2002年下期業種別部会長懇談会-自由討論

司会  極めて具体性に富んでいて、詳しいご報告ありがとうございました。 これで一通り各部会長による 「回顧と展望」のご報告が終わりました。 これから自由討論に移らせていただきます。この懇談会に出席下さっている方々には出来るだけ数多く参加して頂い て、ご意見を伺いたいと思います。私も総務委員会の一員ですので、大変僭越ではございますが、「自由討論の部」の口火を切らせていただきます。

さきほどの各部会長のお話にも、等しく共通して今年の大統領選への懸念が表明されておりました。 昨年のいまごろは、未曽有の電力危機がブラジル産業界 を直撃して、この部会長懇談会も大変危機感に包まれていたことを記憶しておりますが、一年過ぎた現在、最も大きな問題は、目前に迫った大統領選で与野党の どの候補が当選するか、ということに尽きると思います。
大統領選挙は10月6日の第一次投票(予選投票)でもって全有効投票数の過半数を獲得 した候補が出ませんと、10月27日に行われる決選投票で上位2者が勝敗を争うことになりますが、いまのところ「予選ですんなり決着」という訳には行きそ うになく、決選投票が行われる公算の方がどうも大きいと私は見ています。 そして、決選投票に進出する上位2者が誰と誰かとなりますと、“当たるも八卦” みたいな予想の域を出ませんが、PTのルーラ候補とPSDB、 PMDB連合のセーラ候補の顔合わせになるような感じがしております。

では、誰が10月27日の決選投票で勝ち、ブラジルの21世紀最初の大統領になるかとなりますと、まだ多くの不確定要素がありますが、さきほど田中先生 (コンサルタント部会長)のお話にもありました通り、これまでのルーラ候補の一貫して安定した強さとその裏付けとなっている拒絶率の低さ、予選投票から決 選投票まで実質2週間くらいの法律で定められた短い運動期間しかなく、その間に形勢を逆転させるような大きな変化がなかなか起こりにくそうなこと、また、 今回の大統領選に出馬しているPPSのシーロ候補とPSBのガロチーニョ候補が予選で敗退すると、その背後にある政治勢力がこぞって、同じ野党のルーラ候 補の支持に回る可能性が強いことなどを考慮しますと、さきほども申し上げた通り、ルーラ候補が4回目の挑戦で初めて大統領の座を射止める可能性の方が高い のではないかと見ております。

もしルーラ候補が決選投票の段階まで行って21世紀最初のブラジルの大統領に当選したと仮定しますと、 就任するまで2ヵ月程度のいわば政治空白期間が生じます。 それが予選で決着という事になりますと、約3ヵ月間もの政治空白期間が出来ます。 特にその期 間内に、アルゼンチンみたいな経済面での混乱が起こることを否定する訳にはいきませんが、去る8月29日のコンサルタント部会では、誰がなっても結局は同 じだから、一度落ちるところまで落ちて出直した方がよい、との意見も出ていました。
経済面で起こりうる変動については、まだとても予想できない けれども、仮にPTのルーラ政府が誕生しても、単独での政権運営はとても出来そうになく、特に国会対策面で弱点をさらけ出しそうなので、FHC現大統領を 中心に、PTとPSDBの間で、連立政権構想を模索し実現させようという動きが早くも水面下で持ち上がっているという情報もありますし、そうなればルーラ 大統領がとっぴな変革を打ち出そうとしても、なかなか打ち出せないのではないか、そうであれば、逆に。 政権自体に自律的に歯止めが掛かるのではないか、 と私は見ています。
以上が各部会長のお話を聞きながら、考えてきたことです。
それでは時間の関係上、山田監事会議長、一連のお話を聞いてのご感想かコメントがございましたら、お願いいたします。

急激な状況変化を好まない国民性から
現時点で「セーラ候補敗退」の断定は時期尚早?

山田  監事会議長の山田唯資でございます。私は、毎年この部会長懇談会に出席して、部会長の皆様がこの場で発表される色々な情報は、確実に我々商工会議所の目玉商品になっていることを、その都度再確認するわけですが、今回もまた例外ではありません。
私は日伯経済交流のコンサルタントをして参りました関係上、この目玉商品をどう広く関係者に知ってもらうか、に興味を持っております。 現実の問題とし て、ブラジルに進出して、まだ当会議所に加入しておられない日系企業も少なくないようですし、また、今後、事態の展開次第では進出されるかもしれない日本 の企業に対しても、当商工会議所がこういった有益な資料を一つにまとめていることを、何らかの形で、より効果的に知って頂けるよう模索することが会議所と して大切ではないかと考えます。これが一つ。

もう一つは、この懇談会に出席したり、あるいは、この懇談会で発表された内容を知る事に よって、「ブラジルという国は、同一国内でありながら、これだけ業種が多岐にわたると、景気のよいところ、わるいところ、利益を上げているところ、そうで ないところ等、業種間で顕著な差がある」という認識が得られる事で、この状況把握は、企業家にとって非常に有益なものであると思います。

最後にもう一つ。 それは、ここにご出席の皆様のお話を伺っておりまして、皆様が、従来の選挙の時期に心配した以上に、今度の選挙の結果は、それぞれの 事業の先行きに大きな影響を与えると感じておられるのを実感します。私が見た最近の新聞によりますと、ブラジルのある調査機関が自宅に電話を持っている有 権者に、「誰に投票するか」を聞いた調査の結果によると、彼らの間で「セーラの支持率が徐々に上がって来ている」、とのことです。

し たがって、もしセーラ候補が最終決選まで居残れた場合は、第一次選挙でガロチーニョやシーロ・ゴ-メス候補に投票した人々の票が、決選時に全部ルーラに集 まる、ということには私は疑問を抱いております。 さらに、ブラジル人は最終的には、安定志向が強い国民性から、最後の局面で、必ずしもセーラが当選でき ないとはまだ言えないのではないでしょうか。 以上、感じた事を申し上げました。

司会  ありがとうございました。続きまして、総務委員会の藤下委員、何かコメントでもよろしいですし、あるいは部会長の今までの発表に対するご質問でも、お願いいたします。

経済悪環境下でも好業績企業があり、業務の参考としたい

藤下:総務委員をやらせて頂いている藤下でございます。

コメント等というおこがましいことは言えませんが、総務委員という特権を生かして、毎回、各部会長のお話を聞かせて頂いており、大変勉強になりありがた く思っています。 最近、私どもにはブラジルの大統領選について社内各所からいろいろと問い合わせなどあるわけですが、田中先生の、「ブラジルは誰が大統 領になってもこれからは変わらない。 昔と違い議会制民主主義が働いており、極端な方向に行くことはない」というお話は大変心強く、社内で強くアピールし たいと思います。 

また、各部会長の話を毎回伺っていますと、皆さん状況は悪いとおっしゃるのですが、その様な中でも上手に経営されて いる会社がたくさんある。 そういう会社さんのお話をよく伺って、自分の業務の参考にさせて頂きたいと思っています。 本日はどうもありがとうございまし た。

司会  ありがとうございました。 時間の関係上、もっと多くの方々のご意見をお伺いできないのが残念ですが、赤阪総領事と工藤会頭 には最後の部分でコメントを頂きたいと思います。 また、総領事館側の各担当者には第2部の冒頭でメルコスールに関するコメントの際に、ご意見を一緒にお 伺いしたいと思います。
5分間のコーヒーブレークに移らせて頂きたいと思います。 とりあえず第1部大変ありがとうございました。

2002年下期業種別部会長懇談会-メルコスールに関する要望事項

司会  それでは第2部に移らせていただき、最初の副題であります、当会議所の部会などですでに出されております、「メルコス-ルに関する要望事項」について、総領事館の花田副領事からお話をお伺いしたいと存じます。 よろしくお願いいたします。

花 田  領事館経済班の花田です。 今回、11の部会の場をお借りして、メルコス-ルに対する進出企業の皆様のご期待、ご提言、ご要望などをヒアリングさせて頂 いたのですが、他の議題があるにも関わらず、ヒアリングの時間を設け、さらに貴重なご意見を頂きましてありがとうございました。 この場を借りて、お礼申 し上げます。

10月に「日本・メルコスール高級事務レベル協議」開催

本日お配りしました5ページにわたる資料です が、経済班の3人が分担してお聞かせ願いました時の皆さんのご意見を大きく「メルコスールに対する期待」、「問題点」、「提言」、「要望等」、「その他コ メント」と分けたものです。 順不同記載です。 「メルコス-ルに対する期待」ということで一番に載せておりますが、今回ヒアリングをさせて頂いた理由 は、10月に日本とメルコス-ルの間で「第5回日・メルコス-ル高級事務レベル協議」というものが開催されます。 その会議で「日本とメルコス-ルの通商 促進」が一つの大きな議題に決まっておりまして、そのため日本側から実際にメルコス-ルで活躍されている企業の方がどう思い、どんな期待を持っておられる のか等を提示して行こうということで、東京の方から、各メルコス-ル地域に駐在する在外公館にヒアリングを実施するように、との作業が来ました。

サンパウロ総領事館のほかにも各領事館で色々な形で各企業の皆様にヒアリングさせて頂きました。 こちらの部分はサンパウロ領事館のヒアリング内容で、 一つは期待等を先方に提示して行きたい大きな柱の一つですが、域内諸国の貿易と人の移動の完全自由化、さらに法体系の統一化が実現することにより巨大市場 が登場し、相乗効果で経済活動が活発化することに期待という貿易部会から出されたご意見をはじめ、やはりマーケット拡大の魅力に対する期待が多かったで す。
また、メルコス-ルという枠にとらわれず、やはり今回、今日の部会長懇談会でも皆様、ご心配等の一つの要因であります10月の大統領選 で、いかなる政権が誕生しても今後、政策の継続性を期待したいということをメルコス-ル側に伝えて欲しいというご意見ですね。また、逆に昨年暮れまではブ ラジルがメルコス-ルを盛り立てて、FTAAを前に米国に対峙して行こうという気概が見られたが、今年に入りメルコス-ル自体のやる気が喪失して、期待と は逆のような感じを受けられているご意見もかなり多く出されました。

そういった部分は、次の「メルコス-ルの問題点」というところで、 非常に多く出されて、この部分が9項目ほどあり、問題点の方が非常に多く出されました。 「メルコス-ルに対する問題点」についての意見というのは、ほか の公館でヒアリングした分とも同じ傾向だったと思われます。
この問題点等は、ごらんになって頂くと分かりますように、現在の金融混乱下で全体 として議論する状態にはないのではないか、金融制度とかさらに各種の規制が異なる中で、別々の規制の中で統合を進める場合は弊害の方が大きく出るのではな いか、メルコス-ル本来の目的とは逆に手続き等で非常に煩雑になっている、という指摘も頂いています。
それから「メルコス-ルに対する提言」ですが、こういったメルコス-ルの問題点をどう解決して行くかになりますと、一つは金融部会から出されました中小企業金融の育成、こうした必要性を提言して行けばとか。
「為替の関係」は貿易部会から出されました金融・為替の安定化、提言ではないが、さきほどの期待のところでも出された通り、アルゼンチンも非常に厳しい 状況だから、日本政府はメルコス-ルにこだわり続けず、ブラジル一国に交渉の的を絞り関係強化を図るべきとの意見も出されています。

域内貿易のレアル決済、レアルフアイナンスの可能性

次に要望。具体的な要望をこの部分に掲載したのですが、金融部会から出された域内トレードを促進する貿易金融制度の創設。食品部会から出されている決済 にレアルが使用可能となるようにして欲しい。 レアル建てファイナンス。 また、金融部会からレアル建て中長期ファシリティの供与。 こういったファイナ ンスや決済制度の改善という要望がかなり寄せられました。 それから、(5)以下ですが、これは、何回も皆様からご要望頂いています、「ブラジルコストの 改善」。 これはブラジル一国に限らない問題だと思います。 関税、国内流通での簡素化とか不正輸入の取り締まり。 さきほども出ました査証問題。 こう したものの緩和をお願いしたい。 さらに安全対策、治安問題へも政府は真剣に取り組んで欲しいといった意見が出されました。

「その他 コメント」では、総領事館や日本政府に対して、「日本・メルコスル高級事務レベル協議」だが、積極的な政府側からの情報発信がふだんから余りないので、急 に意見を求められても難しいとの意見、今後の日本国籍等の問題の意見も機械・金属部会から出されております。
今回列記させて頂いたものを最後 の「その他コメント」部分を含めて本省の方に報告しております。 同時にメルコス-ル管内の各公館からのヒアリング結果も本省に集まりましたので、本省の ほうで10月の高級事務レベル協議へ提出する資料をどう作成するかを検討中です。 また、10月に開催される場合、ここではまだ断言は出来ないが、何か ペーパーのような形式でメルコス-ル側に提示されると思いますので、情報が入り次第、紹介させて頂こうと思っております。
今日は参考までに外務省のホームページから採りました、「メルコス-ルの概要について」というペーパー、それから前回行われました第4回の協議の概要もお配りしましたので、参考にして頂ければと思います。
今回のアンケート、ヒアリングに関する結果は以上の通りです。

