2006年下期業種別部会長シンポジウム

総務/企画戦略委員会共催

 

  • 司会の言葉

    松田雅信総務委員長

     

    ブラジル日本商工会議所総務委員会・企画戦略委員会共催の業種別部会長シンポジウムを開催させていただきます。今回の特徴といたしましては、前年度までの 名前から、シンポジウムという名前に変更させていただいております。意図としましては、各部会の皆様方からですね、今のブラジルの現状というのをざっくば らんに皆さんにご披露させていただきたいと、そういう意図から名前を変更させていただきました。

    また、IT化がとみに進んでおりますので、今年からはパワーポイントを導入するというちょっと近代化した会合にさせていただいております。で、同時通訳も入れておりますので、ポルトガル語が必要な方はどうぞお申し出ください。(同時通訳の旨、ポ語で説明)。

    えーと、それではですね、若干今回のお話をですね、進めるに当たっての諸注意を申し上げさせていただきたいと思います。本年度は、今回は共通テーマといた しまして、2006年上半期の回顧と下半期の展望というテーマでですね、各部会から発表させていただきます。持ち時間は10分ということで、時間厳守をお 願いいたします。なおですね、あとで申し上げますが、若干、時間をこちらからですね、どれだけ経過しているかということをお知らせさせていただきます。

    それから、その10分間につきましては、上半期の回顧と下半期の展望で約7分、部会個別テーマで3分という形で目安にしていただきたいと思います。そして 10分経過後、5分程度の質疑を設けたいと思っております。それでですね、レーザーポインター、あるいはパワーポイントのページ送りのリモコンを用意して おりますが、前の方にスタッフがおりますのでですね、指示していただければこちらの方でもページをめくるということをさせていただきますので、あの、ご自 由にお申し付けいただければと思います。

    それで、11の部会がございましてですね、まず部会 の発表に入る前に田中会頭、それから西林総領事様のごあいさつをいただき、それから前半5部会の発表、それからコーヒーブレイクをはさみまして、後半6部 会の発表、そして最後に大竹公使、ブラジリアからきていただいていますので、ご講評をいただくと、こういう順序で進めていきたいと思いますので、皆様方の ご協力をお願いします。それではまず、田中会頭の方からごあいさつをいただきたいと思います。

     

  • 挨拶 田中信会頭


    田中信会頭

     

    みなさん、こんにちは。本日は当会議所のメインイベントであります業種別部会長シンポジウム、業種別シンポジウムにご多忙中にもかかわらず多数ご出席いた だきまして誠にありがとうございました。特に西林総領事以下、サンパウロ総領事館のみなさま、およびブラジリアの大使館からわざわざご来聖いただきました 大竹公使には厚く御礼を申し上げます。さらに大竹公使には最後に講評をいただくことになっておりますので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

    このシンポジウムは一年に二回、年初と年央にブラジル経済の問題と展望を実施することになっておりまして、今回は2006年の上期を回顧して下期の展望を 行うというものであります。今、松田総務委員長の方からご紹介がありましたけれども、従来業種別部会長懇談会と称しておりましたが、今回から業種別シンポ ジウムに変更いたしました。この会は1970年代に始まり、毎年二回、欠けることなく続いている由緒ある会でありますが、当初はコンサルタント部会長が主 催して当時は10業種別部会の部会長だけで実施しておりました。文字通り業種別部会長懇談会であったわけです。

    その後、会議所に総務委員会が設置され、総務委員長が主催する会議所の公式行事となり、部会長のみでなく、総務委員会メンバーや、会頭はじめ常任理事たち も出席するようになりました。二十世紀末のホンダ、トヨタ両社のブラジルにおける乗用車生産開始にともない機会金属部会より自動車部会が独立して11部会 となっております。2003年より「開かれた会議所」の方針にしたがってこの会を会員間、内部ばかりでなく、一般のブラジル社会に開放し、日本語の理解が 難しい参加者のためポルトガル語の同時通訳も用意し、希望者は誰でも参加可能といたしました。設立以来継続した名称もそぐわなくなって参りましたので、今 回思い切って実態にあわせたシンポジウムという名前に変更したものであります。

    この会議では 各種業種別部会の代表者から生の声でそれぞれの業界の直近の動向が発表されます。この発表のため各部会は部会長さんを中心に自社業績や業界動向を分析し、 その結果を検討、整理されますので、各社の経営戦略の決定にもきわめて役立つものと思います。さらにこのプロセスを通じましてメンバー各社の親睦にも役立 つものと思います。さらに外部の企業、学校、研究所など外部機関にとってもブラジルの現状把握に役立つ数
    少ない信頼すべきデータだと評価されております。

    本年上半期のブラジル経済は引続くレアル高、原油価格上昇にもかかわらず、内需と輸出に支えられ、2%後半から3%前半程度の成長を遂げたものと見込まれ ます。世界経済は原油価格や米国経済の動向など不安定要因もありますが、相対的に良好なため、ブラジル経済もほぼ順調に推移するものと思われます。ブラジ ル大統領選挙の投票日は2カ月弱に迫り、目下ルーラ大統領とアルキミン前サンパウロ知事との決戦投票となる見込みが強まってまいりました。しかし、両者い ずれが当選しましても、経済政策を大きく変えることは難しいと思われます。

    ただ、 Brics4カ国の中でブラジルの成長率が低いことが問題として指摘されており、このためには税制、社会保障、労働などの構造改革が必要とされておりま す。ところで、日伯経済関係は80年代、90年代の失われた20年の低調な期間を経過しましたが、二十一世紀入りを境にして最近ようやく目立った動きが見 られるようになりました。おととしの小泉総理の総理として八年ぶりの訪伯、昨年のルーラ大統領の訪日という両国首脳の交換訪問は時宜を得たものとなりまし た。

    従来ブラジルは日本にとり、資源確保という観点からの関心に大きな比重がかけられてまい りましたが、最近は多様化の兆しが現れてまいりました。六月、竹中総務大臣が来伯、出席された地上デジタルテレビの日本方式採用に関するブラジリアでの発 表式典は、今後の日伯経済関係の最先端技術における提携のさきがけとなることを期待したいと思います。

    さらにエネルギー再生と環境問題解決の両面から、エタノールアルコールやCDM、クリーン開発メカニズムなどの面で両国間の協力の一層の強化が期待されて おります。会議所の活動は、会員のニーズにこたえることを最重要課題としております。上に述べましたような日伯経済関係の活性化は、会員企業の活動分野を 拡大するとともに、一段とソフィスティケイティッドさが必要とされるようになっております。

    これらのニーズに対応して、一昨年から昨年にかけて当会議所は環境委員会、移転価格税制検討委員会、日伯EPA(経済連携協定)共同研究分科会、企業の社 会的責任分科会、移民百周年分科会などを新設するとともに、中小企業委員会を異業種交流委員会と名称変更し、会員のニーズの変化に対応しております。最後 に、この会の担当であります総務および企画戦略両委員会、業種別部会および事務局の皆さん、バックアップしてくれた全会員の皆さんのご尽力に心から感謝の 意を表しまして私のごあいさつを終わります。ご静聴ありがとうございました。

    拍手

    田中会頭どうもありがとうございました。それでは引続きまして西林総領事様の方からごあいさついただきたいと思います。よろしくお願いします。

  • 挨拶 島内憲大使


    西林万寿夫サンパウロ総領事

     

    えーどうも、皆様こんにちは。本日私は本当は最後までいたいところなんですけれども、日本から農林水産省の宮腰副大臣がちょうど来られていて、今現在ブラ ジリアに今朝お着きになっていらっしゃって夕方こちらに来られてサンパウロに二泊されるということで、私お迎えしに行かなきゃならないので、コーヒーブレ イクで失礼させていただくので申し訳なく思っておりますが、講評の方、前回私一言講評させていただいたわけですが、本日ラッキーなことにブラジリアから大 竹公使においでいただいていて、大竹公使に、ふると言ってはなんですが、お願いすると。ブラジリアの方は副大臣が来られて大竹公使なしで大丈夫かしらと ちょっと心配しておるんですけども、ほかに農水省の出向のスタッフ等々おりますので、ケア、テイクケアしてるんだろうと思います。

    で今お話しました通り、この、副大臣が来られているということで、私着任してちょうど11カ月、一年弱になるんですけどこの間これが、国会議員のブラジル 来訪、サンパウロ来訪、11回目なんですね。平均一月一件くらいで来訪されていると。まあ、過去の歴史と言うんですかね、2、30年の経緯というのはよく 知らないんですけれども、たぶんこれだけ頻繁に日本の閣僚がブラジルに来られているということは前例がないんじゃないかと思うわけです。

    特にこの連休には中川農水大臣が来られて、それから、先ほど田中会頭からお話があった通り竹中総務大臣が来られてデジタルTVの署名をされたと、日本方式 の採用ということで、二人の閣僚があいついで来られると。この、小泉総理を除いて八年ぶりの閣僚の訪伯であるというのは、私もこっちの地元の新聞見てびっ くりしちゃったんですけども、そのくらいそのまあある意味じゃ日伯関係なかなか活性化しない中で、ようやくその再活性化の兆しがこういう国会議員の中にも 出てきたと。

    でまあ、議員さん来られて、皆さんやっぱり関心事というのは、特に、エタノール ですね。やっぱりエタノールの工場見たいとか、エタノールどうなっているのかということで来られる皆さん、皆がみんなではないわけですけどエタノール工場 にいらっしゃると。それからもうひとつはやっぱりBricsの一角を占めていてブラジルはちょっと遠くて、地球の反対側にあってなかなか行けないので ちょっと見てみようと。

    まあロシア、インド、中国は行ってるけどということで、やっぱり Bricsというこのシンボルが結構いい効果を表しているのかなというか、そういう感じがしております。そういう中でまあデジタルTVの日本方式の採用と いう話があったわけですけども、これ非常にその日伯経済関係にとって画期的なことであって、ここにおられる大竹公使もたいへんなご努力、ご苦労が多かった ようにうかがっております。まあたぶん後でお話があったりするんでしょうが、またコーヒーブレイクの時にお話聞かれたらと思うんですけども、まあただこれ は私ども見るところ一種の通過点であって、まだこれからと、結果が出るのはこれからということで、その、電子電気業界これからできたフレームワークにもと づいてどう進めるか、いろんな作業が待ち受けててこれからがたいへんなのかなという感じがしております。

    私どもも応援できるものは応援を続けてしていきたいと、そういうように思う次第であります。それから国会議員の話をしたついでに最近の動きっていうんです かね、一月ほどの大きな動きをちょっと振り返ってみますと、7月のはじめに日伯国会議連がまあ、再スタートというんですか、新しい体制ができたと、これは 橋本元総理がお亡くなりになって新しい会長が必要になったということで、麻生外務大臣、昔若い頃サンパウロに一年おられたらしいんですけども、麻生さんが 会長になられて新しい体制がスタートしたと。

    それからつい先日、一週間ほど前に日伯21世紀 協議会、まあこれは東京で第二回の会合が開かれ、ここで提言が採択され小泉総理に提言書が提出されたと。まあ非常にこの中身、多様な、内容がいろいろ多岐 にわたりますのでここでは割愛しますが、中でもEPA については2008年を重要な契機として議論を加速させるということが提言されております。まあEPAについても今日講義があるか存じませんが、そういう ような提言が出ていることをちょっとレジスタしておきたいと思います。

    それから、そういう動 きでありますけど、今後の動きとしては11件目の国会議員とあったんですが、実は12件目というのも近々控えていまして、これは8月の20日すぎなんです けども、参議院議長の扇千景さんとそのグループというんですかね、参議院の数人の国会議員団も来られます。ご多分にもれずエタノール工場見学ということ に、もう入っているわけでございますが、まああの、私も一年でちょうど十二回目の国会議員の来訪を受けるということでうれしい悲鳴を上げているとそういう 状況です。

    それからご案内だと思うんですけど、ブラジリアの堀村大使が7月のはじめに帰国さ れて、その後ずっと今空席になっておるんですが、近日中には新しい大使が発令され、私の聞いておりますところであれば、九月中には新しい大使が着任される ということになると思います。九月の末ぐらいになるんでしょうか、まああの、というふうにうかがっております。

    それからあとは、中南米局長も実は交代しまして、八月1日付けで三輪君っていう、私の同期なんですけども、外務省でポルトガル語を研修している最初のキャ リアの外交官なんですけども、彼が着任しました。ブラジリアにも二回ほど勤務しておりますし、ブラジルのこと非常によく知っている人が中南米局長になった ということはこれまた非常に心強いこともあると思います。まあいずれ官民合同会議等あるときにこちらで来ることになると思いますがよろしくお願いしたいと いうことであります。以上いろんなちょっとお話しまして、冒頭のごあいさつとしたわけでございますが、終わりに本日の業種別部会長シンポジウムが有意義な ものとなることをお祈りして私のごあいさつといたします。どうも失礼しました。

    拍手

    西林総領事どうもありがとうございます。ではただいまより各部会の発表に入らせていていだきますが、その前に一点だけ、先ほど申し上げました、時間の経過 とともにですね、どのぐらい時間が経っているかということをちょっと、これですね、色でお知らせいたします。まず7分が経過した時に青色を上げさせていた だきます。9分経過の時に緑。そして10分経過で黄色。そして15分が満了した時に赤、ということでお知らせさせていただきますので、ご参考いただければ と思います。それでは最初に、コンサルタント部会、渡邊部会長よりご発表お願いします。

  • コンサルタント部会


    渡邊裕司コンサルタント部会長

     

    今年の上半期の回顧と展望ということでございますけれども、ちょっと一年だけのあれだとあまり面白くないというのと、せっかくその、政権の交替期というこ ともございまして、勝手にですね、ちょっとフライングさせていただきまして、ルーラ政権の四年間の回顧と展望という、要するに今年も含めたお話しをさせて いただきたいと思います。

    結論から申し上げますと、ちょっと非常におおざっぱにですね、こ の、ルーラ政権のジェストンというのは非常に経済パフォーマンスが良かった、それからその背景はですね、90年代の市場開放等々の改革が相当進んだその遺 産および、非常にラッキーなことに世界経済が拡大する時期に重なったということで、まあこんなことを言うとしかられるかもしれませんけど、PT政権非常に 幸運だったんじゃないかと。

    でもうひとつ言える点はですね、このエマージングネーションとし てはいやに低成長が目立つということですね。今年は民間の予測では3.6%の成長で、四年間の年率に直すと2.8%。1980年から2005年までの過去 二十五年間で、年率2.13%ということですが、したがいましていずれにしても1%台の成長がブラジルはずっと続いているということでございます。

    そして、展望というとまあ大げさでございますけども、今後ですね、じゃどうなるのかというか、誰が選挙に勝つにせよ、要するに構造改革を政治の力で断行し ないことにはどうにもならないんじゃないかという気がいたします。構造改革の断行によってですね、外国投資の拡大、成長する、でその成長したあかつきにで すね、国内貯蓄をもって治安、教育に長期の投資をしていくということでもしないと、十年二十年後にブラジルはまたたいへんな負の遺産をかかえこむことにな るんじゃないかというふうに思います。

    次。回顧、各論から行きますと政治的には左翼の政権が できて非常にびっくりしてですね、為替も非常にレアル安に振れたと。しかしふたを開けてみるとこの左翼政権は市場経済と均衡財政路線を選択継続したという ことが言えると思います。そしてルーラの政策は、まあ一部改革をやっていたようでございますけども、総じて福祉政策が中心で、まあ悪く言うとばら撒きが中 心だったんじゃないかというふうに思います。

    後半、昨年ですね、大規模汚職が発覚したんです けども、面白いことにというか、経済が安定していたがゆえに政権の崩壊にはいたらなかったと。もしこれが経済が非常に悪くて失業でも高かったらどうなって いたか、というふうに私は思っております。はい次。この経済面ではですね、先ほど申し上げましたように90年代の改革、それから民営化ですね。改革の中で 市場開放、通貨改革、これはカルドーゾがやったレアルプラン。

    それから民営化等々で脆弱な輸 入代替工業、それから国営産業が競争力をつけた。それから世界景気が拡大した。これにともなって資源が急騰した。左翼政権が、さきほど申し上げました、市 場経済を選択したという事実だけで市場が落ち着いた。次。経済面、この安定の要因ですね、中には結果こういうことができたというものがあるかもしれません が、ざっとこういうことだと思います。国際収支が拡大均衡した、インフレが低下していっている。今年はアメリカ並、アメリカよりちょっと低いくらいのイン フレになると思います。

    金利が、まあ高いんですけど、少なくとも比較すれば低下傾向にある、 レアルが非常に強くなったと。公的対外債務が減少した。外資の資金がどんどん流入している。これは資本、直接投資だけじゃなくてポートフォリオも入れてで すね、要するに資金が、これ大体十八倍くらいですか、政権が発足した時からお金の流入がそういう風に増えている。失業率も低下してきている。石油需給、カ ントリーリスクが低下している。

    次。先ほど会頭も触れられましたけども、ゴールドマンサック スの会でですね、Bricsの一員として評価してもらっている。これはやはり、それなりの理由があるからだと思います。対外関係を見ますとですね、あいか わらずブラジルはWTOでG20を主導しですね、国連では日本、インドと並んで常任理事国入りを目指した。

    南米地域でも依然として大国としての地位を維持している。ただしですね、南米諸国における左翼政権の台頭等々に乗じてですね、チャベスがカストロと連携し たりですね、まあいろいろなところで動き回りましてですね、メルコスールの危機もあって、ブラジルの南米における政治的、政治の主導力に若干陰りが出るか もしれないという気がいたします。

    またあの、例の中国のプレゼンスでございますが、中国は今 南米大陸でまあエネルギーをあさっているわけですけども、まああの、政治的外交的に南米を何とかしようということは、まあ無いんだと思うんですね。むしろ やはり気になるのは、中国の安い製品が大量に流入してきて国内産業がたいへんな打撃を受けているということが注目されると思います。

    次。えっと、さきほど申し上げました展望ですね。問題は成長のための改革を断行する強力な政権が誕生するかということに尽きると思います。これは先ほど会 頭がおっしゃった通りだと思います。まああの、経済パフォーマンスは非常にいいんですけども、ひとつひとつ見ると、ブラジルの脆弱な構造的な問題点がまだ いろいろあります。たとえばですね、公的債務というのはルーラ政権になって1.3倍。まあたいしたこと無いじゃないかといえばたいしたことはないんです が、まあ増えている。

    それから国債発行残高もですね、これは2本の半分くらいなんですけど も、まあしかし、これはたいへんな金額ですよね。財政総合収支、プライマリーバランスは黒字ですけども、皆さんご存知だと思いますけど、総合収支ではやっ ぱり依然大赤字なんですよね。2003年はGDP比5%を超える赤字、今年も5%くらいです。ものすごい赤字を出している。

    それから利払いですね、連邦政府が六月末現在で過去一年間に払った利息、国債の利息、これは1587億レアル、約720億ドルくらいですよね。720億ド ルというとボリビアのGDPの8倍くらい、コロンビアのGDPまではいきませんけども、ものすごい金額の利息を払っているんですよね。たぶん、利息を払う ために国債を発行していると思います。

    それですね、もうひとつちょっと、まあ心配ばっかり言 うとあれなんですけども、経済パフォーマンスが良いが故にですね、その改革の努力を怠るんじゃないかという心配がありますね。まあ次どういう政権が出るか 知りませんけども、やっぱりあの、改革を怠っちゃいけない。まあ日本であれだけ、あの、小泉さんがですね、強力な主動力を発揮して改革をやったといって も、日本でも改革道なかばです。ブラジルもそこをどういうことになるか、ここがポイントだと思います。

    次。えっとですね。あと日本企業のブラジルへのビジネスのことでございますけども、ブラジルコストへの対処はもちろんでございますけれども、米欧の投資と いうのが非常に果敢です。アメリカの投資というのはものすごい、二桁台でここ数年伸びてますよね。20%、30%。それはどうしてかということを、やっぱ り我々も学んでいくことが必要なんじゃないかと思います。

    それから、レアル通貨でございます けども、まあ金利の低下傾向、それから為替規則の改正。為替のその、flexibilizacao cambial、こういうようなことが行われますので、若干レアルは安に微修正されていくんじゃないかと。ただ過大な期待をしてはいけないと思います。メ ルコスール。日伯EPA。例のWTOのドーハラウンドがぽしゃっちゃいまして、アモリン外相ははっきり言ってますけども、我々はこれからFTAは倍の交渉 を進めていくと。

    とどうなるかというと、EUとの交渉がある日突然、いやあもうできましたと 言って我々が驚かなきゃならなくなる可能性がないとは言えないと。傾向としてはそういうことが言えるかと思います。あと、メルコスールの亀裂が深刻化する 可能性がある。メルコスールは、域内貿易をずっと見ていますと、関税同盟が結成された95年からですね、1.8倍くらいに域内貿易拡大しているんですね。 ただあの、それはブラジルと、伯亜、ブラジルとアルゼンチンの貿易であって、やっぱりウルグアイとパラグアイというのはあまり恩恵預かってないと。

    ウルグアイは若干ここ何年かの黒字がありますけども、ほとんど貿易赤字。パラグアイにいたっては、もうずっと赤字だということでですね。もうあまりここに 残っている意味ないんじゃないかっていうんで、ウルグアイはアメリカとのバイの交渉を始めてますね。先々月の六月にアモリンがモンテビデオに行って、お前 らメルコスールから脱退しないでくれと言って諭したことがあります。

    ということで、次。 えーっと時間が、ああ十分過ぎましたね。質問時間に食い込みましたけども、移転価格税制。これはブラジルがですね、国際基準に沿わない移転価格税制を実行 しているために日本企業の中に二重課税を強いられるケースがもう具体的に発生していると。それから年金の二重払い、日本とブラジルでですね。それから日本 の国税当局の、日本の親企業に対するブラジル子会社からのロイヤリティーの請求要求。ちょっとややこしいですが、ようするに課税したいんですね。まあこう いったことについてですね、我々の部会といたしましても問題を提起し、解決に向けて皆さんの意見を積極的に取り入れて行きたいと思います。

    次、なかったかな、ちょっと。それからまあ治安の問題がございますね。あとその日伯間の動きはこの間21世紀コンセーリョから報告が出ました。デジタル案 件この間決着しまして、日本の技術を基礎としたブラジルの方式をブラジルが独自に開発する。それからエタノールの対日輸出機運も盛り上がってきた。③の日 伯交流年につきましてはこの間21世紀協議会がインフォルミを出しまして、決まっていることはですね、2008年に日伯ジャーナリスト会議を開催する。

    それ以外はなになにすべきであるという提言でございますけども、中には非常に様々な重要な提言がございます。日本はブラジルを南米で最も重要なパートナー と位置付け、ブラジルは日本をアジアで最も伝統的なパートナーというふうに位置付けております。そういうことで、先ほど総領事のごあいさつにもありました が、日伯の交流は今後ますます盛んになっていくことを期待し、お祈りしたいと思います。すいません。質問時間がもう一分しか残っていません。

    司会
    ありがとうございます。それでは質疑応答に移りたいと思います。どうぞ。

    (質)連邦政府支出の増大について

    (答) あの、あれですよね。やっぱり政府支出が、投資はいいんですけど経常収支の方で、経常的な支出が伸びつづけると、日本もそうですけど、危険ですよね。赤字 がどんどん膨らんでいけばいくほど国債を高い利息をつけて売らないと誰も買わないわけですから。あの、悪循環で赤字が増えていく、それは困りますね。つま りその、大事なポイントはですね、国債を誰が買っているのかというのを見ると、今年の外国人が国債を買った時の所得税を無税にしたあの馬鹿げた措置、二月 ね、それ以前は外国人が5%しか国債を買っていなかったんですよ。

    その後ね、今25%外国人 が買っているんです。まだでも少ないですよね。75%を機関投資家が買っているんです、国内の。ということはあれだけの莫大な赤字をファイナンスするお金 が、国内貯蓄がブラジルにあるということですよね。それがああいう利払いに消えていっていると。まあ日本も人のことを言えないんだけど、たいへん残念だと 思いますよね。だから、まあゼッツリオ・バルガスみたいな政治家がこれから出るかどうか知りませんけども、そのですね、国内貯蓄を治安と教育、インフラに 振り向ければブラジルの未来というのはものすごい明るいと思います。

    司会
    どうもありがとうございます。ほかにご質問ありませんでしょうか。それではありがとうございました。

    拍手

    続きまして金融部会、福田部会長様の方からよろしくお願いします。

     

     

  • 金融部会


    福田勝美金融部会長

     

    金融部会の福田でございます。金融部会はちょっと、今のコンサルタント部会のようになかなか格好いいプレゼンテーションができなくて、伝統的にまあグタグ タと説明しますので申し訳ございません。2006年上期の回顧でございますけども、もうすでに何回か繰り返されていることなんですけども、まあ特にその、 金融市場について申し上げますと、2006年上期というのはですね、2004年以降世界経済の拡大で順調に推移してきたブラジル経済がですね、初めて経験 する試練の時期であったと言えると思います。

    まあ結果的には、ブラジルはこの試練を大きな問題なく乗り越えて、まあ逆にやや加熱気味であった金融市場が正常な状態に戻ったともいえるのではないかと思っております。経済のファンダメンタルというのは金融市場の変動には係わり無く、引続き好調であったと思います。
    2006年以前は、世界的な過剰流動性がエマージング国の金融市場に流れ込んで、まあ株式市場の上昇等をもたらしておりました。
    2006年に入りまして、ブラジルを取巻く国際金融環境というのは幾つかの点で従来とは異なっております。

    まず第一番が、地政学リスクの高まりに起因する原油価格の上昇によるインフレリスク増加と。それから二番目。機軸通貨であるドル金利の上昇と米国経済の減速感。で三番目がですね、過剰流動性の供給基地であった日本における金融政策の転換と。
    原油価格の上昇に象徴されます資源・エネルギー価格の上昇が、世界中にインフレの種を蒔いておりまして、まあ結果としてですね、米国金利は2005年初の2.25%から今年の6月には5.25%まで上昇と。他の国々も政策金利の引き上げが相次いでおります。

    えっと具体的に言いますと、まあこんな形で石油の価格というのはですね、上がってます。この上のグラフはあの、古い、昔からなんですけども、まここの丸い のところですね。1994年以降のを下で拡大しておるんですけど、まあ最初94年に20ドルくらい、前後だったのがですね、70ドル80ドルという世界に 移行しておると。まあこれはやはり相当なインフレの問題はあると思っております。

    それから、 米国経済の減速感というのはですね、やはりまあその財政赤字と大幅な経常赤字と、更に家計の赤字と、こういったものを積み上げながら繁栄を享受しておると いうことに対する、なんといいますか、行き詰まり感といいますか。まあそういったものと呼応しておると思います。

    それからまあ日本におきましては2001年来超金融緩和政策が続いておりましたけれども、今年の3月には量的緩和政策が解除されて、7月には公定歩合引き 上げという形でついにゼロ金利政策が終了しております。今後のブラジル経済を占う中ではこのような外部環境の変化というのはやはり注視していく必要がある と思います。

    えー、上期の変動なんですが、5月の米国フェデラルファンドのですね、金利引上 げ後に、国際金融市場の先行き不安から、トルコやインドなどのエマージング国の金融市場から米国国債への質への逃避が起こり、その影響でブラジル金融市場 も2004年初来続いていた順調な拡大から、波乱含みの展開となりました。

    レアルの対米レー トはですね、2006年年初2.34から5月には2.1を切る水準まで行っておったわけなんですが、この混乱の中でピーク2.4台まで低下をしました。 えーっと、これですね。大体このグリーンがブラジルなんですけども、まあずっと年初から買われてきたんですけど、この五月のところで2.1を切っていて。

    これは、すいません、変化率パーセンテージでやってるんですけども、まあこれがここまで上がって、今ちょうど半値戻しくらいになっていると。で、この、例 えばトルコなんかですとですね、まあ年初からほぼ横ばいで来たんですけど、やはりここでバーンと売られまして半分くらい戻っていると。まあこんなような、 やはり経済の脆弱性によってここら辺の反応は、大きさは違うという感じなんですけども、このような動きになっております。

    同じように、株式市場につきましても、まあBovespaですと一時4万1,000を超えておったのが短期間で3万2,000台まで低下して、まあ今は3 万6,000くらいまで戻っていると。これが株の方なんですけど、まあ動きが上下逆なんですけど、年初からこうずっと買われてきたのがドーンと下がってま た元に戻っていると。大体みんなこんなような動きを世界中のエマージングのマーケットがやってきたという感じでございます。

    代表的なカントリーリスク指標でEMBI+というのがあるんですけど、これが年初302。まあ為替が2.1切った5月の初めには214まで下がったんですが、この変動で一時280台まで戻して、その後今240ぐらいに戻っているというような感じでございます。
    で従来、このような海外市場の変動がありますとですね、ブラジルの金融市場に大きな影響が与えられる傾向があったんですが、この程度の変動で収まっているということはやはりブラジルの対外的金融環境が劇的に改善しておるということが言えると思います。

    まあ、対外借入返済能力を示す指標としてDebt Service Ratioとかですね、まあいろいろあるんですけど、まあこういったもの、2001年のですね、ブラジル・アルゼンチン金融危機の際の数字から見るとです ね、まあ大幅に低下をしていまして、まあこのあたりが変動への対応力を強くしていると言えると思います。

    ちょっと具体的に見ますとですね、これはあのちょっと数字が違いますけども、具体的な対外債務がこのあたりこんなに増えたのがこのくらいになっていると。 それから、インターナショナルリザーブというのが順調に、いろいろまあ外貨返済しながらも順調に増えていると。それからこのいろんなレシオで言いますと、 やはりこの99年とか2000年のころ非常に高かった。

    これはネットサービス、それから輸出 の外貨需要逼迫度ですか、こういった数字が非常に高くなっていたのが順調に減ってきていると。まあこういったものがですね、評価されていると言えると思い ます。これはエマージングカントリーだいたい共通しておりまして、別にブラジルだけではなくてですね、やはり世界的な資源価格の上昇というのがこういった 好結果をもたらしていると言えると思います。

    選挙の話は、まあ繰り返しになるんですけど、金 融・経済について言いますとですね、まあ選挙戦の論点になっていないと。何れの政党が政権を取ろうと経済政策に変化はないということでですね、昨年の汚職 問題発覚時点との比較では金融市場への政治の影響度は極端に減少しております。

    金融市場の混 乱に係わり無く、ブラジルの実態経済はゆっくりながらも順調に拡大を続けておりまして、 2006年上期の輸出は13%増、まあ輸入はレアル高の影響で22%増となっていますけども、経常黒字は昨年並みと。第1四半期の経済成長率は1.4%。 過去12ヶ月の成長率は4%超。政府は年間の成長予想を3.4%から3.8%に上方修正と。

    海外ではインフレ懸念から金利の上昇が続いているんですけども、ブラジルは諸外国に先行して金利引き上げ等行ってですね、さらにまあ、その結果レアル高が あって、まあインフレ率が抑えられているということから、現在は政策金利の引き下げフェーズにあります。これが結果ですね、これが内需の拡大とそれから、 まあ揺り起こして景気を牽引するという結果になっております。まああの、選挙とワールドカップの年は景気が良いと言われてますけども、まさに数字もそう なっていると思います。

    インフレ率は低いとは言ってもですね、世界的に見るとまだ高い水準に あって、まあ政策金利引下げられたといっても実質金利は10%以上と。これなんですけど、Selicの動きですけども、まあここらへんの高いレートから ずっと下がってきて昨年また引き上げられて今ここまで来たと。ただし実質金利は9.9%、約10%と、これはやっぱり世界で一番高い水準であるということ でですね、なかなかまだ、低金利がですね、設備投資を呼び起こして他のエマージングマーケットのようにですね、力強い成長を促すという段階にはいたってい ません。

    でまああの、外部格付の改善とかですね、カントリーリスク指標の低下の結果、政府と か、それからペトロブラスなどの大手企業は低コストでの資金調達が可能になっていますけども、中小企業や個人がその結果を享受できるのはかなり先のことと なりそうです。具体的にここにコンシューマー・ファイナンス・レートというのがありますけども、下がって138%。コマーシャル・インタレストが 105%。クレジットカード224%。スペシャルチェックのレートが153%。パーソナルローンが91%。それから、いわゆるフィアンセイロですね、町金 融272%と。まあ日本でいったら犯罪をはるかに超えたレベルなんですけど、まあこういったものがまかり通っているうちはですね、やはりまともな経済成長 は難しいのではないかなと思っております。

    銀行業界ですけれども、2006年第1四半期の数 字は出ておるんですけども、ブラジル銀行の貸出は 21%増加。純利益の合計がですね、102億レアルと61.5%増加をしております。これにはバンコ・ド・ブラジルの一時的な要因もありますけども、それ を除いても31%の増加となっております。一方ですね、急速な貸出拡大の結果支払遅延も増加しておるということでですね、まあ政策金利が引下げられたのに 対して銀行の貸出金利が下がらないということの、一応その原因というか、言い訳になっております。

    また業界再編成についていいますと、ここ数年大規模な業界再編はなかったんですけど、上期にはですね、Bank of Americaの子会社のBank Bostonがですね、Itauに売却されて、逆にItauと株式を交換したということがございました。また、投資銀行のPctualがスイスのUBSに 買収されるということが起きております。

    すいません、ちょっと時間が経ってるんですけども、2006年の下期展望です。
    国際金融の変化については引き続き注目していく必要はあるんですけども、主要国政府・中央銀行の慎重な政策運営努力によって、重大な世界的経済危機発生の可能性は少ないと思います。

    実態経済は内需に支えられて拡大するものと見込まれますので、これは補助金や最低賃金引き上げの結果ではあるんですが、広く国内に需要拡大の基礎が形成されております。

    選挙結果が経済政策に大幅な変化をもたらすことは予想されません。一方、経済成長促進に必要な諸制度の改革やインフラ整備には、どう考えても相当まだ時間 がかかるということから、第1四半期に比べて成長率は若干減少しますけども、政府の政策目標であるところの成長は達成可能と思ってます。

    格付機関の見直しの、まあ格上げの動きもいろいろあるわけなんですが、対外的な金融指標が改善しておりますので、2008年から2009年くらいには実現 する可能性が高まっていますけども、まあ前のプレゼンテーションにございましたようにですね、国内債務残高の増加というのがやはりネックになると考えられ ます。

    えっと、金融財政政策につきましては、まあインフレ率は中央銀行の政策目標、これは4.5%±2%ですけども、これに収まると見込まれていますので、あと年内に三回開催されますCopomでですね、引続きSelicの金利引下げが行われると思っております。
    まあその結果、金利が下がるとですね、元加部分が減りますので、若干国債の発行も減って良いわけなんですけど、何とかPrimaryの収支を抑えることによって財政面でも一応政府の目標は達成できるんじゃないかと思ってます。

    為替については現在対ドル2.2ぐらいなんですけど、政府としてはこの辺の数字というのは比較的そのまあ居心地の良い数字なのかなと。まあやはりインフレ が低く抑えられるというメリットがあります。好調な輸出や、ブラジル国内国債市場の非居住者への開放ということがあり、まあかなり外貨が流入しておるとい うことでですね、まあマーケットでは引き続きドルの余剰感というのは強うございまして、引き続き若干レアル高傾向かなと思ってます。

    銀行業界は、まあ内需の拡大を背景にですね、個人マーケット中心の拡大を見込んでおります。昨年度は天引きローンが導入されてかなり個人ローンが伸びたわ けなんですけど、まあ今年は、とはいってもやはり26%ぐらいの上昇があると。法人の方は引続き前年度並と。全体では18%くらいの貸出増加を見込んでい ます。ただ一方ですね、大企業はやはりその、直接調達の方にシフトしておりますので、銀行が収益をなかなか上げにくいと。

    こういう中でやはり今後目をつけていくのが不動産投資でございまして、現在まあ、低金利を背景にですね、ブラジルでは不動産マーケットがブームになってお るという中でですね、不動産融資の残高を積み上げていくというのが方針として挙げられています。 2005年末の残高が48億レアルなんですけども、これが2006年末には87億レアルまで拡大するというふうに予想されております。

    すいません、駆け足なんですが、保険業界の方です。
    2006 年上期の回顧ですが、全体の保険料収入は18.4%増と引き続き拡大傾向にございます。保険種目別でいきますと、自動車保険は22.7%増。火災保険、生 命保険それぞれ16.7%増、17.1%増加に対して、運送保険は若干減って2.9%減となっています。種目毎に顕著な差が現れております。

    保険料収入に占める支払保険金の割合である損害率については、前年の改善傾向が継続しておりまして、全保険種目損害率は57.2%と、前年同期比で1.4 ポイント改善。これは内訳でいいますと、自動車保険の損害率が67.2%と、2.7ポイント改善したことが要因です。火災保険、生命傷害保険ですね、それ から運輸保険。こういったものはほぼ前年並みでございます。経費率も、ほぼ前年並みとなっています。

    2006年下期の展望ですけども、収入保険料については、下期も引き続き堅調な伸びが継続することが予想されると。また金利低下傾向が変わらないことから、各社とも資産運用益の収支の低下を考慮し、保険収入の改善について引き続き注力をしていきます。

    それから最後に再保険関係ですけど、再保険制度につきまして、2005年度に自由化法案が提出されておりますけども、今年度も早期審議を行う動きがあったものの、選挙等もありいまだに実現に至っておりません。大統領選挙前後の動向が注目されております。
    えー、そこでですね。恒例の各銀行による年末レート予想なんですけども、今回は全然おもしろくありません。

    残念ながらSelicについて言いますと、まあ四行、これは日系の銀行が二行とブラジルの銀行が二行なんですけど、Selicの低いところが14%、高く て14.25と。それから為替について、対米ドル・レアルについていいますと、一番高いところが2.15、一番低いところが2.25と、きわめて現実的な 範囲に収まっておりまして、あまりバリエーションはないと。

    ちなみに今年の年初にどれくらい で見ていたかといいますと、年末の金利は14.5から16%、為替は2.3から2.5ということで見てたんですけども、やはり現実的にだんだん予想を修正 しているというのが現状かと思っております。金融部会からは発表は以上でございます。すいません、長くなりました。

    どうもありがとうございます。それでは時間超過してますが、クイックに質疑応答にうつりたいと思います。いらっしゃいませんでしょうか。それでは時間もお してることもございますので、次に移らせていただきたいと思います。福田様どうもありがとうございました。それでは次は貿易部会、中村部会長様からよろし くお願いします。

     

    金融部会「2006年上期の回顧と下期の展望」

    1. 2006年上期の回顧

    2006年上期は、2004年以降世界経済の拡大を背景に順調に拡大を続けてきたブラジル経済が、初めて経験する試練の時期であった。
    結果的には、ブラジルはこの試練を大きな問題なく乗り越え、やや加熱気味であった金融市場は正常な状態に戻ったともいえる。経済のファンダメンタルは金融市場の変動には係わり無く、引続き好調であった。

    2006年以前は、世界的な過剰流動性がエマージング国の金融市場に流れ込み、株式市場の上昇等をもたらした。
    2006年に入り、ブラジルを取巻く国際経済は幾つかの点で従来とは異なる環境に移行している。

    • 地政学リスクの高まりに起因する原油価格の上昇によるインフレリスク増加
    • 機軸通貨である米ドルの金利上昇と米国経済の減速感
    • 過剰流動性の供給基地であった日本に於ける金融政策の転換

    原油価格の上昇に象徴される資源・エネルギー価格の上昇は、世界中にインフレの種を蒔いており、米国金利は2005年初の2.25%から今年6月には5.25%まで上昇し、他の諸国でも政策金利の引き上げが相次いでいる。
    米国経済の減速感は、財政赤字と大幅な経常赤字、更に家計の赤字を積み上げて繁栄を続けてきた米国経済の行き詰まり感とも呼応する。
    また日本に於いては2001年来超金融緩和政策が続いていたが、3月には量的緩和政策が解除され、7月には公定歩合引き上げによりゼロ金利政策が終了した。
    今後のブラジル経済を占う中でこのような外部環境の変化は注視する必要がある。

    5月の米国FF金利引上げ後には国際金融市場の先行き不安から、トルコやインド等のエマージング国の金融市場から米国国債への質への逃避が起こり、その影響でブラジル金融市場も2004年初来続いていた順調な拡大から、波乱含みの展開となった。
    レアルの対米レートは2006年初の2.34から5月には2.1を切る水準まで買われていたが、この混乱の中でピークでは2.4台まで低下。また株式のBovespa指数も41,000超の水準から短期間に32,000台まで低下した。
    しかしながら、市場は時間とともに落ち着きを取り戻し、対ドルレートは2.2台、Bovespa指数は36,000台まで回復している。
    代表的なカントリーリスク指標であるEMBI+は年初の302から5月初には214まで低下したが、5月の金融市場混乱以降一時的に280台まで上昇、その後240前後の動きとなっている。
    従来、海外市場の変動はブラジルの金融市場に大きな影響を与える傾向があったが、この程度の変動で収まっているのはブラジルの対外的金融環境が劇的に改善してためである。
    対 外借入の返済能力を示す経済指標としてDebt Service Ratioがあるが、2001年から2年のアルゼンチン・ブラジル危機の際88.7%あった指標は、外貨負債の積極的な返済と輸出拡大の結果2005年に は40%に低下しており、変動への耐性が増加している。これはブラジルに限らずエマージング国にほぼ共通しており、世界的な資源価格の上昇に支えられてい る結果といえる。
    今年は選挙の年であるが、金融・経済政策が選挙戦の論点になっておらず、何れの政党が政権を取ろうと経済政策に変更はないと見込まれ、昨年の汚職問題発覚時点との比較では金融市場への政治の影響度は減少している。

    金融市場の混乱に係わり無く、ブラジルの実態経済はゆっくりながらも順調に拡大を続けている。
    2006年上期(1~6月)の輸出は前年同期比13%増加して609億ドルに達し、レアル高の結果輸入は414億ドルと22%増加したものの、経常黒字は昨年並みを維持。
    第1四半期の経済成長率は1.4%で、過去12ヶ月の成長率は4%を超え、政府は2006年の成長率予想を3.4%から3.8%に上方修正している。
    海 外ではインフレ懸念から金利の上昇が続いているが、ブラジルでは諸外国に先行した金利引き上げとレアル高の結果インフレ率が低く抑えられ、政策金利の引 き下げフェーズにあることから、内需の拡大が景気を牽引する結果となっている。(選挙とワールドカップの年は景気が良いと言われるが、経済指標もその傾向 を示している。)
    インフレ率は低いとはいえ、世界的にみるとまだ高い水準にあり、政策金利が引下げられても実質金利が10%程度に高止まりしてい ることや、貸出金利が依 然高いことなどが民間の設備投資を幅広く呼び起こすに至っておらず、他のエマージング諸国と比較して力強い経済成長を実現するには至っていない。
    外部格付の改善とカントリーリスク指標低下の結果、政府やペトロブラス等の大手企業は低コストでの資金調達が可能となっているが、中小企業や個人がその結果を享受できるのはかなり先のこととなると予想される。

    2006年第1四半期にブラジルの銀行貸出は21.1%増加し、純利益の合計は102億レアルと昨年同期比61.5%増加した。これには国営銀行であるBBの一時的な収益増加が影響しているが、それを除いても31.5%増加している。
    急速な貸出拡大の結果支払遅延も増加しており、政策金利引下げに対して銀行の貸出金利引下げが少ないことの原因の一つとされている。
    また、大規模な業界再編はこの数年無かったが、上期には2件の大型買収が実現した。長期間の交渉の末BOAは子会社のBank BostonをItau銀行に売却し、Itauの株式を取得した。また、投資銀行のPctualはスイスのUBSに買収された。

    2.2006年下期の展望
    【総括】
    国際金融環境の変化については引き続き注目していく必要はあるものの、主要国政府・中央銀行の慎重な政策運営努力により、重大な世界的経済危機発生の可能性は依然少ないと思われる。
    実態経済は内需に支えられ拡大するものと見込まれる。補助金や最低賃金引き上げの結果、広く国内に需要拡大の基礎が形成されている。
    選挙結果が経済政策に大幅な変化をもたらすことは予想されず、一方、経済成長促進に必要な諸制度の改革やインフラの整備には引続き時間を要することから、第1四半期に比べて成長率はやや減速するものの、政府の成長目標は達成可能と思われる。
    格付機関による投資適格への見直しは、対外金融指標の改善が継続すると見込まれることから、2008年から2009年には実現する可能性が高まっているが、国内政府債務の残高増加がネックとなる。
    【金融・財政政策】
    金融政策については、インフレ率が中央銀行の政策目標(4.5%±2%)に収まるみこみであることから、年内に開催があと3回予定されているCopomにて引続きSelic金利の引下げが予想されている。
    政策金利引下げの結果、国債の元加部分減少の効果もあり、5月までのPrimary収支は5.8%増と改善しており、本年の政策目標である4.84%は達成できるものと思われる。
    【為替】
    現 在対US$2.2前後で推移しているが、政府としてはインフレ目標達成のためにも居心地の良い水準と思われる。好調な輸出や、ブラジル国内国債市場の非 居住者への開放に伴う外貨流入もあり、市場におけるドル余剰要因は継続することから、引続きレアル高傾向での推移を予想する。
    【銀行業界】
    内 需の回復を背景に引続き個人マーケット中心に安定した拡大を見込む。昨年は天引きローンの導入による特殊事情から個人ローンは38%近い大幅な増加と なったが、2006年については26%程度を見込む。法人の資金調達は、上期の実績から昨年並みの見込であり、貸出全体では18%程度の増加を見込む。
    大企業は直接調達にシフトしており、銀行が収益を上げ難い環境となっている。
    所得水準の向上や金利引下げの結果、ブラジル国内では不動産ブームが起きており、不動産融資残高はこの数年で大幅に増加している。銀行は不動産融資に注力 する方針であり、2005年末残高は48億レアルであるが、2006年末には87億レアルまでの拡大を予想している。

    年末金利・為替予想
      12月末為替(前回予想) 12月末金利(前回予想)
    A R$2.20 (R$2.25) 16.50% (14.00%)
    B R$2.37 (R$2.20) 15.50% (14.00%)
    C R$2.30 (R$2.15) 16.50% (14.25%)
    D R$2.30 (R$2.22) 16.00% (14.20%)

     

    2006年上期の回顧と下期の展望(保険業界)

    1.2006年上期の回顧
    保 険監督当局の統計(2006年5月末)に基づき、2006年上期の保険業界を振り返ってみると、全保険種目の収入保険料(健康保険および運用型年金保 険を除く)は、前年同期比18.4%増と、市場全体は引き続き拡大傾向にあるといえる。保険種目別の内訳をみると、自動車保険は前年同期比22.7%増と 高い伸びを示している。また、火災保険および生命保険もそれぞれ16.7%増、17.1%増であるのに対し、運送保険は対前年2.9%減となっており、種 目毎に顕著な差が現れている。
    収入保険料に占める支払保険金の割合である損害率については、前年の改善傾向が継続していると見られる。全保険種目 損害率は57.2%と、前年同期比で 1.4ポイント改善している。これは、自動車保険の損害率が67.2%と、2.7ポイント改善したことが主な要因である。火災新種保険、生命傷害保険およ び運送保険の損害率は、ほぼ前年並みであった。なお経費率についても、ほぼ前年並みとなっている。

    2.2006年下期の展望
    収入保険料については、下期も引き続き堅調な伸びが継続することが予想される。また金利低下傾向が変わらないことから、各社とも資産運用収益の低下を考慮し、保険収支の改善については、引き続き注力していくものと思われる。
    再保険制度については、2005年に自由化法案が提出されている。今年度も早期審議を行う動きがあるものの、未だ実現には至っていない。大統領選挙前後の動向が注目される。

     

    060803 金融部会(レポート)2

    060803 金融部会(レポート)3

    060803 金融部会(レポート)4

    060803 金融部会(レポート)5

    060803 金融部会(レポート)6

    060803 金融部会(レポート)7

    060803 金融部会(レポート)8

     

     

  • 貿易部会


    中村純一貿易部会長

     

    貿易部会の中村でございます。それでは貿易部会の方から報告させていただきます。
    まずあの、2006年上半期、貿易収支全般についてですが、貿易収支の黒字額は195億4,100万ドルと前年同期を一億ドルばかり下回りました。上半期 における貿易収支減を記録したのは2001年以来のことでございます。で、黒字減少の要因は、輸出額が前年同期比13.5%増であったのに対して、輸入額 は前年同期比21.6%となりまして、輸入の伸びが輸出を上回ったことに起因します。輸出はレアル高の影響もあり増加の勢いが減少する一方で、輸入は為替 要因だけではなく国内市場の好調もあり高い増加率を示しました。

    上半期における輸出について ですが、一言で言えば価格の上昇が輸出の増加を下支えしたということであると思います。で、上半期における輸出を製品カテゴリー別にみますと、金額ベース で一次産品が15.0%増、半製品が6.8%増、工業製品が13.4%増と全てのカテゴリーで増加しています。しかしながら、数量ベースで見ますといずれ も低い伸びに留まっており、輸出価格の上昇が寄与したということが言えると思います。

    一次産品における主要輸出品目別に見ますと、鉄鉱石、大豆、原油と続いております。特に原油は数量ベースの増加率でみても56.3%増となっていますが、やはり価格の上昇の影響が顕著であると言えます。原油の輸出先では特に米国、チリ、ポルトガル向けが増加しています。

    半製品では上位から順に砂糖、パルプ、それから鉄鋼半製品と続いています。砂糖は数量ベースで見ると 12.3%減を記録しておりまして、国際価格の上昇が輸出額を増加させたということが言えます。なお、砂糖の主要輸出相手国は上から順に、ロシア、ナイ ジェリア、マレーシア、エジプト、アルジェリアと、特に開発途上国向けが中心でございます。

    で、工業製品では上位から順に乗用車、航空機、それから自動車部品、送受信機と続いております。乗用車につきましては、レアル高の影響により主要アッセン ブラーは輸出による収益悪化を問題視しているようでございますが、各社とも中長期的な戦略に拠るものか、今のところ、輸出減少には結びついていない模様で す。

    輸出相手国別にみますと、輸出額の大きい順に米国、アルゼンチン、中国となっています。 米国向けが 4.4%増とわずかの伸びに留まる一方、アルゼンチン向けは16.7%増と、自動車関連それから携帯電話など工業製品を中心にして好調な輸出を維持してい ます。中国向けは31.1%増を記録しましたが、とりわけ大豆が63.9%と大幅な増加を記録しています。

    特に大豆に関してでございますが、今年は政府の方で年度の生産見通しを6,000万トンと予想しておりましたが、天候その他の影響で、当初の見通し通りに は行かないようですが、昨年の5,000万トンはオーバーして5,300万トンないしは5,400万トンになる見込みでございます。

    でちなみに、特に会員企業の、まあわが社でございますが、昨年、大豆、大豆粕、トウモロコシ、コーリャン等々で約百万トン日本ならびにアジアに対して輸出 しました。本年度は年初に今年の目標を2百万トンというふうに設定したんですが、まあ倍増にはいかないようで、だけど七月末の段階でほぼ90万トンいって ますので、年末までには150万トンぐらいはできるものと思っております。

    次に上半期の輸入 についてでございますが、これは一言で申しますと、耐久消費財の輸入が非常に高く、高い伸びを記録したということであると思います。で、上半期における輸 入額は前年同期比21.6%増でございました。商品カテゴリー別に見ると、消費財、と資本財の伸びが顕著である一方、原材料・中間財が比較的低い伸びに留 まりました。

    資本財では主要品目である工業用の機械、事務用機器がともに2桁台の増加を記録 しています。これについては好調な国内市場を背景に企業による投資が増加傾向にあることに加えて、レアル高を利用して設備投資に必要な海外からの資本財の 調達を各社がやっているということであると思います。

    消費財では、非耐久消費財よりも耐久消 費の増加率が高いことが特に目に止まります。特に耐久消費財では自動車の輸入の増加が著しくて、前年同期比ほぼ2倍を記録しています。輸入相手国別に見ま すと、主要相手国の多くで輸入の増加が目立ちます。なかでも輸入増加が顕著なのは中国で、アルゼンチン、ドイツを抜いて、米国に次ぐ第二番手の輸入相手国 となっています。中国からは送受信機部品や液晶ディスプレイ、それから集積回路など電気電子部材が大きく増加しています。

    次に対日貿易についてですが、上半期における対日貿易は、輸出が前年同期比10.1%増、それから輸入が前年同期比16.1%増となり、輸出入ともにブラ ジル全体の伸び率より低い伸び率に留まりました。ブラジルの貿易額に占める日本のシェアは、輸出で 3%、輸入で4.6%、で国別順位は輸出で7位、輸入で5位となっております。

    対日輸出で上位品目は鉄鉱石、鶏肉、アルミニウム、それからコーヒー豆と続きます。鳥インフルエンザの影響で好調でありました鶏肉と、国際価格が良かったコーヒー豆の輸出が伸び悩んだ一方で、特にアルミニウムの輸出が大きく増加しております。
    特 に鶏肉の対日輸出ですが、鳥インフルエンザの影響で日本での鶏肉需要が全体的に落ち込んでいることに加えて、タイその他のところから輸出が徐々に再開され はじめたということもありまして、日本側では需要家側の在庫調整、それから様子見が続いているのが現状で、この2~3年ほどの伸びは期待できないようでご ざいます。

    特に、丸紅の場合はですね、二年前に年間約1,300トン、一昨年に約1万 3,000トン、で昨年ようやく2万トン超の鶏肉の対日輸出をいたしましたが、今年は年初に去年並の約2万トンを目標に設定しておりましたが、今の現状で は年末までにまあ1.5万トンぐらいになるかなということでございます。で、特にブラジル南部で発生しましたニューカッスル病についてはですね、伝染性が 弱いということと、半径 60Km以内に限定されていることもあって、特に対日向けの輸出には影響がない模様です。

    最後に2006年の貿易の通年の見通しでございますが、中央銀行では6月時点で2006年の輸出額は 1,280億ドル、輸入額は890億ドル、貿易収支は昨年より12.8%減の390億ドルぐらいということを予想しています。レアル高の影響は徐々に工業 製品を中心に影響が広がってはいますが、好調な外需やそれからコモディティの国際価格が良好に、特に鉄鉱石、原油、砂糖などの値段が良好に推移しているこ ともあって、今のところ目だった輸出の減少には結びつかないようです。

    一方あの雇用情勢の改 善や最低賃金上昇、それから金利の低下などを背景に国内消費市場が順調に拡大していることもありまして、引き続き消費財、資本財を中心に輸入の増加が見込 まれております。そうはいいながら、引き続き年末までには依然として高い水準の貿易黒字は維持されるであろうという見通しです。

    どうもありがとうございました。それでは質疑応答に移らせていただきます。ご質問ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは次に移らせていただきます。中村部会長どうもありがとうございました。

    引続きまして化学部会板垣部会長様の方からよろしくお願いします。

    なお前列の前の方で時間表示をしておりますので、ちょくちょくごらんいただきたいと思います。

     

    ブラジル貿易概況-2006年上半期の実績と通年の見通し

    (注)資料はブラジル開発商工省の「速報ベース」の資料をベースにジェトロサンパウロセンターのご協力を得て作成しました。

    1.貿易収支の全般について+++貿易収支、前年同期を下回る+++

    開発商工省のデータによれば、2006年上半期(1~6月)における貿易収支黒字額は195億 4,100万ドルと前年同期(196億5,400万ドル)を下回りました。上半期における貿易収支減を記録したのは2001年以来となります。黒字減少の 要因は、輸出額が前年同期比13.5%増の609億100万ドルであったのに対し、輸入額は同21.6%増の413億6,000万ドルと、輸入の伸びが輸 出を上回ったことに起因します。輸出はレアル高の影響もあり増加の勢いが減少する一方、輸入は為替要因だけではなく国内市場の好調もあり高い増加率を示し ました。

    2.輸出について+++価格の上昇が輸出増加を下支え+++

    2006年上半期における輸出を製品カテゴリー別にみ ると、金額ベースで一次産品が15.0%増の 170億4,300万ドル、半製品が6.8%増の83億4,500万ドル、工業製品が13.4%増の340億5,700万ドルと全てのカテゴリーで増加し ています。しかしながら、数量ベースで見るといずれも低い伸びに留まっており、輸出価格の上昇が寄与したと言えます。

    一次産品における主 要輸出品目をみると、鉄鉱石が24.6%増の38億1,400万ドル、大豆が 17.2%増の28億3,300万ドル、原油が120.3%増の25億3,600万ドルと続きます。特に原油は数量ベースの増加率でみても56.3%と なっていますが、やはり価格上昇の影響が顕著と言えます。原油の輸出先では特に米国、チリ、ポルトガル向けが増加しています。

    半製品では 上位から順に粗糖が33.4%増の14億3,000万ドル、パルプが23.2%増の11億 8,800万ドル、鉄鋼半製品が26.9%減の9億8,500万ドルと続いています。粗糖は数量ベースで見ると12.3%減を記録しており、国際価格上昇 が輸出額増加に寄与したと言えます。尚、粗糖の主要輸出相手国は上位から順に、ロシア、ナイジェリア、マレーシア、エジプト、アルジェリアと、開発途上国 向けが中心です。

    工業製品では上位から順に乗用車が11.7%増(22億6,600万ドル)、航空機が18.4%増 (15億1,500万ドル)、自動車部品が18.8%増(13億8,600万ドル)、送受信機・同部品が3.7%増(13億8,500万ドル)と続きま す。乗用車については、レアル高の影響により主要アッセンブラーは輸出による収益悪化を問題視しているようですが、各社とも中長期的な経営戦略に拠るもの か、今のところ、輸出減少には結びついていない模様です。

    輸出相手国別にみると、輸出額の大きい順に米国、アルゼンチン、中国となってい ます。米国向けが 4.4%増と僅かの伸びに留まる一方、アルゼンチン向けは16.7%増と、自動車関連や携帯電話など工業製品を中心に好調な輸出を維持しています。中国向 けは35.1%増を記録しましたが、就中、大豆が63.9%と大幅な増加を記録しています。

    特にブラジル全体の大豆に関しては、本年の生 産量見通しは60百万トンでしたが、天候その他の影響 で、当初の見通し減とはなるものの、53~54百万トン(昨年は50百万トン)にはなる予定です。因みに会員企業のM社では、昨年、大豆、大豆粕、トウモ ロコシ、コーリャンなどで1百万トンを成約していますが、本年度目標2百万トンには届かないものの、150万トン程度は達成したいとの意向です。

    3.輸入について+++高い伸びを記録した耐久消費財の輸入+++

    2006年上半期における輸入額は前年同期比21.6%増の413億6,000万ドルでした。商品カ テゴリー別に見ると、消費財(36.6%増、52億1,400万ドル)と資本財(25.8%増、88億6,500万ドル)の伸びが顕著な一方、原材料・中 間財(13.2%増、203億5,500万ドル)が比較的低い伸びに留まりました。

    資本財では主要品目である工業用機械、事務用機器がと もに2桁台の増加を記録しています。これについ ては好調な国内市場を背景に企業による投資が増加傾向にあることに加え、レアル高を利用して設備投資に必要な海外からの資本財調達を各社が急いでいる点が 挙げられると思われます。消費財では、非耐久消費財(24.8%増)より耐久消費(51.3%増)の増加率が高いことが目を引きます。特に耐久消費財では 自動車の輸入増加が著しく、前年同期比およそ2倍の7億1,000万ドルを記録しています。Anfavea(ブラジル自動車製造業者協会)のデータによれ ば、輸入車が全体の販売台数に占めるシェアは2005年通年の5.1%から2006年上半期だけで5.7%へと上昇しています。

    輸入相手 国別にみると、主要相手国の多くで輸入が増加している。なかでも輸入増加が顕著なのは中国 (53.7%増)で、アルゼンチン、ドイツを越え、米国に次ぐ輸入相手国となっています。中国からは送受信機部品や液晶ディスプレイ(LCD)、集積回路 など電気電子部材が大きく増加しています。

    4.対日貿易について+++貿易額はブラジル全体より低い伸びに+++

    2006 年上半期における対日貿易は、輸出が前年同期比10.1%増の17億9,900万ドル、輸入 が同16.1%増の18億9,200万ドルとなり、輸出入ともにブラジル全体の伸び率より低い伸び率に留まりました。ブラジルの貿易額に占める日本のシェ アは、輸出で3.0%、輸入で4.6%、国別順位は輸出で7位、輸入で5位となっています。

    対日輸出で上位品目は鉄鉱石、鶏肉、アルミニウム、コーヒー豆と続きます。鳥インフルエンザの影響で好調であった鶏肉と、国際価格が良好なコーヒー豆の輸出が伸び悩んだ一方で、アルミニウムの輸出が大きく増加しています。

    特に鶏肉の対日輸出については、鳥インフルエンザの影響で日本での鶏肉消費が全体的に落ち込んでいる こと、タイ他からの輸出が再開にされつつあることで、日本の需要家側の在庫調整もあり、この2~3年ほどの伸びは期待できないようです。因みに、会員企業 M社の場合、昨年2万トン超を対日輸出で成約しましたが、本年は1.5万トン程度になる 見込みのようです。尚、ブラジル南部で発生したとされるニューカッスル病は、伝染性が弱く、半径60Km以内に限定されていることもあり、対日向けには大 きな影響はない模様です。

    一方の輸入では自動車部品、ベアリング・歯車及び同部品、自動車用エンジン・同部品と主要な品目で増加しています。

    5.2006年貿易の通年の見通し+++高い水準の貿易黒字を維持する見通し+++

    中央銀行は6月時点で2006年の輸出額は前年比8.2%増の1,280億ドル、輸入額は同 20.9%増の890億ドル、貿易収支額を同12.8%減の390億ドルと予想しています。レアル高の影響は徐々に工業製品を中心に影響が広がりつつある ものの、好調な外需やコモディティ商品の国際価格が良好に推移(鉄鉱石、原油、粗糖など)している為、今のところ目だった輸出減少には結びつかないようで す。一方で雇用情勢の改善や最低賃金上昇、金利低下などを背景に国内消費市場が順調に拡大していることもあり、引き続き消費財、資本財を中心に輸入増加が 見込まれるものの、依然として高い水準の貿易黒字は維持されるだろうとの見通しです。

    以上

     

    060803 貿易部会(レポート)2

    060803 貿易部会(レポート)3

    060803 貿易部会(レポート)4

    060803 貿易部会(レポート)5

    060803 貿易部会(レポート)6

     

     

  • 化学品部会


    板垣義美化学部会長

     

    化学部会でございます。ただいまから始めさせていただきます。
    い まご覧になっていただいているグラフはですね。ブラジル化学工業会が今年の上期にまとめました1990年から昨年2005年までの化学品の販売データでご ざいます。表とグラフでございます。一番上がですね、工業向けの化学品、その下が薬品、その下が化粧品等、それからその下が肥料、その下が洗剤、その下が 農薬、で最後は塗料とその他というカテゴリーに分けられております。

    一番上の工業用の化学 品、これは溶剤であるとかモノマーであるとか、中間体でありますが、これは2005年が2004年に比べまして約18%増加しております。それから、まあ 全体的にはですね、薬、これが前年比35%、それから化粧品等これが41%の増加。それからですね、塗料、これも27%増加しております。ただその、肥 料、化学肥料とか農薬、これが前年比でマイナスということで、下のグラフを見ていただくと分かりますけど、近年急激に右肩上がりで増加しております赤いの が薬、それから緑が肥料、それからピンクが農薬なんですが、それから青がコスメティックですね。

    2004年から2005年にかけて下がったのが肥料と農薬でありますが、これは昨年前半の干ばつであるとか、それから大豆の価格の暴落で作付け面積減った りとか、綿の作付け面積が減ったりとかいう形で減ったためであります。で表の一番右側はですね、過去1990年から2005年までの十六年間のその販売額 の平均に対して2005年がどれだけ増えたかという数字なんですけど、これ見ますとやはり薬、それからコスメティック、肥料、それと農薬、この分野、この カテゴリーの伸び率が大きいということが言えると思います。

    我々化学品部会の企業はですね、 このどれかに属するという形になっております。これは、今のようなデータはですね。今年上期のデータはまだ出ておりませんで、九月に出る予定でございま す。このデータは左側が工業用の化学品の生産額の指数、それから右側がですね、国内販売の指数という形の表とグラフでございます。

    表の一番上なんですが、2004年は2003年に比べまして約7.6%生産額が上がっていますが、2005年は対前年比で1%減っているという形で、その 下の方にきてみますと、今年の上期は昨年の上期に比べましてそれでも1.6%上昇しておりますが、過去一年間平均しますと、逆にマイナス1.7%という形 で、まだ化学品の製造はそれほど堅調にはいってないなということが言えると思います。

    右側の国内販売ですが、これを見てもですね、一番下の過去一年間の販売状況ですけども、これもまだマイナス0.05%ということで、まあやっと元に近づいてきたかなということで、これが我々の下期にどのような影響を与えるかということを暗示していると思います。

    で、これから各所属会社さん、企業さんの業界について個々に今年の上期の結果と下期の展望について述べさせていただきたいと思います。
    農 薬業界でありますが、今年の上期はですね、上期はまだ農業関係では農閑期ということもありましてそれほど大きなデータ等はないんですけれども、去年からド ル安が続いておりますし、大豆等の作物、輸出作物の価格が低下しているということもありますし、農家の経営状況がまだ好転していないということで、節約、 農薬の使用を節約していると、それから病害虫が発生するまでぎりぎりまで使わないということがありまして、一月から五月の農薬販売というのはブラジルでは 昨年同期比で18%下がっております。

    それから飼料添加物、これはニワトリ等のえさに入れる 飼料添加物ですけど、こちらの方はさきほど貿易部会であったように、鳥インフルエンザの影響で、ヨーロッパ等では鶏肉を敬遠する動きがあるということで輸 出が30%減少したと。こういったことが販売の方に影響しているようです。しかもナフサがかなり高騰しておりますので、レアル高、ナフサの高騰で原料原価 も高騰しておりますので、ところがレアル高で市場価格というのは低く抑えられているということで、付加価値が取れないという状況があります。

    それから、一番下に書いてますように飼料作物、大豆だとかトウモロコシ、これが価格が下がっているということなので、逆にこういう飼料作物が下がっている 時には飼料用の添加物を大量に使っていただけると、逆に飼料用作物の価格が高い場合には使っていただけないのであまり売れないということらしいんですが。 現在は使っていただいているので販売増につながっていると。で、今、ですから市場に上っている卵とか鶏肉というのはおいしいはずである、ということでござ います。

    筆記具メーカーの方ですが、こちらの方では今年の春の発表会において、今年は大統領 選挙があるので、大統領選挙の年には筆記具が売れるということがありますということで、結果的にはやはりよく売れたということです。それからまあ、レアル 高、これはたいがいの企業さんに対してはあまりいい方に働かないと思うんですが、筆記具メーカーさんにおきましては逆にこれがいい方いい方に働きまして、 輸入燃料の価格が下がったということで、付加価値の増加にもつながっているということです。それから、安い中国製品がたくさん入ってきておりますけど、こ れに市場を荒らされるのではないかという心配もあったようですが、これは今のところ大きな問題になっていないということです。

    次、化粧品ですけど、化粧品はさきほどのグラフにもありましたように、かなり右肩上がりで毎年市場を拡大しております。昨年末の実績で約50億ドルくらい の市場規模に成長しておりますけど、この業界を引っ張っているのはエイボンとか、ナチュレとかボチカリオといったような、訪問販売とか、それから低価格と いう商品で展開しているところでありまして、こちらがですね、非常によく伸びておりまして、業界を引張っていると。逆にその、資生堂さんとかですね、輸入 して販売されてるところは税関のストの影響などで非常に苦戦を強いられているということでございます。

    それから、外用消炎鎮痛剤、平たくいいますとサロンパスさんなんですが、こちらの方はですね、まあチェーン薬局の増加であるとか、積極的に広告展開をした とかですね、代理店施策を強化ということで、それともうひとつ大きな要因は、一番目に書いてます、ブラジルの厚生省、ここが毎年勝手にといいますか、主導 的に値上げしなさいと言ってくれるそうなんで、毎年簡単に値上げができるそうなんです。で、サロンパスさんの場合は3.65%、ちょっと遠慮されて一番下 のレベルなんですけど、3.65%値上げをしたということで、こういうこともありまして業績は好調であったということです。

    それから、食品添加物、食品香料ですけど、こちらの方は非常に激戦区のようであります。で、大手の量販店が価格競争をしているために、売上の維持とか利益確保が困難になっているということで、収益構造の差によって勝ち組み負け組みに分かれてしまったということです。

    それともうひとつは、主要原料でありますエチルアルコール、これがまあ、ブラジルの輸出品目の大きなものに成長しておりますけども、こちらの方の値上げが 16%もあったということで、製品自体の値上げはできにくい状況であるけれども、原料が上がったということで、こちらも付加価値が下がったということで す。それと、今年の春によく言われてましたけども、今年はワールドカップなんで、ワールドカップに期待するという話が各方面から上がったと思いますけど も、あまり追い風にはならなかったということです。

    それから、ロジンでございます。ロジンと いうのは松脂のことなんですが、松脂から取れれる製品のことなんですけれども、塗料とかニスの原料。それから大きな市場としては、紙のにじみ防止剤、シー ズ剤ということですね、それとあと化粧品に入っているということなんですが、松脂の、ガンマロジンといわれる松脂、これの生産では世界的にはブラジルが中 国についで第二位の生産量をほこっています。

    この業界はですね、今年初めの予想では大統領選 もあって、道路の白線引き、ああいった塗料がたくさん売れるというふうに期待しておりましたけれども、雨が多く降ってあまり道路に乗る時間が無くてあまり 売れなかったと。生産が減少してしまったということもありますし、南部に多く集中しております製紙工場、こちらの方が逆に干ばつ等の影響で水不足で操業を 控えたということもあって、にじみ防止剤の需要が減ってしまったということで、全般的に今年前半は苦戦したということであります。

    それとプラスチック着色剤。こちらの方はですね。主に文房具だとか化粧品であるとか、自動車部品、日用品等のプラスチックに着色するとか、それの業界であ りますけど、こちらの方は主要ユーザーさんの自動車業界、化粧品業界等が非常に好調であったということで増収増益につながっているということでございま す。

    最後に接着剤、シール剤の状況でございますけども、一般大衆向けの瞬間接着剤、こちらの 方はですね、今ブラジルの方で、以前は月にだいたい800万本くらいの需要があったんですけど、今現在で約500万本くらいまで低下している状況でありま す。その中におきましても、これは当社の例なんですけど、販売量は昨年比10%くらい増えています。

    しかしながら、値下げ等を余儀なくされておりまして、金額によるシェアにおきましては20%くらい後退したということで、後退した部分を安い中国製である とか、アルゼンチンの安いものが入ってきているということです。それから自動車とか二輪、自動車部品業界のエポキシであるとかシリコンのシール剤、こうい うものの販売はこの業界が非常に好調であったことから昨年比20%くらい増加しております。

    それから四番目に書いているんですが、農業機械分野、まあこれはブラジルは非常に農業が、大きな農業をやっておりますが、その農業機械の分野が昨年来非常に不振を極めておりまして、こちらへの販売、メンテナンスを含めた商品の販売がかなり打撃を受けております。

    次に今年下期の展望でございますが、あすいません、レッドカード出てしまったんですけど、あの、簡単に言います。農業、農薬、飼料添加物の分野ですが、今 年の下期、農薬に関しましては農繁期にはいって稼ぎ時ではありますけども、昨年30%作付け面積が減った綿に続きまして、今年は大豆がさらに10%作付け 面積が減る、トータルにしまして約200万ヘクタール、日本の本州分の広さの大豆畑がなくなるということです。こういったことが影響しまして苦戦をするで あろうと予測されています。

    それから飼料添加物の方なんですが、先ほどもありましたが、 ニューカッスル病の発生、それから鳥インフルエンザの影響等がありますが、この分野が過剰供給気味であった業界でありましたけども、まあ製造を中止した会 社がございまして、まあ品薄感から市場は良くなるんではないかなという期待をもっております。

    それから筆記具。ここは上期同様まあ比較的順調に伸びるというふうに予測されます。
    化 粧品、こちらの方もですね、業界を引張っていくのは地場産業であるだろうということで、なぜかといいますと、高級品の方につきましては輸入ということで対 応しておりますけども、長引く税関ストっていうのが非常に懸念材料でありますが、地場産業はその問題が無いということで引き続き業界をリードして伸びてい くというふうに予測されます。

    サロンパスさんなんですけども、下期にはサロンパスカップが予 定されておりまして、これも販売促進を助けるだろうというふうに見込まれてますけども、懸念材料といたしましては厚生省がコマーシャル等の医薬品プロモー ションの規制強化ということを実施するかもしれない、実施されると有名タレントが使えなくなるということで、それがどのように影響するか懸念されておりま す。

    食品添加物の業界はですね、調香師、というのは非常に希少価値なんだそうですが、まあ優 秀な調香師であるとか営業マンの引き抜き合戦が非常に多くなっておりまして、それに加えまして厚生省の長期ストライキがあります。でこれ、長期ストライキ されますと、飛行機等で物を通らなきゃいけないということもあって、それによるコストアップが懸念されるということです。

    それから、ロジンの方なんですが、大統領選に向けまして上期不調だった道路補修用のトラフィック塗料が逆に下期に向けてよくなるだろうと。ロジンの方はト ラフィックペイントの受注が増加するであろうということと、それから上期あまりよくありませんでした製紙業界が操業率が今上がってきておりますので、にじ み防止剤の販売も好転するだろうということです。気掛かりなのは、中国産のロジンの価格が今下がっておりまして、ブラジル産のロジンの輸出価格がこれに引 きずられて安くなるんではないかということが心配されています。

    あと、プラスチック業界はク リスマス商戦等もありますし、自動車、二輪といった業界がこのまま堅調に推移するというふうに予想されまして、販売増が見込まれるということです。それか ら、シール接着剤業界に関しましても、工業用の接着剤に関しましては、自動車、二輪、自動車部品、電気等々メインユーザーさんの業界が好調であると予想さ れますので、上期同様に伸展するというふうに予想されます。それから大衆用の瞬間接着剤は中国製の拡販が予想されておりまして、下期も苦戦するというふう に考えております。以上です。

    どうもありがとうございます。それでは早速質疑応答に移らせていただきます。どうぞ。

    (質)ANIVISAによる値上げ指示について。消費者保護法のプロコンに抵触する?
    実際どのような形で指示が来るのか。

    (答) そこの部分については私もちょっと聞いてはないんですけれど・・この中に河田さんいらっしゃいますか。●●の話では毎年毎年5%前後の値上げをしなさいと いう形で指示が来るそうなんですね。十一月ぐらいにシンジカートから給与調整をしろというのが来るのと同じような状況じゃないかと思うんですが、ですから あの業界は値上げがそれほど苦にならない業界だということです。

    ほかよろしいでしょうか。はいどうぞ。

    (質)選挙の年に筆記具が売れる、どうしてですか?
    医薬品プロモーションの規制強化、有名タレント使えないのはどうして?

    (答) 最初のご質問の方なんですけど、これ、選挙法でいいのか分かりませんけど、お名前書いてばらまくんじゃないかと思うんですけど。よく選挙になりますとT シャツ等配ってますよね。ああいうことをやるんじゃないかと思うんですけれども。それから二番目の方の、これは私も詳しく聞いてませんけれども、感じとし ては、薬というのはかなり、人体、健康非常に重要なものですので、その、お菓子とかですね、そういったものを売るように、拡販するために人気タレントを 使ってたくさん売るということをやってますけど、薬はそれじゃいけないよということじゃないかなと思います。ですから、ただその、どういう、どこまでが有 名タレントでどの人からが有名タレントではないというその辺の線引きとかがまだ全然できていないそうなので、ただこういう動きが今ブラジルの厚生省の中で 起きているということで、これが非常に心配されるということです。

    どうもありがとうございます。ほか、どうでしょうか。それじゃあどうもありがとうございます。引続きまして、前半最後でございますが、機械金属部会嶋末部会長様よろしくお願いします。

     

     

  • 機械金属部会


    嶋末繁機械金属部会長

     

    嶋末でございます。それでは機械金属部会の報告をさせていただきます。この部会は多くの業種、というか分野の方が集まっておられます。一応八分野について ご説明いたしますが、全体を総括しますと、好調な企業、非常に不調な企業、我慢の年であるという企業、多岐にわたっております。

    まず製鉄鋼材部門でございます。ミルの出荷量は、昨年は減産しましたが、現在順調に回復しております。CSNの三号高炉が一月末から六月末まで故障停止し ておりましたので、それを考えると全般的には高操業であったといえます。主要な仕向け先では一般産業機械、自動車は増加しておりますが、造船、農業機械、 建設は減少いたしております。

    なお、現在国際相場が急騰しましてブラジル国内の価格を追い抜 いた状況だそうです。ちなみに2001年当時はブラジルの鋼材価格は日本の二、三割安というレベルであったものがですね、現在だいたい三倍くらいまで値上 がりしておりまして苦労しておりましたが、国際相場が追いついた、追い抜いたということで少し胸をなで下ろしておるところでございます。またミタルがアル セロールを買ったという大型の M&Aがございまして、ブラジル国内あるいは国外でも鉄鋼再編のいろんな話が聞こえてきておりまして注目しておるところであります。

    下期の展望につきましては、国内需要は軟化傾向、国際価格はピークから調整局面に入ると見られております。なお、中国は輸出に攻勢をかけておりまして、こ れが波乱要因になると見込まれております。その他、鉄鉱石や非鉄金属の暴騰でブラジルは値上げの局面に入っております。

    続きまして電力プラント関係分野でございます。発電の案件ですが、自家発あるいは風力発電等ございますけども、やはり水力の商談が主体となっております。 その他、送電、配電投資は活発に行われております。その他、石油化学、紙パルプ、鉄鋼、アルミ、各企業は増産意欲が旺盛で投資が進んでおります。

    たとえば紙パルプでは今年上期に大型の回収ボイラーが成約、あるいはペトロブラス向け、あるいはアルミ、アルノルチ向け等の圧力容器であるとか熱交換器 類、こういうものの成約が進んでおりまして、商談も活発に進んでおります。その他、数は少ないですが、チリ向けに親会社がガスタービンコンバイントップを 受注いたしまして、これの廃熱回収ボイラーを現在ブラジルで作っております。

    その他、チリで はリファイナリーの新設の計画がございまして、パッケージボイラーの引き合いが来ております。アルゼンチン向けでは砂糖きびかすのパルププラントがござい まして、ここから回収ボイラーの引き合いが来ておりまして、こういうものに対応しております。総括すると好調な状況でした。

    下期につきましても引続き活発な国内・輸出のプラントおよび機器商談がございますので、これに対応し、好調は維持できるものと思っております。そのほか、 紙パルプではボトランチン・セルロース・イ・パペルによるインターナショナルペーパーの買収の話が進んでおりまして、この動向で新設パルププラントの動向 が決まるということで、注目をしておるところであります。

    続きまして、農業機械および汎用エ ンジン関係です。これが、この下の部分が大豆の値段、04年からこのようにぐっと下がっております。で、これはトウモロコシ、どちらかというと低下傾向。 これはさとうきびでございまして、最近はアルコールの需要が増えておるということで値段も上がっております。またコーヒーもこういうふうに値段は上がって おりますが、大きなウエイトを占めております大豆、トウモロコシ、こういうものの値段が下がっておるために、農業機械は2004年をピークにこのように下 がってきております。

    上期の状況ですが、アグリビジネスは先ほどのような状況で、レアル高も ありまして前年同期比18%減、さとうきび、コーヒーは好調で専用設備が急進しておりますが、大豆トウモロコシの不振をカバーするまでにいたっておりませ ん。機械の需要は04年に比べまして今年は30%ほど減っている状況でございます。

    下期の展 望ですが、世界の大豆生産は前年並で在庫増の見込みとなっておりまして、価格好転の見込みがなく、農業機械の市場は深刻な状況が続くと見ております。比較 的好調なさとうきびとかコーヒー、それから畜産分野、こういうもので農機メーカーは熾烈なシェア競争をしているという状況でございます。

    続きまして、各種工具の状況でございます。各種工具の主要顧客は自動車、二輪関連の企業でございまして、順調に進んでおります。ただ、工具類の販売は第一 四半期以降鈍化傾向にあります。それから工具のメーカ-がございますが、アルゼンチンが伸びておりまして、為替で輸出は厳しいんですがアルゼンチンに期待 しておる状況でございます。販売会社は現在、下期は増販目標を立てて達成に向けて努力すると言っておりますが、メーカーの方は横ばいが精一杯ということで 明暗が分かれております。なおメーカーの操業度は昨年末のピークからすると下期は70%くらいになるだろうと予想されております。

    次が測定器。測定器も主要顧客が自動車関連部門でございます。上期は大型の三次元計測器の成約があいついで好調でございました。しかし、ノビースなどの小 型の測定工具は値段が三分の一くらいの中国製品におされて減少傾向にあります。そのほか、輸出につきましてはグループ向けが主体で底堅く推移しております が、採算がだんだん厳しくなっております。

    上期全体では目標を25%売上増に設定しており、 これは達成できているとのことであります。下期につきましては、輸入品対策、これは代理店の体制を強化する、あるいは新型の三次元計測器の生産を開始して これに注力し拡販に努力するということでございます。フォルクスワーゲンがリストラということを進めておりますので、この動向に注意を払っていくというの が下期の展望でございます。

    続きまして軸受け関係でございます。軸受け関係は販売は前年比横 ばいでございます。ここも好調低調の部分がございまして、自動車二輪、鋼材機械、一般産業機械、それとこれら補修需要、この補修需要は全体の40%くらい あるそうですが、こういうものが好調。それから農業機械、電気家電、こういうものは低調に推移しております。

    為替の影響で販売の半分くらいを占めております国産品、これは競争が厳しくて採算が悪化しておるとのことでございます。下期の展望でございます。需要に大 きな変化はなく、現レベルで我慢が続くというふうな報告を受けております。また操業度維持のために、苦しいが輸出を継続するという話も聞いております。

    次がねじ部門です。主要顧客であります自動車二輪向けは前年比10%伸び。電気電子業界はワールドカップの影響でテレビ等が大幅売上増であったようです が、これに使われるネジは中国製品に代替され、生産販売の伸びは9%弱にとどまっております。下期につきましては堅調な経済活動が期待され、前年同期比か ら7%から10%の伸びを見込んでおります。

    最後に潤滑油の部門です。潤滑油の部門につきま しては好景気が継続し前年同期比21%の伸びがありました。ただここに来て輸出比重が大きい顧客への販売が低下しております。これは為替の影響などかなと いうふうに考えております。原油高とレアル高で販売価格は横ばい、売上は伸びておりますが利益は横ばいというのが、上半期の状態でございます。

    下期につきましては減収傾向が続き、それから減収減益を見込んでいるといるということです。それからレアル高で企業体力が低下しているところが多いので経 済政策に期待しているというコメントをいただいております。以上急ぎましたが八分野に分けての器械金属部会の報告を終わらせていただきます。

    それでは質疑応答。ございませんでしょうか。ご質問ございませんでしょうか。それではちょっと時間もおしてますので今から、当初十五分予定していましたが 十分ということでコーヒーブレイクをさせていただきます。4時から再開ということにさせていただきますので、16時からですね。よろしくお願いします。

    だいたいおそろいいただきましたと思いますので、ただいまから後半の部に入りたいと思います。発表者の方、できるかぎり時間厳守でよろしくお願いします。それではまず繊維部会の今西部会長様からよろしくお願いします。

     

    業種別部会長シンポジューム ― 機械金属部会 「2006年上期の回顧と下期の展望」

    分野 上期の回顧 下期の展望
    1 ・ミルの出荷量は05/下は減産したが順調に回復 ・国内需要は軟化傾向
    ・製鉄 ・CSNの高炉停止を考えれば高操業であった ・国際価格はピークから調整局面
    ・鋼材 ・産機、自動車は増、造船、農機、建設は減 ・中国の輸出が波乱要因
      ・国際相場が急騰、ブラジル国内価格を追い抜いた ・原料や非鉄金属の暴騰でブラジルは値上げ局面
      ・大型M&A で鉄鋼再編に注目  
         
    2 ・発電は水力主体、送配電投資は活発 ・引続き活発な国内・輸出のプラント/機器商談に対応
    ・電力 ・石油化学、紙パ、鉄鋼、アルミ各企業は増産投資 ・紙パのVCPによるIP買収の動向を注視
    ・プラント プラント(含むボイラ)、各種機器の商談が活発  
      ・チリ、アルゼンチンで発電、石油化学、紙パに対応  
         
    3 ・アグリは相場下落、レアル高で前年同期18%減 ・世界の大豆生産は前年並みで在庫増の見込み
    ・農機 ・砂糖黍、コーヒーは好調で専用設備が急伸するも 価格好転の見込みなく農機市場は深刻
    ・汎用エンジン 大豆、トウモロコシの不振をカバーするに至らず ・比較的好調な分野と畜産分野でシェアー競争熾烈
      ・機械の需要は04年をピークに06年は約30%減  
         
    4 ・主要顧客の自動車・二輪関連企業は順調 ・企業により増販目標と横這いが精一杯に分かれる
    ・各種工具 ・工具類の販売は第一四半期以降鈍化傾向 ・工場創業度は70%と予想
      ・レアル高で輸出は厳しいがアルゼンチン向けに期待  
         
    5 ・大型計測機の成約が相次いだが、測定工具は ・輸入品対策/新型機生産開始に注力
    ・測定機器 輸入品(中国製品)に押されて減少傾向 ・一部自動車メーカのリストラに注意
      ・グループ向け輸出は底堅いが採算が厳しい  
      ・目標の25%売上げ増は達成  
         
    6 ・販売は前年比横這い ・需要に大きな変化はなく現レベルで我慢が続く
    ・軸受 ・好調:自動車、二輪、鉱山、一般産業と補修需要 ・操業度維持のため苦しいが輸出継続
      ・低調:農機、電機、家電  
      ・為替の影響で国産の競争力は厳しく採算悪化  
         
    7 ・自動車・二輪向けは前年同期比10%の伸び ・堅調な経済活動が期待され、前年同期比7~10%の
    ・ネジ ・電気・電子業界は売上げ増だが中国製品に代替され 伸びを見込む
      生産・販売の伸びは9%弱に留まる  
         
    8 ・好景気が継続し前年同期比21%の伸び ・減収・減益を見込む
    ・潤滑油 ・輸出比重大の顧客への販売低下(為替の影響?) ・レアル高で企業体力低下、経済政策に期待
      ・原油高とレアル高で販売価格・利益ともに横這い  

     

     

     

  • 繊維部会


    今西暉夫部会長

     

    ただいまから、繊維部会の2006年上期の回顧と下期の展望について説明いたします。
    原 料から製品への流れに沿って報告いたします。まず繊維原料、国内綿花につきまして。2006年上期の回顧。今年度の綿花生産量は昨年より25万トンの大幅 減少の見通しであります。年初早々の需要増供給減で相場は一時は145セント迄高騰いたしました。その後、相場は下級綿中心で下降に転じました。

    2006年下期の展望。マットグ・ロッソ、バイーア、ゴイアス.地方は近来にない寒波で綿の開花が遅れ、一ヶ月遅れの6月下旬から収穫が始まりました。生 産量は昨年度より減少しており、品質についても上級綿不足が予想されます。この上級綿も昨年並の数量が輸出に廻され、10万トンの輸入が必要と見ておりま す。

    国際綿花。上期の回顧。年初の堅調相場は、後半には安値に推移いたしました。米国農務省 発表の世界綿花需給予測では、供給は世界的に主要綿産国では大幅減産は見られず、唯一ブラジルだけが減産となり、中国・米国・インド・パキスタン等最大手 綿産国は記録更新の豊作年となりました。需要。中国、インド、パキスタンの消費増の反面、インドネシア、タイ、台湾、韓国等の消費は中国綿糸の売り攻勢に 押されて低調でありました。

    供給。米国の減産とは対照的に、他の主要綿産国での増産が特徴であります。
    需要。国内消費が総計一億二千百万俵と前年度対比5百万俵増となっているのが特徴です。
    今後の相場動向といたしましては、原油高および米国綿産地の旱魃およびハリケーン等による天候相場が続くと思われ、米国生産の2千万俵というのがポイントになろうかと思われます。

    合成繊維。上期の回顧。ポリエステル綿は国内独占状態に加えて原油高騰により販売価格が高止まりしています。ポリエステル・フィラメントは輸入糸が使用されているが、本年1-5月の輸入数量は同期比で5%減であり昨年同様、天然繊維回帰が続いております。
    下期の展望。大きな変化はないと思われます。

    糸。国内販売。上期の回顧。昨年末~1月下旬の国内綿糸相場の高騰とそれに伴う先行需要を受けまして、価格は軒並み上昇基調となり、各紡績とも1-3月期 は売上・利益とも例年に無く好調に推移した。しかし、4月に入りますと、綿花相場の下落と川下の在庫過多による購入調整から販売価格は低下いたしました。 6月になってようやく綿糸需要は回復してはきたものの、販売価格は低水準のままでございます。

    下期の展望。下期には需要増となるコーマー糸はややタイト感も出てきたが、カード糸は相変わらずダブつき気味であり、オープンエンド糸とともに極端に安い ものが出回っております。減産が確定的なブラジル綿花の相場動向、輸入糸の流通、それからドル安による中国などからの二次製品の輸入急増などの動きにも留 意する必要がございます。

    国内販売(空紡糸)。上期の回顧。選挙資金の制限によるTシャツ需要の激減、レアル高による輸入増・輸出減、前年冬物在庫増、W杯における非繊維商品の消費増および生産ラインの停止や小売の営業時間短縮等の要因で市況は大きく低迷、売値は昨年比マイナス15%となった。

    下期の展望。レアル高ドル安基調による輸出不振、縫製品・布・デニム地等の輸入増加、原綿の供給不足から来るコストアップの懸念があるものの、リングから 空紡細番手への需要変化、選挙向けの公共支出増による消費回復、最低賃金の引上げ効果、原綿価格の上昇による綿糸価格の値上げ浸透等の期待もあります。下 期は環境改善が予想されるものの、大幅な需要好転には至らないと見ております。

    綿糸輸出。上 期の回顧。2006年上期の綿糸輸出は、2005年度上期実績を下回る見込みであります。為替がレアル高に推移し、ブラジル紡績の輸出採算は一段と悪化し ました。仕向け先も地理的・関税面でメリットのあるアルゼンチンに限定されつつあります。ブラジルへの綿糸輸入も急増しており、縫製品輸入の増加と共に国 内繊維製品需給への影響度が高まっております。

    下期の展望。下半期は、ブラジル国内市場の綿 糸需要期であり、為替がUS$1=R$2.2前後で推移した場合、上半期同様、採算の悪い綿糸輸出は前年同期比減少すると思われます。上半期同様にレアル 高は、中国からの縫製品輸入やアジアからの綿糸輸入を促進しており、懸念されるところであります。

    布帛。まず薄地織物。上期の回顧。薄地織物は主としてシャツやユニフォームに使用されます。比較的目付けの多いものはズボンにも使用されます。上期は輸入 製品の悪影響が心配されましたが大きくはございませんでした。一方、サッカーのワールドカップや選挙がらみの需要による盛り上がりもありませんでした。昨 年からポリエステル価格が上昇しましたため綿100%生地が伸びて、ポリエステル/綿混生地が減少傾向にありました。本年上期もこの傾向は継続しておりま す。小売は例年に比較して早くから寒くなり順調に冬ものを消化しており、縫製メーカーの在庫は少ない。また輸出につきましては為替がレアル高で推移してい るため採算があわず急減しております。

    下期の展望。すでに春夏もの備蓄に入っているようであります。大きな流れとしては上期と同じように進捗しそうで、可もなく不可もなく淡々と推移しそうであります。
    厚地織物および織物輸入。上期の回顧。地方の購買力の低下、サンパウロでのPCCの暴動の影響によるショッピングセンターの集客力低下、ワールドカップでは消費が電器関連に流れたなど、非常に厳しい上期でありました。

    天然素材が相変わらずよく、高級紳士服はWOOL傾向が進み、カジュアルでは綿が注目されました。冬物ではコールテンが大ヒットいたしました。アパレル業 界はスーツ、スラックスが苦戦して、10%ダウン。カジュアルが好調で10%―20%アップ。ユニホームは堅調。ただし、製品輸入増で全体的に苦戦してお ります。織物輸入はドル安が続き価格競争となりました。テトロン/レーヨン、ストレッチ、綿混といったものが好調でございます。原油高騰で合繊の値上がり が懸念されております。下期の展望。冬物が8月の父の日までに一掃され、春夏物のスタートが良くなる事を期待したいというところでございます。

    ファスナー。年初の小売店舗の在庫品消化による衣料メーカーの本格生産の遅れ、レアル高による衣料品輸出の大幅減少、完成品衣料の輸入増加や市場の消費低 迷なども影響して上期の販売は昨年比マイナス15%の不調でありました。特にブーツ分野では昨年より米国向けの輸出市場を中国製品に奪われ、靴生産地の南 部では倒産と解雇が増加、既に一部では中国に生産拠点を移し始めた所もございます。しかし、メインとなるジーンズ向け販売は、大手顧客以外は比較的堅調な 動きを見せました。また、アルゼンチン、チリは経済の好調を受けて消費も順調でございました。

    下期の展望。レアル高継続による中国からの衣料完成品の輸入増加も続くと予想されます。前期より投入した新商品の販売強化をし、特に表面処理のバリエー ションを増やしたジーンズ分野、鞄分野と新スライダーの投入による一般衣料の需要増加に期待を掛けております。以上で繊維部会の発表を終わります。ご静聴 ありがとうございました。

    どうもありがとうございます。それでは質疑応答に移らせていただきます。質問ございませんでしょうか。ありがとうございます。どうもありがとうございました。それでは次、食品部会永野部会長様よりよろしくお願いします。

     

    2006年上期の回顧と下期の展望

    繊維部会

    原料から製品への流れに沿って報告する。

    1. 繊維原料

    1.1 国内綿花
    1)2006年上期の回顧
    今年度の綿花生産量は昨年より25万トンの大幅減少の見通しである。年初早々の需要増供給減で相場は一時は¢145迄高騰した。その後、相場は下級綿中心で下降に転じた。
    2)2006年下期の展望
    MT.BA.GO.地方は近来にない寒波で綿の開花が遅れ、一ヶ月遅れの6月下旬から収穫が始まった。生産量は昨年度より減少しており、品質についても上級綿不足が予想される。この上級綿も昨年並の数量が輸出に廻され、10万トンの輸入が必要と見ている。

    1.2 国際綿花
    1)2006年上期の回顧
    年初の堅調相場は、後半には安値に推移した。米農務省発表の世界綿花需給予想では
    供給:世界的に主要綿産国では大幅減産は見られず、唯一ブラジルだけが減産となり、中国・米国・インド・パキスタン等最大手綿産国は記録更新の豊作年となった。
    需要:中国、インド、パキスタンの消費増の反面、インドネシア、タイ、台湾、韓国等の消費は中国綿糸の売り攻勢に押されて低調であった。
    2)2006年下期の展望
    供給:米国の減産とは対照的に、他の主要綿産国での増産が特徴である。
    需要:国内消費が総計121.8百万俵と前年度対比5.0百万俵増となっているのが特徴。
    今後の相場動向:原油高および米国綿産地の旱魃およびハリケーン等による天候相場が続くと思われ、米国生産の20.0百万俵がポイントとなると思われる。

    1.3. 合成繊維
    1)2006年上期の回顧
    ポリエステル綿は国内独占状態に加えて原油高騰により販売価格が高止まりしている。ポリエステル・フィラメントは輸入糸が使用されているが、本年1-5月の輸入数量は昨年同期比で5%減であり昨年同様、天然繊維回帰が続いているようだ。
    2)2006年下期の展望
    大きな変化はないと思われる。

    2. 糸

    2.1 国内販売
    1)2006年上期の回顧
    昨年末~1月下旬の国内綿花相場の高騰とそれに伴う先行需要を受け、価格は軒並み上昇基調となり、紡績各社とも1-3月期は売上・利益とも例年に無く好調に推移した。
    しかし、4月に入ると、綿花相場の下落と川下の在庫過多による購入調整から販売価格は低下した。6月になってようやく綿糸需要は回復してはきたものの、販売価格は低水準のままである。
    2)2006年下期の展望
    下半期に需要増となるコーマー糸はややタイト感も出てきたが、カード糸は相変わらずダブつき気味であり、オープンエンド糸とも極端に安価なものも出回っている。
    減産が確定的なブラジル綿花の相場動向、輸入糸の流通、ドル安による中国などからの二次製品の輸入急増などの動きにも留意する必要がある。

    2.2 国内販売(空紡糸)
    1)2006年上期の回顧
    選挙資金の制限によるTシャツ需要の激減、レアル高による輸入増・輸出減、前年冬物在庫増、W杯における非繊維商品の消費増および生産ラインの停止や小売の営業時間短縮等の要因で市況は大きく低迷、売値は前年比△15%となった。
    2)2006年下期の展望
    レ アル高ドル安基調による輸出不振、縫製品・布・デニム地等の輸入増加、原綿の供給不足から来るコストアップの懸念があるものの、リングから空紡細番手へ の需要変化、選挙向けの公共支出増による消費回復、最低賃金の引上げ(16,6%)効果、原綿価格の上昇による綿糸価格の値上げ浸透等の期待もある。下期 は環境改善が予想されるものの、大幅な需要好転には至らないと見ている。

    2.3 綿糸輸出
    1)2006年上期の回顧
    2006年上期の綿糸輸出は、2005年度上期実績を下回る見込みである。為替がレアル高に推移し、ブラジル紡績の輸出採算は一段と悪化した。仕向け先も地理的・関税面でメリットのあるアルゼンチンに限定されつつある。
    ブラジルへの綿糸輸入も急増しており、縫製品輸入の増加と共に国内繊維製品需給への影響度が高まっている。
    2)2006年下期の展望
    下半期は、ブラジル国内市場の綿糸需要期であり、為替がUS$1=R$2.2前後で推移した場合、上半期同様、採算の悪い綿糸輸出は前年同期比減少すると思われる。
    上半期同様にレアル高は、中国からの縫製品輸入やアジアからの綿糸輸入を促進しており、懸念されるところである。

    3. 布帛

    3-1. 薄地織物
    1)2006年上期の回顧
    薄地織物は主としてシャツやユニフォームに使用される。比較的目付けの多いもの   はズボンにも使用される。上期は輸入製品の悪影響が心配されたが大きくはなかった。
    一方、サッカー世界大会や選挙がらみの需要による盛り上がりもなかった。
    昨年からポリエステル価格が上昇したため綿100%生地が伸びて、ポリエステル/綿混生地が減少傾向にあった。本年上期もこの傾向は継続している。
    小売は例年に比較して早くから寒くなり順調に冬ものを消化しており、縫製メーカーの在庫は少ない。
    輸出は為替がレアル高で推移しているため採算があわず急減している。
    2)2006年下期の展望
    すでに春夏もの備蓄に入っているようである。大きな流れとしては上期と同じように進捗しそうで、可もなく不可もなく淡々と推移しそうである。

    3.2 厚地織物および織物輸入
    1)2006年上期の回顧
    地方の購買力の低下、サンパウロでのPCCの暴動の影響によるショッピングセンターの集客力低下、ワールドカップでは消費が電器関連に流れたなど、非常に厳しい上期であった。
    天然素材が相変わらずよく、高級紳士服はWOOL傾向が進み、カジュアルでは綿が注目された。冬物ではコールテンが大ヒットした。
    アパレル業界はスーツ、スラックスが苦戦して、10%ダウン。カジュアルが好調で10%―20%アップ。ユニホームは堅調。ただし、製品輸入増で全体的に苦戦している。
    織物輸入はドル安が続き価格競争となった。T/R、ストレッチ、綿混が好調。原油高騰で合繊の値上がりが懸念される。
    2)2006年下期の展望
    冬物が8月の父の日までに一掃され、春夏物のスタートが良くなる事を期待したい。

    4.ファスナー

    1)2006年上期の回顧
    年 初の小売店舗の在庫品消化による衣料メーカーの本格生産の遅れ、レアル高による衣料品輸出の大幅減少、完成品衣料の輸入増加や市場の消費低迷なども影響 して上期の販売は昨年比▲15%の不調であった。特に靴(ブーツ)分野では昨年より米国向けの輸出市場を中国製品に奪われ、靴生産地の南部では倒産と解雇 が増加、既に一部では中国に生産拠点を移し始めた所もある。
    しかし、メインとなるジーンズ向け販売は、大手顧客以外は比較的堅調な動きを見せた。
    また、アルゼンチン、チリは経済の好調を受けて消費も順調であった。
    2)2006年下期の展望
    レアル高継続による中国からの衣料完成品の輸入増加も続くと予想される。
    前期より投入した新商品の販売強化をし、特に表面処理のバリエーションを増やしたジーンズ分野、鞄分野と新スライダーの投入による一般衣料の需要増加に期待を掛けている。

     

    060803 繊維部会(レポート)01

    060803 繊維部会(レポート)02

    060803 繊維部会(レポート)03

    060803 繊維部会(レポート)04

    060803 繊維部会(レポート)05

    060803 繊維部会(レポート)06

    060803 繊維部会(レポート)07

    060803 繊維部会(レポート)08

    060803 繊維部会(レポート)09

    060803 繊維部会(レポート)10

    060803 繊維部会(レポート)11

    060803 繊維部会(レポート)12

    060803 繊維部会(レポート)13

    060803 繊維部会(レポート)14

    060803 繊維部会(レポート)15

    060803 繊維部会(レポート)16

    060803 繊維部会(レポート)17

    060803 繊維部会(レポート)18

    060803 繊維部会(レポート)19

    060803 繊維部会(レポート)20

    060803 繊維部会(レポート)21

    060803 繊維部会(レポート)22

    060803 繊維部会(レポート)23

    060803 繊維部会(レポート)24

    060803 繊維部会(レポート)25

    060803 繊維部会(レポート)26

    060803 繊維部会(レポート)27

     

     

  • 食品部会


    永野昇二食品部会長代理

     

    えー、三栄源の永野と申します。本日は部会長、副部会長ともにご出張またご多忙のため出席できないということで、私が代わりに報告役をおおせつかりまして 報告させていただきます。よろしくお願いたします。ちょっと時間がなかったもので資料が間に合いませんでしたので、パワーポイントなしで口頭で発表させて いただきますのでよろしくお願いいたします。それでは食品部会における2006年上期の回顧と下期展望に関しまして発表させていただきます。

    まず上期の回顧でございますが、輸出分野と国内市場分野に分けてご報告させていただきます。輸出分野に関しましては、長引くこの為替のレアル高により、健 康食品、飼料用アミノ酸、食品添加物・香料等など幅広い分野で厳しい状況が続いており、ドルベースでの売上は上がっても、レアルベースでは目減りするとい うような厳しい状況が続いております。

    加えてANVISAや港湾での長期ストライキや、石油 エタノールの上昇。特に食品分野においては日本におけるポジティブリスト制の施行ですね。これは農薬使用基準法令になりますが、これによる日本側の原料買 い控えなど悪材料が重なってしまい、各社とも輸出に関しては非常に苦戦を強いられたという状況でございました。

    次に国内市場に関しましてですが、全体的に多くの商品分野において前年並みの水準は維持しているものの、期待されたワールドカップによる追い風もほとんど なく、非常に大きな伸びというのはございませんでした。この国内市場に関しましては、即席めん、調味料、発酵乳、酒、醤油、コーヒーの五つの分野に分けて 掘り下げてご報告させていただきます。

    まず即席めんの市場ですが、市場全体は5-6%の伸び と堅調に推移しておりますが、小麦などの原料コストの上昇、新規企業の市場参入による競争激化によって価格競争の厳しさが継続して増している状況となって おります。この即席めん市場は、以前は数社だけの市場だったのですが、新規参入がかなり入ってまいりまして、現在では48社がこの市場にあるというお話を 聞いております。

    次に調味料市場でございますが、これは味の素様からいただいた数字ですが、 前年比数量ベース99.7%。金額ベースで104%と小幅な伸びになっておりますが、前期は特に主力商品に加えて新製品の伸びが著しく販売は非常に好調と いうお話をおうかがいしております。この好調だった新商品はVONOということでお伺いしております。逆にグルタミン酸ナトリウムや飼料用アミノ酸などの 素材事業の方では、市況が悪化したり、価格下落、原料高など厳しい状況が続いているというお話を聞いております。

    次に発酵乳。ヤクルト、ヨーグルト、デザート等の市場は競争が激化しつつも全体的に回復基調になっております。ヤクルト様に関しまして申し上げますと、ヤ クルトは数量で前年同期比3.2%増、その他発酵乳飲料であるヨーデル、ソフィール等で新たな味のアイテムを加えた結果、売上は順調に推移したというお話 をお伺いしております。ちなみにこの新しい味というのは、マスカット味と、おいしいというお話をお伺いしております。

    えー、ヤクルトさんは宅配方式を取られているのですが、この宅配方式は、通常の流通チャンネルである大手スーパーでは常に値下げが要求されるんですが、まあそれに影響されないということで、非常に好調な販売量を確保されているという話をお伺いしております。

    次の酒、醤油分野に関しましては、上期に関しましては前年を上回る数字であったものの、昨年はサーモン寄生虫問題で客足が激減していた影響もあったため、 その点は割り引いて考えなくてはならない数字となっているという話をお伺いしました。6月にはワールドカップが開催されましたが、逆に消費者の外出機会が 減少したということから業務用中心に販売は減少。

    また、バリグの問題やサンパウロの治安の悪 化などから海外からの観光客が減少している地域があってこの点も悪い材料になっているというふうに聞いております。またこの分野においては、レアル高に よって輸入品が非常に安くなっているために、新規参入の企業が増え価格競争も激化しているということでございます。

    最後にコーヒー製品の国内販売について申し上げますと、前年並の数量金額をいじしているものの、大豆の主要産地である中西部各州での大豆価格下落による経 済状況の悪化ですね。農家の方が基本的に借金で首が回らない状態になってしまっているというお話を聞いておりまして、その影響でコーヒーですら販売に影響 が出ているというお話をうかがっております。又、4-5月にはその農業従事者による政府への抗議の道路封鎖などが長期間行われこともあって、製品の配送に も大きな影響が出たということになっております。

    全体的に申し上げますと、輸出に関しまして はレアル高の影響が続き厳しい状況に終わり、国内市場につきましては堅調に推移しているものの原料価格上昇や輸送コスト上昇などいくつかの懸念材料が見ら れるという状況でございます。以上が上期の回顧となりますが、続きまして下期の展望につきまして述べさせていただきます。

    下期に関しましては大統領選挙が経済にどのように影響してくるかが不明でございますが、国内市場は堅調に推移するという見方と、一方ではあの、五月六月の 消費者物価指数がマイナスであることを踏まえて、これまで成長を続けてきたブラジル国内市場も今年はいったんは成長が止まるのではないかという見方もござ います。

    一方で原料コストの上昇、石油価格の上昇による物流費も上昇が続く見込みであり、厳 しさが増してくる状況でございます。輸出面に関しましては、レアル高が継続する中、大統領選による大きな為替変動もないという見方が多く、一方で逆に選挙 を踏まえたストライキなどの可能性も増えるということから引続き厳しい状況が続くという見方が大勢を占めております。そのため下期は各社ともに新製品の展 開や販売体制の強化などを実施し、採算性向上、利益構造改善を実現し、すばやい対応によりこの状況を回避する対応を進めていくという状況でございます。
    簡単ではございますが、以上で報告を終わらせていただきます。

    どうもありがとうございます。それでは質疑応答に入りたいと思います。ご質問お願いいたします。よろしいでしょうか。それじゃ長野さんどうもありがとうございます。

    引き続きまして、電気電子部会の方から、これは私兼任ということで私松田の方から発表させていただきます。

     

    食品部会リポート

    「2006年上期の回顧と下期展望」

    1. 2006年上期の回顧

    ・国内市場での製品販売状況は、多くの商品分野において前年並みの水準は維持しているものの、ワールドカップに期待された追い風もほとんどなく、計画対比では下回っている。
    一方、輸出分野では、長引く為替のレアル高により、大きな影響を受けている健康食品、飼料用アミノ酸(リジンン)、食品添加物・香料等の分野では、極めて厳しい状況が続いており、加えてANVISAの長期ストライキやアルコール値上げ等の逆風の影響がでた状況となった。

    ・即席麺の総市場は、5-6%の伸びと堅調に推移。レアル高による原料コスト(小麦他)もほぼ計画通り。昨年から更に新規参入企業が加わり現在48社となり、価格競争の厳しさは昨年から継続している。
    新製品により低価格競争に巻き込まれることなく、売上、利益確保の予定が、新製品の出遅れと主力製品の苦戦により売上、利益ともに前年並みとなった。

    ・ 調味料市場は、前年比、数量ベース99.7%、金額ベース104%と小幅伸張。味の素インテルアメリカーナ社では主力製品に加え、新製品(インスタント スープ VONO)の伸長著しく、上期売上実績は123%と好調であった。一方、MSG、飼料用アミノ酸などの素材事業は、市況悪化、価格下落、レアル高 と悪い環境下、厳しい状況が継続している。

    ・発酵乳ヤクルト、ヨーグルト、デザート等の市場は 競合他社の競合厳しい中にも回復基調。価格は、各社コストアップ分を転嫁する方向にはあるが、中々進展していないのが実情。発酵乳ヤクルトは数量で前年同 期比3.2%増、その他発酵乳飲料ヨーデル、ソフィール等にマスカット味を加えた結果、売上は前年比ぼぼ倍増となった。
    宅配方式を主力とするヤクルト社の場合、大手スーパーで常に値下げが要求される中、直販・宅配合計で前年並みの販売量を確保。

    ・ 酒、醤油の販売:5月までは累計で前年をクリアしたが、昨年は4月に輸入サーモン寄生虫問題で、日本食レストランから客足が激減したため、前年クリアと 言っても割り引く必要あり。6月、ワールドカップによる外出機会の減少から業務用中心に販売は減少。バリグ航空の問題、サンパウロの治安悪化から海外から の観光客減少している地域がありこれも悪材料。継続するレアル高から、輸入品の新規参入企業も加わり、価格競争は一層厳しくなっている。

    ・ コーヒー製品の国内販売では、大豆の主要産地である中西部各州で経済状況極めて悪化しており、基礎食品であるコーヒーでさえ影響を受けた。又、4-5月に は中西部各州で農業従事者による連邦政府への抗議の道路封鎖が長期間行われ、製品の配送にも大きな影響が出た。ワールドカップも販売には逆作用となり、上 期は数量、金額ともに前年並みに終わった。
    インスタントコーヒーの輸出では、ドルベースの値上げはある程度したものの、レアルベースでは減収となり、利益確保が難しい状況。

    2. 下期の展望

    下 期は、大統領選挙が経済にどう影響してくるのか不明だが、国内消 費市場は、堅調に推移すると見る向きと、5-6月と消費者物価マイナ スと既にデフレ傾向が見えているとして厳しい状況を予想する向きと がある。いずれにせよ、前年比で大幅な増加を予想する会社は少ない。 輸出はレアル高が継続する中、政府機関のストライキ等の可能性もあ り、引き続き厳しい状況が続くであろうと思われる。

    以上

     

  • 電気電子部会


    松田雅信電気電子部会長

     

    えーと、ちょっと時間超過してますので、責任取りましてできるだけ短くやらせていただきたいと思います。それでは次お願いします。

    まずあの、家電の方からですね、主要商品の需要状況は2004年2005年そして2006年とどういうふうに動いてきたかということを、ざくっとその数字 を出させていただいております。で、皆様からいろいろお話ございましたが、2006年の上期につきましては、やはりですね、ワールドカップの影響というの もありましてですね、テレビが前年比40%プラスで、これは我々の出荷ベースですので、ちょっと実情とのリンクはしていないんですけど、とりあえず出荷は したというところになっております。

    それで、あの、特にですね、まだまだ全体から見ますと非 常に需要は小さいんですが、プラズマテレビあるいはLCDテレビといった薄型テレビがこのブラジルにも波が来ておりましてですね、前年比十倍、十五万台く らい。まあ600万台のうちの15万台ということなんで、まだまだ規模的には非常に小さいですけれども、増えてきております。

    それから、いわゆるブラウン管テレビの中でも画面のフラットなやつですね、丸じゃなくてフラットなやつ、これの構成比が増えていますので、ブラジルの皆様 方の所得水準が向上しているということが裏付けが来ているんじゃないかと思ってます。なにぶんこの600万台というのは、かなりメーカー側もですね、勢い づいて作ったもので、足元が、流通在庫が若干ダブついていましてですね、今各社いっせいに生産調整をしているとそういう状況にはございます。

    でそのほかの商品で言いますと、特記すべきところはですね、携帯電話の普及が、はっきり言って一巡しましてですね、今年の上半期はですね、初めて前年ダウ ンということで、これも踊り場に来たというところになります。また、いわゆるDVDレコーダーとかデジタルカメラといった商品がですね、まだまだ規模が小 さいですけども、増えつつあり、いわゆる欧米、日本で起こっているデジタル化っていう、デジタル家電の波がスタートし始めてるという状況でございます。

    それで、白物ですね、につきましては2004年2005年の数字を見ていただいてもお分かりだと思いますが、非常に堅調な需要で、あまり増えもしないし減 りもしないというふうなそういう状況で推移しております。それでは次お願いします。それであの、家電だけじゃなくて部会参加企業の概況なんですけども、部 品を除きですね、おおむね各社とも業績は順調に推移したというのが上期の特徴でございます。

    ただ部品につきましてもですね、輸入部品ですね、中国等々からの輸入部品を扱っておられる販売系のところ、これは非常に順調に推移しております。ただですね、現地での生産しているところが非常にしんどいというところでございます。

    それで、下期はですね、先ほど家電のテレビのちょっと足踏みあると言いましたけど、おおむね上期の状況が継続するんではないかというのが予想であります。 課題はですね、特に部品生産系ですね、売上に関わらず、その、ピスコフィンの不平等な課税というのがちょっとございましてですね、これがちょっと輸入との 比較でですね、非常に不公平に動いているというところが我々部会の大きな課題になってくるかなと思います。

    次に流通ですが、いわゆる二大電気量販店の販売ウエイトというのがさらに増えつつあります。カーザ・バイーア、ポント・フリオといったこういうところでご ざいます。それで、さらにですね、ウオールマートとかカレフールとかいった大手スーパーがですね、家電商品の販売体制を強化しつつありですね、強いところ がさらに強くなりという、いわゆるアメリカ的な動きが続いております。

    それで、ちょっと視点 をマナウスの電機メーカーの雇用、これに移してみますとですね、2002年6月に一万人にも達していなかったところからですね、本年度の六月の雇用者が1 万4,500名近くまで上っているというところで、この数年間の、特にテレビを中心とした拡大がですね、あるいは携帯電話も含めてなんですけどもここに見 て取れるかなと思います。若干今7月8月とは生産調整やってますんで、若干減るかなというところはございますが、基本的には増加傾向にございます。

    次お願いします。それで、ちょっと視点をいわゆる1997年を軸にしましてですね、いろんな商品がどういう平均価格で動いているのかということをですね、 ちょっと面白いんで皆様にご紹介したいと思います。それで、あの、これひとことでいいますと、下がですね、私がやっています映像、音響系ですね。

    一部私どもも白物もやっていますが、上がいわゆる白物家電といわれるところでですね、何やってるんやと言われるんですけど、いわゆる映像音響系というのは 値段勝負でやっておりましてですね、これが非常に大きな価格競争と呼ばれる非常に厳しい競争状況の中にあるというのが見て取れると思います。これがデジタ ルに移行していくにつれさらに加速するというのがですね、我々業界の宿命かなというふうに思っております。

    次お願いします。それであの、特に話題になりましたですね、ブラジル地上波デジタルテレビ方式なんですけれども、6月29日に日本方式を基礎として実施さ れることが正式に決定いたしました。日本方式の特徴を一言二言でいいますとですね、非常に画質がいいということと、それから、妨害に強くて、簡単に受信で きるということですね。

    それとあと、いわゆる移動体通信、携帯でテレビを見るとかですね、こ ういったこと日本でスタートしてますが、まあこういったやつ。それから車の中でテレビが安定して見れると、こういったところが非常に大きな特徴です。ただ ですね、みなさんのご期待非常に高いんですけれども、いわゆるモジュレーションとして日本方式に決定されたという段階で、これからスペックの協議、細かな スペックを決めていくという段階にありますんでですね、このスペックを決めてから事業機会が見え始めるということで、一足飛びにすぐ我々商品作れるかと いったら、そこまでまだ行っていないのが現状でございます。

    あと、若干、まあ雑駁なことです けども、メルコスール関係ではですね、アルゼンチンにセーフガードを打たれてまして、我々マナウスから出荷できる輸入枠というのは需要の10%程度しかな いという苦戦を強いられております。それで、2006年下期への大きな我々業界としての期待でございますが、原材料価格が非常に高騰しております。これの 調整局面が来てほしいというですね、思い、これがひとつでございます。

    そして、ドルレートで すね、これがそれなりにですね、今のレートで安定的に継続してほしいなというのが、経営の安定性から見て願っているところでございます。それで選挙に関し ましてですけども、経済的変動は基本的にはないと見てますんで、さきほど、当初ございました需要構造ですが、基本的には安定的な成長。中身としましてはア ナログからデジタルへの推移ということがですね、これから急激に起こっていくと思うんですけども、いわゆる台数ベースでの激変ということはあまりないん じゃないかなというふうに見ております。以上簡単ではございますが電気電子部会からの発表でございます。

    まあ自分で言うのも何なんですけど、ご質問あったらよろしくお願いします。
    どうぞ。

    (質)為替レート、現行ドルレートの安定的継続を望むという話。輸入部品大量に使うことがコストダウンにつながっているということか。

    (答) あの、痛し痒しの面がございまして、我々電気業界にとりまして、この為替がですね、レアル高に振れれば振れるほどですね、中国からの直輸入という、特に DVDプレーヤーに見られるような状況が見られます。それで、もちろん、生産的にはレアル高というのは輸入部材にとってはメリットがございますけども、ま あ参加企業の中でもですね、輸出をされてるところ、私のところ含めてございますので、その辺はちょっとバランスになるかと思いますので一概にどちらがええ んやということではなくてですね、やはり為替が安定してほしいというですね、あまり大きく振れてほしくないというのが一番大きなところではないかと思って おります

    ほかどうでしょうか。それじゃあどうもありがとうございます。若干時間的にはご協力できたものと思っております。それでは次は建設不動産部会阿部部会長様からお願いします。

     

     

  • 建設不動産部会


    阿部勇部建設不動産部会長

    建設不動産部会の阿部でございます。IT化の大変遅れている業界なものですから、パワーポイントの資料ございません。お聞き苦しいところございますけれども、口頭で説明させていただきます。

    まず、上期の回顧ということなんですけど、今出ている統計値が第一四半期だけなものでございますから、それだけで上期全体の話をということでもなかなかないんですけど、いわゆる建設業全体の動向を知る上で我々が良く使う、セメントの販売量というのがございます。

    これはまあ、金額のベースなんですけども、それを見ますとですね、対前年同期比、一年前と比べて12%アップなんですね。で我々の実感として、そんなにセ メント使っているのかなというのはちょっと感じるんですけども、統計上はそういうことなんですが、まあこれが一年間続くとはちょっと考えられません。

    それでまあ、そういった建材がですね、どのようなところにどれだけ使われているのかという統計が残念ながらございませんので、我々部会開いていろいろな話 をうかがった中でも、その特徴をつかむことができなかったんですけど、ただ不動産販売ですね、一戸建て住宅も、あと高層のアパートも含めてなんですけど、 住宅関係の販売額が同じく第一四半期で8.8%増だそうです、昨年の。まあそういう意味では、住宅関連の建設にかなり引張られて伸びているんではないかと いう傾向は見られます。

    それのひとつの現れというのは、昨年今年にかけて皆さんもよくこの辺 の近辺でご覧になる赤い三角マークだとか四角マークだとかっていう不動産のデベロッパーのマークがありますよね。あれ、有名なシレラとかカンパニー、ロッ シ、ガフィーザですか、これが株式上場してますよね、去年今年と、ということはやはり資金調達を、いままではそういう意味では先行販売、あるいは一部銀行 借り入れっていうことを今後は市場で安く資金調達するというようなことも含めて、不動産、さきほど福田部会長おっしゃっていたようにかなり好調なようで す。

    で我々建設不動産部会、過去二年ほど前からですね、ことあるたびに今のあれは駆け込み需 要だとかですね、実需がない投資対象だとかっていうお話を結構してたんですが、最近のこのSelicがどんどん金利が下がってきて、やはりアパートを購入 しようという実需の方もだいぶ伸びてきているという話は聞いております。

    あの、今回の部会は 残念ながら不動産の関連の組合員の方はこられなかったんで、他からのいろんな話を受けてまとめたんですけど、やはり金利がダウンしてるんで、環境的には非 常にローン組みやすくなってる。ただアパートそのものはですね、二極分化ということで、非常に高いもの、百万レアルするものとかですね、そういった高級ア パートとですね、逆にまあ15万20万程度のですね、かなり低額なものも、その販売件数としては非常に両極端で非常に特徴が出ているという話があります。

    先にまあ不動産の方のあれですが、それとですね、不動産に関してはそのアパート建設の特徴的なこととして以前は、2000年ごろの頃と比較すると現在は非 常にその、一棟を建てる時間を短くしていると。まあ短くなったというのはいろんな意味があるんですけども、ひとつには作る側の投資資金の回収を早めるとい うことですね、それがあるんではないかということです。

    それから、最近の不動産の販売の特徴 として、一つのプロジェクトを大型化していくと。一つのあれで、五百戸近い、結構大きなプロジェクトをやって、そうしますと最終的に入居した方のコンドミ ニオがですね、割る分母ですから非常にまあ以前よりも安くなるということで、販売しやすくなる、まあそういう手法をとってみたりですね。あとは、まあ、ブ ラジルもやっぱりだんだん、こう、都市型化、特にこのへんはそうなんですけど、別居をする家族の、単身赴任とかですね、そういう方ですとか、あと老齢化で すか、家族構成が昔とだんだん変わってきてそれに合わした住居を増やして、で販売増につながっている。

    あるいはさらにデカセギ行かれる、ま日本だけじゃなくて他の海外へも行った方の、そういった向けの投資物件ですか。こういったことでいろんな多様化してい るという傾向があるそうです。ただこれはですね、建材メーカーさんのお話した話では、先ほどの8.8%増、販売額ですね、と逆に昨年の販売の約80%どま りくらいじゃないかと、上半期。

    まあそういうお話もちょっと出ておりますので、まあ統計の取 り方によったりで、若干開きが出ているのかなという感じはいたします。それから一般の建設部門なんですけども、こちらはやはり第一四半期だけで見ますと、 昨年のこれも7%増、我々建設業にしてはかなり高い伸び率なんですね。

    まあ第一四半期三ヶ月 だけなんですけども前年比で7%。2004年の時に確か6%で十数年ぶりだっていうことで記事に載ってた記憶があるんですけども、それからすると非常に 7%というのは高い伸びですね。これも一年間を通じてということではちょっと考えられないんですけども、一応第一四半期ではそういう高い伸びをしていま す。

    あと建設労働者、これも第一四半期では5.8%増ということで、まあリンクした形で伸び ております。ただですね、残念ながら会員企業さんのお話聞くと、一社さんだけ昨年非常に業績が悪かったんで今年はまあいいというお話だったんですけど、そ のほかは決して良くないということで、まあこれは企業努力が足りないということかもしれませんけども、まあ全体的な傾向とこちらの会員企業さんとでは ギャップが生まれているところがあります。

    えっと、それからあと一般的な話としまして、これ も最近の新聞記事にも載ってたんですけども、こちらの大手ゼネコン、超大手といわれる、ベストテンぐらいに入るようなところというのが、やはりあの、ルー ラ政権になってから公共投資がだいぶ抑えられてますので、その分海外に進出するということで、だいぶまあアメリカを含め中南米、あるいはサウジアラビアで すか、中近東のオイルマネーはまだ健在だそうで、そちらの方に進出している大手企業が結構あるということでございますね。

    それと、あと、これも前から申し上げましたけども、そういう超大手の国内の大型ゼネコンがブラジル中の大型民間工事、こちらの方の入札にかなり積極的に参 加しております。以前は我々が会わなかったような場面でもぶつかっているということが、やっぱり傾向としてはつづいております。えっと、そういったことが 今半期のあれですか。そうですね。

    これから下期の展望なんですけども、我々の業界っていうの は、これも以前からもうしあげているんですが、景気動向に非常にはっきり左右されまして、落ち込みますと設備投資が減りまして、受注チャンスが減るという ことで非常にリンクしているんですけども、まあ今までの各部会の発表を踏襲するならば、大統領選で大きな変化は生まれないんじゃないかということで、我々 の部会もですね、下期に関してもたぶん上期とあまり変わらない推移をするんではないかなというふうに受け取っております。

    あまり変わらない推移というのはどういうことかというと、まあ引き合いは多いんですけども受注競争が非常に厳しくてですね、まあ受注そのものの厳しい環境 だけじゃなくて、あといわゆる叩きあいということで利益率の確保というのが非常に難しくなっているというのが現状ですので、まあこれがまだまだしばらく続 くのではないかなということなんですね。

    それと、不動産に関しては、先ほど申しましたように Selicがですね、年末でさきほど14くらいですか、まだ下落傾向ということを考えますと、たぶん不動産に関してはこの堅調さは続くということかと思い ます。それと最近ちょっと小耳にはさんだんですが、日本ではあたりまえですけども、不動産の債権化で販売して資金を早めに回収するというのがブラジルで も、以前は法律的にできなかったものが、今年の四月からですか、それができるようになったという話をちょっとうかがったんですが、今後そういう形でいわゆ る資金回収を早めるために債権化して販売するという手法でですね、不動産がまだ今後の将来の見通しとしては広がる、まあいわゆる伸びるということも考えら れるということを聞きました。

    ということで、部会の発表はあれなんですけども、最後にまあ部 会の個別テーマということで、これも毎回お話させていただいているんですが、なかなか普段みなさまの方にいろいろな情報を出しづらい部会なのかもしれませ んが、昨年の11月のセミナーと今年は先月の30日なんですけど、まあ高級別荘地の見学会ということで最低年一回はやりたいということで、今のところは実 施してますので、今後も機会があれば、多分来年になるかと思いますが、まだ部会としてのいろいろな情報発信もしていきたいと思っておりますのでよろしくお 願いいたします。以上でございます。

    どうもありがとうございます。それでは質疑応答に移らせていただきます。ご質問ございませんでしょうか。あの、時間は十分範囲に入っておりますので。よろしいでしょうか。それではありがとうございます。

    それでは引続き運輸・サービス部会丸山部会長様よりご発表お願いします。

     

    【建設不動産部会】

    建設不動産部会は現在正会員10社、副会員14社の合わせて24社が登録されています。それでは発表に移らせていただきます。

    1.共通テーマ

    (1)2006年上期の回顧

    まず、2006年上期の回顧ですが、建設・土木業の動向を表しているといわれているセメントの販売量は、1月から3月までの第1四半期では昨年同期比で 12%伸びています。ただ、統計上どんな種類の建物にどれだけセメントが使用されているかの数値がありませんのではっきりした断定はできませんが、考えら れるのは住宅関連(アパート・住宅)の建設の伸びがセメント販売量を増やしているようです。その影響と思われますが、アパート専門の建設会社の株式上場が 近年になく増加しています。
    では、最初に不動産部門ですが、最近のアパート建設の特徴を述べますと、工事期間を以前(2000年頃)と比べ短縮 させて投資資金の回収を早めたり、一つのプロジェクトの住居戸数を増やして入居者のコンドミニオを減らすことで、別居型家族や老齢家族への負担を少なくし て販売を増やす工夫も見られています。また、出稼ぎへいった人達をターゲットにした投資案件も増えているようです。
    しかしながら、大サンパウロ圏での新規集合住宅の売り出し件数は昨年同期の約80%に留まっており、市場環境としては楽観できる状況にはないようです。

    次に建設部門ですが、アパートを含めた建設業全体の受注額は、1月から3月までの第1四半期では昨年同期比で7.0%伸びています。また、建設雇用労働者 数も5.8%増えています。しかしながら、会員企業に限っていえば受注目標値に達していないところの方が多く、業績は伸び悩んでいます。
    最近の建設業界の特徴としましては、前回の懇談会でも説明させていただいたかもしれませんが、大手ゼネコンが海外進出を加速させていることと、国内の民間大型工事の入札への参加が積極的になっていることが挙げられます。
    これらは、ルーラ政権になって大型公共投資が減少したことや、国営企業の民営化、PPPによる民間資本の活用政策などによりやむなく軌道修正した結果ですが、その影響もあって業界の競争が激化して安値受注の傾向が続いており、利益確保に苦労させられています。
    しかしながら、引き合い案件数に減少は見られず、業種によりまだら模様ではありますが、設備投資は引き続き堅調のように感じられました。

    (2)2006年下期の展望

    大統領選挙による影響がどの程度出るかは予断を許しませんが、建設部門としては受注環境は上期とあまり変わりがないと感じています。ということは、引き合い案件はそこそこあるが、受注競争は相変わらず厳しいものが続くと見ています。
    しかしながら、年内に計画している投資案件を来年以降へ先延ばししたり、為替の動向で輸出がさらに落ち込み設備投資を見直すようになりますと、2003年度のように失速して大幅な業績低落に陥ることにもなりかねません。

    今回不動産部門の会員企業の方からのお話が聞けなかったのであまり詳しい話はできませんが、金利下落傾向が続けばローンを組んで住宅を購入する人が増えると思いますので、アパート建設は今後も堅調に伸びるのではないかと考えられます。

    2.部会個別テーマ

    引き続きまして建設不動産部会としてのテーマですが、昨年11月のアパートに関するセミナーに続き、今年は先月30日に高級住宅開発地の見学会を開催いた しました。実際に活動している部会員企業の数が少ないため、なかなか十分な活動ができていませんが、今後もできるだけ会員の皆様へ専門的な情報を発信でき るよう勤めていきたいと思っています。

    以上で建設不動産部会の発表を終わりにさせていただきます。

     

  • 運輸サービス部会


    丸山亘部会長

     

    運輸サービス部会でございます。当部会はあの、おおざっぱに分けまして六業界の会員がございまして、順番に報告させていただきます。
    ま ず航空業界でございます。航空業界、パッセンジャーの方ですけれども、2006年、特に経済成長が著しい中国、アジアを中心に北米、欧州等で活発な動きが 続いております。もうひとつ、特徴としてございますのは、世界のメガキャリアーを中心にブロック化が進んでおります。その一方でLow Cost キャリアーも各地で台頭しているという状況でございます。南米域内ではチリのLANグループの動きが目立っております。当面の間南米域内ではTAMと LANが主導権を持つと思われます。

    次にブラジル国内では、ご案内の通りVarigが衰退し ております。この結果といたしまして、北米行きは北米のキャリア、欧州行きは欧州キャリアが当面主導権を握っていくという予想が立っております。ブラジル 国内マーケットに関しましてはTAMと GOLNOの2社で国内マーケットの90%を占めております。これとは別に、先ほど申しあげました通り、Ocean AirそれからBRAといったLow Cost キャリアー2社が台頭しはじめております。

    次に海運業界でございますが、海運業界、まず輸出はレアル高で多少の落ち込みはございましたが、依然として堅調でございます。輸入に関しましては、アジア からの機械、雑貨などを中心に前年同期比15%以上の伸びとなっております。今後ピークシーズンを迎えますので、スペース逼迫が予想されております。今年 前半の特記事項としましてはストライキがございます。港湾スト、港湾労働者ですね、それからトラック業者、税関、検疫官など官民を問わずストライキが頻発 いたしまして、船のスケジュールの乱れ、船の遅れ、貨物の積み残し、コンテナ不足など大きな影響がでております。7月に入って漸く沈静化しておりますが、 今後の動向は予断を許さないと見ております。

    サービス面では、船の業界では大きなサービス改 変、新規参入の動きはあまりございません。よってスペース供給に大きな変化はないと思われます。今後は輸入がさらに増えるということからスペースタイト感 が高まる見込みでございます。燃料価格、ご承知の通り高騰しておりまして、港湾荷役料の高騰がございます。こういったことから運賃は全体に上昇傾向にある と見て間違いないと思います。

    次にフォワーダーの業界でございます。陸運海運、空も全部関連 するかと思いますが、まず日本発の航空貨物ですが、2006年1-5月の実績で日本発の世界向け航空貨物は544,000トンございました。前年同期比で 7.5%増でございます。中南米向けはそのうちの約0.9%。5,000トンでございました。06年下期に関しましてはクリスマス商戦への荷動きに期待し ております。今後、大統領選挙、PCC の動きの中、購買意欲が継続するかどうかが鍵と思われます。

    それからあの、前回のレポートにもございましたけども、国際梱包基準にブラジルは加盟しておるんでございますが、5月15日に運用開始の予定でございまし たが、運用則が現実でなく運用そのものはキャンセルされて現在未定の状態でございます。残念ながら現在、全数検査が求められるためリードタイムが長く、ブ ラジルコストの一因となっております。

    それからクーリエでございますが、クーリエは航空会社 とかなり関連が強いんでございますが、 Varigのキャンセルにより、それから税関、検疫官のストで2月から6月まで大混乱でございました。それから国内線国際線ともに空港内施設の契約が更新 されず、入札やりなおしになる可能性ありといったことで、今後もコスト高のおそれがございます。

    それからあの、製鉄業界の構内物流でございますが、先ほども話がございましたが、年初にCSNにて高炉の事故が発生しております。ブラジル粗鋼生産が昨年 同期比10%減りまして、製鉄所構内の整備作業等が大幅に減っております。それから5月の賃上げ闘争にて土木、金属組合が強硬な戦術を展開しました。長期 のストが打たれまして、収益悪化に一層の拍車を掛けたという現実がございます。

    ここでちょっ と業界が変わりますが、ホテル業界でございます。ブラジルのホテル業界の2006年上期の稼働率は58%に近づきました。前年同期比5.3%増しでござい ました。会員のブルーツリーホテルの実績では外国人客が増加中でございます。例といたしまして、フランス人が昨年同期比16%増加、南米各国の人が23% 増加しているとのことです。

    同じ業界だと思いますが、旅行業界の現状でございます。南米国籍 者は日本、カナダ、米国などの査証の取得が非常に困難、これは前からそうでございますが、この状況が続いております。さらにVarigの問題がありまし て、航空会社のチョイスが減り、旅程にあった航空予約がとれないという状況がございまして、客が居て、旅費もあるが旅行ができないという新しい現象がおこ りつつあります。

    国内旅行に関しましては、先ほど来のVarigにより大混乱が起きておりま す。一方でCVCなど大手オペレーターが企画販売する国内パッケージ商品の伸びは大変よく、年末年始の休暇時期には10万人以上のサンパウロ市民がパッ ケージを利用したと言われています。行き先としましては東北地域のビーチリゾートが好調でございます。また一方でですね、ヨーロッパへの旅行が増える傾向 にございます。国内においては観光事業の環境整備が今後の課題でございましょう。

    で、最後に なりますが、通信業界でございます。現状、携帯電話が9,200万台、国民約3.5人に一台の計算かと思いますが、普及しております。うち81%がプリペ イド方式でございます。ブロードバンドは436万台になりました。本日何度も話が出ておりますが、デジタルテレビが日本使用をベースにすることが決定され ております。

    それからIP電話、インターネット電話が普及しつつあります。インターネット電 話サービスプロバイダーが増加しております。現在60社、1年で倍増したということでございます。それから政府関連でございますが、現在 NotaFiscalの電子化プロジェクトが進行中でございます。8月から19社がパイロットカンパニーが発行を開始しております。それから電子政府、こ れも一つのプロジェクトですが、国税、州税、市税に関する情報を共有化しようというプロジェクトが進行中ということでございます。
    運輸サービス部会は以上でございます。

    どうもありがとうございます。それじゃあ質疑応答に移らせていただきます。ご質問よろしくお願いします。よろしいでしょうか。それではどうもありがとうございました。

    それでは最後になりますが自動車部会の方から、岩村部会長に発表をよろしくお願いします。

     

    1. 航空業界

    ① 北半球、特に経済成長が著しい中国、アジアを中心に北米、欧州等活発な動きが継続している。
    ② 世界のメガキャリアーを中心にブロック化が進む中、一方ではLow Cost キャリアー が各地で台頭している。
    ③ 南米域内ではLANグループの動きが目立つ。 TAM、LANが暫く主導権を持つと思われる。
    ④ ブラジル国内では
    * Varigの衰退
    →北米行きは米国キャリア、欧州行きは欧州キャリアが主導権を握る
    →TAMとGOL2社でブラジル国内マーケットの90%を占める
    * Ocean Air, BRA 2社の台頭

    2. 海運業界

    ⑤ 輸出/レアル高で多少の落ち込みはあるが依然として堅調。
    ⑥ 輸入/アジアからの機械、雑貨などを中心に15%以上の伸びとなり、ピークシーズンを迎えスペース逼迫が予想される。
    ⑦ 港湾スト/港湾労働者、トラック業者、税関、検疫官など官民を問わずストライキが頻発、スケジュールの乱れ、滞船、貨物の積み残し、コンテナ不足など大きな影響がでた。7月に入り漸く沈静化しているが、予断を許さない。
    ⑧ サービス/目だったサービス改変、新規参入の動きは無く、スペース供給に大きな変化なし。 2006年下期は輸出では北米、欧州を中心に、輸入ではアジアを中心にスペースタイト感が高まる見込み。 燃料価格、港湾荷役料の高騰もあり、運賃は上昇傾向にある。

    3. フォワーダー業界

    一般
    (ア) 2006年1-5月の日本発全世界向け航空貨物は544,000トン(前年同期比7.5%)増。 うち中南米向けは5,000トン(世界の0.9%)
    (イ) 2006年下期はクリスマス商戦への荷動きに期待。 ワールドカップを負え、大統領選挙、PCCの動きの中、消費者の購買意欲が継続するかどうかが鍵。
    (ウ) 国際梱包基準にブラジルは加盟しており、本年5月15日に運用開始の予定であったが、運用則が現実的でなく運用開始当日キャンセルされ現在未定の状態。 現場では全数検査が求められているためリードタイム長く、ブラジルコストの一因となっている。

    クーリエ
    (エ) Varigのキャンセル、税関、検疫官のストで2月から6月まで大混乱であった。
    (オ) GRU/GIG共に空港内施設の契約が更新されず、入札やりなおしになる可能性あり。 コスト高のおそれあり。

    構内物流
    ① 年初にCSNにて高炉の事故が発生、上期のブラジル粗鋼生産が昨年同期比10%減となり、製鉄所構内の整備作業等が大幅に減った。
    ② 5月の賃上げ闘争にて各地の土木、金属組合が居9浮こうな戦術を展開し、長期のストが打たれ、収益悪化に一層の拍車を掛けた。

    4. ホテル業界
    (カ) ブラジルのホテル業界の2006年上期の稼働率は58%に近づき、前年同期比5.3%増。 売上高R$22億超。
    (キ) BHT実績では外国人客が増加中。フランス人が昨年同期比16%増加、南米23%増加。

    5. 旅行業界
    (ク) 海外旅行/南米国籍者は日本、カナダ、米国などの査証の取得が困難な状況が続いている。 加えて航空会社のチョイスが減り、旅程にあった航空予約がとれず、旅客が居る、旅費もあるが旅行ができないという過去にない現象がおこりつつある。
    (ケ) 国内旅行/Varigにより混乱。TAM、GOL、BRAなどにより様々な運賃設定が行われている。
    (コ) CVCなど大手オペレーターが企画販売する国内パッケージ商品の伸びは大変よく、年末年始の休暇時期には10万人以上のSP市民がパッケージを利用したと言われる。 行き先は東北地域のビーチリゾートが好調。
    (サ) ヨーロッパへの旅行が増える傾向にある。国内においては観光事業の環境整備が今後の課題。

    6. 通信業界
    (シ) 携帯電話9,200万台(国民3.5人に一台)、うち81%がプリペイド方式
    (ス) ブロードバンド 436万台(うちDSL80%、CATV16%など)
    (セ) デジタルテレビにつきISDB-T方式(日本仕様)をベースにする事を決定。
    (ソ) IP電話やインターネット電話が普及。 インターネット電話サービスプロバイダーが増加(60社、1年で倍増)
    (タ) Nota Fiscal の電子化。 8月から19社が発行開始
    (チ) 電子政府 - 国税、州税、市税に関する情報の共有化。

    以 上

     

     

  • 自動車部会


    岩村哲夫自動車部会長

     

    最後でだいぶお疲れでしょうけど、もう少しご辛抱をお願いいたします。自動車ですけども、まず四輪車ですね、これの生産状況ですけども、こちらにあるグラ フが今までの年間の生産台数、これを示しております。今年の上期ですね、これはあの昨年244万台ということで過去最高の生産台数になったわけですけど も、この好調さを引きずりながら上期としては4.4%の伸びを示しています。で、この合計数でいいますと、こちらにありますように、130万台と、先ほど のように前年比4.4%ということでございます。

    で2006年、今年下期を含めてどうかとい うことですと、ほぼ上期と同じようなですね、伸びが期待され、年間でおそらく4.5%ぐらいの伸びになろうということで、アンファビアの方で予測しており ます。その結果ですね、今年の生産台数としては256万台ということになり、過去最高これを更新するということになっております。

    であの、黄色とブルーが乗用車、それからブルーの方がトラック、こちらとなっております。それでは販売の方はどうかということでございますけども、販売に ついてはこちらに棒グラフで示していますけども、去年が172万台と、で、国内販売ですけど、今年の上期は実績として前年同期比7・6%の伸びと、ちょっ とずれてますけど86万1,000台ということで過去最高記録を更新してます。

    で、今年下期 はですね、若干下がるという予測がありますが、年間としては7.1%、まあ184万台程度まで伸びるだろうということで、まあこの184万台というのは、 実は1997年に187万台という市場最高を記録しておりますが、それに迫る台数になるだろうと。しかしながら場合によっては過去最高を更新する可能性も あるということでございます。

    で、特にですね、今年7月についてみますと17万2,300台 ということで、これが今までの過去最高だったわけですが、それに次ぐ16万5,800台という新車販売を記録しております。それでこの中でですね、非常に 調子がいいわけですけども、どんな車が売れているかということですが、主に全セグメントがのびているわけですが、その中でもですね、1リッターまでの小さ なやつはですね、前年比14%と、まあ全体が7.6%なんで、そのうちの1.0までの小さいやつが14%ということでかなり伸びていると。

    いわゆる今回の景気がですね、今までの要はAセグメント、Bセグメントの方々のみなならずですね、 BCセグメントの所得層の方にまで新車の購入の機会が出てきているというような状況がうかがわれると思います。またもう一方で伸びているのが、2リッター を超えるまあ輸入車中心の市場と、こちらが非常に伸びております。

    で話は変わるんですけど も、前回も2月にお話申し上げましたけども、今ブラジルではフレックス・フエル・ビークル、FFV、まあこれはご存知のようにガソリンでもアルコールでも どのような混合比でも走れるという車ですが、これが非常に伸びてきております。で、今年6月末でですね、新車販売の77.1%までがこのタイプの車になっ てきました。

    で、一時ですね、砂糖の価格が相場が非常に高くなっているということで、アル コールを生産せずに砂糖を生産したり、またさとうきびの端境期にあたったということもあって、アルコールの値段が一時高騰して今後の普及が危惧されたんで すけども、また供給が元に戻ると同時に値段も下がって、ガソリンに対してほぼ半分強の競争力をもつということになっております。

    で、まあ一方ではですね、メーカーによってはこの新車が全部FFVというようなことになっておりまして、まあ今後どのように伸びていくのかというのはです ね、ま車次第と、一言で言うと車次第と。で、まあ日本車、私どもも含めて今後FFVに参画するわけですけども、それがプラスになるのか、それともやはりガ ソリン車で取り扱いやすい車、これが伸びていくのかは、ここらへんは市場をちょっと見ていく必要があるだろうと。

    いずれにせよ市場の八割近くはFFVになったということでございます。で先ほどいろいろなところであった輸出、それから輸入の関係を自動車で見てみます と、輸出についてはですね、まああのレアル高ということで、前年比を1-6月では切っておりますと、しかしながら以前からもっと落ちるだろうといわれてい たレベルに比較しますとですね、かなり落ち込みは食い止められてるぞ、という感じであります。

    で、輸入につきましては、こちらにあるように、台数ベースで1-6月で126の伸びということであります、全体で。それでまあ高級車といいますか先ほど申 し上げた2.0リッター以上の車、ここがかなり輸入されていると、同時に各社ですね、利幅が大きいものですからそれを少し吐き出して販売価格を魅力的にし ていると、いうことで販売促進効果が出ております。

    続きまして二輪、モーターサイクルでござ います。で二輪につきましてはこちらにあるのが同様に生産台数の棒グラフ。それとこの折れ線がですね、販売、国内ですけども、国内の販売台数の推移という ことでございます。これを見てみますと今年の上期についてはですね、こちらにありますように生産が16.6%の伸びと。

    それで国内販売で見ますと20.6%の伸びということで、実数で申しますと71万2千台。それから販売が62万8千台という数字になっております。で下期 についても、若干落ちるかなという懸念もあるんですけど、ほぼ順当に行くかなと。で、生産台数でいくとですね、今年の見通しとしては133万5千台、まあ 135万くらいまでいくのかなと。それから国内の販売が116万ということでございます。

    な おこれが輸出ですけど、輸出についてはですね、ちょっともろにレアル高の影響を受けてて厳し目に見ております。で、先回二月に私の方から、まあ4年くらい 経ったら二輪の台数が、販売台数が、新車のですね、四輪の新車販売台数を抜くんじゃないかということを申し上げましたけども、まあ今のペースでいくと、新 規参入の、まあ特に中国トーカルなんですけども、こういう新規参入メーカ-とかが来てですね、もう少し低価格帯の二輪が普及するようになると、先ほど申し 上げましたように4、5年の後にはですね、二輪車の台数が四輪を抜くんじゃないかという期待をしております。

    で、輸出状況ですが、先ほど軽く、簡単に触れましたけども、もろに影響を受けてちょっと落ち込んでます。ああ失礼いたしました。前期はほぼ一緒と、去年並 と。でこの上期のほぼ一緒というレベルはですね、実はアメリカ向けの輸出が5月6月から開始されまして、これが引張ったという状況でございます。

    で通期で見ますとですね、若干落ちるのかなと。でまあ海外市場におけるブラジル製の二輪の価格競争力、まあコスト競争力と申しますか、これがなんと言って もですね、レアル高にも影響されもろに落ちてきていると。でまあ中国製とのコンペティション、競合では残念ながら勝てるような状況には無くなってきつつあ るというのが輸出市場から起こりつつあるということでございます。

    続きまして、自動車の部品 ですけども、こちらにある表はですね、ちょっと鮮明じゃありませんけども、この期間、2005年,2006年と前年同期に比べてどれだけ部品の売上が増え ているのかということを示しております。でまああの、一般的にはですね、販売は好調ですが、まあ国際価格の上昇にともなう鋼板を中心とした原材料費やガソ リン、原油などのエネルギー価格の高騰等によってですね、まあ材料費の高騰によって若干今後ウオッチング、まあ様子見が必要ということを言っております。 それとあと、輸出についてはさきほど、完成車と同じなんですけども、海外市場においてはかなり厳しい競争を強いられていると。

    またタイヤ等につきましてはですね、過去最高とされる06年総合台数に準じてタイヤ需要も拡大するという見込みは立ってますけども、同時に中国、東南アジ アからの輸入品の増加、また欧州からの中古タイヤの増加、輸入ですね、使用済みタイヤの増加、リモールドタイヤの増加等からですね、競合がまた厳しくなっ ているという報告が着ております。

    で最後に自動車部会としての個別テーマということですが、 まず一番に健全な二輪業界育成に向けた自主監視体制強化、これをですね、全面に出して進めていきたいと思います。で、これの意味するところと言いますのは ですね、先ほど触れましたけども、特に中国を中心として新規参入のメーカーさんがマナウスでの生産、工場を建てて生産を始めているという状況が増えており ますと。

    でこの際ですね、本当にそのマナウス地区で言われているPPB、つまり工程現調これ をきちっと守っているかとか、製品そのものに特許侵害がないかとか、そういう、それとあと作られている商品がきちっとブラジルにおける排ガス規制等をクリ アしているのかどうか、これをですね、検証できる体制を作って、まあ競合はウエルカムですけど、やはり同じ土俵で戦おうということでウオッチングを進め、 ひいてはお客様のために益となるような健全な業界を作っていきたいということでございます。

    で二番目としてはですね、先ほどからたびたび出てますけど、EPAに関わる業界内の課題、ま関わるというかこれに向けて解決していきたい課題でございます けども、まあ移転価格税制、それからあとはIPI、特に技術援助、ここらへんの契約の締結がスムーズにできるような体制を作ったり、それからまあ労働法、 労働組合、ビザ取得の簡易化、そういうことを進めていきたいと思います。

    特に移転価格につき ましては私委員長もかねてますけども、まあ非常に難しい問題ではございますけども、いろいろなところで発信、問題があるぞということを発信することによっ て、小さな一歩でも確実に進めていきたいということでですね、GIEとの共闘も含めて今進めているところでございます。以上自動車部会からの報告でござい ます。

    どうもありがとうございました。それでは質疑応答に移らせていただきます。ご質問どうでしょうか。どうぞ。

    (質)乗用車の中古市場、ブラジルではどうなっているのか。

    (答) あの、ご質問のありました中古市場ですけども、具体的なですね、統計というのがなかなか入手しがたいというところがあります。しかしながら、以前はです ね、中古というのが個々人管理の販売というのが極めて多かったんですけど、最近ではきちっとした系列、いわゆるメーカーの販売店経由の代替事業、代替を 行ってメーカーから中古車を買うっていう動きが非常に主流になってきております。で、大変申し訳ないんですけど、ちょっと数字的なことはございませんが、 当然新車の販売が伸びれば、それにまつわって、今申し上げましたようなトレードイン、下取りが増え、その下取りを、これ現金と一緒ですんで、販売店が販売 をし、中古車市場もふくらんでいると。まあ具体的にはいえませんけど、おそらく新車販売の四割から五割くらいの市場規模があると推測されます。

    どうぞ。

    (質) 輸出、為替レート関係、大変きびしくなっているとのこと。競争力維持のためコスト削減。電気電子業界では輸入部品で国産部品を代替する動き。自動車部品で はどのくらいそういう動きが出ているのか。あるいはブラジルでは従来常にチェックされてきた、原産部品の比率、ブラジル製のあれがどれくらい現地化してい るかという比率に影響は出ているのか。

    (答)まず四輪車について申し上げますと、他社様の状況 はちょっとわかりませんけども、私どもホンダでいいますとだいたい70%が現調比率であります。で二輪車でいいますと、一番売れているCGチタンというモ デルがあるわけですが、ウエイトベース、車の重さベースでいくと98%がブラジル製、それと価格ベースでいうと約93%とそういうような状況になっていま す。で、今レアル高というのは日本製の部品、もしくは他の国から入ってくる部品というのは非常に競争力があるということで、ややもすると甘えてしまって現 地化の努力を怠りがちなんですけど、そこは過去の教訓を十二分に学びながらちょっとどこまでの競争力のあるものを現調化しているかというのはちょっとこの 場では申し上げられませんけども、かなりのペースで現地調達化は進めております。

    ありがとうございます。ほかございませんでしょうか。どうぞ

    (質) さきほど田中会頭、中古市場の質問。中古のタイヤはどういう事情なんでしょうか。新聞で読みますと日本から中古のタイヤが東南アジアに相当行っているとい うふうに聞いていますが、ブラジルに対して中古タイヤが入ってくるのか来ないのか、将来相当真剣な問題になるのか。時々経済誌でも中古タイヤの輸入につい て記事出ている。ご説明を。

    (答)さきほど若干触れましたが、中古につきましてはですね、ブラ ジルの場合は特にヨーロッパの中古タイヤが入ってきてます。特にトラックとかバスとかああいう大きなものが多いというのを聞いております。で中古が入って きて何をするのかというと、リモールド、要はタイヤの上にまた走行面に接するところにゴムを貼るわけですね、ですからみなさん道路わきにタイヤの切れはし みたいのが散乱しているのをよく見かけると思いますけど、あれはトラックのリモールド、いわゆるはりつけたやつが途中ではがれた残骸ですね。ということで たいへん今増えてきて、何万本というのは分かりませんが、増えてきているというのをブリジストンさんから聞いております。であと、中古以外には中国東南ア ジアの方から安い、これは新品なんですけどタイヤが入って来ていると。まあ何らかの対応を取らない限り、またこの為替が続く限り、このブラジルに対する中 古タイヤの流れというのは止まらないだろうといわれております。

    ありがとうございます。ほかご質問よろしいでしょうか。それでは岩村部会長ありがとうございました。
    それでは最後に、ブラジリアの方からお越しいただきました大竹公使にご講評をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

     

     

  • 講評 大竹茂公使


    在ブラジル日本国大使館 大竹茂公使

    大竹でございます。今日は現場の皆さんから生の情報をお聞かせいただいて非常に参考になりました。どうもありがとうございました。あの、先ほど西林総領事 の方からもちょっとお話があったんですけども、今のブラジリアの大きな流れとしましては、堀村大使が7月3日に帰国されまして、後任の大使がおそらく九月 の末か十月ごろということで、今山口公使が臨時代理大使ということで大使の役職を兼務されているという状況にあります。

    それから、みなさまがたには非常にここでお礼を申し上げたいと思いますのは、これまで特に堀村大使の時代に、地方での経済セミナーというのを何回かさせて いただきまして、おそらく大変だったと思います。一応それにもかかわらず大勢の方に協力いただきまして、その結果非常に、地方も含めて、中央政府も含め て、今もそのときの政府関係、政治家の方からお礼のレターが届いているという状況でありまして、こういうものもあいまって、今回のデジタルテレビの日本方 式の採用というものに相当大きな底力といいますか、用意になったのではないかということで、ここであらためて商工会議所のみなさんのご協力に対して心から 御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。

    で、今話がありましたデジタルテレ ビ、それからエタノール、これが直近の具体的な案件として今大きく動いております。デジタルテレビにつきましては、六月の29日に正式発表があった以降急 速に物事が進んでおりまして、作業部会五つですかね、作業部会を作ることで、あとそのメンバーを選定して近々にも第一回の会合を開くということで、非常に お互い相当スピード感をもって進めているということで、逆に言うとこれはいいかげんな対応もできないなということで、日本側も相当総務省が中心となって相 当力が入っているという感じを受けています。

    それからエタノールの方は、おそらくこれは皆様 の方がよくフォローしてらっしゃると思いますけども、政府レベルでもうかなりいろんな動きが出ておりまして、いろんな具体的なプロジェクトの研究が今ス タートしておるようです。そういう意味ではこの案件もですね、これから日伯の経済関係の具体的な動きのひとつということで、非常に大きなプロジェクトに なっていくんじゃないかなということで、一方はブラジルの近代産業への貢献ということで、ハイテク産業での経済協力ということで、もう一方ではエネルギー という非常に日本にとっても重要な分野、それと環境保全という意味でも非常に重要な面での日伯の経済交流といいますか、協力というものが実際に動き出しは じめていると。

