(Teams)アレクシス・フォンテイネ下院議員と意見交換(大使館主催 Teams)

2020年10月27日午前11時から正午まで、在ブラジル日本大使館主催でアレクシス・フォンテイネ下院議員と会議所関係者の会合が開催された。

はじめに司会も務めた山田大使より挨拶及び商工会議所が紹介され、つづいて村田会頭からの挨拶を行った。

その後、本会合ののメインテーマである日系企業が抱えるブラジル税務上の課題について、先般行われた会議所会員宛てのアンケート結果などをベースに吉田課税・通関WG長より詳しい説明が行われた。

その後、参加者間でフリーディスカッションが行われ大変に有意義な会合となった。

税制改革の見通しアレクシス下議見解:昨年末迄に終わるべき税制改革は年金改革を優先、今年前半に繰り延べ延期された。しかし突如未曾有なパンデミックに緊急対応を余儀なくされ中断に至った。緊急暫定措置法(事業者支援、給付金)の成立を優先。その後、大統領、経済大臣、下院議長3者間の不協和音が起こったのは周知の通り。リモート審議採決よりも地方選挙を優先する国会。違憲を承知で上下両院議長の再選可否の論議もあった(同下議は違憲支持表明)。優先課題である税制改革と並行して重要な行政改革の断行を強調したい。税制改革を推進加速するには官民連携によるタイムリーな陳述提言が重要である。市場保護固執コロニアリズムの弊害として商船隊更新追加税の温存がその最たる典型例だ。今こそ政治家には勇気と決断力を具えた資質が問われている。

Q(参加者):製造販売には連邦税、州税のほか市税(ISS)を全国津々浦々常に掌握必要、また他国のグループ企業に比べ税務担当者を10倍以上配置する必要がある。税制変更が頻繁、法律事務所など外注による莫大なコスト負担増(ブラジルコスト)となる。スーパーで売られている一般商品の税率は30~35%、自動車40%以上に及ぶ。低所得者層の税負担が大きい。GDPに占める税負担は37~38%に達する。税の徴収構造枠組みが消費を減退させている。3通りの税制改革案(連邦税を主とした政府案、州税市税を含む包摂案)のうち最有力案の審議進捗状況はどうか。

A(同下議): 顧客如何により値決めが出来ない代行納税制度(ST)の不合理性は大問題だ。州毎に異なるICMSに纏わる供給網での混乱・複雑化で失業者の増大に繋がっている。例えばネジ部品の用途次第でクレジット扱い或はその逆にもなる無用無意味なコントロールが多く、至る所で無駄な費用が発生している。抜本的な税制改革を必要としている。PEC45(下院案)、PEC110(上院案)、PL3887号(政府案)の比較優位を挙げるなら3案とも付加価値税(IVA)の創設をベースとしている。政府案は連邦税である社会統合計画負担金(PIS)と社会保障負担金(Cofins)の連邦税を商品サービス取引社会保障負担金(CBS)に統一する移行期の法案である。改革の完結にはPEC45の様にICMS、ISSを含むものでなければ意味がないからだ。

同下議への期待:30~40年経過後も不合理・複雑・不可解な税制が続いている。90年代後半に発効した独自の移転価格税制がブラジルコストをさらに悪化させている。経営破綻の呪縛に縛られている企業が多いのが現実だ。企業家にとって一番嫌悪なICMSを含まない税制改革は考えられない。未曾有なパンデミック下は税制改革にあたって、決して2度と訪れない絶好なチャンスだと念を押した。

参加者

ブラジル連邦議会下院
アレクシス・フォンテイネ(Alexis Fonteyne)下院議員

在ブラジル日本国大使館
山田彰大使
中野大輔経済公使
中島良太書記官

商工会議所
村田俊典 会頭(双日)
長島公一 日伯法律委員長(丸紅)
吉田幸司 課税・通関ワーキンググループ(日伯法律委員会所属)グループ長)(KPMG)
平田藤義 事務局長
イサオ・ミゾグチ  ホンダサウスアメリカ社長
マウリシオ・エンドウ KPMGパートナー
ジルセウ・サトウ 弁護士 Fator Consultoria代表 

