【5Gに対する判断は2021年に下すべきだとブラジル大使がコメント】

「どこそこの企業を排除するということではなく、国益にかなうかということである」とネストル・フォスター大使。

ネストル・フォルスター駐米大使が10月20日、ブラジルの第5世代移動通信システム(5G)に対する周波数オークションへの参加をファーウェイ(華為)に認めるか認めないかという判断は2021年に持ち越されるべきだとコメントした。

10月19日からブラジルを訪問したアメリカの代表団は、今回、ブラジルが5Gインフラの建設に対して中国以外の企業を選定することへの期待感を明確に示した。

ワシントンの通信員らとのインタビューでフォスター大使は、「この問題は非常な重大性をもって検討すべきことは言うに及ばないし、私は、判断を下すのはもう少し先、来年の年明けに先送りすべきだと理解している」とコメントした。「どこそこの企業を排除するということではなく、国益にかなうかということである。天秤にかけられているのはまさにそこだ」という。

アメリカは、世界最大の電話通信機器メーカーで5G技術の提供で主要プレーヤーの一角を占める中国のファーウェイを、周波数オークションから排除すべきとするロビー活動を展開してきた。アメリカ政府は、この企業が中国共産党による監視活動の一翼を担っていると主張する。中国は、この主張を否定している。だがアメリカにとって5Gの「クリーンパス・イニシアチブ」は、ファーウェイのようなアメリカの目から見て信頼の置けないサプライヤーを5Gの送信機器や管理機器、データ保存機器から排除すべきだという前提に成り立っている。

今回ブラジルを訪問したアメリカの当局者らは、同国がブラジルの電話通信業界の「あらゆる投資」に資金を提供することをいとわないとコメントした。

ブラジルの駐米大使は、アメリカが提供する資金は、アメリカ政府が立ち上げてブラジルが2021年3月に加盟する可能性のあるプログラム、「アメリカ・クレッセ(Growth in the Americas)」の枠内で確保されていることを明らかにした。このプログラムはそれだけでなく、技術分野を含めたインフラプロジェクトへの収支のためにアメリカの国際開発金融公社から600億ドルの資金にアクセスすることを想定している。アメリカは、中国企業をネットワークから排除することを約束している国の5Gネットワークの構築を支援するアメリカ企業と同盟国の企業に資金を提供するために、国際開発金融公社の融資能力を倍増させた。同大使は、「このテクノロジー分野への融資は、市場よりも有利な条件で受けられる可能性がある。改めて言うが、その判断はワシントンではなくブラジリアが下すものだ」とコメントした。(2020年10月21日付けエスタード紙)
 

【今回の代表団に関連したFAQ】

1. 5Gって何?

5Gは、第5世代移動通信システムのこと。この技術により、現行の4Gに対して最大で20倍という通信速度が実現し、動画やゲーム、バーチャル・リアリティー環境などより大量のデータ消費が可能になる。加えてサイトあるいはアプリのコマンド実行を命令してから実際に実行されるまでの待機時間を、現在の10ミリ秒から4ミリ秒に半減する。幾つかの状況によっては、これを1ミリ秒まで短縮可能で、このことは自動車の自動運転の開発、ロボットを使用した遠隔手術の開発において重要となる。

2. ブラジル国内で既に5Gは展開されている?

いいえ。幾つかの州都で、キャリアが自身の4Gの周波数を利用して4Gの10倍速の信号を提供している。しかしながら、このサービスは5Gではない。5Gは更に高速で安定性が確保されている。

3. 5Gの周波数オークションの実施はいつ?

ブラジル国内で5Gの周波数のオークションは、2021年の実施を予定する。周波数帯は、信号が空中を通過する「ハイウェー」のようなもの。5Gの場合、3.5GHz帯が中心になる。

4. どのような企業が5Gの周波数オークションに応札できる?

電話通信会社に限定される。クラーロとヴィーヴォ、TIM、オイ、アレガールのような大手だけでなく、全国の小規模のキャリアも応札可能である。

5. 中国企業が周波数オークションに応札できる?