 

メルコスールへの提言

△自動車部会

メルコスール加盟国の経済危機はあるものの、一応結束は保たれているが、アルゼンチン向けの輸出が大幅にダウンした事から自動車協定については、昨年末から今年6月まで殆ど協定締結に向けての議論はなされなかったが、7月以降締結に向けての動きが出てきた。
メルコスール圏内の部品現調率は各国の貿易枠についての合意がなされておらず、お互いの利害が対立したままである。
ブラジルメーカーはアルゼンチンの現状を考えた時、あまり期待が出来ないと思っており、かつてのように締結に向けて積極的に動いていない。
むしろ現状ではメキシコとの自動車協定に関心が高く、積極的に動いており、期待も大きい。
中・長期的に見ると、メルコスールは大事な市場であり、現状の利害はあるものの、内容を決定する事が何より大事であり、ブラジルサイドがイニシアティブを取って締結に向けて精力的に動く事が大事だと考える。

△電気電子部会

当部会全体で輸出販売比率は4%以下で取引の対象地域ではないためか、メルコスールに対するコメントは何処からも出されていない。

2002年下期業種別部会長懇談会-部会の今後の活動方針・戦略

司会  大変ありがとうございました。 ただいまの花田副領事のお話に関しまして、特に何かご質問がありましたら、お願いいたします。 ご質問がなければ、時間の都合上、次に移らせて頂きます。
第2部のもう一つの副題、「部会の今後の活動方針や戦略」についての討議、意見の交換を行いたいと思いますが、この項目については司会を工藤会頭にバトンタッチ致しまして、進行していきたいと思います。では、会頭、よろしくお願いいたします。

工 藤(会頭) 会員がすべてどこかの部会に入っているという事で、それであれば部会が活発化すれば商工会議所も活発化するだろうと、非常に単純な考え方なん ですけれど、本当にそれはファンクションするのかというのも歩きながらというか、走りながら考えようと言うのが趣旨でこの半年以上、活動して参りました。 今までこの会に出てくれば済んでしまう部会長さんもいたわけですが、選挙のこともありまして、かなり部会長さんにはいろんな形でお願いをしてきた経緯もあ りますので、ある方から非常に活性化し始めましたよと言われました。 「どうしたんですか」というと、「いやー、ゴルフ会をやると」(笑)。 まあ、それ もいいですな ― と話しているのですけど、せっかく部会長さん、あるいは代理の方が集まっているので、ほかの部会がどんな事しているのかを参考にされれ ばいいと思いますので、それを踏まえた活動方針や戦略を決めないといけないという話でもないので、これまでの活動をそのままご報告いただければと思いま す。順番を逆にして今度は伊藤さんから。

出席率よい新設の自動車部会

伊藤: 以前は機械金属部会に属していまして、その時は45社のうち7、8社しか出席されていなかった。そんな状況でしたが、こんど自動車部会が発足いたしまして 最初、自動車部会メンバー数が少ないものですから、さきほどの話で、化学部会の新井部会長にもご迷惑をおかけしておりますが、例えば、ブリヂストンさんは やはり、日本でも自動車業界ということで、こちらにメインで入って頂くということでお願いいたしました。 そういう事であちらこちらにご迷惑を掛けている かも知れませんが、いまのところ17、8社の部会メンバー数になっております。夜の部会でも寿司屋の二階で集まっておりますけれど、社長以外に実際に仕事 をする人、つまり給料レベルだとか法律問題とかいろんな問題の情報交換をやりましょう、ということで企画室長だとか、マネージャークラスの人にも一緒に出 ていただいております。社長の数でも17、8社のうち10数社の出席で、非常に出席率がよくなりまして、工藤会頭がよくいっておられる「開かれた部会、開 かれた商工会議所」と言うことで、大変いい方向に向かっていると思っております。

工藤  ありがとうございます。横山さん。

会議所サイトを各社のPRに利用する案 ― 運輸サービス部会

横 山  さきほど申し上げましたけど、まとまりがない部会の一つだと思います。 僕が来てからもう3、4回部会を開いたけど、あまり集まらず10名集まれば よい方。 5社、五分の一ですか、その程度です。 この前「どうしたら皆さんに集まって貰えるか方向を考えましょう」と言うことで、各部会の方がどうして いらっしゃるか等もいろいろお聞きしたいのですが、この前出たアイデアは勉強会、あるいは見学会に限らず、会員が出席できる会を設けましょうと。 その場 合は当部会メンバーの会社訪問も検討しましょうと。 これはかつて部会の中の会社で講演会とか勉強会とか集まっていろいろ話をしたり、その会社に行った り。 例えば私共ですと、飛行機を見に行って機内食を食べて帰る。 その時は盛況だったらしいのですが、一回やってまた次やると二番せんじみたいで続かな いと言うこともあるので、じゃあ目新しいところを考えましょう、そういう方向でアイデアを募りましょうと。

それから、これはほかの部 会さんがやられているのですが、部会の開催等は夕方にしてその後、飲みながら懇親会をすると。あるいは、一次会から宴会場でと言うのもあるのですが、私も ちょっと堅いもので、そこまで思いつきませんで、昼の時間にしかやっていなかったので、その辺も含めて時間や場所を工夫してやればどうかと。
も う一つ、ホームページ等々。 商工会議所サイトとか今のIT関係を使って自社の宣伝とか広告等々PRする場に出来ないか、仕事も含めて出来ないかと。 こ れは検討して頂いているかと思うが、いろんな制約、制限、公正な競争とかその辺が引っかかるかと思いますが、そういうアイデアが一つあります。
これはすでに出ていますが、ポルトガル語しか分からない日本語があまり上手でない人も出やすい配慮。前回の部会ではそういったことがありました。非常に初歩的なレベルですけど機能しています。

工藤  いやあ、横山さんの部会はどうなるかと思っていたけど、かなりいろんな案も出てきて、僕はへこたれずにやって頂きたいと思います。 次に鈴木さん。 何か書いてきたものを持っているのであれば、代読していただいても結構です。 

見学会を計画 ― 建設不動産部会

鈴木:自分で慣れていない日本語で書いてあるものでやっぱり、読みにくいから。
こないだの検討会では、まず技術の面でなくて、建設、不動産の財務とか経理とかいうところでブラジルの法律関係が非常に複雑なので、それの勉強会を開いた らどうかというところが一つ。 つまり税金がいろいろと複雑なのでそれを勉強したらどうかと言うのが出ました。 もう一つは大手の要するに土木の仕事で地 下鉄、イミグランテス、サントスの港の工事とか、そういうところをみんなで見学したらどうかと言うな案が出ています。 そういうことです。

工藤:こういう事には、ほかの部会の人も呼んでくれるんですか。例えばサントスを見に行くなんていうのは興味深いですよね。ほかの部会にも声を掛けると言うのを考えて頂ければ有難い。

鈴木: 分かりました。現在、イミグランテスのほうで工事を見学させて下さいと申し込んでいます。 いつごろ返事が来るのは1、2週間待ってくれと言われていますので。

工藤:渡辺さん。

大きな問題発生の場合は臨時部会招集 ― 食品部会

渡 辺:食品部会は比較的まとまりがいいと思っていますが、年に5回ぐらいゴルフもやっていまして、これは代表者だけでなく全部メンバーが出られると言うグ リーン上で情報交換もやっていますけど、現在の部会の活動について意見を聴取したのですが、まあ、特にあらためて何かをやるのではないが、例えば去年の電 力危機のように業界全体にインパクトを与える事態が発生した場合、メンバーから臨時部会の要請、あるいは部会長から臨時部会の招集という事でやればとの意 見が出ました。

あとこれは部会長、副部会長の仕事になるかと思いますが、登録されていても全然出てこられないメンバーが何社かありま すので、こういうところは出てもしょうがないと思っているのか、何となく行きにくいのか分からないのですが、後者の場合とくにそうですが、部会長、副部会 長辺りから積極的に声をかけて年に2回の部会ですが、なるべく出てもらうように努力したいと考えております。

工藤: 木口さん。

綿紡8社が中心 ― 繊維部会

木 口: 今日のお話聞いていますと、一つの部会の中でもいろんな職種が入っておられて、中々まとまりにくい所もあるようですね。 その中でも繊維部会は最初 に申し上げましたが、綿紡8社がここに進出しています。 これが中心になっており、あと毛紡、絹、それから織物、一部今回から新たに製品が加わったのです が製品については繊維といえるのかな、というところもあります。 その中で繊維部会の中の8社、綿紡8社その中でいろんな会を作っているんですね。 これ は繊維部会の末端組織とはいえないんですけど、八社会というのがあります。これは綿紡8社の社長会を月に1回やっています。 それと営業担当者と原綿の担 当者と販売の担当者で3木会というのをつくっています。これも月に1回会合しています。あと経理担当者会、経担会というのもつくっています。 これも月に 1回やっています。

ということで同業種のなかだと共通の話題、意見交換もしやすいのであるいはいろんな問題点もほかの会社はどういう ようにやっているのかと共通なことについてやっています。 そうかといって繊維部会は2回しかやっていない。 「上期と下期の展望と回顧」このときに繊維 部会としての集まりです。 だけど、中の業種によっては共通なこういうことでやっていますので、ほかの部会に比べたらまとまりがあると思います。
それから遊びのほうでは、ゴルフ。 これは綿友会、綿紡のほう中心。繊維中心の繊友会。それと年に2回ほど別に遠出してゴルフなどやっていますので、出来るだけ会合を開いて、全体的に繊維部会の盛り上がりを図っていきたいと思っています。

工藤: あの昔から繊維部会は、部会の中だけで横のつながりをグッと、固まってしまっていて、ほかの部会と接触することがない様に見えますので、横とのつながりを何か考えて頂きたい。

木口: こちらも門戸を開いていきたいと思います。

欠かさず月例昼食会開催、活性化にゴルフ親睦会―機会金属部会

杉村: 伊藤さんの話にあったみたいですね。機械と自動車を分ける事は以外に反対もあったのですが、結果は自動車部会も拡大している。 我々のほうの部会への出席者も分割以前と変わらない、あるいはそれ以上になっていると言うことです。

機械金属部会は活性化するに当たって出来る事を2つしようと決めました。 1つはゴルフ。これは笑っちゃう事ですが、今までの活動は年2回の部会のみ で、人によっては1回さぼって、年1回程度の付き合いでした。 部会メンバーの親睦というんですか新入会員も含めて出来る場というのはゴルフがいいのでは と言う事でゴルフを年に3,4回やろうと。 常任幹事も決めてやっています。 こないだは自動車部会に対抗戦を申し込みましてコテンパンにやられました。  我々が本家のつもりでしたが分家にやられまして、[挑戦はいつでも受けるけど、もう少し練習して来い]言われていますけど。

いまの は冗談ですが、ゴルフの他には昼食会を月に1回やっています。 これは予想外に成功しています。 最近ではサブ部会というのも随分機能しているなと思うん ですが、商社や銀行の方が参加されまして、我々の部会だけでは足らないところの補足をしてくれています。 そういうことで毎回テーマを出して、無いときは ゴルフの話になりますが、、、。それでも月1回やってまして、8社から10社集まってもらっています。 と言う事ですからとりあえずいい方向に進んでいる と思うんですよね。

問題というか判らないのが理事会や常任理事会とこの部会との関係ですね。 部会はできれば代表して1社が常任理事 に立候補してくれるといいんですが。 そういう格好になって常任理事会なりそうしたところの情報をもっと早く部会にフィードバック出来る体制が出来るとも う少し部会の動きもよくなるかと思っています。 まあ、立候補者がいるかどうかは別ですが、そんなところです。

月例昼食会後に常任理事、部会長の会議を

工 藤: そこを補完しようと昼食会のあと、常任理事と部会長に集まってもらう事にしましたが、あれをもう少しファンクションするように考えています。そこへ また提案を持ち込んで頂くなり、常任理事会で決まったことをもう少しかみ砕いてフィードバックするとか、あれをもう少し生かしたいと思うのですが、おっ しゃるとおり、いまのところはここだけがが機会であって、それを「もう少し頻度を高くしたい」と思うのですが。
サブメンバーについては、今度はほかに、「そんな方がサブメンバーになると困るよ」、という所もあると聞いていますが、まあ始めたばかりなので功罪はあると思うが、考えないといけない点です。