    そういう中にあって2008年は日伯交流年ということで、経済関係のみなら ず、人的な交流、文化的な交流、そういうものも含めてそこをさらに大きな日伯関係の出発点にしようということは非常に時宜を得たことではないかなというよ うに考えております。それでさきほどちょっとお話があったんですけど、両首脳の相互訪問の際にですね、日伯二十一世紀協議会というものを作ろうと。それか ら今後の日伯関係のあり方について両国首脳に提言しようという話がありまして、それが終わりまして、7月の最後の週ですけど、日本側で会議が行われまし て、すでに小泉総理には提言書が出されております。

    その中で、経済関係については、日伯両国 は官民が一体となって両国経済関係の再活性化を推進すべきであると。そのためにEPA/ETAを含む新しい包括的戦略についての研究や議論を促進すること が必要になると。この努力は2008年の交流年を重要な契機として加速されるということで、あえてここにですね、経済関係の現在考えられる最終的な理想形 といいますか、その自由な形態といいますか、その経済連携協定というものを加速してスタディーしようというものが正式に織り込まれております。これは今後 やはりお互いに研究を推進しなくてはならない。

    その一つの背景としてはWTOが、残念なが ら、失敗とは行っておりませんけども、これが中断しております。でお互いにまずWTOでマルチの経済関係を作って、それからバイのFTA等は補完的にやっ ていこうというスタンスだったものですから、ブラジル側も日本側もですね、まずWTOに専念しようということでやってきたんですが、残念ながら合意にいた らず一時中断と。この一時というのが何ヶ月になるのか何年になるのかこれは分かりませんけれども、いま一時中断。そうすると今、マルチの、多国間での交渉 が行き詰まったという状況において、今後は二国間、この FTA、EPAというものに注目されることになってきます。

    そういう意味で、よく新聞なんかでも、EUがブラジルといいますかメルコスールと近々にもFTAの再交渉を開始するんではないかというような動きになって いるのはそのような背景があります。そういう意味でEPAもFTAも経済関係の大きな枠組みというふうなものになってきますので、今後やはりブラジルとの 間、メルコスースとの間で遅れを取らないと、そういう考えの中でですね、どうしてもそういう研究について、加速していかなければならないと、そういう必要 性が迫られるかもしれません。

    まあそういう意味で、皆さんにも前々からちょっとお話させてい ただいたEPA、FTAというものも一応この両首脳に対する経済活性化の手段ということで織り込まれましたということを、ここで改めて報告しておきたいと 思います。以上の点を踏まえまして、私としましては、大使館としては前々から皆様にお話しておりますように、個別の案件、いままでのお話をお伺いします と、おおむね皆様の事業というのは順調にいってらっしゃるというふうなことを感じました。

    た だしやはりいろいろな個別の問題というものもおそらくお持ちになっているところもあると思いますので、そういうときは遠慮なく大使館、または総領事館の方 に気軽に相談していただければ、できる範囲内で対応したいというふうに思っておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。本日はどうもありが とうございました。

     

  • 閉会の辞 松田雅信総務委員長

    松田雅信総務委員長

     

    大竹公使どうもありがとうございました。みなさんどうもありがとうございます。ほぼ予定通りですね、五時半ということで今回は終了することができました。 皆様のご協力に対して御礼申し上げます。また今後ともですね、ご協力のほどよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

     

 

開催日:2006年8月3日(木)

会場:Hotel Crown Plaza

時間:午後2時から5時30分

2006年上期業種別部会長懇談会

 

ブラジル日本商工会議所総務委員会(多田稔委員長)及び企画戦略委員会(金岡正洋委員長)共催の「 2006年上期の業種別部会長懇談会」は、2月7日午後1時30分~5時30 分、クラウン・プラザホテルで開催された。多田委員長司会の下、 11 業種別部会長、副部会長や部会長代理により、共通テーマ「 2005 年度の回顧と2006年の展望」や個別テーマについて発表した。

2005年度の回顧では、高金利、ドル安、経済成長率の低下、旱魃などが業績に影響したが、2006年度の展望では、大統領選挙、ワールドカップ、公共 投資などの特需で、多くの部会では景気向上を予想していた。 各部会の発表後には、発表者を困らせる質問も浴びせられ、活発な質疑応答が交わされた。

当日の出席者、各部会代表の発表者は次の通り。

・会頭 田中 信(リベルコン・ビジネス)
・司会 多田 稔総務委員長(伯国三菱商事)
・金岡正洋委員長(日本スチール)

各部会発表者

・赤嶺尚由コンサルタント副部会長(ソール・ナッセンテ)
・福田勝美金融部会長(みずほコーポレート銀行)
・三分一克則貿易部会長代理(島津)
・板垣義実化学品部会長(スリーボンド)
・嶋末繁機械金属部会長(三菱重工)
・今井達男繊維部会長(日清紡)
・廣田喬司食品副部会長(日清味の素アリメントス)
・盤若幸雄電気電子副部会長(NEC)
・阿部 勇建設不動産部会長(ブラジル戸田建設)
・平野侯一運輸サービス部会長(日本通運)
・岩村哲夫自動車副部会長(ホンダ)

オブザーバー

・西林万寿夫総領事
・中川浩治書記官

 

 

  • 司会の言葉


    多田稔総務委員長(左)

      えー、定刻より少し遅れておりますけれども、恒例の業種別部会長懇談会を開催させていただきます。まああの、通常と変わりませんけども、これは総務委員 会と企画戦略委員会の共催ということで、本日は私が、総務委員長の多田ですが、司会をつとめさせていただきます。で、今日はですね。まあ商工会議所のメン バー以外にも広く邦字新聞を通じてですね、一般の方々の参加も呼びかけておりますし、領事館からは西林総領事と土肥領事、それから大使館の方から中川書記 官に来ていただいております。後ほどご講評をいただくことにしたいと思っております。

    であの、この部会長懇談会はですね、私思いますに、商工会議所の十一の部会の各代表の方が前年の回顧と今年の展望、見通しということでお話をされるわけで、今 ブラジルで経済的に、あるいは政治的に何が起こっているかというのを理解する上では、我々にとっては最もいい場ではないだろうかというふうに自負しており まして。是非これを参考に事業戦略の展開にも取り入れていただければというふうに思っております。まず最初に、商工会議所会頭の田中さんの方からまずごあ いさつをお願いします。

     

  • 挨拶 田中信会頭


    田中信会頭

    皆さんこんにちは。座って話させていただきます。

    本日は当会議所のメインイベントである業種別部会長懇談会にご多忙中にもかかわらず多数ご出席頂きまことにありがとうございます。特に西林総領事以下サ ンパウロ総領事館の皆様、およびブラジリアの大使館からわざわざご来聖いただいた中川書記官には厚く御礼申し上げます。さらに西林総領事、および中川書記 官には最後に講評をいただくことになっております。何卒宜しくお願いします。

    それから先ほ ど多田委員長の方からご紹介がありましたように、本日は多数の珍しい方々も参加していただいております。堤・リオ商工会議所の会頭、それからわれわれの先 輩であります、前副会頭の岡田さんがですね、わざわざこのために日本からかけつけたとおっしゃっていただいておりますが、まあそういうことで日本からわざ わざご出席いただいおります。

    この懇談会は一年2回、年初と年央にブラジル経済の回顧と展望を実施することになっており、今回は2005年を回顧し、2006年の展望を行うものであります。
    古い方には繰り返しになり恐縮ですが、新しい方もかなり増えておられるので、最初に、懇談会の簡単な歴史をご紹介させていただきたいと思います。

    現在の皆さんには想像されるのが難しいと思いますが、1970年代初め、「ブラジル経済の奇跡」といわれた時代、欧米企業に伍して日本企業も怒涛のよう にブラジルに進出しました。まさに、殺到する、という表現がふさわしい状況でした。当会議所もそれに対応しまして組織改革を行い、業種別に10部会が作ら れ、会員はいずれかの部会に所属することになりました。さらに二年前、機会部会から自動車部会が独立し、現在11部会になっていることは皆さんご承知の通 りであります。
    私事にわたり恐縮ですが、その時ここにおられます山田監事会議長と私がコンサルタント部会創立に参画、私が初代コンサルタント部会長に選任されました。
    こ の部会長懇談会はそれからまもなく開始されましたので、30年余の歴史を有する由緒ある行事です。当初はコンサルタント部会の行事として、コンサルタント 部会長が司会役でした。その後会議所の組織に総務委員会が新設され、同委員長が司会する会議所の全体行事となり、さらに最近は総務および企画戦略両委員会 の共催となっております。

    近年「開かれた会議所」の方針に則り、一般ブラジル社会にも開放し、会員以外でも自由に参加できるようになっております。日本語の理解が難しい参加者のためポルトガル語の同時通訳も用意しております。

    この会議では各業種別部会の代表者から生の声でそれぞれの業界の直近の動向が発表されます。この発表のため各部会は部会長さんを中心に自社業績や業界の動向を分析し、その結果を検討整理されますので、各社の経営戦略の決定に極めて役立つものと思います。

    さらにこのプロセスを通じてメンバー各社の親睦にも役立つものと思います。さらに外部の企業、学校、研究所など外部機関にとってもブラジルの現状把握に役立つ、数少ない信頼すべきデータと評価されております。

    昨年2005年のブラジルは、政権を担当するPTの選挙資金調達をめぐるスキャンダルによりジェノイーノ党首以下主要幹部が退任を余儀なくされ、最大の 権力者であるジョゼ・ジルセウ官房長官(当時)の議員資格が剥奪されるなど、政治面では大揺れに揺れたとしでありました。
    しかし心配された経済への影響はなく、ブラジル経済は輸出額、貿易収支、経常収支、カントリーリスク、インフレ率、財政プライマリー収支、株価などほとんど全ての重要な指数が記録を更新しました。

    本年も米国、中国の景気持続、日本経済の回復など世界経済の追い風は続くものと予想されますので、ブラジル経済も2004年、2005年に引き続き持続 的な成長が期待されます。特に本年は六月のワールドカップに次いで十月の大統領選挙が二つのメインイベントで、いずれも経済にプラスに作用するものと期待 されます。
    わがブラジル日本商工会議所の会員数は現在、法人会員287社、個人会員13人で、計300です。法人会員の内訳は、日本の進出企業143社、日系地場企業90社。ブラジル企業36社、欧米企業18社で日本からの進出企業は50%弱であります。

    70年代の最盛期には日本からの進出企業が全体の70%以上を占めていたことを考えると今昔の感があります。法人会員数は1980年代以降ずっと減少傾 向を続けてきましたが、2003年の272社で底を打ちまして、上昇に転じました。ただし日本からの進出企業の入会も最近増えてはきましたが、いまだ退会 数の方が多く差し引き残高では減少が続いており、現地企業会員の増加でカバーして全体で増加しているのが現状です。

    「開かれた会議所」「チャレンジする会議所」「全員参加の会議所」という基本方針の下、本年は昨年に続き次の三つの重点施策を掲げております。

    第一は日伯関係の強化であります。一昨年の小泉首相訪伯、昨年のルーラ大統領訪日を契機として、日伯経済関係強化、特に日伯EPA(経済連携交渉)早期締結に向けての活動強化を継続する。

    第二は会員増強により会議所の財務体質を強化するとともに、会員へのメリット拡大を目指す。まだ主要他国商工会議所との連携強化により、提言能力、対外発言力を強化する。

    第三は日本移民100周年事業への協力であります。100周年を二年後に控え、目玉となる事業がまだ明らかではありませんが、事業主体である100周年祭典協会の動向を注視しつつ、会議所としての協力の方策を検討継続する予定であります。

    本年は当会議所の源流でありますサンパウロ商業協会が発足してからちょうど80周年の節目にあたります。
    日 伯経済関係も80年代、90年代の「失われた20年」を経過し最近ようやく多少の動意が見られるようになりました。会議所の活動は会員のニーズに応えるこ とを重要課題としており、活動分野も拡大するとともに、一段と精緻さが必要とされるようになっております。昨年一年間だけとりましても「移転価格税制検討 委員会」「日伯EPA共同研究分科会」「移民100周年分科会」「企業の社会的責任活動分科会」の四つの委員会、分科会が設立されました。

    以上の通り最近の会議所を取り巻く情勢は多岐にわたり、しかも激しく変化しております。我々は迅速かつ的確に対応していくことが必要だと思います。
    それと同時に一方では、「去年(こぞ)今年(ことし)貫く(つらぬく)棒の如きもの」という、有名な俳人高浜虚子の句がありますが、変化を越えて確たる太い棒のようなものがあることも忘れてはならないと思います。

    最後にこの会の担当である総務および企画戦略両委員会、業種別部会および事務局のみなさん、バックアップしてくれた全会員の皆さんのご尽力に心から感謝の意を表しまして私のあいさつを終わります。ご静聴ありがとうございました。

    〈司会〉田中会頭どうもありがとうございます。あの、今日の懇談会は、3時15分にいったんコーヒーブレイクに入って、最終的には5時半前後に終わるこ とを目標としております。で、あの、皆様それぞれご都合がおありでしょうから、なるべくこの時間内で収めるべく皆様のご協力をお願いしたいと思います。

    コーヒーブレイクの前には、五つの部会から発表をいただいて、3時半以降、これはどうなるか分かりませんが、六つの部会の発表をお願いします。で、発表 者の方にはですね、一応前もってお願いしておりまして、10分間でご発言いただいて、その後5分ほど質疑応答に使いたいと思っております。

    ちょうど発表者の席がひとつでございますので、まあいまちょうど田中会頭が座っておられるところですが、発表者の方は席にちょうど席にあります名札をお 持ちいただいて、その名札を立てていただいて発表していただくと、それでお名前も皆さんに分かるということなので、ひとつよろしくお願いいたします。

    最初はまず、コンサルタント部会ということで、人材銀行の赤嶺さんに発表をお願いしたいと思います。大丈夫ですか。もうよろしいですか。いや、遅れて来られたんで順番替えてもよろしいですけど、大丈夫ですか。じゃあよろしくお願いします。

  • コンサルタント部会


    赤嶺尚由コンサルタント副部会長

     

    えー、ちょっと事情がありまして、5分間遅れたことをあらかじめお詫び申し上げます。

    ただいまご紹介に預かりました、コンサルタント部会副部会長の赤嶺でございます。私の取り上げる報告と発表といいいますのは、タイトルは一応「今年の大 統領選挙をこう考える」、こう見るという観点から、皆様のご意見を後で是非うかがいたいと、こういうふうに考えております。

    会場にいらっしゃる西林万寿夫在サンパウロ総領事、歴史有る我らの、開かれた、チャレンジするブラジル日本商工会議所の田中信会頭、本日の業種部会長懇 談会の準備や運営のためにたいへんに汗を流してくださっている多田総務委員会委員長、金岡企画戦略委員会委員長をはじめ、また、多分お役目柄でしょうか、 少しきつめの視線を向けていらっしゃる山田監事会議長をはじめ、ご出席くださった大勢の皆様方を目の前にして、すこしネルボーゾであります。ちょっと緊張 しております。

    少し私の緊張感を解く意味と、もうこういう古き良き時代の業種別部会長懇談 会に関するたいへん懐かしい、また微笑ましい思い出をご存知の方も少なくなっているというふうに思いますので、また西林総領事もご多忙中の所わざわざご出 席いただいておりますので、そういったちょっと微笑ましくも懐かしい、いやむしろ愉快な事柄から先に少しお話させていただきます。

    先ほど壇上に立たれた田中信会頭は、現在の要職に就かれる前に、私の記憶ではおよそ30年近くも、伝統あるコンサルタント部会の万年部会長を務められ、 もちろん、されあに伝統あるこの業種別部会長懇談会でも第一番目の報告者を担当されるのがいつの間にか一つの不文律みたいになり、そしていつも期待に違わ ず立派な、内容がしっかりして立派な報告をなさいました。

    ところがであります。その田中コ ンサルタント部会長の一つの難点、といいますか難しいところは、当時から時間にはやはりたいへんうるさかった総務委員会で決められた制限時間を守らないこ との常習犯で、いや守るどころか、時間は使うためにある、規則は破るためにあるというような、こう非常に柔らかい考え方というか柔軟性に富んだものの考え 方をしていらして、それがまた私たち関係者の非常に頭痛の種でもありました。

    そこで当時の 総務委員会では、特別に田中部会長対策として編み出されたのが、クロノメーターと呼び鈴を使って厳しく時間を測定し、物理的な力でもって有無をいわさずな んとか押さえ込もうとこういうことでございました。ここでもう一回、「ところがです」を繰り返さなければなりません。ところが、ある年の上半期か下半期の 部会長懇談会の時だったと覚えていますが、制限時間前の9分の時点でチンと呼び鈴を一回合図し、制限時間10分ぎりぎりでチン、チンと二回呼び鈴で合図し ても、まさに平気の平左。田中部会長は、当時の総務副委員長として計測係を仰せつかっていた私の方をチラッと視線を送られただけで、後は何事もなかったよ うに、再び涼しいお顔で報告発表を続けられ、また、事もあろうに制限時間の二倍、つまり20分を軽く越す大きく長い報告をなさいました。

    こうなりますとご本人の自覚の問題ですから、もう物理的な方法では何とも手におえないと、こういうふうになりました。いやあ、さすがに将来の歴史ある日 本商工会議所の会頭になられる方の心臓は強くて太いと、太いわいと、改めて感じた次第であります。それから間もなく経って、晴れて当会議所の会頭となられ ました。

    そこで、本日の多田、金岡両委員長、いやとりわけ田中会頭には、あの時のちょっと した恩返し、あるいは借金の一部でも返済していただく意味で、本日の私の拙い話にも、10分とは申しませんが、ややそれに近い制限時間のご猶予をいただき たいと、こういうふうに考えております。でもできるだけ駆け足で、私の報告をさせていただきます。

    それでは、少し気持ちも落ち着いたところで、私の本日の報告に移ります。今年のブラジルは俗に「政治の年」と言われてます。それは、4年に一度の大統 領、27州知事、上院議員の定員の三分の二に相当する54議席の改選、513人の下院議員全員を一緒に選ぶための総選挙が10月1日に同時に行われるから であります。

    その中の注目の的は、大統領選挙の行方がどうなるか、さらにその中でも最も大 事な焦点は、ルーラ大統領の再選続投が果たして実現するかどうかにあると私は考えます。以下、二人ともまだ正式には決まっていませんけども、ルーラ候補と セーラ候補というふうに省略させていただきます。

    えー、なお、政権の座を握ってから、昔極 端に、2002年の選挙前には極端に左よりだったPTは中道の方へ、真ん中の方へ。同じく左翼の、左の色合いをはっきりさせていたPSDBも中道の方にと いうふうに向かってこう収斂していきつつありますので、二つとも、PTもPSDBも限りなく党の色合いが似たような、近づいたような感じを受けます。選挙 での票稼ぎをかなり意識した、つまり左がかった極端な党の色合いでは勝てないと、中道に位置しなければなかなか一般の票を稼げないという、党としての政党 としての軌道の修整ではないか、というふうに私は受け止めております。

    ここで、私の本日の 報告の結論部分から、一番言いたい部分から先に申し上げたいと思います。肝心の大統領選挙で誰が勝つのかについては、あと8カ月以上もありますので、おそ らく今年八月の下半期の当業種別部会長懇談会の時点ではもう少しはっきり申し上げることができると思いますが、本席ではどうしても当たるも八卦、当たらぬ も、という要素が強いような、不透明な、霧の中の不透明な感じをと言いますか、その側面を伴わざるを得ませんが、私は目下のところ今年の大統領選挙は、 1997年の憲法修正案が承認され翌年の大統領選挙から適用されたように、PrimeiroTurno、第一次投票で50%プラス一票の絶対過半数を獲得 した候補が現われませんと、上位二者に絞ってSegundoTurno、第二次投票、以下決選投票と省略させていただきます、の段階に進み、勝敗の決着を つける仕組みになっております。

    えー、現段階では予選投票の段階でいきなり絶対過半数、 50%プラス一票をとれる候補はまず現われそうにありませんから、最後の戦いに挑む公算が非常に大きいのは、PTを中心とする現在の与党陣営のルーラ候補 (当年60歳)とPSDBやPFLが連立を組む形で野党陣営に後押しされるセーラ候補(当年63歳)の顔合わせになりそうな気がしております。

    そしてずばり、セーラ、野党陣営のセーラ候補が最後まで与党陣営のルーラ候補と激しい接戦を展開した結果、セーラ候補の当選を予想しております。あるい は、もうちょっと踏み込ませて頂いて、そういった可能性を相当程度に肌身で感じつつ、またすでにこの国へ帰化していて、たった一票ではありますが選挙の都 度欠かさず選挙権を行使してきております私のささやかな期待でもあります。こういうことを申し上げていいかどうか分かりませんが、私の主観であります。

    先につい本日の私の報告の結論を申し上げたところで、続いてなぜそう見るのか、何故そう考えるのかを説明するのに是非とも追加補足しておかなければなら ない事柄があります。現職の大統領というたいへんに恵まれた立場にあって、まだいろいろな行政マシーン、行政組織をフルに利用できる活用できるルーラ大統 領が、まず最低賃金をこれまでの300レアルから350レアルに、かなり大幅な調整を実施すると、選挙結果を考慮にいれた措置を早々と発表しております。

    さらにIMFへの百五十億ドルの負債を前倒し式に一括返済したこと。レアル高とドル安という逆風が吹く中で、何とか輸出の好調に支えられて四百五十億ド ルを目前とした大幅な貿易黒字と経常収支を計上したこと。原油の国際相場が急騰している中で何とか石油の自給率を達成したこと。

    中南米諸国で社会主義を標榜する、ちょっとこう左がかった政権を標榜する、そういう政権が次々誕生して、それがどうもルーラ候補の背中を後押ししそうな ことなど、ルーラ大統領の再選続投への戦いを、先ほども申し上げたように、後押ししてくれそうなその材料にも事欠きませんが、一番効果を発揮しそうな、秘 密兵器といってもいいものは、やはり最低賃金の、現下の財政状況のもとで許される思い切った最低賃金の調整だというふうに私は考えております。

    やはり現職にあるものの強みでしょうが、四月一日から、普通は五月一日ですが、一ヶ月も前倒しに実施される、公式インフレ指数が、確か先日の新聞で 5.69%ですか、というふうに報じられていましたけれども、それを差し引いても実質11%内外の思い切った調整。私はあえて思い切った調整というふうに 申し上げますが、そういったものが選挙にもたらす広報は数千万人の貧困者がなお生活しているというこの国の状況を考慮に入れますと、とにかく抜群の効果を 上げるような気がしてならないわけです。

    単に最賃だけを引き上げればいいというものではな くて、年金、恩給への連動調整分を計算に入れますと46億レアルもの追加支出を覚悟しなければならず、現在の財政情勢の下ではちょっと、先ほども申し上げ ましたけども、ちょっと無謀かな、無理かなというような思い切った引き上げを四月一日からというふうに決定し、今テレビや新聞で大きくPRしている最中で あります。

    えー、ルーラ大統領はすでに選挙運動をはじめていると言っても間違いないと思い ます。えー、一方ルーラ大統領の再選続投への戦いを非常に厳しくさせそうなものは、特に政治行政面で目立った得点が上げられず、とりわけ2002年の大統 領選挙で初当選を果たした時に一般国民ができるだけ暮らしやすい、暮らしやすくなるように、この国をムダンサ、単なる変化というよりももっと強い意味の、 変革という意味でしょうか、させてみせるとかいろんな公約を掲げながらほとんど公約倒れとか、不履行の形に終わってしまっているからだと思います。

    それがルーラ候補の大統領の再選続投を阻む最も、最もとはいいませんが大きな要素のひとつになるというふうに考えております。その反対に一方のセーラ陣 営は、政治面でまず一般国民を見方すべきはずの時の政権と政権与党を巻き込み、闇の世界の中でやりとりされた政治買収資金のうち使途不明金だけでもまだ 50億レアルから60億レアルに達しついにこの国の史上最大の規模に達してしまったという今回の超大型の不正汚職事件を選挙戦で徹底的に追求しながら、着 実に、支持率といいますか、得点を重ねていき、そして大統領陣営に積極的に攻め込んでいくというような作戦を展開するように考えられます。

    ここで、ちょっと私の手前味噌になりますが、昨年二月二十六日でしたか、ちょうどこの部会長懇談会の上半期の懇談会が開かれた時に、当時はルーラ候補の 当選確率が80%にも達して、場合によっては予選投票の段階で早々と決着がつきそうだというふうに多くの観測筋が見ておりました。
    その中には有名 なフォーリャのコラムニストで、国際的に大きなイベントがある時の取材にもかりだされているクロービス・ロスという、まあ現在の新聞界では本当に国際的 に、おそらく国際的に外国では国内よりも知られているクロービス・ロスという記者がおりますけども、彼も本当に時の政権与党にはいつも厳しい批判を重ねて いますけれども、ルーラ再選はまちがいないというふうに太鼓判を押していました。

    私はそう いう、ちょうど敵なしの有利な立場にあるルーラ大統領とPTにもし予期せぬとっぴなことが起こるとすれば、それは大型の不正事件に巻き込まれることだろう というふうに申し上げた事を今でもはっきりと覚えています。事件が発生する前から四カ月近い、三カ月ちょっと、あと少しで四カ月という時点でしたが、それ は何も手柄話をするためではなく、今回のブラジル史上最大の不正汚職事件というからには、かなり政界の、その当時の以前から、おそらく私の観測では2、3 年前から、数年前からかなり政界の奥深く巣食っていて時間をかけてゆっくりと次第に漏れ出し、そういう形で昨年六月六日についに暴露されてしまったという ふうに思います。

    ご参考までに、時の政権と政権与党を巻き込んだブラジル史上最も大きな不 正事件に発展してしまった今回の事件から、ルーラ大統領が大統領選挙の面で受ける打撃はすでに20%程度の世論調査の面での支持率の低下となって現われて いるように伝えられています。もちろん支持率はいつもエレベータのように上下を繰り返していますから、これから次第に回復していくということも考えられま すが、それを単純に、私なりに試みに計算してみました。

    この20%の支持率が、これからずっと選挙まで、今年10月1日の大統領選挙の決選投 票まで続くというふうに仮定しまして、2002年の決選投票に進んだ二人の票数をベースにして試みの計算をしてみたところ、ルーラ候補の当時獲得した 5279万票、全体の61.3%でしたが、まず5279万票から20%をマイナスしたら4210万票(4223万?)となり、反対にセーラ候補が獲得した 3337万票、36.何%ですが、それから逆にプラスしました4397万票となり、180万票台のまだかなり接戦と表現してもよい展開になることがわかり ました。

    しかしこれは私というど素人の興味本位の試算ですから、あくまでもご参考という意 味合いを込めてでございます。ちょうど時間が到達したようですので、私の結論をあと一分間くらいで急ぎます。2002年よりも手に汗を握るたいへんな激戦 を展開し、見る側にとっては非常に面白い展開になりそうな予感がすでにしております。

    ブラ ジルは名物のカーニバルやフットボールの覇者になりそうな予感が今年は特にします。ブラジルがコッパのチャンピオンだろうと。ブラジルと日本で覇者を争っ てほしいという気持ちが私はことさらに強いですけども、ブラジルは名物のカーニバルやフットボールをご覧になってもよくお分かりの通り、総じて明るい、楽 しいお国柄ですが、選挙戦の時だけは相手を罵り合い、足を引っ張る泥仕合もよく見られます。

    結論を繰りかえします。今年の大統領の決選投票の第二回にいたるまでの熱い争点、戦いのポイントは、どうも最低賃金の思い切った調整からもたらされる経 済面でのプラス効果をいったいどれくらいまでルーラ候補が受けることができて再選続投へつなぐことができるか、あるいはこのブラジル歴史始まって以来の超 大型の不正汚職事件と言われる今回の事件から、政治面でのマイナス効果がこの同じようにルーラ候補にもたらされるのか。

    最低賃金のプラス効果と不正汚職事件のマイナス効果が激しくぶつかりながら、ポラリザソン、二極化を描きながら決選投票に向かってなだれ込んでいくというような感じがしているところでございます。10分間をちょうど2分間ぐらい・・・

    (司会)えー、よろしいですか?

    (赤嶺)たいへん失礼しました。

    (司 会)どうも赤嶺さんありがとうございました。すいません、司会がちょっと大失敗しましてですね。発表者の前にタイムキーパーがおりまして、一応10分でス ピーチをお願いしますので、8分経ったところで黄色い札を見せますので、それが見えたらそろそろまとめに入ってくださいという意味でございまして、これを 私、赤嶺さんに言うのを忘れておりました。失礼しました。

    (赤嶺)私は当時、時計計測係を言い付かって、失態をおかしてしまいました。

    (司会)大丈夫です。全体の時間は一応余裕とってありますので。ここでフロアの方から何かご質問、ご意見ありますか。主に、政治、大統領選挙に関してですが。特になければ、ありますか、はいどうぞ。

    (質問)(PSDB候補が当選が日伯経済関係に影響をおよぼす可能性について)

    (赤 嶺)その点については、私は、マクロといいますか、そういう面での専門家ではもちろんありませんが、私は総体的に経済政策では、マクロ面での経済政策の大 幅な変化はないというふうに申し上げたいと思います。特にジョゼ・セーラになっても、日本とブラジルの関係は強まることこそすれ、弱まることはない、とい うふうに思っております。

    これはFHC前大統領がセーラの後ろにはついておりますし、知恵 の参謀という形でついているようですし、PSDBという政党もかなりしっかりした、安定した政党のように思いますので、急激な政策の変化、日伯関係のあれ はむしろ総領事あたりにお伺いしたほうが言いと思いますが、私はただ経済政策、ミクロといいますか、例えば金利とか為替の相場、金利高、為替のちょっとレ アル高とドル安の極端な為替相場、そういったもの、もうひとつあるはずなんですが、そういったものはジョゼ・セーラもすでに言っておりますようにかなり急 激に大幅に是正されていく、改められていくという感じがします。
    その改め方は、FHCからルーラになった時より、ルーラからジョゼ・セーラになっ た時の方が、為替相場とか金利高の是正の仕方は大きな変化を伴うと、伴うに違いないと。それでなければセーラ政権もちょっとやっていけないだろうと、こう いうような感じがします。たいへん申し上げございません。時間をたいへんに超過しました。お許しくださいますよう、

    (司会)どうもありがとうございました。ちょうど為替とか金利とかいう話出ましたので、次に金融部会の代表で、みずほの福田さんに発表をお願いいたします。

     

    <今年の大統領選挙をこう考える>

    会場の一般席煮座っていらっしゃる西林万寿夫在サンパウロ日本総領事、歴史ある我らの開かれたチャレンジするブラジル日本会議所の田中信会頭、本日の業種 別部会長懇談会の準備や運営のために大変に汗を流して下さっている多田総務委員会委員長、金岡企画戦略委員会委員長を始め、又、多分、お役目柄のせいで、 私が一体何を話そうとしていつのか見守るおつもりでしょうか、会場の一角から既にこちらの方に少し厳しい監視の目を向けていらっしゃるご様子の山田唯資監 事会議長を始め、ご出席下さった多勢の皆様方を目の前にこのような高い所に立たされて、しかも、懇談会で報告の初球を投げる者として、早くもネルボーゾ気 味に陥っているところであります。

    少し私の緊張感を解くためと、もうこういう古い良き時代の 業種別部会長懇談会に関する大変微笑ましい思い出話をご存知の方も少なくなっていることでしょうし、また、折角、西林総領事もご多忙中のところ、わざわざ ご出席賜っておりますので、そういったちょっと愉快な事柄から先に少しお話させていただきます。

    壇 上の田中信会頭は、現在の要職に就かれる前に、およそ30年近くも、伝統あるコンサルタントの万年部会長を務められ、勿論、更に伝統あるこの業種別部会長 懇談会でも、第一番目の報告者を担当されるのがいつの間にか、一つの不文律みたいになり、期待に違わず、いつも内容が充実してしっかりした報告をなさって いました。

    ところがです。その田中コンサルタント部会長の一つの難点は、当時から時間には大変 うるさかった総務委員会で決められた制限時間を守らないことの常習犯で、いや、守るどころか、時間は、使うために在る、規則は、破るためにある、とでも いったような物の考え方の常習犯で、総務委員会の頭痛のタネにもなっていました。

    そこで、当 時の総務委員会で、特別に田中部会長対策案として編み出されたのが、クロノメーターと呼び鈴を使って、厳しく時間を測定し、物理的な力で以って、有無を言 わさず、押さえ込もうということでした。ここでもう一回、<ところがです>を繰り返さなければなりません。ところが、ある年の上半期か下半期の部会長懇談 会の時でしたか、制限時間目前の9分の時点で<チン>を大きく呼び鈴で1回合図し、制限時間10分ぎりぎりで<チン、チン>とやはり大きく呼び鈴で合図し ても、平気の平左、田中部会長は、当時の副総務委員長として計測係を仰せつかっていた私の方をチラリと視線を送られただけで、後は何事もなかったかのよう に、再び涼しいお顔で、報告発表を続けられ、又、事もあろうに、制限時間の2倍、つまり、 20秒を軽く越す大きく長い報告をなさいました。

    こ うなりますと、ご本人の自覚の問題ですから、もう物理的な方法では、何とも手に負えないと言うことになります。いやぁ、さすがに、将来の歴史ある日本商工 会議所の会頭になられる方の心臓は強く、器も大きいワイ、と改めて感じ入ったのは、それから間もなくしてからのことでありました。しかし、誰もが嫌がり、 コンスタンジェドール(気詰まり)な計測係を5,6年にも亘って、私に無事務めさせていただいたのは、それだけ、田中部会長の報告発表の内容が素晴らし かったためではないか、と、大変に汗も掻きましたが、今では、当時のことを非常に懐かしく思い出しながら、冗談半分で話させるようにもなった次第でありま す。

    そこで、多田、金岡のお二方の委員長、いや、とりわけ、田中現会頭には、あの時のちょっと した恩返し、借金の一部でも返済していただく意味で、本日の私の拙い報告にも、出来れば10分程度の時間超過をお認めいただきたい、とあらかじめお願い申 し上げます。でも、大切な会場の皆さんの方から「お前の話は、どうも退屈でつまらないので、いい加減にやめろ」という大合唱が聞こえてくれば、壇上に尚多 少の心残りや未練があっても、直ちに荷物を纏めて、ここから降りて行くことに致します。

    それ では、少し気持ちも落ち着いたところで、私の本日の報告に移ります。今年のブラジルは、俗に<政治の年>と言われます。それは、4年に1度の大統領、27 州知事、上院議員の定員の3分の2に相当する54議席の改選、513人の下両院議員全員を一緒に選ぶための総選挙が10月1日に同時に行われからからで す。その中の注目の的は、大統領選挙の行方がどうなるか、更にその中の最も大事な焦点は、ルーラ大統領の再選続投が果たして実現するかどうかにあります。

    以 下、まだ正式に決まったわけではありませんが、<ルーラ候補>と<セーラ候補>省略します。尚、政権の座を握ってからも、昔、極端に左寄りだったPTは、 中道の方へ、同じく左の党色を帯びていたPSDBも、中道の方へ歩み寄ってきていると言うか、収斂してきており、既に選挙での幅広い票稼ぎを意識した政治 路線の変更とか軌道修正を行っている様子も感じ取れます。

    ここで、本日の私の報告の結論部分か らまず先に申し上げます。肝心の大統領選挙で誰が勝つかに就いては、あと8ヶ月以上も有りますので、どうしても当たるも八卦式の霧の中を行くような不透明 な予測の側面を伴わざるを得ませんが、私は、目下のところ、ずばり、セーラ候補(63歳)の当選を予想しています。あるいは、もうちょっと踏み込んで、そ ういう可能性を相当程度に肌身で感じつつ、又、既にこの国へ帰化していて、たった一票ではありますが、選挙の都度、欠かさずに選挙権を行使してきている者 としのささやかな期待でもしております。

    先につい本日の私の報告の結論を先に申し上げかけたと ころで、続いて何故そう見るのか、そう考えるのかを説明するのに、是非とも追加補足して置かなければならない重要な事柄があることに気付きました。現職の 大統領という大変に恵まれた立場にあって、まだいろんな行政マシーンをフルに利用できるルーラ候補(60歳)がまず最低賃金をこれまでの300レアルから 350レアルにかなり大幅の調整を実施すると選挙効果を計算に入れた措置を早々に発表しています。

    単 に最賃だけを引き上げればいいというものではなく、年金恩給への連動調整分と他の政府へ及ぼす盛況も計算に入れれば、46億レアルもの思わぬ追加支出を覚 悟しなければならず、現在の政府財政の下ではちょっと許されないかなり思い切った引き上げを4月1日から行うことになりました。そこで、再選続投を図る上 で、一体、どの程度のプラス効果をももたらすような追い風を受けることが出来るのかどうかが極めて重要な要素になる筈です。更に又、その使い方で秘密兵器 みたいな威力も発揮しそうです。

    その反対に、一方のセーラ陣営は、政治面で一まず般国民を味方 すべき筈の時の政権と政権与党を巻き込み、闇の世界の中でやり取りされた政治買収資金の内、使途不明金だけでも、まだ50億レアルから60億レアルに達 し、遂に史上最大の規模に達してしまったという風に伝えられる今回の超大型不正汚職事件を徹底的に追及しながら、着実に得点を重ねて行き、そして、大統領 陣営に積極的に攻め込んで、得点を積み上げて行く作戦を展開する筈です。

    ご参考までに、時の政 権と政権与党を巻き込んでブラジル史上最も大きな不正汚職に発展してしまった今回の事件から、ルーラ候補が大統領選挙の面で受ける打撃は、既に20%程度 の世論調査の面での支持率の下落となって現れているように伝えられています。勿論、支持率は、エレベーターのように常に上下しますが、私には、どうもその ままの状態で、決選投票を迎えそうな気がしてなりません。世論調査の面での 20%の支持率の低下がこのままずっと続くものと仮定して、2002年の決選投票に進んだ二人の票数をベースにシロウトである私なりの試算をして見まし た。

    まず、ルーラ候補の獲得した5279万票(61.3%)から20%マイナスしたら、 42100万票となり、反対にセーラ候補が獲得した3337万票にそのまま20%をプラスしたら、4397万票となり、180万票台のまだ激戦と表現して も良い展開をすることがわかりました。しかし、これは、私というド素人の試算ですから、飽くまでご参考までにという意味合いを込めてのことです。

    又、 併せて経済財政面では、インフレを抑制し、経済安定を図ることだけを目的とした高金利政策やプライマリー(基礎的)財政収支の黒字目標を達成する強烈な引 き締め政策からそろそろ軸足を経済成長の方に移して行って、雇用の促進、所得分配、貧困対策等へ繋いで行く必要性を訴えながら、総人口1億8000万人の 内、凡そ9000万人にも達していると見られるこの国の有権者からどれ位の支持を集めることが出来るのかどうかにも勝負の鍵がかかっているように判断され ます。

    ルーラ大統領の再選続投への戦いが著しく苦しく厳しくなりそうなのは、特に政治、行政面 で目立つ得点が挙げられず、とりわけ、2002年の大統領選挙で初当選を果たした際に、「一般国民が出来るだけ暮らし易くなるように、この国をムダンサ (単なる変化というよりもっと強い変革という意味でしょうか)させて見せるとか、いろんな公約を掲げておりながら、殆ど公約倒れとか不履行の形に終わって しまっているからだと考えられます。

    ブラジルの大統領選挙は、1997年の憲法修正により、予選の段階で全有効投票数の50%+1票という絶対過半数を獲得したものが現れないと、上位2者だけに絞って、決選投票の段階まですすんで、勝敗が争われることになっています。

    2002 年の選挙では、ルーラ候補とセーラ候補が勝ち残りました。ルーラ大統領が悲願とする再選続投を今年の選挙で達成し、実現するために、予選の段階で、50% プラス1票の絶対過半数を取って決定付けることは、先ず到底無理にしても、特に予選投票の段階で以って、セーラ候補以下、5,6人に上ると見られている他 の候補に圧倒的な差で、第一位を確保する必要があります。

    予選で他の候補たちに圧倒的な差を付 けて勝つことが出来れば、煮え切らない態度を取っている各政党の方から、決選投票を目の目に、支持させてくれ、と積極的に申し入れてくるでしょうし、勝ち 馬になりそうな大統領には、フィリオリズモ(政府内の利権や要職と国会での支持を互いに交換したり取引するやり方)がすっかり身に付いて何よりも政治面で のやり取りが上手で、知事や国会銀の数で最大の政治勢力を誇るPMDBも、場合によっては連立提携工作に乗る公算が大きいからであります。

    ルー ラ大統領は、1988年の選挙から実施されてきた(ヴェルチカリザソン=連邦レベルでの連立を組んだ政党に州知事選でも同じ政党による連立を義務付け、推 し着せること)という、1988年の選挙から適用された憲法上の規定を今年の選挙には、適用しない決断を下しました。

    そ れは、与党候補に付くのか、野党候補に付くのか、あるいは、がローチーニョ前リオ州知事以下の独自の大統領候補を擁立するのか、一向に党色のはっきりしな い、しかし、国会で最大規模の勢力を持つ反面、選挙の行方を決定付ける位の影響力を行使できるPMDBを誘い込む目的で、主にその要求に応えるための対策 だと伝えられています。

    反対に、野党陣営のセーラ候補に、第一位の座を攫われてしまいますと、ルーラ候補を担ぐ与党陣営がすっかり浮き足立ち、決選投票での勝ち馬になりそうな候補に乗るために、セーラ候補の方に向かって、雪崩現象が起きることも充分に考慮の中に入れておく必要があると思います。

    ですから、今年の大統領選挙の見所といいますか、勝利の秘訣は、予選投票にあると判断されます。ただ、その点に就いては、私の不勉強かもしれませんが、有力伯字紙とかTVの解説者クラスもまだ指摘していない模様で、私の独断偏見かもしれません。

    そ して、2002年よりも手に汗を握る大変な激戦を展開し、見る側にとっては、大変面白い展開になりそうな予感がします。ブラジルは、名物のカーニバルや フットボール覇者を決めるコッパをご覧になっていてもお判りの通り、総じて明るい楽しいお国柄ですが、選挙戦の時だけは、相手を罵り合い、足を引っ張り合 う泥仕合もよく見られます。

    例えば、最も予想が当たると定評のあるDataFolhaという世論調査会社が行った昨年末の調査結果では、決選投票の段階での支持率がセーラ候補の50%対ルーラ候補の36%で、14ポイントという大きな差がついていました。

    今年2月1日から2日にかけての行われた今年最初の世論調査の結果でも、49%対41%で同じくセーラ候補の勝ちという結果が出ていますが、その差が次第に縮まって来ている模様です。

    も う一つの大手の世論調査であるIBOPEによる昨年末の調査の時点では、ルーラ候補が第一位、今年最初の調査では、セーラ候補が逆に首位に立っていて、同 じように、大変な激戦が予想されます。総体的にルーラ候補の支持率がかなり急速に回復してきている様子が伺えますが、セーラ候補もそれなりの強味を維持し ている感じもします。この二つの世論調査に限らず、他もよく的中するとの評判があります。

    この 世論調査の結果を見て、一部の観測筋は、メンサロンと言う闇の中の政治買収資金をやり取りしている内に、抜き打ち的に暴露されてしまい、ブラジル史上でも 最高規模に達してしまった今回の超大型の不正汚職事件から時の政権と政権与党であるPTが受けたダメージがやっと底入れし、漸く立ち直りかけ、事件前の支 持水準に戻りつつあるといった見方をしています。

    しかし、私は、ブラジル国民と言うのは、元 々、判官贔屓という性格があり、弱い立場に立った者を応援するという、日本人によく似た物の考え方なり習慣(文化)併せ持っていますので、それがたまたま 今回の世論調査の時点に反映されただけで、選挙を巡る本格的な戦いは、やっとその出発点に立ったばかりだという風に認識しているところです。

    IFM への150億ドルの負債を前倒しで一括返済したこと、レアル高とドル安と言う逆風が吹く中で、何とか輸出の好調に支えられて450億ドルをも目前とした大 幅な貿易黒字と経常収支を計上したこと、原油の国際相場が急騰している中で、石油の自給率を達成したこと、中南米諸国で社会主義を標榜する政権が次々誕生 していること等、ルーラ大統領の再選続投への戦いを後押ししてくれそうな材料にも事欠きません。

    し かし、これらを考慮に入れても、尚、大統領選挙戦自体が大変苦しく厳しくなりそうなのは、特に政治、行政面で目立つ得点が挙げられず、とりわけ、2002 年の大統領選挙で初当選を果たした際に、「一般国民が出来るだけ暮らし易くなるように、この国をムダンサ(単なる変化というよりもっと強い変革という意味 でしょうか)させて見せるとか、いろんな公約を掲げておりながら、殆ど公約倒れとか不履行の形に終わってしまっているからだと判断されます。

    そ ういった状況の中で、ジルセウ官房長官が辞任し、グシケン政府広報戦略担当大事も半分政府を去った今、今年の選挙の指揮を誰が取るのか、政府公社や年金基 金やウジミナス等、これまで献金容疑で既に名前の挙がった民間企業もすっかり用心しているので、誰が選挙資金集めの役割を担当するかが重要課題になってい ます。

    ごく最近、ブラジリアのトルト宮辺りで、辞任後初めてジルセウ前官房長官がルーラ大統領 と秘密裏に会談し、4月までに、パロッシ大蔵大臣を選挙参謀役に転出させ、後任の蔵相にムリロ・ポルトガル大蔵次官を起用し、併せて高金利引締め政策のイ メージが染み付いてしまい、更に、政界進出の意向が強いと伝えられるメイレーレス中銀総裁もついでに更迭する点で意見の一致を見たそうです。

    PT(Partido  Dos Trabalhadores=労働者たちの政党)と名乗る以上、常に庶民の味方であるべき筈なのに、時の政権と政権与党を巻き込んだ超大型の不 正汚職事件の発生を許し、政権そのものを私物化してしまっているのではないか、自分たちだけのために暮らし易い国造りをしているのではないか、といった鋭 い批判がマスコミを中心に巻き起こりました。

    そういったことも、ルーラ候補に苦戦を余儀なくさ せる原因の一つになっているように考えられます。そのために、前回の選挙で、大いに政治面でのカリスマ性を発揮して、当選を果たした大統領自身が<政治面 で駄目なら、経済面で勝負をする>といった作戦の変更を既に口にしています。

    今年の大統領選挙 の決選投票の段階に至るまでの熱い争点(戦いのポイント)は、どうも最低賃金の思い切った調整からもたらされるこの経済面でのプラス効果と超大型の不正汚 職事件からもたらされるこの政治面でのマイナス効果が激しくぶっつかり合い対決しながら、次第にポラリザソン(両極化)して行きそうな気がしてなりませ ん。

    最低賃金の思い切った調整からもたらされるプラス効果と今回の大型の不正汚職事件からもた らされるマイナス効果がかなり熱を帯びながら、決選投票の段階まで熱っぽく論争されて行って、やっと大統領選挙の勝ち負けと言いますか、勝者と敗者が決ま るのではないか、と見ています。

    この二つのプラスとマイナスの選挙効果を両天秤にかけて 見た場合、私にはどうもセーラ候補の方へ次第に傾いて行きそうに思えてならない、というのが本日の私の独断偏見に近い一番最後の結論であります。制限時間 をはるかにオーバーしての長い間のご清聴、まことに有難う御座いました。

     

  • 金融部会


    福田勝美金融部会長

     

    金融部会の、みずほコーポレート銀行、福田でございます。ほぼ時間が予定通りになりましたので、これからはてきぱきといきたいと思っております。
    2005年の回顧なんですけども、2005年は力強い世界経済の成長や増幅している国際流動性が注目された一年でございました。世界経済の成長とか、こういった外部要因がブラジルの輸出部門をはじめとする経済全般にきわめて大きな影響を与えました。

    2005 年において年間を通じて好調であった輸出は、結果としてレアル高をもたらしております。その結果、金融政策により良い影響を与え、結果としてインフレが再 燃する可能性を打ち消しております。つまり、2005年は世界経済の成長加速と資金流動性の増加がもたらした対外部門の劇的な変化が、中央銀行が外貨準備 高を増加させ、外貨債務の割合を減少させ、国内の債務についてはその質を改善することができた年というふうに考えております。

    代 表的なカントリーリスクの指標でありますEMBI+というのがあるんですけども、2005年を見てみますと、四月の頃にですね、一時的に、まあその政治不 安とかアメリカの自動車メーカーの業績不振等によって、487という数字まで上昇したこともあったんですが、しかしその後は順調に低下いたしまして、やは りそのマクロ経済が順調に推移していることから、年末には305と、今年に入っては260くらいまでというふうに順次低下をしております。

    ま あ政治面のことについては今詳しいお話がありましたので、特に言及いたしませんが、まあ結果として経済政策面では変更が、大きな影響がなかったと。これは その、まあ選挙をにらんでですね、特に動きがなかったというふうに見るのか、経済政策のディシプリンが守られたというか、その辺はまだちょっと判断はでき ないんですけども、まあ結果として経済政策は影響を受けなかったというふうに言えると思います。

    経 済全般では、石油価格上昇によるインフレの再燃リスクを敏感に感じました中央銀行が金利の引き上げを段階的に実施しております。18.75%から 19.75に引き上げました。この金利引き上げが国内消費の伸びにかなり冷や水をあびせた結果となり、第2四半期以降成長は減速しております。しかしなが ら9月以降、インフレ再燃リスクが沈下したというふうに判断した中央銀行は、毎月段階的に金利引下げを実施しており、第3四半期以降ではですね、在庫調整 等に良い影響を与えたというふうに考えられます。結果的に一年を通して見ますと、当初、今年度のGDP成長4%以上と言われておったんですけども、まあ実 際は2.4%程度ではないかというふうに考えられます。

    当初レアル高の影響が懸念された輸出部 門でございますが、世界経済の力強い発展がブラジルの輸出の伸びを促進いたしました。さらに世界市場におけるコモディティー価格の上昇によって、2005 年年間の輸出額は1183億ドルと前年比23.1%上昇しております。ブラジルの輸出製品や輸出先は多様化しており、マーケットシェアの獲得や輸出売上の 拡大にもつながっております。

    こういったことを反映してですね、為替相場は、まあ好調な輸出を 背景に貿易収支の黒字と、それからさらに国際流動性ですね、こういったものがブラジルに流入してきたことによってレアル高の傾向が続きました。輸出部門が 好調であると同時に、外国直接投資や世界市場における株式投資、資金調達の回復に明るい兆しが見えておりまして、まあブラジルの企業のですね、資金調達は かなりうまくいったというふうに言えると思います。

    中央銀行は2005年の年間で217億ドル のドル買い介入を実施しまして、市場で余剰となっているドルを吸収しました。外貨準備高は増加し、2005年年間では実質二倍となっております。その結 果、IMFの債務やパリクラブの債務を期限前で返済できました。経常収支の黒字、対外債務の減少、外貨準備高の増加によって、ブラジルの対外部門の構造は 大幅に改善された年であったと言えると思います。

    えー、ここでまあ銀行業界の動きでございます が、銀行業界といたしましては貸出が大幅に伸びております。2005年年間で前年比19.7%増加。一番伸びたのは個人向け貸出でございまして、特に給 与・年金天引きローンにつきましては前年比49.5%増と大きく伸びております。2005年11月の全銀行貸出残高の対GDP比率は30.5%でございま して、前年比3.6%増加しております。

    次に2006年の展望でございます。これから数年間の ブラジル経済の見通しというのは、かなり明るいものではないかというふうに見込んでおります。まあ、経済成長が大幅に増加するというようなことはないと思 いますが、好調な世界経済がブラジルに良い影響を与えていくというふうに見ております。特に今年度につきましては、まあ何か、大きなですね、世界の経済危 機が発生するということもないだろうというふうに思っておりますので、ブラジル中央銀行および政府は現在の政治経済政策をですね、できるだけ維持していく というふうに考えております。

    このような、政策がですね、維持継続されていけば、まあ先ほど申 し上げましたように、いわゆる経済的なディシプリンが守られていけばですね、2008年とか09年ぐらいになれば、まあSPとかムーディーズとか、こう いった外部格付け機関によるブラジルのカントリーリスクも投資適格への引き上げが行われるのではないかというふうに考えられておりますけども、やはりこの 一年間、特に昨年度全然動きのなかった財政関係等でですね、どういうふうになるかというのは、まあ選挙の動向と、まあかなり影響を受けるのではないかと 思っておりまして、このあたりは注視していく必要があると思っております。

    政治面については今 お話がありましたので、まあ大きな問題はないと、まあ繰り返すことは避けますけども。お話がありましたように、選挙の結果によってですね、まあブラジルの 経済政策が変わるということはないというふうに考えております。その過程においてですね、やはりその、財政支出とか、このあたりの動きはしっかり見ていく 必要があるかなと考えます。

    経済成長率につきましては、繰り返しになりますけども、世界経済の 力強い発展を背景にしまして、3%程度の、まあ後半ぐらいのですね、成長を予想いたします。2006年度のGDPが昨年に比べてかなり大幅に伸びるという のは、主な要因といたしましては、政策金利の低下、消費者の心理の改善、対外需要の引き続き増加すること、それから公共投資が増えるであろうということ、 まあこういったようなことが背景でございます。

    貿易収支につきましても、2006年については やはりブラジルの輸出部門が引き続き好調であろうというふうに考えております。経済成長にともないまして輸入も増加しておりますけども、これは輸出の増加 率を超えるというふうに一部見られておりますけれども、貿易収支の黒字というのは維持されていって、400億ドルは超えるのではないかというふうに考えら れております。

    金利政策ですけれども、インフレが沈静化しているということで、中央銀行は金利 を徐々に引き下げていくと見込まれております。2006年度年間を通してはですね、経済成長率を3.5から4%にもっていく必要もあるということから、 Selic金利はですね、消費者物価指数等インフレ動向に注意を払いながら、段階的に引き下げていくというふうに考えられております。

    為 替相場でございます。経済のファンダメンタルズの改善によって、市場金利の低下と経済成長率の上昇がブラジルのカントリーリスクというものをさらに引き下 げる傾向がございます。したがいまして為替相場といたしましては、市場のドル余剰現象をさらに反映いたしまして、当面レアル高の傾向とが続いていくという ふうに考えております。ただまあ変化があるにしても、今年に比べたらもっと緩やかなものになるのではないかと考えます。

    えー、 財政政策。2006年度はプライマリー収支で4.5%程度の増加というふうに見ております。ペトロブラス等の国営企業の業績が良い結果を与えると思いま す。2006年度の銀行業界ですけれども、引き続き銀行の貸出残高というのは伸びていきますが、今年ほどではないだろうと。と言いますのは、先ほど申し上 げました年金・給与天引きローンがですね、一通り行き渡りましたので、まあ個人部門の上昇がそれほどでなくなるということから、緩やかな上昇というふうに 見ております。

    次に保険業界の方でございます。2005年度を振り返って見ますと、11月末現 在ですけれども、保険料収入は、保険料の規模は373億6100万と。前年対比で12%増加しています。消費者物価指数の増加が5.69でございますか ら、実質成長率は6%となっております。保険料の種目内訳では自動車保険34%、火災保険などが11%。生命保険45%ということで、前年との傾向の変化 はございません。また、100社程度の会社があるわけなんですが、上位五社で保険料ベースのマーケットシェア55%。上位十社で77%と、寡占市場となっ ております。また、昨年を振り返りますと、ミレアグループによりますレアル銀行傘下のレアルセグロの買収、それからドイツのHDI社による香港上海バンク (HSBC)のセグロ部門の買収、スペインのMapfre社によるノッサカイシャの保険部門への資本参加というような大規模な買収案件がございました。

    収 益性につきましては、保険ビジネスの成績を示す損害率は全種目合計で59%となって、2004年度比1ポイント改善しております。これは主項目でございま す自動車保険の損害率が69%と、2004年比4ポイント改善した効果が大きくなっております。この結果保険業界全体の収益性も、今前年度のマイナス5% から3ポイント改善しておりまして、いわゆるその資産運用益というものに頼らない構造に移行しつつあります。

    2006 年の展望ですけども、2006年度の保険料収入は引き続き12%程度の増加を見込んでおります。損害率を含む事業損益については、今後も、その、金利低下 が見込まれることに伴いまして資産の運用益が低下することから、各社とも収益性強化という形で動いていくのではないかと思っております。

    一 方再保険につきましては、現在国営再保険公社一社の引受けによっているというのがブラジルの保険制度でございますけども、この法案の改正は今年度、昨年度 も提案されたものの審議が遅れてて実現にいたっておりません。ま、本年度もですね、選挙の関係もございますんで、まあ今年度も実現しないのではないかとい うふうに思われております。

    えー、こういったところなんですが。すいません、最後に恒例のですね、為替、金利相場予想。参加しております四つの銀行、二つの日系銀行、二つのブラジルの銀行のですね、六月十二月の為替レートとSelicを申し上げます。

    ま ずA銀行。六月の為替レート2.25、Selic16.5。十二月末、為替2.5、Selic15%。B銀行。六月、為替2.37、Selic15.5。 十二月末、為替2.4、Selic15.5%。C銀行。六月、為替2.3、Selic16.5。十二月末、為替2.4、Selic16%。D銀行。六月、 為替2.3、Selic16。十二月末、為替2.3、Selic14.5%。と、かなりですね、多少の誤差はあるものの、一般的に年を通して安定している のではないかというふうに見ております。

    ちなみに昨年のことを申し上げますと、昨年は六月の見 込みが、六月の為替が高いところでは2.8、低いところでは2.5。十二月は、高いところでは2.9、低いところでは2.3。金利については、六月、高い ところで19.25、低いところでは18.75。十二月末のSelicは、高いところで18、低いところで16と。もっとばらつきがございました。まあそ ういう意味でですね、今年度はかなり安定した、経済成長というか、運営がされるのではないかというふうに見ております。以上でございます。何か質問ござい ますでしょうか。

    (質問)2005年はブラジルの経済指標はおおむね順調であったと。で、 2006年の見通しも、例えばプライマリー収支はプラス4.5%程度が予想される云々という話がありましたし、昨年の対外部門の諸指標も大幅に改善された というお話でしたが、昨年末時点でのブラジルのいわゆる対内赤字といいますか、財政赤字は約1兆レアルを超えてますよね。(国内ですね?)はい。約 5000億ドルに近い金額ですが、これはこれからブラジル経済にかなり大きな足かせになっていくんじゃないかと。

    これだけの巨額の赤字を減らすためにはやはりなかなか、例えば税制改革も思うにまかせないと。税金でまかなっていっているわけですからね。このへん、1兆レアルという赤字を今後どう見ていったらいいのかをちょっとお話をうかがえたらありがたいです。

    (福田)まああの、数字としてはかなり大きいんですけども、今の日本の状況と比べたらまだずいぶん程度は軽いのではないかと思っております。まあひとつは、Selic連動部分の増加というのがございますので、金利が低下していけばこの部分はだいぶ減っていくだろうと。

    で やはり基本的には財政黒字をもっと変えていく必要がありますので、根本的には税制改革とか、それからその、現在進められています、いわゆるPPPとかです ね、こういったものをとにかく実行に移していくということだと思うんですけど、その辺が若干送れているなというのは感じます。ですから、お話にありました この一年間のですね、まあ特に最低賃金の増加とか、そういったことを見ると、まあ国内の赤字は、財政赤字といいますか、そこはどんどん積み上げてもです ね、どちらかといえばまあ、票を得るためにはというようなことで、ちょっと今年一年についてはあまり改善が見られないんじゃないかと私は思っています。

    (司会)ほかにご質問はありますか。あの、結構お厳しいあの、はいどうぞ。

    (質 問)えっと、為替と輸出競争力の関係なんですけども、私ども自動車をやってますと基本的に輸出競争力っていうのは今の為替じゃ持ちえない状況なんですね。 それでまああの、御社のようにいろいろな業界とコンタクトのある方の目から見てですね、現在の為替で輸出競争力を持っているブラジルの業界というのはどん なところですか。でそれを元に今の為替の予測とかにもなってきていると思うんですけど。

    (福 田)やっぱり、金利の高いこともありますし、その、やはりその資源管理の部分というのが一番強いんだろうと思うんですけども、あとはその、やはり中小企業 をはじめとして設備投資をなかなか地元の企業はされてないみたいな気がいたしまして、そういう意味で設備の更新が遅れているとか、まあそういったこともや はりその、まあ逆に言うとコストは下げているんでしょうけども、そういう意味で競争力は高いと思うんですけども、逆にその、大きな数字の伸びにならないっ ていうようなところがボトルネックになっているかなと思います。ですからその、全体としてまだまだ、のりしろはあるんじゃないかと私は思っているんですけ ども。

    (司会)はい、どうもありがとうございました。じゃ時間になりましたので、どうも、福田さんありがとうございます。では次にですね、貿易部会で三分一さん、シマヅの三分一さんの方から発表をお願いします。

     

    金融部会(銀行業界)

    1.2005年の回顧

    2005年は力強い世界経済の成長や増幅している国際流動性が注目された1年であった。世界経済の成長はブラジルの輸出部門のすばらしい業績に大きく影響を与えた。

    2005 年においても年間を通じて好調であった輸出は、ドル-レアル相場のレアル高をもたらした。その結果、レアル高が金融政策により良い影響を与え、インフレが 再燃する可能性を打ち消す事ができた。つまり、2005年は世界経済の成長加速と資金流動性の増加がもたらした対外部門の劇的な変化により、中央銀行が外 貨準備高を増加させ、外貨建債務の割合を減少し、国内債務の質を改善する事ができた年であったといえる。

    代 表的なカントリーリスク指標であるEMBI+は、2005年4月上旬に一時複合的要因(世界経済の景気減速見通し、政治不安、米自動車メーカーの業績不振 等)により487bp迄上昇。しかし、その後、EMBI+は、好調に推移するマクロ経済に支えられて緩やかに下落。2005年年末で当指標は305bpに 迄下落した(2005年下期初頭414bp)。
    政治面では、ルーラ大統領は政治危機に反応する為に、年初に予定して流れた内閣改造に着手。ジルセ ウ官房長官を解任して、その後任にジルマ鉱山動力大臣を任命するなど、広範な内閣改造を実施。大統領の方針により、汚職で告発された閣僚は全員、政府から 外すなど思い切った改革に着手した。しかし、直近(2005年11月)の世論調査ではルーラ大統領個人への支持率は、46.7%(←59.9%<2005 年7月>)へ下落。政権支持率も31.1% (←40.3%<2005年7月>)へ下落。
    経済全般は、石油価格上昇に由来するインフレ再燃リスク を敏感に感じた中央銀行は金利引上げを段階的に実施(18.75%⇒19.75%)。この金利引上げが国内消費の伸びに冷や水を投げた結果となり、第2四 半期以降、成長は減速した。しかし、9月以降、インフレ再燃リスクが極小化されたと判断した中央銀行は、毎月段階的な金利引下げを実施。雇用拡大・所得増 加による家計消費の回復と金利の引下げが経済情勢を改善させ、2005年第3四半期以降に発生した在庫調整に良い影響をもたらした。
    結果的には、当初予想(3%台)を下回り、2005年年間経済成長率を2.4%に留まる見通し。

    当 初、レアル高に伴う影響が懸念された輸出部門においては、世界経済の力強い発展がブラジル輸出高の伸びを促進した。更に、世界市場におけるコモディティー 価格の上昇によって、2005年年間の輸出額は1183億ドルとなり、23.1%(前年比)上昇した。ブラジルの輸出製品や輸出先は多様化しており、マー ケットシェアの獲得や輸出売上の拡大にもつながった。

    為替相場は好調な輸出を背景にした貿易収支黒字と、国際流動性のブラジルへの流入により、レアル高(2.30レアル台)が継続している。輸出部門が好調であると共に、外国直接投資や世界市場における企業に対する株式投資、資金調達額の回復に明るい兆しが見え始めている。

    中 央銀行は、2005年年間で217億ドルものドル買い介入を実施し、市場で余剰となっているドルを吸収した。外貨準備高は増加し、2005年年間で実質2 倍となり、IMF債務やパリクラブ債務を期限前で返済。経常収支黒字・対外債務の減少・外貨準備高の増加によって、ブラジルの対外部門構造は大幅に改善さ れた。

    銀行業界は、銀行貸付残高が2005年年間で前年比19.7%増加を見込む(ブラデスコ 銀行調査)。最大の伸びを示しているのは個人向けの貸出であり、特に、給与/年金天引きローンの伸びは前年(2004年)比49.5%増加(ブラデスコ銀 行調査)を見込む。2005年11月の全銀行貸付残高は、対GDP比30.5%である。前年同月比率は26.9%であり、3.6%の上昇を見込む。

    2.2006年の展望

    【総括】
    こ れから数年間のブラジル経済の見通しは非常に明るいと見込んでいる。経済成長率が予想上回る迄に発展する事はないものの、好調な世界経済はブラジルに良い 影響を与えていくだろう。実際に、今年中に重大な世界経済危機発生の可能性は低いと市場関係者は見込んでおり、ブラジル中央政府は現在の政治経済政策を維 持するものと見込まれている。この政策が維持・継続されれば、2008年または2009年に、外部格付機関はブラジルのカントリー格付を投資適格へ格上げ される可能性も高まっている。

    【政治】
    2006年の最大の注目点は、大統領選挙の行方 である。ルーラ現大統領は支持率が下降傾向にあるものの、候補予定者の中で最も当選の可能性が高い。対立する候補予定者は、PSDB(社会民主党)から は、セーハ現サンパウロ市長及びアルキミン現サンパウロ州知事であるといわれている。二人共に正式に立候補を表明すれば、非常に力強い候補として位置付け られる。
    また、上院・下院で最大議員数を有するPMDB(民主運動党)からは、現在ガロチーニョ元リオデジャネイロ州知事とリゴット現リオグランデドスル州知事が立候補を早々と表明している。

    【経 済成長率】                                                                    2006年のブラジル経済見通しは、世界経済の力強い発展を背景に、GDPの成長率は3%後半を予想。2006年のGDPが前年比大幅に改善される主な要 因は、金利低下、消費者心理の改善、対外需要、公共部門消費、個人給与・個人向け借入残高の増加である。

    【貿易収支】                 
    2006年においても、力強い世界経済の成長を背景に、ブラジルの輸出部門は更なる発展が継続されていく見通し。また、経済成長に伴い、輸入増加率は輸出増加率を超えると見込むが、貿易収支は黒字が維持され、400億ドルを超える見込み。

    【金利政策】
    イ ンフレが下落する事で、中央銀行は金利を徐々に引き下げていく見込み。2006年年間に見込まれている金利引下げは、経済成長率を3.5%~4.0%上昇 させる為にも非常に重要である。SELIC金利は消費者物価指数等インフレ動向に注意を払いながら、段階的に引き下げる見通し。年末15%台も見えてきて いる。

    【為替相場】
    経済ファインダメンタルズの改善によって、市場金利の減少と、経済成長率の上昇が、ブラジルのカントリーリスクをさらに引き下げる。したがって、為替相場は、市場のドル余剰現象を反映して、レアルは継続安定していくものと見ている。

    【財政政策】
    2006 年、プライマリー収支は4.35%となる見通しである(前年4.9%)。ペトロブラスのような州・国営企業の業績が良い影響を与える為と予想している。ま た、公的債務/GDPは、昨年が51.9%であった事と比較すると、2006年年間は、50.6%を見込んでいる。財政構造の本質に変化がないと予想して いる為である。
    一方で、公的債務の内容については、セリック金利(基準金利)が引き下げていく過程で、引き続き徐々に改善されていく見通し。

    3.2006年の銀行業界

    2006年年末迄に全銀行貸出残高の伸びはゆるやかに減速していく事を見込み。
    【2004年:19.5%上昇⇒2005年:19.7%上昇(見込)⇒2006年年間:18.2%上昇(見込)】

    全銀行貸出残高の伸びが減速していく事を見込む背景には、個人向け貸出残高の伸びが大幅に減速する事を見込んでいるため【2004年:37.15%上昇⇒2005年:38.4%上昇(見込)⇒2006年:26.0%上昇(見込)】。
    減速要因としては、2003年以降、政府主導で開始された給与/年金天引きローン(Credito Consig-nado)が対象となる企業に設定され、一段落したものと見ている。2006年以降は一般的な貸出商品と同様に安定した伸びが見込まれる。

    法 人向け貸出残高は17.5%とゆるやかに上昇する事を見込む【2005年:16.76%上昇(見込)】。手形割引(2005年:2.47%下落(見 込)⇒2006年:10%上昇(見込))、ベンダーファイナンス(2005年:13.0%下落(見込) ⇒2006年:10%上昇が法人向け貸出の伸びを牽引していく。しかし、個人向け貸出残高の伸びの大幅な減速をカバーできるまでに至らないと予想。 2006年年間、外貨建貸出残高については依然としてレアル高の影響を受けて、ゆるやかな伸びに留まるであろう。

    金利については、借入を行いたい消費者が給与/年金天引きローンを認知し、多くの消費者が当ローンを利用し始めた事で、貸出スプレッドが下がり、債務不履行者率(対全債務者)は減少傾向。

    2006年年間では、地場銀行業界は、大企業向けに低いスプレッドの外貨建貸出残高増加する事に注力するよりも、中小企業向けのレアル建貸出残高増加に注力していく方が採算は高く、更に、債務不履行リスクは低くなると見込んでいる。

     

    各銀行の為替・経済基本金利(Selic)の予想ー2006年1月末

    銀行名 6月末の為替 同Selic金利 12月末の為替 同Selic金利
    A銀行 R$2.25 16.50% R$2.50 15.00%
    B銀行 R$2.37 15.50% R$2.40 15.50%
    C銀行 R$2.30 16.50% R$2.40 16.00%
    D銀行 R$2.30 16.00% R$2.30 14.50%

     

    各銀行の為替・経済基本金利(Selic)の予想ー2005年1月末

    銀行名 6月末の為替 同Selic金利 12月末の為替 同Selic金利
    A銀行 R$2.80 19.00% R$2.90 18.00%
    B銀行 R$2.79 19.25% R$2.90 16.25%
    C銀行 R$2.50 18.75% R$2.30 17.25%
    D銀行 R$2.75 19.00% R$2.85 16.00%

     

    ブラジル保険業界2005年の回顧と2006年の展望

    1.2005年の振り返り(11月末現在 ブラジル保険庁統計ベース)
    2005 年11末現在で、保険料規模は37,361百万レアル、対前年比伸び率12%であった。全国消費者物価指数(IPCA)が5.69%であったことを勘案す ると、実質成長率は6%程度となる。保険料の種目別内訳は、自動車保険34%、火災保険などの物保険11%、生命保険(年金含まず)45%であり、対前年 で傾向の変化は見られない。また、活動会社数約100社に対し業界上位5社で保険料ベースのマーケットシェアで約55%、上位10社で同約 77%を占める寡占市場となっている。

    また、本年は、ミレアグループ・東京海上日動によるレア ル銀行傘下レアルセグロ社グループ(業界7位)の買収、ドイツHDI社によるHSBC セグロ社(業界10位)買収および スペイン Mapfre社によるNossa Caixa Vida e Previdencia社の資本参加などの大規模買収案件があった。

    収益性については、保険ビジネスの成績を示す損害率(収入保険料に対する支払い保険金の割合)は全種目合算で59%となり、2004年末対比約1ポイント改善した。これは主要種目の自動車保険の損害率が69%と2004年末対比約4ポイント改善した効果が大きい。

    この結果、保険事業の収益性(収入保険料に対する収支残率)も▲5%(赤字)と2004年末対比3ポイント改善し、別途の収益源泉である資産収益に大きく頼らなくてもすむ構造になりつつある。

    2.2006年の展望
    2006年の保険料伸び率は、引き続き12%前後が見込まれており、2006年末のマーケット規模は45, 000百万レアルを超えると予想される。損害率を含む事業損益については、今後の金利低下による資産収益低下を見据え各社とも収益性を強化するものと見込まれる。

    再保険については、現在の国営再保険公社一社のみによる引受制度を自由化する法案が今年度提出されたものの、審議が遅れ実現には至っていない。また2006年は選挙の年でもあり今後の審議の見通しはたてにくい。

     

     

  • 貿易部会


    三分一克則貿易部会長代理

     

    貿易部の部長の中村部長および副部長の桜井副部長が出張中でいらっしゃらないので、代わりに私が発表させていただきます。
    ま ずは2005年の貿易収支全般なんですけど、輸出輸入とも過去最高を記録で、記録尽くめの貿易収支でした。輸出については22.6%増の1183億ドル。 輸入については17.1%増の735億ドル。で貿易収支では33%増の447億ドル。貿易の全体額が20.4%増の1918億ドルとなっております。

    こ の中で、輸出に関してですけど、世界的な、順調な世界貿易ですね、全体が拡大しておりますので、それを反映したような格好になっております。世界の中での ブラジルのシェアですけど、輸出シェアですけど、こちらも伸びておりまして、1.06%だったのが2005年には1.13%になっております。こちらの方 については、ブラジルの輸出が世界の貿易拡大の中で順調に伸びているということを示しております。

    次 に商品カテゴリー別の輸出です。工業製品が輸出増加の牽引となっております。全体では伸び率22.6%だったんですけど、工業製品ですね。こちらが全体の 金額の中の55%を占めておりまして、で、23%の伸びになっております。で、輸出の中での工業製品の伸びなんですけど、大きく伸びているのは乗用車、送 受信機、それとその関連の部品です。で全体については、23%なんですけど、乗用車が31.1%。で送受信機については98.7%と伸びております。

    で 次に一次産品の輸出なんですけど、こちらでは、全体では21.8%の伸びです。で、商品別では鉄鉱石、原油、鶏肉、コーヒーというのが伸びております。一 方大豆と大豆かすなんですけど、こちらの方は伸び悩んでおります。こちらの説明で数量ベースで説明しますと、鉄鉱石については大幅な金額の増加があるんで すけど数量では2.6%の増です。一方大豆については大幅に落ち込んでいるんですけど、数量的には16.6%の増加。ということで、鉄鉱石については金額 的に非常に上がっていると。であの、大豆関係については金額的に下がっていると、市場価格が。そういうことになります。

    次 に輸出の半工業製品なんですけど、こちら全体では18.8%。商品では粗糖っていう砂糖の関連なんですけど、こちらが57.7%と拡大しております。で、 輸出増加に対する価格と数量の寄与なんですけど、全体的には、こちらまずは貿易研究財団のデータを使ったものなんですけど、全体的には価格が11%、数量 で10.8%と増加しておりまして。これはすごいバランスの取れた増加になっております。

    一次 産品および半工業製品については、一次産品が12%増、価格で12%増、数量で6・3。で半工業製品が価格で12、数量で6。こちらについては国際価格上 昇の恩恵を受けていると、全体的に。で最後に工業製品なんですけど、価格で10・4%、数量で12.7%と。こちらの方については輸出競争力を着実につけ てきているというふうに判断されます。

    次に国別の輸出なんですけど、ちょっとあの、字の方が小 さいんですけど、こちらの方で特に注目すべきはアルゼンチン向けの輸出が34.5%と非常に増えていると。日本については8位で25.6%と増えておりま す。国別については、米国について、依然首位なんですけど航空機が19.5%減、で靴、その関連の部材が7.6%減で低い増加率になっております。

    ア ルゼンチンについては乗用車が30.5%増、送受信機関連ですけど、こちら95.6%増と非常に輸出を支えております。で、中国については鉄鉱石、原油が 好調で大豆、パルプ、大豆油が伸び悩んでおります。で日本については、イタリアを抜きましたけど、チリに抜かれてしまいまして8位という順番は変わってお りません。

    で、ブラジル、アルゼンチンでの貿易不均衡について最近話題になっておりますけど、 その経済協議がなされております。自動車協定の見直しについては2006年1月から完全自由化が見込まれていたんですけど、いま見直し協議中です。あと貿 易不均衡解消メカニズムの創設について、こちら2月2日に発表、新聞発表されたんですけど、両国での貿易摩擦回避に向けてセーフガード、MACという略称 なんですけど、こちらの創設が発表されております。

    輸出全般については、まあ今マクロ的な数字 を伝えたんですけど、ミクロ的に言ったら各会社でそれぞれの多種多様の結果が出てて、会員の商社の中のMさんというところなんですけど、そこでは大豆関連 で2004年総量で18万トンだったのが2005年に100万トン超となっていて非常に拡大していると。で、まあ対日が、その中でも20万トンなんですけ ど、残りは韓国、中国、台湾とアジア関係に輸出されているということです。

    商品カテゴリー別の輸入なんですけど、レアル高で金利低下傾向と、雇用情勢改善が資本財と消費財の伸びを押し上げております。こちらのほうが、全体が17・1の伸びに対して26.7と23.6の伸びです。内容的にいいますとこちらに書いてある通りです。

    であの、次に原材料と中間財の輸入の方なんですけど、こちらの方は特に集積回路、こちらが24.2%増、自動車部品も部品関係が21.1%増と全体より伸びております。  
    こ ちらあの、まあブラジル国内での家電製品および自動車の製造の方が盛んになっているということを示しております。輸入消費財についてはこちらに書いてある 通り23.6%の伸びです。国別の輸入については、全体では17.1%の増。で、その中で中国が大きくて44.3%の増です。日本については第五位で、全 体より大きい伸びで18.8%。順調に伸びているということがいえます。

    で中国関連の輸入なんですけど、送受信機部品、液晶ディスプレー、集積回路など電気電子部品の増加が非常に顕著に見られます。中国からの輸入についての傾向としては、1-6月では増加率が52.4%。7-12月で38.8%と減速傾向にあります。

    次 に対日貿易についてですけど、こちら1996年以来一次産品輸出増加で対日貿易黒字を記録しております。で、輸出の方が25.6%増、輸入の方が 18.8%増。貿易黒字が、ブラジルですけど、6900万ドル。輸出相手国としては日本が8位。輸入相手国としては5位と。輸入については前年よりひとつ 順位を上げております。

    で、対日輸出、一次産品数量増加、そして大幅な価格上昇ということで、 鉄鉱石、鶏肉、コーヒー豆、エチルアルコールが非常に伸びております。鳥インフルエンザの影響で鶏肉の対日輸出が大幅に増加して、金額では34.9%増、 数量的には12.4%増。で日本が最大の輸入国を維持しております。
    次に、先ほど説明しました、鉄鉱石。こちらは数量が17.8%増。金額 63.4%増。でコーヒー豆なんですけど、数量が13.9%増、金額では76.6%増。アルコールの方ですけど、数量の方が43・3%増。金額の方が、 ちょっとこちらにきちんと書いてませんけど、約二倍の増になっております。
    対日の輸入なんですけど、こちらの方については自動車部品関連が中心になって増えております。

    最 後に2006年の貿易の見通しなんですけど、中銀の12月時点の発表では、輸出については1245億ドル、輸入については890億ドル、貿易収支の方は黒 字で350億ドル。で、経済成長率は4%です。レアル高の影響を受け輸出は伸び悩み、国内経済の好調を反映して輸入は輸出を上回る伸びを示すというふうに 見ております。

    また、選挙とワールドカップの年には不況なしということで、選挙では公共事業が 増え、ワールドカップでは家電製品を中心に需要集中し、消費ブームが喚起されると。貿易収支については、黒字は減少するが高い水準を維持すると、そういう 見通しをしております。以上ですけど、ありがとうございました。

    (司会)どうも三分一さんあり がとうございました。ピンチヒッターにも関わらず、初めてパワーポイントを使ってプレゼンテーションをやっていただきました。なかなか、あの、貿易全体の 数字を言っている時には、商品個別についてはなかなかそういう統計がなくて難しいんですけども、この後各部会の方が発表される中には、やはり輸出について 触れられているところがいろいろありますので、そういうところも参考にされたらいいかと思います。何かここでご質問ありますか。よろしいですか。それでは どうも三分一さん、ありがとうございました。次はですね、化学品部会ということで、スリーボンドの板垣さんに発表をお願いしたいと思います。

     

     

  • 化学品部会


    板垣義実化学品部会長

     

    ス リーボンドの板垣と申します。当化学品部会に所属しております主登録企業というのは17社ありまして、主な顔ぶれというのが農薬・家庭用殺虫剤のメーカー さんであるとか、プラスチック着色剤、接着剤、写真フィルム、化粧品、こういったような、その他たくさんありまして、そういった企業体の集まりでございま す。

    で、昨年05年の会員各社の総括的な結果ですが、昨年上期の結果と下期の予想という時にで すね、非常に厳しい見方をしておりまして、やはり05年が終わってみますと、販売、利益ともに進展を見た会員企業というのは5割に満たない状況でございま した。特に利益にいたりましては、進展した企業は三割程度であったようです。

    その主な要因といたしましては、ドル安による輸出品による利益が減少したとか、あと値下げ圧力、価格競争による販売額減少と利益の圧縮と、それからもうひとつ中国製品の台頭が上げられます。個々に会員企業の結果と今年の見通しにつきましてこれから述べたいと思います。

    最 初に、石油化学製品の輸出入およびロジンの製造販売をされている企業。昨年、石油化学業界は10年ぶりの設備投資サイクルが巡ってきておりまして、ブラジ ル石油化学メーカーの目は世界から南米域内への販売と移行しつつあります。そのため日本企業にとっては、ビジネス環境は厳しさを増していると言えます。

    しかしながら、建設用の塩ビ用添加剤の値上がり、それから溶剤関連製品の貿易量増加、樹脂添加剤の好調さなどを受けまして業績は伸展しております。また、ロジンにつきましては、輸出および国内需要の増加に伴いまして、販売量、利益ともに増加しております。

    輸 出につきましては中国向けが顕著でございます。中国はロジンの生産量におきまして世界のトップでありますが、紙の生産量につきましても昨年日本を抜きまし て米国に次ぐ世界第二位の紙の生産国となりました。したがってロジンの需要量というのが中国国内での生産量を上回りまして、ブラジルなど外国からの輸入に 頼るようになっておりまして、そのために販売、利益とも好調であったと言えます。

    本年度の見通 しといたしましては、石油化学製品の輸出はレアル高で厳しい状況が継続すると予想されますが、新たな市場開拓、用途開拓で需要を伸ばすということが考えら れますし、自動車業界の堅調を受けまして樹脂添加剤等も好調さを継続すると。またロジンは紙の生産量の増加に伴いまして売上、利益とも伸展すると予想され ております。

    続きまして、当部会の顔であります、農薬・飼料添加物の業界です。まず、当部会の 会員でありますイハラブラスさんがブラジル農業界への長年の功績、それからすばらしい経営に対しまして、ブラジル経済誌のIstoeDinheiro誌の 昨年度の化学品石油化学部門の最優秀会社賞を受賞されたといううれしいニュースがありました。

    し かしながらこの業界にとりましては昨年は非常に厳しい年でありまして、各社異口同音に、まれに見る非常に悪い年だというふうに形容されております。この業 界の市場規模といたしましては、03年の市場売上がですね、31億ドル、04年は42%伸展の44億ドルというふうに伸びてきましたけど、昨年05年は 9%マイナスの40億ドルに減少しております。

    その要因といたしましては、昨年上期の南部にお けます干ばつ、それから穀物価格の国際価格が下落しまして、大豆の作付け面積が5%減、それから綿花の作付け面積が35%減ということで、大幅な作付け面 積が減少されたことも上げられます。また、レアル高が続きましたことで、輸出収入が大幅に減少したために農家の購買意欲が減退したということで、この結果 昨年はこの業界にとりましては非常に悪い年に終わっております。

    今年はですね、今現在穀物相場 がだんだん好転してきておりまして、農家の購買意欲も回復しつつありますし、また新商品の上市も計画されておりまして、販売は好転すると思われておりま す。しかしながら一方で心配されるのはドル安が継続と。こうなるとまた輸出がですね、非常に厳しくなりますので、この部分が一点心配の種でございます。

    続 きまして筆記用具の業界です。筆記用具の業界に対します統計数字というのはありませんけど、市場から受ける感じではですね、ボールペンに関しましては BIC、それから鉛筆とかシャープペンシル、ここはファーバーカステル。それからボードマーカーはわが会員でありますパイロットさんがそれぞれシェアの トップを占めていると思われます。

    パイロットさんの結果なんですが、昨年度はマーカー類、ボードマーカー類の販売好調もありまして売上は対前年度比で10%伸展しておりまして、値上げと、それからドル安によります輸入原材料の低下によりまして利益は大幅に伸展しております。

    また、マーカー類のシェアにつきましては、市場の調査におきましては、おそらく60%くらいには達しているんではないかということでございます。
    本 年度の予想なんですが、先ほど来出ております、本年は選挙の年でありまして、昔から選挙の年は筆記具が売れると言われておりまして、また、金利が下がって 消費者の購買意欲が回復するということも期待できますし、新しいモデルの投入なども計画されておりまして、業績は伸展するというふうに考えております。た だ、近年中国製の安い製品がブラジル筆記具メーカーさんの方にOEM導入し始めておりまして、その辺が気にかかるところでございます。

    続 きまして接着剤、シール剤のメーカーでございます。05年の統計数字がまだできあがっておりませんので、上半期同士の比較によりますと、05年上期のブラ ジル国内の全接着剤・シール剤の販売量というのは04年同期に比べまして若干減少しておりまして、8万2000トンあまりであります。

    ほ とんどのカテゴリーでの伸展が見られない中、シール剤のみ販売量が伸展しておりまして、建築関係の好調さが背景にあるのではないかと思われます。それと、 特殊工業用接着剤、シール剤、あと一般用の瞬間接着剤を販売している日系メーカー、あの、私どもなんですが、その結果を申しますと、昨年は自動車、二輪の 好調さを受けまして自動車用のシール剤、それから自動車用部品の接着剤の販売に関しては堅調に推移しまして、シェアも伸ばしております。

    コンスーマー向けの瞬間接着剤。市場規模としましては約2億レアルございますが、こちらの方のシェアは中国製であるとかアルゼンチン製の廉価品の台頭によりましてややシェアを落としております。

    そ れと農業関係がですね、昨年非常に低下したということもあって、トラクターとかコンバインのような農業機械が前年比24%から25%生産台数が減っており ましたので、あと定期メンテナンスも激減しまして、この分野への販売は大幅に落ち込んでおります。その結果売上に関しましては、04年比横ばい状態でござ いました。しかしながら本年度に関しましては、自動車二輪業界が引続き堅調と予想されますし、今年に入りまして自動車工業機械、農業機械、電気、各分野で のテーマが活発に出始めておりますので、業績は伸展するというふうに思われます。

    あと、自動車 とか化粧品その他樹脂メーカーさんに主要ユーザーさんとしておりますプラスチックの着色剤メーカーでありますが、昨年度は自動車業界への販売が好調であり ましたけども、値下げ要求が強く、また原油高によりますプラスチック類の値上がり、それから最大手のユーザーであります化粧品業界がリフィルタイプへの透 明な容器の変更、それから、着色剤の含有量を減らしてコストダウンをはかるといったことで、着色剤の使用量が激減しまして、売上、利益とも減少しておりま す。

    本年度におきましては、金利低下、ワールドカップ、最低賃金の引き上げ、選挙、まあこういったことが全て良い方向に影響するというふうに期待して、業績も良くなるというふうに予想しております。

    続 きまして、食品香料の業界ですが、この業界は食品香料のみで市場規模は約3億5000万レアルございます。昨年の伸びというのは非常に緩やかでございまし たが、ブラジル経済の好調さを背景に食品消費者需要も順調に伸びてきておりまして。メーカーさんにおきましては、塩っ辛いだけではだめだと、甘いだけじゃ いけないということで、昨年からですね、「健康」をキーワードにした新商品の投入であるとか、主力商品のリニューアルの動きが活発に見られておりまして、 これが本年度も市場規模を伸ばす大きな要因になるということで期待されております。

    引続きまし て化粧品業界ですが、化粧品業界は年々二桁の伸展をしております。04年は45億ドルの規模、05年は12%伸展いたしまして50億ドル規模の市場に成長 しております。特に伸びているメーカ―は訪問販売で伸ばしておりますNATURAや、あとAVON、それからブラジルの地場メーカーでありますボチカリオ などがあります。で、この伸びはですね、今年も好調に持続しまして市場規模を拡大するであろうというふうに予想されます。

    最 後に、昨年当部会に入会されました、久光製薬さんの業界なんですが、外用消炎鎮痛剤、分かりやすく言うとサロンパスなんですが、この業界の規模はブラジル 国内で約1億2000万レアルございます。他社が液状であるとかジェル状の商品で参入しておりますが、ただ一社のみ貼るタイプで上市しております。

    こ の業界はですね、毎年、過去五年間で10%程度で市場規模を拡大してきておりまして、現在、ご存知のようにバレーボールの大会を主催するなどされておりま して、ブランドの認知度も上昇してきておりまして、シェアは上がるであろうということで、今年も販売は好調に推移するというふうに考えております。

    すいません、早口で述べさせてもらいましたが、以上です。

    (司 会)どうもありがとうございました。あの、板垣さんの部会はやはり商品が多岐にわたるんで、これを細かく説明していただくのはたいへんだったんですけど、 どうもありがとうございます。何かフロアの方からご質問ありますでしょうか。まああれですね、今のお話ですと、やっぱり化学品でも向いている業界で、やっ ぱり農業を向いている業界は2005年はたいへんでしたということ。自動車とか、あるいは石油化学関係は非常に好調とこういうことですよね。何かご質問あ りませんか。なければ、じゃあどうもありがとうございました。

    じゃ次に、機械金属部会ということで、CBCの嶋末さんから発表をお願いします。

     

    2006年上期異業種部会長懇談会 化学品部会要旨

    化学品部会 板垣 義実

    1.当部会所属企業の顔ぶれ
    農薬、飼料添加物、家庭用殺虫剤
    プラスチック着色剤、接着剤・シール剤、筆記具、ロジン、写真フィルム、水処理
    化粧品、外用消炎鎮痛剤(サロンパス)、食品香料
    石油化学製品輸出入・・・主登録企業17社 サブ登録企業10社 計27社

    2.会員各社の05年総括結果
    2005年上期終了時の厳し目の予想が的中し、販売、利益とも進展を見たのは5割に満たない。 特に利益に至っては進展した企業は3割であった。
    各社夫々理由はあるが、共通していえるのは、
    ①ドル安による輸出品利益減少、
    ②値下げ圧力、価格競争による販売額減少と利益圧縮
    ③中国製品の台頭
    などが挙げられる。 特にブラジル国内での販売シェア進展にもかかわらず利益減少を余儀なくされた企業が多く、04年が良すぎた年であったこともあり、05年は全般的に苦戦を強いられた様相である。

    3.個々の会員企業の結果
    1)石油化学製品輸出入及びロジン製造販売
    【05年の結果】石油化学業界は10年振りの設備投資サイクルが巡ってきている。
    しかし伯国が汎用品を世界中に輸出するには難しく、ブラジル石油化学メーカーの目は南米域内への販売へと移りつつあり、ビジネス環境は厳しさを増している。
    建築用塩ビ用添加剤の値上がり、溶剤関連製品の貿易量増加、樹脂添加剤の好調さなどから業績は伸展した。
    またロジンについては輸出および国内需要の増加に伴い、販売量、利益ともに増加。
    輸出については中国向けが顕著。中国はロジン生産量において世界トップであるが、紙生産についても日本を抜き米国に次ぐ世界第2位となり、ロジン需要量が国内生産量を上回りブラジルからの輸入となり、販売、利益とも好調であった。 
    【2006年見通し】石化製品の輸出はレアル高で厳しい状況は継続すると予想されるが、新たな市場開拓、用途開拓で需要を伸ばす。自動車業界の堅調さを受け樹脂添加剤が好調。ロジンは紙生産増加に伴って紙用商品の品揃えを行う予定で、売り上げ、利益とも伸展すると予想。
    2)農薬・飼料添加物など
    まず当部会会員のイハラブラス社がブラジル経済誌「Isto e Dinheiro誌」の2005年度化学品・石油化学部門の最優秀会社賞を受賞されたことをお伝えします。
    非常にうれしいニュースではあるが、一方業界としては厳しい年であったようで、各社まれに見る悪い年と形容している。
    【05年の結果】
    – シェアを拡大したにもかかわらず、大幅な減収減益となった。
    – この結果は予想をはるかに下回り、想像を絶する結果であった。
    – 03年の市場は31億ドル、04年は44億ドルと伸びてきたが、05年は40億ドルに減少した。
    【要因】
    – 05年上期の南部における旱魃 
    – 国際価格の下落による大豆作付面積5%減(-100万ha)、綿花35%減
    – レアル高(25%上昇)のため、輸出収入が大幅減少した農家の購買意欲減退
    【2006年予想】
    穀物相場が好転して来ており、農家の購買意欲が回復しつつあり、また新商品の上市もあり、販売は好転すると思われる。 
    一方でこのままドル安が継続となれば輸出価格が低いままなので農家の意欲減退ともなりかねない。 その場合は好転は見込めない。

    3)筆記具
    筆記具業界の統計数字はないが、市場調査ではボールペンはVIC、鉛筆・シャープペンシルはFABER CASTELL、ボードマーカーはPILOTがシェア
    トップとなっている。
    【結果】
    – マーカー類の販売好調もあり売り上げは前年比10%進展。 利益は値上げとドル安継続による輸入原材料費低下により大幅進展した。
    – マーカー類のシェアは業界の統計数字がないが、市場から受ける印象では60%位に達している。
    【2006年予想】
    本年は選挙年であり、昔から選挙の年は筆記具が売れると言われており、また金利が下がり消費者の購買力回復も期待でき、新モデルの投入などで販売は大幅ではないが伸展すると予想。 ただ近年、ブラジル筆記具メーカーが安い中国製をOEMで導入し始めたのが気がかり。

    4)接着剤
    05年通年の統計数字はまだ出ておらず、上半期同士の比較によると、05年上期の全接着剤・シ-ル材の販売量は前年同期比微少減となっており、82000トンであった。 逆に販売額はUS$換算で前年同期比30%増の1億5670万ドルであったが、これはドル安による影響で、実質は伸びていない。
    ほとんどのカテゴリーでの伸展が見られない中、シール材のみ販売量が伸展しており建築関係の好調さを背景にしている。
    特殊工業用接着剤・シール材、一般用瞬間接着剤を製造販売している日系メーカーの結果は以下の通り。
    【05年結果】 売り上げは横ばい、利益はリストラ、為替差益の影響で増大した。
    【上記要因】
    – 自動車・2輪の好調さを受け自動車用シール材、自動車部品用接着剤の販売は堅調に推移し、シェアを6割以上とした。
    – コンスーマ市場向け瞬間接着剤(市場規模2億レアル/年)のシェアは、中国製やアルゼンチン製の廉価品に押され、やや減少し25~30%とした。
    – 農業の停滞のため、トラクターなどの農業機械が前年比24%減の生産台数となりまた定期メンテナンスも激減し、この分野への販売が大幅に落ち込んだ。
    【2006年予想】
    – 自動車・2輪など基幹産業が堅調
    – 自動車、工業機械、農業機械、電気などの分野でテーマが出始めた。
    – 金利低下、選挙、Wカップが消費者の購買意欲にプラスに働くと予想。
    のため販売は伸展する。

    5)プラスチック着色剤
    【主要取引業界】自動車、化粧品、樹脂メーカー、文房具・日用雑貨メーカー
    【05年結果】売り上げ、利益とも前年比減少となった。
    【上記要因】
    – 自動車業界への販売は好調なるも値下げ要求
    – 原油高によるプラスチック類の値上がり
    – 大手ユーザーである化粧品業界がリフィルタイプへの容器変更や着色剤含有量減少、またドル安による輸出減少などで使用量が大幅に減少。
    【2006年予想】
    金利低下により国内市場に明るさが出てくると期待され、一般消費も上向く。金利低下、為替安定、Wカップ、選挙、最低賃金引き上げがすべてよい方向に影響すると期待し、また他社と差別化した環境に配慮した新商品投入などで販売は好転すると予測。
    6)食品香料
    【市場規模】R$3億5000万(食品香料のみの04年度販売額)
    【05年結果】04年―05年の伸びは緩やかで、販売は横ばい状況であり利益も減少した。業界の動きでは、ブラジル経済の好調さを背景に食品消費者需要も順調に伸びており、メーカーにおいて「健康」をキーワードにした新製品投入や主力商品のリニューアルの動きが見られた。
    【2006年予測】 安定利益確保のため本業に集中するため、不採算事業から撤退するので、販売は横ばいとなるが、利益は伸展する。

    7)化粧品
    化粧品販売は年々2桁進展し04年は45億ドル、05年は12%進展の50億ドル市場に成長している。特に伸びているのは訪問販売メーカーのNATURAやAVON、ブラジル地場メーカーのボチカリオなどである。
    内訳は2004年度統計数字で、体と口の衛生商品(体臭・口臭防止)29%、整髪料・シャンプー26%、肌手入れ化粧水・保水剤など11%、衛生用品・
    おしめ14%、香水13%、化粧品6%となっている。
    2006年も好調な市場規模拡大を背景に販売、利益とも伸展すると予測

    8)外用消炎鎮痛剤(平たく言うとサロンパス) 
    昨年から当部会に入会された久光製薬さんからの報告。
    【業界規模】R$1億2000万 (約60億円)
    【05 年結果】業界規模は大きいが、他社は液状、ジェル状商品での参入で、貼るタイプは1社のみ。 医薬品卸業、チェーンドラッグストア間の価格競争が激しく、 スポーツ競技のスポンサーになるなど広告宣伝に努め知名度を上げ拡販を図った結果、前年比20%の販売進展。 しかし利益は広告宣伝費用の増大のため横ば い。
    【2006年予想】 過去5年間毎年10%程度で市場規模は拡大しており、またバレーボールなどの大会主催などでブランド認知度も上昇してきており、シェアーはあがる。 したがって販売は好調に推移する。

    3.化学品部会個別テーマ
    会員各社の興味、現在問題に直面していることとして
    1)移転価格税制問題
    2)日伯EPA
    があげられる。それぞれ分科会、委員会活動を通じて会員各社の利益となるよう、状況に応じて臨時部会を招集し討議、勉強、理解を重ねることとした。

     

  • 機械金属部会


    嶋末繁機械金属部会長

     

    機械金属部会の報告をさせていただきます。機械金属部会はですね、機械金属関連のメーカー、あるいは消費者さん等が集まっておりまして、多岐にわたっておりますので、それぞれの分野ごとにご説明させていただきます。

    ま ずですね、2005年の回顧でございますが、2005年は前年度の好景気を受け全般的に良いスタートが切れております。しかし、下期に入りまして、レアル 高などの影響や安い中国品などの攻勢で陰りが見えた企業がありましたが、通年では総じて好成績を維持する結果となっております。
    あと、分野別にご説明いたします。

    鉄 鋼・鋼材分野でございます。鉄鋼生産は2004年のパニック買いの結果、需要家、流通業者ともに過剰在庫を抱えていたことと国内需要が全体として低迷し て、輸出ドライブをかけたものの前年比3.9%の減少となっております。ただし、鉄鋼各社とも価格の高止まりで好決算となっております。鋼材の国内販売に つきましては、上期は史上最高であった前年を上回り順調に推移しましたが、下期に失速し、通年では前年比8.7%の減少となっております。

    次 に電力分野。ブラジルの発電部門ですが、水力が82%を占めておりまして、あまり大きな増加はしておりませんが、自家発電部門と輸入電力が増加していると いうデータになっております。しかし経済成長にともなう電力消費も増大しておりまして、数年のうちには再び電力危機が起きる可能性が懸念されております。

    政 府はいろんな対策を打ち出しているものの、そのひとつの例として2002年に創設されましたPROINFA、電力代替源奨励計画、これは風力発電とか小さ な水力発電、バイオマス、こういうものの代替電力開発ですが、現在143件のプロジェクトが検討されておりますが遅々として進んでおらず、有効な手が打た れていない現状です。

    三番目に、新規大型プラント分野でございます。製鉄、紙・パルプおよび石油・化学分野は増産意欲が旺盛で、大型案件の成約があり活況を呈しました。

    重機械、製缶分野です。これも石油化学とかアルミ分野で増産の計画がありまして、タンクとか熱交換器の成約があって活況を呈しております。
    そ れから農業機械分野ですが、この分野はたいへん苦労されております。2004年の暮れに最高値をつけた国際穀物相場は2005年に入り30%から40%急 落しており、また、年初に南部、それから10月ごろにはアマゾンの干ばつが心理的な追い討ちをかけまして、新規農業機械の買い控えムードが広がり、全般的 に厳しい状況でありました。

    コーヒーなど一部には比較的良好な売価と新しい栽培方法の普及によ り生産を伸ばしたことで好調な機種、メーカーもありましたが、主力である大豆、綿花などの落ち込みをカバーするにいたっておりません。各社採算犠牲で輸出 に注力しておりますが、40%近い国内の落ち込みがあまりにも大きく、台数ベースでは業界全体で22.5%の減少となっております。

    精 密測定機器分野です。上期は国内販売、輸出とも好調に推移しましたが、下期になって輸出だけでなく国内販売にも陰りが見えてまいりましたが、主要顧客の自 動車関連業界については、計測機器への需要はおおむね底堅く推移し、通年で8.5%の伸びとなっております。ただし、ノギス等の小型製品につきましては安 価な中国製品が急速に南米市場全体を侵食しつつあり、価格面ではまったく太刀打ちできないことから、品質面での優位性をアピールしながら、安易な値引き競 争に陥らないようにするなどしてマーケットシェアの防御に腐心しているという報告でございました。

    次に工具、ネジ、軸受けおよび潤滑油分野です。

    精密、切削工具。国内販売は下期に減速したものの、品不足状態が続く輸出市場でカバーできて、通年では売上は25%増加、製造面ではフル稼働状態が継続しております。

    電 動工具。主力の建築関連環境に勢いはありませんでしたが、グラインダーやハンマードリルなどの新製品や、北部、北東部地域への販売強化もあり、売上は対前 年20%強のアップとなっております。利益も、付加価値の高い製品の投入やアクセサリー販売が好調で増益確保できております。輸出関係は、レアル高により 数回の値上げを実施したものの、チリ、アルゼンチン等南米向け輸出は好調に推移しております。

    次にネジでございます。自動車および同部品、二輪車および同部品、この業界は堅調な生産の伸びにともなって、同分野へのネジの生産販売は略その比率に応じて順調に伸びております。だいたい10%程度の伸びと聞いております。

    一方、電気・家電産業向けは、テレビ、DVDを中心に順調な伸びを示したものの、レアル高の影響もあり、かなりの部分が主に中国品を主とした輸入品に代替され、同分野へのネジの生産・販売はかなり落ち込む結果となっております。

    軸受けでございます。前半は好調でしたが、後半は国内需要減とレアル高による輸入品の攻勢や輸出の採算悪化に見舞われました。ただし、補修用の軸受け輸入品、これが好調で、通年の売上は5%増を達成できております。

    それから潤滑油。潤滑油につきましては、上期は好調でありましたが、下期はレアル高で輸入品に押されて販売が低下しております。ただ一方では鉄鋼関係の臨時売上があったため、通年では前年と同じレベルとなっております。

    以上が2005年の回顧でございます。

    引き続きまして今年の展望でございますが、総括いたしますと、選挙の年で不透明さがあり、レアル高の影響もあるが、3.5%程度の経済成長が見込まれており、各社とも昨年よりも増加傾向と見込んでおります。

    鉄 鋼分野ですが、生産は粗鋼ベースで4.1%増の3290万トンを見込んでおります。販売構成は、国内向けで自動車や電子電気製品、インフラ向け等の需要増 が見込まれ8.5%の増加。輸出は中国製品の超安値オファーの撹乱要因はあるものの3.1%の増加を予測しております。

    電力分野です。天然ガス料金の高止まり、電力料金の抑制により発電部門の民間投資IPPは消極的な状況が継続しております。ただし、電力送電および変電システムなどの強化計画が動いておりまして、大容量の送電用変圧器の需要が拡大しております。

    それから、アマゾンのマデイラ水力発電プロジェクト、これは6350万キロワットという超大型の水力発電プロジェクトですが、これがどうも動き出す模様だという報告が上がっております。

    それから新規大型プラント分野ですが、公共事業としてのサンフランシスコ河の分流プロジェクト、ペトロブラスや紙・パルプ会社の増産プロジェクト、さらに製鉄所の新設、こういう案件が出てきておりまして、こういうものに期待しております。

    それから、重機械・製缶分野。引き続き増産意欲旺盛な石油化学、紙・パルプ、製鉄、アルミなどの業界で案件が出てくることを期待しておりますが、現時点での引き合い件数は前年同期に比べ減少傾向でございます。

    農 業機械分野。昨年同様我慢の一年になると予想しております。ただし、ブラジルの農業はすでに世界トップクラスの競争力を有しており、中・長期観点では農業 機械と肥料・農薬等の資材市場の将来性は高く、今回の落ち込みは3,4年周期で来る波の一環であると考えておる、という報告でございます。

    次に精密測定機器分野。近年のブラジル製造業の品質管理マインドの高まりが潜在ビジネスチャンスを広げており、特注品の販売などにも注力してきめ細かさで差別化するとともに、効率的な営業活動で25%程度の販売増を目指しております。

    そ れから、精密、切削工具。年初来国内市場向けの冷え込みが伝えられ生産調整の必要を検討しておりますが、日本の需要が高レベルであり輸出でカバーすべく日 本本社と調整中でございます。輸出をさらに増やして何とか生産を維持して、数量で今年は15%増を目標にしております。

    電動工具。新製品の投入や新モデルへの移行と販売地域の拡大で20%以上の増収を見込んでおります。

    ネジ分野ですが、自動車、二輪、電気・家電業界は伸びが見込まれておりまして、15%程度の生産販売増を見込んでおります。

    軸受けにつきましても、自動車や二輪車の製造は増加、また、鉱山、パルプ、アルコールなどの産業は好調で補修用軸受けの需要は堅調。家電分野は引続き輸入品に押されて低迷が続くが、全体では堅調と見ております。

    潤滑油分野です。選挙とレアル高で予測は難しいのですが、鉄鋼関連の売上増が見込め、今年は20%増の計画を立てておりますという状況でございます。以上で機械金属部会の報告を終わらせていただきます。

    (司 会)どうも嶋末さん、ありがとうございました。あの、機械金属部会も化学品と同じように産業が非常に多岐にわたってるんで、一つ一つ拾っていただいて詳細 な報告ありがとうございます。やはりここでもあの、先ほどの化学品と同じように2005年は農業に関わる部分、農業機械はたいへんだったけれども、それ以 外の紙パとか製鉄、自動車関連は好調であったというのが大方の報告だったと思いますけれども、何かご質問ありますか。

    (質問)ミタル・スチールが230億でアーセロールグループを買収等、製鉄部門合併の動きが日本、ブラジルの製鉄業界に及ぼす影響について。

    (回 答、新日鉄・浅賀)では私が、嶋末さんに代わってお答えします。今回ミタルさんの方からアーセロールを買いたいという提案がございましたけども、今回これ が成功するしないに関わらず、こういう傾向は引続きあると思います。ですから今回の話がまとまらなくても次の話がまた出てくるというふうに我々は見ており ます。

    そこでこういうコンソリデーションの動きがブラジル、日本の鉄鋼業にどういう影響がある かということなんですけども、ちょっとブラジルと日本は状況が違います。ブラジルの総生産量というのは、ちょうど私の会社の新日鉄の一社とほぼ同じ量で す。ですからブラジルの場合どうやって生き残っていくかというのはもうちょっと難しいと思います。

    で もすでにアーセロールブラジルが1100万トン、3000万トン強のうち1100万トンはアーセロールがすでにおさえております。で早晩、1300万トン くらい能力が増えていくという中でブラジルはどういうふうにナショナル資本を中心にですね、ブラジルの中でがんばっていくかというのがひとつテーマとして あります。

    で日本は、まあ韓国も同じなんですが、非常に株主が分散化してますのでこういう買収 を仕掛けられた時には非常に抵抗力がないと。今たまたま時価総額が高いので、例えば新日鉄というのはターゲットになっておりませんけれども、例えばポス コ、韓国のポスコなどは外国人の持ち株比率が、外国人の比率が多分七割を超えていると思いますので、今回のような思い切ったプレミアムを目の前にぶらさげ られると、売ってとりあえず鞘をとっておこうという投資家が出てくる可能性があるのでですね、
    引き続き日本も韓国も買収の脅威にさらされている状 態だと思います。でも、これはですね、止まらない状況でして。ちょっと長くなりますけども、鉄鋼原料はですね、世界の大手5社が約85%市場を支配してお ります。で車もですね、多分大手5社は6割をすでに超えた市場支配率だと思います。

    ですから原 料と、大手の需要家である自動車産業のですね寡占化が進んでいる中で、鉄鋼業は多分まだ大手5社は20%に行っていないと思います。ですから、両方のはさ みうちにあっている状況でですね、まあ何とか生き残りを探ろうとすれば、コンソリデーションの比率をもっと上げていかないと原料を買う力、製品を売る力が 維持できないと、維持できないというか確保できないというふうなそういうポジションにあります。よろしいでしょうか。

    (司 会)どうも、構造的に非常に分かりやすいお話ありがとうございます。そのほかご質問なければですね、15分ほど経過しておるんですが、これでコーヒーブレ イクで、3時40分、ちょっと休み時間短縮します、40分に再開したいと思いますのでお集まりください。どうも嶋末さんありがとうございました。

    これから六部会、繊維、食品、電気電子、建設不動産、運輸サービス、最後になりますが自動車部会ということで発表を順次お願いしたいと思います。まず繊維部会ということで、日清紡の今井さんお願いします。

     

    テーマ: 「2005年の回顧と2006年の展望」 および 部会別個別テーマ

    2006 年 2月7日
    機械金属部会長 嶋末 繁

    Ⅰ.2005年の回顧

    2005年は、前年度の好景気を受け、全般的に良いスタートであった。しかし下期に入り、レアル高などの影響や中国品などの攻勢にあい苦戦した企業があったが、通年では好業績を維持する結果になった。
    1- 製鉄・鋼材分野
    鉄 鋼生産は、2004年のパニック買いの結果、需要家、流通業者ともに過剰在庫を抱えていたことと国内需要が全体として低迷して、輸出ドライブをかけたもの の前年比3.9%の減少となった。ただし、各社とも価格の高止まりで好決算となっている。鋼材の国内販売は、上期は史上最高であった前年を上回り順調に推 移したが、下期に失速し、通年では前年比8.7%の減少となった。
    2- 電力分野
    ブラジルの発電部門は、自家発電部門と輸入電力が 増加している。しかし、経済成長に伴う電力消費も増大しており、数年のうちには電力危機が起きる可能性が懸念されている。政府はいろいろな対策を打ち出し ているものの、2002年に創設されたPROINFA(電力代替源奨励計画:風力・小水力・バイオマス)などのように、143件のプロジェクトが検討され ているが遅々として進んでおらず、有効な手が打たれていない状況である。
    3- 新規大型プラント分野
    製鉄、紙・パルプ及び石油・化学分野は増産意欲が旺盛であり、大型案件での成約があり活況を呈した。
    4- 重機械・製缶分野
    石油化学及びアルミ分野にてタンク・熱交換器の成約あった。
    5- 農業機械分野
    2004 年暮に最高値を付けた国際穀物相場は、2005年に入り急落(30~40%)したことと、南部とアマゾンの旱魃が心理的な追い討ちをかけ、新規農業機械の 買い控えムードが広がり、全般的に厳しい状況であった。      コーヒー等、一部中には 比較的良好な売価と新しい栽培方法の普及により生産を伸ばし た機種/メーカーもあるが、主力である大豆、綿花の落ち込みをカバーするに至らず。各社採算犠牲で輸出に注力したが、国内の落ち込みがあまりに大きく、台 数ベースでは業界全体で 22.5%の減少となった。 
    6- 精密測定機器分野
    上期は国内販売、輸出とも好調に推移したが、下期に なって輸出だけでなく国内販売にも陰りが見えたが、主要顧客の自動車関連業界については、計測機器への需要は概ね底堅く推移し、通年で8.5%の伸びと なった。ただし、小型製品については安価な中国製品が急速に南米市場全体を侵食しつつあり、価格面では全く太刀打ちできないことから、品質面での優位性を アピールしながら、安易な値引き競争に陥らないようにする等、マーケットシェアの防御に腐心している。
    7- 一般産業向け 工具、ネジ、軸受け及び潤滑油分野
    -精密、切削工具
    国内販売は下期に減速したものの品不足が続く輸出市場でカバーでき、通年で売上は 25 %増加、製造面ではフル稼動状況が継続している。
    -電動工具
    主 力の建築関連環境に勢いはなかったが、新製品や、北部・北東部地域への販売強化もあり、売上は対前年20%強のアップ。利益も、付加価値の高い製品の投入 やアクセサリー販売が好調で増益確保。輸出関係は、レアル高により数回の値上げを実施したものの、チリ,アルゼンチン等南米向け輸出が好調。
    -ネジ
    自動車・同部品産業及び二輪車・同部品業界の堅調な生産の伸びに伴い同分野へのネジ生産・販売は略その比率に応じて順調に伸びた(10%程度)。
    一方、電気・家電産業向けは、TV,DVD中心に順調な伸びを示したものの、レアル高の影響もありかなりの部分が輸入品(主に中国製品)に代替され、同分野へのネジの生産・販売はかなり落ち込む結果となった。
    -軸受け
    前半は好調であったが、後半は国内需要減とレアル高による輸入品の攻勢や輸出の採算悪化に見舞われた。ただし、補修用輸入品は好調で、通年の売り上げは5%増を達成できた。
    -潤滑油
    上期は好調であったが、下期はレアル高で輸入品に押されて販売が低下。一方では、鉄鋼関連の臨時売り上げがあったため、通年では前年と同レベルとなった。

     

    Ⅱ.2006年の展望

    各選挙の年で不透明さがあり、レアル高の影響もあるが、3.5 %程度の経済成長が見込まれており、各社とも05年よりも増加傾向と見込んでいる。
    1- 製鉄・鋼材分野
    生産は粗鋼ベースで微増( 4.1 %)の 32.9 百万トンを見込む。販売構成は、国内向けで自動車や電子電気製品、インフラ向け等の需要増が見込まれ 8.5 %増加、輸出は中国ミルの超安値オファーの撹乱要因はあるものの 3.1 %の増加を予測している。
    2- 電力分野
    天 然ガス料金の高止まり、電力料金の抑制により発電部門の民間投資 IPP は消極的な状況が継続する。但し電力送電及び変電システム等の強化計画により、大容量の送電用変圧器の需要が拡大する。なお、アマゾンのマデイラ水力発電 プロジェクト(6,350万KW)が動き出す模様。
    3- 新規大型プラント分野
    公共事業としてのサンフランシスコ河分流プロジェクト、ペトロブラスや、紙・パルプ会社の増産プロジェクト、更に製鉄所の新設などに期待している。
    4- 重機械・製缶分野
    引き続き増産意欲旺盛な石油化学、紙・パルフ、製鉄・アルミなどの業界での案件に期待している。
    5- 農業機械分野
    昨年同様我慢の一年になると予想される。但し、ブラジルの農業は既に世界トップクラスの競争力を有しており、中・長期観点では 農業機械と肥料・農薬等の資材市場の将来性は高く、今回の落ち込みは3~4年周期で来る波の一環であると考えている。
    6- 精密測定機器分野
    近年のブラジル製造業の品質管理マインドの高まりが潜在ビジネスチャンスを広げており、特注品販売などにも注力してきめ細かさで差別化するとともに、効率的な営業活動で25%程度の販売増を目指している。
    7- 一般産業向け 工具、ネジ、軸受け及び潤滑油分野
    -精密・切削工具
    年初来国内市場向けの冷え込みが伝えられ生産調整の必要性を検討しているが、日本の需要が高レベルであり輸出でカバーすべく日本本社と調整中。 輸出を更に増やして、何とか生産を維持し、数量で15%増を目標にしている。
    -電動工具
    新製品の投入や新モデルへの移行と販売地域の拡大で20%以上の増収を見込む。
    -ネジ
    ネジ使用業界(自動車、二輪車、電気・家電業界)は伸びが見込まれており、2005年比15%程度の生産・販売増を見込んでいる。
    -軸受け
    自動車や二輪車の製造は増加が見込まれており、また、鉱山、パルプ、アルコールなどの産業は好調で、補修用軸受けの需要は堅調、家電分野は引き続き輸入品に押されて低迷が続くが、全体では堅調と見ている。

     

     

    Ⅲ.部会別個別テーマ

    機械金属部会で現在注目している事項は、FTAおよび移転価格税制であるが、これらについてはすでに分科会が設置されて検討が進められており、分科会活動に期待している。

     

  • 繊維部会


    今井達男繊維部会長

     

    日清紡の今井でございます。これから繊維部会を代表しましてご説明いたします。私ども繊維部会は全部で八社、繊維の紡績が六社と、それからアパレル、それか らファスナーのYKKさんと、非常に所帯はちいそうございます。ただ、あの、ブラジルに来た歴史は非常に長いというか、まあ五十年以上経った会社もござい ますし、新しいところで約三十年ということでございます。じゃあ最初にアパレルのことにつきましてご説明いたします。

    えーっ と、まずですね、前回もそうしましたけど、繊維業界を天気予報でたとえますと、2004年はクラーロっていうか、快晴。それで2005年はですね、私ども 綿紡績にとっては晴れのち薄曇りと。それからこの、アパレルおよびファスナーの業界にとってはですね、曇りのち小雨と、こんな感じです。

    そ れでまあ曇りのち小雨の業界のですね、ご説明申し上げます。2004年は冬が非常に寒かったので、非常に良かったと。ところが2005年は、まあ天候異変 で夏が涼しくて、冬が暖かいということで、冬物衣料は売れなかったということと、それから十一月まで夏物もですね、非常に涼しい気候で売れ行きが良くな かったと。

    それでまあクリスマス商戦も、2004年と対比しまして10%から15%ぐらいまあ 悪かったということで、アパレルの業界は曇りのち小雨とそういう風な感じだと思います。で、まあもう少し言いますと、小売業界は冬物がまったく売れなかっ たのでどんどん在庫がたまっちゃったと。で夏物を今売っていますけどなかなか。

    これは紳士の場合だけですけども、これからですけども、良くないと。そうすると小売店もお金がなくなりましてですね、仕入先への手形サイトを引き伸ばすというようなことで、非常に、まああまり良くなかったと。

    そ れから特にですね、大きな動きとしては、カーザバイーアという電化製品のチェーン店がございますけども、ここがクリスマス商戦でクレジット戦略をやりまし て、審査なしに十回払いとか十五回払いのクレジットOKということになりますと、皆さん、あの、衣料品を買うよりも、給料をもらったら、まあ十三ヶ月給料 をもらってDVDとかテレビとかそっちの方に流れちゃって、まあうまくいかなかったと、こういうことですね。

    そ れで、ただ悪いことばかりじゃなくて、要するにレアルが高いということは輸入素材が安く入る訳ですから、コストダウンになったということで、今まで高くて 輸入できなかったスラックスやシャツ用のポリエステルレイヨンの混紡品、このレイヨンというのは非常に柔らかいタッチの商品ができるんですけども、そうい うものを、素材を輸入することができたと、こういうことですね。

    で、まあ2006年への展望。 これはですね、2006年は要するに綿紡績、およびアパレル業界も含めてですね。2006年の予想は天候で言いますと、薄曇りからのち晴れになるんじゃな いかと、だからポコヌブラードからクラーロに変わるんじゃないかと、こういうふうに期待しております。

    ま あその理由としては、ワールドカップのサッカーもあるし、それから大統領選挙で四月から最低給料も五十レアルも上がるし、ということと、それから、いつの 時代も、日本も同じなんですけども、婦人物、特に高級品は関係ないんですね。えー、まず最初にお父さんの着るものを削ってですね、お母さんが着るものは関 係ないということは、日本もブラジルも同じだと思います。

    じゃあ次にですね、国際原綿の話をし ます。商社の方もたくさんいらっしゃいますので、綿の話をします。これはあの、実は綿は単位が百万俵でですね、みなさんお分かりになりにくいと思いますの で、これをトン数でいきますと、えっと、生産のところが一億一千二百万俵になっていますけども、これはですね、トン数にしますと二千四百五十万俵(ト ン?)生産されていると、それで国内消費というか、要するに全世界で消費されている量がですね、約二千五百万俵(トン?)くらい消費されていると。

    そ れから四千百万俵の輸出がありますけど、これが約九百万トンぐらいなんですね。ということです。それでこの中で見ていただきますと、米国が22%ぐらい、 中国が24%ぐらい生産していると。ブラジルが世界の4%くらいですね。で国内消費と、こう見ますと、アメリカが5%ぐらいで、中国がこれざっと40%ぐ らい消費していると。ブラジルは世界の3.5%の消費をしていると、こんな数字です。えー、これすいません。一億一千二百万トンではなくてこれは俵の間違 いです。

    それで、世界的なやはり異常気象と、今日本も非常に寒いですし、高品質品が供給不足 で、まあ品質の悪いやつの増産が目立つということです。それで、今あの、輸出の規模というのは約九百万トンと、これはニューヨークの綿花の定期相場という のがあるんですけども、この中で米国が、要するに、一千六百万俵というか、これで全世界の輸出高の四割を米国が占めているということですから、米国の指標 が世界の綿花の指標になっているとこういうことです。

    それで、世界の消費を見ますとですね。中 国が約四割。それからインド、パキスタン、トルコ。この四つの国で世界全体の68%ということはですね。ブラジルは先ほど申しましたように3.5%ぐらい しかありませんから、中国から安いものが流れてきたらもうどうしようもないということなんですが、なかなかそうはいかないとは思っております。

    で、 こういう形で、圧倒的に世界の工場であり巨人であるところの中国、インド、パキスタン、トルコ。このアジア勢がですね、今後の世界の繊維製品の動向を握っ ていると。今も実際に握っていますし、中国の、まあバイイングパワーというのはものすごいものがありますけれども、こういう形で非常に影響度が大きいと。 で、それがブラジルにどう影響してくるのかということを、まあ今我々は細かく見ていると、こういうところです。

    えーっと、まあ原綿につきましてはアメリカは補助金があるということで、大幅なまあ減産はないと思うんですけれども。あの実は私どもの会社も、あの、アメリカの綿を買っております。

    これはまああの、どうしてもブラジルの綿だけではダメでですね、どうしても味の素が必要なものですから、味つけにですねちょっと入れますと、ピリッと辛くなったり甘くなったりしてくれるものですから、アメリカの綿をですね、高いんですけれども入れています。

    それから中国はまあ今後ともたくさん綿を使うだろうと。それからインドもどんどん増えるだろうということでですね、綿はやや、我々の原材料であるところの綿というのは、まあ、約原価の六割以上を占めているんですけども、これがタイトに推移するのではないかと思います。

    そ れから次に、私どものまあ、糸の販売について簡単にご説明します。まず輸出状況ですけれども、一番多いのが、2003年度が四万五千九百トンと、で、金額 もこれだけの金額(102436ドル)になりましたけども、これはこの年はレアルが、要するに3.8とか、非常に安かったという時ですね。それから、 2004年にその分が六掛けぐらいになったと。

    それで、こういうふうに見ますと、今度は2005年になりますと、意外とですね、03年から04年にはずいぶん減りました。六掛けに減りましたけども、2005年には、まあ要するに前年対比九割ぐらいになっていると。金額対比でも七割、77%。

    こ ういうことなんですけど、これはどういうことかといいますと、私どものまあ、紡績というのは、だいたいブラジルの紡績の中の10%くらいのシェアしか持っ ていないと。九割のシェアというのはブラジル資本の企業なんですけども、彼らがやっぱり輸出をやってきて、ですから多少赤でも輸出をせざるを得ないという ことで、この数字がですね、大幅な落ち込みにはなっておりません。

    それからあの、2005年の 回顧としましては、あの、先ほどのアパレルでも申しましたけど、冬物衣料があまり売れなかったということで売値はほぼ低調に推移しましたけれども、その、 ルクロという面では、あの、綿の値段が売値以上に下がってくれましてまずまずだったということで、晴れのち薄曇りと申し上げた次第です。

    で、 今度はですね、あと輸出の状況は採算が悪化して数量も減少しましたけれども、やはりある程度工場の操業維持ということもありまして、輸出はなされておりま す。それから、あと一番懸念されるのは、アジアから、特に中国、インドからの輸入綿糸が、2004年に三千百三十二トンが、約2.3倍の七千六十五トンと こう増えてきたと。

    で、これが今後増えてきたらですね、我々の日系の繊維企業もこれは大変なことになるんですけれども、その辺はまあ注意深く見なきゃいけないと、こういうことです。

    えー、 それでですね、2006年、要するに薄曇りから、ポコヌブラードからクラーロに変わるだろうといった理由は、要するに秋物の仕掛けが普通2、3月から始ま るんですけども、12月から始まったと。それから大統領選挙の年でまあ選挙の特需があるだろうということの明るい材料。

    そ れから暗い材料は、レアル高が続けばブラジルの、まあこれは綿糸もそうですし、製品もそうですね。まあ水際ベースかもしれませんけども、国際競争力が低下 するだろうと。そうすると、あと輸出玉、海外に輸出するために作っていた玉が国内に還流しますとその分だけ値段が下がっちゃうと。

    そ れから中国からの、まあ要するに為替が高いということ、レアルが高いということで二次製品が急増してきたら、国内の需要と供給のバランスが悪化しちゃって ということですね。ですから、先ほど申し上げましたけど、綿花の相場が非常に高くなってきてるから、値段が、原料コストが上がるだろうと。ところが、原料 高の製品安になりはしないかということが懸念されますけれども、まあ後で申し上げますけど、そうはいかないんじゃないかなということで、まあより細かな動 きをした、まあ要するにブラジルのアパレルの動きがあれば何とか中国品にも負けることはないんじゃないかと、こう思っております。
    で、次にです ね、ファスナーの業界ということで。えっと、ファスナーの業界はですね、去年は非常に厳しい年だったと。で、あの、主力のジーンズがですね、2004年の ジーンズの生産が二億四千万ユニット。まあ二億四千万枚ですね。ところが2005年が、それが二億枚に減っちゃったと。これは何でかといいますとレアルが 高いためにですね、輸出ができなかったということ。それから、やっぱり前の年に売れすぎたからちょっと減っちゃったということ。
    それからもう一つは、大手のアパレルが作るよりも家内工業的なところがまあいろんなところがありましてね。でそういうところがメイアノッタの安い値段で出してくると値段が全然違うということでそちらの方に流れちゃったということでですね、
    YKK さんあたりは消費不振からその、ジーンズの生産が減っちゃったと。それで、ジーンズにたくさんの金属製のジッパーを使っているんですけども、その使用量が 減ったということですね。えーっと、それから冬物の生産ということで、冬物は当然ファスナーをたくさん使いますから、そういう面でちょっと減ったなあとい うことですね。

    それからあと、ファスナーの用途で忘れてはいけないのは、あの、婦人の靴、ブーツ用のファスナー。これは非常にまあ収益としてもいいと思うんですけれども、これが、ブーツ用のファスナーの生産がですね、レアルが高くて米国向けの輸出市場が中国に奪われてしまったと。

    で、 ですからリオグランデドスールの靴産地で六十社が倒産して二万人が解雇とかいうことで、非常に厳しい年であったということです。それで、ファスナーも、繊 維全体で申し上げた通り、薄曇りから晴れになるだろうというのは、要するに生産、販売予想ですね。これが2004年が非常に良かったのを100としてこの 年80ぐらいまで落っこちちゃったと。これが96ぐらいまで上がるんじゃないかということでですね、まああの、何とかいい年になるんじゃないかということ だと思います。

    懸念材料としてはレアル高で中国製品の輸入が増えるということと、もしもこの、 夏は暑いんですけども、冬も暖かかったら冬物が惨敗しやしないかなと。それと、子供とか、ものを中心にして中国製の安物ジッパーがどんどん入ってきまし て、その辺との競合が心配されますけれども、一応まとめとしましては、ブラジルのアパレルというのはですね、中国品にはないところの、要するに短サイクル で小ロットでの生産ができることと、それから街をこう歩いておられてもすぐお分かりになるように、婦人のファッションというのは非常に色とりどりというか いろんなその、まあカット、縫製の仕方とかいろんなスタイルにしても、これは一様に中国で真似できるものじゃないと思うんですね。

    で すからそういう面で、ブラジルのアパレルというのは中国品の安いものが多少入ってきたとしても、それはユニフォームとかそういうところでは入るかもしれま せんけれども、まあ普通の一般の衣料品の分野ではですね、中国品にブラジルのアパレル製品は負けないということで、それに材料を提供しております我々日系 のメーカー、それからアパレルさんもですね、2006年は中国勢にも負けないで、まあいい一年が過ごせたらいいな、ということを思いましてね、私のご説明 とさせていただきます。

    (司会)どうもありがとうございました。まあこれまでいくつかの業種で中国の影というのが出てきていて、例えばネジとか筆記具とか出てきましたけども、特にこの繊維のところではファスナー、綿糸のところでは中国の影響が非常に大きいということですね。

    (今 井)えーっと、ちなみにですね。日本の輸入品の比率は、繊維製品の輸入品の比率は、95%です。国産品に残された数量ベースの比率はたったの5%しか残っ ておりません。ブラジルの場合は、ちょっと数字は調べておりませんけども、まあ圧倒的にブラジル品の比率が高いということで、まあ、国境線は非常に広いし 密輸の商品もどんどん出てくるんですけども、国がですね、いろんな面で非関税障壁を、たとえば通関をわざと時間をかけてくれるとか。そういう面で非関税障 壁がたくさんありましてですね、まあまだ繊維産業にとっては生き残れる市場ではないかなと思っております。

    (司会)はい。何かご質問、フロア―の方からありますか?どうぞ。マイクが行きます。

    (質 問)あの、興味本位の質問で恐縮ですけども、中国に出している繊維とか雑貨類の中で、靴がね、非常にあの高額品でも中国の方に流れているというようなこと を聞いたころにですね、ブラジルのファッション。ファッションショーを北京でやったりいろいろ、こう上海とかであったと聞いているんですが、先ほど、ブラ ジル側で中国のものが売れるという意味での席巻ではなくて、逆にそのブラジルファッションというのか、そういうものが中国側に負けないモデルがあるんだっ たら出るというような傾向というのはないんですか?

    (今井)えーとですね、ファッションという ことについてはやっぱりこれはブラジルというかラテン民族の持つ独特の色感覚、ファッション感覚があると思うんですけども。問題はですね、結局インフラと いうか、要するに第一回目のデリバリーはできるんですけども、もしもその後どれかが売れた時のですね、フォローアップの体勢が実はブラジルの場合弱いんで すよね。

    日本の場合は、要するに売れたらすぐに売れ筋の商品を二週間後に日本に届けなさい、と いうことに慣れていると。じゃあ中国や日本に消費者さんがいろいろとブラジルファッションを売り込みたいということで行くんですけども、なかなか日本も、 まあ中国の場合どうか分かりませんが、私が分かる日本の場合だけ申し上げますとですね。ある程度日本もどういうふうに売れるか分からないから少ししか入れ ないと、で売れたと。じゃすぐによこしなさいといったら、なかなか、その次の少しがものすごく時間がかかってしまうということで、ですから、アメリカとか ヨーロッパのアパレルがブラジルのファッション、ブラジルのアパレル製品を輸入する場合はそういうことに慣れているからある程度多めに仕入れて置いておく ということをアジアの消費国もやっていけばブラジルファッションというのはなかなか面白いと思うんですけども、今一番の課題はレアルが安くなってもらわな いと今のままの値段ではちょっと輸出は難しいということですよね。

    そうすると、水着のように、楽しむために着るんだ、だから多少高くてもいいわと。ですからそういうような形でパンツとかシャツがどんどんいけるかというとなかなかその辺のところがね。ちょっとこれからの課題だと思います。

    で すから私自身非常に期待しているのは、婦人ファッションですね。婦人ファッションの商品が欧米にまず流れるということで、特にヨーロッパの場合は近くに EUに加盟したトルコがおりますし、その辺との競合をどうするかということですけども、この国の繊維産業の未来というのは、そういう形で、レアルとかまあ 為替の問題ありますけども、その辺が解決できれば面白いというか、非常にインテレサンチなマーケットだと思います。

    (質問)ファッションモデルは非常に質が高いと二宮前部会長がおっしゃっていましたが。

    (今 井)そうですね。ですから、私も前日本で通信販売をやっていましたので、カタログ撮影オーストラリアに行くんですね。ちょうど日本と逆ですから。ブラジル の方がもっとモデルをたくさん選べると思うんですけど、何せちょっと遠いものですから、ほとんど今はもうオーストラリアでしか撮影していませんけども、確 かにブラジルと日本が近かったら絶対ここに撮影にきていたと思いますね。

    (司会)非常に分かりやすい具体的な説明ありがとうございます。これ以上ご質問がなければ次に行きます。次はですね、食品部会ということで、日清味の素アリメントスの広田さんお願いいたします。

     

     

  • 食品部会


    廣田喬司食品副部会長

     

    食品部会の報告をさせていただきます。日清味の素の廣田でございます。よろしくお願いいたします。まず2005年の回顧でございますけれども、やはり私ども食品部会につきましても各社様ドル安レアル高が少なからず影響を与えた一年だったと言えるだろうと思います。

    国 内市場におきましては食品全般が比較的デフレ環境にある中、皆さん順調に推移されたというふうにご報告をいただいております。一方輸出をされておる企業さ んにおかれましては、やはりレアル高が業績を低調なものにしたという結果になっております。で、具体的に私どもの場合、会員企業様の具体的なご報告をさせ ていただきたいと思っております。

    まず発酵乳ヤクルト、ヨーグルト、デザート等の市場はレアル 高の中コストアップ分をいかに吸収するかが課題であったかということでございますけれども、製品価格据え置きにより発酵乳ヤクルトの売上は前年比約6%の 増加、乳酸菌入りデザートソフィールが前年比約20%の伸び、またその他の製品についても7%から15%の伸長となり、大手スーパーなどで安売りが続く中 にあって、回復の兆しが見え始めているというご報告を頂いております。
    続きまして調味料市場。こちらは数量ベースでマーケット全体として前年比 108%の伸び。金額ベースで117%と大幅な伸長を見せた。味の素インテルアメリカーナ社では主力製品のSAZONやREFRESCO MIDが順調に 推移したことに加え、新製品、インスタントスープのVONOが順調に立ち上がり、売上実績は対前年比124%となられました。

    一方、飼料用アミノ酸の主力製品であるリジン市場においては、市況悪化による価格下落と大幅なレアル高と悪材料が重なり厳しい状況であられたというふうになっております。

    続きまして私どもの即席麺市場でございますけども、こちらは数量ベースで対前年比で6%の伸びとなっております。

    で、 即席麺マーケットにおきましては、ほとんどの主要の原材料が、ほとんどがドルリンクされております関係で、レアル高になった関係で非常に製造コストが安く なったということがございまして、これはまあ本来ならば我々にとって非常にうれしいことになる訳なんですけど、残念ながらそうはならなくて。これのおかげ で非常に新規参入企業が増えまして、昨年一年度で過去最高の九社、九メーカーさんがこの即席麺市場に参入されました。

    現 在ブラジルの国内におきましては、即席麺をつくっている、あるいは販売されておるメーカーが四十社ございまして、まあその大半がいわゆる昔からやられてお りますマッサ・コンベンションと言われるスパゲッティとかマカロニとかそういったものを作られておられるメーカーさんが最近即席麺市場に参入されてきてお ります。

    まあその結果といたしまして、スーパーマーケットなどでの小売価格が昨年度と比較して も一層安くなりまして、収益面では半面厳しい状況になったと。私どもにつきましては新製品でYAKISSOBAというような商品を全国発売させていただい たこともありまして、数量ベースでは約108%伸びることができました。

    続きまして酒、醤油の 販売につきましてですけども、こちらは4月に起きた輸入サーモン寄生虫問題により、日本食レストランから客足が遠のいた結果、売上が70から80%減と なったり、昼の営業をとりやめたりするレストランなども増えて、まあその分販売の方も低迷をしたと。ただ九月以降については動きが回復し、まあ、これを作 られております東山農産加工社においては、年間を通してはほぼ前年と同じ程度の売上が確保できたというふうに聞いております。

    ま た、飲料分野においてなんですけど、こちらについては現在の傾向というんでしょうか、新製品の傾向としては、やはり、先ほども香料会社のご説明の方でご報 告をいただいたんですけど、こちらも「健康」がやはりキーワードとなっているということで、低カロリーを謳うLIGHT化からもう一歩前進して、現在大手 メーカーさんにおいては豆乳あるいはビタミン類、あるいはファイバー。こういったものを入れた果汁飲料の新製品が非常に積極的に投入されているということ でございます。

    続きましてコーヒー市場。上期についてはコーヒーの国際相場の上昇がありまし た。反面下期は相場が下げ傾向と対照的な環境の中、レアル高により輸出環境が非常に厳しいと。ただ、会員企業でありますところの三井アリメントスさんでは 生豆輸出が年間100万袋の自社記録。ブラジル輸出量の4.55%を占められ、第五位のコーヒー輸出業者となられたということです。数量ベースでは前年比 22%、金額で58%の増加を達成されたということです。一方国内販売については、前年比数量で8%の増、金額は値上げ効果もあり25%の増加というふう にご報告されております。

    続いてインスタントコーヒー。こちらはレアル高と原料高により輸出分 野は非常に厳しい状況であったと。会員企業のイグアスコーヒー社さんも、数量的には予定以上の輸出実績になったが、収益は前年を大きく落ち込む結果となっ たと。一方国内販売は、原料高をある程度価格に転嫁できた結果、またテレビ、アウトドアの宣伝の積極的な展開により国内シェアを12%まで伸ばすことがで きたという報告をいただいております。

    続きまして2006年の展望といたしまして、レアル高、 原油高は継続するものと考えられ、各社その点での対応を迫られる一年となると。特に原油高につきましては、燃料費に大きく影響を与え、また輸送費の高騰に つながるため、コストの吸収が不可欠となってくるのではないかと思われます。まあ金利が徐々に低下していく、あるいは大統領選挙というようなことでの国内 消費については、我々としては堅調に推移していくと考えております。

    最後に販売環境なんでござ いますけども、ご承知かと思うんですけども、世界最大の小売業WALLMARTがこのブラジルにおきましても、南部のSONAE グループというリオグランデドスールを中心とするブラジルで五番目ぐらいのチェーン店ですけれども、それを買収いたしました。これによりましてPao de AcucarのCBDグループ、それとCarrefourと大手三社の寡占化がどんどん進んでおりまして、ますます我々納入業者にとっては厳しい対応を迫 られるものではないかというふうに考えております。だいたい以上でございます。

    (司会)廣田さ んありがとうございました。何かご質問はありますか。いまちょっとうかがっているところですと、多分食品の方ではわりかし製品が多いので価格が自分で決め られる、逆に言うとこれは、今回の場合はコストが下がって原料安にはなったと。ただ一部、製品を輸出されている方、例えば味の素さんのリジンであるとか、 それからあとインスタントコーヒーであるとか、この辺は結構レアル高厳しいと、そういうことですね。ずいぶん業種、製品によって。

    (廣 田)そうですね。やはり国内販売でも原材料、輸入原材料使うようなもんでですね、レアル高が比較的、まあ特に私どもの場合小麦粉が主なものでございますん で、これがアルゼンチンからの輸入となると、レアル高が進みますとどんどん、要するにコスト的には助かるというんでしょうか、安くなってくる。ただその結 果として非常に参入消費、我々の分野の参入消費が低くなりましてですね。どんどんどんどん競合メーカーさんが増えてきて、本来ならば、まあ寡占化状況です と高く売ってもうけるということが可能だったんですが、それができなくなりましてね。どんどん、末端価格というんでしょうか、スーパーさんでの価格がどん どん下がっていっているという環境になっております。

    (司会)ありがとうございます。何かご質問ありますか、他に。なければ、じゃあどうもありがとうございました。次はですね、電気電子部会ということでNECの盤若さんから発表をお願いします。

     

    2006年2月3日

    食品部会レポート
    「 2005年の回顧と2006年の展望 」

    食品副部会長
    廣田 喬司
    日清・味の素アリメントス(有)

     

    1. 2005年の回顧
      • ドル安・レアル高が各社に少なからず影響をあたえた一年であった。 国内市場では、食品全般がデフレ環境にあるなか順調に推移したが、輸出分野においてはレアル高が業績を低調なものにした。
      • 発酵乳ヤクルト、ヨーグルト、デザート等の市場は、レアル高の中コストアップ分を如何に吸収するかが課題であったが、製品価格据え置きにより発酵乳ヤクル トの売り上げは前年比約6%増、乳酸菌入りデザートソフィールが前年比約20%の伸び、又その他製品についても7%~15%の伸長となり大手スーパーなど で安売りが続く中、回復の兆しが見え始めている。
      • 調味料市場は、数量ベースで前年比 108%、金額ベースで117%と大幅な伸張を見せた。 味の素インテルアメリカーナ社では、主力製品(SAZON、REFRESCO MID)が順調に推移したことに加え、新製品(インスタントスープ”VONO”)が順調に立ち上がり、売上実績は対前年比124%(R$ベース)となっ た。 一方、飼料用アミノ酸の主力製品であるリジン市場においては、市況悪化による価格下落と大幅なレアル高と悪材料が重なり厳しい状況。
      • 即席麺市場は数量ベースで対前年比6%の伸び。
        小麦粉等主原料価格の低下と新規参入企業が過去最高の9社となり(現在ブラジル国内で40社)競合状況が一層厳しくなった結果、スーパーなどの小売価格は一層安くなった。
        日清・味の素社では、新製品「Yakissoba」の全国発売などにより数量ベースで対前年比108%となった。
      • 酒・醤油の販売:4月に起きた輸入サーモン寄生虫問題により、日本食レストランから客足が遠のいた結果、売り上げが70~80%減となったり、昼の営業をとりやめたりするレストランなども増えた。 
        9月以降動きは回復。 東山農産加工社においては、ほぼ昨年と同じ売上を確保した。
      • 飲料分野においては、「健康」がキーワードとなり、低カロリーを謳う”LIGHT化”から一つ前進し、大手メーカーによる豆乳やビタミン類、或いはファイバー入り果汁飲料の新製品が積極的に投入された。
      • コーヒー市場は、上期がコーヒー国際相場の上昇、下期は相場が下げ傾向と対照的な環境の中、レアル高により輸出環境が非常に厳しい中、三井アリメントス社 は生豆輸出が年間100万袋(60キロ入り)の自社記録となり、ブラジル輸出量の4.55%を占め、第5位のコーヒー輸出業者となり、前年比数量で 22%、金額で58%の増加を達成。
        一方国内販売は、前年比数量で8%の増、金額は値上げ効果もあり25%の増加となる。
      • インスタントコーヒーは、レアル高と原料高により輸出分野は厳しい状況となった。 イグアスコーヒー社も数量的には予定以上の輸出実績
        となったが、収益は前年を大きく落ち込む結果となった。
        一方、国内販売は、原料高をある程度価格に転嫁出来た。 TV、アウトドア宣伝の積極的な展開により国内シェアを12%まで伸ばすことが
        出来た。
    2. 2006年の展望
    3. レアル高、原油高は継続するものと考えられ、各社対応をせまられる一年となる。特に原油高は、燃料費に大きく影響を与え、又輸送費の高騰につながる為、コストの吸収が不可欠となる。

      金利は徐徐に低下していくものと思われ、又大統領を始めとする各種選挙をひ
      かえ、国内一般消費は堅調に推移するものと思われる。

      販売環境においては、Wal Martによる南部のSonae買収により、Pao de Acucarの
      CBDグループ、Carrefourと大手3社の寡占化が進んでおり、我々納入者にとって

      は増々厳しくなっていくものと思われる。

  • 電気電子部会


    盤若幸雄電気電子副部会長

     

    部会長のパナソニックの松田さんがご出張中のため、代わりにNECの盤若からご説明させていただきます。電気電子部会はですね、家電、部品、通信、IT、オ フィス機器などが所属しております。最初に05年の回顧をご説明いたしますが、順番は各社業績、評価、その評価の背景、主だった業種の主要動向の順番でご 説明させていただきます。

    まず最初に業績評価でございますが、アンケート結果が10社、数とし ては業種の割には少ないものですから、全てを表してはおりませんが、10社中ですね、計画通り含めてよかった会社数は10社中9社。前年度比売上では、前 年を100としますと150%まで売上増の会社数は6社。150%以上の会社は2社ありました。この10社だけですが、この中で見ると業績は非常に良かっ たと思われます。

    その評価の背景でございますが、良かった通信分野ではですね、(すいません、 ちょっと電気をつけてもらえますか。暗くて読めないので)良かった、売上が150%、50%以上と言いました2社なんですが、実はこれ通信が良かったんで す。従来抑制されておりました投資の活発化が功を奏しましてですね、非常に売上が増えております。

    一 方家電分野ではですね、レアル高によって価格が値下がりした結果、非常に需要を支えた、需要を増やしたということで売上が増加していると。一方電子部品 は、ばらつきがございますが、基本的には通信需要、家電の需要が増えており旺盛であったということで。販売は増えているが、実は中国製の輸入品が増えてい るがためにですね、例えば現地の企業さんが従来やっていたのがですね、そのご本社の管轄する中国からの輸入品が増えたと。ということは、出先のブラジル、 マナウスの企業は売上が落ちたという会社もございました。そういう意味で、一社なんですが、市場は需要が増えているにもかかわらずうちの売上は過去五年で 最低の結果であったというようなばらつきが電子部品ではございました。

    次に業種動向でございますが、まず最初に通信でございます。これはABINEEという電気電子工業界のデータでございますが、05年の売上は17ビリオンレアル。これは前年比プラス30%です。おそらく過去四年五年では最高でございます。

    参 考までにうちがやっておりますITの分野、これは24ビリオンレアルです。で前年比プラス17%の増加を示しております。通信分野のこの大きな伸長理由は ですね、通信民営化が終焉しました01年の下期から各オペレーターさんがいわゆる投資を抑制したと。一方費用化をはかってですね、経営の投資を抑制して費 用を増やすということで経営の効率化をはかっていきました。ただし一方、投資を逆に抑え過ぎたがために弊害が出ました。 
    例えば携帯事業社が固定 電話会社からラインを借りてコストアップにつながって、結果的に自分で投資した方が安いと、例えばそういうような弊害でございますけれども。それと、好景 気を背景に04年の下期から投資が急増しました。昨年度は特に、ブロードバンド系サービスの拡大で、例えばADSLの加入者が1.9ミリオン加入者から 3.0、300万加入者に増えております。

    それと携帯事業者の加入者獲得競争でインフラ投資と端末販売が急増しまして、年末には2000万増えまして8600万加入者、04年が6600万加入者でしたから2000万増えまして8600万加入者に到達しております。

    ち なみに去年のサードクオーターまでの売上なんですが、固定系オペレーターさんで約前年比プラス9%、モバイル系で14%。売上は確かに伸びております。た だしあいかわらずFixed系、固定系はもうかっておりますが、モバイル系はVivo以外は収益面ではあいかわらず苦労していると。まだ回収まではいたっ てないと、そういう状況でございます。

    次に家電の業種動向ですが、(電気消してもらって結構です)まず最初に左側のですね、これは台数ベースでございます。ブラジル国内の台数ですが、テレビが22%前年比アップ。DVD、デジタルカメラ、この三つが台数ベースで非常に増えております。

    その結果ですね、昨年度の成長が、Eletrosという家電業界の団体でございますが、前年比で11%増加しております。特に映像商品が伸びており、それと携帯電話、この中には例えば、ちょっと家電と通信の境目にありますが、携帯電話も非常に増えていると。

    た だし輸出が、特に昨年度増えまして、輸出だけで前年比2.2倍増えて、この単品だけで輸出が2.4ビリオンダラーだったと思います。非常に増えておりま す。その他白物、電池は微増。それで一方ですね、テレビだけに限りますとあいかわらずこの国は14、20インチの丸型ブラウン管テレビが主要でございます が、徐々にフラットテレビで21から29インチが増えてきていると。

    それとまあ、日本ではあたりまえになってきている薄型液晶およびプラズマですね。これも、まあ数は、絶対値は非常に少ないです。一万三千台から五万六千台という意味では非常に絶対値は少ないんですが、伸びていることは伸びていると。

    そ れとあと、これが数量ベースでの昨年度の伸びでございます。それとあと、家電流通の状況でございますが、先ほどもWALLMARTの話も出ましたけども、 国内の二社ですね。この量販店の店舗数が大きく拡大しているということ。それとWALLMART等のですね、他の地域点を買収したということで、特にこの 四社の大型店での寡占化が進んでいるがために、ベンダーへの価格プレッシャーが大きくかかっていると。そういう状況がございます。

    で 次に、通信も中国勢のプレゼンスがだんだん増えているんですが、特に昨年度のレアル高の影響ですね、中国輸入品の電化商品がマナウス生産の脅威になってき ていると。それと、それで流通の大手さんが直接中国のメーカーから輸入するとか、そういう動きも出てきておりますので、各社さん、ある製品においては輸入 に切り替えたとかですね、そういう対応もされているようです。

    それと電子部品は先ほども申しま したように、中国、グローバル・プロキュアメント・ポリシアル・ベンダーさんのグローバル対応によって中国のある会社から直接出荷すると、それで出先の会 社の、ブラジルのマナウスの会社からは買わないと、そういうような歪み現象が出てきていると。

    そ れで、家電さんに限ってですが、今年の期待はワールドカップ、大統領選の期待もございますけど、ただワールドカップは六月でございますので、1H、という ことはファーストハーフの販売は伸びても2Hからは減速するということで。と同時に昨年度は大きくテレビは伸びております。この数字そのものはですね、 96年のピーク時の数字に匹敵しますので、そういう意味では非常に伸びた数字でありますので、今年も数量ベースではそんなに大きく伸びないで、おそらく5 から10%の範囲というふうに聞いております。(ちょっと電気をつけてもらえますか)。

    それで今年、06年の展望についてご説明申し上げます。今年の販売予測は、10社中8社が前年比100%、ということは前年より超えると、最大で20%の売上増を予想されており、おおむね昨年に続く経済安定化の継続を予想されそれが理由と思われます。

    そ れで政治経済の影響について各社のコメントをご紹介しますと、05年については為替の安定化は歓迎するも、行き過ぎたレアル高による中国製品の輸入を促進 させた罪は大きいということ。それと、政治スキャンダルによる政治空白による構造改革が中断したこと。特に税制改革の推進がなされなかったこと。

    そ れと政府系入札が価格オークションで決定されるケースが非常に日常的になっておりまして、極端な話市場価格の半分で決まっちゃうとかですね、そういう案件 が出てきており、そういう意味では非常に厳しい競争になってきていると。で今年の展望でございますが、経済変動リスクが低いであろうと。政権が代わっても 経済政策は変わらないとの見方が各社の見方でございます。期待としては、利下げの継続、公共投資の増加を皆さん挙げられております。

    で 最後にですね、ちょっとトピック的に二点挙げたいと思います。携帯のですね、今こちらではGSMというヨーロッパのスタンダード、またはVivoの使って いますCDMという技術のスタンダードがございますが、次の世代の第三世代のライセンス入札が昨年度予定されていましたが、今年の庶務期に延期されており ます。ただあの、Vivo以外の事業者さんは反対しており、ベンダーも反対しておりまして、次期政権にゆだねられる可能性が高いと見ております。

    次 に、最後でございますが、まあ連日新聞マスコミで出ている話題でございますが、デジタルテレビの技術標準についての件でございます。おそらく今の現状は、 日欧のがっぷり四つでして、後は政治的判断がなされて決定かと。日本のデレゲーションもですね、先週の木曜日ですね。四閣僚、ジルマ官房長官以下三人の大 臣に対する最後の売り込みのチャンスを与えられまして。大使のご支援も受けまして、やるべきことは全てやったなという気がしております。おそらく決定は カーニバル前と思われますが、まだまだ予断は許さないというような状況でございます。以上でございます。

    (司会)どうも盤若さん、ありがとうございました。あの、かなりオーバーロールな電子、通信、電気関係。最後は今最もホットなデジタルテレビの標準の問題等にも触れていただきましたけども。何かご質問はありますか。

    (質問)(スクリーンの「2006年への期待」中の「Brics景気の中、日本サイドの関心急速拡大」の部分に関する質問と思われます。)

    (盤 若)えーこれは、ある、まあ会社名を言ってもいいと思いますけど、家電のメーカーさんのある会社がですね、Bricsの中で特に、Bricsとしてこの国 での売上増をさらにやれということで本社から非常に注目され始めたということを、10社中1社だけでしたけども、そういう注目度が出ていると。まあそうい う意味でですね、関心を受けるのはいいんですけども、そこの社長さんひいひい言っておりましたですけども、そういうことで一ヶ月に二回日本に報告に行かな きゃいかんような生活をされているようで、非常に関心が急速に高まったという家電さんのメーカー一社ありました。ちょっと名前は申し上げませんけども。背 景がそういうことでございます。

    (司会)どうもありがとうございます。他にご質問は。
    (質 問)すいません、また興味本位の。あの、クレジットカードのね、販売の率が高い分野だと思うんですけども、新聞でよくクレジットカードの問題が出るたびに たいへんな業界だろうとは思うんですが、結構やっぱり、クレジットでの決済というのがほとんどなんですか、この国は?

    (盤 若)ちょっと、家電は良く分からない、私通信なんでよく分からないんですが、そう聞いておりますね、やはり。クレジット販売が圧倒的だと。それで、逆にク レジットになっても、皆さんご承知のようにキャッシュで買うのと値段は変わらないという変な国なんで。とにかく毎月払える額がいくらか、それで高いもので も買っちゃうと。
    (質問)あと、テレビショッピングというのは、結構こういうのは出るんですか?

