横山部会長
司 会 続きまして運輸サービス部会の横山部会長、よろしくお願いします。
- 米同時多発テロの影響まだ消えず、米航空業界赤字95億ドル
- バリグ、TAMの持ち株会社設立の情報流れる
- 成田空港のB滑走路オープンで能力4割アップ ― 航空業界
横 山 皆様お疲れだと思いますが、もう少々我慢して下さい。
運輸サービス部会は、部会のなかでも数多くメンバーを抱えておりまして現在57社ございます。1月の21日に部会を開催して、いろいろご意見を承りまし た。通常ですと昼の真面目な時間にやっているので集まりが悪く、盛り上がりに欠けるのですが、今回は夕方部会を、その後懇親会をやりましたので久々に盛り 上がりました。(笑い)
冗談はさておき、私どもの業界は多岐にわたってはいるんですが、基本的には皆さんの報告をお聞きして、お金があるとき何 に使うかを考えた時、まあ、やっぱり食品だろうな。いろいろあるが、旅行とか、物流とか、ホテルとかっていうのは、多分、調子良くなかったんだろう、そう 思われると思いますが、その通りでございます。(笑い)
報告がありました運輸サービス部会のなかでの9つ、それぞれ内容があるんですが時間の関係もありますので雑駁ですが、要点だけご報告させていただきます。
航空、旅行エイジェント業界、海運業界、貨物業界、フォアーダー業界、通信業界、クーリエ、広告、ホテル。そういう順番でご報告いたします。
まず航空業界ですが、今までのご報告で全くなかった要素、セプテンバーイレブン、あの「同時多発テロ事件」があったわけですが、この影響がまだ一番航空業 界、旅行業界を含めて残っているところです。具体的に言いますと、セキュリティー検査に今まで想像できなかった「自爆」というような概念が出てきて、そう いうセキュリティーは従来していなかったので、それにかかるコストの増加が大きく圧迫しております。
それから、お客様が少ないので運賃を下げざるを得ない、そうなるとイールド(単価)が低下するのでお金も入って来ないと言うこともあり、結果は目に見えて いると。顕著な例がアメリカですが、アメリカは実はトラフィック、航空旅客市場の40%を占めると言われておりますが、2001年度は77億ドル赤字、 2002年度が95億ドル赤字と赤字続きです。黒字基調に戻るには2、3年は掛かるだろうと言われております。その影響が顕著に出ているのが天下のユナイ テッドエアーさん、これがチャプターイレブン申請ということになっております。
ブラジル におきましては、大統領選挙の影響ももちろんあったのですが、レアル暴落ということが最大の原因になっており、VARIGさん、TAMさんをはじめ、あま り良くないようです。先ほどのニュースによりますと、VARIGさんは苦戦をしていろいろなニュースが流れておりますが、TAMさんと組んでホールデイン グ・カンパニー、アメリカ資本が2、3社くらい入ってやるのではないかというふうな、未確認ですがそういうニュースも先ほどは流れておりました。それほど ひどいです。
日本ですが、日本は4月に成田のBランウェイ、1本滑走路が増えまして能力的には4割増加しましたが、その増えた分は殆ど中国を始 めとするアジアの方に吸収されたとなっております。これは私どもの話で恐縮ですが、10月からJASさんと経営統合ということでJALシステムというふう にスタートしております。
2003年の展望ですが、これはまさに今世間を騒がせているイラ ク、北朝鮮等々の情勢で、戦争でも始まると大きな影響を受けるだろうと。それから中期的な問題ですと、今インターネットの普及、それからE-ticket というのが普及しております。代理店さんとか行かなくても勝手に自分のコンピューターで取れて、しかも切符なし、切符もなしで、飛行機に乗るということが 実現しますと相当いろんな影響が出て来るのではないかと思われます。
旅行エイジエント業界は徐々に回復の兆し
続きまして旅行エイジェント業界です。2002年下期ですが、これはテロ事件の影響も多少は薄れてきて動向は前年に比べると盛んにはなってきたものの、そ れ以前の所まで帰っていない。それから宗教関係の大型イベントもあったので、だいぶ回復の兆しはあるというご報告です。
上期ですが、これから大型イベントとしてカーニバルがあります。これに非常に期待をしているというご報告になっております。
コンテナ不足が悩み ― 海運業界
次 に海運業界です。2002年下期は、これは関連あるところということでアジア、南米東岸コンテナ航路とですが、再三ご報告があります通り、輸出はいいけど 輸入が少ないと言うことも理由ですが、旺盛な輸出需要はあるのですが、残念ながらコンテナ不足というテクニカルな問題が出まして、荷物はあるけど船積みが 出来ないということで採算ベースでは良くなかったとのご報告になっております。
上期ですが1~3月というのは輸出が減少する、例年そういう時期 だそうです。通年で1000本コンテナくらいあるのが4、500本になる、半分くらいになるということだと思いますが、まあ、そういう時期ではあるもの の、営業努力でその船積み数量を維持したいというご報告となっております。
好調な輸出に期待 - 貨物業界
貨 物業界の回顧ですが、2002年は、レアル安が輸入消費財の販売を直撃して輸入業者が非常に苦戦している。反面、クリスマスに向けての商品、家電、オー ディオ、自動車を生産するための部品・部材の輸入は、輸入生産にとって中枢である電子部品・部材が急増した。また、上期後半から輸出貨物も増加して、生鮮 食品、自動車部品、衣料品を中心にレアル安が輸出を持ち上げたということになっております。