Pdf「日系企業が抱えるブラジル税務上の課題」 課税・通関WG長:吉田幸司

PdfDesafios tributários do Brasil enfrentados pelas empresas japonesas (Grupo de Trabalho Tributário e Aduaneiro: Koji Yoshida, Presidente)

Foto: S. Kusakano / CCIJB

フォーカスレポートは今年のGDP伸び率をマイナス4.81%に上方修正(2020年10月26日付けヴァロール紙)

26日発表の中銀の最終フォーカスレポートによると、2020年のGDP伸び率は、前回予想のマイナス5.00%からマイナス4.81%に上方修正、1か月前の予想のマイナス6.54%から約1.7%上方修正されている。一方で2021年のGDP伸び率は、前回予想の3.47%増加から3.42%に下方修正されている。

今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の2.65%から2.99%と11週連続で上方修正。2021年のIPCA指数は、3.02%から3.10%に上方修正されている。

的中率が最も高いトップ5の今年のIPCA指数は2.82%から2.91%、2021年のIPCA指数は3.17%から3.27%とそれぞれ上方修正されている。

今年の中銀のインフレの中央目標値は4.00%、今年の許容下限値の2.50%を依然として下回っている。2021年のインフレの中央目標値は3.75%、2022年は3.50%、2023年は3.25%。許容範囲は±1.50%を設定している。

2021年末の一般エコノミストの政策誘導金利(Selic)は前回予想の2.50%から2.75%に上方修正、トップ5の今年及び来年のSelic金利は前回同様に2.00%の据え置いている。

トップ5の今年末のレアル通貨に対するドルの為替は、前回予想のR$5.40からR$5.50に修正、2021年末はR$5.22に据え置いている。一般エコノミストの今年末のドルの為替はR$5.35からR$5.40,2021年末はR$5.10からR$5.20にそれぞれ修正している。

今年9月の経常収支は6ヶ月連続で黒字計上(2020年10月23日付けエスタード紙)

2020年9月のブラジルの経常収支は、6ヶ月連続となる23億2,000万ドルの黒字を計上、9月の経常収支黒字としては、1995年1月から統計を取り始めて最高の黒字額を記録している。

記録を更新した9月の経常収支黒字は、3月から始まったCOVID-19パンデミックの影響による国内経済の停滞で、資本財の輸入が大幅に減少が要因となっている。中銀は今年9月の経常収支黒字を37億ドルと見込んでいた。.

今年9月の経常収支の売り訳では、貿易収支は53億5,500万ドルの黒字を計上した一方で、サービス収支は16億2,100万ドルの赤字計上、所得収支は16億2,500万ドルの赤字計上、経常移転収支は23億1,300万ドルの黒字を計上している。今年9月の対内直接投資総額は15億9,700万ドルと昨年同月の4分の1まで縮小している。

今年初め9か月間の累計経常収支は64億7,600万ドルの赤字を計上、中銀の最終の四半期インフレレポート(RTI)によると、今年の経常収支は102億ドルの赤字を予想している。

また9月の過去12か月間の経常収支は、GDP比1.37%に相当する206億5,600万ドルの赤字を計上しているが、2018年4月のGDP比1.21%以降では最小の赤字となっている。今年9月の対内直接投資総額は、COVID-19パンデミックの影響で世界経済の縮小に伴って、昨年9月の60億3,300万ドルの4分の1に相当する15億9,700万ドルに留まっている。

ブロードキャストプロジェクションの今年9月の対内直接投資予想は最低16億ドル、最高63億ドル、平均は21億ドルであった。中銀では20億ドルを予想していた。

中銀の発表によると、今年上半期の対内直接投資は3月からのCOVID-19パンデミックの影響で、世界的な直接投資減少の煽りを受けて253億4,900万ドルに留まり、昨年9月の322億3,300万ドルを70億ドル近く下回っている。