    (盤 若)はい。これは、ちょっと別の見方なんですけども、私の聞く限りではテレビショッピングのお客様にうちはテレビの送信機を売ったりしているんですけど も、伸びてますね。そこから見てもですね、販売およびそこは、ものの、商品の数も品揃えを増やしているんじゃないかと私は思います。ちょっとデータを持っ ておりませんけども。

    (質問)(家電品の)モデルのチェンジというのは結構頻繁に起こるんですか、この国は。

    (盤 若)えっと、家電はですね、ちょっと聞きかじりですけども、日本ほどもちろん激しくございません。やっとフラットテレビで、そこのモデルが出てきていると いうのが現状みたいでして。そんな、半年にいっぺんとか三ヶ月にいっぺんというのはないみたいですけども。聞く限りは。
    ただ、所得者層もだんだん 高級志向になってくると、そこの高級品に対する販売攻勢をかけられる。おそらく日本メーカーさんはどちらかと言えばそこを狙われると思いますんで、やっぱ りそこらへんのライフサイクルを早められる必要性が出てくるんじゃないかと、私はちょっと想像しますけれども。

    (司会)はい、どうもありがとうございました。それでは時間が参りましたので、次は建設不動産部会ということで、戸田建設の阿部さん、お願いします。

     

     

  • 建設不動産部会


    阿部勇建設不動産部会長

     

    で は引き続きまして、建設不動産部会の方を発表させていただきます。当部会は、毎回若干ご説明させて頂いておりますけども、なかなかご参加いただける企業さ んの数が少なくて、今回もですね、建設関係で、まあゼネコンのお仕事をされているのが3社、それと不動産1社、建材1社と、あとオフィス家具ですね、1社 と。6社の方からお話をうかがいまして。えー、全体の話と各社さんの話とごちゃまぜになるかと思いますのでご了承願いたいと思います。

    全 体的にはですね。一昨年の2004年の後半から急激に回復したというお話を前回させていただいたんですけど、2005年も総体的には良かったというのが総 括したお話でした。ただ、これもやはり各社さんでばらつきが結構ありましてですね、年間を通して思った以上に業績が伸びた会社さん、まあ前半は良かったけ ど後半失速したよと。

    まあこの辺は先ほど来他の部会の方がおっしゃっているような、前期良かったけど後期は少しというような感じ、合ってる感じなんですけど。あとは年間を通じて非常に思ったほど、まあ売上、利益の方が伸びなかったというようなお話。非常にばらつきがございます。

    ま ああの、建設業界っていうのは自分たちで不動産ですとか投資案件を抱えない限りは、まあ他の部会さんも、皆様の業績に合った形で仕事をしていくという業界 なもんですから、そういう意味では、これも先ほどちょっと個人的にお話をうかがったんですけども。私が、一年前だったですかね、あの、建設業界っていうの はだいたい一般の経済指標の一年半から二年ぐらい遅れてその数字に追いつくという話を一度させていただいたことを覚えていらっしゃる方がいたんですけど も、たぶん私のこの認識は日本のバブル前までの話だと思うんですね。

    何故かというと、日本は、 まあ当然日本だけではないんですけど、公共投資である程度不況が見えたらそこで税金を使って仕事を増やして雇用を確保しようということをやりますので、民 間の企業さんのアップダウンが即建設業界に結びつかない。いわゆるクッションみたいな形で公共投資が受けてくれたというのが、多分そのバブル以前までだっ たと思うんですけど、ここに来て、まあ三年半になるんですけども、非常に毎日配信されてるニュースなんかの経済指標に非常に我々の業界が早くリンクしてい るという感じは受けておりましてですね。まあその辺がこの国の特徴かなと思います。

    まあそんな 全体の話の中でですね、いまのがまあ建設部門ということなんですね。で、建材を扱われている方、まあアルミの方なんですけども、非常に世界的に市況が高止 まり。非常に建材、アルミだけじゃないですね、非鉄が全て今高いということなんですけど、その企業さんは輸入されてますので、その高い市況がレアル高に よって非常に緩和されたということで、業績に対してはいい方向に向いたというお話でした。

    それ とですね、あとこれが、先ほど公共事業のことちょっと申しましたですけども、ルーラ政権になってから、ちょっと数字が今手元にないんでけども、公共事業が 落ち込んでいるということで、こちらも土木、特に土木関係ですかね、やってる超大手の地元の企業さんがそれだけでは利益を確保できないということで民間の 物件に進出してきているという傾向が感じられます。

    それともう一つ、逆にですね、中小の新興業 者さんが過去五年十年前には名前も聞いたことがないような業者さんが、やはり同様に民間の入札に参加するようになってかなり安値で受注しているという傾向 がありまして。まあどちらかというと我々日系のですね、前からいる業者はその板ばさみにあって今非常に苦しんでおると。受注そのものも苦しみますし、利益 も圧縮されているという傾向が出ております。

    それと不動産なんですが、これはですね、地域によるばらつきがありまして、まあいいところと悪いところがはっきりしているんだということなんですけども、全体的にはまあ好調であったということですね。

    特 にABC地区ですか。こちらは自動車関連の企業さんが多いということで、そちらのアパートの需要が多かったということで、非常に南部の方は業績を伸ばした ということなんですね。ただサンパウロの市内、まあジャルジンですとかパライゾの方の高級アパートに関しましては、まあ今でもまだあいかわらず建っている んですけども、いいところと悪いところが結構ムラが出てきているという話がありました。

    そう いったことで、昨年の今ごろですと、ブラジルの建設業の指標というか2005年度の統計値がもうすでに発表されていたので確かご説明したと思うんですけど も、2004年度は2003年度に比べまして全伯、ブラジル全体で確か6.8%の伸びがあったということなんですが。今年はまだ発表されてなくて今日お知 らせできないんですけども、一つだけ、セメントの販売ですね。これは昨年11月までの実績に12月の見込みを入れてですね、だいたい年間で3.5%ぐらい 販売量が伸びています。

    ということで、これも私の勝手な発想なんですけども、建設業としては3%前後の伸びぐらいはあっただろうと。おととしの6.8%に比べればずいぶん下がりましたけども、まだ伸びているということが言えるかと思います。

    そ れから、まあ今年の展望なんですけども、これも期待値の方が多いかと思います。昨年同様程度は行くんではないか、まあ若干のプラスですね。若干のプラス、 伸びがあるんではないかと考えてはいるんですけど、ただこれも各業者の方がおっしゃってるいわゆる為替の問題、それですとかいろいろ、世界的な景気の動向 によってですね、大きく変われば、我々が思惑しているところとかやはり外れてしまう可能性はこれは当然あるわけでして、あくまでもこれからはとにかく ウォッチングしていかないといけないことでしかちょっと申し上げられないと思います。

    不動産なんですけど、今は金利が下落傾向でありますので、このままこの傾向が続いてくれれば住宅ローンを利用する方が当然増えていくだろうということで、まあ建設よりも不動産のほうが期待度は高いと言われております。

    一 つ、アパートの購入に関してなんですけども、以前はまあ計画をですね、更地になって、モデルルームといいますか、販売事務所を建てると、大体半分以上の戸 数は売れたという時期があったんだそうですけど、最近はかなりそれが遅くなって、建物がですね、まあ出来高で言って六割七割くらいできてからじゃないと本 格的な販売の伸びが期待できないと。

    そうしますと、どうなりますかというと、不動産業者さんが その工事の立替金をですね、工事金を立て替えなきゃならないということで、まあ金利が若干安くはなっているんですけども、全体的高金利ですので、非常に今 そういう意味では収益が圧迫されているというお話でした。えーっと、大体回顧と展望というのはこの程度になってしまって大変恐縮なんですが。

    あ とですね、まあ前回も部会のお知らせをさせていただいて今回その続きになるんですけども、昨年一回アパートに関するセミナーをさせていただいて、その時の 資料をですね、今ホームページの生活情報というところにアップしてございますので、おひまな方はぜひごらんになっていただいて、ご質問でもありましたらい つでもお受けいたしますので、その辺もよろしくお願いいたします。

    それとですね、これも前回か らの続きなんですが、昨年八月の時に新聞を持ってきましてちょっとご説明しました、サンパウロ市の容積率が、まあ駐車場を入れる入れないで大変な問題に なっているというのをご報告申し上げたんですけども、無事に昨年九月の市議会でそれが元の条例に戻ったということで、今は全然問題なく、いわゆる駐車場の 面積は建ぺい率に入れないということで昔に戻りまして。市の方の手続きもですね、一時期完全に止まっていた状態だったんですけども、今はもう普通に戻った ということをご報告させていただきます。一応以上でございます。

    (司会)どうもありがとうございました。何かご質問はありますか。赤嶺さんどうぞ。いまマイクが来ますからちょっとお待ちください。

    (赤 嶺)えー、駆け足で質問させていただきます。西林総領事の前で、ちょっとこう阿部部会長の会社をよいしょ、持ち上げる形になるかもしれませんが、御社はマ ルチニアーノ・デ・カルバーリョ969番に最近、ベネフィセンシア・ポルトゲーザ、ポルトゲーザ慈善病院の別館でしょうか、を本当に立派な、私が調べたと ころ、地上九階地下四階、濃紺の総ガラス張り、超近代的な建物をお建てになりました。

    私はずっ とこう2,3年その近くを歩いておりまして、歩くたびにTODAという看板が掲げられてあることに非常に日本企業勢の活躍、特に建設会社の活躍ぶりに意を 強くしました。といいますのもこの国の貧しい人々の生命に関わるような、たいへんな、大切な事業だと、大切なプロジェクトだと思ったからです。

    一 方でそのポルトゲーザ慈善病院理事長のアントニオ・エルミーリオ氏は毎日来る電気料とか、毎日じゃなくて、毎月来る電気料だとか水道代などまでまだいちい ち自分で目を通すほどの経済家というふうに伝えられていますが。阿部社長、そのような方の病院を建てるにあたっての特にエピソードというようなものがござ いましたら、ぜひ本席で紹介していただきたい。

    それからもう一つのお願いは、このアントニオ・ エルミーリオさんという経営者はほとんどのその講演を引き受けられないということで有名なんですが、何とか私たちの日本商工会議所の昼食会にでも、機会が あれば何とか引っ張り出していただけないものかということを密かに願っております。ポルトガル系というよりは、ブラジルの1、2、とにかく五番以内に入る 経営者だというふうに日ごろから尊敬の念をいだいております。どうぞお願いします。

    (阿部) えー、確か以前も同様なお話をいただいてたいへん恐縮したことがあるんですけども、あの、最初の方のお話に関しましては私が来る以前からの仕事でございま して。まあ2000年からずっと引き続いてやっておりまして、やっと今回部分オープンですね。昨年いっぱいで、地下一階の検査部も、それとTerreo と、まあ中二階なんですけども、そちらを今お使いになっていただいている状態で、まだ全館をオープンするにはあと数ヶ月かかるということで。数ヶ月が、我 々だけじゃなくて、ベッド業者さん、いわゆる設備業者さん、医療機器屋さんがからんでおりますので、ちょっと我々だけでは申し上げられないんですけども、 あと数ヶ月で全館オープンになると思うんですけど。

    まああの、おっしゃるように私も、直接モラ エス会長とお話したことはなくてですね、ジレットリアの方とはお会いして何回かお話させていただいたんですけども、とにかくあの事業に関しては、非常に会 長自身も、まあこういったら失礼かもしれませんけど、ご自身の最後の大きな事業としてとらえられていると。

    だ からなんとしても成功して、地域医療ですか、そういったことに貢献したいということはおっしゃられているのは聞いています。ですから、そういった、大変、 私自身が手前味噌で申し上げますと、病院はいくつもさせていただいているものですから、やはり病院を経営される方の基本理念というのは、本当に、地域医療 といいますか、そういったことをきちんと理解されている方というのは、事業としてもうまくいきますし、大変尊敬しておりますですね。まあ答えになってない かもしれませんけど。

    あと会長をですね、こちらにお招きしてというのは、おととしからずっと体 調を崩されておりましてですね、その辺も含めてなんですが、もし機会があればぜひお声をかけさせていただいて。まあできるかどうか分かりませんけど。お約 束はできませんけど。とりあえずお話だけはさせていただきたいと思います。

    (司会)アントニオ・エミーリオさんというのは、ボトランチンの総帥のアントニオさん。

    (阿部)はい。

    (司会)では阿部さん、どうもありがとうございました。で次に運輸サービス部会からの発表で、日本通運の平野さんお願いいたします。

     

     

    【建設不動産部会】

    建設不動産部会は現在正会員10社、副会員15社の合わせて25社が登録されています。それでは発表に移らせていただきます。

    1.共通テーマ
    (1)2005年の回顧

    まず、2005年の回顧ですが、全体的には2004年下期からの好調な状況が継続されました。
    始 めに建設部門ですが、見積案件数がかなり増加し、特に製造業の設備投資による工場の新増設は、見積もりの引き合いから成約までの期間が以前より短縮される 傾向にありました。しかしながら、下期に入り工事発注の予定を遅らせたり、成約まで時間を掛ける案件が増加しているように思われます。
    価格競争は 激しさを増し、アルミをはじめ一部の建材の値上がりの影響もあり利益確保が難しい状況でした。特に気になることとしては、公共事業の発注額が減少している せいか、地元の大手ゼネコンが一般民間競争入札へ参加する例が増え、また、新興の中小業者の安値受注との板ばさみに苦しまされる状況が生まれていることが あげられます。

    次に不動産部門ですが、地域によるばらつきはあるものの全体的には販売は好調で あり、特にABC地区では自動車業界が好調なおかげでアパートの販売が伸びました。しかしながら、こちらも価格競争の激しさが増しているため利益確保に苦 しめられています。サンパウロ市内では相変わらずのアパート建設ラッシュが続いているため、立地条件の良いところを確保することが最重要課題となっていま す。
    アパート建築に多く使用されるアルミ建材の販売では、工事遅延もなく順調に納入されており、下期には若干の増加傾向が見られています。また、オフィス家具も2005年は好調に販売を伸ばすことが出来ました。

    (2)2006年の展望

    続 きまして2006年の展望ですが、まず始めに建設部門としましては予想としては2005年と同程度か、落ち込むとしても小幅になると考えています。昨年か ら継続している案件が順調に発注されるようですと今後に期待が持てますが、さらに発注時期がずれ込むとなると先行き厳しい状況が出てくるかもしれません。 それでも、選挙前の支持率アップを狙った様々な経済政策が出てくることも考えられ、希望的観測として2005年と同程度の売上を確保したいと思っていま す。しかしながら、価格競争はさらに激化すると思われますので、収益に関してはかなり厳しい見通しとならざるを得ないのでは、と考えています。

    次 に不動産部門ですが、金利の下落傾向が続いてくれれば住宅ローンを利用してアパートを購入する人が増え、業績アップも期待できますが、まだまだローンを組 むには年収と比べて金利水準が高すぎるので、状況をよく見て販売地区の選定に当たることが重要になると思います。アパート購入者の最近の傾向として工事着 工前から契約せず、建物がかなり出来上がってから購入する人が増えたため、工事費の立替金利の負担が販売業者に重くのしかかってきているため、収益を圧迫 してきています。この傾向は今後も続くものとみられ、業績への見通しを厳しいものにしています。

    2.部会個別テーマ

    引 き続きまして建設不動産部会としてのテーマですが、昨年部会の主催で初めてのセミナーを、サンパウロのアパート事情という内容で開催し、また、その時の資 料を会議所のホームページへ掲載させていただきました。多少専門的な表現になってしまっているところもあるかもしれませんが、もし、興味のある方はぜひ ホームページの生活情報へお立ち寄りください。
    今年も部会として会員の皆様へ何か情報発信をしたいと考えています。先月出揃った部会としてのいろ いろなアイデアを近々まとめまして、セミナーあるいは見学会等を企画させていただきたいと思います。詳細が決まりましたらお知らせいたしますので、その節 はぜひ多くの皆様のご参加を宜しくお願いいたします。

    以上で建設不動産部会の発表を終わりにさせていただきます。

     

     

  • 運輸サービス部会


    平野候一運輸サービス部会長

     

    運輸サービス部会を代表しまして、ブラジル日本通運の平野と申します。あの、この席を借りまして、あくまでも日本通運でありまして、ジャパンエクスプレスではございませんので、よろしくお願いします。

    わが部会はですね、運輸およびサービスという形で、部会の方はたくさんいらっしゃるんですが、まあいつもの通りですね、部会を開催してそこでレポートを出し ていただいている方々は大体決まった方々で。今回もですね、6業界のレポートにまとめまして、それぞれ回顧と展望という形で発表させていただきます。

    まず、航空業界です。回顧の方ですが、まず原油高、これは主要コストの燃油費が依然として高止まりであり航空会社の収支を圧迫していると。それから二番目 に、USビザですね。これはあの、南米人に対するビザ取得義務が行われていまして、それが米国経由を運行する航空会社にも打撃を与える。要するにお客が遠 のいていっているという。ビザを取得するために手間隙かかるということで、そういう米国経由を運行している各航空会社には打撃を与えている。

    そ れから海外マーケット。これはレアル高により全般的に好調。特に南米諸国内での動きが拡大していると。それから国内マーケット。これはVarigのシェア 低下。まあ経営難とかそういうのでいろいろ話題になってますが、それに引き換えTAM、GOLの急成長。それから新規参入の会社、BRAそれからWEB -JET、OCEANAIR等の新規参入によりシェア―の競争がますます激化して、まあ逆に料金が根下がってきていると。

    展望としましては、世界経済、テロ、災害などの要素によりマーケット環境が変動する可能性は常にあるが、全体としては拡大傾向にあるのではないかと。それか ら経営効率向上のために航空会社の運行編成や航空会社間の提携ですね。路線の提携をしたりサービスの提携をしたり、ということがさらに今年は進むのではな いかと思われる。

    次に海運業界です。まず為替の影響ということで、輸入は自動車部品、機械、一 般雑貨など堅調な動きであったが、輸出はやはりレアル高を反映して一次産品にブレーキがかかってきた。それから疫病ですね。これは口蹄疫の発生によりブラ ジル牛肉の輸入禁止措置を取った国々があると。まあこれは欧州とかアジアの一部ですね。

    それか らインフラ。特に物量が多いサントス、それから南伯州の港湾インフラの改善が一向に進んでいない。それから船のスペースですね。これは、去年おととしです か、結構逼迫した状況になりましたけども、その後各社の船の大型化やサービス編成、運行編成ですね、それから新規参入などで緩和されたと。

    で、 展望としてはレアル高の影響でブラジル主要産品、コーヒー、木材、レザー、農産物等ですね、輸出への影響が懸念されると。まあただ、昨年下期のトレンドと 同様で緩やかな荷動きと予想されると。昨年に改善されたスペース供給策で今年はそういうスペース供給は安定化が図られる。それから港湾インフラは引き続き ボトルネックであり、原油価格の高騰と合わせてトータル的なコストアップにつながると懸念されている。

    次にフォワーダー業界です。フォワーダー業界に関しては、まあ一般フォワーダーとクーリエ、それから構内物流というふうに三つに分けて説明します。
    まずフォワーダー一般。各種規制。これはですね、セキュリティチェック、梱包木材、それから税関規制などのそういう規制が継続強化されていると。
    そ れからまあ、去年の災害ですね。米国内で発生したハリケーンの多発によりそういう施設の被害、それから貨物の遅延、それから貨物のダメージが発生したと。 まあこれらは、我々商売をしている中でですね、これはなかなか避けられないというか、どうしようもないことなんですけども、やはりお客さまは「何でそこを 避けて通らないんだ」とそういうクレームとかもたくさん入ってきて、やはりあの生産活動されているお客様にとりましてはそういう遅延というのは非常に大き な問題になるというのは我々重々承知しております。

    まあそれにより、リードタイムが遅れてで すね、リードタイムが遅れるという状況になると。それはあの、キャリアの変更だとかキャンセルが続いたということです。それから先ほどの燃費の問題です が、我々にもこういう燃費の費用の上昇ということで販売上にもいろいろ影響がしていると。

    それ から為替。まあ輸入はそういう意味合いで好調ではあったんですが、やはりレアル高で特に下期の方は輸出に影響して、まあ両面で最後の方はシュリンク状態に なったというような感じを受けています。それから例年の税関スト、これは完全なストライキではなかったんですけど、牛歩戦術したストライキとか、あと農林 省の検査官のストライキ。これらで輸入通関、または輸出通関の遅延が発生したと。

    で、展望とし ましては、さらに規制ですね、先ほども申しましたセキュリティとか木材梱包基準、国際基準。それからアメリカの通関事前申告制度。こういうのが引き続き継 続される。それから二番目にやはり燃料費の高止まりで、まあ今も日本発がまた若干上がりそうな傾向にあります。

    そ れから、あとは為替の変動ですね。レアル高の継続、それに伴ってのブラジル国内のコスト高。まあこういうふうに最低給料が上がりますとそういうところで全 部跳ね返ってくるところでの輸送に関するトータルコストとしてコストアップするんじゃないかという懸念です。でまあ、一ついいのは、まあ特需としてワール ドカップ、各種イベント、それからプロジェクト等。まあ大統領選挙もある意味でそういう物の動きにも関連してくると思います。まあそういうような特需があ るんじゃないかなと。

    えー、それからクーリエ業界です。先ほど言いましたVarig航空の経営問題によりキャンセル、それから運行変更などサービスの低下が大きく影響したが、まあそれをカバーする意味で米系や欧州系のキャリアーを利用で何とか切り抜けられたと。

    で展望としましては、簡易輸出の金額緩和。まあ今までの一万ドルから二万ドルに上がると。そういう意味合いでは中小の輸出企業に期待できるんではないかと。それから、国内の郵便法の結果次第で国内輸送の内容検査が強化されるんではないかという懸念があるということです。

    それから構内物流業界。これは特に鉄鋼業界の構内物流作業ですが、上期の世界的な鉄鋼需要の拡大に伴い高生産、増産により好調であったが、下期はレアル高により輸出規制で生産減少や在庫の増加で収入減となるが、通期的には計画を一応達成できましたと。

    展望として、まあ前年並みの生産計画であることと、大型設備投資案件の稼動を期待、それから競争激化による事業構造の改革が必要であるというふうでございます。

    次に旅行業界です。海外旅行。全体的には運賃が値上がりしているが、ドル安で海外旅行者が増加。特に欧州および南米内が顕著であったと。国内旅行。国内航空会社の競争激化により曜日や時間帯による多様な運賃が出回ると。

    ま あそういう意味合いでは国内パッケージツアーが、まあパッケージ料金ですので、逆にそれが盛況であったと。特に国内の東北伯地域のリゾートが人気があった と。それからブラジル観光旅行者はレアル高もさほど影響せずに前年並であったと。ということは安い運賃、ブラジルに来るための安い運賃の利用者が増加して いるのではないかと。

    展望としては、テロの不安は残るが徐々に不況は改善されるだろうと。それ からドル安およびレアル高の動向が不安、これは肯定という意味合いでの不安があると。それからVarigの成田乗り入れ中止に伴う米国経由から欧州経由へ の増加と席確保に苦慮することになるのではないかと。国内パッケージツアーは運賃の不透明性により引き続き活況である。またカーニバル、ワールドサッカー 等に期待できる。

    次にホテル業界です。これはブルーツリーさんの場合ですが、前年度に対して売 上高が28%アップ、平均稼働率が57%で前年度より10%アップした。2005年度にはグループホテルが27軒となる。展望としては、新たに六件の新規 契約を見込んでいる。また、稼働率は60%として5年度の3%以上を目標にしていると。

    で、最 後に通信業界。これは先ほど電機業界の盤若さんが申し上げられたのとちょっとだぶりますけども、携帯電話の稼動台数が約8124万台ですか。一年で約二割 増。国民100人当たり4台に相当する普及率であるが、そのうち約81%がプリペイド方式であると。それから、インターネットは自宅からのアクセス人口が 約1350万人になっている。半年で一割増です。

    で、ソリューション、要するにセキュリティだ とか継続性の強化としてスパイウェアー対策が普及していると。展望としましては、携帯メールを利用したマーケティングの多様性の向上。インターネット利用 人口の増加によりE-commerceなどが活発化する。で、ソリューションは本人認識やアクセスコントロールの領域でより高度なセキュリティ対策の導入 が進むだろうと。事業継続強化やコスト削減の観点からIT基盤業務のアウトソーシングが一般化するであろうと。以上、わが部会の報告を終わります。どうも ありがとうございました。

    (司会)ありがとうございました。何かご質問ありますか。平野さんの 部会も結構多岐にわたる部会でまとめるのが大変だったと思います。ご苦労さまでした。あの、ご質問フロアからなければ、私ひとつ質問なんですが。さっき クーリエ業界の展望のところでですね、郵便法の結果次第では国内輸送の内容検査の強化が懸念されるとありましたが、どういうことなんですか。

    (平野)あの、これは山下さんいらっしゃいましたっけ。ちょっと山下さん、すいません、ご説明していただけますでしょうか。

    (山下)親書ですとか、郵便の独占を、訴訟が一件入っていまして、今月中にブラジリアで結果が採決されることになるんですけども、これが出た時に、郵便局が扱える親書の独占権というのが強くなるわけです。

    そ れで国内の小荷物も取り扱いを管理する権限が郵便局の方にできまして、そうすると何が起きるかといいますと、国内で何か荷物を輸送している時に、企業から 企業へのノッタフィスカル付の数量のきちんと決まったものの場合はいいんですけども、そうでないものを、例えば封筒を運んでいるとかパコッチを運んでいる とかいうことがありますと、それを検査のために止められて開けて検査するという恐れがどうしても起きてくると思うんです。まあ、そういうちょっと心配があ るということを申し上げただけなんですけども。

    (司会)よく分かりました。ありがとうご ざいます。もう一つ何かブラジルコストが増えそうですけども。何か他にご質問ありますか。なければじゃあどうも、平野さんありがとうございました。ではあ の、最後になりました、お待たせしました、自動車部会ということで、ホンダの岩村さんに発表をお願いしたいと思います。

     

    業種別部会長懇談会発表要旨

    (於)ホテル クラウン・プラザ(07/Fev/06)

    《運輸サービス部会長:平野》

    テーマ:「2005年下期の回顧と2006年上期の展望」

    • 航空業界
      • 原油高:主要コストの燃油費が依然として高止まりであり航空会社の収支を圧迫。
      • USA-VISA:南米人のVISA取得義務が米国経由を運行する航空会社に打撃を与える。
      • 海外マーケット:レアル高により全般的に好調。特に南米諸国内での動きが拡大。
      • 国内マーケット:VARIGのシェアー低下、TAM・GOLの急成長、新規参入(BRA,WEB-JET,OCEANAIR)によりシェアーが激化して料金が値下がっている。
      • 「展望」:世界経済、テロ、災害などの要素により、マーケット環境が変動する可能性は常にあるが、全体として拡大傾向にある。
      • 経営効率向上の為、航空会社の運行編成や会社間の提携(路線、サービス)が更に進むと思われる。
    • 海運業界
      • 為替:輸入は自動車部品、機械、一般雑貨など堅調な動き、輸出はレアル高を反映して一次産品にブレーキが掛かった。
      • 疫病:口蹄疫の発生によりブラジル牛肉の輸入禁止措置。(欧州・アジア一部)
      • インフラ:特に物量が多いサントス・南伯州の港湾インフラの改善が進んでいない。
      • スペース:各船社の大型化、サービス編成、新規参入などで緩和した。
      • 「展望」:レアル高の影響でブラジル主要産品(コーヒー、木材、レザー、農産物)輸出への影響が懸念される。(昨年下期のトレンドと同様で緩やかな荷動きと予想)
      • 昨年に改善されたスペース供給策で安定化が図られる。
      • 港湾インフラは引続きボトルネックであり原油価格の高騰と合わせてトータルコストアップに繋がると懸念される。
    • フォワーダー業界
      *フォワーダー(一般)
      • 各種規制:セキュリティーチェック、梱包木材薫蒸規制、税関規制などの継続強化。
      • 災害:米国内発生のハリケーンの多発による施設被害、貨物遅延・ダメージの発生。
      • リードタイム:災害による影響でキャリアーの運行変更、キャンセルが続出。
      • 燃料費:原油高騰による燃料費の上昇が継続中。
      • 為替:輸入は好調であったがレアル高が輸出に影響して両面でシュリンク傾向。
      • 税関スト:牛歩戦術スト、農林省検査官ストで通関の遅延が発生。
      • 「展望」:①規制(セキュリティー、木材梱包国際基準、事前申告制度)強化の継続②燃料費の高止まりが継続③為替変動(レアル高継続、ブラジル国内のコスト高)に懸念④特需期待(ワールドカップ、各種イベント、プロジェクト、大統領選挙)
    • クーリエ業界
      • ヴァリグ航空の経営問題により、キャンセル・運行変更などサービスの低下が大きく影響したが、米系・欧系のキャリアー利用で切り抜けた。
      • 「展望」:①簡易輸出の金額緩和(1万ドル→2万ドル)>中小企業の輸出に期待②郵便法の結果次第で国内輸送の内容検査の強化に懸念。
    • 構内物流業界
      • 鉄鋼業内の構内物流作業であるが、上期の世界的な鉄鋼需要の拡大に伴い高生産・増産により好調であったが、下期はレアル高により輸出抑制で生産減少や在庫の増加で収入減となるが、通期では計画達成した。
      • 「展望」:①前年度並みの生産計画②大型設備投資案件の稼動③競争激化による事業構造の改革が必要
    • 旅行業界
      • 海外旅行:全体的には運賃が値上がりしているが、ドル安で海外旅行者が増加。(欧州及び南米内が顕著)
      • 国内旅行:国内航空会社の競争激化により、曜日/時間帯による多様な運賃が出回る、また国内パッケージツアーが盛況(特に東北伯地域のリゾ-トが人気)
      • ブラジル観光旅行者はレアル高もさほど影響せず前年並。(安い運賃の利用者が増加)
      • 「展望」:①テロの不安は残るが徐々に不況は改善②ドル安・レアル高の動向が不安③ヴァリグの成田乗入れ中止に伴う米国経由から欧州経由への増加と席確保に苦慮④国内パッケージツアーは運賃の不透明性により引続き活況⑤カーニバル、ワールド・サッカーに期待
    • ホテル業界
      • BTHの場合、前年度に対して売上高が28%アップ、平均稼働率57%で前年度10%アップ、2005年度にはグループホテルが27軒となる。
      • 「展望」:①新たに6件の新規契約見込み②稼働率は60%として5年度の3%を目標
    • 通信業界
      • 携帯電話の稼働台数約8,124万台(1年で約2割増)、国民100人当たり4台に相当する普及率であるが、約81%がプリペイド方式。
      • インターネットは自宅からのアクセス人口が約1,350万人(半年で1割増)
      • ソリューション(セキュリティー、継続性強化)として、スパイウエアー対策が普及。
      • 「展 望」:①携帯メールを利用したマーケティングの多様性の向上②インテーネット利用人口の増加によりEコマースなどが活発化③ソリューションは本人認識やア クセスコントロールの領域でより高度なセキュリティー対策の導入が進む④事業継続強化やコスト削減の観点からIT基盤業務のアウトソーシングが一般化する。

     

     

  • 自動車部会


    岩村哲夫自動車部会長

     

    えっ と、たくさんのプレゼンが続いて皆さんだいぶお疲れだと思いますけども、まああの、last, but not leastということで、私のプレゼンを聞いていただければ幸いです。それでは、自動車部会の方からですね、自動車、これについては四輪、それと二輪車が あるわけですけど、それに合わせて自動車関連部品ということで報告させていただきます。はい。

    ま ずこちらにありますのは四輪車、自動車の生産状況ですけれども、2000年から2005年、昨年まで、そして今年の予測という時系列になっています。で、 この棒グラフが生産台数のトータル、で黄色が乗用車、それでブルーがトラックおよびバス、そういうものが入った数字です。
    で、ご存知のように 2005年につきましては、244万8000台ということで前年比10.7%アップ。過去最高を更新しました。内訳を見てみますと、乗用車が193万台。 それからトラックその他が51万台ということになっています。輸出台数につきましては81万8000台。またCBUの輸入台数ということではですね、9万 台ということになっております。

    それとあと2006年の予測はですね、いまのところ、これは Anfaveaの予測ですけども、256万台ということになっております。次に販売動向でございますけども、これも同様に2000年から05年、それで 06年の予測になっております。でこちらは、ちょっと区分が分かれてますけども、乗用車、それとこの黒いところが商用車。で、トラック、バスというふうに 分かれております。

    で、この乗用車につきまして05年は137万台。商用車が25万台。その他 と含めまして172万台の販売を行いました。これは04年比8.6%です。今年の予測につきましては、全体で184万台ということで、内訳は乗用が 147、トラックが27、その他10万ということになっております。じゃあ、こうやって市場が伸びてきているわけですけども、どんなモデルが売れているか ということを示したものがこちらです。

    これは01年から05年、そして06年の予測となってい ますが、まずこのブルーのところがですね、ブルーかな、緑のところがですね、CDセグメントと私どもが呼んでいるセグメントです。でこちらにですね、私ど ものシビックとか、これの上の方にアコードとかが入って参ります。プレミアムコンパクト、これが紫の色ですけれども、こちらに例えば私どものフィット、こ れがこちらに入ります。

    あとは、Bセグメントの1.0リッター以上と。つまり、ボディーは小さいボディーなんですけども、それにいろいろ、特にフレックスが多いわけですけども、1.0以上のエンジンを積んでいるというのがこのセグメントです。

    で、 白いところが1.0、リッターカーと。見ていただくと分かるようにですね、ブラジルにおいても、特にこのプレミアムコンパクト、それから1.0以上の Bseg、これが伸びてまいりまして、今まで主流だった、例えば01年度は72%だったリッタークラスがですね、51%にまで下がっておりますと。つま り、ブラジルにおいても車の上級化、これが進んでいるということが言えます。

    で、続きまして昨 今話題をふりまいているフレックスということで、ちょっとご説明しますと、フレックスというのはガソリンでもアルコールでもどんな混合比でも走ることがで きる車、ということです。で多くの場合がですね、アルコールというのは13度以上の外気温がないと燃焼しないわけですので、発進の時にはガソリンのサブタ ンクからですね、ガソリンを取って、それでインジェクションを点火し、それで温度が上がってからアルコール燃料に切り替えていくという仕組みをとっており ます。

    そういう車がですね、こちらの03年くらいからですね、徐々に出てまいりました。で、何と昨年の12月のレベルではですね、ブラジルの総新車販売台数のうちの73%がフレックス車となりました。それにひかえたガソリン車というのはこちらになっております。

    で、 ブラジル、古いかたはご存知のようにですね、このフレックス車という前に昔はアルコール車というのがブラジルにありました。しかしながらアルコールの値段 が上がった段階でですね、これがあまり売れなくなってしまった。まあ供給もできなかったということなんですけども、そういう過去がありました。 
    と いうことで今回はアルコール、ガソリンどちらでも選択できるということで伸びているわけなんですが。まああの、二つアルコールにはありまして、一つは環境 にいいと、もう一つは安いということなんですけども、ブラジルの方々が環境マインドが強いということはとても考えられませんので、その、安さゆえに買って いるということでございます。

    で、それを考えますとですね。今まではガソリンの価格に比べて アルコールの価格というのは結構競争力、まあ税率なんかも低くて競争力があったんですが、ご存知のように昨今アルコールが1.5以上またはそれ以上に伸び てくると、リッター当たりの価格がですね、そういう動きを示しております。ということでこれがもしもう少し高くなるようになると、この売れ行きというもの もちょっと影響してくるのかなということが考えられます。

    しかしながら、代替エネルギーとし ましてアルコール、エタノール、メタノール。これは非常に有効なもので、まあアメリカなんかでもずいぶんエタノールの採用というものを考えているわけです けども。まあブラジルにおいてこの、基調ですね、このトレンドが大きく変わるということはないと考えられます。
    で、次に輸出の状況ですけども、ま ずこれが先ほど折れ線グラフで示した輸出の伸びを示しております。05年は、繰り返しですけども、81万台輸出しております。最大輸出したメーカーがです ね、フォルクスワーゲンの26万台です。どんなところに輸出しているかというと、最大は、やっぱりFTAのあるメキシコ、それからアルゼンチン、ドイツ、 USA、ベネズエラ、まあこういう国に輸出しています。

    この輸出の今後の動きなんですけども、 まあメキシコとの間にはFTAがありますし、行って来いの関係がある程度成立してますので、メキシコ向けというのは継続できると思いますけども、先ほど貿 易の方からもありましたけども、現在の自動車協定、アルゼンチンとの間でどのように進むか分かりませんが、これ次第ではこの多くの、28%の輸出先です ね、これに大きな影響が出てくる可能性があります。

    で、こちらが輸出金額です。ということから して、先ほどの貿易黒字につきましても、もしそのアルゼンチンのここの影響がもろに出てきますと、大きな影響を貿易黒字、収支の方にでもですね、与えてし まうと。なぜならば自動車というのが、主要輸出品目の中の、言ってみれば最大になっているということでございます。今申し上げましたことをまとめますとこ ちらになります。

    で、2006年の予測としましては、ブラジル国内の販売は184万台、7.1%の増と。輸出については115億ドルと、それと生産台数については256万台というふうになっており、先ほど述べた内容がこちらにあります。

    続 きまして二輪の状況ですけども、二輪について生産台数はこのようになっております。まああの、05年については121万台ということで、大きな伸びを示し ております。で、国内の卸台数ですけど、販売ですが、これが102万台ということで初めて100万台を超えました。ま実際は105万か106万売っている んですけども、登録されない車が結構ありますので、その分がどっかに行っているということがあります。しかしながら初めて100万台を超えました。

    で、今年の予測ですけども、おそらく生産は133万台くらいになるだろうと。国内の販売につきましては116万台になるだろうと予測されてます。このペースで行きますと、おそらく二輪車の総市場が四輪をあと五年くらいで抜くんじゃないかという期待がされております。

    輸出状況ですが、これは詳細がないので私どもとヤマハさんの数字だけですけども、北米向けが一番と。それと中南米、これは先ほどのアルゼンチンも含めた仕向け地ですけども中南米。それと欧州、その他となっております。

    ま ああの、二輪車についてはまだアルゼンチンの間での具体的な議題にはなっておりませんけども、特に今の為替、これによって輸出競争力がどこまで保てるかと いうのが今後の輸出の課題になってまいります。で、いま申し上げたことをまとめますと、まあ2005年についてはこのようです。
    2006年については、まあ、116万台くらい国内で販売できるだろうと。で、生産台数は133万、輸出が17万3000台。ちょっと為替の影響を受けて下がってしまうだろうという見通しになっております。

    で、 最後に部品業界の状況ですけども、先ほどあの、貿易その他からですね、細かい部品の、、、、総論だけ申しますと、こちらにある黄色の図がですね、2005 年の一月から十一月までのSindipeca、これの総計、つまり前年と比較してどれだけ伸びているかということを示した図です。で、各月見てみますと、 どんどんどんどん前年比伸び率が下がってきていまして。これは一重に国内の市場は、需要は潤沢だったけれども輸出の競争力が落ちて、その分落ちてきたとい うことが言えます。

    でまあ、あの、いろいろ自動車関連部品メーカーの方々からのお話を聞くと、 今年についてはまああの、四輪二輪の完成車の伸び、これにほぼイコールの伸びを示すだろうと。言い換えると国内はOKと。輸出については競争力がなくて、 もしくはいろいろな協定の関係で落ちればその分影響を受けるだろうという見通しになっております。

    最後になりますけども、部会の個別テーマとして、このようなことを今年は進めていきたいと思っております。まずあの、一番ですけど、ブラジル基準・規制に対する適合性。

    これは他の部会の方にもありましたけども、名前を言うといろいろあるんでしょうけども、中国といいますかね、アジアの国からですね、いろいろと今ブラジル市場に新規参入が始まっております。で、その方々がですね、その、時としてこちらで決められている、 
    例 えば二輪車ですとエミッション規制。それとかマナウスで生産する際のPPB、いわゆる現況肯定基準。ここら辺を必ずしも満たしていないケースがあるという ことで、ここら辺をですね。自動車部会としましては、Camaraという名前で政府の方とタイアップして基準を遵守していただくような形で進めていきたい と考えております。

    でその他としましては、移転価格。これは委員会ということでCamaraと して進めておりますけども、それに協力して進めていきたいというのと、まあ、 INPI、この、ローヤルティですね。INPIの認可プロセスが非常に時間がかかるという問題がありますので、そこら辺を攻めていきたいと。

    それとまああとは、労働法、労働組合の話ということですが、まあ1、2と分けてますけども、主要なところはこれを今年については主なるテーマとして進めていきたいと考えております。以上です。

    (司会)どうもありがとうございました。何かご質問はありますか。
    (質問)二輪のフレックス車の可能性について。

    (岩村)えっと、ただいまご質問をいただいて、二輪業界にいろいろと興味を持っていただいてありがとうございます。二輪のフレックスの質問ですけども、二輪のお客様というのはどちらかというと、低価格な商品をお求めになる方が多いです。

    そういう中で、フレックス化というのは結構値段が高くなってしまう。今の技術で言いますと、二輪に二つタンクを持たなきゃいけない。そういう状況になりますとですね。ちょっとあの、コストアップがおそらく市場に受け入れられないだろうという見方をしております。

    で 二輪については、もしやるとしたら、アルコール100%、こういう二輪を市場に提供するのが先かなというふうに思っております。で、このアルコール 100%につきましてはですね、すでに、あの、これは私どもとしては推奨できないし、いろいろ技術的な問題もあるんですが、ある一部の地域では後付けキッ トということでアルコール対応をして二輪を改造してですね、その、先ほどおっしゃったモトボーイ、それからモトタクシーなんかで使っているケースがありま す。しかしながらこれは私どもの商品では、商品というか私どもの改造キットではないし、お勧めできないものですが、参考までにそういうことであります。

    (司 会)はい、どうもありがとうございます。他にご質問ありますでしょうか。じゃあすいません、私からちょっと一つ質問させていただきますけども、もうすぐで すね、二輪の台数が四輪の台数を抜くんではないかというお話でしたけれども。私ども素人からするとですね、こう、ブラジルの所得がだんだん上がってくる と、むしろ二輪から四輪にみんな移っていくんじゃないかという感じがするんですが、これはブラジルでは特異な現象なんでしょうか。それともやっぱり世界的 にそういう現象なんでしょうか。

    (岩村)まああの、ブラジル特有といいますか、まず、今のご質 問に対して、ブラジルの所得構造がですね、ご存知のようにその、富士山よりも裾野が広がったような所得構造になっていますと。でCセグメントDセグメント といわれる方、まあEセグメントの方になっちゃいますとちょっととても手が出ないんですけども、CDセグメントの方というのは、おそらくブラジルの中の 80%ぐらいの、まあ70から80%ぐらいの比率を占めるのではないかと。
    ちょっと記憶ははっきりしていませんけども。そういう方々が今あの四輪 車を新規に求めるのはほぼ不可能でして、せいぜいその、古い中古車、これを求められるというケースが多いですね。でそういう方、特に農村部といいますか都 市部じゃない方については二輪というのはあくまでもそのベーシックトランスポーテーションとしての、足としての評価を受けています。

    と いうことで、まあ今の経済状況が進んで、所得が上がって、月々60レアイス70レアイス二輪に金が出せるぞという人たちがですね。例えば60ヶ月のコンソ ルシオ、頼母子講で二輪を買ってくださるという人がどんどん増えてくると思います。で、そういう方が増えた暁にはおそらく今の四輪の市場を抜くだろうと。

    このような現象はですね。すでにタイ、インドネシア、ああいうアジアの国、インドもそうですけども。アジアの国、中国も含めましてね、ベトナム、あそこらへんで起きている内容で、おそらくブラジルにおいても同じような状況になりうると考えております。

    (司会)わかりました。どうもありがとうございます。他に何かご質問ありますか。あ、岡田さんどうぞ。

    (岡 田)あの、部外者で申し訳ないんですけど、あの、タクシーにのるとタクシーの運転手が早くホンダ、トヨタのフレックスモーターを出してもらったら俺たちは すぐ買うと、よく言ってるんですけども、今ブラジルの車、ガソリンは20%ぐらいアルコールが入っているというふうに、まあ15から25ぐらい入っている というふうに聞いてます。

    で、小泉首相が来てですね、アルコール、エタノールの3%入れてもい いねと、いう話で日本で今いろいろと問題になっていますけども、今シビックにしろカローラがですね、ブラジルで走っているところを見ますとですね、3%ぐ らいエタノールを日本で混ぜてもそのまま、何もしなくても走るように素人は思うんですけども、何か問題があるんでしょうか。

    (岩村)えーっと、ちょっと日本の話とブラジルの話があるんですけど、まずブラジルにおいては、今E22というガソリンです。で、これは25%までアルコールを混ぜることができるガソリンの法律です。

    で、フレックス、まあなかなか出てこないぞというのは、私どもかなりお客様からお叱りを受けてて、なるべく早く出そうという努力をしてますけども、まあ、何とか今年中くらいは狙っていこうと思っています。

    で、日本でその、3%、小泉首相のですね、3%をですね、これがまあ何故そう簡単にいかないのかということなんですが、インフラ関係の話は別としまして、やはりその、アルコールが若干でも混じっちゃいますとですね、特にアルミ系のところにですね、影響が出てまいります。

    で、 前あの、新聞等で読まれた方いるかもしれませんけども、ガイアックス。ガイアエナジーという日本の会社がですね、ガイアックスというガソリンスタンドで販 売したんですね。あ、ガイアックスという会社がガイアエナジーか、を販売されたんですね。でその中にアルコールが入っていたと。それで、その結果ですね、 やはり火事になってしまうようなケースもあったということで、やはりきちっとアルコールに対して、たとえ3%でも混じる時には対応をきちっとしないといけ ないということですが、もうすでに日本で売られている車については全て対応済みであります。

    (司会)どうもありがとうございました。それじゃ時間もまいりましたので、自動車部会からの発表は以上とさせていただきます。どうもありがとうございます。

    皆さん長らくお疲れ様でした。一応これで各部会からの発表を終わらせていただきますが、ここでですね、せっかくご来場いただいている西林総領事に、恒例によりまして講評をということで、まあ感想なり、述べていただければと思います。

     

     

  • 講評 西林万寿夫総領事


    西林万寿夫総領事

    えー、 皆さんこんにちは。時間ももう過ぎておりますので、手短に感想を述べたいと思います。本日は業種別部会長懇談会、まあ成功裏に終わったわけで、まずパラベ ンスと、おめでとうございますということであります。今年から会議所の会員だけでなく、外部の方も自由に参加していただくということで、今日も何名かそう いう方参加されているかと思うんですが、この、開かれた商工会議所という目標があると。

    先日、サンパウロ新聞やニッケイ新聞で珍しく多田さんとか金岡さんの写真を拝見いたしましたけども、開かれた商工会議所というのを合言葉にされているというのは非常に心強い限りで、今後も続けていただければと思います。

    えー、そして若干の感想ですが、言うまでもなく、というか、私ここの業種別懇談会に出るのは初めてなんですけども、非常に多岐にわたった分野で日本の企業の方々が活躍されていることを改めて認識いたしました。

    ま たその部会ごとでまた非常に多岐に分かれていると、一つの部会でサロンパスからパイロットの万年筆まで同じ部会でやっているというのは、これは非常にたい へんなことだというんで、プレゼンテーションをされた方はたいへんだったと思いますが、まああの、敬意を表したいと思います。

    そ してもう一つの印象ですけども、私どもは、まだ来て半年弱なんですが、この間非常にブラジルの経済、まあ好調、基本的に好調であると。それから日伯経済関 係もそれに基づいて上向きになっているということをいろいろ耳にしたり、またいろんなお客様が日本から来られたりして懇談する機会が多いわけですが、ま あ、これを改めて今日確認させていただいたという感じがしております。

    全く違う観点でございま すけども、サンパウロの日本人学校。この四月、たぶん二百人近くまで生徒数が復帰すると。二年前138人だったようですけれども、まあピークの80年ごろ は九百人の生徒がいたので、もう施設は充分にあるんで、これが二百人を超えてまた三百人、四百人と戻っていくことを期待したいと思うんですけど、こういっ た日本人学校の生徒数にもパラレルに表れているのかなと。

    というよりか、もしかして三人四人お子さんをお持ちの方がブラジルにたまたま赴任している人が多いのかもしれませんが。まああの、ある程度の、何か相関関係があるような感じがします。

    そ れからあと、今日はいろいろ議論があって、今年の見通しでワールドカップの年であり大統領選挙の年であるので、まあ一般的に好調というかプラスの、ポジ ティブな予想が出ている訳ですが。私、まあその大統領選はさておき、ワールドカップが本当にプラスになるのかちょっと良く分からない、要はみんなこの六月 から七月のはじめにかけて、まあブラジルが決勝まで進んだ場合ですけども、みんなテレビ見て全然仕事をしないと。でその一ヶ月間というのはいろんな、業界 によっては非常にその、工場が止まっちゃったり、建設関係が止まったり、スーパーマーケットに行くとガラガラで誰も買い物に来てないとか、こういうふうな 現象が一月間くらい起こる可能性があるんじゃないかなというのが、一つ、感想というか、どうでもいい話なのかも分からないけど、ちょっと不思議な。そこに ついてメンションというか言及されてなかったんで、ちょっと私なりの感想を述べさせていただきました。

    そ れから、あと一、二申し上げますと、どの業界でもほとんどもう中国の関係というのが、皆さん言及されてて、まだいたいそれが、先ほど多田さんが言われたけ ど、影になっているということが多いようなんですが。ここでその、横断的に、中国というものをどう見るのか、中国とブラジルの関係をどう見るのか、それが 日伯経済関係にどう影響を与えるのかということを、もう少しマクロな分析みたいなものをしてはどうかなと、将来的に。だから、中国勉強会、なんか麻雀やっ ているようですが、中国のことを勉強する、そういう横断的な組織みたいなもの、何かの分科会か、またはすでにある部会の中でちょっと研究されたら面白いん じゃないかなというような感じがしました。

    それからもう一つ、貿易部会で、まあ貿易収支の話が いろいろ出たんですが、貿易外収支の方の話というものがどこかポケットに落っこちちゃっているのかなと。要は貿易部会でも金融部会でも運輸サービス部会で もこの話はなかったわけですが、ま例えばデカセギの方が日本で稼いで、そして、二十何億ドルですか、年間三十億ドルくらい送金していて、そのために、まあ これはブラジルの方のサイドですけども、Banco do Brasilだとか去年はイタウ銀行が日本に進出している訳ですけども、そういった新しい現象も出てきていると。こういったその、貿易外収支という点につ いても今日はどなたも言及がなかったけども、何らかの形で将来カバーされて、まあ多分貿易部会あたりが、貿易外部会を作るわけにはいきませんが、貿易害も ちょっとのぞかれたらどうかなという印象を持ちました。以上、

    あまり喋り過ぎると、私の後で また大使館からわざわざお越しいただいた中川書記官が喋ることがなくなっちゃうんじゃないかと思うので、ここら辺でやめますけれども。商工会議所、今年も まあ活発な活動をされると、まあ新年会に続いて今日の業種別部会長懇談会、非常にあの、盛況のもとに終わりましたことを心よりお祝い申し上げて。

    そ して次回あの、二月二十日にフルラン開発商工大臣が来られて昼食会で講演されるということでありますが、私ども、あの、ブラジリアから堀村大使がこちらに お越しになられる予定でもございますので、楽しみにしておるところでございます。以上でございました。どうもありがとうございました。おめでとうございま す。

    (司会)どうもありがとうございました。それじゃああの、日本大使館の中川書記官の方から講評をお願いします。

     

  • 講評 中川浩治書記官


    中川浩治書記官

     

    大使館の経済班におります、中川と申します。本日は商工会議所の業種別部会長懇談会に参加させていただいてどうもありがとうございました。私が話したいことは、先ほど西林総領事の方から大体話しましたので、感想を申し上げたいと思います。

    今 回、各部会から2005年度の回顧および2006年の展望をだいたいおうかがいしました。まあ、各企業ともですね、高金利およびレアル高という厳しい状況 のもと、最大限努力されているという姿が非常に印象に残りました。大変参考になりました。今後、大使館の業務の上で役立てていきたいと考えております。

    あ と、大使館と商工会議所の関係なんですけども、大使館、みなさんご承知の通りブラジリアにあるということで、サンパウロと物理的な距離があるのは確かにぬ ぐえないと思うんですけども、まあ、大使館の館員が定期的にこちらに来て商工会議所の皆さんと意見交換するなどですね、今後とも意思疎通を図っていきたい と考えております。今日は非常にいい機会でした。どうもありがとうございました。

    (司会)ありがとうございました。では最後になりましたけども、商工会議所の企画戦略委員会の金岡委員長の方から閉会の辞ということでごあいさついたします。

     

  • 閉会の辞 金岡正洋企画委員長


    金岡正洋企画戦略委員長(右)

     

    それでは閉会の辞ということで、ちょっと一言だけ。企画戦略委員会というと何をするかたいそうなところだなというようなイメージを持たれると思うんですが、 まあ簡単に言うと、会頭を補佐してスムーズな会議所の運営を行うと、こういうことでございまして。ボサーっとしていると干されちゃうんじゃないかという、 これは通訳の人なかなか通訳できないと思いますけど。

    えー、ということもありまして、今年の会 議所の重点課題ということで三つほど取り決めたわけですけど。まあ一つは会議所の活動強化ということでございまして、まあ先ほどから繰り返されている、開 かれた会議所ということで。活動を強化するということですけど、そのためには財政基盤も強化しないといけないので、これははっきりいって会員の数を増やす か、会費を上げるか、あるいはいろんな活動をある程度自前でやれるというか、多少お金のコストのかかった分は有料化して。まあそういうふうな方法が考えら れる訳なんでですね。

    まあ皆さんのニーズに合わせて、どういうふうにしたら一番いいかというのを会議所の中で今、方向性をいろいろ議論しているところと、こういうことでございます。

    そ れから二番目は、日伯経済関係の強化ということでございまして。まあ皆さん言われているように、昨年ルーラさんが日本に訪問されたと。その前に小泉さんが ブラジルに来られたということで、両首脳の交流というのも始まっていますし、経済活動がやはりますます強化されつつあるということで、まあ会議所としても その辺を、こちらに進出されている企業の皆さん、あるいはこっちで活動されている日系の企業の皆さん、どういうところが日伯の関係で改善していったらいい のかと。

    まあ特に、ビジネス上の障害と言うんですかね、この辺をいろいろと改善していくと。そ のためには日伯の政府に対していろいろな提言を行っていくというような方法。あるいはこちらにある外交ルートですね。大使館あるいは総領事館ですね。その 辺をですね。意見をどういうふうにブラジル政府に訴えていくか。

    あるいは、会議所としてはです ね、先進国の会議所の集まり、GIEというのがあるんですが、その辺でですね。おそらく先進国、他のアメリカあるいは欧州各国の会議所も出ておられるとこ ろで、いろいろやっぱりビジネスをやっていく上で問題があると。こういうのは、もう日本だけじゃなくて一緒に連携して訴えていきましょう。まあこういうよ うな形でですね、やはり改善に努めていきたいと。また将来的には日伯EPAの締結というようなことでですね、両政府に働きかけていきたいということを考え ております。

    で、三番目は日系社会への対応ということでございまして、2008年はご存知のよ うに移民百周年と、こういうことでございますし、日本政府の方も、先日の坂場中南米局長のお話ですと、日伯経済交流年と。これはまあ、必ずしも過去の皆さ んのご苦労、あるいは今までにいたることを振り返るだけじゃなくて、未来志向で、これから日伯の間で何をしていこうかと、こういうことで政府としても民間 を入れてですね、準備をはじめたところだと。

    こういうことなので、まあ会議所でもですね、そ の、移民百周年の対応の特別委員会を作って、遠山さんなんか中心にして、どういうふうに対応していくかというのを話し合っているところと。まあこういう三 つのですね、重点課題を挙げておりますので、皆さんにもご理解いただければありがたいと思います。

    で、 最後に一言、まあ今日いろいろ議論になったことで、やはり2006年はやはり、大統領選挙の年であると。それからまあ、ワールドカップの年であるというこ とで、特に選挙の年というのはいろんなその、経済面で動きが出てくるということで注目されるんですが。まあたまたま私、昨日経済セミナーに出ておったんで すが、そこにあの、パロッシ大蔵大臣が来てまして。

    その経済セミナーのテーマがですね、持続的 成長、経済成長は可能かどうかということでございまして。パロッシさんが出てて、あとイブライム・エリスという、これは中銀の総裁ですけど、カルドーゾの 前の総裁でしたが、まあどっちかというと前政権寄りの方だったんですが、まあ議論の対象はですね、確かにブラジルは経済成長しているし、来年もおそらく成 長が見込めるのは間違いないだろうと。

    ただその、本当に大統領、ルーラが言っている、あるいは パロッシが言っているような、2004年並みの4.9とか5とか、こういった経済成長ができるのかというのが一つの議論の対象だったんですが、まあイブラ イム・エリスさんによりますと、まあ選挙の年でもありますし、世界あるいはブラジルの全体の景気もまだいいんでですね、成長はするだろうと。だけど3.3 からまあ3.5ぐらいがいいところじゃないかなと。

    まあ先ほど福田さんの方で3%の上の方だと いう話が出たんですが、まあその辺だろうと。でまあ、イブライム・エリス曰くですね、何でそういう数字になるかというと、いろんな要素があるんですが、や はりブラジルの経済で問題なのは一つはやはり収税率ですね。これが37%と非常に高いと。
    それからそれ以外の政府の歳入というのもあってですね、GDP、国内総生産に占める国のアカウントというのが45%ぐらい占めているということですね。それに対して公共投資が2%らしいんですね。これじゃやはり、なかなか成長しないよと。

    そ れからもう一つは、実質金利ですね、これが今11から12ぐらい、まあSELICの金利からIPCAを引いたやつですけど、これが11から12。このイブ ライム・エリスさんというのはトルコから移って来られた方なんですが、それで中銀の総裁をするというのもなかなかたいしたものですが、彼の出身のトルコと いうのが世界で二番目に金利の高いところだと。そこでももう6%切ってますよという話で、この金利が続く以上はやっぱり、その、持続的経済成長といっても なかなかですね、大きいものを期待できないんじゃないかと。

    まあ、中国とか東南アジア、この辺 は8から10いってるわけですね、でブラジルで今大統領が言っているのが、まあ5%ぐらいと言っているんですが、今のイブライム・エリスさんは3.3から 3.5がいいんじゃないかなと、そこのところでいろいろ議論があったんですが、両方その辺の見方があるなと。
    それからもう一人出てた、ジスナー・ オリベイラという、この人は今ジェトゥーリオ・バルガスの先生をやっているんですけど、かつてCADE、公正取引委員会の委員長をやった人なんですが、そ の人が言っていたのは、今のイブライム・エリスの問題に加えてブラジルにおけるビジネスをやっていく上での問題点。いわゆるブラジルコストということで、 タックスと労働と、それから治安と、それからインフラの未整備と、こう挙げてますけど、彼は別の言い方で、最近ブラジルのエコノミストが言っているのは、 ビューロクラシー、それからインポスト、タックスですね。

    それからインフォルマリダージと、こ れは、整備されていない、法制が整備されてない、いろんな会社の設立とか何か訳のわからないところがある、インフォルマリダージと。それから最後がコルプ ソン、賄賂ですね。贈賄。ということで、ブラジルはBricsのBで先頭なんですが、今のBIICでビイックになるんじゃないかなと、こういうような、エ コノミストの間でもそういう点を挙げているところもあるということで、まあ今日の皆さんの業界の展望でも間違いなく経済成長は期待できると思うんですが、 それがどの程度のものになるかなというのは、今言ったようないろんなファクターがね、まだ残っていると、こういうことだったんで、ちょっと参考までにご紹 介いたしました。まあ本日は長い間どうもありがとうございました。

    (多田)まあ、(5時)43分ということで、ほぼ時間どおりに終えることができました。どうも皆様ご苦労様でした。プレゼンテーションやられた方々にもう一度拍手をお願いします。

     

 

2005年下期業種別部会長懇談会

今年2回目の業種別部会長懇談会に、約90人が参加

総務委員会(浅賀健一委員長)及び企画戦略委員会(多 田稔委員長)共催の業種別部会長懇談会が、3日午後2時からソフィテル・ホテルに約90人が参加、11部会代表が共通テーマの2005年上半期の回顧と下 半期の展望、移転価格税制問題などの個別テーマについて発表、参加者は業界のプロ中のプロの話に相槌を打ったり、メモを取ったりして熱心に聞入っていた。

浅賀総務委員長が軽快なテンポで進行役を務め、初めに田中信会頭が開会挨拶を行い、続いてコンサルタント部会は遠山景孝副部会長、金融部会は村田俊典部会長、貿易部会は桜井悌司副部会長、化学品部会は板垣義実部会長、機械金属部会は西岡勝樹副部会長がそれぞれ発表した。

15分のコーヒーブレイクの後、繊維部会は今井達男部会長、食品部会は疋田和三部会長、電気電子部会は板谷稔部会長、建設不動産部会は阿部勇部会長、運輸サービス部会は平野候一部会長、締め括りの自動車部会は内山徹雄副部会長がそれぞれ発表した。

また丸山次郎サンパウロ総領事館首席領事から懇談会の講評、ブラジリア日本大使館の田雑隆昌書記官(経済班)からは大使館情報、日系企業支援、地方セミ ナーの一環として9月13日開催のミナス・ジェライス/日本経済フォーラム案内などが行われた。最後に浅賀委員長から閉会の辞が述べられ、4時間にわたっ た懇談会は成功裏に終了した。

終了後、同会場のピアノバーで懇親カクテルがあり約半数の45名が参加、懇談会の反省や各業種相互間の意見交換で賑わった。

また各部会から提出された部会長懇談会用記事を添付ファイルで送付致しますのでご覧下さい。(コンサルタント部会の記事は入手後掲載致します)なお主催者 の決定事項として今回試験的に懇談会模様の録音テープおこしを止め、各位からのレポートのみHPに掲載することになりました。ご了解いただくと共に、これ から本懇談会をより一層充実させて行く為、各位からのコメントや提言をお待ちしております。

 

 

  • 挨拶 田中信会頭

    商工会議所業種別部会長懇談会(05年8月2日)

    ブラジル日本商工会議所
    会頭  田中 信

     

    本日は当会議所のメインイベントである業種別部会長懇談会にご多忙中にもかかわらず多数ご出席頂きまことに有難うございました。特にブラジリアの大使館からわざわざご来聖いただいた田雑書記官及び丸橋主席領事以下サンパウロ総領事館の皆様には厚くお礼申し上げます。

    この懇談会は一年2回、年初と年央にブラジル経済の回顧と展望を実施することになっており、今回は本年上期を回顧し、下期の展望を行うものです。
    新しい方も大分増えられたので、簡単にこの懇談会の歴史をご紹介しご参考に供したいと思います。

    現在の皆さんには想像されるのが難しいと思いますが、1970年代初め「ブラジル経済の奇跡」といわれた時代、欧米企業に伍して日本企業も怒涛のようにブ ラジルに進出しました。正に殺到するという表現がふさわしい状況でした。当会議所もそれに対応して組織改革を行い業種別に10部会が創られ、会員はいずれ かの部会に所属することになりました。一昨年機械部会から自動車部会が独立し、現在11部会になっていることは皆さんご承知の通りです。

    私事にわたり恐縮ですが、其の時ここに居られる山田監事会議長と私がコンサルタント部会創立に参画、私が初代コンサルタント部会長に選任されました。部会長懇談 会はそれから間も無く開始されたので、30年余の歴史を有する由緒ある行事ですが、当初はコンサルタント部会の行事としてコンサルタント部会長が司会役で した。その後会議所の組織に総務委員会が新設され、同委員長が司会する会議所の全体行事となりました。
    近年「開かれた会議所」の方針に則り、一般ブラジル社会にも開放し、会員以外でも自由に参加できるようになっています。日本語からポルトガル語の同時通訳も用意しております。

    この会議では各業種別部会の代表者から生の声で夫々の業界の直近の動向が発表されます。この発表のため各部会は部会長さんを中心に業界動向を分析し、その 結果を検討整理されますので、各社の経営戦略の決定に極めて役立つものと思います。更にこのプロセスを通じてメンバー各員の親睦にも役立つものとおもいま す。更に外部の企業、学校、研究所など外部機関にとっても現状把握に役立つと思います。

    本年 の世界経済は昨年に比べ、中国など新興諸国の高成長の抑制、米国、日本など先進国の減速が見込まれますので、ブラジル経済も、昨年のように5%を超える経 済成長は望めませんが3%台は確保出来るペースで上半期を経過しました。特にドル・レートが下降を続け2.3~2.4台まで低下したにもかかわらず、輸出 増加も順調で貿易黒字も7月までで既に歴史的新記録であった昨年の実績を上回っております。インフレ率も昨年より低下、財政プライマリ収支も昨年より更に 改善しております。

    このようにマクロ経済は満足すべきパフォーマンスを示しておりますが、政治面では深刻な事態に立ち至っております。PTは単 独では国会の運営が不可能で、複数党との連携が不可欠ですがそのための資金集めや支払い方法をめぐっての疑惑が深まり、国会に真相究明のCPI(究明委員 会)が作られ、最大の実力者ジルセル官房長官が退任、政府党PTもジェノイーノ党首始め事務局長、会計責任者など主たる首脳が殆ど退任という壊滅状態に 陥っております。幸いにしてルーラ大統領は今のところ無関係で、支持率もそれほど大きな落ち込みはありませんが、最近ブラジル向け投資に対する海外投資家 の手控えも一部には伝えられています。今後の進展には予断を許さない情勢ですが、速やかな真相解明と経済への影響回避をはかることが必要です。

    本年当会議所は、3つの重点施策を掲げました。その第一は会議所活動の基盤強化のため会員増加を図ることです。皆さんのご協力のおかげで、1980年代以 降20年以上も続いた会員減少傾向も底をつき増減ベースでみると一昨年は5社、昨年は11社と増加に転じました。本年は7月まで21社新規会員が増加しま したが、退会もあり純増は3社となっております。後半会員増加に一層のご協力をお願いします。

    会員数増減の内訳をみますと、一昨年は日本進出企 業8社減、現地企業13社増。昨年は日本進出企業1社減、現地企業12社増。本年は7月までで日本進出企業4社減、現地企業7社増となっております。日本 進出企業は最近自動車部品業界などを中心に新規進出も見られますが、依然として整理撤退のほうが多く、差し引きでは純減となっております。かつては会員数 の70%以上が日本進出企業の時代もありましたが、本年7月現在では企業会員総数289社のうち日本進出企業は144社と半分以下になっています。

    会員増加はマーケッティング広報委員会に担当してもらい、見込み先をピックアップして各業種別に推進してもらっております。特に未加入150社にのぼる日系進出企業を重点目標に定めております。

    第二は日伯経済関係の強化です。昨年9月の小泉総理来伯に続き、5月にはルーラ大統領訪日が実現しました。ルーラ大統領訪日を機に第11回日伯経済合同委員会が開催され投資環境の調査、投資機会の把握等の目的で日本経団連ミッションの派遣が合意されました。

    投資増加、貿易促進など日伯経済関係再活性化のための有力且つ効果的手段は両国間EPA(経済連携協定)の締結であります。これは単に両国経済関係の活性 化ばかりでなく、これに適応するための努力のプロセスを通じ、両国の体質改善、競争力向上に役立つものであります。昨年日本経団連及びCNI(ブラジル工 業連盟)は検討の成果に基づいて両国政府に対しEPA締結交渉の早期開始を訴えた提言書を提出しましたが、残念ながら政府の順位では2世代半後と後順位に 廻されています。今回の合同委員会でも経団連―CNIという民間分野での接触と研究の継続の合意に留まっております。担当の日伯経済交流促進委員会では、 このたび各部会よりメンバーを選出して「日伯EPA共同研究分科会」を新設し担当してもらうことにしました。
    ブラジル財界の中核的存在はFIESP(サンパウロ工業連盟)でありますが、昨年末新しい会長が選出され首脳陣が交代しましたので、CNIとFIESPとの微妙な関係も配慮しつつ新執行部との接触緊密化を進めております。

    政府への要望や提言は内容によっては米国、ドイツなど有力他国の在ブラジル商工会議所と共同戦線を組むのが効果的ですが、この担当はGIE(外国投資家グ ループ)委員会で、昨年はマナウス自由地区におけるPIS、Cofinsの減免に成功しました。今年は入国、通関手続き改善をGIEベースで、ブラジル政 府と交渉中です。

    最近移転価格税制の問題がクローズアップされ、業界によってはブラジル現地法人の死活問題になっているところも出てきました。 当会議所は7月臨時理事会の承認を得て「移転価格税制検討委員会」を新設しました。今後の活動につれてGIEベースとの連携活動が必要になる可能性が高い と考えます。

    本年重点施策の第三は3年後に控えた日系移民百周年への対応であります。当会議所の基本姿勢は日系社会の総意に基づく百周年にふさ わしい行事には応分の協力をすることを決定しております。当会議所は百年周年協会の理事会に副理事長として協力しております。担当は日系社会委員会ですが 先般各部会からメンバーを選んでいただき百周年分科会を新設し、広く会員の声を聞きながら協力の方法なども含め具体的提案を行うことになっています。

    以上の通り、最近の会議所を取り巻く情勢は多岐にわたり、しかも激しく変化しております。我々は迅速且つ的確に対応してゆくことが必要だと思います。

    最後にこの懇談会の担当である総務委員会、企画戦略委員会及び事務局の皆さんのご尽力に対し感謝の意を表し私の挨拶を終わります。ご静聴有難うございました。

  • 金融部会

    2005 年7月

    「2005年度上期の回顧と2005年度下期の展望」(案)
    ― 金融部会(除く、保険業界) ―

    1.2005年度上期の回顧

    2005年度上期は、コロール大統領の弾劾以来の深刻な政治スキャンダルが発覚したものの、引き続き好調に推移するマクロ経済を背景に、カントリーリスクの上昇やドルの反転には至らなかった。

    代 表的なカントリーリスク指標であるEMBI+は、昨年末の379bpから、年初に米金利引上げ加速の観測、下院議長選における労働党(PT)の敗北等によ り上昇し始め、世界経済の減速見通し、新興国への懸念、株式/債券市場の暴落、米自動車メーカーの業績不振等もあり、4月中旬(15日)には400bp台 後半(487bp)まで上昇した。然しながら、好調に推移するマクロ経済にも支えられ、5月下旬以降、市場の最大関心事ともなっている政治スキャンダルに よる影響を受けず、EMBI+は414bpまで改善して期末を迎えることとなった。

    政治面で は、上院/下院ともに労働党が議長席を確保できず、ルーラ政権の国会運営能力の低下が徐々に影を落とし始めている。一方、市場を賑わせている政治スキャン ダルが、大統領/政権の支持率低下に繋がるとも思われたが、直近の世論調査 (CNT/Sensus)では、ルーラ大統領の支持率は59.9%(前回5月比1.5%上昇)、政権支持率は40.3%(同0.5%上昇)と高水準を維持 している。

    経済全般は、昨年9月以降の金利引上げの影響もあり、鈍化の兆候が現れている。第1 四半期の国内総生産は、景気回復局面に入る前の昨年第1四半期比でこそ2.9%の成長となったものの、設備投資、世帯消費の減少を主因として予想以下の成 長にとどまり、昨年の第4四半期比では0.3%に止まっている。但し、その後は二重燃料車が好調な自動車業界や、家具・家電業界に牽引された小売販売等業 界で、景気回復のニュースが相次いでおり、第2四半期以降の挽回が期待されている。

    レアル高に伴う影響が懸念された輸出も好調が持続している。6月には単月で輸出が100億ドルを史上初めて突破(102.7億ドル)し、6月までの貿易黒字は200億ドルに届く勢い(196.71億ドル)である。
    為替相場は、上記のとおり好調な貿易収支や、企業/連邦政府の外貨調達等を背景に、年始の1ドル2.6レアル台から、2.3レアル台までレアル高が進んで上期を終えている。

    なお、特筆すべき事項として、こうした好調なマクロ経済を背景として、ブラジルはIMF支援からの卒業を決定し、本年3月の期日継続を見送った。

    原油高、国内景気の回復に伴い懸念されていたインフレの再燃も、金利の引き上げやレアル高等によって沈静化しており、6月には消費者物価指数(IPCA)がマイナス(▲0.02%)を記録した。
    2004年9月以降、累計で3.75%引き上げられてきたSELIC金利は、インフレ再燃の懸念後退に伴い6月には10ヶ月ぶりに据え置かれ、19.75%で上期を終えることとなった。

    銀行業界では、手数料徴収と給与/年金天引型ローンが収益を牽引した。第1四半期に前年同期比49.5%増加となる83億レアルの当期利益を記録し、5月にも銀行貸付残高が5,183億レアルと前年同期比18.4%増加していることが確認されている。

     

    2.2005年度下期の展望
    2005年度下期の最大の注目点は、やはり政治スキャンダルの行方であろう。スキャンダルのルーラ大統領自身への波及、ルーラ大統領/政権に対する支持率の推移には、注視して参りたい。

    ま た、これら政治要因が市場動揺に波及する歯止めともなっているマクロ経済の動向にも注目して参りたい。マクロ経済の中でも、進行するレアル高に関わらず、 どこまで輸出が伸ばせるのか、原油高などに伴うインフレ上昇の懸念を押さえ込みつつ、好調な景気を維持/促進できるのかが、鍵を握っているといえよう。

    (各種指標の見通しは以下のとおり)
    経済成長率は、鈍化の傾向が現れているものの、引き続き好調な自動車部門、後述する好調な輸出、家具家電が牽引する小売販売等に下支えされ、年初予想の3.5%までは届かないまでも、市場では3.0%程度の成長を見込んでいる。

    貿易収支は、レアル高の影響、アルゼンチンとの貿易摩擦、急増する中国からの輸入等の懸念材料はあるものの、過去最高の貿易黒字となった昨年の337億ドルを超える359億ドル程度の黒字が見込まれている。

    直接投資は、5月までの累計で72億ドルと昨年通年の182億ドルに迫るペースではあるものの、下期は若干の減速が予想され、市場関係者は150億ドル程度と見込んでいる。

    レ アルの対ドル為替相場動向は、政治スキャンダル、中銀の介入再開、国内金利の引き下げ状況に伴う投資家動向、国内景気/貿易収支の状況、米国経済等によっ て左右されるであろうが、市場関係者は年末2.60レアル程度を見込んでいる。なお、中国元のバスケット制移行に関しては、今のところレアル相場への直接 的な影響は限定的と考えられるものの、中国の輸入拡大あるいは中国経済の減速等に波及した場合の間接的な影響はありうることから、注視が必要と考えられ る。

    SELIC金利は、インフレに注視しつつも、今後緩やかな引き下げが見込まれ、年末時点で18%程度となる見通しである。これに伴い、世界的に見ても非常に高いブラジルの実質金利が、若干下がるものと見込まれるが、その下げ幅は限定的と考えられる。

    銀 行業界では、好調な個人向け貸出の勢いが、どこまで続くかが注目される。給与/年金天引型ローンの金利低下が個人向け貸出全体の頭打ち現象の始まりであれ ば、競争の更なる激化、貸出スプレッドの更なる低下が想定され、貸出収益の減少を手数料収入で如何にカバーするかに注目致したい。

    なお、銀行業界ではリテール顧客へのサービス向上の一環として、自動預金引出機の共同使用の拡大を予定している(Banco do Brasil、Caixa economica Federal、Bradescoの提携。他行の追随も予想される)。

    各銀行の為替・経済基本金利( Selic) 予想

    2005 年 12 月末の為替

    同 Selic

    R$2.60

    18.00%

    R$2.50

    17.25%

    R$2.00

    22.00%

    R$2.60

    17.75%

     

    2005年度上期の回顧と下期の展望
    保険業界

    保 険監督当局の統計によれば、2005年上半期の保険業界は保険料伸び率が対前年比約109%と 2004年末の対前年比伸び率122%に対して大幅な減速となった。これは、種目ミックスの42%を占める生保の伸び率が対前年比2.6%と、自動車(種 目ミックス37%伸び率20,7%)、プロパティー(種目ミックス11%、伸び率15.2%)に対し非常に低くなっているためである。
    マーケット 集約度としては、全種目ベース保険料で上位5社が占める割合が56%、上位10社の場合75%程度である。種目別では、自動車保険の集約度が上位10社 ベースでは74%と全種目ベースと同様の数字となっているのに対し、上位5社ベースでは60%とより上位社への集約度が高くなっている。

    一 方、保険事業における損益を計るための指標であるコンバインドレシオ(保険料に対する損害支払額=損害率、経費=経費率、ブローカーコミッション=コミッ ション率の合計。同指標が100%以下となった場合に保険本業で収益を出しているという意味である。)は2004年末の106%から101%程度まで改善 している。すなわち、業界全体としては、保険本業での収益改善を目指している状況にあるといえる。これは昨今の金利低下予想を受けたものでもあり、今後も 継続するものと考えられる。

    なお、コンバインドレシオにおける主な改善のポイントは経費率の改善であり、損害率では1ポイント、コミッション率では0.6ポイントと大きな改善は見られない。
    損害率について、種目別で見ると、自動車保険で3ポイント、生保で1ポイントの改善となっている。なお、その他種目について改善は見られない。

    なお、自動車の損害率に影響を与える盗難・強盗の発生件数はサンパウロメトロポリタン地区では、2004年第3四半期以降減少の傾向にある。内訳としては盗難が57%、強盗が43%となっており、傾向に変化は見受けられない。

    その他、業界内の動向としては、再保険自由化関連での進展があげられる。しかしながら、法案変更は難航しており、来年の選挙をかんがみた場合、依然先行きは不透明といえる。
    また、コンプライアンスおよびリスク管理に関する監督当局通達の期限が2005年12月と迫ってきていることから、各社とも同態勢の整備に追われている状況にある。

     

     

  • 貿易部会

    ブラジル貿易概況-2005年上半期実績と通年の見通し

    2005年8月3日

    貿易部会

    開発商工省の資料をベースとして以下の資料を準備した:
    ① ブラジルの貿易(2000年~2005年上半期)
    ② ブラジルと日本の貿易(2000年~2005年上半期)
    ③ ブラジルと中国の貿易(2000年~2005年上半期)
    ④ ブラジルの対日輸出急増品目(2005年上半期)
    ⑤ ブラジルの対日輸出急増品目(2005年上半期)
    ⑥ 表1-ブラジルの主要商品別輸出入(一部1~5月の統計)
    ⑦ 表2-ブラジルの主要国・地域別輸出入
    ⑧ 表3-ブラジルの対日主要品目別貿易

    1. 貿易収支全般

    開 発商工省のデータによれば、2005年1~6月における貿易収支黒字額は197億ドルと、昨年後半以降のレアル高にも拘らず、引き続き好調である。黒字増 加の要因は輸出増加によるもので、輸出額は前年同期比23.9%増の537億ドルと史上最高を記録した。輸入額は同20.2%増の340億ドルと、依然と して輸出額の伸びが輸入を上回っている。輸出増加の要因は旺盛な外需、特に工業製品輸出の増加が特徴。一方の輸入は資本財の増加が顕著であった。

    特に注目を引くのはブラジルの対中国貿易。資料③をご参照願いたいが、輸出が前年比△7%弱であるのに比して、輸入が前年比52%増となっており、ブラジル産業界が対中国輸入に警戒感を増幅しているのが良く判る。

    また対日輸出、対日輸入の伸び率が共にブラジル全体の輸出入伸び率を大きく上回ったのは、グッドニューズである。

    2. 輸出について

    2005 年1~6月における輸出を製品カテゴリー別にみると、金額ベースで一次産品が8%増の148億ドル、半製品が31%増の78億ドル、工業製品が30%増の 300億ドルと、全てのカテゴリーで増加している。特に輸出額の56%を占める工業製品では数量ベースで7.0%増であることから、輸出価格の上昇が顕 著。特に自動車関連品目、鉄鋼関連品目などが貢献した。

    一次産品の輸出額は過去の推移から見ると比較的低い伸びにとどまった。個別品目をみ ると、今まで好調であった大豆輸出額が前年同期比20%減(24億1900万ドル)となっている。数量ベースでは1.5%増(1060万トン)であること から価格低下が影響した。仕向け先として最大の中国向け輸出額も32%減少(7億4,300万ドル)している。
    この背景としては、昨年は前年のア メリカの天候異変によりシカゴ相場が高騰し、需要がブラジルに集中した為、量・価格共に大幅に伸びたもので、本年は通常の状態に戻ったとの見方が一般的で ある。但し、会員企業の中には、昨年度の倍以上の50万トン以上を本年度に入って成約した商社もある。一方、大豆に代わり一次産品で最大の輸出品目となっ た鉄鉱石は、金額で48%増(31億ドル)、数量で10.8%増(1億516万トン)であった。
    鉱産資源大手リオドセ社は、今年度鉄鉱石の輸出価格の71.5%値上げを実施することから、年後半にかけてさらなる輸出額増加が見込まれる。またコーヒー豆も輸出額が70%増(13億ドル)、数量で10.5%増(62万6378トン)と、金額の上昇が顕著であった。

    半製品では、最大の輸出品目は鉄鋼半製品で、46%増(13億ドル)を記録している。その他の品目は上位から順に粗糖11億ドル(106%増)、パルプ9.6億ドル(16%増)と続く。

    工 業製品では上位から順に乗用車が40%増(20億ドル)、送受信機・同部品が124%増(13億ドル)、航空機が24%減(12億ドル)と続く。乗用車で は、1000ccから1500ccの自動車の輸出が3.1倍の4.4億ドル、1500ccから3000ccの自動車が31%増の13.6億ドルを記録し た。上位のメキシコ、アルゼンチン向け輸出額が共に30%以上の増加を示した他、ドイツ向けの輸出額が、急増した。これはフォルクスワーゲン社の世界戦略 車フォックスの、欧州向け輸出が開始されたためと見られる。送受信機・同部品については、2004年に国内市場が急拡大した結果、ノキア、モトローラなど の多国籍企業が輸出向けを国内向けに振り替えていたが、2005年上半期には輸出に転じ、米国、アルゼンチン、ベネズエラ向け急増したものである。

    輸 出相手国別にみると、輸出額の大きい順に米国、アルゼンチン、中国、オランダ、ドイツ、メキシコ、イタリア、日本となっている。米国向けが24%増、アル ゼンチン向けが39%増となった一方、中国向けが7%減少している。米国、アルゼンチン向けは工業製品の輸出増加が顕著である一方、中国向けは一次産品の 大豆関連で減少しただけでなく、パルプ、鉄鋼半製品など半製品でも減少した。

    3.輸入について

    2005年上半期における輸入 額は前年同期比20%増の340億ドルであった。2005年第1四半期におけるGDP成長率は前年同期比で2.9%増、前期比で0.3%増と、経済成長の 減速傾向が明らかとなっており、輸入はそれほど顕著な増加とならなかった。商品カテゴリー別に見ると、輸入額の5割強を占める原材料・中間財が19.4% 増の1145億6,500万ドル)、約2割を占める資本財が26%増の57億800万ドル、16%を占める燃料・潤滑油が29.6%増(44億7,900 万ドル)、消費財が19%増の30億7,800万ドルであった。増加率の高い資本財では、産業機械や事務用機器で増加しており、企業による投資増加傾向が うかがえる。また、燃料・潤滑油では、原油輸入量が30%、輸入額が10.8%減少していることから、原油価格の高騰が影響を与えていることが理解でき る。

    輸入相手国別にみると、米国、アルゼンチン、ドイツ、中国、日本の順になっている。主要相手国の多くで輸入が増加している。なかでも輸 入増加が顕著なのは、第4位の中国である。ブラジルの輸入の伸びが20%であるにもかかわらず、中国からの輸入は、52%を上回っている。その結果、 2001年以降、黒字が続いていた対中国貿易収支が、今年は、赤字になることが予想される。中国からは送受信機部品や液晶ディスプレイ(LCD)、集積回 路など電気電子部材が大きく増加している。中国からの工業製品の輸入増加に対して産業界は懸念を抱いており、サンパウロ州工業連盟(Fiesp)などでは セーフガードなど輸入制限措置の発動を政府に求めている。

    4. 対日貿易について

    2005年上半期における対日貿易は、輸 出が前年同期比34%増の16億ドル、輸入が同27%増の16億ドルとなり、久々に輸出入ともに全体平均より高い伸び率を記録した。ブラジルの貿易額に占 める日本のシェアは、輸出で3%、輸入で5%とそれぞれ増加したものの、国別順位は輸出で8位(今年はイタリアを抜き7位にランクされる可能性が大)、輸 入で5位となっている。

    対日輸出で上位品目は鉄鉱石、鶏肉、アルミニウム、コーヒー豆、パルプと続く。なかでもコーヒー豆の輸出増加が顕著 で、金額で前年比120%増の1.3億ドル、数量で同35%増の6万1,711トンとなった。また、アジアにおける鳥インフルエンザの影響で増加している 鶏肉の輸出は、ブラジルでのニューカッスル病の騒ぎはあったものの、伝染率が限定的であったこともあり、金額で30%増の3億ドル、数量で32.8%増の 15万3,820トンと、依然として全体より高い増加率を記録している。会員企業の中には、鶏肉の対日輸出について本年度は20千トン見込み(一昨年 1.2千トン/昨年13千トン)の企業もあり、ブラジルが鶏肉の供給基地となっていることが覗える。また、エタノールの対日輸出は前年同期比93%増の 42百万ドルと、前年に引き続き増加傾向が続いた。一方の輸入では自動車部品、ベアリング・歯車及び同部品、自動車用エンジン・同部品と主要な品目で増加 している。なお、乗用車は49%増の61百万ドル、コークスが83%増の60百万ドル(数量で53.4%増の25万3,025トン)と、それぞれ顕著な増 加を記録した。

    5. 2005年貿易の見通し

    中央銀行では6月時点で2005年の輸出額は前年比12%増の1、080億ド ル、輸入額は同24%増の780億ドル、貿易収支額を同11%減の300億ドルと予想している。また、貿易に関する民間研究機関のFUNCEXの予想(6 月時点)では、輸出額を1,130億ドル、輸入額を760億ドル、収支を370億ドルと、前年を上回る貿易収支額を記録するとしている。これは工業製品、 また一部のコモディティ商品(鉄鉱石、コーヒーなど)の良好な価格推移が見られる一方、国内の経済成長率が予想を下回る3%台前半に落ち着き、それが原材 料・中間財など輸入の伸びを抑制するとの見方が背景にある。

    なお、2005年上半期に見られたレアル高の影響であるが、現在までの貿易統計 を見る限りその影響は限定的だ。会員企業の意見に拠れば、自動車産業などブラジルを生産拠点として戦略的に位置づけている企業の場合、部品・測定装置など の輸入による為替メリットがレアル高を凌駕していることもあり、レアル高の影響は少ないという意見もある。然しながら、輸出産業を中心とするブラジル産業 界は、中国の人民元の切り上げ、資源・エネルギー分野での中国の買い控え、レアル高などを懸念材料として危機感を強めており、特に今年度下半期への影響が 注視される。

     

    ①ブラジルの貿易(2000年~05上半期)        単位:100万ドル

      輸 出 伸び率% 輸入 伸び率% 収支
    2000 55,086 14.7 55,839 13.3 -752
    2001 58,223 5.7 56,572 -0.5 2,695
    2002 60,362 3.7 47,240 -15.0 13,121
    2003 73,084 21.1 48,291 2.2 24,793
    2004 96,475 32.0 62,809 30.1 33,666
    04JAN~JUN 43,306   28,303   15,003
    05JAN~JUN 53,677 23.9 34,007 20.2 19,670

    出所 : 開発商工省

    ②ブラジルと日本の貿易(2000年~05上半期)        単位:100万ドル

      輸出 伸び率% シェア 輸入 伸び率% シェア 収支
    2000 2,472 12.8 4.5 2,961 15.0 5.3 -489
    2001 1,986 -19.7 3.4 3,064 3.5 5.5 -1,077
    2002 2,098 5.6 3.5 2,348 -23.4 5.0 -250
    2003 2,311 10.1 3.2 2,520 7.4 5.2 -210
    2004 2,768 19.8 2.9 2,869 13.8 4.6 -101
    04JA~JU 1,220   2.8 1,284   4.5 -64
    05JA~JU 1,633 33.9 3.0 1,629 26.9 4.8

    出所 : 開発商工省

    ③ブラジルと中国の貿易(2000年~05年上半期)          100万ドル

      輸出 伸び率 シェア 輸入 伸び率 シェア 収支
    2000 1,085 60.5 2.0 1,222 41.3 2.2 -137
    2001 1,902 75.3 3.3 1,328 8.7 2.4 574
    2002 2,520 32.5 4.2 1,554 17.0 3.3 966
    2003 4,533 80.0 6.2 2,148 38.2 4.5 2,385
    2004 5,440 20.0 5.6 3,711 72.8 5.9 1,729
    04JA~JU 2,900   6.7 1,492   6.6 1,859
    05JA~JU 2,709 -6.6 5.0 2,272 52.3 8.2 437

    開発商工省

    ④ブラジルの対日輸出急増品目 (2005年上半期、200万ドル以上) 単位: 1000ドル

      04年1~6月 05年1~6月 伸び率%
    鶏肉調整品・缶詰 1,048 4,152 296.2
    シリンダーブロック 916 3,627 295.8
    ブルドーザー 2,612 7,329 180.6
    銑鉄 6,681 17,353 159.7
    イッペの製材 975 2,479 154,2
    牛肉調整品、缶詰 1,781 4,476 151.4
    鉄鋼製貯蔵タンク 1,522 3,804 149.9
    エチレン塩化物 13,238 29,662 124.1
    コーヒー豆 60,212 132,200 119.6
    エチレンアルコール 21,899 42,363 93.4
    モトコンプレッサー 1,765 3,368 90.9
    卵の黄身 2,245 4,171 85.8
    冷凍バラ鶏肉 1,466 2,574 75.6
    原綿 5,846 9,949 70.2
    エッセンシャルオイルの副産物 2,295 3,725 62,3
    鉄鉱石 172,482 277,778 61.1
    木材 3,996 6,010 50.4

    出所 : 開発商工省

    ⑤ブラジルの対日輸入急増品 (2005年上半期、500万ドル以上)単位:500万ドル以上

      04年1~6月 05年1~6月 伸び率%
    ガスコンプレッサー 1,897 10,264 441.0
    オフセット印刷機 1,289 5,124 297.4
    IC 3,840 13,064 240.0
    LCD 2,054 5,557 170.5
    アルミニウム製品 2,048 5,257 156.7
    電気アキュムレーター 9,042 19,007 110.2
    シリンダー・ブロック 11,040 22,137 100.5
    インプレッション・サーキット 8,406 15,794 87.9
    コークス 32,846 59,944 82.5
    トランスミッション 6,697 12,206 82.3
    自動車1500CC以下 9,584 16,351 70.6
    自動車2500CC以下 12,050 20,018 66.1
    玉軸受け 4,285 6,925 61.6
    LED 5,872 9,255 57.6
    インプレッション・サーキット用コネクター 4,836 7,453 54.1
    自動電子制御器 5,571 8,557 53.6
    自動車用ギアボックス 44,936 68,013 51.4
    タイヤ 6,615 9,977 50.8

    出所 : 開発商工省

    ⑥表1 ブラジルの主要商品別輸出入(単位: 100 万ドル,%)

      2004 年 (1-6) 2005 年 (1-6)
      金額 金額 構成比 伸び率
    輸出総額(その他を含む) 43,306 53,677 100.0 23.9
    一次産品 13,663 14,816 27.6 8.4
    鉄鉱石 2,080 3,073 5.7 47.7
    大豆 3,032 2,419 4.5 △ 20.2
    鶏肉 1,175 1,445 2.7 23.0
    大豆かす 1,737 1,354 2.5 △ 22.0
    コーヒー豆 742 1,261 2.3 69.9
    半製品 5,951 7,816 14.6 31.3
    鉄鋼半製品 922 1,348 2.5 46.2
    粗糖 519 1,071 2.0 106.4
    パルプ 832 964 1.8 15.9
    工業製品 23,023 30,021 55.9 30.4
    乗用車 1,454 2,028 3.8 39.5
    送受信機 595 1,334 2.5 124.2
    航空機 1,552 1,180 2.2 △ 24.0
    自動車部品 877 1,167 2.2 33.1
    鉄鋼圧延品 890 1,120 2.1 25.8
    自動車用エンジン・同部品 854 1,117 2.1 30.8
     
      2004 年 (1-5) 2005 年 (1-5)
      金額 金額 構成比 伸び率
    輸入総額 22,774 27,831 100.0 22.2
    資本財 4,531 5,708 20.5 26.0
    工業用機械 1,220 1,604 5.8 31.6
    事務用機器 991 1,214 4.4 22.4
    原材料および中間財 12,201 14,565 52.3 19.4
    化学・薬品 3,632 4,272 15.3 17.6
    中間製品(部品) 2,064 2,526 9.1 22.4
    輸送機器アクセサリー 1,802 2,488 8.9 38.1
    鉱産品 1,859 2,369 8.5 27.4
    消費財 2,587 3,078 11.1 19.0
    非耐久消費財 1,376 1,695 6.1 23.2
    医薬品 541 637 2.3 17.8
    食料品 420 526 1.9 25.1
    耐久消費財 1,211 1,383 5.0 14.3
    装飾品 337 431 1.5 27.7
    乗用車 273 346 1.2 26.5
    燃料および潤滑油 3,456 4,479 16.1 29.6
    出所 : 開発商工省貿易局

     

     

     

     
     
      2004 年 (1-6) 2005 年 (1-6)
      金額 金額 構成比 伸び率
    輸入総額 28,303 34,007 100.0 20.2
    資本財 5,537 7,044 20.7 27.2
    原材料および中間財 15,191 17,976 52.9 18.3
    消費財 3,167 3,816 11.2 20.5
    非耐久消費財 1,672 2,113 6.2 26.4
    耐久消費財 1,495 1,703 5.0 13.9
    燃料および潤滑油 4,408 5,171 15.2 17.3

    出所 : 開発商工省貿易局

    ⑥表1 ブラジルの主要商品別輸出入 (単位: 100 万ドル,%)

      2004 年 (1-6) 2005 年 (1-6)
      金額 金額 構成比 伸び率
    輸出総額(その他を含む) 43,306 53,677 100.0 23.9
    一次産品 13,663 14,816 27.6 8.4
    鉄鉱石 2,080 3,073 5.7 47.7
    大豆 3,032 2,419 4.5 △ 20.2
    鶏肉 1,175 1,445 2.7 23.0
    大豆かす 1,737 1,354 2.5 △ 22.0
    コーヒー豆 742 1,261 2.3 69.9
    半製品 5,951 7,816 14.6 31.3
    鉄鋼半製品 922 1,348 2.5 46.2
    粗糖 519 1,071 2.0 106.4
    パルプ 832 964 1.8 15.9
    工業製品 23,023 30,021 55.9 30.4
    乗用車 1,454 2,028 3.8 39.5
    送受信機 595 1,334 2.5 124.2
    航空機 1,552 1,180 2.2 △ 24.0
    自動車部品 877 1,167 2.2 33.1
    鉄鋼圧延品 890 1,120 2.1 25.8
    自動車用エンジン・同部品 854 1,117 2.1 30.8
    2004 年 (1-5) 2005 年 (1-5)
    金額 金額 構成比 伸び率
    輸入総額 22,774 27,831 100.0 22.2
    資本財 4,531 5,708 20.5 26.0
    工業用機械 1,220 1,604 5.8 31.6
    事務用機器 991 1,214 4.4 22.4
    原材料および中間財 12,201 14,565 52.3 19.4
    化学・薬品 3,632 4,272 15.3 17.6
    中間製品(部品) 2,064 2,526 9.1 22.4
    輸送機器アクセサリー 1,802 2,488 8.9 38.1
    鉱産品 1,859 2,369 8.5 27.4
    消費財 2,587 3,078 11.1 19.0
    非耐久消費財 1,376 1,695 6.1 23.2
    医薬品 541 637 2.3 17.8
    食料品 420 526 1.9 25.1
    耐久消費財 1,211 1,383 5.0 14.3
    装飾品 337 431 1.5 27.7
    乗用車 273 346 1.2 26.5
    燃料および潤滑油 3,456 4,479 16.1 29.6

    出所 : 開発商工省貿易局

      2004 年 (1-6) 2005 年 (1-6)
      金額 金額 構成比 伸び率
    輸入総額 28,303 34,007 100.0 20.2
    資本財 5,537 7,044 20.7 27.2
    原材料および中間財 15,191 17,976 52.9 18.3
    消費財 3,167 3,816 11.2 20.5
    非耐久消費財 1,672 2,113 6.2 26.4
    耐久消費財 1,495 1,703 5.0 13.9
    燃料および潤滑油 4,408 5,171 15.2 17.3

    出所 : 開発商工省貿易局

    ⑧表3 ブラジルの対日主要品目別貿易 (単位: 100 万ドル , %)

    輸出 2004 年 (1-6) 2005 年 (1-6)
      金額 金額 構成比 伸び率
    鉄鉱石 225 350 21.4 56.0
    鶏肉 235 305 18.7 29.7
    アルミニウム 169 195 11.9 14.9
    コーヒー豆 60 132 8.1 119.6
    鉄合金 57 63 3.9 10.5
    パルプ 55 63 3.8 14.2
    大豆 41 61 3.7 47.6
    エチルアルコール 22 42 2.6 93.4
    ニッケルカソード 29 41 2.5 43.7
    オレンジ果汁 35 34 2.1 △ 1.7
    その他 292 346 21.2 18.8
    合計 1,220 1,633 100.0 33.9
     
    輸入 2004 年 (1-6) 2005 年 (1-6)
      金額 金額 構成比 伸び率
    自動車部品 134 181 11.1 35.0
    ベアリングおよび歯車・同部品 74 103 6.3 38.9
    自動車用エンジンおよび同部品 54 79 4.9 46.5
    集積回路 64 71 4.4 12.0
    乗用車 41 61 3.7 48.7
    コークス等 33 60 3.7 82.5
    測定および点検機器、装置 38 52 3.2 36.8
    ポンプ・コンプレッサー・換気扇・同部品 31 46 2.8 48.2
    オートバイ部品・アクセサリー 30 42 2.6 38.7
    送信・受信用機器・部品 33 36 2.2 7.9
    その他 751 897 55.1 19.4
    合計 1,284 1,629 100.0 26.9

    出所:開発商工省貿易局

     

     

  • 化学品部会

    2005年上期異業種部会長懇談会化学品部会要旨

    化学品部会 板垣

    1.2005年上期の回顧と下期の展望

    1)化学品部会全体の状況
    04年は部会会員会社の取引先の多くの業種(自動車、二輪、家電、機械、包装資材、農業など)で国内販売、輸出業績が好調が主な要因で、各社03年に比較し業績が伸びた会社が約70%であった。
    05年上期も自動車は過去最高の生産台数(120万2000台)を記録し、輸送機分野への販売は好調を維持したものの、旱魃の影響で農薬、農業機械、包装資 材、プラスチックなどの分野への販売が大きく落ち込み、また長引くドル安・レアル高、高金利政策のため安い中国製などが出回り、コンスーモ分野も苦戦を強 いられている。 それでも全体として昨年上期に比べ57%の会員会社が、また昨年下期に比べ25%の会員会社が売上進展したと
    回答されているが、先に述べた70%に比べ大きく後退している。 利益についても同様の回答結果であった。
    この結果に対する会員の年初予想との比較を聞いたところ、約6割の会社が「予想以下」「想像を絶した」と回答しており、今になり「昨年の好景気は異常だった。良すぎたのだ。」と認識した会員も多く見受けられた。
    05年下期の展望については金利低下の期待、大型テーマの結実、アルコール・合成樹脂の輸出増などで売上が進展すると期待されている会社が43%ありますが、高金利・ドル安継続、値下げ競争激化などで売上・利益とも期待できないとする見方が約6割であった。
    本年はじめの部会内調査で04年ルーラ政権の手腕に対する評価では「良かった」「概ね良かった」を合わせると8割強の会員が+評価をしておりましたが、今回は「早く政権交代を!」
    と言う厳しい意見も含め経済政策に対し疑問視する声もでてきた。

    2)以下各分野別の状況
    ①農薬・殺菌剤・殺虫剤・飼料添加物
    昨年は大豆さび病対策で殺菌剤など販売好調であったが、本年度は南部での旱魃のためその殺菌剤が在庫となっており、また政府の農家債務救済策の発表を受けて新規販売にクレジットの供与を見合わせたなどしたため上期の販売は大幅に減少し想 像を絶する結果であった。下期は米国で旱魃が発生しており大豆の生産に影響しているが、ブラジルの作付面積はレアル高のため増えないと予想。市中在庫も相 まって減収減益を予測。
    殺虫剤は上期は端境期のため販売はなく、飼料添加物はナフサ高騰による原料価格高騰、5月にpis/coffins免除特典撤廃により値上げを実施した。その結果、売上は前年上期比で2桁進展したものの下期比では大幅に減少し、利益も大幅に減少した。下期は競合他社が値下げする中、値上げを継続するため減収が予想される。
    ②プラスチック着色剤・工業用接着シール材
    農業分野の不振はプラスチック着色剤、工業用接着シール材業界の業績にも影響した。
    上期は自動車が好調であったため輸送機分野への販売は好調であったが、農業の不振は農業機械、プラスチック包装資材(1-5月は前年割れ)の分野に打撃を与え、この分野への販売が思わしくなかった。またただでさえ安い中国製品がドル安で さらに安く国内に出回り、客が中国製完成品に切り替え自社生産の減少或いは中止を行ったところも多く、販売減の一員となった。そのためプラスチック着色剤 分野で昨年上期比売上5%減、接着剤分野で微増の結果であった。
    下期は本来クリスマス商戦もあり経済が活発化するのが一般的だが、高金利、ドル安が続きその影響が顕著になると予想され、現在の政治スキャンダルも加わって経済に悪影響を及ぼすと思われる。家電や自動車業界の一部では下期の生産を下方修正する動きもあり、業績現状維持を見込む。
    ③油脂製品
    生松脂からロジン、テレピン油を製造。 顧客は塗料、接着剤、製紙業界。
    04年上期は塗料・接着剤用途樹脂(ホットメルト、ラッカー用樹脂)を新規に始めたため2桁の増収増益。ロジンは世界の生産量(1000万トン/年)のほとんどが中国のため、価格は中国の価格に影響される。ロジンの販売はサイズ剤(紙のニジミ防止剤)としての使用目的で、紙の需要に左右され、3月までは良かったが4月から販売が落ちている。
    下期はさらに原料の値上がりが心配され、価格転嫁が出来ないため販売、利益とも減少すると見込んでいる。
    ④化粧品
    04年のブラジルにおける化粧品(香水、整髪料など含む)の売上は4.5BUS$で03年比25%増であった。 本年上期は1月2月とショッピングセンターが閑散としており心配したが、3月以降活気が戻り、また大手競合メーカー(仏のヘレナルビンシュタイン社)が市場撤退し盛り返した結果、昨年上期比増収増益であったが、ブラジル全体の化粧品市場の動きと比べ予想以下の結果であった。下期も増収増益を予測している。
    ⑤筆記具
    4月より値上げを実施し上期は増収増益となった。 特に利益は日本からの仕入れが多いためレアル高により原価が下がり大幅進展を見た。
    しかし高金利が続き市場に活発さがなく、また安価な中国製品の台頭などで下期は売上進展は見込めず、現状維持にとどまると見ている。
    ⑥商社
    レアル高により輸入完成製品の流入が増え、国内塩ビフィルムの生産が減少。
    SAPなど世界的に品薄状態が続いており、販売量確保が出来ない。
    原油・ナフサ高騰で石化製品値上がりなどの影響で昨年比減収となったところが多い。
    下期はアルコール、合成樹脂輸出の増加が見込まれ、また新規ビジネスの立ち上げや市況の下げ止まりを期待し売上伸展を予測する見方が増えている。そのためにはルーラ政権にレアル高の是正と金利低下、税制緩和など以前からの懸案事項の是正を強く願う。

     

    2.化学品部会個別テーマ

    現在、会員会社の中で移転価格税制で苦悩されておられる会社がある。
    会員会社にアンケートしたところ、移転価格税制に関して「良く知っている」との回答は14社中5社の36%であり、農薬、飼料添加物、商社の業界の方であった。

    会員会社の中には税務当局から出頭を命じられたところもあり、移転価格税制の問題は深刻な問題となりつつあるも、会員の大方の会社が良く理解していないというところにも問題がある。 今後「移転価格税制検討委員会」に2名参加していただき、部会内にフィードバックしていただき理解を深めることとする。

    以上

     

  • 機械金属部会

    2005年度 機械金属部会報告書

    報告者 西岡

     

    1) 共通テーマ
    <ブラジル経済 2005年上期の回顧 と 下期の展望>

    =2005年上期の回顧=

    ① 製鉄・鋼材分野
    全体として、 対前年度比較でみると 好調を維持している自動車、通信向けの鋼材が
    堅調である。 一方 電気、機械、情報向けは 内需減の影響を受けて 伸びは鈍化傾向にある。
    ‐粗鋼生産  1~5月累計では 対前年比+0.5、5月時点では 年間 3227万トン
    ベース。
    ‐販売    本年5月初め 対前年比で初めてマイナスを記録。3月以降需要減により販売が低迷し 需要家、流通での在庫が急増している。
    6月以降も同様な傾向との見通し。
    内需分の減少を輸出に振り返る努力を実施中であるが、国際価格は米国国内需要低迷、中国の買い控えにより 昨年のピーク時比にて 約40%程度下落している。 ようやく 最近底が見えたという感じである。

    ② 電力・エネルギー分野
    今年前半 ブラジル経済ミッションの訪日時に、エタノール対日輸出に関して 関連の企業にて 将来を見据えた動きがあった。 共同コミニュケにて日本政府内にエタノール輸入に関する検討委員会が設立した。 具体的商談を期待したブラジル政府は 期待外れになった。
    しかし 原油高が持続しそうな状況下にては、世界的に ビオ・エタノールに対する評価・需要が高まっている。
    天然ガス供給面で、隣国ボリビァでの資源国有化運動により 国内での供給不足が顕在化して来た。天然ガスによる発電計画も遅れそう。 環境に優しい風力発電所プロジェクト計画が進行している。

    ③ 新規大型プラント分野
    別途 電力分野の変電設備案件及び Petrobras社のコジェネ発電設備等の商談がある。 更に政府主導の 東北部サンフランシスコ河の分流プロジェクトが計画されている。
    製鉄分野での新規案件では 東北部での大型製鉄所建設は 進展せず、リオ近郊のThyssen/CVRD社が予定するCSA(アトランチク製鉄所)が具体的に向けて前進している。

    ④ 重機械・製缶分野
    紙・パルプ 及び 製鉄分野より 各種大型ボイラーを受注している。 又 石油化学各社
    よりも 各種化工機の注文がある。 近隣国よりの発電案件受注もある。 国内の基幹産業分野での生産能力向上、更新のための投資が旺盛であった。
    ⑤ 農業機械分野
    ア グリ・ビジネス全般では 作付け面積・生産高はここ数年来の高水準を維持しているものの、穀物の国際相場の下落により生産農家の採算性が急速に悪化 し、昨年末より予想された如く、農業機械への新規投資意欲は現在 冷え切っている。 その結果 トラックター、コンバインハーベスタ‐など農業資本財 と呼ばれる機械の国内販売台数は 昨年同期(1~6月)の
    マイナス34%となった。

    ⑥ 一般産業向け工具・ネジ及び軸受け分野
    -精密、切削工具
    昨年度より持続していた好調が 5月から国内景気が下向き始めた。特に国内景気の牽引車であった南部地域の農業関係で3月以降目立って減っている。輸出、 国内共に堅調な自動車及び同部品、航空機によって維持してきたが、為替差損が大きくなるにしたがって、雲行きが怪しくなったようだ。
    ‐電動工具
    特に 北部、北東部での販売強化にて 小型グラインダーが伸びて 対前年度で25%以上のアップ。 更に 日本製の付加価値の高い製品の販売を強化している。
    ‐ネジ
    国内市場のネジ使用業界の内、 自動車・同部品、二輪・同部品 及び電子・電気業界は 昨年同期比で 堅調であったので、ネジ販売数量は微増、金額面で約20%アップ。 但し、農業機械生産台数は昨年同期比で 13%減少しているようだ。
    ‐軸受け
    昨年度はブラジル経済が久し振りに大幅な経済成長を達成し、その影響で軸受け市場も好調であった。 本年度上期は昨年の好調さを維持していた。  上期は大幅なレアル高にも拘わらずブラジルの輸出が拡大し、軸受けの需要で見れば、4輪車・2輪車が好調に推移し、鉄鋼・鉱山、パルプなどの工場 補関連部品も好調であった。しかしながら、 第二四半期以降 ブラジル生産品の受注が明らかに低下傾向にある。急激なレアル高、国内の鋼材価格の高騰にて  輸入品との競争にて 大変不利な状況に追い込まれている。

    =2005年下期の展望=

    政権与党PTの幹部の汚職問題にて 国会審議がストップしている異常な状態にて重要改革案件が具体化せずに、下期もこのような膠着状態が続くと予想される。
    幸いにも 経済は 今回の政治リスクの余波は少ないようであるが、 経済の舵取りが不在の状態で 通貨レアル高、Selic(公定金利)高、更に国政不安に依るカントリー・リスク高が継続することは 大変に 心配である。

    ① 製鉄・鋼材分野
    ブラジル鉄鋼連盟及び製鉄各社は現在の内需低迷は -過性の現象であり、在庫水準が適正レベルに回復すれば、第4半期以降は内需回復が見込まれるとの見方をしている。
    価格も 在庫品値下げの動きがあるものの 何とか輸出にて凌ぐ方針。
    これまで減産の経験がないものの、 内需減、為替高、原料高の三重苦の中で、減産も視野に入れた議論が出そう。

    ② 電力・エネルギー分野
    生産財等への投資意欲も 依然として強く、今後 製鉄、紙・パルプ分野にても 
    新規投資が期待出来る
    エネルギー特に電力分野は 上期同様に 不透明な状態が継続すると予想される。
    電力需要そのものは伸張しており、変圧器の需要は堅調である。

    ③ 新規大型プラント分野
    アマゾン河上流のリオ・マデイラの水力発電プロジェクトが案件として 具体化するのを期待。

    ④ 重機械・製缶分野
    引き続き増産投資意欲旺盛な分野は 紙・パルプ、石油化学及び 製鉄・非鉄部門である。 また 工場の自家発電設備にも案件が出るようだ。

    ⑤ 農業機械分野
    市 場の冷え込みは各機械メーカー共に 年初から折込済みで生産量はかなり絞り込んでいたが、流通在庫は増加傾向にある。更にレアル高による輸出量の減少もあ り、下期は相当厳しい状況になりそうだ。 ルーラ政権が公約の“飢餓ゼロ”政策に資金の裏づけも付き、北東部、アマゾナスで 各種の入札が始まった。  しかし 市場の冷え込みをカバーできるものでないようだ。 下期は上期の約10%ダウンと予想。

    ⑥ 一般産業向け、工具・ネジ及び軸受け分野
    ‐精密 切削工具
    国内の販売の落ち込みを輸出でカバーすべく 生産品種のシフトを進める。 従来程度の減少に止まるか、並みの横ばい程度で 推移すればよい。
    ‐電動工具
    下期に 更に 3モデルの新製品を生産・販売開始する予定。 為替の不安要因もあるが対外要因に影響されない財務体質を強化中である。
    ‐ネジ
    自動車の国内市場は上期同様に 好調さを維持できるとの見方で、但し 輸出はレアル高と言う逆風下で利益率は低下している。二輪車は微増、電子・電気機器生産は横ばいの見通し。したがい ネジ業界としては上期比較で 約5%の増と期待。
    ‐軸受け
    自動車関連産業が どこまで上期の好調さを維持できるか、輸出計画の下方修正となれば 軸受けの国内生産に影響し、更にレアル高が持続すれば 輸入品にも押されて、現地生産に関してはかなり大幅な減産を予想している。

    2) 個別テーマ
    <移転価格税制問題>

    本移転価格問題は 自動車部会が主体になり、会議所内にて委員会を立ち上げた。    
    各分野・業種での現状問題を整理して、両国間の政府担当局へ 提案書を提出する事になった。 当部会における現状の問題点の要旨は下記の通り:

    ① 重機械・重電製品更にプラント機器を構成する製品に於いては 輸入時の輸入税率が問題になる。但し 製品は一品毎の受注生産品であることから、輸入時での申請価格(Invoice Value)に関して 税制上の査問は少ない。

    ② 治工具及び軸受け関連の製品・部品に関して、 国外関連企業グループよりの輸入価格 更に 輸出価格に関して ブラジル国内での価格評価方法が 北米ルールに照らし合わせても明確化されていない。 
    製 品販売による利益を、 部品生産地 又は最終製品販売地のどちらに重点配分するかは各企業の経営方針に委ねられてきた事が多い。 しかし 製品生産方式の グローバル化が進展している昨今では 貿易当事国間にて 国際的統一規格でのルールの適用・採用を推進・明確化すべきと考える。

     

     

  • 繊維部会

    繊維部会報告

    繊維部会長 今井達男

    1.2005年上期の回顧

    1. 繊維小売市況
    夏物は冷夏の影響で販売も盛り上がらず、今年の冬物は昨年在庫が各段階で一掃されたので、大いに期待されたが、5~6月の天候は真夏を思わせる暑さで 冬物の消化率は20~30%(例年の消化率は最低でも50%以上)と低調に終わった。更に予想以上のレアル高、ドル安で中国からの製品輸入が増加による価 格ダウン、税務署のストライキによる年金支払遅延もあり、昨年とは一転して小売市場は沈滞。小売業界は資金繰りの悪化から支払手形の延滞・延期が続出し、 早めのバーゲンセール突入となった。
    2.分野別状況
    (1)紡績糸の生産販売状況
    ・綿糸:昨年より進行しているレアル 高により輸出競争力が著しく低下し、国内綿糸の在庫過多、月を追って下落する綿糸価格にユーザーの原料手当てマインドも消極的であった。日系紡績のブラジ ル国内市場シェアーは10%程度、輸出に活路を求めてきた北伯ブラジル大手企業の国内アパレルへの形振り構わぬ安値攻勢に、相場は引きずられている。
    採算面は原料コスト低下以上に価格が下がり、昨年比厳しい状況であった。
    ・羊毛紡績糸:原毛相場のドル建価格は安定した動きであったが、衣料分野でのウール離れが進み、織布・後加工業者も少なくなり、梳毛糸の需要は益々減少傾向。
    一方、衣料は不振なるも、カーテン・椅子張り等室内服飾用は好調に推移。 
    ・絹糸:販売量の80%を輸出に依存しており、レアル高と原料の繭不足による生産調整、更に主要輸出先の日本の絹撚糸輸入自由化の影響で、輸出数量が減少し、経営環境はここ数年来最悪となっている。
    (2)生地、縫製品の生産販売動向
    ・綿織物:数量は前年比+51%と大幅増加となったが、主要因は中国からの輸入が1~2月に激増した為。この影響で小売商の仕入れの出足は鈍化、冷夏・暖冬により販売数量は伸びず、上期は総じて販売状況は低迷。
    ・T/C織物:薄地やシャツ向けのT/C織物は、ポリエステル綿の価格高騰と綿花の価格低下により綿100%生地増、混紡生地の販売量は低下した。
    (3)綿花の生産量と価格動向
    世界の綿花相場:生産は中国・米国合計でシェアー44%、ブラジルが5%、国内消費
    は中国のシェアーが35%、ブラジルは4%であるが、在庫率も高く相場は低迷した。(史上最大の収穫であった米国の売り圧力と中国の大量解約が主要因)
    ブ ラジルの綿花相場:生産132万トン(昨年比+1万トン)、輸出37万トン(昨年比+4万トン)の見込み。綿糸在庫増による価格低下及び紡績の生産調整と 綿花生産農家の融資返済の為の換金売りで、原綿相場は5月に市場最安値を記録し、その後、主産地の天候不順による生産減予想で相場は上昇している。

    2.2005年下期の展望

    1. 繊維小売市況
    暖冬の影響で9月以降の春夏物の仕掛かりは遅れ気味ながら、これから予測される金利低下と最低賃金のアップ効果で、年末商戦に期待したい。一番の懸念 材料は現在のレアル高が、今後多少レアル安に動いたとしてもブラジルの市場自体が爆発的に拡大していない状況で、中国等アジアからの輸入衣料品が急激に増 えてゆき、一般商品の価格下落と一部のブラジル繊維製品の淘汰が進むことである。
    2. 分野別展望
    (1) 紡績
    綿糸:レアル高 にも拘わらず、ブラジルの貿易黒字は減少する兆しがなく、下半期の大幅なレアル安は予測できないが、ブラジル国内市場は綿糸の需要時期に当り、例え輸出の 還流玉が国内市場に出回っても、上期ほどの影響度はないものと思われる。今後もレアル高の傾向が続けば、ブラジル綿糸の国際競争力は大きく減退する。
    羊毛紡績糸:下半期の動向は、同様に上期の基調を引き継ぐものと思われる。
    絹糸:中国は暑さの為に工場の操業短縮しており相場は急騰、今後は多少の輸出価格アップを期待したい。
    (2) 縫製品その他 
    主力のジーンズ分野でのファスナーは、9月以降回復傾向を示すものと思われるが、前年程の強さは見られない。ジッパーでは、婦人子供服などナイロン使い商品が諸に中国からの輸入製品の影響を受けてくる。
    3.欧米の繊維製品輸入枠撤廃の影響
    1月から繊維製品の輸入枠が撤廃されて、中国からの輸入は、衣料品148%、糸や生地が170%、靴類180%の伸びとなり、国内産業に深刻な打撃を与え ている。実態は40%が密輸やアンダーインボイス(実際の金額より低く書類を作成し税金の軽減を図る)により輸入されて被害額は更に拡大し、繊維業界は政 府に対しセーフガード関税を課徴することを要求。法令はできたが未だ施行されていない。

    以上

     

  • 食品部会

    食品部会リポート
     「2005年上期の回顧と下期展望」

     食品部会長
    疋田和三(三井アリメントス)

    1. 2005年上期の回顧

    • 国内市場での製品販売状況は、多くの商品分野において比較的順調に推移した。一方、為替のレアル高は、コーヒーのように国際相場が上昇したことで、その影 響を緩和された商品もあるが、食品添加物・香料等の分野では、レアル高の影響をもろに受け、売り上げ減少、利益縮小と極めて困難な状況に陥った。
    • 即席麺の総市場は、昨年度(上期前年比102%増)に比べ今年は105%増と堅調に推移。ドル安・レアル高による原料コスト(小麦他)の低減は、そのまま 店頭価格の低下となり、新規参入企業も加わり、価格競争は一層激化した。昨年と異なる点は、店頭価格競争が需要の拡大に繋がったと思われる点で、日清・味 の素社ではシェアアップ、販売数量増加を達成した。
    • 調味料市場は、上期数量ベース112% 増、金額ベース124%と大幅な伸張を見せた。味の素インテルアメリカーナ社では主力製品に加え、新製品(インスタントスープ VONO)を発売、上期の 売上は前年比121%と好調であった。一方、MSG、飼料用アミノ酸などの素材事業は、市況悪化、価格下落、レアル高と悪材料重なり、厳しい状況。
    • 発酵乳ヤクルト、ヨーグルト、デザート等の市場は競合他社の相次
      ぐ 新製品発売により、おされ気味なるも回復基調にある。価格は、各社コストアップ分を転嫁する方向にはあるが、中々進展していないのが実情。発酵乳ヤクルト は数量で前年同期比7%増、リンゴジュース、豆乳も15%程度の伸びを確保した。売り上げでは、約8%の増加を達成した。
    • 酒、醤油の販売: 4月に起きた輸入サーモン寄生虫問題により、日本レストランから客足が遠のいた結果、4,5月は売り上げが80%~50%減となるレス トランもあり、東山農産加工社の主力である酒、醤油等の販売も落ち込んだ。6月になり、客足はもどりつつあるものの、まだ完全に回復とはなっていない。予 想以上のドル安・レアル高は、原材料コストの低減となり原価面ではプラスに影響している。ただし、輸入品の新規参入企業も加わり、価格競争は一層厳しく なっている。
    • コーヒーは、2004年から続く国際相場の上昇により前年比20-     25%の高値水準となった。国内の製品販売では値上げ交渉に忙殺される状況となり、販売数量的には、前年比若干のマイナスだが、金額では、単価上昇により 25%程度増加した。一方、コーヒー輸出は、例年船積みの少ない1-3月に、日本、欧米諸国からの活発な買い付けがあり、例年にないハイペースでの輸出状 況となった。三井アリメントス社は、上期輸出数量で前年同期比70%増、金額 120%増と大幅伸張、ブラジルのコーヒー輸出業者として第4位の規模となった。
    • インスタン トコーヒーは、レアル高と原料コーヒー豆の値上がりにより輸出競争力を失った。イグアス社では数量的には製造キャパ一杯の輸出となっているが、収益的には 前年比マイナス水準となっている。国内は、原料高の販売価格への転嫁に努力するも100%の転化は出来ず。上期は自社ブランドの拡販を図るべく宣伝に力を いれ、ネスレに次ぐNo.2ブランドの地位を守った。又、欧州市場対応としてスペインに工場建設を開始。2006年6月完成予定だが、本件コーヒー産業に おける外資のブラジルからの逃避として思わぬ波紋を呼ぶことになった。

    2. 下期の展望下期は、現在進行中の政治的混乱が、経済にどう影響してくるのかにより、経済環境の変化は大きく変わる可能性もあり予断を許さないが、国内消費市場は、ほぼ順調に推移すると見るが、上期よりは若干悪化することも予想される。

    ネスレが乳製品、穀物食品の生産工場建設に1億レアルを、ペルナンブコ州に建設する話や、カレフール、ウォールマート、ポンジアスカールなどの大手小売チェーンが、東北部に積極的に店舗展開をするなど、東北部への関心が高まっている。

    以上

  • 電気電子部会

    2005年度上期回顧

    SUFURAMA(ア マゾン経済特区監督庁)発表の1-5月生産統計によると、家電商品の生産は引き続き高い伸びを示している。 主要カテゴリーでは携帯電話端末機が84%増 の1530万台、カラーテレビ17%増(380万台)、DVDプレーヤー69%増(180万台)、電子レンジ53%増(58万台)、カーステレオ42%増 (90万台)などほぼ全商品に渡って高い成長が記録され昨年以来の好調さを維持した事が伺われる。 一方据え置き型音響機器だけが唯一のマイナス成長となった(-11%)。
    会員の中では家電セットメーカー各社が20-60%の高い成長実績を達成 した。 電子部品各社はレアル高から納品先の仕入れが直接調達に切り替わった分もあったものと思われ、部品消費そのものは好調であったものの、ブラジル法 人としての業績は見かけ上大幅減少となった例も見られた。 通信部門では昨年末から見られた移動体通信各社の投資が活発化した事を受け大幅増収(昨年比倍 増)の例も見られた。 事務機器メーカーでも13%増と二桁増収の例があった。 一方、通信・事務機器の中でも政府系へのビジネスは入札方法がオークショ ン形式主流となり事実上値段だけが勝負の世界となっている。 技術的用件や付帯サービスを訴えかける機会が無いだけに日系企業には厳しい市場となってい る。

    2005年度下期展望

    後半にかけては家電セットメーカーでは、レアル高からくる値下げ圧力が高まる事が予想され、前半のような高成長は期待できないと見る。 概ね昨年比10%から20%の増収を予想。
    通信部門では移動体通信各社向け事業が順調に伸びるとの予測から40%増を計画する例があった。 部品各社では15%増収の例と、20%減収の例があり先行きへの予想が分かれた。 事務機器部門では過当競争の中、新製品投入で25%の増収を見込む例も見られた。
    また各社とも最近のCPIで明らかになったPT議員への買収スキャンダルに注目しており、これが経済に与える今後の影響を懸念する声が多かった。
    最近のレアル高は輸入部品や完成品輸入品が多くを占める会員企業にとって収益性の向上に繋がったと思われるが、一方でこのように長期に渡って為替がレアル高で安定した事もめずらしく、今後への懸念は常に各社とも抱いている。

    以上。

     

  • 建設不動産部会

    【建設不動産部会】

    では、これから建設不動産部会の発表をさせていただきます。まず2005 年上期の回顧ですが、建設部門は昨年下期からの好調さが持続されており、各社とも計画値をクリアーしている状況です。ただ、受注競争が激化しているため利 益確保に苦労している物件が増えております。鋼材価格が安定したため受注時利益の確保の見通しが立てやすくなりましたが、石油価格高騰の影響でゴム製品や プラスチック製品の値上がりの影響がだんだん現れ始めています。アルミ建材の価格は、昨年地金の国際相場が高騰し今年に入ってもその傾向にありますが、レ アル高の影響もあり昨年と同水準を保っています。

    不動産部門、特に住宅関連 部門は高金利が続いていることと、融資期間が短いことが影響しているため融資が受けづらく、業績が思ったほど伸びていません。以前は住宅の計画段階での販 売が可能でしたが、最近は完成後に購入を希望する人が多く、プロジェクトの早期段階での契約率が低下しているため、工事金の立替金利が業績を圧迫していま す。

    建設指標で申しますと、ブラジル全体の建設業の第1四半期における対前年同期比の受注伸 び率は 0.6%と微増となっています。また、建設業の動向を現すセメント販売量は、2005年度の1月から4月までの合計で昨年同期比の2.4%増、建設雇用労 働者数は同様に1.7%増となっており、若干の増加傾向にあります。しかしながら、建設雇用労働者数はここにきて減少傾向にあり、今後の受注動向が気に掛 かります。

    次に下期の展望ですが、建設部門では前期と同程度かやや悪化を見込んでいます。し かしながら、最近の工業生産指数の低下傾向や継続されている高金利政策、レアル高、また大きくなるばかりの政治スキャンダル等、経済を取り巻く状況が悪く なりこそすれ良くなる環境があまり見られませんので、期待とは裏腹に現実はかなり厳しいものになると感じています。特に、レアル高が続くと海外からの投資 環境を悪化することにもなり、建設投資の縮小あるいは延期という結果を招けば、業績の下方修正を考えざるを得ません。また、最近は1件の入札に参加する建 設業者の数が増加する傾向にあり、見積の引き合い数の割には受注に結びつく物件が少なくなってきています。

    不動産部門では、サンパウロ市内の新築アパートの販売戸数が過剰気味であり、高金利の影響もあって今後も厳しい競争が続くと思われます。全体的には横ばいの状態が続くのではないかと思われます。

    と ころで、先日新聞にも掲載されましたのでご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、サンパウロ市の建物容積率の算定基準が今年から変わり、以前は含めな かった駐車場の面積を含めることにしたため、新規に計画される建築物はそのかなりの部分が駐車場となってしまう摩訶不思議な状況になってしまっています。 そのため今年に入って市内の新規建設許可は軒並みストップ状態になっていて大混乱をきたしています。現在サンパウロ市の担当者が対応を検討中で、うわさで は9月頃までには以前の基準に戻るのではないか、と期待されています。(オ エスタード デ サンパウロ紙説明)

    次に個別テーマに関してですが、当建設不動産部会では今年になって丸紅不動産さん、協栄不動産さんと相次いで退会され、新規に加入される企業がないため規 模の縮小傾向が続いています。現在正会員11社、副会員11社の計22社が登録されていますが、実際に活動に参加されている企業は建設会社3社、不動産会 社1社、建材メーカー1社の5社のみとなっております。今後部会を少しでも活性化させるべく、少ない人数でも知恵を出し合って活動を継続させていこうとい うことで、個別テーマを『セミナーを開催するなどして部会への関心を高めてもらおう』と決めました。 10月か11月を目標に今年度中にセミナーまたは見学会を開催することでこれから具体的な作業に入る予定にしています。

    例えば、セミナーであれば
    ①事務所や工場に設置したい防犯機器や安全対策ツール(ハード面)の紹介
    ②アパートを選ぶ場合の選択基準の紹介、および室内改修の注意点やその実例の紹介
    ③高級アパート建設の実情の紹介
    などを考えています。また、見学会であれば、こちらは相互啓発委員会と合同での開催も視野に入れて、
    ①CBA(ボトランチングループのアルミ建材メーカー)工場でアルミの巨大押し出し工程を見学
    ②普段入ることのできない塀の中の建設現場を見学
    などを考えておりますので楽しみにしていただければと存じます。

    以上で発表を終わりにさせていただきます

     

     

  • 運輸サービス部会

    業種別部会長懇談会発表要旨
    (於)ホテル ソフィテル (03/AUG/05)       (運輸サービス部会長:平野)

    テーマ:「2005年上期の回顧と下期の展望」

    ◎ 航空業界
    ・ 国内マーケットについては、TAM社がシェアーを50%近くに伸ばし、GOL社が28%、RG社が22%の状況で,メルコスール域内でもTAM、GOLの 進出で座席供給過多の状況となり経営面では厳しい状況となっている。特にヴァリグ社は、新会社更生法の基に再建案を出し建て直しを図っているが、政府の政 治問題などの発覚により厳しい状況が憂慮される。
    ・国際マーケットについては、レアル高により近隣諸国、中米、ヨーロッパとマーケットは拡大して いるが米国はVISA問題により低迷している。日本への動向は、米国VISA問題でカナダ及びヨーロッパ経由へ移行される傾向が更に進み全体の60%と推 測されるが、やはり直行便の便利さは日本人にとって利用価値が高い。
    ・ 下期の展望としては、最大の懸念材料は航空燃料の高騰であり、原油市場の今後の推移が航空運賃にどのように反映されるか課題となる。レアル通貨の強さが継続されれば、国内外共に好調な動きが持続できると期待する。
    ・ 上期に報告した入国審査に対する改善要請書を関係当局へ提出し、一様確認は取れているが残念ながらその後の進展はない。継続した要請が必要である。

    ◎ 海運業界
    ・ 上期の状況としては、アジア向けコンテナで前同期約5%増、欧州・北米向けは昨年の大幅な伸張は無かったが安定したに動きであった。農産物全体としては好 調な荷動きであり、加えて冷凍チキンが前同期の15%増となりリーファー貨物の引続き強い成長が顕著である。輸入貨物も堅調な経済を反映して自動車部品、 機械を中心に堅実な伸びであった。
    ・ 下期の展望としては、季節的な荷動き(コットン、タバコ)並びに砂糖、レジンなどに輸出ドライブの兆しがあり、上期以上に荷動きの伸びが予測される。
    ・ 昨年度は供給スペース不足となったが、アジア極東航路の改編や増便が見込まれるので安定したスペース供給は期待できるが、相変わらずの港湾インフラは深刻であり港湾オペレーションの対応が非常に危惧される。
    ・ 運賃については、スペース供給・原油の動向により大きく左右されるので予測不可。

    ◎ フォワーダー業界
    ・ アジア発の輸入貨物が好調であり消費大国の米国向け貨物の増大により、特にブラジル北部地域への海貨スペース手当てが困難となっている。
    ・ 米国経由の事前申請に伴い、経由貨物の確認などでスムーズな取扱が出来ず海空貨物共にスペース確保が出来ず分割搭載されるケースもあり、ブラジル税関で通関に支障を来たし、リードタイムに影響がでている。
    ・ 下期展望については、トータル物流費において、相変わらずの燃料高騰・テロによるセキュリティー強化・前途の米国経由事前申告制度の適用などにより、航空運賃及びその他費用のアップ並びにブラジル通関の遅延によりコストアップが懸念。
    ・ 貨物梱包材の木材検疫の規制が世界的に強化されてきており、各国における輸入貨物梱包規制の適用が拡大してブラジルからの輸出貨物梱包にも義務付けられることが必至であり、更なる物流費のコストアップが懸念される。
    ・ 鉄鋼内物流は世界的な結構需要に支えられ好調さを持続。下期においても大型設備投資案件が一部動き出す見込みであり、工事案件が期待される。
    ・ 引越取扱状況で赴任者と帰国(転出)者と比較して今年は赴任者が増加傾向にある。

    ◎ 旅行業界
    ・ 上期に於ける海外旅行状況は、運賃値上げが行われたがドル安により欧州への渡航者が順調に伸びており、西ヨーロッパから東ヨーロッパへと新しい渡航先が目 立ち始めた。国内旅行もブラジル各航空会社の競争激化により、運賃値下げが続き需要が順調に伸びた。特に東北地域のビーチリゾートが人気であり、カーニバ ル時期は盛況であった。
    ・下期の展望としては、テロによる治安の不安があるが昨年度と比較して徐々に上向き傾向にあるが、テロ活動が各国に拡がる ことが不透明で厳しい環境になる可能性もある。反面、国内旅行はBRA航空、ウエブジェット航空の新規参入で競争が益々激化する中で運賃値下げに伴う需要 が拡大すると予想される。

    ◎ ホテル業界
    ・ホテル業界のデータが出てないが、ブルーツリーホテルズの状況では、上半期の稼働率は 全体で55%、平均レートはR$191,00。リゾートホテル系では稼働率36%、平均レートはR$413,00。前同期比較で稼働率が4%増加、平均 レートは9.4%のアップであった。
    ・ 下期の展望としては、全体の稼働率を対前年6%アップの予測。リゾートホテルはイベントや海外からの観光客増を見込んで5%以上のアップと期待している。

    ◎ 情報通信業界
    ・ 上期状況としては、携帯電話の契約件数が7,080万に増加。プリペイド方式固定電話の導入が進行中。個人向けブロードバンドがダイアルアップユーザーと同程度まで増加。企業の情報セキュリティー投資が堅調。
    ・ 下期の展望として、IP電話の法人向け導入が本格化。IT業務のアウトソーシングが更に一般化する。情報セキュリティーではシステム的及び人的対策両面から総合的なセキュリティー対策へのニーズが高まってくる。

     

    -以上-

     

     

  • 自動車部会

    1.共通テーマ「2005年上期の回顧と下期の展望」

    ■ 自動車

    2005年上期の、自動車の生産/販売実績は以下のような結果となった。

     

    2005 年上期

    2004 上期

    前年同期比

    2004 年通期

    生産台数

    1,202,084 台

    1,038,830 台

    +15.7%

    1,827,038 台

    国内販売台数 ①

    761,338 台

    695,592 台

    +9.5%

    1,354,807 台

    輸出台数

    394,857 台

    278,724 台

    +41.7%

    534,745 台

    輸入車台数 ②

    38,790 台

    27,491 台

    +41.1%

    73,803 台

    国内販売合計 ①+②

    800,128 台

    723,083 台

    +10.7%

    1,428,610 台

     

    2004年上期の自動車生産台数は120万台を越え、昨年の約104万台を上回る過去最高の実績となった。
    これは、今半期で初めて80万台に達する規模まで拡大したブラジル国内市場と共に、アルゼンチンの景気回復継続等に
    支えられ昨年同期比41.7%増と40万台に迫る結果となった輸出台数の伸びによるところが大きい。
    ブラジル国内では、フレックス車の販売が急速に拡大しており、05年6月には新車販売に占めるフレックス車の割合が
    51.9%まで上昇した。従来は中排気量車主体であったフレックス対応車が1.0Lクラスモデルまで含めて投入されるに至り、
    年末には70%を超えるという見通しもある。
    輸入車は、ドル安傾向の中で、上期に引き続き下期も大幅増となる見込みである。
    ANFAVEAの2005年通期予測によれば、、生産台数は230万台(前年比+5.4%)、国内販売は164万台(同+3.9%)、輸出
    は89億ドル(同+7%)が見込まれているが、レアル高の環境下、一部完成車メーカーの間ではメキシコ向け減産が発表
    されるなど下期の生産台数の下方修正が検討され始めている。

     

    ■ 二輪車

    2005年上期の、二輪車の生産/販売実績は以下のような結果となった。

     

    2005 年上期

    2004 上期

    前年同期比

    2004 年通期

    生産台数

    609,989 台

    510,452 台

    +19,5%

    1,057,333 台

    国内販売台数

    520,603 台

    450,962 台

    +15,5%

    911,171 台

    輸出台数

    88,305 台

    62,026 台

    +42.4%

    157,400 台

    インフレ抑制策としての高金利政策による消費動向の懸念が強まる中、各社の拡販努力や新車投入効果もあり、国内二輪
    マーケットは前年同期比19,5%増と過去最高記録を更新した。
    一方で輸出面では、厳しい為替環境の中にあって上半期に前年同月比42.4%の伸びを確保することができたものの、輸出
    採算は大きく悪化した状況が続いている。
    昨年に大きな影響を受けた一連の税制改訂は年末までに決着し、その後は操業に影響する大きな問題は出ていない。
    下期は、直近の政治問題の深刻化、レアル高による輸出鈍化など、国内経済を取り巻く環境は不透明な側面が強まっており、
    一部に消費を手控える動きが出始めているが、10月以降の夏場(販売ピーク)に向けては、19,75%の政策金利がインフレ抑制
    に奏功し国内消費動向が活性化されるかが一つのポイントと見ている。

    ■ 部品

    レアル高の中で依然として好調な完成車輸出と、金利高にもかかわらず順調な国内販売により、部品業界は上期においては
    概ね好調を持続した。
    部品業界の売上は、前年比12.7%の上昇が予想されるが、ブラジル国内での金利上昇は国内の売上に徐々に影響を及ぼし、
    また、レアル高は輸出の売上額を減少させる中で、景気の停滞感が出始めており、下期の経済状況が心配される。

     

    2.部会別個別テーマ

    ■ 移転価格税制

    移転価格税制は、その問題の構造が複雑であることから、各企業が各々の問題認識に沿って個別に対応しているか、移転
    価格に対して全く無防備な企業もあるのが現状である。
    実際に二重課税を課せられている(あるいはその認識に至っていない)ケースを含め、多くの企業にとってブラジルでの事業
    展開に重大な影響を及ぼす事項であることから、自動車部会企業にとっても総じて関心が高い事項として本年度の部会主要
    テーマの一つとして取り上げることとし、会議所内で同問題に先行して取り組んできた機械金属部会と合同で横断的な議論を
    行なうなどの活動を行ってきた。
    その結果、7月に会議所内に「移転価格税制検討委員会」が設立され、移転価格税制に関して発生する問題に対して、柔軟に
    対応・解決できる体制(例えばOECDガイドラインに準拠する等)の整備をブラジル政府に対して求め、同時に、二重課税防止
    条約に基づき、日系進出企業の不利益及びリスクの解消を、日本政府を含む関係諸機関に対しても働きかけてゆくことを意図
    して、活動が展開されることとなった。

     

    ■ 業界内のその他の問題・課題

    ▽FTA
    FTAの進展の遅れがブラジルを世界マーケットから遠ざける懸念とFTA締結をスピードアップする必要性。
    当地で調達可能な品目には制限があり、その供給先が特定の地域に限られ、その供給先の国がブラジルとFTAを締結して
    いない場合、競合メーカーとは価格競争において不利な立場に立たされる事が予想される。

    ▽中国製品
    中国製品による市場での価格破壊が、アフターマーケットにおいて危惧される。OEMビジネスにおいて中国製品などの
    Copy品が品質面で上回ることはないが、将来的にはOEM価格への影響を及ぼす懸念。

    ▽税制の定義
    税制の内容が複雑で、制度の見直しのたびに時間を要しての内容吟味が必要。世界基準に沿った税制の簡素化を期待。

    ▽労働法および労働組合
    過保護な労働法、過激な組合が生産活動を脅かし、その結果海外との競争力低下に繋がる恐れがある。公正な労働法への
    移行を望む。

    ▽ビザ取得
    労働ビザの取得プロセスが長期かつ煩雑、ビザ取得手続きの一貫性がないため、技術支援等に支障が生じることがある。
    引き続き改善を望む。

     

 

2005年上期業種別部会長懇談会

ブラジル日本商工会議所総務委員会(浅賀健 一委員長)及び企画戦略委員会(多田稔委員長)共催の「 200 5年上期の業種別部会長懇談会」は、2月23日午後2時~6時 30 分、クラウン・プラザホテルで開催された。多田委員長司会の下、 11 業種別部会長、副部会長や代表部会員により、共通テーマ「 2004 年度の回顧と2005年の展望」についての発表。

個別テーマとして「ルー ラ政権の政策・方針による影響、克服すべき課題、ルーラ大統領の訪日に向けて商工会議所として実現したい事項・アピールしたい事項、 FTA 問題、部会内の個別業種に絞った課題等々に関する具体的・実体的な見解」では、グアル-リョス空港の入国審査問題、港湾などのインフラ整備、金利政策、レ アル高、税制改革、 PPP( 官民合同計画 ) 、ブラジル・コストなどが共通の話題となった。

2004 年度の回顧では、5%を超える経済成長を達成したブラジルの好景気に支えられ、多くの部会では好調であったと発表された。また 2005 年度の展望では、昨年をやや下回るが好調持続を予想している部会も多かった。

各部会の発表後には、発表者を困らせる質問も浴びせられ、活発な質疑応答が交わされた。

 

当日の出席者、各部会代表の発表者は次の通り。

・会頭 田中 信(リベルコン・ビジネス)

・司会 多田 稔企画戦略委員長(伯国三菱商事)

・浅賀健一総務委員長(日本スチール)

各部会発表者

・赤嶺尚由コンサルタント副部会長(ソール・ナッセンテ)

・山下日彬コンサルタント副部会長(ヤコン・インターナショナル)

・大島健一部金融部会員(東京三菱銀行)

・金子実金融部会員(三井住友保険)

・中村純一貿易部会長(丸紅ブラジル)

・板垣義実化学品部会長(スリーボンド)

・佐原忠士機械金属部会長(川崎重工業)

・二宮 徹繊維部会長(東洋紡・ド・ブラジル)

・疋田和三食品部会長(三井アリメントス)

・板谷稔電気電子部会長(ソニー)

・阿部 勇建設不動産部会長(ブラジル戸田建設)

・平野侯一運輸サービス部会長(日本通運)

・内山徹雄自動車副部会長(ヤマハ・モートル)

オブザーバー

・石田総領事

 

 

  • 司会の言葉


    司会の多田稔企画戦略委員長(三菱商事)

     

    時間になりましたので開始させていただきたいと思います。恒例によりまして業種別部会長懇談会ということでございますが、今日はですね、通常であれば、総 務委員長の浅賀さんが司会されるんですが、今日はちょっと、声が出なくなっちゃったということで、浅賀さんは私の高校の先輩でもありまして、先輩の言うこ とには従えない、いや逆らえないということで私が務めさせていただきます。

    非常に残念な ことではございますけど、今年に入りまして2月11日に自動車部会のデンソーさんの澤田浩さんが2月11日、それからコンサルタント部会で顧問をされてい ました西川悦治さんが2月21日にお亡くなりになり、本日の懇談会を開始する前に、皆さんで一分間ほど黙祷を捧げたいと思います。( 1 分間の黙祷)

    本日は、石田総領事始め、サンパウロ総領事館の皆様にもご出席いただいております。本日の進 め方をちょっとご説明させてください。皆さんすでに壇上にお並びですが、前半と後半に分けましてコーヒーブレイクを大体3時半ぐらいを目処に考えておりま すが、それまで前半、この5つの部会の皆様に、壇上から発表いただきまして、コーヒーブレイクの間に交代いただいて残りの6部会、その後に発表をお願いし たいと思っております。

    基本的にはですね、各部会一応、10分ほどお話いただいて、5分 ほど質疑応答するということで、15分ぐらいでと考えておりますが、コンサル部会は政治と経済の二つに分かれてご発表いただくということで時間を少し多め に、予定しております。金融部会も必要ですか?いいですか?必要であれば、ええ少し多めにやっていきたいと思います。金融部会のほうは、部会長さんいらっ しゃらないということで、ぜひお手柔らかにということなんで、質問のほうもお手柔らかにお願いいたします。

    それと、実は商工会議所のホームページにですねこの業種別懇談会の議事録といいますか、もう会議録をそのまま載せております。これはテープにとってその テープをそのまま文字に起こすというやり方でやりますので、オフレコの所は、「オフレコ」と言っていただければテープに起こすときに、その部分を削除しま すので、そういう風に言ってください。あるいは自分の発言に自信がないと言う方は、あとでぜひとも事務局にですね、ぜひチェックしたいという方がいらっ しゃれば受けます。通常は時間がかかるのでもう、あえてチェックするのは求めていないということでございます。ではそういうことでさっそく始めさせていた だきたいと思います。

    それでは初めに、田中会頭から今回の業種別部会長懇談会の開会の挨拶をお願いします。

     

     

  • 挨拶 田中信会頭


    田中信ブラジル日本商工会議所会頭

     

    本日は当会議所のメインイベントであります、業種別部会長懇談会に多数、ご多忙中にもかかわらずご出席いただき誠にありがとうございました。特に石田総領 事以下、総領事館の皆様にはお忙しい中ご出席いただき、厚く御礼申し上げます。また今日は特別参加として前ブラジル三井物産社長かつ、当商工会議所の副会 頭として活躍されて、現在空調業界の世界トップ企業、ダイキンの顧問としてブラジル作戦の指揮を取っておられる岡田茂男さんが大阪からお見えになっていま す。

    この懇談会は一年に二回、年初と年央にブラジル経済の回顧と展望を実施することに なっており、今回は2004年を回顧し、2005年を展望するものであります。新しい方も何人かおられますので、簡単に懇談会の歴史をご紹介させていただ きます。現在の皆様には想像が難しいと思いますけれども、1970年代初め、「ブラジル経済の奇跡」といわれた時代に欧米企業に後して、日本の企業もブラ ジルに怒涛のように進出をしました。当会議所もそれに応じて組織改革を行い、現在の業種別部会を作り、当初は10部会が作られたわけですが、会員会社は必 ずいずれかの部会に所属することになったわけです。それで一昨年、機会金属部会から自動車部会が独立しまして、現在は11部会ということになっておりま す。

    私事に渡りまして、誠に恐縮ですがそのときこの席におられる山田幹事会議長と私がコ ンサルタント部会の創設に参画いたしまして、私が初代部会長に就任しました。部会長懇談会はそれからまもなく、開始されましたので約30年の歴史を有する 行事ですけれども、当初はコンサルタント部会の行事として、コンサルタント部会長が司会役を務めました。その後、会議所の組織に総務委員会が新設され、総 務委員長が司会をする会議所全体の行事となりその後、企画戦略委員会と共催ということで今日に及んでいます。

    近年「開かれた会議所」との方針にのっとり、一般ブラジル社会にも開放し、会員以外の方でも自由に参加していただけることになっております。日本語からポルトガル語への同時通訳も用意しております。

    昨年は日本も含め世界的に天災、人災の多い年でしたが経済は米国、日本など先進諸国の景気回復中国などいわゆるブリックス諸国の高成長に支えられて、順調 な回復過程を辿った年でありました。ブラジルはルーラ政権2年目でしたが、初年度の一昨年に実行した基礎固めの上にたって、回復軌道に乗り、昨年の経済成 長率は5%を越えた見込みであります。初年度に引き続き、構造改革も積極的に推進され、破産法や司法改革がともに十数年ぶりで国会を通過しました。さらに 経済の持続的成長の必須条件と位置付けられたインフラ整備のためのPPP、官民パートナーシップも年末にギリギリで国会を通過しました。

    ブラジル経済は、世界的な減速の影響もあり本年は成長率の弱冠の低下は免れないと思いますが、堅実な成長は継続するものと見込まれております。ブラジルは 大幅に、最近大幅に改善されたとはいえいまだ、外的要因を相当受ける体質が続いております。その意味で、大きな警戒要因は米国経済における財政及び双子の 赤字に対するブッシュ二次政権の対応であります。

    もう一つの懸念材料は国内政治の動向 であります。これもコンサルタント部会の方から詳しいご報告があると思いますが、ルーラ大統領の母体であるPT、労働者党は左翼の万年野党で時々、政府の 政策に常に反対しておればよかったのですが、今日は与党としての責任を担うことになり、非ポピュリズム的政策も実行せざるを得ない立場となりました。党内 には特に左翼過激派を中心に執行部に対する不満があります。さらに先週行われた下院議長選挙においてPTが最大の議員数にも関わらず、国会工作の失敗から 従来の慣例に反して政府候補者が野党の候補者に敗北するという非常事態になりました。議長任期は2年間でこの間にルーラ政権の最大の政治課題である来年の 大統領選挙がありますが、ルーラ再選にとり難しい問題を抱え込むことになりました。これが経済、特に金融市場に大きな影響を与えることにならないよう、期 待したいと思います。

    さて当会議所は「開かれた会議所」「チャレンジする会議所」「全員 参加の会議所」の基本方針の元、定款及び組織の大改革を実行に移してから2年経過しました。皆さんのご協力のお陰で1980年代より、20年以上も続いた 会員減少傾向もようやく底をつき、差し引き増減ベースで見ますと、一昨年は5社、昨年は11社と増加に転じました。ただ、内訳を見ますと日本の進出企業8 社減、現地企業13社増。昨年は日本進出企業1社減、現地企業12社増と日本からの進出企業は未だに減少傾向が続いています。

    このため本年は一月の昼食会でも発表されましたが、重点施策の第一に会員数の増加を推進することにいたしました。特に日本進出企業の会議所未加入を皆無に するということを目標にしております。マーケティング広報委員会で見込み先をリストアップしたところ、日本進出企業だけで会議所未加入会社は150社から 170社に達しております。これを業種別に分類して、該当する部会に割り当てられる予定になっておりますので、各部会におかれては積極的な新規会員獲得活 動を展開していただくよう、お願いいたします。

    本年の重点施策の第二は、日伯経済関係の 強化であります。昨年9月の小泉総理来伯、本年5月予定のルーラ大統領訪日という、両首脳交流を生かして両国経済関係の一層の強化を図るため、日伯両国政 府、 FIESP 、CNIなどブラジル経済団体との連携を密にしていきたいと考えております。さし当たってはすでにご案内しておりますように、堀村大使のご尽力による日伯 議員連盟主催の投資環境改善、両国の投資及び貿易促進に関するシンポジウムが3月3日、ブラジリアで開催されますので積極的な参加をお願いいたします。

    また、ブラジルにおける外資企業として共通の投資やビジネス上の諸問題解決のため、米国を始めとする主要国商工会議所により構成される、GIE(外国投資家グループ)を活用してブラジル政府に対する提言、要望機能の強化を図っていきたいと考えております。

    第三は日系移民100周年への対応であります。当会議所の基本姿勢は100周年記念事業として、日系社会の総意を得た行事に対しては応分の協力をすること を決定しております。担当の日系社会委員会は広く会員の声を聞きながら、協力の方法などを含め具体的な提案を行うことになっております。

    後に、部会長懇談会の担当であります総務委員会、企画戦略委員会、及び事務局の皆さんのご尽力に対し感謝の意を表し、私の挨拶を終わりたいと思います。ご静聴ありがとうございました。

     

     

  • コンサルタント部会


    赤嶺尚由副部会長(ソール・ナッセンテ)

    司会

    じゃあ、あのコンサルタント部会から始めたいと思いますが、赤嶺さん、山下さんよろしくお願いいたします。

    赤嶺

    では、俗に政治経済という言い回しがございますのでルーラ現大統領の再選の可能性を主要テーマにコンサルタント部会は政治問題から先に報告の口火を切らせ ていただきます。この国では経済が政治によって左右されるというかその影響を受ける度合いが特に高いように判断されます。ですからその流れや方向性といっ たものを常に、いち早く読んでおく必要があるように思います。

    私の話の結論みたいなものを先に申し上げます。昨年は政治面、経済面ともにルーラ政権発足以来、初めてともいえる余裕、ゆとりみたいなものが見られました。見られた年でした。しかし、今年はどうも少し厳しくなるかな、という感じが年初からしてきております。

    ルーラ大統領の再選確率は80%

    仮に、経済成長が昨年並みに5%台、景気の牽引車であり続けそうな輸出が比較的順調で、貿易黒字額が300億ドル台、引き続き雇用も順調に回復して働き口 が増え、インフレも政府目標、公式目標の5・10%、昨年は確か記録した公式インフレ指数は7・60%でしたからあまり外れそうにないということでありま すと、ちょうど4年間の任期の折り返し地点に差し掛かったばかりのルーラ現大統領が2006年10月の大統領選挙で再選され、続投する可能性は80%程度 もあるというこの国の有力伯字紙の非常にベテランの記者たち、あるいは市場関係者たちの予測がすでに出ております。

    またそれと調子を合わせるように、憲法上の規定を自分たちに都合よく有利に解釈するというこの国の軍事政権当時のカズイズモ。こじつけといいますか、牽強 付会といいますか、そういったものが頭をもたげて来て、ルーラ現大統領の任期4年を6年にしようじゃないかというような意見も、ゴマすり的な意見も出か かっております。

    私は、この再選確率80%説はちょっと大げさすぎるようにも思います が、しかし例え大方の市場関係者の予測どおりに今年の経済成長率が次第に下方修正されて行って、3%台の後半から4%台の前半に落ち着き、また輸出に力を 入れている企業がレアル高とドル安などの大変な逆風に遭い、厳しい環境下にあるために貿易黒字が仮に290億ドルから300億ドル台止まりで、昨年の実績 約337億ドルをかなり下回ることがあっても、ルーラ現大統領の再選の可能性は今のところ、動きそうにないと個人的にも見ております。

    ルーラ現大統領の再選の可能性はこの国で特に発揮されがちな、現職大統領の強みプラス、久々に現れかけた、先ほど会頭のお話にもちょっと出ましたが、持続 性のありそうな経済回復のリズムに助けられて相当高くなりそうです。現役の強みとは何かをもう少し具体的に指摘しますと、例えば低所得者のためにこれまで の260レアルの最低賃金を5月から実質10%引き上げて、300レアルの水準に持っていくこと。

    また中間所得者のために所得税の免税点を引き下げたり、パロッシ大蔵大臣以下のスタッフが難色を示す中で再選を意識した法的措置をすでにいくつか採用して いることです。これだけでも私は相当大きな票田を築けるのではないかと、言う風に見ております。最低賃金の思い切った引き上げを見ていて、現段階での思い 切った引き上げをみていてルーラ政権にもやっとこう一種の余裕みたいなものが、一年目に比べて二年目は出てきたのかな、いう感じもしますけど、と同時に選 挙対策の臭いの方がより強く感じられるようです。

    再選の不安材料は高金利政策、増税、社会負担金の積み増し

    ただルーラ再選にいくつかの不安材料もあるように見受けられます。輸出が景気回復と雇用促進の牽引車でありつづけるのはまず間違いないにしても、世界で世 界でも、トップクラスの金利高が文字通りトップクラスの金利高がそろそろ経済全体の足を引っ張っていて、減速を起こさせているという情報が出てきていま す。

    それに加えてPT政権になってからの過重な税金、社会負担金の積み増しに産業界、政 界からの強い批判があり、サンパウロ市のマルタ前市長がマルタッシャ、マルタッシャ。マルタ式、無茶な課税法とでも訳しましょうか、と揶揄、冷やかされた ように再選を逸した前例を見て、ルーラ大統領もその方面にかなりの神経を使っている様子です。

    例えば、国内総生産に占める国民の税金負担の比率が91年の24・4%から現在では36%強まで急増してきています。また昨年、昨年工業生産指数をゼロか ら100までとしてみた場合、第3・四半期の60・1ポイントが第4・四半期には57・6ポイントまで下がってきています。

    個人消費もやや落ちかけていて、ストックがたまりがちな状態だということですが、それらが異常な金利高のせいなのか、それとも単なる季節的な要因による調整期に差し掛かっているのか、まだはっきりしたことは言えませんが、大変な懸念材料の一つと私は見ています。

    昨年もし本当に金利高が原因だとなりますとメイレーレス中央銀行総裁を更迭し、後任にゴールデンサックス投資銀行のパウロ・レーメ新興市場担当重役あたりを起用する話もいずれも具体化するかも知れませんし、その意味の情報も出かかっています。

    余談になりますが、レーメ氏はルーラ政権発足当時の有力な中央銀行総裁候補の一人でした。メイレーレス総裁は常に、金利の高め誘導に対する政財界からの強 い批判があり、本人もどうやらゴイアス州知事への出馬意向のほうが最近は強くなりかけているというように伝えられています。

    大統領自身の健康問題も懸念材料の一つです。一時、米国の有力紙からも取り上げられた大量飲酒の習慣はかなり、手控えるようになり専門医のオリエンテー ションなどでダイエットも几帳面にやり、体重を減らすために懸命ですがもっともっと絞り込まなければいけない、ということであります。