各社で会議をやり、商品紹介し合うのも面白い ― 化学部会

新 井:化学部会は、さきほども言いましたように全部業種が違うので、逆にそういう意味で気楽に話し合えるかな、いいかなという部会ではあるけどね。 ゴルフ の方は、QB会と称して年に4回はやっていまして、3ヵ月に1回ですか、繊友会ほど大きくはないですけども、担当者レベルでも。
うちらは会社の 数も少ないけども、日本から来ている方も少なくて、社長が全部やっているところもおありらしい。 そうすると、その相談する場所がという感じで、まあ、こ の間たまたまこちらの会場が、ここ(事務局会議室)が取れなかったので、当社でやらせて頂いて、ついでに当社のプレゼンテーションなんかもやったりして、 それが発展して「ああでもない、こうでもない」と言うようになって、最終的に何をやったのかと言うと、移転価格についての議論になって。 時間制限なしで やったもんですから。そのような事で、その後わたしの方で持っていた、コンサルタントさんの方でつくって貰った「移転価格の仕組み」というのを皆さんに配 布したりして。

どういう風にしていったら良いのかを模索してはいるけども、まあ一つは、各社で会議をやるのも面白いのかな、そうやっ て。 で当社何やっていてと、皆さん案外知っているようで知らないですから。 この間、資生堂さんから出ていたのは、「吸うと痩せる」という化粧品があ るってね。「サンプル持って来い」って話になっていましたけども。

相談相手がいない - それを満たす場にしたい

そ ういうのは別にしても、確かに出て来られない方、それからFLへ移転された方が2社。 伊藤さんところへ行かれたのですけども。 ユシロさんとBSさん。  それで、「これじゃしょうがない」って1社確保しまして、住友化学さん。来年、三井化学さんと合併して三井住友として発足されます。 日本でドンドン大 きくなっている。それでこの間、事務局の方にお越し頂いて、社長さん入会用紙にサインしてもらって、会議所の会員になって頂きました。 数少ない化学品部 会でなぜか農薬業界3社もいましてね。 まあ、偏りはあるにしても徐々にそういう形でね、やっていると。

それから賛助会員となって頂 いた商社の方ですけども、今まで1社だけだったので、わりと忌憚ない意見が出ていたんですよ。 それがだんだん複数になると、「ちっと言いにくい。 本音 は言えないよ」と。 化学品って言ってもひとくくりでやっても、ファインがあれば、肥料関係の人もおり、合成樹脂、汎用樹脂、ペトケミ関係の人もいる。   それぞれ得意、不得意があるにしても、「なかなか言いにくいな」と。 「酒飲みながらなら話してもいいけどね」というような場面がありまして、この間も 懇親会に流れ込んで二次会まで行った方もいました。 そういう形で肩をほぐしながら皆さん、相談する相手がいないと言うのが現実みたいなところあるんで、 そういうのが組織化できればと思っています。ま、そんな感じですね。

工藤: 柳田さん。

ブラジル政府への改善要求項目を検討― 貿易部会

柳田: 貿易部会は、今回登録を主にされた方が26社いらっしゃいますが、前回ここで部会をやりました時にはサブの方も初めて出て来られたという事がありまして、これからはサブの方にも出来るだけ出て頂けるようにするのが一つあります。
それから、貿易部会で情報交換というようなことになりますと、これは、なかなか利害関係といいますか(笑)、いろいろおありじゃないかと言うことで、業界 の意見交換と言うような形は、かなり難しいので、それじゃあどうするかと。 貿易部会のメンバーが直面している問題と言いますか、いろいろな規制だとか、 あるいは先ほどのメルコス-ルへの要望など、ブラジル側に改善を求めるようなことを少し取りまとめて、改善を求めていく。 そういったことをやってはどう か、まだ、これはコンセンサス取れていないけども、そういった事をやって行こうかな、と。
それからもう一つは、前々回、部会をはじめて夕方やったんですけど、その時はやはり集まりが比較的良くて、これからは貿易部会の場合は夕食会をやっていろいろな話をする場に、と。 
後は、ゴルフはまだ貿易部会ではやったことがないので、そういったイベントもできれば入れていきたいと、そう言ったところでしょうか。

工藤:  どうも。福岡さん。

情報発信、情報の共有化 ― 金融部会

福 岡: 金融部会はさきほどちょっと報告を2項目に分けましたけど、大きくは構成要員が3分野に分かれていまして、銀行の方、保険の方、あとその他というこ とです。 その他の中にはですね、カンビオのコレトールの方であるとか、あるいは保険のコレトールの方であるとか、あるいは日経新聞の方と、まあ大きく分 けて3つあります。人数的には24会員ぐらいです。そのうち24会員の中で7会員ぐらいがサブですから、メイン会員は15、6社というところになるんで しょうか、そういう形です。
先日このテーマについて議論をして、大体4つの項目に分けて話をしました。 1つは情報発信をしようと。これは、 情報発信というのは2つ意味があって、すべての項目そうですが、金融部会の中、相互の情報発信と、それから商工会議所の会員に対する情報発信ということで あります。
商工会議所の全会員に対する情報発信というのは、現在、経済情報ということで、会議所のほうからEメールが出ていますが、金融部会としても少し協力をしてですね、内容を充実した形で情報を発信したらどうかというのが1つ。

それからもう1つは、月例会の昼の席上で、ホットなニュースがあれば、各メンバーからですね、5分程度の情報発信をしたらどうかと。 これがまあ、情報発信する会の考え方。
それから2つ目に、これは昨年もやっていますが、金融部会としての会員向けセミナーをやったらどうかと。昨年は2回やりまして、今年ちょうど企画してい たところに総領事館のほうで同じようなタイミングのセミナーがあったものですから、重複するということでそれは止めたのですが、今後は必要に応じて総領事 館のほうと共催という形で会員向けにセミナー活動したらどうかと。 これは、ですから今までやっている内容をさらに充実したらどうかということです。

3つ目に今まで各部会からも話がありました業界としての情報の共有化をしたらどうかと。 特に金融分野につきましては、保険も銀行もそうですが、規制されている業界でありますので、この分野の情報をそれぞれの業界で共有化したらどうかと思っております。
それから4つ目にですね、もう少しその業界、金融部会として勉強をして知識を深めていくこと。 ということで、すでにこの10月の半ばに予定しています が、第1回として証券取引所、もしくは、今回は先物取引所の見学会をして、ブラジルの、サンパウロの先物取引所の幹部の方と昼食をしながら情報交換をす る、ということを考えています。 これは当面、向こうの受入体制の問題があって「20名前後」と言われていますので、優先的に金融部会のメンバーに声をか け、席が空けば、ほかの方にも声をかけたいと、こういう風に思っています。 全体にその4つの項目にまとめました。

工藤: ありがとうございます。田中さん。

専門家の集団 ― コンサルタント部会

田 中: コンサルタント部会は大体会員が60人で、その内容はいろんな種類のコンサルタント、それから弁護士事務所、会計事務所と大体そういう風に分けられ るけども、この間コンサルタント部会をやりまして、今後の活動の強化ということも考えて、今まで部会長と副部会長2人、顧問1人ということでやってきたけ ども、副部会長をもう2名増やし、副部会長4名ということで、まあ、今後活動を強化してやって行こうと。 時間の関係で、あの部会で検討する時間もなかっ たものですから、その後に役員会というか幹部会というのか、副部会長、顧問を入れて会議をもう一度やって、今後の方針として、どういうことをやるかを議論 してもらったわけです。
まあ、あの基本的な考え方としましては、コンサルタント部会は、専門家の集団という特色がありますので、これを生かし て、ブラジルは皆さんご苦労されてるように複雑で変化激しい政治経済情勢の下で活躍している会員企業の支援を行うと。ですから部会だけのというよりか、む しろ会員全部の支援をするという形で、それが基本的な考え方。   それで特に言葉のハンディなんかもある日本の進出企業に特別な配慮を払っていこう、と いうことです。
活動の具体的な計画としては、1つは講演会の拡充。 今までいろんな講演会やってきているけど、特に今度は政権も変わることも ありますので、新しい政権の政策、とくに貿易、ビザ、商工省とか労働省そういったような関係。   それから政府の方針とか、見解、これを特にこれも貿 易、公害、移転価格とか、ビザとか、まあそういったような事です。

政治、経済解説の講演会や税務セミナー開催

あと今度は実際にブラジル人の経営者に来てもらって、話を聞こうとか。 まあジャーナリスト、日伯のジャーナリストを呼んで話を聞こうとか。それから場合によって青年会議所との共催といったことも考えられる。
もう1つは、やっぱりそういうものが済んだ後で簡単なカクテルというか懇親会とか、まあ、そう言うものをやれば特にブラジル人の場合は、そういう事を好みますので、そういう風なことを考えて行こうと。
それからセミナー。 これについては税務セミナーをもう一度やったらどうだと。 実は法律委員会の方で、ポルトガル語では毎年、場合によっては年に2回 税務関係のセミナーやっている。 日本語では2、3年前まではやっていたけれども、スタッフの関係もあり中断しているけど、もう一度できるかどうか考えて みると。
それから2、3年ごとにアンケート調査をやっていまして、日本企業の現地化のアンケート調査をやっていますので。 これは継続してくけども、そのほかに何かアンケート調査がないかと。
後は、政治経済情勢の解説といいますか。これは、昼食会とか部会の講演会を通じてやって行こうと。 一応前提としては、専門家の集団であるという特色を生かして、全体に公開して行くという形ですね。
ただ、一番基本的な問題は言葉ですね。 日本語とポルトガル語両方、あるいは、どちらかしか分からない、に分かれますので、それをどうするかが一番大き な問題です。 いまちょうど過渡期なわけで、いままでは、どちらかというと、わたしが法律委員長とコンサルタント部会長、両方兼ねていたものですから、法 律委員会の方でポルトガル語、コンサルタント部会は日本語というような形でやってきたけど、これも今後皆さんの意見を聞きながら、どういう風にしたらいい かを考えて行くという風にしたいと思っています。

言葉の問題も考えて行こう

工藤:  ここではコメントとか、 まとめはしませんが、皆さん、非常に努力頂いていると嬉しく思いますが、横通しもできるような格好にしたい。 それから、田中さんとこのコンサルタント部 会は、わが商工会議所で何か、例えばセミナーやったってお金を取れるセミナーになりそうだし、何かひょっとすると稼げる部会になるかもしれないと思います (笑)。それからおっしゃる通り、ポルトガル語と日本語2つの言葉の問題ではコンサルタント部会が最先端を行ってるはずです。言葉の問題については、皆さ んでいろんな意見を出し合う重要なテーマかなと思います。この辺また、皆さんといろいろ協議しながら、それから今後部会で出されるいろんな問題、あるいは 提案等をどこで吸収するかと考える必要があります。 先ほど杉村さんがおっしゃっていた点ももう少し考えてみたいと思います。

メルコスールの件では館側の考え方、取り組み方について説明が欲しかった

木 口  総領事館経済班にお願いがあるんですけども。 部会の時に年2回出ておられますね。 で、その時の副題で、今回はメルコスールに対する要望、提言、 問題点あれば出して下さい、 と言う事だったけども、まあ、いままでのあれ見ていますと、我々全部会の中で、ほとんど意見がないですよね。 そのことのや り方の一つとして、やっぱり経済班として、例えば「メルコス-ルに対してこういう考え方をしている、こういう取り組みというか進め方をしてるんだ」とそう 言う事をおっしゃって頂いたら、それに対していろんな意見がまた出るんじゃないか。 これを副題で書いてあるけど誰も考えて来ていない。 だから、その時 に全然出ないわけです。総領事館経済班としてのまとめた考え方、あるいは各部会で今まで出てきたようなことを参考におっしゃって頂いたら、またいろんな意 見が出ると思いますので、今後お願いしたいと思います。

司会  ありがとうございました。 だいぶ時間も経過致しました。 それでは本日の部会長懇談会にご出席頂いております赤阪総領事にご講評をお願いしたいと思います。

不況下に堅調な業種、嬉しい驚き

赤阪  講評というのは口幅ったいですし、差し出がましいので、一言だけ感想を申し上げさせて頂きます。 きょうは本当に勉強になりました。
不安定感、不透明感が我々を覆っているという、このブラジル経済状況について、きょうのお話聞きますと、確かにまだ不安定感、不透明感は残りますが、そ れでも各部会からの報告を聞きますと、いま何がどう動いているのかがよく分かりました。業種別では、多種多様な状況にある事もよく分かりました。
厳しい経営状況に臨んでおられる業界が多いのは、予想どおりですが、他方で堅調な業種も沢山あるというのも、きょうは嬉しい驚きでありました。 選挙特 需のある業種、あるいは食品業界、家電、建設不動産、海運、二輪車等、堅調な業績を上げておられると聞いて、力強い感じも致しました。

