金融部会(遠藤秀憲部会長)主催の第2回ブラジル金融市場講座が2012年7月24日午後4時から5時過ぎまで、ラマダ・ジャルジンスSPに80人が参加して開催、講師はブラジル三菱東京UFJ銀行為替資金部の浅野学テレジャリーセールスヘッドが務めた。
初めに浅野講師は、為替相場が存在する理由として国境をまたいだ貿易取引並びに資本取引、投機取引などの取引には通貨の交換比率が必要で、両国で異なる通貨の交換比率が外国為替相場であると説明した。
基軸通貨の米ドルのシェアは世界の42%と圧倒的であり、ユーロは20%、日本円が9%、英ポンドが6%で続いているが、今後10年間に中国元の自由化の進展などで飛躍的に伸び、2010年の1日当たりの外国為替市場の規模は全世界で5兆ドル、ロンドンが1兆8,540億ドルでトップ、ニューヨークが9,040億ドル、東京が3,120億ドル、シンガポールが2,660億ドル、フランクフルトが1,090億ドルとなっている。
短期の為替相場の動きをみる材料として、需給要因である市場のテーマ並びに需給情報、金利株価動向、経済指標の振れ、選挙・政変、中期の為替相場の動きをみる材料として、循環要因である景気サイクルや金融政策サイクル、長期の為替相場の動きをみる材料として、経済成長並びにインフレ、国際収支、生産性、またメジャー通貨と比較してブラジルの国内為替市場は200億ドルと非常に規模が小さいと説明した。
ここ数年のドル円相場は日米の金利差との相関が高く、日米2年国債利回り格差が3%以上ある場合は、円安になりやすい傾向にあり、逆に3%を下回ると円高になりやすく、1ドル=100円を回復するには、最低でも2%以上の金利差が必要である。
日本人はリスクの高い投資を避ける傾向があり、日米の金利差が2%ではドル預金に変える日本人は少ないが、金利差が5%に達すればドル預金する日本人が大幅に増加、2011年は東日本大震災やタイの大洪水に伴う部品供給網の寸断と世界的な景気減速で日本の輸出が減少、一方で輸入は、原発停止に伴う火力発電用の液化天然ガスの調達拡大や原油高で急増したために、貿易収支は赤字に転落した。
貿易赤字は赤字に転落したが、所得収支の黒字額が貿易収支赤字を上回り、経常収支は黒字を計上、経常収支黒字国の通貨は、自国通貨高バイアスがかかりやすい。
ブラジル市場の特異性として、公表相場がなくブラジル国内に外貨口座を保有することは不可能であり、レアル通貨のみの決済であり、レアルを使ったクロスボーダー取引並びに為替予約ができなくて、海外から資金を持ち込む時は、全て一旦レアルに交換しなければならない。
主な為替ヘッジ商品として輸出入などの決済レートを期日前に締結するCambio Forward、将来のある時期の為替レートを約定して、決済日の為替レートとの差をレアルで差金決済するNDFはニーズが高い。
またブラジルレアル金利市場の特徴として営業日のみの付利、基本はオーバーナイト金利、複利計算、1年は252日営業日ベース、片端計算、無担保コール市場金利(CDI)と政策誘導金利(Selic)の違い、金利の計算方法を例を上げて詳しく説明、浅野講師の非常に分かりやすくて素晴らしい講演に対して、参加者から盛大な拍手が送られた。

講師のブラジル三菱東京UFJ銀行為替資金部の浅野学テレジャリーセールスヘッド(Foto: Rubens Ito / CCIJB)

左から金融部会の遠藤秀憲部会長/山崎展生副委員長

80人が参加した第2回ブラジル金融市場講座

80人が参加した第2回ブラジル金融市場講座