上期ですが、上期は新大統領の就任も終え、為替相場 も前年に比較してレアル高安定で始まっており、新施策の様子見から安定した時期を迎えようとしている。これからは台頭してきているアジア諸国に対抗できる 輸出商品の価格競争力、それから品質向上、世界のグローバル化等々に対応できるような新しい政策を出していく必要があるだろうと。今好調の輸出に期待をし て行きたいというようなご報告です。
ストライキがないよう祈りたい - フオアーダー業界
次にフォアーダー業界です。フォアーダー業界さんはストライキに悩まされたようです。ご承知の通り前回もご報告したブラジルの税関のストライキがかなりあ りましたが、それが終了したと思ったとたんに、北米港湾ストライキが発生した。従って、当地に向かうSEA・AIR貨物を中心としてマナウス向けのコンテ ナ貨物に影響が発生した。ということで、本来業務以外の仕事で多忙ではあったけど儲からなかったというご報告です。上期はそう言うことで為替の安定とかい い方向に行くことを期待しているのに加えて、それよりもまずストライキが発生しないことを祈るという報告になっています。
合従連衡の動き ― 電気通信業界
通 信業界です。これは専門用語が多くて、私もよく分からないところがあったんですが簡単にまとめますと、下期は大きな2点。1点目が通信各社さんの合従連衡 の動きとインカンベントキャリアー、電話のことらしいですが、地域・サービスの相互参入があったと。もう一つはTIMの携帯電話サービスの開始とそれに対 抗するポルトガル系の会社だそうですが、TELESP CELULARとスペイン系のTELEFONICA CELULARが連合してジョイントベン チャーをさせる動きがある。この二つが大きな流れです。
上期については、ルーラさんの政策 に影響されるだろうが、低所得者層への利益還元という方向は通信業界にどういう影響を表すかですが、低所得者層への料金の低廉化による固定電話普及率の向 上という形になるであろうと予想されます。それから各電話会社さんは昨年までの相互参入による競争対応のため体力的に疲弊しており、すでに各社とも利益率 の低い低所得者層向けの低廉な料金実現には税制優遇、サービス認可基準の緩和、政府支援資金の導入など何らかの支援策が必要だろうと電気通信監督庁さんは 見ていると。
いずれにしても、電気通信監督庁というのは、政府とは独立した形で人事がな されるということなので、人事次第で大統領の政策が反映されるかどうかは決まるであろうと言うことです。それから2002年までは世界的なIT不況の影響 で、ブラジルの電気通信業界への投資も冷え込んでいたが携帯電話、インターネットのブロードバンド化などで成長は継続していくだろうという見通しとなって おります。
外資は5月の最低賃金の挙げ率まち - クーリエ
クー リエ業界。これはヤコンさんの実績ですがクーリエの輸出部門は21・4%減、輸入も7・4%減、ただエアカーゴの輸出に関しては6・8%増となっておりま して、やはりテロの影響からは立ち直っていない。上期の展望ですが、外資は5月の最低賃金の上げ率、為替の動向等に注目しておりまして、国会審議で最初の 重要法案がパスして政府が行政力があるということを証明するまでは積極的な投資は控えて静観するであろうと見られております。
新政府で好転期待 - 広告業界
広告業界です。大統領選挙による不安感から各企業とも先行き不透明な状態で、消極的な経営が目立ちました。このため宣伝関係はまず様子を見てからというこ とで、先送り傾向となっていて、前年同期比で20%減少ということになったようです。それからTVドラマ等のパトロシナドール(スポンサー)、商品の販促 関係など直接消費者に向けての店頭の仕事が増えてきた。
上期ですが、新大統領ルーラ新大統領が思ったほど過激的でなく、前大統領の政治を継承していきそうな気配がするので、企業活動にも明るい日差しが射して宣伝活動も活気が出てくるのではないか、という予想です。
建設ラッシュで供給過剰へ - ホテル業界
最 後にホテルです。2002年の下期はホテル建設ラッシュが、これはプランニングされるのは相当前になるので、実際に建てられるのが遅くなるということのタ イムラグの話だとは思いますが、建設ラッシュが続いたのにお客様が集まらなかった。ということでホテル数がお客様の需要数より100%以上上回っており、 ということですから半分にも満たないと言うことですかね。
いくつかのアパート・ホテルなど は通常の住居用マンションとしてビルごと売りに出しているくらいです。デラックス・ホテル業界は、下半期には千室弱がサンパウロ市内に新しくできた。グラ ンドハイアットさん、ヒルトン、モルンビー、それからブルーツリーホテルズのホテルさんは600室のホテルが入った複合コンプレックスをオープン。また日 系二世のルイ・オオタケ氏設計の奇抜なコンセプトのウニコもオープンしたということです。
上 期はテロの影響のあった去年上半期よりはよい見通しでしたが、やはり戦争がからみ、アメリカ・イラクのテンションが発生し、今後どのような傾向が現われる か分からず、国内旅行中心となるでしよう。明るい話題としましては、ルーラ新大統領、観光セクターに70万から 100万の雇用創出計画を出されております。観光大臣、それからEmbraturあたりもいろいろ新しい雇用創出の計画を出されているようなので、それに 期待したいとのご報告です。ちょっと長くなって恐縮ですが、以上です。(詳細は末尾の部会資料)