ブラジル国内で電話通信事業を展開する中国企業は存在しない。中国のファーウェイ(華為)は中核設備を供給する企業である。設備のサプライヤーを選定するのはキャリア自身で、現時点ではいずれのキャリアもファーウェイの機器を使用している。

6. 5Gを巡って米中が対立するに至った原因は?

4Gにおいてアメリカはパイオニア精神を発揮して、シリコンバレーの成功と、FacebookとNetfliz、Google親会社のアルファベットといった企業の誕生につながった。これらのビッグテックは現在、世界的に最も価値のある企業群となっている。一方、ファーウェイは現在、5Gに対する中核設備の大手サプライヤーである。業界における中国の台頭は、世界的に人気のTiktokとWechatのようなアプリからも見て取れ、アメリカ企業の主導権を脅かしつつある。(2020年10月21日付けエスタード紙)

【トランプ米大統領が求めたのは大統領選で繰り出すカードのひとつ】

貿易対策に加えて中国のプレゼンス拡大を阻止しようとしているとアナリストが分析

米トランプ政権について複数のアナリストが、貿易分野への関心だけでなく外交関係で実績を作り出そうと試みていると受け止める。

貿易円滑化協定の発表のためにブラジルを訪問したアメリカ政府の代表団が、第5世代移動通信システム(5G)の周波数オークションにおける中国資本のファーウェイ(華為)のプレゼンスを阻止すべくブラジルに圧力をかける口実を生み出した。エスタード紙が複数のアナリストから意見を集めたところ、貿易分野への関心だけでなくアメリカの大統領選の投票直前というタイミングでドナルド・トランプ大統領が率いるアメリカ政府が外交関係に明るい話題作りに努めているという見方を示した。

5Gの周波数オークションでは中国系企業が参加するのに反対する態度を見せつつ、アメリカ側は、電話通信業界における「投資は何であれ」資金を提供することを厭わないと表明した。ブラジルを訪問した米当局者らの代表団は中国を非難し、ブラジルがその他の国の企業を選ぶことへの期待感を明確に示した。

ルーベンス・バルボーザ元駐米大使は、「アメリカ政府は議会の承認なく貿易円滑化のような交渉を進めることが禁じられているため、署名が交わされた今回の貿易円滑化がそのまま貿易協定につながるわけではなく、むしろ今回のイベントはトランプ大統領の外交政策の柱である反中国税に取り込むという考えの一環だ」と話す。

さらに同氏は、アメリカの代表団は今回のブラジル訪問をブラジルに対する融資と便宜を提供することで「周波数オークションから中国を排除するためにブラジルの面前にニンジンをぶら下げた」とコメントした。コンサルタントの同氏はブラジルにとってより懸命な道は、米大統領選の結果を待って5Gに関する判断を下すことだと話す。

同じく元大使で財務大臣を務めた経験もあるルーベンス・リクペロ氏は、アメリカとの二国間貿易の円滑化に関する対策の発表は、ブラジルが対米交渉でこれまで敗北してきただけだという印象を払拭するという点において、ジャイール・ボルソナロ大統領にとっても旨味のあるものだったと指摘する。「アメリカとの貿易交渉でブラジルは、同国から輸入するエタノールに対する非関税枠など、トランプ大統領を益する話題ばかりを提供してきた。今になって、貿易円滑化策が少し前進したが、これは世界貿易機関(WTO)の枠組みにおける合意がすでに想定していたものであり、新味があるものではない」と同氏は言う。

またリクペロ氏は、国家安全保障会議(NSC)メンバーのロバート・オブライエン氏が代表団に名を連ねるという珍しい状況を受け、今回の代表団の目的が5G技術の導入にあたってファーウェイを選択しないようブラジルに圧力をかける目的があったいう見方を強めるものだと話す。

オブライエン氏はブラジル国内の会合で、ブラジルがファーウェイの機器を選んだ場合、ブラジル政府やブラジル企業のデータが中国政府に読み取られる可能性があると指摘した。アルマンド・アルヴァレス・ペンテアード財団(Faap)のヴィニシウス・ロドリゲス・ヴィエイラ教授は、トランプ米大統領がアメリカの有権者、とりわけ新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを通じて増加した反中国意識の強い人たちから共感を得る実績を作ろうとしたのだと評価する。「同国政府は、ラテンアメリカ最大のマーケットであるブラジルに対して、反中国の十字軍として圧力をかけていることを明確に印象付けることを期待しているのだ」という。