今後の展望を見る上で為替レートの趨勢、それにも直接影響を与えます10月6日の大統領選挙、その後新政権の経済政策がどうなるか、金利、インフレ対 策、さらに貿易面での新政権の経済政策がどうなるか、さらには世界経済、アメリカ景気の動向、そしてメルコス-ルを始めとします地域統合の動向といった要 素が、今後のブラジル経済、また  日本とブラジルとの経済貿易関係に影響が出てくるというお話もよく分かりました。
我々としても、こういっ たいろいろな側面を十分フォローして行きたいと思っております。 総領事館で出来ることには限りがございまして、あまりお役に立てないで申し訳ないです が、先ほど木口さんの方からお話のありました、総領事館経済班の館員が部会に出席させて頂き、我々の持っている情報なり考え方を披露するというのは、ぜひ とも積極的にやらせて頂きたいと思っております。
11月13日には、リオデジャネイロで官民合同会議が開かれる予定になっております。 この 方もよろしくお願い致します。それから総領事館は、リジエリさんというサンパウロ大学の教授をコンサルタントにお願いしておりますが、彼にすでに2回商工 会議所で講演して頂きましたけれども、お役に立つようであれば、引き続きこの商工会議所を借りて講演会をさせて頂きたい。
また経済関係のセミナーを、ご要望があるようでしたら、東京とも連絡して引き続き、東京から人を呼ぶなりしてやって行きたい。 また皆様のご関心の高い治安対策についても引き続き、緊密な協力体制を敷かせて頂きたいと思っております。

秋以降の新大統領、新州知事訪日アジエンダ検討

今年はマルタ市長に日本に行って貰いましたけれども、大統領を始めとする各選挙が終わりました今年秋以降は、ここの要人を日本に招聘する予定です。 サ ンパウロ州議会議長のフエルドマンさんは、ご自身もう当選確実、日本に行きたいとおっしゃっているけど、まずは当選されてから(笑)。 当選された暁には 今年中にも日本に行って頂こうと思っておりますし、州知事、さらには新大統領の訪日も、これから年明け以降、アジェンダにのぼると思います。マットグロッ ソ州の知事も日本に行きたいと。 彼も当選確実ということで(笑)、もうすでに訪日の予定を立てておられるように聞いておりますけれども、こういった機会 も利用して日本とブラジル、日本とサンパウロ州との経済貿易関係の強化に少しでもお役に立てばと思っております。
いずれにしましても、商工会議所の各部会の皆さん、非常に活発に意見交換、議論を進めておられますので、総領事館としてもお役に立ちたいと思っております。 今後ともよろしくお願いします。 きょうは本当に有難うございました。

司会(赤嶺)  それでは最後に、本日の部会長懇談会を締めくくる意味で、工藤会頭に閉会のご挨拶をお願い致します。

工藤:きょうは長い時間、どうもありがとうございました。
わたしもこれで何度目なのかな、この部会長懇談会。 「懇談会」という名前が本当に適切なのかな、という気もするけど、きょうお話をお伺いして、部会が わりに活性化し始めていると思います。 それイコール今度は日本商工会議所が活性化されたと、それはちょっと方程式では成り立たないと思うので、「部会は 部会で非常にいい。でも商工会議所何やっているんだ」と言われかねないので、それをまた今後考えて行かないといけないと思うんですけど。

総務委員会とも一回ご相談したいのは、この会は先ほどのご意見をお伺いすると、総領事館の方もご出席になっている、それからすべての部会長が出ておられ る、こういう機会は年に2回あるわけですけども、これをもう少しうまく使って行ったら。 多分あれだけいろんな話を聞けるという場は余りないし。 これを もう少し人数を増やしてもいいのかなという気もしないでもないが、まあ、どうやって行くか、またその皆さんのご意見も聞きながら、総務委員会としてこの会 をどうやって充実していくか検討し、それからその結果をどうやって、先ほど山田さんからもお話あったけど、単に紙で流せばいいと言うものなのか、その辺を 是非また検討してみたいと思います。
ともかく日頃いろいろお世話になっていますけど、さらに商工会議所の充実化にご協力頂ければと思います。
きょうはどうも有難うございました。

司会  なお、本日の部会長懇談会の模様は、約2週間ぐらいの後に、当会会議所のホームページに登場する予定でございます。ご期待下さい。
本日はどうも有難うございました。これをもちまして、懇談会を全部終了させて頂きます。

終わり

2002年上期業種別部会長懇談会-食品部会


渡辺部会長発表

ポイント

  1. 業界にインパクト与えた2点 ― 電力危機と為替変動
  2. 和食ブーム続くが、支払い遅延が深刻化
  3. 加工食品業界は新製品で勝負
  4. EU狂牛病で大豆、ブロイラーは記録的輸出
  5. コーヒーは世界的供給過剰で相場低迷

 

渡辺:食品部会の報告をさせて頂きます。まず、最初に業界全体として、2001年の下期、それから2002年上期の概況見込み報告、その後、業種別のトピックスをいくつか報告し、最後にまとめと展望、というかたちで終わらせて頂きたいと思います。

 

1. 業界全体

まず2001年の下期の概況ですが、食品業界に大きな影響を与えたものが二つありました。他の業界もそうだと思いますが、一つは電力危機で、もう一つは為替変動ということです。

ただ、電力危機に関しては、明の部分と暗の部分が出て、明の部分はスーパーマーケットが販売拠点となる家庭用の加工食品、具体的に言いますと、即席麺とか調味料。これはつまり、家庭内で調理をする機会が増えたことが原因で販売を伸ばしております。

暗の部分はこれと裏返しになりますが、外食産業、及び冷凍食品、もしくは購入後、常時冷蔵庫に入れておかねばならない商品。日本酒の例でいいますと、生酒を今まで取り扱っていたところが、飲むときだけ冷やせばいい、一般のお酒へのシフトが進んだ事です。

そ れから為替変動、やはりこれも明の部分はあり、米同時多発テロの関係もありますが、レアル安から海外脱出富裕層の国内残留により、年末の観光レジャー等の 活況とともに、レストランへ人が流れたこと。レアル安によりコーヒー、乳酸飲料、調味料等の輸出に価格競争力がついたこと。ただし、アルゼンチン向けだけ は、かなりダウンをしている状況です。為替変動の暗の部分ですが、これはもう各業界同じでしょうが、輸入品価格上昇によってコストアップが生じている。耐 え切れずに10月から値上げをした会社が2社ほどあります。

今年上期の2ポイント ― インフレと金利

2002年上期のポ イントとなるのは、二つほど予想されますが、これはインフレと金利の問題です。まず、インフレは、去年の為替変動によるコストアップを吸収しきれていない 企業がまだ、だいぶあるように思います。去年なんとか我慢してきたが、やはり年が変わってから、値上げという声がちらほら出て来ております。

レ アル安によるコストアップは周知の事実なので、値上げを実施しても取引先や顧客から、最近の2、3年前とはだいぶ様相が違って来て、それほど抵抗がないと いう事実があります。従って、最終的には消費者にその価格が転嫁されるケースが増えることが予想され、インフレ指数を押し上げる可能性が出てくるだろうと 思われます。

もう一つの金利は、いま19%と高止まりの状態ですけれども、下がり出すと消費財、特に飲料とかレストラン関係は、やはり販売増の期待がかかるだろうと言うことです。

 

2. 業界トピックス

業種別のトピックをいくつかご紹介いたします。

ま ず、外食産業ですが、サンパウロでは年末に、和食レストランが立て続けにオープンしました。引き続き和食ブームは続いています。ただし、債権回収が悪化し ております。これは、飲食店を相手に商売している食材卸に最も顕著に出ていましたが、去年あたりから、ついに飲料を専門に卸している卸でもちょっと支払い が滞ってきている。これは、例えば高級なバーなんかは、今まで支払いは心配なかったけれども、そういうところまで支払い遅延が出て来ていると言うことで、 支払い不能が広く蔓延して来ているのではないかと。もともと水商売ですので、これは覚悟の上ですが、かなり状況は厳しくなって来ていると言うことです。

それと、今年はワールドカップが6月にあります。98年6月のワールドカップの時は、レストラン業界が大変大きなダメージをくった。というのは、時間帯が ちょうど夕方の4時とか6時の試合が多くて、だいたい家でテレビを見ながら、みんなで食事をとったんじゃないか、と思います。今年は明け方の3時半、6 時、8時半の時間帯になるので、あの時ほど悪影響は出ないのでは、と言うふうに期待しております。

新製品発売増える

それから飲料関係。味の素さんが粉末ジュース業界に参入しました。粉末ジュース業界は、ブラジルの食品の中でも10位以内に入る非常に大きな市場。そこで、売上を順調に伸ばしており、家庭内事業の主力商品に育ちつつあると言うことです。

それからヤクルトさんが昨年10月に新製品ヤクルト40、これは一本あたり400億のヤクルト菌を含んでいる新製品なのですが、これを発売しました。ただ し賞味期限が15日ということで、一般スーパーマーケットには卸せない商品。つまり、ヤクルトおばさんによる、口コミで直接販売をしている商品ですので、 量的にはまだこれからと。ただし、今年は本格的な拡販も検討したいということです。

即席麺関係では、日清味の素さんの新製品「クレモーゾ」がヒットしまして、販売増にかなり寄与しております。ただし、販売は好調ですが、原材料の輸入比率が高いために増収減益傾向。

調味料ですが、国内調味料市場は2001年下期で3万7600トン、前年比で106%の成長と堅調でした。

農畜産物

それから、農畜産物の輸出については、先ほど柳田さんのほうから詳細にご説明がありましたので、ポイントだけにしますが、大豆、ブロイラーは狂牛病様様と いうか記録的な輸出になった。砂糖は、1月からガソリンへのアルコール添加量が22%から24%になったので、アルコール生産が増える傾向にあるのではな いか。

オレンジジュースは、一気に供給不足からFOB価格が上がりましたが、今年は雨が多いのでまた豊作傾向ということです。

ブラジルの国際発言力低下 ― コーヒー

コーヒーは、国際コーヒー機関、これはロンドンに本部があり、代表が今までブラジル人だったのが、コロンビア人に代わったそうです。そういう意味で、ブラ ジルコーヒーの世界的な発言力は若干低下している状況にある。また、国内でも政策不在の感じで相場が非常に不安定。コーヒー農民が非常に疲弊している状況 だそうです。コーヒーの世界相場は先ほどご説明ありましたけれども、依然として供給過剰から記録的な低迷。ただし、輸出についてはレアル安から若干競争力 がついたと。

世界的な市場を見ますと、ロシアのインスタント・コーヒーの消費が非常に伸びている。それから、シアトル系とかイタリア・エス プレッソ系とか言われています、このへんの勢力が非常に伸びてきている。ブラジルは世界で2番目の消費大国ですけれども、消費は頭打ちで、こんな低迷な中 で生き残り策として高級化路線ですが、ミナス・ジェライスのグルメコーヒーなどが出て来ていると言うことです。また、ブラジルのチェーンでは最大手になり つつあった「カフェ・ド・ポント」、これがアメリカの企業に買収されたという情報もあります。

プロポリス、ライバルは中国

最後にプロポリス。ブラジル・プロポリスは輸出がほぼ中心で、相手としては日本がメインで、ヨーロッパ、中近東へも輸出しております。ライバルは中国で、 ブラジルの約4分の1の価格で出ております。若干レアル安で去年は輸出競争力がついたが、ここで日本の不況の影響が出てまいりまして、日本の会社からの支 払い不能も出てきて、頭を痛めています。

 

3. 業界のまとめと展望

最後にまとめと展望 ですが、2001年度の食品業界は、売上はそこそこ、ただし減益傾向、つまり、増収減益傾向だった。私もこの3月で丸4年になりますが、「ブラジルの経済 は分からない」というのが、最近の気持ちで、田中さんが何時もおっしゃっている「年初楽観だと厳しい年になるかも知れない」というのは、かなり当たるので はないか、という気がしております。そういう意味では、今年は気を引き締めて行かなければ、という事になります。

ただ、食品業界は、景気があまりよくなりますと、消費者は耐久消費財にお金を使うようになり、デイリーの食品にはあまりお金を使わなくなる。去年はその逆で、景気があまりよくなかったために、高いものにお金を使わなかった。

いずれにしましても、景気がどちらに振れてもいいように、確実に利益を出せるように、為替、金利、インフレ等ですね、きちっと状況を見ながら、やはり新製品の投入とか、あるいは、顧客の維持、拡大に努めて行くという事しかないと思います。

2002年上期業種別部会長懇談会-電気電子部会


北野部会長発表

ポイント

  1. 節電が大きな痛手 ― 家電業界
  2. コントロールの限界を超えた為替変動 ― 部品業界
  3. 好調の上期から一転、受注激減の下期 ― 通信・電力・産業機械業界
  4. 売上順調だが、為替変動が利益圧迫
  5. 特定メーカー1社を利するインセンティブがあり、苦労する部品業界

 

電気電子部会4グループの下期コメント

北野:電気電子、精密事務機輸入販売という部会でございます。

2001 年下期の回顧ですが、背景はもうすでに各部会で報告されておりますように、経済のバックグラウンドとしての影響を受けた事項は当然同じことで、電力不足、 アルゼンチン危機、あるいはテロ事件、それに続く米国経済の後退、あるいは為替の変動というベースの中で、四つの製品グループから特にコメントのあった項 目だけ報告いたします。

 

