1-概要(懇談会繊維部会から の発言参照)
2-業界別動向
綿花
99/00年の国内原綿生産量は70万トン、前年比34.61%増。新興綿花生産州マットグロッソの33%の増反による336千トン生産(前年比50% 増)が大きく寄与した。伝統的生産5州は計271千トン、バイア及び北東州は93千トン。各地の適切な種子導入等が増産要因。しかし、マットグロッソ州は 旧式収穫機多く夾雑物除去不充分で上級品が少ない。
00/01シーズンは、前期好成績に触発され、伝統的生産5州で5―10%、マットグソッソ州で30―40%の増反予想。CONABは00/01年度862千トンの生産予想(うちマットグロッソ州53%)。しかし、輸入綿必要量20万トン。
国内綿花相場は、99年末のポンドあたりR$1.00前後のベースが3月まで続き、4月に新綿出回り、R$0.90割れとなり、5、6月以降、各州のオ フアー増から横這い。7月に政府のPEP(原綿流通促進プログラム。買い手に補助金付与)開始により、相場上向き、12月末にR$1.00に、上級品は品 不足からR$1.05に上昇した。 今年は例年の売り圧力による11月までの相場低迷、以後上昇パダ-ンをそれ、国際マーケット・スライド移行予想。
一方、国際相場は、99年末を底に昨年ほぼ一貫して上昇、ニューヨーク定期はポンドあたり57.86セントで明け、12月に62.28セントに達した。 注目すべきは11月にINDEX A(世界綿花の実取引の指標)が従来とは逆転現象を起こし、ニューヨーク定期を上回ったこと。今年は米国経済後退懸念は あるものの、価格の上昇傾向は続くと思われる。
国内綿糸
2000 年は、冬物の仕掛け早く、1―3月はカード、コーマ糸共に相場は堅調に推移、裏毛用太番・ポリエステル綿混糸が品薄。4―6月は暖冬で小売は盛り上がりに 欠け、値下げ圧力あるも何とか同値でしのぐ。 7月中旬の寒波到来で店頭活気づき、裏毛やP/Aの冬物商材が10月まで動く。夏物の糸手当ては例年の動きに反し、値差のためコーマ糸にぶく、カード糸順 調に動く。こうした流れの中、日系紡各社は1―3月、7―9月にそれぞれ2-3%値上げを実施、市場値下げ局面でも踏ん張る。年間通じ、インフレ分程度値 上げに成功、まずまずのシーズンであったが、アジアからの合繊フイラメント・合繊織物輸入が急増、市場侵食の懸念高まる。
2001年は、フアンダメンタル良好だが、外的要因の懸念以外に原綿価格アップが避けられそうにない、原綿輸出成約及び先物契約増、農家の品質改良がなお ざりにされている中、メーカーは電力・労務費アップ吸収、更なるコストダウンと売値への転嫁、安値合成商品との競合が課題。マーケット・リードのためには 品質向上と対応力にますます磨きをかけて行かねばならない。
太番手 ― 原料・労務コストの売値転嫁はできなかったが、原綿価格の安定的水準推移でまあまあの年だった。トピックは新工場誕生によるOE糸供給量増大。 新工場:Tecmasa, Cifitex(Maranhao州),Reprotextil(Pernambuco州)Algoleste(Parana州),Santa Margarida(Minas Gerais州 )
● ニット関係の冬物用太番手は前期末在庫薄で11月に取引開始。輸入極少。冬物使用期(4月まで)は好市況継続予想。ニット工業は冬に期待し原料手当て模様。価格面は、マクロ経済好転とは裏腹に消費者購買力低下で大きな変化見込みなし。
● 織布関係 ― 販売良好なるもコストアップを売値に転嫁できず。ジーンズ用・工業用・縫製用織布も堅調に推移。輸出は亜國向け船積み延期を除き満足な状況。昨年第4四半期に引き続く好調期待。平織り布、工業用布(自動車業界好調に乗って)は前途楽観的。
綿糸輸出 ― 昨年1―11月実績は16,247t、US$45,689千で、99年1年間の輸出量を上回った。しかし、上半期までは米、亜、智、コロンビアを中心に 各社輸出成約を積み増したが、伯糸品質トラブルや印、パの安値攻勢で7月以降、環境悪化。前半の貯金がものを言い、昨対比輸出量はプラスなるも問題を内在 したままの越年となった。国内市況不透明下、伯の紡績は輸出に注力したいところだが、米経済減速、亜経済悪化など弱材料ばかりが目立つ。しかしながら、こ の3年間に伯糸の米・ EU・中南米市場定着、本年も昨年並み輸出期待。
化合繊
化 合繊(短)は昨年、繊維業界の総論的順調さとは異なり、コストアップに苦しんだ(ドルベース3%のポリエステル綿値上げが切り下げを加味したレアルでは 12%に近い値上げになった)。レーヨン綿は原料値上げを理由に20%強の値上げ。今年はさらに10%値上げ予想。原料は完全な売り手市場。販売価格転嫁 はままならず、一方で輸入糸の影響で値下げ競争に直面した時期もあった。
2001年はレーヨン綿、ポリ綿は値上げあるのみ。インフレ予想6%で同率切り下げが常識のところからレアル貨アップは必至。業界単独値上げは不可能。今年もしんどい年になりそうである。
薄地綿織物(グレー織物の部)
業界は当社(TSUZUKI)を筆頭にUnitextil、Deocleciano、Ribeiro Chaves、Coelho社と続き、この数年 間、需要の多様化は進むがマーケット拡大兆候はない。昨年はVicunha等の紡織一貫工場がプリント地の販売不振からグレーで國内外マーケットを荒らし まわった。上期低迷、夏物が始まる下期に活性化、99年並みの荷動きとなった。
当社 は輸出を優先、メルコスール向けは数量面で99年対比25.7%増。対米は若干ダウン、対EUはユーロ下落のため完全にストップ。 昨年のクリスマス商戦は最後に盛り上がり、売れ残り懸念で仕入れを手控えた衣料店は在庫ゼロで越年。まだ夏物を手がける縫製業者は1、2月に昨年同期以上 の取引予想。
国内では光熱費、労務費、原綿コストアップカバーのため8%程度の値上げ計画。 輸出は対亜を中心に20%増を目指す。ユーロ持ちなおしで対EU輸出増見込み。国内はガソリン値下げ報道、低インフレ、金利引下げ等が好材料。
薄地織物
1. 活況のニットに比べると多少鈍かったが、年初荷動きは一応順調。冬物は中だるみに心配したが、終盤で寒波到来、店頭在庫一掃。夏物は立ちあがり緩慢、シャ ツ・メーカー製品在庫増、卸屋の注文キャンセル増あるも、年末に急速に回復、最良のクリスマスとなり、メーカー在庫も一掃できた。通年での評価は、縫製業 界は昨年よりも良好、卸業界マイナス、織物メーカーは昨年並みあるいは若干のマイナス。価格的には、T/C混布は年初5-8%値上げ、綿100パはホボ横 這い。後半、綿厚地織物不振で在庫増による値下げに引きずられて一部で値引き実施。 |
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2. 昨年の年末商戦好調から今年はじめは縫製メーカー、店頭の在庫補充に期待。昨年、耐久消費財は大きく伸びたが非耐久消費財の伸びはマイナス。その分、今年 は衣料、の伸びに期待。他方、電力・ガス・重油、労務費、染料代、原糸値上がりは計8―10%。そのコストの売値転嫁が今年の課題。昨年再び顕著化した布 地輸入増(対前年比量で2.5倍、単価で4割安)も問題。 |