この問題の不確定要素

米大統領選に関する世論調査でトランプ米大統領は民主党から立候補したジョー・バイデン候補の後塵を拝しており、11月3日の選挙でホワイトハウスから去る可能性がある。

ゼツリオ・バルガス財団(FGV)の外交MBAコーディネーター、オリヴァー・ストゥエンケル氏は、選挙を目前とした段階でトランプ米大統領との交渉には、わずか、あるいは何らの意味もないと受け止める。「最善の道は、待って、次の4年に大統領となる人物と交渉することだ」という。だがストゥエンケル氏は、民主党が選挙に勝利しても中国のプレゼンス拡大をアメリカが食い止めるという姿勢には大きな変化はないと予想する。

他方、国家電気通信庁(Anatel)の元総裁、フアレス・クアドロス氏は、世界の移動体通信ネットワーク市場でブラジルが第3位の市場規模を持つことを指摘しており、5Gを巡る駆け引きの舞台になるのは当然のことだが、その覇権争いは通常以上に政治的色彩を帯びることになると話す。「この種の競争に世界経済を牽引する経済国が割り込んでくるのは通常の状況ではない」という。同氏は米大統領選の結果を待って態度を固めることが賢明だとする一方で、ブラジルにおける5Gをどのようにするのか判断が遅れているのは欧州とウルグアイのような近隣諸国との兼ね合いもあると指摘した。

「ブラジルは、ただトランプ米大統領に明るい話題を提供しただけだった。これまでのところ、ブラジル側の進捗はわずかだ」と付け加えた。(2020年10月21日付けエスタード紙)
 

【「アメリカの非難には根拠がない」とファーウェイ現地法人】

10月19日からブラジルを訪問しているアメリカ政府の代表団が、電話通信機器メーカーのファーウェイ(華為)を非難してブラジル政府に対し国内市場で同社の営業を制限するよう求めている問題で、同社が反発している。

ファーウェイのマルセーロ・モッタ国内サイバーセキュリティー担当部長はエスタード紙に対し、アメリカの非難には「全くもって根拠がない」と反発、さらに、同社が個人データにアクセスできてそれを中国政府に渡すことが義務付けられているという同社への批判も否定した。

この非難の応酬は、ブラジルが第5世代移動通信システム(5G)に対する周波数オークションを2021年半ばに控えて、活発化している。入札への参加が認められるのは、移動体通信事業者で機器メーカーではない。だがファーウェイは、国内市場でエリクソンとノキアと鎬を削る3大サプライヤーの一角を占める大手なのだ。

これまでのところ、ファーウェイが5G導入の波に乗るのを妨げるものは何もない。例えばサンパウロとリオデジャネイロで5Gの主な商用ネットワークでヴィーヴォは、既に同社の機器を導入している。

国家安全保障対策室(GSI)は既に5Gネットワークを導入する際に導入すべきサイバーセキュリティーの要件をリストアップしているが、ここでは一切、ファーウェイを排除していない。だがこの問題の最終判断は、ジャイール・ボルソナロ大統領が下すことになる。

(質問)アメリカの国家安全保障会議(NSC)メンバーのロバート・オブライエン氏の発言、すなわちブラジル政府と国内企業のデータがファーウェイの設備を通じて中国政府によって「盗み見される」可能性があるという主張を、ファーウェイはどのように受け止めましたか?

(マルセーロ・モッタ)10年以上も前から一切の根拠もなく言われてきたことなので、その非難があたかも当然のようになされている。当社は、最優先事項としてサイバーセキュリティーとプライバシーを掲げている。当社のガバナンスは、多数のグローバルな、そして地域のトランスペアレンシー・センターによってテストを受けてきた。これら一連の努力は、顧客と取引先、政府に対して信頼性と安全性を提供する機器を背製造するために不可欠なものだ。

(質問) 中国の法律に対する恒常的な批判があります。すなわち、あちらの政府が求める場合にファーウェイはデータを引き渡さなければならないということです。その義務は、実際に存在するのでしょうか?