●家電及び耐久消費財グループは過剰在庫の処分、あるいは輸入決済、借入金の金利増大が経営を圧迫しました。為替の悪化を値上げと経費削減で乗り切りました。一番大きな影響度は電力不足。節電は予想以上の大きな痛手になりました。以上が家電業界の2001年後半です。

● 電子部品グループは、当然同じようなバックグラウンド。節電から顧客先、顧客であるセットメーカー、すなわち家電業界ですが、セットメーカーの生産カット で、ビジネスが成り立つような状況ではなかった。加えて、為替の大幅変動も経営コントロールの限界を超えておりました。このグループにはブラジル現地生産 されているところが1社、100%輸入販売されているところが1社、2社のレポートを頂いたものですから、コメント的には両極端になったところはあるので すが、ここで特にコメントされていたのは、「利害関係に強く影響する特定企業1社だけを対象にした恩典法ができて、ブラジル政府は何を考えているんだ。国 内産業育成という観点を無視して、国産の努力をするより輸入した方が安いという事態が発生して非常に生産側としては苦労しました」と言うコメントがありま した。

● 通信・電力・産業機械グループは、好調の上期から急変して受注激減で非常に厳しい結果になりました、という報告です。

● 精密事務機輸入販売グループは、全体的なコメントとしては、売り上げは順調に行きましたが、為替変動の外的要因で粗利減に見舞われています、という報告です。

 

2002年上期の見通し

● 上期の見通しですが、家電業界は、やはりしばらく業績不振、業界不振の継続を予想しております。まあ緊縮経営での改善を模索します、という見通しです。

● それから部品業界。先ほどの特定メーカー1社に対するインセンティブと言うことで、国産メーカーとして非常に苦慮していると。そこへ輸入材料の値上がりに対する価格の見直しがどこまで通るかと言うことで、とにかく安定した年になることだけが望み、という発言でした。

● それから通信電力関係。受注回復を期待はしますが、依然として厳しい環境が続くという見込みで、引き続き経営基盤の軽量化、体質強化に努めますと言うことです。

● それから比較的順調に売上げが推移しております事務機器関係。為替変動によるコスト上昇ですとか、そういった外的要因を吸収できるような内部固め、体制を、体制基盤を固めたいという狙いで2000年上期を迎えています。

2000 年上期に対する展望としては、大統領選挙に向けての経済効果をプラスファクターとして期待されている一方で、アルゼンチン破綻の波及懸念を景気動向のマイ ナスファクターとして挙げております。総括的には、為替が安定的に推移すれば、穏やかながら景気回復に向かう、という前提で上期の見通しを組んでいるとこ ろが大半です。

2002年上期業種別部会長懇談会-繊維部会


林部会長代理発表

ポイント

  1. 綿花生産でブラジルは世界第6位、5%弱
  2. 綿花消費では世界第5位、5%弱
  3. 綿紡績設備は550万錘、4%弱
  4. 日系紡の綿糸糸売りマーケット・シエアーは17~18%
  5. 今年前半は綿糸市場の大幅な好転はのぞめず。輸出競争力も低下している

 

世界の綿花生産1900万トン - トップは中国

林: 本日は部会長、副部会長ともに所用で欠席させて頂いておりますので、代理で参りました。繊維部会は綿紡関係が8社、その他合繊紡・ウール・布地販売関係3 社の合計11社で、こじんまりした部会です。本日は部会内の、各社で分担していただいた商品ジャンルごとのレポートをまとめてお手元に配布しておりますの で、ご覧頂ければと存じます。説明する前に、簡単に繊維業界のあらましをご理解いただきたいと思います。

繊維の業界としては、繊維の原料か ら糸をつくり織物、あるいはニットの布にして、それを加工仕上げした上で縫製し、いわゆる衣服、2次製品にして流通段階を経て、消費者のところにわたす、 この全過程を含んでおります。川の流れに例えて、川上、川中、川下と言っているわけですが、そのうち、川上にあたるのが、繊維原料からだいたい糸、布まで の段階でありまして、私ども紡績会社、あるいは繊維部会の会員会社は川上に属しております。

綿糸の原料である綿花を直接扱っているのが1社ありますが、大体紡績を中心として糸を生産販売しており、2社が織物まで手がけていると言う状況であります。

次 に綿花・綿糸の関係で、世界におけるブラジルの位置付けをざっと見てみたいと思います。米国農務省が発表しました世界綿花の需給予想によりますと、 2000/2001年の生産は、全世界では1900万トン強となっております。国別では、一番多いのは中国で440万トン、世界生産の23%にあたりま す。2番目は米国で、3番インド、4番パキスタンと続き、ブラジルは第6位、89万2000トン、全体の5%弱と言うことです。綿花の需要、国内消費につ いては、世界で2000万トン消費されますが、やはり一番の消費国は中国で500万トン強。2番インド、3番米国、4番パキスタンの後、ブラジルは94万 7000トンで5位。これは5%弱。綿花の生産も消費も世界で見れば、5%弱のシェアを占めていると言うことです。

次に紡績の設備について は、短繊維リング紡績は世界で1億5500万錘(1999年末)と発表されております。1位はインド3690万錘、2位中国3380万錘、3位パキスタ ン、4位インドネシアと続き、ブラジルは550万錘、4%弱の生産設備のシェアになっております。ただ、この数字は私どもブラジルへ参りまして、きちんと した統計資料がなく、信頼性が薄いかと思っております。業界の中で、同業者、あるいはユーザー、その他で聞き込み調査をいたしますと、設備的には大体 450万から460万錘が、ブラジル国内で稼働しているのではないかと推察されます。

その中で、この繊維部会へ来ております紡績各社の生産 設備は約50万錘になり、ブラジルの中では1割強の生産設備を持っている事になります。ただし、ブラジル現地の会社の中で有力なところは、先ほどの川上だ けに止まらずに、縫製して最終、2次製品にし、ブランドを付けて売っている。大きいところは特にそういう一貫生産の会社が多いので、私どもの糸売りマー ケットで見ますと、逆に日系紡は1割より若干シェアが上がって、推定値では17-18%の綿糸の糸売りマーケット・シエアーじゃないかと考えております。

 

ブラジルの綿花生産は90万トン

以下、「回顧と展望」を簡単に見て行きたいと思います。

まず原綿関係(表1)。農務省の発表した数字ですが、00/01というのは2000/2001年。ブラジルの国内では、早いところは南のサンパウロ、パラ ナの方では2、3月から収穫が始まりますが、マット・グロッソ等、北に行くに従いまして、8月くらいまで穫れます。2000/2001年というのは米国流 綿花年度ですが、去年の収穫年度を示します。これは、前年70万トンだったものが94万トンに大増産、34%増産されました。これの中心はマット・グロッ ソ州で、33万5800が53万3900トンと6割近い増産になっています。ただし、この年の品質は、降雨の影響などで、どちらかというと悪かった、と言 うことです。

今年度の綿花生産見通しですが(表2)、昨年の94万トンから77万トンにまた減ります。その減る中心はマット・グロッソ州 になっています。このところ相場が安かった、天候不順もあり、その上、運賃も上がって、採算が悪くなっている。さらにその同じ農家にとりましては、綿花を 植えるよりも大豆のほうが儲かる、というような理由で減産見通しになっております。必ずしも今年の相場見通しはよくないけれども、一方的に下がるだけでは なくて、逆に減産見通しが強材料になるのではないか、という見方も出ております。

次に綿糸(国内)の状況につきまして。この分野は、部会関係会社が多いものですから、レポートを読み上げて報告に代えさせて頂きます。

 

綿糸(国内)の2001年下期の回顧

楽 観的な経済予測が支配して始まった2001年であるが、アメリカの景気後退、アルゼンチンの経済問題、電力危機等、景気の圧迫要因がブラジル経済を襲い、 さらには暖冬による冬物商戦の不調により、われわれ繊維産業において2001年上期は当初予想に反し、苦戦を強いられた。

下期についても6 月より始まった節電政策が、国内市況を取り巻く環境をさらに悪化させ、国内綿糸の販売単価は前年比2ないし3%程度下落した状況で始まった。また、国内大 手アパレルの中には生産調整を行うところもあり、国内綿糸市況は回復の兆しすらなく、各社節電による生産数量のダウン、それに伴うコストアップを吸収する ことが出来なかった。一方、断続的に切り下がった通貨は、繊維製品の輸入を抑制したものの、世界経済の停滞と同時多発テロ事件の影響で繊維製品全体の輸出 に大きく貢献することなく、また、ブラジル国内の需給バランスを好転させることもなかった。表シーズン(綿糸の場合は、夏、冬でいうと夏物衣料に使われる ことが多いので、9月、10月頃から糸の出荷が始まる。従って、年間でいうと、この頃が糸の需要シーズンで「表シーズン」といっている。)である10月に 入ると、それまで低迷を続けていた国内綿糸市況も若干回復し始め、各社コーマ糸についてはタイトなバランスで推移し、1~2%の値上げを実施しながら在庫 についても適正規模を維持することができた。しかし、カード糸についてはこの時期に入っても好転せず、弱含みに推移した。したがって2001年下期につい て、全体としては大幅な綿糸市況の悪化があったわけではないが、昨年と比べコストアップ分を吸収できない低い水準であった。

 

2002年上期の展望

国内綿糸市場、今年上期は昨年並みか

引 き続きアメリカを中心とした世界経済の動向は、不透明感を強く残しているものの、2002年のブラジル経済は大方の予想で楽観的である。繊維産業において も、おおむね良好な予想がなされており、貿易収支については昨年の3倍以上の黒字を予測している。しかし、これらは、昨年並みのドル高レアル安を前提にさ れていると思われ、これらの予想通りに行くことが出来れば、低レベルな輸入と堅調な輸出需要で、国内綿糸市場の2002年上期は少なくとも昨年上期並み、 もしくはそれ以上で推移する事ができるであろう。しかしながら、今年前半における我々を取り巻く環境は不安要因も多い。繊維製品の輸出先として大きなウエ イトを占めてきたアルゼンチンの問題、昨年後半より一層の安値攻勢をかけている東南アジア諸国、いまだ解決しない節電と昨年以上に高騰が予想される電力費 など直面して解決して行かなければならない問題が残っている。昨年のように断続的な通貨の切り下げがあれば別だが、現状における我々繊維産業の輸出競争力 は昨年よりも低下しているものと思われ、さらに2002年上期は昨年不調に終わった冬物商戦の影響が出てくることも予想される。したがって、本年前半にお ける国内需給バランスの大幅な好転は期待できない。このような状況で、ブラジル紡績の一部には、市況を乱すところが出てくる可能性も十分考えられる。

 

繊維部会資料

表-1)  国内の綿花生産量(1000t)

ESTADOS 00/01 99/00
SAO PAULO 60.0 55.2
PARANA 58.2 43.0
MINAS GERAIS 29.4 38.7
GOIAS 113.3 90.6
MATO GROSSO 533.9 335.8
MATO GROSSO DO SUL 66.5 43.8
小計 861.3 607.1
BAHIA 61.4 45.6
NORTE/NORDESTE 17.6 47.6
合計 940.3 700.3

註:CONAB資料 (2001/12)

(表-2)国内の綿花生産量(1000t)

ESTADOS 01/02 00/01
SÃO PAULO 53.0  60.0
PARANÁ  33.0  58.2
MINAS GERAIS  26.0  29.4
GOIÁS 100.0 113.3
MATO GROSSO 405.0  533.9
MATO GROSSO DO SUL  59.0  66.5
小計 676.0 861.3
BAHIA  77.0  61.4
NORTE/NORDESTE  17.0  17.6
合計 770.0 940.3

注:CONAB資料(2001/12)

 

表3  2002年需給予測(1000t)

期初在庫        198.0

国内生産        770.0

輸入          120.0

供給合計       1,088.0

消費          860.0

輸出          100.0

期末在庫             128.0

 

繊維部会の添付資料

綿糸(輸出)

回顧

昨年上期は、前期より輸出市況悪化が継続し低調であったが、期央より大幅レアル安、国内市況の低迷を受け各社共輸出に注力した結果、輸出成約は目覚し い進捗を遂げた。然しながら、9月11日のニューヨーク同時多発テロ発生以後は、米国はもとより中南米・欧州の各国が共に、経済先行き不安を理由に買い控 えに入り、輸出市況に暗雲が垂れ込めた。その後年末に掛け、急速なるレアル高・亜国経済の破綻等悪材料が相次ぎ、輸出商談は事実上ストップしたままの年越 しとなった。

 

2002年上期の展望

亜国経済の破綻・米国景気回復の遅れ・東南アジア諸国の安値唱 え等、当国輸出を取巻く環境は必ずしも良くない。これに加え、レアル高による値合わせ難・採算悪化と、利益面でも厳しい状況下にある。唯一希望が持てるの は、通貨統合が成った欧州市場であろうか。以上の材料を勘案すると、残念ながら上期においての輸出の回復はさほど期待できないと思われる。(レアルが、再 び1USD=2.60を突破すると別の話だが)