今年初め9か月間の製造業部門向けの長期の対内直接投資総額は285億5,400万ドル、中銀では今年の対内直接投資総額を500億ドルと見込んでいる。9月の過去12か月間の対内直接投資総額はGDP比3.31%に相当する500億レアルであった。

今年9月のブラジル人による海外旅行の支出は、3億100万ドルと昨年同月の13億3,000万ドルよりも77.3%減少して、2004年9月以降では最低の支出に留まっている。今年9月のブラジル人による海外旅行支出が急減した要因として、レアル通貨に対するドル高の為替及びCOVID-19パンデミックによる航空機の飛行禁止や不透明な国境封鎖の可能性が挙げられる。

今年初め9か月間のブラジル人による海外旅行支出総額は、44億1,100万ドルと昨年同月の133億4,400万ドルよりも67%の大幅減少を記録している。一方今年9月の外国人によるブラジル国内での旅行支出はドル高の為替にも拘らず、僅か1億6,400万ドルと昨年9月の4億ドルの半分以下の支出に留まっている。

また今年初め9か月間の外国人によるブラジル国内での旅行支出は,23億8,200万ドルと昨年9月の45億4,200万ドルの半分まで落ち込んでいる。

今年9月の失業率は14.0%に達する(2020年10月23日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、2020年9月の失業者総数は14.0%に相当する1,350万人に達しているが、今年5月の失業者総数の1,100万人よりも33.0%の大幅増加を記録している。

今年9月の失業者総数は1,350万人は8月の1,290万人よりも僅か1か月間で60万人増加、5月よりも失業者総数は340万人も大幅増加を記録している。今年9月の労働人口は9,640万人で前月比1.4%増加の9,510万人している一方で、就職活動を停止した人を含む非労働人口は8月の7,510万人よりも1.5%減少の7,410万人となっている。

今年9月の通常の職場を離れたホームオフィス形態の労働人口は540万人、そのうち給与を受け取っていない労働者は19.8%に相当する110万人。5月の外出自粛要請を受けていた自宅待機の労働人口は1,900万人に達していた。

IBGEの全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、COVID-19パンデミックによる職場を離れた9月の労働者は300万人に達しているが、それ以外は失業手当受給者や労働疾患による労働者となっている。

9月の各州別のソーシアルディスタンスによる職場離脱調査では、アクレ州は9.8%でトップ、アマパ州9.6%、ローライマ州は8.7%、その歌の週は6.0%以下であった。ブラジル経済の4割近くを占めるサンパウロ州は僅かに3.0%、最低は南マット・グロッソ州の2.1%であった。

今年9月のリモート労働人口は、総労働人口の10.4%に相当する810万人まで減少しているが、今年5月から6月は870万人、7月及び8月は840万人と徐々に減少していた。

地域別のリモート労働人口調査では、北部地方は僅かに4.3%であったが、南東部地域は13.5%まで達していた。また9月の非正規労働人口は前月比1.7%増加で労働人口全体の34.2%に相当する2,830万人であった。

今年7月の非正規労働人口は全体の33.6%であったが、8月には33.9%、9月は34.2%まで上昇したにも関わらず、COVID-19パンデミックを受けていた6月の34.8%から徐々に減少傾向となってきている。

地域別非正規労働人口比較では、北部地域は49.2%でトップ、北東部地域は45.0%、中西部地域は34.6%、南東部地域は29.6%、南部地域は25.0%となっている。

回章  CIR‐082/20   「2021/2022年度 会頭選挙」公示 (立候補受付開始)

  
                                                                             CIR‐082/20
                                                                             2020年10月23日
2021/2022年度理事会社(30社)各位
                                                                             ブラジル日本商工会議所
                                                                           「2021/2022年度会頭選挙管理委員会」
                                                                            委員長 二宮正人