(マルセーロ・モッタ)いいえ。そして、そのような法律や義務も中国国内には存在しない。現行法はいずれも等しく、同国で事業を展開している電話通信分野のサプライヤーに適用される。すなわち、世界のすべての大手のプレイヤーということだ。その上、当社は単なる機器のサプライヤーだ。そして当社は、当社の顧客が直接扱うデータに直接的にはアクセスできない。従って当社は、個人データには一切アクセスできない。

(質問)では、接続においてセキュリティー及びプライバシーの保護という観点で、ファーウェイがブラジルに提供できる保証は何でしょうか?

(マルセーロ・モッタ)当社は、270件以上のセキュリティー及びプライバシーに関する認定を受けている。定期的に試験を実施している顧客に加えて、このような認定メカニズムはブラジル政府に対しても公開されており、第三者の根拠のない意見に左右されることなく顧客自身が独自に利用可能なツールを使用し検証できるということを強調することも重要だ。

(質問)10月19日からブラジルを訪問しているアメリカ当局者による代表団からは、中国以外の企業が供給する設備を調達する場合、ブラジルの電話事業会社に対して資金を提供するという申し出があった。ファーウェイも同様に設備の調達に対して融資するようなオプションがあるのでしょうか?

(マルセーロ・モッタ)当社は機器に対する融資は行っておらず、顧客は自由に資金を調達できる。ただ、資金を調達するということにはすべてコストが付随するということ、競争の自由が制限されることだけは指摘しておきたい。

(質問)ブラジルやその他の国々でファーウェイの事業を制限しようとするアメリカの試みに対してどのように対応するつもりでしょうか?

(マルセーロ・モッタ)当社が提供する機器は革新的で、競争力があり、エコ(低消費)で、インテリジェントで、安全だ。これらは当社の顧客が求めるもので、しかもコストは低減している。従って、幾つかの市場でこれらの機器のプレゼンスがないことは、僻地などにおいて小規模の通信事業会社のコストを2倍から5倍に引き上げるという、ブラジルで発生すべからざる事態を招くことになる。(2020年10月21日付けエスタード紙)

【ブラジルで5Gから中国企業を排除すべくアメリカが電話事業会社の投資に対する資金提供を約束】

ブラジルを訪問したアメリカの代表団が攻勢を仕掛けており、国内で導入する携帯電話ネットワークの新システムにファーウェイ(華為)ではなく中国以外の企業を採用するよう求めている。その背景には、第5世代移動通信システム(5G)に対する主導権争いと、それによって生み出される可能性のある経済発展がある。

ブラジルで導入される第5世代移動通信システム(5G)から中国企業のファーウェイ(華為)を排除する攻勢としてアメリカは、国内電話通信業界に対する「あらゆる投資」に資金を提供する意向を表明した。ブラジリアを訪問したアメリカ当局の代表団が、10月20日に言及した。アメリカ側はこれ以外にも、最先端の通信技術である5Gのインフラ整備から中国資本を排除することも併せてブラジル政府に要求した。

反中国姿勢を打ち出したアメリカの直接的な働きかけについてブラジルの外交筋は、世界の経済的覇権を争って旧ソ連を相手に展開していた冷戦の改訂版と受け止めており、ワシントンがしばらく示してこなかった経済開発に対する同盟関係の提案を明確に示したものとなっている。

アメリカと中国の対立の背後には、5G技術に対する主導権争いがある。アメリカは、世界で初めて4Gの利用を可能にした国であるが、これは、FacebookとNetflix、Googleの親会社であるアルファベットなどのアプリケーションのエコシステムの導入と発展に不可欠なものだった。これらの企業は、アップルとマイクロソフト、アマゾンと並び、世界のでも有数の企業価値のある企業と位置付けられている。

他方、ファーウェイは現在、スウェーデンのエリクソンとフィンランドのノキアの先を行く、5G向け中核機器の主要サプライヤーである。アメリカにはもはや大規模メーカーが存在せず、主に、北欧のこの2社のサービスに依存している。アメリカ資本のシスコとクアルコムは引き続きこの業界で事業を展開してはいるものの、中核機器を製造していない。

