ブラジルは200万人の日系人を擁する世界最大の日系コミュニティ、5万人の在留邦人を擁して日伯関係強化で貢献。邦人保護、COVID-19パンデミックによる人の往来問題、10月から在留資格のある人の入国再開、短期出張からの帰国緩和措置、日伯間の往来再開の検討、日系コミュニティの福祉向上、JICAとの連携によるビジネスの環境整備などを説明した。

商工会議所からの「コロナ禍におけるビジネス状況及び今後の見通し」に関する報告として、初めにアマゾナス日系商工会議所の本田 貴弘会頭(ホンダ)は、アマゾナス州マナウス市 新型コロナウィルス感染拡大経緯及び対応状況説明では、アマゾナス日系商工会議所会員数の推移、マナウス工業拠点の総売上高推移、部門別売上高推移、マナウスフリーゾーン雇用数推移、工業団地従業員送迎バス強盗に対する安全対策、ロジスティクスや道路などインフラ整備の現状などについて説明した。

南伯日本商工会議所の和田 好司会頭(さわやか商会)は、1974年からの南伯日本商工会議所設立の経緯、相次ぐ南大河州からの進出企業撤退、会頭選出問題解決として地元の日系企業代表の就任などについて説明した。

リオデジャネイロ日本商工会議所の旭 俊哉会頭(三井物産)は、リオ州を牽引する石油・天然ガス分野は、コロナ禍で石油の国際コモディティ価格下落、ペトロブラス石油公社のコスト及び投資削減。ダメージが少ない川上の石油開発分野。プレサルの原油生産継続、連邦政府の入札中止やロイヤリティ収入減少。観光収入減少などについて説明した。

パラー日系商工会議所の山中 正二副会頭(山中商事)は、コロナ禍でパラー州の経済も大きなダメージを受けている。在留邦人や日系人のCOVID-19感染や死亡状況について月間推移を詳細に説明した。

パラナ日伯商工会議所会頭代理として、ルイス・ニシモリ下院議員は、COVID-19パンデミックで生活や仕事様式の見直し、ブラジルの国会は4月からオンライン形式採用も論争ができない問題を抱えている。またコロナ禍で年内に予定されていた税制改革や行政改革は来年に先送り。ブラジルの農畜産分野はコロナ禍にも拘らず、輸出全体の43%を占めるほど好調に推移。来年は日本への牛肉輸出促進。日本などへの安定した食糧供給などについて説明した。

ブラジル日本商工会議所の村田俊典会頭(双日)は、2020年の商工会議所活動、及び会員企業を取りまく環境はコロナの影響により大変劇的であったが、同時に未来を先取りした前向きの変化もあった年。さらに、グローバル経済、ブラジルの政治経済環境は各会員の属する業種・業界(部会)もその事業に大きく影響を与えた。本日は、商工会議所で開催した、フォーラムで発表された各部会の声を簡単に説明、詳しいデータにご興味のある方は商工会議所のホームページ参考を説明。

下記のプレゼンのスライド3の商工会議所活動の初期ステージは、コロナウイルスに関する情報発信と会員間の情報共有が活動のメイン。3月末には会員企業の退避状況確認アンケートなども実施。商工会議所活動の大きな柱の一つである昼食会は中止にし、3月の総会なども少人数で実施。従来年2回開催してきた業種別部会長シンポジウムは「ウェブフォーラム」と名称を変更し、8月から12月迄6回開催。

9月24日には、特に日本本社のブラジル関係者を含め直近のコロナ感染・対応状況、政治情勢、経済情勢について会頭、財務委員長、イノベーション・中小企業委員長等自らが講師になって日本向けウェビナーを開催。

商工会議所主催、当方から依頼した会員企業主催のセミナー(会計事務所や法律事務所)、JETRO様との共催セミナーなどへの出席者は延べ人数で実に7千人を超えた。従来のプレゼンシャルでのセミナーでこの人数を集めるのは到底不可能であった。コロナによる環境変化がこの様な形で多くの会員企業の参加を可能にしたのは非常に価値のある事だと、我々は自負していると説明。

スライド5のコロナによる企業活動の影響について、渡航やオフィス再開に向けてのアンケートを9月末にJETRO様と共催。中でも一時避難した駐在員・家族がどの位ブラジルに再渡航しているかを見ると、駐在員については、本年度中に7割以上の方が戻っているが、家族は約半数が来年度以降になる様子。また、新規赴任対象者も半数が来年度以降の予想。今後は日本からの駐在員中心の企業運営を、ブラジル現地職員へのシフトする動きが今後加速すると考えられる。