                             「2021/2022年度 会頭選挙」公示 (立候補受付開始)

拝啓
時下益々ご清栄のこととお慶び申上げます。
さて、当所では定款第50条並びに第57条による常任理事任期終了に伴い2021/2022年度会頭の選挙を行います。

就きましては、当所会頭選挙規則及び会頭選挙要領規定に基づき立候補を本日10 月23日より来る10月30日(金)午後6時(18:00)まで受付けております。選挙日程は下表をご参照ください。

<立候補要領> 会頭への立候補は、別添「2021/2022年度会頭立候補届出書」にご記入の上、直接添付の用紙を当所「2021/2022年度会頭選挙管理委員会事務局」宛てにPDF等の形式でファイル添付にし、開封確認付きE-メール(secretaria@camaradojapao.org.br)にてご送付ください。FAX(011 3284-0932)による立候補届出書も有効とします。

なお、後日お送りします「立候補者名簿兼投票用紙」は、公平性を担保する為、届け出順に従い作成されますので予めご了承下さい。
                                       敬具

10月16日(金)  選挙管理委員会任命
10月19日(月)  選管メンバーと選挙要領チェック
10月23日(金)  会頭選挙公示 (立候補開始)
10月30日(金)  立候補締切
11月03日(火)  電子メール投票開始
11月09日(月)  電子メール投票締切
11月13日(金)  集計
11月20日(金)  臨時理事会、結果報告、承認。選管委員会解散

別添①「2021年/2022年度会頭立候補届出書」
別添②NIC-CE03-D101008会頭選挙要領規定(電子メール投票)&「会頭選挙規則」
                                       以上

(Teams)電機・情報通信部会と大使館の意見交換会

去る10月21日、桑名新総領事と業種別部会長等との懇談会を通じ、平田事務局長はブラジルの第5世代移動通信システム(5G)の本格導入に向け米国を中心とする地球規模の大きな枠組みの変化を察知、急遽23日14時から15時まで会議所電機・情報通信部会と在ブラジル日本国大使館による
意見交換会を開催、ブラジルの具体的な5G政策や今後の政局の動きや特に米国との通商政策などについてフリーディスカッションを行った。

アメリカの大統領選挙が目前に迫る中、同国のドナルド・トランプ大統領とブラジルの同盟関係を示すべきだというボルソナロ政権の主張のもと、ブラジルとアメリカが10月19日、二国間の輸出入における手続き及び官公庁の煩雑な作業を簡略化する協定に署名した報道があったためでもある。

【ブラジルと米国が米大統領選の直前に貿易協定を締結】 2020/10/19
http://jp.camaradojapao.org.br/brasil-business/oportunidades-de-negocios/?materia=21431
以下、時系列①~⑦の詳細関連記事はHPのブラジル特集 に収録されてある。

①【5Gに対する判断は2021年に下すべきだとブラジル大使がコメント】 2020/10/21
「どこそこの企業を排除するということではなく、国益にかなうかということである」とネストル・フォスター大使。ネストル・フォルスター駐米大使が10月20日、ブラジルの第5世代移動通信システム(5G)に対する周波数オークションへの参加をファーウェイ(華為)に認めるか認めないかという判断は2021年に持ち越されるべきだとコメントした。
http://jp.camaradojapao.org.br/brasil-business/oportunidades-de-negocios/?materia=21453

②【今回の代表団に関連したFAQ】 2020/10/21
1. 5Gって何?
5Gは、第5世代移動通信システムのこと。この技術により、現行の4Gに対して最大で20倍という通信速度が実現し、動画やゲーム、バーチャル・リアリティー環境などより大量のデータ消費が可能になる。加えてサイトあるいはアプリのコマンド実行を命令してから実際に実行されるまでの待機時間を、現在の10ミリ秒から4ミリ秒に半減する
http://jp.camaradojapao.org.br/brasil-business/oportunidades-de-negocios/?materia=21452