    また36人もいる呉越同舟、寄り合い所帯に似た閣僚の中から大型の不正事件にどうも巻き込まれそうなものがでないとも限りません。例えば日系の具志堅ルイ ス政府広報担当長官みたいに常に、ある程度の節度を心得た閣僚ばかりですと、大統領も安心でしょうが、よく言われるところのフィジオロリズムという自分の 党利党略、自分の私利私欲を重んじ、利権誘導を最も優先させる閣僚も多いきらいがありますので、大統領の再選にその辺が否定的に響かないかということも考 えられます。

    さらに政権の座についたPTとの一般国民とのその肌の触れ合いを最も大切に すべきこの革新政党とその党員の評判が最近あまり、芳しくなくなっています。ポルトガル語でいうアホガンテ、傲慢さが次第に目立ってきており、中にはPT の一党独裁という声さえ出かかっています。

    PT内部での不協和音や対立は日常茶飯事のこ とであり、それが具体的に、最も具体的に現れたのは先日の下院議長選挙で、それまで知名度や実力もなく、宗教用語でいいますともともとバイショ・クレーロ といいますか、バイショ・クレーロといいますと破戒坊主とか悪徳坊主とこういう意味だと思うのですが、そういった議員グループによって支持されるセベリー ノ・カバルカンテ、PTの主力候補が油揚げをさらわれるようにまさかの敗北を喫してしまいました。

    このことは先ほど、会頭もおっしゃっていましたけれども、大統領の今後の権威といいますか、指導力あるいはそれよりも国会における今後の国会対策、あるい は議事運営、さらに今までとかく批判の強かったMP、大統領暫定措置に依存した行政のあり方に極めて厳しい批判が高まるのではないかと、私自身は見ており ます。

    ただ、新国会下院議長に選ばれたセベリーノ・カバルカンテ氏の背後には皆さんもよ くご存知のように、軍政時代に企画大臣と大蔵大臣を務め、この国では一流のエコノミストとの評判高い、デルフィン・ネット先生、もちろん下院議員、現役の 下院議員ですがその方がついていてデルフィン先生はルーラ現大統領との中も決して悪くなく、経済的に何か困難な問題が持ち上がるとプラナルト宮に呼ばれ て、相談にあずかっているという間柄ですから、適当に新下院議長が暴走することがないような舵取り役も一緒に果たすのじゃないかと言う風にいわれておりま す。

    大統領選の対抗馬はセーザー・マイア・リオ市長かジョゼ・セーラ・サンパウロ市長か

    次に2006年の大統領選挙に野党側からルーラ再選と対抗して、野党側からどのような候補が出るかということでありますが、私はまずPSDB内で実力者と して非常に注目を浴びております、最近注目を浴びておりますセーラサンパウロ市長の当選にも最も寄与したと言われているアウキミン現知事だという風に見て います。しかし、どうやらルーラ大統領の今後の再選の可能性が高まれば、アウキミン現知事は場合によっては上院議員選のほうに、もっと当選確率の高い上院 議員選のほうにまわるというような見方も流れております。

    同じく、アエシオ・ネーベスミナス州知事も有力視されていますが、彼は知事としてもう一期、務められる。つまり再選の機会を与えられている訳ですから私は大統領の座よりはむしろミナス州知事として続投する方向へ進むんじゃないかと見ています。

    野党側で一番、最もこれは確実に出るのじゃないかと言う風に思われますのは、私の隣に座っていらっしゃる山下さんが住んでいるリオのリオ市長のセーザル・ マイア氏でこの人はまず、PMDB所属ですが、間違いなく大統領選には出るという風に思います。すでに、失礼しましたPMDBではなくPFL所属ですが、 PFLの専用機で各地方を遊説して歩いております。一つ考えられることは場合によってはこのセーザル・マイア氏とジョゼ・アウキミン氏が二人で組んで、 ルーラ大統領の再選を阻む方向へ手を握っていくということも考えられます。

    もう一つ、 セーラ現市長はまだ、就任したばかりで来年四月になっても、この大統領選に出るというものは、行政職についているものは来年4月には公職を離れて立候補資 格を身につけなければいけないという規定がありますので、セーラ現市長ももし出るのであれば、来年4月には現在のこの市長から辞任しなければいけません が、私は業績次第ではそれまでの業績次第ではジョゼ・セーラ氏が出る可能性は大いにある、という風に見ております。

    むしろ、FHC前大統領も四回目の出馬を果たすのだろうといわれていますが、前大統領の場合は今現在73歳ですか。選挙の頃には75歳になると思いますの で、年齢の面からこの国の政治家としてはちょっと年が行き過ぎている。それよりも業績次第ではジョゼ・セーラ氏、ジョゼ・セーラ現市長の方が出馬する可能 性のほうが強いんじゃないかという感じがしております。

    インクルゾン・ソシアル政策が再選の決め手か

    最後にもう少し付け加えたいことがあります。今、この国の有力伯字紙、有力週刊誌などを見ておりますと、一つの流行語のようにインクルゾン・ソシアル、イ ンクルゾン・ソシアルという言葉が盛んに飛び出しております。私はその言葉を今まで、社会的にエスクルゾン、弾き出されていたおよそ数千万人の貧しい国民 のために、まず本当に持続性のある経済成長を実現して、雇用の道をつくってやること、次に適当な所得を得させることにつないで国内総生産の56%も占める 国内消費力を支える有力な構成員として取り込むこと、インクルゾンすることだと考えています。

    それはルーラ大統領が2003年1月1日の就任式で十四、五回も繰り返していた、単なるデフォルマ、改革よりももっと強い意味を持つムダンサ、変革という 公約の目指すべき着地点ではないかと理解しています。景気が少し回復しかけているからといって、貧しい階層を社会的に取り込む作業はまだまだ遅々として進 んでおりません。幸い、ルーラ大統領がこれまでの全幅の信頼を置き、全面的に支持して来ているパロッシ大蔵大臣も今後の経済施策の運営上から見て、名もな い貧しい多くの国民を社会的にも経済的にも取り込んでいく、というインクルゾン・ソシアルがこれからの重要課題の一つになるだろうと、初心を表明しており ます。

    私もこのインクルゾン・ソシアルこそがルーラ再選と続投への最も有効な決め手の一 つになるのではないかと、ちょうどそのように考えているところであります。制限時間を大幅に経過してしまったようですが、田中現会頭が万年、コンサルタン ト部会長時代、先ほどもお話にありましたが14、5分は平気のへいだ。時には18分程度までお話になったように、さすがは会頭になられるだけの心臓の強さ を発揮された点など、あとまだこれから報告に入ります山下副部会長が私の分まで時間調整までしていただくこともありますので、どうか両委員長には海のよう な広いお心でもって、ご寛容のほどお願い申し上げます。以上です。

     

    コンサルタント部会(経済の部)


    山下日彬副部会長(ヤコン・インターナショナル)

    司会

    ありがとうございました。質疑応答はですね、次の山下さんのところも展望にかかわりますので、山下さんにもやっていただいた後でまとめてやったほうがいいじゃないか思いますので、山下さんお願いいたします。

    山下

    赤嶺さんの後を受けまして簡単にやらせていただきます。ブラジル経済の昨年の回顧は、金融部会と貿易部会の方から詳細にレポートされると思いますので、具体的な数字は省略させていただきます。

    ルーラ政権には選挙公約を実行して欲しい

    昨年のブラジル経済の指数は一言でいいますと、概ね良好と。ただ、インフレが実質IBG E 辺りでは10%あたりのレベルが続いている。従って、予想インフレを上乗せする公定金利が世界的に見ても高くなっている。それから先日、公表されましたけ れども、昨年の税収の対GDP比率がですね36・56%とこれも世界一のレベル、何でも世界一のレベルですね、なっているのが問題です。現時点でルーラ政 権に会議所としてアピールしたい事項は、一にも二にも選挙公約を実行していただきたい。

    ブラジルは変革しておりますが、問題は減っておりません。基本になるべき法律が変っていないからと考えております。暫定例などで毎月、税率を変更するよう なことはもうしてくださるな。まず基本になる税制改革、年金改革、司法改革、労働法改正などをしっかりやり遂げていただきたいと、これに尽きると思いま す。逆にこれが達成できなれば、ブラジルはこれからの地球レベルでの世界の躍進についていけなくなる可能性があります。

    一向に変らぬブラジルコストに対する提言方法の戦略の見直し

    次に進出商工業にとってはブラジルコストというのが問題といわれて久しいのですが、「税制の簡素化」などの陳情は政府に対して、世界中の商工会議所などの 団体から繰り返し行われておりますが、外部からの進言・陳情などでいまだ改善された例を聞いたことがありません。いずれの場合も、まず今までのやり方をま ず間違っていたとブラジル人に認めさせて、それを是正して、さらに新規に投資をせねばならないと。当然内部からの多くの反対が出るはずで、お家の事情があ るものと察せられます。

    そもそもブラジルコストという名前からして、これはブラジルの特殊事情における予想、予測不能の高額出費という意味がありまして、この改善意見を出す側の優越感の思想が見え隠れしておりますから、外国人が言って簡単に受け入れられるようなものではありません。

    コンサルタント部会としましては同じことを繰り返すよりもこれからはブラジル側がもっと受け入れやすい提案を出すようなやり方に変える時期が来たと考えて おります。例えば、今回話題になっておりますがエタノールの日本への輸出がもし実現するのであれば、これは一つのチャンスです。日本側はブラジルの安定供 給に疑問を持っておりまして、「安定供給は絶対大丈夫か」と問いつめてくる訳ですが、ブラジルの港湾施設などは最初から絶対量が不足しておりますから、改 善を義務づけられても答えようがないと思います。

    貯蔵、精製、積み出し設備、輸出通関の上屋と、そういうものを含めて、輸入する側が提供するから、建設場所とある年間、優先的な使用権を与える、というような具体的なギブアンドテイクのアイデアを相手に提案する時期に来ているのではないでしょうか。

    まあ、過去にはイギリスがマナウスからゴムを輸入するときにアマゾンの港の設備を提供したことがありますし、まあ最近の例でFEDEXがフライングタイ ガー社を買収しまして、日に50トンぐらいの宅配小口物件、これは非常に数が多いわけですね。それの即日通関が出来るように、ビラコッポスの空港を変えた 例があります。ちなみに現在のブラジル向け宅配物の実に80%をこの空港だけで通関しております。

    それから一方、農産物の輸出もブラジルは未来のアジアを含めた世界食糧供給基地になる、世界地理的、気候的必然性があると思うのですが、サントスやパラナ グアの渋滞を見ておりますと、現状の施設ではその見込みは全くありません。農作物も、貯蔵、衛生検査、輸出検査、積み出しの設備、輸出通関の上屋とか一環 設備の建設を提供する必要があります。

    5月のルーラ大統領の訪日は日伯経済活性化のチャンス

    現在、日本からの直接投資額は昨年度実績でわずか1・2%と、世界14位と低迷しておりまして、ブラジルは全く重要視されておりません。うかもすると韓国 や中国が先にこの種の提案をブラジルにするとですね、後塵を拝する恐れもあります。一方北半球では国家間の紛争などのリスクが高まっておりまして、将来、 安定供給というよりも安全供給源として、南半球のブラジルが注目されるべきだと思います。今こそ日伯経済の活性化のチャンスであり、5月の大統領訪日も控 えて、何らかの進展ができないものでしょうか。

    以上、実務を伴わない極めて評論家的な提言ではありますが、アジア向けの食料供給をスムーズに行うためのシステム基地をブラジルに提供しながら、農産物の輸出をする時期に来ているのではないかと考えております。以上です。

    司会

    どうも山下さんありがとうございます。それではですね、赤嶺さんはどちらかというとルーラ大統領、あるいは次回の選挙へ向けての見通し及びその影響という 点からお話しされ、山下さんは私どもがお願いしたように今のルーラ政権への注文あるいは今後もルーラ大統領の訪日に向けての提案といったところでお話しい ただいた訳ですけど、何かここでご質問などあれば質疑応答したいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

    三角

    先ほどお話ありました、高金利政策ですけど、最近、その過去になかったユーロレアル債が出ているとこれはまさに、そのブラジルの中銀に対する信任でもって まあ世界中の人がレアルを買い始めたということであってですね、これがもし中銀総裁が替わることになれば、これはもうものすごいレアルが暴落すると思いま すけど、そこでせっかく今出てきた信任が要するに、米国金利が上がっている状況でレアルの金利を下げることは不可能だと思いますけど。それは全くせっかく 築き上げたレアルに対する信任というのがですね、全く失われるとそう思いますけど。いかがでしょう。

    赤嶺

    私たちコンサルタント部会よりは遥かにその道に詳しい金融部会の方々が控えておりますので、そのご質問は一つ後に譲っていただきたいと思います。

    司会

    あのちょっと大島さんが心配そうな顔していますけど。まあ、そちらの方でそこは議論していただきましょう。それ以外に何かご質問、ご意見ありますか?金岡 さん何かどうですか?はい。それでは、プレゼンテーションの方に十分時間を使っていただいたので、ここでの質疑応答は一旦打ち切りまして、次の部会に移り たいと思います。

     

     

    共通テーマ「2004年の回顧と2005年の展望」

    2005年2月23日

    コンサルタント部会長 桜井悌司

    コンサルタント部会(政治の部)

    発表者-赤嶺尚由副部会長

    今年も昨年みたいに、仮に経済成長が 5 %台、景気の牽引車であり続けそうな輸出が比較的順調で、貿易黒字額が 300 億ドル台、引き続き雇用も順調に回復して働き口がふえ増え、インフレも政府の公式目標の 5.10 %程度から余り外れなければ、ちょうど 4 年間の任期の折り返し点に差し掛かったルーラ現大統領が 2006 年 10 月の大統領選挙で再選され、続投する可能性が 80 %程度もあるという、経験豊富な伯字紙の政治記者たちと一部市場関係者たちの予測が既に出てきている。

    この再選確率 80 %説は、ちょっと大げさすぎるようにも思われるが、しかし、仮に今年の経済成長率が下方修正され、 3 %台の後半から 4 %台の前半に落ち着き、又、輸出に力を入れている企業がレアル高とドル安などの大変な逆風に会い、きびしい環境下にあるために、貿易黒字が仮に 290 億ドルからせいぜい 300 億ドル止まりで昨年の実績約 337 億ドルをかなり下回るよう結果になっても、ルーラ大統領再選の線は、今のところ、まず動きそうにない。

    現職のルーラ大統領の強みをもう少し具体的に指摘すれば、例えば、低所得者のために、これまで 260 レアルの最低賃金を 5 月から実質 10 %引き上げて 300 レアルの水準に持っていくこと、又、中間所得者のために、所得税の免税点を引き下たり、パロッシ大蔵大臣以下の経済スタッフが難色を示す中で、再選を意識 した法的措置をいくつか採用していることが指摘される。これだけでも相当大きな票田を築けそうである。

    しかし、ルーラ再選に不安材料もいくつかあるように見受けられる。世界で最高水準の金利高がそろそろ経済全体の足を引っ張り、減速を起こさせているといっ た観測も出ている。それに加えて、PT政権になってからの過重な税金、社会負担金の積み増し等に産業界、政界からの強い批判があり、サンパウロのマルタ前 市長がマルタッシャ(マルタ式無茶な課税法)と揶揄され再選を逸した前例を見て、ルーラ大統領もこの方面にかなりの神経を使っている。例えば、PIB(国 内総生産)に占める国民の税金負担の比率が 91 年の 24.4 %から現在では 36 %まで急増した。

    また、工業生産指数をゼロから 100 までとして見た場合、昨年の第3・四半期の 60.1 ポイントが、第4・四半期には 57.6 ポイントに下がった。個人消費も落ちかけていてストックがたまりがちな様子であるが、それらが異常な金利高のせいなのか、それとも、単なる季節的な調整期 のためなのか、まだ判明していない。

    しかし、もし、本当に金利高が経済減速の原因だとこ とになれば、メイレーレス中銀総裁を更迭し、後任にゴールデン サックス投資銀行のパウロ レーメ新興市場担当重役あたりを起用させる話もやがて具体化す るかも知れない。メイレーレス総裁には、常に金利の高目誘導に対する政財界からの強い批判がある他に、本人もゴヤス州知事への出馬意向の方が強いとの情報 も流れている。

    2006 年 10 月の次期大統領選挙の 6 カ月前には、立候補を希望する者で、特に現在公職にある者、例えば、大統領や副大統領を始め、知事や市長などの行政職に就いている現役の政治家たちは、辞 任して立候補資格を身につけなければならないという選挙法上の規定(デジンコンパチビリダーデ)があるので、来年の 4 月頃から、事実上の選挙の熱い火蓋が切られそうだ。そういった情勢下で、下院議長の要職がPTの本命候補でなく、独立系候補の手に落ちたことは、今後の国 会対策、議事運営、引いてはルーラ再選にも影を落としそうである。

    再選を目指すルーラと 対抗するために野党陣営から誰が出てくるか、まずPSDB切っての実力者として高く評価されているアルキミン現サンパウロ州知事が挙げられる。しかし、 ルーラ再選の可能性が今後ますます濃厚になってくれば、もっと当選確率の高い上院議員の椅子を先に狙いそうな気配も感じられる。

    他の野党候補として、同じくPSDB所属のミナス州のアエシオ知事も浮上してきているが、彼は知事として再選を狙う公算の方が大きい。一番野党側から、出 てきそうな政治家は、昨年 10 月にリオ市長に第一次投票の段階で早々と再選されるほどの強みを発揮したPFL所属のセーザル マイア氏である。既にPFLのチャーター機で全国遊説も始 めている。就任間もないサンパウロ市のセーラ市長も、大いに出馬可能性を秘めた黒馬的な存在である。

    今、この国の有力伯字紙、週刊誌などに、ひとつの流行語のようにインクルゾン ソシアルという言葉が盛んに出て来ている。今まで社会的にエスクルゾン(弾 き出されていた)およそ数千万人の貧しい国民のために、まず本当に持続性のある経済成長を実現して雇用の道を作ってやることと、次に適当な所得を得させ、 PIB(国内総生産)の 56 %もしめるという国内消費力を支える有力な構成員として取り込むことではないか、と理解される。

    幸い、ルーラ大統領がこれまで全幅の信頼を置き、全面的に支持してきているパロッシ大蔵大臣も、今後の経済政策の運営面から見て、名もない貧しい彼ら多く の国民を社会的にも経済的にも取り込むというインクルゾンがこれからの重要課題のひとつになるだろう、受け止めているようだ。このインクルゾンこそがルー ラ再選と続投への最も有効な決め手の一つになりそうである。

     

    コンサルタント部会(経済)

    発表者-山下日彬副部会長

    ブラジル経済の昨年の回顧は、金融部会と貿易部会の方から詳細にレポートされるので、具体的な数字は省略。

    昨年のブラジル経済指数は概ね良好、唯一インフレが実質で年 10%ほどのレベルが続いており、従って予想インフレを上乗せする公定金利が世界的に見ても高くなっている。また先日公表された昨年の税収の対GDP比率 が36.56%とこれも世界一になっているのが問題である。

    現時点で、ルーラ政権へ、会議所としてアピールしたい事項は、一にも二にも選挙公約を実行してほしい。

    ブラジルは変革しているが問題は減らない。基本になるべき法律が変っていないからと考える。暫定例などで毎月税率を変更するよりも、まず基本になる税制改 革、年金改革、司法改革、労働法改正などをやりとげることが問題解決の根本である。 逆にこれが達成できなければブラジルはこれからの地球レベルの世界の 躍進についていけなくなる恐れがある。

    次ぎに進出商工業にとってはブラジル・コストとい うのが問題といわれて久しいが、「税制の簡素化」などの陳情は、政府にたいして世界中の商工会議所などの団体より繰返し行われているが、外部からの進言、 陳情で、いまだ改善された例を聞いたことがない。いずれも、先ず今までのやりかたが間違っていたことをブラジル人に認めさせて是正し、新規に投資をせねば ならない。当然内部から多くの反対が出るお家の事情があるものと推測できるが。

    そもそもブラジル・コストという名前からして「ブラジルの特殊環境における予測不能の高額出費」の意味があり、 この改善意見をだす側の優越感思想が見え隠れしているから、外国人が言って受け入られるものではない。

    コンサルタント部会としては、同じことを繰返すよりも、これからはブラジル側がもっと受入れやすい提案にやり方を変える時期きたると考える。

    例えば今回エタノールの日本への輸出の話しがあるが、実現するものであればこれはチャンスである。日本側はブラジルの安定供給に疑問を持って安定供給は絶 対大丈夫かと問い詰めてくるが、ブラジルの港湾施設は最初から絶対量が不足しているので、改善を義務つけられても答えようがないと思われる。「貯蔵、精 製、積出し設備、輸出通関の上屋を提供するから、建設場所とある年数、優先的使用権を与えよ」というような具体的なギブ・アンド・テイクのアイデアを相手 に提案するべき時期に来ているのではないか。

    過去にはイギリスがマナウスからゴムを輸入 するために提供した港湾システムや最近ではカンピーナス空港へ FEDEXがFLYING TIGERを買収して乗り込み、日に50トンの宅配小口物件の即時通関ができる空港に変えた例がある。因みに現在ブラジル向けの宅配物件物量の80%をこ の空港のみで通関している。

    農産物の輸出も、ブラジルは未来のアジアを含めた世界食料供 給基地になる地理的気候的必然性があると思うが、サントスやパラナグアの渋滞を見ていると現状の施設ではその見込みはまったくない。農産物の貯蔵、衛生検 査、輸出検査、積出し設備、輸出通関の上屋の一環設備の建設を提供する必要がある。

    現在日本からの直接投資額は昨年度実績で僅か1.2%、世界14位と低迷しており、ブラジルは重要視されてない。うかもすると韓国や中国がさきにこの種の提案をすると後塵を拝する恐れがある。

    一方北半球では国家間の紛争などのリスクが高まっており、将来安定供給と言うよりも安全供給源として南半球のブラジルが注目されるべきである。今こそ日伯 経済の活性化のチャンスでもあり、 5月の大統領訪日も控え、何らかの進展ができないものか。以上実務を伴わない評論家的提言であるが、場合によってはアジア諸国とも組んで、アジア向け食料 供給をスムーズに行うためのシステム基地をブラジルに提供しつつ、農産物の輸出をする時期に来ているのではないかと思われる。

     

     

  • 金融部会


    大島健一部会員(東京三菱銀行)

    司会

    次は金融部会ということで、金融・銀行の方を東京三菱銀行の大島さんに、それから保険の方を三井住友保険の金子さんにお願いいたします。これもやはり同じ ように質疑応答は、お二人のプレゼンテーションをしていただいた後、ということにしたいと思います。それではまず、大島さんの方からよろしくお願いいたし ます。

    大島

    かしこまりました。本来ですと新部会長となりました東京三菱銀行の野崎がお話しすべきところをまあ結局どうしても参加できないと言うことで、私並びに保険に付きましては金子さんの方が話されるということでこの点よろしくご了承頂ければと思います。

    ではまず私の方から、銀行業界ということでまた恒例で金融部会の方から経済についても弱冠、整理するということのようでございますので、まず昨年の経済動 向等を、すでに田中会頭あるいはコンサルタント部会の方からご報告ありましたようにダブるところもあるかも知れませんが、整理と言う意味で弱冠述べさせて いただきます。

    ブラジル経済は回復し、貿易収支は、337億ドルの黒字を計上

    去年は2003年に続きまして、景気が確実に拡大を示す一年となった。特に年初の予想などを振り返ってみますとそれを上回る指標が非常に多かったと、要は 予想を超えてブラジルの経済はよくなったという所が注目すべき点であります。特に貿易収支でありますけれどもルーラ政権は輸出拡大というものを重要施策の 一つにしてしかもそれが、追い風となってですね、なった訳ですし、そこを意識しながら非常に活発な外交活動をしたわけであります。ご記憶にあります通り、 中国あるいはインド、アラブ諸国に大きなミッションを派遣したり、一方でわが国、小泉首相の来伯を始めとして中国、ロシア、ベトナム、韓国等の大統領トッ プがブラジルに来たというところは記憶に新しいところであります。

    こうした外交が功を奏 したといいますかあい並んで、先ほど申しましたとおり、貿易収支、例えば中国との輸出入とも貿易の大幅な拡大。それからアルゼンチン、ここの経済回復に 伴って、特に輸出が急速に伸びていったと。それから、鳥インフルエンザ問題であるとかアメリカ等の狂牛病問題といった外部要因にも助けられて、例えば食肉 の輸出が急速に伸びたということがございまして、輸出が記録的な好調を示したわけです。

    昨年の輸出の数字を具体的に申しますと965億ドル、2003年比で32%アップ、それから輸入が628億ドルこれは2003年比30%増。差し引き 337億ドルの貿易収支の黒字、これは36%増です。ちなみに上期は156億ドルでしたので、貿易収支自身は下期もさらに伸びているということになってい ます。

    それから好調な輸出に牽引されまして、国内総生産も同時に好調に推移して結果的に は5・1%前後で着地したものと見られています。ちなみに年初ですね大方の予想は3・5%ぐらいと言っていたわけであります。結果として、設備稼働率も多 くの業界で上昇して、当国のセクターの中でも例えば製鉄であるとか、化学であるとか紙パルプであるとかこのへんの代表する企業の新たな積極的な設備投資 も、発表が相次いでなされたのも記憶に新しいところであります。

    こうしたなか昨年の経済 がもう一直線によくなっていく、といいますと必ずしも実はそうではなく、思い返しますと米国金利の引き上げ予測、特にあの予想以上に金利が上がっていくの ではないかという懸念が出たり、あるいは原油価格の高騰、それから時々ありました政治スキャンダル絡みの話、それから中国経済がどこまでどんどん引っ張っ ていくのだろうと。その辺からですね5月にはカントリーリスクが相当高まりまして、これを示す一つの代表的指数でありますEMBIプラスが一時800bp を一時超えたと、言う時期がありました。

    この数字自身はですね、年末は結果的に379と いう数字まで下がりましたが、今は400前後で推移しているのはご存じの通りだと思います。こういう中ですね、また5月以降は順調にカントリーリスクも治 まっていき、特に9月に各格付け機関、S&Pやムーディーズ、フィッチがそれぞれブラジルの格付けを上げまして、それぞれ一般的言い方でBB-、であると かB1まで上げたと言うことに現れております。

    こうした中でリスクが低下すると連邦政府 を始め、大手の金融機関であるとか大手優良企業の外債の発行も相次ぎまして、相当な資金調達がされました。それから先ほど、三角さんの方から話がありまし たですね。レアルリンクの債権というものもですね、活発に発行されるようになったということも非常に新しい事象かと思います。

    こうした好調な貿易収支に加えましてですね、外貨流入ということもございましてレアルの相場について振り返りますと、年初が2・89でございまして、一時3・2まで売られましたけれども、6月末で3・1強。最終的に年末はですね2・65というレベルで終わっています。

    昨年の業界の経済指数予想はことごとく外れた

    昨年の予想を見ていますと、半年前のこういった会での私も銀行業界の各行の予想は3・1から3・2と言っていたわけですね。それが結果的には2・65に なった。これも先ほど申し上げましたように、いかに予想を超えて経済が良くなったかということを示しているのでないかと思います。

    あと金利の方でございますけど、4月に16%まで引き下げられまして、ただこのSELIC金利のですね、インフレ懸念の再燃ということからですね、9月に なって、引き上げられて、それ以降、去年についてみれば4カ月連続で少しずつ引き上げられて、年末は、17.75%を迎えております。

    政治面では先ほどお話がございました、大統領選挙の前哨戦と言われました10月の市長選挙があったわけですが、結果的には、PTが得票率17.1%という ことで1位になったけれども、一部サンパウロが、一面大きな都市で敗北するという、状況もございました。それから6月に、一旦68%にまで低下したルーラ 政権の支持率が、10月には81%まで回復しております。

    銀行業界は各行とも業績を大幅にアップした

    ここでちょっと弱冠銀行業界についてみますとですね、短期市場で特に、激しい競争が継続しており、マージンが低下すると言う状況がみえてますけれども、そ こを各行とも、資産の拡大等で収益金を補うべく、特に、消費者金融への資源投入に注力するということで、結果的には業績を伸ばしております。

    この今週か先週あたりですね、各大手行の、業績が発表されて非常にいい、過去にない、いい業績を出しているのは皆さんご承知の通りでございます。

    ここで来年、今年2005年の展望について振り返りますと、経済全般につきましては、原油のプライスであるとかインフレ懸念等による、その金利引上げ等 の、懸念材料がありますけれども、大方の予想では引き続き安定的な成長が、見込まれているということであります。今の市場の予測では貿易収支は、弱冠減少 するけれども260億ドルぐらい。それからGDPも、3.7%前々後というのが平均的な見方です。

    為替の方も、年末で2.87レアルぐらい、それから金利につきましてもSELIC金利が、弱冠まだ引き上げがあるかもしれませんが、最終的には金利は下がって、金利は16.75%に戻るんではないかと言われております。

    2005年の展望では、貸出しは順調に拡大の見通し

    更に、銀行業界の動向ですが、今後マクロ経済が安定し、それから、先般成立しました新破産法案等もあり、実質金利の低下が続いて、やはり貸し出し業務につ いては順調に拡大していくんではないだろうかということで、業務収益の維持のためには、競争が激化する大企業の取引よりもむしろ、小口であるとか中小企業 貸出、このへんに力を入れていくと。このへんが勝負所ではないかというふうに考えております。更に、手数料収益がどれだけ稼げるかということも、一つの明 暗を分けるんではないかというふうに考えております。

    金融再編の動向につきましては、このところ非常に大きな再編が続いた訳なんですけれども、また外銀の撤退という、事象をみられた訳ですけれども、ほぼ一段落しました。

    し中期的にみますと、メキシコのように、今後ブラジルのリスクが更に下がってきますと、また外資系銀行の中には大きな買収を仕掛けてくるということも出て くる可能性があるのではないかというふうに見ております。長くなりましたけれども、銀行業界の方はこれで終わらせていただきます。

     

    金融部会(保険業界)


    金子実部会員(三井住友保険)

    司会

    金子さん引き続きお願いします。

    金子

    はい、じゃあ引き続きまして、三井住友海上の金子といいます。よろしくお願いします。保険業界に付きまして私の方から弱冠補足をさせていただきたいと思い ます。内容としましては、まずブラジルの保険市場について簡単にご紹介した後、回顧と展望。最後に、最近のまあ簡単な弱冠のトピックスにふれさせていただ きたいと思います。

    ブラジルの保険業界の規模はアセアン諸国と同等

    まずブラジルの保険市場ですけれども、2003年度の統計になりますがブラジルの一国ですね売上高、まあ我々収入保険料と呼んでおりますけれども、これは ですね146億ドルありまして、世界ランキングで言いますと第22位になります。でちなみにアジアの国と比較をしてみますと、ちょうどアセアンの4カ国、 マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン。この4カ国を合計すると、合計の収入保険料148億ドルです。従ってブラジルの保険業界というのは、皆さん どのようなイメージをお持ちか分かりませんけれど、以外と大きいという風に思っていただけるのではないかと思います。ちなみに日本は4700億ドル以上あ りまして、アメリカに次いで世界第二位の規模である。

    そんなブラジルマーケットの中に、 現在保険会社が115社、これも多少合従連衡していますからまだ、社数は変わっているかも知れませんけど去年の11月末で115社。この中で外資の占める 割合、これ収入保険料で計算した割合ですけど、33・2%になっています。国別に見ますと、一番の大手がオランダ、28%ですか。続いてアメリカ、スペイ ン、フランス、イギリスと。日本は6・4%。外資の中のウエイトですね。そんな形になっています。

    2004年の保険業界は22.3%の成長を記録した

    続きまして昨年の回顧に移らせて頂きます。まず収入保険料ですが、これは直近のデータを保険庁が発表しておりますデータが11月末なものですから、数字は 11月末までの11カ月の数字になっています。11カ月の数字で収入保険料が約332億レアル。円換算すると1兆3000億円程度になります。前年一年前 と比較しますと、増加率が22・3%になりまして、まあGDP成長率なんかと比較しましても非常に大きな成長市場であると言えると思います。

    この保険の中での主要種目と呼んでおりますが、その増収率を個別に見てみますと、今最も高い成長率を示していますのが生命保険ですね。生命保険の場合、年 建ていわゆる掛け捨て型のものとそれから満期になって、インベストメント、運用型のものと大きく二つに分かれますけれども、いずれも高い成長率を示してお ります。

    数字を申し上げますと運用タイプが一年間で43%、それから年建て、掛け捨てタ イプが37%、これだけ増加しています。それから自動車保険、これは15%伸びています。まあ非常に自動車の販売が好調だったということがもちろん、背景 になっています。そのほかの火災保険、10%ですかね、その他それ以外の種目は11%とそんな増加率になっています。それから地域別にこれを見てみます と、サンパウロ州が全体の51%を示していまして、保険の場合過半がサンパウロ州だというそんな状況です。ちなみにサンパウロに続いてリオデジャネイロ州 が11%、ミナスジェライス州が7%、パラナ州が6%とそんな風につながっていきます。

    続きまして収益面を振り返ってみますと、保険の全種目、火災とか自動車、生保全種目を足し合わしますと収益性はやや改善しました。収益性と申し上げました のは、保険会社の収益力を図る代表的な指標が我々損害率、と呼んでおります、お支払いした保険金が頂いた売り上げ、収入保険料に何%となっているかと、そ ういう指標ですけれどもこの指標を見るとやや改善しております。

    2004年の自動車保険は非常に厳しかった

    問題は自動車保険ですね。自動車保険は昨年、悪化しておりまして2002年の72・8から、2003年の72・8から2004年は73・9と非常に悪化し ております。しかも115社ある保険会社の中で、損害率が70%切る保険会社がもう片手で数えるほどしかないというマーケット全体が悪化したというのが昨 年の特徴でした。2004年度は自動車保険に関して言えば、非常に厳しい状況でした。

    2005年の展望では、収入保険料は引き続き好調で、生命保険は2桁の成長が期待できる

    続きまして2005年の展望ですけれども、まず売り上げの収入保険料の面で言いますとこれは引き続き好調な拡大が続くという風にと見ています。特に生命保 険については2002年度以降ですね、爆発的に伸び始めたのですが、今年についても同様に二桁以上の拡大が続くだろうと思っています。収益性の方は、今申 し上げました通りやっぱり、自動車保険が大きなポイントだと思っておりまして、この自動車保険の収支改善のためにまあ保険会社によっては、さらに保険の引 き受けといっておりますが、引き受け基準を強化するとか、あるいはリスクの選別を強めるとか、あるいは端的に言えば保険料の値上げに走るとか、いったよう なことにつながっていくのではないかと思っています。

    保険会社の社員に資格制度が導入される

    最後に、最近のトピックスを2点ほどご紹介したいと思います。一つは保険会社の社員に資格制度というのが、導入される方向で今検討が進んでいます。検討が 進んでいると申しますが、実際にCNSP、ブラジル保険審議会のほうから昨年の10月にレゾリューションというのが出ておりまして、法令化されると、今は 保険監督庁からの具体的な通達待ちになっています。保険会社全ての社員ではありませんけれど、例えば営業職であるとか、あるいはリスク管理だとか、事故査 定のサービス職であるとか、特定の業種に付きまして政府が指定した一定の資格を取らなくてはいけないと、そんな制度が今年から2005年から生まれようと しています。で2009年度末まで5年間ぐらいかけて、対象となる社員全員がこの資格を取る、そんなようなことになっています。

    再保険の規制緩和で競争激化

    それからもう一つは、再保険の自由化というのが最近、盛んに報道等にも出るようになってきました。ブラジルはIRB、イルビーと呼んでおりますけど、いわ ば政府にコントロールされた再保険会社、一社がですねマーケットのもとになっていると、ベースにあると、非常にまあ世界でもブラジルとキューバだけだと言 われていますけど、非常に特異なマーケットです。この再保険の規制緩和というのが一時期前政権の時代に実現、一歩手前まで行ったことがありますけど、また そういう論議が活発に出ておりまして、2006年度には何とか実現したいというような、政府関係者の発現が結構相次いでいます。

    内容を見ますとSUSEP、保険監督庁にその再保険行政、監督の部分の機能を引き継いでイルビーは再保険会社、普通の再保険会社になると、同時に再保険の 規制緩和を進めると多分そのような方向になるのはないかと思います。ただ、直近ではこのIRBの社長が交代したりしておりますので、事情はよく分かりませ んけど、この再保険の規制緩和はまだまだ紆余曲折があろうかと思っております。ちなみに私どもとしましては、早くこのIRBには自由化して、規制緩和して もらいたい。そうすることで競争、より保険会社間の競争も強まりますし、また国際競争も出てきますし、保険料も全体としては今よりは割安になっていくので はないかと、そのように考えております。以上で発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。

    司会

    金子さんどうもありがとうございました。それでは先ほどのですね、大島さんの銀行業界の部分と、それから大島さんの保険業界の部分について質疑応答になる んですが、先ほどの宿題のですね、前のセッションから持ち越しました三角さんから出た「中銀総裁が替わるというようなことになるとレアルの国際信用が落ち るのではないか、あるいはアメリカの金利が上がっていく中でやはりレアルの金利は下げられないのじゃないか」という、ご質問ご意見あったわけですが、その 辺どうでしょう、大島さん。

    大島

    そうですね、今のブラジルに対する世界からの信用というのはまさにそのインフレを阻止するといいますかね、あるいはその政府の赤字を少しでも財政を管理す るとその強い意思があって初めて出来ているわけで、中銀の総裁の交代自身は売られることに結びつかないですが、その後任人事を含めて仮にそういうことあっ たとして、そのメッセージがインフレ阻止という強い意思を放棄する、とこういう風に国際市場から見られた瞬間に、ガタガタになるリスクが非常にあると思い ます。そういう意味で、後任がどういう政治的な意図を持って選ばれるか、ここ次第だという風に考えます。

    司会

    よろしいですか。どうもありがとうございました。じゃあ、他にご質問等ございますか。あの実は私どもは司会の特権でここにプレゼンテーションのペーパーも 持っておるわけですが、先ほど、パッパッパッと数字をおっしゃったのをもう一回見ますと、GDPはですね2004年の、一部予測も入っているんでしょう が、5・1%に対して2005年は3・7%と。それから貿易収支は2004年の337億ドルに対して、2005年は260億になるだろうと、それから為替 の相場は、2004年の年末が2・7に対して2005年は2・9になるだろうと、こういう中銀が集計した市場予測をこの中に入れられております。

    それであの、大島さんにお伺いしたいのですが、結局これ市場はこの一年間、金利は下がっていくというふうに見ていて、なおかつ為替相場もレアルは少し安く なるだろうと、こういう風に見ていると。結果として、どうか分かりませんが、かたやで貿易収支は下がると。これ貿易収支はこちらの国内要因よりはむしろ、 インターナショナルマーケットがどういうことになっているかと、こういうことから来る予測ですよね。

    大島

    あと輸入もまた、さらに増えるだろうと

    司会

    ああ、なるほど。ということで何となく2004年の勢いが落ちて典型的なブラジルに少し戻るというような感じかなと思われます。

    大島

    そうですね、昨年申し上げました通り、昨年の年初の予想というのはそういう意味では同じような予想だったわけですね。成長率が3・5と言っていて、為替に ついても3・1とか3・2とか言っていて、結果がこうなったわけで、そういう意味ではこれからの外部環境も含めて、これだけやっぱりレンジの幅があって、 どうしても予想になりますとね、各行で常識的な所に集約されますので、そういう意味で6割7割はこうなるけど、それぞれの予想屋にもっと思い切った案を出 せと言えば、まあ2割ぐらいはこうなる確率もあるというような形で別の姿も見えてくるかと思いますので、それが最終的にはそれぞれ自分で考えながら、経営 して行くしかないとこういうことかと思います。昨年の相場は見事全員が外れまして、申し訳ありませんでした。

    司会

    どうもありがとうございます。他にご質問ありますか。

     

     

    共通テーマ「2004年の回顧と2005年の展望」

    2005年2月23日

    金融部会長 野崎良夫
    銀行業界 発表者-大島健一金融部会員

    1.2004年度の回顧

    2004年は、前年に引き続き景気の確実な拡大を示す 1年となった。特筆すべきは貿易収支であろう。ル-ラ政権は輸出拡大を重要施策の一つに掲げており、外交に注力している。中国・インド・アラブ諸国に大々 的なミッションを編成し訪問する一方、小泉首相の現役総理大臣として8年ぶりの当地訪門の他、11月以降だけでも中国主席、ロシア、ベトナム、韓国の大統 領が来訪した。

    こうした外交と前後して、中国との貿易拡大、アルゼンチンへの輸出回復、 さらに鳥インフルエンザや米国の狂牛病問題と言った外部要因による代替供給拠点としてのブラジルの位置付の再認識もあり、輸出は記録的な好調を示した (年計:輸出965億ドル(前年比32%増)、輸入628億ドル(同30%増)、貿易黒字337億ドル(同36%増))。

    好調な輸出に牽引され、国内総生産も同様に好調に推移し、 5.1%の成長で着地したものと見られている。設備稼働率も上昇し、製鉄、化学、紙パルプ等の各セクターを代表する企業の新規設備投資が相次いで発表された。

    こうした中、米国金利の引上観測、原油価格の高騰、政治スキャンダル、中国経済への懸念等の影響により、 5月には一旦800bp超まで悪化したカントリーリスク(EMBI+)は、再び低下することとなり結局379bpで年末を迎えた。また、9月には S&P(B+→BB-)、Moody’s(B2→ B1)、Fitch(B+→BB-)の格付機関が相次いでブラジルの格付を引き上げた。こうしたリスク低下による良好な市場環境の期を捉えて、連邦政府、 大手金融機関、優良企業のボンド発行等による長期(CVRD30年)の資金調達も実現。また、レアルの信認回復と高い利回りを期待する投資家のニーズが初 のレアルリンクのユーロボンド発行を可能とした。

    好調な貿易収支に加え、こうした外貨流 入の加速もあり、レアルは年始の 1ドル2.89レアルから2.65レアルまで上昇した。この一方、4月に16%まで引き下げられていたSELIC金利は、インフレ懸念の再燃から、9月以 降4ヶ月連続で引き上げられ17.75%で年末を迎えた。

    政治面では 2006年の大統領選の前哨戦とも言われた10月の市長選挙が最大の関心事であった。 PTは得票率17.1%で1位(得票数は前回比+37%の躍進)、2位は16.5%のPSDB(得票数は前回比+16%)という結果となった。但し、PT がサンパウロ、ポルトアレグレといった重要都市で敗北する一方、PSDBはサンパウロ、クリチバで勝利している。今後の議会運営、2006年の選挙への影 響については注視が必要となろう。 また、 6月に68%まで低下したルーラ政権の支持率に関しては、景気の回復やそれに伴う失業率/所得の改善等によって、12月には81%まで回復した。

    銀行業界では、短期市場での激しい競合は継続し、低いマージンが定着する中(法人向け平均スプレッドは 13.2%まで低下(12月))、各行ともアセットの拡大で収益減を補完すべく、景気/所得の回復に伴い拡大する消費者金融への資源投入に注力し、スー パー、小売チェーン等との提携を拡大した(12月末の民間セクター向の銀行貸出総額はR$465Bil、前年末対比17.3 %増加。内、個人向がR$126Bil、同33.1%増加したのに比し、産業界向けはR$125Bil、同6.7%の増加にとどまる)。 こうした環境 下、手数料ビジネスによる収益や支出のカットにより、

    各行とも好決算を発表している  (民間銀行の本年上期の手数料収入はR$15.5Bil(前年同期比15.4%の増加))。

     

    2.2005年度の展望

    2005年度の展望については、原油高、インフレ懸念等を背景とした金利引上げによる景気後退の他、対中貿易の動向、米国金利、市長選挙後のルーラ政権の 議会運営等、注視すべき事項はあるものの、大方の予想では引き続き安定的な成長が見込まれている。 2005年には、中銀集計の市場予測では、貿易収支は輸入の回復に伴い減少するものの引き続き、260億ドル程度の黒字が見込まれ、GDPも3.7%程度 の成長が見込まれている。

    また、為替は 1ドル2.87レアル(2005年年末予想)水準への緩やかなレアル安が予想され、SELIC金利は、インフレに注視しつつも16.75%(年末予想)への引下げを再度試すことになろう。

    <主要経済指標>

    * 2004年のGDP及び2005年の各指標は中銀集計の市場予測によるもの

    今後の銀行業界を展望すると、これから数年間、新破産法案の成立・浸透やマクロ経済の安定と共に、実質金利の低下、ひいては貸出業務の拡大が見られること になるであろう。各行は、業務収益の維持の為に、更にはバーゼル新規制をにらみ、競争が激化する大企業貸出よりむしろ、利鞘の大きい消費者小口金融及び中 小企業貸出額の増加に力を入れてゆくものと見られる。

    更に、経済回復に伴い、手数料収益 の増加が見込まれる。これから5年間で、大手銀行合計で約 11%(年間)近くの手数料収益の増強を見通している(ブラデスコ銀行予測)。これらの環境下から、各大手銀行の株主資本利益率(ROE)は、今後2-3 年は概ね20%前後を計上すると予測される。

    ブラジルにおける金融再編については、主要行が規模メリットを追求した為、過去数年間大きな動きを見せた。低利の外貨調達による貸出運用という外銀のビジネスモデルはスケールメリットによる競争には通用せず、地場銀行に再度売却したケースも見られる。

    今後数年に関しては、金融再編は限界的な動きに留まるとの見方もあるが、メキシコ金融市場で起こったように、ブラジルの格付引き上げに伴い、再び外資系銀行の地場銀行買収の動きが活発化する可能性は否定できない。

    各銀行の為替・経済基本金利( Selic)予想

     

     

    銀行名

    6月末の為替

    同 Selic

    12月末の為替

    同 Selic

    A銀行

    R$2.80

    19.00%

    R$2.90

    18.00%

    B銀行

    R$2.79

    19.25%

    R$2.90

    16.25%

    C銀行

    R$2.50

    18.75%

    R$2.30

    17.25%

    D 銀行

    R$2.75

    19.00%

    R$2.85

    16.00%

     

     

    保険業界

    発表者 - 金子実金融部会員

    1-  ブラジル保険市場

    (1)市場規模

    2003 年度生損保計の収入保険料(売上高)は 146 億ドルで、世界国別ランキングは第 22 位。ブラジル 1 国でアセアン主要国であるマレーシア、タイ、インドネシア、フィリピンの 4 カ国合計( 148 億ドル)に匹敵する規模の保険マーケットである。因みに日本は 4,789 億ドルで米国に次いで第 2 位の規模。

    (2) 保険会社数

    2004 年 11 月末で 115 社。このうち外資の収入保険料シェアは 33.2% ( 2003 年度)。  出資国別では、オランダ 28.6% 、米国 19.8% 、スペイン 15.2% 、フランス 14.1% 、英国 7.6% 、日本 6.4% の順となっている。

    2- 2004 年の回顧

    (1)収入保険料

    2004 年度( 1-11 月)の生損保計の収入保険料(健康保険を除く)は 332 億レアル ( 約 1 兆 3 千億円 ) を計上し、対前年同期で 22.3% の増加となった。前年度同様 2004 年度も GDP 成長率を大きく上回る増加率を達成することは間違いなく、ブラジルにおける保険市場拡大傾向の力強さは不変であった。

    主要保険種目別過去1年間の増収率は、自動車保険 15% 増、年建て生保・傷害保険 37% 増、運用型生保 (VGBL)43% 増、火災保険 2% 増。この結果、保険種目別の構成比は、生保 46%( 年建て 20% 、運用型 26%) 、自動車保険 33% 、火災保険 10% 、その他 11% となっている。

    また地域別にはサンパウロ州が 51% を占め、リオデジャネイロ州 11% 、ミナスジェライス州 7% 、パラナ州 6% 、リオグランジドスル州 6% と続いている。地域別ウェイトは昨年とほぼ変わらないことから保険市場の拡大はブラジルの全国的な傾向であると言える。

    (2)事業収益

    保険会社の事業収益を決定する最も重要な指標である 2004 年度( 1-11 月)の生 損保計損害率(支払保険金/収入保険料)は 59.9% と 2003 年度末より 2.6% 改善された。

    主要な保険種目の損害率を 2003 年度と比較すると、生保・傷害保険は 55.3% から 48.6% へ、火災保険は 47.7% から 42.8% へと各々改善され、一方、自動車保険は 72.8% から 73.9% へと悪化している。 2004 年度の自動車保険事業は保険会社にとって極めて厳しい環境にあったと言える。

    3. 2005 年の展望

    (1)収入保険料

    2005 年度についても引き続き 2 桁台の成長が見込まれ、特に 2002 年以降大幅な市場拡大が続く生保は年建て、運用型とも一層の拡大が見込まれる。

    2005 年度は多くの保険会社が保険事業(特に自動車保険)の収益性立て直しに向かう傾向が強まると考えられ、その結果、全般的に保険引受けの厳格化や保険料水準見直しが予想される。

    (2)収益性

    主要種目である自動車保険の損害率動向と資産運用収益が保険会社の収益性を左右する。今後の市場金利動向次第では以前のような資産運用収益の確保は期待できないことから、 2004 年度以上に損害率、保険事業自体の収益性が重要になる。

    4.トピックス

    (1)保険会社社員資格制度の創設

    2004 年 10 月、 CNSP (ブラジル保険審議会)によって制度化された。保険会社の営業、事故査定サービス、リスク管理、内部管理等の業務を担当する社員は保険当局指定の保 険専門資格を取得することが義務づけられた。 2005 年度以降段階的に実施され、 2009 年度末には全ての該当者が資格を取得することになる。実施細則未発表の段階であり詳細は不明な点も多いが、概念的には先進的な制度である。

    (2)再保険自由化の検討

    一般に保険会社は、お客さまから保険契約を引き受ける元受保険会社と元受保険会社から保険契約を引き受ける再保険会社とに区分されるが、ブラジルは事 実上国営で行政機関でもある IRB (ブラジル再保険公社)1社が再保険事業を独占している世界でも特異な保険市場である。

    再保険自由化については前カルドーゾ政権時代に一定の議論がされ、関連法令案まで用意されたものの結局実現に至らなかった経緯にあるが、昨年から再度積極的に取り上げられる機会が増えている。

    政 権時代は「 IRB 民営化」であったが現在の論点は「保険監督機関の一本化( Susep と IRB の再編)+再保険市場の規制緩和」に向かっているようである。実現までは紆余曲折が予想されるが、この規制緩和が実現すれば参入を希望する世界的保険会社 も多く、市場関係者はその動向を注視している。

     

     

  • 貿易部会

    050223 2005年上期業種別部会長懇談会-貿易部会
    中村純一部会長(丸紅)

    司会

    次の貿易部会からのプレゼンテーションに入りたいと思いますが、貿易部会長の丸紅の中村さんよろしくお願い致します。

    中村

    中村でございます。それでは貿易部会より発表させて頂きます。皆さん先ほどからご説明いただいていますように、2004年の貿易収支は約337億ドルの黒 字となり史上最高を記録いたしました。大きな要因は、旺盛なる外需によるもので前年比32%増となり、ブラジルの国際収支の改善に大きく貢献いたしまし た。次に輸出についてですが2004年の特徴は、前年に引き続いた輸出の大幅な増加が挙げられると思います。

    輸出は第1次産品、半製品、完成品とも大幅に増加した

    ブラジルの主要輸出産品であります大豆は特に中国向けが金額ベースで23・5%増、数量ベースで6・9%減となっておりまして大豆の国際価格の上昇が輸出 額の伸びを支えたことがよく分かります。一方、鉄鉱石に付きましては金額ベースで37・7%増、数量ベースで25%増となっておりまして、金額、数量ベー スの両面で増加しております。

    半製品につきましてはとりわけ、鉄鋼関連の増加が目立ちます。鉄鋼半製品では、輸出量が12・8%減少したものの、金額的には30・7%増を記録しています。トン当たりの輸出単価が49・8%増となった結果でございます。

    完成品の輸出は前年比26・2%増で、最も大きいのは自動車でございます。主な輸出先はメキシコ、それからアルゼンチン、それからアメリカ、米国となって います。で航空機につきましては前年比68・6%増となっておりまして、米国、メキシコ向けが主に増加しております。

    輸出相手国は米国、アルゼンチン、オランダの次ぎに中国が台頭

    輸出相手国別に見ますと、米国それから、アルゼンチン、オランダ、中国の順となっております。各国別の輸出品目を見ますと、米国、アメリカ向けでは鉄鋼関 連製品、それからアルゼンチン向けでは自動車、通信機器などの工業製品の増加が目立ちます。またオランダ向けでは大豆、食肉などです。

    次に輸入についてですが、国内経済が早いペースで回復したこともありまして、当初の中銀の予想を上回って増加しました。財別では、燃料・潤滑油の増加が最 大で前年比56・6%増となっております。原油に付きましては、金額ベースで78・8%増、数量ベースで36・3%増となっておりまして内需の増加に合わ せて国際価格の影響を受けたとものと言うことが言えると思います。輸入相手国別に見ますと米国、アルゼンチン、ドイツ、中国となっております。特に中国か らの輸入増が前年比72・7%増となっておりまして、ひときわ目立つところであります。

    日本は輸出入とも国別シェアを落とし、益々影が薄い

    次に対日貿易についてですが、2004年の対日貿易は輸出が前年比19・8%増、輸入が13・8%増となっておりまして輸出、輸入共に増加しております。 しかしながら国別シェアで見ますと、輸出、輸入ともに減少しており、輸出相手国としては第8位、日本は第8位、それから輸入相手国としての日本は第6位と なっており、今年5月にルーラ大統領が訪日されるのに際して多少、気になるところであります。品目的に特に目立ったのは、チキンでございます。

    これはアジアの鳥インフルエンザの影響もあって輸出額が前年比で115%増となっております。また、日本で好調な鉄鋼生産の影響もありましてニッケル・カ ソードの輸出額で前年比153・3%増となっております。約一年前にですね、一年前の貿易部会で私、チキンの話をちょっとしたと思うのですが、当社の取り 扱いで申しますと2003年度は年間で約1300トン、の輸出をしておりましたが2004年は終わってみますと1万6000トン、約13倍。それで単価が ですね、約トン当たり200ドルであったものが2004年度はですね、トン当たり350ドルから400ドルという風になっておりまして、まあ相当会社の中 で貢献度が大きくなったということが言えると思います。

    2005年の貿易収支は250億ドルの黒字予想

    それから、最後に2005年度の展望についてですが、ブラジル中央銀行は昨年12月の予想で、2005年度の貿易収支は約250億ドルの黒字を予想してお ります。輸出に付きましては穀物の国際価格の低下、それから世界経済、世界の経済の減速見通し、それからレアル高、国内需要が拡大する等々の理由で 2002年以降、二桁台の伸びを示しておりました輸出が今年は4%程度になる、と予想されています。

    また、輸入に付きましては、国内経済の回復基調を受けて耐久消費財を中心に輸入増が見込まれておりまして約20%増をするのではないかという風に予想され ています。いずれにしましても米国の経済情勢、それからまあ近隣諸国、特にアルゼンチン、それからベネズエラの経済情勢。それからアジアでは中国の動向 が、ブラジルの2005年度の貿易動向に大きく影響するという風に予想されると考えております。以上でございます。

    司会

    どうもありがとうございました、何かご質問ありますか。他に何か。はい、どうぞ。

    川村

    些末な質問で恐縮ですが、オランダへの輸出が結構多いということで、大豆とか食肉とか言われていましたけど、輸出にしろ輸入にしろ、相手先がアメリカだと かアルゼンチンだとか中国だと言われると、フムフムそうかなと思うのですが、オランダだと言うと、オヤっと私は思ってしまったのですが、特別なつながりと かですね背景みたいなものがあるのでしょうか。

    中村

    私どもが調査しました貿易統計は、ここの商工開発省のデータを利用しているわけですね、それでオランダ向けについて、その後何がどういう風になったのかということについてまだ、トレース出来ていないのが実情でございます。

    不明

    まあユーロポートはヨーロッパの窓口になっていますしね。

    不明

    だから結果、そこに入ったら全部オランダという風に出ちゃうのじゃないでしょうか。

    司会

    他に何かありますか?じゃあ私の方から質問というかコメントというか、確か去年、まあ去年の前、おととしから去年の頭ぐらいにかけては、物皆上がるという 世界だったんですよね。ところが、去年になって大豆なんか年初から相当落ちた。さらに今度は食料部会なんかでも出て来るでしょうが、豊作の見込みというよ うなことで、物によってはお値段が下がるようなものも出てきたというような感じがするんですが、その辺どうですかね、中村さん。

    中村

    これは質問の答えになっているかよく分かりませんが、当社の場合は2003年度の大豆が年間で約20万トンだった。それが2005年度の今現在で、すでに 15万トン受注しており、今年度は相当増える見込みです。これは別に言うと、日本と韓国、中国が入っていましてね、おそらくこれは私が直接交渉している訳 ではないのですが、相当値段が下がってきている、我々の立場から言うとコンペティティブになっているということだと思います。

    司会

    ありがとうございます。他に何かご質問ありますか。はい、どうぞ。

    相川

    あの国際協力銀行の相川です。貿易相手先国の話なんですけど、ルーラ政権になって、とみに増えてきているという話を聞いておりますが、その辺について材料があれば教えていただければと思います。

    中村

    相手先ですか。その輸出の地域別なシェアを見ますといわゆるARADI向けが昨年は20・4%、これは前年が17・7%。それからアフリカ向けが昨年4・ 4%、これは前年3・9%でこれらが増加しております。それからアメリカ、これはプエルトリコを含むのですが、アメリカ向けは昨年が21・1%前年23・ 1%増、それからEUは昨年が25%、それから前年が25・3%増、それからアジアが15・1%、これは前年が16%増ということでシェア別に見ますと ARADIとそれからアフリカ向けがシェアでは増加していて、アメリカとそれからEUとアジア向けが減少しているということでございます。それから特に中 欧向けのシェアに付きましては6・2%から5・6%に減少しているということが多少、特徴であると思います。

    司会

    はい、どうもありがとうございました。それでは時間もありますので、次に進みたいと思います。

     

     

    共通テーマ「 2004 年の回顧と 2005 年の展望」

    2005年2月23日

    貿易部会長 中村純一

    1.貿易収支

    2004 年の貿易収支は 336 億 9,300 万ドルの黒字と史上最高を記録した。その要因は大幅な輸出額増加による。輸出は旺盛な外需により前年比 32.0 %増の 964 億 7,500 万ドルを記録。一方の輸入は、国内経済の回復傾向を受け前年比 30.0 %増の 627 億 8,200 万ドルと微増( 2.2% 増)であった前年から大きく増加した。

    この貿易実績は 2004 年 3 月時点におけるブラジル中央銀行の見通し(輸出 800 億ドル / 輸入 560 億ドル / 収支 240 億ドルの黒字)を大きく上回ることになり、ブラジルの国際収支の改善に大きく貢献をした。

    2.輸出

    2004 年の特徴は前年に引き続き輸出の大幅な増加が挙げられる。輸出額では一次産品、半製品、完成品全ての項目で前年比 20 %以上の増加を記録した。なかでも一次産品の増加率が 34.7% ( 285 億 1,800 万ドル)と最も大きいが、数量ベースでみると 21.1% 増に止まる。

    主要輸出産品である大豆は、特に中国向けが金額ベースで 23.5% 増( 16 億 2,200 万ドル)である一方、数量ベースでは 6.9% 減( 567 万 8,000 トン)となり、国際価格の上昇が大豆輸出額の伸びを支えたことがわかる。一方で鉄鉱石については、金額で 37.7% 増の 47 億 5,900 万ドル、数量で 25.0% 増の 2 億 1,900 万トンと両面で増加した。

    半製 品は前年比 22.7% 増の 134 億 3,100 万ドル。なかでも鉄鋼関連の増加が目立つ。鉄鋼半製品は輸出量が 12.8% 減少した一方、金額で 30.7% 増( 21 億 1,500 万ドル)を記録、トン当り輸出単価も前年比 49.8 %増の 335 ドルに増加した。世界的な現象でもあったが鋼材分野では国内需要の増加で品薄感がみられた。

    完成品は輸出額全体の 54.9 %を占める。完成品の中で最も大きいのは乗用車の輸出で前年比 26.2 %増の 33 億 5,100 万ドルとなった。主要輸出先はメキシコ、アルゼンチン、米国の順となる。自動車ではアルゼンチン向けが 114.1% 増となる一方、米国向けが 60.8% 減少した。航空機については前年比 68.6% 増の 32 億 6,900 万ドルで、米国、メキシコ向けの輸出が主に増加した。

    輸出主要相手国別では、米国( 20.0% 増、 200 億 3,800 万ドル)アルゼンチン( 61.7% 増、 73 億 7,300 万ドル)、オランダ( 39.4% 増、 59 億 1,700 万ドル)、中国( 20.0% 増、 54 億 4,000 万ドル)と続く。

    各国向け輸出品目の特徴をみると、米国では鉄鋼関連輸出額が増加、アルゼンチン向けは自動車、通信機器など工業製品が増加、オランダは大豆、食肉が増加、中国では、一次産品輸出は堅調に推移したが鋼材輸出額が減少している。

    なお、輸出シェアを地域別にみると ALADI 向けが 20.4% (前年 17.7% )、アフリカ向けが 4.4% (同 3.9% )でシェアを増加させる一方、米国(プエルトリコを含む) 21.1% (同 23.1% )、 EU25.0% (同 25.3% )、アジア 15.1% (同 16.0% )と主要地域が減少している。なかでも中国向けのシェアが 6.2% から 5.6% に減少した点は印象的といえる。

    3.輸入について

    2004 年の輸入は国内経済が速いペースで回復したことを受けて、輸出と同様ブラジル中央銀行の予想を上回った。財別に見ると、燃料・潤滑油の増加が最大で前年比 56.6% 増となっている。

    原油は金額で 78.8% 増、数量で 36.3% 増であり、内需増加と同時に国際価格上昇の影響を受けたといえる。なお、輸入額の 53.4% を占める原材料・中間財は 29.7% 増、消費財は 23.8% 増、資本財は 17.2% 増となった。

    品目別に見ると、資本財では主要品目の工業用設備・機械が 4.3% 減となる一方、事務・科学機器が 26.7% 増となった。原材料・中間財では最大の品目である化学・医薬品が 27.9% 増、輸送用機器アクセサリーが 32.4% 増と軒並み増加している。鉄鋼原料のコークスは金額で 75.5% 増( 5 億 3,500 万ドル)となる一方、数量では 22.5% 減( 205 万トン)となっており、トン当り輸入単価は 261 ドルと前年比で 126.4% も増加している。

    消費財では、耐久消費財の伸びが 31.8% 増と著しい。家庭用機械・装置が 55.6% 増となっており、国内市場の回復度合いを伺わせる。なお、非耐久消費財は 17.6% 増となった。

    輸入相手国別にみると、主要相手国は軒並み増加している。上位は米国( 18.5% 増、 113 億 3,700 万ドル)、アルゼンチン( 19.3% 増、 55 億 7,200 万ドル)、ドイツ( 20.6% 増、 50 億 7,200 万ドル)、中国( 72.7% 増、 37 億 1,000 万ドル)と続く。中国については輸出額よりも輸入額の増加が顕著といえる。

    輸入シェアを地域別に見ると、 EU が 25.4% (前年 27.0% )、米国(プエルトリコを含む)が 18.3% (同 20.1% ) ALADI が 16.0% (同 17.0% )と減少した一方、アジアが 19.6% (同 18.5% )、アフリカが 9.8% (同 6.8% )とシェアを増加させた。

    4.対日貿易について

    2004 年における対日貿易は輸出が前年比 19.8 %増の 27 億 6,800 万ドル、輸入が同 13.8 %増の 28 億 6,800 万ドルとなり、輸出入ともに増加した。ただし国別シェアは輸出が 2.9% (前年 3.2% )、輸入が 4.6% (同 5.2% )とともに減少し、輸出相手国としては第 8 位、輸入で第 6 位となった。

    品目別に みると、輸出では鶏肉の増加が目を引く。 2004 年初めに発生したアジアにおける鳥インフルエンザで、日本はタイ、中国などアジアの主要供給国の鶏肉輸入が禁止され、ブラジルからの鶏肉輸出額は前年比 115.0% 増の 5 億 900 万ドルと急増した。

    また、日本で好調な鉄鋼生産を 受けてニッケル・カソードの輸出額が前年比 153.3% 増の 8,700 万ドルと急増。一方、大豆の輸出額が 30.5% 減の 9,700 万ドルと減少した。輸入では過去最高を記録した自動車生産( 220 万 6,000 台)を受けて、自動車関連品目で軒並み増加している。

    自動車部品は前年比 43.0% 増の 2 億 8,800 万ドル、ベアリング・歯車・同部品が 30.4% 増の 1 億 6,400 万ドル、自動車用エンジン・同部品が 23.1% 増の 1 億 2,000 万ドル、乗用車が 33.8% 増の 8,600 万ドルと続く。

    増加が顕著な品目ではコークスが 109.6% 増の 7,900 万ドルとなっている。主要品目で唯一減少したのは集積回路で 0.6% 減の 1 億 3,800 万ドルであった。

    5.2005 年の展望

    ブラジル中央銀行が 2004 年 12 月に発表した見通しでは、 2005 年は輸出 1,000 億ドル・輸入 750 億ドルで貿易黒字 250 億ドルを展望している。

    2002 年以降二桁台の伸びを記録してきた輸出はひとつの踊り場を迎え、 4% 程度の増加に落ち着くとみられる。その背景としては、高騰していた穀物の国際価格の低下、世界の経済成長の減速見通し、レアル高に推移する為替水準、国内需要の拡大などがあげられる。

    輸出相手国第 1 位である米国の 2005 年経済成長率は、潜在的成長率とされる 3% 台の成長、つまり経済成長の巡航速度に落ち着くとみられるが、金利引き上げが景気に与える影響も注目される。

    また、 2004 年に輸出増加が顕著であった ALADI 諸国では、アルゼンチン、ベネズエラなどで経済急回復から持続的成長路線に移行するとみられ、輸出増加ペースにスローダウンが見込まれる。アジアでは中国 の動向が鍵を握るが、 2005 年は前年よりも低い 8% 台の成長率が見込まれている。

    輸入については 20% 程度の増加が予想されるが、国内経済の回復基調を受けて耐久消費財を中心に堅調な輸入増加が見込まれる。また 2004 年に石油やコークスなど一部工業用原材料で価格の上昇が見られ、それが引き続き 2005 年の輸入額増加の一因を担うと考えられる。

    また 2004 年 9 月以降、政府はインフレ率を政策目標値内に納めるべく金利引き上げを継続しており、内需、企業活動に与える影響も懸念される。

     

     

  • 化学品部会


    板垣義実部会長(スリーボンド)

    司会

    はい、次は化学部会の方からスリーボンドの板垣さんにお願いしたいと思います。

    2004年の化学品部会員企業の7割は増益増収を達成

    板垣

    スリーボンドの板垣でございます。2004年の回顧といたしまして、昨年原材料費、それから販売普及費、運賃、代理店コミッション、そういったものの増大 により販売経費であるとか製造経費が上がったのですがそれにも関わらず、今回会議に参加していただきました14社の回答を見ますと約7割の会社が前年に比 べまして、増益増収という形で回答されております。

    特に目立ちましたのは会議に参加され ました、ブラジルで製造販売を行っている会社が全て増益増収ということで、非常に嬉しく思っております。この理由といたしまして2003年後半からの基本 金利が下がったことによって国内経済の回復基調が続きまして、市場が活性化した。それにより化粧品であるとか文房具、そういったもの、それと一般大衆向け の接着剤、こういったもののコンスーマー向けの商品が拡大したこと。

    それから農産物の輸 出、特に先ほど来、言われています大豆の作付面積がまた広がり、それにより農薬の使用量が増え、またサビ病ですか、病気の予防のために殺菌剤等の拡販も増 えております。それと二輪、自動車、家電こうした業界の国内販売が堅調に推移しまして、輸出も好調であったということから、私ども化学品業界を取り巻く環 境、業界が好調であった。そういったものが反映された結果になったと思っております。

    ま た昨年2月から税金の一種でありますPIS/COFINSがかなり上がりましたけれどもこれによります、上昇分を製品価格に転嫁するといったことがある程 度成功いたしまして、それとアルコールの輸出がスポット的に増大したとまたドル安が昨年後半から、ドル安レアル高になったということで為替差益、これが発 生している。

    それから農薬とか飼料添加物こういったものへのPIS/COFINSあるい は関税の免除と言ったような政策がさらに増益増収の一助となったという風にとらえております。こういったものへのPIS/COFINSあるいは関税の免除 と言ったような政策がさらに増益増収の一助となったという風にとらえております。

    2005年の展望は、9割以上の部会員企業は増収増益で、快晴が続く

    本年2005年の展望と致しましては、昨今の原油の価格が上昇しておりまして、原材料の価格が上がるのではないかという懸念はありますが、今回の会議に参 加していただきました会社の約9割、9割強の会社が本年も販売は好調である、それと約80%の会社が増益というふうに予測しております。

    農薬部門は、豊作で農薬が売れ、病気発生すれば、殺菌剤が売れ、どっちに転んでも好調持続が約束されている羨望の的の業界である

    その主な理由と致しましては、現政権がこのままオーソドックスな政策を継続して、ブラジル経済が、メインの顧客の業界が今年も好調さを持続するのであろう と、それから農作物、天然資源の輸出もおそらく好調さを堅持するであろうと。農作物にとりましては、先ほど申し上げましたけれど、豊作であれば農薬がたく さん売れますし、病気が発生すれば殺菌剤が売れるという非常に羨ましい業界なのですがこうしたこともあって、私どもの化学部会に参加する会社は今年もよく なるであろうという、期待を込めて予測しております。

    次に現ルーラ政権2年間の部会の評 価あるいは総括についてご報告いたします。この件に関しまして回答いただきました12社の内、この2年間で業績が悪化したと悪影響を及ぼしたと回答された のは2社でありました。よかった、あるいは概ねよかったという風に回答いただきましたのは8割強ございました。思い起こせば2年前の2003年上期の当部 会におきましては、農薬業界を除きます他の業界全てが、悲壮感に満ちて暗い顔をして、部会の発表会を行ったと記憶しておりますが、2年経って見てみますと 化学品業界にとりましてはまあ8割強の会社が今のところ、ルーラ政権に対してはプラス評価をしております。

    評価をしている点でございますが2003年に、2003年当初にSELIC金利が26・5%であったものがこれをコントロールしながら、徐々に下げていっ て、市場を活性したことにつながったこと。農作物であるとか天然資源、自動車などの輸出拡大に成功したこと。それから懸念されたインフレをある程度、抑え ることが出来た。それと農薬、飼料添加物、こういった物に対する関税、PIS/COFINSの撤廃ということがありましたが、このゼロ政策をさらに続けて くれたことなどが挙げられます。

    ルーラ政権への注文は、レアル高の是正、金利の低下、税制改革

    それと今年来年にルーラ政権に期待することと致しましたら、化学部会としては輸出産業に影響が大きいと見られる現在のレアル高を何とかして欲しい、何とか コントロールして輸出産業を守って欲しい。それによって化学部会も潤うことが出来ますということです。それから二番目には、やはり金利が今徐々に上がって きておりますのでこの金利を下げて欲しい。先ほど金融部会の話ですと年末には16・75%ぐらいまで戻るというお話なので安心しています。

    それといろんな業務、通関業務であるとか、税制、薬事登録とか原産地証明、いろんな業務が非常に遅い。こういった諸制度を、税制の改革と一緒にグローバル スタンダード化して欲しい。それとインフレを抑えていただいて人件費、原材料費が上がらないようにしてほしい、というようなことが寄せられております。全 体的な意見としましては、過去2年間PTとしては、2年前、非常に我々としては恐れていたのですが、実際に2年間を振り返ってみますと非常にオーソドック スな景気浮揚策をやってきており、これを今後2年間または、2005年、2006年もやってほしいと言うことで期待しています。

    最後に私ども化学品部会の本年度のテーマについてご報告いたします。私ども化学品部会ということで昨今の環境に対するいろいろな規制、それから納入先であ ります自動車業界であるとか電機業界、非常に品質管理、品質保証に対しては非常に厳しい業界でありますので、国際規格の認証を取得することを目的にしよう かと思いましてアンケートを取ってみました。

    その結果参加いただきました14社の中で内 訳をみますとISOの9001番の認証取得されている会社が4社、それから自動車企画でありますTSの16949を認証取得している、あるいは来月取得見 込みという会社が3社、環境企画でありますISOの14001番、これを取得している会社が5社と、それからその他の企画が1社ということで、比較的品質 企画取得が7社ということで参加会社の5割、それに環境企画も5社取得と言うことで昨今の環境に対する規制強化を反映した結果となっており、予想以上に認 証取得が化学品部会では進んでいると思いましたので、このテーマは今回、各会社の必要に応じてやっていただくこととして部会のテーマから外すことにしまし た。

    化学品部会のテーマは新規会員獲得による商工会議所の基盤強化

    それで本年度の商工会議所の活動方針で一番目に掲げられております会員増強による商工会議所の基盤強化ということを受けまして、当会議所の部会出席社の拡大と新規会員の獲得をテーマとすることに致しました。

    今回、化学部会を実は弊社の会議室で行いまして、会議の前に私どもの会社で合成している、瞬間接着剤の合成プランと及びその重点工程それと電機業界あるい は自動車業界にお納めている、マイクロカプセル型の接着剤をネジ部品に、コーティングしている工程があるのですが、その工程を見学していただきました。

    私どもの業界、化学品部会の所属会社、商社さんを除きますと製造業は一応、見られても、特に 秘密にならないといいますかあまり影響がないと言うことであり、今後こういった機会を部会の開催の機会等を使いまして、お互いの会社でどのような商品をど のように作っているという見学会を含めて各会員間の相互理解であるとか研鑚を深めていくことによって部会への参加率を高め、新しい会員を増やすと言ったよ うなことをして行きたいと思っています。以上でございます。

    司会

    どうもありがとうございました。業界のまあ回顧展望のみならず部会の活動について積極的なご報告頂きましたけれども、何かご質問ありますか。はい、どうぞ。

    岡田

    出張で飛び入りの参加ですが、化学業界では生分解プラスティクスの、これ日本はもちろん、欧米でも研究が盛んなのですが、ブラジルみたいにでんぷんが豊富 なところで、生分解プラスティクスの研究を大々的にやるというようなのが出来れば面白いと思っているんですけど、例えば自動車のトヨタさんなんかはインド ネシアでトウモロコシをだいぶ栽培して、そこからでんぷんを取って、研究を始めている。それから中国でも芋からやっている、芋、ともにでんぷんなので、こ こはマンジオカなんかある訳ですからそのようなアプローチも今後のテーマにされたら面白いと思うのですが、化学業界ではどのようにお考えですか。

    板垣

    このようなテーマに付きましては、今まで一度も討議したことがございませんが、約30年もう少し前でしょうか、光分解するプラスティックというものも研究 開発されていた時期があると思います。そのテーマは農業向けのシート、ビニールハウスですとかああいうもののシートが、使い終わった後に風で飛んでしまっ たり、地中に埋もれそのままにしてしまうと。それを防ぐために使い終わった頃に光で分解するものが出来ないだろうかということで確かあったと思うのです が、それをさらに発展させて生物、微生物等で、分解するプラスチックだということだと思いますが、一つには自動車、それから家電関係に使われているやはり 対薬品性、耐久性、耐候性ですね、こういったものが非常に要求されていると思いますし、どのくらいの耐久性、耐候性というのがあるかということが分かれ ば、その業界には使える部分と、使えない部分があると思いますのでそこの所に応用が利くのではないかと思います。

    具体的にはどういったところに使ったらいいかというのは分かりませんが、我々の業界でもしそれが使えるところがあるとすれば、一つには容器があると思いま す。製品のプラスチック容器。これは現在使われているのが、ポリエチレン、低密度、高密度合わせてですけれども、ポリエチレンあるいはポルプル、プル、プ ロ、プル、ポリプロピレン。(笑い)はい、ポリプロピレン。こういったものが主流になっていると思います。対薬品性、耐久性が非常にいい、安価で非常にい いプラスチックになっていますが、廃棄しても、分解してくれるというものであれば更にそれは、いいと思いますが、そこに行き着くまでに、中に入れる、溶剤 系統の、我々で言えば接着剤。そういった物に対する、対薬品性や価格だと思います。具体的な、データ、資料等いただければ、検討はしてみたいというふうに は思います。

    司会

    はい。

    赤嶺

    化学、ばけ学といっても大変に、裾野が広いと思うのですが、日系に限らず、外国系っていいますか、非日系以外で目覚ましい業績を挙げている、化学、ばけ学会社はどういうところがありますか。ちょっと教えて下さい。

    板垣

    えーっとですね、ブラジル。非日系ですか、

    松尾

    ファイザル。

    板垣

    ファイザル、そうですね、そういった会社ですかね。あと農薬も大きいのがあるのですよね。ヘンケルも来てますね。

    板垣

    すいません。あの住友化学の松尾社長の方から代理で答えていただきます。

    松尾

    大体、全世界でも有名なのですが、バイエル、DSの方が大きいかな、DSF、バイエル、シンゼンタ、それからダウ、デュポンですね。で名前でだいぶおわかりにならないシンゼンタなんていうのは、まだ知らないと思いますが、昔のアイシーアイゼネカ。

    松尾

    というのは、大体もう、大同団結しまして、私ども住友化学も昔は10、20年前16位くらいだったのですが、今はなんと7位なんです。

    松尾

    上の方が全部一緒になっちゃったんです。で、今のバイエル、バイエルっていうのは、ヘキストとそれからローノプーラン、それからシェーリング。それが全部 一緒になっちゃったんです。だからあの、二十世紀の時代のバイエル、シンゼンタ、バイエル、バス、ヘキストっていうのはドイツの三大ケミカルメーカーだっ たのですけども、第二次大戦前は、それ一社だった。

    それが、日本の財閥解体と同じように 三つに分けられて、また大同団結していると。要するに、農業用なんかはですね、リターン・オブ・インベスチメントがリスキーだと。それは、二十世紀の後半 以来環境問題が非常にやかましくなりましたし、それから分析技術が非常に進んだということで、ほんの少しだけでもあったら、分かるんですよ。ところが 1950年代、60年代、分析機があんまり発達してなかったので、その環境中に、リリースされても、リテクト出来なかったわけです。

    ところがオリンピックごとにドーピング技術が発達していきましてですね、島津製作所なんかはどんどん新しい機械を出しまして、十億分の一、PPTの分野ま で一兆分の一までリテクト出来る等になったのです。ですから昔は化学品会社というのはオイルカンパニー、シェブロンとかシェルだとかそういうところが片手 間にやっていたのが、そんなガソリンスタンドを経営するのがメインでございますから、それであのいろんな中傷を受けたくないということで農薬を切り離して いって、それから今は医薬会社がどんどん農薬というのは切り離していって大同団結しているといった状況です。

    司会

    どうも。ありがとうございます。

    浅賀

    岡田さんのご質問にちょっと概念的にお答えしますけれども、実は私もブラジルで環境の問題やりたいと思っているのですけど、環境の出口によって環境のビジ ネスが成立するかどうか決まる訳ですね。で出口というのは何かというと大気に捨てちゃうか、大気放散するか、海に流すか、地面に埋めるか。この三つがです ね規制によってやれないか、やれるけどものすごく安い、安いということになりますとですね、例えばそういうプラスティックのリサイクルもですね、ビジネス にならない訳ですね。

    例えば、簡単に廃棄物、日本ではもう、ほとんど処理しないものは埋 められない訳ですけど、例えば関東でね、ある時期プラスティックは1トン5万円と言われているような時期があったのですけど、捨てるのに1トン5万円、こ この場合ね1トン埋めるのに3ドルとか、そういう実態なんですね。悲しいかな。そうすると5万円のものであれば、リユースル�リダクションすることによっ て5万円の分を小さくしようという努力が働くんですけど、1トン3ドルですと余計なことを考えないで捨てる方を、十分間に合っちゃう。

    ということでその環境の出口の方に規制がかかって、それのためのコストがかかるという状況に追い込まれないと、ビジネスにならない。だから、ここの場合も そういうことをやろうと思えば簡単に出来るし、ヨーロッパや日本の技術を持ってこれば、ここで出来ると、いうことは技術的には可能なんですけど残念ながら 環境が整っていないというか、条件がないとそういう風に思います。

    司会

    どうもありがとうございます。だんだん面白くなってきたのですけど、ちょっと時間もありますので次に進みたいと思います。

     

     

    共通テーマ「 2004年の回顧と2005年の展望」

    2005年2月23日

    化学品部会長 板垣義実

    1. 2004年回顧

    1)販売額

    回答 14社

    前年比増

    10社

    71%

    変わらない

     

    減少した

    4社

    29%

     

     

    《増加理由》

    ①新商品を多数上市した。

     

     

    ② 03年に得意先の選択と集中を実施し、その効果が現れた。

     

    ③ PIS/COFINS上昇に対抗し値上げした。

     

    ④輸出拡大(自動車用革シート他)

     

    ⑤得意先業界が好調であった。(自動車 ,2輪、家電、包装資材など)

     

    ⑥新規農薬投入、大豆栽培面積増による除草剤等増、大豆さび病蔓延による新規殺菌剤貢献

     

    ⑦スポットでのアルコール輸出が販売拡大に寄与

    《減少理由》

    ①日本製品の競争力低下

     

     

    ②ルーラ政権の混乱による公共入札の遅延

     

     

    2)経常利益

     

    回答 12社

    前年比増

    8社

    66%

    変わらない

    2社

    17%

    減少した

    2社

    17%

     

    《増加理由》

    ①大幅なリストラの効果(輸入販売の化粧品業界)

     

     

    ②ドル安レアル高により差益が発生、原価率の低下

     

     

    ③高付加価値品販売にシフト(商社)

     

     

    ④農薬・飼料添加物への PIS/COFINS免除(農薬業界)

    《減少理由》

    ①主商品の輸入量不足

     

     

    (輸入さえ出来ればいくらでも売れた)

     

     

    ②ブラジルコストと競合メーカー台頭

     

     

     

     

     

     

    3)販売経費

    回答12社

    前年比増

    8社

    67%

    変わらない

    1社

    8%

    減少した

    3社

    25%

     

     

     

     

     

     

    《増加理由》

    ①解雇費用・人件費(5社)

     

    ②無償添付、販売普及費の増大(接着剤・農薬業界)

     

    ③運賃、代理店手数料高騰 (筆記具、接着剤業界)

     

    ④設備投資、営業・研究員の増員(香料)

    《変わらなかった理由》 ①インフレ調整分の人件費増をリストラと経費削減でカバー

    《減少理由》

    ①事務所、倉庫を郊外に移し1ヶ所に集約化

     

    ②リストラ( 2社)

     

     

     

     

     

    4)製造経費

    回答7社

    前年比増

    5社

    72%

    変わらない

    1社

    14%

    減少した

    1社

    14%

     

     

     

     

     

    《増加理由》

    ①原材料費値上がり

     

    ②設備・保守費

    《減少理由》

    ①為替安定

     

    ②非関税・非 ICMS

     

     

     

     

     

     

     

     

    5)顧客からの要求事項

    回答8社

     

     

     

     

     

     

     

    ①品質管理、 ISO/TS16949の認証取得

     

    ②有害物フリー商品の開発

     

     

    ③価格・数量の安定供給(過去2~ 3年は特に不安定であった)

    ④日本製品からの脱却

     

     

     

    ⑤輸入在庫販売、低価格化、小口配送、短納期

    ⑥新規素材による差別化商品の提供

     

    ⑦値下げ(中国製など Generic品と比較される)

     

    2.2005年の展望について

    1)販売額

    回答14社

     

    回答 12社

    前年比増

    13社

    93%

    変わらない

     

    減少する

    1社

    7%

     

    《増加理由》

    ①主力競合メーカーのブラジル撤退。

     

    ②マーケティングコストの積極投入

     

    ③新規輸入材の増加

     

     

     

    ④自動車、 2輪、家電業界の好調さの持続

     

    ⑤未染手業界への販売拡大と新規用途開発

     

    ⑥ブラジルの景気が持続すると期待

    《減少理由》

    ①アルコールの高価格化により輸出量減少

     

    2)経常利益

    回答13社

     

    前年比増

    10社

    77%

    変わらない

    2社

    15%

    減少する

    1社

    8%

    《増加理由》

    ①売り上げ増、取扱量の増加

     

     

     

     

    ②販売コスト見直し削減

     

     

     

     

    ③新規輸入材の増加

     

     

     

     

    ④ドル安による輸入原材料のコスト減少

     

     

     

    《変わらない理由》

    ①原材料の値上げ、人件費アップ

     

     

     

     

    ②大口顧客へはローカルコスト削減のため直接輸出対応

    (農薬、殺虫剤)

     

     

     

     

     

     

     

    《減少理由》

    ①海外調達が多いため、為替の影響で仕入れが圧迫される

     

    回答12社

    3.ルーラ政権の政策について

    過去 2年間の評価

    良かった

    2社

    17%

    概ね良かった

    8社

    67%

    業績に悪影響

    2社

    16%

     

    《 PIS/COFINS 》

    ①価格に転嫁せざるを得なかった。( 2社)

     

     

     

    ②未だ一部業界への対応のみで全体が享受していない (1社)

     

     

    ③農業関連商品としてはゼロ政策が取られコスト面で大幅良化

     

    《 Selic金利》

    ①未だに銀行の貸出金利が非常に高く投資意欲減退 (1社)

     

     

    ② 03年末26.5%であったのをコントロールして低下させた手腕

     

    《最低賃金》

    ①人件費削減をした。 (1社)

     

     

     

    《輸入拡大》

    ①農業関連は世界的な追い風により良好。ルーラ政権の手腕? (1社)

     

    ②農産物・天然資源中心に輸出増を図った。

     

     

     

    ③国内品薄によりあるにチューブなど値上がり(1社)

     

     

     

    ④自動車、農作物など輸出好調業界の追い風に乗り売り上げ増。

     

    《インフレ》

    ①概ね良好 (1社)

     

     

     

     

     

    ②社員の給与調整に影響( 2社)

     

     

     

    《その他》

    ①為替変動、ドル安により損失( 1社)

     

     

     

    ②移転価格税制は農薬業界にとって投資のボトルネックになっている

     

    2) 2005年度ルーラ政権に期待すること

    回答13社

    1)現在の政策の継続

     

    2)金利低下による国内経済の活性化

    3)為替の安定化

     

     

    4)諸制度のグローバルスタンダード化

     

    回答7社

    《為替政策》

    ①現在のレアル高は輸出産業(農作物 ,鉄鋼関連、自動車など)に悪影響

     

    ②変動範囲を5%以内に (①、②合わせて5社)

     

     

    《 Selic金利》

    ①金利の引き下げによる市場の活性化( 4社)

     

     

    《税制》

    ①税制改革〔税金が高く税制が複雑すぎる〕(5社)

     

     

    《諸制度》

    ①諸制度(薬事登録、原産地証明など)グローバルスタンダード化。労働法改正(4社)

    《通関》

    ①通関業務の迅速化( 2社)

     

     

     

    《インフレ率》

    ①インフレ率抑制(人件費、原材料費が上がらないように) ( 2社)

    《その他》

    ①現在のオーソドックスな景気浮揚政策の継続と安定化( 3社)

     

     

    ②移転価格税制改善と治安の改善

     

     

     

    4.商工会議所活動について

    1)商工会議所に対する提案

    回答 3社

     

     

    ①全進出企業への資料配布の徹底(社長止まりでなく)

    ②各社の中身の詳しい紹介 (会議所ホームページで?)

    ③会員間でのビジネスチャンスを討議できる場を提供する

    ④業界のビジネス上の問題点を集約し、ブラジル政府に是正していただく

    ⑤紹介した現会員へのインセンティブ(会費割引制度など)

     

    回答8社

    2)化学部会に対する提案

    回答 4社

    ①化学品業界の問題点を集約し、会議所を通じてブラジル政府に是正をお願いする

    ②もう少し柔らかいテーマの部会開催(人事制度、業績評価などの意見交換)

    ③関連ある業界・部会との交流(食品、紙パ、自動車、家電など)

    ④ゴルフ以外の催し物(飲み会、ブラジル化学会社訪問)

     

     

    ⑤会員になることによって有効な情報入手が可能になることのアピール

     

    ⑥会員会社(製造会社)の工場訪問機会を設ける

    ⑦部会参加者を増やすために、登録会社さんに地道にお誘いするしかない

     

     

     

    会員会社創業年数

    1-10年

    1社

    化粧品輸入販売

     

     

    20-30年

    2社

    製造販売・商社各1

    回答 13社

     

    31-40年

    4社

    製造販売

    商社さんが先鞭つけて

    41-50年

    3社

    商社

    製造業が後から進出

    51-70年

    3社

    商社2・製造販売1

     

     

    業務内容

    商社

    5社

    製造販売

    7社

    〔筆記具・文房具1、革製自動車用シート・革製靴パーツ1、自動車用タイヤ1、革製靴1、自動車タイヤ1農薬・殺菌剤1、

    回答 14社

     

     

     

     

    食品香料1、接着剤1、着色剤1〕

     

     

     

    輸入販売

    2社

    〔農薬・殺虫剤・飼料添加物1、化粧品 1〕

     

    顧客層

    回答 13社

    2輪・自動車

    3社

     

    衣料品・繊維

    2社

    3社

    2社

    電装品

    1社

     

    食品

    電気電子

    3社

     

    金属・鉄鋼

    農畜産

    5社

    石油化学業界

    1社

    一般消費者

    2社

    文房具

    2社

    化粧品

    2社

    プラスチック

    1社

     

    国際規格認証取得

    ISO 9001/2000

    4社

     

     

    ISO 14001

    5社

     

     

    TS-16949

     

    2社

     

     

    HACCP、GMP

    1社

     

     

  • 機械金属部会


    佐原忠士部会長(川崎重工業)

    司会

    あの前半の最後になりましたけれど、機械金属部会の発表ということで川崎重工の佐原さんにお願いします。

    佐原

    はい、前半部分の最後のパートを受け持ちます機械金属部会の佐原でございます。だいぶん、時間も過ぎてますようですので、要約だけ簡単にやりたいと思っております。

    2004年の回顧では高い生産稼動率で好調を維持

    一番、共通テーマ。2004年の回顧と2005年の展望。まず2004年の回顧全般。昨年度は年初より前年度、2003年に比較して経済が比較的良くなる との見通しのもと、産業全般につき、よいスタートで始まった。後半に入り工業分野の経営環境に関する調査結果でも事業の見通しは良好との回答が主流であっ た。最終的に通年ではレアル高による輸出の減少をカバーして、好成績を残すほど国内需要が増加し、生産部門にて高い稼働率を維持することになりました。と いう全般的な感想でございまして、まず1分野。

    製鉄・鋼材分野。全体として生産部門の高稼働率が続き、非常に活性化していた。鋼材の国内販売は対前年度比16・2%の増加、総量では1790万トンであった、輸出は7・3%の減少である。国内価格レベルは総じて、国際相場より弱冠安い傾向にある。

    二番目、電力・エネルギー分野。昨年始め、政府の発電計画及び電力料金に関する方針が公表されて以後、民間レベルによる天然ガス火力発電投資計画、IPP が頓挫した。経済活動の活性化による電力消費も増大しており、2006年以降の電力供給が需要に追いつかない危惧が出始めた。

    三番目、新規大型プラント分野。製鉄、紙・パルプ及び石油精製分野での大型案件での成約があった。政府が進めるPPP案件に注目している。日本のメーカーが主体的に参画できるのか、今後見極めることが必要となる。

    四番、重機械、製缶分野。石油化学及び製鉄、アルミ分野にて、器機の発注特にタンク、熱交換器の成約があった。契約があったということです。

    五番目、農業機械分野。好調なアグロ・ビジネスを背景に農業機械業界も極めて好調であった。しかし国内市場での販売の頭打ち現象と好調な輸出が顕在化し、二極化してきたわけですね、結果として総生産額では12%の増加となった。

    六番目、精密測定機器及び金属加工油分野、ブラジルにおける製品品質管理に対する認識の向上により販売が伸びている。約18%売上ベースで伸びた。輸出で は米国経済が回復し、受注が飛躍的に伸びている。さらに南米全体でも測定工具に対する需要が強くなった。加工油は金属加工業者の製造量に比例し、消費量の 拡大により対前年度比にて製造量が11%増えた。

    精密・切削工具部門では3交替24時間操業で、生産即売上げで創業以来の大商いが続いている

    七番目、一般産業向け、工具・ネジ及び軸受け分野。通年で顕著な右肩上がりの好況を持続していた。その分野の中で精密・切削工具。前年度比にて売上は 40%、製造面では二十四時間稼動状況が継続している。一部に品不足になり、生産即売上につながる状況であった。生産設備の増強が必要になる。電動工具、 下期より建設市場が上向き、地方、特に北東部および南部での販売促進が効を奏して50%の売上につながった。50%増の売上につながった。

    ネジ。国内景気の回復により、自動車部品向けで前年比約40%増、電子機器向け15%の伸びがあった。販売価格では鋼材の値上がりを製品価格に転嫁した部 分が大きく、約40%の伸びになった。最後に軸受け。世界的に好調で中国やアメリカの好景気により、自動車、鉄鋼、電気、建機、工作機械などでの生産拡大 により、一時的に品不足状況に陥った。ブラジル市場でも需要が強く、輸入は前年度に比して約27%増、輸出も約31%であった。また、他の産業と同様にブ ラジル生産工場の輸出基地化が進んでいる。

    ということで2004年度の回顧といたしましては、もうすでにあらゆる分野で述べられたごとく好調であったという報告が各分野でなされています。

    次に今年2005年度の展望。

    一番目、製鉄・鋼材分野。生産は粗鋼ベースで微増、2.1%の3360万トンを見込む。販売構成は自動車鋼板を中心に農業、電気、インフラ向け等の需要が 強く、鋼板ベース、シャッパ、板ですねについては全体で対前年同比、1・2%の伸びにとどまるが、国内向けには6・1%増加し、輸出は19%減になる。

    二番目、電力・エネルギー分野。天然ガス料金の高止まり、電力料金の抑制により発電部門の民間投資IPPは消極的な状況が継続する。ただし電力送電及び変電システム等の強化計画により、大容量の送電用変圧器の需要が拡大した。

    大型プラント分野では、大型公共事業に期待

    三番目、新規大型プラント分野。経済の好調維持のもとに、大型プロジェクトの推進を期待している。公共事業としてのサンフランシスコ川分流プロジェクト、ペトロブラス社の石油精製プロジェクト、さらにCVRD社のマラニョン新規一環製鉄所に期待している。

    四番、重機械・製缶分野。引き続き増産意欲旺盛な、紙・パルプ業界での案件に期待している。特に大型回収ボイラー等。

    五番目、農業機械分野。過去三年間好調だったアグリビジネスも今年は減速・後退が予想される。輸出は維持されるが、国内販売は相当ダウン予定。

    六番、一般産業向け工具・ネジ及び軸受け分野。一番、精密・切削工具、GDP成長率予想3・5%、鉄工業成長率4・6%と対前年度比スローダウン、自動車 生産も230万台の微増の予想で、切削工具の販売は多くを期待できない。従って、大きく伸ばすことは期待できないが、若干の数量増を考慮して、5~20% 程度の増を見込む。

    電動工具、現ルーラ政権が取り組みを発表している公共事業計画等により、販売環境が昨年より大幅に落ち込む要因はない。またブラジル工場を中南米の核として、輸出拡大に期待。

    ネジ。経済の好調さ持続との予想により数量面で若干の増加を期待し、4%を見込む。軸受け。昨年度の景気予想見直し、昨年度末の景気予想見直しにて3・ 5%程度と下方修正された。世界的には中国経済に対する警戒感等の不安要因を抱えていることもあるが、ブラジルの高金利政策と突出したレアル高により国内 消費と輸出も冷えてしまう心配がある。材料値上げの問題は、今年に入ってさらに深刻になっている。既にブラジルコストは国際価格を上回り始めており、投資 計画の見直しなどが必要になってきている。

    2005年の展望は、高金利政策の継続と材料費の高騰で弱含みとなり、晴天から晴れ時々曇りの予想

    全般的コメント。積極的に景気を牽引してきた業界が本年度は弱含みになってくる予想である。本部会関連では材料費の高騰、及び高金利がネックとなる、という判断をしております。

    ブラジルコストの解消が早急の問題点

    次のテーマ、個別テーマにつきましては一番、FTA関連。重工業は高い国内税に苦しんでおり、関税にて外国勢を何とかしのいでいる状況である。FTA実現の前に国内税の見直しをしないと、競争力がそがれ、重工業はとても成り立たない恐れがある。

    一番目、材料費。鋼材を多量に使用する機会分野にては鋼材価格を製品に転嫁するのでは、競争力がなくなる。さらに鋼材の供給不足には対応の方法がない。従いまして安定供給を確保することが肝要であります。

    二番目、金利・為替。レアル高と金利高については頼みの輸出も期待できなくなる。

    三番目、税制。COFINS及びICMSの税制改革を期待したい。

    四番目、法令治安。労働法、治安の改善加速を要請。早いこと改善していただきたい。

    五番目、移転価格。輸入した高機能部品を組み込んだ機器を輸出するに際して、ドル建て価格を現地通貨に換算した売上金額が落ち込み、採算目標値を割る現象があり、移転価格問題が浮上してくる。本問題が輸出促進の阻害要素になり始めた。

    全般には工業製品に関する、工業製品全般に関連するがブラジル国内市場だけを対象とした投資事業は昨今のグローバル化した経営的判断では成り立たず、当然 輸出比率の向上を目標としなければならない。従いまして、今個別テーマの項目で述べました問題、特にブラジルコストを迅速に解消しなければ新規投資は期待 できないものと判断します。というなかなか辛口の結末になっております。以上でございます。

    司会

    ありがとうございました。回顧の方は絶好調だったのですが、ちょっと展望の方は少し暗い部分が出てきたなという形であったと思いますし、ブラジル政府への 提言という所でも色々と意見が出ております。今日は色々と出てくるかとは思いますが、私ども総務委員会と一緒になってですね、どういう風にしていくかまた 考えたいと思います。今日は承っておくということにしておきたいと思いますが、何かご質問ありますか。はい、金岡さんどうぞ。

    金岡

    金岡です、さっきのFTAの絡みで敬愛するその佐原さんに答えにくい質問をして恐縮なのですが、先日、貿易部会でも話題になったんですが、日伯FTAをど ういう風ですね促進したらいいかという中で、やはり具体的なその日伯FTAが出来ずに先にEUとのFTAだとか、あるいはFTAAこれ二年ぐらい遅れるの ではないかといわれていますが、これが先に出来た時にですね、日本の進出企業がどういう風な被害を受けるかと、こういう説得力があるというか、迫力のある そういうようなことが出てこないとなかなか両国政府も動きにくいのじゃないか、特に日本側ですけど。

    さっきのFTAの絡みなのですが、そういったものが先に出来た場合、日本の企業というのは色んなプラントの入札案件に日本から参加する場合もありますし、 すでにこちらに進出している企業が内国企業として対応する場合もあるので、なかなか複雑なのですが、製鉄と重工、それから発電、あるいは通信プラントそう いった奴でですね、具体的にどのような影響が出るかなと。まあその相手方のその国の奴がですね、関税が提言する、あるいは、政府の入札においては内国扱い になるといったことですが、その辺の具体的な姿が見えないので、もう少し佐原さんにその辺をご説明いただきたいな、とそういう風に思います。

    佐原

    非常に大きなテーマでありまして、この短時間の間でお答えするのは非常に難しいテーマかと思います。ただ、私が経験した、実は99年のレアルの大幅な切り 上げの時ですね、あの時いろいろヨーロッパ勢と国際入札をやっていて、ブラジルマーケットでの調達した今言う、その進出してきている日本の重工業メー カー、または提携しているところのお金とですね、それから第三国調達。例えば韓国から重機械を輸入して持ってくる、そういう比較をした時に1ドル1・2レ アル、の切り下げる前の状態では海外から持ってきたほうが競争力あったのです。

    それでレ アルの切り下げで1・2から2・4、極端に言えば倍になった時点で国内の高い税金を付加した国産機器の値段と、輸入税も支払って海外で調達した、第三国調 達した奴との値段が大体バランスしたんですね。だから今それが2・65という格好の状況になっていますね。ですからそういう意味で今言う価格レベルがどち らかに向いておると。ただ、今我々が我々の分野で主張している重工業、材料、加工、工場、全ての面でその税金が高いという格好からしますと、ブラジルでの 重工業政策は今のところ、その具体的に計画した長期ビジョンがないのじゃないか、というのを危惧しています。

    またこれ別の大きな話でFTAが日本とブラジルの間で締結される前にヨーロッパ、またはそのアメリカ、もしそれが締結した場合に、海外から直接投資すると いう面からすれば、かなりその先に進出した部分とか、税金とか、関税とかいう部分がありますけど、ブラジルのマーケット市場、特に工業分野で見た場合に、 本当に長期投資して魅力のあるマーケットであるか、そのスケールメリットがそれだけあるのかというのが問題になるわけですね。

    60年、いや80年代の時はブラジルの三次拡張計画で、非常に新規案件がありまして、日本の重工業メーカーが非常に熱心に進出した。しかし今2000年に 入ってブラジルの工業製品に対するマーケットの大きさ言うのが本当に海外から進出するに魅力あるものなのだろうかというのを私、ちょっと危惧しておりまし て、逆にブラジルを通してヨーロッパ、アメリカにそういう製品がはけるということになれば、それだけブラジルの市場プラスヨーロッパへの輸出いう格好が重 なれば、それだけ大きなマーケットになるのかな、とも考えたりしております。

    だからそう いう意味で弊害だけでなく、逆に日本とFTA結ぶ前にヨーロッパとFTAを結んで、ブラジルのマーケットが進出するためにより魅力あるマーケットになると いうのも一つの見方かなと考えております。まあ、色々問題もあるでしょうけど。ちょっとざっくばらんなお話で申し訳ないのですが、そういうことで。

    司会

    何か他にご質問ありますか、なければちょっと相当、押しておりましてここで一旦、休憩に入りたいと思います。10分ほど休憩して、今私の時計で4時10分なので4時20分にまた開始したいと思います。(休憩へ)

     

     

    共通テーマ「 2004 年の回顧と 2005 年の展望」

    2005 年 2 月 23 日

    機械金属部会長 佐原忠士

    2004 年の回顧

    昨年度は年初より前年度( 2003 年)に比較して経済が比較的良くなるとの見通しのもと、産業全般につき良いスタートで始まった。後半に入り工業分野の経営環境に関する調査結果でも事業の 見通しは良好との回答が主流であった。通年ではレアル高による輸出の減少をカバーして好成績を残すほど国内需要が増加し生産部門にて高い稼働率を維持す ることになった。

    1- 製鉄・鋼材分野

    全体として生産部門の高稼働率が続き非常に活性化している。鋼材の国内販売は、対前年度比 16.2 %の増加( 17.9 百万トン)であった。輸出は 7.3 %の減少である。国内価格レベルは総じて国際相場より若干安い傾向にある。

    2- 電力・エネルギー分野

    昨年始め、政府の発電計画及び電力料金に関する方針が公表されて以後、民間レベルによる天然ガス火力発電投資計画( IPP )が頓挫した。経済活動の活性化による電力消費も増大しており、 2006 年以降の電力供給が需要に追いつかない危惧が出始めた。

    3- 新規大型プラント分野

    製鉄、紙・パルプ及び石油精製分野での大型案件での成約があった。政府が進める PPP 案件に注目している、日本のメーカーが主体的に参画できるのか、今後見極めることが必要になる。

    4- 重機械・製缶分野

    石油化学及び製鉄・アルミ分野にてタンク・熱交換器の成約あった。

    5- 農業機械分野

    好調なアグリ・ビジネスを背景に農業機械業界も極めて好調であった。しかし国内市場での販売の頭打ち現象と好調な輸出が顕在化し、結果として総生産額では 12 %の増加になった。

    6- 精密測定機器及び金属加工油分野

    ブラジルにおける製品品質管理に対する認識の向上により、販売が伸びている( 18 %)。輸出では米国経済が回復し受注が飛躍的に延びている。更に南米全体でも測定工具に対する需要が強くなった。加工油は金属加工業者の製造量に比例し、 消費量の拡大により対前年度比にて製造量が 11 %伸びた。

    7- 一般産業向け 工具・ネジ及び軸受け分野

    通年で顕著な右肩上がりの好況を持続している。

    -精密、切削工具

    前年度比にて売上は 40 %増加、製造面では 24 時間稼動状況が継続している。一部に品不足になり、生産即売上状況であった。生産設備の増強が必要になる。

    -電動工具

    下期より建設市場が上向き、地方で特に北東部、南部での販売促進が効を奏して 50 %の売上に繋がった。

    -ネジ

    国内景気の回復により、自動車部品むけで前年比約 40 %増、電子・電気むけで 15 %の伸びがあった。販売価格では鋼材の値上がりを製品価格に転嫁した部分が大きく、約 40 %の伸びになった。

    -軸受け

    世界的に好調で中国や米国の好景気により、自動車、鉄鋼、電気、建機、工作機械等での生産拡大により、一時的に品不足状態に陥った。ブラジル市場も需要が 強く、輸入は前年度比にて約 27 %増、輸出も 約 31 %増であった。また他の産業同様に、ブラジル生産工場の輸出基地化が進んでいる。

    2005年の展望

    1- 製鉄・鋼材分野

    生産は粗鋼ベースで微増( 2.1 %)の 33.6 百万トンを見込む。販売構成は自動車鋼鈑を中心に農業、電気、インフラ向け等の需要が強く、鋼鈑ベースにては全体で対前年度比 1.2 %の伸びに止まるが、国内向けは 6.1 %増加し、輸出は 19.0 %の減になる。

    2- 電力・エネルギー分野

    天然ガス料金の高止まり、電力料金の抑制により発電部門の民間投資 IPP は消極的な状況が継続する。但し電力送電及び変電システム等の強化計画により、大容量の送電用変圧器の需要が拡大する。

    3- 新規大型プラント分野

    経済の好調持続の基に大型プロジェクトの推進を期待している。

    公共事業としてのサンフランシスコ河分流プロジェクト、ペトロブラス社の石油精製プロジェクト、更に CVRD 社のマラニョン新規一貫製鉄所に期待している。

    4- 重機械・製缶分野

    引き続き増産意欲旺盛な紙・パルプ業界での案件に期待している。大型回収ボイラー等。

    5- 農業機械分野

    過去3年間好調であったアグリ・ビシネスも今年は減速・後退が予想される。輸出は維持されるが国内販売は相当ダウンする予想。

    6- 一般産業向け工具・ネジ及び軸受け分野

    -精密・切削工具

    GDP 成長率予想 3.5 %、鉱工業成長率 4.6 %と対前年度比スローダウン。自動車生産も 230 万台の微増の予想で、切削工具の販売は多く期待できない。したがって大きく伸ばすことは期待できないが、若干の数量増を考慮して、 5~20 %程度の見込み。

    -電動工具

    現政権が取り組みを発表している公共事業計画等により、販売環境が昨年より大幅に落ち込む要因はない。またブラジル工場を中南米の核として輸出拡大に期待。

    -ネジ

    経済の好調さ持続との予想より数量面で若干の増加(4%程度)を見込む。

    -軸受け

    昨年末の景気予想見直しにて 3.5 %程度と下方修正された。世界的には中国経済に対する警戒感等の不安要素を抱えている事もあるが、ブラジルの高金利政策と突出したレアル高により国内 消費と輸出も冷えてしまう心配がある。材料値上げの問題は今年に入ってさらに深刻になっている。既にブラジルコストは国際価格を上回り始めており投資 計画の見直しなどが必要になってきている。

    ** 全般的コメント 積極的に景気を牽引してきた業界が本年度は弱含みになってくる予想である。本部会関連では材料費の高騰、及び高金利がネックとなるか。

    1) 個別テーマ

    1- FTA 関連 : 重工業は高い国内税に苦しんでおり関税にて外国勢を何とか凌いでいる状況。 FTA 実現前に国内税の見直しをしないと競争力が削がれ、重工業はとても成り立たない恐れがある。

    2- 材料費  : 鋼材を多量に使用する機械分野にては鋼材価格を製品に転化するのでは競争力がなくなる。更に鋼材の供給不足には対応の方法がない。安定供給を確保することが寛容だ。

    3- 金利・為替 : レアル高と金利高にては頼みの輸出も維持できない。

    4- 税制   :  Cofins 及び ICMS の税制改善。

    5- 法令・治安 :労働法&治安の改善加速を要請。

    6- 移転価格  :輸入した高機能部品を組み込んだ機器を輸出するに際して、ドル建て価格を現地通貨に換算した売上金額が落ち込み、採算目標値を割る現象があり、移転価格問題が浮上してくる。本問題が輸出促進の阻害要素になり始めた。

    * 工業製品全般に関連するがブラジル国内市場だけを対象とした投資事業は昨今のグローバル化した経営的判断では成り立たず、当然輸出比率の向上 を目標としなければならない。上記の問題(ブラジル・コスト)を迅速に解消出来なければ新規投資は期待できない。

     

     

  • 繊維部会


    二宮徹部会長(東洋紡)

    司会

    それでは皆様、そろそろお集まりいただいたところで、今日の司会、時間のマネージあまりうまくなくて、どんどん遅れに遅れておりますが、それはそれなりに 面白い議論でいいじゃないかという話もあって、まあそんな感じでもう開始させていただきたいと思いますが、次はですね線維部会からの報告ということで東洋 紡の二宮さん、お願いいたします。

    二宮

    東洋紡の二宮でございます。最初にですね、ご存知ない方もおられると思うので線維部会を構成している会社の概要を若干説明しますと、中核は日系の紡績の8 社です、それにシルクをつくっている会社、それから今日、平松さんお越しになっていますけど、衣料品を輸入して販売している会社、それから石川さんところ のYKKですね、ファスナーをやっている。こういうような形の構成です。全部で11社か12社程度です。

    お蔭様で昨年に続いて好調を維持し、1年を通して快晴だった

    2004年の話、回顧から入るわけですけど、まず業界の規模から申し上げますと、アビッチ、ブラジル線維縫製工業協会というところがあるのですが、そこの 資料によりますと2004年の線維の売上高はですね250億ドルということであります。先ほど来から、貿易収支の話ありますけども、線維縫製品のですね貿 易も6・6億ドルの黒字ということであります。輸出規模が約21億ドル、それから輸入が約14億ドルということですね、ああ7億ドル、ちょっとはしょりま したので7億ドルとこういう形になります。主な輸出先はアメリカですね、次にアルゼンチンということです。主な輸入先は中国、次いでアメリカとこういうの が業界の規模であります。

    2004年の回顧ですけど、まあ前回の時にですね非常に景気の いい話をしましたけど、幸いに好調は持続しまして、ただ12月では若干尻すぼみになったかなということです。まあ前回言ったのと同じことを若干繰り返しま すけど、カーニバル明けのですね3月ごろから夏物や、秋物というのが少し良くなりまして、特に5ないし6月の寒波襲来で一気に売れ行きが好転した。それに 引き続いて、クリスマス商戦までは何とかいったという形であります。それから、恒例のリキダソンも1月から実施されているわけですけど、これもまあまあと いうような話を聞いています。この1月というのは、今年の1月。

    昨年10月の地方統一選挙では、お馴染みの T シャツ特需となった

    それから分野別に見ますと、まず紡績糸。日系紡、先ほどいいましたように8社ありまして、これが中核ですけれども、線維小売市況の好調さと、昨年は地方選 挙がありまして、そのTシャツ特需がございます、そういうことを受けて織物、ニット業者や織物生産業者の稼働率が一年を通じて、よかったわけで、従って我 々の糸も良く売れた、とこういうことになります。

    それから採算的には、綿花が昨年の初め に非常に高かったのですが、3月ぐらいから急速に値下がりして、これは国際的な一つの需給バランスの問題、特に中国の買い控えが大きかったが、それで年末 にかけて綿花価格が急落した。それに比較して綿糸の価格は、高止まりというか少しずつ下がってきた。という形で採算的に非常に良かった。数量的にもよかっ たし、価格的にもよかったということで綿紡の会社は好決算である、ということで多分各社とも2000年以来の好業績ではないかということであります。

    ファスナー部門も絶好調で売上げ30%増加

    それから、あと羊毛紡績というのがあるのですが、これもまあそういうことでよかったと聞いています。それから絹糸、ほとんど日本向けですが、これも久しぶ りに昨年はよかった、というような話があります。それから生地、縫製品の生産販売動向ですけども、これはですねYKKのファスナーは相変わらず好調でいつ もうらやましいけども、対前年30%の伸びで良かった、とこういう話を聞いています。

    それから輸入製品も当初、5月からPIS/COFINSが課税されるので、採算的に苦しくなると言われていたけど、途中からレアル高になり一転して採算が好転して売れ行きも好調で、先憂後楽となったようであります。

    それから、綿花の動向ですけど、この線維部会では綿花を商売にしているところはありません。けれども我々自身の原料の中で、綿紡の場合はコストの60%ぐ らいを占めるので、これ大変に大事なことですが、世界の綿花生産というのは中国・アメリカで全体の43%です。国内消費は中国が33%。昨年は、あの中 国、米国とも記録的増産であってかつ中国は金融引締めで輸入が伸びずに、価格の急落、在庫アップの結果となった。

    ブラジルの生産は大体125万トン、昨年は125万トンでありました。うち輸出制約が40万トンあったが、お決まりのインフラ不備で出荷が遅れている間 に、海外で、その値段が下がりましてですね、海外の引き取りも鈍って、色んな要素があって出荷が出来ない部分があって、まあ出来たのは20万トンぐらいか なというようなことでありました。

    国内供給過剰となった結果ですね、ブラジル国内の一番 綿花のエザルキという指数があるのですが、この指数が最低限になって現在はエザルキという指数の一定の数値を下回ると国家が買い支えるとこういう制度があ るんですけど、こういう制度が始動というか動き始めたほど、下がってきています。これは、我々にとってはいいわけですが、他方、この指標が国内の糸を買う 時の購買者の一つの指標になっていまして、これが下がれば、糸にも値切られるということでまあいいところもあり、悪いところもあるということです。

    2005年の展望は、小売業の資金繰りの好転や最低給の調整や失業率の低下で好調が期待できる

    2005年の展望ですが、まず線維の小売市況としては、夏物商品の売れ行きは例年並ながら、小売店の資金事情はかなり好転していると聞いていますので、2 月3月ごろからの秋物商品の店頭導入もスムースに行くのじゃないかな、と。これは期待です。あとですね最低賃金が300レアルに上がるとかですね失業率が 改善しつつあると、こういうことは線維小売にとっては年間を通じまして、追い風になることは間違いないと思います。従いまして、国内の小売市況が昨年並み の好調を維持してくれるように我々としては、今のところは願望しているということであります。

    それと分野別の展望ですが、小売が好調でも昨年と異なりまして、国内の製品生産業界が好調とは限らない。それはレアル高ドル安ですが、それは輸入製品が増 加します。それから輸入生地糸とか糸も増加します。ということで国内生産品を圧迫すると。それからもう一つは国内のですね製品の輸出もですね落ちてくると いうわけで、我々の糸を使う量が減るのじゃないかという心配をしております。

    繊維業界は昨年末の欧米での繊維製品輸入枠撤退の影響で、中国繊維製品の動向に注視している

    今2・6というような水準はかなりきついのじゃないかと。やはり願望としては3レアイス程度であればまあ、糸の輸出それから製品の輸出もまあまあではない かなと願望しているが、そこまで多分行かないと。先その予測もありましたけども。あとFTAというのがありますが、国際的取り決めの影響については、今年 になって出てまいりました欧米の繊維製品の輸入枠撤廃ということがどういう影響が出てくるかというのが当面の関心事であります。

    皆さんご存知のように中国の縫製品が世界中で圧倒的に競争力があり、ブラジルの輸出市場を取るのではないかという心配が一つ。それから昨年も製品の輸入 が、一年前に比べて169%の増加。また縫製品の輸入が169%増と数字が出ていので、今後ますますそれが加速されていくのではないかというのが心配であ ります。

    日本との FTA 問題では、繊維業界に影響ない

    FTAの問題はですね、先ほどありましたけど日本とのFTAについては、我々の中では一切関係ありません。日本と日本から輸入しているものもないし、日本に輸出しているものもありません。

    綿糸については、我々の綿紡の数字からいうと生産量の80%はブラジル国内で売っていて、残りの20%はメルコスル国、域内に売っているという形なので FTAについては、中国とのFTAを結ばれて関税がなくなるとちょっとブラジルの線維業界は壊滅するんじゃないかという心配はありますけど、多分それはな いと思います。というのは綿花生産の規模が大きいし、政治的にも実力者が揃っているのでそこまではいかないんじゃという風には思います。ただ、さっき言い ましたように欧米のクオーター制の、クオーター枠の撤廃ということが、今年どうなるかなというのが最大の関心事であります。以上です。

    司会

    どうもありがとうございました、何かご質問ありますか。はい、どうぞ。

    赤嶺

    二宮社長、こういう席でお伺いしていいものかどうか分かりませんが、よくこう、噂にといいますか話に上る、副大統領が経営している会社、正確には息子さん が経営している会社はブラジル一の規模の繊維会社と言われていますが、一体どれくらいの規模の会社なのか。彼がズバズバ、中銀総裁に注文つけたりするのも その会社の規模とか実績とかそれが背景にあるからだとも言われていますが、ちょっとジョゼ・アレンカール副大統領の経営していた会社について、少し説明し て、ご存知でしたらお願いいたします。

    二宮

    誠に申し訳ないですけども、今数値もっていないですね。大体、知っているのは紡績と縫製品をやっているということぐらいしか知りません。ただ規模的には 10000人ぐらい抱えているんじゃないかと思うんですけどね。現状では、今日はまあそれぐらいですね。あとちょっと数字調べて、どこかの機会で回答させ ていただきます。

    不明

    従業員16000人

    二宮

    ああそうですね、ありがとうございます。

    赤嶺

    いつか我々がやっているバテ・パッポで紹介してください、お願いいたします、以上です。

    司会

    他にご質問、コメント等、ご意見等ありますか、なければ次に行きたいと思います。

     

     

    共通テーマ「2004年の回顧と2005年の展望」 2005年2月23日

    繊維部会長 二宮 徹

    Ⅰ.2004年の回顧

    1.繊維小売市況

    昨年の衣料品の売れ行きは1年を通じて好調に推移した。カーニバル明けの3月から夏物、秋物と少しずつ売れ行きが良くなり、特に5~6月の寒波襲来で重衣料(ウール等使用の厚手生地物)が、そして軽衣料(綿など使用の下着やシャツ等)の売れ行きがさらに好転した。

    これにより数年來の冬物在庫が一掃されて春夏物の店頭導入もスムースに行われた。尚、クリスマス商戦では家電製品は好調であったが、繊維製品夏物の販売は例年並でありリキダソンも1月から実施されている。

    2. 分野別状況

    (1)紡績糸の生産販売動向

    繊維小売市況の好調さや地方選挙用Tシャツ特需を受けてニットや織物生産業界の稼動率は1年を通じて良かった。従って日系紡績各社の国内販売も1年を通じて好調に推移した。

    綿糸(綿100%糸)は綿花の年初の高価格が年央以降に急落したのに対し、国内紡績糸価格は年末まで下がらず採算も良かった。但し輸出糸は特に下期のレア ル高により数量、採算とも悪化した。 (数量対前年60%)数量減の輸出玉が国内販売に廻ったことにより年末にきて国内市況の悪化を招いた。

    ポリエステル / 綿の混紡糸、ポリエステル100%糸は原油価格上昇の結果ポリエステル価格が上昇(ドル建てで30%程度、 R$ で15%程度)した。紡績糸価格への転嫁は半期遅れの下半期となった。販売量は輸入品の影響で下がりつつある。

    羊毛紡績は原毛相場の安定と国内装飾用途が好調で1年を通じて堅調であった。

    絹糸はほとんどが日本向けであることから、上期の好調さも下期のレアル高と政策的繭値アップによって苦しくなってきた。

    (2)生地、縫製品の生産販売動向

    小売市況の好調を受けて厚地、薄地とも好調であった。ジーンズは国内輸出とも前年に続き好調であり、付属品のファスナーも前年比で30%の伸びとなった。

    輸入製品は当初5月からの Pis,Cofins の課税で採算的に苦しくなると見ていたがレアル高によって、一転して採算が好転し売れ行きも好調で先憂後楽となった。

    (3)綿花の生産量と価格動向

    (綿花は日系紡績にとって単に原料であり、綿花商が取り扱うが日系ではいない)世界の綿花生産は中国、米国で全体の43%を占め、国内消費は中国が33% を占める。昨年は中国、米国とも記録的増産であり且つ中国が金融引き締めで輸入が伸びず、価格の急落、在庫アップの結果となった。

    ブラジルも同様に年初は生産が125万トンと伸び、輸出成約が40万トンできて国内販売より輸出優先の掛け声が高かった。しかし全世界的に供給過剰が明ら かになるにつれ海外の引き取りが鈍り、ブラジルのインフラ不備による納期遅れもあって海外に出荷できず、国内供給過剰となった。結果価格が急落して今や国 買い上げレベルの最低価格となっている。

     

    Ⅱ.2005年の展望

    1.繊維小売市況

    夏物商品の売れ行きは例年並ながら小売店の資金事情はかなり好転しているらしい。従って今後秋冬商品の店頭導入もスムースに行く事が期待されている。

    最低賃金が300 R$ に上がったこと、失業率が改善しつつあること等は繊維小売にとって年間を通じて追い風となるのは間違いない。国内小売市況が昨年並みの好調を維持してくれるよう願望している。

    2.分野別展望

    小売が好調でも昨年と異なり国内の製品生産業界が好調とは限らない。

    大きくはレアル高による輸入製品の増加、輸入生地糸の増加が国内生産品を圧迫する構図が予想される。国内生産品数量が下がれば糸の使用量も下がってしまう。

    3.紡績分野

    レアル安($=3 R$ 程度)にならない限り輸出糸の数量増は期待できない。そして国内の供給過剰感は消えず、糸価格は1年間低位で推移すると思われる。

    昨年と違って大変に苦しい年になりそうだが、幸い綿花は昨年に続き全世界(含むブラジル)で豊作が予想され、加えて中国の輸入量が横這いとの予測で、綿花価格は低位安定のようである。従って採算的には最悪の結果にはならない?とこれも願望である。

    4.その他の分野

    小売店はレアル高が続くと見て今年も中国からの輸入製品の販売に力を入そうである。ファスナー会社は生産の伸び率を昨年比10%程度増と期待している。

     

    Ⅲ.国際的取り決めの影響

    ☆欧米の繊維製品輸入枠の撤廃

    今年から EU,USA の繊維製品輸入枠国別割り当て制度が撤廃される。中国縫製品が圧倒的に競争力がある為、ブラジル国内には次の悪影響が出てくると心配している。

    1. 縫製品(ニット等)輸出の減少→生産量の減少→糸販売量の減少

    2.メーカーが中国等に工場を移転させる→国内縫製基地の縮小→糸販売量の減少

    今のところ国内製品メーカーで危機感を持って対策を打とうとしているのはごく一部。

    ☆ FTA

    中国との FTA で輸入関税が無くなり製品輸入が急増するのを心配しているが今年の問題ではない。

     

     

  • 食品部会


    疋田和三部会長(三井アリメントス)

    司会

    次はですね食品部会の発表ということで三井アリメントスの疋田さんにお願い致します。

    疋田

    三井アリメントスの疋田です。食品部会は今、登録が32社、うち正会員は19社です。

    2004年の各社の業績にはバラツキあり、明暗を分けた

    2004年の回顧では、各社それぞれの業種、商品がかなり多岐に渡っている関係で、全般的に食品部会全体が非常に良いという報告は出来ない状態で、各社状況には若干バラツキがあるようです。良いほうから申し上げていきます。

    調味料市場は数量で前年対比103%、金額で127%と大幅に増大している。混合調味料、味の素のSAZON、又、粉末ジュースの販売が好調に推移して、 前年対比113%の増加。飼料用アミノ酸リジン市場も良好で業績は順調と、非常によい報告が出ております。それから、エキス、工業原料等は日本向輸出です が、これは昨年2004年日本の夏が暑かったせいもあり、非常に好調であった。売上も堅調。ただ、運賃の値上がり、港湾ストライキ、それから恒常的になっ ているブラジルのコンテナ不足等による倉敷料の増加でコストアップが発生した。

    健康食品は世界的には前年対比で31%増、それからヨーグルトも19%増と非常に成長している分野で、ブラジルでも同様に成長傾向にあるが、製品の競合が非常に激化しており、ヤクルトの豆乳製品は前年対比で3・9%程度にとどまった。好調といえます。

    ブラジルの国内コーヒー市場は拡大を持続している

    次は、コーヒー。先ほど大豆の価格が2004年には下落したというお話がありましたけど、大豆に代わって今度はコーヒーの相場が昨年から高騰しています。 2004年は前年に比べて約30%近い価格の上昇となり国内、輸出とも非常に活発な動きになりました。インスタントコーヒーの輸出は数量、単価ともアップ して金額で前年対比28%増、イグアスコーヒーとしては、輸出と国内の販売バランスを取るため国内販売に注力した結果、数量的には輸出は横ばい、国内販売 は数量で30%の増加となった。

    ブラジルの国内のコーヒー市場、これはABICという国 内の焙煎業者協会の統計によれば、前年対比で8・97%の拡大。今ブラジルはコーヒーの消費市場としては米国に次いで世界第2位。生産国としてはもちろん 世界一ですが、消費国としても世界2位の規模を持つ国で、ここ数年、年間5-9%程度の成長を続けている。欧州、日本など先進国のコーヒー消費というのは もうここ10年横ばい状態なので、世界でコーヒーの消費が増えているブラジルは注目を集めている。

    コーヒー業界の大手は更にシェアを拡大している

    このようなコーヒー市場の拡大の中で、三井アリメントスは、数量で15%増加した。コーヒーの主要販売窓口であるスーパーマーケット業界、大手CBD、こ れはポンデアスーカルグループ、エストラとかバラテイロとかいうスーパーのグループ。又、カレフールそしてウオールマートなど。これらの大手が引き続き、 新規開店を続け、昨年は特に東北部での新規店舗の展開が目立った。この動きの中で、コーヒー業界では、大手のスーパーに製品を納入しているコーヒー業界の 大手企業が、さらにシェアを伸ばし、一方で、小さいところのシェアが減っている。いわゆる大手への集中傾向が顕著になっている。

    シュラスカリアではステーキの前菜にスシ、サシミは今や常識、

    比較的好調だった食材としては、ミソ、醤油、日本酒。これは、日本食の定着によるもの。ご存知のとおり、最近は、ブラジル系のレストラン、シュラスカリ ア、でも寿司、刺身などが、普通に置かれている。酒も東山社の提案した新しい飲み方、カイピリーニャ・デ・サケというような形で、従来、日本人が思いつか なかった日本酒の飲み方を提案したことで、それが定着してきている。醤油、日本酒などは売上、数量ともに前年並みを達成した。ただ昨年は石油の値上がりの せいでプラスティック容器、それから原料の大豆等が値上がったことでコストアップがあり、収益を圧迫した。一方で、日本酒の原料である米などの輸入原材料 はレアル高によってコストダウンになり、ある程度コスト上昇を相殺することができた。以上は、東山農産加工の報告。

    即席麺は伸び悩み、倒産メーカーも発生した

    そして、ラーメン。即席麺は、意外とよくない。カテゴリー内の低価格品とか他のカテゴリーからの代替品の消費が増え、即席麺市場の伸びは、極く僅かに止 まった。又、輸入の原料コストはレアル高により低下したが、原油高による石油関連製品の値上がり、運送費の高騰により相殺されてしまった。又、ラーメン業 界では、地方の即席麺、兼業メーカーの倒産も発生した。

    乳酸飲料などの乳製品業界の2004年は10%減と悪天候が続いた

    最後に、乳製品だけ非常に厳しい状況だったようで、ヨーグルト、デザートが前年対比10%減、それから発酵乳、ヤクルトを含む乳酸飲料、これも12%と軒並み減年割れとなった、という報告がヤクルトからあった。

    2005年の展望は、順調な推移が予想されるが、経済のバロメーターであるダンボール箱の売上げが落ちており、警戒が必要

    次に2005年の展望ですが、経済状況は引き続き良好に継続すると思われ、食品業界もほぼ順調な推移が予想される。しかし各商品分野での企業選別、それから企業淘汰は着実に進行していて、業界再編がさらに進むと思われる。

    食品から電化製品に至るまで工業界に製品を供給している、ダンボール箱製造業界の売上げは経済バロメーターであるといわれる。この2005年1月の売上げ は前年比2・4%増となっている。一見、それほど悪い数字には見えないが、2004年の3月―12月までの売上高との比較では4%―15%少ない。これが 市場の冷え込みの兆候とも思われるので注意が必要という報告があるので、参考までに紹介する。

    ルーラ政権の要望として、税制改革、レアル高、インフラの整備やグアルーリョス空港の入国手続きなどに集中

    あとはルーラ政権への要望等。税金、税制の簡素化、インフレの抑制、入国の際のイミグレーション手続き時間短縮などいつもの顔ぶれが並ぶ。それから港湾施 設のインフラ整備もある。それから為替については、メンバー会社の中でも色々あって、今の1ドル 2.6 レアルのレートがコストダウンに役に立っている会社もあるし、輸出企業としては今のレベルはもうほぼ限界であるというコメントもある。私は個人的にはレベ ルは3ぐらいが好ましいと思っている。

    以上が食品部会からの報告です。ありがとうございました。

    司会

    どうもありがとうございました。あのダンボールがインディケーターになるというのは非常におもしろい見方だと思いますけど、何かご質問ありますか。どうぞ。

    山田

    あのこれは私が非常に意外に思ったのですが、ブラジルっていうのがその他の日本とかヨーロッパ、それからアメリカが頭打ちをしているのにブラジルでコー ヒーの消費が増えていると、それからラーメンの売上は一応止まっていると。それは一体何が、そういうことになっているのでしょうか。

    疋田

    コーヒーの消費増は、ブラジル人の生活様式が多様化して、コーヒーの飲み方も変わりつつある。そして、確かにコーヒーの業界で、よりおいしいコーヒーを提 供しようという品質向上運動をここ5、6年一生懸命やっている。それも一つの原因だろうと思われる。ブラジルの伝統的なコーヒーはカフェジーニョ、非常に 濃く入れて、砂糖も最初から入っている、ポットに入っていて小さいカップで飲むというのがありますが、今はショッピングセンターのカフェテリアでは、要す るにお金を払って飲むカフェはほとんどエスプレッソになっている。エスプレッソ用のコーヒーの方が品質的にはよいコーヒーを使っている。従っておいしい。 それにまた、伝統的なカフェージーニョとは違ったスタイルで、より欧米的な流行を感じさせることで、一つの新しい生活スタイルを象徴している飲み物として 受け入れられていると思います。

    山田

    ブラジルの若い人というのはやっぱり増えている訳でしょうか。

    疋田

    コーヒーの消費は、弱年層も増えている。しかし、消費の量からするとやはり伝統的にコーヒーを生活習慣の中の一つとしている年齢層、40代、50代、60 代の消費の方が絶対量としてまだ多い。次に即席麺については、私は専門ではないので詳しくは分かりませんが、リポートによれば、同業者による競合、市場で の競争が激しすぎて市場全体が伸び悩んでいる。お互いに足を引っ張り合っているという報告です。

    山田

    分かりました、どうもありがとうございます。

    司会

    ほかにご質問等ありますか。どうぞ。ちょっとすいません。翻訳が出来ないんで。

    岡田

    2008年の北京オリンピックとそれから2010年の上海万博ですね、中国人はお茶を飲んで我々もお茶を飲むのですが、もし中国人がですね、別に僕は13 億とはいいませんけど、1億2億でいいのですが、コーヒー一杯ずつ飲むとものすごい量が増える。特にオリンピック、万博で外国人が行くしですね、中華料理 だけでなく、何と言うかなほかのホテルでも出すわけで、食品部会特に、三井アリメントスやそれからあのカフェイグアスでは「中国シフト」というのをね僕は やっておられると思うのですが、一端でも披瀝していただければ、商工会議所としては明るい話かなと思っているす。

    やっぱり中国人にコーヒーを飲ませるということは、私は先輩から、「中国人にもっと豆腐を食わせろ」と30年前に言われたけどもやっぱり、人間の人数が多 いということが非常に。それからコーヒーは嗜好品ですからね、はっきりいって毎日飲まなくたっていいわけですから、安いから飲むというわけじゃないのです ね。だからそういう意味じゃあ、はっきりいって今、為替3.0のほうがいいと。そりゃもっと儲かるっていわれて、多分社長は2.2でもいいのじゃないかな と思いますけどね。コーヒーは安いから飲むってものでもないと思いますが。ただ、中国人に一杯でも飲ませるという作戦があれば、一言で言っていただけれ ば、今回の商工会議所のあれが前向きになるかな、と思いますけど。

    疋田

    中国というのは一旦動き出すと、世界の需給環境を全く崩してしまうほどのパワーを持っている。これは、既に大豆の実例を見ている。 SECAFE という輸出業者の協会があり、ここは既に積極的に中国への働きかけを始めている。これは製品の輸出でなくてコーヒー生豆の中国向けの輸出ということ。彼ら のリポートを読んでも人口13億人の市場に対して、皆が注目していることは間違いない。

    私は、ほぼ10年前に中国市場のコーヒーの可能性を調べに中国を二回ほど訪問した。あの10年前と今を比べれば消費は間違いなく着実に伸びている。しか し、世界の需給のバランスを崩すほどにはまだ伸びていないのが現状。実際には日本のコーヒー業者も中国には進出している。焙煎業者も、コーヒーショップ業 者も上海とか北京に店を出してやっている。

    又、ネッスルは20年以上前から中国に工場を 作って、インスタントコーヒーを生産しているし、ゼネラルフーズも16、7年前に工場を作ってインスタントコーヒーを生産している。中国は世界中が既に注 目している市場だ。要するに時間の問題だと思う。いつ化けるか、それが3年後なのか5年後なのか、10年後なのか。それはちょっと私にはまだ分かりませ ん。すみません。

    司会

    ガードの効いたコメントでどうもありがとうございました。それでは次に電子電気部会ということでソニーの板谷さんにお願いいたします。

     

     

    共通テーマ「2004年の回顧と2005年の展望」

    2005年2月23日

    食品部会長 疋田和三

    1. 2004 年回顧

    2004 年マクロ経済情勢は概ね安定しており、消費者需要も堅調に推移した。

    調味料市場は数量で前年対比 103 %、金額で 127 %と伸長。混合調味料(SAZON)や粉末ジュース(REFRESCO MID)の販売が順調に推移、前年対比 113 %の増加。飼料用アミノ酸のリジン市場も良好な市場環境継続し、業績は順調。MSGバルクも国内ユーザーの需要良好で好調。(以上味の素インテルアメリ カーナ社)

    日本食の定着、ブラジル系レストランでの寿司、刺身の提供、カイピリーニャ・ デ・サケなどの新しい飲み方の広がりから、醤油、日本酒などは売り上げ数量前年並みを達成。プラスティック容器、大豆等値上がりによるコストアップ、レア ル高による米など輸入原料はコストダウンにより、コスト上昇をある程度相殺することが出来た。(以上 東山農産加工社)

    世界的には健康食品、特に豆乳類は前年対比 31 %増、ヨーグルト 19 %増と成長著しい。ブラジル国内でも伸び傾向にあるが、競合激化しており、ヤクルト社の豆乳製品は売上高前年対比 3.9 %増に止まった。一方、乳製品は、ヨーグルトデザートが前年対▲ 10 %、醗酵乳ヤクルトを含む乳酸菌飲料は▲ 12 %と軒並み前年比割れとなった。(以上ヤクルト社)

    即席麺市場は同一カテゴリー内の低価 格品や別カテゴリーの代替品への消費が移行した需要が戻らず、僅かな伸びに止まった。原料コストはレアル高により低下するも、原油高による石油関連製品、 配送費の高騰により相殺された。市場での競合は店頭価格を低下させ、地方の即席麺兼業メーカーが倒産する事態も招いた。(以上日清味の素社)

    日本向けエキス、香料原料輸出は好調、売り上げも堅調に推移。運賃値上がり、ストライキ、コンテナ不足による倉敷料の増加によるコストアップが発生。(以上サンエイゲン社)

    コーヒー国際価格は前年対比 20 %以上の上昇局面となり国内、輸出とも活発な動き。インスタントコーヒーの輸出は数量、単価ともアップし金額で前年対比 28 %増加。販売のバランスをとるために国内販売に注力した結果、輸出は前年比横ばい、国内販売は数量で 30 %の増加となった。(以上イグアスコーヒー社)

    ブラジル国内コーヒー市場は、前年対比 8.97 %拡大、拡大傾向が続いている。コーヒー製品の販売は数量で 15 %増加を達成。コーヒーの主要販売窓口であるスーパーマーケット業界は、大手(CBD、Carrefour、WallMart)の新規開店が続き、特に Nordest地方への展開が目立った。これにつれて、コーヒー業界の大手企業のシェアが拡大傾向にある。(以上三井アリメントス社)

     

    2. 2005 年の展望

    全般的に経済状態は良好に継続すると思われ、食品業界もほぼ順調な推移が予想される。しかし、各商品分野での企業選別、淘汰は進行しており、業界再編が更に進むと思われる。

    食品から電化製品にいたるまで多くの工業会に製品を供給する経済バロメーターであるダンボール箱製造業界は、昨年1月の売り上げに対し、本年1月は 2.4 %増を記録したが、 2004 年 3 月― 12 月の売上レベルと比較すれば 4 - 15 %縮小しており、市場冷え込みの兆候とも思われ、注意が必要。

     

    3.ルーラ政権への要望等

    • 為替 輸出関連企業は概ね3レアル水準を希望
    • 税金 税制の簡素化
    • インフレ抑制
    • 入国の際のイミグレーション手続きの時間短縮

     

     

  • 電気電子部会


    板谷稔部会長(ソニー)

    司会

    それでは次に電子電気部会ということでソニーの板谷さんにお願いいたします。

    板谷

    はい。今年から電子電気の部会長を務めさせていただきます板谷と申します。今までは松下の瀬山さんがやっていらしたのですけど、まあ本業といいますか、商工会議所の専務理事のお仕事が大変だということで私が仰せつかりました。よろしくお願いいたします。

    日本では松下、シャープ、キャノンが2桁の増収増益の勝ち組み

    電子電気部会は大きく分けて、私どもみたいにマナウスを中心としたブラジルに工場を持って最終組み立てをして、ブラジルで販売しているいわゆるセットメー カーとそれからブラジルで操業しているセットメーカーに部品を提供する部品会社、それからそういったことは全く関係なく、完成品をこちらに持ってきて輸入 販売している会社と形態は三つほど分かれております。

    それからそういった形態以外にも商 品別にも、家庭用品を主にやっている会社、事務機器を中心にやっている会社、あるいは通信インフラを中心にやっている会社、大きく分けて三つ、三形態あり まして、なかなかこの部会で全員一致した話題を見つけるのは非常に難しい多種に渡った業界です。

    今回は話をまとめるという意味でも、最初に共有したのが、それぞれの本社の業績、東京で発表されているけどその辺を我々で共有して、いわゆる家電というか 電子電気の本社の連結決算、日本メーカーの10月から12月の三ヶ月の決算もすでに新聞などで報道されていますが、いわゆる「勝ち組みと負け組み」に大き く分かれた年でした。

    まあソニーも比較的悪いほうでしたが、減収減益の会社が数的には一 様に多かった年でした。一方で調子のよい会社名を出してもよいと思うのですが、松下さん、シャープさん、それからキャノンさんという3社が我々の業界の中 では勝ち組みということでしかも、増収増益その幅も二桁増で同じデジタル家電とか日本で持てはやされている業界の中でも、大きくグループに分かれた年だっ たと思います。

    マナウス製造統計では、2004年は25%の生産増しで好調だった

    特に携帯電話、カラーテレビ、 DVD が大きく伸びた

    そういった中、ブラジルでどうだったかというと2004年は、信頼出来るデータがないですが、一つ信頼出来るデータは多くの企業が操業しているマナウスの 統計で、SUFURAMAの製造統計、従って必ずしも国内の売上だけでなくて輸出も含めた製造統計ですが、これが発表され、SUFURAMAで操業されて いる企業の生産台数はほぼ5000万台でした。

    これは2003年が4000万台前後だったので25%増、これは数量です。ということで全体的に好調だったことは確実であります。主要なカテゴリーでいうと5000万台のうち半分が携帯電話の端末機器で、2500万台の生産でした。これは33%増です。

    それから二番目に多かったのがカラーテレビで、総生産台数870万台、前年比48%増。三番目がDVDプレーヤー360万台、72%で主要カテゴリー全て 生産数量が増えた年となった。それからブラジルの小売統計を見ても、我々の業界の統計は家具・家電で一緒になっていますが、一年間で年率38%増加し、市 場全体が好調に推移した一年間だったと思います。

    それから各社の状況ですが、私ども上期 と下期に分かれており、今回は2004年下期の状況ということで7月から12月の各社の業績をですが、先ほど言った最初のグループの最終セットメーカーは 概ね3割、4割の高い成長実績を達成しています。中には2倍になったという会社もあるけど、この会社はたまたま2004年度からマナウスで工場を操業した 会社で、その前年が少なかったこともあり、概ね3割、4割の高い成長実績を達成した。それから一方、そのセットメーカーに部品を供給している部品業者の各 社も同じような成長率で、典型的に言えば2割増だった。

    一部はどういう業界向けの部品を 得意としているかによって、違うが、年末にかけて携帯電話の出荷が大幅に落ち込んだような時期があり、11月12月の携帯電話向けの部品はかなり落ち込ん だ模様。従って部品業者の中では下期で押しなべて行くと何も変らなかった。昨年100とすると今年も100だったというような会社もある。以上がセット メーカーとその部品関連で、消費者向けのメーカーは概ね好調でした。

    事務機器メーカーや通信インフラ部門は前年並み

    一方、消費者向けの商品を扱っていない事務機器のメーカーさんや通信インフラの会社はさほどいい年ではなかった。大体、昨年並みないし微増の報告が相次ぎ、業者の中で明暗を分けた感じになっている。

    2005年の展望では、為替次第であるが、20%から30%の売上げ増加を見こんでおり、快晴が続く

    それから2005年の展望ですが、アンケート調査を取ったが、概ね2割とか3割の増加を報告する会社があったが、ミーティングで話し合っているうちに「本 当にそうなんですか」と聞くと為替次第ですとか、本社によっては今年3割増加した後、来年たったの10%、という訳にもいかないという圧力があるような会 社もあり、なかなか本音を探るのが難しいですね。

    一つには懸念というか先 ほど金融業会の部会でも報告されたが、基本的に個人の収益が伸びたわけでもないのに市場が伸びていると、それは銀行からのクレジットの増加の一例であり、 小売業者がオファーするクレジットです。特に2003年のクリスマス前後から電気店に行きくと、10回金利なし、いわゆる金融プロモーションがあの成長の エンジンみたいになっており、それが本当に続くのかという懸念もあります。

    ただし、主に 伸びた原因が先ほど紹介したけれど、DVDプレーヤーが伸びて、DVDプレーヤーが伸びると自然にもう少しいい画面で見ようと、ホームシアターを買おうか なと発展する可能性があり、そういう意味ではまだDVDが伸びる限りこの家電の業界はもうちょっといけるのではないかな、というのが大方の読みです。

    そのDVDは360万台、昨年売ったという前提ですが、大体家庭に今日現在800万台ぐらい行き渡ったことになりますが、DVDの前のアナログ機器、 VHSビデオデッキプレーヤーが何万台あったかと言うと大体、1300万台ぐらい普及していた。そのレベルまで行くと仮定すると、まだもう一山、二山ある かなというのが業界の期待でもあり、読みでもあります。

    2006年5月まで、ドイツのワールドカップ需要で家電業界は明るい

    もう一年経つと2006年になるわけですが、2006年は家電業界に大切な年で、ドイツのワールドカップ、サッカーのワールドカップ需要があるのでおそら く2005年を通して、2006年のワールドカップ需要、5月ぐらいまでは成長が続くのではないかと。その後は全く分からない、というのが我々の業界の本 音だと思います。

    従って、無難な予想として、2005年は数量的拡大が大体2割前後、た だし価格の下落、レアルが強いから購入している部品の価格が下がり、売っているものの収入をドル転すると増えるということで、価格はまだ下がる余地が増え る。だから数量的に2割増、価格の下落から実質の収入増は5~10%行けばよいというのが我々家電セットメーカーとそれから部品各社の展望です。

    それから一方で、2004年があまり調子がよくなかった通信事務機器メーカーの予想であるが、こちらは一転して、各社とも2割から3割増を予定しており、 各社それぞれ、いろんな理由があるが、新製品の導入が予定されていたり、基本的には政府調達が改善すると、PPPの法案が成立すればもう少し調達も増える と、様々な理由があるけれども、今年よりは政府向け、業務用の市場は確実に伸びるというのが我々の読みであります。

    ルーラ政権の要望事項としては為替の安定、移転価格などの税制問題

    それから共通の政権への要望ですが、我々の業界はともかく為替の絶対値はさておき、為替の安定が一番助かり、2・6でも3・0でも構わないが、とにかく一 定のレベルで急激な増減を避けてほしいというのが本音です。それから昨年度のようにPIS/CONFINSの暫定措置による変化、本物の法令が出た時の変 化について、我々の業界は、食品業界もそうですが、小売の想定価格を業界に出すけどそれらは本当に、税金も全て含んだお値段です。

    来年度の新商品を500レアルで売る、というとその500レアルには税金が全部入っているので、途中の税制がコロコロ変ると、当然我々の仕切りでも変えな くてはいけない.売値を変えないと、「お前どっちが負担するのだ、小売か我々か」というよう小波が立ちので、たびたびの変化というのは困る。

    それから暫定措置と本例で、ずいぶんマナウスで操業している会社に対する特権も多少変ったので、その辺の内容を熟知していないお客様から「何で上がるん だ」とか説明に大変苦労します。ましてや本社への説明なんか、面倒くさくてやっていられないので、税制は簡素化してほしいし、度重なる変動は産業界のエネ ルギーの負担にもなるので、その辺を止めてもらいたいというのが我々の業界の共通した声です。報告は以上です。

    司会

    非常にあの、好調、依然として絶好調という感じですけど、何かご質問ありますか。じゃあ、特になければ次に行きたいと思います。

     

     

    共通テーマ「2004年の回顧と2005年の展望」

    2005年2月23日

    電気電子部会長 板谷稔

    2004年度下期回顧

    SUFURAMA(アマゾン経済特区監督庁)の統計が発表され2004年度の家電各社の生産台数が大幅に成長したことが確認された。 主要カテゴリーでは 携帯電話端末機が33%増の2500万台、カラーテレビが48%増(870万台)、DVDプレーヤー72%増(360万台)などほぼ全商品に渡って成長が 記録され業界の好調さが伺える内容となった。

    ブラジル小売統計を見ても食料品売り上げが6%の伸びに留まったのに対し家具家電売り上げは38%増を記録するなど家電市場全体が好調に推移した年となった。

    会員の中では家電セットメーカー各社が下期に概ね30-40%の高い成長実績を達成、電子部品各社も同じような高成長を報告、ただし年末に掛けて一部の業種で生産調整があった模様でこの業種への依存度の高さによっては成長が止まった例も報告された。

    一方消費者向け商品を扱わない通信や事務機器メーカー各社は昨年並みないし微増の報告が相次ぎ、業者間で明暗を分けた。

    2005年度展望

    好調な下期を受けそのまま20%前後の高成長を計画する会社もあれば予想される生産過剰から価格の下落を想定しゼロ成長を報告する会社もあり多様な予測となった。

    好調な2004年度実績からさらなる成長を本社から期待されている会社もあるなど必ずしも実態の市況を素直に反映できない例もあった。 2004年度の拡 大が個人収入の増加によるものではなく銀行や小売業が出すクレジットの増加によるものであり継続的成長に慎重な見方をする声も出た。

    本音の展望としては、数量的拡大予想が15-20%、価格の下落から実質収入増は5%-10%と言ったところが家電セットメーカーと電子部品各社の展望と 言える。 一方2004年が比較的に低調であった通信・事務機器メーカー各社の予想は概ね強気の読み、15%-30%の売り上げ増の計画が報告された。  実際、政府系向け案件の回復基調など風向き好転の兆しは既に現れていると言える。

    共通の願いは安定した為替、絶対値の高低より問題なのは一定のレベルで為替が安定してくれる事である。 さらに2004年度中に起こった度重なる税制変更が無いことが期待される。

     

     

  • 建設不動産部会


    阿部勇部会長(戸田建設)

    司会

    次はですね建設不動産部会ということで、戸田建設の阿部さんよろしくお願い致します。

    阿部

    建設不動産部会の発表させていただきます。最初に2004年の回顧ですが、昨年の7月の部会長懇談会で確か私がですね、早ければ昨年末ですね、遅くても今 年に入ってから業績回復が見込まれるというお話をさせていただいた舌の根も乾かないうちに、8月9月ぐらいから各社さん、かなり急激になんですけどいわゆ るお引き合いを頂くようになった。あるいは成約まで結び付くということで、年後半は年前半に比べますとかなり急激に回復した、というのが実感です。

    2004年の建設部門は7年ぶりの6.8%の成長率を達成した

    そういう訳で最初に建設部門ですが、これ指標で申しますと2004年度の全ブラジル建設業の成長率、2003年までの過去3年間マイナス成長だったのが、 2004年はプラスの6・8%というかなり急激な回復、それが一年間通じて平均的にというよりもやはり後半に急激に伸びた、という風になっています。

    これは1997年に7・6%という高い伸び率を示した以来、7年ぶりということです。各社さんのその内容の具体的な感想をご披露いたしますと「工事が大型 化した」「あるいは技術力を要求される難易度の高い案件が増えた」というご意見がありました。ただ過去3年間のマイナス成長に見合った形で人員の削減を ずっと進めてきたので、急激な回復に人を雇用しなければいけないということで建設業全体が前年比でプラス10%弱、9・7%ぐらいですけど雇用が増えてい る。

    雇用の確保、資材の高騰、受注競争激化で採算はよくない

    そのぐらい人の取り合いで給料に関しても売り手市場で、まあ仕事は頂いたんですが、それに伴う人員増加それと後、建設資材の高騰、特に鉄関係は影響受けて いわゆる業績そのものは決してよくは回復していないのが実感だそうです。それから後、案件増えた関係上受注の競争が激しくなってそれによっても採算が決し てよくはなっていないということでした。

    あと我々の業界は受注生産、ほとんどが受注生産 いわゆる物が出来ていないうちに契約をもらうわけですが、契約した時の見積もりの単価で、実はタイムラグが生ずる資材関係ですから、実際に物を買う時にす でに値上がっていたと、この辺は企業努力が足りないというか事も言えますが、営業時に予測していた利益が見込めないということも実際に発生しています。

    不動産部門は一部を除いて、高金利や ZONA 変更で業績は悪化

    それから次に不動産部門ですが、一部の高級住宅それから融資を受けた小住宅に関してはよかった。ただ全体としては、やはり高金利の影響と一昨年、サンパウ ロ市がZONAの変更をしたことで、一昨年は少し回復したけど、去年はその反動で徐々に供給が落ち込んだ。それと建設費。建設コストが年々上昇しているこ とで立て替え金利、こちらの方が業績を悪化している。

    パウリスタ大通りの空き室率が上昇している

    業績とはちょっと関係ないが、住宅は以前立地によって価格が決められていた、いわゆるどこどこ地区に立つあるいはこの通りに立てば大体いくらぐらいと、相 場が決まっていたそうですが、最近は人が動いていくところに住宅を立てないと、売れないということで弱冠以前とは住宅の投資の環境が変ってきたというご意 見がありました。それと、パウリスタ大通り周辺の賃貸事務所の空き室率ですが、2003年度が大体15%ぐらいと見られていたのが、昨年は少し多くなり 20%を越した。弱冠、この地域パウリスタ大通りに関しては空き室率が上昇しているという傾向が見られる。

    2005年の建設部門の展望は、好調持続するが収益面では厳しい

    続いて2005年度の展望ですが、建設部門では引き続き好調を持続できるのではないかと。まあこの辺は先ほど来から各部会の報告にあるように、また好調さ が昨年ほどではないにしても持続する傾向にあるということで建設業界でも引き続き伸びると。これがサンパウロ建設業界の見通しですが、ブラジル全体の伸び 率として今年度は4・6%を予想しています。これも先ほど申しましたとおり、今色々な部門で値上がりしてので、収益に関しては受注競争の激化ということも 合わせて、決して楽観は出来ないという風に見ています。

    不動産部門の展望は、高金利政策の影響で、先行き不透明

    それから不動産部門ですけど、こちらはやはり高金利政策の影響ということで全体的によくなるかというとなかなかそうはいかないと。部分的には、いい物件は 売れるけども、ただの物件は売れないというようなそういう感覚で、バラツキが出て来るのではないかという見通しです。

    次にルーラ政権との関わりに関してですが、こちらは一部の海外建設資材を扱っているところは輸出入にかかわる色々な国際的な動きというのは影響受けると思 いますが、ほとんどの企業はブラジル国内での商取引ということがほとんどなものですから、あまりルーラ大統領が訪日する、あるいはFTAうんぬんという話 題に関しては、それが直接的に我々の業界に何か影響するということは考えられない。

    ただ それが産業全体の中で、ブラジルからの輸出が停滞するとか何かしらの影響を受ければ、当然ながら設備投資が抑えられ、建設への投資も減少するので、我々と しては皆さんと一緒に推移を注視したいという風に思っています。それから日伯だけで言いますと、昨年の小泉首相の来伯、それから今年のルーラ大統領の訪日 ということもふまえて、ぜひ日系の業界にもっと活気が出てくるように、そういう意味でも一緒になって協力させていただくという風に皆が思っています。

    最後ですが、当部会の方の内容を、最後になりましたがご報告いたします。今現在、正会員で12社加盟しています、ただ残念ながらここ数年具体的に活動して いる会社は7社だけです。建設3社、不動産3社、あと建材1社、7社だけです。昨年コンサルタント部会の桜井部会長のご提言ですね、部会の見直しというご 提案をちょっと頂いたのですが、我々部会員の総意としましては、建設ないし不動産に関しては我々が、まあプロであるとの観点から、皆さんへ何かしら情報発 信する責任があるんじゃないかということで、どこまで部会の活性化が図れるかまだこれからですが、少なくともそういうつもりで今年一年、あるいは来年も引 き続き部会としての活動を行っていきたいと思います。

    具体的には、これも常務理事会でご 報告いたしましたが、今年は最低一回でもセミナーを開きたいと思いましたのは、昨年のこの発表会の時に「何であんなにアパートばっかり建つのでしょうね」 というご質問を頂いて、私自身も不動産に関しては素人なものですから、きちんとした答えができなかったので、建設とはあまりご興味ないかと思いますので、 不動産に関わる部分に関しては、セミナーを時期的にはいつとは申し上げられないんですけども、したいなというつもりでおりますので、今後ともどうぞよろし くお願いいたします。以上でございます。