また、工場以外の業務は、殆どの会社でリモートオフィスの推奨と継続がされており、ツールやウェブ環境の整備が進んでいる。また、会員企業には事務所の縮小や移転を検討・実施しているところもある。リモートワーク定着のため、ルールや管理方法を設定したり、オフィス・工場など衛生プロトコールを整備する必要がある。また、リモートワークに向け従業員への補助を実施している企業もある。

スライド6の会員の企業活動を見て行く上での経済指標として、小売り売上高は4月を底に9月には、年初の水準まで戻っている。しかし、細部(商品別小売り売上高、2月を100とした指数)を見ると、業界毎に凸凹がある。ステイホームから家具・家庭用品は急速に回復してきている。スーパーマーケットは一度もマイナスになることなく増加。書籍・文具、などはかなりの落ち込みが継続。建築資材は需要増加のため急回復している。自動車の販売台数は前年同月比との比較表では10月には昨年並みの販売に近づいているものの4-6月の落ち込みが激しすぎで、年度の販売台数は85%程度と予想されている。鉱工業生産や設備稼働率も4月を底にコロナ以前の水準まで持ち直している。スライド7では経済指標を踏まえながら、会員の各種業界からウェブフォーラムで説明頂いた内容を抜粋して説明。

スライド8の自動車業界は、コロナによる、生産・販売台数の低下を来年度以降どの様に補うかの戦いに加え、中長期的にも課題を抱えている。感染対策など、新たな環境変化への対応。長期的視点に立った現調率の引き上げによる為替リスクに強い事業体質作り。排ガス規制への対応、政府への要望。カーシェアリング、電動化、コネクテッドなど、グローバルに起こっている動きも取り入れて行く必要がある。フォーラムでは、ブラジル政府に対しては、税制改革の推進、両国政府に対する、日・メルコスールEPA締結なども要望として出されている。

生活産業部会(建設)については、マクロではポジティブ、ミクロでは対応に厳しい状況で、3月以降現場での感染発生、施主都合や行政指示による中断が約7割、まずは足元の建設スケジュールを軌道に乗せる必要がある。また、需給バランスの崩壊やレアル安による建設資材の高騰、建設需要の高まりによる人件費の高騰が経営に影響を与えている状況から、難しい施主との契約見直し交渉を行う必要がある。一方で、業界全体としてはE-コマース増加による物流倉庫などの需要増加、金利低下を受け個人、個人投資家の新規マンション購入意欲が増しており、空前のブームになっている。

スライド9の機械金属部会については、会員企業が立ち向かうマーケットは多岐に及んでおり、それぞれの特徴があり、細かくは説明出来ないが、総じて初期には生産・販売・メンテナンスなど大きなダメージを受けている。その後どのマーケットも回復している。中でも、建機関連の業界やブラジルの基幹産業である農業部門で戦う機械分野など、極めて堅調な動きをしている業界もある。

電気・情報通信部会では、レアル安のインパクトが大きすぎて、回復後も半数以上の会員が業績悪化を見通している。在宅の定着化をベースにした業務アプリケーションやクラウド化が進展する他、2021年度には5Gの周波数の割り当て入札が行われる予定で、米中の貿易戦争のなかで、ブラジル市場が世界的にも注目を浴びている。ブラジル政府は米国と中国の選択を迫られていますがまだ結論が出ていない。業界の性質として、韓国勢との競争がある。部会からは、日・メルコスールEPAの締結へ向けての強い要望が出されている。

最後に、スライド10の取り巻く環境と見通しについて、私見だが、我々は常に激しく上下するブラジルレアルレートに事業が左右され、スライド10の左上のグラフは2019年から少しずつ売り越されていた海外投資家のマネーがコロナ以降その売りを急速に拡大させてきたことを示している。また、通常はブラジルリスク(5年物CDS)と相関関係の深いブラジルレアルが今年の6月以降は乖離しており、その点からもレアルレートは売り幅が大きくなっていたことを示している。11月に入って、急速に海外投資家の資金が流入しており、1-10月で売り越されていた850億レアルの外国人投資家の株式投資は、11月単月で300億レアルほど再流入している。足元のレアル高は、コロナから続いていたトレンドが大きく転換したことを意味している。

一方で、コロナ対策で歳出上限法を撤廃して運用した2020年は、財政収支を大きく悪化させた。GDP比の総債務残高は2019年の75.8%から98.2%へと上昇。中央銀行はSELIC金利を足元2%に据え置いているが、10年物の国債のイールドは8%程度まで上昇。長期のリスクプレミアム幅も膨らんでいる。