厚地織物
1.昨年は1―3月好調なるも冬の到来遅く、冬物商戦盛り上がりに欠け下期まで不調原因となる。また、下記原因で厚地織物は大幅減産に追い込まれた。
1) 為替安定で織物製品輸入増
2)顧客ニーズ高度化に厚糸、染色整理の追従困難
3)輸入品が価格面で有利
4)背広需要減退
5)モード主流がニット。ニット増加分織物が食われる。
素材別概況
・ウール100パ、ウール混 カリベー1社のみ健闘
・リネン及びラミー混 流行はずれ
・ビスコース 同
・ポリエステル 100パ 婦人ものまずまず、男子もの不 調
・テンセル モダル 薄地好評 厚地いま一つ
・綿 - 最大手のサンチスタ、 レノウ大苦戦
2.自社ブランドを持つ大手小売店の製品輸入、あるいは生地買い縫製下請け方式に進み、流通ルートが大きく変化、ブラジルも先進国同様の道を歩んでおり、追随できないところは生き残れない。
絹
1.ブ ラジル製糸の2000年は生糸・撚糸輸出数量(推定)1,496t(対前年-14%)、輸出額(推定)4,660万ドル(対前年比-1%)。世界的な異常 気象(低温、干ばつ、高温、多湿、集中豪雨)並びに微粒子病(蚕の病気)により原料繭が減少、輸出単価がアップして金額的に前年度とホボ同額を確保。
2.2001 年度は生産の7割輸出先である日本の市況改善いかんにかかる。日本では昨年呉服関係の倒産が多発、なかでも5月の「丸勝」、10月の「嶋河」といった大型 倒産の影響で信用不安がまだ払拭できない中、正月早々に西陣の機屋「2陣」倒産のニュースで始まった。 生糸相場も下記通り大幅に下落、 消費回復が望まれるところ。
他方、世界生糸生産の7割を占める中国が繭不足、同国内需要増(製品や生地輸出含め)、欧州市場良好で国際価格の一直線の下げでないことは救いだが、今年も不透明状況継続予想。
羊毛
1月
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2月
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3月
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4月
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5月
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00/1/10
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4.065
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4.147
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4.119
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4.089
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4.056
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01/1/10
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2.770
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2.803
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2.937
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2.964
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2.946
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1) 00/01クリスマス前シーズン(7―12月)の豪州羊毛市況
a) 相場は底を打ち、回復基調の市況展開、今後当分は上昇基調
- 今季前半の指標値の平均715C前期前半比27%アップ。
- 豪州ドル最近の最安値(15%下落)も影響
- 最大買い付け先の中国が積極的買い付け
- 持ち越し在庫減少、需給バランス大幅改善
- 18 mic 以下の細番は40-50%高騰
2) 00/01クリスマス後シーズン(1―1~6月1日)の豪州羊毛
- 長期相場低迷で産毛量低水準、需給バランス改善
- 中国の新規I/L発給
- 西欧需要は旺盛、日本、韓国、台湾は元気なし。 羊毛相場は上昇するが、末端製品価格上がらず、川中部門は依然苦戦予想。
C)ブラジル・ウールの動き
産毛量の推移
99/00
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14,000t
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00/01
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13,000t
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01/02
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13,000t
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価格の推移(Merino G’y/kg)
Jan.00
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Jun.00
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Jan.01
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1.50
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1.80
|
1.50
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3) ブラジル国内ウール混紡糸の概況 2000年の純毛糸売上は前年比横這い、混紡糸3割アップ。ウール混紡糸は売上の2―3%と絶対量少ない。ブラジルにおけるウール需要はオフイス、航空機のイス張り用販売程度。最近陸・海・空軍の訓練用にまとまった注文あり。