「大体の選択肢が存在しないという誤解があるが、存在しないというのは誤りだ」と、国家安全保障会議(NSC)のジョシュア・ホッジズ西半球担当暫定シニア・ディレクターは今回、ブラジリアで報道関係者を招待して行われた会合で発言した。さらに、「そこには競争があり複数の選択肢を選ぶことができる。アメリカは、それに対して資金を提供する準備ができている」と強調した。「中国は(情報へのアクセス)を支持していない。香港で何が発生したか(1997年にイギリスから中国に返還された際の約束を反故にしてメディアの統制と自由を制限する国家安全法が6月に施行された)を見てほしい。アメリカは、中国がどのようにこのデータと技術を国政に利用するのかという点を懸念しているのであり、この技術を利用するユーザーに対して懸念しているわけではない」という。

5Gの技術

5Gは、第5世代移動通信システムである。これは、現在稼働している第4世代の4Gと比較して、最大20倍の通信速度を保証する。

ホッジズ・シニア・ディレクターは、アメリカがブラジルと互恵関係のパートナーでになり得ることをと示したいとコメント。その上で、ブラジルがより強くなるよう希望しているのであり、中国との関係において「ブラジルの主権侵害」を希望していないと付け加えた。「我が国はここへ来て中国のように恫喝するのではなく、選択肢を示しているのだ。我が国は、『中国と取引しないように』と言っているのであり、ブラジルが他のパートナーに出会うこと、ブラジルの皆さんと我が国の同盟がさらに強まることを希望しているのだ」という。

このブラジルのマスコミ関係者を対象にしたインタビューでは、米国輸出入銀行(Eximbank)のキンバリー・リード頭取と米国国際開発金融公社(DFC)のサブリーナ・タイシュマン理事が、ブラジルの電話通信会社による5Gネットワークの拡充及び機器の調達への融資として、それぞれ1,350億ドルと600億ドルの予算を確保することを強調。「業界のあらゆる投資に融資できる資金は十分に確保されている」と付け加えた。

情報分野で、中国企業の台頭は、既にファーウェイだけにとどまらない状況だ。中国製アプリは過去数年、Whatsappと同様のメッセージアプリWechat、10億人のユーザーがいるTiktokなど、若年層を中心に熱狂的な広がりを見せている。こうした状況への対応として、InstagramはReelsをリリースした。いずれの中国企業も、身売りするかさもなければアメリカ市場から締め出されるかを選ぶことになると、アメリカのドナルド・トランプ大統領の直接的な圧力を受けている。

5G問題に加えて、ファーウェイ・ド・ブラジルの排除は電話通信サービスのコストの上昇を招きかねない。同社は既に20年以上もブラジル国内で事業を展開しており、電話通信キャリアの主要サプライヤーの1社になっている。国家電気通信庁(Anatel)の資料によるとファーウェイは現在、2G及び3G、4Gの移動体通信ネットワークのインフラで、スウェーデンのエリクソンに次ぐ35%のシェアを持つ。言い換えると、国内の移動体通信ネットワークを利用した通話あるいはデータ通信は、現時点でほぼすべてファーウェイの機器を経由していることになる。ファーウェイは政府内でも同様に強い存在感を示している。同社の設備は、様々な官公庁のネットワークとデータセンターで使用されている。

なおアメリカは、今回のブラジルで行ったものと同様のスピーチを通じて、カナダやオーストラリア、ニュージーランド、インド、日本、さらにイギリスといった国でファーウェイを締め出す説得を成功させた。他方、ドイツとフランス、スペインは同社の参加を制限しないという判断を下した。

「そこには競争があり、利用可能であり、アメリカは、それに対して資金を提供する準備ができている」国家安全保障会議(NSC)のジョシュア・ホッジズ暫定西半球担当シニア・ディレクター談

トランプ米大統領の再選問題

外務省で行われた会合でジャイール・ボルソナロ大統領は、アメリカの代表団に対してドナルド・トランプ大統領再選の就任式典に列席を希望すると発言した。ボルソナロ大統領はさらに、彼のこうした励ましは「真心から」のもので、隠すものでもないという。その上で同大統領は、アメリカとの良好な関係を強調した。