しかし、国内市況も同時に不透明なものになっており、また、各社共ここ2~3年で輸出をスポット商売と捉えなくなって来ていることもあり、輸出指向が減ずることはない。少しでも市況が好転したならば、再び輸出は拡大に向かうものと考える。

 

綿糸(太番手)

(1) 2001年下期の回顧

①ニット関係

2001年下期の太番手ニットは、総じて良くなかった。

それには、幾つかの要因が重なっている。

電力配給制が敷かれたことによって失業者が増加し、消費者の将来に対する

不安が増して、消費が大きく減退した。今年の冬はさして寒くならなかったので、消費者が冬物衣料の購入を控えた、ことなどが上げられる。

しかしながら、紡績、ニット、縫製共に、先行きに対しての懸念と用心から

過剰な生産はしていないので、今年度へ持ち越した在庫は多くない。

実販売値段についても決して良くはなかった。しかし、原綿価格が安価に推移し

たので、(収益で)惨憺たる結果にはならなかった。

②     織物関係

デニム用(ジーンズ)だけが輸出・国内とも好調であった。

工業用布帛は、基本的に自動車部門が低迷し、販売に活気がなかった。

ニュヨークの同時多発テロも、将来に対する不安を助長し、消費が落ち込んだ。

アルゼンチン向けは寝装等の太番手が多いが、アルゼンチン危機が深刻化して極端に減退した。

(2)2002年上期の展望

①ニット関係

ニット用太番手は2001年上期に比較して、さらに減少すると予想される。

と言うのは、今年は選挙用のTシャツの需要が好調であると予想されることから、紡績はより細番手向けの生産にウエートを置いている。

太番手の在庫が少ないこと、電力配給制が解除される見込みで期待もあるが、なお、本格的な冬の寒さが到来せず、来ても長く続かないのでないかと懸念されている。

②布帛関係

デニム関係は引き続いて好調を維持すると思われる。

年末はバミューダ(パンツ)や一般のシャツが年末に良く売れた。

ガソリン価格が下がったので、昨年下期よりは自動車関係が良くなると期待される。

 

横編セーター原糸・W幅織物用原糸

(1)2001年下期の回顧

2000 年ブラジル経済に対する明るい将来予測と共に、市中の婦人衣料もジーパン・Tシャツ一辺倒から、カラーストレッチパンツとファショナブルなセーター(日本 でいうサマーセーター)ブームへと移行し、ブラジル横編業界は空前の好況を享受した。2000年におけるブラジルの編機導入台数は、日本の大手メーカー社 製だけで500台を超えたと言われ、総数量ではその2~3倍と推測されている。

しかし、2001年に至り、電力危機の到来、アルゼンチン危 機とそれに伴うレアルの大幅下落は、これら新投資設備の操業難・設備投資代金決済難につながり、信用不安を呼び起こした。加えて暗い店頭イメージは消費の 低迷に拍車をかけ、クリスマス商戦に若干の持ち直しはあったものの、2001年下期、業界は低調なまま新年を迎えた。

一方、W幅織物は輸入 品流入の勢いが鈍り、下期は比較的堅調に推移したが、ブラジルにおいては、重衣料市場が縮小しきっている事から、衣料素材はレーヨン・ラミー等シャツ・タ イプの薄地に限定され、カーテン・椅子張り等、家具用途を加えても需給関係が目立って改善される程には至らなかった。

(2)2002年上期の展望

こ れに対し、2002年は産地ニッタ-・機屋の操業開始が大半、1月第3週(今週)であり、短納期・短サイクルの早い回転を特徴とする業界である事から、年 初の動向を見ず判断する事は難しいが、カーニバル明けの2月中旬まで、あるいは第1四半期中の回復は難しい、とする見方が支配的となっている。

し かし、東北伯を除き、電力不足の解消が予測され、アルゼンチン危機にもブラジル経済が大きくは動揺せず、通貨の安定が現実のものとなれば、消費の回復と共 に横編み市場も活発化すると考えられる。今日、横編みセーターはブラジルの衣生活に適合したアイテムであり、発展途上の産業である事から、総じて言えばこ れらの事情を勘案して、2002年度は緩やかな回復基調に乗るものと業界内部では予測している。

外衣用途の織物業界は、国内市場が縮小していること、輸出中心に転換するにはコスト構造的にかなり困難と思われる事から、期待は家具・室内装飾品に偏ることとなり、横這いの状態が続くものと思われる。

 

ブラジルのシルク業界について

(1)2001年の回顧

2001年のBrasil経済は、年初よりArgentine経済が深刻化し、その影響もあって為替が安定せず、大きく上下に変動した。10月には瞬間的ではあったが、US$1.0がR$2.8を超え、現在は辛うじてR$2.3を保っているというのが現状である。

(Brasil製糸は、生産量の95%を輸出しているため、為替の変動に大きく影響を受ける)。

また、年央には電力危機が発生し、20%の節電を骨子とする消費制限令が打ち出され、国内の景気後退はいよいよ決定的となり、心理的にも引き締めMOODが支配的となった。

更に、9月には米国を襲った同時多発TERROが追い打ちをかけ、米国をはじめとする世界経済の冷え込みが一段と強まった

こ のような状況下でのBrasil製糸の2001年は、生糸・撚糸の輸出数量(予想)が、1,363t(22,716俵)(対前年同期比8%減)で、輸出金 額(予想)が3,899万US$(平均28.6US$)(対前年同期比15%減)となる見込みであるが、為替が20%を超える切り下げとなったため、 Brasilの製糸各社は黒字となる見込みである。

(2)2002年の展望

2002年の見通しは、Brasilでの生産の60%以上を輸出している日本の市況が改善するかどうか、にかかっている。

昨 年11月の丹後産地の白生地生産高は11万273反、前年同期(10万6,022反)比4%増となっており、それだけ生糸消費が増えたということである が、これが末端の消費に結びついているかどうか、となれば、和装の需要が落ち込んでいる全体の動向から推して、白生地段階までの動きと考えられる。

生糸相場も下記の通り昨年、一昨年に比し下落しており、一刻も早い消費の回復が望まれるところである。

生糸相場(1kg)

1月限 2月限 3月限 4月限
00.1.10 4065 4147 4119 4089
01.1.10 2770 2803 2937 2964
02.1.08 2627 2651 2638

2672

(単位・円)

一方、現在の小泉内閣では、景気回復に直結するような政策が打ち出されていない中で景気低迷が長引くと予想され、生糸相場も商いが少なく低調である。

いずれにしても、2002年も不透明が続くものと思われる。

 

化合繊(短)

(1) 2001年下期の回顧

7 月の繊維部会での「下期の展望」では、レアル貨の対ドルレートは3レアルも予測されると申し上げたが現実は年末には2.3レアル台にまで落ち、ドル建ての 現地ポリエステル原綿は値上げが止まった状態。しかし、年間通じては18%強の切下げで、ドル価格引下げを相殺するかたちとなって、決して原綿コストダウ ンが期待できる状態ではなかっ た。                                                                   

代 表的な台湾・韓国製ポリ綿の中国向け価格は、2000年7月~8月の高値0.88ドルが0.68ドルにまで下がり、供給過剰感が強いとの情報であるが、ま だまだ当地ポリ原綿価格は世界相場より高いのが現 状。                                                                                   

ビスコース原綿は、原料値上げを口実に上昇傾向にあったが、下期は多少スローダウンしてきた。

6月から電力カットに入り、これもコストを上げる要因となった。途中電力競売価格も下がり始めたことで、当初騒いだほどではなかった。                                                   

売 値については、世界的な綿花相場の下落を背景とした綿糸との競合もあって、化合繊(短)だけがコスト増を理由に希望する値上げが通るわけではなく、下期も 引き続き厳しい環境下での商売であったといえ る。                                                                                      

(2) 2002年上期の展望

ここに来て、当初ブラジルをも巻き込むかと云われたアルゼンチン問題も、目下は他山の石のよう に却ってブラジルのファンダメンタルズが上がるという異様な現象となってい る。                                                                                                                                 

昨年度は、貿易収支も現政権初の黒字化達成もあって、レアル貨は強い傾向にあり、輸出振興に支障のないと思われる現状の2.3レアル台は継続することを期待したい。

ポリ綿の世界相場もすぐには上がる傾向になく、原料コストも常識的な範囲でおさまれば、2001年よりは多少良化するであろう。                                                               

基準金利も下がり消費が復活し、米国など世界経済が回復基調でも示せば、上期後半からは化合繊(短)のみならず、繊維業界は明るい見通しが見えて来るであろう。

電力問題も、水不足解消に向かいつつあり、昨年のような危機感が過ぎ去ったことも幸いといえる。

ただ、やはりアルゼンチン問題はついて回るであろうから油断はできない。

 

綿織物

(1)2001年の回顧

年初は昨年に比しブラジル経済上昇、特に食品、衣料分野の景気向上が期待され、

織物業界も、前年末の小売活況による店頭在庫補充の発注が見込まれ、出足は好調かに見えたが、糸分野の在庫過多による市況不調に引きずられるかの様に次第に市況が沈静化して、そこへアルゼンチン影響によるドル高、節電により、5月以降不況ムードへと反転した。

夏物の立ち上がりは少し遅れたが、年末販売への期待感は日増しに強まって縫製業社はフル操業となり、年末は期待通りの販売となった。

織物の種類別に見ると、ジーンズは輸出増大、国内活況で20%の値上げ、綿薄地不調、綿厚地最不調で値引き販売、合繊及び混繊薄地は比較的好調で5%の値上げ、で推移した。

(2)2002年の展望

昨年末の小売は非常に良かったので、年初から店頭在庫補充販売が期待されている。

昨年は、景気を食品業界に横取りされた感があったが、国内経済が上向く見通しから織物業界も昨年より少し上向くのではないか、と予測されている。

た だし、アルゼンチンへの輸出が止まるので, その分国内へ商品が流れ品薄にはならないだろう。特にジーンズは輸出依存度が高いので、ドル安による輸出減少で国内ダブつくかもしれない。一般綿織物は成 長が見込めないが、色々な素材を組み合わせた織物が薄地,厚地共に近年成長が著しく、この分野は今年も順調に成長すると予想される。

昨年のコスト・アップを吸収すべく各社5~8%の値上げを年初から試みている。

 

布地小口販売市場

ドル高、節電、暖冬、同時多発テロ、アフガン戦争、アルゼンチン金融危機、熾烈な価格競争・海外からの安売り攻勢、失業増加、消費減退。ゴルフに例えれば、 OB、ソケット、3パットが一度に起きたような最悪の2001年であった。織布の仕事を離れて1年半、詳しい市況報告は出来かねますが、概況を下記しま す。

(1)2001年の回顧

① TECELAGEM

WOOL、 WOOL混を主体とするKARIBEは健在。POLY100%もAMERICANAを中心に10数社が健闘中。VISCOSE混、リネン、ラミー混は衰退気味。

②ACABAMENTO

ESPORTEのMALHAは増加、織布は10%ダウン。

③CONFECÇÃO

イ)背広、替えズボンは横這いか多少減産ロ)JEANSとヤング向けは好調。

ハ)CAMISAは20~30%UP、とくにTENCEL調子が好評。製品輸入減少がプラス。

④VAREJO

上期は前年比ほぼ同じであったが、暖冬と節電の影響が出始めた8―9月はきわめて低調。12月も出足は好調であったが、最後は息切れで今ひとつ。全般的には5%減で不満の残る1年であった。

背広、替えズボンは不調、ヤング向けとCAMISAは好調でいずこもオジンより若者に的をしぼるべきと痛感させられる。上代を抑えられていても自分 の利益は落とさないVAREJOは、原料と加工費にしわ寄せし、メーカーはますます苦しく、コストが高くなる市内のCONFECCAOの生き残りは難し く、INTERIORへの移転をいずれ余儀なくされると思われる。

⑤IMPORTAÇÃO

急激なドル高で、下期は織物、製品とも大幅に減少。しかしながら、海外市況も最悪で、安売り攻勢が激しく、ドル高がカバー出来る結果となり、輸入は通常にもどったと思われる。

ただし、不正輸入業者は駆逐され、正規に輸入されるようになったのが特筆される。

(2)2002年の展望

川中、川下とも余剰在庫はなく、特に悲観材料もなく、まずまずの上期が予想される。

為替もR$2.50までに収まるよう期待したい。

2002年上期業種別部会長懇談会-コンサルタント部会


田中部会長発表

ポイント

  1. 2001年は波らんの幕開けだった
  2. 貿易収支、昨年は久々の黒字。今年は50億ドル黒字予想
  3. 工業生産8ヵ月目にプラスへ
  4. 穀物生産、今年は1億トンの大台めざす
  5. 次期大統領選挙戦、与党候補に挽回気運
  6. 今年は500億ドルの資金調達必要

 