    司会

    どうもありがとうございました。会員数は減ったけれども、意義はあるということで引き続き続けていくという決意の表明でございましたけど、何かご質問ありますか。はい、どうぞ。

    赤嶺

    少し戸田さんのヨイショをさせていただきますが、私が通りかかるよく近にベニフィシエンシア・ポルトゲーザ、有名なボトランチングループの総帥のアントニ オ・エルミーリョ・モライス氏を理事長にいただく、ベニフィシエンシア・ポルトゲーザ病院の別館を建設していらっしゃいますが、あれぐらいの水準の病院、 それからあれぐらいの規模の病院建設に当たっては、確か日系の建設会社としては目にするのは初めてのように思いますが、ちょっと大変な隠れた話みたいなも の、エピソードみたいなのがあるとは思いますが、その辺ございましたらちょっと紹介してください。

    阿部

    実はあの工事は2000年からずっと、足掛け五年続いており、一度に発注はされないで各期によって基礎工事、地上の区対工事、今仕上げで第5期になりまし て、その隠れたエピソードというのは実は前任者からもそれほど具体的には聞いてないですが、私自身おっしゃるようにあれほどの規模の病院をずっと引き続き させていただいているということはよほど、営業的なものを含めてなんですが、あったのだろうと思うのですが、ただ一つだけ私自身がですね現場上がり、30 年ずっと業務の施工を担当してやっておりましたので、その観点から見ますとやはり非常に正直申しまして丁寧に、お客様とのコミュニケーション、それを重視 しながらお客様が望んでいるもの、結果として欲しいものですねそれが、作りこめているのかな、それは私個人的に感じています。

    会長ご自身も、今ちょっとお体悪くして入院されていたんですけど、お元気な時には日曜日にポロッとお見えになるというんですね。それで現場をお一人で歩く というので、ちょっと待ってくださいとカパセッチを被ってくださいということでうちの社員が案内なんかするということもあったという話を聞いていまして、 手前味噌で恐縮ですけども、非常に管理が行き届いていて非常にきれいに現場をやっているというお褒めの言葉を頂いたことは聞いています。まあそんな感じで すが。

    赤嶺

    おめでとうございます。

    阿部

    ありがとうございます。

    司会

    どうもありがとうございます。他に何かご質問ありますか。あのちょっとね、建設のほうはやはり資機材が上がっていくというのは大変だとは思うんですけど、 あの業界のほうで分かったのは鉄鉱石もここに浅賀さんいらっしゃいますけど、あの71・5%前年比アップというのが決まったばかりということでなかなかま だ上がってくるかと思います。

     

     

    共通テーマ「2004年の回顧と2005年の展望」

    2005年2月23日

    建設不動産部会長 阿部勇

    建設不動産部会は、現在正会員 12 社、副会員 12 社、計 24 社が登録されているが、実際に部会員として活動している企業は、正会員 6 社、副会員 1 社の計 7 社である。昨年には、部会の存続まで議論されるほどだったが、建設不動産業界のことは我々しか理解できない部分があり、これらのことは商工会議所を通じて 発信する義務があるとの認識に立って今後の活動を進めていく。

    2004年下期の回顧

    建設部門 は、 2004 年度の全ブラジル建設業の成長率が、 1997 年の 7.6% 以来の高率となる 6.8% を記録。工事も大型化し、また、技術力を要求される難易度の高い案件が増える傾向にあった。しかしながら、近年の業績の落ち込みに伴い進めていた人員削減 の影響から、急激な受注回復への人的手当てに伴う人件費の上昇と、鋼材を始めとする建設資材の値上がりにより収益が圧迫された。

    また、受注競争の激化から採算面で厳しい工事の受注を避け、選別受注に徹したところは受注計画を下回った。特に、鋼材・アルミ材の値上がりによる収益の圧 迫は、契約時の見込み利益を吹き飛ばすほど影響が大きく、受注生産の業界としては営業時の利益確保がいつも以上に大変重要な課題となった。

    不動産部門 は、一部の高級住宅や融資を受けた小住宅に関しては良かったが、全体的には高金利と一昨年の ZONA 変更の影響による供給増のため低調だった。

    また、建設費が年々大きく上昇しているために、立て替え金利の負担が業績を悪化させている。以前の住宅は立地条件により価格が決められていたが、最近は人 口の移動による価格への影響がでてきている。そしてパウリスタ大通り周辺の賃貸事務所の空き室率は、 2003 年は 15% 程度であったが、昨年は 20% を超し上昇傾向にある。

    2005年の展望

    建設部門 は、 引き続き好調持続が予想される。昨年末から工業生産部門の指標が若干好調さを失いつつあり、 2004 年と比べると伸び率は落ちると考えられるが、サンパウロ建設業協会では、ブラジル全体の建設業の伸び率を前年比 4.6% と予想している。しかしながら、建設資材の値上がりと受注競争の激化が予想され、収益に関しては非常に厳しい対応を迫られる。

    不動産部門 は、やはり高金利政策の影響で全体的に良くなるまでにはいかないが、部分的には動きのある物件もあり、期待を込めて今が底であると思いたい。

    ルーラ政権との関わり

    一部の海外建設資材を扱っているところは、輸出入に関わる国際的な動きが大きく影響するが、ほとんどのところが国内での商取引に限られているため、ルーラ 訪日、FTA等に関しての直接の意見はない。しかしながら、輸出が停滞すると設備投資も押さえられ、結果として建設投資が減少することになるので、そうい う観点でこれからの推移を見守りたい。

    また、昨年の小泉首相の来伯も含め、現在の日伯関係は近年になく近い関係ができつつあるので、この機会に継続的な話し合いが続くことを当部会でも期待している。

    多くの部会員から大きな声で要望がでているのは、税制および金利政策の見直しである。特に税金は、

    • とり易いところから税率をアップして取る。
    • すぐに制度を改悪して都合よく取る。
    • 首長が変わると前任者の約束が反故になる。
    • 歳出削減より税収アップでつじつまを合わせる。

    というクレームが強く、これらのブラジル・リスクが軽減されない限り、海外からの継続的な投資は期待できない。

    また、高金利政策は、特に住宅取得に対して大きな足かせとなっており、為替、インフレの動きを睨みながら金利低減の政策へ転換できないか、当部会にとってはこれも大きな課題の一つである。

     

     

  • 運輸サービス部会


    平野候一部会長(日本通運)

    司会

    じゃあ次にですね、運輸・サービス部会からの報告ということで日本通運の平野さんにお願いいたします。

    平野

    じゃあ、運輸・サービス部会の発表させていただきますブラジル日本通運の平野と申します、よろしくお願いいたします。当部会はですね登録会員数、まあ企業 数71社ぐらい登録されていまして、実際に部会で会議をやるときには大体お見えになる方は限られています。当然、そういう方々のレポートに基づいて、今回 も発表させていただきますが、各業界ごとに分けまして大体7業界、それにつきまして回顧と展望という形で一つずつ発表したいと思います。

    ブラジルの航空会社は、くっきりと明暗を分けた

    まず航空業界です。ブラジル国内の動向として皆さんもご存知だと思うのですが、TAMとGOL、これが非常に好調で、今後南米の国際路線に参画していくと いうような非常に前向きな、いい航空会社なのですが、その反面、従来からのVARIGの経営悪化とVASPの倒産と、そういう風にいいところと悪いところ の明暗が分かれたと、国際線においては特に日本に行く場合、そのUSAビザの取得義務があり、そういう意味合いでは日本便の減便の理由にもなるのですが、 それがまだ継続中で米国経由がさらに敬遠されている。その中で逆に欧州経由で日本に行くという形での対応をしていくということです。

    グアル-リョス空港の入出国審査は世界最悪

    それからこれは皆さんよく感じると思うのですが、グアルーリョス航空の入出国審査及び税関検査もこれはJALさんがおっしゃっているのですが、世界でも最悪だと。いうことでここの改善をぜひお願いしたい。これは要するにルーラ政権への要望の中の一つにもなります。

    航空業界の2005年の展望は、好調が予想される

    航空業界の展望としては経済環境も輸出を中心に好調であり、国内、国際マーケットともに観光及び一般ビジネス客も増え、こちらも好調ではないかという見通しです。

    2004年の海運業界はコンテナ不足が発生するほど、絶好調だったが、港湾インフラなど問題も多かった

    次に海運業界です。2004年は皆様のお話にもありますように好調な荷動きに支えられて、非常に業績もよかったのですがその中で船腹、コンテナ不足状況が 続き、またアメリカ西海岸での荷役労働者不足が追い打ちをかけて、さらに今度はブラジルにつけばブラジルの港湾インフラの整備不備によって要するに荷物の リードタイムに支障を起こす。これはいわゆるブラジルコスト高に反映している要因です。2005年はですね、今年はカーニバルも早かったし、すでに中国の 旧正月も終わり、荷動きの回復は早まると思われています。

    先ほどの板谷さんのお話ではあ りませんが、メーカーさんもそういう風に増産するという計画にありますので、輸出入の拡大とですね、拡大が伸びる。逆に津波支援物資の物資輸送等まだまだ 見込まれているので、その船腹需要はさらに拡大して再びタイトな状況になると予測されます。

    懸念されていることは、先ほどと同じなんですがブラジル港湾のインフラの未整備、それから税関手続きの迅速化、それから今年もあると思われます税関スト、これらによる船が混雑、貨物滞貨、これはまた荷物が増えると同時に深刻化が進むのではないかと思います。

    フォワーダ-業界も好調だったが、港湾インフラ不備が頭痛の種

    それからフォワーダー業界。フォワーダー業界というのはいわゆる航空機並びに船を利用してサービスを行っている業界、当社もその一つですが。その中で中国 及びアジアからの輸出増大で米国西海岸での、先ほど言いました港湾作業の支障をきたし、航空貨物への貨物の流れで航空貨物が増加したというところもあり、 全体的には好調でありました。同じくブラジル港湾の未整備、空港公団、税関史の質の悪さなど、貨物到着後のリードタイム、これは船も一緒ですが航空貨物で もそうです。リードタイムを読めないことが、皆さんやメーカー様の生産稼動やまたは販売商機に支障をきたす要因が非常にあると、これもまた早期改善を望み たいところです。

    今年も同じく海運業界と同様に、荷物の増加に伴い、取扱量も増えるとは 思いますが、反面、去年もそうだったのですが引き続き、燃料費の高騰、それから安全対策それから米国事前申告制度、これが開始されています。それらによっ て、何らかのやはり出費、経費がかかるということでトータル物流コストのアップがやはり今年は懸念されます。

    日本へのペット持込の新規制に充分注意

    それからちょっと業界は違いますが、鉄鋼構内物流ですね、これはあの世界的な鉄鋼需要の拡大に伴い増収入で好影響を与えた。ただ今後競合する中国の対応な ど、中国の企業などの対応を考慮すると、さらなる全体的なコストダウンが課題になる。もう一つ、もう領事館のほうからもすでに連絡されていますが、引越し の中で一つ、皆様のペットの日本での輸入ですね。これは新規制になりましたので、皆様ご存知だと思いますが、ペットをお飼いのかたは十分に留意していただ きたいと思います。

    クーリエ業界に輸出入業者の登録義務改正

    それからクーリエ業界です。クーリエといえば、速配が重要なクーリエ貨物ですが、速配というのはすぐ配達するということですね。米国の事前制度のこういう 影響が大きく、昨年暮れからヨーロッパ経由の取り扱いも実施しているがやはり同業者も一斉にヨーロッパ経由に切り替えたというところでやはり混乱が起き た。

    もう一つ、これは税関の登録のことなんですが、昨年よりRADARという輸出入業者 登録の義務、これが昨年から実施されているのですが、輸出や輸入をする方々はすべてこれに登録しないといけないんですけど、その審査に半年以上もかかって いる。で実施期限が去年の11月であったにも関わらず、まだ登録できていない企業もたくさんあると聞いている。

    旅行業界はインド洋津波やテロの影響で、南米旅行は需要増し

    それから旅行業界です。DACこれは民間航空局の統一運賃採用により国際運賃が値上げされた形になっています。それから燃料高騰で5%、運賃値上げ及び先 ほどの米国ビザ取得による海外旅行者には相当な負担になる。海外旅行を控えた旅行者は当然、ブラジル国内特に東北地域のリゾート地に逆に殺到して盛況で あった。今年の見通しは例のインド洋津波やテロを警戒して低調であるんですが、南米への需要が見込まれるのではないか、と同時に引き続き国内旅行も好調で あると見られます。

    グアル-リョス空港の入出国問題は、観光立国を目指すブラジルの恥

    反面、海外への旅行、ブラジルへの旅行ともにブラジルの玄関口であるグアルーリョス空港の入国審査のお粗末、これ先ほどの航空業界と同じですが、観光立国 や常任理事国を目指すブラジルにとって恥かしい話であって、ここを何とかやって、改善して欲しい。さらに今年は愛知万博が名古屋で開かれますが、確かブラ ジルは出展していなかったとそういう風に聞いていますけど。ただ、そういう万博への旅行者ということも期待できると思います。

    ホテル業界は順調に成長している

    次にホテル業界です。昨年のホテル稼働率は50%に達した、ただしエコノミークラスは70%が埋まる好調であった。2004年度のホテル業界成長率は3・ 77%であり、2007年度まで3~4%アップする見込みがある。観光省や民間業界の努力により、ブラジルも世界から観光地として認められるようになって きており、政府も観光分野への予算を大幅にアップしている。ただし、やはりホテル業界も航空業界、観光業界すべて三つ巴ですが政府の観光分野への予算増も いいのですが、まずは玄関口の改善を最優先して欲しいということです。

    情報通信業界は、競争激化が予想される

    最後になりますが、情報通信業界。これは販売・サービスのほうですのでメーカーのほうとは違います。携帯電話は記録的な加入者が増加で、6560万台と なっている。またインターネットを利用したWEBシステムの構築要望も増え、今後Eコマースの潮流がブラジルでも活発な動きになるのではないか。

    2005年度はWEBシステムの導入がさらに進行する中で、情報セキュリティー保護の重要性の高まりやよりコストパフォーマンスの高いソリューションが求 められるとともに、高度化する情報通信技術に追従すべく高い、高レベル水準を維持する必要がある。期待される規制緩和によるIP電話事業に参入準備する会 社も増加すると予測され、情報通信業務のアウトソーシングはコスト抑制方法として一般化してくる傾向にあるということです。

    空の玄関口であるグアル-リョス空港の問題解決が先決

    以上各業界ごとに内容を発表させていただきましたが、部会として同じ意見が出たのはやはり税関。これは人も貨物もそうですが、まずはやはり玄関口の取り扱 いをもう少し改善していただきたい。特に、JALの寺元さんもそういう風におっしゃっていますし、まあこれは我々部会及び日本商工会議所のみになく各国も 同じ悩みをお持ちじゃないかということで今、金岡さんがやられていますGI E ですか、そういう委員会も通してですね、それは請願するという方向で行きたいという風に思っています。部会としてもそういう形で後、旅行業界のそういう組 合とかもありますし、そういうものでバックアップしていければと思っています。一応、以上です。

    司会

    ありがとうございました。まさに今平野さんおっしゃったようにこれはあの常任理事会でも空港の入国管理の問題は他の商工会議所とも連携してやるべきだということで金岡さんに動いていただいて改善を働きかけようと思いまして、動いております。ご質問、ご意見ありますか。

    板垣

    二点ほどお願いします。一点は中国が経済的に発展してきて、コンテナとか船が不足していますよね。それはまあ去年ぐらいからずっと慢性的にあると思うので すが、それによって運賃が高くなってあるいは、コンテナが確保できなくてブラジルへの色んな物資の確保が遅れ気味になっていますよね。私達の部会でも、 もっとその輸入が確保できていれば、もっとビジネスチャンスがあったと。もっと商売につなげることが出来たといわれていまして、こういった状況はしばらく 続くのか、それとも新しいコンテナ、新しい船の建造が進んでいるのか。

    まずそれが一つ と、それから二点目はですねちょっと記憶違いかも知れませんし、平野さんに聞くのはちょっと違うのかも知れませんが、JALさん、成田―ニューヨーク線の ビジネスクラスというのは確か、フルフラだったと思うんですよ。ところがそこより遠い成田―サンパウロが未だにあの形というのはちょっと納得いかないので すが、それはどういうことなんでしょうか。

    平野

    まずそちらのほうから寺本さんに代わって言わせて頂きますが、確かに寺本さんもそれを感じているですね。内容を分析しますとやはり、要するに収入の部分で の効率ですか。それが成田―ニューヨーク線と成田―サンパウロ線では全然違うという意味合いで、実は私も先週ニューヨークに行ってとんぼ返りで帰ってきた のですが、当然エコノミーで行きましたけど、エコノミーは満杯なのですよ。

    ほんで後はビ ジネスかどうかと、ビジネスは満杯ということはないですよね。大体三分の二しか埋まっていない、まあファーストはちょっと分からないですが。そういう状況 の中で果たしてそこのエグゼクティブのクラスをそれだけここで売れるかという部分もあると思うのですね。ですから確かに飛行機の質が良くなれば、お客さん も利用しようと思いますけども、まあそういうところで日本の方も判断をまだ下されていないような感じがしています。ただ、寺本さんは頑張っています。

    それと先ほどの船舶、中国の件ですけどこれは藤江さんもいらっしゃるので内容をお聞きしたほうがもっといいと思うのですが、やはりこれからは大型化です か、船の大型化、並びにそういう何ですか、くみ取り、コンテナをもっとたくさんくみ取るとかいうそういう形での大型化ともう一つ、スケジュールの配船をも う少し増やすとか、そういうところはもう考えられているそうです。

    ただ荷動きを見ていま すと、もう中国を中心とした荷動きとこういう南米を中心にした荷動きの荷物の質も違いますけど、ぜんぜん南米のほうが非常に少ないという部分はあります。 どうしても中国、アジアに行かざるを得ない部分があり、そういうところはあると思いますね。ただ、今後はそのままでいいというわけではなく、藤江さんのと ころも色々そういう改善はやっていくというお話しをしていますけど、藤江さんいらっしゃいましたらちょっとリカバリーを、すみません。

    藤江

    日本郵船の藤江です。2001年、2002年と南米、ブラジル、アルゼンチン、南米東岸を巡る荷動きはあまり低調だったのですが、これが2003年、 2004年とブームのように爆発的に増えた。特にバラ積み貨物の大豆を運んだり、鉄鉱石を運んだり、そういうバラ積み貨物の船腹不足がまず、顕著になって きた。そうした状況が、去年の前半ぐらいから今度コンテナに入った一般消費物資とかですね工業製品を運ぶコンテナ定期船のほうにも波及してきたと、こうい う状況がまずあった。

    これに対して各船会社がどういう風に対応するのか。また例によって 南米の一時的なブームであって、いつまで続くか分からないから、南米関連の航路にはそんなに入れ込むことは出来ない、とこういうのがまあとりあえずの各、 特に日本の船会社の本部のですね、コメントだったわけですけど、中国関連の荷動きが増えると、中国の経済に対する我々東京本社の信頼度というのはブラジル に対するブラジル経済に対する信頼度よりはるかに大きい、そのブラジルと中国が結び付いて、ブラジルあるいは南米東岸とアジアとの間の荷動きが増えると、 従って船腹輸送需要が増える。

    だからここをもう少し強化していきましょうという論法でで すね、各船会社とも徐々に定期船、コンテナ定期船サービスもそれからバラ積み輸送も増強する準備を整えておるといったところでございます。特にバラ積み輸 送に関してはNYKだけでも、商船三井さんも同じだと思うのですけど、今後3年間でこんなことやって大丈夫なのかと思うぐらい、3年間でですね、これはコ ンテナ定期船等々全て入れてですけど、船は世界中動くものですから世界中の航路を対象にしているわけですけども3年間で1兆円の船腹投資をするということ になっています。

    船会社は荷動きの増大があって初めてあっと慌てて船をつくる。船をつく ると決断して船が出来上がってくるのに2、3年はかかる、出来上がった頃にもう荷動きが下降気味になってきて、アップアップする。こういうことを10年単 位で繰り返してですね10年間悪くて2年間ぐらいいいとこういう痛い経験を各社ともしておりますので、今回のブームがいつまで続くのかということは相当程 度真剣に考えた上で、まあブラジルだけの問題ではなく世界的な船腹需要はどの程度なのかということを考えた上で、各船会社とも船腹供給の増大に走り始め た。従って南米東岸方面の航路網の数も増えますし、投入する船腹も増えると。これはコンテナ定期船についても同様であるという状況でございます。

    司会

    どうもありがとうございました、ほかにご質問ありますか。じゃあフルフラットの件は寺本さんの背中を押す意味でも、ぜひ部会長懇談会で出たということでJALさんにもお伝えいただきたいと思います。

     

     

    共通テーマ「 2004 年の回顧と 2005 年の展望」

    2005年2月23日

    運輸サービス部会長 平野候一

    ◎航空業界

    • ブラジル国内の動向として、 TAM 及び GOL が好調で南米国際線への参入を準備。反面、 VARIG の経営悪化と VASP の倒産申請と明暗を分けた。
    • 国際線においては、 USA ビザ取得義務により日本便の減便が継続中で米国経由が敬遠されている。
    • グアルーリョス空港の出入国審査及び税関検査は、世界で最悪と思える対応であり改善要望が必要である。
    • 展望としては、経済環境も輸出中心に好調であり、国内・国際マーケットに観光及一般ビジネス客も好調に推移すると思われる。

     

    ◎海運業界

    • 2004 年は好調な荷動きを反映して、船腹・コンテナ不足状況が続き、且つ米国西海岸での荷役労働者不足も追討ちをかけ、更にブラジル港湾インフラの整備不足によってリードタイムに支障を来たした。
    • 2005 年は早期カーニバル及び早期中国アジアの旧正月により、荷動きの回復が早まると思われ、各メーカーの増産による輸出入拡大と津波復興支援物資の見込み等により船腹需要が拡大して再びタイトな状況になると予測される。
    • 懸念されることは、ブラジル港湾インフラの未整備、税関手続きの迅速化及び恒例化した税関ストなどによる船混みや貨物滞貨の深刻化である。

     

    ◎フォワーダー業界

    • 中国及びアジアからの輸出増大で米国西海岸での港湾作業に支障を来たし、航空貨物の増加により全体的に好調であった。
    • ブラジル港湾の未整備、空港公団・税関吏の質の悪さなど、貨物到着後のリードタイムが読めないことが生産稼動や販売商機に支障きたす要因であり、早期改善を望む。
    • 2005 年度も海運業界と同様な傾向であるが、引続き燃料費高騰、安全対策、米国事前申告制度の開始によりトータル物流コストのアップが懸念される。鉄鋼構内物流 は、世界的な鉄鋼需要の拡大に伴い増収入に好影響を与えたが、競合する中国対応を考慮すると更なるコストダウンが課題となる。
    •  引越業務の中で注意することは、領事館より既に通知されているように、日本へのペット輸入に関する新規制が施行されており、十分に留意する必要がある。

     

    ◎クーリエ業界

    • 速配が重要なクーリエ貨物は、米国の事前申告制度による影響が大きく、昨年暮れからヨーロッパ経由の取扱いも実施しているが、同業社も一斉にヨーロッパ経由に切替えたお陰で、混乱を招いた。
    • 昨年より RADAR と呼ばれる輸出入業者登録を義務付けられているが、審査に半年以上かかっており、実施期限である 2004 年 11 月を過ぎても登録できない企業も多く問題となっている。

     

    ◎旅行業界

    • DAC (民間航空局)の統一運賃採用による国際運賃値上げ、燃料費高騰で5%運賃値上げ及び米国ビザ取得により海外旅行者には負担増となり、海外旅行を控えた旅行者はブラジル国内、特に東北地域のリゾート地に殺到して盛況であった。
    • 今年の見通しは、海外旅行はインド洋津波やテロを警戒して低調であるが、南米への需要が見込まれる。また国内旅行も引続き好調であると予想される。反 面、海外への旅行、ブラジルへの旅行共に、ブラジルの玄関口であるグアルーリョス空港の入出国審査のお粗末さは、観光立国や常任理事国入りを目指す国とは 思えない。

     

    ◎ホテル業界

    • 昨年のホテル稼動率は 50% に達したが、エコノミークラスは 70% を上回り好調であった。
    • 2004 年度のホテル業界成長率は 3.77% であり、 2007 年度まで3~4 % の成長率の見込み。
    • 観光省と民間業界の努力により、ブラジルも世界から観光地として認められるようになってきており、政府も観光分野への予算を大幅にアップしている。
    • ホテル業界も航空業界・観光業界と共に3者三つ巴であり、政府の観光分野への予算増額も良いが、まずは玄関口の改善が最優先ではないのか。

     

    ◎情報通信業界

    • 携帯電話は記録的な加入者増加で 6,560 万台となった。またインターネットを使用した WEB システムの構築要望も増え、 E-commerce の潮流がブラジルでも活発な動きになりつつある。
    • 2005 年度は WEB システムの導入が更に進行する中で、情報セキュリティ保護の重要性の高まりやよりコストパーフォーマンスの高いソリューションが求められると共に、高度化 する情報通信技術に追従すべく高レベル水準を維持する必要がある。期待される規制緩和による IP 電話事業に参入準備する会社も増加すると予測され、情報通信業務のアウトソーシングはコスト抑制方法として一般化してくる傾向にある。

     

     

  • 自動車部会


    内山徹雄副部会長(ヤマハ)

    司会

    他にご質問なければ、最後のセッションになります、お待たせしましたヤマハの内山さんにお願いしたいと思います

    内山

    ホンダの岩村社長、ご出張ですのでピンチヒッターとしてやらせていただきます。自動車部会業界を大きく3つに分けていまして自動車業界、それから二輪業 界、それともう一つ部品業界という形でお話させていただきます。ただこの部品業界は、自動車のほうが主取引でして、二輪用の部品は総量取り扱いベースで半 分ほどは、この部品業界の扱いになっていると思うのですが、あと半分強のところ、これはマナウスのほうに全てある会社でして、日本ブラジル商工会議所には 参加していませんからデータ等取っていません。部品については若干変則だということで、聞いていただければと思います。

    2004 年の自動車業界は220万台を生産して、絶好調だった

    自動車業界ですが、昨年は非常に好調で年初こそ、ANFAVEAを中心に低めの数字で年間予想を立てていたのですが、年の初めのほうで,IPIの減税問題 等と追い風も出て、後半に入って非常に状況良くなりました。昨年は200万台を越しまして、220万台の生産になっています。それから国内販売が150万 台、輸出60万台ということでそれぞれ前年比生産では20%、生産及び輸出では20%、それから国内販売も12%ということで非常な好況の中で、一年間推 移したという状況です。

    特に輸出については、64万台の輸出、金額ベースで輸出総量 138億ドル、輸入が70億ドルで、ネットで自動車の輸出だけで68億ドルの貿易黒字を稼ぎ出しております。まあ先ほどから337億ドルの出超だという話 で、自動車だけで20%を稼ぎ出したという数字になっています。

    自動車業界は足並み揃えて黒字を達成

    一方で、増収ですが損益のほうにつきましては年後半の、年の初めからのPIS/ CONFINS の問題だとかいろいろありました。それから素材については、大幅な値上げ、素材値上げ、及び素材値上げを契機とした部品値上げ。これに見舞われましたが、 輸出の好調、国内の好調ということで自動車業界、ほぼ足並みそろえて黒字化されているようです。もちろん非常に大きな黒字を出しているところから、前年ま での赤字をやっと黒字になったところから、いろいろありますけど、ほとんど黒字を達成したという風に伺っています。

    これからの話ですけど、輸出についていえば多少懸念されるのは、為替レートが非常にレアル高になっていること。それから主要輸出国であるアルゼンチンとの 貿易問題、いろいろ政府間でも課題を抱えているようでが、2006年に自由化を予定されていますけれども、この辺が非常に心配な動きかなと見ています。

    2005年の展望は、10万台の増産

    2005年本年度については業界団体そのもの、かなり強気でして生産については230万台ですから5・4%の増産を計画しており、国内も164万台という ふうに4%の増加、輸出は7%の増加。2004年ほどの急激な増産増収、ないにしても安定的な増産増販が期待できるという風に見ています。

    二輪車は初めて100万台を生産し、右肩上がりの成長を持続

    次に二輪車ですけども生産量の面では昨年初めて100万台を超しました。生産台数で105万台、国内販売が91万台、輸出数量が15万7000台で、これ は何年間連続になりますか、一年間だけロシアショックで低迷、踊り場に出た時代がありましたけど、十年間ぐらい連続で右肩上がりの成長を続けています。

    生産台数は2003年に比べると10%増、国内販売は7%、輸出にいたっては56%増と大幅 な輸出増加になっています。まあ、本年度につきましても、安定的にほぼ昨年と同じような増産傾向と思います。ただ輸出については昨年が非常に57%と飛躍 的に伸びており、安定的なところに落ち着いてくるかと思います。

    2004年の部品業界も大幅な増産増収

    次に部品業界ですけど、部品業界はもちろん完成車、自動車完成車が過去最高を記録するような中でやっていたので、部品メーカーさんも概ね、大幅な生産増、 増収ということで一年間を終わりました。現在のこと、これは業界全体にいえること鉄、鋼材からアルミ材から、原油から含めまして原油を中心とする樹脂です ね、原材料の調達不安、逼迫と価格高騰に悩まされた一年というようなことでした。ただ、部品業界は、原材料の高騰ありましたけど、一応収益面では増収を、 増益を確保できたと報告されています。

    2005年についても今後、原材料調達については まだまだ不安要因あるのですが大型の設備投資も検討されているようで、自動車の生産量についていくといいますかそれを、担保としていくということで大きな 増産計画を持っているようです。先ほど、二輪の収益について、収益環境についていい忘れましたが、部品及び自動車が収益的にも非常に好況だったのに比べ て、二輪は若干の特殊事情もあって昨年一年間、マナウス地域の税制は揺れに揺れて、ブラジル全体ではPIS/CONFINSが一年間やかましくいわれて、 結局増税になったが、マナウス地域においてはその前の2003年に連邦のマナウス特定恩典制度が2013年から2023年に延長されました。

    これが2004年の動きですが、マナウスの州政府は州税の減免措置を改善したい、言い方を変えれば恩典を削減したいという動きに出まして、連邦に合わせて 恩典制度を2023年まで延長する代わりに、恩典の幅を抑えるという州政府の動きの中で2003年の後半から2004年の前半にかけて決着したのは、個々 の業界じゃなくて個別会社ごとの交渉ということで州政府は決着させてきました。

    ここで第一弾の増税があった後で、その後でPIS/CONFINSの増税というようなところ。それから原材料の高騰ということで増販、増収は確保したのですけど増益という形にはなっていないという風に見ております。

    ルーラ政権に対しては、税制の簡素化、租税負担率の軽減、港湾のインフラ整備などを早急に改善

    その次に共通テーマになっている部会のテーマですが、皆さんおっしゃっているのとほぼ内容的には同様ですが、ルーラ政権の今後に期待するところということ につきましては、税制の問題を簡素化、あるいは36・数%まで行ってしまった租税負担率を若干なりとも落とせるような方向でやっていただきたい。

    それから、インフラ、あるいはその税制だけでない港湾だ何だかんだと行政の不効率さを何とか解消してほしい、という大きな問題については我々も感じていま すし、情報交換によって少しでもいい方向に、商工会議所を通じて動けたらな、と思っております。その次の課題としてはFTA関連なのですが、FTAについ てはあるいは一部地域同盟を含めましたところでは、業界によって、それぞれ部品あるいは自動車、二輪によって若干意見の相違はあるのですけど、基本的流れ としてはFTAがどんどん進んでいく方向にあろうかなと思うのですが、日本との間が遅れることによって一番デメリットというか、業界にとって競争力が削が れるのが多分、部品メーカーのところだと思うのです。

    部品メーカーを通じて完成品メー カーがそれでまた競争力を失うというところにあろうかと思いますので、ここのところはやはり特に四輪、あるいは一部の部品の、二輪の部品メーカーについて はヨーロッパとの間が早めに決まっちゃいますと、日本はかなり後を食うかな、割を食うかなという気はします。

    それからもう一つ、ブラジルも中国あるいはインドというところと急接近しておりまして、日本がちょっと頭ごなしになりそうなのですが、これは二輪の単独の 事情だとは思うのですが、中国というのは今世界一の二輪車の生産国です。まあ技術的にあるいは、性能的に決していいとはいえませんけど、こういうところと 表面だけのFTAが結ばれてしまいまして、現実にそのブラジル当たりも京都議定書も批准しましたし、環境問題もやっていくという風には言っているのです が、それを検査、把握するだけの機能がブラジルにはありませんから相手国政府の認証のもとにOKを出していってしまいますと結局は、基準にそわないものが 国内に氾濫することになりかねないので、その辺で中国あるいはインド辺りと、早めにFTAだけが結ばれてしまっていうのはちょっと懸念しております。運用 をちゃんと確保しないままでやってしまってはというふうには考えております。

    後一つ、業 界内で共通テーマとして検討しようよ、というふうに考えていますのはブラジル移転価格税制でかなり、いくつかの監査及び課税令が出てきているようですが、 どうもOECD基準とは若干違うというように聞いておりますし、いろいろやり方が不透明ですので早めにもう決着して、税金を払っているところもあります し、監査に入られているところもありますし、業界の中で情報交換しながらどういう形で、我々が直接的にそのブラジルの移転価格税制そのものを改正させるま での力はないにしてもどうやって防御したらいいのか、ということについては共通に勉強会でもやろうかという風にしてございます。と業界としては以上です。

    司会

    どうもありがとうございました。ちょっとFTAのところでですね、日本とのFTAがヨーロッパ・ブラジルとのFTAに比べて遅れるとまあ部品メーカーの方 で影響を受けるところが出てくると、これは日本から部品を入れているということですよね。それが結果として完成品メーカーにも影響を及ぼす可能性があると いうことですが、ちょっともう一つ私よく理解できなかったんですが、中国やインドが先に出来ちゃうとどういうことになるんですか。

    内山

    まあ今、輸入税も二輪車業界については、国産化率をどれだけ達成したら、どれだけの減免を与えますとか、あるいは工程をどこまで国産化したら与えますと か、エンジンに対しては要するに排気量で環境基準にどこまでマッチしているか、合致しているかというような規制を持っています。例えばエンジンで、排ガス が基準に合っていなくてもですね、合っているという証明書が出てくれば作れちゃうんですね。作れるし、売れるわけです。

    ブラジル政府に今、その排ガスをチェックするだけの機能があるかというと四輪車についてはチェック機能があるのですが、二輪車の検査設備ないんです、ブラ ジルに。ブラジルにある二輪車の検査設備というのは日系の完成品メーカーが持っている社内の検査設備以外、ブラジルにはないのです。それで政府はそれをそ ろえよう、整えようという意向も今のところ持っていないのです。予算もないから。そうすると例えばの話、ブラジルは来年からEU2をベースとした排ガス規 制になりますけど、それに入ってOKですよという証明書がどこかから出てきますと、それをそのまま入れてしまう可能性がある。

    だからまあ、非常に質の悪いガスを吐く車両が同じように出てくると、いうことも考えられるので、我々の個別の脅威としては中国のメーカーの価格はブラジル の価格と比べると相当に安いですから。年間1300万台作っている国ですから、量の面でもあれですけども非常に安いんで。粗悪品が出てくるといろんな意味 で業界の秩序を乱していくということにもなりますし、そういうことを心配しています。

    司会

    どうもありがとうございます。じゃあ、何かご質問。

    今の二輪車にからみまして、今年、去年ですか、輸出向けに50%増えたと。マナウスで組み立てられたその単車が、輸出いいますと南米、南米内でしょうか、 それともアメリカ、ヨーロッパのほうにも大分、数量が出ておるということでしょうか。それが一つと、今のFAATにからみましてマナウスでアセンブリング したその単車を、今度はホンダさんもそうでしたけど内作率95%、ほとんどもうブラジル製と言っていい格好で現地調達されているわけですよね。そういう製 品を今度は、ヨーロッパとFATをやったときにブラジル市場以外にヨーロッパの市場へもアクセスしやすいという今度、輸出志向からすれば、非常にFTAを ブラジルがヨーロッパと結べば二輪車にとっては非常にメリットが大きいのじゃないかな、と思うのですがいかがでしょうか。

    内村

    まず一つ目の話なのですが、合衆国およびカナダ、北米が中心です。北米が第一の市場、第二番目の市場がまあ、この南米地域の周辺国ですね、南米9カ国、及 び中米諸国、それら三つ目の市場がヨーロッパというようなことになっています。まだアジア方面、日本、オーストラリアは出していますけどアジア諸国にはあ まり出ていません。どうしてアメリカ、カナダが多いかといいますと、完成品メーカーが敵地生産にだんだんシフトしてきており、アメリカの専用モデルを、日 本で生産していたものをブラジルに生産移管するという動きがかなり出てきております。

    二 つ目は、ブラジル製は実社率は上げる方法というのは二つありまして、一つは自社率そのものを完全に上げてしまってブラジル製品、純粋ブラジル製品にする方 法。ブラジル国内で売るためにPPBといいましてある一定の工程をやりさえすれば、国内で売ってもいいですよと。二通り持っておりまして、まあその税制を 優遇して売ってもいいですと。まず一つ目の外国に出す場合なのですが、一つの我々目安としておりますのが、メルコスル商品として認められるのが60%国内 調達というのが一つのベースになっておりますので、60%をクリヤするのが第一番目。これでやりますと、メルコスル諸国には無税で出荷できます。

    もう一つは、メルコスル及びなのですか一部アンデスとも協定を持っております、一部そのへんも聞きますけど、それからヨーロッパ、アメリカに出す場合は自 生率に特にそんなにとらわれる必要がないんですが、その国内との共用制含めまして、そこまでやっていかないとコスト下がりませんので、コスト競争力の面で 自社率を上げていったものを出さないと、コスト競争力もないということになります。

    た だ、コスト競争力があるかないか、どこの完成品メーカーもほぼ一緒になってきているのですが、それぞれ輸出する相手国も兄弟会社ですので、それぞれ会社間 取引といいましても社内取引で、政策的に出来ないことはなのですが、特に昨今コストが急激に下がっているアジア地域と競争していくためには、相当コストを 下げていかないといけない。

    ただ一方で、母体となる市場国に何を持っているかがベースと なりので、輸出専用モデルというのはある考え方でしか出せませんが、国内モデルをどう出していくかということになると、アジアの消費者嗜好とブラジルの消 費者嗜好かなり違います。ブラジルの消費者嗜好はヨーロッパに近いもので、アジア製品と直接バッティングするということはあまり出てこない。ということ で、比較的メーカーの考え方に添った形で、供給戦略が作れているのが現実です。

    司会

    ありがとうございました、他に何かご質問ありますか。じゃあ、なければ各部会長さんからの報告というのはこれで終わりとさせていただきます。

     

     

    共通テーマ「 2004 年の回顧と 2005 年の展望」

    2005 年2 月23日

    自動車部会長 岩村哲夫
    発表者-内山徹雄副部会長

    ■ 自動車

    2004年度、自動車の生産/販売実績は以下のような結果となった。

        2004年 2003年 前年比
    ブラジル 生産車 生産台数 2,205,873台 1,827,038台 + 20.7%
      国内販売台数 ① 1,517,053台 1,354,807台 + 12.0%
      輸出台数 642,274台 534,745台 + 20.1%
      輸入車台数 ② 61,722台 73,803台 ▲ 17.4%
      国内販売合計 ①+② 1,578,775台 1,428,610台 + 10.5%

    2004年は年初の消費低迷や雇用環境悪化の下、悲観的予測でスタートしたが、第3四半期以降の回復によりGDPは5%超の成長を示す中で、生産台数は年 初の業界予測199万台に対して220.5万台と大幅に上回り、国内販売台数も年初の154万台予測に対して157.8万台、加えて輸出は64.2万台と 記録を更新した。

    ANFAVEAは年初,今年度は自動車生産台数230万台(前年比+5.4%)、国内販売台数164万台(前年比+3.9%)の予測を発表。2005年も経済回復の延長線にあり、緩やかな成長が続くとの予測が大半を占めている。

    2003年度は経済縮小により、各メーカーとも損失を余儀なくされたが、2004年度は前述の国内市場回復と輸出増で各社の収益は改善されている。すでにFORDが今年度の黒字決算を発表し、GMは下半期は黒字化達成、VWはほぼブレークイーブンと述べた。

    2004年の自動車産業貿易額は輸出138億㌦、輸入70億㌦、黒字収支は68億㌦となった。この額はブラジル全体の黒字収支の約20%に相当するもので あり貢献度は年々高まっている。輸出は2005年に7%の増加が見込まれている。一方で、更なる金利引上げや鉄鋼石値上げやレアル高等の環境下において、 国際競争力を維持しながら黒字化を確保出来るかが自動車産業の成長に向けた課題となっている。加えて主要輸出国であるアルゼンチンとの貿易摩擦問題も 2006年の自由化予定を前にデリケートな短期的課題となっている。

     

    ■ 二輪車

    2004年度、二輪車の生産/販売実績は以下のような結果となった。

      2004年 2003年 前年比
    生産台数 1,057,333台 954,620台 +10.8%
    国内販売台数 911,171台 848,377台 +07.4%
    輸出台数 157,400台 100,440台 +56.7%

    国内販売は2004年中旬以降の景気回復や各社の新車投入効果等により需要を伸ばし過去最高の販売記録を更新。輸出も各社のNEWモデル投入による新規開 拓やアルゼンチンの経済回復などに支えられ前年比156,7%と大幅な伸びとなった。その結果、生産台数は初めて100万台の大台を突破し10,8%の増 加となった。

    二輪業界を取り巻く環境としては、製造拠点が集 中するアマゾナス州マナウスに対する税制恩典の見直しの政治的な動きが加速し、それに対する対応が急務であった。原材料費の高騰に加え、連邦税 (PIS/COFINS)の恩典削減、アマゾナス州恩典の一部見直しも重なり、価格/収益面では大変厳しい年となった。

    2005年は翌年に控える大統領選挙を睨んだ景気対策も期待され、経済の安定成長が見込まれる中、各社の市場開拓努力により更なる需要拡大が期待される。輸出についてはレアル高により価格競争力の面で相対的に厳しさが増してきている。

     

    ■ 部品

    2004年に完成車の国内市場および輸出が過去最高を記録する中、部品メーカーは概ね大幅な生産増を達成した。急激な需要拡大の一方で,原料資材の逼迫と 価格高騰により、数量の確保とコストアップに直面し,収益面での増産効果を相殺しかねないインパクトを与えている。2005年も引き続き市場拡大による需 要増が見込まれているが,原材料調達問題などのモノ不足により,部品の供給が追随しきれない状態が懸念されている。

     

    2.部会別個別テーマ

    ■ ルーラ政権の政策方針による影響・課題

    政権発足3年目となるこれまでの経済政策を見る限り、従来政権との大きな乖離は見られず,インフレ抑制,財政重視の慎重な政権運営を続けている。下半期の 経済回復にも関わらずインフレはコントロール下にあり、消費者は購買力の一部を回復し小売部門の販売拡大にも光りが見えてきているほか,プライマリー黒字 収支は高レベルで推移、投資増や雇用回復等,多くの指標で経済成長の加速が観測された。

    輸出促進政策は効果を上げ国内経済を活性化してきたが,今後は長期に亘って経済成長を持続するためにも内需拡大に向けた消費者主体の経済政策,すなわち, 安定した金利政策の下での金利引下げ,税制システムの簡素化と税負担の削減,成長への基盤となるインフラ /税制整備、民間投資刺激策、さらに自動車業界にとっては,金利引上げによるマイナス効果を相殺する自動車産業活性化プログラム(減税や消費者への特別融 資)等、数々の改革実現が待たれる。

    しかしながら,来年の大 統領選を睨んだ支持基盤内の対立が激化しており、諸改革案成立には難航が予想されるほか,原油価格高騰や鋼材価格上昇,高金利による緊縮財政政策の継続に よる消費及び投資意欲減退といった懸念も高まるなど、依然として今後の経済成長には不透明感が存在している。

    ■ FTA関連問題・課題

    FTA締結先対象国次第で,メーカー競争力格差が広がり,各社の戦略(販路拡大を各社が模索)が大きく変わっていく可能性がある。昨年9月の小泉首相来伯 に続く,05年5月に予定されるルーラ大統領訪日での通商外交の進展を期待する。メルコスールに関してはアルゼンチンの動向が気掛かりである。<部 会全体>

    中国との関係の進展が非常に大きな影響を持つほか, FTAA,Mercosul-EUの通商外交進展もマナウスフリーゾーンでの操業に大きな影響が懸念される。<二輪車>

    FTAの進展の遅れがブラジルを世界マーケットから遠ざける懸念とFTA締結をスピードアップする必要性。<部品>

    ■ 業界内の問題・課題

    いわゆる“ブラジルコスト”は,改善の方向には向かっておらず,複雑な税制の簡素化・税率の引き下げ,硬直的な労働法や高い社会保障負担の改善,(港や道 路などの)インフラ整備,などが期待される。輸出への影響が憂慮されるレアル高のほか,国内資材の不足や鋼材価格,ガソリン(原油)価格の上昇等への対応 や組合活動の動向にも引き続き注目している。

    ブラジルビザ発給状況は,ブラジルでの操業拡大・国産化推進を進めるための日本からの支援に関して影響があり,04年には多少の改善が見られたが,入国審査の非効率等と合わせて国際基準での正常化を求める。

    連邦税改訂によるPIS/COFINSのマナウス地域での増税とその後の行方に注視しており,移転価格税制については,国際基準に沿った当局の判断を期待する。

     

     

  • 石田仁宏総領事の講評

     


    石田仁宏サンパウロ総領事館総領事

    司会

    せっかくお見えの石田総領事の方からご講評を頂きたいと思います。

    石田

    本日はこの部会長懇談会に出席させていただき、昨年の回顧と本年の展望について率直なご意見を聞かせていただきまして、大変感謝申し上げます。私の印象論 的なことを申し上げさせていただきますと冒頭、田中会頭のほうから商工会議所のメンバーは最近、拡大の傾向にあると述べられていましたし、それから各部会 の代表の方からの報告でも、非常に各業界の実績は好調であるということで、もちろん濃淡の違いはあるにしろ概ね好調であるということで、誠にご同慶の至り と。私もあやかりたいと思っております。

    その前提といたしましては、2004年のブラジ ル経済が皆様から指摘のありましたように、極めて好調、5%を超えるような成長があったということで、本年もおそらくこの調子で行けば、若干の減速はある にしても概ね、安定的なかなりな成長が見込まれるという皆様のご意見ですし、それから色々マスコミをみてもそういうご意見が多いので、私もその見方に同調 したいと思います。

    それはやはりルーラ政権が、選挙期間中の色々な懸念、あるいは政権についた当初の懸念にある点に反して、前政権の政策をほぼ踏襲し、極めて安定的な政策、経済運営を行ってきたということで内外の信頼を勝ち得たということがその前提にあると思います。

    ただ、これも皆さんからご指摘がありましたが、来年は大統領選挙の年になりますので、今までのような堅調かつ安定的なその政策がそのまま続くのか、あるい はもうちょっとポピュラステックな政策に若干変化することもあるのか、その辺は今後注視していかなければいけないという風に思っております。

    それからコンサル部会の代表の方からルーラ再選の可能性については、今のようなことを前提としてかなり高いというような分析がございましたけど、私も今の状況に大きな変化がないという限りにおいて、おそらくそうじゃないかという風に考えております。

    それから同じくコンサル部会の代表の方からブラジルコストの問題について、これまで色々と政府当局には申し入れをしてきたけれどもほとんど、事態は改善さ れていないと。政府はそういった要請にいっこだにしないといわないにしても、ほとんど顧みないという指摘があって、これからはやや戦略を変えて、ギブアン ドテイクでもう少し具体的な提案をしなければいけないというようなご指摘がありました。

    まさにですね、そういうような話も今度の3月3日に、ブラジリアでブラジル日本議員連盟の主催によって経済シンポジウムが、行われますけど、そういう場で そのような提案を、きちんと提供するということが僕は大事だと思いますので、ぜひそのようなものには出席して頂きたいと思います。

    まあ今回の3月3日が日本とブラジルの経済シンポの唯一、最後になるわけではないので、そういう機会は今後ともあるとも思いますけど、ぜひ積極的にですねそういう考え方はブラジル側にぶつけていただくということが大事だと思っております。

    それからFTAについては、色々一般論としては皆様やって欲しいと思いますが、部会によってはほとんど関係ない所もあったように思います。もちろん、それ は当然色んな業界によって、影響とかなんかは違うわけですから、そういった反応はある意味では当たり前ではあると思いますけど、いずれにせよ現状のような 状況、ブラジル政府のFTA、日本とのFTAに対する考え方もそうですし、民間の方々のご意見も必ずしもメチャクチャ、熱意を持っているという感じでもな いように見受けられます。

    そういう状況では以前に堀村大使からも指摘があったと思います けど、なかなか進展させるのは難しいかな、と。進展させるためにはもうちょっと具体的な強い要望がですね、もちろん民間からもあるいはブラジル政府からも 出ることが必要なのかな、というような感じを自分としてはもちました。とりあえず、私の印象、コメントはまあ申し上げたとおりです。本日はどうもありがと うございました。

     

    司会

    ありがとうございました。

     

     

  • 閉会の挨拶


    浅賀健一総務委員長(日本スチール)

    司会

    最後になりますが、閉会の挨拶ということで総務委員長の浅賀さんのほうからお願いいたします。

    浅賀

    皆さん、長時間に渡りましてご出席いただきまして誠にありがとうございます、発表側の各部会長さん、それから熱心なご討議にご参加いただきまして誠にあり がとうございます。一つだけ、私のほうからちょっと補足させていただきますと、先ほど運輸・サービスの方から、船が足りないという話がございましたけれど も世界的に厚板が払底している状態でして、ブラジルでも厚板がつくれるのはコジッパとウジミナスだけ。

    アジアも厚板が足りないと、そういう中で中国は今、50万トンの船をつくってマラニョンと上海の間をさせようと。こんなでっかい船は世界中で2か所しか泊 まれないので、その船はその間を行ったり来たりずっとするようなんですけど、当社も及ばずながら32万トンの船を今、手配していますけれども、船が出来上 がって動いた頃にまだこの景気が続いているかどうかということに不安がございます。

    一 つ、中国はこの数年、毎年2000万トン、3000万トン、4000万トンとすごい勢いで需要を伸ばしてきて、3000万トンというのはちょうどブラジル の生産量ですから、ブラジル一国分ぐらいの量が毎年増えていくという状況で、昨年の11月、12月からついに中国は鉄の輸出国になりました。輸入量よりも 輸出の方が増えました。まあ、二ヶ月ですので、これがずっと続くのか、構造的な問題なのかは、見ていかなければいけないですが、繊維製品のように、中国の 安物が世界中に行き渡るとなると、価格の問題にも影響が出てくるので、やはり中国の動きというのは今年も非常に注目というか、一つの大きい節目に来ている なと思います。

    例えばこんなオフレコの話みたいなのが次の懇談会にも出るかも知れませんので、ご都合が許す方は、当ホテルで引き続き懇談会をやりたいと思いますので、ご参加いただければという風に思います。今日は長時間にわたりましてありがとうございました。

     

     

 

2004年下期業種別部会長懇談会

ブラジル日本商工会議所総務委員会(浅賀委員長)及び企画戦略委員会(多田委員長)共催の「2004年下期の業種 別部会長懇談会」は、8月5日午後3時~6時30分、安田保険講堂で開催された。浅賀委員長司会の下、11部会の部会長、あるいは副部会長それぞれによ る、「ブラジル経済2004年度上期回顧と下期展望」についての発表。

個別テーマとして 「ルーラ政権の政策・方針による影響・課題、FTA問題、中国・アジア関連、部会内の個別業種に絞った課題等々に関する具体的・実体的な見解」にも触れた が、昨年の不況からの景況回復が2、3を除き多くの業種において顕著な半面、PIS、 Cofins増税が各業種に、税制恩典廃止がとくにマナウスの企業に影響していることが印象づけられ、政府当局に対して善処方を働きかける必要性のある事 を痛感させられた。また、質疑応答も活発に行われた。当日の出席者、各部会代表の発表者は次の通り。

  • 司会の言葉 浅賀総務委員長


    浅賀総務委員長

    前回同様この「部会長懇談会」は、私共の総務委員会と企画戦略委員会の共催です。ここから吸い上げた問題を今後の会議所活動に反映させて行きたいと言うこと から、両委員会の共催とさせて頂きました。要領は皆さんご承知のように、一つの部会の持ち時間は15分です。前半は5つの部会に発表していただき、コー ヒーブレイクをはさんで後半は6部会、1つの部会は一応15分。なるべくその時間の範囲内でやって頂き、目安としてはご説明を10分程度、その後各部会ご とに質疑応答の時間を設けてございます。8分ぐらいたったところで、「そろそろまとめに入って下さい」という意味での合図をさせて頂いて、10分程度で一 度話を締めくくり、ついで「質疑応答」という手順でやってまいりたいと思います。

    部会のご説明に入る前に田中会頭のほうからご挨拶を頂いて、そ れから各部会の説明に入りたいと思いますが、会場は禁煙ですので、催された方は外の決められております喫煙場所で、ご懸念なくブカブカ吸って頂きたい。こ こでは禁煙ということで改めてお願いします。それでは会頭、よろしくお願いいたします。

     

     

  • 会頭挨拶 田中会頭


    田中会頭

    経済は成長路線に乗ったが先進諸国及びBRICSの動向に要注意

    田中会頭 そ れでは簡単にご挨拶させて頂きます。本日は、当会議所のメインイベントである「業種別部会長懇談会」にご多忙中にも関わらず、多数ご出席頂き、まことに有 難うございました。とくに石田総領事以下の総領事館の皆様、ブラジリアからわざわざお越し頂いた大使館の笹本一等書記官に厚くお礼申し上げます。この懇談 会は1970年代に開始され、約30年の歴史を持つ行事で、年初と年央の2回、ブラジル経済の回顧と展望を行っております。今回「は2004年上期の回顧 と下期の展望」を行うことになっています。近年、「開かれた商工会議所」の方針に則り、会員以外の一般の方々にも自由に参加していただき、日本語からポル トガル語への同時通訳も用意しております。

    国民多数の期待を集めて誕生したルーラ政権は1 年半経過しましたが、経済の面ではまさに辛抱の期間であったと言うことが出来ると思います。前政権末期から再燃傾向にあったインフレを抑制し、年金改革な どの構造改革など"負の遺産"を整理するため、持続的経済成長を図るという公約を一時的に犠牲にする厳しい引き締め政策を余儀なくされました
    高金利政策の維持、マイナス成長、失業増加などに対する党内、政府内、労使双方からの攻撃を受け、パロッチ蔵相、メイレーレス中銀総裁は四面楚歌の状態に陥りましたが、ルーラ大統領の経済スタッフに対する信頼は失われませんでした。
    昨年後半から回復を始めたブラジル経済は、今年に入ってから一段と力強さを加え、レアル・プラン以来10年ぶりとも、あるいは「ブラジル経済の奇跡」いらい30年ぶりともいわれる成長路線に乗ったという意見もあります。

    しかし、今日の世界経済はグローバル化しておりますので、ほぼ同時並行的な回復傾向にある米国、日本などの先進国やブリックス(BRICS*)と呼ばれる諸国の動向はもちろんのこと、近年影響力を強めている地政学的リスクに対する警戒も必要であると思われます。
    終わりになりますが、立派な会場を提供して下さいました安田保険、本懇談会担当の総務、企画戦略の各委員会や各部会を始め、事務局の皆さんの努力、ご協力にお礼を述べて、私の挨拶を終わりたいと思います。
    *BRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国など)。

     

     

  • コンサルタント部会 桜井コンサルタント部会長


    桜井コンサルタント部会長

    新しい商工会議所に脱皮しよう

    桜井 コンサルタント部会長の桜井です。本年度からコンサルタント部会は、コンサルタント部会にふさわしい何らかの提言を行うことにしております。今回は、「いかにブラジル日本商工会議所をより一層活性化させるか」についてお話しさせて頂きたいと思います。
    ご承知の通り、日本とブラジルの経済関係はここ十数年来低迷の一途を辿ってきております。ではどちらが悪いかと言いますと、両方とも悪いんですが、更に突 き詰めていきますと、私は日本側のほうにより責任があると思います。その一例として、ブラジル政府の人もよく言いますが、ルーラ政権以降、ブラジルから6 名の大臣が日本に行っています。しかし日本からは一人も大臣が来ていません。この例に代表されるように日本側に責任があるんじゃないかと思っています。

    但し、ここにきて、両国の関係がかなりの変化を示しつつあります。一つは日本とブラジルの経済が非常に良くなって来たことからであります。2番目は BRICS議論により、ブラジルがいま世界的に注目され、日本でも注目を集めていることであります。 第3番目は、ブラジル側、日本側双方から両国の関係 を正しく評価しようという新しい動きが出ていることです。第4番目はいまアウキミン・サンパウロ州知事が日本に行っていますが、今後、小泉総理の来伯と か、ルーラ大統領の訪日とか予定され、要人の往来も盛んになるだろうと言うことです。
    従いまして、今年末から来年にかけて日伯両国の関係が非常 に緊密化して、我々も皆様方も全て忙しくなるんじゃないかと思います。こういう時期に一度、商工会議所のあり方に関わる抜本的な問題点を洗い出し、新しい 日伯経済関係の動きに合致した新しい商工会議所に脱皮する必要があるというのが我々の認識であります。

    提案内容は、これからお話しすることを受けまして、商工会議所内に「商工会議所活性化特別タスクフォース」、または、「ワーキンググループ」を設置して、 9月から11月まで3ヵ月くらいかけて、新しい日伯関係にふさわしい商工会議所のあり方というのを議論し、その結果を来年度以降の商工会議所の活動に反映 させるということです。

    問題提起6つのポイント
    人材関連コミテイ新設、委員会、部会の見直し等

    そ れで、問題提起として、6つのポイントがあります。商工会議所の目的、組織、人、金、会議所の運営プログラム、各種課題の6つであります。最初の目的につ いては、定款にいろいろ書いてありますが、どちらかというと親睦に重視重点がおかれている。このことは、全世界の日本商工会議所永遠の課題ですが、今後は 目的に添った形で、もう少し親睦から目的オリエンティッドにすることが必要かと思います。
    組織については、事務局がありますが、事務局の業務の増大にどのように対処するか、あるいは現在の組織図が適当であるか、事務局にふさわしい権限が与えられているかとか、あるいは事務局長の権限をもっと強化すべきではないかとか、そういうポイントがあると思います。
    常任理事会については、いま月例の会議では昼食会の前に1時間とか1時間15分位話をしていますが、ルーティンの問題の討議が多い。どうあるべきかについてもう少し時間をかけて話をすべきだと考えます。

    現在13の委員会があります。これも現在の委員会のままでいいのか、あるいは新しい時代に即した形で委員会を新たに設置するとか、あるいは現状の委員会の数が適当かどうかとか、それぞれの委員会がしっかり機能を果たしているかという分析も必要ではないかと思います。
    他の欧米の商工会議所を見ていますと、例えば「人材関連のコミテイ」、これ英独仏米の全部にあって、日本商工会議所にはありません。今後の商工会議所の発 展等を考えますと、例えば企業の社会的責任関連、ブラジルコスト関連、FTA関連、投資促進の関連の委員会の設置を検討する時期に来ています。その他、ブ ラジルにある他の5つの日系商工会議所とかメルコスルの日本商工会議所との関係とか、そういった連絡業務も必要だし、いま27万人日本にいますデカセギの 方々の企業化支援等も必要ではないかと考えます。

    部会の活動と機能については、これも会 員の増減があるので、現在の部会の数、名称でいいのか、あるいは独自にまた新しく設置するかどうか、そういうことも検討する必要があるかと思います。将来 の発展を考えますと、例えばIT部会、個人会員部会、デカセギビジネス部会とか、あるいはいま運輸サービス部会に入っていますが観光というのが非常に重要 ですので、例えば観光を一つの部会にするとかも考えられるのではないかと思います。

    次に 「人」の問題。会議所の運営がうまく機能するかはまさにこれ「人」にかかっています。会議所の仕事はこれ全くボランティアで、仕事の合間を縫ってみんな一 生懸命頑張ることになります。それゆえに更に「やる気」と「ボランティア精神」に富んだ理事,常任理事が望まれるということです。それでここでは、例えば 理事、常任理事の選出方法が今のままでいいのかとか、あるいはその機能、役割がちゃんと明確になっているかも議論する必要があるのかなと思います。
    それから部会長の選出もいろいろあり、持ち回りというのが結構多い。持ち回りでも全然構わないと思いますが、その場合でも、やはり腹をくくり、ジタバタしないでしっかり頑張って頂くことも必要と思います。

    会員数も増やそう

    それから「お金」、予算の問題ですが、予算の問題で一番重要なのは会員をいかに増やすかです。米国商工会議所の場合5560社が会員になっています。ドイ ツ商工会議所は1000社、それからフランスは700社ということです。日本商工会議所の場合、まあ280社プラス16個人で300弱です。従って、やは り会員数を増やすのが財政基盤を恭子にする上で非常に重要な要因かと思います。

    ではどう すか?未加入の日本進出企業にやはり積極的に働きかける、コロニアの企業に対して積極的に勧誘する、日本に進出しているブラジルの企業を勧誘する、あるい は日本と取引をしているブラジル企業に働きかける、あるいは、個人企業、個人会員を勧誘する、デカセギビジネスの方々にも入って頂く、それから海外メン バーを誘致することも必要です。
    それからもう一つは広告収入、スポンサー探し、共催活動の積極的推進という方法もあります。これらの点について は、どちらかというと商工会議所はあまり積極的ではないが、今後はやはり広告収入とかスポンサー探し、それから、共催活動等をやって極力コストを削減し、  それによって、いろんなイベントを楽しく有意義なものにする事がやはり必要かなと思います。

    次に会議所の運営・各種プログラムですが、例えばいま総会はどちらかというと昼食会になっている。昼食会では飲んだり食ったりしますので、総会はやはり ちゃんと座ってやるのが必要でないかと思います。年に2回ぐらい、そこで新年度のプログラムとか、去年何をやったとか、中間報告とかをやることが必要かと 思います。月例昼食会は、今度アウキミンさんが来ますが、日本商工会議所の重要性から考えますと、やはり年に1、2 回は、その連邦政府の大臣が来るというかたちでやることが必要かなと思います。
    年次報告書ですが、他の商工会議所はハードカバーで割合しっかり した年次報告書を出しています。日本商工会議所はハードカバーではなくて、コンピューターで出しているが、やはり、将来的にはちゃんとした、ハードカバー で出して、1年間何をやったか、今後何をするかを明確に打ち出すことが必要だと思います。
    それから、いろいろな事態に応じて、臨機応変にサブコミテイも設け、そこで、どんどん新たなことをやって行く。サブコミテイによって隠れた人材等をたくさん発掘できると思います。

    商工会議所の国際化を目指そう

    次に「各種課題」ですが、第1のポイントは、会議所の国際化です。これは永遠の課題ですが、会議所を発展させる上で避けて通れない問題ですので、相当真剣に取り組む必要があると思います。
    2番目のポイントは提言能力の向上です。ブラジルでビジネスをする上で皆さん方が困っておられるのにブラジルコストの問題があります。ビザの発給、通関, インフラ,税金,治安等々いろんな問題です。ブラジル政府は往々にして頭だけで考えるという性格があるので、不適切な政策が出てきた場合、スピーディかつ 適確に対応する必要があります。従って、この問題には専任の常任委員を一人設けるぐらいの心づもりでやらないと、うまく行かないと思います。

    それから企業の社会的責任活動への取り組みがあります。これは日本でも相当話題になっています。ブラジルは私もいろいろと調査しましたが、この分野では、 非常に面白い国であります。いろいろなプログラムをやっており、バラエティに富んでいます。アメリカ商工会議所は 82年より「ECO賞」を設けていますし、フランス商工会議所も、つい3年前ぐらいにLIF賞というのを設け、優れた社会的責任活動を行っている企業に対 し、表彰している。ドイツ商工会議所も熱心です。日本商工会議所もそろそろこの問題に関して頭に入れておいた方がいい時期に来ています。場合によっては、 常任委員会を作るぐらいの力の入れ具合にしても決しておかしくないと思います。

    4番目は 全員参加に関連することです、田中会頭のご意見で「開かれた会議所、全員参加の会議所」がスローガンになり、昨年度に比較して、だいぶ良くなっていると思 いますが、やはりまだ「全員参加」から遠いという感じです。従いまして、一度会員企業にアンケート調査をして、参加の状況とか、どのようにすれば参加して もらえるのか、あるいは参加しやすくなるのかをアンケートする。それを受けて、そのコメントを受け入れられるようなメカニズムをつくることが望まれます。 ホームページへの投稿、会議所機関誌の発行とか、いろんな形があると思います。一例として、この7月に EMBRAERの工場見学がありました。これは非常に人気がありましたが、こういった形のプログラムをどんどん増やして行くのが必要かと思います。

    最後に、今後の課題ですが、長年会議所に対して、功労のあった人を表彰するとか、そういう特別賞のようなものを設けることが必要かと思います。それから、 商工会議所に入会したからと言って必ずしも商売に結びつくことにはならないと思いますが、お互いに紹介し合うというメカニズムが必要です。とりわけ昼食会 の時は、その前に「カクテル」の時間がありますので、あの人、この人とちょっと知り合いになりたいという人がいれば、事務局で紹介する世話するというメカ ニズムが必要と思います。

    東京にブラジル商工会議所OB会をつくろう

    東 京の日本商工会議所は、あまり海外の商工会議所のためにやってくれませんが、海外の商工会議所が団結してもっとちゃんと真面目にやってよと言う必要がある と思います。それからもう一つは2008年に、「移民100周年記念」というのがあります。これは、コロニアの方々が主人公であるのは言うまでもないこと ですが、我々も同じ船に乗っておりますし、商工会議所の会員企業もコロニアの方々が今まで一生懸命やってこられたことによる恩恵を相当受けていることもあ りますので、そのオール日本という発想でもう少し、どういう形であれ、このイベントに我々としては乗った方がいいんじゃないかと思います。2008年には 経済も良くなって、日伯関係も良くなっていると思いますので、何もしないと将来において禍根を残すことがあり得ると思います。

    商工会議所の文化的活動は比較的少ないのが現状です、サンパウロは非常にエキサイティングな都市なので、商工会議所としても、文化的な活動を取り入れるべ きだろうと思います。駐在員夫人の方々がいま、「ブラジルを知る会」とか、いろいろやっておられますが、駐在員夫人、あるいは会議所の会員企業の夫人も何 らかの形で参加できるような形のプログラムも将来的に必要かなと思います。
    それから更に、ブラジリアの日本大使館からは、今回は笹本さんにいらして頂いていますが、経済担当班の方が少なくとも年に4回、3カ月に1回くらい来ていただくともっとコミュニケーションが良くなると思います。

    最後に「ブラジルの商工会議所OB会」っていうのも東京に設立すればいいと思います。いま、それぞれの駐在時代の人々が集まって、いろいろやっていますが、それをちゃんとした形のOB会を設立すればいいと思います。
    以上ですが、提案致しましたこととか、あるいは新しいことを含め、9月から11月にかけて会議所内にワーキンググループ等をつくって頂きまして、引き続き議論して一番合理的かつ、よい会議所の運営が出来るようにすることを提案したいと思います。

    時間との関わり合いで、全部を話すことは出来ませんので、お帰りの時に、そのフルテキストを事務局にお願いして渡して貰うようにしていますので、皆さん方ご一読して頂いて、どんどんこの会議所活性化に参加して頂くことをお願いしたいと思います。

    司会 あ りがとうございました。なかなか悩ましい問題を正攻法でバッサリと斬られた感じもしますけれども、これはこの場で質疑するというよりも、桜井さんのほうか ら9月以降、タスクフォースをつくってとのご提言もあり、この問題は取り上げ方を一度、常任理事会等に計って進め方を考えたいと思います。皆さんもこれま でボランティアで会議所の活動をいろいろ時間的な制約など難しいなかでやって来られたと思うんですが、今回桜井さんからのご提言を受けて会議所としても、 もう一段脱皮するような方向で議論に載せたいと思います。特段なんかご質問があればお受けしたいと思いますが、いかがですか。はい、どうぞ。

    桜井部会長の提案は常任理事会で検討したい

    田中  ご提言ありがとうございました。ご承知のように工藤会頭時代に一昨年、組織とそれに関連して定款の大改革をやりましたが、まだ十分でないということは、そ の通りだと思います。たまたま桜井さんの新しい目で見られて、ご自分の経験なんかも含めてご提言頂きましたので、早い機会に常任理事会等で検討していく と、そういうふうにしたいと思っております。その節はご協力をよろしくお願い致します。

     

     

  • コンサルタント部会(レポート)

    いかにブラジル日本商工会議所をより一層活性化させるか

     

    「提言」 04年8月5日

    1.はじめに

    日本とブラジルの経済関係は、この10数年、貿易分野でも投資分野でも低調に推移してきた。日本企業のブラジルに対する関心も、ブラジル企業の日本に対する 関心も低いものであった。しかし、ここにきてかなり情勢が変化しつつある。まず日本経済が低迷から脱し、昨年は、2.7%の成長を遂げ、今年はさらに高い 成長が予想されており、ブラジル経済も、昨年のマイナス成長から今年は、高成長が見込まれている。第2にBRICS議 論により、ブラジルが世界的に注目されるようになったこともあり、日本でも大きな関心を集めつつある、第3に、ブラジル側からも日本側からも両国の関係を 正しく評価しようとする新しい動きが出てきていること等の背景から、両国の関係が変化する兆しが見えており、近い将来より活発化することが予想される。一 方ブラジル日本商工会議所は、1940年に正式に設立され、今年で64年を迎える。本年度より本会議所は、「開かれた会議所、チャレンジする会議所、全員 参加の会議所」という3つのテーマのもとに変化しつつあるが、他の欧米商工会議所の理念や活動に比較すると改善すべきことが多い。またブラジルの変化や現 政権、次期政権のテーマに沿った明確な中長期のビジョンの策定や具体的な会議所の方針の策定も望まれるところである。

    一度抜本的に問題点を洗い出し、新しい日伯経済関係の動きに合致した新しい商工会議所に脱皮することを提案する。下記の項目にしたがって問題提起を行なう。

    2.提案

    今回の問題提起を受けて、商工会議所内に「商工会議所活性化特別タスクフォース」を設置し、9月から11月まで3ヶ月をかけて、「新しい日伯関係にふさわしい会議所のあり方」を議論し提言する。提言結果を来年度事業に反映させることを提案する。

    3.問題提起

    「商工会議所の目的」

    いずれの外国商工会議所の目的もその目的とするところは、多かれ少なかれ同様であるが、実態面において、日本商工会議所の場合、会員間の親睦に重点が置 かれがちである。今後は、少しずつ本来の会議所の目的に添って事業運営をめざすべきであろう。ちなみに当商工会議所の目的は、下記の4点であるが、定款に 定める9項目の内に親睦がある。

    ① 日伯貿易の促進ならびに両国に関係のある商工業の奨励および助長

    ② 会員の商工業活動に関する相互啓発

    ③ 日伯政府ならびに関係機関に対する会員の商工業活動に関する総合的意見の開陳

    ④ 会員の商工業活動より生ずる諸問題に関する友誼的解決の仲介

    「組織」

    1)事務局

    ① 増大する事務局業務にどのように対処するか

    ② 事務局の組織(図)は、時代のニーズにあっているか

    ③ 事務局の役割は、極めて重要であるが、それにふさわしい権限が与えられているか

    ④ 事務局員の給与等は適正かどうか

    ⑤ 事務局業務が過多になっていないか

    ⑥ 事務局長の権限を強化する必要はないのか

    2)常任理事会

    ① 現状は、月例昼食会の前の1時間~1時間15分程度で、報告事項が中心。会議所のあり方等につき十分時間をかけて議論されていない。

    ② 常任委員会で決定すること、事務局が決定できること、各委員会・部会が決定できることが必ずしも明確ではない。

    ③ 月に1回常任委員会が開かれるが、今後即断が必要なことが増加することが予想される。そこで必要に応じ、持ち回り決裁、臨時会議の開催等フレキシブルに対応できるようにする。

    3)委員会の機能と活動

    ① 現在の委員会のままでいいのか、それとも新しい時代に応じた委員会を新たに設置すべきか

    ② 委員会の数はどうか。委員会の業務量にバラツキはないか

    ③ 役割を果たしていない委員会はないのか、それぞれの分析

    ④ 米 英仏独の商工会議所の委員会は別紙資料のとおりであるが、4つの会議所全部にあり、日本の会議所にないコミテイは、「人材関連コミテイ」。その他今後の日 本会議所の発展を考える上で、設置の可能性を検討すべきと思われるものは次のとおり。「企業の社会的責任関連」、「ブラジルコスト関連」、「FTA関連」、「投資促進関連」、「その他ブラジルにある5つの日本商工会議所、メルコスルにある日本商工会議所との連絡関連」、「出稼ぎ企業化支援関連」等

    4)部会の機能と活動

    ① 会員数の増減によって、部会の数、部会の業種は変化すべきであるが、現在の部会名・数は適当かどうか

    ② 会員数からみて、成立たない部会はないかどうか(例 建設・不動産)

    ③ 将来の産業の動向や会議所の新規会員獲得の面からみて、設置を検討したほうがよいと思われる分野はないのか(例 IT、個人会員、出稼ぎビジネス等)観光については、現在運輸サービス部会に所属しているが、将来的には独立させるべきであろう。

    ④ 部会活動は、少数の例外を除き、部会員間の懇親に重点が置かれがちであるが、商工会議所の本来の目的にそった活動を展開すべきではないか

    「人」

    会議所がうまく機能するかどうかは、ひとえに「人」にかかっている。会議所の理事や専任理事はすべてボランテイアであり、それぞれの多忙な業務の合間を縫って活動することになる。すべての役員は、「やる気」と「ボランテイア精神」に富んでいなければならない。

    1)現在の会議所会員数は、280社、個人会員数、16名である。その中から理事として60名が立候補し、各部会から選出されるという方法になっているが、この方法で良いかどうか。理事の役割を再認識し、定款に定める任務と権限を認識すべきではないか。

    2)専任(常任)理事は、理事の中から選出され、現在会頭、副会頭4名、専任理事、8名の合計、13名となっている。委員会の業務と密接に関連するが、専任理事数及び業務の分担は適切かどうか。

    3)専任(常任)理事の立候補にあたっては、会議所で何を推進・実行したいのかを総会や会議所レポート等の場で発表し、任期終了時にその結果を広く知らせるというメカニズムが必要ではないのか。

    4)専任(常任)理事が同一業種(同一部会)からの企業に偏っていないか。

    5)部会長の選出は、立候補形式であるが、持ち回りの場合、引き受けたからには、しっかり任務を果たすという姿勢が必要。

    「金」

    会議所の活動をする上で、「人」と並んで重要なのは、「金」、「予算」である。

    1)会員をいかに増やすか

    米国商工会議所の5,560社(ブラジル企業70%、米国企業20%、外国企業10%)にはとても及ぶべくもないが、会員数を増やすことは、会議所の活性化につながるし、発言力の強化に影響する。今後会員数を増やすにはどうすればいいのであろうか?

    ① 未加入の日本進出企業に対し積極的に働きかけ勧誘する。

    ② コロニアの企業に対し積極的に勧誘する。

    ③ 日本に進出しているブラジル企業を勧誘する。

    ④ 日本とビジネスしているブラジル企業に働きかける。

    ⑤ 個人企業、個人会員に呼びかける。最近、個人企業の会員が増加しつつあるが、これら個人会員の今までに培われた能力、ノウハウにも着目すべき。

    ⑥ 出稼ぎビジネスを展開する企業に呼びかける。

    ⑦ 海外メンバーも勧誘する

    ⑧ 会員増強のための専任理事を設ける。

    ⑨ 会費に見合ったサービスを提供しているかを常に考える。

    2)広告収入、スポンサー探し、共催活動の積極的推進

    ① 今後、会議所が発行する各種媒体、ホームページについては、他の外国商工会議所並に広告のスポンサー探しを行なうことが必要である。

    ② 会議所が行なう各種イベントについてもスポンサーを見つけ、極力コストを削減するようにする。

    ③ 各種イベント、セミナー・シンポジウムなどのオファーがあれば、内容を分析し、有意義と判断すれば、積極的に共催をすることによって、会議所のプログラムをより有意義なもの、楽しいものにする。

    ④ 他の外国商工会議所は、無料による一般サービスと有料によるサービスの2つがある、将来的には、有料サービスも検討すべきである。

    3)活動予算の査定

    本年度から、各委員会、各部会からの予算要求方式が導入された。これは、会議所の活性化に大いに役立つ措置である。今後とも継続し、各委員会、各部 会のやる気を引き出させるような査定を心がけるべきであろう。また年度途中で中間見直しを行い、必要に応じ再配分することも望まれる。

    「会議所の運営・各種プログラム」

    1)総会

    ① 現在では、総会と昼食会が一緒になっているような印象だが、総会は、年2回程度食事スタイルではなく、会議方式でやるべきではないのか?そして、全会員が必要に応じて発言できるようにすべきでないのか?

    ② 年2回の総会によって、年初に新年度のプログラム、予算の採択、前年度の活動・予算報告の承認等を議論し、もう1回の総会では、中間報告をするというのが必要である。総会では、各専任委員、部会長が活動報告を行なう。

    2)月例昼食会

    ① 昼食会には、毎年、必ず開発商工大臣、大蔵大臣クラス、サンパウロ州知事クラス、日本からの大臣、文化人、要人等を招けるように力をつけるべきである。日本商工会議所の重要性からみて十分可能と思われる。

    ② そのためには、月例昼食会の日程などもフレキシブルに考える必要があろう。

    3)部会長懇談会

    この懇談会は、産業別の動向がわかるので非常に良い。今後とも続けるべきである。

    4)年次報告書の作成

    他の外国商工会議所は、総じて立派なハードカバーの年次報告書(ANNUAL REPORT)を発行している。会員名簿と一緒になっているものが多い。1年間に会議所として何をやったのかを知ることができるし、会員企業の概要も知ることができる。さらに新規会員の勧誘にも役立てることができる。日本会議所でも検討すべきである。

    5)必要に応じてサブコミテイ(小委員会)の設置

    会議所の会員企業は、多くの業種をカバーしているし、会員企業の人材も豊富である。したがって、各委員会及び各部会の必要に応じ、サブコミテイをフレキシブルにつくり、隠れた人材をどんどん発掘・活用する。

    「各種課題」

    1)会議所の国際化をめざして

    国際化は、全世界の日本(人)商工会議所の永遠の課題であるが、会議所を発展させる上で、避けて通れない問題である。

    ① 会員数を増やそうとすれば、ブラジル企業、コロニア企業、外国企業に働きかけを行なう必要がある。

    ② 総会、月例会、食事会での使用言語、通訳等の問題にどう対処するのか。

    ③ 会議所の国際化担当専任理事設置の必要性を検討する。

    2)会議所の提言能力の向上

    ブラジルでビジネスする上で、ブラジルコストの問題が常に浮上する。ビザの発給、通関に伴う問題、複雑な行政手続きの問題、複雑かつ高い税制、社会負 担金、治安、インフラの整備、ルールの不透明性等々企業活動にとり極めて密接な関係のある政策措置等が採用され、会員企業の立場を擁護、主張する必要性が 出てきた場合、意見を集約し、ブラジル政府当局に提言する機会も増加することが予想される。従来、日本商工会議所は、諸外国の会議所に比して、提言活動は 少なかったように思われる。タイミングを逸した提言は、提言にならないこともあり、今後迅速かつ的確に提言できる体制を整える必要がある。この分野を担当 する専任理事の設置も検討すべきである。

    現在大使館が商工会議所に提案している「メルコスルとの具体的改善策についての協議の場」も会議所にとって、提言の場を増やす良い機会ととらえることができよう。

    3)企業の社会的責任活動への取り組み

    日本でも企業の社会的責任やグッド・コーポレート・シチズンといったことが注目され、大企業を中心として企業活動の一環として位置付けられるように なっている。ブラジルでもこの分野での活動は、非常に積極的で、プログラムのバラエテイをみても大いに学ぶべき点が多い。サンパウロの米国商工会議所も 1982年より、ECO賞(企業-コミュニテイ賞)を設立して優秀企業を表彰しているし、ドイツ商 工会議所も力を入れだしている。ブラジルに進出している日本企業もこの問題につきより一層関心を持ち、実践に努める必要が出てこよう。会議所としても、組 織的に取り組む時期に来ている。専任理事を設けることや優秀なプログラムを実施した企業に対し、表彰する制度も検討に値する。

    4)全員参加の会議所をめざして

    本年度より、会議所のスローガンとして、「全員参加の会議所」というのがある。本年度は、昨年度に比較し、少しずつ会議所の活動が活発化しているが、全 員参加からは程遠い感がある。少しでも多くの会員に会議所活動に参加してもらうには下記のような点に留意すべきであろう。

    ① 一度、会員企業(人)にアンケートをし、参加の状況、どのようにすればもっと参加できるか、参加しやすくなるかを問い合わせる。

    ② 会員の意見、コメントを受け入れられるようなメカニズムをつくる。(ホームページへの投稿、会議所機関誌の発行と寄稿等)

    ③ 参加しやすいプログラム、有意義なプログラムをより多く実施する。(7月に開催されたEMBRAER見学は、大成功であった)各委員会、各部会で年最低1つのプログラムを実施し、会議所全員に参加を呼びかける。

    5)その他今後の課題

    ① 長年会議所に対し、功労のあった人に贈る特別賞のようなものをつくる。

    ② 1年間で最も会議所活動に貢献のあった会員企業を表彰する制度をつくる。

    ③ 商 工会議所に入会したからと言って、必ずしも商売に結びつくことはないが、それでも会員間の商売に繋がるような機会をできるだけ多くつくり、積極的にお互い を紹介し合ったり、アポイントを取り合えるような雰囲気に持っていくべきである。これによって、新規会員を増加させることができよう。

    ④ 東京の日本商工会議所に働きかけ、もっと世界中に存在する日本(人)商工会議所と連携を深め、場合によっては、支援するメカニズムをつくるように働きかける。

    ⑤ 2008 年の「移民100周年」はコロニアが主人公であることは言うまでもないが、同じ船に乗るものとして、またコロニアの方々が築いてきた過去の業績によって大 いに恩恵を受けている会議所としても、オール日本という発想を持って、もっと協力・支援する必要性がないのか。2008年に向けて、会議所としてのプログ ラムを考えなくてもいいのか。2008年には、日伯関係は、間違いなく好転していると思われるので、何もしないと禍根を残すことになろう。

    ⑥ サ ンパウロは世界的にみてあらゆる意味でエキサイテイングな都市であるが、治安の問題、サンパウロには何も見るべきものはないといった先入観によって、その 魅力を理解する駐在員等の数は思ったほどには多くない。そこで会議所としても文化的な面での活動も展開することが望ましい。駐在地を理解することは、仕事 をする上でも大いに役立つ。

    ⑦ 現在会議所の活動の中で、夫人や家族が参加できる機会は、忘年会、大旅行を除き殆どない。駐在夫人間の「ブラジルを知る会」は、活発に行動しているが、会議所としても夫人、家族も参加できるようなプログラムを増加させることが望まれる。

    ⑧ サンパウロ総領事館との関係は密接であるが、ブラジリアの日本大使館とのコンタクトの強化が望まれる。年に最低3回くらいは、ブラジリアから月例昼食会等に出席していただくことが望まれる。

    ⑨ 新しいブラジルを紹介するためのビデオの作成

    ⑩ ブラジル日本商工会議所OB会の設立

    それぞれの駐在時代の仲間が集まり、年に数回集まるというケースは良く見られるが、すべての時代の会員を対象としたOB会は存在しない。設立の検討が望まれる。

    以上

     

    主要外国商工会議所の委員会

    「米国商工会議所の委員会」(2003年年鑑)

    1. ビジネス問題コミテイ
    2. アグロビジネスコミテイ
    3. 貿易コミテイ
    4. テクノロジーの権利コミテイ
    5. E-ビジネスコミテイ
    6. エネルギーコミテイ
    7. 財務コミテイ
    8. クライアント関係コミテイ
    9. 投資コミテイ
    10. ヤング・エグセクテイブコミテイ
    11. ロジステイックコミテイ
    12. 環境コミテイ
    13. サービスの質的向上コミテイ
    14. 人材コミテイ
    15. リスク・安全コミテイ
    16. 健康コミテイ
    17. 技術コミテイ
    18. テレコミュニケーションコミテイ
    19. 建設ビジネスコミテイ
    20. 経済コミテイ
    21. マーケテイングコミテイ
    22. ラテンアメリカ・ビジネスコミテイ
    23. 事務局関係コミテイ
    24. FTAA タスクフォース
    25. IT コミテイ
    26. Advocacy コミテイ
    27. 27.? ?ブラジル政治情勢分析コミテイ
    28. カーボン・トレード問題外国商工会議所間関係コミテイ
    29. 情報化政策コミテイ
    30. 企業問題コミテイ
    31. 人材開発担当デイレクター、副会頭グループ

    その他FTAAの3つのサブコミテイ等10のサブコミテイがある

    「ドイツ商工会議所の委員会」(2003)

    1. 常設委員会
      ブラジル全国
      1. 全ブラジルドイツ商工会議所審議会
      2. メルコスル域内ドイツ商工会議所審議会
      3. ブラジル・ドイツ会議
      4. メルコスル
      5. 教育・雇用

      サンパウロ

      1. 経済
      2. 中小企業
      3. ソーシャル・コミュニケーション
    2. 特別委員会
      1. 会員
      2. 労働・社会
      3. 学校教育
      4. 薬品工業
      5. ブラジルコスト
      6. 犯罪防止
      7. 定款
      8. 会議所イベント
    3. 経験交流グループ
      1. 機械工業
      2. 人材開発
      3. 権利と税金
      4. 経済
      5. 情報化
      6. コミュニケーション
      7. 環境
      8. 食品
    4. コンタクト
      1. 支所(パラナ、ミナスジェライス)
      2. 事務所(サンタカタリ-ナ、バイア)
      3. 支部(カンピーナス)
      4. ジュニア・チェンバー
      5. ユーロ会議所
      6. 社会文化研究所
      7. 技術研究所
      8. その他学校、病院等13のコンタクト先

    「フランス商工会議所の委員会」(2003)

    1. 財務委員会
    2. インターネット委員会
    3. 法務委員会
    4. ビジネス委員会
    5. 環境委員会
    6. 社会プロジェクト委員会
    7. 人材委員会
    8. 観光委員会
    9. 欧州・ユーロチエンバー関係

    「英国商工会議所の委員会」(2002/2003DIRECTORY)

    1. 法務・税務コミテイ
    2. 環境・技術コミテイ
    3. 人材コミテイ
    4. CEO朝食会コミテイ
    5. 産業・インターネット・コミテイ
    6. 貿易コミテイ
    7. 倫理コミテイ
    8. 財務経済問題コミテイ
    9. 観光コミテイ

     

    コンサルタント部会の活動報告

    (2004年度上半期)

    1) セミナーの開催

    ① 2月12日(木) 「ブラジルにおける見本市ビジネスの動向」

    ② 2月3日(水)  「メルコスール・セミナー」(貿易部会との共催)

    ③ 2月3日(水)  「第1回CDMセミナー」 (貿易部会との共催)

    ④ 3月19日(金) 「法律セミナー」(法律委員会との共催)

    ⑤ 4月16日(金) 「第2回CDMセミナー」 (貿易部会との共催)

    ⑥ 5月12日(水) 「企業の社会的責任プログラム・セミナー」

    (貿易部会との共催)

    ⑦ 5月20日(木) 「企業の監査セミナー」

    ⑧ 6月22日(火) 「メルコスルとFTA」(日伯委員会、貿易部会との共催)

    「今後の予定」

    ⑨ 8月20日(金)  「ブラジルでいかに企業PRを行うか」セミナー

    講師 遠山景孝氏

    ⑩ 9月3日(金)   「ブラジルで損しない方法」セミナー」

    講師 山下晃明氏

    ⑪ 10月       「ブラジルの政治事情」 講師 日本大使館政務担当

    ⑫ 9月から11月にかけて、サンパウロ州政府の協力を得て、IT都市間ピーナスと

    州内アグロビジネスの視察を予定

    2) ブラジル進出企業現地化調査(進捗状況)

    7月下旬  調査項目の最終案作成

    7月末   アンケート調査を会員企業に送付

    8月20日 アンケート回収

    9月中   アンケートまとめ

    10月初め 発表

    コンサルタント部会提言に対する2004年10月の常任理事会での回答

    見ずらければ、ここからダウンロードして下さい

  • 金融部会 村田金融副部会長


    村田金融副部会長

    マクロ経済好調だが、政治面の脆弱性見せた半年

    村田 ブ ラデスコ銀行の村田です。 今日は部会長の三井住友保険の角田さん、それから副部会長の野崎さんがいらっしゃいませんので、私が代わりに発表させて頂きま す。金融部会は、銀行セクターと保険セクターを分けて発表しておりますが、それと同時にマクロ経済に関しても少しお話しをして行きたいと思います。

    まず2004年の上期の回顧ということで、ルーラ政権は前政権を踏襲して、比較的順調な滑り出しを切りましたけれども2年目に入り、会頭がおっしゃったよ うにマクロの数字が非常に好調な半面、政治面等の脆弱性を少し見せた半年だったというふうに大きく括って認識しております。

    貿易収支は非常に好調に始まり、1月中旬はブラジルのいわゆるリスク指標であるEMBIも+400bpを割れたというところで始まりましたが、ルーラ政権 誕生初の政治スキャンダル、あのジニス官房補佐官の収賄等もありまして、更に米国金利の引き上げの観測、アメリカのインフレの再燃懸念、国際テロ懸念、原 油高とこういう要因もありまして、5月にはEMBIは+800bp、2倍ほどまで上昇し為替は売られてR$3.2 まで落ち続けました。現段階、足元は落ち着いてきてEMBIも6月末の時点で+641bp、為替もR$3.1で終了しております。
    政治面では、 ビンゴ営業禁止の暫定令の否決や最低賃金交渉とかで、上院と下院でいろいろと難航したのに見られるように、ルーラの国会運営能力の低下が確認された時期も ありました。それは昨年12月に84%であった支持率が、6月には71%まで低下したことにその現象が見て取れると思います。

    特筆すべきは上期150億ドルの貿易黒字

    そ うはいうものの、最低賃金も最終的には可決しましたし、破産法、これは上院で承認され、いま下院に戻っているところですが、国会運営能力はそうはいっても 依然、きちんと維持しているところも見逃せないと思います。経済全般は確実によくなって、ファーストクオーターは2003年度の第4クオーター比 1.6%、前年同期比2.7%の成長と予想以上の伸びを示して来ました。小売販売も全体の数字としては順調に伸びております。さらに特筆すべきは貿易収支 でして、輸出は433億ドル、輸入は283億ドルと言うことで収支は150億ドルのプラスで半年を終えています。失業率も景気回復等により足元改善が見込 まれております。

    収益を大きく伸ばした銀行業界

    そ う言うことで、マクロの大きな経済面、政治面を見てきましたが、銀行業界全般を簡単にお話ししますと、ファーストクオーターの民間の上位3行平均利益が前 年同期比で22%の増加、それからバンコ・ド・ブラジルに28.5%の増加と言うことで、銀行業界は前年比の数字を見れば、非常によい数字をあげておりま す。足元ですね、ブラデスコ、イタウーも速報で6月の決算を出しておりますが、そちらのほうも大体この数字の範囲内で収益は増加しております。Selic 金利ですが、これは2003年に26.5%から16.5%へ大きく下げてきたが、2004年度の前半は引き下げが非常に限定的だと言えます。16.5%か ら 16%までしか下がっていないのは、途中でいろいろアメリカの金利引き上げだとかと言うタービュレンスもあって、大きな引き下げが出来なかったということ です。為替は先ほど申し上げましたようにR$2.8で始まって3.2までつけて、6月末3.11ということです。

    貸し出しスプレッド縮小、競争激化の下期予想

    Selic金利は年末15~16%/年、為替は同R$3.10~3.20予想

    下期の展望ですが、引き続きアメリカの金利動向が大きく影響すると考えており、こちらの動向を注視する必要があると思います。政治面では10月に地方選 挙、市長選挙が行われますので、こちらはルーラ政権の次の大統領選、2006年の大統領選の前哨戦という意味で非常に大切なポイントだと見ております。先 ほど、前半でのべました低下傾向のルーラ政権の支持率は、足元の景気が回復している、失業率もそれに伴って回復するのではないか、それに伴い所得の改善も 来るという見込みもあって、下期はやや回復するのではないかと考えられております。

    貿易収支は、おそらく前年の248億ドルの貿易黒字を大幅に上回って、270億ドルの黒字を積み上げると見ておりますが、大豆取引問題に代表されますように、中国向けの輸出の不安、ブラジル牛の口てい疫問題などいくつかの注視していくポイントもあるかと思います。
    経済成長率は今年3.5%を見込んでおります。引き続き好調な輸出、内需回復というところが牽引車になると思われます。

    直接投資は5月までの累計で33億ドルと非常に低いんですが、6月にはルーラ大統領がニューヨークで投資家向けの会合を実施するなど努力も重ねており、下期には回復が見込まれ100億ドル、110億ドル程度の数字まで上げるのでないかと見る向きもあります。

    銀行業界に関しましては、金利が低下することにより、いわゆる企業取引の貸し出しに企業や個人の貸し出しに向けなければいけない事もあり、貸し出しスプ レッドの減少、それから競争の激化が顕在化してくると思われます。個人消費者のローンを各行とも伸ばすという風に制約をしていますが、このあたりどのぐら い伸びてくるか、個人のですね、足元の回復にもよるかと思いますが、ここは一つ注目ポイントだと思います。
    我々いつもですね、各銀行四行で12月末の為替と金利の予測をしております。12月の末は、3行が個別とは申しませんが3行がR$3.10での着地、1行が3.20での着地というアンケートをまとめております。
    金利に関しましては1行が15%、もう1行が15.5%、16%ちょうどが2行ということで、まあ、15から16%が金利のゾーンだと各行は見ています。

    保険料は上期に全体で拡大

    下期は収益環境が厳しくなる見通し

    そ れでは、足早に来ましたけれども、保険のほうを簡単にご説明したいと思います。保険業界のほうは収入保険料が、これはVGBL(運用型年金保険)を除いた 数字ですが、全体で10.4%の増加と市場は拡大傾向です。中身を見ますと、自動車保険が12.2%、それから人保険、これは生命保険プラス傷害保険とい うのが13.3%と増加しております。自動車保険におきましては全体の保険料の44%、人保険は26%を占め、この部分が大きく牽引しております。地域別 にもサンパウロが50.7%、リオが 11.6%、ミナス・ジェライス州が6.9%とこのいわゆる市場マーケットの規模も、地域別の規模も前年比そこそこ変わらずに来ており、従って地域によっ て大きく増えたということはなく、均一的に全国的に市場を拡大していると見ております。

    収益性の大項目である損害率、こちらは60.9%と2.2%の改善をしております。一方、中身を見ますと、自動車保険では1.8%の悪化。強盗や盗難事故 件数が改善しないことに、プラス価格競争が激化していると言うことで損害率が悪化しております。それから保険業界でも大切な運用益は0.6%の減少と、こ れは市場金利が下がって来たということで影響を受けております。

    下期の展望は、引 き続き市場は拡大の傾向にあります。ただ、市場金利が低下してくることが大体読めておりますので、価格競争が一服しまして、今後、保険料水準が見直しにな る動きも出て来るのではないかと見ております。強盗や盗難、保険金詐欺については抜本的な対策が見当たらないと言うことや、足元の経費はインフレに応じて 増加して行く部分もあり、保険業界の収益環境は下期に向かいましては、非常に厳しいものになって行くと見ております。以上でございます。

    司会 ありがとうございました。非常に広い範囲を駆け足でご説明頂きましたが、皆さん一番ご興味があるお金の話ですんで、ご質問がありましたらどうぞ。例年、ここの村田さんの所は神様しか分からない領域についてもよく質問が出るところですが(笑い)。はい、どうぞ。

    田中 いま言われた金利が15から16%というのは年末?

    村田 はい、あの年末のSelic*予測金利です。

    金岡 (ブラジル伊藤忠)  い ま一番ホットな話題であります、中銀の総裁、それからバンコ・ド・ブラジルの総裁が海外に不正な口座を持っていると報じられ、ルーラ大統領は一生懸命それ を抑えようしているようですが、これからどういう風に展開しそうですか? なかなか予測は難しいと思うのですが、コメント頂ければ幸甚です。

    中銀総裁の脱税暴露記事を注視

    インフレは先行き上方修正可能

    村田 こ れはマーケットが求めたのか、ガバメントが求めたのか、メディアがあれしたのか、一寸ことの発端は分かりませんが、そこに対する対応がですね、中銀として もきちんとして行かないとマーケットがまた不安になると思います。 中銀自体は金融監督庁として単独で、きちんと、まあ、オートノミィを与えるというのが パロッチの当初の意見でしたから、その中でどう解決して行くかっていうのを非常に、逆に我々もよく見ていきたいと思います。
    残念ながら月曜日に 行われた中銀総裁とのランチでは、一方的に中銀総裁が話しまくって、そのまま帰ってしまいましたので、「どうなるの?」という質問をするひまがありません でですね、銀行を中心とした昼食会もあったんですが、そこでも聞けずじまいでして、非常にまとまらない答えですが、あの、よくこの問題は皆さん見ておかれ た方がいい、というのが結論なのかなと思います。

    司会 ありがとうございました。それ以上でもそれ以下でもないって言うなかなか難しい質問だったと思います。はい、どうぞ。

    大前(ブラジル三井物産) た だ今、経済指標は概ね良好だとのご説明がありましたが、その中で、インフレ率については政府の当初の予想より高いものになりそうだということ、また、経済 成長率についても、むしろご指摘の3.5%よりもかなり上方修正されるのではとの意見が多いと理解しております。その辺についてどうお考えになりますか?

    村田 こ れを取りまとめている時期からすると、その後刻々と状況が変わり確かに足元の経済は非常に良くなっております。6月末時点で締めて、7月中旬に我々会合し た時点ではこの数字で読んでいましたが、若干、経済成長は、このままのペースで行けば消費も非常に伸びるという予想がありますので、上方修正される可能性 が高いと思います。
    インフレも予定より一寸上がるというような動きもあると思いますが、いま足元の予測とか持って来ていないのでお答えできません。 すいません。

    *Selic=経済基本金利

  • 金融部会(レポート)

    「2004年度上期の回顧と2004年度下期の展望」(案)

    1.2004年度上期の回顧

    銀行業界

    前政権の政策を踏襲して国際信用を回復し、順調なスタートを切ったルーラ政権であったが、政権2年目となる2004年の上期は、マクロ経済の確実な良化を確認しつつも、改めてその脆弱性を認識する半年となった。

    昨年の好調な貿易収支等の発表に伴い、1月中旬には対外的なブラジルリスクの指標となるEMBI+は400bp割れとなり、C-bondも100セント以上の値をつけた。こうした好環境のもと、連邦政府の他、CVRDが民間企業としては初となる30年物の債券の発行にも成功した。

    然しながら、このような安定した状況は長くは続かず、カーニバル前に発覚したルーラ政権初の政治スキャンダル(ジ ニス官房補佐官の収賄)に加え、米国金利の早期引き上げ観測、インフレの再燃懸念により、カントリーリスクの悪化に拍車をかけることとなった。更に、中国 の投資抑制政策、中東情勢や国際テロ懸念、原油価格の高騰によって、1月には400bp割れまで改善していたEMBI+が5月には2倍の水準となる 800bpまで悪化し、為替も3.2レアルまで後退した。

    その後、予想以上に好調な結果となった第1四半期の国内総生産、新記録となった5月の貿易収支、最低賃金が与党案で決着したこと等を好感し、市場は落ち着きを取り戻し、EMBI+641p、3.11レアルで上期を終えている。

    政治面では、年金/税制改革といった重要な政治課題があった昨年と比べ、今年はルーラ政権の政治手腕が試される機会は少ないと考えられていた。

    然しながら、ビンゴ営業禁止暫定礼の否決、最低賃金交渉の難航に見られるように、ルーラ政権の国会運営能力の低下が確認されることとなった。この背景には、昨年から続く景気不振、雇用の不足等に対するPT党内外の不満が蓄積されてきたことが大きな要因となった。また、政治スキャンダルによってクリーンなイメージが傷つけられたこともあり、ルーラ政権の支持率は昨年12月の84%から6月には71%まで低下することとなった。

    但し、結局最低賃金が紆余曲折の末とはいえ与党案で決着したことや破産法案が可決したことからも、ルーラ政権の国会運営能力は陰りがあるとは言え依然として維持されていると考えられる。

    経済全般は昨年に引き続き確実に良化していることを確認することとなった。第1四半期の国内総生産は昨年の第4四半期比1.6%、昨年第1四半期比2.7%の成長と、予想以上の伸びを示し、その後も鉱工業生産、自動車の生産/販売等の景気回復のニュースが相次いでいる。また、小売販売も6ヶ月連続で拡大している。

    特筆すべき事項は貿易収支であろう。ルーラ政権が経済成長の重要な施策として輸出拡大を位置付けていることは明確である。上期にはメルコスルとEUとの自由貿易協定、FTAA交渉の他にも、中国・インド・アラブ諸国に大々的なミッションを引き連れて訪問し、輸出の拡大を推進しようと画策しており、今後の更なる輸出拡大が期待される。

    上期の貿易収支は、輸入が内需の回復もあり昨年同期比23%の上昇となる283億ドルとなったものの、膨大な中国の需要やアルゼンチンの需要回復に加え、米国の狂牛病問題やアジアの鳥インフルエンザ問題にも後押しされ輸出が過去最高の433億ドルを記録したことから、貿易収支も150億ドルの記録的な黒字を計上している。

    懸念される事項としては、高い失業率、実質所得の減少が挙げられるが、景気の回復に伴い改善が見込まれている。

    銀行業界では、年当初には低迷する需要により貸出が伸び悩んだことに加え、特にトレードファイナンス向けの潤沢な調達資金があり、金利収入の低下を余儀なくされた。然しながら、手数料収入と支出の削減により、第1四半期は好決算が相次いだ。民間3大銀行は第1四半期に平均22%の純利益の増加を記録し、Banco do Brasilも28.5%の増加を記録した。

    また、各行とも業容と規模の拡張を計画しており、中小スーパー、商店、小売業者との提携により、リテール業務の拡大を視野に入れている。

    2003 年度に26.5%から16.5%まで引き下げられていたSELIC金利であるが、上期の引き下げは限定的なものとなった。インフレ再燃の懸念から、 SELIC金利は1月、2月は据え置かれ、3月に0.25%の引き下げに転じたものの、4月の0.25%引き下げの後は、レアル安/原油価格の高騰等に伴 うインフレ上昇の懸念が根強く、5月、 6月は再び据え置かれることとなった。この結果、年初比0.5%の引き下げとなる16%で上期を終えることとなった。

    為替相場に関しては、年初2.8レアル台でスタートしたものの、冒頭に述べたように、カントリーリスクの悪化に伴い一時3.2レアルまで下落し、その後のカントリーリスクの改善や好調な貿易収支に支えられ若干押し戻したものの、3.11レアルで6月末を迎えることとなった。

    2.2004年度下期の展望

    2004年度下期は、6月に0.25%引き上げられた米国金利の動向を注視しつつ、原油や食料、卸売物価等に見られるインフレ上昇の懸念を押さえ込み、どこまで好調な景気を維持/促進し、失業率/所得の改善を図れるかが注目される。

    政治面では2006年の大統領選の前哨戦とも言われている10月の市長選挙が最大の関心事であり、選挙直前の各党、各候補者の動向に注目いたしたい。また、低下傾向にあるルーラ政権の支持率に関しては、景気回復に伴う失業率/所得の改善等によって、下期には相応の回復が見込まれる。

    貿易収支は、内需回復による輸入の増加が見込まれているものの、過去最高の貿易黒字となった昨年の248億ドルを超える270億ドル程度の黒字が見込まれている。但し、大豆引取り問題に代表される中国向輸出の不安や、ブラジル産牛肉の口諦疫問題等、動向を注視する必要があろう。

    また、経済成長率は、引き続き好調な輸出、内需回復により牽引され、3.5%程度の成長を見込んでいる。

    直接投資は、5月までの累計で前年同期並みの33億ドルとなっているが、6月にはルーラ大統領がNYで外国投資家向けの会合を実施する等、地道な努力を重ねていることもあり、下期には回復が見込まれ、市場関係者は昨年比若干の増加となる105-110億ドル程度と見込んでいる。

    銀行業界は、経済全体の回復と相俟って業界全体では引き続き成長と競争激化が見込まれる。

    手数料収入が好調とは言え、貸出スプレッドが低下し、競争が激化する中、貸出ボリュームの積み上げは極めて重要な位置付けとなっている。所得の回復等に伴う個人・消費者ローンの伸びは期待されるが、最低でも15%の増加を計画していた各行の年初の目標が達成できるかに注目いたしたい。

    レアルの対ドル為替相場動向は、国内景気の改善状況、好調な貿易収支の持続、外貨資金繰り、米国金利動向等によって左右されるであろうが、市場関係者は年末も6月末と同水準となる3.10レアル程度を見込んでいる。

    SELIC金利は、景気回復を持続するためにも、引き続き引き下げが見込まれるものの、インフレ上昇の懸念が根強いことから、その引き下げ幅は限定的と予想され、年末時点で15%程度となる見通しである。

    以上

     

    各銀行の今年末為替レート及び金利予測

    銀行

    為替US$/R$

    Selic金利%

    A行

    R$3.10

    15.5

    B行

    3.20

    16.0

    C行

    3.10

    16.0

    D行

    3.10

    15.0

    2004年8月

    保険業界

    1.2004年上半期の回顧

    Susep(保険監督庁)が発表した2004年5月末現在の公式データに基づき、2004年上半期のブラジルの保険業界の動向は次のとおり。

    (1)収入保険料

    2004年上半期(1月~5月)の全種目の収入保険料(但し、健康保険及び運用型年金保険(VGBL)は除く)は107,6億レアル(約3.841億円)であり、対前年同期比で10,4%の増加となった。ブラジルにおける保険市場の拡大傾向は継続している。

    保険種目別では、自動車保険12,2% 増、火災新種保険5,8%増、運送保険4,8%増、人保険(生命保険+傷害保険)13,3%増という結果であった。ブラジルの保険市場における主要種目 (自動車保険は全収入保険料の44%、人保険は26%を占める)の2桁以上の増率により、保険市場全体の拡大に繋がっている。

    また、地域別にはサンパウロ州が50,7%、リオデジャネイロ州が11,6%、ミナスジェライス州が6,9%、リオグランジドスル州が6,3%、パラナ州が5,7%と前年とほぼ同じ割合となっており、ブラジル全土で均一的に保険市場が拡大していることを示している。

    (2)収益性(損害率、運用益等)

    保険会社の収益を大きく左右する指標である損害率(支払保険金/ 収入保険料)は全種目通算で60,9%と、対前年同期比で2,2%改善した。保険種目別の損害率を対前年同期と比較すると、自動車保険は1,8% (72,4%→74,2%)悪化し、火災新種保険は10,8%(56,7%→45,9%)、運送保険は5,9%(52,5%→46,6%)、人保険は 3,8%(53,7%→49,9%)それぞれ改善した。

    最大種目である自動車保険の損害率の悪化が継続していることは(2002 年末:71,0%、2003年末72,7%)保険会社にとっては非常に大きな懸念材料である。その原因としては、支払い保険金に対して大きな割合を占めて いる強盗・盗難事故件数が一向に改善しないことや保険会社間の価格競争がより一層、激しくなっていることが考えられる。

    また、市場金利の低下に伴い、2004年上半期(1月~5月)の保険会社全社合計運用益は18,3億レアル(約653億円)であり、対前年同期比で0,6%の減少となった。

    (3)トピックス

    2003 年に自動車保険をめぐる、詐欺行為(車両保険の全損処理をめぐるもの)が世間の注目を集め、多くの保険会社が車両保険の引受方法を事前に契約者と支払い保 険金額を取り決める方式から事故時点での市場価格を支払う方式に変更をした。しかしながら、契約者への説明が不足し、消費者保護の観点から新たな問題と なっており、現在も、引き受け方法については混乱している。

    また、Susepの保険会社への管理監督が強化されており、特に内部監査体制の整備と実行やマネーロンダリングを防ぐための通達が出されている。

    2.2004年下半期の展望

    (1)収入保険料

    ブラジルの経済状況の安定した発展が見込まれるため、下半期も引き続き保険市場の拡大傾向は継続するものと思われる。

    一方、市場金利の更なる低下や損害率の悪化により、価格競争も一服し、保険料水準の見直しの機運が高まることもあり得る。

    (2)収益性(損害率、運用益等)

    保 険事業自体の収益に多大な影響がある自動車保険の損害率の悪化に歯止めを掛けるためには、収入保険料を増やすか、支払い保険金を減らす以外に方法は無い が、車両の強奪・盗難、また保険金目的の詐欺を減少させる抜本的な対策が見当たらず、ブラジルの治安状況も好転することが見込まれないことから支払い保険 金を減らすことは難しく、他方、インフレによる経費増があるにもかかわらず、大手保険会社による激しいシェア獲得競争が続いており保険料水準の大幅な引き 上げも難しい。そのために保険事業自体の収益性を向上するためには引受リスクの厳格な選別が重要となってくる。

    さらに、市場金利の更なる切り下げがある可能性もあり、資産運用環境が好転することはあまり期待できず、運用収益は昨年同期比で減少する可能性が高いため、保険会社の収益は前年以上に厳しくなることが予想される。

    (3)トピックス

    昨年以降、Susepによる保険会社に対する管理監督が厳しくなってきているが、この傾向はさらに強まり、契約者保護のために、契約内容(保険料の支払い期限等)を正確に契約者へ伝えることや、保険会社内部監査体制を整備することが通達で求められている。

  • 貿易部会 中村貿易部会長


    中村貿易部会長

    通年で260億ドルの貿易黒字予想

    中村 それでは、貿易部会よりブラジルの貿易概況に関しまして「上期の回顧、通年の見通し」を中心にして報告いたします。資料等につきましては、ジェトロサンパウロ事務所のご協力を戴きました。後日、商工会議所のホームページに掲載されますのでご参照下さい。
    先ず、貿易収支全般についてですが、本年上期の貿易収支は150億4900万ドルの黒字となりました。 上半期としては史上最高を記録しまして、引き続き記録を更新中です。要因は輸出の増加、アルゼンチン経済の回復に加えて、依然として旺盛な外需によるものです。

    通年では下期も好調な輸出が持続する見通しで、同時にブラジル国内の景気の回復で輸入増も見込まれることから、ブラジル中央銀行は昨年の248億ドルの貿 易黒字を上回る260億ドルの黒字を予想しております。 上半期の輸出は輸出額の記録を更新中で、カテゴリー別に見ますと、一次産品、半製品、完成品全て の項目で大幅な増加を記録しています。金額ベースでは一次産品の増加が42% と最も大きく、数量的には9.8%の伸びになっており、一次産品の価格の上昇による影響が大きいものと思われます。数量ベースでは完成品の増加率が最も大 きく26.9%でした。一次産品で主として増加したのは大豆関連の輸出です。大豆は数量ベースで3.3%の増加ですが、金額ベースでは 39.7%と大幅に伸びております。また、大豆粕は金額ベースで62%の増加となっています。 仕向先としてはオランダ、ドイツなど欧州向けが増加してい ます、畜産物ではアジアでの鳥インフルエンザや狂牛病の影響で、チキンが金額ベースで58.3%の増加、牛肉が金額ベースで82.1%と大幅な増加となっ ております。

    完成品の最大輸出は航空機、乗用車がこれにつぐ

    半製品で最も大きな割合を占めたのはスラブなどの鉄鋼半製品ですが、金額ベースでは18.2%となっているものの、数量ベースでは8.4%の減少となっています。主要輸出相手国別では米国向けが62.1%増加した他、タイ向けが倍以上の増加を記録しています。

    完成品では最大の輸出品目は航空機で前年同期比67.8%の増加となっております。仕向国はメキシコ、スウェーデン、ポーランドなど前年に実績のなかった 仕向先が記録されております。完成品の輸出の第二位は乗用車で、金額ベースで28.8%増、台数ベースで20%の増加となっております。主要輸出先として は前年に続いてメキシコ、アルゼンチン、米国と続きます。米国向けは62.3%と減少しましたが、アルゼンチン向けが225.3%と急速に回復しておりま す。乗用車全般の輸出は、ラテンアメリカ各国向けが顕著となっているのが実情です。

    輸出全般に関して仕向国別に見ますと、多い順にアメリカ、アルゼンチン、中国となっていますが、特に昨年 79.3%の伸び率を記録した中国は本年34.3%の増加となっており、減速傾向に入ったと言えるのではないかと思います。一方、特徴的なのは欧州向けの 輸出が増加したことで、特に大豆関連品目や鉄鉱石などの一次産品が牽引しています。ユーロ高の影響もあると考えられます。また、前年に引き続きアフリカ、 中東向けなど非伝統的な相手国への輸出の増加も加速しており、それぞれ63%増加、52%増加となっております、因みに昨年はそれぞれ20%程度の増加で した。

    経済回復に連れて輸入増大

    次に輸入についてですが、2004年第1四半期のGDPの成長率は前年同期比2.7%の増加で今年に入っても着実に回復傾向にあると言えます。そのため、 上半期の輸入額も25%の増加となりました。品目別に見ますと、資本財では事務用機械、工業用資本財部品が増加しております。企業による生産拡大、設備投 資の回復傾向を表していると思われます、特に集積回路の輸入増が著しくなって、主要輸出相手国の米国、韓国からの輸入が大幅に増加しております。また、台 湾、中国、日本、シンガポールからの輸入も大きく増えております。これは携帯電話をはじめとする電気電子製品の生産拡大によるものと思われます。消費財で は装飾品、家庭用機器、耐久消費材用部品などが増加しており、国内消費の回復が伺われます。輸入相手国別に見ますと、とりわけ中国とナイジェリアからの輸 入増が顕著です。特に中国からは送受信機の部品、集積回路、液晶ディスプレイなど電気電子関連部材が大きく増加しました。

    対日貿易は伸びたが、伸び率は低い

    次に、対日貿易についてですが、2004年上半期の対日貿易は輸出、輸入共に伸ばしました。然しながら、ブラジル貿易全体の伸び率に比較しますと、依然として低い伸び率に留まっております。
    日本のシェアを貿易額ベースに見ますと、輸出で前期比0.33ポイントの減少、輸入で0.36ポイントの減少となっております。輸出品目では今年初めにア ジアを中心に発生した鳥インフルエンザの影響でチキンが金額ベース、数量ベースでそれぞれ189%、79.8%と大幅に増加しました。主要品目の鉄鉱石で は金額ベースで6%の増加とはなっていますが、数量ベースでは14.3%の減少です。日本の製鉄産業向けと思われますが、ニッケルカソードの輸出は 203.7%と大幅に増加しています。

    中国景気の影響で日本の製鉄産業は活況を呈 しており、ニッケル、コバルトなど希少金属のニーズが高まっていると思われます。また、エチルアルコールの輸出額も187.6%と増加しています。日本で は昨年8月にガソリンへのアルコールの混入率の上限が3%に定められたこともあり、ブラジル側では燃料用アルコールの対日輸出への期待が高まっておりま す。

    最後に2004年通年の貿易見通しですが、下半期につきましても輸出・輸入ともに順 調に増加するものと思われます。中央銀行では、貿易収支の黒字として冒頭に申しました通り、260億ドルの黒字を予想しております。これは外的な要因のみ ならず、ここ数年続いた国内経済の停滞でブラジル企業の輸出シフトが定着したことによって引き続き、好調な輸出が続くであろうとの見方からです。また、こ れから注視すべき点はアルゼンチンとの貿易摩擦の深刻化、中国による大豆、鉄鋼関連製品の買い控え並びに市況の混乱、イラク問題の悪化、原油の高騰などが あると思われます。また、増加している輸出に伴い、コンテナ不足、海上運賃の高騰、輸送インフラの整備などロジスティック面での問題がブラジル側で顕在化 しているのが実情だと思われます。

    部会活動では積極的にセミナーを開催した

    最後に貿易部会は上半期の活動といたしまして、コンサルタント部会、貿易部会の共催で1月にNEXI(日本貿易保険)ニューヨークの長谷川所長をお招きし て、貿易保険についてのセミナーを行いました。3月にはジェトロの竹下氏をお招きしてメルコスールについてのセミナー並びにCDMのセミナーを開催いたし ました。4月にはこれは協力ですが、JBICの肥沼氏とブラジルDNAの局長ミゲルさんをお招きして、CDMについてのセミナーを開催いたしました。5月 には、コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティー(CSR)につきましてETHOSのアゴスティーニョ専務理事、並びにジェトロの桜井所長の協力を 得ましてセミナーを行いました。6月にはジェトロ・ブエノスアイレスの稲葉所長をお招きして、メルコスールの FTAの交渉状況全般についてのセミナーを行いました。

    下半期につきましても、会員の皆様のご興味があって、且つ共通のトピックスと思われるものについて、引き続きいろいろなセミナーを積極的に開催して行きたいと思いますので、是非ともご参加をお願いいたします。

    司会  ありがとうございました。それでは会場の皆様でご質問がある方は挙手でお願いいたします。

    佐原  か なり輸出ドライブがかかっているという認識ですね。その中でとくに7 月に、サンパウロ州の中部にあるアルコールを製造しているところで、年に一度シエンペックというシンポジウムがあり、7月の12日から1週間、その会に商 工開発大臣のフルランさん、農務大臣のロドリゲスさん、BNDESのカルロス・レッサー総裁も来られて、かなりブラジル側は、次にブラジルが売るのはアル コールだと、えらい力が入っているわけですね。

    そういう意味で日本のほうでアルコールが 3%許容されると、とくにブラジルのほうで、自動車のフレックス・フィエルですか、そういうのも最近よく自動車として売れている。さらにその100%アル コールの車も市内では結構、経済性よくノーメンテナンスで最近は走っておる、ということになりますと、次に輸出するのはアルコールだというブラジル側の意 見を、これどういう具合に我々としたら取り上げて、協力するのか。なんか日本側で3%、許容認可されたことについてかなりブラジル側はバッテリー上がって いるんですよね。輸出しようと。だけど、なかなか具体化しない。そしたら大体どういうスケジュールで、どういう問題を解消してそういうプログラムが成り立 つのかと、いうあたりをザクッと貿易部会で誰かご存じの方からご説明願えたら有難いんですが。

    司会 これはハッキリ言って、大前さんに振りますけど一言コメントお願いいたします。

    日本側とブラジル側に未だ大きな見解の差がある-燃料アルコール混入

    大前(ブラジル三井物産) ブラ ジル側に気合入っていると言っても、実態的には、日本側とのギャップがどんどん広がっているのが実情です。ご承知のように、日本では去年8月、いわゆる 「品確法」の改定により、ガソリンの強制規格に3%までアルコールを混入してもよいとの規定が追加されましたが、これはマンダトリーではなく、もし混入し たければ3%までは認めるというものです。その意味で、この法律に強制力は無いものの、将来一律アルコールを3%混入する、いわゆるE3の導入が実現する とすれば、それを可能ならしめる法的規制の緩和という具合には評価できると思います。問題は、これをブラジル側が非常に過大評価しておりまして、それがあ たかもマンダトリーのごとく理解している人が非常に多い。実体はそうではないんですが・・・。

    E3の導入により日本側で最も直接的被害を受けるのは、石油業界だと言われています。装置産業である石油業界はこれまで相当のリストラを強いられてきてお り、ここでまたアルコールの混入が義務付けられると、それに見合いの分だけガソリンの生産量を減らさなければならない。それも一つの大きな理由で燃料アル コールの導入には非常に慎重であり、その意向を受けてという言い方はおかしいかも知れませんが、政府側では経済産業省がある意味で非常に慎重であるという のが現状です。一方、京都プロトコール、これはロシアが批准すれば発効しますが、発効すると日本は2008年から 2012年までの5年間で1990年基準の6%削減義務を負うことになります。しかも、1990年以降現在までにまだ温暖化ガスの排出量が増えている訳 で、実質的には1990年基準で10数%削減しなければならぬという、非常に重い義務を負うことになります。これに対し色々な再生可能エネルギーの選択肢 が検討されていますが、その中で恐らく時間的にも、また、経済的にも最もプラクティカルと判断されるのが燃料用エタノールの導入であろうと言われていま す。この点、日本政府内では環境省が最も積極的に対応しておられるように聞いております。

    このような状況下で、ブラジル側では一体いつからそれを導入するんだという質問が非常に多いわけですが、現状、日本側では、スケジュールを含めて未だ何も 具体的なものは決まってないというのが実情です。但し、品確法の改定により、地域によってはいくつかの自治体でアルコールを3%混入したガソリンを使って 小規模な実験をやって見ようという動きが起こりつつあるのは事実です。

    それから、 環境省が一つの目標として掲げているのが、地域実験から始めて徐々にE3、即ち、アルコール3%混入ガソリンの導入対象地域を増やしていき、最終的には 2012年までに全国一律E3を導入することですが、これはまだ相当先の話なので、そういう観点から、冒頭で申し上げたように、ブラジル側と日本側の ギャップが非常に大きく、従って、ブラジル側の期待が高まれば高まるほど、日本側の進展が遅いことに対するブラジル側の苛立ちにつながるという展開となっ ているのが、ある意味で大きな問題と認識されます。

  • 貿易部会(レポート)

    ブラジル貿易概況-2004年上半期実績と通年の見通し

    1.貿易収支、黒字記録を更新中:

    開発商工省の統計によれば、2004年1月‐6月における貿易収支は150億4,900万ドルの黒字となり、同期間における過去最高記録を更新しました。黒字増加の要因は大幅な輸出増加によります。輸出額は前年同期比31.2%増の433億600万ドル、輸入額は同25.0%増の282億5,700万ドルとなっています。輸出増加の要因は順調なアルゼンチン経済の回復に加えて、依然として旺盛な外需によるものです。2004年下半期も好調な輸出は持続する見通しですが、同時に国内経済の回復で輸入増が見込まれると思われます。ブラジル中央銀行では6月時点で2004年の貿易収支黒字額を、前年実績(248億ドル)を上回る260億ドル、フルラン開発商工相は280億ドルと予想しています。

    2.依然として伸び続ける輸出:

    2004年上半期輸出は、前年の増加ペースを引き継ぐ形で輸出額記録を更新中です。製品カテゴリー別にみると一次産品、半製品、完成品全ての項目で大幅な増加を記録しています。なかでも輸出額の3割強を占める一次産品の増加率が金額ベースでは42.0%と最も大きくなっていますが、数量ベースで見ると9.8%増に留まっています。即ち、一次産品については価格の上昇による影響が大きいものと見られます。数量ベースで伸び率を見ると、完成品の増加率が最も高く26.9%増となっています。

    一次産品の輸出額は136億6,300万ドルで、主に増加に貢献したのは大豆関連輸出です。大豆は数量ベースで3.3%増と低い伸び率になっているものの、金額ベースでは39.7%と大幅に増加しています。仕向け先別に見ると、金額ベースでオランダ、ドイツ、スペイン、イタリアなど欧州各国向けの伸びが20%~55%程度と著しくなっています。一方、最大の大豆輸出相手国の地位にある中国向けは38.8%となっています。大豆かすは金額ベースで62.0%増、数量ベースで19.3%増でした。大豆かすも同様に欧州向けが増加しています。

    また、畜産物ではアジアにおける鳥インフルエンザや狂牛病の影響で、鶏肉が金額ベースで58.3%増、数量ベースで21.7%、牛肉が金額ベースで82.1%増、数量ベースで35.7%増と大幅に増加しました。

    半製品の輸出額は前年同期比19.8%増の59億5,000万ドルで、最も大きな割合を占めたのは鉄鋼半製品(15.5%)です。同品目では金額ベースで18.2%増となっていますが、数量ベースでは8.4%の減少となっています。主要輸出相手国別に見ると、金額ベースで米国向けが62.1%増加した他、タイ向けが倍以上の増加を記録しています。なお、前年に輸出が好調であったパルプは、数量ベースで9.3%増、金額ベースで0.9%減となり、輸出価格の低下が見られます。

    完成品の輸出額は前年同期比29.9%増の230億2,300万ドルで、輸出額全体の53.2%を占めています。完成品の中で最大の輸出品目は航空機です。航空機輸出額は前年同期比67.8%増の15億5,200万ドルで、メキシコ、スウェーデン、ポーランドなど前年同期に実績のなかった仕向け先への輸出が記録されています。完成品の輸出品目第2位の乗用車は金額ベースで28.8%増(14億5,300万ドル)、台数で20.0%増(23万3000台)でした。乗用車の主要輸出先は前年に続きメキシコが1位で、以下アルゼンチン、米国と続きます。米国向けは62.3%と減少しましたが、アルゼンチン向けの輸出が225.3%増と急回復しています。乗用車輸出では全般的にラテンアメリカ各国向けの増加が顕著となっています。

    輸出相手国別にみると、輸出額の大きい順に米国、アルゼンチン、中国となっています。米国向けが7%と低い伸び率となる一方、アルゼンチン向けが乗用車、送受信機など工業製品を中心に大幅な増加を示しています(78.0%増)。中国向けは34.3%増ですが、前年の中国向け輸出額の伸び率79.3%を考慮すると増加ペースは減速傾向に入ったと言えます。一方で特徴的なのは欧州向けの輸出増で、大豆関連品目や鉄鉱石をはじめとする一次産品が牽引しました。また、ユーロ高の影響もあると考えられます。

    前年に引き続き、非伝統的な相手国への輸出増も加速しています。アフリカ向けが63.0%増、中東向けは52.2%増と軒並み増加しています。因みに両地域向けはそれぞれ前年はおよそ20%の増加率でした。

    3.順調に増加する輸入:

    2004年第1四半期のGDP成長率は、前年同期比2.7%増、前期比で1.6%増でした。

    前年はマイナス成長を記録しましたが、今年に入って着実な経済回復傾向を示しています。その為、上半期の輸入額も増加し、前年同期比25.0%増の282億5,700万ドルとなりました。財別に見ると、輸入額の53.6%を占める原材料・中間財の輸入増が著しく、前年同期比26.7%増の151億4,600万ドルとなっています。資本財は14.0%増の55億3,700万ドル、消費財は21.1%増の31億6,700万ドルとなっています。燃料・潤滑油は38.5%増の44億800万ドルでしたが、数量増に加えて国際的な原油価格の上昇による影響もあると思われます。

    品 目別に見ると、資本財では事務用機械・装置、工業用資本財部品などが増加しました。資本財輸入増は企業による生産拡大、設備投資の回復傾向を現していま す。増加率が大きかった原材料・中間財では、医薬・化学品、中間製品、鉱物製品などの主要品目で増加しています。また、集積回路の輸入増が著しくなってい ます。同品目では主要輸入相手国の米国、韓国からの輸入額がそれぞれ58.3%、51.4%の増加を記録し、それ以外にも台湾、中国、日本、シンガポールからの輸入額が大きく増加しています。これは携帯電話をはじめとする電気電子製品の生産拡大によるものと思われます。消費財では、耐久消費財の増加が著しくなっています。乗用車の輸入は3.9%減少したものの、装飾品等、家庭用機械・装置、耐久消費財用部分品などで増加しており、国内消費の回復が伺われます。

    輸入相手国別にみると、主要相手国の多くで輸入が増加しています。とりわけ輸入増加が顕著なのは中国とナイジェリアです。中国からは送受信機部品や集積回路、液晶ディスプレイなど電気電子部材が大きく増加し、また、ナイジェリアからは原油の輸入が大幅に増加しました。

    4.貿易額は増加するも全体に占めるシェアは低下:

    2004年上半期における対日貿易は輸出が前年同期比17.4%増の12億2,000万ドル、輸入が同15.6%増の12億8,500万ドルとなり、輸出入ともに増加しました。然しながら、ブラジルの貿易額全体の伸び率に比較すると依然として低い伸び率に留まっています。日本のシェアを貿易額ベースで見ると、輸出で前年同期比0.33ポイント減の2.82%、輸入で同0.36ポイント減の4.55%となっています。輸出では今年初めにアジアを中心に発生した鳥インフルエンザの影響で、鶏肉が金額ベースで前年同期比189.3%増の2億3500万ドル、数量ベースで79.8%増の14万8000トンと大幅に増加しました。尚、主要輸出品目の鉄鉱石は金額ベースで6.0%増でしたが、数量ベースでは14.3%減少しています。 ニッケルカソードの輸出額も前年同期比203.7%と大幅に増加していますが、日本の製鉄産業向けの原材料としての輸出と見られます。中国需要の影響もあり、日本の製鉄産業は活況を呈しており、ニッケル・コバルトなどの希少金属のニーズが高まっています。また、エチルアルコールの輸出額も187.6%増加しています。日本で2003年8月にガソリンへのアルコール混入上限が3%に定められたことを受けて、ブラジル側では対日輸出への期待が高まっています。

    一方、輸入では自動車部品、ベアリング・歯車及び同部品、集積回路と主要な品目で増加しています。

    5.2004年貿易の見通し:

    2004年下半期についても輸出入は順調に増加するものと見られます。中央銀行では6月時点で2004年の輸出額は前年比14.5%増の830億ドル、輸入額は同18.0%増の570億ドル、貿易収支額を同4.8%増の260億ドルと予想しています。又、フルラン開発商工相は輸出額を880億ドル、輸入額を600億ドル、貿易収支額を280億ドルと予想しています(7月1日時点)。好調な輸出が持続する一因として、外的な要因だけではなく、ここ数年続いた国内経済の停滞で企業の輸出シフトが定着したとの見方もあります。ブラジル貿易協会(AEB)のジョゼ・アウグスト・カストロ氏は、「大部分の企業が今までに獲得した海外の顧客を失わない為に輸出を続けるであろう」との意見です(2004年7月20日付けValor紙)。

    輸入については国内消費が上向き、好調な輸出が持続すると見られていることから、引き続き原材料・中間財を中心に増加が予想されます。尚、2004年の国内経済成長率は今年はじめの予想通り3.5%~4.0%が見込まれています。

    為替については、中央銀行が市中銀行の予測をまとめた資料(7月27日時点)では年末値が1ドル=3.10レアルとなっており、安定が見込まれています。

    なお、今後のリスク要因はアルゼンチンとの貿易摩擦問題の深刻化、中国による大豆、鉄鋼関連製品の買い控えや市況混乱、イラク問題の悪化、原油価格の上昇などが考えられます。特にアルゼンチンとの摩擦ではマナウス製のカラーテレビに21.5% の対外共通関税が課され、日系進出企業への影響も懸念されます。又、同問題では、家電製品だけではなく、その他の品目に波及する懸念があり今後も注視が必 要と思われます。又、増加する輸出に伴いコンテナ不足、海上運賃の高騰、輸送インフラの整備などロジスティック面の問題がブラジル側で顕在化しています。

    表1 ブラジルの主要商品別輸出入 (単位:100万ドル,%)

      2003年(1-6) 2004年(1-6)    
      金額 金額 構成比 伸び率
    輸出総額(その他を含む) 33,002 43,306 100.0 31.2
    一次産品 9,620 13,663 31.5 42.0
    大豆 2,171 3,032 7.0 39.7
    鉄鉱石 1,628 2,080 4.8 27.8
    大豆かす 1,072 1,737 4.0 62.0
    原油 989 1,290 3.0 30.4
    鶏肉 742 1,175 2.7 58.3
    半製品 4,967 5,950 13.7 19.8
    鉄鋼半製品 779 922 2.1 18.2
    パルプ 840 832 1.9 △ 0.9
    507 629 1.5 24.1
    完成品 17,720 23,023 53.2 29.9
    航空機 925 1,552 3.6 67.8
    乗用車 1,129 1,454 3.4 28.8
    鉄鋼圧延品 587 890 2.1 51.6
    靴・同部材 771 882 2.0 14.4
    自動車部品 678 877 2.0 29.4
    自動車用エンジン・同部品 834 854 2.0 2.3
    輸入総額 22,605 28,257 100.0 25.0
    資本財 4,856 5,537 19.6 14.0
    工業用機械 1,641 1,470 5.2 △ 10.4
    事務用機器 984 1,233 4.4 25.3
    原材料および中間財 11,950 15,146 53.6 26.7
    化学・薬品 3,617 4,457 15.8 23.2
    中間製品(部品) 1,952 2,552 9.0 30.8
    鉱産品 1,686 2,268 8.0 34.6
    輸送機器部品 1,750 2,243 7.9 28.2
    その他農業用原材料 712 1,262 4.5 77.2
    消費財 2,616 3,167 11.2 21.1
    非耐久消費財 1,461 1,672 5.9 14.5
    医薬品 584 664 2.4 13.8
    食料品 451 500 1.8 10.8
    耐久消費財 1,155 1,495 5.3 29.5
    装飾品 328 411 1.5 25.4
    燃料および潤滑油 3,183 4,408 15.6 38.5

    出所:開発商工省貿易局表

    表2 ブラジルの主要国・地域別輸出入(単位:100万ドル,%)

      2003年(1-6) 2004年(1-6)    
      金額 金額 構成比 伸び率
    輸出総額 33,002 43,306 100.0 31.2
    米国 8,100 8,679 20.0 7.1
    アルゼンチン 1,843 3,281 7.6 78.0
    中国 2,161 2,901 6.7 34.3
    オランダ 1,866 2,373 5.5 27.2
    ドイツ 1,495 1,974 4.6 32.1
    メキシコ 1,210 1,667 3.8 37.8
    イタリア 1,054 1,475 3.4 39.9
    日本 1,039 1,220 2.8 17.4
    チリ 857 1,120 2.6 30.6
    フランス 784 1,042 2.4 33.0
    英国 829 982 2.3 18.5
    スペイン 659 912 2.1 38.4
    その他 11,105 15,682 36.2 41.2
    輸入総額 22,605 28,257 100.0 25.0
    米国 4,392 5,385 19.1 22.6
    アルゼンチン 2,345 2,552 9.0 8.8
    ドイツ 2,095 2,319 8.2 10.7
    ナイジェリア 677 1,643 5.8 142.5
    中国 902 1,492 5.3 65.3
    日本 1,111 1,285 4.5 15.6
    フランス 856 1,119 4.0 30.7
    イタリア 877 926 3.3 5.5
    アルジェリア 504 797 2.8 58.1
    韓国 553 780 2.8 41.0
    チリ 357 619 2.2 73.3
    英国 605 615 2.2 1.6
    その他 7,330 8,727 30.9 19.1

    出所: 開発商工省貿易局

    表3 ブラジルの対日主要品目別貿易(単位:100万ドル,%)

    輸出 2003年(1-6) 2004年(1-6)    
      金額 金額 構成比 伸び率
    鶏肉 81 235 19.3 189.3
    鉄鉱石 212 225 18.4 6.0
    アルミニウム 200 169 13.9 △ 15.3
    コーヒー豆 52 60 4.9 15.5
    鉄合金 56 57 4.7 1.9
    パルプ 57 55 4.5 △ 2.9
    大豆 47 41 3.4 △ 12.0
    冷凍オレンジジュース 36 35 2.8 △ 3.6
    ニッケルカソード 9 29 2.4 203.7
    木材 21 24 1.9 13.9
    その他 267 290 23.7 8.3
    合計 1,039 1,220 100.0 17.4
             
    輸入 2003年(1-6) 2004年(1-6)    
      金額 金額 構成比 伸び率
    自動車部品 94 134 10.5 42.8
    ベアリングおよび歯車・同部品 59 74 5.8 25.7
    集積回路 60 64 4.9 6.7
    自動車用エンジンおよび同部品 52 54 4.2 3.7
    乗用車 31 41 3.2 32.1
    自動データ処理機部品 24 39 3.0 60.7
    測定および点検機器、装置 35 38 3.0 9.3
    送信・受信用機器・部品 32 33 2.6 3.6
    コークス等 17 33 2.6 93.8
    ポンプ・コンプレッサー・換気扇・同部品 36 31 2.4 △ 12.4
    その他 672 743 57.9 10.7
    合計 1,111 1,285 100.0 15.6

    出所:開発商工省貿易局

  • 化学品部会 板垣化学品部会長


    板垣化学品部会長

    司会-それでは、ちょっと時間がオーバーして来ましたので、次の化学品のほうに参りたいと思いますが、化学品はもうこれ例年、対象範囲が広くて、部会長さん説明が大変なんですが、今日もよろしくお願い致します。

    化学品 - 全般は10%増と工業部門平均を上回った上期

    板垣 化 学品部会の発表をさせて頂きます。いま浅賀委員長のほうからもご説明ありましたように、化学品部会は、いろんな業種が混ざっており、私個人的に思うのは、 貿易部会、自動車部会とか、それから食品部会の中に入るような企業がたくさんあるんじゃないかと。先ほど冒頭に桜井さんがおっしゃられた、部会の再編がも しあるとすれば、化学品部会はそういったところに分けられるんじゃないかと常々思っております。
    今回の発表内容のなかも多くは、やはりブラジルの輸出の主力であります大豆とか、いまお話のありましたエタノールとか、農産物と関わるようなところも多々出てきております。

    とりあえず、化学品部会の源流、原料となるところの化学原料の分野から、発表させて頂きたいと思います。本年の上期、化学・製薬部門におきましては、3 月、4月にかけて輸入が35.7%減少、輸出も7.4%減少となり昨年比、貿易収支では3億6千万ドルの赤字となっております。しかしながら生産量は、昨 年同期比で製薬では18%、シャンプー、石鹸、洗剤といったような分野では23%の増加。それからアルコール精製分野では2.5%増。化学品、製品全般に おきましては10%増と工業部門の平均を上回る進展となっております。

    それから、 石化全般でみますと、原油価格上昇によるナフサ高騰から製品全般が値上げを余儀なくされまして、特に、アクリル酸エステル、吸収性樹脂など一部商品におき ましては、原料不足による供給不足が深刻化しております。このような状態は来年はじめごろまで続くのではないかと予想されております。

    それと自動車の生産台数が先ほど、中村さんのほうからもありましたように、昨年比で生産台数は上期10%増。その他、マナウスにおきます携帯電話、音響機器といった電気電子製品、それから家電製品の好調を受け逆に樹脂、レジンが不足になっております。
    また、世界規模で見ますと、昨今の中国の生産の勢いが凄まじいと言うこともあり原油の生産、使用量もいま世界第二位ですか。で石化関連製品、とくにポリエチレンとかポリプロピレンといった原料エチレンの不足によって、こういった原料が品薄の状態になっております。

    下期に大きな変化はなさそう

    燃料アルコール品薄が懸念材料

    こ の分野におきます下期の展望ですが、化学品全般に大きな変化はないと思われます。不安要素と致しましては、先に発表されたように、海上運賃の値上げ、それ から中国に物がどんどん行っており、船、それからコンテナ等が不足して、輸出入に対する影響が大きいと予測されております。

    それと先ほど来、話題にのぼっております燃料用エタノールですが、砂糖きびを原料とするアルコールと言いますと、私はピンガぐらいしか思い浮かばなかった が、今回、会議において、砂糖きびを原料として燃料用エタノールをつくっておると。また、輸出が非常に活発化して、昨今インドの砂糖きびが非常に不作と言 うことでエタノールだけではなく、砂糖も不足して相場が高騰しており、ブラジル国内のメーカーは、砂糖主体の生産体制にシフトし、また、燃料用アルコール の輸出も活発化しているために燃料用アルコール、エタノールが品薄感を見せておると言うことです。
    先ほど日本では3%、マックスで入れてもいい と言うことですが、現在、ブラジルではガソリンの中に25%アルコールが入っているそうです。で、それが品薄になって来ているので、22%ぐらいまでに減 少するのではないか。それによって、ガソリンが値上げし、燃料用のアルコール、エタノールの値上げにつながって行くことが懸念されております。

    工業材料業界、大衆商品業界は2ケタ進展

    続 きまして、こういった原料を使って製品をつくっております工業用の接着剤、シール材、まあ、実は私共の会社ですが、それと工業用のレジンに対する着色剤等 をつくっています工業材料業界を見ますと、上期は自動車、オートバイ、化粧品、工業商品、家電といったものが生産好調で原材料は値上がりしている、あるい は、2月のPIS、Cofinsの増税。これに対応して大幅な値上げを実施したことにより、販売は昨年同期に比べ2ケタ進展した企業が多くなっておりま す。

    下期は大幅な金利の低下は期待できない。それから原油価格がおそらく高くな り、そのために関連商品、関連原料が値上げされるであろうと。それから電気代、電話代などの値上がりによって経費も上がるであろうと不安要素がある一方 で、下期は商品の供給先である自動車関連、工業製品関連、家電関連の業界が好調を維持するであろうから、上期以上の販売が予想されております。

    次に化粧品、文房具、家庭用の接着剤、それからフィルムと言った大衆商品業界に関しては、昨年に比べインフレの低下、金利が昨年に比べて低下したことで、 一般消費者の購買力が増した。また、PIS、Cofinsの増税分を、年初に値上げしまして、文房具、家庭用接着剤の分野は昨年同期比2ケタ進展しており ます。

    また、こういった業界は、原材料はほとんど海外からの調達になっており、為 替安定のお陰で予想より調達が安くすんで、増収・増益につながっている企業が多くなっております。大衆商品分野は、すでに値上げしており、下期は値上げし にくい状況にある。それと昨今、中国製廉価版とか模造品が入って来ておりますので、上期ほどの好条件は望めない、厳しい状況になるであろうと予想しており ます。

    好調だった農薬、飼料添加物 - 下期も好調予想

    最 後に農薬、それから殺菌剤、防虫剤、飼料添加物の業界。輸出の花形であります大豆の作付面積が増え2200万ヘクタールほどになったそうです。日本の米の 作付面積が200万ヘクタールですから、これに比べますと約10倍から11倍の面積で、日本国土の約二分の一の広さ。それが全部大豆で埋まっているという 国です。 前回のこの会議の時に発表させて頂いた、この業界で懸念しておりましたサビ病がありました。サビ病が今期の大豆に蔓延するんではないか、心配だ というお話があったと思うんですが、実際には、サビ病を防止するために殺菌剤が爆発的に売れ、逆に、心配どころか上期は、昨年同期に比べ殺菌剤の販売が 75%増、業界全体で75%増で非常に好調さを堅持しております。

    そのなかで懸念されたのは皆さんご存じ、ブラジル大豆の最大の輸出相手国であります中国からの農薬混入クレーム問題でしたが、最終的には技術的な裏付けって言うものが、中国のほうから示されないまま輸禁が解禁されて元に戻った、と言うことで落ち着いております。
    それと飼料添加物は、アジアの鳥インフルエンザを背景にして鶏肉を中心にした食肉輸出が増大。それから、飼料添加物のいろいろな品揃えの拡大で、上期販売は非常に好調で、年間予算の約60%強を達成しております。

    一方で、価格競争が激化してドル建てで比べますと、昨年比若干減少という状況です。先ほど来、 Pis/Cofins*のお話しをさせて頂いていますが、この農薬とか殺菌剤の分野は、Pis/Cofins*とか関税がかからない、恵まれた業界で、非 常にブラジル政府から優遇されている化学品部会のなかでも特に増収・増益の業界です。
    そのなかに家庭用殺虫剤がありますが、この家庭用殺虫剤だ けは贅沢品とみなされ、これだけはすべての税金がかかります。 そういった訳で、上期はあまり蚊も出て来なかったと言うことで、あまり売れなかった。ま た、安い競合品が非常に出て来て、値下げ圧力が強まり大苦戦していると言うことです。

    下期の展望として、農薬・殺菌剤の分野は、おそらくこのまま好調さを堅持していき、通期では前年比約25%から30%の進展をするであろうと予測しております。

    それと飼料添加物の分野は、上期の値下げ、競争の激化が更に進むと言うことで、品揃えをたくさん行って、顧客の満足度を上げて対抗して行くと考えています。以上です。

    *PIS=社会統合プログラム(基金)、*COFINS=社会保険融資納付金

  • 化学品部会(レポート)

    1.2004年上期の回顧と下期の展望

    1)2004年上期の回顧

    昨 年、ルーラ政権は大方の予想に反しインフレ抑制を主眼にした堅実な政権運営を実施した。高止まりではあったが金利低下、貿易収支大幅黒字、対ドルレアル 高、カントリーリスク低下などの反面、国民の平均給与前年比マイナス、失業率前年比アップ、購買力低下、と国内経済の活性化には厳しい1年であった。

    2004年上期は引き続き税制改革、社会保障制度改革、インフレ抑制、貿易黒字拡大、慎重な金利引下げ、最低賃金引き上げなど実施し、好調な輸出とアグリビジネスに支えられブラジル工業連盟(CNI)によれば1-5月の生産は昨年同期比6.5%の拡大となりブラジル経済に回復傾向が見られた。 しかしインフレターゲットを重視するあまり、金利が期待されたほどは下がらず、また積極的な経済推進策も見られず本格的な経済回復までには至っていないとみている。 個々の業界に関しては以下の通り。

    【化学原料】商社

    1)化学・製薬部門では3~4月にかけての輸入が35.72%減、輸出も7.41%減となり、貿易収支は3.6億ドル赤字。しかしながら生産量は昨年同期比で製薬18.61%増、シャンプー・石鹸・洗剤23.67%増、アルコール精製2.46%増、化学製品10.74%増と工業部門平均を上回る進展となった。

    2)石化全般でみると原油価格上昇によるナフサ高騰が製品全般の値上りを余儀なくされている。 特にアクリル酸エステル、吸水性樹脂(SAP)など一部商品では原料不足による供給力不足が深刻化。ある商社ではSAP輸入量が前年比30%減で、この状態は来年始めまで続くと予想。

    3)自動車の生産台数が昨年比10%増、携帯電話・音響機器など電気電子、家電製品の好調を受けて、逆にレジンが不足気味。また世界規模で見れば中国の生産の勢いが凄まじい為、石化関連製品、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などが原料エチレンの不足による品薄の状態。

    4)下 期についても化学品全般では大きな変化は無いと思われるが、不安要素として海上運賃の値上げ、船・コンテナ不足による輸出入に対する影響が大きいと予測。 また砂糖黍を原料とする燃料用エタノール輸出の活発化とインドの砂糖黍不作も相まって砂糖相場が高騰しており、国内メーカーは砂糖主体の生産にシフト、そ の結果燃料用エタノールに品薄感が広がりを見せている。ガソリンへの添加率変更、ガソリン値上げ、燃料用エタノール値上げなどの影響が懸念される。

    【工業材料業界】工業用レジン着色剤、工業用接着剤・シール剤など

    1)自動車・2輪、化粧品、工業製品、家電の生産好調により、また原材料の値上がり、PIS/COFINSに対応した値上げにより販売は昨年同期比2桁進展した企業が多い。

    2) 下期の見通しとしては、①大幅な金利低下が期待できない ②原油価格高による石油関連商品、原料の値上げ ③電気代、電話代などの値上がりなどの不安要素 がある一方、商品供給先である自動車、工業製品、家電などの業界は下期も好調さを維持すると見られ、上期以上の販売とコストダウンによる収益確保を目指 す。

    【コンスーモ業界】写真フィルム、化粧品、文房具、家庭用接着剤など

    1)昨年に比べインフレの低下、金利低下により購買力が増し、またPIS/COFINS増税分の値上げを実施したため、文房具、家庭用接着剤分野では売上が昨年同期比2桁進展。また為替が比較的安定していたため海外からの原料調達が予想より安く済み、増収増益につながった。

    2)下期の見通しとしては、①金利の現状維持、②インフレ上昇、③為替のドル高模様、④上期に実施したため値上げし難い状況、⑤中国製廉価品、模倣品の横行など、上期ほどの好条件は望めないため、厳しい状況になると予想。

    【農薬業界】農薬、殺菌剤、防虫剤、飼料添加物

    1)大豆の作付面積が増え2200万ヘクタール。 これは日本国土の約2分の1、日本の米作付け面積(200万ヘクタール)の約10倍の規模。

    2)農薬業界の上期ドルベース売上実績は好調であった昨年同期比75%増と更に好調さを堅持。 主な理由は02/03シーズンから顕在化した大豆サビ病対策用殺菌剤が昨年末の品不足から本年当初に大量出荷されたため。

    3)販売が好調な中にあって、1つ懸念されたのは伯国最大の大豆輸出相手国の中国が、農薬混入問題で輸入拒否という政治問題に発展したことであったが、技術的裏付けを中国が示さぬまま禁輸は解禁された。

    4)アジアの鳥インフルエンザを背景に鶏肉を中心とした食肉輸出増大と商品品揃え拡大により、販売は好調で年間予算の6割強に達した。 一方で価格競争激化によりドル建て換算では昨年比微減。

    5)農薬、殺菌剤などはPIS/COFINS、関税がかからないが、家庭用殺虫剤は関税、PIS/COFINS、ICMSがかかる。上期は不需要期でもあり、またジェネリック品の攻勢もあり値下げ圧力が強まった。

    6)下期の展望として、農薬・殺菌剤では①大豆農家の生産意欲は強く作付面積も増えると予想。 ②サビ病対策不可欠 ③中国禁輸騒動解決などにより上期の好調さを維持し、通期では前年比25~30%の進展予想。

    不安材料として上期に発表された農業資材へのPIS/COFINS適用除外に関して実施細目が決まらず、8~10月の出荷ピークを前にロジスティックを含め甚大な影響が危惧される。飼料添加物は上期の傾向が更に強まる見込みで、品揃え拡大し顧客満足度を高め対抗していく。

    2.ルーラ政権の政策、方針による影響、課題

    1)ブラジルは石油産出国ではあるが、これを原料にした石化品への改質は行なっていない。このため国内で製造する化学品メーカーは原料調達を輸入に頼っているのが現状。 昔から言われ続けてきた「ブラジルコストの解消」がなされるどころか、PIS/COFINSの上昇、移転価格税制の過剰適用強化など、益々製造業にとっては厳しい環境となっていると思われる。

    2)国の根幹は製造業の成長であり、雇用機会拡大、失業率減少を掲げるのであれば製造業を育てる政策を急ぎ強化していただきたい。

    以上

     

  • 機械金属部会 佐原機械金属部会長


    佐原機械金属部会長

    鋼材の価格高騰で活性化の鉄鋼分野

    佐原  機械金属部会の佐原です。当機械金属部会も幅広く、製鉄、重機械、重電、それから一般建設機械。さらに工具、ネジ、ベアリング、はたまた航空機部門まで包含しております幅広い部会でして、非常に難解な報告になるかと思います。
    2004年上期の回顧は、経済全般については金融部会、貿易部会のご報告を参考にしてお聞き頂ければ幸いです。

    まず製鉄鋼材分野。非常に活性化して、鋼材国内価格も印象によりますと、.マックス40%アップしているものがある。大体今日の新聞をみますと、国際相場 で33%くらい上がっている。さらにブラジルのIBSという製鉄関統計院の統計では平均13%と言っていますが、われわれ機械金属部会の鋼材を買う方と致 しましたら、20%以上は上がっているのが実感です。
    ということで、製鉄関係は浅賀総務部長さんの出資されている会社の収益性も非常に高い。更 にその分野全体で積極投資して行くと。とくに今後、今年も含めて 5年間にて74億ドルを投資して行くと言うことで、ブラジルの製鉄は世界に稀なる、非常に元気のいいビジネスであると言うのが力点とされます。

     

    • 積極的投資に欠けるエネルギー分野
    • 車両入札では、低価格の海外メーカーに大敗
    • 重機、紙パ、石化、製缶分野に受注増
    • 農業機械はアグリビジネス公共背景に好調
    • 一般産業向け工具、ネジ及び軸受け分野も好調 - 特殊工具は50%増

     

    2 番目に電力・エネルギー分野。2年前に多数計画されていたガスを使った火力発電案件が頓挫している。PT政権の電力料金統制価格、水力発電、風力発電の開 発、再評価等の方針が明確になった後、民間投資の火力発電プロジェクト、いわゆるIPPが止まってしまっている。天然ガス利用の小型高ジェネレーション案 件のみが実施されている程度で、積極的な投資が少ないという状況に変わってきました。

    3番目、新規大型プラント分野。先ほど申し上げました、製鉄および紙パルプ分野での新規大型投資案件が成約している。また、交通システム案件。バイーア、 サルバドール市の車両商談に引き続き両市の車両入札があったが、海外車両メーカー、とくに韓国勢の低価格にすべて大敗している。と言うことで国内の製造 メーカーは非常に苦しんでおると。

    4番目、重機械、製缶分野、紙パルプ、石油化学のそれぞれの業界は好況で、設備投資も堅調であり、受注による仕事量は確保できている。

    5番目、農業機械、建設機械分野。アグロビジネスの活況な市場を背景に、農業機械業界全体では、生産台数が前年度同期比約21%伸びて好調である。更に農 産物輸送のための道路整備向け建設機械の出荷も増加している。輸出市場では北米、欧州、アジア、アフリカ、中南米ともに好調に推移しており、とくに欧州諸 国とアルゼンチンの回復が顕著であった。実際に輸出が増加した原因として、アメリカキャタピラ社、欧州ボルボ社が、ホイルローダー機種の生産をブラジルに 特化、一極集中し海外への出荷体制を確立したこともある。

    6番目、一般産業向け工 具、ネジ及び軸受け分野。精密切削対摩耗工具は昨年下期より顕著な右肩上がりの好調を持続している。毎月新記録を更新しており、特殊工具は50%増の状況 もある。生産量は新規投資の稼働を待つ状況である。自動車、鉄鉱石及び鉄鋼圧延業界向け出荷は好調が持続されると。

    次に一般電動工具分野です。従来主力の建設関連は横ばいの状況であるが、工業関係工具の事業増加で販売は対前年比 20%アップしている。ネジは国内経済の回復基調に伴い、ネジの主要業界である自動車、同部品工業及び電機・家電業界業容アップにより、生産・販売量も アップした。自動車部品メーカー向けは約40%増、電機・家電メーカー向けは23%増であり、上半期全体では昨年同期比13.7%の増加となった。

    次に軸受け。ネジ業界同様に自動車向けが堅調であり、第2四半期から家電等の消費財の需要増も加わり極めて好調であるが、供給側の生産能力不足と材料費高騰がネックになりつつあると言うことで、上期の回顧でかなり好調な業種が多数見受けられる状況であります。

    下期もFGV予測は良好

    次 に下期の展望。ゼツリョ・バルガス財団が7月に工業分野の企業に対して行った調査では、事業の経営環境の改善と将来への楽観的予想が確認されている。今後 3カ月の事業に対する予想と生産に対する予想は共に最高であり、6カ月間の事業の見通しについては良好と回答があった。

    上期の業種より、広範囲な業種を包含する当機械金属部会では、好調分野として素材メーカーの製鉄ビジネス及び農業建設機械メーカー、アグリビジネス向けがあり、更に一般産業向け、工具、ネジ、軸受け業界では、好調が昨年下期より持続している。

    それぞれの分野について簡単に報告しますと、製鉄素材っていう分野では、中国経済の一時的な過熱調整等から国際市況が軟化し、それに伴う一部鋼材の国内市場への回帰から国内事業が一時的に緩和される局面は予想されるが、全体としては引き続きタイト状況は変わりない。
    農 業建設機械の下期の展望では、国内農産物市況の景気より、現在の好調が持続する見込みであり、農業界全体で国内販売は約5%増、輸出は約25%増の予想で ある。海外市場は中国経済の減速傾向、及び最近の北米住宅着工件数の減少傾向を判断材料とするが、一方、他の市場はブラジル国内と同様に好調を維持する見 込みの予想である。

    工具、ネジ、軸受け、工具業界では下期の販売増加20ないし 30%アップに備えて輸入量の増大、または新規設備の早期稼働を期待する。ネジ業界では、自動車、家電業界の増加率予想、上半期の半分程度を見込み、昨年 同期比の10ないし15%程度の増を見込み、軸受け業界ではすべての軸受けはフル生産状態にあり、設備投資を検討し始めている状況で、上半期を上回る予想 でああります。
    そのように製鉄素材、農業建設、一般工具、ネジ、軸受けとすべて好調な業績が下期も続く予想です。
    更に、プラント、重機械業界は消極的になった電力エネルギー分野以外の紙、パルプ、製鉄及び石油化学の分野にて引き続き投資意欲旺盛で、日系企業の大型案件の受注を期待したいと言うことです。

    ルーラ政権で唯一評価できるのは緊縮財政

    年金改革、労働法・税制改革は未完の状態

    個 別テーマとしては、とくにここでルーラ政権の政策方針における影響、課題。とくに、製造業界にとり現ルーラ政権について唯一業績を評価出来るのは、パロッ チ大蔵大臣の緊縮財政であり、年金改革、労働法及び税制改革は未完の状態である。とくに国内製造業及び輸入販売ビジネスでの複雑な税制は、各社の重い負担 になっている。複雑で不明確な税制を簡略化し、透明性を高めるための税制改革が早急に肝要と考える。とくに今年 2004年度より大幅に変更になったCofins問題は現政権の改革方針と大きく異なるという考えが大半でした。

    個別業種に絞った問題。農業機械のジョンディア、建設機械のキャタピラ、ボルボのグローバル生産体制方針として、ブラジル国内にて生産する機種を特化、本 国での生産を打ち切りブラジル国内、および海外への生産拠点と位置づけて投資している。また、世界の大手工具メーカー、Sundwuch(スゥエーデン) も本国の主力工場をすべてブラジルに移管した生産体制を構築している。日系メーカーのブラジル進出、投資方針に参考になる事業事例が最近目立つようだ。

    トピックスはエンブラエルの対米国防省売り込み成功

    最 後に事務局の方からトピックスとして、最近、輸出でがんばっている航空機メーカーのエンブラエル社について一言。先般、航空機メーカーのエンブラエル社 が、米国防総省向けのACS、アエリア・コモン・センサー、情報収集電子システムを搭載したERJ145型を 58機受注しました。川崎がエンブラエル社と共同開発いたしました170、190シリーズの民間ジェットも受注活動を展開中であり、現在受注総数として 170型が300、190型が200機に達しています。170型ジェットはすでに客先への納入を開始しています。ブラジル国内の主力組立工場であるCEB 社にても190型用の主翼をすでに5機を試験テスト用に、更に2機をエンブラエルに納入しています。現在、ガヴィオン・ペイショットの飛行場にて、フルア センブリングされた3機の190型ジェットがフライトテスト中であり、来年度中にも型式証明を取得し、客先に納入する予定であります。
    ちょっと蛇足でありますが、トピックスとして一つ、事務局の方から現状報告するように言われましたので付け加えました。以上でございます。

    司会 ありがとうございます。電力エネルギーを除くとほとんど絶好調、というようなご報告でしたが、ご質問はございますでしょうか。はい、どうぞ。

    河内山(日立) 全 ての分野で絶好調と言うことですが、材料価格が非常に高騰してきていると。まあ、鉄鋼関係で大体20%とかなりの値上げだと思うんですが、好調を背景に、 売り上げ価格の方にはこれ転嫁できていると言うことでしょうか? 一般の農業機械だとか、製鉄所のほうは転嫁できていると。

    佐原 わ れわれ機械金属部会の全体の意見では、とてもとても販売価格に転嫁できない。 さらにまた、納期もかなり長期を要求されますので、材料が入るまでの納期で すね。非常に苦しい状況だということで、一つの考え方として、輸入枠を海外からの安い鋼材の輸入枠を増やして欲しいと。まあ、その税率も少し下げて欲しい と、特に去年の後半から国内市場に出回っている鋼材が非常に少なくなってきた。輸出ドライブがかかってみんな輸出しちゃう。
    ところで、この前、ウジミナスのリナルド社長は、「ブラジル国内の製造業のために、われわれは無理してでもブラジル国内に製品を回帰させる」、とおっしゃられたので、われわれも非常に期待するところは大でございます。

  • 機械金属部会(レポート)

    1.共通テーマ

    <ブラジル経済2004年上期の回顧と下期の展望>

    =上期の回顧=

    ① 製鉄・鋼材分野

    -非常に活性化して、鋼材国内価格もMax.40%Upしているものもある。

    -収益性も高い。

    -積極投資して行く。今後、今年を含めて5年間にて74億ドルを計画している。

    ② 電力・エネルギー分野

    2年前に多数計画されていた火力発電案件が頓挫している。PT政権の電力料金統制価格、水力発電・風力発電の開発再評価等の方針が明確になった後、民間投資の火力発電プロジェクト(IPP)が止まっている。

    天然ガス利用の小型Co-Generation案件のみが実施されている状況にて積極的な投資がない。

    ③ 新規大型プラント分野

    -製鉄及び紙・パルプ分野での新規大型投資案件が成約している。

    -交通システム案件ではBahia/Salvador市の車輌商談に引き続き、Rio市の車輌入札があったが、海外車輌メーカ(韓国勢)の低価格にすべて敗退している。

    ④ 重機械・製缶分野

    -紙・パルプ、石油化学の夫々の業界は好況で設備投資も堅調である。受注による仕事量は確保できている。

    ⑤ 農業機械・建設機械分野

    -アグロ・ビジネスの活況な市場を背景に農業機械業界全体では生産台数が、前年度同期比にて約21%伸びて好調である。更に農産物輸送のための道路整備向け建設機械の出荷も増加している。

    -輸出市場では北米 欧州 アジア アフリカ 中南米ともに好調に推移しており、特に欧州諸国とアルゼンチンの回復が顕著であった。実に輸出が増加した要因として米国Catapillar社、欧州Volvo社がホィールロータ機種の生産をブラジルに特化一極集中し、海外への出荷体制を確立したことにある。

    ⑥ 一般産業向け工具、ネジ及び軸受分野

    -精密、切削、対磨工具

    昨年下期より顕著な右肩上がりの好調を持続している。毎月新記録を更新しており、特殊工具にては50%増の状況もある。生産増は新規投資の稼動を待つ状況である。

    自動車、鉄鉱山及び鉄鋼圧延業界向けの出荷は好調が持続される。

    -電動工具

    従来主力の建設関連は横ばいの状況であるが、工業関係工具の需要増加で販売は対前年比20%Upしている。

    -ネジ

    国内経済の回復基調に伴い、ネジの主使用業界である自動車、同部品工業及び電気・家電業界の業容Upにより、ネジの生産・販売量も増加した。

    自動車部品メーカー向けは約40%増、電気・家電メーカー向けは23%増であり、上半期全体では昨年同期比13.7%の増加となった。

    -軸受

    ネジ業界同様に自動車向けが堅調であり、第2四半期から家電等の消費財の需要増も加わり極めて好調である。 供給側の生産能力不足と、材料費高騰がネックとなりつつある。

    =下期の展望=

    FGV(ゼッリオバルガス財団)が7月に工業分野の企業に対して行った調査では、事業経営環境の改善と将来への楽観的予想が確認されている。

    今後3ヶ月の「需要」に対する予想と「生産」に対する予想共に最高であり、6ヶ月間の事業の見通しについては <良好>と回答があった。

    上期の業績より、広範囲の業種を包含する当機械金属部会では好調分野として素材メーカーの製鉄ビジネス 及び農業・建設機械メーカーのアグリ向けビジネスがあり、更に一般産業向け工具・軸受・ネジ業界では、好調が昨年下期より持続している。

    ① 製鉄・素材

    中国経済の一時的な過熱調整等から 国際市況が軟化し、それに伴う一部鋼材の国内市場への回帰から国内需要が一時的に緩和される局面は予想されるが、全体としては引き続きタイトな状況は変わらない。

    ② 農業・建設機械

    国内農産物市況の景気より、現在の好調が持続する見込みであり、農業業界全体で 国内販売は約5%増、輸出は約25%増の予想である。   海外市場は中国経済の減速傾向、及び最近の北米の住宅着工件数減少傾向を判断材料とするが、一方他の市場はブラジル国内と同様に好調維持する見込みの予想である。

    ③ 工具・ネジ・軸受

    工具業界では下期の販売増加(20~30%Up)に備えて輸入の増大、または新規設備の早期稼動を期待する。

    ネジ業界では、自動車及び家電業界の増加率予想(上半期の半分程度)を見込み、昨年同期比の10~15%程度を見込む。

    軸受け業界では、全ての軸受けメーカーはフル生産状況にあり、設備投資を検討し始めている状況である。上半期を上回る予想。

    ④ プラント・重機械業界にては、消極的になった電力・エネルギー分野以外の紙・パルプ、製鉄及び石油化学の分野にて引き続き投資意欲旺盛で日系企業の大型案件の受注を期待したい。

     

    2. 個別テーマ

    =ルーラ政権の政策・方針による影響・課題=

    ルーラ政権にて唯一業績を評価されるのは、パロッチ大蔵大臣の緊縮財政であり、年金改革、労働法&税制改革は未完の状態である。特に、国内製造業及び輸入販売ビジネスでの複雑な税制は各社の重い負担になっている。

    複雑で不明確な税制を簡略化し、透明性を高めるための税制改革が早急に肝要と考える。

    2004年度より大幅に変更になったCofins問題は、政権の改革方針と大きく異なる。

    =個別業種に絞った課題=

    農業機械のJohn Deer社(米)、建設機械のCatapillar社(米)、Volvo社(ス)のGlobal生産体制方針として、ブラジル国内にて生産する機種を特化(本国での生産を打ち切り)して、国内及び海外への生産拠点と位置付けて投資している。また、世界の大手工具メーカ Sundwuch社(英)も本国の主力工場での生産を全てブラジルに移管した生産体制を構築している。

    日系メーカーのブラジル進出投資方針に参考になる事業事例が最近目立つようだ。

    以上

  • 繊維部会 二宮繊維部会長


    二宮繊維部会長

    今冬は寒波襲来で店頭在庫一掃

    下期も春夏もの生産が順調に行きそう

    二宮 東洋紡、二宮です。繊維部会の報告をさせて頂きます。司会の方からもう、言って頂いたんで、実を言うとその一言で終わるんですが、それだったら1秒ぐらいになる(笑い)。せっかく準備してきたんで、気合入れてご報告させて頂きます。

    まず上期の回顧ですけども、皆さんご存じのように繊維の小売市況は、昨年の後半、夏の天候不順により、夏物衣料の売れ行きがいま一つでして、本年1、2月 まで同じような傾向がありました。先行きを心配したんですが、カーニバル明けの3月ぐらいから少しずつ、売れ行きがよくなり、特にいまお話がありました 5、6月の寒波襲来。これで重衣料、これはウールなんかの厚手の生地ものですけども、それから軽衣料ですね、綿など使用の下着やシャツもよく売れ、お陰様 で店頭在庫は一掃されました。
    この効果は、あとでご説明します各分野の上期業績を押し上げる要因となり、また、下期の春夏もの生産が順調に行きそうな期待感を持たせております。
    ブラジルでは日本と違い、生産段階と小売段階が直結しております。日本の場合は間に中間段階、問屋さんと言うような流通段階があるものですから、えー、備 蓄在庫(中間在庫)という概念があり、小売屋さんが売れても、生産段階が良くなるかは、なかなか読みづらいけれども、ブラジルでは大変に読みやすいと言う ことです。

    綿糸、羊毛糸は堅調

    ま ず糸の生産販売動向ですけど、綿糸、綿の糸。国内販売は、小売市況の好調さや地方選挙需要により好調に推移しました。地方選挙用って言っても、一寸分かり にくいと思うんですが、選挙用のTシャツ、あれは、綿糸の空紡糸という安い糸で出来ております。で2年に1度選挙がありますので、まあ、非常に我々にとっ てはいいと言う形です。
    それから綿糸の輸出は、為替のレアル高と国内原綿高により昨年比、量で68%、金額で92%と不調に終わっております。 採算面では昨年半ばからの中国要因による原綿の国際相場、これは大豆と同じですが、悪化が予想されたが、年初からの値上げとかPIS、Cofins分の転 嫁が比較的スムースに行き、それとその後、原綿価格が下落して、業績は堅調でありました。もっと有り体に言えば、「お陰様で儲かりました」と言うことです (笑い)。

    羊毛糸は原毛相場が落ち着いたことと装飾用途の需要を確保出来たこと、寒波によるセーターの販売が好調でして、業績も堅調でした。
    ブラジルで絹糸をやっているのをご存じの方は、多分あまりいないと思うんですが、絹の糸は生産量の80%が日本向けでして、これまで業績不調だったのが30%の値上げにより、やや好転したと言うことです。

    縫製品生産も好調

    それから生地縫製の生産販売動向ですが、これも、まあ好調でありました。
    ジー ンズは相変わらず好調です。ブラジルがジーンズに大変強いというのは皆さん、多分ご存じだと思うんですが、相変わらず好調で、付属品も好調を維持してい る。もっと具体的に言うと、石川さん(YKK)のところのジッパーも大変によかったと言う。YKKさんから数字も貰らっていますけど、余り言うといかんか も知れないので、「よかった」ということで(笑い)。
    輸入生地は、5月からこれにもPis/Cofins 9.25%が課税されています。結果的には12%ぐらいコストを上げるので、採算的には苦しくなっていると言うことです。

    綿花は国内消費向けが輸出指向に変更

    そ れから最後に綿花の生産量と価格ですが、ブラジルの綿花生産は、これまで主として国内消費向けでありまして、国際相場へのリンク度が非常に少なかったんで すが、近年、オーストラリアの作付け面積の減少、それから中国の買い付け量アップ等により、国際的に買い付けられ始めております。で、2000年から生産 量が急増しており、本年の生産量は前年比68%アップの125万トンと予想されております。輸出はそのうち 36%の45万トンと見られており、これはわれわれの国内紡績に多少影響ありまして、輸出のほうが先物契約、国内紡績は原則、近場買い契約です。また輸出 はドル決済、費用ともドル決済と言うことでお百姓さんは出来れば輸出したいと言う感じでして、われわれの買い方に影響が出ています。

    次に下期の展望ですが、まず繊維の小売市況のほうは、先ほど申し上げたように寒波の襲来や在庫一掃ということで、小売店の資金繰りは大変楽になり、春夏衣 料の店頭導入がスムースに行くと予想されております。8月の気温次第ですけれども必ず活発化すると言うふうに縫製産業は楽観しております。

    それから最近の報道によりますと各種の経済指標、いろんな指標は上向きのようで多分、消費傾向はさらに上向くと予想しております。まあ、多少懸念材料があ りまして、二、三申し上げますと、まず綿糸の生産販売は、国内の原綿動向がちょっと読みづらい段階に来ております。綿にも下級綿、上級綿がございますが、 下級綿は相場が下がりすぎて、来年の作付面積はダウンするのではないかと言う感じが一つあります。
    それから上級綿は、相場が今後急騰するという 見方はありませんが、量に関しては二通りの見方が現在あります。最近は天候が不順で、そういうのが継続して行きますと、生産量が少なくなり、手当に困るん じゃないかと言う見方が一つあります。 もう一つは、売り惜しみって言いますか、一寸相場が下がっていますので、売り惜しみしが見られます。えー、そうい う玉が出現するかどうか。それからまた、船積みが非常に出来にくい。そういう輸出玉の還流で数量の心配がなく価格もダウンするか。まあ、いい方と悪いほう と我々にとっては、二通りの可能性があるということです。

    今後綿花相場は中国次第、綿糸輸出はコンテナ不足が業績に影響予想

    そ れから綿花の国際相場は中国次第という点で、下期から来年にかけては変わらないが、来年度の収穫は北半球綿産国で非常にいいんじゃないかと皆みており、全 世界の生産量は多分上がって行くと見られております。価格弱含みというのが大方の見方ですが、これも中国動向次第ということです。

    懸念材料は、やっぱり綿糸輸出ですね。これは船便とかコンテナの不足、船賃の高騰、レアル高の傾向、それから、アジア勢との競争、他、いろいろありまして前年実績は下回りそうと言うことです。
    あと、コスト的にはやっぱり電力料金の高騰があります。サンパウロ州ですでに30%、一番安いサンタ・カタリーナで20%と言うようなかたちです。30%も上がりますと大変にコストを押し上げます。
    絹糸は仕入れ値を17%アップしたにも関わらず、養蚕の休止に歯止めがかからず、原料繭の手当に苦労しそうであると言うことです。
    それから、薄地織物の輸出ですけれども、アルゼンチンの輸入規制を心配しております。クォーター等の規制が実施されると大きな打撃を受けると言うことです。

    FTAAではいい方向だが、中国とのFTAは繊維に打撃

    そ の他ですね、最近、FTAの問題をいろんなところが取り上げておられますが、我々にしますと、もちろんアメリカとのFTAは非常にいい方向で、輸出しやす くなるけれども、最近、中国との接近ということで見ますと、もし中国とのFTAでとくに縫製品。そちらのほうの関税が下がりますと、繊維産業界はかなり打 撃を受けるじゃないか。製品メーカーが少なくなりますから糸が売れなくなると言うような事があると思います。

    あと、「ルーラ政権下の影響と課題」っていうテーマがありましたけれども、これは他の業界とほとんど同じでして、当業界特有の問題というのはありません。 まあ、普遍的なことですが、今後やはり税金の問題ですね。それからストライキ頻発の問題。これは、原綿輸入と原糸輸出に影響が出ています。
    それとあと、センノッタ、メイアノッタ、まあ、そう言うような事です。それからあとですね、これは、課題にはなかったんですけれど、ブラジルの繊維産業、まあ、この機会にちょっと宣伝しておきます。

    綿花生産、ブラジルは世界第6位

    ブラジルの繊維産業に就労する人口は143万人です。工業就労人口の約11%ということで、副大統領さんもご自身の繊維企業を持っていますから、このブラ ジルでは、そういう関連の発言力が強いと見ていますんで、さっき中国との問題を申し上げましたが、多分政府は国内繊維産業の保護を当分続けるだろうと見て います。
    それから先ほどの綿花の話ですけれども、ご参考までに綿花、先ほど125万トンというようなお話しをしましたが、これは世界第6位ですね。1位は中国、487万トン、2位がUSA396万トン、3位がインド259万。パキスタン4位で160万トンですか。

    司会 それではご質問を受けたいと思います。はい、どうぞ。

    ブラジル繊維品の輸出競争力は?