③【トランプ米大統領が求めたのは大統領選で繰り出すカードのひとつ】 2020/10/21
貿易対策に加えて中国のプレゼンス拡大を阻止しようとしているとアナリストが分析、米トランプ政権について複数のアナリストが、貿易分野への関心だけでなく外交関係で実績を作り出そうと試みていると受け止める。
http://jp.camaradojapao.org.br/brasil-business/oportunidades-de-negocios/?materia=21451

④【「アメリカの非難には根拠がない」とファーウェイ現地法人】 2020/10/21
10月19日からブラジルを訪問しているアメリカ政府の代表団が、電話通信機器メーカーのファーウェイ(華為)を非難してブラジル政府に対し国内市場で同社の営業を制限するよう求めている問題で、同社が反発している。
http://jp.camaradojapao.org.br/brasil-business/oportunidades-de-negocios/?materia=21450

⑤【ブラジルで5Gから中国企業を排除すべくアメリカが電話事業会社の投資に対する資金提供を約束】 2020/10/21
ブラジルを訪問したアメリカの代表団が攻勢を仕掛けており、国内で導入する携帯電話ネットワークの新システムにファーウェイ(華為)ではなく中国以外の企業を採用するよう求めている。その背景には、第5世代移動通信システム(5G)に対する主導権争いと、それによって生み出される可能性のある経済発展がある。
http://jp.camaradojapao.org.br/brasil-business/oportunidades-de-negocios/?materia=21449

⑥【輸出入銀行がブラジル10億ドルを開放するであろう】 2020/10/21
アメリカ当局者による代表団は今回、ブラジル訪問の公式日程で、米国輸出入銀行(Eximbank)によるブラジル国内での10億ドルの投資に関する合意に署名
http://jp.camaradojapao.org.br/brasil-business/oportunidades-de-negocios/?materia=21448

⑦【ブラジルと米国が米大統領選の直前に貿易協定を締結】 2020/10/19
アメリカの大統領選挙が目前に迫る中、同国のドナルド・トランプ大統領とブラジルの同盟関係を示すべきだというボルソナロ政権の主張のもと、ブラジルとアメリカが10月19日、二国間の輸出入における手続き及び官公庁の煩雑な作業を簡略化する協定に署名
http://jp.camaradojapao.org.br/brasil-business/oportunidades-de-negocios/?materia=21431

参加者は大使館から高橋政務担当、根岸総務省アタシェ、中島書記官、会議所からは電機・情報通信部会の田辺部会長(NEC)、水谷副部会長(三菱電機)、水守部会員(NTT)、平田事務局長。

 

 

今年初め9か月間のアジア向け輸出比率は48.7%に上昇(2020年10月23日付けヴァロール紙)

経済省通商局(Secex)の発表によると、2020年初め9か月間の中近東を除くアジア向け輸出比率は、全体の48.7%に相当する762億2,000万ドルに達して、輸出全体の約半分を占めるまでに上昇してきている。昨年初め9か月間のアジア向け輸出総額は、全体の40.5%から48.7%と僅か1年間で8.2%急増している。

今年初め9か月間のアジア向け輸出は、前年同期比10.9%増加した一方で、アジアからの輸入は7.7%減少して貿易収支黒字が大幅に拡大している。

今年初め9か月間のブラジルの大豆輸出の82%は中国を中心としたアジア向け、鉄鉱石の84.4%、原油の75.3%はアジア向けを記録、中国向け輸出比率は昨年同期の27.6%から34.1%と大幅に比率が上昇したが、その他のアジア向け輸出も順調に増加してきている。

今年初め9か月間の韓国向け輸出は、前年同期比6.2%増加の27億ドルを記録した一方で、日本向け輸出はマイナス23.0%、インド向け輸出もマイナス10.7%とそれぞれ二桁減少している。