外的要因の影響が大きかった年

田中:コンサルタント部会から報告させていただきます。

昨年のブラジル経済は、年初に成長率が4.5%という明るい見通しでしたが、ふたを開けてみると、波らんの年となりました。外的要因の影響が大きい年で、 特に米国経済の引き続く後退から日本、ヨーロッパなども含めた同時不況の様相、加えて9月11日のイスラム過激派によるアメリカの経済心臓部へのテロの攻 撃ということで、世界は一時的に混乱した。お隣りのアルゼンチンも政治経済危機がついに破局に達し、年末には3人の大統領が交代、11年続いた為替パリ ティーが廃止されるという結果にいたりました。

外国だけでなくて、ブラジル国内の要因も大きかった。中でも電力危機が表面化し、電力割当制 が実施されて、企業の過半数が減産をやむなくされ、成長率もそのために、おそらく2%前後になったのではないかと思います。こういう波らんの2001年で したが、11月に入り様相が一変しまして、次に述べますように有利な情勢が現れたために、2002年、今年に対する楽観的なムードが出て参りました。

 

昨年の特徴8点

一つはドルレートが下降を始めたこと。それから株価が上昇してマーケットはテロの前の水準に戻った。

2番目は、従来はアルゼンチンとブラジルのカントリーリスクを同一視していたマーケットが区別を始めたこと。

3番目は雨季に入り電力割当が緩和され、近い将来廃止の見通しとなった。

4番目は、インフレはIMFとの合意目標を超えたけれども、一応コントロール下にあるということで昨年7.67パーセント、今年は3.7%に低下の見込みであること。

5番目は農業生産が好調で、穀物生産は1億トンの大台突破の可能性が高いこと。

6番目は、11月の工業生産は前月比1.4%増加。マイナスが続いておりましたけれども、8ヵ月振りにプラスになった事。

7番目は、貿易収支は95年のカルドーゾ政権発足以来始めて黒字転換。2001年は26億ドルの黒字になりました。2002年にはさらにこれが、50億ドルになる見通し。現在の時点では、そういう見通しが多いということです。

8 番目は、今年10月に大統領選挙が行われますが、もうすでに実質的なキャンペーンは去年から始まっており、キャンペーンの進行につれて政府党の候補者に有 利な状況が増えてきたこと。まだ決まったとは言えませんけれども、世論調査では、昨年の段階で野党が上位4、5位までを占めていたのが、最近は政府党に有 利になって来たということ。

 

テロによる需要増加の面

こういうふうな楽観 的な要素がいくつか出てきたけれど、一方では、次に述べますような、昨年から持ち越しの警戒要因の遺産もいくつか残っております。一つは、「本年の中頃に は米国経済が底打ちする」、という見方が強まってきております。昨日、米連邦準備理事会(FRB)では、定例の会議で金利の据え置きを決めております。昨 年は一年間で11回引き下げているが、その引き下げが今回はなかったと云うことです。しかし、まだ見通しには不安が残っております。

テ ロ撲滅の戦闘もアフガニスタンは一段落しましたけれども、まだ最終決着はついていない。ただ、このテロの経済に対する影響ですが、最近発表されたアメリカ 経済の昨年の成長率は1.1パーセント見込みと言われております。これがテロによる需要増加に助けられた面があり、テロがなければ、10月-12月の第4 四半期は1.4%に落ち込んだろうと。ところが、実際は0.2%の上昇だったので、テロは必ずしも経済成長にとってマイナスではなかったと言うことです。

 

国内電力危機緩和されたが

3番目は、雨季に入って雨が順調に降っており、電力事情も小康状態で、根本的な解決には約3年くらいはかかると言うことで、現在その投資計画を実行中ですけれども、やっぱり、「まだ3年くらい経たないと、雨次第の電力事情」と言うことから抜け切れない。

4 番目。これが従来同様、今年もおそらくそうなると思われる、最大の問題である“依然として高いブラジルの対外依存度”ですね。今年の経常収支の赤字は 170億から200億ドルぐらいの見込みです。昨年の230億ドルよりは減りますが、依然として高く、GDPに対する4パーセント台比率です。しかも、こ の170億から200億ドルという赤字の見通しは、貿易黒字50億ドルを前提にしていると言うことで、いろいろ有利な材料もあるけれども、輸出の先行きは 必ずしも楽観を許さない。対外収支均衡のために、本年は500億ドルの資金調達が必要です。そのうち直接投資が一応180億ドル見込みですから、残り 320億ドルを借り入れやその他で調達しないといけない。世界の経済、国際金融情勢が順調なときは、320億ドルくらいは問題ないけれども、こういう荒れ 模様、不透明な状態のときは、これからの情勢次第でどうなるか分からない。しかもドルレート上昇の可能性もある。

 

本年は漸進の年

以上のようなことで、本年は警戒態勢を取って漸進ですね。ゆっくり進みながら、来年以降の本格的な前進の準備をする年ではないかと思われます。

今年、2002年はなんと言いますか、この間の11州にわたる最高7時間に及ぶ大停電とか、それから、サント・アンドレの市長誘拐殺害事件とか、不吉な出 来事で幕が開いたような感じです。先ほど委員長も言われたし、私も何回か、前のこの会議でも申しましたけれども、私の30年近いブラジルの経験では、「年 初の予測が明るい年は波らんで終わり、年初の予測が暗い年はいい年になる」が、若干例外はありますけれども殆ど、と言う記憶があります。今年はそのジンク スが破れることを期待しております。

 

コンサルタント部会資料

各種機関の2002年度ブラジル経済見通し

 

2002年上期業種別部会長懇談会-建設不動産部会


鳥羽部会長発表

ポイント

  1. 日系建設会社は、外来投資減を心配 ― 建設業
  2. 日系建設会社は、大統領選挙がらみ受注の影響なし ― 建設業
  3. 今年再び人員整理を考えざるをえない ― 建設業
  4. ビル・テナント退去、賃貸面積縮小、品質向上が課題 ― 不動産業
  5. 昨年アパート販売は好調、今年は在庫整理が課題 ― 不動産業

 

工事受注競争いっそう激化

鳥羽:建設不動産部会は大きく分けて、二つの業種、一つは建設業です。もう一つは不動産業、ということで、本日の報告は建設業界として3社、不動産産業として2社、この2社、一つはビル・テナント業、もう一つは住宅建設販売です。それを前提に報告さしあげます。

建設業の2001年下期の状況は、好調な上期に比べて、一般的に受注が落ち込みました。一般的な経済状況としまして、電力危機や9月のアメリカの同時多発テロにより、海外からの投資も慎重になり、予定していた案件が延期されたと推測されております。

こ れは基本的に現在、建設市場が収縮している状況で、昨年度で言いますと、3月から4月頃が一つのピークで、それから減少傾向にあった訳ですけれども、それ に輪をかけて、と言うことでした。経営的に見ますと、少ない工事受注率と、受注競争の激化により利益が低下してきびしい期間を経験しました。

受注状況から言いますと、3社のうち2社が減らし、1社が予定計画を達成したと言うことですが、全体的にはマイナス傾向でありました。従業員数で申し上げま すと、私どもの部会に参加している建設業者の各社がだいたい従業員を維持してきましたが、これは実は背景がございまして、一昨年、つまり2000年度にか なり難しい状況になった時に、社内の従業員整理をした結果、昨年1年はそれを維持できたと理解しております。

業績としましては、やはり業績を減らしたところが2社で、1社が多少増やしたということですが、一般的にはマイナス傾向でありました。

 

今年上期の展望

2002年度上期の展望ですが、ブラジルの国内経済状況や海外企業からの設備投資に大きく影響される建設業界は、各社ともアルゼンチン経済の破綻、アメリ カ経済の後退がマイナスに響いて来ることを心配しています。私ども、日系建設会社は、日系の進出企業をお手伝いしていると言うのが基本ですけれども、最近 になって非日系企業からの受注も手掛けておりますが、非日系と申しましてもやはり海外から投資されている企業、つまりアメリカ企業、ヨーロッパからの企 業、あるいはアジアからの企業ですので、やはりこの辺の経済状況というのが非常に大きく影響しています。

今年は大統領選挙の年であり、前 倒しの公共工事が発生し易い年ですが、日系建設会社は公共工事を手掛けていないので、受注に影響を及ぼすことは考えにくいと思われます。むしろ今、説明し ましたように、海外からの投資が慎重になることを考えると、受注が伸びることは少ないと考えています。したがって大型案件は少なく、中小工事の発生にとど まる程度ではないかと思われます。また、インフレの向進と給料の引き上げで、建設物価も上昇するのではないか、と懸念されています。

2001年の実績に対する2002年の受注見通しは、3社中2社が10%の減、他社は同程度であろうと予想しています。ただし、2001年に設備投資を延 期されていたお客様方の案件が今年実現するのではないか、という期待を込めて、そういう予測をしている訳ですが、全般的に言えばマイナス傾向であると言え ます。

また、社員数で見ますと、昨年度はそういうことで、前年度の合理化を引き継いで我慢していた訳ですが、今年はまた、従業員数を減らすということも考えざるを得ないのではないか、というふうに殆どが考えています。

 

ビル環境の品質向上で勝負の年

も う一方の不動産業では、2001年の下期の状況はビル・テナント業の1社の報告では、ビル・テナントの退去、賃貸面積縮小化の動きが見られたが、ビル環境 の品質向上ですとか、あるいはメインテナンスをきちっとする事によって、その中でやって行けると言うことで、逆に言いますと、その必要性を感じた年であっ たと言うことです。

アパートの販売は好調な年でして130%、通年で180%と売り上げを伸ばすことが出来たが、多少在庫が残っているので、これをどう整理するかが今年の課題だ、との報告でした。

不動産業の会社は実績、あるいは会社の従業員の数等につきましては、まあまあ計画通り、むしろ少し良いほうの傾向であったと言うことです。


先行き悲観的ではない不動産業界

不動産業の2002年に対する見通しは、それほど悲観的ではないが、他物件との競争が一段と激しくなることが予測されています。リストラ、経費節減により テナント需要は減少しているが、高品質で立地条件が良いところへの入居希望は少なからず存在する、と考えております。したがって、賃貸ビルの高品質化を計 るため不可欠な改修を行い、ビルの評価を上昇させる努力は継続しなければならないと考えています。逆にいえば、そういうことをしておけば、必ずお客さんは ついてくるという考えです。

業績の見通しとしては、1社は昨年と同じ程度、もう1社は下降すると考えていますけれども、全体から言えば不動産業界としては、昨年度と同じ程度の実績が残せるのではないか、それを達成できるんじゃないか、と予想しています。

 

司会:それでは最後に九つの業界を抱え、まとめるにご苦労されたと思います、運輸サービス部会の横山様お願いいたします。

2002年上期業種別部会長懇談会-金融部会


福岡部会長発表

ポイント

  1. アルゼンチン危機、テロ後の世界景気動向に留意
  2. 不透明、大統領選挙がらみの思惑
  3. 上期の為替は1ドル=2.3-2.6レアルか
  4. トピックはSPB実施再延期
  5. 米同時テロのダメージ大きい世界の保険業界
  6. 国内保険料率4倍以上に高騰

 

否定できない電力コスト上昇

福 岡:金融部会、2つのパーツに分けてご報告します。一つは銀行業界、もう一つは保険業界です。バックグラウンドにつきましては、いま、コンサルタント部会 の田中さんがお話になったのと、殆ど同じようなまとめになっておりますので省略させて頂いて、ごく簡単に結論だけ申し上げたいと思います。最初に銀行業界 の2001年度下期の回顧について。

まず電力問題については、いまご報告ありましたように、工業部門にはあまり重大な影響は与えずに終了 した。アルゼンチン問題は紆余曲折がありましたが、年末の状況に見られるように、ブラジル経済への波及は大変限定的であった。そのバックグラウンドにはブ ラジルのファンダメンタルズが強いということで、市場がブラジルを完全にアルゼンチンと切り離して捉えているという結果になっております。また、昨年9月 に発生したニューヨークのテロ事件の影響は、少なくともブラジルに関する限り、現時点では重大な、あるいは具体的な影響は特に見られません。

2002年度上期の展望。まずアルゼンチン問題ですが、いま下期の回顧でお話ししましたように、あまり影響を受けていないと言いながらも、やはり、輸出が 40%程度落ち込んでおり、今後じわじわとブラジル経済へダメージを与えて行くのではないか、と推測しております。従いまして、引き続きアルゼンチンの情 勢、それからテロ以降の世界全体の景気動向には留意していく必要があるだろうと思っております。

電力問題は、今年は今のところ、大きな経済阻害要因にはなり得ない展望をしていますが、ご存知のように値上げ等もあり、各業界に与えるコスト上昇圧力は否定できないと思います。

また、ブラジルに対する海外直接投資も、2002年度は180億ドル予想されており、これは基本的に海外市場が、「ブラジル経済基盤は大変底堅い」という 評価をしている査証だと思っております。全体的に影響してくると思われますのは、大統領選挙で、選挙への思惑が市場全体にどういう要因となって反映して行 くか、と言うことは大変不透明な状況だと思います。