    金岡 中国のFTAの影響などについてご説明頂きましたが、輸出という意味でブラジルの繊維製品、アパレルと言うことにしたらいいと思うんですが、品質、価格、デザイン面で世界的にどの程度の競争力があるのでしょうか?
    サンパウロ州というのは、比較的繊維産業がいろいろやっているところで、先日、サンパウロ州のFiespのミッションが日本に行った時も、かなり繊維関係 のメ-カ-さんが参加されたようですが、彼らの話を聞くと結構世界的にも、アメリカ、ヨーロッパに出ていると。あるいは、サンパウロ・ファッション・ ウィークもそのうちにパリ、パリコレ近くまでやるんだと意気込みはあるようですが、二宮さんの、ご専門のところから見てどの程度の力があるのか教えて頂き たいと思います。

    ブラジル品は高関税で守られているが、ジーンズは圧倒的に強い

    二宮 ま ず輸入品との競合関係ですが、私のところは綿紡なんで、綿糸に関係のあるところを申し上げますと、2002年の綿糸の輸入量は、1800トンで対国内生産 比0.2%。それから綿布の輸入量は5千トンで0.6%。縫製品の輸入量が2万1千トンで 1.6%と言うことからみると、ブラジルは大変競争力があると見えますが、実は関税が非常に高く製品で18%、糸で16%、原綿で10%の関税に守られて いるので国内にまだ入っていないということで、すなわち国際競争力があると言うことではありません。
    それから綿糸の輸出。先ほど輸出を申し上げましたが、まあ、バクッといってブラジルの糸の生産量は約100万トンで、そのうち輸出が昨年度で4万トン程度、2003年で4万6千トン。全体にまあ、国内産業ですね。
    その中で一番強いのはジーンズで、ジーンズはもう圧倒的に強い。これはもう問題ない。全世界の中で一番強いんじゃないですか。それからあと製品で強いのは水着。

    ファッション性はまだだが、モデルは世界一の折り紙つき

    さっきのアパレル・ファッション。私の知っている限り、今日現在、衣料品では世界でファッション性があるとは認められていないのではないですか。
    ただ、一番認められているのはモデルですね、モデル(笑い)。これは、まあ、私もそうですが、日本から来た人は特にそう思うように。モデルは世界一位。こ れ間違いないです(笑い)。これはあの、主観と独断ではなくて、ある雑誌にも載っています。そういう意味におきましては、モデルが大変にいいので着ている 物がよく見える(笑い)。で、その中でも水着は特にですね、えへへへ、これだけ小さくて、あと全部身体ですから、大変に水着もよく見えるとと言うことじゃ ないですか。水着はもう日本でも買い付けています。

    だからまあ、そういう意味でブラジル・ ファッションは近い将来大躍進するであろうと言う期待感はありますが、国内の縫製レベルはそれほど高くないと思います。私の知っている限り中国のほうが上 ですね。あの、要するにいい物をつくるという縫製段階でははるかに上と言うことです。南米では、アメリカから型紙を持って来てその通りにつくると言うこと は、かなりやっていると聞いております。まあ、ざっと、このようですが、商社さんの商売からみると期待はずれのような答えになるかも知れませんが、モデル は輸出できると思います(笑い)。

  • 繊維部会(レポート)

    2004年上期の回顧と下期の展望

    Ⅰ.上期の回顧

    1.繊維小売市況

    昨 年度後半の市況は夏の天候不順によって夏物衣料の売れ行きが今ひとつであった。本年1~2月は同じような傾向で先行きを心配したが、カーニバル明けの3月 から少しづつ売れ行きが良くなった。特に5~6月の寒波襲来で重衣料(ウール等使用の厚手生地物)が売れ、ついでに軽衣料(綿など使用の下着やシャツ等) も売れて、店頭在庫は一掃された。この効果は後述する各分野の上期業績を押し上げる要因となり又下期春夏物生産が順調にいきそうな期待感を持たせている。

    2.分野別状況

    ブラジルでは生産段階と小売段階が直結している。日本の問屋のような中間流通段階がなく流通在庫、備蓄在庫はほとんど無い。従って小売りの売れ行き動向がすぐに糸販売、生地販売、縫製の各段階の売れ行きを左右する。

    (1)糸の生産販売動向

    綿糸(リング糸、空紡糸)の国内販売は繊維小売市況の好調さや地方選挙用需要により好調に推移した。綿糸輸出は為替のレ   アル高と国内原綿高により昨年比、量で68%金額で92%に終わった。

    採算面では昨年半ばからの中国要因による原綿の国際相場高騰で悪化が予想されたが年初からの値上げやPis,Cofins分の転嫁が    比較的スムースにいった事、その後原綿価格が下落した事によって業績は堅調であった。

    羊毛糸も原毛相場が落ち着いたことによって、椅子ばり等の装飾用途需要を確保できたことや、寒波によるセーター販売好調により業績は堅調で    あった。絹糸は生産量の80%が日本向けでありこれまで業績不調であったが30%の値上げによりやや好転した。

    (2)生地、縫製 の生産販売動向

    小売冬物製品好調を受けて厚地、薄地とも好調であった。ジーンズは相変わらず好調で、付属品も好調を維持している。輸入生地は5月か      らPis,Cofins9.25%が課税され(結果12%↑)採算的には苦しくなっている。

    (3)綿花の生産量と価格について

    ブラジルの綿花生産はこれまで主として国内消費向けであり国際相場へのリンク度が少なかった。しかしオーストラリアの作付け面積減少、中国の    買い付け量↑に伴い国際的に買い付けられ始め、2000年から生産量が急増している。本年の 生産量は前年比68%↑の125万トンと予想さ    れている。輸出はそのうちの36%、45万トンと見られている。輸出は先物契約であり(受け渡しも 先)国内紡績は原則期近契約である。本年上    期は天候不順の影響により上級原綿の生産が少なく、また輸出デリバリー優先により(国内紡績は)買い付 けにやや苦戦した。

     

    Ⅱ.下期の展望

    1.繊維小売市況

    寒波襲来、在庫一掃によって小売店の資金繰りは楽になり春夏衣料の店頭導入はスムースにいくと予想される。8月の気温次第で商品仕入れの本格開始が9月に ずれ込む恐れはあるが必ず活発化すると縫製段階は楽観している。さらに最近の報道によれば各種経済指標は上向きのようであり消費性向はさらに上向くと予想 されていることも製品生産段階の下期展望を明るくしている。この楽観は原糸販売、生地販売、輸入製品販売各層共通である。懸念材料は各分野によって異なっ てはいるが多少見受けられる。

    2.懸念材料

    (1)綿糸生産販売

    ①国内原綿動向が読めない

    下級綿 相場が下がりすぎて来年の作付け面積↓の恐れがある。

    上級綿 相場が急騰するとの見方はないが量に関して二通りの見方がある。

        a.天候不順継続で生産量が少なく、手当てに困る事態になるか

    b.売り惜しみ玉の出現と船積みが出来ない輸出玉の還流で数量の心配がなく、価格も↓する。

    ②国際相場は中国次第という点で下期から来年にかけて変わらないが、北半球綿産国の豊年期待のもと全世界の生産量↑が予想されている。価格弱含みというのが大方の見方であるが、中国動向が読めず従って相場も読めない。

    ③綿糸輸出は船便やコンテナの不足、フレッチの高騰、レアル高傾向、アジア勢との競争の中で販売量、価格とも↓傾向にあり前年実績を下回りそうである。

    ④電力代の高騰は4月からであるが下期はフルにマイナス寄与してコストを押し上げる。アップ率は州により異なるが10~30%であり企業努力ではカバー出来ず、業績↓が確実である。

    (2)絹糸では仕入れ値を17%↑したが養蚕の休止に歯止めがかからず原料繭の手当てに苦労しそうである。

    (3)薄地織物ではアルゼンチンの輸入規制を心配している。クオーター等の輸入規制が実施されると大きな打撃を受ける恐れがある。

     

    Ⅲ.その他

    1.ルーラ政権下の影響と課題

    (1)税金の↑と煩雑さPis,Cofinsの課税範囲

    輸入課税

    (2)ストライキ頻発原綿輸入の遅れ、原糸輸出の遅れ

    (3)インフレの押さえ込みは評価するが、景気対策が少ない。

    (4)センノッタ、メイヨノッタ企業問題の放置→安値玉対策

    2.中国とのFTAで糸、生地、製品の輸入関税が無くなると繊維生産業界は壊滅状態になる恐れがある。(綿花生産は除く)

    以上

     

  • 食品部会 疋田食品部会長


    疋田食品部会長

    輸出は好調だが、船腹、コンテナ不足に悩まされる

    国内はまだ素直に「儲かった」といえず、下期に期待をかける

    疋田 食品部会の三井アリメントス、疋田でございます。食品部会上半期の回顧では、食品部会を輸出と国内の二つに分けてお話します。輸出は引き続き好調を持続しています。ただ好調を持続しているが故にいろいろな問題が起こっています。

    それは船積みの問題。それから積み出し港の処理能力不足の問題。それから商品を詰めるコンテナ不足の問題などです。
    一方、国内市場は、昨年は停滞状況にありましたが、今年は、回復の兆しが見えています。食品全般については、生産量で前年同期比3%程度の伸びと言われていま すが、食品でも多くの種類の商品があり、一部の商品を除いては国内消費市場での好況感がわれわれメーカー、あるいは販売会社のほうには、もう一つ実感され ておらず、二宮さんの繊維部会のように素直に「儲かった」と言えるような状況にはまだありません。従って、下期に期待をかけているのが現状です。

    もう少し詳しく申し上げますと、輸出のほうは先ほどから何度も出ております大豆、これは今年の収穫が5200万トンという予想でしたが、天候上の干ばつとか病虫害の影響で4980万トンと当初の予想よりも減産になっています。
    しかし輸出は依然好調でして、中国との品質問題も6月下旬に政府間で一応の決着を見まして、これですべてが解決したとは思えませんが、これからも中国向けの輸出を中心に好調持続が期待されます。
    来年の大豆の収穫量は、今年の約5千万トンから6千万トン規模にまで拡大すると見込まれています。

    大豆収量は6千万トン規模見込み - コーヒ園が大豆畑に変わる

    実際、私はコーヒー屋でして、ミナス・ジェライス州のコーヒー農園をまわっていましても、つい数ヵ月前までコーヒー農園だったところがコーヒー樹を切り倒して、大豆畑になっていると言う例がいくつもあります。
    ブロイラーですが、これは上半期で111万トン。これは前年比21.5%増。砂糖は上期で630万トン。これは前年比53%増という記録的な増加になっております。
    オレンジ果汁は135万トン。 これはブラジルの輸出の新記録です。それからコーヒー、これは、コーヒーの豆とインスタントを合わせた数量ですが、上期で 1170万袋。これは数量では前年比約7%ダウンです。しかし金額では8億6600万ドルで前年比19.4%増となっています。コーヒーもここ3、4年続 いた歴史的な国際相場の安値から少し回復して来て、昨年2003年の上期の平均から比べると、国際相場の指標であるニューヨークの先物市場価格で平均約 16%値上がりしている。これが、輸出金額が伸びている原因です。

    食品添加物の対日輸出増加

    あとは食品添加物、香料等です。これは主に日本向けですが、日本市場の末端消費が好転している結果、これらの輸出も増加しています。
    ただ先ほど、触れましたように、船腹の不足、また、船に積んだはいいけども、抜港により貨物が本来の仕向地で降ろされないと言うような問題も起こっており ます。コンテナ不足による港での滞貨、それによる保管費用の増加が報告されています。それから、サントスはじめ積出港の、貨物の処理能力の不足というよう な、インフラ上の問題も表面化して来ています。
    国内では、これは今年の上半期に総需要の拡大が期待されたけれども結果としては1.3%程度、わずかに前年を上回る程度で、期待ほどには盛り上がりませんでした。
    価格も若干下がり気味で、シェア拡大、数量拡大をメーカーさんは努力されましたが、各社の評価としては厳しい上期であったということです。
    乳製品市場は競合が激しくて、特価販売が常態となっており、乳酸菌飲料、これは特に競争が激しくて、生産量で前年同期比13%減。それからヨーグルト類が4.7%減、デザート類が18%減と、この辺は前年対比で生産量が落ちております。

    調味料、コーヒー共に増加 - 日本食レストランは飽和状態(サンパウロ市)

    調 味料のほうは前年同期比で2%の増で、金額は19%増と、比較的順調な推移となっています。それからコーヒーは、国際相場が16%程度、値上がりしたこ と、また、ブラジル国内市場の成長が依然として続いていることから数量、金額ともに前年比増加。ブラジル・コーヒー工業会(Abic)の発表では国内の コーヒー市場は前年比5%程度拡大するだろうとの予想です。
    それから日本酒、しょうゆ等ですが、これらの主要顧客である日本レストランについて、以前、サンパウロ地区で600軒あるという記事が出ました。 皆さんもご覧になったと思いますが、どうもこれは誇張された数字のようで、300軒から350軒が実態のようです。
    ただ今年に入って、新規開店のペースが昨年に比べてだいぶ落ちて来て、とくに市内では新規開店が減っており、日本レストランは飽和状態、最近の新規開店は地方都市のほうが多いそうです。
    販売の状況としては上期、お酒は前年同期の水準は数量的には確保出来たが、競争が厳しくて採算的には苦しいと言う報告がありました。

    業界は政府にトレーサビリティ-体制確立を希望

    下期輸出は引き続き好調を持続。ただ、消費国から品質管理の要求が更に強まると思われ、品質管理の一環であるトレーサビリティー体制の確立が必要であると思われます。
    それから国内は雇用の更なる改善等によって、景気回復が末端商品に及ぶことが期待されており、すでに6月は、大手スーパーの売り上げが前年同期比11%増で、下期がよくなるとの予想の一端がすでに見えて来ているような気がします。
    ブラジル政府への要望ですが、これはもう皆さんが挙げた項目と殆ど同じですが、トレーサビリティー体制の確立のために、ブラジル政府が積極的に関与して欲しいという希望がありました。
    それから輸出港の能力改善への設備投資、インフラ整備。先ほどから出ております税金の簡素化、明確化。それから、まあ、一般的な話しですがインフレの回避、そして通貨の安定というのが食品部会からの報告です。以上です。

    司会 それではご質問をお受けしたいと思います。いかがですか。はい、どうぞ。

    多田(伯国三菱商事) ブラジル政府への要望という、そのトレーサビリティー体制確立のために、ブラジル政府に関わって欲しいと言うことですが、もうちょっと具体的に言うと、どう言うことなんでしょうか?

    トレーサビリティー情報、チリの例

    疋田 こ れは、一つにはチリで、チリ財団と全国商業会議所が、チリの産品、食品の業者向けに、インターネットで「食品トレーサビリティー情報」を提供するようなサ イトを立ち上げて、それをチリ政府が積極的にバックアップした例があるとの報告がありまして、それと似たような事を実現するための後押しが欲しい、という 希望がありました。

    伯国産と輸入日本酒、三井、三菱の競争?

    司会 すいません。私いま一寸、医者から禁酒を命ぜられているんですが、先ほどのご説明で、お酒の価格競争が厳しいって言うお話しがあったんですが、例えば東麒麟に対する対抗馬はあるんでしょうか?

    疋田 現在、市内の日本レストランにおいてあるのは東麒麟に代表される国内生産物、それと輸入のお酒ですね。輸入のお酒も日本から輸入された製品と、カリフォルニアから輸入されたお酒などがあります。それぞれに価格は違いますが、全体が、競合相手とおっしゃっています。

  • 食品部会(レポート)

    1. 2004年上期の回顧

    「総 論」

    輸 出農産品目は引き続き好調を持続しているが、それが故に、船腹不足、積出し港の処理能力不足、コンテナー不足などの問題が表面化している。一方、国内市場 は、停滞状況にあった市場にも回復の兆しが見られており、食品全般については生産量で前年同期比3%程度の伸びが伝えられる。しかし、一部の商品を除いて は国内消費市場での好況感はまだ実感されておらず、下期に期待がかかる状況となっている。

    「輸 出」

    主要輸出品目である大豆は、中国との品質問題が6月下旬に政府間で一応の決着を見たものの、今後も影響は懸念される状況であるが、2005年クロップは60百万トンを上回ると予想されており、輸出の主役であることは変わらない。

    ブロイラー輸出は1-6月で1,110千トンと前年比21.5%増。砂糖は上期6.3百万トン(前年比53%増)。オレンジ果汁1,351千トンと輸出の新記録達成。コーヒー(豆及びインスタント合計)数量では上期11.7百万袋と前年比92.8%なるも、金額は866百万ドルで前年比19.4%増。

    日本市場の末端消費が好転した結果、食品添加物、香料等の輸出も好調。一方、積出し時の問題が数多く報告された。船腹の不足、船の跋港による貨物の仕向け地未着問題、コンテナー不足による滞貨及びその保管倉庫費用の増大、積出し港の貨物処理能力不足等々。

    「国 内」

    即席麺は、総市場拡大の期待に反し、前年を僅かに上回る程度で、販売価格も幾分下がり気味、シェア、数量拡大を図るも厳しい上期となった。乳製品市場は競合激しく価格は特価販売を余儀なくされている。

    乳酸菌飲料類は特に競合厳しく、生産量で前年同期比13%減、ヨーグルト類が4.7%減、デザート類が18%と大幅な落ち込み。

    調味料市場は前年同期比数量102%、金額119%と伸長を見せ順調な推移。コーヒーは、国際相場が前年比約16%程度値上がりしたこと、ブラジル国内市場の成長が依然続いていることから、数量、金額共に前年比増加。国内市場の規模は、焙煎業者協会(ABIC)の発表では前年比5%程度の成長という。

    酒、醤油等の主要顧客である日本レストランは、以前サンパウロ地区で600軒と報道されたが、実際には300-350軒ほどである。新規開店のペースも昨年の半分程度に落ちて来ており、地域的にもサンパウロ市内はほぼ飽和状態、現在は地方都市の方が動きは良い。

    上期の酒の販売は、前年同期の水準は確保できたが、価格競争は激化している。

    1. 下期の展望

    輸出は引き続き好調持続の見通し。消費国からは、品質管理の要求は更に強まると思われ、トレーサビリティ体制の確立が必要。

    国内は、雇用の更なる改善等により景気回復が末端消費にまで及ぶことが期待される。既に6月には、大手スーパーの売上、前年同期比11%増とその一端が見られている。

    2. ブラジル政府への要望

    • トレーサビリティ体制の確立のための伯政府の積極的な関与
    • 輸出港の能力改善への設備投資、インフラ整備
    • 税金の簡素化、明確化
    • インフレ回避、通貨の安定

     

    以上

  • 電気電子部会 瀬山電気電子部会長


    瀬山電気電子部会長

     

    1-6月はきわめて好調だった家電業界

    カラーデレビは今年700万台を超えるいきおい

    瀬山  電気電子部会から、ご報告させて頂きます。パナソニックの瀬山でございます。われわれの部会は、事業している企業数、登録会員社、25社あります。それを 四つに分けまして、家電耐久消費財7社、電子部品産業6社、通信・電力・産業機器7社、精密事務機器5社という構成で、それ以外に個人とか、オブザーバー で部会を構成致しております。

    今日、あの、三つのポイントからご報告をしたいと思うんです が、一つは業界の全体の動きを代表すると言うことで、家電のこの上期全体の動き。二番目が会員企業のこの上期の実績並びに下期の見通し。それから、三番目 に、ルーラ政権の影響と課題、というポイントからご報告したいと思います。
    最初に業界の動きですが、これはいろんな統計資料等で発表されており、ご覧になられている方もおられると思いますが、一部推定を含みます。
    2004年の上期、1~6月ですね。これはメーカーとしての出荷台数を見て行きますと、カラーテレビが前年同期比160%、オーディオ機器が115%。そ れからDVDの再生機214%、倍以上ってことです。それから電子レンジ146%。車に備え付けられていない、市販されておりますカーステレオが117% と言うことで、浅賀さんのほうからもご紹介ありました通り、家電業界1~6月のメーカー出荷台数としては非常に好調です。

    で、これが前年同期比です。前期比、去年の7月~12月とを見ますと、カラーテレビが105、オーディオ機器で 69、DVDの再生機が100、電子レンジが117、カーステレオが100%で、傾向的にはカラーテレビ等の去年の7月以降、前年同期比で上回り始めた傾 向が今年の上期も続いていると言うことで、去年の1~6月がまた、前年、前々年比で悪かったいうことで、数字が非常に大きく見えると言うふうにご理解頂い たらいいと思いますが、おしなべて、家電のメーカー出荷台数は、申し上げた通り非常に好調というのが、実体であります。
    ちなみに代表的なカラー テレビの年間の見通し数字を見ますと、今年1~12月で700万台を超えるであろうと言われております。この台数は1997年にさかのぼり、その時に 800万台という数字があります。その前年96年が870万台で、それ以降は実は500万台前後をウロウロしておりまして、7年ぶりの大台700万と言う ことで、非常に活況と言えると思います。

    家電関係の価格は、工業材料値上げとは反対に値下がり

    一方、では単価は先ほど化学品部会とか、機械の部会のほうから、鉄の値段、鋼材の値段とか、工業材料が2割上がったとか、2ケタ値段を上げたとか、われわれは全部被害者であります(場内笑い)。
    そういう、値上げを受けながら、これは工業界の実際の数字ですが、じゃあ価格はどうなっておるかと言いますと、私共の一般消費家電関係、テレビは去年の同 じ6月に比べて9%値段が下がっております。今年の1月に比べて6月はマイナス1.5と値段が下がっております。おしなべてですね、大体8%、9%前後。 それから今年1~6月を見ましても、価格が、1.5~2%下がっている。もちろんヘアルベースですが、それが価格実態でありまして、インフレが抑えられな がら、1~6月で消費者物価指数3.5%だと思うんですが、それ以下、マイナスの単価下落が続いておる業界と言うことも一つの特徴だと思います。

    もう一つの特徴は、マナウスのデジタル機器の生産が活発に行われております。プラズマテレビ、デジタル・スチール・カメラ、それからDVDレコーダー等の現地生産が始まっておると言うのも特徴であります。
    では、なぜこれだけメーカー出荷台数が増えておるかですが、一つはやはり、大手量販、流通による「10カ月金利ゼロの割賦販売」という信用売りの拡大が、 このメーカー出荷台数増加の大きな要因ということで、それ以外は会員メンバーが集まって部会をやっても「なかなかいい要素ないね」と「でも売れているね」 と言うところです。

    二番目に、会員企業でずっと、毎年、年2回アンケートを採っております。上期の販売はどうであったか、その施策はどうであったか、業績はどうであったか、という観点であります。
    家電関係で行きますと、やはり、いま申し上げましたようにメーカー出荷の好調な数字を背景にして、少ないところで2割、多いところで、まあ、本格生産を始めた特殊要因から「2倍になりました」、というところを除きまして、やはり20%から30%以上は伸びています。

    部品、精密事務機器も増収、業績も「よかった」

    で、それのバックにあります、部品産業もやはり120%から130%伸びています。通信産業機器も100%から一部180%。精密事務機器で100から113%。と言うことで、上期は皆さん増収であったと言うことです。
    そのなかで企業業績はどうだったか、ですが「大変よかった」が3割。「よかった」が4割でですね、7割が「よかった、大変よかった」で、あとの3割も「計画通り」と言うことでした。
    昨年同じようななかで比較を一寸みますと、昨年、「よかった」というのが3割、「悪かった」というのが5割で、「計画通り」っていうのが2割ありました。で、昨年「計画通り」の2割はですね、「計画通り悪かった」と(笑い)。

    今年は「計画通り」の3割も「計画通りよかった」と言うことですので、「おかげ様で、二宮さんのところ程じゃあないかも知れませんが、まあまあ」という業界だと思います。
    下期につきましても、いまの流れのなかで、後ほど述べます不安要因がいくつかありますが、業績見通し、売り見通しとしては家電関係すべて、大体低いところで、「前年下期並み」。多いところで「120から130%の増収を見込んでおります」と言うことです。
    えー、 「よかった」のやはり、要因の大きなものは為替の安定。私共の業界、マナウス生産の比重が家電、部品、それから精密事務機器を含めて高こうございます。そ のなかで、やはり輸入比率が高いと言うなかでは、やはり為替の安定が業績の安定に非常に寄与をしたと言うことかと思います。

    リストラ、ソフト化後に通信産業機器は好調

    だが、今後大きくのしかかる税制恩典一部廃止のインパクト

    ま た、一つ特徴的なのは通信産業機器。従来、インフラ整備一巡、民営化一巡等で苦しんでおられ、リストラを行ったり、仕事の中身を大きくソフト化されたりと 言うことで、通信網の整備の進捗等からインフラ環境整備の投資増加と言うことで、通信産業機器の業界の皆さんも非常に好調というのが特徴だと思います。
    三点目の「ルーラ政権への影響と課題」という観点ですが、これは非常に大きな問題があります。マナウス生産での製造事業に対する恩典の変更です。非常にド ラスティックな変更が行われております。2004年の4月から中間材メーカー、まあ、特殊部品のメーカーと言うのをイメージして頂けるといいんですが、州 税のICMS(商品流通サービス税)の恩典がなくなりました。これで、部品価格が約15%、値上げ要素になっております。
    それから、実は今週か らといいますか、2004年8月からマナウス域内で調達する部材についてのPis/Cofinsの恩典が撤廃されました。 これは、あの、商品価格に対し てインパクトが5%から8%あります。これは今月からで、私、こんなところで悠長な話をしている場合じゃない。見てみますと、家電の皆さん、誰もここに来 られていないようです。

    下期は不安をいっぱい抱えて走っている業界

    そ れから10月から、アマゾナス州以外の12州が、州外調達品のPis/Cofinsの恩典を撤廃するとかですね、税制変更、恩典変更によりもろに悪影響、 コストアップ影響を受けております。これについては市場価格への反映と言うことなんですが、先ほどご紹介致しましたような市場価格の状況のなかで、これか ら、家電、精密事務機器等マナウス生産部分につき、これを市場価格にいかに反映できるのか、転嫁できるのか課題でありますが、過去マナウス製造事業につい ては、「輸入部材を入れ過ぎ、輸入でドルを遣い過ぎる」と。「マナウスでもっと物を買え」と。それから「ブラジル産品を使いなさい」と業界に対して非常に 大きな働きかけがありました。
    今回の税制変更、恩典の撤廃は、それを真面目にやったところがみんな割りをくらうと言う非常に腑に落ちないというか、一貫性のない方向性であります。
    実は一昨日もブラジリアのほうで、業界、それからアマゾナス州政府を含めた陳情を行っておりまして、私共からも人を派遣しましたが、その時の様子を聞いて おりますと、やはりパロッチ大臣の力が非常にこの面では強くて、増税、税収アップと言うところに対する、閣内の力が強くて、今回の恩典撤廃が非常に、いま のところ、ロビー活動を展開するなかでも不利な状況にあると言う実態でありまして、非常に危惧をしております。

    ということで、私共の電気電子部 会の各メーカーはご紹介しましたように非常に好調な、業界出荷ベースではありますが、この下期に向けては税金の、恩典廃止の問題、並びに為替動向等、非常 に不安をいっぱい抱えて、一生懸命走っていると言うことです。以上を、電気電子部会の報告とさせて頂きます。

  • 建設不動産部会 阿部建設不動産部会長


    阿部建設不動産部会長

     

    景気回復の実感がなかった上期

    阿部 7月から建設不動産部会の部会長をさせて頂いています、戸田建設、阿部と申します。よろしくお願い致します。
    われわれの部会のほうは、いままで、聞かせて頂いたみなさんの部会とは違って、あまり好景気な話はありません。今回の部会に参加して頂いた会員の方がアン ケート調査を含めて4社と、非常にその分母が少ないものですから、全体をまとめた形で発表させて頂くと、なんか一寸、えー、無理があるかなと言うことで、 大変恐縮ですが、箇条書き的に各社さんのポイントを述べさせて頂きたいと思います。
    急に話しが飛ぶような所もあるかと思いますが、ご容赦願いたいと思います。

    まず、2004年上期の回顧ですが、全体的に設備投資が低調で、昨年後半から期待されていたほど発注案件は増えなかったと。景気回復の実感はあまりない。
    二点目として、4月以降に資材の値上がりが顕著になり、収益を圧迫している。その影響もあり業績確保のため、人員削減を余儀なくされている。ブラジル国内 の主要建設資材の値段は、需給バランスによる市場価格というよりも、一部の寡占業者による価格操作により決められている面が強いため、先の見通しが立てに くい。

    三番目として建材販売は4月以降、回復傾向にあるが、価格的には非常に厳しい。
    四番目。昨年顕著に見られた工事進捗の遅れは、今年は少なくなっている。
    五番目。サンパウロ近郊のABC地区のアパート販売は低調で、成約ずみローンの、CEF(連邦貯蓄銀行)の資金不足で実行が遅れている、ということなどが、会員の方のお話であがっております。

    下期も企業設備投資は低調推移見込み

    次に、副題にもありますポイントに触れながら、下期の展望をのべて見ますと、まず一番目としまして、景気回復を期待はするが、現実には明るい見通しとはい えない。失業率が依然高く、また、ガソリン、交通、通信関連費値上がりの影響で、可処分所得も目減りしているため、国内向けの設備投資は、今後も低調に推 移し続けると思われる。とくにルーラ大統領が、まるで独裁政権をとったように外遊や専用機購入など景気回復とは無関係な行動をしている限り、景気回復はあ り得ない。この辺は、先程からの各部会の発表のですね、それらの流れとまるっきり逆の感想が出ているので、ちょっと面白い感じも致します。

    二番目は、市長、市議会選挙が間近に迫り、公共工事は停滞し市場の活気が失われる。この辺は逆に、そういう選挙目当てに公共事業の発注が増えるのでは、と 言う意見もあったのですが、そう言うことが起こるのは半年からそれ以前であると。ごく間近になると、発注業務はされないという傾向があるということです。

    サンパウロ市内の集合住宅物件は回復傾向

    三番目は、サンパウロ市内の集合住宅物件。これに関しては昨年のゾーニング変更の影響で、建築許可取得件数が、昨年は、一昨年に比べて20%減少しました が、今年は回復して一昨年程度、年間で600~650件。これはあくまでも正規に建築許可を取得した件数なので、まあ、取得しないで建設した物件も数多く あると言うことで、総数が一寸つかめないが、いずれにしましても、サンパウロ市内での集合住宅物件に関しては、非常に回復傾向にあると言われています。

    四番目。一部輸入に頼らざるを得ない資材に関しては、フレート等の上昇が大きなコストアップの要因となっている。

    五番目。中国の好景気によりアルミ地金が高騰し、しばらく継続する見通しである。為替の動き如何によっては更なる上昇も考えられる。
    六番目。社会的に厳しい状況が続くなかで、今年は社内改革、人材育成に努めているが、失業率が高いと優秀な人材は流出しがたいので、なかなか良い人材を市場で見つけ出すことができない。
    七番目。建設業界には最低賃金に近い職種が数多く含まれているので、賃金アップは政府の後押しもあって、確実に行われることになり業績を圧迫している。
    八番目。不動産業界では一部の高級集合住宅への投資が引き続き期待が持てる。九番目。FTA問題が業界に直接、影響を及ぼすことはないと思われる。
    と、以上のように、やはり先行きの見通しとしては、一部の不動産物件に関しては、上昇傾向があるのですが、それ以外は期待が持てない、という意見が多くありました。

    セメント販売量は上期に増加

    最後に、サンパウロ州建設業組合の最近の統計値から業界の動きを見ますと、われわれの大きな指標になっていますセメント販売量。これが過去4年間はずっと 減少し続けておりました。それが今年の1月から6月の上半期はですね、前年比でプラス5%と、久しぶりにプラスに転じております。と言うことで、建設工事 量そのものは昨年に比べて増えています。ちなみに昨年1年間のセメント販売量を前年比で比べますとマイナス11% ダウンしておりました。

    それから建設労働者、これも今年上半期の半年間で、昨年末の時点で比べると、人数で13,000人増、率で言いますと約1.1%の増加となっております。 と言うことで、まあ、無理やり最後に結論付けますと、建設業界では昨年に比べて若干上向きの傾向が見られるものの、はっきりとした業績回復には至っておら ず、また不動産業界でも一部の高級集合住宅を除いては、同様に厳しい状況にあると言うのが、結論です。一般的に申しまして、建設業というのは世間一般の経 済指標の約1年から1年半、長いときは2年遅れで同じぐらいの率の回復をすると言われていますので、これは希望的観測も含めてですが、今年後半、それも年 末から来年にかけて業界全体が業績アップ出来るのではないかと思っております。以上です。

    不動産投資が高級アパート建築増につながる

    司会 あ りがとうございました、ご質問ございませんか。ちょっと私の個人的興味というか、あの、私共ジャルジンスに住んでいる人間多いんですが、あの近辺でこの1 年半ぐらいですか、駐車場が3つ4つあるようなアパートが相当な勢いでバタバタと建って来ているような感じがするのですが、それはどう言う傾向の中でそう 言う現象が出ているんでしょうか。

    阿部  これは今回の部会で、直接お話しを伺えなかったのですが、別の機会に何人かの方から聞いている話しでは、やはり言われているように、お金の投資先の分散、 銀行ですとか、株式投資だけではなく、不動産という残るモノ、価値のあるモノに投資してそれを持つという考え方のお金持ちの方が投資をされていると。です から決して実の需要がそこまであるとは言いきれないと。これは、又聞きなので大変恐縮ですけど、そう言うふうに聞いたときもあります。

  • 建設不動産部会(レポート)

    建設不動産部会は、建物の建設 を主体とする建設業者(ゼネコン)と、アパート・住宅の販売、及び事務所ビルの賃貸・販売を含む不動産業者から成っている。今回初めて部会長という立場で 会員の方々のお話を伺ったが、業界全体の現状を表すには分母となる参加企業数が余りに少なく、全体像ではなく、特定個別企業の話しのまとめである。

    2004年上期の回顧

    ①全体的に設備投資は低調で、昨年後半から期待されていた程発注案件数は増えなかった。景気回復の実感はあまりない。

    ②4月以降資材の値上がりが顕著になり、収益を圧迫している。その影響もあり業績確保のため人員削減を余儀なくされている。ブラジル国内の主要建設資材の 値段は、需給バランスによる市場価格というよりも一部の寡占業者の価格操作によって決められているため、先の見通しが立ちにくい。

    ③建材販売は4月以降回復傾向にあるが、価格的には厳しい状況にある。

    ④昨年顕著に見られた工事進捗の遅れは、今年は少なくなっている。

    ⑤サンパウロ近郊のABC地区のアパート販売は低調で、成約済みのローンもCEFの資金不足で実行が遅れている。

    2004年下期の展望

    ①景気回復は、期待はするが現実には明るい見通しとは思えない。失業率が依然として高く、また、ガソリン・交通通信関連費が値上がりしたため可処分所得も目減りしている。国内向けの設備投資は今後も低調に推移すると思われる。

    ②市長、市議会選挙が間ぢかに迫り公共工事は停滞し、市場の活気が失われる。

    ③サンパウロ市内の集合住宅物件は、昨年のゾーニング変更の影響で建築許可取得件数が前年に比べ20%程度減少したが、今年は一昨年度程度(600~650件/年)まで回復するものと見られている。

    ④一部輸入に頼らざるを得ない資材に関しては、フレートの上昇が大きなコストアップの要因となっている。

    ⑤中国の好景気により一部資材(アルミ等)が、世界的高値安定状態に成っている。

    ⑥社外的に厳しい状況が続く中で、今年は社内改革・人材育成に努めているが、失業率が高いと良い人材は流出し難いので、なかなか市場で見つけ出すことができない。

    ⑦建設業界には最低賃金に近い職種も多数含まれているので、賃金アップは政府の後押しもあり確実に行なわれ業績を圧迫している。

    ⑧輸出を伸ばしている業種での設備投資には期待が持てる。

    ⑨不動産業界では、一部の高級集合住宅への投資が引き続き期待が持てる。

    以上

  • 運輸サービス部会 平野運輸サービス部会長


    平野運輸サービス部会長

    通過ビザたたり、米国経由路線は減便

    平野 華 麗なキャリアさんから「運び屋の私」、まあ、別に密輸やっている訳じゃないんですが、受け継ぎましたので今後とも一つよろしくお願いします(笑い)。ウチ の部会は「運輸サービス部会」と言うふうになっていまして、運輸のほうは、それなりにまとめられるんですが、サービスのほうが、全部で会員67社ですか、 その中を取りまとめるのは大変なんです。実は、「事前部会開きますよ」と号令掛けても、出席される方はなかなかいなくて、いつも見る顔ばかりで、その中で まとめた内容ですので、一つご了承願いたいと思います。
    まとめ方としまして、まず旅客関係、ついで貨物関係、それからサービス業界、それぞれの、「回顧と展望」という形で、要約的にまとめましたのでご了承願います。

    まず航空業界の回顧ですが、根本的にこれはテロから始まっていますが、前回も、発表されたと思いますが、米国通過のビザ取得の影響。この影響が非常に大き く、とくに日伯間の米国経由の部分が旅客も少なくなるので減便せざるを得ない。これは日本航空さん、及び VARIGさんは減便しています。その減便した流れは欧州経由のほうへ皆さんが回避している。で、このビザ取得のためのアメリカ領事館は二カ所に限られ て、取得料だけでも100ドルかかる。そこに行くまでの旅費を考えればとんでもないと。これが欧州経由のほうへ回避している事の原因です。

    二番目は、DAC(運輸省航空局)の運賃統制。運賃統制っていうか運賃の均一化という法令が出て、そのルールを遵守することは当然良いのですが、それが逆に外国キャリアにして見れば競争力に欠け、集客力が弱まる影響があると言うことです。

    三番目は、VARIGとTAMの統合。これは消滅して、今後は共同運行で経営の向上を図って行くと言うことになりました。
    下期の展望としても期待するところは多いが、日本経済の立ち直り及び国内為替の動向は安定してもらいたい。もう一つは、ブラジル・中国の親密化により、今後中国は脚光を浴びてくる。その中で人の往来増大に期待したいと言うことです。

    国内旅行者増えたが、原油高による航空運賃値上がりが心配

    それから旅行業界は、航空業界と同じようにビザ、運賃統制によって販売がやはり苦しい。特に国際間旅客の人数が鈍化した。 逆にその半面、ブラジル国内旅行に人気が出て、特にリゾート地には、ここに来てシーズンに向けての予約が急増していると言うことです。
    従いまして、展望はそう言うところに期待していますが、一寸心配なのが原油の問題でまた運賃が上がる事です。それからアメリカ通過によるビザ問題の継続及び検査の強化、これらが引き続き懸念されるところです。

    輸出好調でコンテナ定期船、自動車船に船腹不足

    次 に貨物関係です。まず、船社さん。いままでの皆様の発表のなかで、船腹が足らないと言うお話ですが、全くその通りの報告が来ていまして、とにかく荷動きが 好調で、バラ積中心の農産物の好調さが加担し、その影響としてコンテナ定期船の船腹不足、自動車関連の輸出急増が、今上期に波及している。またブラジル・ 極東間の荷動きが活発で、とくに中国を中心に往復路で急増している。

    ブラジル・欧米間はブラジルからの輸出が顕著ですが、輸入の伸び悩みが先ほどのお話しのコンテナ不足に影響しているような感じです。
    それから船舶の混雑。これは去年もそうだったのですが、例年の税官吏のストライキや港湾インフラの不整備等で、貨物滞貨が恒常化している。
    もう一つ運賃ですが、先ほどもおっしゃいましたが、運賃が上がったと言う事ではなくて、船舶需要の逼迫で、いまの運賃は2001年のレベルへ回復していると言うことです(笑い)。

    展望ですが、引き続き荷動きは好調であろうと。で、定期船社のサービスの増強を図り、自動車部品主体の輸入増に期待。またブラジルからの輸出は、日本向け の綿花や収穫後の農産物に期待。これらが下期に向けて増加すると予想され、船社さんとしては、更なるコンテナ、船腹の供給に努力したいが、コンテナの供給 不足の影響が下期に危惧されるという報告です。

    伸びているフォワーダー扱い貨物

    次にフォワーダー業界。私のところもそうですが、フォワーダーというのは、船も飛行機も持たずそれらを利用して物を運ぶいわゆる混載業者ですが、上期回顧 としては、船社さん同様にやはり貨物は全体的に伸びています。輸出入ともに増えているところは、やはりアジア発。日本発も含めて増加していますが、やはり 中心は中国発。その貨物の内容としては自動車の部品、部材、並びに電子機器、部品、部材です。
    また、ブラジルからの輸出もやはり同様に自動車部品、部材、それから農産物、海産物、切り花、健康食品等が出荷されています。
    なお、フォワーダーは、どちらかと言うと航空便を主体にした貨物取扱いですので、船荷の取扱い部分では若干違います。船便で動いている部分は皆さんも FCLですべて準備されますが、残りの少量貨物を取扱うという意味合いで、とくに航空貨物取扱いを念頭に入れて貰らえれば良いです。

    それから燃料の高騰とテロの影響で、輸出国から出荷する場合、ブラジルにとっては輸入ですが、その貨物輸送に対してセキュリティ-サーチャージとフュエー ルサーチャージと言う取扱料かかっています。当然アジア、日本もそうですが、アメリカ、ヨーロッパ、すべての輸送貨物にそれがかかっていますが、各キャリ アによって若干差はあります。
    セキュリティ-サーチャージは大体、10セントから15セントですね。それからフュエールサーチャージがやはり10セントから15セント。これらは運賃とは別にキロ当りの料金でかかっています。
    ブラジル発輸出の場合、このフュエールサーチャージだけがかかり、ヨーロッパ系の航空会社が25セント、VARIGは20セントです。ただし、セキュリティーサーチャージの方は、ブラジル側では取っていないです。

    船腹、航空機のスペース不足は慢性的

    下 期の展望ですが、輸出はやはり好調で、先ほどと同じようにコンテナ、船腹、航空機スペース共に供給不足が危惧されます。キャリアさんの対策としては、輸出 入両面において、増便並びに機材の大型化に期待したいですが、なかなかキャリアさんとしても難しくて、現在、アメリカ・ブラジル間を飛んでいる大きな、 ジャンボは別にしまして、普通アメリカ系は767ですね。 777であればジャンボ機より若干少ない重量まで積めますが、それら大型機材はやはり、アジア 方面へ持っていかれています。だから、こちらになかなか持って来る事が出来ない状況のようですね。たまたま昨日、 UAの人間と話していたら、そういう話しがありまして、ちょうど良い機会と思いご説明しました。

    アジア・日本間では貨物機が飛んでいますが、ブラジルに飛来する貨物機会社も数社しかなく、それも週に1便、2便ですので、やはり航空会社としても荷動き が大量で活発な地域へ大型機材を持って行く流れにあります。そういう意味合いでは、やはり船社さんも同様で船を大型化することを考えているが、なかなかこ ちらまで配船出来ないと、伺っています。
    次にサービス業界ですが、これはご報告を頂いたところだけの発表にさせて頂きます。

    固定電話の需要急落、日本の既存サービス導入に注力

    ま ず、通信サービス。KDDIさんの報告ですが、確か前回も同様でしたが、固定電話の需要が急落している。低所得者層はプリペイド方式の携帯電話へ移行して いる。固定通信業界としては、今後付加価値を付けたサービスの提供、通信先進国へのアプローチが進んでいく。そういう意味合いでは、今後は差別化する必要 があり高付加価値サービスの提供。要するに、現在の日本の既存サービスを今後導入していくと言うことですね。
    それからクーリェサービスですが、われわれフォワーダーと同じですが、やはり税官吏ストの影響によって、例えば新聞配送が遅れたとか、通関の簡素化・迅速化が過去から大きな問題になっている。
    それから市内のバイク便は、相変わらず会社設立が簡単なので、ずいぶんと会社も増えて来ている。

    脚光あびている中国観光 -インフラ整備不足が難

    最 後になりますが、個別テーマとして皆さんから頂いた意見ですが、まずは中国観光。問い合わせも結構入って来るのですが、要するに中国側の観光インフラの整 備。これが、北京・上海であれば良いのですが、地方の整備がまだできていない。要するにホテルとか、航空便だとか、そういう情報がなかなか取れないと言う 部分があるらしいですね。
    それから、中国関連としては、当然われわれ運送業、キャリアさんもそうですが、中国へは皆様メーカーさんと一緒に進出 していますが、ブラジルと中国間の物流においても、少なくともブラジル系の業者より我々日系業者のほうが情報を持っていますし、中国も広いですから輸送及 びロジスティック関連のことで何かございましたら、部会並びに所属している企業へ問い合わせて頂ければ良いと思います。
    もう一つは、日伯のFTAの件です。これも先ほどからお話しが出ていました燃料用アルコールには注目できますが、逆にそれを運ぶためのケミカル・タンカーの建造だとか、ブラジル・日本側のターミナル整備など、やはり投資がかなり必要ではないかと言う意見がありました。
    最後に先ほどの通関の問題ですが、ルーラ大統領にお願いしたい。税関通関体制の簡素化、何とかならないかと言う意見がありました。 一応、今回私初めてでしたので、ざっと要領だけまとめて発表させて頂きました。どうもありがとうございました。

    司会 どうもありがとうございました。ご質問お受けしたいと思いますが、はい、どうぞ。

    何時解消されるのか? コンテナ不足

    二宮 コンテナだけに絞って聞きたいんですが、コンテナ不足の問題いつごろ解消されますか? 見込みで。

    平野 そ うですね、かなり、先ほどのお話しから、貿易収支のなかで、ブラジルの輸出がやはり増えています。ということは、入ってくるよりも出る方がもっと多くなっ て、ホントは入ってきて出る、そう言うバランスが取れればいいんですが、まだそういう意味合いではインバランスで、出る方が多いと。
    しかもそう 言うコンテナは、もうすべてアジアのほうに行って、いまは、アメリカへの輸出もかなり日本から増えていますから、そちらに行って、どうしてもこちらに回っ てくるのが少ない。 要するに、物流の量が全然違いますので、どうしてもこちらが少ない状況になっているというお話しですね、船社さんの。
    どう でしょうね。ブラジルの景気がよくなれば、それなりにまた、上向いてくると思います。ただやはり、物流の量が違いますのと、農産物の普通のそう言うのと繊 維さんとか、家電さんのようなコンテナは別物ですし、ここはとくに農産物のほうで輸出が多いですよね。結局そういう意味合いで、コンテナ不足があるんじゃ ないないかと思います。

    佐原 あの中国とブラジ ルの間の貿易活発化で荷動きが激しくなる。中国からブラジルに運んでくるときにナショナルフラグという、そういう船のどういうんですか、船主、中国側の船 主ですね。そういう船腹の量いうのは彼らが出す以上に、自分たち潤沢に持っているんですか。ちょっとお尋ねしたいんですが。

    平野 い や、それはないと思いますね。中国側の船社って言うのもありますが、そんなに大手の会社はあまり聞かないですよね。まあ一寸、私の経験なんですが、香港に なりますとかなりの船社さんも入っていますし、今後はやはり上海、香港ですよね。ここを中心に動くと思いますし、香港より少し西北上に塩田港が中国にはあ りますし、そこが今ものすごく活発化しています。だから、華南地区よりそちらに持って行くと思われます。または、香港ですけどもね。

    佐原 料金はどうでしょうか、まあまあというか、あるいは、国際価格で、彼らディスカウントして安く、と言うようなのはないんでしょうか?

    平野 ど うでしょうねぇ。やはり、基本的に考えるのが、航空業務ですが、実はいまからものすごい荷物がアメリカ向けに動くんです。クリスマス用商品で、もうすでに 航空運賃のほうは値上がっています。で、当然、やはり 供給の方が少なくなりますので、それは、船のほうも同じだと思いますね。とくにこの時期から増えます。

  • 運輸サービス部会(レポート)

    「2004年度上期の回顧と下期の展望」

     

    【旅 客 関 係】

    航空業界

    『回顧』

    日伯間については、2003年8月から実施された米国のVISA強化策により南米国籍者はトランジットの場合でもVISA取得が義務付けらた為、今日に至るまでVISA取得の面倒さから、米国経由便が敬遠され、VISA不要な欧州経由並びにカナダ・メキシコ経由便を利用する方が増加傾向にある。この結果、ヴァリグの名古屋便の運休(3便減)、日本航空も1便減となっている。DAC(運輸省航空局)が運賃の統制(均一化)に乗り出し、ファイルしていない運賃を適用した航空会社に違反金の支払を義務付けられているが、全社のルール遵守は効果があるが、米系など多くの会社が反対しているために実効性は懐疑的である。

    ヴァリグとタム社の経営統合は実質的に消滅しており、コードシェアー(共同運行)により経営の向上を目指している。

    『展望』

    航空業界は景気の影響が他業界に比べて遅れがちで、日本経済の全体的立ち直りの効果が下期には実現化してほしいと期待する。また、昨年比較的に安定していたレアル通貨の為替レートが動きつつあるので要注意。ルーラ大統領の訪中以来、活気付いた伯中関係に注目。

    旅行業界

    『回顧』

    航空業界と同様に、VISA問題・運賃統制が販売上非常に厳しい環境となっており、全体的な国際間旅客の動きは鈍化している。反面、ブラジル国内旅客の動きはある程度活発で、特にリゾート地への人気が高く、ルゾートホテルのシーズン期予約が急増している。

    『展望』

    世界的な原油問題の背景を受けて、国内・国際路線の航空運賃の値上げが懸念される。

    継続されるか更に強化されるか米国VISAの取得は、ブラジル国籍を持つ旅行者にとっては非常な経済負担となり、下期も厳しい環境となることが予想される。

     

    【貨 物 関 係】

    船社業界

    『回顧』

    昨年下期に異常な船腹不足が現出したバラ積貨物船(鉱石・鋼材・穀物等を主とする船種)

    の市況は一服したが、今期はこの要因でコンテナ定期船や自動車船に波及し、特に輸出貨物へのスペース供給が困難な状況となった。伯国/極東間の荷動きが中国を中心に往復路で急増(前同比30%up)、伯国/米欧間は伯国からの輸出は顕著な伸びであるが、輸入は伸び悩みの状況。伯国主要港では船舶の混雑と、例年の税官吏のストもあり滞貨が恒常化しつつある。このようなコンテナ・船腹需要逼迫状況の中で、やっと運賃が2001年レベルまで回復した。

    『展望』

    荷動きの明るい見通しであり、各定期船社は主要トレードでのサービス増強を図る。

    (北米-南米東岸、北西欧州-南米東岸、亜-南米東岸、各航路:10~20%増供給)

    自動車生産部品のアジアからの輸入、伯国発日本向け綿花、伯国農産物収穫後の出荷等、輸出への期待は大きいが、反面、コンテナ・船腹の供給が大いに危惧される。

    フォワーダー業界

    『回顧』

    フォ ワーダー即ち利用運送業者であるが、航空会社・船会社を利用して輸送する業務であり、各キャリアーと同様に伯国における輸出入貨物を取扱う上で、輸出入貨 物共に増加傾向にある。輸入貨物は、量的には圧倒的にアジア・日本からが主流であるが米欧からも増加している。輸出貨物は、伯国の1次・2次産品の好調な 輸出に支えられ、自動車部品・部材の輸出が急増している。また農産物・切り花・健康食品も順調に伸びている。

    燃料の高騰・テロ対策に対する各サーチャージが輸出国より付加され、輸入貨物にとってトータル・コスト高となっている、また税官吏・検疫官ストも最終的コスト高を招いた。

    『展望』

    引 き続き好調な伯国の輸出増に期待できるが、キャリアー同様に貨物スペースの供給が大きく危惧される。各航空会社・船会社によるスペース、あるいはコンテ ナ・船腹確保による供給手段として、増便、機材・船舶の大型化が急務である。好調な輸出は輸入にも反映され、生産用部品・部材並びに消費財の輸入が増加す るものと期待する。

     

    【サービス業界関連】

    『回顧・展望』

    * 通信サービス:

    固定電話の需要は低下傾向にあり、購買力の減少によって月額33レアルの契約額でさえ敬遠する所得者層が、プリペイド方式の携帯電話へと移行する傾向が加速中。携帯電話業界の勢いが止まらない中で、固定通信業界ではデータ・音声の付加価値による差別化を図り、日本含む通信先進国へのアプローチを強化している。

    両業界共に、他社サービスとの差別化を模索中であり、既存ベーシックサービスから一歩踏出した高付加価値サービス提供へと脱却し、日本の既存サービスも近い将来に伯国へ導入される可能性を秘めている。

    * クーリエサービス:

    クーリエと言えども税官吏ストの影響が配送遅延を招く。通関の簡素化・迅速化が課題。

    市内バイク便会社は相変わらず増加中。会社設立が簡単過ぎる。

    「個別テーマ」

    * 中国観光:

    ルーラ大統領の訪中以降、ブラジル人の中国旅行の問合せが急増しているが、中国での観光インフラ(国内線便、ホテル、車輌、レストランなど)は、北京・上海大都市を除いて未整備であり、情報収集に留意が必要である。

    * 日伯FTA:

    仮に締結された場合、船社として注目できる燃料用アルコールであり対日輸出量にも因るが、ケミカルタンカーやターミナル整備が必要でかなりの投資を要する。

    * 伯中アジア間輸送関連

    輸送・ロジスティック関連については、運輸部会並びに所属企業へ問合せ願いたい。

    * ルーラ大統領へ:

    税関・通関体制の簡素化を望む。

  • 自動車部会 内山自動車副部会長


    内山自動車副部会長

    自動車好調、上期に103万8000台生産

    収益は素材値上がりや増税に圧迫された

    内山 内山でございます。部会長であるトヨタの岡部社長に代わりまして、今日はご報告させて頂きます。部会を大きく自動車、まぁ乗用車と二輪車、それから自動車部品という3つの大きなカテゴリーに分けてご報告させて頂きます。

    まず自動車。乗用車のところですが、ここは非常に好調に推移して、この上半期が103万8千台と、1997年に102万台だったんですが、それを上回る生産台数で記録をつくったと言うことです。
    内訳でみますと、国内が72万3千台、輸出が27万6千台で、生産、国内販売共に14%の前年比伸張。輸出は4%ですが。まぁ、生産、国内販売は非常に大きな伸張を得ることができました。
    で、これの背景、どんなことがあったかですが、国内景気そのものが安定して来たということは弁を待たないわけですが、それと共に、自動車メーカー各社さ ん、低金利、あるいは長期融資というような事で、非常に積極的に売って出られた。一方、週末の販売キャンペーン等と、この上半期は非常に積極的に売ってお りまして、これが大きな伸張をもたらした第一の原因じゃないかと思います。

    一方で、輸出については隣国であるアルゼンチンの景気がかなり回復しておりますので、この辺を中心に、貿易部会の中でもお話ありましたが、輸出がかなり伸びると言うような状態にありました。
    自動車、乗用車は、この下半期どうなるかですが、Anfaveaのいろいろな予測、統計の中では、下半期も順調に推移するだろう、同じような伸び率を維持するであろうと見ております。
    ただ一方で、収益面でいきますと、皆さん何度も言われた話しなんですが、鉄鋼、アルミ、あるいは原油を含めまして、素材値上げが非常にきつうございまし た。それに合わせてPIS、Cofinsの増税がありまして、これをすべて売値に転嫁できているかと言うと、自動車の場合は、非常に小刻みに値上げはして いるんですが、十分な価格転嫁はできておりません。ですから収益のほうを相当圧迫する要因になっています。まぁ、それを量の増大である程度カバーしている と言うところのようです。

    二輪は昨年末来の落ち込みから回復基調にあり

    次に二輪車のほうですが、昨年の下半期からちょっと低迷傾向にあり、それまではここ数年間、毎年10%、2ケタ成長を続けて来たんですが、昨年の下半期から鈍化傾向にあります。
    その鈍化傾向がこの、1月、2月のところで、いや3月ぐらいにやっと止まり、成長軌道に戻ってまいりました。結果としてこの上半期は、生産台数で3%増、国内販売で3.2%増となっております。
    輸出のほうは、国内と比べますと非常に量が少ないんで、変化指数だけ大きくなり、対前年比で53%増となっております。
    この輸出が大きく伸びた原因は、各社とも日本で生産していた北米向けモデルをブラジルに生産移管したんだと。昨年から、生産移管が各社とも一部ずつ始まっ ており、これが大きく影響しまして、要するに新規の市場ではなくて、日本が輸出していたものをこちらに生産移管して代替輸出と言うことになって、輸出は増 えております。

    わずかですが、3%伸びましたので、二輪としては、また新記録を一 応たてたと言うことにはなるが、多少先に向かって懸念があります。二輪業界の場合は生産拠点をすべてマナウスに持っております。日系の会社、あるいはブラ ジル系の会社がマナウスでやっとるんですが、昨年の末からこちら大きく3回ほど増税がありまして、1回目はPIS、Cofinsが上がったこと。2回目 は、瀬山さんからお話しありましたマナウスの商品流通税をはじめとした総合的な税制改革が行われまして、これが各社、それぞれの企業にとって影響度は違い ますけども、おおむね、以前の税制と比べますと3 割ぐらい増税になっているのではないかと思います。

    それ、会社さんによって差はありますから何んとも言えませんが、それをいろんな形で1本の減税措置、一律税率じゃなくて、マナウス、州政府との間の個別交 渉という形での減税、あの減税というか、暫定措置がとられましたんで、会社さんによってどこまで最終的に影響が出ているか、一寸ここでは分かりませんけど も、かなり大きな増税があります。
    それからまた、7月の末といいますか、この8月から発効されているPIS、Cofinsに対する免税措置の撤 廃と言うことで、二輪の場合、今年は3月に各社とも、3月を基準に各社とも2、3%から4%の値上げはしとるんですが素材値上げ、あるいは税制の変更、 まったくこれ、なんというか、価格の中に入れ込んでおられ、値上げできません。

    増税には価格転嫁しか対策はない

    今 回の8月からの増税に対して、どのように対応するか非常に苦労、苦慮しているところですが、いずれにしても増税には、これを価格転嫁しない限りやって行け ませんので、いずれかの段階で価格転嫁しますが、一方で、先ほどもお話ししましたように、日本からの生産移管を含めまして、輸出を非常に伸ばす、あるいは 全体の生産量を伸ばすと言うことで、各社大型の増産投資をここ数年繰り返してきました。現在も各社共まだ増産投資計画を持っておりますが、これの抜本的な 見直しに入らざるを得ないと。価格を上げれば当然相当量の需要減につながりますので。
    まぁ、このような状況で、現段階では、二輪について下期は見通せないと言ったところです。数量を伸ばして、欠損を膨らましても話にならないんで、相当な覚悟が必要ではないかと言うように思います。
    そんな中で、また後ほど言いますが、マナウスの公務員ストを含め、港湾荷役が1ヵ月以上にわたって止まるという状態もありまして、生産活動にも大きな支障を来たしておりました。

    部品も自動車に引っ張られて好調

    次 に自動車部品業界ですが、自動車部品業界は大きく自動車、乗用車の影響を受けます。 二輪車の影響は、二輪車そのものが数量的に少ない事もありますが、二 輪車に特化した部品業界がマナウスにありまして、すべてマナウスの商工会議所のほうに入っております。サンパウロ商工会議所には入っておりませんものです から、二輪専業部品メーカーはこの中におらず、自動車に大きく影響されると言うことを、まずお断りしておきます。

    自動車が、乗用車が非常によろしかったものですから、部品業界も非常に好調に推移しております。各社さんのお話では、設備稼働率も大幅に上がって、かなり ピークの状態にあると言うことですが、一方で、ここ3、4年間、自動車、乗用車そのものが一寸低迷期といいますか、1997年にピークをつけて以来減産傾 向にありましたので、かなり設備余力の分をその間に、顧客開拓ということで海外にシフトしておりました。
    で、販売先をかなり海外開拓に求めた結果、ここで乗用車が伸びると部品さん、あるいは、ある会社さんによっては十分それに対応できない。設備能力的に対応できないと言うところがチラホラ出始めております。
    それに対して増産設備、増産投資をするかどうかについては、いまの景気が持続するというのがまだ読み切れませんので、非常に慎重に構えざるを得ないと言うことで、部品業界も苦労しております。

    部品業界もその設備稼働率が最高の状態にありますので、非常にいいんですが、ここも、ご多聞にもれず、他社と同じように素材値上げ、あるいはPIS、Cofinsの問題を吸収しきれておらず、設備稼働率が上がったことを十分享受している状態ではないようです。
    下期は、四輪、乗用車業界が非常に下期もこうやって強気に読んでおりますので、自動車部品業界としても、「このまま下期は大丈夫だ」と言うふうに見ております。

    政府の朝令暮改の税制、解釈によって変わる税金などが不安材料

    個 別のテーマにつきましては、度々出てくる税金の問題、それもありますが、ルーラ政権、ま、部分的には非常に経済面うまくいっていて、安心して見ていられる が、個別の問題に行きますと、透明性がない、一貫性がないという言い方になるのか、税金も、解釈によってどんどん変わってくる。朝令暮改のように新しい税 制が出て来ると言うことで、非常に苦慮しているところです。これは皆さん一緒でしょうけども。
    それから、ま、支持率が昨今下がっておりますの で、もともと労働政党政権ということで、大衆迎合的な、いろんな政策が出てくるということを危惧はしております。このまま行って頂ければいいんですが、 どっかで、人気回復のために迎合的なことが出てきますと、われわれ企業側、企業の立場としては、それによって、かなり右往左往とうこともありますので。

    それから、FTAの問題は、個別の中国とのFTA、EUとのFTA、いろいろありましょうが、自動車部会の場合は、もともと生産拠点を世界展開している関 係で、日本からの部品調達というものは、日本との部品関係での部品調達というだけではなく、いろいろありますので、対応といいますか、時間がありさえすれ ば、多少の対応はできると思っております。
    ただ、一方で、そうは言っていますが、開発拠点が日本ですし、日本に依存するところは、将来とも中心 になると言うのは当然ですので、日伯の、あの、FTA が他国に遅れをとる事になりますと、非常に競争的には窮屈な状態になって行くだろうな、ということは懸念しております。

    中国とブラジルのFTAは脅威

    それで一方、完成品につきましては、これはニーズの問題ですが、中国、ブラジルのFTAが締結されると非常に脅威ですね。低品質、低価格のものが多量に入って来ると言うことになりますと、その、いわゆる市場の品質そのものを落としてしまうと言うことで懸念はしております。
    あと、業界内の課題ということで、皆さん、各社さんからいろんなご意見が出とるんですが、大きな意見としては、複雑な税制に悩まされている。あるいは、港 湾サービスが劣悪でコストが高いという問題。それから国内物流コストが非常に高額であると言う問題。さらにこの国は労働法が過度に労働者のほうに偏ってお り、その厳然としてある法律の運用がだんだん厳格になりつつあるんではないかと。

    ある会 社さんから出ましたのは、本業意外のところはなるべくコストダウンして行こうと言うことで、アウトソーシングなり、分社化なりしたんですが、実質、なんで すか、同企業であるとか、同一企業であると言うことで、まぁ、そこの面でもいろいろやられて結局は、せっかく分社化した会社をまた元に戻さざるを得なかっ たと言うようなことも出ておりまして、ま、これは一つの例ですけども、いろんな意味で、ルーラ政権がどの方向に行くのかって言うので心配な面はあります ね。以上でございます。

    司会 どうもありがとうございました。後半少しあの走りながらやって参りましたが、最後の自動車部会のほうにご質問がある方はどうぞ、挙手お願いいたします。はい、どうぞ。

    田中  2つお尋ねしたいのですが。1つはあの、この間ルーラ大統領が中国へ行った時に、マナウスに二輪車のメーカーをブラジルと中国の合弁でつくる話しを決めた と言う話しが出たが、それがどうなったのか。もう1つは、さっきおっしゃり、これは瀬山さんもおっしゃった、「かなり大きく変わった」と言う税金の問題で すね。 それに対して、個別の企業でいろいろコンタクトされておると言うお話しですが、たとえば、業界とかですね、あるいはまた、外国企業同士でまとまる とか、あるいは政府ベースで交渉するとか、そういったような動きはあるんでしょうか?

    内山 中国メーカーとの話しですが、これは以前からありますし具体的な会社名がどこで、どの時期にというところまで正確ではないが、噂は常にあります。今回の訪問によって、ある程度、真剣っていうか俎上にのぼって来たんではないかと。
    ただ、問題はなんというか、FTAの一環として、そのー、輸入自由化という観念へ持って行ってしまえば、影響は大きいですし、非常に分かりやすいんです が、企業誘致となりますと、ブラジルだと例えばマナウスでやる。二輪の場合はもうマナウスでやらざるを得ないという状態に追い込まれちまっていますが、マ ナウスでやる場合には、もう地域化率の問題だとか、ようするに地域調達率を何パーセント以上にしなければ、税金の恩典が得られないとか、国産化率をどこま でにしないとブラジル国内はいいけども、他国には売れないとか、いろいろあります。だからそういう意味で参入障壁が非常に大きい。

    それからもう1つ大きな参入障壁は、中国の二輪車メーカーはいまのところ、日系メーカーのコピー品を中心にやって来たところで、技術的な蓄積はまだそうあ りません。で、一方で、ブラジルはもう排ガス規制についても、2006年からEU2を実施するともう決まっておりますし、2008年には多分EU3まで行 くと言っております。
    エンジンのところで見ますと、今日現在ではEU3を達成できるエンジンは、世界中に二輪の場合はまだありません。 ですか ら、これからやって行くでしょうが。で、EU2を達成するには相当な設備投資と技術投資がかかります。果たして中国がいま持っている技術でそこまで出来る のかどうか。そのためにルーラさんが、特別にそれを曲げてしまえば別ですが、そこの面で非常に難しいのではないかと見ております。
    もう1つの難 しさが、自動車、二輪共にありますが、ブラジルは販売がぜんぶ専売店制度でして、販売の投資に莫大なお金がかかります。中国メーカーどこに行ってもそうで すが、彼らが販売も投資もやるってことはまずありません。それから部品供給、サービス、アフターサービス供給をやるって事もほぼありません。世界中で製品 の売りっぱなしですから。ですから、本当に彼らが出られるのか、出たとして消費者が受け入れるのかという問題は非常に難しいと思います。

    次に税金。在マナウス企業の一番の問題、PIS、Cofinsの免税撤廃、免税のなくなった問題ですが、これは各業界でやっておられると思うんですが、二輪はAbracicloというところがあり、そこでやろうと言う動きは出ております。
    ただ、先ほど瀬山さんのお話しにもありましたように、連邦政府がこれについては非常に強硬にものを考えておりますので、ブラガ州政府が昨日話しはしたんでしょうが、どこまで行けるかと言うと非常に悲観的です。

    で、その前のマナウスの地域全体に対する恩典につきましては、一応、連邦が2013年から2023年まで、10年間の免税措置を延長した際に、州政府とし ても10年間延長すると。ただ、言ってみればま、二輪の完成車、あるいは部品さん、電気の一部のところがこの恩典を持っていたわけですが、ある一定数量を 超えた分に関しては完全免税だったんです。ICMSゼロというような状態で。これはマナウスの地域発展にもつながらないと言うことで、これが廃止されると 言うのは、ある意味じゃ仕方がないと思うんですが、それの見返りとして、それを廃止する代わりに2023年まで連邦と同じように税制の恩典を続けましょう と、10年間の延長を約束しました。

    ただ一方で、その前の9年間も増税されますと、いま の状態では企業も立ち行かなくなりますので、州政府との間で各個別企業での交渉になったんですが、緩和措置をある一定期間もらっています。その緩和措置期 間の間に、州政府が、望んでいる方向に持って行けば、税金の負担は少なくなると。
    州政府が思っている方向とは何かと言いますと、要するに「マナ ウスに投資しなさい。マナウスから調達しなさい。そうすれば税金はかなり下がりますんで。そういう方法でやるために、数年間の緩和措置をとりましょう」と 言うことで。これはもうすでに決着ついておりますが、ま、PIS、Cofinsにつきましては、時間かけてやって行かなきゃいけないと思っていますが、難しいと思いますね。

     

  • 自動車部会(レポート)

    1.共通テーマ「2004年上期の回顧と2004年下期の展望」

    ■ 自動車

    2004年上期,自動車の生産・販売実績は以下の通り。単位:千台

      2003年合計 2003年上期 2004年上期 前年同時期比
    生産台数 1,827.7 904.2 1,038.2 +14.8%
    新車登録台数 1,428.6 649.0 723.0 +14.4%
    輸出台数 535.4 266.4 276.6 +3.8%

    2004年上期の自動車生産台数は104万台、前年同時期比にして14.8%増と、史上最高を記録した1997年の102万台を上回った。国内販売台数、輸出台数共に前年同時期を上回り、内外共に好調に推移する形となった。

    内訳で見ると、国内新車登録台数は72.3万台と前年同時期比で13.2%増を記録した。理由の一つは経済に対する消費者の信頼度の高まりによるものと見られている。また、大手自動車メーカーが低利子・長期融資などのメリットを購買者に提供し、週末などに在庫整理を目的とした大型販売キャンペーンを実施したことも販売台数を上向かせた。

    また、生産台数の約3割を担う輸出に関しては、アルゼンチンの景気回復等から上半期は27.6万台と、これも過去最高を記録する結果となった。ANFAVEAはすでに今年の予想輸出額を66億ドルから前年比25%増の69億ドルへと上方修正している。

    2004年下期も貿易収支黒字の継続、カントリーリスクの低位推移また国内経済の安定的成長などの好条件が期待されていることから、大手自動車会社またブラジル自動車工業会は、内外共に引き続き上期の好調が継続されていくだろうと予測している。

    ただ、生産・販売実績を見ると業界全体は好調に見えるが、鉄鋼製品などの部品コストの上昇や、PIS/COFINなどの増税が簡単に最終商品価格に転嫁されないことから、大手を始めとする自動車メーカーは厳しい収益内容を余儀なくされている。

     

    ■ 二輪車

    2003年、二輪車の生産・販売実績は以下の通り。単位:千台

      2003年合計 2003年上期 2004年上期 前年同時期比
    生産台数 954,620 508,925 510,452 +3.0%
    販売台数 848,377 449,523 450,962 +3.2%
    輸出台数 100,440 40,381 62,026 +53.6%

    過去数年間、平均約10%の成長を記録していた二輪車市場も、今年2004年上期は慎重な経済運営による金利引き下げの速度鈍化、高失業率の継続により、生産販売ともに前年比3%程度の成長に留まった。特に第一四半期は、主力商品のモデルチェンジがあり、前年同時期比5%マイナスと前年割れを呈したが、第二四半期は前年比12%増と、下期への期待をのぞかせた。輸出は販売地域の新規開拓、および需要の増大により、前年同時期比50%強の大幅伸長を記録している。ただ、世界的な素材価格・原油価格高騰の影響もあり、国内原材料の価格上昇が著しくなっている。

    下期の展望として、景気回復の速度・金利低下速度が二輪車需要回復の鍵と言える。足元6月の失業率が低下傾向ということもあり、今後の需要伸長に期待をしている。ただその一方、マナウス地区の税制恩典制度の変更により、最終商品価格に影響が出ることが予想され、市場回復の足かせになる可能性が懸念される。

     

    ■ 自動車部品

    2004年上期の部品メーカーにおいては国内自動車市場の好転、および輸出好調の継続により、稼動効率も大幅に上がり、損益も改善の方向に向かった。

    内 外の需要拡大により、一部供給が需要に対応しきれない業種も出てきている。特にエンジン、ギア、ブレーキ関連のコンポーネントが不足しており、その背景と して国内市場の低迷から海外市場開拓に注力してきたことが挙げられる。またさらには、原材料調達問題に直面している部品メーカーもあらわれている。自動車 部品業界でも同様に、鉄鋼などの原材料費および部品コストの上昇やPIS/COFINSなどの増税により、必ずしもマーケットの動向と平行して収益が改善されているとは言いがたいのが現状である。

    部品業界でも下期の自動車生産台数は上期の水準が維持されるものと予想されており、その結果、部品業界の生産も好調に推移することが見込まれている。ただ一方で、一部の部品メーカーでは国内供給不足の深刻化が懸念されている。

     

    2.部会別個別テーマ

    ■ ルーラ政権の政策方針による影響・課題

     

    • 初の労働党政権ということで、大きな政策変化が危惧されたが、政権発足から現在までの経済政策を見る限り、従来政権との大きな乖離は見られず、無難な 政権運営を続けている。今後は内需を拡大すべく、金利の引き下げ、租税負担の軽減、失業対策など国民主体の政策が望まれるところである。
    • 公約にもあるが、輸出拡大のため積極的に海外へ販売路を拡大していこうという外交政策は一応の評価に価する。
    • 但し、今後、支持率下落による人気取りのために大衆迎合的な政策に走り、経済混乱を招く事態に一抹の不安を感じる。

     

    ■ FTA関連問題・課題、中国・アジア関連

    • 「BRICs」と言いながらも、日本の関心は中国・アジアに偏っており、ブラジルに対する関心はきわめて薄いのが現状である。EU間およびFTAAが締結された後には、欧米競合メーカーとの輸入コストに差が発生することから、価格競争の面で在伯日系企業は不利な立場に立たされる。設備の輸入にしても同様のことが予想される。(部会全体)
    • メルコスールとEUまたFTAAの進展は不安定ながらも、条約締結へ向けて確実に向かっている。今後はFTA対象国によりメーカー競争力格差が広がっていくことが予想される。FTA増により当地の輸出拠点化が進んでいくだろうが、対象国により大きく戦略が変わっていく可能性がある。(自動車メーカー)
    • 当業界では中国とのFTAが締結されれば、中国からの輸入完成車が増加し、在ブラジル企業との競争激化が想定される。(二輪車メーカー)
    • 中国とのFTAがいつ、どういう形で成立するか、国内の自動車および部品産業がいかように扱われるか、注視していかなければならない。(部品メーカー)
    • メルコスールに関してはアルゼンチンの動向が気掛かりである。協約規定外である輸入制限を家電製品に対して実施し始めていることから、自動車業界にもその影響が降りかからないか懸念されている。(部会全体)

    ■ 業界内の問題・課題

    • ブラジルコストに関しては、相変わらず改善の方向へ向かっていない。PIS/COFINS、移転価格などの税制の複雑化、劣悪な港湾サービス、高額な物流コストなどが挙げられる。また、外注に関しても、労働法が過度に労働者を保護しているため、外注していたサービスを社内に取り込み直さなければならなくなった企業もある。
    • 好調な自動車生産を受けて、高い生産水準が続いている状況にあるものの、過去の自動車生産の変動の中で、大きな過剰設備を抱えた経験から、なかなか増産投資に踏み切れないジレンマがある。
    • マナウス地域での新税制恩典が4月から発行されたため、各社とも新税制に向けた社内システムの整備等々の対応が必要となった。なお、7月末にPIS/COFINSのマナウス地域での扱いについて、連邦税庁から出されることになっている。詳細は検討中なるも、在マナウス企業にとっては大きな税負担増になる模様である。

  • 講評 石田総領事

     


    石田総領事

    税金、労働、ブラジル・コスト問題解決メカニズム構築に官側も協力の必要あり

    本日は、各部会長の皆様方からのお話しを聞かせて頂いて、本当にどうもありがとうございました。大変参考になりました。
    印象ですが、第一番目に今年に入ってからいろいろ、エコノミストの人の話しを聞いたり、あるいは新聞の報道を見ていて、今年のブラジルの成長はかなり高い という印象を持っておりましたが、さきほど田中会頭のほうからも、「ブラジルはマクロ的には、30年来とも、あるいはレアル・プラン以来ともいわれる経済 成長の基礎が築かれた」というようなお話があり、印象が確認されたとの感を深くしました。
    さらに各部会長の方からは、それぞれの分野におけるパフォーマンスと展望をお聞きして、もちろん、各分野それぞれに濃淡はあるとは思いますが、総じて非常に高い前向きな経済成長ぶりが確認されたと思います。

    次に金融部会のほうから、政治面ではいろいろとルーラ政権もスキャンダルが出て、かなり人気が低下して、政策運営にも影響を与えていると言う話しがありま した。その関連では、さきほど一寸言及がありましたように、中銀、あるいはブラジル銀行総裁の脱税問題なども問題になっております。こういう問題が起こる のはもちろん、今年が市長・市議選の年である、政治的な季節であると言うことも影響があると思いますし、それと同時にルーラ政権が1年目を経て、1年目は まぁ、いろいろご祝儀的なご意見があったと思いますが、本格的にそのルーラ政権の公約なり、政策なりがチェックされている事も影響していると思います。こ の点に関しては、今年とくに3、4月ぐらいまではいろいろな人と話をしていて、「ルーラさんの再選は難しいのではないか」と言うような意見を、わたしは、 新聞記者とか、あるいは学者の人たちから聞いておりました。もちろん、たまたま私が会った人がそういう意見の持ち主だったと言うことかも知れませんが、そ ういう意見が多かったと思います。

    他方、最近の報道を見ていると、ほぼ連日たとえば投資が すごくいい、雇用も非常にいい、貿易も好調だとか、そして、経済の前向きな面の報道が連日見られます。私は、ルーラさんの再選があるかどうか、もちろん現 在の段階では何んとも言えませんが、経済がどうなって行くかに大いに依存すると考えています。今年の前半まで、3、4月までは、「ルーラさんの再選は一寸 ない」という意見が多かったが、最近は「そうでもないのかな」、という感じもしております。

    第3点としては、次にコンサルタント部会長の桜井さんのほうから、日伯関係は今年の後半から暮れに向けて強化の兆しが見られるとご指摘がありました。私も それに同意します。まさに今年だけをとっても、3月にはブラジルから外務大臣が訪問していますし、5月にはルーラさんの中国訪問の後に農務大臣と大蔵大臣 も訪問しております。それからFiespのミッションも訪問しました。今日からはアウキミン知事が10日までの予定で訪日中です。 従いまして、日伯関係 の特にブラジル側からの働きかけは、これまで同様に非常にあると思います。それに反して、日本からはどうかと言うことですが、ブラジル側に見合ったような 要人、閣僚級の訪問はいまだありません。しかしながら、この最近2、3ヵ月だけでも、非常にたくさんの国会議員の方が来ておられますし、先々週には、農水 政務官も訪問して、こちらの農水次官とも会談されていますし、今月には衆議院の議員運営委員会の一行、武部元農水大臣をヘッドとする議員らが、奥様を含め れば20人近くがブラジルを訪問されます。さらにODA調査団という参議院の議員6名の方も訪問されます。従いまして、日本からも、こういった議員団が多 く訪問するのは、私は、ブラジルに対する関心の高まりを、もちろん、それぞれの目的は別個ではあっても、ブラジルへの関心の高まりの反映だと思っていま す。従いまして、ぜひともこの流れを、さらに助長をして行きたいと考えておりますし、私どもも何か出来ることがあれば、ぜひやりたいと思っております。

    そしてこの点に関連して、桜井コンサルタント部会長のほうからは、商工会議所の活性化への提言がありました。一言に言えば、よりアクション・オリエン ティッドな商工会議所を目指すと言う事だったと思います。もちろん、日ブラジル関係の活発化を見越して、そう言うふうな形の組織にして行くことは必要です し、そうじゃなくても組織自体、常に自らのあり方、あるいは役割をリバイズする、そのその結果に基づいて方針を立てて行くのは不可欠なことだと思いますの で、私もこういった動きを、歓迎したいと思います。これは今後、常任理事会で検討されると言うことですので、そのご意見に期待したいと思います。

    それから最後に、FTAの話しで若干皆さんからの言及もありましたが、ブラジル、あるいはメルコス-ルとEUとのFTA、あるいはFTAAですね。これについては最近、一寸見通しが余りよく分からなくなって来たというのが実情であろうと思います。
    当初は、EUとメルコス-ルの協定は10月が目標とか言われ、FTAAも年末までぐらいにと言われていましたが、どうもそこら辺の見通しがだいぶ先になるという感じがします。
    それに伴って、では日本とブラジルの、あるいは日本とメルコス-ルとのFTAはどうなるかと言いますと、5月ですか、こちらの商工会議所の中にある研究会 で出された提言を元に、日本のほうで経団連から政府に対して、「日伯、日メルコス-ルFTA結ぶべし」という提言が出されております。従いまして、それに 基づいて今すぐどうこう言う話しにはならないと思いますが、政府としても当然それを考慮に入れて今後のFTA戦略を練っていくと思います。

    最後に、先ほどから税金、労働、ブラジル・コストの問題が出ておりました。そういった、当面する問題をどうやって解決して行くのか、商工会議所でもどう言 うメカニズムで、ブラジル側に改善を問い掛けて行くのか、と言うことを改めて考えていく必要があるんじゃないかなと言う感じがいたします。これらの問題の 解決については、FTA締結を待つことなく、商工会議所と大使館、総領事館が協力してメカニズムを構築する必要があると考えます。以上、わたしの感想でご ざいます。

  • 講評 笹本一等書記官

    なかなか難しそう、政府の目玉「PPP」の分野

    笹本一等書記官 大使館の笹本でございます。私いつもブラジリアに住んでおりますので、こういった機会に皆様の生の声を聞かせて頂くのは、非常に貴重な機会でして、有難うございました。

    報告を聞かせて頂いて、だいぶブラジル経済に回復の兆しがあると言うことを確認できまして、非常に喜ばしいことだと思っています。
    先ほど出ていましたが、BRICSという言葉を造ったゴールドマン・サックスの予想によると、2004年の後半、ブラジルは4%台成長するという仮定があ りました。一方で、この成長は本当に長期的に続くかという懐疑的な見方もありました。とくに投資に対して、十分な資金の投入がなされていないと言う指摘が ありました。とくにロジスティックスですとか、エネルギーといった分野に対して投資が不足しており、これが将来の成長の妨げになりかねないと言う指摘が、 私が聞いた限りでも多々ありました。

    もちろん、それはブラジル政府も重々承知しており、 最近、PPPと称する民間の活力を利用したロジスティックス、あるいはエネルギーといった分野でのプログラムへの投資を非常に積極的に呼びかけていまし て、さきごろルーラ大統領もニューヨーク訪問のさい、ぜひブラジルに投資して欲しいと呼びかけておりました。
    しかし、本当にブラジルに投資して収益があるのかと冷ややかな目もあったと言うこともあり、なかなかPPPの分野も、それほど簡単ではないと言うようにも思えます。

    ただ、先ほどお話が出ましたエタノールにしても、あるいはこういったインフラの投資にしましても、ある意味では、これをうまく活用すれば、日伯関係の強化 につながる。ブラジル経済の成長にもつながりますし、日系企業のビジネスチャンスも広がるという点では、今後いかにして日伯経済関係の強化につなげて行く かという工夫が必要ではないかと思っております。

    また、再三出ておりました税制、Cofinsの問題。これはブラジル全体の問題ですので、日系 企業、あるいは、日本だけが言ってどうにかなる問題ではないが、マナウスの税制の問題となると、これは非常に日系企業が大きな影響を受ける点では日本に とっても非常に関心の高い事項ですので、こういった点に関しては大使館のほうにご相談いただければと思っております。以上です。

  • 閉会の言葉 多田企画戦略委員長


    多田企画戦略委員長

     

    多田 今日は皆さん、3時間半以上にわたって、どうもご苦労さまでございました。今回、総務委員会と企画戦略委員会の共催と言うことですが、わたくし7月からこの 企画戦略委員会の委員長をおおせつかったと言うことで、実質なにもしておりませんで、浅賀さん、及び浅賀さんの下で副委員長をやっていらっしゃる秋山さん や皆さん、あと事務局長の平田さん、事務局の皆さんにお世話になったという状況でございます。

    今日は皆さん、3時間半以上にわたって、どうもご苦労さまでございました。今回、総務委員会と企画戦略委員会の共催と言うことですが、わたくし7月からこの 企画戦略委員会の委員長をおおせつかったと言うことで、実質なにもしておりませんで、浅賀さん、及び浅賀さんの下で副委員長をやっていらっしゃる秋山さん や皆さん、あと事務局長の平田さん、事務局の皆さんにお世話になったという状況でございます。

    前回、初めて出させて頂いて、今回これで2回目ですが、前回は日本企業の皆さん、かなり明暗が分かれていて、明のほうは輸出関連とか、一部、自動車関連とか だったと思うんですが、ここに来て、ま、半年経ったところで、相当明るい業界、ほとんどが明るい業界に変わって来たと。ま、一部、食品とかまだ苦しいとこ ろありますが、今後、明るくなっていく兆しも見えると言うことなので、ま、良かったんじゃないかと思います。

    今回いろいろ問題提起がされております、最初に桜井さんから商工会議所の活性化と言うことで相当大きな問題がドンと投げられたわけですが、これ以外にもマ ナウスでの問題、あるいは一般に言われるブラジルコスト、とくに最近ではインフラとか、そういった問題も指摘されておりますので、商工会議所として、どう 取り上げて何ができるかって言うのはまぁ、あるんですが、その辺はこれから常任理事会等で議論されていく問題だろうと言うふうに思います。

    最後 になりましたけれども、今回、石田総領事、それから笹本一等書記官、どうも出席ありがとうございます。それから今回、会場を提供いただきました南米安田保 険の遠藤さん、ありがとうございます。商工会議所の事務局の皆さん、それから副会長、とくに浅賀さんは、実はまだ病気でご療養中なんですが、この会議のた めだけに特別に出てきておられますので、どうもご苦労さまでした。

2004年上期業種別部会長懇談会

04年上期の部会長懇談会は、2月5日午後3時~6時30分まで安田保険講堂で開催された。

今回は総務委員会(浅賀健一委員長)と企画戦略委員会(坂野正典委員長)の共催で行われ、浅賀委員長が司会役。

11部会からそれぞれ部会長、あるいは副部会長が「ブラジル経済の03年下期回顧、04年上期展望」を主題に、各部会の活動計画、あるいは日伯FTA等の副題で発表をおこなった。

質疑応答の活発さが目立った(巻末に懇談会寸描)。

 

発表順:

司会  浅賀健一 総務委員長(日本スチール)

挨拶 田中 信 会頭(リベルコン・ビジネス)

コンサルタント部会 桜井悌司 部会長(ジエトロ・サンパウロ)

金融部会 村田俊典 副部会長(ブラデスコ銀行)

貿易部会 中村純一 部会長(ブラジル丸紅)

化学部会 板垣義実 部会長(スリーボンド)

機械金属 松永和彦 部会長(日立製作所)

繊維部会 福島良和 部会長(ブラジル鐘紡)

自動車部会 新沼正広 副部会長(ブリヂストーン)

運輸サービス部会 横山幹雄 部会長(JAL サンパウロ)

建設不動産部会 清水邦保 部会長(竹中工務店)

電気電子部会  盤若幸男 副部会長(NEC ド・ブラジル)

食品部会 渡辺英明 部会長(東山農産加工)

同席者 坂野企画戦略委員長(ブラジル住友商事)、赤嶺総務副委員長(ソール・ナセンテ人材銀行)、石田総領事。


浅賀司会


坂野企画戦略委員長


左から赤嶺総務副委員長、坂野企画戦略委員長、浅賀総務委員長(司会)


桜井部会長(コンサルタント)、村田副部会長(金融)、中村部会長(貿易)、板垣部会長(化学品)、松永部会長(機械金属)、福島部会長(繊維)


左から渡辺部会長(食品)、盤若副部会長(電気電子)、清水部会長(建設不動産)、横山部会長(運輸サービス)、新沼副部会長(自動車)


桜井部会長(コンサルタント)、村田副部会長(金融)、中村部会長(貿易)

 

  • 司会 浅賀健一 総務委員長(日本スチール)


    浅賀司会

    始めさせて頂きます。今日は皆様、お忙しいところをお集まり頂きましてまことに有難うございます。わたくし総務委員長の浅賀と申します。

    今回の部会長懇談会は、お隣りの坂野さんの企画戦略委員会と総務委員会共催でやらせて頂くことになりました。
    まぁ、今日の話し合いの中から共通のテーマなり、横断的な課題がうまく汲み取れれば、今後の我々の委員会活動、部会活動に生かしていきたいと二人で相談して、今回から共催とさせて頂きました。

    今日11部会の発表を頂きますが、部会の数が多いこと、前半ゆっくりですと、どうしても後半の方に押してきますので、いつも順番の遅い方が、なんとなく割 愛してポイントだけみたいな感じになりますので、今回は、持ち時間を少し厳しめにと、厳格な赤嶺副委員長を、時計係りにお願いしまして・・・(笑)。
    要領としましては、お一人当たり持ち時間10分。その後、その部会発表に関する質疑応答の時間5分、1部会当たり10分+5分の割り振りになっておりま す。10分の前の8分ぐらいに、注意を喚起するかねの音が"チ-ン"と来ますので、そろそろまとめる方向で話を進めて頂きたい。また、この調子では15分 たっても終わりそうもない時は、"伝家の宝刀"の「レッドカード」を用意していますので(笑)。レッドカードが出たら容赦なくその場で話を打ち切らせて頂 く。イエローカードはありませんのでくれぐれもご注意頂きたいという風に思います。

    それから、今回は発表者の方々に、年末年始の非常にタイトな 中で準備をして頂き、大変ご負担をかけたと思います。昨年2月の部会長懇談会は10日間ぐらい余裕があったが、今回は年明けすぐに部会を開いてまとめると 言うことで、各部会長さんは大変だったと思います。今回は非常にそういうタイトな中でやって頂くという事で、あまりいろいろお願いできなかったが次回、今 度の秋、秋というか8月にやる時は、パワーポイントぐらい用意したいと。で、話の目次というか、項目程度は聞く方に見て頂きながら話をする。そんなことも 考えておりますので、出来ましたら、お話されるポイントを、聞いておられる方が分かるような感じでですね、お話をして頂けたらという風に思います。

    それから、お話を進める順番は、コンサルタント、金融部会の方から繊維の福島さんの6組まで行ってコーヒーブレイクと。コーヒーブレイクの後は自動車から 始まって最後は"不況知らず"食品部会の渡辺さんのところで景気良く締めて頂きたいと(笑)。ま、こんな風に考えておりますので、よろしくお願いいたします。

    それでは、会頭のご挨拶を頂いてから発表会に入りたいと思います。会頭よろしくお願いします。

  • 挨拶 田中 信 会頭(リベルコン・ビジネス)

    快晴の空に一点の暗雲 - ブラジル経済 -


    田中会頭挨拶

     

    田中でございます。簡単にご挨拶をさせて頂きます。

    本 日は、当会議所のメインイベントの一つ部会長懇談会「2003年の回顧と2004年の展望」に多数ご出席頂き、まことに有難うございました。特に総領事館 からは、石田総領事以下関係者の方々、さらにブラジリアの日本大使館からもわざわざ、笹本一等書記官にご参加いただいております。

    この懇談会は 1970年代、日本企業のブラジル進出ブームの時代に開始され、年初と年央の2回、毎年実施され、すでに約30年の歴史を有しております。当初はコンサル タント部会主催で、その後、総務委員会主催となり、本年は今、ご紹介がありましたように、総務および企画戦略両委員会の主催となり、年々発展を続けており ます。

    当初からブラジルの日系企業はもちろん、日本企業本社、日本の大学や研究機関、関係官庁などから注目を集めてきました。ジェットコース ターのように変動が激しいといわれるブラジルの政治経済情勢において、指針とする正確な情報が少ないこともあり、懇談会における分析や見通しは信頼すべき ものの一つとして尊重されて来たと考えます。さらに、自分の業界以外、他業界の動向も分かり経営上大変参考になると思います。

    しかし、経済予測は難しいもの、ある意味では、極めて当然のことと言えましょう。見通しが100%的中すれば、予測の意味がなくなります。儲かる人ばかりになるわけですね。

    本年のブラジル経済も、昨年から本年1月までは、楽観的見通しが支配して参りましたが、つい先週、アメリカの金利引き上げ懸念やブラジルのインフレ再燃警戒などから株式が下落、ドルやカントリーリスク上昇などで、快晴の空に一点の暗雲が現れた感じです。

    大事なことは、結果自体の予測よりは、それにいたるプロセスにおける分析や問題点の認識などが重要ではないかと思います。

    ブラジル事典についてお願い

    次にこの場を借りて、近く日本で発刊予定の『ブラジル事典』についてお礼と若干のお願いをさせて頂きます。この事典は全員参加で、産業や法律部門などを会 員各位に分担、執筆頂き、一部コロニアの専門家のご協力も頂き、現在日本で校正、編集が進められております。前回、10年前にも『ブラジル経済事典』を出 しておりますが、この場合は、産業や法律だけではなく、全編を会員が担当して、編集もブラジルで行い、日本では印刷、出版だけを行いました。今回は日本側 一流のブラジル研究家の方々、例えば三田先生、西島先生、西沢先生、小池先生等々が、ボランティアでそれぞれの専門分野を執筆して下さり、校正、編集、全 般統括、出版元との接渉なども、小池洋一拓殖大学教授が非常な情熱を持って、全部引き受け下さっております。各自分担分のうち、校正が必要とされる分が皆 さんのところに送られております。ご多忙中とは存じますが、10年に1度の当会議所のイベントを成功させるため、追い込み段階に入った事典出版にさらなる ご協力をお願いします。 最後に、本日の懇談会のために例年同様、立派な会場を提供下さった安田保険の遠藤社長以下関係者の皆様に厚くお礼を申し上げて、 わたくしの挨拶を終わりたいと思います。

    司会: 皆さんの発表が終わった後は、最後の締めとしまして、石田総領事のほうからご講評を頂くことになっておりますので、よろしくお願いします。それではコンサルタント部会の桜井さん、よろしくお願いします。

  • コンサルタント部会 桜井悌司 部会長(ジエトロ・サンパウロ)

     

    大きく変わったブラジル - 輸出振興、見本市会場等

    桜井:
    コンサルタント部会長を命じられましたジェトロの桜井でございます。本日は3つのテーマについてお話させて頂きます。最初は「ブラジルは変わったか、ある いは変わりつつあるか」。2番目は「ルーラの2年目の課題」。それから3番目はそれを受けて、「コンサルタント部会が本年度どう言う展開をするのか」で す。

    最初の、「ブラジルが変わりつつあるのか、あるいは変わったか」。わたしは着任以来3カ月経ちますが、この3カ月の間にブラジルの 輸出振興政策はどういう感じになっているのか、あるいは、ブラジルの外資誘致政策はどういう形になっているのか、に関心を持ち、ブラジリアやリオに行って いろいろ調べ、その結果、「相当変わった」という印象を受けました。それを一つずつ説明させて頂きたいと思います。
    組織面からは例えば輸出振興 を取り上げますと、1998年にAPEXという輸出振興庁ができました。取材していて、非常によくがんばっているとの印象を受けました。2000年の11 月にはECT(郵便公社)が小額の輸出のため、輸出簡素化のExporta Facilを導入しております。2002年には、ブラジルも輸出保険が必要と あってSBCEというブラジル輸出保険会社を設立しております。
    外資誘致政策では2002年に、商工会議所とも関係が深い官民合同のInveste Brasilをつくっております。それから見本市の会場。見本市は輸出輸入振興に大きな役割を担っており、有効な手段ですが、わたくし見本市会場について調べました。
    従来は非常に大きな、面積66,800平米ぐらいの「アニェンビー」だけでした。- 東京ビッグサイトは80,000です -。それまで「アニェンビー」 だけだったのが、93年には「センターノルテ」ができ、驚くべきことに98年から2001年まで、「ITMエクスポ」、「トランスアメリカ」、それから 「イミグランテ」の拡張工事を含め、24,000から40,000平米の大きな展示場が続々できました。97年から98年は、世界的金融危機があったが、 我々はそれ以降の世界は、これは韓国、中国、どこでもそうですが、全く別物であると発想する事が必要という気がします。

    ルーラ大統領の海外訪問はミッション同行
    メルコスール・ミッションも4カ国共同歩調で

    それからポイントの2。仕事についても結構ブラジルは、組織立ってやっている。継続性が出てきたとか、あるいはコストパフォーマンスについて相当力を入れて きた、周到な準備もするようになった。具体例ですと、ルーラ大統領が海外訪問にミッションを同行させています。昨年は23回行いました。アフリカには 150名、中東は150名、インドは50名強一緒に財界人が行っている。従来であれば、ゾロゾロついて行くという感じでしたが、今は相当事前に準備してい る。APEXの総裁とのインタビューでは、インドについては5回、事前に調査団を出しているとの事でした。
    わたし、1月中旬にコロンビアの国際繊維見本市を見に行きましたが、そこではラジルがすごく大きな場所を占めている。カタログも事前にすごく立派なものを作っております。

    3 番目のポイントは連携業務がうまくなった。在日ブラジル大使館も昔と比べて相当働くようになっているし、驚くべきことは最近メルコス-ル4カ国の共同歩調 が見られる事です。例えば2000年12月に専門会議が設立され、2002年には南アフリカへ共同ミッションを出しています。ベルリンに初めて共同貿易促 進センターと言う、展示場付きの事務所を構えています。さらに2003年にはドイツの食品見本市参加、メキシコへの共同ミッション派遣。これは大成功を遂 げたとの事です。
    2004年、今年はルーラ大統領がインドを訪問し、その時はメルコス-ルの代表団も参加しています。さらにベルリンでの展示会、 韓国のソウルでのソウルフーズという食品の見本市、これにもジョイントで参加する計画です。それからルーラ大統領の中国行きの時には、大々的な4カ国のメ ルコス-ル・プレゼンテーションをします。これはまだ交渉中ですが、上海に、ベルリンに次ぐメルコス-ル共同貿易促進センター設立を計画していると言うこ とであります。

    日本にブラジルの新風を吹かせるには

    個人的に考えるのですが、次に日本にブラジルの新風を吹かせるにはどうすればいいかについての提案ですが、日本の企業は中国、東アジアへ一生懸命向いていて、ブラジルとか中南米にはあまり関心を払っていない。では我々はどうすべきかを考えたところ、いくつかあります。
    まずブラジルの変化を読み取る。2番目はブラジルの新しい側面を理解すること。これはすなわち「技術の国ブラジル」。これをしっかり我々は把握しなくては と思います。それから、ここが重要なのですが、駐在員あるいはコロニアの皆様全体が、日常的にしつこく計画的にブラジルの将来性、重要性を日本とか本社に 訴えること、情報発信をすること。従来は東京が悪いという話に終始するのですが、「本社、東京の責任にしない」というのが非常に重要かなと思います。
    さらに我々自身も少し変身しないとダメなのかなと思っていまして、あの〃ブラきち〃、ブラジルきちがいってよく言われますが、その〃ブラきちアンチーゴ(古い)〃から〃ブラ好きノーヴォ(新しい)〃に我々変身すべきというのがわたしの意見です。
    では〃ブラきちアンチーゴ〃とは一体どういう人かと言いますと、ブラジルが大好きで、まぁなんでもアバタもエクボになってしまう。それから昔のブラジルに固執する。そして人にバランス良くブラジルを紹介する努力を、理解してもらう努力をしない。自分だけで納得する。
    これはわたしが勝手に描いた〃ブラきちアンチーゴ〃ですが、では〃ブラ好きノーヴォ〃はどうかと言いますと、ブラジルをバランス良く見る。それから昔のブ ラジルに関わらず、最近の変化を読み取れると言うことです。それからダイナミックに変化するブラジルの新しい姿を正確に日本、本社、他人にねばり強く伝え ることができると、そういうことが必要です。
    古い進出方法を見ますと、とにかく進出して、「小さく生んで大きく育てる」。それで〃ブラきち〃を 送るというのが、昔の方針かなと思います。これに反して新しい進出方針は、世界とブラジル市場を十分にリサーチし、適切なスケールで、最適の人材を派遣す るというのが必要であります。

    ブラジル本年の課題は3.5%の経済成長

    ブラジルの本年の課題としては経済面では、やはり3.5%と言われている経済成長を遂げる。それから失業率の減少、飢餓ゼロ運動の本格的取組み、外国直接投資の増加、国内設備投資の拡大が必要です。
    政治面ではルーラ政権の支持率の維持、全国市長、市議選挙が10月にありますが、これにルーラが勝つかどうか。それからさらに重要法案の税制改革、司法改革、労働組合など目白押しにあるんですが、彼の支持率の高さを利用していろいろ頑張ってもらいたい。
    わたしは今年は、日本とブラジルの関係が面白くなりそうという意識を持っています。それはまず1つは要人の往来。ルーラ大統領が訪日するかは分かりません が、訪日の可能性もあると考えられます。それからアルキミン知事が4月に行きます。それからアモリン外相も日本に行く可能性が高い。それから小泉総理、川 口外務大臣が訪伯すると。まぁ、それによって、いろんな鶏肉とかアルコール等の現実の進展が出るかもしれないし、FTAも進展するかも知れない。

    セミナーなど会員に役立つイベントを

    最後に、じゃそれを受けて、コンサルタント部会は一体何をするかですが、3つのことをやりたいと思っています。
    1つは、基本的な認識としては商工会議所の会員のお役に立つということをやりたいと考えていまして、まず1つはセミナーの実施。年間6回から7回セミナー をやりたいと思います。第1回から第2回、第4回まではもう講師と大体の時期が決まっております。それで第1回は2月12日に「ブラジルにおける見本市ビ ジネスの動向」ということで、わたしがやるんですが、その他にはアーンストヤングの牧野さん、遠山コミュニケーションの遠山さん、それからヤコンの山下さ ん。この当たりがもう決まっており、それ以外にも後3、4回やりたいと言うことであります。
    最後に後2つ。コンサルタント部会の会員である調 査、PR会社、会計事務所等の「ダイレクトリー」を作製したいと考えています。これはサンパウロの日系、ブラジル系の調査、コンサルタント、PR会社等が コンサルタント部会に入っているが、一体どこの会社がどういう形でやっているのか分からないので、一応ダイレクトリーを作ろうかということであります。
    それから「進出企業現地化実態調査」というのをやらせて頂きたいと思っています。これは3年ごとに日本の進出企業がどの程度の現地化を図っているかを調査するということです。
    まぁ、こういうことをやりたいと思っておりますので、その予算配賦をよろしくお願いしたいと言うことと、それから今日お帰りに当方で作りました「ブラジル最新事情」を読んで頂いてコメント等ありましたら、いろいろ教えて頂きたいということであります。以上でございます。

    司会:
    非常に分かりやすい、具体的な数字、回数、人数が出てきました。我々も新聞をいつも流し読みしていて気に止めていなかったような事を、まとめてお話頂きましてありがとうございました。
    最初にいきなり「質問は?」と言われてもしにくいと思いますが、どなたかご質問がありましたら、桜井さんに。
    それでは、この後また金融部会のほうでマクロの話が出てくると思いますので、その時いっしょにご質問を受ける事にしたいと思いますので、金融部会の村田さん、よろしくお願い致します。

  • 金融部会 村田俊典 副部会長(ブラデスコ銀行)

    ルーラ政権、順調なスタートを切った1年

    村田:
    金融部会の副部会長をしております村田でございます。これから説明するものはエッセンスですので、基本的には商工会議所のホームページのほうに、その辺り 皆さん会社でお使いになられるように内容をきちんとしたものを貼り付けます。原稿もまとまっているものがございますので、後でそれをご覧頂ければと思いま す。
    それでは2003年の回顧から申し上げたいと思います。パート1はマクロ経済、パート2は保険業界について。それからパート3は、金融部会の出しています2004年度の為替・金利予測ということでお話したいと思います。
    まず2003年ですが、ルーラ政権は左翼政権の誕生という非常な不安から始まったんですが、順調なスタートを切った一年と言えると思います。最初にやったのはIMFの支援を継続させるためにオーソドックスな経済運営をして行くことを内外にアピールしたということ。
    為替相場はレアル高傾向で安定し、インフレも沈静化してきた。今後さらに低下の余地も生まれているということです。
    結果、株式市場も2003年は大きく上昇し、ブラジルのリスク指標となってるEMBIというのは470ポイント割れ。C-Bondも98%を超えると言うところまで行って、数字から見て非常な改善がなされた年だと思います。

    諸改革法案を成立させた03年
    04年は社会の要求がポイント

    政 治面では重要な課題であった社会年金改革それから税制改正、この辺になんとか目処をつけることができた年であると。特に社会年金改革は、大幅な年金財政の 改造、後は官民の不公平是正を目的としてなんとか12月に上院本会議を通過させていますし、税制改革はいろいろと利害関係が多域にわたることで難航もして おりますが、とりあえず2004年のプライマリー収支を達成するためと、税制改革を3段階に分けて、財政源必須の項目、えー、CPMFとかDRUを第1段 階として、ICMS等の改正は2005年以降とした改正案を12月土壇場で成立させています。
    こういうことで、ルーラ政権は安易なポピュリズミングに流されることなく、地道な構造改革を優先させてきております。
    一方では、過去のルーラを支えたPT党員の中での不満だとか、それから1年間、あの高金利で我慢した社会の要求あたりが2004年にどうやって出てくるかが今後のポイントだと思います。
    経済全般に関しては、先ほど簡単な指標も申し上げましたが、マーケットは非常に回復しています。
    2003年の特筆すべき事項としては記録的な貿易黒字が挙げられると思います。過去最高、通年では248億ドル。黒字額では世界でも10位以内ですし、経 常収支も1992年以来、初の黒字転換をしています。30億ドルと非常に小さいが、黒字になったと言うことで数字は改善しています。

    地場銀好調、外銀苦戦の03年
    経済は04年に金利低下で回復期待

    それから農作物も輸出が非常に進んだ年で、輸出総額730億ドルの貿易の中でも非常に成長の割合がすごかったのが農作物です。特に中国向け輸出が大きくなって、一方で日本向けは後退しています。
    銀行業界に関して言うと、利鞘を確保した地場大手銀行が非常に好業績を上げております。そろそろ決算が発表になると思いますが、恐らく15%、20%増の 収益が達成されている銀行が多いと思います。一方で外銀はレアル高による為替ヘッジ取引の損失やカントリーリスクの親銀行の慎重な見方もあり、苦戦を強い られており、2000年に占めていた外銀の28%のシェアもだんだん低下して来て、非常に外銀は苦戦していると言えると思います。
    2004年に 関しては、抑制的な財政運営の緩和にたぶん重点をおいて雇用回復、景気の浮揚を図って行くという風に考えられると思います。また、10月のいわゆる市長選 挙織り込みで、政府としては貧困問題、所得の再分配、土地制度改革、社会福祉問題をいろいろと既得権益層との駆け引きによって譲歩したりしながら行くと全 体的な運営を見ています。
    経済成長率は、金利低下により内需回復が景気を刺激して、2004年は3%台に回復すると見込まれています。

    今年末為替は3.2レアル辺り
    selic金利は13~14%見当

    それから皆さんがあの一番気に掛かると思いますレアルの対ドル相場動向は国内景気、それから貿易収支、外貨資金繰り、米国金利動向の4点がおそらく注目になってくると思います。
    ただ、2004年は、2003年がレアル高にぐっと進んだ反動もあり、緩やかなレアル安傾向になる向きが大きいと言うことで、市場関係者の大方は年末1ドル3.2レアル辺りを見込んでいると思います。
    金利はまぁ徐々に引き下げられ、Selic金利は大体13から14%という見通しが多い。
    貿易黒字は、内需が回復し輸入が増えて、去年よりも減少して200億ドルぐらいの着地となり、経常収支はまだ少し赤字に転落すると思いますが、対GDP比レベルでは問題のないところに着地すると思います。
    直投は民営化等いろいろとあった過去の300億ドルとかのピークを2003年度は100億ドル割れと言うとこまで落ち込んだが、2004年度はやや回復して120億ドル程度の直投が見込まれております。
    銀行業界は貸出しのポートフォリオを一斉に積み上げるぞと。それから金利が下がりますから、この部分の収益拡大を目指すことでかなり貸出運営に重きがおかれると思いますので、比較的そういう意味では、貸出競争も起こって来るのかなぁと思っております。
    マクロのおさらいをざっと、それから展望を申し上げました。

    昨年保険料収入は13%増

    保険業界を次に簡単に説明しますが、保険業界の収入保険料は対前年比で13%の増加。済成長率を大きく上回って市場は非常に拡大したと言えると思います。
    種目別には生命保険が64%増と突出増加しております。これは年金払い型商品で、VGBLというのがありまして、一括払い型のまぁ、税金を先延ばし出来るという商品ですが、これ67%の達成ということで、非常に貢献してます。
    あと、事業収益の中では損害率が上がって、保険業界の収入は金利が減少し運用益が減った事もあって、やや減少していると言うことです。
    2004年の展望は、保険業界では12%の増加を予測してます。それから内部監査体制って言うので、いろいろ昨今話題になってる自動車保険の全損処理辺り をですね、問題がありまして、臨店検査が入るということで、その辺り、非常に検査が厳しくなったらですね、業界大変に拍車がかかる可能性があるということ です。

    金利、為替予測 - 6月末と12月末

    最後にパート3として、わたしども4行、1コヘトーラ(ブローカー)が金利予測、為替予測をしておりまして、これも表にして後で貼り付けますのでざっと聞いて頂ければ。
    為替の6月末の予測は、一番低いところがレアル高のとこは2.6~2.9のゾーン、大体平均で2.75レアルぐらいですが、その予測をされてる銀行から、一番レアル安が3.25。後は3の近辺、3.0いくつと言う辺りです。
    12月末の予測は、一番レアル高が同じく2.75ぐらいのゾーンで、レアル安が3.45。平均でいくと3.1前後のところです。
    金利は6月末はほぼ15%台。ほとんどのところが大体15%の予測でして、12月末が13から14%の間となっています。
    この中でキーワードになるものに、やはりどこの銀行さんもドル、金利の上昇を挙げてらっしゃいます。ドル、金利が上昇するとこの前、FMCが一寸コメント 出して上がるかも知れないみたいな事を言っていますが、それによってかなりレアルが安くなる局面が来るであろうと言うことがポイントだと思います。
    後はインフレ目標を達成できるか、インフレが再燃するかどうか辺りが金利の動向に、関わって来ると言うことです。

    司会:
    どうもありがとうございました。村田さんからもご紹介ありましたように、カマラ(商工会議所)のホームページを見て頂きますと、前回の部会長懇談会、今回 も、いずれ整理できましたら、ホームページに載ります、まとまった資料で出ますので、是非ご利用頂きたいと思います。はい、どうぞ。

    中銀のドル買いの真意はどこに

    渡辺:
    中銀が年明け早々ドル買いで介入して来ましたが、表向きは外貨準備高増という理由を言っています。なんか非常に唐突な感じで、今ひとつ理解できないんですが、あの真意は何だったんでしょうね?
    村田:
    中銀の真意が分かれば非常に・・・・・・と思いますが、えー、ここはちょっと。
    渡辺:
    銀行としてはどういう見方をしたんですか? あのドル買いに関しては。
    村田:
    ド ル買いに関しては、まぁ貿易収支辺りの懸念がありますから、適正なレベルまで持って行きたいというのが多分マーケットの統一された見方だとは思いますけど も、足下、やっぱりこうレアルが弱くなって来ているのは、やはりそのインフレ懸念と。先ほど田中会頭おっしゃいましたがアメリカ連銀の金利を上げるオプ ションを持っていると言うような感じのコメント内容ですね。まぁ、レートに影響していると言うことで、エマージングそのものが売られていますから、そう言 うことで動いていると思いますけども。中銀が本当にどう動いたと言うところまでは、一寸わたしも存じ上げません。申し訳ないです。
    大手銀の利鞘ゆえ、多少の利下げでは内需回復は困難では
    坂野:
    金 利ついて質問があります。現在市場では基本金利Selicだけが騒がれていますが、現実の問題は国内大手銀行の中小企業及び個人に対するスプレッド(利 鞘)の幅が大きすぎるということではないですか? 多少のSelicの切り下げをやっても内需はそんなに回復しないのでは? それと国内大手銀行のスプ レッドはこれほど必要かどうか? 貸し倒れ比率が高いという理由はわかるが、現実に御行を含め大手銀行はかなりの利益を上げている。GDPが0.5%以下 の状況下で大手銀行が前年比15-20%アップの利益を上げている現状を見るに、やはり銀行の金利が高すぎるという気もしますがいかがですか?

    利鞘にデコボコあるが、セグメントでは適正
    以前もっと高い時期あり今低下 - 指標で景気回復見てとれよう

    村田:
    ご 希望にお答え出来るかどうか分かりませんが、説明したいと思います。最初のSelic金利だけ下げても内需が強くならないんじゃないかと言うことに関しま しては、我々そのCDIの先物金利ということで1つ指標 があるんですけど、これとマーケットでプラクティスされているリスクプレミアムを乗せた数字の比較があるのですが、それを見る限りは、いわゆるピーク時に はもっともっと高い、いわゆるスプレッドを、リスクプレミアムを乗せて銀行は貸出運営をしていましたし、当然あの、いわゆるリザーブ・リグアイアメントが 引き上げられた時期に関しては、流動預金から上がってくる収益を確保しなきゃいけないと言うことで、金利をさらに上げている時期も以前、03年にはござい ます。それから行くとですね、いま足下のその指標は大分下がっておりますので、その指標を見れば景気は緩やかに回復するだろうというロジックは見てとれる と思います。
    次のご質問の、何故そこまで貸出金スプレッドが引き上げられなければいけないかに関しましては、やはり先ほどおっしゃった引当率が非 常に高いと言うことが1つ大きな原因です。これはあの、いわゆる大型の、大手企業の貸出に関しては、ま、そこそこの数字や利鞘でやっておりますが個人のい わゆるシェッケ・エスペシアルとかいわれる部分、この辺り非常に高い。これは、あの、返せない人も多いマーケットでですね、それなりの確率、引当と利鞘を 確保するというのは仕方がない。だから全体でいくと非常に高いけども、セグメントをとって見ると適正なスプレッド運用がなされているのではないかと言う風 に考えております。例えば、消費者ローン、あの消費者のマーケットでも、例えば車のリースだとか、車購入のための貸出、この辺はぐっと利鞘も小さく運用し てますんで、この辺はその目的によって大分違うと言うことで。銀行サイドからいくと適正であるというのが(笑)お答えになろうかと思います。

    Selic便乗値上げ、玉突き現象が心配だが

    二宮社長(東洋紡ブラジル):
    あ の、以前のインフレの話ですけども、あの例のCofinsね。我々のとこで2月にすでにですね、買うものにはどんどん、4%から5%、ひどいとこは7%も 値上げして売ってきているんですよね。で、我々の方もそれではもう経営が成り立ちませんから、もうどんどん先に同じようなパーセンテージで、前にどんどん 押して行ってるんですよ。わたしのはまぁ、大変に小さい会社ですから、それ自体が与える影響なんて知れてるんだけども、各社全部が同じような方向へ走り始 めた時に2004年のインフレに対するインパクトは大変に大きいんじゃないかと思うんですよね。一応まぁ、仕事上必要なので、それが一体今後、玉突き現象 でどんな現象が起こって来るのかに関していま、一生懸命いろんな雑誌とか新聞とか読んで勉強する姿勢できてないんだけど、姿勢としては、そういう形でいま 見てるんですよ。で、それに対するご専門家のご意見を1つ、簡単に、わたしでも分かるように1つ教えてもらいたい。以上です。

    中銀は心得て利上げもあり得ると市場に警告

    村田:
    マー ケットでは、実は12月ぐらいから1月になったら、そのいわゆる税制改正のインパクトもあって、玉突きでその値上げが起こるんじゃないかと心配をしていま した。従いまして、非常にインフレに関する1月というのはビビットになっていたと。これは中銀も同じように感じていましたし、エコノミスト辺りもどんな風 に中銀が動いてくるのか、この影響をどう考えるのかを注目していました。従ってこの前ですね、トントンと下がってきたやつを下げませんでしたから、 Copomはですね。この辺りでやはり、危機感をマーケットに流して、「ちゃんとその辺は分かっておる」と言うことのメッセージ出したと言うことが、1つ はよかったのではないかと思っております。従ってその玉突きがどれぐらい、悪影響を及ぼすかというのは分かりませんけども、及ぼす前に逆に金利上げなきゃ いけなければ、中銀は金利を上げてくると。「いまは下がっているけども逆にしてもいいよ」というぐらいの覚悟がこの前のCopomの決議だったと思ってお ります。
    二宮:インフレが起これば金利を上げてくるということか?

    村田:
    そうですね。中銀はそれしかないというか、それをまず最初にやってくると思います。

    司 会:
    お金の話になると俄然盛り上がりまして(笑)、いい感じになって来たんですけども。この後、鶏肉の話も含めて貿易部会の中村さんのほうからお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

  • 貿易部会 中村純一 部会長(ブラジル丸紅)

     

    03年貿易黒字、国際収支好転に貢献

    中村:
    中村と申します。貿易部会より発表させて頂きます。貿易部会では「2003年の回顧と2004年の展望」というレポートと、それとジェトロさんの協力を頂 きまして3種類の統計資料を準備してあります。1つは、ブラジルの主要商品別輸出入統計、それから2つ目は、主要国別輸出入統計で、これは特にブラジルの 対中国貿易についてハイライトをしてあります。3つ目としては、対日の主要商品別輸出入統計を準備しておりますので、後ほどご参照頂ければと思います。
    ではまず、昨年の貿易の回顧についてですが、一言で言えば、昨年の貿易収支はルーラ政権と同様に当初の見通しと異なり、ポジティブ・サプライズとなって、 過去の最高記録である196億ドルを大幅に超えて248億ドルの史上最高の黒字を計上しました。結果的に、ブラジルの国際収支に大きく貢献したと言うこと がいえます。
    その要因としましては、旺盛な外需により輸出が大幅に増加したこと。それから国内の景気が停滞していることもあり、輸入があまり増えなかった結果であるということが言えると思います。

    航空機にとって代わった自動車輸出

    昨年の輸出につきましては、品目別には、大豆、鉄鉱石などの一次産品、それからパルプ、スラブなどの半製品が大幅に増えています。完成品では自動車の輸出が伸びており、一昨年1位であった航空機を抜いて自動車の輸出が第1位となっています。
    輸出相手国別では、アメリカ、アルゼンチン、中国となっています。特に注目すべきは、東欧、アフリカ、中東などへの輸出が軒並み増加している事であります。
    一方、輸入につきましては、資本財、消費財などの輸入が減っています。一部原材料、それから中間材料が、昨年より増えてはいるものの、輸入全体としては、微増に留まりました。
    対日貿易につきましては、輸出輸入ともに増加しておりますが、輸出で、第6位、輸入で第4位という風になっております。今後日本とブラジル間のさらなる経済交流の拡大が期待されるところであると思います。

    今年は196億ドルの貿易黒字予想

    2004 年度の展望では、中央銀行の見通しとしましては、750億ドルの輸出、560億ドルの輸入。貿易黒字が196億ドル程度という風になっております。これは 世界経済が回復基調にあるなかで、輸出は緩やかながら増加ペースにある事と、輸入については、国内経済の回復が見込まれること、それからルーラ政権が2年 目に入りまして、政権運営の基軸を「経済開発と雇用創出」に移しまして、GDPの3.5%成長を目指して、何らかの景気の刺激対策がとられるであろうと言 うところからでございます。
    対日貿易につきましては、特に昨年末の米国の、BSEの問題。それから今年の1月に始まりましたアジア各国での鳥インフルエンザの問題で、ブラジルが脚光を浴び初めております。

    鳥インフルエンザ騒ぎ、ブラジル国名がひんぱんに日本のTV、新聞に

    最 近のNHKのテレビ・ニュース、日本の新聞などでも、ブラジルの名前がひんぱんに出てくるようになりまして、わたしどもとしては、極めて喜ばしい限りであ るという風に思っております。ちなみに、内輪の話で恐縮ですが、昨年、1月から12月、1年間の鶏の対日輸出量は1200トン程度であったんですが、今年 の1月だけですでに2000トン程度を成約しておりまして、この2000トンというのは向こう3カ月間分の出荷量で、アジアの鳥インフルエンザ騒ぎが今年 いっぱい続くとも思われませんけれども、いまヒヨコにすると4月ごろには肉で売れるそうですから、今年の前半は、ブラジル産鶏肉の対日輸出が期待されると ころであろうと思っております。
    加えまして鉄鉱石、大豆、鶏肉など、値段が軒並み上がっており、金額的にも対日輸出額が大きくなるものと思われ ます。ただ1つ懸念材料と致しましては、昨年日本とメキシコとのFTAの交渉が難航したこともありまして、日本政府のFTAの交渉スタンスがどちらかと言 うと、フィリピン、ベトナム、マレーシアだとか、アジアにシフトしていること。それから昨今は船が足らなくて海上運賃がえらい高くなっていると言うような ことが、懸念材料として挙げられると思います。

    部会で今年4回のセミナー計画

    最 後に貿易部会としましては、今年は4回程度の、セミナーを開催しようと思っております。第1回はすでに1月末にNEXIの長谷川所長に来て頂きまして、貿 易保険について講演して頂きました。第2回目は3月~5月ごろ。第3回目、第4回と引き続きやる予定です。第2回目については、いわゆる「カーボン・デ ヴェロップメント・メカニズム」についての啓蒙活動も兼ねてセミナーを開催したいと思います。それから第3回目としては、その昨今、気に掛けなければいけ ない事であろうと思います「コーポレート・ソーシャル・レスポンサビリティー」についてセミナーを行いたいと考えています。それから最後、ブラジルおよび 中国の貿易についてもう少し詳しく知りたいということで、勉強会を開きたいと、こういう風に考えております。以上でございます。

    司会:
    ありがとうございました。それではご質問ございませんでしょうか?ないようでしたら、次回、あの次回の質疑の時に質問して頂いても結構ですので、化学部会 の板垣さんの方に参りたいと思います。化学部会は何と言っても業種、品種の数が多いんで、「10分間でしゃべれるか」って言うところあるかと思うんです が、よろしくお願いします。

  • 化学部会 板垣義実 部会長(スリーボンド)

    きびしかった消費財業界

    板垣:
    今年から務めさせて頂きます板垣と申します。いまお話ありましたように、化学、正式には「化学品部会」ということで、化学原材料をつくっている会社ではな く、そういう原材料を使っていろんなものに加工している、そういったものを輸入したり、ここで現地生産して販売しているという会社の集まりでございます。
    初めて今回、化学品部会で司会を務めまして会議を開きましたが、いろんな業種に分かれてどうまとめていいかよく分からない状態だったんですが、ざっくりと3つぐらいに分けてみました。
    部 会の中でも昨年厳しかった状況にあった業界から行きたいと思います。まずはコンスーモ(消費財)業界。この業界には写真のフィルム、化粧品、文房具、それ から家庭用の接着剤であるとか、一般大衆をターゲットにした商品を輸入したり、現地生産して売っている会社がございます。 昨年初めの部会で、ある社長さ んが「2003年は非常に厳しい年になるであろう。ベルトの穴を2つぐらい締め直して、気を引き締めて行かんといかん」とおっしゃってたんですが、結果的 にはその通りになりまして、コンスーモ業界と致しましては、非常にデリケートな業界でもあるんですが、昨年のルーラ政権がやって来られたいろんな政策、非 常に良かった面がクローズアップされておりますけれども、その反面、平均給与が減ったり失業率が前年比に比べますと若干アップしたりとか、そういった形 で、例えば接着剤なんていうのは1本、2レアルとか安いんですが、それですら買わない、買えない人たちがおりまして、わたしどもの会社の商品の場合、 2002年に比べて2003年は、生産本数で25%減っておりますし、売上でいきますと17%も落ちております。
    あるいは化粧品ですと、これはほとんど輸入品ですので、非常に高い。最近は非常に安いジェネリック品も出回っておりますし、化粧品もかなり苦戦しております。
    全体的には、写真フィルムもそうですね。競合メーカーさんが出て来られたり、価格競争が激化して、前年比減収・減益になった企業さんが多かったと思います。
    下 期に入り、金利の低下等が進み、あるいはドル安、レアル高に転じた傾向もありまして、輸入原材料等の価格が安定してきました。それに伴い、上期の落ち込み を下期で何とかカバーして帳尻を合わせると言うような企業さんが多かったと思います。ただ通年では前年比マイナスの結果になっていました。

    伸びている自動車、2輪向け工業材料売上

    次 に工業材料を生産している会社です。ターゲットは自動車会社さん、あるいは2輪メーカーさん、その他、電気メーカーさんもありますし、そういった工業向け の材料をつくっている会社です。どういった会社があるかというと、皆さんの車の中、家庭の電化製品の中にある、いろんなプラスチック類、それから繊維類が あると思うんですが、それに着色をする着色剤をつくっている会社、工業用の接着剤であるとかシール剤をつくっている会社、あるいは工業排水・水処理の会社 といったような業界がございます。
    この業界は去年、自動車に関して言えば、欧米系の自動車メーカーはかなり苦戦したと思うんですが、その一方 で、日系の自動車メーカーさんはかなり伸びています。2輪メーカーさんに至っては、日系企業さん独壇場ですし、先ほど申しましたけども、平均給与もあまり 伸びてないと言うこともあって、自動車には手が出ないけどもバイクには手が出る、と言うこともあるんだと思います。そういった関係で2輪の業界さんは非常 に伸びているということで、この業界に商品を供給している企業は、1年を通して比較的安定をした売上を伸ばしております。
    私どもの会社の統計で申し訳ないですが、自動車、電気、その他の工業製品で、大体どこも20%ぐらいの伸びを示しております。

    大豆、綿花豊作で農薬販売伸びる

    次に農薬業界。先ほどからブラジルの輸出が非常に伸びてるとのお話があります。その原動力の1つであります大豆であるとか綿、こう言ったものが非常に豊作で あったと。 大豆に関しましては、アメリカで減産がありましたし、アジアとかヨーロッパ諸国で需要が非常に増したこともあって、国際取引価格が高騰したこ と。作付面積がブラジルで初めて2000万ヘクタールの大台を突破したと言うことがあります。
    それから綿に関しましてはやはり、若干他力本願的で すけども、世界第3位の輸出国であるオーストラリアが干ばつで大幅な減産になっています。やはり国際価格が高騰しまして、それから一方でブラジル産の綿の 品質が向上したと。国際的に品質が認められたと事もあり、作付面積が24%前年比増という事もありまして、使用する農薬であるとか、殺菌剤であるとか、こ ういったものの量が非常に増えた。統計上、2002年に比べて56%の売上増、業界全体として56%の売上増を記録したそうです。化学部会の中で昨年一番 の勝ち組だと思います。
    ここに所属されております農薬メーカーさん、それから商社の担当の方々は、非常に顔色とかですね、非常にツヤもあって(笑)余裕の状況がありました。コンスーモ業界の皆さんとは全く対照的なことでした。

    3.5%の経済成長期待、だが一抹の不安もある

    続きまして、本年度の展望ですけれども、ルーラ政権が昨年実施した政策は段々実を結んで行くんではないかと思っています。
    それと、経済成長率が3.5%という、政府発表がありますけれども、これは非常に皆さん、期待しております。農薬業界は昨年良かったけれども、今年がいい かどうかは天候もありますし、サビ病呼ばれる病気があの最近広まっているということもあって若干の心配もあるようです。
    その3.5%ってのは非 常に期待はしているんですが、一抹の不安も持っております。金利は、先ほどもご紹介ありましたけども16.5%で止まっておりますし、ルーラ政権の目玉商 品であります税制改革とか年金制度改革は、我々の企業活動にあんまり恩恵が見込めないではないかと思いますし、後で渡辺さんが説明されると思いますけれど も、Cofins。これが今月から7.6%に上がっています。この影響がどのようになるかが非常に心配ですし、インフレの懸念であるとか、平均賃金がやは り低いと言うことで、全体的には警戒感を持って望んでいるというところです。できれば金利をさらに下げて行って、一ケタ台に乗せて頂きたいと思っております。
    それから個人的な観測なんですが、日系の自動車会社さんの業績は良かったと申し上げたけれども、ブラジル全体の自動車の生産台数はここ数年 あまり変わっていない。限界じゃないんでしょうけれど、一つの数字のところで止まっていると。シェアの奪い合いをしているというように思うんですが、自動 車ってのは、ご存知のようにいろんな業種のみなさんがつくった部品を集めてつくっておられますので、この業界が伸びて行かないと、ほかの業界も伸びないん じゃないかと言う風に思っております。

    FTA若干影響は農薬くらい

    それからFTA等に対する影響なんですけども、我々の業界の中でいろい ろ意見を聞いたんですが、FTAAとかFTAに若干影響を受けるであろうと言うところは農薬業界なんですが、ただ、農薬業界は、ほとんどが輸入品だそうで す。この輸入品の場合は、関税が免除になっているそうで、その影響はあまり大きくないであろうと言うことです。それよりも、中国とかインド、それからジェ ネリック品がもうかなり入ってきていると言うことで、こちらの対策のほうが興味があるという意見が多数出ております。

    今年は環境関係各社取り組み調査に努力

    最後ですが、化学品の独自テーマについてどうしようか、いろいろ話し合いましたが、化学品と言いますとやはり毒とか、危険だとか、危ないとかっていうイメー ジが非常に多い、大きいと思うんですね。ブラジルで、我々製造販売させて頂いてる限り、やはり環境に関する取組みって言うのは、非常に大事であろうという ことで、昨今非常にクローズアップされております環境ホルモンであるとか、環境負荷物質といったようなものを、極力配慮したような形での製品づくりをして 行こうではないかと。特に農薬は口に入るものに使っておりますので、全世界的に規制が厳しいそうなんですね。ヨーロッパにはGAPという規制があって、こ れに合致しない農薬は一切輸出入はできない。それから最近各企業さんが、独自の規定を持っておりまして、その独自の規定の中に含まれるその環境負荷物質等 が入っているような製品は一切、サンプルとしても持ち込めませんし、評価もして頂けない、もちろん使って頂けない。ということで、非常に我々の商品を使っ て頂くためのビジネスにも関わってくると言うこともあり、今年1年かけて、化学品部会としましては、このような環境負荷物質、あるいは環境ホルモンに対す る取組みを各会社が、どのように取り組んでいるかをまとめまして、次回の懇談会に発表させて頂きたいと思っております。以上です。

    司会:
    非常に幅広い内容をまとめて頂きまして、ありがとうございました。ご質問がございますか? はい。

     

    伸びた鶏肉輸出の価格は?

    赤嶺:
    すみません、時計のほうに気を取られていて先ほど、貿易部会の中村部会長にお伺いするのを忘れていたんですが、日本への鶏肉の輸出、今年1月は1カ月間で2000トンですか?

    中村:
    はい。

    赤嶺:
    2000トンに急上昇したということですが、値段の面はいかがでございますか? ブラジルから持っていって、日本国内で売るのにそのフレートとか、そのような問題点は指摘されていませんでしょうか?

    価格は6割くらい上昇

    中村:
    値段だけではですね、そのフレートを除いて、すでにもう約6割ぐらい値段上がってます。12月23日か24日だったと思うんですが、アメリカでBSEが起 きた時はえらい安かったんですよ。それが現在はすでに60%超えるぐらい高くなっていますね。で、フレートは入ってません。

    司会:
    で、中村さん、先ほどおっしゃられたのは、丸紅さんの取り扱いだけですか?

    中村:
    うちだけ、うちだけですよ。

    赤嶺:
    全体ではいくらになりますか?

    中村:
    それはちょっとね!各社のその何ていうんですか、あの、リスク・・・できない部分もありますしね。それと、各社によって占める割合が違うわけですね。だか ら、当初の場合なんかは鶏肉の占める割合って極めて少なかったんですね。で、元々取扱量そのものが少なかったということですね。従って、急に増えたという ことが言えると思いますが、別のところにとっては、そんなに増えてないかもしれないですね。量的には。

    赤嶺:
    ありがとうございます。

    司会:
    あと、化学品につきましてご質問ございますか?それでは、機械金属のほうに参りたいと思います。私自身も機械金属部会に所属しておるんですが、せんだって の機械金属部会では、鋼材値上げ問題で集中砲火を浴びまして(笑)。そんなに儲かってるのに何で値段上げる必要があるのかと言われて、「それはウジミナス の問題です」と答えたんですけども(笑)。松永さん、よろしくお願いいたします。

  • 機械金属 松永和彦 部会長(日立製作所)

     

    松永:
    製鉄、軸受け、切削工具は追い風。業容拡大には、為替の安定が、極めて重要。

    機械金属部会の部会長の拝命を賜りました、松永でございます。今日は、宜しくお願い致します。大きく3つに分けてご報告せて頂きます。

    業種が、複数有りますので、大きな1つ目は、全体の話。2つ目はその中で、個別に出てきた要望事項やFTAに関するコメント。3つ目の最後は、時間の許す範囲で各分野の当面の課題、背景、トピックスを、お話したいと思います。

    まず全体ですが、総じて2003年の業績は、予算の達成率は別としましても、2002年と比較して、良かった。2004年は更に良くなると言う見通しが多かったです。
    我々の業界は、一にもニにも、為替の安定が重要です。この点で、2003年は、非常にステーブルなビジネスが出来たと言うコメントが、ありました。

    ただ中身が、いろいろ分かれておりまして、これも3つ位に分けられます。1つ目は、一番厳しかった電力で、目標に対して七掛け位を達成したという所もございました。

    そんな中で、一部の会社ですが、モーター工場を稼動しておりましたが、諸般の事情により方針的に閉めた所も御座いました。

    2つ目は、何とか当初の目標に対してクリアしたと言う所。汎用エンジン、あるいは、ネジ関係、いわゆる産業の米粒としてのネジの部分です。

    3つ目は、ある分野に特化し、ビジネスを拡大して業績が非常に良かった所。製鉄、ポンプ、軸受け、切削工具。前年度比売上げ3割アップは、軸受と切削工具です。

    為替に関しましては、マチマチなんですが、本音を言うとやはり、3レアルを切ると厳しいと言う意見が有りました。出来れば3.1レアル位にして頂きたいと。あと、一応イメージとしてブラジルで作る全体の量の、2割を輸出したい。キーコンポーネントを輸入してますので、ドルヘッジをするような形で、輸入分相当を輸出し、北米に持って行きたいと言う所が幾つかありました。

    これが、大きな1つ目の全体の、マクロイメージでございます

    <要望事項>

    1. 鋼材の輸入税0運動の推進。
    2. 移転価格税制、研究開発費計上ルール変更に対する対応施策。
    3. GIE、欧米商工会議所との連携でブラジル政府に税制、行政改善の働きかけを推進。
    4. フォーメ・ゼロ(飢餓ゼロ計画)実現による、零細農業への政府支援。農業灌漑用水政府援助。

    大きい2つ目の要望事項です。これはバラバラと出てきたやつを4つほど拾いお話させて頂きます。

    1つ目は、かなり難しい話なんですが、「鋼材の輸入税を0にして頂きたい」。そういう切実な要求が御座いました。

    2つ目は、この開かれた商工会議所を、活用したいという観点からの話ですが、「移転価格の税制に関して各社の話を良く伺いたい」。我々は、昨年から何回かこの話をしておりますが、可能な範囲で、各社の対応を伺いたい。次に研究開発費引き当ての話しですが、日本からの支援無しで研究開発をしている会社がその費用を引き当てる際に、ルールが変わり、今後単年度で全額引き当てが可能になりました。その場合、その分、業績は下がります。その辺を、どうすべきかと言う話が御座いました。この辺のお話しを伺いたいと言う趣旨です。

    3つ目は、金岡さんがやられている仕事に繋がると思いますが、GIEと、欧米商工会議所と連携し、ブラジル政府に対して法制、行政の改善をお願いしたい。「是非来てくれ」と言う良い話を伺って来ている所もある訳ですが、一旦進出しますと、"継続は力なり"と言いますけども、続けて行くのが本来ですので、法制、行政の改善も継続して頂きたいと言う、お願いです。

    4つ目は、大統領が言われてる「フォーメ・ゼロ」(飢餓ゼロ計画)の実現をお願いしたい。飢餓に苦しんでる方々をゼロにしたいというのは当然の話なんですが、零細農業を政府の援助で支援して頂いて、リライアビリティーの高い物での生産性を上げて行きたいと思います。現状は、先立つものが限られているので、中国製が、レアル高に伴って、入って来ており、2003年は、苦戦を強いられた所もありました。あるいは農業灌漑用に関し、政府の援助をお願いしたいと言う声もありました。

    <FTA>

    FTAに関しても、まばらなのですが、1つ目として、既進出の重工業は、国内税に苦しんでいて、外国から入ってくる競合先と、関税で何とか凌いでいる。従って、もしFTAを進めるのであれば、国内税を削減して欲しい。放っておいても欧米とのFTAに入って行くのですが、まずは目先の話が、1つあるのかと思います。

    同じニュアンスなんですが、本音としては、体力が付くまで現状維持を、希望している所もありました。

    それから2つ目は、自分の所は、100%輸入しているので是非、決めて欲しいと言う所が、あります。具体的には民間ベースの話が詰って来たので、一日も早く政府間レベルに上げて頂き、ルーラ大統領が日本に行く時に、小泉首相に話をして頂きたいというお願いです。
    大きい3つ目、業界の課題に関しまして、一言ずつ申し上げます。
    製鉄は今、業界再編が水面下で進行しております。為替が3を越えるレアル高だと輸出が非常に厳しいので、6:4で国内のベースロードを確保したい。ただ、中国の景気が良いので、為替次第で、輸出にも振りたい。全体の約半分、1500万トン/年を、輸出にアロケートする力は持っています。
    電力は、水力へ政府がシフトして、電力料金を押さえ込むという流れがあり、大分、ディスカレッジしてるので、ならばその分、業績の良いパルプ、石油、製鉄、鉄鉱石へシフトしたいという流れが、ございます。
    ポンプは、FTA後に欧米メーカーが、入って来るのは時間の問題ですので、今から現地生産比率と品質を上げ準備を進めておこうと言う所もございます。
    汎用エンジンは、フォーメ・ゼロの話ですね。
    軸受、切削工具は、追い風の勢いに乗り、現地生産比率と輸出比率を上げて、為替の振れの影響をミニマムにしたいという所がございました。

    以上で、ご報告を終わります。

    司会:
    どうもご苦労さまでした。それではご質問をお受けしたいと思います。

    移転価格税制についての業界温度差は?