「それが神の思し召しであるなら、アメリカ国内で間もなく再選される大統領の就任式典に出席する。私は、その気持ちを隠しはしない。真心からのものだ」とコメント。さらに発言の最後にボルソナロ大統領は、「神の思し召しがあるなら、12月に再びお会いしましょう」とアメリカの代表団に別れの挨拶をした。
(2020年10月21日付けエスタード紙)

【輸出入銀行がブラジル10億ドルを開放するであろう】

アメリカ当局者による代表団は今回、ブラジル訪問の公式日程で、米国輸出入銀行(Eximbank)によるブラジル国内での10億ドルの投資に関する合意に署名した。同銀行のキンバリー・リード頭取によると、この金額には米ウェスティングハウスによる原子力発電所アングラ1号炉の改修工事に対する3億4,500万ドルの投資を含む。同じく、ブラジルの生産者がテキサス州で製造された農業用航空機の購入資金への投資も行われる。

その前日には、米国際開発金融公社(DFC)がブラジルの投資及び事業に対する9億8,400万ドルの投資を発表している。(2020年10月21日付けエスタード紙)

(ZOOM) 桑名総領事と業種別部会のweb懇親会開催

2020年10月21日午前10時半から12時30分近くまで、会議所業種別部会長ほかによる桑名良輔在サンパウロ日本国総領事とのweb懇親会が行われた。

9月末には総領事と常任理事会メンバーの懇親会が行われたが、それに引続く部会長とのイベントとなった。司会進行は平田藤義事務局長が行い、総領事挨拶、各参加者の自己紹介(略歴および会議所での役割等々)の順で進められた。

特に今回は各業種の動向が全10部会および1分科会の代表者により説明が行われ、夫々が抱える課題などについて意見交換を行った。

総領事館参加者:桑名良輔総領事、上田基仙領事(経済班)、中野直樹副領事(経済班)

当所参加者:
運輸サービス部会39社: 今安 毅部会長 日本航空(南米地区統括部長)
化学品部会30社: 青木 宏文 部会長 住友化学(Executive Director- Planning&Finance )
機械金属部会50社: 山田 佳宏部会長 三菱重工業(社長)
自動車部会32社: ロベルトアキヤマ部会長 ホンダ(営業担当副社長)
金融副部会19社:  北村 裕行副部会長 ブラジルみずほ銀行(副社長)
生活産業(建設不動産・繊維)部会12社: 今川 尚彦部会長 戸田建設(社長)
コンサルタント部会70社: 吉田幸司部会長 KPMG Seconded partner, Japanese CPA / Head of Japan Desk of KPMG Brazil and South America
食品部会15社: 佐々木 達哉部会長 味の素(社長)
電機・情報通信部会28社: 田辺 靖部会長 NEC(ラテンアメリカ社長)
貿易部会38社: 秋葉 浩部会長 伊藤忠(社長)
貿易部会所属の医療機器分科会(他部会から26社参加):市川幸太郎会長 日本光電(社長)
イノベーション・中小企業委員会(7人):松平史寿子副委員長JETRO次長

 

米国と3項目の二国間貿易協定で合意(2020年10月19日付けヴァロール紙)

19日ジャイール・ボルソナロ大統領は、米国との2国間の貿易や経済関係の拡大に繋がる貿易円滑化や規制慣行改善などを中心に、3項目の二国間貿易協定で合意と発表した。

両国の商工会議所主催によるUS-Brazil Connect Summitでの今回の3項目の二国間貿易協定合意では、二国間貿易のブロクラシーの軽減による貿易促進、貿易規制の緩和並びに汚職防止対策が織り込まれている

「数日前、ブラジルと米国の代表者は、記録的な短時間で、ブラジル側の民間部門が長い間要求していた3項目の協定交渉で、二国間の貿易円滑化協定、良好な規制慣行の合意、腐敗防止協定を締結した」とボルソナロ大統領は述べた。「このトリプルパッケージの合意で、二国間貿易に更なる成長をもたらし、米国からの投資の流れにも有益な効果をもたらすことができる」と付け加えた。