東南アジア10か国で構成されるASEAN(東南アジア諸国連合)向け輸出は、これら諸国の人口の都市化への集中や生活向上による需給増加で、今年初め9か月間の輸出は18%増加の102億2,000万ドルを記録、アセアン向け輸出比率も前年同期の5.1%から6.5%に上昇、メルコスール向け輸出比率の5.6%を上回っている。

2010年初め9か月間のブラジルからのメルコスール向け輸出比率は11.02%、そのうちアルゼンチン向け輸出比率は9.7%を占めていた。

しかし2014年のアルゼンチンの経済リセッションで輸出比率は6.4%に減少した影響で、メルコスール向け輸出比率も9.0%に減少していた。2019年のアルゼンチン向け輸出比率は同国の為替危機による影響で4.5%かで縮小、メルコスール向け輸出比率6.7%に留まった。また前期同様に今年初め9か月間では3.8%、5.6%にそれぞれ減少している。

アジア向け輸出は中国向け輸出同様に第一次産品のコモディティ商品輸出が牽引。今年初め9か月間のアジア向け大豆、鉄鉱石並びに原油輸出は、全体の63.5%に相当する484億ドルを記録しているとブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は指摘している。

年内の新規株式公開を急ぐ企業が目白押し(2020年10月22日付けエスタード紙)

年内にサンパウロ証券取引所B3での新規株式公開IPOの可能性に望みをかけている企業は、有価証券取引委員会(CVM)への申請書類提出のために、今年の第3四半期の決算書発表作成を急いでいる。

年内のサンパウロ証券取引所B3での新規株式公開IPOの候補企業は、今月に急増しているが、年内にIPOできない企業は来年2月までのIPOに向けて、今年第3四半期の決算書作成をしなければならない。

過去15日間に有価証券取引委員会(CVM)に新規株式公開を申請した企業は、Cruzeiro do Sul Educacional社, Rede D'Or社, Focus Energia社, Grupo Big社, CSN Mineração社, Oba Hortifruti社, Tok & Stok社, テクノロジー企業Neogrid社並びにクレジット関連企業Paschoalotto社が列をなしている。

過去数週間での新規株式公開の動きは非常に激しい一方で、投資家の需要を引き上げるために公募価格を下げることに同意しない一部のオーナーは、新規株式公開をキャンセルしている。11月中旬から12月上旬にかけて、米国の大統領選挙が終了するので、ボラティリティはまだ低い可能性が言われている。

シティ・ブラジル銀行の株式上場責任者のマルセロ・ミレン氏は、9月から10月の間に新規株式公開向け書類提出するために訪問したのは54社、そのうち20社はIPOを実施、そのうち4社は需要不足のため価格設定当日にキャンセルされた。また6社は、所望の公募価格を下回った

今年10月20までの新規株式公開並びに追加公募増資(フォローオン)による資金調達総額は950億レアルに達しており、昨年1年間の900億レアルを既に上回っている。

Ibre/FGVの調査では、第3四半期のGDPの伸び率は前四半期比7.1%増加に上方修正(2020年10月22日付けヴァロール紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の調査によると、COVID-19パンデミック対応による外出自粛や必需品以外の営業自粛などに対する緩和措置の導入による国内経済の回復で、2020年第3四半期のGDP伸び率は前四半期比7.1増加を記録している。

Ibre/FGV研究所の前回の第3四半期のGDP伸び率予想の6.6%増加に対して0.5%の上方修正を行っている。また今年のGDP伸び率は前回予想のマイナス5.3%からマイナス5.1%に上方修正している。

「ブラジルのCOVID-19パンデミック対応策の厳しい外出自粛要請やソーシャルディスタンス、臨時救済政策などによる財政出動は他のラテンアメリカ諸国よりも顕著」と調査員のArmando Castelar氏並びに Silvia Matos氏は指摘している。