 

政策金利は年末に16%予想 

為替は上期1ドル=2.3~2.6レアル予想

引き続きまして、2001年度下期の銀行業界トピックスのうち、一つはSPBが再延期されたことです。これはご存知のように「ブラジルの決済システ ム」(SISTEMA DE PAGAMENTO BRASILEIRO=RTGSを柱とするブラジル決済システム)の改革で、再三にわたって計画が延期 されておりますが、中銀がこの制度の確立に万全を期すために、各銀行における進捗状況の検査を何回も繰り返していると言うことで、再延期になっておりま す。

2002年度上期の相場見通しですが、まず、為替相場。2002年度は大きな悪材料が見当たらない一方、目先がブラジル経済の好材 料出尽くし感もあって、当面はレアルのじり安の展開が予想されるであろう。年末の時点では1ドルが2.10レアル程度になるという一部金融機関の方の予測 もありますが、大体のところの予想レンジを取りますと、上期は2.3から2.6レアルに落ち着くだろう、と言うのが金融部会のまとめであります。

レアルの政策金利につきましては、2002年度の第1四半期までは政策金利は19%から18%程度に据え置く公算が強いと思われ、その後は先ほど申し上げ ました大統領選挙の要因もあり、景気刺激策の一環として利下げが徐々に実施され、最終的に2002年度末には16%程度まで下げることも考えられる、と言 うのが金融部会の取りまとめであります。

 

保険業界の2001年度振り返り

引き続きま して、保険業界についてご報告します。まず、2001年度の振り返りですが、通常の業界の売上高にあたる総収入保険料は前年度対比で107.7%の順調な 伸びを示しております。一方、保険業界の特殊なチェック指数であります損害率は、全種目ベースで66.2%、一昨年と比べ1.1ポイント減少しましたが、 まだ66%台を超えており、業界の収益に大きく悪い影響を与えております。中でも、保険料の太宗を占めます自動車保険は、損害率が一昨年の72.5%から 3.4ポイント改善し69.1%ということですが、約70%台をまだ保っており、業界の経営に大きな影響を与えております。

それから9 月の米国の多発テロに伴う問題。これはみなさんご存知と思いますが、まだ最終的な保険金の総支払い額算定ができない状況です。ただ、いずれにしましても、 日本においてもそうですけれども、世界各国において、業界に与えた影響は大変甚大でして、すでに保険会社の倒産を招いており、これが今後の世界的な保険業 界の再編成をさらに促す導火線になるのではないか、と思っております。

 

収保高伸び予想だが、足引っ張る自動車保険損害率

2002年度の展望は、先ほど申し上げました売上高にあたる収入保険料は昨年並み、すなわち、7%から10%程度の好調な伸びが見込まれますが、損害率は 引き続き高い率を保たざるを得ない状況で、業界全体の収支は、おそらく本業の保険業務収益だけでは赤字になるのではないか、と思います。

それと、やはり特徴的なのは米国の同時テロの影響で、すでに再保険マーケットが大変ハード化、すなわち保険料の高騰、あるいは条件の厳しさというところに 手をつけており、ブラジルでも、すでに大企業物件などの保険料の更改料率が4倍以上にもなっているのが散見されております。今後もおそらく、保険料の高騰 と言うところになって行くと思います。

最後に毎回ご報告しております、ブラジル保険業界の特殊な組織の再保険公社IRB。前回もご報告 申し上げましたが、民営化が図られ、すでにその実行も謳われながら、再三延期されており、現在のところ民営化の時期については全くめどが立たず、結果的に 保険業界民営化はたいへん中途半端なかたちになっているという状況です。

 

金融部会資料

●【予想レンジ】為替及び金利

  2002年上期
為替(レアル=1ドル) 2.30-2.60
レアル政策金利(%/年) 19.00-17.50

2002年上期業種別部会長懇談会-機械金属部会


杉村部会長の発表

ポイント

  1. 自動車179万台生産、後半に落ち込む
  2. フイアット、フオルクスを追い抜く
  3. 二輪車75.3万台生産、前年比19%アップ
  4. 自動車部品は苦戦。操短、人員整理等
  5. 期待持てる発電プロジエクト - 重工プラント業界
  6. ハイテク工具の国産化高まる
  7. レアル安で輸出増のポンプ業界
  8. 堅調な精密測定機器業界

 

生産能力過剰の自動車業界

杉村:我々の部会は参加企業が47社。業種も非常に多く、まとまった格好での報告ができませんので、業種ごとにレポート頂いたところから発表させて頂きます。

 

自動車

最初に自動車。去年の生産台数は179万台で、2000年に対して約6%増にとどまった。ところが昨年の後半だけ見ると、昨年の前半に対して約16%の 減。販売で見ますと、2000年の上期販売は61万台。同下期が69万台。それから今年の上期が76万台と、非常に好調に伸びて来たけれども、昨年の後半 は64万台に落ち込んで、今までの勢いが一挙になくなったと言うことです。もともと自動車メーカーは生産能力が過剰ですから、昨年の前半まではよかった が、後半に落ち込み、ある意味では業界全体が混乱した。業界だけではなく、それを取り巻く部品業界も大幅に混乱したと言うことです。

それから、自動車メーカーの勢力地図もだいぶ変わった。例えば、フィアットがフォルクスワーゲンをついに抜いて一番に踊り出た、あるいは撤退を発表したところもあるとかで、非常に苦しい後半であったと言うことです。

輸出は、アルゼンチン向けは落ち込んだけれども、北米、メキシコ向けの輸出が拡大して、何とか基本的にはカバーしています。

それから輸入車は、当然のことながら大幅に落ち込み、昨年は前半に対して後半が26%減となった。

2002 年、つまり今年の生産は、ANFAVEAやSINDIPECASの見通しでは約3%から6%の増を期待している。しかしながら、基本的には、金利がいつ下 がり始めるか、が多分最大のポイントになるだろうと言うことで、ある意味では経済全体見通しは強いけれども、自動車メーカーは、まだ確実な意味での回復の 手がかりはつかんでいないという感触です。

 

二輪

二輪は自動車ほどには落ち込まなかった が、さすがに後半は伸びが鈍化した。生産は2000年の前半30万台、後半32万台。去年の前半が38万台と急に伸びまして、後半は36万台。ですから、 前半と後半を比べると若干落ちたけれども、2000年に比べれば大幅に増えて、年間を通しますと、63万5000台が75万3000台と去年は生産が 19%アップしたと言うことです。この背景にあるのは、やっぱりまだ二輪車の需要が極めて高いと言うことと、コンソルシオ販売方法が非常に多くて、外部環 境の影響を受けにくいと言われています。それから、もちろん自動車と比べて、競合が少ないというので、ある意味では助かっている。二輪車の輸出は、アルゼ ンチン向けが大幅に悪化したけれども、その他の中南米向けでカバーして、基本的には昨年合計6万台ですが、前半3万台、後半3万台で予定通りという感じ だったですね。

今年、基本的に第1四半期はまだ昨年後半の影響を受けるだろうが、第2四半期以降は、当初の予定通り、もう少し力強く伸びるだろうと。少なくとも年間で10%以上の伸びは二輪の場合は期待できると言うことです。

 

電装及び自動車部品

こ こはある意味では最も被害が大きいところで、基本的に自動車の生産台数が落ちたことで、同業界向け生産量が落ち、それから、まだかなりの部分が部品を輸入 しているので、金利、為替が上がったことで、コストアップになってかなりの企業が、操短、人員解雇、工場を集約する、あるいは同じグループの会社の中で、 他の工場向けに仕事をもらって生産をとにかく維持するとか、かなり厳しい対策を取らざるを得ず、コスト、損益も含めて、昨年後半は非常に苦しかったと言う ことです。

2002年も基本的には急激な回復はできないと言うことで、なんとか現調率をアップすることや不採算商品からの撤退だとか、いろいろな対策を今年度も進めていく必要があると、きわめて厳しい報告でした。

 

重工プラント

昨 年から非常に好調ですが、鉄鋼関係は、ブラジルの鉄鋼関係の設備増強は、昨年前半で大半が終わっており、一部あった案件も発電投資に優先され、一般設備投 資はきわめて低調であった。さらに2002年は、世界的な鉄鋼生産量削減問題等があり、設備投資にはブレーキがかかるだろうと言うことで、あまり強気な見 通しはできませんと。

一方、発電プラントは当然のことながら、電力問題に押し進められまして、去年、それから今年もプロジェクトの具体化に関連した商談がますます活発化して行く、と言うことを期待しているようです。

運搬設備、港湾設備。これはやはり米国同時テロ事件の影響を受け、パルプ、鉄鉱石の輸出が落ちたので、案件がストップしているケースが多々あると言うことです。

それから石化プロジェクトは、新井さんの報告にもある通り、ブラジルの石化プロジェクトは昨年後半、それから今年もきわめて堅調で、案件は多いと言うこと です。ただし、日系のメーカーは、こういったプラントの多くがBNDES(開発銀行)の資金を活用しているために、国産化条件60%という制約があるらし いのですが、それをクリアするのが非常に難しく、大型商談はなかなか取りにくいと言うことです。

 

切削工具

2001 年の下期は、電力問題やアルゼンチン危機の影響をまともに受け、自動車関係を中心に下期は大幅に落ち込んだ。対前年同期比でもマイナスになった企業がかな り多かったようです。それから、レアル安によるコストアップが売価に十分にどうしても転嫁できず、採算も悪化しているようです。

一方、自動車各社が部品の国産化を進めており、一種のハイテク工具の国産化要求が強くなっている。それに伴った設備投資を続ける必要があり、採算と投資のバランス取りが難しくなっています、という報告がございました。

そ れから電動工具は、電力問題の影響を受けました。昨年8月の“父の日”だとか、クリスマス商戦で盛り返そうとかなりプロモーションをやったけれども、業界 全体としては非常に低調でしたと。ただし、日系企業は20周年記念セールというものをやり、それが成功して対前年比10%の販売増になった。今年に関して は、電力問題はもう解消するだろうから、大幅な回復を期待していると言うことです。

 

ポンプ

これもやはり電力問題の影響を受けたけれども、電力問題の解消見通しがついた昨年の第4四半期あたりからは急激によくなったと言うことです。それから、アメリカ向け輸出がレアル安の恩恵を受けて、数量、金額とも好調で、利益に貢献したと言うことです。

今年も入札の計画が多数あって、昨年より出足は好調であると。今年は大統領選挙もあり、選挙特需といいますか、2002年に対する期待は非常に大きいと言うことです。

 

農業機械

こ れは政府援助資金PRONAFとFINAMEが潤沢に出た、農業豊作により農家の購買意欲が非常に高かったと言うことで、昨年下期は非常に好調でした。さ らにトラクターなどの輸出は、アメリカ向けなどを中心に非常に好調で、対前年比70%増を記録した。今年の大統領選挙による好影響も含めて、農業機械は今 年も期待できると言うことです。

 

精密測定機器

ここは、日系1社が実はブラジルで生産しているのですが、自動車関連、その他の品質要求の高まりがあって、国内の中小納入業者からの精密測定機器の需要が増えている。この会社も今のところ堅調に推移していると言うことです。

 

軸受

主 要なお客さんである家電だとかモーター、あるいは電動工具、この辺が電力問題で一気に落ち、金利が上昇したことで自動車も落ちた、さらにアメリカの同時テ ロの問題で輸出関連が落ちたために、去年の後半は売上が急落したと言うことです。全部で6社くらいがここで現地生産しており、昨年の第4四半期は在庫を抱 えたために大幅な生産調整、あるいは人員削減を行っています。代理店関係が在庫をまだかなり抱えており、年を越して今年に入りましても回復の見通しは立っ ておりません。従いまして、電力の問題が解消し、家電関係は回復するけれども、軸受にとっては自動車がいつ回復するかが、今年については問題だと言うこと です。

 

工業用ネジ

最後になりますけれども、工業用ネジ。これも主要なお客さんが自動車、 家電なので、そのために大幅に落ち込みました。で、ネジ業界は一斉に生産調整に追い込まれ、全体で昨年下期は対前年同期で売上、生産ともに30%の落ち込 みになりました。今年は、家電の回復は確実、自動車も回復するだろうと言うことで、第2四半期あたりから回復するだろうという期待をしています。業界みん なが、ブラジル経済そのものの回復と自動車の生産回復を期待するという構えです。

 

司会:冒頭、お話がございましたように、機械金属部会は所属メンバーが47社。業種のほうも幅広く、部会のほうで二つに分割するという話が出たということですが・・・

杉村:それは第2部のほうで。

司会:そうですね。他の業界でも、化学品部会の新井さんはいつも発表に苦労されている。この辺は、第2部のほうでゆっくりとお話し頂きたいと思います。引き続きまして、繊維部会の林様お願いいたします。