ボルソナーロ大統領はまた、「トランプ大統領との協力で、両国間の貿易は新しいステージに突入。この関係におけるブラジルの優先事項は明確で誠実である」と大統領は述べた。「将来的には、大胆な税協定、包括的な貿易協定、そして世界的な生産チェーンを再設計するための両国間の大胆なパートナーシップを思い描く」と彼は付け加えた。

ペトロブラスの独占市場だった天然ガス事業への民間企業の参入規制緩和は、ブラジル国内の安価なエネルギー供給の増加を保証。ブラジル国内の再生可能なエネルギーセクターは、米国との投資パートナーシップに大きな可能性があるとボルソナーロ大統領は説明している。

「ブラジル国民が不可能と考えていた年金改革は、既に昨年国会を通過した。次のステップは、連邦政府の財政赤字の改善に繋がる今後10年間で約3,000億レアルの歳出削減をもたらす行政改革の承認」と大統領は説明している。

また「行政改革と並行して、複数税の統一を促進し、よりシンプルで公正で合理的な税徴収システムをもたらし、海外投資家の長年の投資需要を満たす税制改革プロジェクトにも取り組んでいると強調している。

ボルソナロ大統領は、米国との3項目の二国間貿易合意のこの機会を利用して、ブラジルの経済協力開発機構(OECD)への加盟で米国政府に対して更なる支援を要請している。

今年の全国消費者物価指数の予想以上の上昇で来年の公共サービス停止の可能性(2020年10月19日付けヴァロール紙)

サラリー調整の指標となる2020年のインフレ指数の全国消費者物価指数(INPC)は、連邦政府の予算に計上されていた2.09%を大幅に上回る3.00%以上、3.2%に達する可能性があり、2021年度の予想を大幅に上回る歳出増加が避けられない。

全国消費者物価指数(INPC)が0.1%増加すれば、最低サラリーの引き上げで、社会保障院INSSの年金・恩給などの調整を余儀なくされるために連邦政府にとって7億6,830万レアルの歳出増加に繋がる。

今年のINPC指数が連邦政府の予算法で定めたよりも0.91%上回る3.00%になれば連邦政府にとっては69億9,000万レアルの歳出増加に繋がり、今年のINPC指数が3.2%になれば85億3,000万レアルに歳出増加を余儀なくされる。

国会は人件費の製造コストの割合が非常に大きな労働集約型産業界の17セクターに対する社会保障院(INSS)への従業員給与額の納付率20%の免税措置を維持するというジャイル・ボルソナロ大統領の拒否権を覆すと予想される中で、歳出はさらに49億ドル引き上げられる

ブラジル人の63%は今後1年以内の失業不安を抱いている(2020年10月19日付けヴァロール紙)

世界経済フォーラムの調査によると、調査対象の27か国の1万2,000人以上の成人労働者の今後12か月間以内の失業不安を抱えているのは半数以上の54%に達している。

ブラジル人の労働者の63%は、今後12か月間以内にCOVID-19パンデミックの先行き不透明感による景気回復が見えないために失業不安を抱えているおり、27か国平均の54%を大幅に上回るブラジル人労働者が失業不安を抱えていることが判明している。

特にロシアの労働者は、4人のうち3人が今後12か月間以内での失業不安を抱えている一方で、ドイツの労働者は4人に1人が失業不安を抱えている。

調査対象の労働者の3分の2は、現在の職場を通じて将来の仕事に必要なスキルを学び、開発できると回答。特にスペインの労働者の10人に9人近くが職場で新しい本質的なスキルを身に付けることができると主張している一方で、日本、スウェーデン、ロシアでは半分以下の回答に留まっている。ブラジル人の79%は現在の職場で可能と回答している。

世界経済フォーラムによると、来年の失業に対する懸念を抱えている労働者の割合は、ロシアは75%と最も失業不安を抱えており、スペイン73%、マレーシア71%、一方ドイツは僅か26%、スウェーデンは30%、オランダと米国ではそれぞれ36%に過ぎない。