国際通貨基金(IMF)では今年のブラジルのGDP伸び率を前回予想のマイナス9.1%からマイナス5.8%に上方修正している一方で、ラテンアメリカ諸国の平均GDP伸び率はマイナス8.1%を予想している。

「先物市場の金利上昇は、公的債務のロールオーバーの状況の悪化と、為替レートとインフレの行動に対する懸念を示している」と指摘している。

Ibre/FGV研究所の金融状況指数(ICF)の責任者のルアナ・ミランダ研究員は、ICFの進化に応じて、来年の成長に向けた3つの異なる仮説を詳述しました。金融状況指数(ICF)が最も厳しい条件では、2021年のブラジルのGDP伸び率は僅か 1.7%増加.平均的金融状況指数(ICF)では2.9%増加。最も良好な金融状況指数(ICF)では3.6%前後の増加を想定している.

今年第3四半期の民間部門の住宅投資、設備投資や公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)が前四半期比で7.5%と大幅増加した要因として、今年第2四半期のFBCFは前四半期比マイナス15.4%を記録していた。

経済活動レポートでは、生産投資と高い相関関係を持つ資本財生産は、パンデミックによる累積損失を回復するこには程遠いレベルで。8月の資本財生産は、2月に記録された資本財生産レベルを依然として13.6%も下回っている。

10月のIbre/FGV調査のデータでは、過去数ヶ月の景気回復反応が中断され、企業経営者の景況感指数が1.1ポイント低下、消費者の景況感指数も3.9ポイント低下したことを示唆している。

ROMI社の第3四半期の純益は、国内市場の回復に伴って30%増加(2020年10月21日付けヴァロール紙)

工作機械並びにプラスティック射出成形機、鋳物関連生産を事業の柱としているブラジルの大手工作機械メーカーROMI社の2020年第3四半期の純益は、国内市場の回復に伴って前年同期比30%増加の3,600万レアルを記録している。

また同社の売上は国内市場向け需要が好調に推移して1.6%増加の2億5,050万レアルを記録した一方で、2011年に買収したドイツ企業B+W社の売上は不振であった。

Romiグループのブラジル国内およびラテンアメリカ地域担当のMáquinas Romi社の第3四半期の売上は12.4%増加の1億2,680万レアル、ブラジル国内の大手企業向け部品製造の鋳物関連会社の売上は75%増加の7,700万レアル、一方B+W社の売上はマイナス48%の4,660万レアルに留まっている。

同社の生産コストは1.6%減少の1億7,120万レアルに留まった影響で、粗利(売上総利益)は8.5%増加の7,920万レアルに達し、利益率は29.6%から31.6%に上昇している。同社の税引前当期純利益は、12.8%増加の3,080万レアルとなりました。税引後当期純利益純は、財務費の増加に伴い160万レアルから43万9,000レアルに減少している。

税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもので総資本に対してどの程度のキャッシュフローを産みだしたかを簡易的に示すEBITDAは13%増加の4,000万レアル、EBITDAマージンは14.4%から16.0%に増加している。

Romi社の第3四半期の受注残は、COVID-19パンデミックによる生産中止の緩和措置に伴って、6月からの国内の製造業の投資回復が牽引して前年同期比41%と大幅増加の4億7,210万レアルを記録している。

ブラジル国内およびラテンアメリカ地域担当のMáquinas Romi社の第3四半期の受注残は、製造業部門の回復、企業経営者の景況感改善、過去最低の政策誘導金利(Selic)並びにレアル通貨に対するドル高の為替などの要因で前年同期比127%増加の2億5,530万レアルを記録している。

前期同様にブラジル国内の大手企業向け部品製造の鋳物関連会社の受注残は、エネルギー部門の受注が牽引して前年同期比77%増加の7,160万レアルとなっている。

ヨーロッパなら便アジア市場をカバーするB+W 社の第3四半期の受注残は、COVID-19パンデミックによる世界経済の縮小の影響を受けて、前年同期比マイナス83.6%の600万レアルに留まっている。