    坂野:
    先ほどの要望事項一つに移転価格税制と言う話がありましたが、業界でもかなり温度差があると思いまが、機械金属部会の中でも温度差はありますか?
    要は、移転価格税制に敏感なところとそうでないところの温度差はどうですか?

    松永:
    幾つかの会社から要望事項が出て来ており、去年8月に1回話をしたのですが、今回は、締切が1月末で、もう間に合わないと言う所が出てきました。その方は、1月28日の打ち合わせ後に個別相談をされておりました。
    各社が、実態としてどんな対応をされるのか、知りたいと言うのが、ポイントだと思います。
    そこの所を持っている方達を、坂野さんのお力をお借りて、ご紹介頂きたいと思いますので宜しくお願いします。

    司会:
    じゃあ、あの、福島さんの方からお願いしたいと思います。

  • 繊維部会 福島良和 部会長(ブラジル鐘紡)

     

    一人あたり年間繊維消費量9.5kg、 - 日本は22kg
    まだまだ買って頂ける余地あり

    福島:
    繊維業界、持ち回り部会長の福島でございます(笑)。繊維産業といいましても大変幅広く天然繊維、化学繊維、合成繊維ありで、最近では、トウモロコシ、バ ナナ、あるいは牛乳、タケ、こう言うものを原料とした繊維が開発され、ま、大変幅広い、多岐にわたっていると言うことであります。
    さらに、原料から製品までと、消費者の手に届くまでには多くの工程も経ておりますし、流通過程も大変複雑で、奥行きも非常に深い産業であります。
    日系企業がブラジルで、企業活動を行っておりますが、この繊維産業のごく一部を担っていると言うことですので、冒頭お話をさせて頂きたいと思います。
    7000年の歴史は天然繊維にあるわけですが、合成繊維、化合繊維、これらの歴史は150年程度だと言われております。
    さらにブラジルの年間1人あたり繊維消費量は、2001年の統計しかありませんが、1人あたり9.5キロの消費です。ちなみにアメリカ30キロ、日本では 22キロぐらいと言われており、比較的暖かい国であるということ、さらには経済が非常に不安定で個人収入の経済的な問題もあり、日本の半分以下というのが ブラジルにおける1人あたりの繊維消費量であります。
    日本ではもうタンスの肥やしになっていると言うことですが、ブラジルではまだまだ、買って頂ける余地はあるというのが、繊維の実態ではないかと思っております。

    日系は8社が紡績、織物、染色に進出、

    次に、素材ごとに部会の中でのまとめですので、綿関係、コットンですね。それと羊毛、シルク、それとファスナー関係と、この4素材といいますか、この4区分でお話をさせて頂きます。
    まず綿ですが、詳細な統計はないんですが、製造設備などから推定しますと、ブラジルのことですが、繊維生産量の8割程度が綿ではないかと言われております。
    この綿の業界の中に、日系企業は現在8社が進出をしてきており、紡績、織物、染色、ま、この分野で企業活動を行っております。さらに基本的には国内で原料を調達し、国内販売が中心になっている。国内での販売が中心です。

    世界に認められたブラジル綿
    だが価格高騰でわれわれは苦しい

    原綿は先ほど化学部会の方でお話がありました。昨年は85万トン。これは、対前年111%の生産です。これは世界の生産量の約15%がブラジルで生産されていると言うことです。72万トンほどが国内で消費をされる、18万トンが輸出されている状況です。
    この原綿市場が、先ほどもありましたが、一躍ブラジルの綿花が世界に認められてしまったと。我々にとっては非常に不幸なことですが、世界から買いが入って価格が急騰しているという状況です。
    昨年の10月から2カ月で、約35%原綿相場が上がっている。この大半は農薬あるいは肥料会社へ行ってるんだろうと思いますが(笑)、ま、"そちらが太れ ば我々は細る"という状況であります(笑)。原因は先ほどもありましたが、最大の生産国で、最大の消費国でもある中国の需給バランスが非常に崩れている、 あるいはオーストラリアの凶作がブラジル、世界の綿花相場を上げている。加えてブラジルの品質が非常に良くなったということで、海外からも買いが入ってい ると。ちなみに2003年度は18万トンが輸出されたと言うことですが、今年はすでに40万トン以上がもう輸出成約されているとも言われておりますので、 益々原綿市場は荒れる、一部の産業は儲かる、我々は苦しい、と言うことが続くと思います。
    この原綿を買って我々は、糸にして販売しているわけで すが、末端需要が非常に低調である。失業率も高い、実質所得も下がっている。末端需要が非常に低迷していると中で、原料代が上がると言うことがあり、値上 げに踏み切っておりますが、各社の足並みの乱れ等ありまして、原綿は35%上がったんですが、製品は7%から10%までの値上げに留まらざるを得なかった と言うことであります。

    原料高製品安つづく

    原 料は、我々としては現金買いが原則です。サイトをつければ当然金利を取られますが、これを加工して売る場合には、60日あるいは90日というサイトで決済 せざるを得ない。ここにも非常に苦しい部分があり、極めて厳しい環境であると前回も報告しましたが、「原料高の製品安」という状況は未だに変わっていない と言うことであります。
    本来、下期というのは、春夏物のシーズン、あるいはナタル(クリスマス)商戦等があり、市況回復は期待できるんですが、残念ながら2003年度、力強い回復にはならず低調に終わったと言うことであります。

    原料高で今年も厳しい環境予想

    綿の市場の2004年度につきましても、ブラジル経済は、非常に楽観的な予測が出ていると思います。ただし、繊維業界はさらに厳しい環境になるだろうと先ほども申し上げましたが、1つには、小売、店頭市場が非常にまだ回復していない。
    2点目には原料価格が下がらないと言いますか、高止まりをしており、まだまだ高くなる可能性がある。
    3 点目はレアル高で、輸出競争力がない。逆にレアル高で製品輸入が増えるであろうと。ま、こう言うこと。さらに、業界の整理淘汰が進みますので、当然信用不 安が益々増して行くだろう。こう言うことから、2004年度もまだまだ楽観を許さない、厳しい状況は続くという風に考えております。

    不公平な取引是正を要望 - 羊毛

    次に羊毛関係ですが、羊毛も昨年、原毛相場が非常に上がりました。一昨年から上がったんですが、昨年上期にようやくピークで、下期には緩やかな下がり相場となったと言う状況であります。
    国内市況の低迷により、一時、低価格乱売合戦が行われましたが、これは、お互いが体力を弱めるという結果になって、体力にあった適品適量への回帰が顕著に見られているのが現状であります。
    これは羊毛業界から出ておるんですが、中小企業相手の商売をする、そういう中で、セン・ノッタであるとか、あるいはメイア・ノッタというのが、ブラジルの 取引の中で行われていると。これは綿の業界でもあるんですが、何とかこういう不公正な取引を是正できるような対応をぜひお願いしたいという要望が出ており ます。

    日本の和装業界低迷でシルク不況

    それとシルク関係でありますが、これも同様に「原料高の製品安」の状況です。大半、80%以上が日本向けの、日本あるいはヨーロッパ向けの輸出という状況 でして、日本の和装業界が低迷している、あるいはレアル高ということで、製糸会社としては非常に苦しい状況が続いております。
    以上、天然素材、3素材を申し上げましたが、すべて「原料高の製品安」という状況に陥っております。

    フアスナーはすこぶる好調

    次 にファスナー関係ですが、ここは前回もそうでしたが、非常に好調という状況です。これは、1つにはファッション性の高いジーンズが非常に好調であること。 ジーンズもスタンダード品はちょっと落ち込んで来ているようですが、ファッション性の高い、要はファスナーをたくさん使うようなジーンズが売れていると言 うこと。
    あるいはジャケット分野でも、ファスナーは2倍以上の増販になっていると非常に好調です。2003年下期は、対前年同期比118%、2004年の見込みでも115%という成長を見込んでおられるのがファスナー業界であります。
    以上で繊維部会の報告を終わりますが、一点お願いであります。え-、 是非ですね、駐在員の皆様方、日本から衣類は持ち込まないで(爆笑)、ブラジルでお買い求めを頂きたいとお願い申し上げまして、終わりにさせて頂きます。

    司会:
    それでは前半一環含めましてご質問がありましたら、はい、どうぞ。

    中国で需給バランスが崩れた理由は?

    多田社長(伯国三菱商事):
    あのー、綿の説明でちょっとお聞きしたいんですが、実はさっき中村さんが説明されたところでもあります、鉄鉱石とか、鉄鋼製品、あるいは大豆ってのは、こ れ全部中国なんですよね。で、要するに中国がものすごい勢いで輸入しているせいでお値段も上がっているって事ですけども、綿のところで生産国かつ消費最大 国の中国で「需給のバランスが崩れた」というご説明がありましたが、「バランスが崩れた」ってのは具体的にはどう言うことなんですか? やっぱり中国の消 費が増えて、中国から出て来なくなったとか、あるいは別のところから輸入するようになったとか、そういうことですか?

    福島:
    えー、1つはですね・・・。

    多田:
    はい。

    福島:
    中国も綿花の不作というのがありました。で、それと、もう1つは生産が増えてるということですね。まぁほとんどが輸出に回ってる、あー、綿製品として輸出されてるんですが、綿の生産が増えたと言うことで、中国だけ見ると需給バランスが非常にタイトとなっていると。

    多田:
    まだ、中国の中でその消費が増えたということではない?

    福島:
    ではないです。はい。

    多田:
    ありがとうございました。

    司会:
    ほかにご質問ございますか?

    赤嶺:
    先ほどお話の中に「メイア・ノッタ」っていう言葉が出たんですけれども、それは何ですか? 半額、値段の半額だけノッタに記入するということですか?

    福島:
    あのー、わたしも詳しくはですね、知りませんが、あの例えば10トン出すと5トンのノッタ・フィスカルを切るというようなこととか、ま、値段を操作するとかですね、いうことだと思います。はい。詳しくは知らないんですが。

    赤嶺:
    はい、分かりました。ありがとうございます。

    司会:
    ほかにございますか?

    懐の深いところ、浅いところのある繊維業界

    坂野:
    さきほど説明のあった"原料高の製品安"ですが、例えば鉄鋼の場合は原料の鉄鉱石の値上げを製品に転嫁しています。原料の原綿が前年比38%値上がりし製品では7-8%しか上げられないということは、まだ繊維業界はそれを吸収できる懐があるということですか?

    福島:
    大体まぁ、これ高いんですけど、ま、5割か6割ということがありますね。ま、ということは、7%上げたということは14%上がったと、はい。ま、いうこと にはなりますが、はい。ま、それと、これは各社二宮社長おられますんで、あれですけど、各社体力差ありますんで、懐の深いところと浅いところと(笑)いろ いろあります。

    司会:

    それではあの、前半一環これでコーヒー・ブレイクに入り、15分後に再開したいと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

    (コーヒ-・ブレーイク後)

    司会:
    皆さん、あの、ご休憩中ですが、ボチボチ後半戦に入りたいと思いますので、着席お願いいたします。
    あの本日は、前半の説明につきましては、各部会の部会長さんのご協力を頂きまして、極めてスムーズに時間通り運んで参りましたので、後半戦も引き続き、よ ろしくお願いいたします。それでは後半のトップバッター、恐れ入りますが自動車のほうから行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

  • 自動車部会 新沼正広 副部会長(ブリヂストーン)

     

    自動車年間生産143万台

    新沼:
    ブリヂストンの新沼です。自動車部会のほうから報告させて頂きます。部会長であられますトヨタの岡部社長さん、それから副部会長のヤマハの内山社
    長さんが、海外出張中のため、私が代わりに説明させて頂きます。なお、私につきましては、1月中旬から副部会長ですので、なかなか慣れていない部分がありますが、よろしくお願いいたします。

    「2003年の回顧と2004年の展望」について、自動車、2輪、自動車部品と3つに分けて説明させて頂きます。

    まず「自動車」ですが、去年の上半期につきましては、「どしゃ降りの雨が降っている」という表現で、販売が非常に低調でしたが、下期からの、IPI税制措置の優遇、基準金利の低下、それから年末に向けました各自動車メ-カ-さんの積極的なセールスキャンペーンが奏効しまして、国内の販売台数が、年間で143万台、前年対比3.4%減になりました。

    年間を通して販売が落ち込んだ要因としましては、政府が推進してきた「インフレ再燃防止」優先の「高金利政策」、それから「完全失業率の上昇」、「実質所得の低下」などが、消費者の購買意欲をそぎ、販売減少になった原因とみられています。

    一方、輸出につきましては、ルーラ政権の中でも最も重要な優先課題であり、輸出の好条件により、輸出台数が51万台強と、過去最高となっております。自動車業界としては、輸出の伸びが国内の市場をカバーしたという形になっています。

    なお、輸入車の販売、ブラジルに入ってくる輸入車の販売につきましては、「国内市場の低迷」、「高関税」、「現地通貨安」により、約7万台と前年比マイナス36%の大幅減となっています。

    今年は199万台生産を予測

    2004年の展望としましては、政府から発表されています、「3.5%のGDP成長率の上昇」、それから、一層の金利引き下げの期待、インフレの沈静化、為替の安定傾向により、自動車工業会(Anfavea)としては、国内市場の成長率をプラス7%、生産レベルでは199万台と、前年比10%増の期待をしております。一方で、自動車の税制優遇措置が2月末までとなっております。3月以降の措置はまだ決まっておらず、販売に対して、先々不透明な部分が出て来るのではないか、と危惧しております。

    二輪は年産95万台強

    2輪につきましては、2003年、生産が年間で95万台強、販売が85万台弱となり、前年比10%近い伸びを示しています。輸出につきましても、北米の市場を中心に増やしており、輸出台数では10万台強ということで、前年比50%の大幅な伸びを記録しています。2004年の展望につきましては、引き続き2輪は、地方部を中心に潜在需要が、かなり見込まれており、一層の低金利の実施、そして金利引き締め策の緩和等によって、さらなる成長が見込まれております。

    一方で、懸念事項としましては、アマゾナス州政府の税制改革、恩典の変更が今後2輪業界に与える影響が大きいことから、各社さんともその対応に注意を払っている状況です。

    自動車部品には厳しい年だった

    自動車部品につきましては、2003年、自動車メーカーさんの生産販売に影響を受け、生産台数が直接、販売に関係する部品メーカーにとっては非常に厳しい年になりました。一方で、自動車メーカーさんとの直接関係を持たない、輸出に軸足を置いている部品メ-カ-にとっては、ビッグ・チャンスの年になったと考えております。自動車分野と同様に自動車部品業界全体としては46億ドル、過去最高の輸出高を記録しており、輸出に販路を持ったメーカーと国内に販路を築いてるメーカーとでは、業績にかなりの差が出て来ています。主要輸出国先としましては、米国、メキシコのほかに、中国向け自動車エンジンの輸出、それから、ユーロ高を背景に欧州向けの輸出も、かなり増えて来ております。部品業界全体の稼働率は、平均60から65%ですが、
    雇用人数はかなりの人数になっており、自動車業界の裾野の大きさを改めて感じております。

    為替条件の安定により、輸入部品、それからドルリンク原材料の価格急騰等の問題は軽減されておりますが、為替とは関係しない、国内での原材料費の値上げ、それから人件費のアップが、製造原価の上昇を引き起こし、経営を圧迫しており、引き続き厳しい経営環境になりつつあります。
    2004年全体につきましては、インフラ等さまざまな問題は短期で完結されないために、引き続き厳しい状況にはなっております。部品メ-カ-は、自動車業界の動向を見ながらの対応が求められています。

    FTA、FTAAに関して

    最後に自動車業界にかかわる課題ですが、まずFTA、FTAAに対し、ブラジル政府のFTA取組み姿勢はかなり積極的であり、米州だけではなく、アジア、アフリカ諸国との締結に向けた動きが活発化しております。このような中、日本政府の対応には、やはり苛立ちを感じている、といった状況です。対ブラジルとの関係において、北米やEUに後れをとりますと、対日取引が相対的に厳しくなる事は否定できませんし、それによって自動車メーカーさん、部品メーカーが不利益を受けるところがかなり出てくる、と予測されています。日本政府の今後の対応に期待したいところです。

    業界を取り巻く環境

    次に、自動車業界を取り巻く環境ですが、賃金、2003年の賃金交渉は業界平均で約20%弱のアップになり、大幅なアップとなっております。特にサンパウロ周辺の組合は非常に過激?な組合が多くなっており、各社ともその対応に頭を悩ましております。

    また、一方で労働法、労働裁判、賃金規定などが、ブラジルでは硬直化している、との指摘もあり、弾力的な対応をしようと思ってもなかなか踏み切れない状況です。

    2輪業界を取り巻く環境については、先ほどご説明しておりますが、マナウス地域の税制恩典の改正が検討されており、内容によっては、大きな影響を受けるのではないか、と各社ともに十分な注意を払っております。

    詳しい資料につきましては、インターネットをご覧頂きたくよろしくお願いします。以上です。

    司会:
    ありがとうございました。質問をお受けしたいと思います。どうぞ。

    田中会頭:
    よろしいですか?

    司会:
    はい、どうぞ。

    田中
    すみません、さっきあの部品を輸出するメーカーは、米国、メキシコ、中国向けが伸びたという風なご説明ありましたけれども、日本向けの部品輸出っちゅうのはどういう状況になってるんですか?

    新沼:

    手 元に資料はありませんが、一般的にブラジルで生産している部品は、第一が当地での販売、第2が輸出という形になっております。価格的な条件により、北米、 メキシコへはFTAもにらんだ輸出になっておりますが、輸送上の理由/仕様の違いもあり、日本への輸出はあまり聞いておりませんが。

    ソフトウエアでは伯企業が対日進出
    だが自動車部品はなかなか難しい

    山田議長:
    実はブラジルから自動車の部品が、外国に出るか出ないか、あるいは出ているのか、出ていないのかについて。私の理解では、ここ2、3年前に、ジェトロさん が積極的にブラジルの部品業界の人たちを日本に連れていった。いまジェトロさんがコンピューターのソフトウエアの業者を日本にいろいろお世話をして、その ソフトウエアをブラジルから日本に輸出させると言うようなことをやっているように。以前にその自動車部品の業者を日本に連れて行ったが、現在どういう風な 状況になっているのか、ちょっと、ジェトロの桜井さんにお話を聞きたいと言うことなんですが、よろしくどうぞ。

    桜井:
    わたし自身あんまり詳しいことは分からないんですが、1番最近やったのはITのソフトウエアでして、これはまぁ大体3年ぐらいでやったんですが、その関係 では、ある程度成果が出ています。数社ですか、もう日本に進出しています。その前の段階では自動車部品を取り上げました。一応もう3年ぐらい前に終わって いるんですが、その当時はまだブラジルの自動車部品はなかなか難しいだったと聞いています。日本の企業、とりわけ自動車メーカーは非常に品質に相当厳しい とこがありまして、その関係で3年間ぐらいやったんですが、なかなか苦戦したというのが実状です。これ以上のことはわたしも把握しておりません。

    山田:
    どうもありがとうございました。

    鉄鋼品も外から入るのは難しい -自動車メーカーのケース

    司会:
    それではちょっと。あの私、部品ではないんですけれども、鉄板の話をさせて頂きますと、実は昨年私どもの名古屋で、火災がありまして。結果的にその後、北 海道の地震に伴う苫小牧の火災とかで、名古屋の火災はイメージが薄らいでしまって身内としては大変助かったんですけども。実は、その時にウジミナスでつ くっている、我々の合弁事業でやっているウニガルの自動車用のまぁ、一番難しい板をですね、結果的には2万数千トンだったと思いますけど日本に持って行き ました。
    で、これがですね。ちょっと今日は自動車メーカーさんもおられないんで、実態を申し上げるとなかなか。"使い慣れ"とおっしゃるんです けども、品質はうちの名古屋でつくったものも、ウジミナスの工場でつくったものも、ゆぎ差はないと。テストをしても変わらないけども、「横に名古屋がある のに何でブラジルの板を使わなくちゃいけないのか」って言う。やっぱりずっと使い続けているって言うことで、新しいものにトライすることに対しては非常 に、まぁやっぱりメーカーさんは、その、品質にシビアだってことは勿論あるわけですけども、厳しいんですね。だから、物を変えるっていうことに対して抵抗 感があるんですね。そういうことがあります僕側の業界でも。だから、???でつくったものをトヨタさんに持ってってもですね、同じスペックでつくっても、 やっぱし名古屋のものの方が、馴染みがあっていいって言う。なんか酔っ払いみたいな感じなんですよね(笑)。やっぱり行きつけの店がいいってそういう感じ ですね。

    ほかにご質問がありませんでしょうか? それでは、次、運輸サービス部会は、実はもう65社の構成メンバーですね。65社を10分でやると言うのは非常に難しいと思うんですけども、ある程度幅がありますんで、すみません、よろしくお願いいたします。

  • 運輸サービス部会 横山幹雄 部会長(JAL サンパウロ)

     

    同時多発テロ、戦争、SARS影響から脱出しつつある - 航空、

    横山:
    運輸サービス部会の部会長を長い間続けております横山です。ほんとうは全体を把握されている平野さんとかが妥当だと思いますが・・・。
    部会のほうは23日に新年会を兼ねて開催しまして、いま65社というご報告があったんですが、10社に参加して頂いたと。それからレポートは11社から頂いております。従って、その参加された会社の方のレポートが中心となります。ご了承頂きたいと思います。
    わたしどもの部会、多岐にわたっているんですが、いま皆さんご報告されたような活動の成果として、最終的にその人とか、物の移動部分を担当しているわけで すから、大体まぁ、貿易を始めとして好調だったと言うことで、全体的には物流を始め好調だったと総括できるかと思います。
    まとめ方としましてと りあえず、運輸、運送部門をまとめて、航空、海運、フォワーダー、それからクーリエの一部を物の移動の部分から報告させて頂いて、その後でそれに関します サービス部門、例として、旅行エージェント、ホテル、観光、それから通信と、こういった順番で手短にご報告させて頂きたいと思います。
    まず、航空ですが、これは皆さんご承知の通り、最近の同時多発テロ、戦争、それからSARSに代表されます伝染病等々の影響、これがいかに公共交通機関に影響を与えるかと言うことを実証した最近の数年であります。
    保安検査とか、それから防疫の態勢の強化、これはいつでも快適なご旅行を求められるお客様に、サービスの観点では相反するものですが、やらざるを得ないと言うことで、今後は官民共同での対策が必要と思っております。
    全体としては、各社とも上期ひどかったのからは回復をしまして、業績も徐々に回復しつつあると。アメリカ系航空会社の最近の決算にしても、徐々に回復の傾向が見られております。
    ただし、日伯間の問題ですが、安定的な需要はあるものの、旅客動向の大きな変化が見られる。これは、路線の過半数を占めている出稼ぎのお客様ですが、アメ リカのビザ政策で、これが8月に変えたわけですが、この影響を受け、アメリカ経由便を懸念して、ほかのルートへの流出が顕著となっております。これは、 ヨーロッパ経由、バンクーバー経由、カナダ、メキシコ経由などですね。
    従ってこの傾向は、アメリカがビザ政策を続ける限りは長期化する可能性があります。
    これは後ほどご報告しますが、旅行業界、ホテル業界等々にも大きな影響を与えています。

    たたる米国のビザ政策

    ア メリカとブラジル間は、同様、ビザが厳しいという理由で、それから最近、報復ではありませんが、指紋の押捺等々の問題がありまして、これもやはり両国間の 運送に悪影響を与えると思います。一方、ヨーロッパとブラジル間、南米間はユーロが強いという影響もあり、絶好調ということになっております。
    それから航空機メーカーでは、エアバス社がボーイング社とずっと争っているんですが、初めて受注機数、それから引き渡し機数で抜きまして、世界一となって おります。これは次世代の航空機をめぐる争いで、超大型機エアバス社、それから中距離型のボーイング社とやっていますが、熾烈な戦いが繰り広げられており ます。
    上期ですが、全体的には安定的な上昇気流に乗ると思われますが、大統領選を控えておりますブッシュ政権のこのビザ政策、これによって動きが変わるという風なことがあります。
    それから国内の方はヴァリグ、TAM、この2社が経営統合するということを発表してから時間がかかっていますが、この行方について具体性が見えてくると思われます。

    船腹不足と好調の海運

    続きまして海運業界ですが、これはまぁ、貿易が活発化して来るということで、先ほど中村さんの方からも船が足りないと言うような報告もありましたが、定期船 分野については第4四半期には、船腹の不足が見られるほど好調であったと。ただし、その中でアジア、南米東岸航路のみが赤字ということです。
    それから不定期船のバラ積み貨物分野、これが絶好調ですが、中国が穀物とか鉄鉱石とかの資源輸入を急速に増大させたと言うこともありまして、傭船料が前年同期比で3倍以上に高騰したと言うことになっております。
    それで船が手当てできないで、ビジネスが成約できないというずれもあったと。この恩恵にあずかって航空貨物の方も好調が続いております。南米域内では、アルゼンチン経済の回復等で荷動きが堅調に推移したようです。
    ブラジル国内については、マナウス地区から各消費地に向けた工業製品の出荷が増加しており、これまでのトラック輸送から海上輸送へ移行する動きも出てきたようです。
    上期は、いま申し上げましたような船舶需要、それから傭船マーケットの高騰等々もありまして、船舶の不足傾向は続くと。業績としては絶好調と予想されています。
    南米東岸関連定期分野での問題としまして、40%ぐらい運賃が下がっているという報告です。これを運賃修復すると言われておりまして、まぁいい言葉だと思いますが、- 収支安定を計る必要がある - それがポイントのようです。
    それから、不定期船分野の異常ともいえる状況は今後も続くと言うことです。あと日本郵船さんの報告では、4月からサンパウロ近郊に国内物流用の倉庫を開かれると聞いています。
    それから新たな動きとしては、先ほどからいろいろ話題になっておりますが、牛とか鶏の問題で日本や極東地域への、まぁ、牛肉は口蹄疫の問題があるんですが、鶏肉の輸出強化によりまして、冷凍コンテナの伸びが大いに期待されると。

    フオワーダー業界も上期は好調

    フオワーダ-業界は上期は好調でした。輸入が下期は全体的に減少したと言うことですが、北米や中国向けの自動車用部品、部材等々、第三次品の輸出が増加傾向 にあったと。ただし、フオワーダ-業界さんでは各社とも顧客からのコストダウン要求、それから、マーケット・プライスの低下、これは特に通関業者さんが、 競争相手が増えたということもあって、手数料が相対的に低下したこともあって、経営上は非常に厳しいと言うことです。
    それから、引越荷物については、下期は増加傾向にあったようですが、残念ながら、ご家族の帯同者が少ないこともあって、全体としては、減少と言うことです。
    上 期の展望ですが、積極的なブラジルの外交政策を反映して貿易は活発になる。それはご報告の通りです。ただし、為替が安定すればという前提ですが、フオー ワーダー業界さんの話ですと、さきほどご報告がありました、だいたい3レアル内外ってことですが、これであれば儲かることのようです。

    上期増収増益予想の構内物流
    バイク便は過当競争になやむ

    それから、構内物流ですが、これはまあ再三、ご報告がある通り、鉄鋼業界の好調。山九さんの報告ですが、ウジミナス、コジッパ、CSNを担当されている山九さんは、鉄鋼業界の増産体制の影響で当初計画を達成すると。上期も増収増益の予定ということです。
    そ れから、国内バイク便、サンキュウ・プレスさんの報告ですが、"潜り業者"が増えているようですが、これは規制が緩く、正規業者が、担当行政に圧力をかけ ているようですが、効果があがらない。一つには、簡単に会社が創設できて、失業者の雇用対策となっている点もあり、行政が本格的に取り締まらないことが理 由のようです。
    ただし、上期につきましては、多くの労働問題を抱えつつも、道路整備等々の遅れでバイク便は依然増加していくだろうという見方です。

    ・ 依然苦境下の旅行エージエント
    ・ ホテル、観光業も依然低迷

    大 幅に遅れておりますが、次にサービス部門です。旅行エージェント業界ですが、これは先ほど、航空の方でご報告した影響が非常に顕著に現れているということ で、特にデカセギ業者さんのお世話にビザの取得方法、それから飛行機の予約等々の対応に追われる状態ですが、それが収益に結びつかない、つながらないと言 うことで、苦境に立たれている業者さんが多いと。
    2004年についても、ビザ問題がなるべく早く解決して欲しいと言うのが、切実な要求のようで す。欧州の航空会社もいろんな対応をしておりますが、やはり、太平洋線の方がいいと。これは乗り換えとか、荷物の個数とか重量のルールも含めてですが、私 の意見ではなく、代理店さんの意見でございます。
    それからホテル、観光業界。これは2002年に過去10年間で一番低かったようですが、稼働率が 50%。これが徐々に回復傾向にあります。多くのホテルは、セールスを強化、サービスを改善して、新しいマーケットを開拓しているようです。売上も徐々に 伸びていると。ここ数年続いておりました、ホテルの増加傾向、これも多くの地区で止まりまして、結果として、ホテルの稼働率があがって、収益も出ている現 状のようです。
    ただし、地区差がありまして、儲かっているところは省略しますが、ベロ・オリゾンテ、クリチ-バ、フォルタレーザ、サンパウロの高級ホテルが稼働率が下がっていると。逆にいいますと、他のフラッチとか、そう言うところは稼働率が大幅に向上しているようです。
    2004 年の問題点としては、オペレーション・コストが上がり過ぎているので、それを下げると。それから、国内線の航空業界の再編。これで飛行便数が減少している と。それに伴って料金を上げているようなこともあって、ご利用されるお客様が減って、イベントも減っており、ホテル業界としては、非常にダメージを受けて いると、そういう報告です。最後に通信業界のご報告です。― ここで時間切れ。赤嶺副委員長からレッドカード示される -

    横山:
    じゃあ、通信業界は一言で。携帯電話、これが爆発的に伸びて、固定電話は減っていると。この傾向は続くだろうと言うことです。すみません。早口で来たんですけど、駄目でした(笑い)。

    浅賀:
    どうもご苦労様でした。質問はございますか? はい、どうぞ。

    遠ざかるバリグ、TAMの合併
    金岡:
    バ リグとTAMの合併が解消したと言うことですけど、これからどうなるのか。我々使う方の立場としては、競争してもらった方がいいんですけど、バリグも相当 な負債を抱えていますから、BNDSあたりが、やっぱし、合併が救済というか、資本を入れる前提条件だと。こんなことを言ったように思うんですけど、これ から、どのようになるんでしょうか。

    横山:
    あくまで個人的な見解としてですが、たぶんないと思われます。というのは、経営統合をするという方向から、徐々に遠ざかりつつあるのが現状です。

  • 建設不動産部会 清水邦保 部会長(竹中工務店)

    司会:
    それではちょっと押しておりますので、次、建設不動産部会、清水さんお願い致します。

    労賃アップが収益阻害要因

    清水:
    建 設不動産部会の清水です。建設不動産部会は、建設業を主体とする建設業者とアパート・住宅販売を含む不動産業者の集まりでございます。1月の23日に 「2003年の回顧、2004年の展望」ということで、討議を行いまして、今日はその討議内容を総括して発表させて頂きます。
    まず、2003年の 回顧ですが、建設業については、建設投資が落ち込み、受注は各社とも厳しい状況でありました。売上、施工高については、工事利益の確保、繰越し工事によっ て目標に近い数字が確保できたという模様です。それから、労働賃金調整が5月に12%、8月に6.72%となり、収益面で大きな阻害要因となりました。そ れに税制、民法の変更による税務、法務対応に人手が増え、人件費が高騰しております。特にPT政権ということではないんですが、官庁申請の許認可期間の無 用な延長や費用の上昇が見られました。これは、サンパウロ市内のゾーニングの変更による駆け込み申請が多くあり、その辺で処理が出来ないことが影響してい ると思われますが、なかなか、建築許可、建築の使用許可が出ない状況となっております。

    高級アパートの販売堅調

    不動産業についてですが、ルーラ政権の経営、経済運営の先行きにもう一つ、安心感がないのか、新規の案件の話はあるが、客先がなかなか最後の決断に踏み込め ない引き合いが多かったと。それから、賃貸料の家賃調整は、従来使っていた指数が大きくなり過ぎて使えず、別の指数を使っての調整となった。ちなみに従来 の指数はIGPMで、これはジェトゥリオ・ヴァルガス財団の総合物価指数ですが、昨年は20数%になっていました。実際に家賃調整の時に使った指数はサン パウロ総合大学の消費者物価指数で、8%で調整になっております。それと、ルーラ政権で期待された雇用回復が思うように行かなかったため、住宅購入層の動 きが少なかった。6万から7万レアルの一般アパートの販売は落ちたが、高級アパートの販売は堅調でした。で、そのため、販売件数は前年割れしても、販売額 は前年を上回るという会社もありました。

    建設、不動産共に下期回復期待

    2004年の展望ですが、建設業については、上半期はまだ投資の案件が実体化してこないために緩やかな増が予想されると。実際の海外からの投資が建設業にくるのは下半期ではないかと言うふうに見ております。
    日系からの大型建設投資案件については、昨年同様低調と思われます。建材は、建設業が上向き始めた後に影響が出てくるので、アルミ建材については今年いっぱいは厳しいのではないかと予想しております。
    不 動産については、上半期は低調であろう。下半期から回復して来るのではないかと見ております。先ほどの家賃調整のIGPM、IPC、FIPE指数がほぼ同 じになりつつあって、金利がもう一段下がって来れば、不動産販売、投資も増加して来るのではないかと、アパートの販売も昨年同様、高級物件は堅調に推移す ると予想されるが、一般アパートは、政府の雇用政策に期待せざるを得ないと。で、銀行の預け利息が月1%を下回ってくれば、不動産に勢いがついて来るんで はないかと予想しております。
    その他ですが、サンパウロ市内の中古アパートの売買の動きは少ないんですが、家主の言い値は実勢価格よりも倍近い ケースが多いようです。それとサンパウロ都心部の不動産の値段は高止まりして、あまり変化はないんですが、それ以外の場所は高騰傾向にあります。ちなみに パウリスタに面した新しい事務所ビルの場合、売買価格は平米あたり7,000から7,500レアルとなっております。

    サンパウロ旧都心区で不動産価格急騰

    サ ンパウロ周辺の土地も値上がり傾向になっており、2、3年前から倍以上、値上がりしている地区もあります。特にロドアネル周辺については、10倍以上も値 が上がっているところもあります。サンパウロの旧セントロ地区では、州政府が5棟ビルを買い上げ、関係機関を移動させているため、不動産価格が急騰してお ります。それと、日系建設会社の減少により、特にラボ、薬品、食品の日系工場の案件に地元の建設会社が衛生局、厚生省がらみの対応に対しての技術対応力、 政治力を背景に食い込んで来ており、今後も厳しい競争が予想されます。
    それと、世界的にアルミ地金が15%以上値上がりしており、ブラジルにもそ の影響は今後出てくると予想されます。それと、アルミサッシのスペックの統一、規格の統一化は足並みが揃っておらず、また、ガラスも含めた統一規格の必要 性もいわれはじめ、混迷を深めております。以上です。

    司会:
    質問をお受けしたいと思います。いかがでございますか。

    渡辺:
    ちょっと、聞き逃したんですけど、賃上げは8月に12%…。

    清水:
    5月に12%で、8月に6.72%です。これは労務賃金になるんです。

    渡辺:
    これ、年に2回あがって来るんですか。

    清水:
    あの、1回の調整だったんですけど、1回にあげたら、ちょっと影響が大きいと言うことで、2回になりました。

    渡辺:
    ということは、合計18%強。

    清水:
    はい、そうです。

    清水:
    ちょっ と、言い忘れたんですけれども、2月4日付けの会議所からのブラジル経済情報で、Cofinsのアップについて、土木建設については平均22.3%アップ という風になっとりますけれども、実際の建設コストが22.3%アップするわけではなくてですね、税金、政府に対する税金に、今までの比率が、まーあ のー、どういう計算がしてあるか、ちょっとそのー、計算根拠、もう一度、精査しないといけないんですけれども、単純に計算していくと、22.3%ぐらい の、アップで税金分が増えて来ると言うことですね。それが直接、建設コストに影響してくるっていう意味ではないようです。

    司会:
    ありがとうございました。ご質問はございますか? え、よろしいですか? それでは続きまして、電気・電子の方に行きたいと思います。では、盤若さんよろしくお願いします。

  • 電気電子部会  盤若幸男 副部会長(NEC ド・ブラジル)

     

    業界全体の昨年売上12%増予測

    盤若:
    本日は部会長の瀬山さんがご出張のため、代理でNECの盤若から電気電子部会の報告をさせていただきます。
    報告は以下4点に分け説明いたします。最初に03年下期総括、2番目に下期の業界
    ごとの市場、業績分析、3番目にこの04年上期の展望総括、最後に部会としての
    共通課題につき報告いたします。

    最初に前期の総括ですが、まずブラジル全体のこの業界の状況を眺めてみたいと思い
    ます。Abineeの昨年度3Q後の予測で年間ベースでありますが、売上ベースでは、前年比12%増加の63BR,雇用数でマイナス2%、操業度で28%改善となっております。売上増加率の12%を下回った分野は、8分野中電力関連と電機関連の工事
    材料部門だけで、ブラジル全体でも概ね業績は回復していると言えます。また、Jobless recoveryの傾向も同時に見られます。
    ア ンケートの回収率が低くて当電気電子部会としての総括は難しいところはありますが部会としての総括をしたいと思います。売上ベースでは、前年同期比で家 電、電子部品では20~30%の増加、他分野はばらつきが大きく一概にはいえない状況です。業績は計画どおり及びよかったという評価と悪かったと言う二つ の評価にわけますと、ほぼ5分5分で03年上期よりは改善したといえます。また、今回よかったという企業も全体の30%も占めたことは前期との大きな違い です。

    昨年、家電は為替安定で収益改善
    2番目に、下期の分野ごとの市場、業績分析に移らせていただきます。
    最初に家電業界
    数量ベースでは前年同期比、TV43%増量、audioも21%アップ、ビデオ
    +DVD(読み取り機)では61%の増加がありました。金額ベースでは、前年同期比
    で 26%増加(但し白物は含みません)で回復が見られます。02年下期の大統領選挙に関連し発生した金融危機、景気後退から脱し、この下期はリバウンドした といえます。一方、数量ベースでは増えたものの、TV,ビデオ、オーデイオは約10%の価格ダウンがありますが、価格ダウンを越える増量効果、為替安定化 により収益は改善されたと伺っております。また、期初に通常発生する返品もなかったと聞いております。

    2番目に電子部品業界
    会社によりばらつきが大きいのですが、数量ベースでは携帯端末の需要が相変わらず
    旺盛で増量はあったものの、売価ダウンが激しく収益面では厳しかったというある企業、
    他では増量に対応するため、人員増加を余儀なくされ、売価ダウンもあり,収益が圧縮
    された企業もあり、結果としては、この業界でつきものの売価ダウンの激しさが直撃
    したと考えます。携帯端末ベンダー依存からの脱却が大きなテーマと聞いております。

    電力、通信、公共投資凍結たたるが
    携帯電話は競争激化で市場伸長

    3番目に電力及び通信業界
    この業界で共通するのは公共機関または順ずる機関で実質公共投資が凍結されたことから、売上に充分つながらなかった問題が発生しました。
    手前どもの通信業界についてご紹介いたします。まず通信オペレーターのインフラ
    投資は(携帯端末を含まず)約9BRで、民営化ピーク時の2000年の約6割減で
    あります。投資の中身が昨今大きく変わっており、固定系オペレーターはボイス
    からデーターネットワーク構築にシフト、モバイル系オペレーターはGSM技術を
    採用した新オペレーターである、TIM、Oiの参入により、競争が激化し需要
    が喚起され大きく伸長しています。それに伴い、携帯端末の需要は旺盛でありました。
    この結果、昨年8月に通信民営化後5年経過し、携帯加入者数が固定系を超え、年末の携帯加入者数は46百万に達しました。昨年度の加入者の純増は約11百万で,昨年度
    の純増は02年に比べ約倍増でした。
    うちしかアンケート結果がありませんので、全体をあらわすものではありませんが、
    売上は前年同期比63%でありますが、固定費削減と収益重視のプロジェクトの選択と
    集中が功を奏し、業績面では予算を上回ることができました。私どもの業界は通信と
    ITが含まれますが、シーメンスとアメリカのシスコの一人勝ちが相変わらず続いて
    いるということで、日本勢は苦戦しております。

    各業界、上期売上増期待

    3番目のテーマである04年上期の展望
    いずれの業界も売上は前年同期比、維持から20%アップの見通しをたてられております。為替の安定化を含む経済基本政策が今後も継続する前提というより、どちらかと
    言えば、それを期待し見通しを立てられている企業が多数ありました。一方、政府には期待しない大幅変動を見込んでも事業がなりたつよう運営する方針の企業も少数ながらありました。
    経営課題として一番数が多かったのは、コストダウン、2番は同数で営業力の
    強化、固定費維持努力または削減、運転資金の圧縮でありました。課題から判断すると
    市場の回復兆しはあるものの、決して、たずなを緩めないという各社の対応が伺えます。
    新Cofinsシステムの取り扱いについては売価に転嫁する企業が大多数でありました。新製品の投入については、家電の薄型TVがあります。

    FTAがらみ、マナウス税制恩典の前途を懸念

    最後にこの業界の共通課題を参考までに3点紹介します。これはこの上期に限らず
    中期的視野で検討すべきものであります。

    1点目はmake or buyの議論
    古くて新しい議論ですが、需要変動が激しい国で、国産優先、それに相反し部品調達率が低く、恩典が少ない事情がある。企業側では最先端技術を持ってくるにしても
    当地で加工技術のスキルがまだない。この状況下で新製品を国産するか輸入販売するかの議論。家電では液晶、プラズマTVがこれに該当します。

    2点面はマナオスの恩典
    恩典が2023年まで延長されたものの、FTAAでは域外扱いとなり、この恩典維持の先行き

    3点目に中国ベンダーの参入
    韓国勢の台頭は当然ですが、家電、通信、IT業界では中国ベンダーのアグレシッブ
    な対応が日増しに強くなっております。低価格は当然ですが、ファイナンス力、ロビー力は侮ることができず、中国勢参入への対応策をどうするか各社頭が痛いところ
    です。

    中国勢の脅威にさらされる日系家電、通信、IT業界
    そ れと、3点目に中国ベンダーの参入。この分野ではもちろん韓国勢、韓国メーカーさんの台頭は当然でございますが、特に家電、通信、IT業界さんでは中国ベ ンダーさんのアグレッシブな対応が日増しに強くなっております。価格は当然、低価格でアグレッシブなのは分かるんですけども、それ以外にファイナンス力、 ロビー力は侮ることができません。中国勢参入の対応をどうするか、各社、頭が痛いところでございます。以上で終わらせて頂きます。

    司会:
    ありがとうございます。ご質問の方はどうぞ。挙手をお願いします。

    松永:
    Make or Buyの議論について部会での結論はどうなりましたか?

    盤若:
    結論は出ておりません。別の小部会でを招集したいと思います。生産されているメーカーさんは基本的に家電と電子さんで、ほとんどがマナウスでございます。と言うことは、マナウスの恩典も絡めての議論となり、複雑な問題であります。

    ファイナンス面でも中国に負けておれない
    司会:
    どうぞ。はい。

    村田:
    最後のほうで、中国系企業が侮れないと言うお話あったと思うんですが、やはり、やり方としてはお金を「ドン」と持って来て、なんか、もう、めちゃくちゃやるみたいな、そういうところが多いんですか。ファイナンス力っていう意味でもあれなんですけれども。

    盤若:
    ま あ、単純に言えば、ここのオペレーターさんに、バンク・オブ・チャイナからファイナンスを持って来ています。そういう意味では、もちろん日本からは弊社が 非常にお世話になっているJBICさんからのファイナンスを持って来ておりますけれども、条件面でも、若干悪いそうですけれども遜色ない。と言うことは、 やっぱり、今後も我々としては、通信の業界としては、そういう魅力があるファイナンスを、相手さんにもよりますが、継続的に持って来れなければ、やっぱ り、競争が非常に厳しくなると。中国勢の場合、基本的に、まだまだブランドが定着していない、サポート力があるのかという疑問、もちろんありますが、もっ と単純にいいますと、製品そのものが、非常にいいんですね。いいという意味は、例えば、データ関連の機器ですと、アメリカのシスコのコピーなんです。だか ら、悪いはずないんです。要は同じなんです。名前だけが違う製品で、決して悪くないという意味でも侮れないのがこの業界で中国勢の、強さになって来ており ます。はい。

    村田:
    うーん! ありがとうございました。

    司会:
    ご質問ございますか。はい、どうぞ。

    「マナウス協議会」活用の検討を
    田中:
    さっ きの、Make or Buyの問題、マナウスの恩典地区の問題ですけれども、ご承知かどうか、過去に「マナウス協議会」ってのを会議所でつくって、マナ ウスに進出しているところがいろいろ検討して、政府に対して陳情に行ったり、そう言うことをやった実績があるわけですね。いま、それはほとんど活動ありま せんけれども、坂野さんの企画戦略委員会にまだ、「マナウス協議会」の担当が残っておりますんで、もし何かそう言うことを検討して政府と交渉して行く必要 があるんであれば、それを復活させ、活用されたらどうかと思います。

    横山:
    えっ と、先ほど、通信の報告をしようと思ってまして、丁度、今、やって頂きまして、本当にありがとうございました(笑)。 それで、あのー、ご質問するのがちょっと、適当かどうか分かりませんが、いま、我々も困っているんですが、携帯電話のクローンってのがありますよね。で、 この辺の対策っていうのは、何か具体的に進んでいるんでしょうかね。

    携帯電話のクローン化対策

    盤若:
    実 は私も2回やられているんです。結局、クローン化された場合ですね。 例えば私はVIVOの契約なので、VIVO側で番号をアイデンチファイして、えー、 基地局というんですけれども、ラジオの無線機の基地局側でその番号が次は盗まれないようなソフトを組み込むと言うプロテクトはやっております。そういう意 味では、対策は施していつつあります。そういう意味では、クローン化は少なくなると思います。それと、たまたま私が去年の11月に持っていたのは、モト ローラーの端末だったんですけど、古いやつで、いまは別のに変えました。新しいやつでは盗みにくいと言うこともありますから。そういう意味でも、2、3年 前のモデルを持っていらっしゃるなら、最新のやつに変えたほうが盗まれにくいんじゃないかと。まー、ウチは儲からないけれども、他社さんは儲かると思いま すんで(笑)。
    それと、これはTPOの問題ですけれども、いずれにしても、空港側で、機内で切っていたやつを空港のターミナルに着いて車から出て1キロ以内では、やっぱり、パワーオンすると盗まれるケースが多いです。

    XXX:
    空港は多いらしいですね。

    盤若:
    機内で切って、空港到着後、運転手さんにかける場合は注意してください。

  • 食品部会 渡辺英明 部会長(東山農産加工)

    きびしかった03年 - 売上げ軒並み減

    司会:
    お待たせしました。食品部会のほうから、最後、締めて頂きたいと思います。よろしくお願い致します。

    渡辺:
    食 品部会から報告します。まず、昨年の簡単な振り返りをして、2004年の展望。一つ目は景気がどうなって行くんだろうか。しして二つ目は食品の安全の問題 についてお話した後に、食品部会では、特に決まったテーマがなかったもんですから、「2004年、2年目のルーラ政権への期待と要望」を、副題にさせて頂 きました。
    まず、昨年の振り返りですが、前回、去年の7月、ここで報告させて頂いた時、「食品業界が久々に厳しい年になった」というご報告をさせ て頂きましたが、その後、8月になって更に悪くなり、8月は"どしゃ降り"状態で、9月の後半にようやく雨が止んで、日が射すのかなーと思っていたんです が、そのまま12月になり、12月に入っても最初の1週目あたりは全然盛り上がらない。結局、このまま年を越すのかなーと思ったら、最後の最後になって薄 日が射し始めたということで、希望を残して新年を迎えたというのが全体の概況だと思います。
    で、いかに悪かったかを数字的に申し上げますと、まず 食品全体の消費量は4%ダウン。それからスーパー全体の売上ですが、もちろん、これは食品だけではないんですが、IPCAを差し引いた実質売上でやはり 4.5%ダウン。それから、発酵乳を含む乳製品の製造量も7%ダウン、即席麺の総消費量は10年振りに前年を下回る、レストランに至っては来客数で2、3 割のダウン。長年レストランを営んでいるオーナーたちは、創業以来最悪の年と口々に愚痴をこぼしていたという報告です。マクロの数字だけを見ますと、1年 目のルーラ政権は合格点と言えるかもしれませんけれども、景気低迷という大きな課題を残しての1年だっといえます。

    明るさに水さすSelic据えおきとCofins引き上げ
    そ れで、2004年ですが、まず、景気がどうなるかでは、若干、明るさが見えて迎えた新年ですが、年初から非常に水を注されることが起きています。一つは Selic金利の据え置き。二つ目はこれと関連しますが、Cofinsの税率アップであります。特に二つ目のCofinsの税率アップについては、インフ レに相当大きなインパクトを与える可能性が強いと判断しています。毎年この時期、年が変わると各社、昨年のコストアップ分を値上げで吸収しようという時期 に入ります。で、例えば昨年、どういうコストアップがあったかと言いますと、為替が安定していたために輸入、例えば輸入原料で加工している食品メーカーな どは、比較的コストアップなかったんですが、例えば大豆とか輸出競争力のある原料を使って加工している食品メーカーは引き続きコストアップが続いている。 例えば大豆の業者は、去年の12月から今年の1月にかけて、また、値上げを通告していますが、いいところで30%、ひどいところになると、100%と。丁 度、端境期ということもあるんですが、それぐらい、この1月に値上げを通告してきている。

    輸出競争力持つ大豆、ブロイラー、エビ
    で、 大豆の状況をちょっとお話しますが、輸出量は2003年が2,070万トン、前年比で33%増。2004年見込みが2,600万トン、前年比で24%増。 この勢いで来ているために、先ほど中村さんからもお話がありましたけれども、産地から積み出し港への輸送手段とかインフラがやっぱり追いついてこない状況 ですね。それから港湾での設備、倉庫がもう追いつかない状況になっています。加えて、コーヒーの安値が続いたためにコーヒー畑を大豆畑に変える農家も結構 出て来ていると言うことです。
    ついでに輸出競争力のある商品をもうちょっと話しますと、ブロイラーについては、いま、神風が吹いていますが、その 他に養殖エビ。これは2003年が6万2,000トン生産で、前年比で60%増ですが、この95%が輸出に回っています。で、2004年に至っては12万 トン、倍増する予定と言うことです。
    大豆に話を戻しますと、大豆を原料とする加工食品、例えば味噌とか醤油ですけれども、いくら値上げをしても追 いつかない。例えば、手前どもの味噌ですが、去年の1月に15%値上げして、何とかなるかなと思ったら、ドンドン大豆値が上がって、結果的に赤字になって います。で、今年の2月にまた15%あげるんですが、どうも、この勢いだとまた赤字になって終わりそうだと。こんな状況です。
    人件費のアップ。こ れもコストアップなんですが、先ほど建設業界もすごいなと思いましたけれども、当社関連、食品加工業界では、サンパウロでは12.5%ですが、工場のある カンピーナスでは17.5%という賃上げになっております。これはどういうことかと申しますと、9月にカンピーナスは毎年賃上げしてます。2002年の9 月から年末にかけての超インフレがまるまる乗っかった。それで、去年の2003年にそれがまるまる反映して賃上げが17.5になった、と言うことです。
    極端な例かも知れませんが、まあ、この諸々のコストアップを各社、この時期に値上げで吸収したいと考えておるわけですが、このCofinsの税率アップが、こうした値上げをしたい企業に「絶好の口実」を与えたと言えると思いますね。
    Cofins 税率アップについて部会で、どう処理するかって聞きましたところ、全てのメーカーが価格に転嫁するという答えでした。すでに、この税率アップを見越して、 12月に値上げをした会社が1社、1月に値上げをした会社が1社。2月から値上げをするというのが残りの会社ですけれども、こうやって、値上げを発表しま すと。最後まで抵抗して、なかなか手強いのは大手スーパーですが、今回の場合は既に1月の後半から値上げの攻防戦が始まっているんですが、Cofinsの 税率アップという大義名分がありますので、比較的スーパー側もですね、早く小売価格に転嫁するんじゃないかと、いう予測もできるわけです。

    諸コストのアップ、3月のインフレ指数に跳ね返る?
    じゃ あ、どうなるのかという事ですが、1月のインフレ指数のIPCが0.65%と発表されております。いままでお話した流れに沿いますと、いま、スーパーと価 格攻防戦をやっていますが、これが大体片付いてスーパーが小売価格に転嫁する2月末から3月ぐらいに、インフレ指数に跳ね返って来るんじゃないかと予想し ております。従いまして、一応、政府のインフレ目標のIPCAで5.5%ですか、これはひょっとすると軽く超えちゃうんじゃないかな、と心配しておりま す。そうすると、どういうことが起きるかというと、中銀は金利を下げないでひょっとすると上げるかも知れない。ということは景気が回復しない悪循環にな り、去年と同じ事になるかも知れないというのが心配です。まあ、我々、企業経営側からすると、多少のインフレはあって仕方のないことで、むしろ、金利が高 止まって、消費が伸び悩む、売上が伸びないって言う方が、よっぽど、企業経営としては厳しいことなので、このCofinsの税率アップがかなりインパクト をもって、インフレに跳ね返るとまた、景気が低迷するんではないかと心配しております。

    食品安全
    ブラジルもしっかりした品質管理体制が必要
    食 品の安全についてお話しますが、ブラジルの農産物は非常に輸出競争力がついたけれども、これは単純にレアルが切り下がっただけではなくて、やはり、品質が 良くなって来ている点も見逃せないと思います。しかしながら、昨年、コーヒーの農薬問題が日本への輸出時に発生するなど、依然として問題も多いわけです。 他国の例ですが、タイの政府は2004年を「食品安全年」としてキャンペーンを展開中というが、ま、現在、鳥インフルエンザが出ているので、例としてはあ まり、タイミング良くないですが、国内5ヵ所に年間40万件の検査を行える体制を取ったりして、実現できれば、品質管理体制に対しての国際的な信頼が高ま ることを期待していると言うことです。ブラジルも世界における大きな食糧原料供給国としてしっかりした管理体制を敷いて行けるかどうかが、今後の輸出拡大 のポイントになっていくと思います。

    為替安定、税制明瞭化と簡素化を希望
    「2004年、2年目のルーラ政権への期待と展望」ですが、景気の回復は共通の課題として今日は話しませんが、一つ目はやはり為替のことです。
    1 年目、為替が安定して非常に良かった。まあ、相場自体が悪かったところもあるでしょうが、じゃあ、適性な相場がいくらかと申しましても、これは立場によっ て全然違うわけで、輸入原料を加工している食品メーカーは、まあ、2.7ぐらいで十分だと。輸出を中心としているメーカーは、3から3.3は欲しいと。た だ、いずれにしても、乱高下のない安定した為替が望ましいというのが共通した意見でした。
    最後にもう一つですが、税制の明瞭化、簡素化を何とかしてくれないかと、いうのがありますね。景気回復策の一環として、一部の工業税、IPIの税率を下げるかと思うと、今回のようにCofinsの税率を上げてくると、非常に矛盾したことが起きている。
    で、 今回のCofinsについても、例えば、2,400万レアル以下の売上で、売上から利益を推定して法人税を納めている会社には特例として税率は3%のまま とか、それから仕入れが輸入品を原材料としている大手企業とかサービス業とかは、もともとCofinsがないですから、もろに上乗せ分が跳ね返って来ると いうようなことで、非常に複雑であります。しかし、複雑であるが故に、結局、何%かっていうのは、相手側には分からないわけで、絶好の便乗値上げの材料に もなってしまうと言うことです。以上、食品業界、食品部会からの発表です。
    最後に私も3年間、この部会長懇談会、出席させてもらいましたが、今回を持ちましてめでたく引退する事となりました。3年間、どうもありがとうございました。

    司会:
    ありがとうございました。とともに、ご苦労様でございました。それではご質問を受けたいと思います。

    金融機関だけでなく、下々の国民も幸せにしてよ

    赤嶺:
    引 退じゃなくて真に残念なる勇退をなさる、渡辺食品部長のお話を伺いしながら、ずっと考えてきたことがあります。後で中村金融部会長にもお答え頂きたいと思 うのですが、ルーラ政権が今までやって来ていることは、「高金利で銀行だけを、金融機関だけを幸せにしているじゃないか。私ども、下々の国民もどうか幸せ にしてよと」と、こういうことを申し上げたいのですが、国民を幸せにするにはまず懸案の持続性のある長続きのする経済成長、それから、雇用促進、さらには 貧困対策、最後に美味しいごはんを国民に食べさせる。渡辺部会長の目指してきた事だと思うんですが、その辺り、渡辺さん、勇退なさる間際に、肝心の一番懸 案である持続性のある経済成長、そして、国民に美味しいごはんを食べさせると言うような、見通しは実現するのでしょうか。一つ、忌憚のないご意見をお願い したいと思います。

    渡辺:
    まあ、あの、1年目の ルーラ政権を振り返ってみて、やはり、一番、そのー、問題だと思ったのは、インフレに異常に固執しているという点でありまして、経済成長が出てくれば、イ ンフレが出てくるのは、多少、やむを得ないということなんですけれども、インフレばかりを気にして結果的に経済成長が損なわれたと言うことです。従って、 もし、今年も同じ考え方で行くのであれば、残念ながら、また、去年のような不景気が続く可能性が強いと。ですから、ある程度割り切って5.5%を突破して もですね、まあ、10%ぐらいになってもいいじゃないかと、その代わり、景気が良くなったと言うような政策を私としては、個人的には望んでおります。

    銀行は経営努力で儲かっているのです
    村田:
    私、 あのー、金融部会の副会長で、部会長は今日、所用で来れなくて代理でございます。えー、貸し出し金利の高金利政策っていうのは、やはり、我々の業界として も、下がるべきだと思っています。実質金利が高いのがこの国の経済成長を阻害している一番大きな、ものの一つですから、これは、全員の努力で下げて行くも のだと認識しております。その過程のなかで銀行、金融業界としても出来るだけのお手伝いをして行こうと思っておりますが、銀行だけが儲かっていると言うこ とに関しては、まー あのー、どうかなと。経営努力をしながらやっておりますので、その辺は、誤解のないように。あの、下がっていくみんなの気持ちは一緒 だと、言うことですので、よろしくお願いします。

    赤嶺:
    大変失礼致しました。中村金融部会長と冒頭申し上げましたけれども、村田副部会長の誤りでした。平に訂正の上、お詫び申し上げます。

    赤嶺:
    大変失礼致しました。中村金融部会長と冒頭申し上げましたけれども、村田副部会長の誤りでした。平に訂正、お詫び申し上げます。

    司会:
    ほかにございますか。

    渡辺:
    先ほどちょっと、二宮さんの質問を遮っちゃったんですけれども、こんなとこで何か参考になりましたでしょうか。Cofinsの。

    司会:
    今 日はこれまでお話を伺って、いくつか共通のテーマ、我々の直面する課題が出てきたと思います。ただ、いまのような政金の話になると商工会議所が束になって ブラジル政府に文句を言ってもですね、何か、すぐ、改善されることはない。でも、ない中で、何かやっぱし、どういう風にしのいでいくか、工夫していくかと 言うところは、何か余地があるのかなと言うことで、今日、いろいろ聞かせて頂いた話はまた後ほど、ホームページに掲載する形で皆さんにもお目に掛けます し、また、坂野さんともいろいろと相談して、どういう格好で、この後、我々の活動につなげて行くかと言うことを考えて行きたいと思います。
    それでは、最後に総領事にコメントを頂く前に、ブラジリアのほうから、ブラジリアの大使館から笹本様がお見えでございますので、何か、お気づきの点なり、感想などありましたら、一言、お話を頂きたいと思います。

    米利上げでも途上国への資金流入がパタツと止まる事はなかろう

    笹本一等書記官:
    笹本でございます。私、いつもブラジリアにおりまして、なかなか、あの民間の方々からのご意見を伺うことがありません。今日は本当に参考になりました。ありがとうございました。
    それで今年の成長の話なんですが、まあ、国内の要因っていうのは、特に問題になることはないと。あと、先進国の場合はですね、久しぶりに日米欧がそろって今年成長するだろうと言われていまして、で、非常にブラジルにとってはフォローの風が吹いている年だと思うんですよね。
    た だ、2点、皆さんもおっしゃられた通り懸案があって、アメリカが利上げ局面に入ることによって、途上国への資金が細るんではないかと言われているのが一 つ。もう一つは、まあ、最後にお議論になりましたインフレの話なんですが、そのー、アメリカの利上げについては、確かにこれから引き締めの局面に入って行 くのでしょうが、しかし、それほど急激ないわゆる、途上国への資金の流入がぱたっと止まる事はまずないだろうと、いうのが大方の見方です。
    問題な のはインフレで、これはいろんな見方があって、中銀サイドとか一部のエコノミストは、いまのインフレの圧力はあくまで一時的であると。むしろブラジルは長 年、景気低迷が続いたので、生産余力というのは相当あるはずだと。従ってインフレの圧力はそんなに強まらないと言うのが一つの説ですね。
    ところ が、一方で今日、皆さんからご意見を伺ったところ、例えば賃金の圧力ですとか、Cofinsという要因があって非常にその価格面に転嫁が行われていると。 一昨日だったと思うんですが、ジルセウ官房文官長が企業に対して、安易な値上げをしないように警告した。で、きょう皆さんからお伺いしたところだと、どう もその、インフレの圧力は一時的なものではなくて大分、長く続くんではないかと言うことですね。実はこの、インフレに対して皆さんからいろんなご意見が あったんですが、むしろある程度のインフレは許容してもですね、成長すべきだと。これは一つの意見なんですね。ところが一方でインフレっていうは弱者に対 して非常に苛酷ものであると。例えば、昨年、そのインフレが10%から20%になったにも関わらず、賃金はほとんど上がっていないですね。ですから、実質 の所得っていうのは大幅なマイナスになっていると。これが去年の急激なリセッションになった大きな要因の一つだと思うんですね。だから、その5.5%とい う数字に拘る必要はないと。これは確かにその通りだと思うんですね。で、実際、そのインフレも上下2.5までは許されていると。ですから、8%までは、ま あ、許されるんですね。ただ、皆さんがおっしゃるように、ブラジルでは非常に安易に価格に転嫁する傾向があるので、中銀としては非常に悩ましい局面であ るって言うことは確かですね。ただ、非常にそのインフレの圧力が強く、利下げの幅が限られるとなると、成長も中途半端なものに終わってしまう。いま難しい 局面に向かっているところです。すみません、何か、まとまりのないことを申し上げまして、以上です。

    石田総領事の講評

    司会:
    ありがとうございました。それでは、最後に、総領事の方から、講評を頂きたいと思います。

    石田総領事:
    講評というような大それたことが出来るかどうかは別として、印象を述べさせて頂きたいと思います。
    今日は本当に、商工会議所の11もある部会からそれぞれ詳細なご報告を承って、私も、そう言うことを初めて聞く機会をもって、非常に参考になりました。本当にありがとうございました。
    も ちろん、ルーラ政権が就任以来とってきたいろいろな経済政策は、各部会によって、それぞれ受け止め方は違うと思いますし、また、各業界に与えている影響も それぞれ、違うと言うことはよく分かりましたけれども、全般的な評価としては最初に桜井コンサルタント部会長が、「当初の懸念を払拭して堅実な経済運営を 行ってきた。1年目は相当、前政権の政策を引き継いで経済安定のほうに力を入れて、そのために経済成長をある程度犠牲にしてきた面がありますが、そのため もあって、今年はかなりな高成長が望めると。そういう基盤を築いたということで、私は一般的に評価できるのではないかと」、いう風に言っておられたことに 私は賛同したいと思います。同時に桜井部会長が「ブラジルは非常に変化をしている。いい方向に変化している」と言われましたけれども、この点についても、 私は、同意致ししたいと思っております。
    それから、何人かの方が、FTAのことについて若干、懸念を表明されておりましたけど、中村貿易部会長 が、「まあ、日墨のFTAの状況もあって、日本のFTA政策がアジアシフトになるのではないか」と言ったようなご意見がありましたし、それから、自動車副 部会長からも「ブラジルがFTAに熱心なのにも関わらず、日本の対応に苛立ちを感じる」という風な意見がありましが、なかなかこの点については、クリアー な角度のお返事ができないけれども、別に日メキシコのFTAが若干、頓挫していると言うことで、その影響でアジアシフトになっている事はないと思います。 最初からですね、順序からいうと、メキシコの次はアジアだと言うことになっていますから、これは誤解のないようにして頂きたいという風に思います。
    さ らにこの問題については、金岡FTA委員長にきちんとした報告書を作って頂き、それに基づいて、今年の春には、政府に提言を出して頂くことになっている と、理解しています。さらに日本政府に対して現地の声、それから、現地の元となる親会社の声を、経済界の声を政府にドンドン反映して頂いて、圧力をかけて 頂ければという風に、考えております。
    それから、皆さんのご報告を聞いておりまして、やっぱり、いろんなところで、中国の進出、中国の存在感、影 がかなり大きくなっているなと言う風な感じが致しました。貿易部会からも中国に対する去年のブラジルの輸出が2倍以上に伸びているような話もありました し、化学品部会、機械金属部会から、中国の攻勢に対する懸念が述べられておりましたが、私どもも近来の中国の積極的な攻勢は非常に注目に値すると。だから そのう、対抗してどうこうって言うのではないんですけれども、事実として、やはり中国が非常に、対ブラジルシフトを強めているのは、私どもも強く感じると ころです。
    それから、最後になりますけれども、これも桜井コンサルタント部会長が「今年は日伯関係にとっておもしろい年、期待できる年になる」と 言っておられまして、私どもも、是非、そうなったらいいと思っておりますが、まだ具体的に決まっているというのは、そんなにありません。ま、アルキミン知 事が日本に行かれるのは、日本政府が招待をするということで4月の後半、確実にこれは決まっております。それから、おそらくアモリン外務大臣が3月ぐらい に日本に行くじゃないかと言う期待を持っております。しかしながら、それ以外の、ルーラ大統領が日本に行く話であるとか、あるいは、日本から小泉総理が来 られるという話は、もちろん、可能性はかなりありますが、それは今の段階で、確かに決まったと言えないのが非常に残念なところでございます。是非ですね、 そういうチャンスがありますし、そこのところは、もちろん、我々も東京サイドには、プッシュをして行きたいと思いますので、実現することを期待しつつ、私 も努力したいと思います。私のほうからは以上です。本当に今日は皆さんの、あの、各部会の率直な見解を聞かせて頂きまして、大変参考になりました。本当に ありがとうございました。

    司会:
    どうも、ありがとうございました。

    「部会長懇談会」をいま一歩発展させたい

    司会:
    では、閉会にあたりまして、坂野企画戦略委員長から、あいさつさせて頂きます。

    「部会長懇談会」をいま一歩発展させたい

    坂野:
    今 日は長時間にわたり、ありがとうございました。当初、出席数が足らず心配していましたが、これだけの人数の方々に参加いただき本当にありがとうございまし た。今回、私も総務委員長の浅賀さんと並列になっていますが、ほとんどの準備は総務委員会と商工会議所の事務局の皆さんに準備していただき、私はほとんど 何もやっていません。私が今回(主催者として)入っている理由を一つだけ説明し私の挨拶を終わらさせて頂きます。
    従来、"部会長懇談会"は前年度 の回顧及び本年度の展望について、皆さんで情報を交換し、それぞれの業界・部会がおかれている立場を確認することが主体でしたが、その後のフオローが商工 会議所として不足しているのではないかとの反省もあり、今回の形式を取ったものです。先ほど浅賀さんからも説明がありましたとおり、中身によって会議所だ けで出来るのもありますが、会議所だけではなく、本日ご出席いただいた総領事館、大使館および他国の商工会議所との連携でやれることが多々あるのではと 思っています。本日の皆さんの発表で会議所、日本政府に対する要望がありましたが、まず行動することで本日のサマリーをして、会頭とも相談しながら優先順 位をつけてやっていきたい思っております。既にFTAなどはスタートしていますが、これ以外にどのようなことが行動に移せるのかを考えて生きたいと思って います。本日はどうもありがとうございました。

    司会:
    どうも、長時間、ありがとうございました。

    -終わり-

    部会長懇談会寸描
    浅賀名司会。会議所の更なる活動活性化に結びつけるための材料を求めて坂野委員長の的確な質問。時間係の赤嶺副委員長は時計とニラメッコで、質問を忘れるほ ど。各部会長は「我が部会」のためにと、発表内容を濃くし懸命の奮闘だが、殆どに「チーンチーン」と制限時間接近を警告するかねの音。時間オーバーで遂に レッドカードを出され、無念の発表中断やむなきに到るケースも見られた。

2003年下期業種別部会長懇談会

当所恒例の総務委員会(遠藤委員長)主催「業種別部会長懇談会」は、7月31日午 後3時~6時、安田保険講堂で開催された。テーマは、「ブラジル経済2003年上期回顧と下期展望」。経済地域間、あるいは2国間の自由貿易協定締結が世 界の趨勢である事から、日本が南米市場から疎外されるのを未然に阻止するための日伯間、あるいは日、メルコスールFTA問題がクローズアップしており、同 問題について、日伯経済交流促進委員会の金岡委員長(ブラジル伊藤忠)が説明した。

今回は訪伯中の後藤博子参議院議員(大分県、自民党、女性局 次長)を迎えて各部会長の発表に一段と熱がこもった。田中会頭(リベルコン・ビジネス)が日系進出企業の今日までの進出の経緯、現状をのべた。司会は遠藤 委員長(安田保険)。当日の部会発表は下記部会長、副部会長、部会長代理の11名。

 

・ コンサルタント部会長 西川悦治(個人)

・ 金融部会長代理    小原修司(ブラデスコ銀行)

・ 貿易部会長      柳田武三(ジエトロ・サンパウロ)

・ 化学部会長      新井章夫(ブラジル北興化学)

・ 機械金属副部会長   浅賀健一(日本スチール)

・ 繊維部会長      福島良和(ブラジル鐘紡)

・ 食品部会長      渡辺英明(東山農産加工)

・ 電気電子部会長    瀬山雅博(パナソニック・ド・ブラジル)

・ 建設不動産部会長   清水邦保(ブラジル竹中工務店)

・ 運輸サービス部会長  横山幹雄(日本航空サンパウロ支店)

・ 自動車部会副部会長  伊藤一廣(NGKド・ブラジル)

 

左から赤阪総領事、後藤参議院議員、遠藤総務委員長(司会)、田中会頭

 

  • 田中会頭、日系進出企業略史をのべる

     

    司会 総務委員長の遠藤でございます。議事進行面でよろしくご協力をお願いします。
    開会に先立ちまして田中会頭より、本日のゲストの方々の紹介も含めごあいさつ頂きたいと思います。よろしくお願いします。

    田中 本日は特別ゲストとして常連の赤阪総領事がOECD(OCDE=経済開発協力機構)事務局次長にご栄転、赴任前のご多忙中にも関わらずご出席いただいてお り、さらに日本からご来伯中の参議院議員、後藤博子先生にも超タイトなスケジュールをやりくりしてご出席いただきました。
    後藤先生は1982年から85年まで技術者のご主人とともに、JICAの支援によりマナウスに工業移住、マナウス日伯文化協会の日本語学校で日本語や日本文化につき指導された経験のあるブラジル通であられます。
    2001年、自民党に招かれて参議院議員に大分選挙区より立候補され、新人ながら二人の強力な反対候補を大きく引き離して、約60%の得票率で当選された新しい時代にふさわしい政治家であられます。

    さて、本日は当ブラジル日本商工会議所の最大行事である「業種別部会長によるブラジル経済の回顧と展望の懇談会」。年2回実施となっており、今回は2003年上期を回顧し下期を展望するもので、この機会に簡単にこの懇談会の歴史を紹介させて頂きます。
    現在のみなさんには想像が難しいと思いますが、1970年代初め、ブラジル経済の奇跡と言われた時代、欧米企業に伍して日本企業もブラジルへ怒涛のように 進出しました。当会議所もそれに対応して組織改革を行い、業種別に10部会がつくられ、会員会社は必ずいずれかの部会に所属することになりました。昨年、 機械金属部会から自動車部会が独立して現在は11部会になっております。

    70年代のブラジル・ブーム時代

    日本の対伯直接投資は各国中3位だった

    私事にわたり恐縮ですが、その時、ここに今日もおられる山田監事会議長と私がコンサルタント部会創立に参画し、私が初代部会長に就任しました。部会長懇談 会はそれから間もなく開始されたので、30年の歴史をもつ行事ですが、当初はコンサルタント部会の行事としてコンサルタント部会長が司会役をしました。そ の後、会議所の組織に総務委員会が新設され、同委員長が司会する会議所全体の行事となり今日に至っております。
    1970年代のブラジルブーム時 代、各業界の名のある企業ばかりでなく、中堅、中小企業も含め数百社進出しました。その後、かなり撤退したが、現存する日本企業の半数以上は70年代に進 出しております。日伯間には80年代、90年代と20年にわたる不幸な失われた時代が続きました。80年代はラテンアメリカの債務危機によるブラジル経済 の停滞。90年代は日本企業のバブルの崩壊であります。とくに90年代、ブラジルは開放経済への転換、積年のハイパーインフレの克服に成功したことなどに より、欧米企業が積極的に進出したのに対し、日本企業は立ち遅れました。 日本企業のブラジル向け直接投資は、国別順位で1995年まではアメリカ、ドイ ツ、スイスなどに伍して常に3位ないし4位を占めておりましたが、最近は10位ないしは10位以下に転落しております。

    最近10年間の 日伯貿易、とくにブラジルから日本向けの輸出は年23億ドルベースから21億ドルと絶対額でも減少しており、ブラジルからその他の地域向けは、米国向けは 倍増、ヨーロッパ連合(EU)向けは50%増、日本を除くアジア地域向けは2.3倍増と増加しております。当会議所会員会社数でみますと、70年代から 80年代のピーク時には総数約350社、そのうち日本企業は約220社でありましたが、今日総数が280社のうち日本企業約160社となっております。会 員数が減少しているのは日本だけで、米国会議所会員数は増加を続けて現在約5000社、ドイツは1000社と言われております。
    かつて日伯経済 協力の代表的存在であった石川島播磨重工のイシブラスは南米最大の造船所でしたが、現地資本に売却、撤退しました。ナショナルプロジェクトの代表、ウジミ ナス製鉄はその後民営化の際、期待された日本勢が参加せず、日本の出資シェアはかつての40%から現在18%に低下しました。日本が6億ドルの資金を投入 し、今や世界第2の大豆生産国となったブラジルの年間4200万トンのうち60%を生産する「セラード開発」も最近継続が断念されました。

    日本の投資は中国中心にアジア集中

    伯では明るい話題出てきたがFTA懸念

    日系現地企業でも日本人が設立し日系人が経営してきたブラジル最大のコチア農業協同組合も経営不振に陥り清算されました。コロニアの象徴的存在であった南 米銀行も身売りされました。かつては日本人街といわれたリベルダーデ地区も今やチャイナタウン化しつつある様相を見せ始めております。
    悲観的な 話しばかりですが、明るい話しも最近若干は出始めております。1つは、トヨタ、ホンダの乗用車生産開始。まだ年産規模は4~5万台と少ないが、将来を見越 して関連企業も徐々に進出しつつあります。2番目は日伯合弁のナショナルプロジェクトであったパルプのセニブラを、日本の製紙メーカー連合が100%取得 したこと。3つ目は川崎重工のエンブラエル社の飛行機翼生産への参加です。4番目は、三井物産による鉄鉱石のカエミ、及びリオドーセへの参加などです。し かし全体的に、日本の目は中国を中心としたアジアに集中しております。欧米企業と比較して、日本に最も欠けているのは戦略的な見方です。とくにグローバル 化時代の、しかも広大なブラジルに対してはそれが必要です。現在、早急に着手すべき具体的な問題はブラジルとのFTA、自由貿易地域交渉です。日本は世界 貿易機関(WTO)を通じる多国間協定を方針として来たが、最近世界の傾向は複雑化するWTOよりも2国間FTA交渉が主流になっております。ブラジル関 係でもキューバを除く米州34カ国を包含するFTAA、すなわちAlcaが2005年成立を目標に進んでおり、これに対抗して欧州連合(EU)がメルコ スールとのFTAを1年早い2004年成立を目指して交渉を進めております。
    これらがスタートすれば、日本企業はメキシコでと同じようなダメー ジを受ける可能性があります。当会議所は日伯経済交流促進委員会が中心となり、メキシコの事例研究、電気電子業界及び自動車業界の事情研究などをすでに行 い、これから日本、ブラジル間のケーススタディや政府に対する具体的提案に入っていく予定であります。

    新しい日伯経済関係構築

    ナシプロ終り民間企業主役

    私はブラジルは戦略大国という読み方をしております。1つは21世紀に確実に予想される食糧不足を控え、供給力のあるのは米国とブラジルなどごく限られた 国々であります。2番目は石油ショック時代、ブラジルの石油自給率は10%台にすぎなかったが、開発に努めた結果、現在は約80%に達しており、今後数年 で完全自給でき、さらに輸出可能となる見込みです。3番目は石油ショック当時、燃料代替としてアルコール燃料を開発、80年代は生産する自動車の90%が アルコール車だったという経験と技術を持っております。最近、環境問題から再びアルコール燃料が注目されていることはご高承の通りであります。4番目はブ ラジルはIT大国で、これはあまり知られていませんが、すでに10年前から電子選挙を導入、今では完全に定着しました。とくに、全国5500の市長及び市 議会員選挙を一斉に整然と実施し、同じ時期に米国大統領選挙の2カ月以上のもたつきに比べて2時間で結果が確定対照的でした。その他、税務申告、納税、免 許証登録など殆どの行政事務がインターネットで可能となっています。5番目は銀行の不良債権処理、金融システムのリストラをすでに95年に済ませており、 日本の遅々たる動きに比べて対照的であります。

    70年代と異なり、今日はナショナルプロジェクトの時代ではありません。日伯経済関係親 密化の主役は民間企業であることは言うまでもありません。日本のブラジルにおけるプレゼンスのじり貧状態が続けばどうなるかは、日本企業ばかりでなく、日 本の政、官、財、マスコミなど関係者すべてに認識してもらうことが必要であります。すなわち、戦略的な認識が不可欠であります。ブラジルをよくご存じの後 藤先生に、そのための橋渡しをお願いできればこれに過ぎるものはありません。

    最後に、ご多忙中ご出席されました後藤先生、赤阪総領事以下 総領事館のみなさま、会員及び一般の方々、またこの準備のため努力された遠藤委員長をはじめとする総務委員会のメンバー、会議所事務局のみなさん、また素 晴らしい会場を提供して下さった安田保険会社の方々、それから申し忘れましたが大使館から笹本書記官もおみえ頂いております。皆様方に対して厚くお礼申し 上げます。以上で私の挨拶を長くなりましたが終わらせて頂きます。ありがとうございました。

  • 後藤参議院議員あいさつ

    日伯経済交流促進に尽力したい

    司会 後藤議員並びに赤阪総領事には発表後の、そのご講評をお願いしたいと考えてましたけれどもご両名とも、夕刻以降のスケジュールの都合があるということなので、先にご挨拶いただきたいと思います。後藤議員、よろしくお願いします。

    後藤 みなさまこんにちは。ご紹介いただきました、参議院議員の後藤でございます。本日、日本商工会議所の部会長懇談会に出席させていただき、ご挨拶の機会をいただきましたことを重ねてお礼を申し上げます。ありがとうございます。

    本日集まった方々は、ブラジルの経済を引っ張っていくというか、代表される方々ばかりだと聞いており、私と致しましても本日、このようなチャンスに恵まれたことを、本当に嬉しく思っております。

    私、13年度、2年前に、国会議員になったばっかしで、まだほやほやの駆け出しでございますので、本日はあの、皆様方のお話をお伺いしながら、いろんな勉 強が出来れば、これに勝る、感謝の喜びは私としてはありません。私は今回、こちらに先ほどご紹介いただきましたように、「戦後移住50周年記念」の式典参 加のために、やって参りました。いま田中会頭からお話がありましたように、私はマナウスに3年間ほど住んでおりまして、その時は主人が技術者だったもんで すから工業移住をさせていただき、私はその家族の一人として、マナウスに3年間住んでおりました。まさか19年ぶりに、国会議員としてブラジルの地を訪れ るということは、本当に予想もしていなかった状況でございます。私と致しましても、非常にありがたく嬉しく思っておりまして、みなさま方の今日のいろんな お話を聞きながら、何かお役に立てることがあるのではなかろうかと、そういうことも考えてやって参りました。

    現在ブラジルは、アメリカや EUなどと自由貿易協定の締結に向けて交渉中です。また、中国との貿易も急増中と聞いております。こうした状況の中で、今年の春でしたか、サンパウロで開 催されました「日伯の経済合同委員会」では日本とブラジルの自由貿易協定について検討すべきという、提言がなされたことも伺っております。私も日伯議員連 盟に所属する議員の一人と致しまして、日本とブラジルの経済交流促進に微力ですけれども、尽力するつもりですので商工会議所のみなさまとは今後も連絡を密 に致したいと考えております。ご相談とかご要望がございましたら、このような私でよろしければお気軽にご連絡いただければ幸いだと思っております。私もま だまだ慣れないことがたくさんございますので、皆様方のご指導を賜ればありがたいと思っております。最後になりましたが、ブラジル日本商工会議所の益々の ご発展と、ご当地日系社会のご活躍を願いまして、簡単ですけれども私のご挨拶とさせて頂きます。本日は本当にありがとうございます。よろしくお願い致します。

    司会 ありがとうございました。後ほどFTA問題について、日伯経済交流促進委員会の金岡委員長の方からご報告があるかと思いますので場合によっては、きつい要求が出るかも分かりませんのでよろしくお願いします。赤阪総領事、お願いします。

  • 司会の言葉

     

    部会長、副部会長並びに部会長代理発表

    テーマ:「2003年上期回顧と同下期展望」 


    司会:遠藤総務委員長

     

    30%のインフレを収束傾向

    金利引き下げで下期期待か

    本日の議題、「ブラジル経済2003年上期の回顧と下期の展望」では、各部会で集約された意見を発表して頂きますが、発表の時間はお一人10分程度でお願 いしたいと思います。皆さん非常に雄弁な方ばかりですが、発表内容は後日、商工会議所のホームページにも掲載されますので、本日はエッセンスの部分だけ集 中して頂ければと言うふうに考えています。途中、コーヒーブレイクを挟み全部会の発表が終わりましたあと「自由討論の時間」も設けたいと思います。最後に FTA問題の検討状況について金岡委員長の報告も予定しております。

    それでは本題に入ります。まず2003年 上期の展望は、年初の第一回部会長懇談会で、討議され総じて史上初めての労働政権への不透明さがあり、慎重論が大半を占めていたと思います。現実開けてみ てどうだったかって言うと、年初1月~3月まで12カ月累計で30%を超えるという大きなインフレがありまして、このインフレ抑制に経済政策の主眼がおか れて来たと思います。その結果、高金利、高失業率、所得低下といった経済環境の悪化という事態に陥っており、まあ、部会でも同様の部門、金融部門を除きま しては、非常に苦しい6カ月であったというのが実情ではないかと思います。

    そうは言いながら、最近になりイン フレも収束傾向を見せ、金利の引き下げもあり「下期に期待する」ところが大きいのかな、と推測しております。それでは各部会の発表に移ります。まずコンサ ルタント部会から順番に行きたいと思います。マクロの状況をコンサルタント部会の西川さん、よろしくお願いします。

     

  • コンサルタント部会 西川部会長


    西川部会長

    西川 コンサルタント部会の方ではマクロ的な面を説明するようにという事ですが、数値的な面は金融部会の小原さんにお願いしまして、大きな流れといいますか、イ ベントとして特筆すべきことを中心に、我々のみたところを説明したいと思います。 大体上半期、下半期ともに政治と経済の2つの面に分けて説明させて頂き ます。

    皆様ご承知のように、今年の1月に政権を執りましたルーラ政権、ほとんどの人がかなりの危惧をもって成り行きを待った、見つめたと思います。ところが結果は予想以上の好評を受けた。とくに外交面においてルーラ大統領の働きぶりが非常に立派だったと思います。
    国内面では2つの出来事が非常に重要だったと思います。第一は去年、政権を執る前に連立政権に取り込もうとしてうまく行かなかったPMDBを時宜的に取り込んだ。これはかなり大きな政治的効果があったとして、大統領の政治力を評価すべきだと思います。
    第二には特に、全州知事をまとめて、社会保障制度改革実現のために自分の陣営に引き込んだ。この二つが特筆すべき国内的な政治面での動きじゃなかったかと思います。

    財政1次収支黒字目標引き上げ

    国際金融マーケットが伯に好感

    経済面では、上半期は去年の不安、去年はルーラ大統領候補の人気がどんどん強くなっていく選挙戦のなかで、非常にドルが高騰した事に象徴されるように、非 常に不安定な経済の動きでした。それを引きずって上半期は非常に苦しい余り効果のない半期だったと思います。ところが1月の確か20日前後と思いますが、 財政プライマリ-収支の黒字をIMFとの間でそれまで3.75%で前政権がアグリメントしていたのを4.25%に上げると声明した。これを契機に国際金融 マーケットのブラジルに対する見方が大きく転換したと思います。ですから私は、今年上半期の一番大きなファクター、評価すべき点はこういう決定をした事だ と思います。
    その結果、それまで殆どボンド発行が出来なかったブラジルが、どんどん発行出来るようになり、第1四半期に50億ドルぐらいの借入れが出来た。それによって、国際収支面の当面の不安が消え、明るい見通しが立ったという事です。
    その間、例のイラク戦争に象徴される国際経済面での不安定要素がありながらもブラジル国内では、ドル相場がどんどん下がってきた。ブラジルのリスク指数、それとインフレ指数も徐々に下がりだした。
    株価の方も3月頃から少しずつ回復し、ブラジル債務も格上げされる様になってきた。これは先ほど申し上げた財政プライマリ-収支の黒字面を自発的に上げる約束が大きなファクターだと思います。
    しかし、世界的に景気は一向に改善せず、ブラジルの失業率は益々増大する。消費は上半期全体を通じてかなり落ちた。ですから経済全般の成長率は期待するほどではなかった。

    次に下半期ですが、政治面では殆どの人がそう考えられると思いますが、国会における構造改革、とくに社会保険制度、それから税制改革。この2つが下半期の 1番大きな関心事になると思います。この結果によってはブラジルの経済・社会の将来に対して、非常に大きな影響をもたらすという事でしよう。第2番目に は、土地なし農民(MST)の動き、あるいはホームレスですね。このMSTのこの動きが益々活発化しておりますし、これからも先鋭化する可能性は非常に高 いと思います。これはルーラ政権としては難しいでしょうが何としてでも解決せざるを得ない。これを来年まで持ち込むと解決はますます難しくなると思いま す。この下半期では、なんとか目処をつけて解決策、解決の方向にもって行けるように期待したいと思ってます。そのほか、国際的には上半期の成果を引き継い で、かなり積極的な対応をすると思いますが、むしろ下半期は国内問題に集中してもらいたいと期待しております。

    米景気回復頼みの伯経済

    経済の方は世界的にみて、大きく好転するという期待は難しいだろうと思っております。先進国ではデフレの方がむしろ心配で、低金利政策とかいろいろやって おりますが、簡単には解決しにくいと思います。アメリカも財政収支、それから経常国際収支赤字が未曽有の大きさになると言った問題もありますが、ブッシュ 政権がとった大幅減税の効果もぼつぼつ顕在化しているようで、アメリカの景気が立ち直ればブラジルの景気も少しは良くなると期待しております。
    また、国内的にはブラジルもデフレ的な要素、数字を出しており、インフレが収まって行き、それに応じて金利のカット、それから強制預託金率の引き下げ、そういった金融緩和政策を中央銀行がとっていくので、少しは景気が良くなると期待しております。
    輸出面では、農産物の輸出が端境期で落ちますので、下半期に大きな黒字、貿易収支の黒字は期待できないでしょうが、黒字基調はあまり変わらないと思っております。
    為替相場も現在のように外貨の調達が難しくなければ、それほど大きな高騰はないと思いますが、ブラジルは国際収支面がアキレス腱で、何かがあれば敏感に反応する部分ですので、為替相場の動きはやはり注目して行かなければと考えております。
    簡単に申しますと下半期は、来年はもう少し景気はいろんなものを含めて良くなると思いますが、それまでのまあウォーミングップ、そういう時期じゃないか と。「直接景気の動向が良くなった」と言うところまでは難しいかも知れませんが、成長率も上半期よりは少し増えて行くのではないか、年率2%まで行くか行 かないか、の水準ではないかと思っております。以上で説明にかえさせて頂きます。

  • コンサルタント部会(レポート)

    2003年上期の回顧と下期の展望

    1- 上半期の回顧

    政治
    大きな危惧の念を抱かせてスタートしたルーラ政権であったが、予想以上の好評裡に最初の6ヵ月を終えた。アントニオ パロッシ財務相を始め、セルソ アモ リン外相、ルイス フェルナンド フルラン商工貿易開発相、エンリッケ メイレレス中銀総裁等手堅い運営振りで内外の信認を高めた。
    ルーラ大統 領の行動力、決断力、とくに戦略的なヴィジョンについては、目を瞠らせるものがあった。 メルコスールのみならず、南米諸国のリーダーとしてのブラジルの 地位確立、FTAA(ALCA)推進のコーヂネーターとしての認証、EUとメルコスール協定促進化への働き、中国、インドを巻き込んでの発展途上国サミッ ト形成の始動等、とくに外交面において顕著であった。
    国内的には、昨年末不成功に終わったPMDBの取り込みに漕ぎつけ、社会保障制度改革、税 制改革、その他の重要な構造改革に必要とされる、議会による現行憲法改正の目処をつけることが出来た。更に、社会保障制度改革の実現に向け、27人の全州 知事の説得工作に成功したことは特筆に値する。

    経済
    財政プライマリ-収支黒字をGDPの3.75%から4.25%へ引き上げるこ とを新政権発足後間もない時期に発表、市場に新政権の経済政策が極めてオ―ソドックスであることを強く印象付けた。同時にこの目標を達成するために、本年 予算を141億レアルカットすることを決めた。
    この結果、IMFよりの借入金引き出し(本年240億ドル)も早急に認められ、イラク戦争等の大きな不確定要因にも拘わらず、ブラジルリスク指数、インフレ指数、ドル相場が大きく下降し、反面、株価上昇、ブラジル債務の格上げ等がみられた。
    財政プライマリ-収支は4.25%を上回る黒字、国際収支も順調な
    ローンやボンドによる外貨調達で大きな改善が見られた。
    併しながら、世界的な景気低迷と昨年後半から今年度初めにみられた物価高騰による可処分所得の減退、中央銀行による高金利政策の維持により、失業率の改善はみられず、著しく消費が落ち込んだ。

    2- 下半期の展望

    政治

    国 会における社会保障制度、税制改革承認をめぐっての攻防が最大 の関心事となろう。この帰趨によってブラジルの経済、社会の将来は 大きな影響をうけることになる。 またMSTの土地占拠も激しさを増す可能性大で、この問題をどの  ように処理するかルーラ政権の政治力が試されている。   
    国際的にはメルコスール、南米のリーダーとして、ALCA問題、EUとの交渉など、ブラジルのみならず、近隣諸国の将来もきめるよ  うな選澤を迫られるようにもなろう。   
    10年、20年後のブラジルのあるべき姿を示し、それに至る道程の方向性、必要な主たる方策などを提示してほしいものである。それ  も今後急速に伸びるであろう他の発展途上諸国を視野に入れて。

    経済
    世界の経済動向をみれば、近いうちに経済情勢が大きく好転し、成長路線に乗る可能性は少ないと思われる。 殆どの先進国ではデフレに陥らないように低金利政策が続き、米国  では、未曾有の財政と国際経常収支の赤字という問題を抱えているが ブッシュ政権によってとられた大幅減税の効果も顕在化し、消費の拡大が期待される。   
    国内的には、インフレ収束が明確になるにつれて中銀は徐 々に金利 カットと強制預託率の引き下げによる金融緩和策をとり、新規投資や消費の拡大を図ろう。その効果が顕われるのは先になろうが、景気の 好転期待感は見られよう。好調だった農産物の輸出は、端境期のため減少するが、農産加工品や工業製品の輸出は維持されよう。この輸出 主導型から徐々に国内景気型に移行すると期待される。   
    為替相場については、外貨借り入れが今のように続く限り、現行水準で推移するであろう が、ブラジル経済のアキレス腱が国際収支問題にあるという体質は何ら変わっていないので、国際金融市場で何かが起これば、ブラジルの為替相場に直接大きな 影響を与えるということ  を常に考慮しておく必要がある。   
    景気好転への期待感は増大するとはいえ、下半期の経済成長率は上半期のそれを多少上回る程度であろう。景気の好転を実感できるのは来年と思われ、そのためのウオーミングアップが今年の下半期と考えられる。     

    コンサルタント部会会員の業務にみられる変化、新需要

    1. 人材リクルート業

    失業した重役級を含むエゼクチ-ボたちの再就職までの期間が昨年は、平均で3ヵ月くらいだったのが今年は、平均で7ヵ月 から8ヵ月まで伸びている。
    そ れだけ再就職の難しさが表面化 して来たといえる。IBGEの調査によると、今年5月の失業率は、12.8% で史上最悪を記録し、さらに、同6月には13%の大台に乗った。 また、日系進出企業の場合、国内の不況色というよりも、むしろ、 経済政策を中心に、ルーラ新政権の行方を見守りたいと言う理由 で、新規の人員採用を手控えている。従って、増員のための採用 は、ほとんどなく、社員の誰かが辞めたときの補充にとどまって いる。

    2. 法律弁護士事務所

    A)FGTS - 88年 から91年の間の価値修正不足分はCaixa Economica Federalが払ってくれるが、その間人員整理の対象 となった元従業員はムルタ(罰)として元雇用主より支払われた 40%の価値修正を元雇用主に要求するケースが見られる。         
    B)Arbitragem - 96年制定の法律に基づき契約当事者間で、係争を裁判所の代わりに Arbitragem で処理するという条項を いれた契約書がふえてきている。

    C)新民法   - 有限会社(Sociedade Limitada)のContrato Socialを新民法の規定にあわせるべく2004 年1月12日までに変更しなければならない。

    3. 旅行代理店業ブラジル側のビザ手続きは、前政権と比較して、かなり迅速化 してきている。

  • 金融部会 小原部会長代理


    小原部会長代理

    金融部会レポート

    司会  この高金利の影響を十分に享受されたのではと思われる、金融部会の小原さんお願いします。金融部会の方ではレジメを2部ほど用意されているようですから。

    政府の着実な議会工作成果に期待

    小原   本来、金融部会の方は部会長の村田、もしくは副部会長の山田さんの方から発表させて貰うところですが、あいにく、私にとっては不幸というか、ごめんなさ い(笑い)。お二人は出張がフィックスして、動かせないと言うことで、私ごときで大変恐縮ですが、頑張らせて頂きたいと思いますので是非よろしくお願いし ます。

    金融部会のレジメを二つ用意してまして、一つは金融部会目次と書いてある方と、あとはデータ中心の方の2部になっています。
    最初が目次の方に「マクロ経済政治動向」というところで、今コンサルタント部会の西川部会長の方からご発表いただいた内容と重複するところがありますが、 まあ幸いにも、今お伺いしてまして特に事前の打ち合わせはないですが、トーンは全く一緒ですので,ここは簡単に聞き流して頂ければと思います。

    まず国内政治、議会運営ですが、上半期を総括し,短く言いますと、ルーラ政権が国内政治を安定させて政策遂行に必要な議会での支持基盤を確保していった。 お話しありましたが連立を形成していく過程にある。それが今後の政策遂行上の安定基盤をほぼ築けたのかなぁと、楽観的な見方ですが、このように捉えられる と思います。今後、大きな憲法改正案、足元で進んでいますけれども、上下両院でそれぞれ五分の三以上の票数獲得が必要な訳ですが、これも楽観的すぎるかも 知れませんが目処が立ってきている事が、後に述べます経済の方もしくはマーケット、投資家サイドの好感を得ていると言うことだと思います。

    憲法改正は2004年上期予想

    大統領支持率も安定している

    通期の展望ですが、まさに年金制度改革を中心とする社会保障制度改革。それから、昨日か今日の新聞に、税制改革の方は審議を先送りすると出ていたが、そも そも内容がどのように変わって行くのか、いつ議会で承認されるのかがまさにポイントになってくると思います。通常、最短でも憲法改正には6カ月が必要だと 言われており、早ければ年内と政府は目論んでいるようですが、実際に外からの見方としては年が明けて2004年の上期になるのではと見ています。ただ、 2004年の下期に地方選挙を控えていますので、政府としては、それまでに何とか承認にこぎつけたいと考えていると思われます。

    大統領の 支持率は、ご存じの通り、貧困層出身ということで多くの国民の期待が集まって、就任当初76%を記録するに至っています。現在も依然として70%代の高支 持率と、国民の支持も安定しており、通期の見通しとしても俗にハネムーン期間1年といわれますが、これは若干1年半とか2年とか、もう少し長い様子見期間 であってよいのではと言う見方をしています。いろいろと不安要素はあると思います。PT内での、足並みの乱れとか、センテーハ(土地なし農民)、センテッ ト(ホームレス)とシンジケートの要求、動きが強くなってくること、公務員のストライキ、まさに今いろんな所で火種として起こっており、州知事の反対とか いろいろあると思いますが、ベースは着実に出来ていると言うような、好感的な見方をしています。

    経済動向。GDPと経済動向ですが、上半 期を短く総括しますと、昨年から続く高金利政策の影響を受けて内需は低迷。レアル相場が高止まりで、現在まだ高止まっているにも関わらず輸出産業は好調 と、こういえると思います。ご存じのように金融が非常に、高金利政策とボリューム面での準備率の引き上げ等で収縮しており、国内市場向け非鉄金属や住宅投 資関連産業は大きく落ち込んでいて、足元っていうか、これも年初以来ずっとですが自動車などの耐久消費財、それから一般消費財も去年の年末の買いだめとい う影響もあって、まだ減少している状況です。

    金利はこの前1.5%下げたが、実業界からは1.5%は期待はずれという声も多かったが、政府としては1.5%も下げたと。そのプレッシャーの一つとして、失業率が年初以来ずっと悪化していよいよ13%に近づいたという背景もあったと思います。
    通期の金利見通しは、段階的に2段階下げたが、今後も段階的な利下げを、行っていくと見ております。ただ対策面で金利は引き下げて行くでしょうが、実態経 済に影響、個人消費とかその辺に及んで実際に数値として及んでくるのは来年以降になるという見方が強いようで、従がって、GDPの成長率の見通しも 1.5%にポイントを下方修正しております。

    外準ネット145億ドルが気になるが、貿易は楽観

    財政。公的債務ですが、上半 期はプライマリ-収支を4.25上方修正して、非常に好感を呼んでおります。レアル高の影響もあり、公的債務残高のGDPに占める比率は、昨年9月のレア ル安がピークだった頃の63.6%から比較すると大きく低下し、5月には53.6%まで落ちています。この4.25%という目標は、大半の外部機関とか は、ほぼ達成見込みと見ているようです。政府の財政面、調達面での方向性としては、まず短期。今日も新聞に載っていたが、まず短期債務の削減。いま短期債 務額でなく比率では4割位あるけれども、それを少しでも、長期化し、キャッシュフローを安定させると。それから、ドルリンク債もレアル安の影響によって、 まさに公的債務残高のGDP比率を、上げたりするので、極力ドルに左右されない格好にしたいとドルリンク債はいま約4割弱あるが、これの削減という方向性 で進んで来ているようです。

    貿易収支は、昨年来のレアル安を受けて一次産品、とくに食品輸出が大幅に増加しています。上期の貿易黒字が 104億ドルと前年同期の4倍を計上しております。前年同期は25億ドル位で、前年通期で約130億ドル位だった。ですから前年7月から12月までとほぼ 同じ水準で、まだこのレアル高の水準でも貿易収支は足元を黒字に推移していると言うことです。
    通期の見通しは、これも大きく見方が分かれると思いますが、ベースは貿易収支は楽観と言えると思います。通期では150億から170億ドル位ですから、更に50億ドル、60億ドル位の積み増しが残り6ヵ月で出来る見込みでいます。

    外貨準備。外貨準備は足元480億ドルですから危機の頃の350億ドルと比べて、だいぶ高くなっていますが、その中に実際にはIMFの方の残高が335億 ドルありネットでは145億ドル。この水準は去年の大統領選挙のタービュランスが始まる前の水準よりも低い。一般に3カ月分の輸入を下回って来ると危険水 準という見方があり、もうそれにネットでは近づいています。とはいえ、グロスでの判断では、なんていうかベースは安定的と思うんですが。

    為替は上半期を総括しますと、グラフでもはっきり分かるように一貫したレアル高でした。これは当初様子見であった市場の方からも、ルーラ政権が実際の公約 通り、基本的な経済政策はカルドーゾ前政権時から変更しないとはっきり明言、かつ強調していて、その通りの行動を示す運営である事から好感されています。 政治不安、政権不安はいろんな要素があって一気に高まったが、高まりすぎた不安がまあ急速に払拭されたと言う事で、グラフをつけておりますが、ブラジルの リスクですか、これも、去年の9月をピークに、右肩下がりで下がって来ています。現在の為替高止まり要因として考えられるのは、いま申しましたブラジルリ スクの低下、それから貿易収支が足元いぜん黒字であること、それから財政構造改革への期待感、このあたりがベースになっていると思います。
    今後 の為替動向ですが、インフレ率に連動する形でSelic金利が徐々に、もうデスィンフレを2カ月連続で示してますので、今後もSelic金利を段階的に下 げて行き、結果として緩やかにレアル安が進行していく。緩やかにという事ですから、まあ限定的という事で、各行の予想を下に書いてますが、約R$2.8か ら3.23。このあたりまでのデバリユというか、レアル安を想定していると言うことです。

    徹底した高金利政策でインフレからデフレへ

    金利動向。金利について総括しますと、高金利政策の継続と。とにかく、もうインフレ撲滅のための、執拗なまでの高金利政策の継続という事がいえると思いま す。その徹底した態度があって、6月に初めて前月比でマイナス0.15%というデフレを記録した。このデフレは、これもグラフをつけていますが、4年半ぶ りのデフレです。今日IPA、卸売物価指数が出ていましたが、これもマイナスで、消費者物価の方もほぼ間違いなく、2カ月連続マイナスになると思います。 前後しますが、インフレが下落した主な要因は、中銀の一貫した高金利政策の維持、イラク戦争が早期終結し石油価格が安定した、それからブラジルリスクの低 下。このあたりが主な要因だと思われます。
    今後の動向は繰り返しになりますが、デフレを示していく。ただ、電話、ガス、電気代の値上げをもう8月に見込んでいるようで、このあたりが消費者物価の引き上げに影響します。これが約0.5%の影響といわれ、再びインフレを記録するという格好になると思います。
    それと、特筆するとしたら、IPCAという消費者物価全体の指数ですが、ここにIPCAから農業関連、工業製品関連とか季節的な要因に左右されやすいも の、商品を除いたものの数値がありますが、これで行くと実はまだそのインフレ数値は示しておりませんで、そう言うところからも、政府が慎重姿勢をなかなか 崩さないと言えるかと思います。

    最後に金融情勢のトピックスをつけておりますが、金融収縮面では、資金供給面において、預金準備率を45 から60%に引き上げております。それから、輸出前貸し、これも短期の資金な訳で、短期の外からの資金な訳ですが、これが年初以来大幅に回復していると聞 いております。取引量としては、去年の2、3月ですから、大統領選挙戦のタビュランスの景気の影響を受ける前の水準にまで戻ってきています。金利も戻って きています。
    金融政策面ではいま、色んな構想が出てるのがマイクロバンクというか、小さい個人消費者向けの小型ローンの構想。まあ消費者の購買 意欲を上げるためのそれですとか、倒産法の整備。 銀行がもう少しリスク取りやすくするため、もしくは金利を引き下げやすくするため、こんな方策が検討さ れています。すみません、長くなりましたが以上で終わらせて頂きます。

    ぼう大なファイルのため、金融部会レポートは以下よりダウンロードしてご覧下さい。

    Word File econonia.doc
    Excel econonia.xls

  • 貿易部会 柳田部会長


    柳田部会長

    司会  次は貿易部会ですが、ただいまの話にも出てきました上期の貿易黒字というのは104億ドルですか、史上最高とこういう明るい話題もあるかと思いますけれど、柳田さんよろしくお願いします。

    上期貿易黒字104億ドル

    目立つ対中国輸出増加

    柳田   お手元の資料に基づき、ご説明申し上げます。いま、金融部会の方からもあsりましたように、今年上期の貿易黒字は104億ドル。この同期間では過去最大 を記録しました。このように黒字が拡大した要因は輸出が非常に増えたことです。まず、輸出は31.7%増、一方、輸入はほとんど伸びておりません。2番目 にこの期間の特徴として対中貿易、中国向けの輸出あるいは輸入が非常に増えたことで、とくに輸出先としてブラジルにとって第2の市場になったことです。対 中輸出はとくに大豆、鉄鉱石、鉄鋼製品が中心で200%以上の増加になっています。 一方、輸入はブラジル全体で低迷しました。全体では0.6%しか伸び なかった訳ですが、対中輸入は40%以上の伸びとなっています。この辺は最後のページに統計、国別の統計を出しておりますのでご覧いだだければと思いま す。もう一つ、下期の貿易見通しとなりますと、為替と国内金利の動向が鍵となるでしょう。これはコンサルタント部会、あるいは金融部会のご説明の通りだと 思います。金融部会の貿易黒字見通しはもうちょっと、少なかったと思いますが現在、政府あるいは政府系の予測機関等によりますと、大体170億ドルぐらい を予測しております。

    簡単に以下、ご説明申し上げますと、輸出動向については何故、輸出が大幅に増えたかは、まず1点目としてレアル安の 影響。昨年後半から今年3月にかけてのレアル安。2点目は、中国等の旺盛な外需があって輸出量が増えました。3点目としてブラジルの主要産品の国際価格が 長年低迷しておったのが、ようやく回復し始めたという3点ございます。具体的な品目で見ますと、輸出に非常に大きく貢献したのは、いま申し上げた大豆、鉄 鉱石、鉄鋼半製品、原油、パルプといったところです。とくに大豆は、国際価格が上がってきただけでなく、数量的にも大きな伸びを示しております。大豆の輸 出は、対前年同期比で約150%増。数量ベースでも100%以上の増加を示しております。輸出先は中国が最大です。鉄鉱石は前年同期比で約40%の増加、 鉄鋼半製品も60%ぐらいの増加となっております。これらの増加を牽引しましたのは、やはり中国向けの輸出で、中国の旺盛な需要がブラジルの輸出増加に大 きく貢献していることが分かるかと思います。原油は、前年同期比100%近い増加となっております。主な輸出先は、米国、インド、チリです。
    パルプも対前年同期比で100%以上の増加となっております。対米輸出は100%以上の伸び、対日輸出も落ち込んでおりましたが、ようやく今年上期に50%近い伸び、昨年が落ちた事もあるのですが増加をしております。

    輸出相手国トップは依然米国、中国第2位

    輸 出相手国別にみますと、米国が依然としてブラジルにとっての最大の輸出先です。米国向けは石油燃料等を中心に増加した訳ですが、トータルで18%の増加で 約81億ドルを記録しております。中国向けは何と220%増で、今やブラジルにとって第2の輸出先。従来から重要な貿易相手だったアルゼンチンですが、よ うやく経済の回復傾向ということで、今年上期に90%増と相当な伸びを示しております。
    米国向けは、ディーゼル油等の燃料油が大きく伸びて230%増、原油に至っては300%以上の増加になっております。
    ブラジルから米国への最大の輸出品目である航空機、エンブラエルですが、これもテロ以降かなり落ち込んでおった訳ですが、今年上期には対前年同期比でようやく11%強の増加と回復傾向を示しています。
    中国ですが、先ほど申し上げたように中国向け最大の輸出品目は、今や大豆で、2002年の上期が1億ドルだったものが今年の上期には何と8億ドルと急増をしております。
    鉄鉱石も、50%以上の増加。とりわけ対中輸出で増加が顕著なのは鉄鋼関連製品で、昨年の上期はわずか700万ドル弱だったものが、今年上期には1億 6000万ドルまで急増。鉄鋼半製品は何と500%増。こうした鋼材の需要はご承知の通り、中国の最近の発展ぶりが背景になっています。アルゼンチン、先 ほど申し上げましたように特に自動車、鉄鉱石、こういったところの回復が著しいところです。それから、新しい輸出先として注目されておりますのはロシア、 イラン、インドです。
    なお、イラク戦争の影響は、貿易部会でも先日議論しましたが、ブラジルにとっては輸出先における在庫積み増しというような 形でプラスに働いたのではないかと言うのが一般的な見方です。SARSにつきましては、直接ブラジルの貿易に影響は見られませんが、やはり中国における展 示会・商談会、こういったものへの人の往来で影響が少し出ていると言う意見が多かったと思います。

    上期輸入はわずか0.6%増

    次 に輸入ですが、先ほど申し上げましたように、わずか0.6%の増加です。どうして昨年並みに留まったかは、先ほどの金融部会のご説明にあった通りですが、 やはり今年3月までのレアル安、それから政府の財政引き締めによる公共投資、公共事業等の需要がなかったこと。それから高金利による国内経済の停滞という 3点です。金利(Selic)は先ほどご説明ありましたように24.5まで下がりましたが、依然この高金利が景気回復の足かせになっている事は今ご説明 あった通りですが、1~5月の鉱工業生産でみますと前年同期比で0.6%増と、やはり低迷しています。生産ですが、中間財を除き、資本財、耐久消費財、非 耐久消費財ともにやはり生産が減少しており、こう言ったことがやはり輸入にも影響して、資本財、消費財の輸入が減少していると言うことです。
    資 本財の輸入は、対前年同期比で15%減、消費財も8%減という形になっております。唯一、一次産品、中間財の輸入は約7%、対前年同期比で増えておりま す。資本財の中でも特に減少が顕著であったものは、設備・機械、それから事務機器。この辺は20%近い減少で企業がやはり設備投資を控えている事がはっき り分かるかと思います。消費財につきましても食料品・家具の輸入が大幅に減少して、やはり消費者の購買意欲低下を反映してるのではないかと思います。
    輸入相手先ですが、米国、アルゼンチン、それからヨーロッパ各国、この辺が主な輸入先ですが、軒並み減少しています。
    ただ、中国からの輸入だけは目立つということです。米国はブラジルにとって輸入でも第一位の国ですが、今年上期は12%減少しております。とくに輸入減少 が大きかったものはモーター、発電機、変圧器、以下ここに書いてあるような品目で30%前後の減少となっている。一方、中国は41%強の増加になっていま す。とくに輸入が大きい品目はコークスで、前年同期比で200%以上の増加になっています。セルラー関係の部品も65%ぐらい増加しています。あとは石炭 というようなところです。

    対日輸出10%増、輸入は4%減

    次に対日貿易ですが、対日輸出は前年同期比で約10%増 加。輸入は逆に4%減で、対日貿易は輸出入の合計で前年同期比2.3%増となっています。主要な対日輸出品目の鉄鉱石は25%増、アルミは60%近い増加 です。鶏肉は数字の上では25%近い減になっていますが、数量的には増えております。これは輸出単価が減少していると言うことです。対日輸入主要品目で言 いますと、自動車部品は相変わらずブラジル国内の日系企業等の生産が好調で、50%以上の増加を示しています。

    これから効いて来るレアル高の影響

    そ れから今後の貿易見通しは、先ほどの金融部会等の話の通りで、くり返しになって恐縮ですが、やはり為替と国内金利の動向が大きな鍵を握るだろうと言うこと で、最近のレアル高の影響はこれから効いてくるのだろうと思います。年前半におきましては、レアル高になってもこの3月時点までの契約には影響がほとんど 見られなかったと言うことと、それ以降でも輸出企業は価格を据え置いて来たことが大きいと思います。ただ、今後さらにレアル高が続けば、輸出価格の値上げ に踏み切らざるを得ないと言うことで輸出に影響が出て来ることも考えられます。もうすでに6月、7月の1日当たりの輸出額というものは減少を示しておりま す。
    一方、輸入ですが、これも国内の消費が回復するかどうか、金利がどこまで下がるのかがポイントになろうかと思います。先ほど、冒頭に申し上 げましたように、予算企画省の傘下でありますIPEAの予測では、今年の貿易収支は172億ドルとなっておりますが、中銀もほぼ同じ数字を発表しておりま す。最後にブラジルを取り巻くFTAの交渉状況、これは後ほど金岡委員長の方からお話がございますので、その時に追加でご説明させて頂ければと思います。 以上です。

  • 貿易部会(レポート)

    2003年上期貿易動向と今後の見通し

    2003年1月~5月における貿易収支黒字は、80億4,100万ドルと同期間では過去の統計史上最も大きな黒字額となった。黒字増加の要因は、大幅な輸 出増加によるもので、同期間における輸出額は前年同期比29.3%増の271億2,800万ドルであった。一方、輸入額は同0.1%増の190億 8,700万ドルであった。

    1.大幅に増加した輸出

    輸出額が大幅に増加した背景には、2002年後半から今年3月にかけてのレアル安の影響と、旺盛な外需により輸出量が伸びたことに加えて、大豆、原油、コーヒーなどブラジルの主要輸出産品の国際価格が、低迷していた昨年に比べ上昇したことが挙げられる。

    <品目別分析>
    輸 出増加に大きく寄与した品目は、大豆、鉄鉱石・鉄鋼半製品、原油である。大豆は国際価格の上昇だけでなく数量の伸びも大きい。03年1月~5月における大 豆輸出は、金額ベースで前年同期比149.9%増の16億4,300万ドル、数量ベースで同105.7%増の791万2,800トンとなっている。輸出先 としては中国が最大で、中国向けの増加だけで大豆輸出増加分の半分以上を占める。

    ま た、鉄鉱石は前年同期比26.8%増の14億1,100万ドル、鉄鋼半製品については同40.9%増の6億 6,200万ドルであった。いずれも増加を牽引したのは中国向けの輸出で、中国向けの鉄鉱石は前年同期比46.4%増の2億9,900万ドル、鉄鋼半製品 は同692.4%増の1億1,300万ドルとなった。工業化の進展する中国の旺盛な需要が、ブラジルの輸出増加に大きく貢献していることがわかる。

    原 油については前年同期比89.4%増の8億6,600万ドルであった。主な輸出先としては米国が前年同期比 326.0%増の2億3,100万ドル、インドが同247.4%増の1億7,100万ドル、チリが同174.0%増の9,500万ドルとなっている。メル コスールとインドは、FTAの締結に向けた枠組み協定を今年6月に締結しており、今後エネルギー分野を中心に関係がより深まると見られる。

    なお、国際価格の上昇について貿易統計から輸出単価を試算すると、大豆は前年が170.9ドル/トンであったのに対し、今年は207.6ドル/トンに上昇 している。同様に原油とコーヒーについては、原油が前年同期比48.5%増の172.9ドル/トン、コーヒーが同 17.0%増の898.5ドル/トンとなっている。これらの主要産品は近年国際価格が低迷してきたこともあり、最近の価格上昇で漸く持ち直しつつある。こ のように、ブラジルの主要品目における国際価格が回復しつつあることが輸出額増加の一因として挙げられる。

    <輸出相手国別分析>
    輸 出相手国別では、最大の輸出先である米国向けは燃料を中心に輸出額が増加し、前年同期比18.8%増の68億1,500万ドルとなった。また、中国向けは 前年同期比229.8%増の17億7,400万ドルと今やブラジルにとって第2位の輸出先となっている。そして、隣国のアルゼンチン向け輸出額も、同国国 内経済の回復傾向により、前年同期比83.2%増の14億7,100万ドルと大幅に増加した。また、ブラジル政府の輸出振興策の成果もあって、新たな輸出 先が開拓されているのも2003年前半の特徴として挙げられる。

    まず、米国向けでは、燃料油(ディーゼル油等)の輸出額が前年同期比299.7%増の4億200万ドル、原油が同326.0%増の2億3,100万ドルとなった。最大の輸出品目である航空機の輸出額は前年同期比14.5%増と、2年前の米国テロ事件以来の回復を見せた。

    中 国は今や米国に次ぐ輸出相手国となっている。中国向け輸出品目でもっとも大きいのは大豆である。大豆の中国向け輸出額は前年同期に4,200万ドルであっ たものが、今年は6億ドルにまで増加している。さらに、輸出増加に大きく貢献したのは鉄鋼関連製品である。鋼板は前年同期に450万ドルの輸出実績であっ たが、03年1月~5月には1億5,300万ドルまで増加し、鉄鋼半製品は前年同期比692.4%増の1億 1,300万ドルとなっている。この旺盛な鋼材需要は、世界中から外国企業が中国に進出し製造拠点としての活動をしていることに加えて、中国国内における 大規模なインフラ整備に支えられていると見られる。

    アルゼンチン向け輸出額は、前年同期比83.2%増の14億7,100万ドルと輸出相手国別では4位となっている。輸出増加が顕著な品目は、乗用車、鉄鉱 石で乗用車は同212.5%増の8,900万ドル、鉄鉱石は同66.9%増の7,000万ドルとなっている。乗用車の輸出については、地元紙の報道による と、フォルクスワーゲン、GMが輸出を活発化させている。なお、鉄鉱石の輸出増加については、アルゼンチンが米国の鉄鋼製品輸入制限の対象国に入っていな いことで、アルゼンチンから米国向け鉄鋼製品輸出が増加していることが要因と見られている。

    なお、新たな輸出先として注目を集めているのは、ロシア(前年同期比39.1%増、輸出相手国14位)、イラン(同167.4%増、17位)、インド(同 92.5%増、19位)などで、ロシアについては鶏肉、イランは大豆油、インドは原油などそれぞれ一次産品の輸出が中心となっている。

    イラク戦争の影響については、輸出先における在庫積み増しなどにより、ブラジルの輸出にプラスとなったとの見方が一般的である。中東地域はブラジルにとっ て鶏肉の主要輸出先であるが、03年第1四半期における中東向け鶏肉輸出は、金額で前年同期比36.9%増の1億 2,526万ドル、数量で同47.6%増の16万6,242トンとなっている。02年の鶏肉輸出額に占める中東地域のシェアは26.9%であったが、03 年第1四半期では33.7%に増加した。なお、イラク戦争との因果関係は定かではないが、イラン向け大豆油の輸出が大幅に増加しており、03年1~5月に は前年同期比309.9%増の2億1,581万ドルとなっている。

    なお、SARSについては、ブラジルの貿易には殆ど影響は見られないものの、中国における展示会・商談に伴う訪中が延期されるなど、人の往来延期や商談キャンセルなどの影響が指摘されている。

    2.国内経済の停滞でほぼ前年並みに留まった輸入

    2003 年1月~5月における輸入は、前年同期比0.1%増の190億8,700万ドルとなった。輸入が前年並みに留まった要因は、今年3月までのレアル安に加え て、政府の緊縮財政、高金利等による国内経済の停滞が挙げられる。ブラジルの基準金利に当たるSELIC金利は、昨年後半よりインフレ抑制を念頭に高水準 に維持されている。最近のインフレ低下傾向を受けて中央銀行は6月の通貨審議会(COPOM)で、金利を 0.5ポイント引き下げ26.0%に設定したが、産業界では引き下げ幅が不十分であるとしている。ブラジル地理統計院(IBGE)のデータでは、03年1 月~5月の工業生産指数は前年同期比で0.6%増と低成長を記録している。なお、同生産指数を財別に見ると、中間財が2.2%増となる一方で、資本財が 1.3%減、耐久消費財が4.9%減、非耐久消費財が3.8%減となっている。

    <品目別分析>
    輸入を財別に見ると、工業生産指数に連動して資本財と消費財の輸入が減少した一方、輸入全体の約半分を占める一次産品および中間財の輸入が増加した。

    資 本財の輸入額は前年同期比16.6%減の41億3,100万ドル、消費財は同8.9%減の21億9,900万ドルと減少し、一次産品および中間財の輸入は 前年同期比7.1%増の100億3,100万ドルと増加した。資本財の中でも減少が顕著であったのは主要品目である工業機械(前年同期比19.4%減)、 事務用機器(同14.4%減)で、企業が設備投資を控えている様子が伺える。また、消費財については食料品(前年同期比21.8%減)、家具など室内設備 (同20.7%減)、乗用車(同11.8%減)などが減少しており、景気低迷により消費者による購買意欲も低下している。ちなみに、失業率は今年に入って 5ヵ月連続で悪化しており、5月時点の失業率は12.8%となっている。一方、輸入額全体の52.6%を占める一次産品および中間財については、鉱物品が 前年同期比10.2%増となっているほか、食料(加工原料等)が同25.9%増、農業向けその他一次産品が同 30.5%増となっている。

    <輸入相手国別分析>
    国 別に見ると、米国、アルゼンチン、欧州各国からの輸入額が減少しているのに対し、中国からの輸入額が増加している。米国はブラジルにとって第1の輸入相手 国であるが、前年同期比13.5%減の37億2,100万ドルとなった。輸入減少が大きかった品目は、モーター・発電・変圧器・同部品(前年同期比 14.6%減)、航空機用モーター・タービン(同33.9%減)、集積回路(同 35.4%減)となっている。

    主 要国の中でも顕著に輸入が増加した中国からの輸入額は前年同期比39.0%増の7億3,600万ドルとなった。最も大きな輸入品目はコークスで、前年同期 比261.6%増の6,800万ドルであった。次に送信・受信機器部品で、同79.6%増の6,600万ドル、石炭が同55.3%増の4,800万ドルと 続く。そのほかにも繊維製品(布)(同192.8%増)、液晶ディスプレイ(同107.1%増)、集積回路(同 278.9%増)の輸入増加が顕著であった。これは中国に拠点を持つ多国籍企業が輸入の主体となっている。

    3.ほぼ前年並みとなった対日貿易

    2003年1月~5月における対日輸出額は、前年同期比6.7%増の8億1,700万ドル、輸入額は同5.9%減の9億4,600万ドルとなり、対日貿易 額は前年同期比0.4%減の17億6,300万ドルとなった。なお、同期間における国別順位は、輸出で前年(6 位)より順位を下げ8位、輸入で前年と同じ4位であった。

    輸出をみると、主要品目である鉄鉱石が前年同期比14.7%増の1億7,800万ドルとなった他、アルミニウムも同57.1%増の1億5,400万ドルと 増加した。一方、鶏肉については同33.4%減の6,400万ドルとなっているが、これは輸出単価の減少に伴うもので、輸出量は13.6%増となってい る。なお鶏肉については、今年5月に日本が中国の鳥インフルエンザによる家禽肉輸入禁止措置をとったことで、年後半にかけてブラジルからの輸出額が増加す ることが期待されている。なお、同期間に大幅な輸出増加となった品目は、炭化水素のハロゲン誘導体(主にジクロロエタン、ポリ塩化ビニル原料)があげら れ、前年同期比196.3%増の1,400万ドルとなった。この輸出増加は数量よりも価格上昇によるものである。

    輸入は主要品目では増加しているが、その他の品目での減少率が大きかった。主要品目では自動車部品が前年同期比 58.5%増の8,100万ドル、ベアリング、歯車および同部品が同23.8%増の5,000万ドル、集積回路が同9.9%増の4,900万ドルとなって いる。一方で完成車については同33.8%減の2,600万ドルとなった。

    4.FTAに関する交渉状況

    ブラジルは米州自由貿易協定(FTAA)、メルコスール-EUにおけるFTAについて活発な交渉を展開している。まず、FTAAに関しては05年1月まで の交渉完了を目指しており、共同議長となっているブラジル、米国ともに期限内の交渉完了に向けた調整を現在行っている。

    FTAA 交渉では、ブラジルが米国に対する農産物の市場アクセス(砂糖、オレンジジュース等)、農業補助金、アンチダンピング、セーフガード適用などの問題を取り 上げている一方で、米国もブラジルにとってセンシティブな投資規則、サービス分野の自由化、政府調達、知的財産所有権の問題などを取り上げ、有利な条件を 互いに引き出そうとしている。

    ブラジル側は今年 5月末に、テーマによって、メルコスール-米国による4対1、FTAA枠内、WTOの3つの方法による交渉を米国に提案した。ブラジルは自国にとってセン シティブな問題を、FTAAとは切り離してWTO交渉の場に委ね、FTAAの交渉を進めたい意向であるが、今のところ米国はブラジル側の提案に否定的な態 度を取っている。なお、WTOについては第5回閣僚会合が今年9月10日~14日にメキシコのカンクンで、FTAAについては閣僚会合が今年11月17 日~21日に米国マイアミで開催される予定である。11月のマイアミ会合がFTAA交渉の期限内終結を図る上で両国の利害を調整するデッドラインと見られ ており、両国とも同会合までに、互いのセンシティブな分野について譲歩し合うべく交渉をするのではと見られている。

    一方、メルコスール-EUのFTA交渉は、06年1月を目処とした協定発効に向けた話合いが進められている。現在、メルコスール、EU双方が提示した関税 撤廃スケジュールおよび品目リストを検証し、改善要望事項を互いに出しあっている段階。新聞報道によれば、EU はメルコスールが提示した案に対して、メルコスール側の関税撤廃スケジュールが非常に遅い点、政府調達自由化リストが提示されなかった点、サービス、投資 に関する提案が最小限に留められている点を指摘し改善を要求している。

    な お、EU側は、メルコスール側の政府調達自由化リストの提出を促すために、EU側の政府調達自由化案を提示し交渉進捗を促そうとしている。一方のメルコ スール側は、欧州側が提示している関税撤廃品目のリストは、現行の税率が既に低い品目が中心である点を指摘し、砂糖、牛肉、タバコ、小麦などをリストに追 加するよう求めている他、繊維製品分野でもさらに自由化を進めるよう要求しているという。なお、EUとの間では自動車分野に関する自由化交渉も始めようと しており、今年6月にアスンシオンで開催された第10回2地域交渉委員会(CNB)で、ブラジル自動車工業会(Anfavea)と欧州の自動車メーカーが 貿易自由化に向けた会合を持っている。

    5.今後の貿易見通し

    2003年後半の貿易見通しは、為替と国内金利の動向が大きな鍵となるだろう。為替については03年2月に1ドル =3.67レアルを記録して以降、米国のイラク攻撃開始を契機として6月末には2.9レアルを割り込むまでにレアル高が進んでいる。政府は3.0レアル前 後の為替水準であれば輸出に大きな影響はないとみているが、レアル高の影響は年後半にかけて出てくると見られる。それというのも年前半においてはレアル高 になっても3月時点までの輸出契約には影響が見られなかったことと、それ以降でも輸出企業は顧客を失わないようにするため価格を据え置いてきたところが多 い。そのため、今後さらにレアル高が続けば輸出価格の値上げに踏み切るものと見られ、輸出にブレーキをかける要因となりうる。政府も年後半にかけて輸出が 減速することを認めており、6月、7月の1日あたり輸出額からも減速傾向が明らかとなっている。

    一 方、輸入に関しては、国内の高金利が年後半にかけてどの程度引き下げられるかが鍵と見られる。ブラジル国内の製造業は、03年前半は輸出により支えられて きた。第1四半期における実質GDP成長率は前年同期比2.0%増となったが、需要要素別に見ると、GDP成長を牽引したのは財、サービスの輸出で、前年 同期比20.2%増の成長を記録している。その点今後の輸出については、レアル高の状況が続いていることに加えて、現状以上の輸出増加余地は少ないと見ら れる。その場合、国内における消費回復が輸入を大きく左右することになる。03年前半を見る限り資本財、消費財の輸入が減少しており国内における景気低迷 を反映しているが、今後大幅な金利引下げが行われれば国内景気も上向くことが予想され、さらにレアル高の状況が続けば資本財、消費財の輸入も回復するもの と見られる。なお、パロッシ財務相は7月8日に今後の金利に関して年末までに20%~21%の水準まで下がるとの見通しを示している。

    03年1月に発足したルーラ政権は、当初抱かれていた経済政策面での不安を払拭し、前政権からの経済政策を踏襲することでマクロ経済指標を改善している。 03年1月~5月における公的セクターのプライマリー収支黒字(いわゆる政府の財政収支、金利支払い分を除く)は 369億8,000万レアル(132億714万ドル、1ドル=2.8レアル換算)と大幅な黒字を記録し、政府は昨年末IMFに約束した03年上半期の目標 黒字額345億レアルを既に達成した。この財政状況を好感してカントリーリスクも前年に比べて大幅に低下している。ただし、財政支出は年後半にかけて増加 する傾向にあり、むしろ年後半における財政状況を注視する必要がある。

    なお、予算企画省傘下の研究機関であるIPEAでは、2003年の貿易額について、輸出が662億ドル、輸入が490億ドルと予想(6月時点)しており、貿易収支は172億ドルの黒字と前年よりさらに貿易黒字が拡大するとしている。

    以上

    表1   ブラジルの主要商品別輸出入 (単位:100万ドル、%)

      2002年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6)
      金額 金額 構成比 伸び率
    輸出総額(その他含む) 25,052 33,002 100.0 31.7
    一次産品 6,251 9,620 29.2 53.9
    大豆 874 2,171 6.6 148.1
    鉄鉱石 1,173 1,628 4.9 38.8
    大豆かす 687 1,072 3.3 56.2
    原油 511 989 3.0 93.6
    鶏肉 566 742 2.3 31.0
    半製品 3,426 4,967 15.1 45.0
    パルプ 412 840 2.5 103.6
    鉄鋼半製品 494 779 2.4 57.9
    436 507 1.5 16.3
    完成品 14,513 17,720 53.7 21.1
    乗用車 816 1,129 3.4 38.4
    航空機 1,019 925 2.8 △9.3
    自動車エンジン・部品 574 834 2.5 45.4
    742 771 2.3 3.9
    通信用機器・部品 844 766 2.3 △9.2
    自動車部品 553 678 2.1 22.5
    輸入総額 22,465 22,606 100.0 0.6

    資本財

    5,750 4,853 21.5 △15.6
    工業用設備機械 2,057 1,640 7.3 △20.3
    事務用機器 1,141 984 4.4 △13.8
    原材料・中間財 11,174 11,948 52.9 6.9
    化学薬品 3,583 3,617 16.0 1.0
    中間製品(部品) 1,791 1,952 8.6 9.0
    輸送機器部品 1,746 1,749 7.7 0.2
    鉱産品 1,523 1,683 7.5 10.6
    食料(原料等) 808 1,041 4.6 28.9
    消費財 2,852 2,614 11.6 △8.3
    非耐久消費財 1,663 1,461 6.5 △12.2
    医薬品 579 584 2.6 0.9
    食料品 575 451 2.0 △21.6
    耐久消費財 1,189 1,154 5.1 △3.0
    乗用車 428 357 1.6 △16.6
    燃料及び潤滑油 2,688 3,191 14.1 18.7

    出所:開発商工省貿易局

    表2  ブラジルの主要国・地域別輸出入(単位:100万ドル、%)

      2002年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6)
      金額 金額 構成比 伸び率
    輸出総額 25,052 33,002 100.0 31.7
    米国 6,864 8,100 24.5 18.0
    中国 662 2,161 6.6 226.2
    オランダ 1,254 1,866 5.7 48.8
    アルゼンチン 969 1,843 5.6 90.2
    ドイツ 1,006 1,495 4.5 48.6
    メキシコ 1,000 1,210 3.7 21.0
    イタリア 785 1,054 3.2 34.3
    日本 945 1,039 3.2 10.0
    ベルギー・ルクセンブルグ 836 878 2.7 5.1
    チリ 660 857 2.6 30.0
    英国 757 829 2.5 9.6
    フランス 612 784 2.4 28.0
    輸入総額 22,465 22,606 100.0 0.6
    米国 4,992 4,390 19.4 △12.1
    アルゼンチン 2,451 2,344 10.4 △4.4
    ドイツ 2,109 2,095 9.3 △0.7
    日本 1,158 1,112 4.9 △3.9
    中国 639 902 4.0 41.1
    イタリア 873 875 3.9 0.2
    フランス 902 856 3.8 △5.1
    ナイジエリア 641 669 3.0 4.3
    英国 605 605 2.7 0.1
    韓国 544 553 2.5 1.7
    アルジエリア 337 509 2.3 51.0
    スペイン 492 472 2.1 △4.2

    出所:開発商工省貿易局

    表3  ブラジルの対日主要品目別貿易(単位:100万ドル、%)

    輸出 2002年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6)
      金額 金額 構成比 伸び率
    鉄鉱石 170 212 20.4 24.7
    アルミニウム 127 200 19.2 57.8
    鶏肉 108 81 7.8 △24.4
    パルプ 38 57 5.5 49.4
    鉄合金 54 56 5.4 4.0
    コーヒー豆 38 52 5.0 36.0
    大豆 32 47 4.5 47.2
    オレンジジュース(冷凍) 40 36 3.5 △ 9.1
    タバコ・同くず 32 22 2.1 △31.5
    薪材 19 21 2.0 7.6
    その他 287 255 24.5 11.2
    合計 945 1,039 100.0 10.0
    輸入 2002年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6)
      金額 金額 構成比 伸び率
    自動車部品 61 94 8.5 53.0
    集積回路 53 60 5.4 11.4
    ベアリング及び歯車・同部品 47 59 5.3 25.3
    自動車用エンジン及び同部品 44 52 4.7 17.5
    ポンプ、コンプレッサー、換気装置、同部品 37 36 3.2 △4.7
    測定及び点検機器・装置 27 35 3.1 29.3
    送信・受信用機器・部品 29 32 2.9 9.0
    2輪用部品 23 32 2.9 36.3
    乗用車 47 31 2.8 △34.7
    自動データ-処理機部品 30 24 2.2 △19.8
    その他 757 658 59.2 △13.1
    合計 1,158 1,112 100.0 △3.9

    出所:開発商工貿易局

  • 化学部会 


    新井部会長

     

    司会 次は化学品部会ですが、化学品部会は品目が多いので非常にばらつきがあるのではないかと思います。新井さんお願いします。

    イラク戦争、SARSが大きく影響した化学品貿易

    新井 いま金融、コンサルタント、貿易の3部会ともマクロな話が中心でしたが、私ども化学部会は内需型、国内消費型の産業ということで、委員長の方から今ご説明ありましたように、いろいろ問題が業界毎にでています。
    概況はイラク戦争、SARS問題が、全体的にはあまり大きい影響ではないと言うのですが、基礎化学、石化製品、有機化学品の輸出量に個別的に見ますと、化 学品業界では輸出入に大きく影響を与えた。インフレ抑制策に伴う高金利政策による消費の落ち込みで、消費関連の製品、樹脂加工、製靴、自動車産業の稼働率 低下となり、化学業界に影響を与えた。イラク戦争はベネズエラのゼネストと重なって、2月末に12年ぶりの約40ドル/バレルの原油価格の高騰を招き、米 国の石化市況が先高感という事で、ブラジル向けは、どちらかというと低価格地帯な訳ですが、価格が折り合わず輸入が停滞。これに当国の消費の後退、不況が 重なり、プラスチック、ゴムなどの需要減、輸入基礎原料の需要も減退と。

    アジア向け輸出は、割と相場で動くところもあって、SARS問題 から主要輸出市場である中国での需要の冷え込み、買い控え、先安感もあって輸入側の模様眺めとなり、輸送期間の長いブラジル品は臨機に価格に対応が出来な いと言うことで、大幅な落ち込みとなった。この意味では全体的には中国が伸びているようですが化学部会的に見ますと、中国向けは落ち込んだ。一方で、輸出 を引っ張った大豆は、こんな中にあって国際相場、レアル安に支えられて輸出好調が続き、農業関連の農薬、肥料の出荷は順調に推移した。

    1-樹脂加工業界は自動車、文房具向け好調

    2-写真フイルム低調

    3-接着剤、シール剤値上げたたる

    4-水処理は今後の集中購買制を懸念

    5-化粧品、スペイン、ポルトガルへ輸出

    6-飼料添加剤・農薬はドルベースで売上げ増

    7-家庭用殺虫剤は低調

    個別業界的に見ますと、●樹脂加工業界では輸出を積極的に展開した自動車向けメーカーは好調だった。それから事務・文房具関係は好調、一方で通信・家電・ 製薬業界は低調。また、過去順調に拡大してきた包装材・建築資材・日用雑貨などは、一般的な消費の減退をうけて低調だった。

    ●写真フィルム は1月こそ前年並みの小売販売量だったが、予想通りに全般的な消費の低迷を受けて、連続10%下回る状況が5月まで続いた。需要減による価格競合の激化、 レアル高に伴う値下げプレッシャー、新規参入メーカーの低価格による市場拡大策に最大手が過剰反応するなど重なって、上半期は前年比大幅なマイナスとなっ た。

    ●筆記用具業界ですね、高金利政策に伴う停滞を受けて国内小売部門は、前年比マイナス。プラスチック・薬品等の資材関連は原料価格の高止まりで、値上げが追い付かず採算を圧迫。輸入原料についてはレアル高でコスト低減には効果が若干あった。

    ● 一方、接着剤、シール剤業界は、国内調達・輸入原材料価格のレアル安などを要因とした高騰、コスト増を市場に転嫁できず、付加価値率減少の傾向が昨年後半 から続いている。で、また需要家である自動車業界の販売低迷でこれも落ち込み、大衆市場でも値上げしたことなどが影響して大幅な売り上げのマイナスが続い た。で、値上げしたにも関わらず、売り上げ的には前年並みを確保するのがやっと。

    ●それから水処理業界。これは、産業の設備投資に伴う業界 で、新規設備投資が抑制されていることもあり、新規客先の出現がほとんどなく、既存客先への販売攻勢で競争が激化。さらに日本、欧米で見られるような集中 購買制を大手グループが取り始めて、まあ、オール・オア・ナッシングに近い買い付け方法になってしまった。これが全体的な価格の圧力になっていますと。特 にいいましたのはこれが将来、他のグループに、いま言いましたのはブラスケムですけれども、ブラスケムのような所に続くグループが出てこないか危惧される ため。

    ●次ぎは化粧品業界。為替が安定している事は輸入業者にプラスであったが、ショッピングセンターなどを中心とした店頭販売は苦戦。と くにメモリアルデーの母の日、恋人の日の業界全体の売上げが振るわなかったのが、例年にない特徴だった。経済停滞を反映し、高級ブランド品から中級価格帯 商品へのシフトが進んだのと、進んだ一方で、輸出がブラジルからスペイン、ポルトガルが多いようですが、輸出は引き続き好調だった。おもしろいことに失業 者の増加で訪問販売従事者が増加、訪問販売での売り上げは伸びている。 それから一方で、いま問題になっています空港、港での税関スト等の影響で通関に支 障を生じて、製品輸入している高額品、ブランド品で販売機会損失が起こっていると言うことです。

    ●飼料添加剤・農薬その他ですが、農薬は昨 年、為替、経済変動が激しかった訳ですが、業界を挙げて流通在庫の調整を行ったこと、昨年後半のレアル安場面で大幅な値上げを実施し、そのレベルを未だ維 持している事もあってドルベースでみれば大幅なアップ。さらに冬、二期作目の冬作のとうもろこしも含め、大豆などの大型作物が輸出好調に支えられて順調で あったなどを反映して、上期は前年同期比のドルベースで業界売り上げは21%強のプラスになっています。ただし、消費不況もあって価格低迷の続く国内型の ジャガイモとか、トマトとかブドウなどを相手にしている果樹・園芸分野は在庫調整が進んでなく低迷が続いています。

    飼料添加剤は、コモディティー商品で、供給量により価格の上下があるものの、為替安に準じた高値で上期はそれなりの業績を上げられた。

    それから家庭用殺虫剤ですね。これは輸入原料の高騰を消費の低迷で価格に転嫁できず、なおかつ天候不順による不快害虫、蚊とかゴキブリの発生が少なくて売 り上げは低調だった。これにデングなんか突発的な発生も少なかったということで、これらの分野はちょっと低調だったと言うことです。

    農薬・肥料・飼料添加剤が下期好調期待

    下期の展望としては、好調なところから行きますと、やっぱり国際相場の堅調並びに輸出型の大豆を中心とした農業関連の農薬・肥料・飼料添加物は為替が安定 している状況では採算面も含め、前年を上回る予想です。ただ、化学業界全般としては、輸入原料を主体に国内販売型である事もあって、関係業界の業績回復、 金利低下、インフレ高進の抑制などによる消費刺激・拡大で為替安定による原料価格の低下がないと、下期も苦戦が続き前年比厳しいと予想する会社が大半でし た。ということで多分、時間内ですね(笑い)。

  • 化学部会(レポート)

    2003年上期回顧と下期展望

    部会長 新井 章夫
    2003年7月28日

    (1) 03年上期回顧

    概況:一般概況としては、イラク戦争・SARS問題が基礎石化製品・有機化学品の輸出入に大きく影響を与えた。また、インフレ抑制策に伴う高金利政策による消費の落ち込みで、消費関連の製品、樹脂加工・製靴・自動車産業の稼働率低下となり、化学業界に影響した。
    イ ラク戦争はベネズエラのゼネストと相まって原油価格高騰を招来し、2月末にはUS$39.99/Bblをつけ、米国石化市況が先高感となり、ブラジル向け は価格が折り合わず輸入が停滞、これに当国の消費の後退・不況が重なりプラスチック・ゴムなどの需要減、輸入基礎原料の需要も減退。
    アジア向け輸出は、SARS問題から主要輸出市場である中国での需要が冷え込み、買い控え、先安感もあり輸入側の模様眺めとなり、輸送期間の長いブラジル品は、対応に機動性がなく大幅な落ち込みとなった。
    こんな中にあって、大豆など国際相場、レアル安に支えられた輸出の好調が続く農業関連の農薬・肥料出荷は順調に推移した。

    1) 樹脂加工業界:輸出を積極的に展開した自動車向け、事務・文房具関係は好調だったが、通信・家電・製薬業界は低調。 また過去、順調に拡大してきた包装材・建築資材・日用雑貨などは、一般的な消費の減退を受け低調だった。

    2) フィルム業界:1月こそ前年並みの小売販売量だったが、期首に予想した通り、その後は、全般的な消費の減退を受け5月まで連続前年比を10%下回る状況が 続いた。 これに需要減による価格競合激化、レアル高に伴う値下げプレッシャー、新規参入メーカーの低価格による市場拡大策に最大手が過剰反応するなどが 重なり、6月は若干回復したものの、上半期は前年比大幅マイナスとなった。

    3) 筆記用具業界:高金利政策に伴う国内経済の停滞を受け、国内小売部門は前年比マイナスとなった。 またプラスチック・薬品等の資材関連は原料価格の高止まりとなっており、値上げが追いつかず採算を圧迫。但し上期のレアル高は、輸入原料コスト低減には効果があった。

    4) 接着剤・シール剤業界:国内調達・輸入原材料価格のレアル安などを要因とした高騰、コスト増を市場に価格転嫁出来ず付加価値率減少傾向が昨年後半から続い ている。 また主要需要家である自動車業界の販売停滞で生産台数が落ち込み、大衆市場でも、値上げしたことなども影響し、前年比月平均40%マイナスが続 いたため、値上げしたにも拘わらず、売上は前年比並み確保に留まった。

    5) 水処理業界:新規設備投資が抑制されていることもあり、新規客先の出現は殆どなく、既存客先への販売攻勢で競争が激化。 更に日本・欧米にみられるよう な、水処理薬品とプロセス薬品の集中購買をBraskenグループが傘下の4地域12工場を対象に入札方式で実施することを計画しており、商内確保のため 大幅な値下げ対応が余儀なくされている。 この傾向は他の国内グループにも波及することが危惧される。

    6) 化粧品業界:為替が安定していることは輸入業者にとりプラスであったが、ショッピングセンターなどを中心とした店頭販売は苦戦。 とくにメモリアルデーの 母の日、恋人の日の売上が業界全体で振るわなかったのが、例年にない特徴だった。 経済停滞を反映し高級ブランド品から中低価格帯商品へのシフトが進み、 また輸出も引き続き好調だった。 失業者の増加で、訪問販売従事者が増加し、訪問販売での売上は伸びている。 なお、空港・港での税関ストなどの影響で通 関に支障が生じ、製品輸入している高額品・ブランド品で販売機会損失が起こっている。

    7) 飼料添加剤・農薬その他:

    ①農薬:昨年業界を挙げて流通在庫調整を行ったこと、昨年後半のレアル安場面で大幅な値上げを実施しそのレベルを維持できたこ と、冬作コーンも含め大豆などの大型作物が輸出好調に支えられ順調であったことなどを反映し、上期は前年同期比ドルベースの業界売上は21%のプラスと なった。 但し消費不況などもあり、価格の低迷する果樹園芸分野は在庫調整が進んでいない。

    ②飼料添加剤:4社競合のコモディティー商品で、供給量により価格の上下はあるものの、上期は為替安に準じ高値で推移した

    ③家庭用殺虫剤:輸入原料の高騰を、消費の低迷で価格に転嫁できず、天候不順による不快害虫の発生が少なく、売上は低調だった。

    2) 03年下期の展望 :

    国際相場の堅調さ並びに輸出型の大豆を中心とした農業関連である農薬・肥料・飼
    料 添加物などは、為替が安定している状況では、採算面も含め前年を上回る予想。化学業界全般としては、輸入原料を主体に国内販売型であることもあり、関係業 界の業績回復、金利低下、インフレ昂進の抑制などによる、消費刺激・拡大ならびに為替安定による原料価格の低下がないと、下期も苦戦が続き、前年比厳しい 年になると予想する会社が大半となっている。

    以上

  • 機械金属部会 浅賀副部会長


    浅賀副部会長

     

    司会 次に機械金属部会。機械金属部会は、為替の影響も非常に大きかったのではないかと推測しておりますが、浅賀さんよろしくお願いします。

    ドルレートはR$3.2~3.5がのぞましい

    浅賀   今日は杉村部会長の代わりで、浅賀がやらせて頂きます。全体を3つに分けまして。一つ目は私ども7月の17日に、部会を開き意見交換をしました。その時 の模様、2つ目としては、皆さんからまとめて頂いたレポートを、ざっと大ぐくりで、どんなパターンに分かれてるかと言う風なパターン別の紹介。三つ目はた またま杉村さんの代役で出させて頂いたので、今回、鉄のことを少しお話しさせて頂きたいと思います。

    1番目ですが、我々の部会でも今ご 紹介ありましたような為替の問題、金利の問題、それから失業問題、これもう3点セットで、それぞれ話題が出ました。とくに為替につきましては特殊なもの、 高級なものを輸入している、そういう業態の方ですね。それから中国品とモロにわたりあっていると言う、そういう非常に低価格のものと勝負しているところ。 それから、設備をブラジルに移して、ブラジルを輸出基地にしようと言う、輸出依存型の戦略をとっておられるところは、今回の為替の変動に非常に皆さん厳し いやりくりをしていると。その中で、じゃあどのくらいのレートだったらいいのかと言うことで、みなさんの話しを聞きましたら、「ドル当たりR$2.85で も十分競争力がある」という会社も1社ございましたが、大体はやっぱりR$3.2から3.5ぐらいのところで落ち着いてくれないかなと、こう言うのが、我 々の部会のみなさんの感触でした。

    金利につきましては、いまご紹介あったように、耐久消費財の需要が低迷している事で、とくに車、家電 に関連業種、そういう部品を作っておられる企業さん、それから工具、測定機器、特にそういう組み立て産業に対していろいろ機械から部品とかサービス機器を 供給しているご商売はやはり需要の低迷で影響を受けている。

    失業問題については、直接ではないのですが、金利と同様に購買力の足を引っ 張っている事と、もう一つの失業対策がいまいち、具体的に出て来ないと言うことで、分かりやすい例で言えば、公共投資に伴う建設機械、こう言うものがやっ ぱりいま一つ弱いと言うことで余り明るい話しはなかったけれども、総じて言えば、「心配して始まったルーラ政権の腕前をもうちょっと見ようか。ここまでは 大きい破綻もなくよくやってくれてるんじゃないかな」と言う印象だと思います。

    業績では好調のパルプ、ポンプ業界

    2番 目、我々の業種を1、2、3と大体4分類して、「上期の実績と下期の展望」ですね。1番多いタイプは、上期に比較的強気の計画を立てて、まずまず計画通り 滑り出したが、下期は若干暗いと。やっぱり落ち込むと。これが1とします。2番目はちょっと、足元も苦しいけど下期もずっと苦しいと、こういう業界。3番 目は、実は上期下期ともに好調であると、あんまり多くないがこう言う業界もありました。4番目はあまりその下期、上期という、その短期で見るのではなくて 中期的に見れば、ほぼほぼ堅調に行くんじゃないか。まあ、このような4つに分類して、「まずまずだったけども下期はやっぱりちょっと厳しいな」と。これが 一番多かったけれども業種でいいますと、ベアリング、切削工具、測定機器、それから工業用のネジであるとかですね。私どもがウジミナスでやってる自動車用 鋼板の事業とか。これが「大体ほぼ順調にスタートしたけど下期はやっぱり厳しいな」という感じです。
    それから「足元もこの先も年内は厳しい な」、というのは重電関係、建設機械、電動工具。この辺がちょっと厳しいと。それで今あの、プラント屋さんの方で、「上期下期とも好調」と言ってるのはや はり、今までご紹介あった製紙パルプ、非常に設備投資意欲が強い。それからあと農業分野にくっついている、例えば我々のところで言うとポンプ、潅漑用のポ ンプ。こういう農業分野にリンクしている分野、製紙パルプ、この辺のところが、「実は上期も下期も意外といいんですよ」と言ってますから相当いいんだと思 います。

    設備投資意欲強い石油、製鉄プラント

    プラントで、少し息が長いもので言うと、上期下期というふうなバイオリズムで なくて、もうちょっと2、3年というスパンで見ていくとこでは3つほどありまして、将来的には電力不足問題は必ずあるだろうと言うことから、いずれ電力不 足を解消するための投資が出てくると言う、その分野に関係した電力関係のプラント。
    それから石油から石油化学。とくに100%自給率を目指して頑張ろうと言っている石油関連で、これも設備投資の意欲は強いということで、まあまあ堅調に推移してるんではないかと。
    それから比較的我々に近い鉱山、製鉄関連のプラント。これも世界的に言うと、中国が非常にブラックホール状態で、どんどん、鉱石も鋼材も輸入すると。ちょ うど規模的に言うと、私どもの君津製鉄所2、3個分の需要が毎年増えるという勢いで来ている。これが本当に2008年、2010年まで行くのかなという不 安はありながら、そういう勢いに引っ張られるかたちでブラジルも、リオ・ドーセ、それから製鉄会社にしても、設備投資が非常に活発であると。

    借金多いが輸出競争力強い鉄鋼各社

    それでは鉄の方の話しをさせて頂きます。ブラジルの鉄鋼業は非常に特徴がございまして、一言で言えば、世界の一流の下ぐらいの鉄鋼先進国といえると思いま す。規模は年間3000万トン、これはなかなかイメージ湧かないけれども、3000万トンと言うのは、ちょうど新日鉄1社と、ブラジル全体が同じぐらいな んですが、3000万トンの鋼材を作って国内は1700万、これ国民一人当たり大体100kgです。この100kgをブラジルはなかなか突破できないけれ ども。で、輸出が1300万から1400万トン。これ40数%の輸出比率で非常に競争力があって、なおかつ貿易志向型、輸出志向型の体質をもっている。
    それからもう一つの特徴は、借金が多いことですね。大手5社の借金の総額が約9000億円です。9000億円のうち80%が主にドル、外貨による借金で す。ですからレアルが安くなった時には、得意の輸出でガンガン稼ぐわけですが、背中にしょっている借金の負担がものすごく重たくなる。今度は逆になった場 合は、輸出がなかなかきつい。その代わり借金はその分軽くなると。そういう構造のなかで、為替が振れると非常にこうふれ幅が激しくて、なおかつ、この間み たいに頼みの輸出が、中国あたりが好調ですと最高なんですけれど、「それ輸出に行くぞ」といった時に、輸出の相手側が調子が悪かったりすると、゛これ往復 ビンタみたいになるわけで、借金も重たくなって輸出もできない、とそういう状態になる。

    ツバロンにおけるアセロールの戦略見習え

    ただし、先ほど、田中会頭からもお話がありましたように、ブラジルはとにかくツバロンにしても、ウジミナスにしても、ここまでなんとか世界の一流の下くら いまでは来ています。私もこの間ざっと見たところ、ウジミナスだけで今まで1500億円ぐらいの投資融資をして来ているんですね。やっと1500億円注ぎ 込んで、そこまで育てておいて、「ここから先」、というところで今もう一つ元気がないわけですね。だから本当はその、まさにツバロンにアセロールが入って 来たかのごとく、かなりいいところまで出来上がったところでパクッと食べちゃうっていうのが戦略的には非常にいいんですね。