反転したレアルレートのトレンドがこのまま続くのか、財政収支の悪化を市場が咎める事になるかは、2021年に持ち越された税制改革や、行政改革の行方に左右される。また年内会期には決着しそうにない2021年度予算、特に、歳出上限法を撤廃して、貧困対策に真水を投入するかどうかを市場は注目している。

会員企業を取り巻く環境は業界動向であり、金融市場や、政治動向であります。我々商工会議所は会員企業のベネフィットとなるべく、オールジャパンの精神でこれからもどんどん情報を発信して行きたいと説明した。

Pdf2020年官民合同会議 ブラジル日本商工会議所 村田俊典会頭

山田 彰大使は、昨年末は今年を楽観的な予想をしていたが、コロナ禍で一転。ブラジル経済はのCOVID-19感染拡大で大きなダメージを受けつつも回復している業界も多い。連邦政府はコロナ禍で構造改革は遅れているが、国会の方向性は維持されており、来年の税制改革実現に意欲を表している。来年はワクチン接種の普及で落着くと予想。経済も通常に戻り新しい社会が生まれてくる。ブラジルの潜在力は依然として健在で、両国関係強化はまだまだ伸びしろがあり、All Japanで支援すると説明した。

Pdfブラジル令和2年度官民合同会議出席者リスト 

 

Foto: S. Kusakano / CCIJB

10月のサービス部門生産量は5ヶ月連続で増加を記録(2020年12月11日付けエスタード紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間サービス生産量調査(PMS)の発表によると、2020年10月のサービス部門生産量(生産性指数)は前月比1.7%増加した一方で、前年同月比ではマイナス7.4%と依然として落ち込んでいる。

また今年6月から10月の5か月間のサービス部門の累計生産性指数は15.8%増加したにも関わらず、COVID-19パンデミックによる影響で、今年2月から5月のサービス部門の累計生産性指数であるマイナス19.8%を補うには至っていない。

今年10月のサービス部門の生産性指数は、今年2月のレベルを6.1%下回っており、2014年11月に記録した過去最高の生産性指数を16.6%も下回っている。今年初め10か月間のサービス部門の累計生産性指数は、前年同期比マイナス8.7%、10月の過去12か月間の累計生産性指数は、マイナス6.8%と依然として大幅に減少している。

ブラジル地理統計院(IBGE)の10月の月間サービス生産量調査(PMS)のセクター別調査では、5セクターのうち4セクターで前月比で増加を記録、情報・通信サービスセクターの生産指数は2.6%増加、今年初め10か月間ではマイナス2.3%、過去12か月間ではマイナス1.3%を記録している。

前期同様に一般家庭向けサービスセクターは4.6%増加、マイナス37.7%、マイナス31.1%、教育・研究機関などの公共サービスセクターは0.8%増加、マイナス12.0%、マイナス9.4%、輸送・輸送補助サービス・郵便サービスセクターは1.5%増加、マイナス8.5%、マイナス7.3%を記録している。

唯一その他のサービスセクターは前月比でマイナス3.5%を記録した一方で、今年初め10か月間では6.4%増加、過去12か月間では6.9%増加している。

ワーゲントラック社は550人の新規雇用と20億レアルの投資発表(2020年12月11日付けエスタード紙)

トラック・バスを生産するワーゲントラック・バス(Volkswagen Caminhões e Ônibus)社は、リオ州レゼンデ工場に2021年~2025年に総額20億レアルに達する投資を同社のRoberto Cortes社長は発表した。

ワーゲントラック・バス社の今回の20億レアルのブラジル国内での投資は同社にとって、4年前の15億レアルの投資を上回る過去最高の投資となり、ブラジル国内及びラテンアメリカのマーケットシェア拡大を積極的に推し進める。

2021年~2025年間の総額20億レアルの投資は、電気モーター向け新技術、二酸化炭素の低排出、自動運転などのコネクティビティ向上を図る

ワーゲン社はブラジルで開発した電気自動車を2021年中頃にどの自動車メーカーよりも先だって販売する計画を立てており、Ambev社は既に100台の電気自動車を予約、追加で1,500台の可能性をRoberto Cortes社長は発表している。

同社ではリオ州レゼンデ工場で550人の新規従業員採用を発表、そのうち290人は最重量級トラックのMeteor車の新規製造ライン向けの従業員とRoberto Cortes社長は説明している。

COVID-19パンデミックによる部品サプライヤーへの影響で、好調を維持しているアグロビジネス向けのトラックの納入が遅れているために、来年初め数か月間の納入を目指して早急な新規雇用に迫られている。

COVID-19パンデミック当初の予想よりもトラック販売の落込みは酷くはないが、現在のトラック販売の回復は予想を上回っているとRoberto Cortes社長は安堵している。