    ちょうどセ ラードでやったと同じような事を、鉄鋼でいまやっている。一生懸命あるところまで、一人前まで行って、これからしっかり稼いで貰うという時に、もうこれ以 上ついて行けないって言う状況に今なりかかっています。ですから、私がここで言ってもなかなか社長は耳を傾けてくれません。先週も中国で投資するとかを 言ってましたけれども、どうしても大勢はそっちに行ってますので、なんとかこっちに目を向かせる方法を考えたいと言う風に思っております。以上です。

  • 機械金属部会(レポート)

    2003年上期の回顧と下期の展望

    全体

    2003年1月、ブラジルで初めてのPT主導によるルーラ政権がスタートした。
    機械金属部会の多くが本年度予算を作成するにあたり新政権による政治経済の混乱を不安要素として考慮した模様である。
    しかしながら新政権はポピュリズムに走ることなく予想以上に手堅い政治運営をした事で予想された混乱は起こらず、結果として昨年後半の行き過ぎたレアル安は是正された。
    レアル安の是正が余りに急激であった為に部会所属企業の中には少なからず戸惑いが感じられる。
    部会には中国品などとの厳しい価格競争にさらされている所や、レアル安を利用して先進国の生産設備を移管してブラジルを輸出基地化する所などあり、為替が成否を握る重要なファクターになっている。
    一部に為替がドル=2,85レアルでも競争力を維持できる企業はあるが望むべき為替レートは3,20レアル~3,50レアルが大方の意見であった。
    自社製品の競争力とは関係なく鉄鋼、紙パルプや畜農産物など為替の恩恵を受けて輸出拡大している産業にビジネスを展開している部会所属企業とっても為替は大きなファクターになっている。

    もう一つのファクターは金利である。特に耐久消費財の販売が高金利の為に低迷しており、新政権や中銀に対しては高金利維持政策への不満が多く見られた。自動車や家電産業を主要な顧客としている部品、工具、測定器メーカーでは不満が特に大きい。

    失業問題も一つのファクターとしての指摘があった。失業の増加は金利同様に購買力を落としている点で問題であるが、失業対策としての公共投資などが不十分で建設機械などの需要が低迷している事も問題である。

    同様に政権交代時によく起きる問題として今回も政府関係の投資や融資が停滞しているとの指摘もあった。

    しかしながら部会全体としては初めての左翼政権であるルーラ政府が大きな混乱もなく最初の半年を運営した事を評価している声が多いようである。

    鉄鋼

    鉄鋼業界全体の本年度計画は鋼材生産8,3%、販売で6%の伸びを前提にスタートした。とりわけ輸出(+9,3%)への期待が大きかった。
    し かしながら上期の実績では生産はほぼ計画通りであったものの販売は国内0,6%減、輸出も6,7%増にとどまった。主な要因としては国内建材向け需要低迷 と自動車向けの不振が大きい。特に第2四半期からの落ち込みが顕著であった。輸出に関しては世界経済の低迷による半製品の大幅な落ち込みの影響が大であっ た。
    従って業界全体では上期は在庫積み増しとなった。
    下期については国内販売が完全に調整局面入りすると考えられている。特に建築向けの長物の落ち込みが加速しそうである。全体的には年初計画を1~2%下方修正すると思われる。主力の鋼板は自動車生産の低迷もあり対上期6%程度の減は避けられない見込みとなっている。

    単位:千トン 2001年実績 2002年実績 2003年計画 2003年1-5
    粗鋼生産 26,717 29,604 31,023 12,736
    鋼材生産 25,790 27,873 29,330 11,924
    半製品 7,717 8,841 7,898 3,432
    製品 18,073 19,032 21,432 8,492
             

    国内販売

    15,692 15,832 16,400 6,281
    輸出 9,291 11,686 12,770 4,635
    半製品 6,365 7,779   2,902
    製品 2,926 3,907   1,733

     

    プラント

    プラント関係は電力業界向けのように1年前からは様変わりして落ち込んだ需要もあるが全体的には依然として好調を維持している。
    主要業界別には以下のとおり。

    製紙パルプ業界

    レアル安による輸出競争力up、パルプ市況の回復などで依然として各メーカーの増産意欲旺盛。BAHIA州の紙パルプ新工場計画や各メーカーの容量up、ボイラー新設などの案件が下期にも継続。

    電力業界

    2001 年の電力危機でスタートしたPPT発電プロジェクトは一部2002年で実施に移されたものがあるがその後は全くの凍結状態になり本年上期での進展はほぼゼ ロであった。巨大なドルベースでの設備投資金額をレアルベースでの電力料金では回収することが出来ない事と電力問題の危機感が薄れてきた為である。電力企 業の経営状態も深刻化している。
    しかしながら長期的にみれば電力不足問題は確実の再発すると考えられブラジル政府は何らかの対策を事前に打つ必要がある。そういう意味で少しづつではあるが必要な投資は再開されると期待している。

    石油化学業界

    新油田やガス田の発見があり自給率100%目指しての投資案件は堅調に推移している。ペトロブラスは十分な資金を持っていることから海上プラットフォームや石油精製設備などの案件は当分続くと考えられる。

    鉱山、製鉄業界

    昨年で大型案件は一巡したと考えられたが、中国が引っ張る形で世界的な鉄鋼需要は拡大しており、CVRDや鉄鋼各社は更なる設備増強計画を推進中。輸送、港湾設備なども堅調に動くと考えられる

    重電機器

    上 期は主な客先である電力業界の設備投資抑制が続いており大型のモーターや発電機の需要は低迷している。世界的な生産再編の動きがあり、その余波で日系メー カーのモーター工場の閉鎖が決まった。電力プラント案件は止まったままであるが送電所、変電所関係の案件には若干の動きが出始めた。従って変圧器などの需 要は堅調。
    政権交代時には政府資金ベースの新規案件は停滞する傾向にあるが今回も同様で本年上期は動かなかった。民間の電力会社は資金難に喘いでおり当面期待できない。
    一方石油関係はペトロブラスが極めて活発に拡大投資を行っておりガスタービンやコンプレッサーなどの案件が出ている。
    この業界は需要の低迷や為替の変動で競争が激化しておりビジネス環境は極めて厳しい。下期も大きな期待は出来ない見通し。

    尚、この業界からは日伯FTAの早期推進を望む意見が出された。

    建設機械

    主 要4建機(ブルドーザー、パワーショベル、ホイールローダー、モーターグレーダー)の2003年需要予測は対前年比で21%減でスタートした。政権の交替 年度は道路工事stopによる入札の中止などがあり選挙前に比べ大きく落ち込む事やルーラ新政権がどのような運営をするかの不安要素を織り込んだ上での予 測であった。
    上期の実績見通しは対前年では落ち込んだものの計画に対しては若干上回る事が出来た。新政権発足後の経済混乱が予想以下であった事がいい結果になったと見ている。しかしながら大胆な失業対策などの方針が見えない事から下期も需要の伸びは期待できない。
    輸出はイラク戦争や欧米経済の不透明感から上期は大幅減、下期は回復と見ていたが北米市場が予想以上の回復を見せており通年で販売台数は5%増となる見通しとなってきた。
    第2四半期からレアル高に振れている為、輸出の採算が悪化しており下期の採算は更に厳しい見込み。

    電動工具

    もともとホビー用の電動工具は8月の父の日と12月のクリスマスが販売のピークとなり上期は低調であるが、今上期はそれに加えて金利が高止まりしたことで販売は不調であった。量販店では長期の分割払いで売り込みを計るものの大きな成果は出ていない模様。
    一方プロフェッショナル用も民間の建設投資が落ち込んでいることや政権交代で公共投資も凍結状態にあるため上期の販売は低調であった。

    下 期は金利がどのように下がるか、公共投資がどのように復活するかなどがkeyとなる。ホビー用は父の日には間に合わないがクリスマスには消費の回復がある のではと期待している。プロフェッショナル用電動工具は大手の需要家である自動車産業が5月以降明らかに落ち込んでいる事も下期の見通しを悲観的にしてい る。
    また現地生産品は輸入品との価格競争になっており、第2四半期からのドル安傾向は現地生産品にとってはより厳しい市場条件となっている。

    汎用エンジン

    上 期は農業関係向けファイナンスが完全に停止してしまい汎用デイ―ゼルの需要は大きく落ち込んだ。又レアル安にも係わらず中国製の輸入は拡大し市場環境は悪 化した。上期後半のドル安への変化は更に中国製との価格差がつくことになり下期は大変厳しいと見ている。下期については顧客向けファイナンスの早期再開を 切望している。
    南米向け輸出はODA案件が激減し民間ベースの案件のみで需要は落ちている。

    市場規模は小さいがヨット用デイーゼル、パワーボート用デイーゼルも市場は横ばいか若干の落ち込みであった。これらの市場は景気の回復次第で拡大するものと期待している。

    ポンプ

    上 期のポンプ業界は昨年から続いている農業需要に支えられて繁忙であった。上期のポンプ需要は昨年同期比で10~15%増となった。ブラジル経済そのものは 下降気味で農業向け以外の需要は落ち込んでいる。上期の輸出向け受注は好調を維持し、下期の販売に寄与するが為替2,90レアル以下が続くようだと損益的 に苦しくなる。ブラジルでの生産能力を拡大し輸出を伸ばす方針を取っており、その為にも国産化率の向上を計っていく必要がある。
    下期は新政権による景気上昇は期待出来ないと見ているが、井戸ポンプは農業分野の成長継続や恒常的干ばつが背景にあり高い需要レベルを維持すると考えている。

    切削工具

    景 気全体は落ち込んだ感じがするが主要客先である自動車産業が上期は対前年同期で若干のプラスになったことや農業関係が堅調に推移したことで工具類の上期販 売は前年並みか若干下回る程度となった。金利の動向に左右されそうであるが自動車販売の回復が期待できないことから下期は上期より悪化しそうである。
    鉱山開発に依存する特殊鉱山工具は前年並み、鉄鋼線材や棒鋼の圧延用超硬ロールは前年比8%のマイナスとなった。
    日系メーカーでは為替による輸出競争力が増大した事で北米からの生産移管を実施し輸出による事業の拡大を進めているところもある。

    精密測定機器

    2003年の計画は政治などの不安定要素を加味して低めに設定したが上期は予想以上に良い結果となった。自動車をはじめ各産業での現調化の流れが続いている事とマナウス地区への新たな日系進出企業の進出による販売増が寄与している。
    今 年のFEIMAFI展示会でも昨年より具体的な引合いが増えており需要は拡大していると感じられる。しかしながら欧米系の競合メーカーの進出も盛んで競争 は激化してきている。アルゼンチン向け輸出は倍増したが、輸出全体ではレアル高に振れた事でレアルベースでの計画は未達成であった。
    下期は国内自動車関連の生産調整が避けられない状況にあり上期よりも厳しいとみている。
    輸出は欧州向け、北米向けとも回復が見られ、南米市場も昨年よりは確実に回復しているので下期の輸出には期待している。

    工業用ネジ

    今 年1月の計画では労働党政権が順調にすべり出したことからネジ需要の大手業界である自動車、家電が増産体制に入るものと考えていた。実際自動車、二輪は5 月頃までは対前年で上回っていたものの6月で急落した。家電は更にひどく、主要アイテムであるカラーTV、オーデイオ、電子レンジ、冷蔵庫などの1~4月 販売は対前年で15~25%落ち込んでいる。その結果、家電向けのネジの受注は月によっては前年比50%まで落ち込んでいる。失業の増大による先行不安感 や実質収入減などが原因として挙げられる。結果的に上期のネジ販売量は昨年同期比で約12%減であった。
    下期は自動車関係も減速傾向にあることや家電関係も大きくは改善されない事から上期より更に悪化すると見ている。クリスマス需要までに例えば金利が大幅に下がるなどの需要回復があることを期待している。

    軸受

    軸 受需要の4割を占める補修市場での在庫調整が昨年末で終了している事から本年上期の補修市場向け販売は回復すると見ていたがほぼ予想どおりであった。本年 上期の軸受の輸入統計も昨年同期比で10%以上の伸びとなっている。補修需要の重要な産業である鉄鋼、紙パルプ、農業、鉱山などが現在最も活発な生産を 行っている事も補修需要を押し上げている。但し補修用軸受は輸入品が主であるため、第1四半期と第2四半期で為替が大きく変動した事で市場は若干混乱し た。
    OEM市場も概ね好調なすべり出しであったが第2四半期から状況は明らかに悪化した。最も重要な自動車向けが自動車の国内販売の落ち込みが明 確になり取り入れ減につながった。絶好調であった二輪も伸び率の下方修正を行った。洗濯機や掃除機などの軸受を使用する家電も販売は低迷、モーターはメー カー間で格差があるが輸出で好調なメーカーも急激なレアル高で取り入れの調整があった。
    下期は補修市場を支えた上記の輸出好調産業もレアル高で勢いが弱まる可能性があり需要の拡大は期待できない。
    OEM関係は上期より更に悪化する傾向にある。
    し かしながら各企業は輸出促進や現調化を積極的に進めている為、ブラジル生産品に対しては新規の引合いが急増している。すぐに実需となってくるものばかりで はないがOEMの需要は潜在的に拡大傾向にあることは確かである。高金利の是正や失業率の改善などあれば第4四半期でも市場の回復はありえると期待してい る。

    以上

  • 繊維部会 福島部会長


    福島部会長

     

    司会  前半の最後に、繊維部会にお願いしたいと思いますが、繊維部会のほうは、原綿の先物輸出が非常に好調だっていう話しもあるようですが福島さん、よろしくお願いします(笑い)。

     

    気まぐれ天候に悩まされる繊維業界

    福島   先ほど赤阪総領事がおっしゃいましたように、気まぐれな天候にまさに影響を受ける繊維業界です(笑い)。上期、まあ下期も、そう予測ですが一言で申し上 げますと、繊維と言いましても幅が広いわけですが、おしなべて「原料高の製品安」。末端商品、小売りが非常に停滞、低迷して25%程度落ち込んでいると言 うこともあり、大変、苦悩の1年になるであろうと思っております。
    それと信用不安が大きく出ており、サイトも非常に長いのですが、信用不安、信 用問題が大きな課題になっております。この中で1社、1業種のみ、非常に好調であったと。これはファスナー関係で数量的には落ち込んだが、非常に高付加価 値商品の売れ行きが良くて、上期も2割程度の増収増益です。下期も2割程度の増収になるだろうと。

    原綿値上がり、玉不足のダブルパンチ

    素材別に申し上げたいと思いますが、まずブラジルで1番多く使われております綿糸の業界なんですが、昨年は、この原綿が85万トンの生産だったと言う事で す。これを全部糸にして織物にする、200gの例えばTシャツを作るとすれば、38億万枚ができると。全部Tシャツにするわけではありませんが、その程度 の生産原綿、綿の生産がありました。1番大きいのはマットグロット州で約5割が生産されております。
    値段は昨年の8月くらいから、この原綿価格 が非常に上がってきた。これレアル安とほぼ連動しておりまして、原綿価格が上がって参りました。今年の5月ぐらいまで、昨年の上期と比較して約2倍の原綿 相場になったと言う事です。レアル安で綿花農家あるいは綿商が、かなりの量を輸出に回した事も国内原綿不足の大きな原因です。
    我々、この原綿を買って糸にする業界ですが、糸代が2割上がった。糸代に転嫁したのが約4割程度で、おのずと会社は非常に厳しい状況になっております。

    寒中はセーター姿でゴルフして下さい

    更に、はやばやと冬物等の生産調整の実施をしたあと、7月中旬にかなり寒くなり、期待したんですが気まぐれ天候に災いされて、売れ行きが非常に悪かった。 PL(ゴルフ場)に行きますと、半袖、半ズボンでゴルフされる方がおられ、「見るとぞっとする」。なんとか少なくとも長袖、出来ればセーターぐらい着て頂 ければいいんではないかと思っております(笑い)。この糸関係は紡績糸の、糸関係は今申し上げたような事で、大変厳しい状況になっております。織物も同様 で、昨年後半から高インフレ、所得減少、高金利による月賦販売大幅減少が売れ行きを大きく落ち込ましておりまして、昨年と同様に裏切られる結果になったと 言う状況であります。
    関連します染色繊維、縫製業界も同様、売れ行き悪化に伴う落ち込みで大変悪い状況であります。

    次に羊毛関係。これはブラジルでは非常に少ないんですが、「原料高の製品安」という状況です。これは特に、オーストラリアの干ばつ、あるいは政治的な減産があり、原毛の高騰が続いたという状況であります。

    シルクの関係は、これも大半が日本向けの輸出、日本、あるいはヨーロッパ向けの輸出産業で、これも日本の不況、特に和装離れ、あるいは中国の進出を受けて 大変厳しい状況になっております。ブラジル国内では、9800トン程度の原料繭が出来てると。これは昨年対比9%減とみておりますが、原料は減少しており ます。ただ価格的には他の作物に、特に大豆等への作付け変更とがありまして、15%程度原料繭は上がっています。

    化合繊も同様、まあイラク問題等あり、石油相場の高騰を受けて、4月後半が最高値になっている。そういう状況のなかで、売れ行きは先ほど申し上げたような状況であります。

    信用不安で慎重な商売を - 下期

    2003年下期ですが、これもまず綿の関係は、先ほど申し上げたように店頭売りが非常に低調であること。更には、ブラジルの国内景気、国内経済が不安定要 素が多いと言うこと。このような状況のなかでの消費の好転は見込みにくいこと。あるいは、国内需要の大幅な回復が見込めないなかで、レアル高による輸出競 争力の大幅低下という環境を考えますと、国内での供給過剰は避けられないのではないかと考えております。
    更に、先ほど申し上げましたが、信用不安が大変多くなっており、これに伴う慎重な商売が求められる中で厳しい下期を迎えると考えております。
    羊毛、絹関係、化合繊も同様です。先ほど申し上げましたファスナー以外はすべて、「原料高の製品安」という状況のなかで、この残り5カ月を暮らして行かなければならない状況ですので、ぜひ長袖、セーターでよろしくお願いしたいと思います(笑い)。以上であります。

    司会  ここでコーヒーブレイクと行きたいと思います。後の方にコーヒーの用意が出来ております。5時から再開したいと思いますのでよろしくお願いします。

  • 繊維部会(レポート) 

    2003年上期の回顧と下期の展望

    (繊維及び衣料)

    《2003年上期の回顧》

    1.綿 糸

    1)原綿の動向
    2003年6月発表資料によれば、2002/03年の原綿生産量は、850,900㌧となり、昨年対111%の増産となった。
    綿作はMato Grosso が全体の50%を占め、ブラジル綿花の主産地の地位を不動のものとしているが、本年度は、Bahia州の伸長率が大きく(159%)、Goias州と並んで綿作の中心地を形成している。
    作柄については、成長期の降雨日数多く日照不足による成長不良気味の傾向に加え、摘取時期降雨が続いたためタイプは下落し上級品が非常に少なくなった。
    相場について指標となるEsalq指数の推移は次の通りである。
    2002年 12月 183.03
    2003年 1月 190.00
    2月 172.16
    3月 188.33
    4月 188.63
    5月 159.10
    6月 150.01

    今 年の相場動向は昨年度綿作の減反と生産性低下により大幅減収となったほか海外相場上昇と、レアル安による原綿輸出が増えたことにより原綿不足状態となって 年末には原綿相場が年初の2倍に跳ね上った後、今年に入ってからも原綿不足状態が続き相場は5月初めまで高値のまま推移した。
    原綿相場の国際的指標となるニューヨーク定期は、本年前半はイラク戦争、SARS問題などが大きな要因となり、2月のUS¢47を底に3月の最高値US¢60.02まで振幅の大きい展開となった。

    2)綿糸の動向

    昨 年後半の綿糸需給の堅調な推移を受け、本年上期の国内綿糸市況は、年初より各社値上げを模索するなど比較的順調なスタートであった。ところが2月に入る と、昨年、一昨年と続いた冬物商戦の不調から大手アパレル、ニッターは早々に冬物の生産調整を実施、綿糸の需要は一気に落ち込み始めた。特に本年上期は カード糸需要の落ち込みがひどく、3月後半になると、カード糸の需給バランスの失調は顕著になった。
    価格については年初より5-7%程度下落し、上期を通じて各社ともカード糸の販売に苦戦したといえる。一方コーマー糸についても大手伯紡績の生産調整と高水準な輸出成約にもかかわらず需給は引き締まらず、価格もカード糸につられる形で低水準であった.
    綿糸の太番手市場も同様の市況であり、公共料金の値上げや携帯電話の購入拡大等で、ブラ
    ジル国民の購買力が低下することは織り込み済みであったが、消費はそれ以上に大きな停滞を
    見せ、各社の在庫は積み上がってしまった。
    以上のように2003年上期の国内綿糸市況は不調に終わった昨年以上に、需要は低かったといえる。また、原料コストのアップを受けて採算的にも厳しい中で、相場の下落を受けるという極めて厳しいシーズンであった。
    一方、綿糸の輸出実績は以下のとおりである。
    2002年(1-05月) 8,891t(100) 18,843千ドル(100)
    2003年(1-05月)19,432t(219) 41,485千ドル(220)
    今 上期の綿糸輸出は、国内市況の不振と3月迄のレアル安を受け、各社共昨年後半と同様に輸出ドライブを掛けた事により、昨年同期比(1~5月)倍増となっ た。然しながら、4月以降は急速なるレアル高の為、原綿高と相俟って輸出採算は大幅に低下し、先物の輸出商談には慎重に成らざるを得ず、一時の勢いは失わ れた。

    3)綿織物の動向

    昨年末の小売販売は好調で店頭在庫は薄く年を越したので、年初から在庫補充の商いが活発に成る事を期待したが、昨年後半の高インフレによる所得減少、高金利による月賦販売減少の効果著しく小売の動きが急速に悪くなり、昨年と同様に裏切られる結果となった。
    また冬物の商いも気候にも味方されず引き続き景気が悪化した。唯一この状況を助けたのは為替レートの効果があった3月まで輸出が活発であった事であり、このお陰で何とか操短を免れたといえる。
    売値は昨年の著しいコストアップ分を20~25%の調整を後半で試みたが全部は出来ず一部残りを今年前半に達成した企業もあった。

    4)染色整理及び縫製業界
    染 色整理業界は織布業界と同様の市況と思われる。一方、縫製業界はハイクラスのCONFECCAO(既製服)は前年比横バイと健闘しているが、低価格の縫製 業者は過当競争でますます苦境に追い込まれ、支払延滞は続出、期日通りに払うのは僅少である。CAMISA(シャツ)の最大手のGUARARAPESも年 初より3回値下げしても好転せず生産調整中といわれる。

    5)小売業界
    冬物商戦も期待はずれで5、6月は前年比5%~10%ダウン、7月に入って到来した寒さにも売れ行きは一向に伸びず早々のLIQUIDACAOを実施中

    2.羊 毛
    ウー ルはオーストラリアの政治的減産と旱魃から大幅な供給不足となって高騰、かつレアル安と重なり、ブラジルにおける原毛価格は、一時咋対200%近くに達し た。しかし、3月からのレアル反騰は、業界のムードを一気に冷やし、機屋・ニッタ-は高値原糸在庫の処理に苦しみだし、打って変わったデフレムードと不景 気感の中、物流は低調となり上期は期待はずれの状態に終わった。 この間ウールの世界相場は、中国のSARS問題が終焉を迎えたことから、再び強含み気配 となり、ウールに愛着の薄いブラジルでは、価格をめぐって原糸メーカーと製織業界のにらみ合いが続いており商談は停滞している。

    3. 絹
    02/03農年期の製糸各社の原料繭取り入れは、6月でほヾ終了する。本農年期は、春先に主産地パラナ州で旱魃や霜害、夏には一部作柄不良などで、前年対比9%減の9,800t前後で終了の見込みである。
    繭価格は、レアル安要因で本農年期開始時から現在まで15%の上昇となっているが、生産者の養蚕意欲は他作物価格の値上がりのため、ここに来てやゝ低下気味である。
    このような状況の中で、製糸各社は、引き続く世界的な消費減退並びにデフレ傾向の中、ブラジル生糸・撚糸の輸出価格下落に歯止めが掛からない上、レアル高も相俟って、販売数量の80%以上を輸出に依存している製糸各社は、相変わらず苦しい製糸経営を余儀なくされている。
    平均輸出単価は、2003年1-3月実績で前年対比81%、4-6月見込みでも82%と、2001年以来続いている輸出価格の下落傾向に歯止めが掛かる気配は見られない。

    4.化合繊
    本 年1月までの半年間の世界相場は、あまり変化せずに推移してきた。しかし、イラク問題に端を発し、石油相場が世界的に高騰し、特に4月後半が上期としては 最も高値になった。参考までに、アジア相場の推移は下記の通り(1.4/1.5 dn staple Fiber C&F)
    2002年第3四半期   ¢77~85/kg
    2002年第4四半期   ¢78~85/kg
    2003年第1四半期   ¢82~112/kg
    2003年6月      ¢83~93/kg
    販売状況は、1月、2月はポリ原綿の値上げを見越しての需要家の買い先行が影響したのか販売量としては、好調となった。ルーラ新大統領就任間際ということもあり、明るさがあった。
    しかし、当国の常識から言うと、その反動は必ずあると言えるわけで、4月頃からは、今までの勢いは影をひそめ買い控え傾向に陥り、それが今も続いている。

    5.ファスナー
    2002年後半の原材料アップの影響とイラク戦争による欧米向衣料・靴の輸出の低迷、顧客の生産活動がスローに推移したことにより、低調に推移した。
    分野ごとに見ていくと、主力であるジーンズ分野は、年初、依然としてジーンズファッションが続くとの楽観的な見方であったが、一部予想以上の国内消費の低迷による顧客の在庫消化が遅れていることで前半は数量ベースでは低調に終わった。
    しかしながら、高級品として付加価値のあるニッケル色使いやアンティークゴールド色が大幅に伸び、金額面では数量をカバーする形となる。
    ジャケット分野は、冬の訪れと共に販売増となり、メタルファスナーが好調に推移。
    婦人子供服分野では、昨年来の通貨大幅切り下げにもかかわらず、安価輸入品の勢いは衰えず、依然厳しい状態が続く。

    《2003年下期の展望》
    1.綿 糸
    2003年の原綿需給についてConabは6月度次の様に予測発表した。
    (千トン)
    期首在庫 95.2 (政府在庫綿48.9千トンを含む)
    国内生産 850.8
    輸入 130.0
    供給合計 1,076.0
    消費 720.0
    輸出 185.0
    期末在庫 171.0
    綿糸の市況については、例年、下半期は綿紡業界にとってシーズンインを迎え、市況の回復を期待するものである。低調な上半期であった昨年も8月に入る と、春夏物の需要期待と綿糸先高観から、綿糸需要は一転して好転に向かった。昨年下期は原綿価格のアップもあり綿糸価格の水準は40%以上も上昇した。し かしながら、本年における国内綿糸市況については昨年とは違い、厳しくなる可能性が強い。すなわち、

    1)店頭での冬物衣料商戦は本年についても低調である。
    2)、ブラジル国内経済は不安定要因を多く抱え、消費の大幅な好転は見込みにくい。
    3)国内需要の大幅な回復が見込めない中、レアル高により輸出競争力は大幅に低下している。輸出の停滞と、一方で輸入品の流入懸念もあり、国内への供給量は過剰になるものと思われる。

    このように、不透明感の強い国内経済の中で、2003年下期の繊維業界は、各流通段階における信用不安が高まり、また同時に需給バランスの失調を招く可能性が強い。したがって、綿糸市況についても楽観的な予想はきわめて難しく、近年にない厳しいシーズンになると思われる。
    綿 織物及び衣料品も冬物の商い不調で店頭では既にセールが始まっているが、一般消費者の懐は寂しく販売が活発とは言えない。従って縫製メーカーは春夏物の原 料手当てを先延ばしにしており、立ち上がりが遅くなる気配が濃くなっている。いずれにしても業界の期待は金利の下降による景気回復に掛かっておりその動向 に神経を尖らせている。

    2.羊毛
    下期は在庫調整が一段落することから状態は好転するものと思われる。しかしながら市場規模の小さ梳毛紡績業界は為替動向が大きなポイントである。
    横編みセーターは、ブラジル人固有のファッション感覚にマッチした商品であることから、景気に浮揚感が出れば回復は早いと思われる。

    3.絹
    2003年下期に向けては、世界の絹業界をリードし価格決定権を持つ中国の動向が注目されるが、スタートした春蚕期の蚕作状況も豊作模様で、繭価格は昨年 比大幅安で取引されており、今年中の絹糸価格相場の回復は困難と予測され、ブラジル製糸は繭代の見直しを含めてコスト削減対策が急がれている。

    4.化合繊
    化合繊業界(短)も同じで、下期は政府主導による景気回復施策いかんにかかっている。
    こ こに来て、寒さが本格化したことは、プラス材料と言えるが、やはり不況脱出が基本である。為替については、輸出好調を背景にレアル高が進み、ドル建ての原 綿価格にとってはコスト引き下げ材料ながら、需要家からの販売価格調整要求も強く、更にアジア低価格商品の輸入も回復しており、いちがいにプラス要因とは 言えない。いずれにせよ、当業界は、下期も引き続き厳しい情勢が続くと思われる。

    5.ファスナー
    ブラジル政府のインフレ抑制による金利の高止まり政策は予想以上に消費の冷え込みをもたらしていると思われ、下半期政府が国内景気回復へどこまで力を注ぐか注目される。
    下 半期は、ジーンズ分野の如何によるが、そのジーンズは、昨年以上のジーンズファッションが到来するというのも考えづらく、一部輸出による販売増が期待でき る感もあるが、国内は政府の景気回復策が功を奏し消費動向の上向きがあったとしても、顧客の在庫過大を考えるとあまり販売増は見込めない厳しい市況と予想 する

    以上

  • 食品部会 渡辺部会長


    渡辺部会長

     

    司会 食品部会はインフレの収束によりデフレ懸念も出てきているかと思いますが、渡辺さんお願いします。

    ついに不況の波に襲われた食品業界

    渡辺  私もうこの部会長懇談会、これで多分2年半になりますので5回目ぐらい、多分一番古くなったのではないかと思います。
    2001年、2002年と「景気はよくない、よくない」と言われてきて、各部会長さんが「悪い悪い」というご報告をされているのを横目に、食品部会だけは 非常に堅調な売り上げを保っていたんですが、ついにといいますか、消費者の可処分所得の低下が顕著になりまして、ついに食品部会にまで不況の波が襲って来 た、というのが、今年上期の状況です。
    大豆などの輸出中心の農産物とか飼料用リジンとか、一部好調なものを除きますと、食品工業それからレスト ラン、完全に景気は停滞しており、去年まではコスト高はあったんですが、食品はとにかく売れてたわけです。これはご存じの通り、大きな耐久財に消費者が金 を使わなくなれば、その分デイリーの食品に金が流れて来たわけですが、今年は上期に売り上げ、つまりボリュームで前年比マイナスになっているところが結構 出ている。具体的には、冷凍食品とか乳製品は 15%程度の減少と記録されています。

    また、今お話しに出ました6月の生活必需品セットで すが、価格は2.86%の下落。要するにデフレにもう突入しているわけですが、内訳をみても食料品が3.59%の下落。去年の秋口は食料品が先頭を切って インフレを押し上げていたのが、今度は逆に食料品がデフレに走って来たというような状況になっております。

    98年に似てきた不景気

    私、98年の3月に赴任して来まして、あの年も経済成長率がマイナスになって非常に景気の悪い年だったわけですが、あの年は毎月のその月次の予定を達成す るのを“ひいひい”言いながら、「達成するかな」、25日頃になると「達成するかな」と悩んでおりました。この 2、3年は楽に達成したわけですが、その時を今思い出しながら、毎月の目標を見ているというような状況です。
    で、この「景気が悪い」という話し をもう少しさせて頂きますと、Hipermercadoと呼ばれる大型スーパー、この辺が非常に売り上げが低迷している。これはどういうことかと言います と、ブラジルの消費者は、ああいう所に行って、大きな買い物かごにポンボン品物をほうり込んで車で帰るという消費、購買形態を主流としていたのが、結局、 可処分所得の低下により、当用買いをするようになってきた。要するに、今日、明日必要な物だけを近くのスーパーに買いに行くという傾向が出てきておりま す。従って、中小スーパーはそれほど悪くないが、大型スーパーはいま非常に苦戦をしているという現状があります。また具体的には、我々進出企業共通のライ バルでありますNestle社とかが、空前絶後の大消費者キャンペーンを実施していると言う情報がありますが、にも関わらず、売り上げは前年比で減になっ ているという情報であります。

    お酒の若干増税でも仮需発生

    具体的に当社の状況ですが、お酒、この国はお酒に酒税はありませ んが、その代わり工業税(IPI)がかかります。これは大した金額ではないが、この7月15日に税務署の「ジアーリオ・オフィシアル」(官報)に出まし て、自動車関係は下がるかも知れないとのお話しですが、逆に我々のところは上がりました。出てすぐ「上げろ」という。これはブラジルのやり方ですが、具体 的には今までお酒1本当たり18センターボだったのが、56センターボに上がると。まあ、3倍にあたりますが、出荷価格にすると、4%程度の値上げで大勢 に影響はないだろうと見ておったんですが、今週に入り大きな仮需が発生しております。要するに、これぐらいの値上げでも消費者は、少しでも安い物を求め る、卸しや流通は買いだめに走ると言う状況で、やっぱり相当状況は悪いと判断しております。
    思い出しますのは、日本も相当不景気と言われており、5月1日に発泡酒の増税、たったの10円でしたが、やはり大きな仮需が発生して、その後5月、6月と全く低迷して1~6月で前年を割ったというのを一寸思い出しながら、いやな予感がしている今日このごろです。

    高くても売れる有機食品

    景気が悪い、売り上げが悪いと言うお話しをしましたが、もう一つ。ブラジル特有というか、一旦上がったコストが下がらないという状況があります。これは例 えば去年の9月とか10月、年末にかけて為替が理由で値上げを通告してきた原料資材の業者ですが、その後、為替がこれだけ安定して、レアル高になっている にも関わらず値下げはしません。特に価格が急騰している大豆とか小麦を原料として加工している食品業界は、かなり深刻なものがあります。先ほど新井さんの お話しでレアル高による値下げプレッシャーというのがありましたが、どうやらブラジルでは黙っていると絶対下げない。その代わりプレッシャーをかけると、 要するに「為替はもう安定しているんだから値段を少しでも下げないとおかしい」ということで、かなりプレッシャーをかけると、例えば「10%下げろ」とい うと3%ぐらいは下げて来る会社もあるようですので、どうもブラジルでは黙ってたら絶対にダメだな、というのが実感でございます。
    話しは飛びま すが、食品の流れとして、最近の傾向としては、有機食品が若干売れ始めている。みなさんご存じのようにヨーロッパではもうすごいブームで、有機食品、これ は高くてもガンガン売れているようですが、ブラジルでも最近有機に対する興味が出て来ているという情報が一つあります。まだ、その通常価格に2割程度増し において、売れ始めているとの話しですので、あんまり価格差があると、まだもう一つなのかなと言う気がしております。

    下期は我慢の食品業界

    下期の展望ですが、長期の金利とか食品にはあまり関係ないが、それでもやはり金利が今のペースのダウンですと、今年の下期もあまり期待は出来ないと見てお ります。工業界からあれだけ突き上げをくっているにも関わらず、中銀が金利を早いペースで下げて来ないのは一寸理解に苦しみますが、場合によってはブラジ ル経済への不安感から、また、ドル高へと言うふうに向かいますと、売れない、しかもまたコストが上がると言うことで悪いスパイラルに入ってくる、いやな予 想もしております。と言うことで下期もあまりいい見通しがなくて「我慢の食品業界、久々の我慢の年」という感じがしております。

    最後にルーラ政権の、政策の目玉でもありました、FOME ZERO政策(飢餓をゼロにする)。これは食品部会として何かいい話しがあるかなと若干期待はしておったんですが、全く期待はずれでして今のところ何のメリットもなし。ということで久々に暗い食品部会でした。

  • 食品部会(レポート) 

    2003年上期の回顧と同下期の展望

    ≪業界全体≫
    2003 年上期は、2002年度の下期とはうってかわり、金融市場は概ね堅調に推移した。米ドル為替はR$2.8~3.0前後、株価も13,000ポイントまで回 復、カントリーリスクは800~900ポイントのレンジで推移している。一方、Selic金利はインフレ抑制という大命題のもと、6月に0.5%下がった ものの、依然26%という高い水準にあり、景気の本格回復までには、まだまだ時間がかかりそうである。特に、ここ数ヶ月は消費者の可処分所得低下の影響が はっきりと現れてきており、比較的不況に強いと言われる食品業界も大きな影響を受けている。
    2003年下期も金融市場は引続き安定的に推移するも のと思われる。特に、インフレは強い沈静化のシグナル(一部インフレ指数ではデフレ状態)を発しており、基本的にはSelic金利は低下の方向に向うもの と思われる。但し、金利低下のスピードが鈍れば2003年下期中に、景況感の回復及び可処分所得の上昇が反映されるのは難しいと思わる。食品業界にとって も、厳しい下期となるであろう。

     

    ≪業界別動向≫

    【加工食品業界】

    1) 飲料

    2003年上期の醗 酵乳分野は、売上の鈍化を最小限に食いとめるべく、各社ともセールスキャンペーンなどを実施しているが、安売り攻勢の影響は大きく引続き厳しい状態が続い ている。また、栄養補助食飲料も同様厳しい状態となった。一方、ヨーグルト・デザート分野、及び豆乳分野は堅調に推移し、厳しい状況の中での明るい材料と なった。
    飲食材の販売においては、対米ドル為替が戻ってきたにも関わらず、原材料価格は高止まりを見せ、結果、国内中小食品加工メーカーも値上に 踏み切らざるを得ない状態となった。金額ベースで見れば、順調に推移していても、数量ベースでは各社とも予定達成が苦しい状況にあるようだ。
    2003 年下期は、中央銀行の金利引締め政策の緩和が、段階的にかつ早急に行われることを前提に、後半の景気回復に期待するところが大。金利を下げて可処分所得を 増やし、金の流れをよくしないと何も改善されない。一方、原材料価格の高止まりは暫くは続くものと思われ、このコスト高をいかに吸収するかが大きな課題と なる。コスト削減につとめることは当然のことながら、商品特性のアピールや消費の裾野拡大の為、きめの細かい顧客対応をおこなうことが重要となろう。

    2) 即席麺

    2003 年上期の総市場は、堅調な拡大を期待していたものの、各社の値上による店頭価格がUPしたこともあり、前年を僅かに上回った程度であった。心配された対米 ドル為替が4月以降ドル安基調に変わり、小麦粉の大半を輸入に頼っている各メーカーにとって、追い風が吹くものと思われたが一度上がったコストはすんなり と戻らないというブラジルの実態に悩まされている。
    2003年下期も、主要量販店の売上低迷や現在の経済環境を見る限り、従来のような堅調な拡大は期待できそうになく、苦しい局面となろう。この下期は、我慢と堅実な企業経営、また為替が読めない中でのコストダウンの取組を加速させる必要があろう。

    3)調味料

    国 内調味料市場は、2003年上期 41,500t、対前年比102%の微増となった。これは昨年10月頃からのインフレが食品分野にも影響を及ぼしてきていることを象徴している。一方、非 調味料分野では粉末ジュースが急成長を続けている。国内加工用途調味料市場は、対前年比106%と堅調に推移した。また、輸出市場はアルゼンチン、ベネズ エラの景気低迷の影響を受け、苦戦が続いているがアルゼンチンはようやく景気回復の兆しが見え始めている。飼料用アミノ酸(リジン)市場は、世界的な供給 タイト状況にあることから、高値で推移し順調な伸長を維持している。
    2003年下期においては、比較的厳しい事業環境が続くことが予想されるが、国内家庭用市場は堅調な成長を継続する見込みである。また、飼料用リジンに関しても、堅調な需要に支えられ、拡大基調を持続する見込みである。

     

    【農産・畜産】

    1)大豆・大豆粕

    2003 年の大豆生産数量は、前年生産量を20%強上回ると予想されており、5,000万トンを上回ることが確実視されている。一方、港湾サイロ・積込施設の CAPACITYが足りず、パラナグア港をはじめ、港での滞船問題が深刻となっている。また、伯国生産第一位のマットグロッソ州(約1,000万トン)で は収穫時に多量の雨が降り品質問題となっている。
    ブラジル国内、特に南部地域のGMO(遺伝子組替)大豆の混入問題は、本年に限り一時的に国内で の販売が認められることになった。しかし来年以降、GMO 大豆を扱う農家に対して、ペナルティーを課すという限定的な方針が政府より発表されており、9月以降の農家の植付けに注目が集まる。セラード地域では、更 なる開墾が進められており2003-2004年クロップは、今年を更に上回る生産予想となっている。

    2) ブロイラー

    2003 年当初のブラジル産ブロイラー予想生産量は7.9百万トン(前年7.4百万トン)であった。しかし、世界的な市況低迷により雛の生産を抑える傾向がでて、 上半期は年間予想の半分にも満たない3.7百万トン程度にとどまる見込み。一方、輸出は1~5月で757千トン(前年529千トン)と順調に推移してい る。これは、ロシアが5月輸入分から輸入Quotaを設定すること、EUが8月15日輸入分から輸入税を変更すること(塩分2%以上:15%、塩分2%未 満:75%、現行はいずれも15%)による駆け込み輸出も一因と考えられる。
    中国で鶏インフルエンザが発生したことにより、本年6月初めから中国 産ブロイラーの対日輸出が禁止となっており、2003年下期は、ブラジルからの輸出にドライブがかかることが予想される。東欧への輸出も引続き順調である こと、ブラジル国内需要も堅調の見込み等から、雛の生産量が増加傾向にあり、通年の生産量は年初予想の7.9百万トンに達すると見られている。

    3)コーヒー

    2003 年上期のコーヒー生豆輸出量は、2002~2003年クロップ(2002年7月~2003年6月)の歴史的な豊作や昨年来のレアル安による価格競争力等に より、11.83百万袋と前年同期比10%増の伸びを見せた。金額面ではUS$541百万と前年同期比30%増となった。国際相場は引続き低迷が続いてい るが、国内原料相場は急回復し、レアルベースで前年の2~2.5倍となっている。2003~2004年産クロップは裏作の年度にあたることから、生産量は 前年度比35%減の 3,360万袋に減少すると見られている。従って、輸出量も2003年下期は、前年を下回ることが予想され、通年では昨年度過去最高を記録した25.45 百万袋をやや下回るものと見られている。一方、このような減産予想にもかかわらずニューヨーク定期市場の指標価格(先物)は、世界的な供給過剰感が依然と して拭えないこと、またブラジルの2004~2005年クロップが昨年(2002~2003年)を越える大豊作になる可能性があることから、回復の兆しを 見せておらず、上値の重い展開となっている。

    以上

  • 電気電子部会 瀬山部会長


    瀬山部会長

     

    司会  次に電気電子部会ですが、電気電子業界は2001年のような電力危機の再現か、と言われる内需不振の話しもありますが瀬山さん、よろしくお願いします。

    上期はなべて20%前後の減

    瀬山   いま渡辺さんの話しをお伺いして、前回ここへ座って渡辺さんところがものすごく良くて、で、家計のお金がだいぶ食品にまわって電気にまわって来ない、と ひがんだ記憶があるんですが、同じ穴の方へ入って来られたようで、喜んでいい筈がなくて、「同業相哀れむの状況」かな、と。

    電気電子部会 の報告としては「家電業界の実需の動き」、会員各社の「上期の実績並びに下期の展望」アンケートまとめのご報告、それから3点目は「業界の上期の特記事 項」と三つの観点から報告させて頂きます。家電業界の動きは新聞その他に報道され、ご承知とは思いますが、いま遠藤さんの方からお話ありました通り、 2001年の電力危機と同じレベルの実需のダウンがあります。前年同期比という見方をしますと台数でカラーテレビで80%、音響機器で90%、あとは電子 レンジ84%。それから冷蔵庫、洗濯機、これは日系会員企業はありませんが、やはり78%、84%、軒並み前年同期比では台数で20%前後、業界自体が シュリンクをしているというのがこの上期であります。ちなみに電力問題、2001年6月に起こったと思いますが、その以前の1-6月と比べても、やはり同 じように20%前後落ちており、非常に厳しい市場環境といえると思います。

    販売伸びるDVDと携帯電話

    その中で一つ特筆す べきは、デジタルビデオディスクという映像をディスクで見るDVDという機器。これがビデオからDVDの機器と言うことで、中南米並びにその他の市場と比 べても非常に早くビデオからDVDに展開をしているのが一つ、ブラジルの電子機器市場の特徴です。これは何故かと言いますと、元々ブラジルは我々にとって 寂しいんですが、録画文化が残念ながら非常に少ない市場です。映画ソフトを再生で見るのはDVDで見た方がきれい、またDVDの映画タイトルが豊富。新着 の上期のタイトル数を見ましても、完全にDVDで出るタイトル数が多かったり、レンタルされるものも、6対4でDVD。ビデオが減ってDVDが増え、いま 7対3でDVDの市場になっているのが、一つ家電業界の特徴です。

    もう一つ。家電という切り口ではないが、携帯電話の生産がブラジルで非 常に伸びております。これは台数で前年比3割から5割。国内市場はご覧のような状況で、そんなに伸びている訳ではなくて、輸出向けで非常に携帯端末機器の 生産メーカーさん好調です。主な輸出先は米国です。これが非常に厳しい我々の業界状況と言うことです。

    そのような業界の中で、私どもの商 工会議所会員日系各社の動向ですが、我々の部会の中も四つのグループに分けられるかと思います。家電耐久消費財、二番目が電子部品関係、三番目が通信・電 力・産業機器、四番目が精密事務機器とグループ分けが出来るかと思うんですが、その各社の上期の実績を見て参りますと、やはり市場が非常に悪い、それから 価格ダウン。競争が激しい中で価格ダウンを迫られると言う中で、前年同期比USドルベース販売で見ますと、家電関係でほぼ横ばいからドルで見ると少し上 回っているかなと。電子部品は80%から110%。通信・電力産業は、業界の通信キャリアの投資抑制とか、非常に業界特性があり一概に言えないが、前年同 期比ドルベースで4割から8割と非常に厳しい状況です。また精密事務機器もほぼ100%前後で、これは企業投資がない中で市場は非常に厳しい状況でありま す。

    「よかった」は皆無 - アンケート結果

    それぞれの企業が業績を、自ら上期をどう評価したかですが、「よかった」とか 「大変よかった」は残念ながら今回ゼロです。50%が「悪かった」。50%が「計画通り」ということで、私ちょっと引っかかったもんですから、「計画通 り」とお答え頂いたところにヒアリングしましたら、「計画通り悪かった」(笑い)と言う事でありまして、おしなべて言いますと、やはり七三(ひちさん)ぐ らいで「悪かった」というのが、残念ながら電気電子機器会員企業の状況であります。

    下期ですが、やはり経営努力をして売りの確保、市場が 悪い中で何とか売りを確保したいと言うこと。その中で新しい商品、モデルの導入、それから売り先の拡大、それで各社共通していますのが、やはりこの時期で すので在庫圧縮。要は少ない資金で事業が運営できるようにと言うところで動かしておられる。上期申し遅れましたが、どこも投資は合理化投資のみで、積極的 な投資は残念ながら出来ておらないと。下期の販売も前年同期比でドルで見ますと家電でほぼ横ばいを目指すと。電子部品さんでは6割から一番良くて100% 前年並み。通信・電力・産業機器さんにおいては5割から6割。それから精密事務機器さんにおいてはほぼ横ばいを目指しますと言うことです。

    それから一部会員企業の中で、複数企業ですが、この機会に根本的な事業のあり方の見直し、またブラジル・ビジネス・モデルの転換を迫られて非常に深刻な状 況と言うところも伺えるかと思います。政治経済動向に関する皆さんの見解は共通しています。上期、国家経営としては予想以上の安定国家経営がなされた、景 気が犠牲になったと。我々の業界は犠牲になっておると言う見解です。

    下期は、景気の回復を期待するが金利引き下げだけではやや弱い。景気 刺激策が何か出ないのかと。政治不安、いろんな要素が拡大してきて国内でのもろもろのスト、それから海外でのネガティブ評価などを危惧しておられると言う ことです。これが会員各社の上期の業績状況並びに下期への展望であります。

    • マナウスに注意を払ってくれる新政府
    • 気になる独自のデジタルテレビ放送方式
      採用運動と欧州勢の攻勢
    • エザメ誌の企業評価でトップの日系企業もある

    三つ目に我々業界の上期の特記事項をご報告します。

    ルーラ政権が発足したわけで、我々の業界とフルラン商工開発大臣との接点など通じて感じます事は、もちろん、大臣自体も企業家、実務家で、現場・現物、要 は非常に実務的である。それから企業の活動に対する理解は非常にある。この1~6月を見ますと、非常に精力的に、我々の工場、また我々の実情視察には動い て貰らえたかなと。それと同じような私ども会員企業の生産基地がございますアマゾナス州マナウスにも、ブラガさんという新知事さんが発足し、企画関係では 民間企業の経験者が採用されてます。マナウスは恩典地域ということで、我々進出しておるわけですが、過去の政権におきまして、同じ内容の事業をしておりま しても7つも8つも恩典のレベル差がありました。その辺を会員企業も含めて、業界としてその辺の是正を声を掛けたところ、やはり公正・公平な恩典という競 争条件の正常化と言うことについて非常に積極的に動いており、成果も具体的に出てきておると思います。

    二つ目の新政権の特徴は、部品産 業、中間財産業、我々の電子電気機器につきましても、この辺のところの恩典を増やして、要は業界内での付加価値増についての取り組みを強化したいと言うこ とで、連邦ならびに州政府の方で、恩典の公平化並びに今申し上げたような分野での恩典強化の取り組みが進み、期待されておるところです。
    それから、マナウス、アマゾンと言うことで行きますと、2013年まで実は恩典期限がございますが、具体的に今、2023年まで恩典延長の動きがスタートしております。

    二つ目の関連特記事項として、話題となっている「デジタルテレビの放送方式」の決定が、前政権から今政権に先送りされました。前政権時代2001年の後半 ならびに2002年の前半あたりに、日本の総務省ならびにNHK、また我々民間も一体となり、日本方式についてブラジル政府、ならびに放送局側へ技術的な 特性報告等行われましたが、新政権になってローカルメーカー、これあのグラジエンテという会社なんですが、これが通信省等へ働きかけて、ブラジル独自方式 という動きをかけております。これにつきまして私ども業界のなかでも、実はブラジルはカラーテレビの送信方式もPAL-Mで、世界で唯一の送信方式。これ が業界ならびに国内一般消費者にどれだけメリットがあったのかですが、結論はなかったと言う事がはっきりしているにも関わらず、またデジタル放送方式でブ ラジル独自かと言う事で、一つ大きなクエスチョンマークがついております。これに関連しして、オランダのフィリップスが、アマゾン、マナウス大学等に技術 開発資金援助をして、これはもう明らかにヨーロッパ方式のデジタル放送方式を導入、宣伝するための投資を行っております。

    それから三番目 の関連特記事項は、我々の業界、不正輸入がいろんな形であります。これをなくそう、取り締まりを強化しようと、これも当然な事ですが、今まであまり大きな 動きにはなっておりませんでしたが、新政権になってまともな方向へ動き始めておると言うのが、三つ目の特記事項です。

    それから四番目 は、ご覧になられた方がたくさんいると思いますが、ここの経済誌の「EXAME」が毎年やっておりますMelhores e Maiores という2002年度の業績に対する全分野の企業評価のなかで、電気電子メーカー・グループで日本の東芝さんが出資をされておりますセンピ 東芝さんが第1位。総合評価、経営力総合評価第1位となっておりますのを我々電気電子部会のトピックスとして付け加えさせて頂きます。
    集約いた しますと、この下期の展望には、総領事の最初のお話にありましたような天候で例えますならば、非常に厳しい冬の中にいる電子電気業界。急に良くなることは 反動が怖いと言う事もありますので、穏やかな長い春が来ることを期待しながら、福島さんのお話もあったので、冬支度も忘れずに下期に備えたいなあ、が電気 電子部会と言う事でご報告にかえさせて頂きます。

  • 建設不動産部会 清水部会長


    清水部会長

     

    司会 次は建設不動産部会。日本企業からの受注は期待できない状況は変わらないと思いますが、清水さんお願いします。

    人件費アップ、人員削減に迫られる

    清水  建設不動産部会の清水です。建設不動産部会は建設請負を主体とする建設業者、建設資材メーカー、それからアパート・住宅販売を含む不動産業者の集まりです。「2003年上期の回顧」を建設部門と不動産部門に分けて報告させて頂きます。
    建設部門は、昨年からの案件が具体化し、大型ではないが順調に業績が伸びた会社、4月以降、若干の業績が回復基調になった会社、政権交代によるCAIXA  ECONOMICA FEDERALの住宅ローンの貸し出しストップによる影響で業績が低い水準で推移した会社、それから折り込み済みの不況がそのまま 業績に反映した会社等、各社それぞれの回顧となりました。

    しかし、アルミサッシについては見積案件が昨年比で15%程度増えており、今後 が期待できるとなっております。しかし、各社とも5月の労働シンジケートの賃金調整での率、6月に12%の調整、プラス8月に6%調整と数値が予想を大き く上回って人員削減等、経費削減を余儀なくされております。その影響で、市内で事務所ビルを建設中の地元のゼネコンでは、労務賃金の上昇対策として少人数 での施行に切り替え工期を大幅に延長するところも出ております。

    家賃値上げ率はインフレ以下

    不動産部門の賃貸物件は業績が伸びております。しかし、契約更新時の賃貸料調整用の指数は従来使用してきた指数でなく、選択できる最低の指数の条件でしかまとまらず、インフレ指数を下回っております。
    その他と致しましては、ドル運用していた投資家が、ドル弱含みの市場から不動産投資に切り替えた影響もあり、高級アパートは立地条件が良いところは堅調に推移しております。商業ビルは供給過剰でとくにマルジナルの新興ビル地区は、約3割程度の稼働率となっております。
    マルジナル地区では日系自動二輪車の工場の拡張に伴う部品メーカーの進出、増築が継続して発生しております。

    採算面きびしい下期 ー 建設

    2003年下期の展望ですが、建設部門については、民間設備投資の縮小の影響で、引き続き楽観視できない状況が予想されております。それと建設資材、労務 賃金の高止まりで採算面で厳しいという見方と、インフレの沈静化により、受注時利益の確保に見通しが出てくると言う見方の会社もあります。アルミサッシに ついては大幅な受注増は期待できませんが、不当安値で営業展開を行っていた同業他社の和議申請があったり、政府の品質基準を満たさない製品の市場からの締 め出し気運も高まっており、今後の動向が注目されます。
    下期については、各社業績の回復に明るい材料は見出せておらず、通年でも今年度の計画目標を下回る予想、上回る予想はありません。一方、工事の小型化に伴い、社員数が逆に増加する会社もあります。

    下期に明るい材料なし - 不動産

    不動産部門ですが、下期に期待できる明るい情報はありません。住宅販売については、建築確認申請の許可が遅れた影響もあり、大幅に販売予定が狂う会社が出 ております。その他としましては、大豆輸出の好景気の影響とアメリカ農産物企業の買い付けにより、地方の農地の価格は急騰して2倍になることも珍しくない 状態となっております。農産物の輸出がこのまま好調であれば、この傾向は、継続することが予想されております。
    高金利政策は建設投資に対しては悪影響を及ぼして好影響にはならないと。それと税制変更の度に、特に建設業は複雑な平均の計算がありまして、経理・税務対応に人員配置が必要となり、人件費の抑制が思ったように出来ないという影響が出ております。

    トピックスと致しましては、土地なしではなくて「家なし住民」によるサンパウロ市内の、これはダヌビオ・ホテルですが、それの不法占拠が発生しました。古 いアパートの稼働率の悪いところが狙われるのではないかと。古いホテルについてはアパートに改装して売り出していく、と言うような傾向も見られておりま す。以上が建設不動産部会からの報告です。

  • 建設不動産部会(レポート)

    2003年上期の回顧と同下期の展望

    7月23日に開催された建設不動産部会での討議、発表内容を下記のように纏めましたので報告致します。

    1、 2003年上期の回顧

    * 建設部門

    昨 年からの案件が具体化し、大型ではないが、順調に業績に結びついた会社と、4月以降若干の業績の回復基調になった会社、政権交代による会社エコノミカフェ デラルの住宅ローンの貸し出しストップによる影響で、業績が低い水準で推移した会社、折り込み済みの不況がそのまま業績に反映した会社等、4者4様の回顧 となった。
    アルミサッシュについては、見積もり案件が昨年比で15%程度増えてきている。
    しかし、各社とも5月のシンジケートの賃金調整の率(6月に12%、8月に6%調整)の数値が予想を大きく上回った為、人員削減等経費削減を余儀なくされている。
    市内で事務所ビルを建設中の地元ゼネコンでは、労務賃金の上昇対策として、小人数での施工に切り替えて、工期を大幅に延長する所も出てきている。

    * 不動産部門

    賃貸物件については、業績が伸びている。しかし、契約更新時の賃貸料調整用の指数は、従来採用してきた指数では無く、選択できる最低の指数の条件でしまとまらず、インフレ指数を下回る結果となる場合が多かった。

    *全般

    ドルで運用していた投資家が、ドルの弱含みの市場から不動産投資に切り替えた影響もあり、高級アパートは立地条件がよければ、堅調に推移している。商業ビルについては供給過剰であり、マルジナルの新興ビル地域については約3割程度の稼動率である。
    マナウス地区では、ホンダ、ヤマハの両自動2輪車の工場の拡張に伴う、部品メーカーの進出、増築が継続して発生している。

    2、 2003年下期の展望

    * 建設部門

    民間設備投資縮小の影響で、引き続き楽観歯できない状況が予想される。
    建設資材、労務賃金の高止りで採算面で厳しいという見方と、インフレの沈静化に
    より、受注時利益の確保に見通しが出てくるという見方の会社もある。
    アルミサッシュについても、大幅な受注増は期待できないが、不当安値での営業展開を行っていた同業他社の和議申請があったり、政府の品質基準を満たさない製品の市場からの締め出しの気運も高まってきており、今後の動向が注目される。
    下期については、各社共業績の回復に明るい材料は見出せておらず、通年でも03年度の計画目標を上回る予想はない、一方工事の小型化に伴い社員数が逆に増加する会社もある。

    *不動産部門

    期待出来る明るい情報はない。
    住宅販売については、建築確認申請の認可が遅れた影響もあり、販売予定が大幅に変更になったため、自社ビル兼事務所ビルの工事計画の変更も発生してきた。

    *その他

    大豆輸出の好景気の影響と、アメリカ農産物企業の買い付けにより、地方の農地の単価が急騰し、2倍になることも珍しく無い状態となっており、農産物の輸出がこのまま好調であれば、この傾向は継続することが予想される。
    高金利政策は建設投資に対しては、好影響は出ない。
    税制の変更のたびに、経理、税務対応に人員配置が必要となり、人件費の抑制が思っ
    たようにできない。

    しかし、ブラジルコストと言われるものの、削減政策が早急に実施されていかなけれ
    ば、投資・開発案件の鈍化につながり、建設、不動産業界にとっては影響が大きい。
    家無し住民による、サンパウロ市内(ダヌビオホテル)無法占拠が発生し、新しいホテル、フラットに押され、稼働率の悪い古いホテルは、再発を警戒し、アパートに改装する動きに出ているものもある。(パークレーンホテル等)

    以上

  • 運輸サービス部会 横山部会長


    横山部会長

     

    出稼ぎで日伯路線需要は安定的

    バリグ、TAMの合併は下期具体化予想

    司会  続きまして運輸サービス部会さんですが、特に今年度イラク戦争とかSARSの影響もあったかと思いますけれども、横山さんよろしくお願いします。

    横山   みなさん大体時間通り、おひと方20分って言うのがあったようですが、大体10分で(笑い)。私どもの業界ちょっと多いので、なるべく時間内で終わるよ うにご報告したいと思います。食品の渡辺さん、ついに最後まで手をつけたくない食品にまで、財布の紐がきつくなっているとなりますと、私どものいわゆる、 どちらかと言うと、仕事の部分もありますが、遊びを中心とした部分は土砂降りです。簡単に総括しますと“土砂降り”になったと言うような事かと思います。 現在メンバー65社ですが、7月の22日に部会を開いて報告を頂きました。それを簡単にまとめます。

    人の動き、それから物の動き、物流を担当する運輸部門、それに付随するサービス部門、この順番で報告をしたいと思います。
    まず一番得意分野の航空業界から行きますと、先ほど遠藤さんからもありましたイラク戦争。それに続くSARS、肺炎です、“新型肺炎"。この影響を本当に 直接受けました。やっと同時多発テロの影響から、戻りかけたところに、こういうダブルパンチがあり、非常に不況に陥っております。とくに東南アジア線を運 行される航空会社、日本航空もそうなんですが大幅減便、収入ガタ落ちとなりました。お客様の方に関しては、各空港で今までなかった検疫の体制です。ブラジ ル、サンパウロにおきましても検疫で質問票というのが導入されましたが、ご不便をおかけしたと思います。しかしこの質問票は昨日から中止されました。中止 というか一時中断というかたちになって、とくに到着の場合の列の並びは解消されると思っております。
    それから日伯間における供給はほぼ同じだったが、この路線は出稼ぎの需要に支えられており、新規の出稼ぎ等々はあまりなかったがリピーターご利用のおかげで、比較的他の路線に比べて安定した結果となっております。
    ご承知の通り、国内においては、VARIGとTAMの経営統合が話題になっています。方向は決まっているが、まだ具体的にはなってないようです。今朝の情 報ですとアルカイダの動きが、具体的になって、米国検査体制が昨日から、今朝から厳しくなってます。TWOV(ビザなしでの通過)でご旅行されるお客様に ついては申し訳ないが、出発の空港で開披検査を義務づけられる。日本のパスポートをお持ちのお客様は適応外です。残念ながらブラジルのパスポート、トラン ジットビザ、これで旅行されるお客様は開披検査をすることになっております。

    下期の展望ですが、SARS騒ぎが一段落したので当 初計画に戻しつつあると言う事もあり、何とか元に戻って欲しいと思います。アメリカの航空大手の4月から6月期の決算ですと、2001年のテロ事件以降初 めて3社が黒字になった。もちろん政府補助金に支えられての結果ですが、明るい兆候かと思います。それからVARIGとTAMの統合、これも下期には具体 化されると思います。

    大型船投入で荷不足の海運

    次に海運です。前期までの1年半は為替の影響で輸入が減少し、輸出貨物用 コンテナ不足状態が続いていたが、今期に為替レートが安定したこともあり、コンテナ不足状況は解消しました。ただし、荷動きの量と対船腹量のインバラン ス、これが依然として拡大傾向にある。これは投入される船が大型化されたのが大きな原因と言われています。従って、取り合いということになり、運賃レベル が非常に低レベルになっている、すなわち収入が低くなっていると。とくにブラジルに関係がありますアジア・南米東岸航路は、存続の可能性も問われるほどの 苦しい状況になっています。大型化と申し上げましたが、コンテナ数でちなみに比較しますと、数年前は1500個から2000個が主流だったのが、2500 個から3000個が主流となっている。従って、そのスペースに貨物の量が追い付かない状況になっており、下期もこの状況が続くと予想されております。

    貨物量減、税関ストたたる - フオワーダー

    続きましてフォワーダー業界です。再三言われていますように、輸出が急増し上期もそれが継続した。ただし、高金利政策に端を発したブラジルの景気低迷の影 響もあり、各社が減産方向の調整を始めたために落ち込みが激しく、貨物量は当初の見込みに対しては大幅減となった。それから、イラク戦争が開始され輸送機 材(貨物機)等々が支援活動に振り分けられたのでスペース不足、機材の縮小、キャンセル便等々となり輸出輸入に影響が出ました。SARSにつきまして、具 体的な影響ではありませんが、いろいろ心理的な面等も含め輸送全体のという影響を出しているようです。これも先ほど、ご報告ありましたが6月から税関スト ライキ。例年の事柄、輸出入業務の遅滞となっている。高級化粧品もこの影響でなかなか手に入らないと言うことだと思います。それから2002年の12月に 発令された、ちょっと細かいことですがIN252というのが導入されました。これは Tax Heaven Country、通常課税対象となる物品に対 して課税をしない国のことを言いますが、現在世界で51カ国あるようです。そこに対する運賃送金に対する課税。これがなされるのではないか、もし課税され ますと送金税が25%、トータルで実質の33%がかかると言うことで、この業界に対しては非常に大きな圧迫となっております。

    これは日通 さんがやられている海外引っ越し荷物は、昨年の末から第1四半期は帰国者による活発な移動、第2四半期より赴任者の移動が活発になったりもしたが、前に比 べますと全体的には減少傾向が相変わらず続いている。それからビザ関係で、テンポラリービザのサスペンドに伴って、長期の出張者が激減する傾向になってい る。

    下期については、例年、消費財生産に向けて各メーカーの生産も活発になる時期ですが、今年は自動車関連、家電関連の量の伸びが期待で きないため、現状の消費マーケットの低迷を打開する見込みは少ないようです。金利政策、失業問題、各種税制の改革が重要になってきた。為替がやや安定して きたとは言うものの、景気低迷を打破するまでは行っていない。それから先ほど申し上げましたストの早期解決が切望されます。

    古きよき時代去った ー 構内物流

    製鉄については、浅賀さんの方からご連絡ありましたが、そこの構内物流を山九さんからのレポートですが、新政権下で客先の設備投資抑制の影響が大きく、作 業収入は当初計画を達成したが、作業利益確保の段階では苦戦していると言う事のようです。それから金利収入、預金利率低下による金利収入の落ち込みもあっ て営業外収支もよくない。下期についてもほぼ同様の状況が続くだろう。中長期的に見ますと大型工事である客先の高炉新設・改修工事の延期の影響をもろに受 ける形となって、ブラジルでの収益確保面では、”古き良き時代”は完全に過ぎ去り、長期的にも厳しい状況が続くと予想され、事業構造の改革を中心に抜本的 な対策を講じる必要に迫られていると、浅賀さんの説明とは一寸、違うかも知れませんがそう言う風なご報告です。

    競争激化のバイク便 - クーリエ

    クーリエ業界。海外の方のレポートはありませんが、ご参考までに国内のバイク便をやられているところからの報告です。車社会のブラジルで道路整備が遅れて いる事に伴って、必然的に発生したバイク便(業者、モトボーイの)、今サンパウロ市内で3000社(そのうち100社が大手のようです)に膨れているよう です。モグリの業者が多くて、値崩れ現象を起こしている。雇用者の90%が1年で変わると言う人の入れ替わりが激しく、人材管理が難しいようです。下期に ついてはますますバイク便は増加して行くだろうと言われています。

    海外旅行減り、趣味に走る傾ー旅行エージエント

    観光業関係各業種もなべて不振

    次にサービス部門の旅行・エージェント業界。先ほど申し上げましたように戦争の影響を、肺炎の影響を受けたと。簡単に言いますと、お金を持っている層、観 光を老後の楽しみにしていた方たちが、為替で運賃が高くなった、危ない海外旅行を控え、国内旅行にシフトした。さらには国内旅行も止め、近くでゴルフや ゲートボール。さらにもっと近くで盆栽いじりぐらいになったと。そういう楽しみの変化、習慣が定着するとなかなか元に戻らない。旅行まで行って頂けないと 言う事かと思います。この影響で旅行エージェントさん、それから観光業に携わるタクシー、バス、ホテル、ガイド、土産物店等々は非常に不振となりましたと 言うことです。為替の影響ですが、エージェントさんから言うと、レアルが1月から7月の間に20%ダウン、即、収入のダウンに結びついたとのご報告になっ ております。これは業界によって一寸違うと思いますが、代理店さんの方はそう言う事になります。

    供給過多で競争激化のホテル

    それからホテル・観光ですが、フラッチ(フラット・ホテル)の大幅な増加によって供給過多となったため競争は益々、激化しております。ホテルの等級による 違いはあるものの、全体で見ますと稼働率は43%と言われています。とくに五つ星ホテルについては昨年52%あった占有率が40%に下降している。これに 競争激化による安売りが加わって経営を圧迫している。下期の展望ですが、ルーラ新政権が観光に力を入れている事もあり、見通しは明るいとされています。 2003年から2007年の「国家観光プラン」が具体化してくるでしょうし、ルーラ大統領が各国歴訪に観光大臣を同行、ブラジルをPRさせていることもあ り、これが好結果をもたらすだろう。メルコスールにおいても官民合同で観光強化策を検討中と聞いております。

    体力消耗各社、生き残りを賭けた道を模索 - 通信

    最後に通信業界です。新政権が物価安定を最高命題の一つに挙げ、これまでの通信会社の料金調整方法の見直し、使用していた物価指数を変更する等々を進めて おります。また、低所得層への格安電話の提供義務化などもあり、通信企業の利益の再配分という新政権の意図により、インターネットも含めた通信全体の料金 の低廉化が進むものと思われます。すでに競争、および不況の影響で体力が落ちている各通信会社は生き残りをかけた合併・資本提携の道を引き続き探って行く ものと思われます。一方で、企業の通信需要はERPなどに対応する高度なネットワーク、とハッカーやビールス対策も含めた危機管理の必要から、より高速か つ安全なネットワーク作りが進むものと思われます。

    下期は、固定電話通信各社が厳しい経営環境に直面しているのに対し、既に利用者数が 約3,700万人にも達した携帯電話の市場では、テレコムアメリカズが本年下期の営業開始に向け1億5000万ドルの投資を表明するなど、激しいシェア争 いが続きます。競争の構図としては、現利用者数の約半分のシェアを持つVIVOに対して、TIMとテレコムアメリカズの挑戦が激化し、BCPは何らかの方 法で生き残りの道を模索するという形になると思われます。この競争の結果、本年の9月頃には携帯電話の加入者数が固定電話の加入者数を上回るものと予想さ れています。
    すみません、駆け足で。以上、ご報告します。

  • 運輸サービス部会(レポート)

    2003年上期の回顧と同下期の展望

    (新政権下での各種政策―税制,年金改革,高金利政策等―による具体的な影響、また 今後予想される問題等も盛り込んで)

    (運輸部門)

    航空業界

    2003年上期の回顧

    同 時多発テロの影響から回復基調に乗りかけた当業界であったが、3月下旬のイラク戦争突入とそれが終わるころに発生したSARS(新種の肺炎)騒ぎで、大き な影響を受けるに至った。ホンコン,中国線を中心としたアジア線に多くの航空会社が定期便の減便に追いこまれ、大きく収支を圧迫した。世界的にも各社とも 記録的な赤字が報道されている。各空港では新たな防疫体制が敷かれ利用客の不便は増加した。幸いブラジルは汚染地区にならなかったが、検疫の質問表が導入 された。(7月下旬から1時中止中)
    日伯間においては大きな供給の変化はみられなかったが、需要の面では新規の出稼ぎ旅客の回復は見られないもののリピーターの利用で他の路線に比べて安定的な成績である。
    ブラジル国内においては、バリグとTAMの経営統合が話題になっているが、方向性は見えてきたもののまだ具体的な段階には至っていない。

    2003年下期の展望

    大きく騒がれたSARS騒ぎも一段落し、各社とも定期便を当初計画に戻しつつある。落着きを取り戻し安定軌道に乗ることが期待される。
    米航空大手の4-6月期決算で,2001年のテロ事件後初めて3社が黒字になった。政府補助金に支えられての結果とはいうものの、明るい兆候と見られる。
    国内での2社の経営統合も具体案が見えてくると思われるが、経営の安定には時間がかかると推察される。
    ルーラ政権の政策の中で具体的に影響があるものは特にない。全体的な景気回復,為替安定が望まれる。

    海運業界

    2003年上期の回顧

    前期までの1年半は為替の影響による輸入の減少により、輸出貨物用コンテナが不足する事態が続いていたが、今期に入り為替レートもそれなりの安定を見せた為か輸入の量的増加が顕著でコンテナ不足の状況は解消した。
    但し、荷動き量と対船腹量のバランスは依然として拡大傾向にあり(投入船型の大型化が主因)運賃レベルの回復には程遠い状況であり、特にアジアー南米東岸航路は存続可能性が問われるほどの苦しい収支状況が続いている。

    2003年下期の展望

    前述のインバランス状況が更に悪化するだろう。

    フォワーダー業界

    2003年上期の回顧
    2002年末よりレアル安で輸出が急増したが、上期に於いても好調は継続した。但し
    高金利政策等に端を発したブラジルの景気低迷の影響もあり各社が生産調査を始めている。減産方向での調整となっているために、落ち込みが激しく貨物量は当初の見込みに対して大幅減となっている
    またイラク戦争開始により輸送機材(貨物機等)が支援活動に振向けられた為に、スペース不足、機材縮小、キャンセル便などとなり、輸入・輸出に少なからず影響がでた。それに中国を中心としたSARS発生が追討ちをかけ、輸送リードタイムに遅延影響がでた。
    6月下旬より税関ストライキが行われており、例年のことながら輸出入業務の延滞が作業収入の伸びに影響しているのは遺憾である。
    また IN252(Dec,03,2003発令)の導入により、 Tax Heaven Country(現在51カ国)に対する運賃送金に関する課税(送金税25% 実質33%)問題が発生し経営を圧迫している。

    海外引越については、昨年末から第一四半期には帰国者による活発な異動、第二四半期より赴任者の異動が活発になったが、全体的には減少傾向が継続している。また、テンポラリーヴィザのサスペンドに伴い長期出張者が激減すると思われる。
    新政権下での各種政策の影響は、特に輸出・輸入に関する取扱いの中では、貿易従事者の登録制度の見直しによる簡素化・輸出奨励政策に期待出来ると思われる。
    税制・金利政策も平準化することが望ましいが、国内各州の思惑が懸念材料である。

    2003年下期の展望

    例 年下期には消費財生産へ向けて各メーカーの生産も活発になるが今年は自動車関連、家電関連の量の伸びが期待できない為、現状の消費マーケットの低迷を打開 する見込みは少ない。やはり金利政策、失業問題、各種税制の改革が非常に重要になる。反面貿易収支は改善されてきているので輸出力を強化すべく諸手続きの 規制緩和、輸出支援の政策を推進することが必要である。対ドル通貨が安定してきたことは明るい兆しであるが、残念なガら景気低迷は下期も同様の状態が続く ものと予想される
    当然のことながら税関ストの早期解決が切望される。

    (構内物流サービス)

    2003年上期の回顧

    新政権下での客先設備投資抑制の影響が大きく、作業収入は当初計画を達成しているものの、作業利益確保の段階では苦戦している。また預金利率低下による金 利収入の落ち込みもあり、営業外収支も当初計画の達成は不可能な状態になっており、通期での経営計画達成はかなり厳しい状況

    下期も同じような状況が続くと思われ見通しは厳しい、さらに預金利率の更なる低下も予想され、今期は苦戦が続く。
    また、中長期的には、大型工事である、客先の高炉新設・改修工事の延期の影響をもろに受ける形となり、ブラジルでの収益確保という面では、古き良き時代は 完全に過ぎ去り、長期的にも厳しい状況が続くと予想され、事業構造の改革を中心に抜本的な対策を講じる必要に迫られている。

    クーリエ業界
    国内(バイク便)

    2003年上期の回顧

    車社会のブラジルで道路整備の遅れに伴い必然的に派生したバイク便(モトボーイ)であるが、サンパウロ市内で3000社(内100社が大手)に膨れている。
    もぐる業者が多く、値崩れ現象を起こしている。取締りも厳しい。
    雇用者の90%が変わるなど、人の入れ替わりが激しい。怪我人が多く保険の問題も多い。

    2003年下期の展望
    道路整備の遅れは、ますますバイク便を増加させることになろう。

    (サービス部門)

    旅行エージェント業界

    2003年上期の回顧
    ブラジル国外の影響として、イラク戦争と新型肺炎が旅客の移動に大きな影響を与えた。特に新型肺炎は今だ撲滅に至っておらず今後も影響は続くと考えられる。
    ブラジル国内では新政権下、国際航空券の発券ドルレートが大幅に下がり(ドル安)旅行代理業の収益に大きな問題を与えている。
    本年度のDAC発表の発券レート(毎日発表)を見比べてみると下記のような推移になり年頭に比べると約20%のダウンとなっている。
    2003年01月02日 3.5290
    2003年02月03日 3.5230
    2003年03月05日 3.5630
    2003年04月01日 3.3660
    2003年05月02日 2.8900
    2003年06月02日 2.9630
    2003年07月01日 2.8720

    すなわち年頭と同じ販売額を維持したとしても為替差損として約20%の減収となる。

    2003年下期の展望
    とにかく、旅客の動向と発券ドルレートの回復が期待される。

    ホテル・観光業界

    2003年上期の回顧

    基本的に旅行業界と同じ状況である。フラットの大幅な増加により供給過多となったため競争は益々激化している。ホテルの等級による違いはあるが、全体でみると稼働率は43%
    といわれる。(5つ星ホテルでは昨年同期の52%から40%に下降した)
    インバウンドの旅客の減少は続いている.
    一方国内旅行はさかんでありノルデステ方面は特に活況である。

    2003年下期の展望

    新政権が観光に力を入れていることもあり、見通しは明るい。2003‐2007年の国家観光プランが具体化してくるだろうし、ルーラ大統領が各国歴訪に観光大臣を同行させて観光のPRに努めていることもいずれ好結果をもたらすであろう。
    メルコスールにおいても官民合同で観光強化策を検討中である。

    通信業界

    2003年上期の回顧
    新 政権は物価安定を最高命題の一つにあげ、これまでの通信会社の料金調整方法の見直し(これまで使用していた物価指数を変更するなど)を進めている。また低 所得者層への格安電話の提供義務化などもあり、通信企業の利益の再配分という新政権の意図により、インターネットも含めた通信全体の料金の低廉化が進むも のと思われる。またこの状況に対し既に競争および不況の影響で体力の落ちている各通信会社は生き残りをかけた合併・資本提携の道を引き続き探っていくもの と思われる。
    一方で、企業の通信需要はERPなどに対応する高度なネットワークとハッカーやヴィールス対策も含めた危機管理の必要から、より高速かつ安全なシステム作りが進むものと思われる。

    2003年下期の展望

    上 記①のように固定電話通信各社が厳しい経営環境に直面しているのに対し、既に利用社数が約3,700万人にも達した携帯電話の市場では、テレコムアメリカ ズが本年下期の営業開始に向け1億5千万ドルの投資を表明するなど、激しいシェア争いが続きそうだ。競争の構図としては、現利用者数の約半分のシェアを持 つVIVOに対し、TIMとテレコムアメリカズの挑戦が激化し、BCPは何らかの方法で生き残りの道を模索するという形になるものと思われる。この競争の 結果本年9月ころには携帯電話加入者数が固定電話加入者数を上回るものと予想されている。

  • 自動車部会 伊藤副部会長


    伊藤副部会長

     

    司会 残念ながらここで後藤議員、赤阪総領事ご退席でございます。ありがとうございました。
    発表の方は続けさせて頂きます。部会最後になります自動車部会、国内市場不振の中で新しいモデルを投入した日系メーカーの好調さが目立っているようですが、伊藤さんよろしくお願いします。

    4輪に“土砂降りの雨”

    伊藤  部会長であるトヨタの岡部社長が日本出張中で代わりに報告いたします。自動車部会を三つのカテゴリーに自動車、二輪、それから自動車部品と分けて発表します。

    自動車、四輪は総じて言うと、昨今の新聞に載っていますが、“土砂降りの雨”が降っている。まあ、部会長の会社だけは別のようですけれども(笑い)。二輪は日本のメーカーさんですが、非常に絶好調と言う事ですね。自動車部品は総じてまだら模様。これが大体の結論です。

    まず四輪ですが、今年上半期の自動車生産台数は輸出の増加から89万9000台と昨年を2.7%上回りましたが、各社による値上げ、それから金利高が消費 者の購買意欲を減退させて、国内新車登録台数は前年同期比8.3%減と昨年をさらに下回り、99年以来の低レベルとなっております。Anfavea(ブラ ジル自動車工業会)は、今年の国内販売予測を150万台から140万台に下方修正しておりますが、今年の6月現在のメーカー在庫数は16万台程度と予想さ れ、この140万台の修正販売予測達成も危ない状況になっております。このため、各社とも一斉休暇、希望退職の募集など稼働の落ち込み対応に追われている 状況にあります。GMは生産調整を理由に一斉休暇を実施、かつ500名の解雇発表、フォルクスワーゲンも4000人の従業員を新会社に転籍させて、アウト ソーシングすると発表していますが、いずれも労働組合の反対にあって難航しております。

    国内市場の回復に活路を見出すべく、政府による市 場活性化緊急策、これは大衆車のIPI(工業製品税)、それからIPVA(車両税)1年目の免税などが近日中に発表されると思いますが、市場の回復には時 間がかかるであろうと思われます。このような国内需要低迷の中、生産はもっぱら輸出頼みとなっていますが、生産の落ち込みを支えるには不十分であり、生産 設備の稼働率も6割程度となっています。輸出は金額累計で24億ドル、前年同期比38.7%増。台数では25万3000台、これも前年同期比で42.3% の増加。また6月は5万5,000台と過去最高を記録しております。現在、輸出は生産の28.2%となっており、その率は増加しております。

    下期も依然として国内需要低迷の状況は変わらず、アルゼンチンの回復や各社による新規輸出国の開拓により、輸出は依然として増加傾向が続くと思われます。

    一方、輸入の方ですが、38,400台と前年同期比37.3%のマイナス。Abeiva(ブラジル自動車輸入協会)は4月、フルラン開発相に対して、新車輸入の関税引き下げ- 現行の35%から22.5% -を要請しております。

    1~6月の生産ですが、乗・軽商用車これは84万7000台、前年同期比2.5%増、トラックは3万8000台、7.9%増、バスは1万3000台で 0.4%増、合計89万8500台で2.7%増となっております。輸出は、乗・軽商用車が24万5000台で41.9%増、トラックは4000台で80% 増、バスも4000台で36%増、計25万3400台で42.3%増となっております。で、国内販売状況は乗・軽商用車57万1800台、マイナス 5.5%、トラックが3万400台、マイナス2.7%、バスが7000台、13.5%マイナス、合計60万9200台でマイナス5.5%。輸入車に関しま しては38,400台でマイナス37.3%となっております。

    好調の2輪にも販売鈍化の兆し

    それから2輪ですが、昨年来の新車投入効果により、各社とも主力の125ccクラスを中心に販売を伸ばしました。ただし、高金利政策による景気低迷およびクレジット不渡り等もあり、5月以降販売伸長に陰りも見えて参りました。

    下期は高金利政策の是正、景気浮揚策および新年度モデルの投入で、9月以降に伸びが期待されるものと思われております。国内販売の好調を受け生産も順調に 伸長しておりますが昨年来のインフレ高進による国内購入材の価格高止まり、通貨下落による輸入品コスト上昇が懸念されております。また、税制恩典の見直し 気運が一部にあり今後多少環境が厳しいものと思われます。
    輸出はレアル安による価格競争力アップを背景に不調なアルゼンチンに代わる輸出先を開 拓し、昨年比大幅増加しました。しかし、昨今の輸出増加はレアル安を背景としているため、レアルの動きを注視する必要があります。1~6月の生産は、49 万5700台、昨年同期比22%増、国内販売が43万6900台で12.7%増、輸出が5万8800台で3.2倍になっております。

    通期で8%の売上げ減か ー 自動車部品

    それから、自動車部品ですが、今年度上半期はカーメーカーの業績が落ち込み、カーメーカーの生産台数に直接関係を持つ部品メーカーにとっても、厳しい上半 期となりました。Sindipecas(自動車部品工業会)によると、同期間中受注が約25%減少しており、まだリストラ等の極端な対応策は採用されてお りませんが一斉集団休暇、就業時間短縮等を行なっております。上期前半は為替レアル安継続で輸入部品、それからドルリンク原材料のコスト上昇、後半はレア ル相場回復による輸入原材料の圧迫要因は軽減されましたが、販売が低迷し、輸入原材料の在庫の積み上がりもあり、業績回復の妨げとなりました。

    業界総売り上げの33%を占める上位部品製造会社48社を対象に比較した売り上げは1~5月の累計で対前年同期比が3.5%とアップしておりますが、カー メーカーの低迷の影響で本年度のトータルの部品業界の売り上げは昨年比マイナス8%程度になるものと思われております。部品の補修小売り市場では、今年上 半期の売り上げが昨年同期比20.5%のアップ率を示しました。しかし、これは昨年度の業績がよくなかったことにより伸び率が大幅に上昇していることと、 現在、新車購入が先送りされており、自動車を修理する傾向が業界の小売り市場の売り上げアップに影響しているものと思われます。

    現在、部品業界 は稼働率が生産能力の65%、推定従業員数がおよそ17万人ですが、この数字の維持・向上は今後のブラジル経済にかかっていると言えます。政府の消極的な 経済回復政策、インフレ下降率、基本金利の切り下げ等の要素は下半期の景気上昇には不十分との見解でして、厳しい状況の継続が懸念されております。やはり カーメーカー同様、積極的に輸出等の対応でカバーしていく必要があると思っております。以上です。

  • 自動車部会(レポート)

    2003年上期の回顧と同下期展望

    自動車部会長:岡部 裕之

    2003年7月31日

     

    ■ 自動車

    今 年上半期の自動車生産台数は輸出の増加から898.5千台と昨年を2.7%上回ったものの、各社による値上げと金利高が消費者の購買意欲を減退させてお り、国内新車登録台数は前年比8.3%減と02年を更に下回り99年以来の低レベルとなった。ANFAVEA(ブラジル自動車工業会)は、今年の国内販売 予測を1.5百万台から1.4百万台へ下方修正した。さらに、03年6月現在のメーカーの在庫数は160千台と予想され、修正販売予測の達成も危うい状況 である。このため、各社とも一斉休暇、希望退職の募集など、稼動の落ち込み対応に追われている状況である。GMは生産調整を理由に一斉休暇を実施、かつ 500名の解雇を発表、VWも4,000人の従業員を新会社に転籍させてアウトソーシングすると発表している(いずれも労働組合の反対にあっており難 航)。国内市場の回復に活路を見出すべく、政府による市場活性化緊急策(大衆車のIPI見直し、IPVAの1年目免税等)が近日中に発表されると思われる が、市場の回復には時間がかかるであろう。

    このような国内需要低迷の中、生産はもっぱら輸出頼みとなっているが、生産の落ち込みを支える には不十分であり、生産設備の稼働率も6割程度である。輸出は、累計24億ドル(前年同時期比38.7%増)、253.4千台(同42.3%の増加)ま た、6月は50.5千台と過去最高を記録している。現在、輸出は生産の28.2%となっており、その率は増加している。下期も依然として国内需要低迷の状 況は変わらず、アルゼンチンの回復や各社による新規輸出国の開拓等により、輸出は依然として増加傾向が続くと思われる。
    一方輸入は38.4千台と前年同期比37.3%のマイナス。ABEIVA(ブラジル自動車輸入協会)は、4月Furlan開発相に対し新車輸入の関税引き下げ(現行の35%から22.5%へ)を要請した。

    【生産・輸出状況】

     
    生産
    輸出
    乗・軽商用車 トラック バス 乗・軽商用車 トラック バス
    03年1-6月 (千台) 847.1 38.3 13.1 898.5 245.4 4.0 4.0 253.4
    前年比(%) 2.5 7.9 0.4 2.7 41.9 80.4 36.2 42.3

     

    【販売(新車登録)状況】

      国産車 輸入車
      乗・軽商用車 トラック バス  
    03年1-6月 (千台) 571.8 30.4 7.0 609.2 38.4
    前年比(%) -5.5 -2.7 -13.5 -5.5 -37.3

     

    ■ 二輪

    昨年来の新車投入効果により、各社とも主力の125ccクラスを中心に販売を伸ばした。ただし、高金利政策による景気低迷及びクレジット不渡りもあり、5月 以降販売伸長に陰りも見える。下期は高金利政策の是正、景気浮揚策及び新年度モデルの投入で、9月以降の伸びが期待される。国内販売の好調を受け、生産も 順調に伸長しているが、昨年来のインフレ高進による国内購入材の価格高止まり、通貨下落による輸入品コスト上昇が懸念される。また、税制恩典の見直し機運 が一部にあり環境は厳しい。
    輸出は、レアル安による価格競争力アップを背景に、不調なアルゼンチンに代わる輸出先を開拓し、昨年比大幅増加した。しかし、昨今の輸出増加はレアル安を背景としているため、レアルの動きを注視する必要がある。

    【生産・販売・輸出状況】

      生産 販売 輸出
    03年1-6月 (千台) 495.7 436.9 58.8
    前年比(%) 22.0 12.7 3.2倍

     

    ■ 自動車部品

    2003 年上半期はカーメーカーの業績が落ち込み、カーメーカーの生産台数に直接関係を持つ部品メーカーにとっても厳しい上半期となった。 SINDIPECAS(自動車部品製造工業会)によると、当期間中、受注が約25%減少しており、まだリストラ等の極端な対応は採用していないが、一斉集 団休暇、就業時間短縮等を行っている。
    上期前半は為替レアル安継続で輸入部品、ドルリンク原材料のコスト上昇、後半はレアル相場回復による輸入原材料の圧迫要因は軽減されたが、販売が低迷し輸入原材料の在庫の積みあがりもあり、業績回復の妨げとなった。
    業 界総売上げの33%を占める上位部品製造会社48社を対象に比較した売上げは1月~5月の累計で 対前年同期比売上げが 3.5%とアップしているが、カーメーカーの低迷の影響で本年度の部品業界売上は`02年度比▲8%となる予想。部品の補修小売市場では`03年上半期の カーパーツ売り上げが昨年同期比20.5%のアップ率を示した。しかし、これは昨年度の業績が良くなかった事により伸び率が大幅に上昇している事と、現在 新車購入が先送りされており、自動車を修理する傾向が業界の小売市場の売上アップに影響している。

    現在、部品業界は稼働率が生産能力の65%、推 定従業員数はおよそ170千人であるが、この数字の維持・向上は今後のブラジル経済回復にかかっているといえる。政府の消極的な経済回復政策、インフレ下 降率、基本金利の切下げ等の要素は下半期の景気向上には不十分との見解で、厳しい状況の継続が懸念されている。 やはり、カーメーカー同様、積極的に輸出 等の対応でカバーしていく必要がある。

  • 質疑応答

    司会  以上で11部会の発表が終わったわけで、この辺で会場の皆さんのご意見、ご批判、ご質問、何なり受け付けたいと思いますが、どなたかいらっしゃったら。赤嶺さんいかがですか。

    新政府とのハネムーンは今後も続くのか

    赤嶺   遠藤委員長のもとで当総務委員会の副委員長を務めております赤嶺でございます。大変興味を持って皆様のご発表を拝聴させて頂きました。その中で、金融部 会の小原代表にお伺いします。先月の会議所のコンサルタント部会でもだいぶ活発に意見が交換されましたが、金融部会では、政治の通期の見通しとして、ルー ラ政権と国民(市場)のハネムーン(蜜月関係)が今までのどの政権よりも長く、これから1、2年は続くだろう。それから高い支持率も今のまま推移していく だろうと、いう風に非常に楽観的にご覧になっているようです。私はどうも心配性のせいなのか、この蜜月関係は、まさにいま急速に冷えつつあるのではない か。例えば、肝心の社会保障制度、税制改革などの構造改革にしても、次第に小骨から大骨まで抜かれつつあるような感じがしてなりません。もう一度、やはり 楽観的なままでいいのかどうか、小原代表の率直なご意見をお伺いしたいと思います。お願いいたします。

    海外の投資家は「暖かく見守ってくれている」感じ

    小原   一夜漬けで勉強してきた私には難しすぎる質問ですが、皆さんの失笑を覚悟で頑張ってみたいと思います。確かにこのあたり、私の専門じゃないとは言え、経 済のベース、とくに政治の動向が経済もしくはその後の数値に大きく左右する国と言うことで、よく見て行く必要があるんですが、「下期の展望の結論」のとこ ろで皆さんもおっしゃっていた社会保障制度改革、それから税制改革。これを何のようにうまく切り抜けて行くか、スタートを上手く切ったルーラが、これから いよいよ現実の問題に直面して行くところだと思うんですね。聞いているところではルーラ自身、もしくは側近の与党議員が実際に、党人間というか個別交渉と いう格好で根回しをかなり行っていると聞いて、これがうまく行けば、今お手元に渡っている一番最初の表でほぼほぼ、66%を今取りつつある状況です。これ も日々変化しているのでしょうが、それが地道なルーラ本人の交渉によって、一つ、二つ確実なものにして行ければ、いま申したシナリオは描けるんじゃないか と。おっしゃる通り、骨抜きになって来ると言うところは、実際に最初の案が出されて、大分、日々変更して、一番最後のペーパーに付けているのからして大分 変わっていますし、どの辺りで「これは骨抜きじゃないか、意味をなさないじゃないか」と言うような議論が出てくるか非常に不安な要素として見ていますが、 金融機関というか、外の投資家サイドの目からすれば、今のところは「暖かく見守ってくれている」という感じを受けているのが正直なところです。私もここは 非常にナーバスなところで、2回も「ちょっと楽観過ぎるかも知れませんが」と言葉を使わせて頂きましたが、そういう言葉も入れて、期待感も込めての通期予 想と言うことで述べさせて頂きました。

    司会  時間の関係でもうひと方。大使館の笹本書記官がいらっしゃっていますので、ご感想なり頂ければと思いますけれども。

    方向性は正しい現政府

    外資流入が途絶えるとは考えにくい

    笹本   午前中にサンパウロ大学の先生に会って、「ブラジルの経済の先行きについてどう考えますか」、と聞いたら、「確かに改革のペースは遅いが方向性は正し い。従って、今年、来年の成長の見通しは皆さんすでにお話しされているように1.5ですとか、来年3%ですとか言うレベルでしょうが(経済成長)、再来年 以降は4%ないし5%が見込めるのではないか」という楽観的な見方をされていました。私も、その意見には賛成でして。なぜかと言うと、確かに年金改革がこ こに来て、公務員が年金を全部もらえるようになってしまったとか、巻き返しの動きもあるんですが、ただ方向性が正しい限りは国際的な金融機関、あるいは国 際金融機関もブラジルを支持するだろうと。従って、ブラジルにお金が入って来なくなって、また経済危機が起こると言う事態は今後は一寸考えにくいだろう と、私自身は楽観的な見方をしています。

    ただ、いま批判もありました金融政策に関しては、中銀の金利をもっと早く下げるべきではないか と。一番理想的なのは、年末までに基準金利が20%ぐらいまでに下げれば、うまく成長路線に戻って行くでしょうが、もう少しスピードが遅くなると成長、回 復は遅くなるのではと言う見方もあります。

    これから金岡さんの方からFTAの話しもあると思うのですが、実は最近まで、大使館の方では FTAに関してはスケジュール通り行かないのでは、という見方をしていました。しかしながら、実はルーラが訪米した際に、ブッシュ大統領と2005年1 月には交渉をまとめるんだと言う約束をして、ブラジル当局も、もうどうもこれはデッドラインだから絶対何が何でもやるんだ、と言うような事を考えているら しい。ご存じの通り、EUともFTAの交渉を行っており、一方でWTO(世界貿易機関)の交渉は皆さんもマスコミ等でご存じと思いますが、なかなか難航し ていて、日本の当局も何とかまとめようと頑張っているのですが、最悪のケースも考えられる。

    でそのFTAA、あるいはFTAと言う言葉が 本当は正しいのかよく分からないが、これはその単に通商だけでなくて、投資、知的所有権、あるいは政府調達の分野も交渉の対象となっている事を考えると、 仮に日本だけが全くそういった交渉を行っていないとなると、例えば仮にブラジルの経済が回復しているにも関わらず、日系企業だけが“ババを引く”と言う可 能性もなきにしもあらず、という暗い面があるのも事実で、ぜひこの点に関して今後日系企業の皆さんから、我々の方に色んなご要望を出して頂ければ、と考え ています。以上です。

     

  • FTA問題について 金岡委員長


    金岡委員長

     

    司会 最後になりますが、笹本さんからのお話にもありましたFTA問題。これがかなり当会議所でも切実な問題として取り上げられているので、現状を金岡委員長の方からご報告頂ければと思います。

    EUとブラジルのFTAは2004年実現が可能

    金岡 FTA問題について簡単に状況を説明したいと思います。FTAといいましても、広義に使っており実はRTA、地域貿易協定、あるいは関税同盟といろいろ あり、幅広く言えばいま日本とメキシコが交渉しているEPAという経済協力協定、そういうのもあり、要するにひとくくりにしてFTA、こう言うことでお話 しをします。

    まず、ブラジルを巡る自由貿易協定の動きですが、既にご承知の通り、南北米州34カ国を対象としたFTAA締結の話がいま進 んでおります。米国とブラジルがご承知の通り共同議長国で2005年創設を目処に話し合いが進んでおります。米国における農産物の市場アクセスの問題、あ るいは農業補助金の問題また南の方の国ブラジルではサービス分野の自由化、知的所有権などいろいろ解決しなければならない問題もあり、互いに政治的な思惑 もあって今後いろいろ、紆余曲折はあるかと思いますが、最終的にはやはり締結に向けて話が収束して行くのではないかなと、こういう風に思う次第です。

    一方、対EUですが、メルコスールをベースに2006年協定発効を目処とした交渉が開始されており、現在、関税撤廃スケジュール、それから対象品目リスト が交換され、話し合いが始まったところです。EU(欧州連合)とはブラジルの場合、かなり文化的、歴史的、経済的につながりが多くて、ブラジルに進出して いる企業にもEUをベースにしたところがあり、思いの外早く進む。2004年とか言われていますが、こういう可能性もあるかと思います。特に自動車につい ては貿易自由化に向けて、業界ベースでの会合が持たれていると。こう言うことです。
    そんな中でブラジルは個別にメキシコ、チリとも貿易協定を締 結している。それから中国、インドとの交渉も視野に入って交流が始まっており、いわゆるラテンアメリカ諸国のFTA先進国のメキシコ、チリに続いて、新た な自由貿易協定締結の動きがブラジル国としても加速しているという状況です。一般にそのブラジル、かつてのアメリカなど自国に巨大市場を抱えかつ、それな りに産業が育っている大陸国は経済の海外依存度が低く、自由貿易協定締結に対し消極的といった見方が出来るわけですが、このようにグローバル化が進む世界 経済の中で、単独で生きていくというのは難しい。あるいは、うまくやればビジネスのチャンスがさらに増えると思われます。そういうことでブラジルについて も各市場ごとの通商政策に沿った自由貿易協定の動きが加速されているといった感じであります。

    日伯合同委員会でもFTAにつき調査・検討を決定

    このような情勢の中で、日伯の経済関係の再構築の必要が叫ばれている訳ですが、FTA問題についても「このまま何もせずに放置しておいてよいのか」と言っ た疑問が会員企業からも出され、昨年秋に開催された官民合同会議でも日伯FTAの必要性につき、討議され、とりあえず商工会議所において民間ベースの勉強 会を立ち上げようと、こういうことになった次第です。本年3月に開催された「第 10回日伯ブラジル経済合同委員会」の結論として、日伯FTAによるビジネスの影響につき、スタディグループを設置し、調査、検討、意見交換していくと言 うことが確認されました。経団連では本件のフォローアップを企画部会を中心にフォローしていく、とこういう体制が確認されております。
    ご承知の ように、メキシコと日本の間のFTA交渉は現在、最終段階に入っており、未だ双方のセンシティブセクター、これは日本でいいますと農水産品とか皮革製品、 それから豚肉など。それからメキシコでは鉄鋼、化学品などが挙がっている訳ですが、このセンシティブセクター品の調整を巡りまだ課題が残っている。しかし ながら、本年10月のFOX大統領訪日のさいに、何らかの形で協定書にサインがされることになると思われます。そもそも日墨FTAにおいて、なんでこう言 うことが出てきたかというのはNAFTA(北米自由貿易協定)の発効によって競争力を失い、撤退を余儀なくされた日本側民間企業の強い要請により、交渉が 始まったという背景があります。また、その後EUともメキシコは協定を結び、さらに調査を進めていく中でメキシコ市場における日本製品の輸入比率の低下、 それから政府調達における日本企業の差別、具体的に言うと入札に入れて貰えない、あるいは入札で差をつけられると言ったことが起こって、具体的な経済損失 につながると言うことで、民間から政府を動かして今日の交渉に至っていると、こう言うことです。

    メキシコのケースを”他山の石”に

    今後、メキシコ、日墨の話し合いは中南米における初めての日本としてのFTAの交渉で、今後の推移を注意して見て行かなければならない。我々ブラジルにい る日本の企業としては、そのメキシコで起こったことを“他山の石”と、こう言うことで今からFTA締結の必要性を検討し、その準備を始めようと言うことで 研究会が立ち上がった。こういう次第です。

    以上のようなことで、ブラジル日本商工会議所の中に、「日伯経済交流促進委員会」があ りまして、私が委員長ですが、その中でFTA研究会を立ち上げまして、今年の1月から今までに5回の研究会を開催しました。第1回目はJETRO・ブエノ スアイレスの稲葉所長を招き、「南米を巡るFTAの動きについて」と題してFTAそのものの仕組み、あるいは世界の状況につき勉強しました。第2回目は JETRO・メキシコの近藤所長にお越しいただき、まさに先ほど申しました日墨FTA交渉開始にいたる経緯およびその内容について講演して頂きました。そ の後4回、5回と当会議所の部会である第4回目では電機・電子部会、それから第5回は自動車部会の代表にお越し頂いてそれぞれの状況をヒアリングして、ど ういう風な問題が出てきているかをお話ししました。

    以上の研究会を通じて私の持った印象ですが、まず一番としてグローバル化が進んだ企 業、これはそんなにたくさんあるわけではないんですが、世界各地でのFTAの動きに対して柔軟な対応が可能である。例えば、日本からの原材料、部品の輸出 が不利になると、米国の工場に切り替えることも可能である。それから二番目はFTAの促進により、マイナスの面だけでは無く、上手くやれば国の産業構造を 変えて行くことも可能という事で、例えばブラジル進出で生産基盤を固めた。こういう日本企業であれば、今度はブラジルがFTAを結べば、例えばFTAAの 対象国とは自由に貿易が出来ると、こういうプラスの面もある。こう言うことで、メキシコはその辺を非常に強調して、今やすでに31カ国とFTAを結んでい ると。そう言う印象を持ちました。

    今後FTAにつきCNIやFiespとも意見交換

    今後の活動ですが、引き続き各業界の状況を調査すると共に、企業単位でアンケートを実施し、日伯FTAの与える影響につき具体的なプラス、マイナスのインパクトを取り上げて、これをもとに対日本の関係省庁に提案を出して行こうかと、こういう風に考えています。
    日伯FTAの課題ですが、今後更に会員企業を対象にして行うアンケートの調査実施、あるいは輸出入統計の調査、CNI、FIESP等ブラジル側カウンター パートとの意見交換。こういったことにより、提案をまとめて絞って行きたいと思っていますが、今のところ私の印象としては、三つ有ります。

    1 番は、FTA締結国との関税格差の問題。先ほど挙げましたFTAA(米州地域)、それからEUあるいはひょっとしたら中国・韓国などとブラジルが先にやる んではないか。こう言ったところとの関税格差の問題。ちなみに言いますと、ブラジルの平均関税は12.29%。そこそこ高い訳ですから、これが先に出来 ちゃうと、かなり日本としてはハンディキャップを背負う事になるわけです。対象は特に自動車部品、電機・電子部品、化学品の一部こういったところが主たる 対象になると思います。

    2番目にマナウス・フリーゾーンの問題。これは現在、家電、二輪、複写機、電子部品、こういった企業が日本から 進出しておりますが、個々について、かつてメキシコ特に米国とのボーダーにありましたマキラドーラ、個々に進出していた企業ですが、結局、NAFTA成立 によって相対的な優位性を失ない、こういうことで撤退を余儀なくされた。そういうメキシコと似たような問題の発生が考えられる恐れありと、こういうことで マナウス・フリーゾーンをどういう風に位置づけるか。これが2つ目の問題。

    3番目として、進出企業が直面しているビジネス環境上の問題 点の改善。これは税制、労働法、それからインフラの不備、ロージスティックも含めたインフラの不備。それから治安問題、いわゆるブラジルコストの解消が課 題となります。この点は海外から進出している、日本に限らず進出企業全般にわたる問題でもあり、場合によっては他国商工会議所、あるいはGIE(外国投資 家グループ)などとも連携して、ブラジル政府に呼び掛けて行かねばならない。ただしこの中で日伯固有のものがあれば、広義の意味でFTAのテーマとして取 り上げて行けばよいかと思います。

    以上が今のところ考えられる訳ですが、スケジュールとしては、経団連スタディグループとも連絡を取 り、9月頃にアンケート調査を実施。年内に調査結果並びに何らかの提案を取りまとめたいと思います。明日、第6回目のFTA研究会をやるんですが、その場 においてどういったことをアンケートでまとめて行くか等をもう少し具体的につめて行きたいと思っています。
    それから最後ですが、在アルゼンチン 日本商工会議所からも連絡がありまして、メルコスールと言うことでFTA促進に向けて意見交換、情報交換を進めて行きたいという申し出がありました。自動 車、電機・電子、石油、化学品などは今や両国の産業で不可分な関係で有機的につながっていますので、この申し出も前向きに進めたいと思っていますが、ただ ブラジル政府が、日伯FTAを考える場合にメルコスールを一緒に巻き込んだ方がいいのかどうか。特にアルゼンチンの場合、経済、金融混乱が大分収まってき ましたが、ブラジルとは同じペースではない。それからアルゼンチンの場合、農業問題がブラジル以上に対日本としてありますから、その辺のブラジル政府の考 え方もあるかとは思いますが、いずれにせよ、先方と情報交換をやりながら、メルコスールとして課題を考えていく。それはそれでよろしいんじゃないかと思っ ています。そういった事で、なかなか焦点が絞りきれないと言う事ではありますが、以上述べましたような形でこれから提案をまとめて行きたいと思っていま す。以上です。

    司会 柳田さん何かコメントありますか。

    日伯FTAはビジネス環境の整備

    柳田 FTAのお話につきましては、先ほどの大使館の笹本書記官と金岡委員長がお話になられたことがほぼ全てであるかと思います。一つだけコメントというか、 付け加えさせて頂きますと、日伯FTAを考える場合にメキシコの場合は、いま金岡委員長からありましたが、やはり実害論というのがあって来たわけですが、 日伯を考える場合、実害論というのは、まあ若干二番煎じ的なことになって来て、それもあり得るとは思うんですが、多分そうではなくてFTAとは何ぞやと。 あるいはEPAでもいいですが、これはあくまでビジネス環境の整備だという事から考えて、日本企業がブラジルに対してどう言ったビジネスを今後展開してい く必要があるのか、という一つの日本側にとっては戦略論をきちっと考えて、と言うことから日伯FTAを位置づけて行く必要があるかと思います。以上です。

    司会 ありがとうございます。それでは時間も過ぎていますので、そろそろ本日の懇談会は終わりにしたいと思いますが、各部会の発表をお聞きしていますと、 2003年度も、昨年よりも厳しいというのが共通の理解かと思います。しかしながら、ルーラ大統領がおっしゃった下半期からは「奇跡的な経済成長を期待で きる」。これはやや誇大かも分かりませんが、インフレ抑制から景気回復へのその経済政策の転換ですか、これを我々は期待する事として、本日の懇談会を終わ りたいと思います。長時間ありがとうございました。

     

    -第I、II、III部 完 -

2003年上期業種別部会長懇談会-貿易部会


柳田部会長

 

司 会  ありがとうございました。引き続きまして、貿易部会の柳田部会長よろしくお願いします。

2002年概況

貿易収支は昨年131億ドルの黒字

柳 田 JETROの柳田でございます。「2002年貿易回顧と2003年の展望」をご説明いたします。
まず2002年概況ですけれども、輸出は堅調に推移し、輸入の方はかなり大幅に減少したということかと思います。具体的な数字で申し上げますと、2002 年の貿易、輸出は603億6200万ドル、対前年比で3・7%の増、輸入は582億2300万ドル、同じく15%の減ということで、貿易収支は131億 1300万ドルの黒字でした。この黒字は、93年に記録しました132億9900万ドル以来の大幅なものです。皆様ご存じかと思いますが、ブラジルの貿易 といいますのは、年前半に大豆、あるいはコーヒーなどの一次産品の輸出が増加しまして、年後半に年末商戦に向けた国内生産が拡大をして、あるいは、消費財 の輸入が増加するということで、年後半は貿易収支が赤字に転落するというのが従来のパターンです。

しかしながら、2002年は先ほど金融部会からご説明がありましたように、ブラジルの政治経済情勢、これは大統領選挙、あるいは米軍のイラク攻撃の可能性 が年末に向かって高まって来た、為替がレアル安に推移して来たことを受けて、このパターンが変化したと言うことです。為替が一貫して下落、金利の上昇を招 いて国内消費を抑制したことの他に、先ほど申し上げた輸出ですが、大豆などの主要な産物生産者が売り惜しみをするという形になり、通常、大豆輸出は年前半 に終わるわけですけれども、年央以降も増加するというパターンで昨年は違ったパターンを生みました。一方、輸入の半分を占める中間財の輸入は先ほど申し上 げたように、9月以降も前年比で減少傾向を見せた。このように、輸入が減少した結果が先ほど申し上げました131億ドルという大幅な黒字を生んだ訳です。
輸出は、わずかに増加しているけれども、これは米国経済、あるいは世界経済、あるいはアルゼンチンの状況を考えますと、比較的健闘したといえようかと思います。

それでは、この輸出が比較的堅調だった背景として、もちろん通貨の切下げということが一般的に言われますが、その通貨の切下げによって競争力が高まったと いうことの他に、ブラジルは98年、この切下げ前の98年には直接投資額の工業部門に占める比率は11・9%しかなかったのが徐々に増えて2002年、こ れ1~11月までの数字ですけれども38・6%まで増えている。つまり、外国からのグリーンフィールド投資がかなり増えていることが、ブラジルの工業品輸 出を支えてきたと言えるかと思います。
特に自動車、あるいは金属、機械、化学、電気電子こういった分野で生産の拡張が積極的に行われて来たと言うことです。
それから、もう一つ付け加えますと、工業分野の輸出増加の背景として為替の切下げ、直接投資の増加、それに加えて、特に2002年に行われたメルコスールとメキシコの関税引下げ協定、こういった特恵関税協定がかなり大きく作用していると、この3点が理由かと思います。

一方、輸入減少の背景でが、これは一言で言いますと、「レアルの切下げと金利上昇による国内景気の落ち込み」によります。先ほど金融部会が説明されましたので省略させていただきます。
為 替が下落して、インフレ警戒から金利を上げた結果、売上指数そのものも11月以降になっても落ち込みが続いていた。同時にそれに合わせて製造業の稼働率も 下落したことで、やはり景気の落込みが、輸入全体の5割を占めるといわれる中間財・原料の輸入を大幅に抑えた。これは消費財も一部入りますが、その結果、 この輸入が15%という非常に大きな落込みになりました。

アジア市場台頭、輸出はALADI向け並み

次 は輸出について国別、地域別に見ますと一つの特徴として、ブラジルからの輸出がアジアに向かい出した。アジアが非常に台頭してきたといえます。 従来、米 国向けが25%、EU向けが25%、ALADI向けが大体16%。2002年アジア向けは14・6%まで上がってきて、ほぼALADI向けとアジア向けが 同水準に達したということが一つ大きな特徴かと思います。
米国向けは、同時多発テロ以降の影響を受けて、エンブラエールのジエット機の輸出が前 年比で7・1%減少したのが響いております。一方、端末、携帯端末ですが、モトローラ、ノキア等が非常に輸出ドライブをかけましたので、対前年比で対米 13・1%の増が目立ったところです。

ALADI向けは、特にメルコスール向けはアルゼンチンの危機ということで、前年比トータルでブラジルからは48%の減少。メルコスール以外のALADI向けとなりますと、対前年比で10・9%の増と、いかにアルゼンチンが足を引っ張っているかが分かるかと思います。
それから、アジア向けは先ほど申し上げました中国が非常に伸びており、国別輸出全体の順位で4位に躍進したのが目立った所です。中国向けの輸出は、昨年1 年間で25億2000万ドル、これは対前年比で32・5%の増加になっております。中国向けは主に大豆、鉄鉱石等が輸出品目ですが、こういった一次産品に 加えて、昨年は自動車部品、エンジンといった付加価値の高い分野も含まれるようになって来ております。対日につきましては後ほど申し上げたいと思います。

アルゼンチン向け輸出急減 ― 国別は2位が6位に転落

製 品カテゴリー別の輸出動向をみますと、まず一次産品ですが、その輸出もアジアなどの新市場向けが大きく伸びていることが輸出全体を支えた一つの要因にも なっております。ご存じかとは思いますが、原油ですけれども、ブラジルは昨年、対前年比でなんと134・6%増の輸出を果たしております。

次に大きなものとして豚肉、これは35・5%増、エビが35・2%、大豆まめが11・2%増と、こういったところが一次産品で伸びの大きいところです。
ブラジルの一次産品で最大の輸出品目というのは鉄鉱石ですが、これは対前年比で4%増に留まっております。ただ、中国向けが対前年比で23・7%と大幅な増になっております。これは、港湾インフラ等が整って価格競争力の面で有利になったということが背景にあります。
それからやはり、大豆につきましても中国向けが国別でトップになって53・5%と大幅な増加になっております。
半製品はアジア向けが25・7%と全体の比率ではトップで、ついでアメリカ、EU、大体同じような25%近い数字で、アジア向けが一番大きいと言うことです。
それから鉄鋼半製品は前年比で30%増、アルミ、これは地金で20・3%増。 鉄鋼半製品は、アメリカでITCの貿易制限措置が採られたが、実際には、米 鉄鋼産業の構造的な問題があり、ブラジルからの輸出は、ブラジル製品を買わざるを得ないので増えたと言うことです。最近は、台湾、韓国向けの鉄鋼半製品輸 出も増えております。
アルミは、2001年の節電計画が終了して、国内生産が増え輸出も増加していると言うことです。

加工品は、アルゼンチン向けの輸出減が大きく影響しております。この加工品の輸出のメインは、大体ALADIが中心です。トータルですとALADIは 2000年に全体の36%を加工品で占めていたが、アルゼンチンの経済低迷の影響から大幅に低下しており、2002年は26・4%となっております。た だ、そのうちメルコスールの占める割合は、10%を切り8・7%まで下がっていると言うことです。
2000年のブラジルからアルゼンチン向けの 輸出は一次産品、加工品全部含めて全体で約62億ドルあって、輸出総額の11・3%を占めていたが、2002年にはそれが23億まで急減をしている。輸出 全体に占める比率も3・9%まで下がり、従来ブラジルの第2位の輸出先であったアルゼンチンは国別では6位まで後退しております。

次は輸入動向の主なところですが、これは輸入はEUが全体の比率で27・7%と一番大きな位置を占めており、続いて米国が22・1%、ALADIが17・ 4%、アジアが16・9%。輸入に関してもアジアからが急激に増えて来ていることが言えると思います。全体的に、財別でいいますと、全体の輸入の5割を占 めています、この中間財、あるいは原料の輸入が、14・2%対前年比で減少しております。特に、中間財の中で輸入の額が大きい化学製品の原材料輸入が8・ 2%減というのが一つ大きな数字として影響を与えております。
もちろん、工業製品の部品類も18・7%減で、全体に大きな影響を与えた要因です。
資本財の輸入額全体に占める割合は25%くらいしかないが、貿易金融がしめられたこと、あるいは、国内の設備投資が控えられたことで、比較的好調であった アグリビジネス関係の農業関係機械等を除きますと輸入は減少している。消費財もやはり減少しております。ただ、唯一前年比で伸びているのは薬品です。

対中輸出が対日を追い抜く

続 きまして、ちょっとはしょらせて頂きますが、対日貿易についてふれさせて頂きます。先ほど中国向けの輸出が25億ドルと申し上げましたが、日本向けの輸出 が昨年は20億9800万ドル、明らかに中国の方が、中国向けの方が上回っている。日本向けの輸出は、昨年は前年比で5・6%増加ですが、輸入は23億 4700万ドルで23・4%の減となっております。ブラジル側が2億4500万ドルの入超ということです。

対日輸出は鉱産物、農産物その他加工品が中心ですが、特に目を引きますのは、鶏肉の輸出増加です。これは、レアルの下落で相対的な価格競争力がついたと同時に、ブラジルの生産者が日本向けに付加価値を付けて輸出するようになって来ていると言うことです。
一方、輸入につきましては、ブラジルに進出しておられるアセンブラーの新機種導入に伴い、自動車の部品、エンジンの輸入がやはり増えているのが目立ったところです。
一方、通信関連機器は、固定電話でテレフォニカなどがANATELの課している設置目標をすでに終えたということ、あるいは、携帯端末のユーザーの数が増 えている割には、その7割が前払い方式ということで、ハードの需要があまり盛り上がらず輸入が減少しており、通信機器全体では日本からの輸入は36・6% の減となっております。

最大のリスク要因は米国のイラク攻撃

ちょっ と長くなりましたが、間もなく終わります。2003年の見通しの所ですが、やはり最大のリスク要因は米国によるイラク攻撃かと思います。これが長期化する か短期で終わるかで、かなりシナリオが変わってくる訳ですが、長期化する場合には為替の切下げが進む一方、石油価格が引き上げられ国内経済に相当の悪い影 響を与える。この石油価格の上昇は貿易収支でのリスクと言うよりも先ほど金融部会からご説明ありましたけれども、やはりインフレの及ぼす懸念の方が大きい のではないかと思います。インフレ昂進がありますと、政治経済混乱も予想され、結果的にはそれが貿易面にも影響してくると言うことがあろうかと思います。

ただ、今の全体の予想、あるいは貿易部会の中での議論の中でも、貿易全体にこのイラク攻撃が直接的な影響を与えることはあまりないのではないか、というのがございます。
特に、原油につきましては、イラクから輸入していますが、全体がスポット契約です。それから、大体輸入先の確保に問題がないと言うことで直接影響は少ない のではないかと。あるいは、その輸出はですね、今後堅調に推移をして行くだろうということから、為替でレアル安になって輸入が抑えられると、引き続き黒字 が維持され、これが結果的にはブラジルのファンダメンタルズのアンカーになるということで、むしろプラス評価というのも一部にはある。

ただ、攻撃が短期間で終わった場合ですが、リスクはかなり軽減されて為替市場も安定して行く、あるいは金利も引き下げられることで安定的成長につながると なりますと、これは逆に国内景気が上昇することによって、中間財の輸入が増えて貿易収支が悪化をするというシナリオも考えられるところです。
た だ、貿易部会の中での議論で、ブラジル国内の生産者に果たして本当に国際競争力があるのか、なんですが、これについては、中間財の製造業者がまだ十分に国 際競争力を確保してないのではないか、これはちょっと時間がないので詳しいところは省略いたしますが、引き続き中間財の輸入は景気が回復すると増えると言 うのが一般的な見方かと思います。

今後、中国向けの輸出が引き続き増えると言うのが一つ の見方です。特に、アルコール、あるいは牛肉等の輸出が増えるのではないか。これは中国においてガソリンにアルコールを10ないし15%混ぜるという計画 もありますし、あとは検疫の問題とかを解決すれば牛肉等の増加が考えられると言うことです。
あと、2003年上半期については、やはり米国の景 気、あるいはイラク攻撃ということを考えますと、先ほど言いました航空機の輸出等、あまり期待は出来ない、対米輸出がそれほど大きく伸びないのではない か。EU向けはイラク攻撃の有無によってやはり少し影響が出てくる。これは前回の湾岸戦争の時にもかなり影響が出たという実績があります。ちょっと時間が 超過して恐縮です。以上です。

(詳細は末尾の部会資料)

2003年上期業種別部会長懇談会-貿易部会(資料)

1.概況

<堅調に推移した輸出、大幅に落ち込んだ輸入>

ブラジルの2002年の貿易は、輸出が603億6,200万ドル(前年比3.7%増)、輸入が582億2,300万ドル(同15%減)で貿易収支は131億1,300万ドルの黒字。この黒字幅は1993年に記録した132億9,900万ドル以来の大幅なもの。

ブラジルの貿易は、年前半に大豆やコーヒーなど一次産品輸出が増加し、年後半には年末商戦に向けた国内生産の拡大や消費財の輸入増加で貿易収支が赤字に転 落するパターンが一般的。しかし、2002年の場合、ブラジルの政治経済状況がこうしたパターンに変化をもたらした。2002年4月以降、10月の大統領 選挙で野党が政権をとるという観測が強まり、従来の改革路線を変更するのではないかとの懸念が金融市場で広がったことや、米国によるイラク攻撃の可能性が 年末に向けて高まったことを受け、4月以降為替はレアル安で推移し、大豆などの先物市場でも先高感が高まった。

為 替の一貫した下落は金利の上昇を招き、国内消費を抑制した他、大豆など主要農産物生産者に売り惜しみをさせる結果となった。そのため、輸入のほぼ半分を占 める中間財輸入が9月以降も昨年比で減少傾向をみせた一方、大豆輸出は通常輸出が終了する年央以降に増加するという例年とは異なるパターンを生んだ。

こ の輸入の減少が大幅な貿易黒字を生む結果となったが、輸出については「米国経済をはじめとする世界経済の状況や主要輸出先であるアルゼンチン国内の市場状 況を勘案すれば良い結果(FUNCEX-貿易研究所)」と言える。同時多発テロ事件以降続く米国の航空産業の低迷がブラジルからの小型ジェット機の輸出減 少となって現れているのをはじめ、米国市場の消費鈍化がブラジルの主要輸出産品である靴の輸出減少に結びついたが、もともと比較優位を持つ農畜産資源加工 産業をはじめ、工業分野でもジェット機や靴以外の製品は健闘した。

<輸出が堅調に推移した背景 - 直接投資の継続的拡大>

工 業部門健闘の理由の一つに、通貨切下げによる競争力向上に加え、生産拡張を目的とした直接投資が近年継続的に行われていたことが挙げられる。直接投資額の 工業部門に占める比率は、切り下げ前の1998年には11.9%に過ぎなかったが、2000年には23.8%、 2001年には33.3%とその比率は上昇。2002年についても、1~11月で同比率は38.6%。金額そのものも、2001年1~11月の工業分野の 直接投資額が52億5,700万ドルであったのに対し、2002年1~11月は64億4,700万ドルと唯一直接投資額が増加した部門となっている。

特 に、自動車、二輪など輸送用機械、金属、食品、機械、化学、電気電子及び通信機器分野で生産拡張のために積極的な投資がなされているのが目を引く。これら の分野は、2001年時点でブラジル全体の輸出額の54%を占めており、また工業部門の輸出の76%を占めている。同分野の直接投資額をみると、通貨切り 下げの前後でグリーンフィールドでの直接投資額が大きく変化。切り下げ以前の98年には同分野の直接投資受入額は全体の9%にしか過ぎなかったが、切り下 げのあった99年には19.2%と急増し、2000年には15.4%、2001年には27.9%に達した。これはドルによる投資のアベイラビリティー増加 に起因するもの。
工業分野の輸出増加の背景としては、このような直接投資のほかに特恵関税協定が作用していることも無視できない。例えば、2002年にメルコスール・メキシコ、ブラジル・チリの間で締結された関税引下げ協定など。

<輸入減少の背景 - レアル切下げと金利上昇による景気の落ち込み>

輸 入減少の背景には為替の減価がある。2002年1月2日に1ドル2.31レアルであった対ドルレートは10月22 日には3.96レアルに達した。さらに、実質為替レート(対ドル)で比較すると2001年9~12月の平均値(1994年8月を100とした場合)が 144.5であるのに対し、2002年9~12月の平均値は160.7となっており、輸入抑制の一因となった。

また、こうした為替の下落により、政府・中銀はインフレ警戒のための金利引上げ措置を講ぜざるを得なくなり、 2002年10月のCOPOM(国家通貨審議会)でSELIC金利はそれまでの18%から21%に、さらに12月には25%まで引上げられた。そのため、 CNI(全国工業連盟)の実質売上指数(1992年=100)は、通常であれば年末景気に向かって上昇していく時期にもかかわらず、11月になって前月比 で大きく落ち込むという現象が起こった。また、それに伴い製造業の稼働率も下落。こうした景気の落ち込みにより、輸入額全体の約5割を占める中間財・原料 の輸入ならびに消費財輸入が抑制された。

 

2.輸出動向

●国別・地域別輸出動向

<台頭するアジア向け輸出 - 対中輸出、対日を上回る>
国別・地域別貿易動向では、まず、輸出におけるアジアの台頭が目につく。2002年のブラジルの輸出額割合をみると、米国向けが153億5,400万ドル で全体の25.4%、EU向けが151億1,300万ドルで同25%、メルコスールを含むALADI向けが98億6,600万ドルで同16.4%、アジア 向けが87億9,100万ドルで同14.6%。従来、米国、EU、ALADI向けがブラジルからの輸出先の8割近くを占めてきたが、アジア向けが ALADIと同水準に達した。

米国向け輸出は、同時多発テロ事件以後米国系航空会社の業績 悪化の影響を受け、ジェット旅客機の減少(前年比 7.1%減)が響いている。また、靴についても、米国内消費低迷の影響を受け前年比7.3%減。しかし、携帯端末については、モトローラに加え、マナウス で組み立てを行っているノキアが輸出ドライブをかけたことで前年比13.1%増の12億8,500万ドルを記録。

欧州向けについては、オランダが国別で2位、ドイツが同3位。欧州向け輸出の特徴は、大豆、鉄鉱石、コーヒーなど伝統的なブラジルの輸出産品に加えて、ブ ラジルに進出している自動車および自動車部品メーカーによる企業内貿易で付加価値の高い製品も含まれていること。また、農産品は鶏肉、牛肉など欧州におけ る狂牛病発生と輸出促進プロモーションが奏効して市場を掴んだ他、養殖エビなど97年以降に国内業者が輸出を始めたばかりの産品がフランス向けに前年比 50%程度伸びるなど新しい品目も見受けられる。なお、オランダ向け輸出が大きい理由は、同国がEU諸国の一部向けの再輸出基地となっているため。

一 方、対ALADI向け輸出は、メルコスール向け輸出の急減(前年比48%減)が足を引っ張る結果となった。メルコスール向け輸出額の全体比は前年の 10.9%から5.5%に急減。メキシコ向け輸出産品は、特恵関税協定の影響もあり、自動車、自動車関連部品の比率が急増しており、アルゼンチンの代替輸 出先となった。ちなみにメルコスール以外のALADI向け輸出は前年比10.9%増。

一 方、アジア向け輸出は中国が最も多く、国別輸出額全体順位で4位となるなど躍進が目立つ。中国向け輸出は25億 2,000万ドルと前年比32.5%増となっているが、輸出の多い品目をみると、大豆、鉄鉱石、大豆油、鉄鋼、皮革、タバコ、木材などの一次産品や半加工 品に加え、自動車部品・エンジンなど付加価値の高い製品も含まれている。大豆輸出増加の背景としては、非遺伝子組み換えであるブラジル産大豆が、遺伝子組 み換え大豆より、中国側での輸入手続が簡便になったことが挙げられる。また、鉄鉱石については、中国側のインフラ改善が輸出増加に寄与。中国向け輸出につ いては、カーギル、GM、リオドセ、ソウザクルスといったブラジル国内の大企業が主体。

対 日輸出については、輸出額が前年比5.6%増の20億9,800万ドル。輸出額の増加には、米国のオレンジ不作に伴う国際価格上昇の恩恵を受けたオレンジ ジュース(7,700万ドル:前年比21.7%増)の増加と、中国で発生した家禽ペストの代替品として需要が急増した鶏肉の輸出増加(2億1,500万ド ル:同29.4%増)が寄与要因。ブラジルの鶏肉の輸出先としては、日本向け輸出額がサウジアラビア向け輸出を抑えてトップ。

●製品カテゴリー別輸出動向

加 工度別で輸出動向をみると、一次産品の輸出額が169億5,200万ドルと前年比で10.5%伸び、半加工品輸出が89億6,300万ドルで同8.7% 増、加工品輸出が330億ドルで同0.3%増。輸出全体額の約5割を占める加工品輸出は、小型ジェット機や靴の輸出減少分を他の加工品の輸出増加が補って いる状況。

<一次産品輸出はアジアなどの新市場開拓が伸びに貢献>

一 次産品輸出額で前年比伸び率が高くかつ金額の大きい品目をみると、原油が前年比134.6%増、豚肉が同35.5%増、エビが同35.2%増、大豆豆が同 11.2%増など。原油はアラブ首長国連邦、インド、サンタルシア、米国向け主要輸出国として登録されているが、実際は、ペトロブラスがアラブ首長国連邦 から原油を輸入した帰りの船を利用してブラジル産の原油をアラブ首長国連邦に運び、そこでアジアやインド洋湾岸諸国に再輸出。サンタルシアは、米国向け輸 出ロジとしてサンタルシア経由のものが仕向け地として登録されている。

2002年のブラジル 最大の輸出品目となったのは鉄鉱石で前年比4%増。国別では日本、ドイツ、イタリア向けが減少した一方、中国向けが前年比23.7%増となり同国が最大の 輸出先。これは、中国側で港湾インフラが整い、直接ブラジルから大型船で輸出できるようになったことが運賃面でオーストラリア産鉄鉱石に対し価格競争力が ついたことが大きい。これまでは、中国側で大型船接岸が困難であったことから、ブラジルからフィリピン、日本を経由し、小型運搬船で分けた上で中国に輸 出。また、リオドセが中国企業と資本関係を締結したことも輸出増加に寄与。

全体の品目で輸出 額2位の大豆は中国向けが国別でトップとなり、前年比53.5%増の8億2,600万ドル。オランダやスペインなどへの輸出減少分を中国向け輸出でカ バー。一方、同輸出額4位の大豆粕はオランダ向けが前年比11.3%増となってフランス、イタリア、ドイツ向け減少分をカバー。大豆粕は、昨年輸出実績の なかったインドネシア向けが国別で9位、輸出実績はあったものの輸出額が少なかったタイ向けが国別8位(前年比80%増)となっており、新市場の開拓努力 の成果がみられる。このほか、一次産品では、全体の品目でも11位の輸出産品となっている鶏肉において、日本向けが国別輸出でトップとなり、しかも前年比 29%増と大幅な伸びを示しているのが注目。

なお、一次産品輸出先としては、EUが全体の約4割、アジアが全体の4分の1となっているが、EUが昨年比で1.4%増にとどまっているのに対し、アジア向けは同21%増。

<半加工品は例年の水準に回復>

半 加工品輸出先は大豆および派生製品や鉄鋼半製品が伸びたアジア(2002年の半加工品輸出全体額の25.7%)が最も多く、次いで米国(同24.9%)、 EU(同24.7%)。鉄鋼半製品の輸出額は14億1,000万ドルで前年比30%増、アルミニウム(地金)が 8億1,300万ドルで同20.3%増の伸び。

鉄鋼半製品については、2002年に米国が ITC201条を発動し貿易制限措置を受けたが、発動前から予想されたとおり、米国における鉄鋼産業の構造的な問題が顕在化したことで、結局ブラジル製品 を輸入せざるを得なくなったことが同製品の輸出増の理由。すなわち、川下分野は強いものの、川上分野が脆弱なため供給不足となり、結局、高関税を覚悟で米 国のバイヤーがブラジルから半製品を買うはめとなった。また、2002 年のレアルの切下げで外貨債務の多いブラジルの鉄鋼メーカーが財務体質強化のために輸出ドライブをかけざるを得なかったことも鉄鋼半製品増加の背景。輸出 先として台湾や韓国向けの増加も目立ってきたが、双方とも下工程(圧延など)のみが強化されたため、川上分野における輸入需要、すなわちブラジル産の鉄鋼 半製品の需要が増大。

アルミニウムは、2001年の降雨不足に伴う節電計画の実施により減産していたものが、同計画の終了により回復したことに伴って輸出も増加。

<アルゼンチン向け輸出減が響いた加工品輸出>

加工品の輸出については、従来メルコスールを含めたALADIが主な輸出先。加工品のみに限定した場合、2000年は全体の36%がALADI向け(うちメ ルコスール21.7%)。しかし、この割合は減少しており、2001年の同割合は33.2%(うちメルコスール 17.3%)、2002年は米国向けに抜かれ、国別・地域別で2位の26.4%(うちメルコスール8.7%)。この原因はアルゼンチン経済の低迷。自動車 および自動車部品、携帯端末などを主体としていたアルゼンチン向け輸出は、同国経済の低迷、預金封鎖措置により消費者の購買力が大きく削がれ、ブラジルで それら製品を製造するメーカーはメキシコなど他の国に輸出先を求めた。2000年のブラジルからアルゼンチン向け輸出額は一次産品や半加工品も含め、全体 で62億3,300万ドル、輸出額全体の11.3%を占め、国別では米国に次いで2位の輸出先となっていたが、2002年には23億4,200万ドルに急 減し、輸出額全体比はわずか3.9%、国別でも6位に後退。

加工品の主要品目をみると、輸出 品目全体で3位のジェット旅客機の需要が2002年は後退した(前年比17.8%減)のをはじめ、同5位の乗用車も前述のアルゼンチン向け輸出の減少(同 52.2%減)が響いて前年比2.8%増にとどまっている。輸出品目全体で6位となっている通信機器およびその部品については、前年まで米国に次いで2番 目の輸出先であったアルゼンチンが前年比88.2%と大幅な減少を示したものの、他のALADI向け輸出がカバー。同品目の輸出先としては米国が圧倒的に 多い(12億8,600万ドル)ものの、それ以外はメキシコ、チリ、ベネズエラ、パナマ、コロンビア、ペルーとラ米諸国が続いている。

ま た、輸出品目全体で8位の靴は、通信機器同様に米国に次いで多かったアルゼンチン向け輸出が前年比87.6%減となっているものの、数年前から業界および 政府が代替輸出先の開拓に取り組んできた成果が出て英国、ドイツ、オランダなど欧州向けが増加しているのをはじめ、メキシコ、カナダなどNAFTA地域向 けも伸びてきたことで何とかカバー。しかし、全体としては米国での売上が伸び悩んだのが響き前年比9.8%減となった。

 

3.輸入動向

●国別・地域別輸入動向

2002 年の国別地域別輸入動向をみると、EUが全体比27.7%、続いて米国が同22.1%、ALADIが同17.4%、アジアがALADIと並ぶ16.9%。 1位から6位までは順位が変わらず、中国が9位から7位に、英国が10位から8位となった他はあまり動きがないが、輸出同様ALADIの輸入額全体比が減 少する一方、アジアからの輸入割合が上昇傾向。

全般的に2002年を通じて進んだレアル安により輸入額は減少しているが、例外はブラジル国内で供給が追いつかない薬品類。これについては、連邦政府保健省が直接輸入者となっており、為替動向にかかわらず一定の輸入を行っている。

●財別輸入動向

2002 年の輸入動向を財別でみると、全体の約5割(49.7%)を占める中間財・原料の輸入額が前年比14.2%減。中間財・原料の中で最も輸入額の大きい化学 製品の原材料輸入が同8.2%減となっているほか、2番目に額の大きい工業製品の部品類も同18.7%減少していることなどが大きく影響。化学製品の輸入 は、最も輸入割合の大きい有機化合物の輸入が前年比14.6%減となったことや塗装材が工業部門の需要低迷を背景に前年比10.4%減となったこと、香水 の原料などがレアル安のため同13.3%減となったことが効いているが、肥料部門(同0.7%増)など国内需要が高い分野においては昨年の輸入水準を維 持。薬品分野は欧米から増加し、米国、フランス、英国、イタリアなどからの輸入に増加傾向。

一方、資本財(輸入額全体の約4分の1)は、年央からのカントリーリスクポイントの上昇に伴って貿易金融が締められ、また、新たな設備投資も手控えられたことからアグリビジネス部門が好調だった恩恵を受けた農業関連機械を除き軒並み輸入は減少。

消費財分野(輸入額全体の1割程度)では、半耐久消費財のうち、薬品のみが唯一前年比で輸入が増加(2.2%増)した他はほぼ全ての分野で為替下落を受け輸入が減少。

●製品カテゴリー別輸入動向

加工度別で輸入動向をみると、一次産品輸入がほとんど動きがなかったのに対し、半加工製品が11.2%減、加工製品が17.6%減と輸入全体額を押し下げ。

<一次産品の輸入動向 - 多角化する輸入先>

一次産品輸入額のうち、最大の輸入品目である原油の輸入額が5割近くを占め、2位の小麦、3位の石炭と併せて一次産品輸入の約7割を構成。このうち、原油 は重量ベースで5%増加しているものの、金額ベースでは3.4%増。原油輸入先は依然ナイジェリアがトップであるが、原油輸入額に占めるその割合は大幅に 減少(2001年38.5%→2002年29.5%)、アルジェリア、イラクなどからの輸入が増加。小麦は、アルゼンチンからの輸入が減少する一方、米国 やウクライナ、ポーランドなど新たな輸入先を開拓していることから、アルゼンチンにおける貿易金融面での問題ならびに関税率の引下げが結果的に輸入先の多 角化となって現れている。石炭は、2002年は金額ベースで11.6%増となっているが、これは、リオドセが鉄鉱石輸出の帰りの船に積載し、ブラジルの鋳 物業者用に販売することでフレートを削減し、ロジ事業でも顧客をひきつける事業戦略を採っていることが背景。

<工業製品の輸入動向 ― 増加目立つ発電機>

工業製品で最も輸入額の大きい発電機は、2001年には節電計画の実施で大幅に伸びたが、2002年は2001年をさらに上回る伸び(前年比14.3% 増)を示しているのが注目。大型発電機はブラジルでの製造実績がなく輸入に依存。2001年の電力供給不足を踏まえ、今後、同様の事態が発生することに備 えガスタービンや小型ディーゼル機関の緊急輸入に附帯する発電機の大量輸入が行われている。また、ペトロブラスによる複合火力発電設備のガスタービンに附 帯する発電機輸入も寄与。

 

4.対日貿易動向

<輸出は堅調に推移、輸入は通信関連部品の減少で大幅減>

2002年のブラジルから日本への輸出額は20億9,800万ドル(前年比5.6%増)、輸入額は23億4,700万ドル(同23.4%減)で2億4,900万ドルの入超。

ブラジルの対日輸出品目は鉱産物、農産品およびその加工品が中心であるが、2002年は前述のとおり、鶏肉の輸出増加が目を引く。ブラジル産ブロイラー は、レアル下落で相対的に価格競争力がついてきている他、メーカーの努力により製品に付加価値もついてきていることなど業界が積極的に取り組んでいること が奏効。日本向け鶏肉輸出メーカーとしてはBUNGEグループの傘下でサンタカタリーナ州で起業されたSEARA社が最大の輸出企業。同社は、鶏の飼料も 植物性のものを自社で生産し、また、仮に病気が発生した場合でも、追跡調査ができるよう厳密な製品の品質管理を実施。また、日本の卸業者の注文に応じ部位 ごとに鶏を加工するなど付加価値を高めて日本の顧客を確保。

一方、輸入については、日系アセンブラーの新機種導入に伴い、自動車部品、エンジンなどの輸入が増加。一方、為替の影響で完成車輸入は激減(前年比43.3%減)。

そ の他製品の輸入では、コンピュータの増加が目立つ程度。一方、通信関連機器では固定電話でテレフォニカなどが ANATELの課している設置目標をすでに終えていること、また、携帯端末部門でもユーザー数が増加している割にその7割が前払い方式のものであるため ハードの部品需要がそれほど盛り上がらなかったことで輸入激減(同36.6%減)。

 

5.2003年のブラジルの貿易見通しについて

中銀のFOCUS(市場の予測の平均)によると(1月31日時点)、2003年はGDP2%、貿易収支155億ドルの黒字、経常収支56億ドルの赤字、直 接投資流入額130億ドル、2003年末時点の為替レート1ドル=3.61レアル(年平均3.51レアル)、 SELIC金利平均22.92%。

<リスク要因は米国によるイラク攻撃>

貿易全体の変動要因として考慮すべきは米国によるイラク攻撃が実際に行われた際の影響。攻撃が行われた場合は、それが短期間に終結するのか、あるいは長期化するのかでもシナリオが大きく異なる。

長 期化する場合は、為替の切下げが進む一方、石油価格は引上げられ、国内経済にも悪影響を及ぼす。為替の切下げは、公的債務のファイナンス手段がドルイン デックス債、為替インデックス債等に拠っている部分が多いため、内外のマイナス要素が顕在化するたびに債務額が増加し、リスクポイントが上がって為替市場 におけるドル買いが進むというメカニズムになっていることが背景。

石 油価格の上昇は貿易収支でのリスクというよりはインフレに及ぼす影響の方が懸念される。昨年10月以降、公共料金の改定と急激なレアル安によりそれまで抑 制されていた値上げが多方面に広がっている。米国によるイラク攻撃で石油価格がさらに上昇し、それが長期化する場合は、国内の石油価格も連動して上昇する ため、さらなるインフレ圧力の増加につながる恐れ。こうした為替下落とインフレ圧力の増加は現在も高水準にある金利の引下げを困難にし、国内消費を冷え込 ませるとともに国内企業の海外資金依存度を高めることになる。

<インフレ高進による政治経済混乱も>

ブ ラジルの信用が維持されている間は海外資金依存度が高くてもある程度許容されるが、それはブラジルの経済基盤をより脆弱にさせることになる。また、こうし た高金利、高インフレの状況が長期化すれば、与党労働党内の左派グループが勢いづき、ルーラ政権が現在の中道路線を維持するために従来以上の調整努力が必 要となる。調整がうまくいかず、現路線維持が困難となれば、ブラジルに対する海外金融市場の信頼は揺らぎ、海外からの資金供給が絞り込まれ、ブラジル経済 はより深刻な状況に陥る恐れ。

ただ、貿易面ではイラク戦争の直接的な影響はさほどないもの と思われる。原油はイラクからも多く輸入しているがスポット契約によるものであり、代替輸入先確保に問題はない。また、ブラジルに進出している多国籍企業 は輸出重視戦略を鮮明にしているため、輸出が堅調に増加する一方、為替の影響で輸入が抑制されるため貿易黒字は維持され、これがブラジルの良好なファンダ メンタルズ維持の錨(アンカー)となろう。

米国によるイラク攻撃が短期で終了した場合は、 上記のようなリスクはかなり軽減され、為替市場も投機の影響を受けることなく安定して推移しよう。為替の安定は金利引下げ余地につながり、安定した成長に つなげることができよう。また、イラク攻撃が終了したのち、就任直後のルーラ大統領の人気が維持でき、国会対策も乗り切り構造改革が緒についたことを海外 投資家にアピールできれば、海外からの資金流入にもはずみがつき、ブラジル経済は良い方向に循環していこう。

た だ、この場合は国内の景気上昇により中間財の輸入が増加して貿易収支は悪化することが見込まれる。ブラジルの中間財製造企業が本当の製品競争力を備えてい れば輸入代替は定着するであろうが、専門家の見方は必ずしもそうではない。2002年の貿易動向についても、 FUNCEXでは、為替下落にもかかわらず明確な輸入代替つまり製造業における国内中間財企業への購入先の変化は統計に影響を及ぼすほど大きなものではな かったとみている。つまり、景気が回復すればそれまで生産を抑えていた製造業が中間財の調達を海外に求めはじめ、輸入は再び増加する可能性が高い。

<開拓に成功した新輸出市場の維持、さらなる対中輸出増>

FUNCEX のリカルド・マルクワルド所長は、2003年の貿易について、輸出は継続的に伸びていくとコメント。その理由として、2002年に掴んだ新市場を維持する ために各企業が必要な投資を継続していくことが予想されることを挙げている。新市場の中でも輸出先として急激にその重要性を高めている中国については、在 伯中国商工会議所のチャールズ・タン氏が、「フォルクスワーゲン、GM、フィアットを中心に対中輸出は 2003年も増加し、また、食品部門でも従来の品目に加えて長期保存用の牛乳が伸びる可能性もある」と指摘。また、同氏は、「中国においてガソリンにアル コールを10~15%混入する計画があることや、検疫問題が解決することを前提にアルコールや牛肉についても輸出が期待できる」と指摘。
対中輸出 増加に唯一マイナス要因があるとすれば、ブラジルが中国に適用しているセーフガード措置の取り扱い。具体的には、2001年12月~2006年 12月まで効力のある中国製にんにくについてのセーフガードをブラジルが撤廃しない場合は、中国側が貿易面で何らかの制裁措置をとる可能性がある。

<上半期期待薄な対米輸出>

米 国向け輸出は、同時多発テロ事件のダメージで苦しい経営を続けている米国航空会社などが新規ジェット機の購入を現在にも増して手控えることでエンブラエル 社の対米輸出増加の可能性は少なくとも今年上半期は低い。同様に、自動車や靴などは米国の消費市場動向次第。ただし、携帯端末については、米国でセキュリ ティ上も重要(緊急時の居所把握など)とみなされるなど、テロ事件後、逆に市場が拡大している段階であり、引き続きブラジルからの輸出が増加することが期 待できよう。

対EU輸出についても、イラク攻撃の有無によって輸出にある程度の影響は出る。 単純には比較できないが、90年8月から約7ヶ月続いた湾岸危機・戦争時には、当時のECの経済成長率はドイツの統一需要があったにもかかわらず、内需不 振の影響で急減(GDP成長率は、 89年3.5%、90年2.9%、91年0.8%)。ブラジルからの同地域への輸出も90年には89年比6.5%減。

<拡大見込める自動車関連>

ALADI 向け輸出は、基本的にはアルゼンチン経済の回復度合いが大きく影響。同国との貿易を考える上で最も影響力のある自動車は減少一方であったが、2国間自動車 貿易に復活の兆し。まず、フォードが同国での生産を増加させ、輸出入相殺実現により関税フリーでの2国間貿易を復活させる他、PSA (プジョー・シトローエン)が同国での生産を決定したことにより、リオデジャネイロ州ポルトヘアル工場との間でツインプラントを生かしてフォード同様にメ ルコスール自動車協定のメリットを享受しようとしている。フォルクスワーゲンは、上記2社と異なり生産をブラジルに集約する動きがみられるが、アルゼンチ ンにおけるGOLの生産を取りやめる替わりにその分をブラジル工場から輸出することで、完成車輸出は増加(今年は5,000台予定)することを予想。

一方、メキシコ向けも今まで遅れをとっていたフィアットが同国向け輸出を本格化させるとも言われており、同国向けは引き続き自動車および部品を中心に増加を予想。

アジア向けは前述のとおり、中国が牽引し、インド、マレーシア、インドネシア、シンガポール向けも増加予想。日本向けは一次産品の国際価格動向に左右され るであろうが、劇的な伸びを示すのは現時点では考えにくい。中東向けについては、米国がイラク攻撃に踏み切った場合は、輸出ルートの確保をしない限り鶏肉 を中心に輸出は減少の可能性。

以上

 

2003.2.6
ジェトロ・サンパウロ

FTA締結の現状について

(世界のFTA締結の現状)

・FTAとは、2以上の複数国、地域間で関税やサービス貿易の障壁等を撤廃して、物、サービス貿易の自由化を定めた協定。
・2003年1月20日現在、GATT/WTOに通報・発効しているFTAは147件。その6割以上が90年代に発効(NAFTA、AFTA、メルコスールなど)。
・FTA締結活発化の背景にはWTOによる多国間交渉の難しさ。
・FTA締結の意義として、WTO交渉促進の補完、進出企業の競争力強化、貿易投資の確実性確保など。

(中南米のFTA)

・中南米地域は歴史的にブラジルを例外としてFTAに熱心。ALADI(ラテンアメリカ統合連合)、中米共同市場、アンデス共同体、カリブ共同体、メルコスールなど。大半は関税同盟。
・中南米におけるFTA締結は構造改革、自由化を進展させ、広域経済圏の形成で貿易量を飛躍的に拡大。対立回避、対外交渉力強化など政治的意義大。
・中でもメキシコはNAFTA、EUなど現在31カ国と締結、貿易額が急増、投資、雇用など経済発展を支え。その他、貿易依存度の高いチリも積極的で、カナダ、メキシコ、EU、米国、韓国などと締結ないしは締結合意。
・2005年末交渉集結を目指し現在、北米、南米、カリブ34カ国(キューバを除く)から構成される米州自由貿易地域(FTAA)交渉中。約8億人、GDP約13兆ドル(世界の約4割)の巨大経済圏が出現。
・FTAA交渉は構成国全員一致による一括合意方式を採用、域内格差が大きいことから交渉難航予想。

(日本の現状)

・WTOを中心とする多角的貿易体制の維持強化を基本政策。各地域でFTA締結進展を受けて、貿易自由化、経済活性化を図る上で多角的貿易体制を補完する1つの柱としてFTAなど地域貿易協定を位置付け。
・今後、わが国の産業界からのニーズ、相手国市場の規模などの要素を勘案して交渉相手国を判断。
・昨年締結されたシンガポールとの経済連携協定(EPA)を皮切りに、今年中の合意を目指してメキシコと交渉中。今後、アセアン等アジア諸国との交渉を予定。

以上

2003年上期業種別部会長懇談会-電気電子部会


瀬山電気電子部会長

 

司 会  続きまして、電気電子部会の瀬山部会長よろしくお願いします。

家電はカラーテレビ含め、昨年下期は2000年同期の7割

瀬 山  それでは電気電子部会の方からご報告をさせていただきます。私、パナソニックの瀬山と申します。

私どもの部会は、家電、電子部品、通信・電力・産業機器、精密事務機器の4つの分野に分けられるかと思います。まず、業界の動きということで2002年度 下期の前年同期比の台数ベース。家電から見て参りますと、カラーテレビについては97%、オーディオのステレオが86、ビデオが73、DVD再生機 165、電子レンジ機器163%ということで、DVDや電子レンジは非常に大きく伸びているように見えますが、ご存じの通り2001年の下期と申しますの が、電力問題がありまして、家電業界、ほぼ2000年と比べますと7割からひどいものになると4割という業界でありました。

比較的まともであったと思われる前々年、2000年の下期と昨年の下期を比較いたしますと、テレビ等を含めすべて7割ということです。つまり、2000年と比べるとまだ業界は7割のレベルにしかなっていないと言うことで、家電業界は需要全体が非常に低迷状態にあります。
DVDの再生機は、ビデオとこの、映画を見るあれですが、再生機器のこのデジタル化への置き換えということで、全体からみてビデオが落ちている分とDVDとトータルで少し伸びておりますが、よくない市場であったといえると思います。

為替切り下げ、高金利が需要低迷来たす

精密機器の市場は前年同期比マイナス15%、それから通信機器関係は、キャリアのインフラビジネス等が、すでに2001年上期中に完了し、民営化バブル終焉で市場が大きくシュリンクしていると言うのが、電気電子部会の昨年下期の業界全体です。
その後業界の中で下期に起こった、皆さんすでに発表されておられる通り、大統領選挙並びにそれに伴う為替の混乱、それから高金利とこれらが先ほど申し上げた需要の圧迫につながっておる、需要低迷につながっておると言えると思います。 
もう一つは、我々の会員会社の中で輸入品を主にと言うところがあります。為替が切下げられるなか、値上げで為替切下げのコスト・アップをカバー出来ず、と言うところが二つの大きな特徴ではないかと思います。
そのような業界の動き並びに一般市場環境下で、会員各社は、「固定費の圧縮」。これは少ないところで4~5%、多いところではマイナス25%の固定費圧縮を実施した。いわゆるリストラ、人員削減というところです。
それから2番目、売りを確保するために、「がむしゃらに顧客開拓、営業努力をした」というところ。それから、営業努力という意味では、新製品導入によって 売上げを確保しましたと。これが、固定費削減が1番目の対応、2番目が売り確保、3番目が大きく、高金利のなかで、資産を圧縮しながらキャッシュフローを 良化する努力をしたというのが、私どもの業界における会員各社の対応でした。

電子部品売上げ、ドルベースで105-118%

そ のなかで、下期の売上げをドルベースで見ますと、家電は83%~105%、電子部品は105~118、通信機器・電力・産業機器で前年同期比 30~70%、精密事務機器が57~125%ということで、業界のなかでもばらつきがありますし、同じ業界のなかでも先ほど申し上げました現地生産中心 と、輸入品中心という会社もあるので、そのなかでばらつきが起こっているということです。
自己評価する業績。これは収支ということも含めてと言 うふうにお聞き頂いたらいいと思うのですが、会員各社の6割が、「悪かった」、「大変悪かった」と言うふうに下期を自己評価しております。「計画通り」が 3割。「良かった」と非常にうらやましい会社ですが、これが10%と、以上が会員各社の下期の自己評価であります。
12月市況をみております と、クリスマスは非常に厳しい市況で、先ほどの、渡辺さんのお話聞いて分かったんですが、どうもお金が、食料品とか生活必需品にまわり、耐久消費財になか なか回らなかったと言うのが、昨年のクリスマスでして、で、1月に入って、私ども会員会社だけではなくて、業界あげて、このやや流通在庫が重くなったとこ ろをどうするかと言うところで、非常に厳しい2003年をスタートしたところであります。
もう一つ付け加えますと、電子部品が先ほど申し上げましたように、比較的売上げが順調なのは、一部、輸出をメインに大きく伸ばしておる携帯電話向けの電子部品販売が好調であったということが一つ、特筆に値すると思います。

「期待と不安が錯綜」の2003年上期

2003 年の上期、政治経済の動きをどう見ておるのかですが、これはもう、皆さんがおっしゃられた通りで、「期待と不安が錯綜する」と。家電の場合ですと、市場の 需要の読みが、先ほど申し上げたように非常に2000年と比べて「良くない」状況のなかから、更に、「マイナス5~10%」、これは数量ベースです。 「2003年厳しかろう」という見方が主流です。
市況のほうは、そのように「市場回復期待出来ず」。また、デフレ傾向、ドルに直しますとデフレ傾向で、価格ダウンへの対応をどうするのか、と言うことで、ドルベースにしますと、「レアル切下げ見合いの値上げが出来ない」という苦しみがあります。
それから、デジタル化がもろもろの商品で進行して行くなかで、どんな対応をして行こうかというのが、一つの課題でもあります。2003年のそういう状況のなかで、各社やはり同じように、もう一度、やはり販売努力、市場開拓努力、新製品投入を図っていきたい。
それから2番目としては、財務体質、運資圧縮強化で、価格ダウンの対応のためのコストダウンと言うところが会員各社取組みの主眼です。また、一部家電業界では、更なる中国メーカー、韓国メーカーの攻勢が懸念されるところであります。

ガンバリズムの部会 - 各社、売上げに強気計画

そ のような環境のなかで会員各社が2003年上期、どんな売上げを目論んでおるのかですが、家電が105~162%、電子部品が100~150%、通信・電 力・産業機器が40~120%、精密事務機器が104~112%と。これすべてドルベースです。業界は「あまり良くない、政治・経済的には不安が多い」と 言いながら、いま申し上げましたように、ドルベースでですね、新規商品を入れたり、新しい生産アイテムを追加したりと言うことでこの上期、非常に、「ガン バリズムで市場をみておる電気電子部会」というふうに集約できるのではないかなと思います。以上、電気電子部会の報告とさせて頂きます。(詳細は末尾の部 会資料)